-- 主文 本件控訴をいずれも棄却する。 当審における訴えの変更に係る被控訴人P1に対する損害賠償請求のうち,(1)別表A⑨ないし⑬記載の損失補償の支出に係る請求を棄却する。 (2)別表A⑭ないし⑳記載の損失補償の支出に係る請求に関する訴えを却下する。 控訴費用(参加により生じた費用及び当審における訴え変更後の被控訴人P1について生じた費用を含む)は,控訴人らの負担とする。 。 事実及び理由 第1当事者の求める裁判 控訴人ら(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人P1は,荒尾市に対し,6億6518万0544円及びこれに対する平成13年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)被控訴人市長は,原判決別紙(以下,単に「別紙」という。なお,略称は原則として原判決に従うほか,適宜略称する。)3金融機関目録記載の金融機関に対し,平成9年9月ころ市と上記金融機関との間でそれぞれ締結した損失補償契約に基づいて,上記金融機関に対応する別表Bの「各行に対する予定支払額合計」欄記載の各金額(ただし,当審口頭弁論終結時における予定額)について,市の公金を支出してはならない。 (4)控訴人らと被控訴人らについて生じた訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とし,被控訴人市長が被控訴人P1参加人として参加したこ,,,,とにより被控訴人市長と控訴人らとの間に生じた費用は第12審とも被控訴人市長の負担とする。 -- なお,控訴人らは,当審において,上記(2)のとおり,被控訴人P1に対する請求を拡張し,上記(3)のとおり,被控訴人市長に対する請求を減縮した。 被控訴人ら(1)本件控訴を棄却する。 (2)当審で拡張した被控訴人P1に対する請求を棄却する。 (3)控訴費用は,控訴 を拡張し,上記(3)のとおり,被控訴人市長に対する請求を減縮した。 被控訴人ら(1)本件控訴を棄却する。 (2)当審で拡張した被控訴人P1に対する請求を棄却する。 (3)控訴費用は,控訴人らの負担とする。 第2事案の概要 本件は,荒尾市の住民である控訴人らが,荒尾市の前市長である被控訴人P1に対し,同被控訴人が荒尾市長(以下,単に「市長」ということがある)。 として,官民共同出資(いわゆる第三セクター方式)により設立され「α」,の名称でテーマパークを経営していた本件会社に対する金融支援として行った,本件会社に対する補助金1億1651万9650円の支出及び本件5行と荒尾市との間で本件会社の本件5行に対する債務につきそれぞれ締結された損失補償契約に基づく本件5行に対する損失補償1億6577万4118円の支出(ただし,住民訴訟の提起日である平成13年3月13日当時の支出額)につき,市長としての裁量権の逸脱・濫用があり,補助金及び損失補償の各支出は違法な公金支出であるとして,法242条の2第1項4号(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ)に基づき,総額2億8454万37。 68円の損害賠償を求めるとともに,被控訴人市長に対し,上記と同様の理由により,法242条の2第1項1号に基づき,損失補償契約に基づく本件5行に対する損失補償の支出の差止めを求めた住民訴訟である。 原判決は,(1)控訴人らの被控訴人P1に対する損害賠償請求に係る訴えのうち,市が支出した補助金全部及び損失補償のうち平成11年10月27日以前に支出された分(本件監査請求期間外の各支出。別紙2①ないし⑦記載の各支出)に関する部分は,提訴前の住民監査請求が法242条2項本文所定の監-- 査請求期間内にされておらず,かつ,監査請求期間を経過したこと (本件監査請求期間外の各支出。別紙2①ないし⑦記載の各支出)に関する部分は,提訴前の住民監査請求が法242条2項本文所定の監-- 査請求期間内にされておらず,かつ,監査請求期間を経過したことについて正当な理由があるとは認められないから不適法であるとして却下し,(2)控訴人らの被控訴人P1に対するその余の損害賠償請求及び被控訴人市長に対する損失補償の支出差止請求については,損失補償契約に基づく,市の本件5行に対する支出の違法性が争点であるところ,①損失補償契約は,法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律3条に違反するものではない,②損失補償契約に基づく支出についても公益上の必要性が認められなければならないところ,,,平成9年9月当時本件会社の経営は破綻に瀕していたともいえる状態であり市の財政も厳しいものであったが,本件会社によるα事業は,地域振興対策の中核として,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点を形成し,雇用機会の創出と経済波及効果により地域を活性化するという重要な役割を期待されて,各関係者の協力の下,市の主導により開始したものであり,本件会社の経営状況は悪化していたとはいえ,α事業の再建ないし有効活用の可能性が全くないとは言い切れない状況にあり,経営の悪化した本件会社を主導的立場にある市が特段の支援をすることなく,いきなり破綻させれば,それまで同事業を支援・指導・協力してきた国,県,金融機関,地場企業等の信頼を失いかねず,以後の上記各者(特に国,県)からの市の他の各事業に対する支援・協力等につき悪影響が出るおそれがあり,本件会社のα事業からの円満な撤退も困難になりかねない状況であったことにかんがみれば,被控訴人P1が荒尾市議会の承認の下に,公益上の必要性があると判断して損失補償契約を締結したことには,それ あり,本件会社のα事業からの円満な撤退も困難になりかねない状況であったことにかんがみれば,被控訴人P1が荒尾市議会の承認の下に,公益上の必要性があると判断して損失補償契約を締結したことには,それなりにやむを得ない事情があったというべきであり,被控訴人P1が損失補償契約に基づき損失補償を支出したこと,被控訴人市長がこれを支出しようとしていることについて,市長としての裁量権の逸脱・濫用の違法があると認めることはできないから,控訴人らの被控訴人らに対する前記各請求は理由がないとして,いずれも棄却した。 控訴人らは,原判決を不服として控訴するとともに,住民訴訟提起後,当審-- 口頭弁論終結までの間に支出された損失補償については,差止めの利益が失われたとして,同支出分に係る被控訴人市長に対する差止請求を取り下げ,さらに,その余の差止請求についても,別表Bの「各行に対する予定支払額合計」欄記載の金額のとおり減縮し,住民訴訟提起後に支出された損失補償に係る損害賠償請求を,被控訴人P1に対する損害賠償請求に追加するとともに,本件会社の特別清算手続費用225万円に係る損害賠償請求を取り下げた。 ,,,,また控訴人らは当審において被控訴人P1に対する損害賠償請求権は同被控訴人が市議会に対するα事業の採算性等に関する報告・説明義務を怠った違法行為によっても生じたものであるとの主張を追加した。 当事者の主張(請求原因,被控訴人らの答弁及び主張,被控訴人らの本案前の主張に対する控訴人らの反論)は,次のとおり付加,訂正及び削除し,後記第3のとおり,当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実」()及び理由の第2ないし第4原判決2頁21行目から同36頁22行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判 り,当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実」()及び理由の第2ないし第4原判決2頁21行目から同36頁22行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決2頁26行目の「α」の次に「ないし「α事業」を加える。 」(2)原判決8頁9行目の「寄付」を「寄附」と,同10行目の「始めて」を「初めて」とそれぞれ改める。 (3)原判決14頁8行目の「ただし,本訴提起時(訴状8頁」を「ただ())(し,当審口頭弁論終結時」と改め,同13行目冒頭から同17行目末尾ま)でを次のとおり改める。 「本件損失補償については,平成9年9月29日の臨時市議会(以下「本件臨時会」という)における議決による債務負担行為限度額6億632。 5万円の範囲内で支出されるものであるところ,当審口頭弁論終結時までに支出済みの損失補償は5億4866万0894円であり,今後支出が予定されている損失補償は,別表B記載のとおり,本件5行に対する合計額9572万0607円である」。 -- (4)原判決15頁17行目冒頭から同21行目末尾までを削除する。 (5)原判決16頁21行目から同22行目にかけての「4億9740万2943円を支出しようとしており(ただし,本訴提起時」を「9572万0)607円(ただし,当審口頭弁論終結時における予定額)を支出しようとしており」と改める。 (6)原判決17頁7行目冒頭から同13行目末尾までを削除し,同22行目の「当該行為が」を「当該行為の」と改める。 (7)原判決24頁21行目冒頭から同25頁10行目末尾までを次のとおり改める。 「(イ)同4(5)イのうち「しかし,この点も誤りであり・・・今後の支,出はとうてい容認できない」とする点は否認ないし争い,その余は認める」。 (8 5頁10行目末尾までを次のとおり改める。 「(イ)同4(5)イのうち「しかし,この点も誤りであり・・・今後の支,出はとうてい容認できない」とする点は否認ないし争い,その余は認める」。 (8)原判決25頁13行目冒頭から同16行目末尾までを削除し,同25行目冒頭から原判決26頁1行目末尾までを次のとおり改める。 「ただし,市が当審口頭弁論終結時において,別表B記載のとおり損失補償として本件5行に対し合計9572万0607円の支払義務を負っていることは認める」。 (9)原判決34頁13行目の「53」の次に「,枝番を含む」を加える。 。 第3当審における当事者の主張 控訴人ら(1)訴えの変更についてア訴えの変更後の請求内容について(ア)荒尾市は,住民訴訟提起日(平成13年3月13日)以降,当審口頭弁論終結時までに,別紙2⑨ないし⑳の各合計欄記載(別表A⑨ないし⑳の各合計欄記載と同じ)の損失補償合計3億8288万6776。 円を支出し本件5行に支払ったので上記住民訴訟提起後の支出分以,,(-- 下「提訴後支出分」という)については,差止めの利益が失われるに。 至ったから,控訴人らは,提訴後支出分に係る被控訴人市長に対する差止請求を取り下げる。 また,被控訴人市長に対するその余の差止請求についても,別表Bの「各行に対する予定支払額合計」欄記載のとおり,請求を減縮する(上記減縮後の差止請求額は合計9572万0607円である。 。)(イ)荒尾市は提訴後支出分について損害を被ったものであるから,控訴人らは,被控訴人P1に対する損害賠償請求として,提訴後支出分相当額3億8288万6776円を追加する。 また,市が本件会社の特別清算手続費用として支出した225万円については,同手続における配当により損害が回復 人P1に対する損害賠償請求として,提訴後支出分相当額3億8288万6776円を追加する。 また,市が本件会社の特別清算手続費用として支出した225万円については,同手続における配当により損害が回復しているので,同金額については,被控訴人P1に対する損害賠償請求を取り下げる。 (ウ)よって,控訴人らの当審における訴え変更後の請求内容は,次のとおりである。 a被控訴人P1に対する損害賠償請求額6億6518万0544円(当審口頭弁論終結時において支払済みの補助金1億1651万9650円及び損失補償5億4866万0894円の合計額)及びこれに対する平成13年5月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金b被控訴人市長に対する市の公金支出差止請求額9572万0607円(ただし,当審口頭弁論終結時の予定額)イ提訴後支出分に係る損害賠償請求の被告適格について被控訴人P1の市長としての在任期間が昭和62年1月から平成15年1月までであるとしても,同被控訴人が本件5行に対する損失補償の支出を決定したのであるから,在任期間後に支払われた損失補償についても同被控訴人が賠償責任を負うべきことは当然である。 -- (2)被控訴人P1に対する損害賠償請求に係る訴えについてア監査請求期間の起算点について原審で主張したとおり,補助金及び損失補償の各支出(本件支出)はバラバラではなく,一体となって本件会社支援の基礎になっていたのであるから,監査請求期間の制限について,両者を切り離して判断することは相当ではない。したがって,本件支出のうち最新の公金支出時を監査請求期間の起算点とするべきである。