昭和22(オ)26 土地返還等請求

裁判年月日・裁判所
昭和23年12月18日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告論旨第一点について。  農地調整法は、昭和一三年四月その第一条(改正前)に

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判決文本文2,304 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告論旨第一点について。 農地調整法は、昭和一三年四月その第一条(改正前)に示すごとく「互譲相助ノ精神ニ則リ農地ノ所有者及耕作者ノ地位ノ安定及農業生産力ノ維持増進ヲ図リ以テ農村ノ経済更生及農村平和ノ保持ヲ期スル為メ農地関係ノ調整ヲ為スヲ以テ目的」として制定せられたもので、その制定の当初においては、小作人の保護に重点をおきつゝも、尚互譲相助の精神に則り、地主に対する権利の制限もなるべく厳に失せず、両者の円満協調を図るという趣旨であつたことは、あきらかである。しかるに、その後の社会情勢の推移、ことに敗戦後の農地政策の大変革に伴つて、しかもその変遷の情勢に応じて、漸進的に同法は改正せられてきたのであつてすなわち第一次改正(昭和二〇年一二月二八日)第二次改正(昭和二一年一〇月二一日)及び第三次改正(昭和二二年三月二六日)を経て今日に至つたのであるが、第一条の目的についても、第一次改正においてはこれに触れず、第二次改正においてはじめて「本法は耕作者ノ地位ノ安定及農業生産力ノ維持増進ヲ図ル為農地関係ノ調整ヲ為スヲ以テ目的トス」と改められもっぱら小作人擁護の見地に立つことを明らかにするに至つたのである。同法第九条は小作関係の解消に関する規定であつて、元来個人主義の理念に基いて賃貸人と賃借人とを対等の地位において規律せられた民法の規定を本法の趣旨に従つて変改し、賃貸人の権利の行使を制限して、小作人の地位の安固をはからんとする規定であるが、同条を解釈するについても、前に述べた同法改正の沿革を考慮に入れなければならないのであつて、同条第一項本文は当初は「農地ノ賃貸人ハ賃借人ガ宥怒スベキ事情ナキニ拘ラズ小作料ヲ滞納スル等信義ニ反シ- 条を解釈するについても、前に述べた同法改正の沿革を考慮に入れなければならないのであつて、同条第一項本文は当初は「農地ノ賃貸人ハ賃借人ガ宥怒スベキ事情ナキニ拘ラズ小作料ヲ滞納スル等信義ニ反シ- 1 -タル行為ナキ限り賃貸借ノ解約ヲ為シ又ハ更新ヲ拒ムコトヲ得ズ」とあつたのであるが、この規定は前示第一次改正においては何ら触れるところなく、第二次改正に至つて、前に述べた同法第一条の目的を変更すると同時に「賃貸借ノ解除若ハ解約ヲ為シ」と改正せられたのである。すなわち、同条において、賃貸人の小作関係を消滅せしめる権利を制限するについても、当初はきわめて微温的、妥協的であつたのが、漸次小作人の利益擁護の方向に変革せられたことが理解せられるのである。 以上の趣旨からして、制定当時の同条にいう「解約」は、民法第六一七条の解約の申入れを指すものであつて、民法第五四一条の契約解除はこれを含まないものと解するのが相当である。すなわち、当初は賃貸人が自分の都合でなんらの予告なしに、その一方的の意思表示で解約し得る権限を制限して、これに一定の条件をつけたのであるが、第二次改正に及んで小作料の延滞等賃借人に不履行の責ある場合に相当の期間を定めて催告し、なお応じない場合にする民法第五四一条の契約の解除をも制限するに至つたものである。 本件解除の意思表示は民法第五四一条によるものであり、昭和二一年二月中になされたことは原判決の確定するところであつて、農地調整法第一次改正後、第二次改正前にあたるのであるから、当時の法律に照して、右のごとき契約の解除には同法第九条の制限規定の適用はない旨を判示した原判決は正当である。 もっとも、同法第九条に「解約」の場合につき宥恕すべき事情による小作料の延滞は信義に反しないものとして、この場合の解約を制限している以上、契約解除の場合に 用はない旨を判示した原判決は正当である。 もっとも、同法第九条に「解約」の場合につき宥恕すべき事情による小作料の延滞は信義に反しないものとして、この場合の解約を制限している以上、契約解除の場合についても、小作人に信義に反する小作料債務不履行の責ありやを判断するには果して宥恕すべき事情に基くものなりや否やを考慮に入れなければならないことは、両者の権衡上当然のことではあるが、本件において、上告人が小作料を支払はないにつき、特に宥恕すべき事情があつたとの抗弁を原審に提出した事迹はなく上告人主張の抗弁はすべて排斥せられているのであるから、上告人に不履行の責あり- 2 -と判断した原判決はこの点においても違法はない。論旨は理由がない。 同第二点について。 上告人が本件農地の所有者であるとの主張は原判決の排斥するところであり、上告人が相当の根拠ある誤解に基いて本件の農地がその所有に属することを信じたが故に小作料を支払はなかつたのであるという趣旨の抗弁は上告人の原審において提出せざるところである。 (2)「被上告人は昭和二〇年一一月二三日現在において農耕従事者でないから、農地調整法の関係上本件土地の返還を求めることができない」との上告人の抗弁についても、本件契約解除当時の法令に照し、右のごとき土地の返還請求権を制限した規定は存在しないのであるから、右と同じ理由をもつて、上告人の右の抗弁を排斥した原判決は正当である。論旨はいずれも理由がない。 以上の理由により民事訴訟法第四〇一条第九五条第八九条に則り主文のごとく判決する。 右は裁判官全員の一致した意見である。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官霜山精一裁判官栗山茂 最高裁判所第二小法廷 裁判長 裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎

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