平成28(ワ)675 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年2月14日 大阪地方裁判所
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平成29年2月14日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成28年(ワ)第675号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成28年12月9日判決 原告株式会社ベル同訴訟代理人弁護士山田威一郎同松本響子同訴訟復代理人弁護士柴田和彦同補佐人弁理士立花顕治 被告有限会社プレーン 被告有限会社シェル上記2名訴訟代理人弁護士池下利男上記2名訴訟代理人弁理士山本真一主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求被告らは,連帯して,原告に対し,1000万円及びこれに対する平成27年9月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,後記本件意匠権の意匠権者である原告が,被告らが共同して製造販売していた別紙物件目録記載1ないし3の靴(以下「被告製品」という。)の靴底部分が本件意匠権の意匠に類似することから,被告らの行為が本件意匠の利用による意匠権侵害に当たると主張して,被告らに対し,本件意匠権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求として損害金6022万5000円の内金1000万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成27年9月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に る不法行為の日の後である平成27年9月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は,靴の製造販売等を業とする法人である。 イ被告有限会社シェル及び被告有限会社プレーンは,いずれも靴の製造販売を業とする法人である。 (2) 本件意匠原告は,「靴底」の部分意匠に関し,以下の意匠権(以下「本件意匠権」といい,その登録意匠を「本件意匠」という。)を有している。 登録番号第1490957号出願日平成25年5月14日登録日平成26年1月24日意匠に係る物品靴底本件意匠添付意匠公報の図面のとおり(3) 被告らの行為被告らは,共同して被告製品を製造販売している。 (4) 被告製品の靴底部分の意匠被告製品の靴底部分の意匠は,別紙被告靴底意匠の図面記載のとおりである (以下「被告意匠」という。なお,一番下側に視認できるアウターソール(外底)の上部に視認できる層を下側から順に「A層」ないし「C層」という。被告製品において,この上部にあるD層を類否判断に加えるべきか否かについては争いがある。)。 2 争点(1) 被告意匠は本件意匠と類似するか。 (原告の主張)ア本件意匠の構成態様(ア) 基本的構成態様a ミッドソール(中底)とアウターソール(外底)が一体化した靴底の形態である(実線部分はアウターソールの中間よりも上の部分である)。 b ミッドソールは,踵部から土踏まず部までが3層(AないしC層)構造により形成され,土踏まず部からつま先部までが2層(B層,C層)構造により形成されている。 cA層 よりも上の部分である)。 b ミッドソールは,踵部から土踏まず部までが3層(AないしC層)構造により形成され,土踏まず部からつま先部までが2層(B層,C層)構造により形成されている。 cA層は,土踏まず部から踵部にかけてアウターソールの上面に接しており,土踏まず部から踵部に向かうにつれ,弧面状に高さが増すように形成されている。 dB層は,踵部から土踏まず部においてはA層の上面に接し,土踏まず部からつま先部においてはアウターソールの上面に接しており,つま先部からA層と接する点に向かって徐々に厚みを増し,A層と接する点から土踏まず後方にかけて徐々に薄くなり,土踏まず後方から踵部にかけては均一の厚みを有している。 eC層は,B層の上面に接しており,踵部からつま先部まで均一の厚みの層を形成している。 f 踵部分は,正面図においては,ミッドソールのA層とB層の境目を凹部分とした略「く」の字型を形成しており,右側面図においては,A層とB層の境目を凹部として,砂時計様に中央が窪んだ形状をしている。 gA層は,上部から底部にかけてなだらかな丸みを帯びた面からなるやや末広 がりの形状をしており,B層は底部と上部の中間の位置が最も膨らむように隆起しており,C層は上部の径が底部の径に比して大きくなるような曲面を形成している。 (イ) 具体的構成態様a 踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.43:1である。 b 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2:1である。 cB層の,踵部の厚みとA層接地点の厚みとつま先部の厚みの比率は約1.75:2:1である。 イ被告意匠の構成態様(ア) 基本的構成態様a ミッドソール(中底)とアウターソール(外底)が一体化した靴底の形態である。 b ミッドソールは,踵部か 比率は約1.75:2:1である。 イ被告意匠の構成態様(ア) 基本的構成態様a ミッドソール(中底)とアウターソール(外底)が一体化した靴底の形態である。 b ミッドソールは,踵部から土踏まず部までが3層(AないしC層)構造により形成され,土踏まず部からつま先部までが2層(B層,C層)構造により形成されている。 cA層は,土踏まず部から踵部にかけてアウターソールの上面に接しており,土踏まず部から踵部に向かうにつれ,弧面状に高さが増すように形成されている。 dB層は,踵部から土踏まず部においてはA層の上面に接し,土踏まず部からつま先部においてはアウターソールの上面に接しており,つま先部からA層と接する点に向かって徐々に厚みを増し,A層と接する点から土踏まず後方にかけて徐々に薄くなり,土踏まず後方から踵部にかけては均一の厚みを有している。 