また,補助金,損失補償のいずれも,現在なお負担・支出が予定されている継続中の事業であるから,そもそも「当該行為のあった日又は終わった日から 最新の公金支出時を監査請求期間の起算点とするべきである。また,補助金,損失補償のいずれも,現在なお負担・支出が予定されている継続中の事業であるから,そもそも「当該行為のあった日又は終わった日から1年」の経過などしていない。 イ監査請求及び住民訴訟の対象並びに監査請求期間の制限について(ア)控訴人らは,監査請求の段階から,荒尾市の被控訴人P1に対する損害賠償請求権の発生原因について,被控訴人P1の行為が特定の財務会計上の法規に違反することが不可欠の根拠となると主張しているのではなく,被控訴人P1がα事業の採算性等について市議会に対する報告・説明義務を怠り,抽象的な資料を提示したのみでα事業推進の方向へ市議会を誘導し,莫大な公金の支出と損失補償契約の締結に及び,荒尾,,市に巨額の損害を与えたことを最も本質的な問題として捉え荒尾市は被控訴人P1に対して損害賠償請求権を有すると主張しているのである。 したがって,本件監査請求の対象には,被控訴人P1による財務会計行為の違法のみならず,被控訴人P1が上記報告・説明義務を怠った違法行為によって,市議会がα事業に対する公金支出及び損失補償を承認し,本件支出がされたところ,市は,本件支出相当額の損害を被ったことに基づく被控訴人P1に対する損害賠償請求権を有するのに,未だその行使をしていないから,上記損害賠償請求権の行使を怠る事実も含まれているというべきであり,住民訴訟の対象にも上記怠る事実が含まれ-- るものである。 (イ)最高裁昭和62年2月20日第二小法廷判決(民集41巻1号122頁(以下「昭和62年判決」という)などの従来の最高裁判例が,)。 いわゆる「不真正怠る事実」の類型化を通じて,怠る事実にも監査請求期間の制限を及ぼす傾向が認められたのに対して,最高裁平成14年7月 以下「昭和62年判決」という)などの従来の最高裁判例が,)。 いわゆる「不真正怠る事実」の類型化を通じて,怠る事実にも監査請求期間の制限を及ぼす傾向が認められたのに対して,最高裁平成14年7月2日第三小法廷判決(民集56巻6号1049頁(以下「平成14)年判決」という)は「不真正怠る事実」の例外性を確認した上で,。 ,基点となる財務会計行為との関連性を精密化して期間制限に服する不,「真正怠る事実」となり得る行為を制限する方向性を示した判例であり,次のとおり判示する。 「怠る事実については監査請求期間の制限がないのが原則であり,上記のようにその制限が及ぶというべき場合はその例外に当たることにかんがみれば,監査委員が怠る事実の監査を遂げるためには,特定の財務,,会計上の行為の存否内容等について検討しなければならないとしても当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には,これをしなければならない関係にあった上記第二小法廷判決(昭和62年判決を指す)の場合と異なり,。 当該怠る事実を対象としてされた監査請求は,本件規定(法242条2項本文を指す)の趣旨を没却するものとはいえず,これに本件規定を。 適用すべきものではない」。 すなわち,平成14年判決は,監査委員が怠る事実の監査を遂げる上で,特定の財務会計行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても「当該行為が財務会計上の法規に違反して違法であるか否,かの判断をしなければならない関係にない場合」には「真正な怠る事,実」に該当し,法242条2項本文所定の期間制限には服しないと断じているのである。 -- このことは,本件監査請求の対象についてもそのまま妥当する。控訴人らは,監査請求の段階から,上記のとおり被控訴 該当し,法242条2項本文所定の期間制限には服しないと断じているのである。 -- このことは,本件監査請求の対象についてもそのまま妥当する。控訴人らは,監査請求の段階から,上記のとおり被控訴人P1が市議会に対する報告・説明義務を怠って,α事業推進の方向へ市議会を誘導し,莫大な公金の支出と損失補償契約の締結に及び,荒尾市に巨額の損害を与えたことを捉えて,荒尾市は被控訴人P1に対して損害賠償請求権を有すると主張しているのである。荒尾市は,被控訴人P1に対して未だ損害賠償請求権を行使していない。本件監査請求は,監査委員が特定の財務会計上の行為の存否,内容等について検討しなければならないとしても「当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をし,なければならない関係にはない場合」にまさに該当するといえるのであり「真正な怠る事実」として監査請求期間の制限に服しないこととな,る。 ウ正当な理由(法242条2項ただし書)について仮に,別紙2①ないし③記載の補助金及び同④ないし⑦記載の損失補償の各支出(本件監査請求期間外の各支出)について,法242条2項本文所定の監査請求期間を経過したものであるとしても同条項ただし書の正,「当な理由」が存するものである。 原判決は,平成9年11月1日付けの「広報あらお」に,同年9月29日の本件臨時会において可決された補助金及び損失補償の金額等が掲載され,その後,補助金及び損失補償が各年度の予算に計上され,支出されたこと,平成11年3月17日に平成11年度支出分の補助金に係る予算を予備費に組み替える一般会計予算の修正案が可決されたことが同日の新聞(夕刊)に掲載されたことなどの事実経過から,遅くとも補助金についての上記修正案が可決された平成11年3月17日ころまでには,荒尾市民は相当の注意 る一般会計予算の修正案が可決されたことが同日の新聞(夕刊)に掲載されたことなどの事実経過から,遅くとも補助金についての上記修正案が可決された平成11年3月17日ころまでには,荒尾市民は相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該支出行為を知ることができたとした。 -- しかし「広報あらお」は市民に対する市当局の広報・宣伝媒体として,発行されるものであり,性質上その内容を読んだ市民が問題点を把握できるようなものではないし「市議会便り」のような市議会での議論状況を,知らせる記載があるわけでもない。さらに,荒尾市ではインターネットにおけるホームページのような広報手段はとられていないし「市民オンブ,ズマン」のような市民有志の組織もない。αをめぐって新聞報道がされたとしても,報道内容は各新聞社の方針によって区々であり,問題点の所在を荒尾市民が認識できるほどの内容とはなっていない。 控訴人らは,被控訴人P1が市長として市議会等に対して報告・説明する義務を怠ったことなどを問題としているのであるから,α事業に関する詳しい収支計算書等が市民に対して開示され,その再建策なるものの内容がまったく具体性に欠けるもので無為無策であったことなどを市民が理解できることが必要であるから,上記広報等をもって,荒尾市民が,上記問題の所在を十分認識することができたということはできない。 したがって,損失補償契約が締結された事実及び本件支出がされた事実を知ったのみでは監査請求をするに足りる程度に財務会計行為の内,「」「容」を知ったと解すべきではない。 (3)α事業の公益性についてアα事業は,次のとおり,当初から,公益性・公共性を有するか疑わしいものであったが,遅くとも平成9年9月時点では,公共性も公益性もまったく喪失していた。 (ア) (3)α事業の公益性についてアα事業は,次のとおり,当初から,公益性・公共性を有するか疑わしいものであったが,遅くとも平成9年9月時点では,公共性も公益性もまったく喪失していた。 (ア)αは,文化・教育施設ではなかった。 a本件会社の定款の事業目的には,設立当初から文化・教育施設ないし学習施設という文言はない。被控訴人らは,取引の安全の観点から定款に記載することが要求される事項ではないと弁明するが,事業目的が何であるかを定款に明記しないでよいはずはない。 -- bα事業は,本件会社の定款第2条(目的)に「人形・建物の模型等を主体とした遊園地及び遊技場の経営」と記載されているように,まさしくレジャー産業である。荒尾市の助役であったP2は,平成11,,年12月13日の市議会においてα事業がレジャー産業であること第三セクターとは言いながら,あくまで営利を目的とする株式会社であることを断言している。 cβ(ミニチュアランドをウォーターライドボートに乗船して観覧するアトラクション)は,一周わずか15分ほどの水路の両側にアジアの文物のミニチュア模型を並べただけのものであり,これにより学習効果を期待するのは無理である。このようなミニチュア施設に莫大な公金を投入することは,費用対効果の点で無謀,無駄であり,別の方法でもアジアの文化を紹介するという学習・教育効果をあげることは十二分に可能であった。 d被控訴人らは,荒尾市内の小中学校ないし高校に対して,授業の一環としてαの体験行動を組織したり,児童・生徒がαに入場するについて補助金を交付するなど,教育・学習施設であることを現実化させるための措置を講じたこともない。 (イ)α事業は,開園後の平成9年に施設の実体が大きく変貌し,完全にレジャー施設となった以下の施設は「国際交流 を交付するなど,教育・学習施設であることを現実化させるための措置を講じたこともない。 (イ)α事業は,開園後の平成9年に施設の実体が大きく変貌し,完全にレジャー施設となった以下の施設は「国際交流・文化交流・歴史教育,を主体としたテーマパーク」であるとは常識的に考えられない。 平成7年3月,駐車場部分にバンジージャンプ施設が設置されたが,平成9年5月に閉鎖している。 γ部分は,平成8年8月,δが入ってゲームセンターと化した。20歳以上の若者層を対象に年間50万人の集客を目指し,年間売上2億5000万円が期待されていたが,実際の年間売上は1億7700万円にすぎず,平成12年10月に閉店した。本件会社の営業報告書において-- ,,。 も平成8年8月にγを一新してレジャー施設となったとされている,,,βは平成10年3月水路を埋め立ててアスファルトのコースとしP3社管理のゴーカート施設とされたが,コース両側のミニチュア模型が面白味に欠けることに変わりはないため,誘客力に欠け,平成12年9月に閉鎖された。 ,「」,γ1階に平成11年4月カラオケ・スナックP4が入店したが平成13年3月に閉店した。 (4)α事業の採算性について公金支出の対象である事業がその目的を達成するために継続性を有することは不可欠である。支出の目的が新たな事業の創出に向けられたものであると客観的に認められるためには,当該事業自体が少なくとも数十年単位で継続可能であること,それによって荒尾市民の雇用が継続され得ること,その結果,荒尾市の地域経済が浮揚するという客観的な因果関係が存することが必要である。当該事業自体が採算性を欠き,3年ないし4年間で破綻してしまう蓋然性が高い場合には,地方公共団体が目的とする「地域住民の福祉の増進」とい 済が浮揚するという客観的な因果関係が存することが必要である。当該事業自体が採算性を欠き,3年ないし4年間で破綻してしまう蓋然性が高い場合には,地方公共団体が目的とする「地域住民の福祉の増進」という行政目的を阻害してしまうのであるから,公益上の必要性も否定されるべきである。 アα開園前の収支分析について,,(ア)ε事業計画案によるとα開園初年度の入場者数は50万人とされ開園2年目以降,毎年入場者が増加していくことになっており,これを,,,踏まえ長期収支計算書では7年目までは単年度収支が赤字であるが8年目から黒字になるとされている。また,部外秘とされていた平成5年6月11日付けの財務関係資料の長期利益計画表では,売上高が年を追って順調に伸びるとされる一方,販売費一般管理費は年々減少していくとされている。 しかし,上記は,莫大な設備投資が不可欠であるテーマパークの長期-- 計画であるとはとても考えられない内容である。 (イ)α開設前にコンサルタント業者である株式会社P5が示した収支分析検討によると,年間入場者数は74万人とされているが,P3の年間入場者数144万人の半分にあたる74万人もの利用者が見込まれることの具体的な根拠は何ら示されていない。また,同じく株式会社P6が示した実施計画書にはそのような収支分析検討自体が見当たらない。 (ウ)荒尾市は,ε事業の採算性を調査するために事業化研究会を発足させたが,その調査報告書を市民に公表していない。 平成11年5月20日に公表された自治省(当時)の「第三セクターに関する指針(以下「第三セクター指針」という)では「設立に当」。 ,たっての留意事項」として,地域振興を目的とする事業等においては,コスト(出資や公的支援)に見合う効果の測定について費用対効果の分析を行 (以下「第三セクター指針」という)では「設立に当」。 ,たっての留意事項」として,地域振興を目的とする事業等においては,コスト(出資や公的支援)に見合う効果の測定について費用対効果の分析を行うことや,分析結果を議会等に事前に説明すること,当面収益が上がらない事業や事業の性格上採算性の低い事業については,公的支援が必要になることをふまえたうえで事業採択の可能性を検討しておくこと,可変性を考慮したある程度幅を持たせた事業計画案を検討し,事業計画案ごとに必要となる公的支援がどれほどのものかを明らかにしておくことなどを求めている。 上記に反し,α事業の計画書やコンサルタント業者作成の資料は市議会にまったく提出・公表されていなかった。 イα開園後の収支分析について(ア)集客に陰りが見え始めた平成6年(開園2年目)に本件会社内に専門委員会が設置され,原因の分析と対応策が検討され,入場者減少の原因として,①P3からの集客が計画どおりできていないこと,②施設の魅力度に欠けることが指摘され,対応策として,①施設の改善・強化,②P3からの輸送体制の強化,③各種イベント実施,④経費の見直しが-- あげられたが,対策実施のためには巨額の設備投資が必要であるのに,この点が検討された形跡はない。また,平成7年度の増資3億1850万円(うち,荒尾市割当分は1億6500万円)が設備投資に充てられた形跡もない。 (イ)被控訴人P1は,平成9年9月1日の本件会社取締役会で,主要2社の支援をもってα事業の再建について目処が立ったと確信し,市議会の理解を求めていきたい旨述べたが,現実には主要2社から具体的な再建計画案は提示されておらず,いくつかの企画はあったものの,設備投資額と効果の予測,また採算性についての検討もされていなかった上,コンサルタント業 いきたい旨述べたが,現実には主要2社から具体的な再建計画案は提示されておらず,いくつかの企画はあったものの,設備投資額と効果の予測,また採算性についての検討もされていなかった上,コンサルタント業者にこの点の調査検討を依頼してもいないのであり,客観的には,再建可能性はまったくなかった。荒尾市が平成11年8月に行ったα事業の経営分析の結論では「総合的に見た場合,事業継続,は困難である」とされており,平成9年9月の時点で経営分析をしたとしても同じ結論であったと思われる。 (ウ)P7大学名誉教授P8の鑑定意見書においても,α事業が当初から赤字構造の事業であり,すでに3年目にして経営が絶望的状態になっており,平成9年度の損失補償はすべきでなかったと指摘しているし,本件会社の特別清算手続で清算人になった弁護士P9の裁判所に対する報告書にも「平成5年のオープン時には,すでに景気は後退側面にあり,又,テーマパークの企画も集客力に乏しいものとなっており,見込んだとおりの利益は上がらず,営利性において十分な状況ではなかった。このことは,当時企画された他の相当数のテーマパークでも似たり寄ったりの状況であり,その後,ほとんどの同種企業が廃業となっている。何度も訪れたいと思わせるまでの魅力的施設にすることは極めて困難であり,不可能であった」と記載されている。 。 (エ)上記意見等は,本件会社を設立する時点において,十分に予見し得-- たことであり,遅くとも平成9年9月時点では,α事業に採算性がないことが確定的であったことを意味するものである。 (5)被控訴人P1の市長としての裁量権の逸脱・濫用についてア「最少経費で最大効果」原則についての裁量権の逸脱について「,,(ア)法2条14項は地方公共団体はその事務を処理するに当っては住 被控訴人P1の市長としての裁量権の逸脱・濫用についてア「最少経費で最大効果」原則についての裁量権の逸脱について「,,(ア)法2条14項は地方公共団体はその事務を処理するに当っては住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定しているところ,上記「最少経費。 で最大効果」原則を予算編成の立場から規定した地方財政法3条1項は「地方公共団体は,法令の定めるところに従い,且つ,合理的な基準によりその経費を算定し,これを予算に計上しなければならない」と規。 定し,同条2項は「地方公共団体は,あらゆる資料に基いて正確にその財源を補そくし,且つ,経済の現実に即応してその収入を算定し,これを予算に計上しなければならない」と規定している。また「最少経。 ,費で最大効果」原則を予算執行の立場から規定した同法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない」と規定している。 。 荒尾市が第一に優先して考えるべきことは荒尾市民の生活である。地方公共団体の経費も,市民にとって最大の効果を生むように支出しなければならないのは当然である。国や県,また金融機関・地場産業の利益は二の次とすべきである。 (イ)荒尾市は,小学校,市民病院等の公共施設が老朽化して建替えが急務とされているのを始め,活性化のためにやるべきことが目白押しであり,α事業を始めるべきでなかったことは明らかであるが,遅くともα事業に採算性がないことが明らかになった平成9年9月時点で,速やかに撤退すべきであった。無用な本件支出によって上記公共施設すべてに支障が生じており,住民にとって最大の効果が生じているとは到底言う-- ことができない。 当初の目的を達成すること で,速やかに撤退すべきであった。無用な本件支出によって上記公共施設すべてに支障が生じており,住民にとって最大の効果が生じているとは到底言う-- ことができない。 当初の目的を達成することが客観的に不可能だと判明した時点で事業を直ちに中止すべきことは市長の当然の責務である。原判決のように,「本件会社の経営が破綻に瀕していたともいえる状態」において,損失補償契約を締結することについて「それなりにやむを得ない事情」があったと認めることは許されない。 イ市議会の承認による被控訴人P1の免責の有無について前記のとおり,被控訴人P1の市長としての市議会に対するα事業の採算性等に関する情報提供ないし状況説明は,明らかに不足していたし,真に必要不可欠な資料が市議会に提出されていなかったから,市議会はチェック機能を効果的に果たすことができないままに,α事業に対するすべての支出を可決し,同事業の開始及び継続を是認していったのである。 このように被控訴人P1の市長としての市議会への報告・説明義務違反はそれ自体が違法行為に該当するものであり,被控訴人P1が報告・説明義務を怠ったままでされた本件支出に対する市議会の承認は,被控訴人P1を免責するものではない。 ウ被控訴人P1の個人責任について(ア)市議会に対する報告・説明義務を怠った被控訴人P1は,その違法行為に基づき,荒尾市に対して損害を賠償すべき義務が存する。その違法行為によって市議会の議決を得たことに続くα事業に対する公金支出及び損失補償契約の締結は,違法行為に基づく執行行為にすぎない。 (イ)被控訴人P1は,平成9年9月時点でα事業が公共性も公益性も有しないものになっていることを知悉しながら,市議会及び市民に対し,その事実を秘し,公益性のある事業であると強弁しつつ,強引に損失補償契約 被控訴人P1は,平成9年9月時点でα事業が公共性も公益性も有しないものになっていることを知悉しながら,市議会及び市民に対し,その事実を秘し,公益性のある事業であると強弁しつつ,強引に損失補償契約を締結するなどして公金を支出していったのであり,その責任は重大であり,本件支出には,一見明白な違法性が存する。 -- (ウ)被控訴人P1は,市民生活を犠牲にしてまでも,ζやP3社等のP10グループ企業の利益を図る目的で,公共性も公益性も認められないα事業の継続に固執して強引に進めてきたものである。このような公益性・公共性のない事業への公金の支出は明らかに違法である。 ,,,(エ)α事業の再建策について平成9年に荒尾市は金融支援をするが実際の経営からは手を引く格好にして,主要2社のうち,P3社がβを担当し,P11がγと駐車場を担当すると決められたものの,結局,主要2社からは具体的な再建策は提示されなかった。このような民間企業に対する再建の丸投げが市長の裁量権の範囲内にある合理的な公金投入であるということはできない。 (6)上記(3)ないし(5)の諸点は,次のとおりの経過や本件会社取締役会における議論の状況等に照らしても明らかであった。 アαが開園するまで九州η構想は「国際交流・文化交流・歴史教育などを目的とするレジ,ャー文化,教育施設を主体とするテーマパーク」構想であり,α事業は,九州η構想の一環として位置づけられた。 一方,ε構想は,αを九州η構想及び既存のP3という2つの大プロジェクトと補完・協調関係にあるものとして位置づける構想であるが,同構想は,平成4年に九州η構想が実現の見込みなしとして中止されたことから大きく変貌せざるを得なかった。その時点で,α事業構想も白紙に戻すべきであった。 イα開園後(ア)開園 る構想であるが,同構想は,平成4年に九州η構想が実現の見込みなしとして中止されたことから大きく変貌せざるを得なかった。その時点で,α事業構想も白紙に戻すべきであった。 イα開園後(ア)開園後の平成5年12月にはβの乗船者が減少し,早くも経営悪化,()を憂慮すべき状況に直面し第31回取締役会平成5年12月17日から第35回取締役会(平成6年4月22日)までの間も,β乗船者の平日の落込みへの憂慮,現状と見通しについて危惧する質問等が相次い-- でされ,予算との差異が大きく,今後の予算のあり方及び抜本的な対策を早急に整理する必要があるとの意見が大勢を占めるようになった。 その後,第36回取締役会(同年5月20日)等でも,代表者から平成6年度の収支計画について想定される事態は大変憂慮すべき状況になっており,早急に経営計画の立て直し,再建案を確立すべきであるとの,,発言がされ平成6年度は場合によっては20万人を見込む必要がありこの場合,資金不足が1億6600万円くらい想定され,事実上,事業として成り立たないとの厳しい指摘がされている。 (イ)P3の入園者をαに誘致する増収策も目論見が外れ,平成7年1月当時は,資金調達に奔走する状況であり,同年3月には,抜本的な対策を打ち出す必要が確認され,その後も,取締役会では数億円単位の資金不足を一朝一夕に解消する手だては見つからないとの議論がされていた。同年6月には,P12のP13調査役が取締役会に出席し,緊急な再建の必要性が指摘され,α事業の目的及び営業実態は,従来の文化・学習路線の延長線の枠を出て,大きく転換することを余儀なくされ,第51回取締役会(平成8年4月19日)では,アミューズメント施設の充実を図る方針が打ち出され,全体計画を中心に新たに郊外型の複合施設を造って の延長線の枠を出て,大きく転換することを余儀なくされ,第51回取締役会(平成8年4月19日)では,アミューズメント施設の充実を図る方針が打ち出され,全体計画を中心に新たに郊外型の複合施設を造っていく中で,増収策の柱をδのアミューズを核とし,車にコンセプトを当てた相乗効果を狙うことになった。 (ウ)平成8年5月ころには,経営損失は3億7100万円が想定される状況となり,手形支払4500万円が不足し,同年6月には資金不足が生じるなどの資金ショートが想定される状況となった。 (エ)被控訴人P1は,α事業再建の目途が立ったと強弁していたが,第60回取締役会(平成9年9月1日)では,代表権並びに会長職を辞職したい旨の意思を表明し,その後,本件会社は,正規従業員0名の体制になり,第62回取締役会(平成10年3月3日)では,βの営業休止-- とカート仕様への変更,業務委託方式の採用の報告がされ,平成10年度には3135万円の資金不足,翌2月には債務超過が発生する等の問題がある旨の報告がされる状況となった。(オ)荒尾市は,平成11年8月にαについての経営分析をしたところ,収益性から見た場合,営業を続けることに問題があり,損益分岐点を無視した営業が続けられ,生産性から見て,現状では事業が成立しないとの分析結果が示され,その後,特別清算手続の開始となった。 ,,,なお荒尾市は自ら支出した清算事務費等の一部の配当を受けたが現在,本件5行に対する損失補償,α事業に対する資本金,補助金を併せると総額10億円を超える支出をしたことになる上,さらに,平成19年10月までに本件5行に対し,損失補償として9572万円ほどを分割して支払うことになっており,財政状態が極めて悪い荒尾市にとって本件支出は大変な負担であり,そのしわ寄せが市民生活に直結 ,平成19年10月までに本件5行に対し,損失補償として9572万円ほどを分割して支払うことになっており,財政状態が極めて悪い荒尾市にとって本件支出は大変な負担であり,そのしわ寄せが市民生活に直結する諸サービスの切捨て,削減となって現われている。 (7)原判決の判断についてア平成9年9月当時のα事業の経営状況について当時,再建ないし事業の有効活用の可能性が本当に「全くないとは言い切れない」のか否かについては厳しく検証をする必要があるのに,原判決は,前記時点での再建ないし事業の有効活用の可能性の有無について,判,「」断を回避し本件会社の経営は破綻に瀕していたともいえる状態でありとしたり「再建ないし事業の有効活用の可能性は乏しいながらも,全く,なかったとまでは言い切れない」としたり「本件会社の経営は悪化して,いた」とするなど必ずしも画一的な判断を下していない。 合理的かつ客観的に同時点の経営状況を判断すれば,まさに「破綻に瀕していた」し,再建ないし事業の有効活用の可能性は喪失していたとすべきであった。この時点で本件会社がすでに破産状態であったことは,その-- 後,α事業が再建の方向に向かったことも,収益上昇に転じたことなども一切ないまま,相変わらず毎年2億から3億円近い損失を出し続けて平成12年8月に倒産したという結果から見ても明らかである。 イ平成9年9月当時のα事業の再建可能性について原判決は「再建ないし事業の有効活用の可能性は乏しいながらも,全くなかったとまでは言い切れない」と判示するが,現実には具体的かつ合理的な再建策が示されたことはなかった。再建策の点は何度も市議会で追及されたが,被控訴人P1は,具体的再建策については答弁できず,お詫びを繰り返すだけという有様であった。結局,同月以降,荒尾市は,金は出 再建策が示されたことはなかった。再建策の点は何度も市議会で追及されたが,被控訴人P1は,具体的再建策については答弁できず,お詫びを繰り返すだけという有様であった。結局,同月以降,荒尾市は,金は出すが,その他は何もしないという対応であって,完全に経営面からは手を引いて主要2社に再建を丸投げしただけである。 ウ国・県との信頼関係維持の必要性について原判決は「経営の悪化した本件会社を主導的立場の市が特段の支援をすることなくいきなり破綻させれば,それまで上記事業を支援・指導・協力してきた国,県,金融機関,地場企業等の信頼を失いかねず,以後の上記各者(特に国,県)からの市の他の各事業に対する支援・協力等につき悪」,,,影響が出るおそれがあると判示するが問題は公金をα事業に投入し金融機関にだけ補填してまでかかる信頼関係の維持を図る必要があるのか,そのような信頼関係とはいかなるものかということである。 そもそも,本件会社は単に経営が悪化したというわけではなく,正確にはすでに破綻していたと評価すべきであることは前述のとおりであり,平,,,成9年9月当時荒尾市は平成8年3月の3億1850万円の増資の際このうち1億6500万円を引き受けたり,αの開園前後において,市の融資制度の適用,人的支援,荒尾市企業誘致促進条例と同施行規則に基づく奨励金等の支援を行うなど,すでに「特段の支援」をしてきている。また,市議会でも,平成7年9月以降は,α事業について見切りや身売りの-- 話が出ており,遅くとも平成8年ころから破綻の検討や国との協議も行っているのであるから「いきなり破綻」させたということにはならない。 ,国,県,市はいずれも公共団体であり,それぞれ独立した組織として存在しているし,また地方分権一括法によって国と地方とは対等平等 っているのであるから「いきなり破綻」させたということにはならない。 ,国,県,市はいずれも公共団体であり,それぞれ独立した組織として存在しているし,また地方分権一括法によって国と地方とは対等平等という関係に立っている。それぞれ法律や条例に基づいて行政を行っているわけであるから,信頼関係といってもその限度内でのことであり,これを過大に評価することはできない。 エθ宅地造成事業とα事業の関連性について炭住跡地の活性化の有効な手段として,計画的土地利用の促進が求められているθ事業計画は,αの近隣の位置関係にあるというだけであり,内在的な関連性はない。また,同事業計画は,開発公社の単独事業であり,国や県からの補助を受けていないのであるから,αへの補助・助成を荒尾市が打ち切ったことにより「国・県の信頼を損なう」とか「支援・協力,が打ち切られる」ということはあり得ない。 オ荒尾市の財政状況について荒尾市は,平成12年3月現在,約160億円の莫大な地方債残高を有していた。また平成11年度決算における市の財政指数は0.422であり,類似都市の0.61に比べると,財政力は非常に弱い。さらに,経常収支比例は88.3%と財政力の健全化・弾力性を示す指数の80%を超え,財政構造の弾力性を失いつつあった。公債費比率においても財政構造が保たれた状態といえる10%を超える15.7%であり,類似都市の14.8%と比較しても非常に高く,厳しい状況にある。 また,他市に比べて低所得者が多く,市税収入が少なく,住民福祉の向上に使われる予算が少ないのが特徴である。市役所庁舎の老朽化を含め,各福祉施設,市民病院,体育施設,学校施設の老朽化に伴う建替え,さらにはRDFゴミ処理施設や水資源確保のために多額な財源が必要と見込ま-- れているが,財源確保に窮してい 舎の老朽化を含め,各福祉施設,市民病院,体育施設,学校施設の老朽化に伴う建替え,さらにはRDFゴミ処理施設や水資源確保のために多額な財源が必要と見込ま-- れているが,財源確保に窮している状況にある。 少子・高齢化の時代を迎え荒尾市においても保育所老人福祉施設特,,(別養護老人ホーム,老人福祉センター改築,総合福祉センター建設,老)朽校舎の建替え,介護保険や国民健康保険など医療・福祉制度への減免措,,,,置の実施学童保育所の設置私学助成の強化図書館への学習室の設置老朽市営住宅の改築などが市民から強く求められており,また,大型店の出店ラッシュによる商店街の衰退,農業分野の自由化による農業経営の悪化,漁業環境の悪化による漁業の衰退のなかで,地場産業の振興策の強化などの要求も強いものがある。さらに,市民病院の経営が悪化し,一時期は重要な収入源であった競馬事業が赤字経営に転落したほか,バス事業の事業継続問題,ι水道と荒尾市水道の一元化など問題は山積している。 こうした基本的で切実な市民の要求に対し,荒尾市は,財政上の理由から対応できないでいる。財政健全化緊急3か年計画が実施されるなかで,さらに厳しい市民へのしわ寄せが進み,これまで各団体に助成されていたわずかばかりの補助金さえ削減している。 被控訴人らは,荒尾市はさまざまな新規事業を実施したというが,その大半は国や県に大きく依存しており,荒尾市の単独事業として遂行できない実情にある。 カ第三セクター指針(甲17)について同指針は,平成11年5月20日に自治大臣(当時)が発表したものであるが,当然のことを指摘したものであるから,本件においても,時期が違うとして無視すべきものではない。同指針は,第三セクター方式を断念する場合の留意点として「経営の点検評価を行うた が発表したものであるが,当然のことを指摘したものであるから,本件においても,時期が違うとして無視すべきものではない。同指針は,第三セクター方式を断念する場合の留意点として「経営の点検評価を行うための委員会等の検討,を経て,経営の悪化が深刻であり,かつ,将来の経営改善の可能性がないと判断されるものについては,問題を先送りせず,早急に対処方策を検討するべきであること」を指摘しており,問題を先送りすることなく,速や-- かに廃業の決断をすべきであるとしているのであって,国や県からの今後の協力・支援の有無について配慮すべきだという指摘はまったくない。 国や県は,α事業を推進してきた共同出資者としての責任があるのであり,α事業が行き詰まり,荒尾市が手を引いたとしても,その状況を知悉しているのであるから,信頼関係が失われることは考えられない。 キ日韓高速船事件の最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決について同判決は,①市議会における説明と審議の状況並びに可決の事実と②当該事案における第2補助金の支出は上告人その他の当該事業の関係者に対し,当該事業の清算とはかかわりのない不正な利益をもたらすものとはうかがわれないことの2点を指摘する。地方公共団体が「住民の福祉の増進を図ること」を存立目的とするものであり,何が住民の福祉に該当するか,いかなる分野に公金を支出すべきかは住民自身が判断するというのが住民自治の基本であり,そのため,議会の役割が重視されるのは当然のことといえるが,「公益」という解釈の幅が極めて広い一般概念については,その判断について責任を負うことができる者,その判断が誤っていたときにその結果を受忍すべき者の判断が重要である。その意味で,公金の支出について住民が判断するべきであるとの建前からは,住民の代表者で構成される議 いて責任を負うことができる者,その判断が誤っていたときにその結果を受忍すべき者の判断が重要である。その意味で,公金の支出について住民が判断するべきであるとの建前からは,住民の代表者で構成される議会の判断が尊重されることになる。ひいては,具体的な事実に基づいてどの程度の議論が市議会でされたのか,議会での説明と審議の過程が重要な意味を有することになる。 同判決の反対意見は,①「地方財政も緊縮の状況にあり,その財源の多くは住民の税金によって賄われているのであるから,上告人(市長)としては努めて市民の負担の増加を避けるべきであった,②「多額かつ不毛の。」第2補助金については,納税者たる市民の負担増加に思いを致し,政治的判断を優先させることなく,これを無駄な補助金であるとして議会に提出-- せず,また予算執行を避けるなどの決断をし,経費の支出を目的を達成するために必要かつ最小の限度にとどめるべき義務があったといえる,。」③「第2補助金は補正予算として議会の承認を経ており,そのことは尊重すべきではあるが,そうであるからといって裁判所が公益上の必要性の有無について独自に判断することを妨げるものではない」と述べており,。 これらは,地方自治財政における前記「最少経費で最大効果」原則に忠実,。 な判断をしているものであり本件においても採用されるべき観点であるまた,α事業は,日韓高速船事件のように運休になって早急に解決を迫られるというほどの緊急性はなく,何年もの間,市議会で取り上げられ時間的には十分な対策をとる期間があったから,より慎重な対応が可能であった。 被控訴人ら(1)訴えの変更についてア控訴人らは,提訴後支出分に係る損害賠償請求を被控訴人P1に対する損害賠償請求に追加するが,同被控訴人の市長としての在任期間は,昭和 が可能であった。 被控訴人ら(1)訴えの変更についてア控訴人らは,提訴後支出分に係る損害賠償請求を被控訴人P1に対する損害賠償請求に追加するが,同被控訴人の市長としての在任期間は,昭和62年1月から平成15年1月までであるから,同被控訴人には,退任後の損失補償の支出についての被告適格がない。 イまた,被控訴人P1は,正当な手続により市議会に諮り,その結果,本件臨時会において本件債務負担行為が可決されたのであるし,現市長の下においても,荒尾市が損失補償契約に基づき履行すべき公益上の義務があると判断して,年次予算編成において損失補償の支出を計上し,予算について議決を経ており,かつ当該支出につき年次決算認定を経て,損失補償の支出を継続しているのであるから,損失補償に係る賠償責任のすべてが被控訴人P1個人に帰するものではない。 ウ控訴人らは,損失補償契約自体の違法性を根拠として被控訴人P1の責,,(),任を追及するところそうであるならば支出負担行為契約の締結など-- 支出命令,各支出は,互いに独立した財務会計上の行為であるから,監査請求期間は,対象事項によって各別に計算すべきであるとする判例(最高裁平成14年7月16日第三小法廷判決・民集56巻6号1339頁)が示すとおり,損失補償契約の締結時点(平成9年9月30日及び同年10月31日)から監査請求期間を起算すべきであって,損失補償に関する請求すべてについて監査請求期間を徒過したものと判断する余地も存する。 (2)本件監査請求の対象及び監査請求期間の制限について控訴人らは,当審において,荒尾市が被控訴人P1に損害賠償請求権を行使していないことを根拠に,原則として期間制限が及ばない法242条1項の怠る事実として主張構成を変化させたが,怠る事実と監査請求期間の制限 らは,当審において,荒尾市が被控訴人P1に損害賠償請求権を行使していないことを根拠に,原則として期間制限が及ばない法242条1項の怠る事実として主張構成を変化させたが,怠る事実と監査請求期間の制限についての控訴人らの判例解釈は誤っており,上記主張は失当である。 ア昭和62年判決は,当該行為が違法,無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって,財産の管理を怠る事実とするものであるときは,実体法上の請求権の不行使という構成をすれば監査請求期間の制限を受けないことになり,上記制限を設けた法の趣旨が没却されることから,当該監査請求については,怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日又は終わった日を基準として,法242条2項本文を適用すべきものであるとして,実質的には当該行為の違法是正等の措置を請求するものであるのに,怠る事実を主張してみても,期間制限を免れないことを判示したものである。 