【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人佐々木曼の上告趣意第一点について。 所論は判例違反を主張する。しかし引用の昭和二年(れ)第一五四六号同三年一 月
主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人佐々木曼の上告趣意第一点について。 所論は判例違反を主張する。しかし引用の昭和二年(れ)第一五四六号同三年一 月二八日言渡の大審院判例は本件と事案を異にしていて適切でないから、右判例を 引用する主張はその前提を欠き刑訴四〇五条の上告理由に当らない。ところで原判 決は、累犯加重の原因となる前科の事実を判示しながら、これを認定する証拠の標 目を挙示していない第一審判決を正当として維持し、所論引用の名古屋高等裁判所 昭和二四年九月六日言渡、同裁判所昭和二五年三月二七日言渡、東京高等裁判所昭 和二九年四月五日言渡の各判例と異つた判断をしていることは所論のとおりである。 しかしながら累犯前科の事実は、実質において犯罪事実に準ずるものであるが、刑 訴三三五条一項所定の「罪となるべき事実」そのものではないから、審理において 適法な証拠調をした証拠によりこれを認定することができる限り、判決においては その事実を判示すれば足り、これを認定する証拠の標目を挙示することまでは必ら ずしも必要でないと解するのを相当とするところ(昭和二三年(れ)第七七号同二 四年五月一八日大法廷判決刑集三巻六号七三四頁、昭和三二年(あ)第一〇二九号 同三三年二月二六日大法廷決定刑集一二巻二号三一六頁参照)、本件記録によれば、 第一審は第一回公判において所論累犯前科の事実を認めるに足りる被告人の供述な らびに前科照会書を、適法に証拠調していることが認められるのであるから、その 事実を判示している第一審判決につき、これらの証拠の標目を挙示していなくても 違法でないとした原判決の判示は相当であつて、これと相反する判断をしている前 掲各高等裁判所の判例の見解は、採用することができない。したがつて所論各高等 裁判所の判例を引用する判例違反 示していなくても 違法でないとした原判決の判示は相当であつて、これと相反する判断をしている前 掲各高等裁判所の判例の見解は、採用することができない。したがつて所論各高等 裁判所の判例を引用する判例違反の主張は理由がない。 - 1 - 同第二点について。 所論は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に 当らない。 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。 裁判長裁判官 奥 野 健 一 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 城 戸 芳 彦 裁判官 石 田 和 外 - 2 -
▼ クリックして全文を表示