eC層は,B層の上面に接しており,踵部からつま先部まで均一の厚みの層を形成している。 f 踵部分は,正面図においては,ミッドソールのA層とB層の境目を凹部分とした略「く」の字型を形成しており,右側面図においては,A層とB層の境目を凹部として,砂時計様に中央が窪んだ形状をしている。 gA層は,上部から底部にかけてなだらかな丸みを帯びた面からなるやや末広 がりの形状をしており,B層は底部と上部の中間の位置が最も膨らむように隆起しており,C層は上部の径が底部の径に比して大きくなるような曲面を形成している。 (イ) 具体的構成態様(24.0サイズの靴において計測)a 踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.36:1(0.95センチメートル:0.7センチメートル)である。 b 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2.38:1(0.95センチメートル:0. るA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.36:1(0.95センチメートル:0.7センチメートル)である。 b 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2.38:1(0.95センチメートル:0.4センチメートル)である。 cB層の,踵部の厚みとA層接地点の厚みとつま先部の厚みの比率は約3.5:4:1(0.7センチメートル:0.8センチメートル:0.2センチメートル)である。 ウ本件意匠の要部本件意匠の要部は,次の①ないし④の形態の組合せにある。 ① 踵部から土踏まず部までをA層からC層の3層構造,土踏まず部からつま先部までをB層及びC層の2層構造としている点。 ② B層及びC層を革が覆いかぶさっているような印象を与えるように膨らみを持たせた形状にしている点。 ③ A層は上部から底部にかけてなだらかな丸みを帯びた面からなるやや末広がりの形状をしている点。 ④ 踵部は,正面図においては,ミッドソールのA層とB層の境目を凹部分とした略「く」の字型を形成している点。 エ本件意匠と被告意匠の対比本件意匠と被告意匠は,基本的構成態様の全てにおいて共通し,被告意匠は,前記ウ①ないし④の組合せからなる本件意匠の要部を全て備えている。 したがって,本件意匠と被告意匠は,需要者に視覚を通じて起こさせる美感が共通するものであり,両者が類似の形態であることは明らかである。 オ被告製品の製造販売による本件意匠権侵害 被告意匠は「靴底」の意匠であり,本件意匠と意匠に係る物品が同一であり,また被告意匠が被告製品の靴底の意匠の中で占める位置,大きさ,範囲は,本件意匠の実線部分の位置,大きさ,範囲とほぼ同一である。 そして,被告製品は,本件意匠と類似の被告意匠の全部を,その特徴を破壊することなく,アッパー部分と区別し得る態様にお 位置,大きさ,範囲は,本件意匠の実線部分の位置,大きさ,範囲とほぼ同一である。 そして,被告製品は,本件意匠と類似の被告意匠の全部を,その特徴を破壊することなく,アッパー部分と区別し得る態様において包含しているので,被告製品の意匠を実施すると,必然的に本件意匠と類似する意匠を実施する関係にある。 したがって,被告製品を製造販売する行為は,本件意匠と類似の意匠を利用する行為に当たり,本件意匠権の侵害行為を構成する。 (被告らの主張)ア本件意匠の構成態様(ア) 基本的構成態様a 靴底から地面に接するアウターソールの上部に接合するミッドソールであり,b 当該ミッドソールは,つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたって,各層が当該靴底の周縁に沿って連続的に延在する3層(A層ないしC層)が順次積層して形成されており,c つま先部から踵部の長さにおいて,つま先部から正面図及び背面図の5分の2の箇所までの領域にわたって当該靴底の周縁に沿って連続的に延在する2層(B層,C層)構造により形成されており,当該2層がつま先部から10分の3の箇所からつま先部に向かって円弧を描いて上方に立ち上がって形成され,d 左側面図において,アウターソールの底面が視認できる状態で形成されたアウターソール部の上部にアウターソールの周縁に沿って積層する2層(B層,C層)が形成され,e 右側面図において,アウターソールの底面が視認できる状態で形成されたアウターソールの上部に積層する3層(A層ないしC層)が形成され,fB層はA層及びアウターソール周縁上部において断面が中心角15度の円 弧状となるように膨出する形で形成され,gC層はミッドソール周縁部においてB層の上部に積層され,B層よりも fB層はA層及びアウターソール周縁上部において断面が中心角15度の円 弧状となるように膨出する形で形成され,gC層はミッドソール周縁部においてB層の上部に積層され,B層よりも断面が中心角45度の円弧状となるように膨出する形で形成され,hB層及びC層はつま先部の立ち上がりにより平面図においてつま先部の周縁部で視認できる形で形成され,iA層ないしC層は底面図において視認できない形で形成されている。 (イ) 具体的構成態様aA層は,(a) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってアウターソールの上部に接し,(b) 正面図及び背面図において,アウターソールに接する面が踵部付近から踵部にかけて上部に向けて匙状に曲がっており,(c) 踵部から5分の3の箇所から踵部にかけてB層と接する部分が踵部に向かうにつれ,上部に膨らみを持つ弧面状に高さが増すように形成され,(d) 右側面図において側面の両辺がなだらかに膨らんだ台形状であり,アウターソールと接する面がなだらかに凹んだ形として形成され,(e) 平面図及び底面図からは見えない形で形成されており,bB層は,(a) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってA層の上部に積層して形成され,(b) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってアウターソールの周縁部上部に接して形成され,(c) つま先部から踵部の長さにおいてつま先部から正面図及び背面図の10分の3の箇所からつま先部に向かって円弧を描いて上方に立ち上がって形成され,(d) 左側面図において,つま先部の立ち上がりによりアウターソールの底面が 長さにおいてつま先部から正面図及び背面図の10分の3の箇所からつま先部に向かって円弧を描いて上方に立ち上がって形成され,(d) 左側面図において,つま先部の立ち上がりによりアウターソールの底面が立ち上がった箇所(つま先部から踵部の長さにおいて,正面図及び背面図のつま先部 から10分の3の箇所)からつま先部までの領域においてアウターソールの底面が視認できる形状で形成されたアウターソールの上部に形成され,(e) 平面図において視認できる形状で形成され,(f)底面図において視認できない形状で形成されており,cC層は,(a) ミッドソール周縁部においてB層の上部に積層され,(b) つま先部から踵部の長さにおいてつま先部から正面図及び背面図の10分の3の箇所からB層と積層してつま先部に向かって円弧を描いて上方に立ち上がって形成され,(c) 左側面図において,つま先部分の立ち上がりによりアウターソールの底面が立ち上がった箇所(つま先部から踵部の長さにおいて,正面図及び背面図のつま先部から10分の3の箇所)からつま先部までの領域においてアウターソールの底面が視認できる形状で形成されたアウターソールの上部に形成されたB層の上部に積層して形成され,(d) 平面図において視認できる形状で形成され,(e) 底面図において視認できない形状で形成されている。 イ被告製品の靴底の構成態様本件意匠と対比すべき被告製品の靴底の部分には,以下のとおりD層を加えるべきであり,これによると,その構成態様は以下のとおりである(以下,D層を加えた意匠を「被告特定意匠」という。)。 (ア) 基本的構成態様a 靴底から地面に接するアウターソールの上部に接合するミッドソールであり,b 当該ミッドソールは,つま先部から踵部の長さに 加えた意匠を「被告特定意匠」という。)。 (ア) 基本的構成態様a 靴底から地面に接するアウターソールの上部に接合するミッドソールであり,b 当該ミッドソールは,つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたって,各層が当該靴底の周縁に沿って連続的に延在する4層(A層ないしD層)が順次積層して形成されており, c つま先部から踵部の長さにおいて,つま先部から正面図及び背面図の5分の2の箇所まで当該靴底の周縁に沿って連続的に延在する3層(B層ないしD層)構造により形成されており,当該3層がつま先部付近でわずかに上方に湾曲して形成されており,d つま先部から踵部において当該靴底周縁部に沿って連続的に延在し,B層の上部に積層するC層は,当該靴底の周縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して顕著に突出しており,e つま先部から踵部においてアウターソールの周縁部に沿って連続的に延在し当該靴底の周縁全体にわたって略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して突出しているC層の上部に密着して積層するD層は,C層から周縁部外側にやや膨出して形成され,f 当該靴底の底面図において,C層は当該靴底の周縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して突出している部分には,当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,g 当該靴底の平面図において,D層はC層の上部にあって当該靴底の周縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して突出しており,当該突出部分には当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成さ 縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して突出しており,当該突出部分には当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,h 左側面図において,アウターソールの底面が僅かに視認できる状態で形成されたアウターソール部の上部にアウターソールの周縁に沿って積層する3層(B層,C層,D層)が形成され,C層,D層はB層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して顕著に突出しており,i 右側面部において,アウターソールの底面が僅かに視認できる状態で形成された踵部のアウターソールの上部に積層する4層(A層ないしD層)が形成され,C層,D層はB層に対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の段差を形成して顕著 に突出して形成されている。 (イ) 具体的構成態様aA層は,(a) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってアウターソールの上部に接し,(b) 正面図及び背面図において,アウターソールに接する面が踵部付近から踵部にかけて上部に向けて緩やかに湾曲しており,(c) 踵部から5分の3の箇所から踵部に向けてB層と接する部分が略直線状を形成し,アウターソールの上面との間で,略三角形を形成し,(d) 右側面図において側面の両辺がなだらかに膨らんだ台形状であり,アウターソールと接する面がなだらかに凹んだ形として形成され,(e) C層及びD層がB層に対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の段差を形成して顕著に突出していることから,平面図及び底面図からは見えない形で形成されており,bB層は,(a) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域に