平成14年判決は,談合という不法行為によってすでに損害賠償請求権が発生し,当該行為が財務会計法規に違反するか否かを判断する必要がない事案であるため,例外を認めたものであり,基本的には昭和62年判決を踏襲しており,期間制限のない怠る事実についての監査請求の適用範囲を拡大したものではない。また,監査請求の対象の選択・構成は,監査請求人の選択に委ねられるが,同判決は,怠る事実を主張して監査請求に及-- んだとしても,何を対象としているかを実質的に判断すべきであるとしているのであり,要するに,最高裁判例の法理は,怠る事実を対象とする監査請求であっても,客観的,実質的にみて,特定の財務会計行為の違法性を問うものである場合には,当該行為のあった日又は終わった日を基準として,監査請求期間の要件を判断すべきであるとしている。 イ控 査請求であっても,客観的,実質的にみて,特定の財務会計行為の違法性を問うものである場合には,当該行為のあった日又は終わった日を基準として,監査請求期間の要件を判断すべきであるとしている。 イ控訴人らは,本件監査請求において,荒尾市に代位して被控訴人P1に対し,支出済みの補助金及び損失補償の返還を求めるとともに,被控訴人市長に対し,損失補償契約に基づくその余の支出の差止めを求めているのであるから,本件監査請求は,財務会計行為の適否を対象とするものであり,怠る事実を対象とした形跡がないことは明らかである。 控訴人らが主張構成の変更を試みても,客観的,実質的にみれば,結局のところ,当該財務会計行為(補助金及び損失補償の各支出)が財務会計法規に適合しているか否かを問うものにほかならないから,本件監査請求には,平成14年判決が示した例外は適用されず,期間制限に服するというべきである。 ウ控訴人らは,被控訴人P1の市議会に対する報告・説明義務違反をも指摘して,怠る事実の主張構成をしているが,財務会計上の行為とは別の行為であり,そもそも市議会等における説明内容につき意図的な秘匿や虚偽があった事実はない。加えて,本件支出については,市議会及び新聞報道並びに広報誌で周知され公知となっていたから,控訴人らの主張は理由がない。 仮に,被控訴人P1の説明に不足があったとしても,財務会計行為を明らかに左右するほど看過し難い瑕疵が存しない限り,違法とすることはできないというべきである。 (3)α事業の公益性についてアα事業の位置づけと地域振興対策事業としての公益性について-- 平成4年に策定された新荒尾市総合計画は「アジアの国々の歴史や生,活等をミニチュアで表現したテーマパークを中心とするε計画を第三セクターで推進するなど観光・商業・文化都 益性について-- 平成4年に策定された新荒尾市総合計画は「アジアの国々の歴史や生,活等をミニチュアで表現したテーマパークを中心とするε計画を第三セクターで推進するなど観光・商業・文化都市を目指して全市をあげて取り組んでいる」としている。他方,同計画の中で,副都心地区につき「それ,ぞれの地域特性を生かした機能分担と性格を明確にした都市空間の形成に努め」ることとし,κについて「商業の拠点づくり」を図るとし,θについては,炭住跡地の「有効利用と住環境の改善等を促進する」ことを掲げている。 もともと,荒尾市は,ε構想が提起された従前からの経緯を踏まえ,昭和63年に国に対し炭住跡地を含む遊休地を活用した地域振興を図るための要望及び陳情を行い,平成元年度には国や県に対してζの安定操業対策の堅持と共にε構想の実現へ向けた要望をしている。 このように,荒尾市は,基幹産業であったζ閉山の危機に直面していたことから,鉱工業都市から脱却し地域振興対策を実行するため,国等にε構想の実現を要望していたのであり,α事業が石炭政策と密接な関係があったことは明白である。 控訴人らは,本件会社によるα事業用地取得がζの利益に寄与するだけであるように主張するが,炭住跡地を活用することは,上記のとおり,荒尾全市を挙げての地域振興対策であったから,この点の控訴人らの主張は理由がない。 イαの教育文化学習施設としての性格と公益性について会社定款において目的が絶対的記載事項とされている趣旨は,会社の事業目的を出資者や取引相手等に明らかにすることによって予測外の損害を蒙らせないことにあるから,教育文化学習施設であることは,必ずしも取引安全の観点から記載が要求される事項ではない。定款の目的に記載がなくとも,αが教育文化学習施設であることには変わりない。 -- らせないことにあるから,教育文化学習施設であることは,必ずしも取引安全の観点から記載が要求される事項ではない。定款の目的に記載がなくとも,αが教育文化学習施設であることには変わりない。 -- 荒尾市は,前記新荒尾市総合計画が標榜する観光・商業・文化都市とし,,て脱皮するべく孫文と親交のあった宮崎滔天を輩出した土地柄を生かしアジア諸国の風土・歴史・文化等を紹介するミニチュア施設を主体としたテーマパークの開発事業に取り組み,国際交流及び教育文化学習施設としてαを開園したのである。 また,α開園後のδ等の新規施設の導入は,本件会社が顧客を誘引し,学習効果をいっそう高めるとともに,収益力を向上させるために行ったも,,のであって本体の教育文化学習施設としての性格は何ら変わっておらず本質的な公益性を損なうものではない。 (4)α事業の採算性及び継続性についてア採算性についてα事業の目的は,地域活性化・地域雇用拡大の先導的役割を果たすことにあるから,その公益性は,関連する後続の事業や他の地域に与える諸効果を含めて評価すべきであって,α事業単体の採算性のみによって評価すべきものではない。第三セクター方式を採用したのも,公的機関の持つ公益性・公共性の視点と,民間企業の営業ノウハウを合わせて駆使すること,,によって公益的な事業に伴うことが多い不採算性を最小限に抑えながら必要な事業を遂行するためであった。実際にも,市の多くの事業は,採算性が乏しくとも公益性の観点から公金を投入しつつ継続しているのであって,採算性が公益性の絶対条件であるということはできない。 イ継続性についてα事業は,地域開発を先導し,人口減少を抑制し,雇用を創出するといった効果をもたらしたものであるところ,事業目的である地域活性化・地域雇用拡大の先導的役割を果 うことはできない。 イ継続性についてα事業は,地域開発を先導し,人口減少を抑制し,雇用を創出するといった効果をもたらしたものであるところ,事業目的である地域活性化・地域雇用拡大の先導的役割を果たした上は,社会経済情勢の変化に伴い,事,。 業を終結せざるをえなかったとしても公益性が否定されるものではない(5)α事業に関する被控訴人P1の説明内容の正当性について-- ア被控訴人P1ないし市担当者が,α事業の集客及び経営状況並びに新規施設の導入の検討状況に至るまで,市議会において詳細に答弁してきたことは市議会会議録により明白である。また,平成9年9月当時の経営状況については,同月19日の全員協議会及び同月29日の本件臨時会において説明するとともに,本件臨時会では,本件債務負担行為に係る議案について,①本件会社取締役会がα事業が再建可能であるとの判断を行ったこと,②本件会社の健全経営に資する補助金については経営が健全となれば支出が不必要となる性質のものであること,③金融機関に対する損失補償については自力返済が可能となれば本件会社自身が支払うべきものであること,④一方で,仮に倒産した場合には,損失補償の残額は支払わねばならないことなど,損得両面のすべてにつき説明し,活発な議論の末,同日開催された経済環境常任委員会及び総務常任委員会の審議を経て,賛成多数で可決されたのである。 イ本件補助金の予備費組替措置について控訴人らは,補助金の予備費組替措置について説明がなかった旨主張するが,本件臨時会で可決した補助金に係る債務負担行為は,本件会社が抜本的な再建を図り立ち直るためのものであったから,その条件が整わない以上,支出を中止することは当然であり,かつ,それが一貫した措置であるというべきである。 本件臨時会以降も,荒尾市は,本件 会社が抜本的な再建を図り立ち直るためのものであったから,その条件が整わない以上,支出を中止することは当然であり,かつ,それが一貫した措置であるというべきである。 本件臨時会以降も,荒尾市は,本件会社が仮に解散した場合の荒尾市の,,責任に関する質問に対していまだ解散の論議はしていないとしながらも「補助金分については当初からの借入金でございまして,この分については再建のための補助だということで考えておりますので,もし会社が解散ということになれば当然,補助金はもう打ち切ることになると理解いたしております」と答弁し,平成11年3月市議会において,議員発案の補。 助金の予備費組替えに係る修正動議がされた際に,金融支援による一定の-- 効果を認めながらも,補助金支出の疑問点を指摘する答弁をし,その後,平成10年度の本件会社の決算見込みを考慮するとともに,本件会社が費用対効果等の面から抜本的な再建策を確定できないでいることにかんがみ,上記修正案を了として再議に付さず,その後の年度においては,補助金に係る支出予算を計上しないままとしたのである。 被控訴人P1は,α事業の基本事項について,社会通念上,妥当な範囲内において具体的に説明を行っていた上,補助金については,本件臨時会で,α事業の経営健全化に資するものであることを前提に債務負担行為の議決がされ,その後においても再建のための補助金であるとの基本的な考え方が再三示されていることに照らしても,適正な経緯を経て補助金の支出停止が議決されたもので,被控訴人P1に報告・説明義務違反はない。 (6)α事業の再建可能性についてア計画段階における採算性の検討について(ア)コンサルタント業者の収支分析について事業主体である本件会社は,株式会社P14作成の事業計画を基本構想として活用を図り,そ 事業の再建可能性についてア計画段階における採算性の検討について(ア)コンサルタント業者の収支分析について事業主体である本件会社は,株式会社P14作成の事業計画を基本構想として活用を図り,その後,P6及びP5に整合性を図った実施計画等を作成させ,実情の変動に応じ,本件会社内部において,さらなる検討をした末に,最終的な実施計画を決定した。 控訴人らは,P5が示した収支分析検討において入場者数を74万人とする根拠が示されていないことや,P6の実施計画書には収支分析検討自体がないことを指摘するが,コンサルタント業者に事業計画や事業の具体化等についての検討を委託することは,事業実現過程における一手法に過ぎない上,上記両業者の計画書は,平成2年10月のP14による上記事業計画を前提としたものであり,同計画に利用客数についての計算根拠が,,,示されていたことから詳細な収支分析は示されていないが本件会社は既にP14の事業計画をもとに収支分析を行っていたのである。 -- (イ)九州η構想の中止について九州η構想が中止された段階でも,ε計画とλ計画は予定どおり進行していたところ,α事業は,これらの周辺施設との協調関係を築いて相乗効果を図りつつ,独自の教育文化学習施設として発足することが十分期待できたものであり,むしろ,他の事業に先行する,産炭地域活性化のための中核事業であって,これを白紙撤回することは後続の事業の発展を阻害するおそれがあった。このように,九州η構想が中止された段階でも,α事業には独自の価値があり,これを白紙に戻すことが適当であったとはいえないのである。 イα開園後の経営状況について開園後の経営状況は,平成6年9月,平成7年9月の各市議会で説明されているほか,控訴人らが指摘する経理内容や検討中のものも含めた導入 当であったとはいえないのである。 イα開園後の経営状況について開園後の経営状況は,平成6年9月,平成7年9月の各市議会で説明されているほか,控訴人らが指摘する経理内容や検討中のものも含めた導入予定の新規施設の概要について,各時点で市議会において,詳細な説明及び答弁がされた上,議論されており,α事業の経過や結果を含む営業概況は既成事実として捉えられていた。荒尾市は,これらの議会の動向を踏ま,。 えてその後の補助金及び損失補償の支出による支援に及んだものであるまた,本件会社取締役会が各時点で鋭意検討して出した結論は,施設改修や新規施設等の導入によって集客及び収益の改善を図りつつ,抜本的な再建策を模索していくというものであった。 ウ支援決定(平成9年9月)当時の経営状況と荒尾市の判断について(ア)α事業は,経済環境の悪化により厳しい経営を余儀なくされてきたが,平成9年6月に民間事業において多大の実績を有していた主要2社の「立ち直る見込みあり」との結論に基づき,事業継続について三者合意を取り交わし,主要2社のノウハウを発揮した実務面での強力な指揮の下,抜本的な改善がされれば,α事業の再建と共に新たな事業展開も可能であると認識していた。 -- (イ)当時は,ζが閉山した直後であり,κなど他の第三セクター事業の開業を控えた時期でもあった上,α事業に出資した地元中小企業者からの強い要望があったため,荒尾市は,α事業が先導的役割を果たしてμ周辺地域における後発の開発事業を誘発し,一体的に振興を図る必要が,,,あると判断し財政状況を勘案した上でその時点でできる施策として平成9年9月の金融支援に及んだものである。(ウ)控訴人らは,事業再建の見込みはなかったと主張するが,業務体制の見直しや徹底した経費削減などは再建に向けた 勘案した上でその時点でできる施策として平成9年9月の金融支援に及んだものである。(ウ)控訴人らは,事業再建の見込みはなかったと主張するが,業務体制の見直しや徹底した経費削減などは再建に向けた取組みの一環であって,これらの方策を講じて当面を乗り切る一方,三者合意に基づき,経,,営改善計画案を策定してβ部門の運営や事務所の有効活用をP3社にγ及び駐車場その他の外構の運営をP11に委託し,その後の抜本的な再建策を模索していたのである。 (エ)控訴人らは,P8鑑定意見書に基づき,損失補償契約を締結すべきでなかった旨主張するが,同意見書が採用する収益計画及び資金計画という評価尺度は,国及び地域の経済政策目標の実現という課題を無視するものであり,本件会社の創業から清算に至るまでの全管理過程の追跡調査をもとにした計画実現手段の評価が行われていないため,責任の追及が不公正なものになっているともいえるものである。 (7)国・県との信頼関係維持の必要性についてP12及びP15銀行は,α事業推進に主体となって関わった荒尾市が指導力を発揮して,本件会社の金銭面の課題を克服すると共に抜本的な再建のため尽力するよう指導してきたのであり,県も国と歩調を共にしてきた経緯から,荒尾市の国・県に対する信頼の保持は不可欠であり,このことが後発の開発事業の推進に強く影響を及ぼすものであることは明らかであった。また,他の第三セクター事業や企業誘致等の推進においても,荒尾市の信頼を保持して,民間の協力を得ることが不可欠であった。 -- (8)θとの関連性についてα事業,θ事業及びκは,相互の連携・相乗効果を狙った荒尾市挙げての一体的な地域振興の施策であり,α事業はその先導役を担っていたものである。 (9)荒尾市の財政状況についてアα事業の効用につ α事業,θ事業及びκは,相互の連携・相乗効果を狙った荒尾市挙げての一体的な地域振興の施策であり,α事業はその先導役を担っていたものである。 (9)荒尾市の財政状況についてアα事業の効用についてα事業をはじめとする一体的な地域振興対策の効果は,人口,雇用,所得,税収等に至るまで,市政全般に及んでおり,他の産炭地域の著しい疲弊に比して,ζの閉山による影響に歯止めをかけている。 そもそも,自治体における財政状況と補助金等の支出は相対的なものと解されており,財政状況を勘案しても,それ以上に補助金等の支出の必要性が高い場合には,支出することができるというべきであり,例え赤字団体においても全く補助金等の支出ができないものではない。 控訴人らは,荒尾市の財政が逼迫しており,とりわけ福祉施策において本件支出による影響が大きい旨主張するが,それぞれ国が設定する福祉施策に対する基準に基づくもので,本件支出が直接的に荒尾市財政における福祉施策に影響を及ぼすというべき事情は全く存しない。上記のとおり,荒尾市の財政は他の産炭地域や周辺地域と比較して極端に逼迫しているわけではなく,市が平成9年9月当時,他の施策との兼合いや財政状況を勘案した上で,α事業には産炭地域を取り巻く社会情勢を改善させる効果があるものと判断し,金融支援をしたことには,正当な理由があったというべきである。 イ公金保全のための措置について一方,荒尾市は,本件補助金の支出停止措置によって公金支出を最小限としたほか,損失補償契約の締結に際し,債権保全の観点から別途本件会社との間で求償し得る旨の覚書を締結しており,本件会社の特別清算手続-- において,上記覚書に基づき6012万0625円の配当を得た。 さらに,荒尾市は本件会社解散後,本件5行から一括償還を要求されたが,交渉の末, 覚書を締結しており,本件会社の特別清算手続-- において,上記覚書に基づき6012万0625円の配当を得た。 さらに,荒尾市は本件会社解散後,本件5行から一括償還を要求されたが,交渉の末,年2回の半年賦元利均等償還とすること,利率を半減することで合意し,荒尾市の支出金1879万5560円を圧縮して,公金保全に尽力している。(10)第三セクター指針について同指針は,平成11年5月に通知されたものであるから,平成9年6月のα事業存続のための三者合意や,同年9月の本件臨時会の議決の当否の判断基準とすることはできない。また,同指針においても,事業を存続させるか否かの判断については,経営状況に着目した評価のみならず,当該第三セクターが果たしている公共・公益的使命など行政的な評価を加味した上で,総合的に検討されるべきである旨示されており,経営状況だけでなく公益性を含めて総合的に検討すべきであるとされている。 (11)本件に関連する最高裁判決についてア日韓高速船事件の最高裁判決が,公金支出の適否について示した判断基準(事業の目的,市と事業とのかかわりの程度,補助金及び損失補償をした経緯,補助金及び損失補償の趣旨,市の財政状況,市議会への説明と審議,不正な利益の有無)は,本件においても妥当するところ,上記判断基準を本件に当てはめてみても,被控訴人P1が裁量権を逸脱又は濫用したと断ずべき違法事由は見当たらない。 イなお,京都ポンポン山事件の大阪高裁平成15年2月6日判決についてみても,本件とは事案が異なり,全く参考にならないものである。本件においては,同判決の主たる判断根拠である緊急性及び必要性という点,議会や一般市民を欺罔するような「看過し得ない瑕疵」の有無という点についても本件との近似性が全く存しない。 すなわち,荒尾市は,補助 おいては,同判決の主たる判断根拠である緊急性及び必要性という点,議会や一般市民を欺罔するような「看過し得ない瑕疵」の有無という点についても本件との近似性が全く存しない。 すなわち,荒尾市は,補助金及び損失補償について,市議会や市民に対-- ,「」して正当に説明を行っており必要な手続も履践され看過し得ない瑕疵は全く存しない。一方,その緊急性や必要性については,事業を継続させ再建を成し遂げることについて三者合意を形成し,本件会社に対する官民折半による金融支援が緊急かつ不可欠であった事案である。 第4当裁判所の判断 当裁判所も,控訴人らの被控訴人P1に対する損害賠償請求のうち,本件監査請求期間外の各支出に係る損害賠償請求に関する訴えを不適法であるとして却下し,被控訴人P1に対するその余の損害賠償請求(ただし,提訴後支出分を追加する以前のもの)及び控訴人らの被控訴人市長に対する本件損失補償の支出差止請求(ただし,控訴人らは,当審において,前記第3の1(1)ア(ア)のとおり,差止請求の一部取下げ及び減縮をした)を棄却した原判決は相当。 として是認することができ,控訴人らが当審において追加した提訴後支出分に係る被控訴人P1に対する損害賠償請求については,別表A⑨ないし⑬記載の各支出に係る請求を棄却し,同⑭ないし⑳記載の各支出に係る請求に関する訴えを却下すべきものと考える。 その理由は,次のとおり訂正及び付加し,後記2ないし4のとおり,当審における当事者の主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由「第6当裁判所の判断(原判決36頁24行目から同72頁18行目」,」まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決38頁9行目の「乙1,2,4ないし12」を「乙1ないし3,5ないし12」と改め 断(原判決36頁24行目から同72頁18行目」,」まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決38頁9行目の「乙1,2,4ないし12」を「乙1ないし3,5ないし12」と改める。 (2)原判決40頁9行目,10行目及び11行目並びに同41頁25行目の各「η構想」を各「九州η構想」とそれぞれ改める。 (3)原判決43頁3行目の「悠久な」を「自然の悠久な」と,同12行目の「()」,「()。」,「」「」乙122を乙122と同16行目の本件会社をαとそれぞれ改める。 -- (4)原判決48頁12行目の「76%」を「23.9%減」と改める。 (5)原判決49頁22行目「約70坪」の次に「につき」を加える。 (),(6)原判決52頁6行目の「幕孚」を「幕孚」と改める。 ,(7)原判決53頁4行目の「」を「」と改める。 》》)(8)原判決55頁23行目の以降別紙2④ないし⑧記載のとおりを以「,」「降平成12年4月13日までに,別紙2④ないし⑧記載(別表A④ないし⑧記載と同じ)のとおり」と改める。 。 (9)原判決57頁14行目の「記載のとおり支払った」を「記載(別表A⑧ないし⑭記載と同じ)のとおり支出し,さらに原審口頭弁論終結後,当審。 口頭弁論終結時までに別表A⑮ないし⑳記載のとおり支出(当事者間に争いがない)した」と改める。 。 (10)原判決58頁13行目の「であるして」を「であるとして」と改める。 (11)原判決62頁22行目の「26頁」の次に「,199」を加える。 被控訴人P1に対する損害賠償請求に係る訴えの適法性について(ただし,監査請求期間の遵守の点については,後記3で論ずる)。 (1)本件監査請求の対象についてア控訴人らは,当審 」を加える。 被控訴人P1に対する損害賠償請求に係る訴えの適法性について(ただし,監査請求期間の遵守の点については,後記3で論ずる)。 (1)本件監査請求の対象についてア控訴人らは,当審において,請求原因として,被控訴人P1は,市議会に対するα事業の採算性等に関する報告・説明義務を怠った違法行為によって,同事業推進の方向へ市議会を誘導し,補助金の支出及び損失補償契約締結に対する市議会の承認を得た上,損失補償契約を締結し,本件支出を実行した結果,市に巨額の損害を与えたのであるから,市は,被控訴人P1に対し損害賠償請求権を有しているところ,市がその行使を怠っているので,上記怠る事実についても監査請求を行い,住民訴訟を提起したものである旨の主張を追加した。これに対し,被控訴人らは,市が被控訴人P1に対する損害賠償請求権の行使を怠っているとの事実は,本件監査請求の対象とされていない上,上記事実は,客観的,実質的にみれば,本件-- 支出が財務会計法規に適合しているか否かを問うものにほかならないから,法242条2項本文の監査請求期間の制限に服するものであると反論する。 そこで,まず,本件監査請求の対象について検討するに,証拠(甲4,5,乙3)によると,次のとおり認められる。 (ア)本件監査請求に係る住民監査請求書(甲4,乙3)には,請求の要旨として,α事業には補助金,損失補償等として巨額の税金が投入されたが,本件会社は特別清算を目指して会社整理が進められており,上記税金は全くの無駄遣いに終わったこと,平成9年9月当時,α事業は,多額の累積赤字及び負債を抱えて破綻に陥り,具体的再建計画も立たな,,い状態であったから当然に本件会社の存続を断念すべきであったのに被控訴人P1は,本件会社の倒産が荒尾市のイメージダウンになること の累積赤字及び負債を抱えて破綻に陥り,具体的再建計画も立たな,,い状態であったから当然に本件会社の存続を断念すべきであったのに被控訴人P1は,本件会社の倒産が荒尾市のイメージダウンになること等を理由として,荒尾市が本件会社の負債の半分を負担して本件会社を存続する道を選択したところ,この選択が市の被害を大きくすることになったこと,本件臨時会において,本件債務負担行為が可決されたが,市民に過重な負担を強いる補助金及び損失補償の支出は違法であること,被控訴人P1は,平成12年8月までに補助金1億1651万9650円及び損失補償1億6577万4118円を支出し,残る損失補償4億9740万2943円をこれから支払うとしていること,上記補助金の支出は公益性を欠き違法であり,上記損失補償の支出は法律の禁じる債務保証に該当すること等により違法であって,いずれも市長の裁量権の逸脱・濫用に該当する違法な公金支出であるから,被控訴人P1に対し,上記支出された補助金及び損失補償の返還を求めるとともに,これから支払うとされている損失補償及び清算費用について支出の差止めを求める旨が記載され,末尾に,法242条1項の規定により,別紙として事実証明書を添付し,必要な措置を請求する旨が記載されている。 -- (イ)荒尾市監査委員は,上記住民監査請求書の文面,陳述の内容,証拠書類から,本件監査請求の監査対象事項(措置請求の要旨)は,次の①ないし③のとおりであると理解した。 ①本件会社への補助金は法232条の2に規定する「公益性」の要件を満たしておらず,違法な支出であり,支出済みの補助金の返還を市長に求める。 ②市が行った損失補償は法律の禁じる債務保証であり,この契約に基づく公金の支出は違法であり,支出済みの損失補償の返還を市長に求める。 ③今後支 出であり,支出済みの補助金の返還を市長に求める。 ②市が行った損失補償は法律の禁じる債務保証であり,この契約に基づく公金の支出は違法であり,支出済みの損失補償の返還を市長に求める。 ③今後支出予定の損失補償と清算費用については,違法又は不当な支出であり,差止めを求める。 (ウ)そこで,荒尾市監査委員は,上記①ないし③について監査し,次のとおりの監査結果及び判断を示した。 上記①について,被控訴人P1は,市長として,本件会社は,経営困難に陥った平成9年9月当時も三者合意に基づく財政支援策と新たな経営健全化策の実行により観光と産業の振興に貢献できるという判断の下に,本件臨時会を招集し,本件会社経営健全化に対する支援補助金として補助金支出に係る債務負担行為の一般会計補正予算案を提案したところ,市議会は,本件会社の経営実態及び果たしてきた役割を踏まえ,財政支援による経営健全化への期待を含めて慎重審議の上,上記予算案を可決したと理解すべきであること,平成10年3月の市議会では,平成10年度一般会計予算として補助金1億0635万4000円が提案され,反対意見があったものの,慎重審議の上,公益性を認めて可決されたと理解すべきであること,公益性の判断は第一次的には市長が判断することなどを総合的に考慮すると,補助金1億1651万9650円の支出が公益性の要件を満たしておらず違法であるとの主張は理由がない-- から,市長は返還する必要はない。 上記②について,本件臨時会において,本件会社経営健全化に対する資金として,金融機関が本件会社に融資した額につき市が損失補償をする旨の債務負担行為に係る補正予算案が承認議決され,市議会は,平成10年度以降,本件会社が金融機関に対して負うべき毎年の返済元利の全額を,市長が損失補償として支出できる旨の予 につき市が損失補償をする旨の債務負担行為に係る補正予算案が承認議決され,市議会は,平成10年度以降,本件会社が金融機関に対して負うべき毎年の返済元利の全額を,市長が損失補償として支出できる旨の予算案を承認議決したところ,損失補償契約の内容,予算措置等の一連の行為は,市による債務保証の実態をなしているから脱法行為ともみなされ,不適切な事務処理と認めざるを得ないが,本件会社の経営に関わる複雑かつ困難な実情を背景とした市長の行政判断に基づき,市議会の承認議決の範囲で行われた予算の執行であり,一部に不適切な事務処理があったとしても,法242条所定の「違法若しくは不当」に該当するほどの違法性があったと断定することはできず,支出済みの損失補償1億6577万4118円についても,市議会が議決した予算に基づき,その範囲内で支出したものであり,市長の裁量権の逸脱・濫用には該当しないから,返還を市長に求める理由はない。 上記③について,本件5行は損失補償契約に基づき,本件会社に対する融資を実行済みであり,市が一方当事者として締結した上記契約に一,,部不適切とされる事項があるとしても契約上の瑕疵は市側だけにあり本件5行との関係で上記契約の有効性に疑問の余地はなく,未執行分について,市が支払う責任と義務を免れることはできないから,市長に対し,今後予定されている損失補償の支出差止めを勧告することはできない。 イ上記アで認定したとおり,本件監査請求は,被控訴人P1が,平成9年9月当時,経営破綻に陥っていた本件会社について,当然に存続を断念すべきであったのに,荒尾市のイメージダウンになること等を理由に存続を-- 選択し,本件臨時会においても本件会社存続のための金融支援策として債務負担行為が可決されたが,これに基づき被控訴人P1が市長として行っ 荒尾市のイメージダウンになること等を理由に存続を-- 選択し,本件臨時会においても本件会社存続のための金融支援策として債務負担行為が可決されたが,これに基づき被控訴人P1が市長として行った本件支出は,市長の裁量権の逸脱・濫用に該当する違法な公金支出であるから,被控訴人P1に対し,支出済みの補助金及び損失補償の返還を求,,めるとともに今後予定されている損失補償の支出差止めを求めるとして荒尾市監査委員に必要な措置を請求するものであり,荒尾市監査委員も,本件監査請求の対象について,被控訴人P1による,公益性の要件を欠く補助金の支出及び違法な損失補償契約に基づく損失補償の支出がいずれも違法な公金支出であるとして被控訴人P1に上記支出公金の返還を求め,今後支出予定の損失補償等についても違法又は不当な支出であるとして公金支出差止めを求めるものであると理解して監査を行い,監査結果及び判断を示したものであるから,本件監査請求は,もっぱら被控訴人P1が市長として行った損失補償契約の締結,補助金及び損失補償の各支出並びに今後予定されている損失補償の支出という財務会計行為の違法を対象としているものと認められる。 これに対し,被控訴人P1がα事業の採算性等に関し市議会に対する報告・説明義務を怠る違法行為をしたこと及び同違法行為により市議会がα事業推進の方向に誘導された結果,本件債務負担行為を承認したことを基礎づける事実については,本件監査請求に係る住民監査請求書や添付の証拠書類の記載,請求人等の陳述等に含まれていたというべき事情は何らうかがうことができないから,控訴人ら主張の,被控訴人P1の市議会に対する報告・説明義務を怠った違法行為によって市が本件支出相当額の損害を被ったことに基づく被控訴人P1に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実が,本 きないから,控訴人ら主張の,被控訴人P1の市議会に対する報告・説明義務を怠った違法行為によって市が本件支出相当額の損害を被ったことに基づく被控訴人P1に対する損害賠償請求権の行使を怠る事実が,本件監査請求の対象とされていたものと認めることはできないといわざるを得ない。 以上のとおり,本件監査請求の対象に被控訴人P1による財務会計行為-- の違法のみならず上記損害賠償請求権の行使を怠る事実が含まれるとする控訴人らの主張は理由がない。したがって,控訴人らの上記怠る事実に係る主張は,法242条1項所定の監査請求を経ていないものであるから,その余の点について判断するまでもなく,失当である。 (2)提訴後支出分に係る請求の被告適格についてア控訴人らは,被控訴人市長に対する損失補償の支出差止請求のうち,提訴後支出分については,住民訴訟提起後に支出された(当事者間に争いがない)ことから後発的に差止めの利益が失われたため,当審において,。 上記支出分に係る被控訴人市長に対する訴えを取り下げ(被控訴人市長は上記取下げに同意した,他方,被控訴人P1に対する損害賠償請求に。)提訴後支出分相当額を追加した。上記追加は,行政事件訴訟法19条1項(法242条の2第11項,行政事件訴訟法43条3項による準用,以下同じ)に基づく,請求の追加的併合であるところ,被控訴人P1は,提。 訴後支出分のうち,同被控訴人が平成15年1月に市長を退任した(被控訴人P1は原審係属中の平成15年1月17日まで市長であったが,その後退任し,後任の市長にP16が就任したことは,公知の事実である)。 後の支出分(別紙2⑭ないし⑳記載,別表A⑭ないし⑳記載と同じ。以下「退任後支出分」という)については,被告適格がないと反論した。 。 被控訴人P1は,控訴人らによる請求の追加 公知の事実である)。 後の支出分(別紙2⑭ないし⑳記載,別表A⑭ないし⑳記載と同じ。以下「退任後支出分」という)については,被告適格がないと反論した。 。 被控訴人P1は,控訴人らによる請求の追加的併合自体については異議を述べなかった(当裁判所に顕著な事実)から,上記追加的併合について同意したものとみなされる(同法16条2項。また,上記取下げに係る)差止請求と上記追加的併合に係る損害賠償請求は,いずれも控訴人らが違法であると主張する損失補償契約を支出負担行為とする支出の差止請求と同支出の実行を前提とする損害賠償請求であるし,被控訴人P1に対する係属中の損害賠償請求とも中心的争点が共通しているから,同法13条1項所定の関連請求に該当すると認められる上,公金支出差止めと,同公金-- 支出後の損害賠償請求は密接不可分の関係にあって,差止請求に係る公金が実際に支出された後は,同支出に係る損害賠償請求をすることが当然に予測されるというべきであるところ,前記(1)アで認定したとおり,本件監査請求においては,被控訴人P1が市長として行った支出負担行為である損失補償契約締結の違法も監査請求の対象とされているのであるから,違法な損失補償契約に基づく今後支出予定の損失補償が,後日,市により支出された場合には,これに応じて損害賠償等の必要な措置を求める趣旨も含まれていると解することができる。したがって,上記追加的併合に係る損害賠償請求は,本件監査請求を経たものであると解することができ,また,上記説示したところに照らすと,出訴期間の遵守についても,本件住民訴訟の提起時に提起されたものと同視することができる特段の事情が存するというべきである。 イそこで,退任後支出分についての被告適格について検討する。 前記(1)アで認定したとおり,本件監査請求に 住民訴訟の提起時に提起されたものと同視することができる特段の事情が存するというべきである。 イそこで,退任後支出分についての被告適格について検討する。 前記(1)アで認定したとおり,本件監査請求においては,被控訴人P1が市長として行った損失補償契約の締結が,公益性を欠き,市による債務保証を禁じた法律に違反するなどの理由により違法であることを根拠として,損失補償の支出の違法及び今後予定されている損失補償の支出の違法・不当を主張して,被控訴人P1に対し支出公金の返還及び支出差止めを求める必要な措置を請求する趣旨が含まれているから,本件監査請求当時には未だ支出されていなかった提訴後支出分について,後に被控訴人P1が市長として支出に係る財務会計行為をした場合には,上記支出公金の返還を求める趣旨であることは明らかである。 さらに,被控訴人P1が市長を退任した後に,後任の市長が退任後支出分の支出に係る財務会計行為をした場合でも,上記支出は,支出負担行為である損失補償契約締結に基づき,上記契約上の債務の履行として支出されるものであるところ,本件監査請求においては,上記のとおり,被控訴-- 人P1が市長として行った損失補償契約締結の違法も対象とされているのであるから,被控訴人P1は,退任後支出分についても,同支出分の原因となる支出負担行為である損失補償契約締結という財務会計行為の行為者として,退任後支出分の返還に係る損害賠償請求について,被告適格を有すると認めるのが相当である。 したがって,退任後支出分に係る損害賠償請求について被告適格を有しないとする被控訴人P1の主張は,採用することができない。 ウ上記イのとおりであるから,退任後支出分に係る法242条2項本文所定の当該行為のあった日とは,被控訴人P1による財務会計行為である損失補償契約 する被控訴人P1の主張は,採用することができない。 ウ上記イのとおりであるから,退任後支出分に係る法242条2項本文所定の当該行為のあった日とは,被控訴人P1による財務会計行為である損失補償契約締結の日(本件5行のうち,P17銀行については平成9年10月31日,その余の4行については同年9月30日)であると解すべき,。 ,であるから監査請求期間も同日から起算されることになるそうすると本件監査請求は,損失補償契約締結の日から1年を経過した後である平成12年12月20日にされたものであるから,本件監査請求当時には,法242条2項本文所定の監査請求期間を経過していたものである。 本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分に係る請求の監査請求期間の遵守の有無について(1)監査請求期間の起算点について控訴人らは,本件支出は一体となって本件会社に対する支援の基礎となっていたのであるから,監査請求期間の制限について切り離して判断すること,,は相当でなく最新の公金支出時を監査請求期間の起算点とすべきである旨補助金,損失補償のいずれも今後の支出が予定されている継続中の事業であるから,1年の経過などしていない旨を主張する。 しかしながら,本件補助金は,法232条の2を根拠とし,市議会の議決を経て支出されるものであり,他方,本件損失補償は,市議会の議決に基づき市長が本件5行との間で支出負担行為である本件損失補償契約の締結をし-- た上,同契約の約定に従って支出するものであり,原判決認定のとおり,市は,本件会社が本件5行に返済完了する以前に会社解散に至った場合には未返済元利金の全額を(ただし,本件会社解散後,本件5行との交渉により,年2回の半年賦元利均等償還とされた。