【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中三十日を本刑に算入する。 理 由 本件控訴の趣意は、被告人及び弁護人楠田仙次の各控訴趣意書の
主文本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中三十日を本刑に算入する。 理由本件控訴の趣意は、被告人及び弁護人楠田仙次の各控訴趣意書の通りであるから、いずれも、これを引用する。 被告人の控訴趣慮について。 論旨は、原判決認定の各恐喝の事実は、全部無実であり、又、詐欺の事実は、相手方の諒解の上借り受けたものであつて、詐欺したものではないというのであるが、原判決挙示の証拠によれば、原判決認定の各恐喝及び詐欺の事実を認めるに十分であつて、原判決に挙示してある原審における各証人の供述が虚偽であると認める証拠はない。記録を精査するも、原判決には事実の誤認はない。なお、論旨末尾の御寛大な処分を願う旨の記載は、量刑不当を主張するものと認められるが、訴訟記録並びに原審及び当審において取り調べた証拠によつて認められる本件犯行の態様、回数、被害の程度、被告人の前歴、家庭の状況、その他諸般の事情を綜合して考察すれば、原判決の刑の量定は、決して、重いということはできない。論旨は、すべて理由がない。 弁護人の控訴趣意について。 論旨は、本件については、被告人を刑事処分するよりも、保護処分に付するのが相当であるから、家庭裁判所へ移送されたいとうのであるが、被告人の経歴、前歴、年令、心身の状況、家庭の環境、本件犯行の態様、回数、被害額、その他諸般の事情を綜合して考察すれば、被告人は、保護処分に付するを相当とする程度を超えていて、刑事処分をするのが相当であると認められるので、原審の処置には、何等違法な点はない。論旨は採用できない。 職権をもつて、本件の公訴提起の手続の適否について考察するに、少年法第四十二条第二十条第四十五条第五号の規定によれば、検察官は、少年の被疑事件について捜査した結果、犯罪の い。論旨は採用できない。 職権をもつて、本件の公訴提起の手続の適否について考察するに、少年法第四十二条第二十条第四十五条第五号の規定によれば、検察官は、少年の被疑事件について捜査した結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致し、家庭裁判所は、調査の結果、その罪質及び情状に照して、刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを検察官に送致し、検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならないのであつて、かような規定を設けた趣旨は、少年事件の特質に鑑み、少年の保護の周到を期するために、少年事件を起訴するには、すべて一度家庭裁判所の審査を経由させることを建前としたものであつて、これ等の規定に違反し、検察官が少年事件を家庭裁判所を経由せずに、直接公訴を提起した場合には、その公訴提起の手続は、無<要旨>効であるというべきである。そして、家庭裁判所が事件を検察官に送致する決定、いわゆる逆送決定には、罪</要旨>となるべき事実及びこれに適用すべき罰条を示さなければならないことは、少年審判規則第二十四条に規定するところであるから、家庭裁判所が検察官に逆送する事件の内容は、逆送決定に明記すべきことはいうをまたないところであるが、それだからといつて、逆送決定に明記された事件だけが検察官に逆送されたものであると限定する必要はないものと解するを相当とすべく、当初検察官が家庭裁判所に送致した事件の全部の事実について、家庭裁判所において審査した後、特にその一部の事実について検察官への逆送から除外する趣旨が認められない限り、たとえ逆送決定にその一部の事実が明記されていないとしても、その全部の事実について、検察官への逆送がなされたものと解すべきである。蓋 部の事実について検察官への逆送から除外する趣旨が認められない限り、たとえ逆送決定にその一部の事実が明記されていないとしても、その全部の事実について、検察官への逆送がなされたものと解すべきである。蓋し、かく解するとしても、少年事件を起訴するについて、すべて一度は家庭裁判所の審査を経由させ、少年の保護の周到を期することを目的とした前記少年法の各規定の精神を没却することは少しもないからである。本件についてこれを観るに、本件は、検察官より、昭和二十八年十月三十日六個の恐喝と一個の詐欺の事実について、公訴が提起され、原判決は、右七個の事実全部について、原判決掲記の通り認定して有罪の判決を言い渡したものであるが、昭和二十八年十月十九日の岐阜家庭裁判所大垣支部の逆送決定には、原判決認定の第二及び第七の二個の事実(原判決認定の第七の事実は、逆送決定においては、恐喝の事実として摘示し、その罰条が示されて居り、本件起訴状及び原判決認定の事実としては、詐欺の事実として掲記し、その罰条が適用されているが、逆送決定に示されている訴因及び罰条に拘束されることはないというべきであり、両者の間には、事実の同一性があることが明らかであるから、この点に関する公訴提起の手続並びに原判決には違法な点はない。)を掲記し、この事件を岐阜地方検察庁大垣支部の検察官に送致する旨が記載されているだけであるが、昭和二十八年九月十八日附司法警察員の送致第四六八号少年事件送致書及び同月二十四日附送致第四七六号同送致書並びに同月二十五日附岐阜地方検察庁大垣支部検察官の岐阜家庭裁判所大垣支部への送致書によれば、検察官から本件起訴状記載の七個の事案(第七の事実については、起訴状には詐欺の事実として掲記されて居り、右送致書には恐喝の事実として記載されているが、その間に同一性があることは前説示の通 によれば、検察官から本件起訴状記載の七個の事案(第七の事実については、起訴状には詐欺の事実として掲記されて居り、右送致書には恐喝の事実として記載されているが、その間に同一性があることは前説示の通りである。)について、家庭裁判所に送致されていることが認められ、又、岐阜家庭裁判所大垣支部の少年調書及び審判調書によれば、同家庭裁判所においては、検察官から送致を受けた七個の事実全部について審査をしていることが明らかであり、そして、右審判調書によれば、審判期日である昭和二十八年十月十九日前記逆送決定を告知し、その逆送決定の趣旨を説明していることが認められ、特に同審判調書及び前記逆送決定において、同決定に明記されている二個の事実以外の事実を除外する趣旨は認められないのであり、更に、同年十月二十一日附岐阜家庭裁判所大垣支部より岐阜地方検察庁大垣支部に対する記録送付書によるも、特に前記二個の事実だけに限定して検察官に逆送したものであるという趣旨は認められないので、本件七個の事実全部について、家庭裁判所の審査を経由した上、検察官に逆送されたものであると認むべきである。最高裁判所昭和二十七年(あ)第四七二八号昭和二十八年三月二十六日第一小法廷判決は、家庭裁判所が刑事処分を相当として検察官に事件を逆送した後に、捜査機関に発覚した余罪について、家庭裁判所の審査を経由せずに、検察官が公訴を提起した事案について、その余罪についての公訴提起の手続を不適法であると判示しているが本件の場合は、右事案とその内容を異にしていると認めるので、右最高裁判所の判例と矛盾する判断をしたものではないと思料する。以上説示の通りであるから、本件の公訴提起の手続には、法規に違反した違法はない。 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条に則り、本件控訴を棄却することとし、刑法第二十一条により、 ものではないと思料する。以上説示の通りであるから、本件の公訴提起の手続には、法規に違反した違法はない。 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条に則り、本件控訴を棄却することとし、刑法第二十一条により、当審における未決勾留日数中三十日を本刑に算入することとし、当審において国選弁護人に支給した訴訟費用は、刑事訴訟法第百八十一条第一項但し書に従い、被告人に負担させないこととして、主文の通り判決する。 (裁判長判事河野重貞判事高橋嘉平判事山口正章)
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