して顕著に突出していることから,平面図及び底面図からは見えない形で形成されており,bB層は,(a) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってA層の上部に積層して形成され,A層に対して外側に膨出した形で形成されており,(b) つま先部から踵部の長さにおいて踵部から正面図及び背面図の5分の3の箇所までの領域にわたってアウターソールの周縁部上部に接して形成され,(c) つま先部付近で僅かに上方に湾曲して形成され,(d) 当該靴底の左側面図において,つま先部の湾曲により,アウターソールの底面が僅かに視認できる形状で形成されたアウターソールの上部に形成され,(e) C層及びD層がB層に対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の段差を形成して顕著に突出していることから,平面図及び底面図からは見えない形で形成され,(f) B層の側面全体に略四角形状又は略三角形状の多数の図柄が当該靴底の周 縁全体にわたってランダムに配置されている形で形成されている。 cC層は,(a) 当該靴底周縁部においてB層の上部に積層され,当該靴底の周縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けてB層の周縁に約3ミリメートルの略逆L字型の段差を形成して突出し,(b) つま先部付近で僅かに上方に湾曲して形成され,(c) 当該靴底の左側面図において,B層の上部に積層され,B層に対して略直角に外側に向けてB層の周縁に約3ミリメートルの略逆L 字型の段差を形成して突出し,(d) 当該靴底の周縁全体にわたって,C層の側面は,当該側面の上部の径が当該側面の下部の径と略同一となる平面の形状を形成しており,当該側面の厚みは当該靴底の周縁全体にわたってほぼ均一に形成されており,(e) 当 周縁全体にわたって,C層の側面は,当該側面の上部の径が当該側面の下部の径と略同一となる平面の形状を形成しており,当該側面の厚みは当該靴底の周縁全体にわたってほぼ均一に形成されており,(e) 当該靴底の底面図において,C層は当該靴底の周縁全体にわたって,B層に対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の3ミリメートルの段差を形成して突出している部分には,当該靴底の周縁全体にわたって,約3ミリメートルから4ミリメートルの間隔を空けて,各々が靴底の周縁に沿って,各々が約5ミリメートルの長さ寸法,約1ミリメートルの幅寸法を有する多数の縫い目が模様をなすように順次に配列されて形成されており,(f) C層の側面全体に略四角形状又は略三角形状の多数の図柄が当該靴底の周縁全体にわたってランダムに配置されている形で形成され,(g) 当該靴底の平面図では,D層に覆われて視認できない形状で形成されている。 dD層は,(a) 当該靴底周縁部においてC層の上部に積層され,当該靴底の周縁全体にわたって,C層に対して約1ミリメートル膨出した形でC層を覆っており,(b) つま先部付近で僅かに上方に湾曲して形成され,(c) 当該靴底の平面図において,D層は当該靴底の周縁全体にわたって,B層に 対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の3ミリメートルの段差を形成して突出している部分に,当該靴底の周縁全体にわたって,約3ミリメートルから4ミリメートルの間隔を空けて,各々が靴底の周縁に沿って,各々が約5ミリメートルの長さ寸法,約1ミリメートルの幅寸法を有する多数の縫い目が模様をなすように順次に配列されて形成されており,(d) 当該靴底の平面図では,当該靴底の周縁部の最上層部として視認され,D層によりB層,C層は視認できない形状で形成されている。 る多数の縫い目が模様をなすように順次に配列されて形成されており,(d) 当該靴底の平面図では,当該靴底の周縁部の最上層部として視認され,D層によりB層,C層は視認できない形状で形成されている。 イ本件意匠の要部本件意匠の要部は,本件意匠の上記各構成態様の組合せによるもののみである。 ウ本件意匠と被告特定意匠との対比本件意匠と被告特定意匠は,大まかにいっても,(ア) 本件意匠は踵部付近が3層構造であるのに対し,被告特定意匠は4層構造であり,本件意匠はつま先部から中央部にかけて2層構造であるのに対し,被告特定意匠は3層構造である点,(イ) 本件意匠はつま先部が大きく立ち上がっており(いわば反り上がった状態であり),B層,C層もつま先部に向けて大きく立ち上がっている点に大きな特徴があるが,被告特定意匠はアウターソール部分が地面に対してほぼ並行であり,僅かに靴先が上方に湾曲しているのみであり,本件意匠では平面図において上部からB層,C層が見えるのに対し,被告意匠ではD層しか視認できない点,(ウ) 本件意匠は当該靴底の周縁部にB層,C層を積層して形成されているが,B層とC層は連続しつつ各自膨出しており,なだらかな段差が形成されているのに対し,被告特定意匠はC層がB層に対して略直角に外側に向けて略逆L 字型の段差を形成して看者がそれをつまんで持ち上げることができるほど顕著に突出している点,(エ) 本件意匠については靴底部分に縫い目による模様は形成されていないが,被告特定意匠については底面図においてC層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,平面図においてD 層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成されてい ,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,平面図においてD 層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成されている点,(オ) 本件意匠についてはB層,C層に模様が付されていないが,被告特定意匠にはB層及びC層に模様が付されている点,等で差異が存在しており,靴底という点に着目して観察した場合にはいずれも需要者に対し,視覚を通じて異なる美感を起こさせるものである。 エ本件意匠と被告意匠の対比仮にD層を除外した被告意匠との対比を検討しても,本件意匠と被告意匠には,(ア) 本件意匠はつま先部が大きく立ち上がっており(いわば反り上がった状態であり),B層,C層もつま先部に向けて大きく立ち上がっている点に大きな特徴があるが,被告意匠はアウターソール部分が地面に対してほぼ並行であり,僅かに靴先が上方に湾曲しているのみであり,本件意匠では平面図において上部からB層,C層が見えるのに対し,被告意匠ではC層しか視認できない点,(イ) 本件意匠は当該靴底の周縁部にB層,C層を積層して形成されているが,B層とC層は連続しつつ各自膨出しており,なだらかな段差が形成されているのに対し,被告意匠はC層がB層に対して略直角に外側に向けて略逆L字型の段差を形成して看者がそれをつまんで持ち上げることができるほど顕著に突出している点,(ウ) 本件意匠については靴底部分に縫い目による模様は形成されていないが,被告意匠については底面図においてC層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,平面図においてC層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の穴からなる模様が形成されている点,(エ) 本件意匠につ 隔で順次配列された多数の縫い目からなる模様が形成され,平面図においてC層に当該靴底の周縁全体にわたって,所定の間隔で順次配列された多数の穴からなる模様が形成されている点,(エ) 本件意匠についてはB層,C層に模様が付されていないが,被告意匠にはB層及びC層に模様が付されている点,等大きな相違が存在しており,靴底という点に着目して観察した場合にはいずれも需要者に対し,視覚を通じて異なる美感を起こさせるものである。 オしたがって,被告製品の靴底の意匠である被告特定意匠ないし被告意匠は本件意匠に類似せず,被告製品の製造販売行為は本件意匠権の侵害とはならない。 (2) 本件意匠権に基づき権利行使することが許されるか。 (被告らの主張)本件意匠は,意匠登録出願前に頒布された刊行物に記載された意匠(乙14,乙15)と類似するものであり,又は,同一物品である靴底の公知意匠(乙8ないし乙15)に基づき,その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が意匠登録前に容易に意匠の創作をすることができたものであるから,意匠法3条1項3号又は2項に違反するものであり,同法41条,特許法104条の3第1項により,原告は,本件意匠権に基づき権利を行使することは許されない。 (原告の主張)公知意匠である欧州共同体商標意匠庁発行に係る意匠公報(乙14,乙15)に掲載された意匠は,本件意匠の要部に係る①ないし④の構成態様(上記(1)(原告の主張)ウ)を具備するものではないし,いずれも靴底のミッドソールの形状において,A層ないしC層に該当する層が全て平坦であることから,正面視において踵部が地面から垂直であるのに対し,本件意匠はA層ないしC層の各側面にそれぞれ凹凸をもたせることで,正面視において踵部が「く」の字型を形成しているという差異が が全て平坦であることから,正面視において踵部が地面から垂直であるのに対し,本件意匠はA層ないしC層の各側面にそれぞれ凹凸をもたせることで,正面視において踵部が「く」の字型を形成しているという差異がある。 この差異点は,靴の全体形状のイメージに与える影響が大きく,需要者に視覚を通じて異なる美感を起こさせるものであるから,上記公知意匠は,本件意匠に類似しない。 また,本件意匠の要部に係る①ないし④の構成態様を全て開示している公知意匠は存在しない以上,上記欧州共同体商標意匠庁発行に係る意匠公報に基づいて本件意匠が容易に創作できたなどという余地はない。 したがって,本件意匠に意匠法3条1項3号又は同条2項の無効事由が存しないことは明らかである。 (3) 損害額(原告の主張)ア被告製品の販売数被告らは,平成27年初旬の発売開始以降,現在までに,被告製品を少なくとも1万足以上販売している。 原告は,これを上回る製造能力を有しており,被告らによる被告製品の販売個数が,原告が販売可能であった原告製品の個数を超えるものではないことは明らかである。 イ原告製品の単位数量当たりの利益の額本件意匠に係る靴底を用いた原告製品4種類の販売価格の平均価格は9125円(税別)である。 原告製品「KAYAK」 8900円(税別)原告製品「VIVIA」 8900円(税別)原告製品「TENNIS」 8900円(税別)原告製品「MINIE」 9800円(税別)各原告製品の販売価格から,製造原価等の変動経費を差し引いた,原告製品の単位数量当たりの利益率は,販売価格の6割を下ることはない。 したがって,原告製品の単位当たりの利益額は,9125円×0.6=5475円となる。 ウ意匠法39条1項に基づく損害額被告 製品の単位数量当たりの利益率は,販売価格の6割を下ることはない。 したがって,原告製品の単位当たりの利益額は,9125円×0.6=5475円となる。 ウ意匠法39条1項に基づく損害額被告製品の販売数量及び原告製品の単位数量当たりの利益額は前記のとおりである。 したがって,意匠法39条1項の適用による本件における原告の損害額は1万足×5475円=5475万円である。 エ弁護士費用被告らの侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,被告が受け た利益の額の1割に当たる547万5000円を下回らない。 オまとめ本件訴訟においては,上記ウ,エの合計6022万5000円の内金1000万円及びこれに対する不法行為の日の後の日である平成27年9月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(被告意匠は本件意匠と類似するか)について(1) 本件意匠の構成証拠(甲1,甲2,甲4の1,2)及び弁論の全趣旨によれば,部分意匠である本件意匠の構成態様は次のとおりと認められる。 ア基本的構成態様(ア) ミッドソール(中底)とアウターソール(外底)が一体化した靴底の形態である。 (イ) ミッドソールは,踵部から土踏まず部までが3層(AないしC層)構造により形成され,土踏まず部からつま先部までが2層(B層,C層)構造により形成されている。 (ウ) A層は,土踏まず部から踵部にかけてアウターソールの上面に接しており,土踏まず部から踵部に向かうにつれ,弧面状に高さが増すように形成されている。 (エ) B層は,踵部から土踏まず部においてはA層の上面に接し,土踏まず部からつま先部においてはアウターソ に接しており,土踏まず部から踵部に向かうにつれ,弧面状に高さが増すように形成されている。 (エ) B層は,踵部から土踏まず部においてはA層の上面に接し,土踏まず部からつま先部においてはアウターソールの上面に接しており,つま先部からA層と接する点に向かって徐々に厚みを増し,A層と接する点から土踏まず部後方にかけて徐々に薄くなり,土踏まず部後方から踵部にかけては均一の厚みを有している。 (オ) 左側面図において,アウターソールの底面が視認できる状態で形成されたアウターソール部の上部にアウターソールの周縁に沿って積層する2層(B層,C 層)が形成され,(カ) C層は,B層の上面に接しており,踵部からつま先部までほぼ均一の厚みの層を形成している。 イ具体的構成態様(ア) 正面図及び背面図において,踵部は,A層ないしC層とも側面が膨らんだ形状を有し,正面図においては踵部のA層右上端部とB層右下端部,B層右上端部とC層右下端部がそれぞれ連続し,背面図においては踵部のA層左上端部とB層左下端部,B層左上端部とC層左下端部がそれぞれ連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成している。 (イ) 右側面図においては,A層ないしC層とも側面が膨らんだ形状を有し,A層左右上端部とB層左右下端部,B層左右上端部とC層左右下端部はそれぞれ連続し,その境目は凹部分とした略「く」の字型を形成している。 (ウ) 左側面図においては,つま先部は,B層及びC層とも側面が膨らんだ形状を有し,B層左右上端部とC層左右下端部が連続し,その境目は,直線に近い略「く」の字型を形成している。 (エ) 踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.43:1である。 (オ) 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2:1である。 (カ) B層の 近い略「く」の字型を形成している。 (エ) 踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.43:1である。 (オ) 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2:1である。 (カ) B層の,踵部の厚みとA層接地点の厚みとつま先部の厚みの比率は約1.75:2:1である。 (2) 本件意匠の要部ア意匠の類否を判断するに当たっては,意匠を全体として観察することを要するが,その際には,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらに公知意匠にはない新規な創作部分の存否その他の事情を参酌して,取引者・需要者の最も注意を惹きやすい部分を意匠の要部として把握し,登録意匠と相手方意匠が,意匠の要部において構成態様を共通にしているか否かを観察することが必要である。 イそこで,まず,本件意匠の要部がどこにあるのかについて検討すべきところ, 本件意匠に係る物品は靴底であって靴の一部を構成するものであるが,後掲の各証拠によれば,つま先部に比して踵部に厚みのある靴底において,①靴底の周に溝等を刻むことにより複数の層を重ね合わせたように見せた靴底(乙8から乙13),②複数の層を重ね合わせ,うち一枚の層の厚みを変化させることにより踵部に厚みを持たせた形状とした靴底(乙13),③正面視において,ミッドソールが3層に分かれ,踵部から土踏まず部までをA層からC層の3層構造,土踏まず部からつま先部までをA層及びC層の2層構造とする構成の靴底(乙13),④正面視において,ミッドソールが3層に分かれ,踵部から土踏まず部までをA層からC層の3層構造,土踏まず部からつま先部までをB層及びC層の2層構造とする構成の靴底(乙14)が公知であることが認められ,これらからすると,踵部に厚みのある靴底において,複数の層を重ね合わせ,あるいは重ね合わせたように見せた からつま先部までをB層及びC層の2層構造とする構成の靴底(乙14)が公知であることが認められ,これらからすると,踵部に厚みのある靴底において,複数の層を重ね合わせ,あるいは重ね合わせたように見せた靴底はありふれたものであり,土踏まず部付近を境として,ソールの層数を変化させる構成自体も,そのような靴底のなかで,厚みを変化させる一つの手法ということができ,したがって,本件意匠のうち基本的構成態様そのものは,新規な創作部分ではないということができる。 そして,そもそも靴底及びこれと一体となった靴は,その用途目的に応じて基本的な形態が定まっているものであることからすると,需要者は,まず,その購入目的に沿った基本的な形態の靴の類型を選択し,さらに,その中で具体的形態の差異に注目するものと考えられるから,このような観点のもと,上記公知意匠を踏まえて本件意匠についてみると,本件意匠については,①靴底を構成する3層のソールの側面がいずれも膨らむような形状を有していて,②正面図において,A層右上端部とB層右下端部,B層の右上端部とC層の右下端部がそれぞれ連続し,背面図においては,踵部のA層左上端部とB層左下端部,B層左上端部とC層左下端部がそれぞれ連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成しており,③右側面図において,A層左右上端部とB層左右下端部,B層左右上端部とC層左右下端部はそれぞれ連続し,その境目は凹部分とした略「く」の字型を形成しており,④左 側面図において,B層左右上端部とC層の左右下端部が連続し,その境目は,直線に近い略「く」の字型を形成しているものであることに特徴がみられ,この具体的な形状に需要者の注意が惹かれるものと認められる。そして,本件意匠は,これら四つの要素が相俟って,需要者に対し,3層のソールの1層ごと く」の字型を形成しているものであることに特徴がみられ,この具体的な形状に需要者の注意が惹かれるものと認められる。そして,本件意匠は,これら四つの要素が相俟って,需要者に対し,3層のソールの1層ごとが,革素材の部材を実際に重ね合わせたように見せるとともに,全体としての一体感を保ち,全体に丸みを帯びた柔らかな美感を起こさせているということができる。 したがって,本件意匠の要部は,前記①を基本として,②ないし④の特徴が出るようA層ないしC層を重ね合わせた点にあるというべきである。 ウなお原告は,本件意匠において,A層が上部から底部にかけてなだらかな丸みを帯びた面からなるやや末広がりの形状とした構成も要部であると主張するが,その形状は右側面図から十分は看取し得ず,またその形状だけでは靴底の形状として際立った特徴というには足りないから,これが,需要者の注意が惹かれる特徴的な構成とまでは認められず,前記のように,そのような形状のA層とそうでないB層との関係性において,その接合する形状が略「く」の字型を形成する構成とすることによって,革素材の部材を実際に重ね合わせたように見せる特徴として評価されるべきであるから,この点だけを取り出して要部ということはできない。 (3) 被告意匠の構成証拠(乙1,乙2,乙4)及び弁論の全趣旨によれば,被告意匠の構成態様は,次のとおりと認められる(被告は,「靴底」を物品とする本件意匠と対比すべき対象となる被告製品の部分としては,被告が特定した被告意匠にさらにD層を含んだ被告特定意匠を用いるべき旨主張しているが,証拠(甲14)によれば,D層なるものは,被告製品のアッパー部分と靴底部分の接着時に,その接着部分を装飾するための部品にすぎず,見た目にも機能的にも靴底とはいえない部材であるから,靴底を物品とする本件意匠と 4)によれば,D層なるものは,被告製品のアッパー部分と靴底部分の接着時に,その接着部分を装飾するための部品にすぎず,見た目にも機能的にも靴底とはいえない部材であるから,靴底を物品とする本件意匠と対比すべきは,被告製品の靴底のうちD層を除いた部分であって,被告意匠によるのが相当である。)。 ア基本的構成態様 (ア) ミッドソール(中底)とアウターソール(外底)が一体化した靴底の形態である。 (イ) ミッドソールは,踵部から土踏まず部までが3層(AないしC層)構造により形成され,土踏まず部からつま先部までが2層(B層,C層)構造により形成されている。 (ウ) A層は,土踏まず部から踵部にかけてアウターソールの上面に接しており,土踏まず部から踵部に向かうにつれ,弧面状に高さが増すように形成されている。 (エ) B層は,踵部から土踏まず部においてはA層の上面に接し,土踏まず部からつま先部においてはアウターソールの上面に接しており,つま先部からA層と接する点に向かって徐々に厚みを増し,A層と接する点から土踏まず部後方にかけて徐々に薄くなり,土踏まず部後方から踵部にかけてはほぼ均一の厚みを有している。 (オ) 左側面図において,アウターソールの底面が視認できる状態で形成されたアウターソール部の上部にアウターソールの周縁に沿って積層する2層(B層,C層)が形成され,(カ) C層は,B層の上面に接しており,踵部からつま先部までほぼ均一の厚みの層を形成している。 イ具体的構成態様(ア) 正面図及び背面図において,踵部は,A層ないしC層とも側面が膨らんだ形状を有し(ただし,C層のそれはごく僅かである。),正面図においてはA層右上端部とB層右下端部は連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成し,背面図においては ないしC層とも側面が膨らんだ形状を有し(ただし,C層のそれはごく僅かである。),正面図においてはA層右上端部とB層右下端部は連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成し,背面図においてはA層左上端部とB層左下端部は連続し,その境目を凹部とした略「く」の字型を形成しているが,B層とC層の境目は,C層がB層に対して外側に突出し,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成している。 (イ) 右側面図においては,A層ないしC層とも側面が膨らんだ形状を有し(ただし,C層のそれはごく僅かである。),A層左右上端部とB層左右下端部,B層左右上端部とC層左右下端部はそれぞれ連続しており,A層とB層の境目は凹部分とな り,略「く」の字型を形成しているが,C層はB層に対して外側に突出し,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成している。 (ウ) 左側面図において,つま先部は,B層及びC層とも側面が膨らんだ形状を有し(ただし,C層のそれはごく僅かである。),C層がB層に対して外側に突出し,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成している。 (エ) 踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率は約1.36:1である。 (オ) 踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率は約2.38:1である。 (カ) B層の,踵部の厚みとA層接地点の厚みとつま先部の厚みの比率は約3.5:4:1である。 (4) 本件意匠と被告意匠との対比ア共通点本件意匠と被告意匠とは,基本的構成態様において共通している。 イ差異点本件意匠と被告意匠との具体的構成態様における差異点は,次の点である。 (ア) 具体的構成態様(ア)(正面図及び背面図)について本件意匠は,正面図においてミッドソールのA ている。 イ差異点本件意匠と被告意匠との具体的構成態様における差異点は,次の点である。 (ア) 具体的構成態様(ア)(正面図及び背面図)について本件意匠は,正面図においてミッドソールのA層右上端部とB層右下端部,B層右上端部とC層右下端部がそれぞれ連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成し,背面図においてミッドソールのA層左上端部とB層左下端部,B層左上端部とC層左下端部がそれぞれ連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成しているのに対し,被告意匠は,正面図においてミッドソールのA層右上端部とB層右下端部が連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成し,背面図においてA層左上端部とB層左下端部が連続し,その境目を凹部分とした略「く」の字型を形成しているが,B層とC層の境目は,C層がB層に対して突出し,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成する構成となっている点。 (イ) 具体的構成態様(イ)(右側面図)について 本件意匠は,A層左右上端部とB層左右下端部,B層左右上端部とC層左右下端部はそれぞれ連続しており,それぞれの境目は凹部分となり,略「く」の字型を形成しているのに対し,被告意匠は,A層左右上端部とB層左右下端部,B層左右上端部とC層左右下端部はそれぞれ連続しており,A層とB層の境目は凹部分となり,略「く」の字型を形成しているが,B層とC層は,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成する構成なっている点。 (ウ) 具体的構成態様(ウ)(左側面図)について本件意匠は,ミッドソールのB層左右上端部とC層左右下端部が連続しており,その境目は,直線に近い略「く」の字型を形成しているのに対し,被告意匠は,ミッドソールのB層とC層の境目は,C 図)について本件意匠は,ミッドソールのB層左右上端部とC層左右下端部が連続しており,その境目は,直線に近い略「く」の字型を形成しているのに対し,被告意匠は,ミッドソールのB層とC層の境目は,C層がB層に対して突出し,B層の外側面とC層の下側面で接する境目で略逆L字型の直角を形成する構成となっている点。 (エ) 具体的構成態様(エ)(踵部におけるA層の厚みとB層の厚みの比率)について本件意匠は約1.43:1であるのに対し,被告意匠は約1.36:1である。 (オ) 具体的構成態様(オ)(踵部におけるA層の厚みとC層の厚みの比率)について本件意匠は約2:1であるのに対し,被告意匠は約2.38:1である。 (カ) 具体的構成態様(カ)(B層の,踵部の厚みとA層接地点の厚みとつま先部の厚みの比率)について本件意匠は約1.75:2:1であるのに対し,被告意匠は約3.5:4:1である。 (5) 本件意匠と被告意匠との類似性について以上を前提に,本件意匠と被告意匠との類否について検討すると,前記認定の差異点のうち,差異点(4)イ(エ)ないし(カ)(A層ないしC層の厚みの比率の差異)は,数値により確かめられる差異であるが,部位による比率の変化の度合いが似ているので,異なる美感をもたらすほどの大きな差異とはいえず,むしろ微差というべきである。 他方,被告意匠は,正面図,背面図,右側面図及び左側面図のいずれにおいても,3層のソールのうちB層とC層の関係が,本件意匠のそれと被告意匠のそれとでは 異なり,被告意匠では,C層が下側の連続した2層からはみ出していて,その境目に略逆L字型の直角部分を形成するなど明らかに下の2層の周面とは視覚的連続性を欠いており,加えてC層の側面形状における膨らみが他の層よりも小さいことも,その視覚的印象を からはみ出していて,その境目に略逆L字型の直角部分を形成するなど明らかに下の2層の周面とは視覚的連続性を欠いており,加えてC層の側面形状における膨らみが他の層よりも小さいことも,その視覚的印象を強めているが,これらの差異は本件意匠の要部にかかわる部位におけるものである。 そして,その結果,被告意匠は,3層からなるソールのうちC層部分が他の層とは異なる存在感を持ち,それが特徴となって全体に頑丈な印象を与えるものとなっていて,3層のソール全体が一体感を保ち,丸みを帯び柔らかな美感を起こさせる本件意匠とは異なる美感を起こさせているといえる。 なお,原告は,本件意匠と被告意匠の上記差異が,被告製品がアッパーと靴底を糸で縫い付ける構造であることからもたらされたもので,設計上の微差であるように主張するが,視覚を通じて異なる美感を起こさせるものである以上,それが製造工程に由来するものであるからといって無視してよいわけではなく,設計上の微差をいう上記原告主張は失当である。 また本件意匠と被告意匠は基本的構成態様において共通しているが,基本的構成態様は公知意匠にも見られ,少なくとも本件意匠の要部に係るものではないから,需要者の注意を惹くものとはいえない。 したがって,被告意匠は,本件意匠とその要部において異なり,その結果,本件意匠と被告意匠との差異点の印象は,両者の共通点の印象を凌駕し,全体として異なる美感を起こさせるものというべきであるから,被告意匠は,本件意匠に類似するものと認めることはできない。 2 以上によれば,その余の争点につき検討するまでもなく,原告の請求には理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 く,原告の請求には理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 主文 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官田原美奈子 裁判官大川潤子 (別紙)物件目録 1 被告の販売に係る品番を「5816001267」とする靴 2 被告の販売に係る品番を「5816001271」とする靴 3 前記の1及び2に使用されている靴底と同形態の靴底を利用した靴 (別紙)被告靴底意匠の図面【正面図】 【背面図】 【平面図】 【底面図】 【右側面図】 【左側面図】 以上

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