乙58,59,本件会社が毎年所)定の約定償還期日を経過した日以 会社解散に至った場合には未返済元利金の全額を(ただし,本件会社解散後,本件5行との交渉により,年2回の半年賦元利均等償還とされた。乙58,59,本件会社が毎年所)定の約定償還期日を経過した日以後,本件5行が本件会社に債務の履行を催告してもなお所定の弁済を行わなかった場合には当該約定期日における返済元利金を,それぞれ損失額として支出するというものであるから,本件会社の解散ないし履行遅滞を支出の条件としている点で,上記補助金とは性質が異なるものである。このように,本件補助金と本件損失補償は,別個独立の支出負担行為に基づくものである上,各年度の各支出もそれぞれ別個の財務会計行為であることが明らかである。 確かに,本件支出は,いずれも経営が悪化した本件会社に対する金融支援の目的で支出されるものであることは,控訴人ら主張のとおりであるが,本件支出の違法性ないし不当性の判断においては,その目的等に照らして一体として判断するのを相当とする場合が存するとしても,上記のとおり,財務会計行為としては別個であるから,監査請求の対象としても別個であって,監査請求期間の進行についても各行為ごとに検討・判断すべきである。 また,退任後支出分については,損失補償契約締結日から監査請求期間を起算すべきであり,監査請求期間経過後に本件監査請求がされたことは前記2(2)ウで説示したとおりである。 したがって,本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分については,監査請求期間経過後に本件監査請求がされたものであり,控訴人らの上記主張は採用することができない。 (2)本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分に係る監査請求についての,正当な理由(法242条2項ただし書)の存否について,,ア当裁判所も本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分については-- 求期間外の各支出及び退任後支出分に係る監査請求についての,正当な理由(法242条2項ただし書)の存否について,,ア当裁判所も本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分については-- 遅くとも,市議会が本件補助金の支出を「凍結」する旨の修正案を可決した旨報道された平成11年3月17日の時点(ただし,別紙2⑥,⑦記載の各支出については各支出行為後まもない時期)において,荒尾市民が監査請求をするに足りる程度に監査請求期間外の各支出の存在及び内容並びに退任後支出分の支出負担行為である損失補償契約の存在及び内容を知ることができたものと認めるのが相当であると考える。 控訴人らは,市民が監査請求をするに足りる程度に,本件監査請求期間外の各支出の存在及び内容並びに損失補償契約の存在及び内容を知るためには,α事業に関する詳しい収支計算書等が開示され,経営再建策の内容が具体性に欠けるもので無為無策であったことなどを市民が理解できることが必要であるところ「広報あらお」は市当局の広報・宣伝媒体として,の性質上,市民が問題点を把握できるようなものではなく,市議会での議論状況を知らせる記載もないし,荒尾市ではインターネットにおけるホームページのような広報手段はなく「市民オンブズマン」のような市民有,,,志の組織もない上新聞の報道内容は各新聞社の方針によって区々であり問題点の所在を市民が認識できる内容とはなっていないから,上記広報等をもって,市民が,損失補償契約及び本件支出に係る問題の所在を十分認識することができたとはいえないと主張する。 ,,(,イそこで検討するに原判決認定の事実に加え 証拠 甲31ないし36144ないし170,乙6ないし8,13,17,19,20,71ないし81,89ないし91,97,197ないし199,20 (,イそこで検討するに原判決認定の事実に加え 証拠 甲31ないし36144ないし170,乙6ないし8,13,17,19,20,71ないし81,89ないし91,97,197ないし199,201,202,285)によると,次のとおり認められる。 (ア)平成5年7月のα開園後,本件補助金の支出が事実上凍結されるに至る平成11年3月までの間に開催された市議会定例会や市議会臨時会においては,ほぼ毎回にわたり,一般質問等において,本件会社の具体的な経営状況(αの入場者数やβ乗船者数の推移,本件会社の各期の決-- 算内容,単年度収支,累積赤字,負債総額などの状況,今後の経営見通しなど)について質疑・答弁がされている。 (イ)平成6年開催の市議会では,αの集客状況の悪化及びその原因として施設の魅力不足等が指摘され,本件会社内に設置された専門委員会において経営改善策を検討していることが説明された(甲144ないし146。 )(ウ)平成7年開催の市議会では,αの入場者数がさらに減少し,毎年赤字が累積する厳しい経営状況となっていることを踏まえて,市議会議員から抜本的再建策の早急な策定と実行が求められていたが,本件会社からは具体的再建案の提示がされない状況が続いた(甲147ないし151。 )(エ)平成8年開催の市議会では,α事業再建の核として,γにδ(ゲームセンター)が入店することが報告され,同年3月の定例会で,本件会社の増資にあたり市が1億6500万円を出資することが議決されたが,その後の市議会では,議員から,δの入店によりαがレジャー施設に変身したとして,本来の学習文化施設としての役割の維持を疑問視する意見が述べられ,α事業に市財を投入することに市民の厳しい反対があることや,δ入店後も厳しい経営状況が続いていることを踏まえ,抜 設に変身したとして,本来の学習文化施設としての役割の維持を疑問視する意見が述べられ,α事業に市財を投入することに市民の厳しい反対があることや,δ入店後も厳しい経営状況が続いていることを踏まえ,抜本的再建策の提示が遅れていることの指摘がされた(甲152ないし158。 )(オ)平成9年開催の市議会では,具体的再建策が提示されぬまま赤字が累積するα事業に見切りをつけ整理すべきであるとの意見が再三述べら(,,,)。 ,,れた甲159 乙244また本件臨時会等で赤字補填のための補助金支出の是非や市による損失補償は違法な債務保証に該当するのではないかという問題が指摘され(甲161,164,乙19,同年12月の定例会では,本件債務負担行為について,市民)-- は,税金の無駄遣いであるとして裁判を提起するほどに怒っている旨の指摘がされた(甲163の3~14頁。 )(カ)平成10年開催の市議会でも,毎回,主要2社によるα事業の具体的再建策の現状や今後の経営見通しについて質問がされたが,市当局は再建に向けて具体的効果を見守りたいと答弁するに止まっていた(甲165ないし168。また,市議会議員から,市に対し,本件債務負担)行為について,荒尾市監査委員の監査を受けることの要望がされた(甲167の4~54頁。 )(キ)平成11年3月の定例会(同月9日)においても,α事業の再建計画の達成率と今後の見通しについて質問がされ,本件会社の存続及び廃()。 業に関する政治的判断をする時期であるとの指摘がされた甲170(ク)上記(ア)ないし(キ)の市議会における質疑答弁内容については,すべて荒尾市議会会議録が作成されるところ,上記会議録は本会議閉会から3か月程度経過後に完成し,荒尾市民は,市議会事務局,市 (ク)上記(ア)ないし(キ)の市議会における質疑答弁内容については,すべて荒尾市議会会議録が作成されるところ,上記会議録は本会議閉会から3か月程度経過後に完成し,荒尾市民は,市議会事務局,市立図書館及び市役所1階の市民相談窓口において自由に閲覧することができる(乙199。 )(ケ)地元新聞であるνやξ新聞及び全国紙においても,本件会社によるα事業の経営状況やこれに関する市議会の審議状況について継続的に報道されており(乙74ないし81,97,197,198,本件債務)負担行為については,平成9年9月20日付けで,本件全員協議会において,市長が市と主要2社とが本件会社の債務を折半して負担するとの本件会社の再建支援策を説明した旨や,市が本件会社の存続を選択したことについて市民に対する説明が求められるとの意見が掲載され(乙9,同月30日及び同年10月1日付けで,本件臨時会における市長)発言内容や破産に近い状態にある本件会社に対する金融支援策として本件債務負担行為が可決された旨が報道された(乙11,12,20,9-- 4。 )(コ)本件補助金に関する市の平成11年度一般会計当初予算案について,修正案が可決されて予備費に組み替えられ,補助金の支出が事実上凍結されるまでの市議会や総務委員会における審議経過についても,平成11年3月9日ないし同月18日付けの地元紙等において報道された(甲32ないし36,乙201,202。 )ウ上記認定の市議会における質疑答弁内容及び市議会会議録の作成・開示状況,α事業関連の新聞報道状況並びに原判決認定の「広報あらお」の掲載内容・配布状況,本件臨時会における質疑答弁内容等に照らすと,荒尾市民は,α開園後の本件会社の経営悪化の経緯・状況やα事業の現状のほか,平成9年9月当時,本件会社が, 判決認定の「広報あらお」の掲載内容・配布状況,本件臨時会における質疑答弁内容等に照らすと,荒尾市民は,α開園後の本件会社の経営悪化の経緯・状況やα事業の現状のほか,平成9年9月当時,本件会社が,累積赤字14億3000万円余り,借入金残高30億3000万円余りを抱えて破産に近い状態に至っている(乙94)状況において,経営健全化のため,市による金融支援として本件債務負担行為が可決されたこと,これに基づき補助金(平成10年度支出分まで,損失補償が支出されたが,補助金については,上記のとおり)予算が予備費に組み替えられ,平成11年度以降は支出されていないことについて,新聞報道によりほぼ同時進行で知ることができた上,市議会において,平成6年以降α事業の再建が検討され,集客・増収策として大規模ゲームセンターが入店するなどしたが,実施した再建策は奏功せず,抜本的再建策も提示されなかったこと,市議会において補助金の支出要件及び損失補償の違法性について問題とされたことについて,平成10年3,4月ころには,市議会会議録の閲覧等により知ることができたのであるから,遅くとも,本件会社による再建努力が足りないとして,補助金の支出が事実上凍結されたことが報道された平成11年3月17日には,荒尾市民は,損失補償契約の違法性や,本件支出の公益性・公共性に関する問題意識を持ち,監査請求をなし得る程度に監査請求期間外の各支出の存在及-- び内容並びに損失補償契約の存在及び内容を知り得たものということができる。 これに対し,控訴人らは「広報あらお」の掲載内容や新聞報道内容に,は限界があるなどとして,これらによって市民が損失補償契約及び本件支出に係る問題の所在を十分認識することができたとはいえないと主張するが,上記イで認定したとおり,α事業の経営再建問題等 道内容に,は限界があるなどとして,これらによって市民が損失補償契約及び本件支出に係る問題の所在を十分認識することができたとはいえないと主張するが,上記イで認定したとおり,α事業の経営再建問題等について,平成6年以降の市議会において,ほぼ毎回,長期にわたり継続的に具体的経営状況を踏まえ,違法性を指摘するなどの審議がされてきた経緯が存するのであるから,荒尾市民は,上記「広報あらお」や新聞報道に加え,荒尾市議会会議録を閲覧することによって,問題の所在を十分に認識することができたというべきであって,控訴人らの上記主張は理由がない。 以上のとおりであるから,本件監査請求期間外の各支出及び退任後支出分についての監査請求が監査請求期間経過後にされたことについて,法242条2項ただし書の正当な理由があると認めることはできない。 したがって,被控訴人P1に対し上記の各支出に係る損害賠償を求める控訴人らの訴えは,不適法として却下せざるを得ない。 別表A⑧記載(別紙2⑧記載と同じ)の損失補償及び別表A⑨ないし⑬記。 載の損失補償(提訴後支出分から退任後支出分を除いたもの)の各支出の違。 法性の有無並びに別表B記載のとおり支出が予定されている損失補償の差止請求の当否について(1)控訴人らは,α事業は,当初から公益性・公共性を有しないものであったか,遅くとも債務負担行為がされた平成9年9月時点には,公益性も公共性も全く喪失していたから,このようなα事業に対する金融支援として,損失補償を支出し,あるいは支出しようとすることは違法であるとしてるる主張する。 当裁判所も,原判決第6,4(2)アのとおり,本件損失補償の支出につい-- ても,地方自治行政の基本原則(法2条)や地方財政運営の基本原則(地方,),()財政法3条4条にかんがみ 判所も,原判決第6,4(2)アのとおり,本件損失補償の支出につい-- ても,地方自治行政の基本原則(法2条)や地方財政運営の基本原則(地方,),()財政法3条4条にかんがみ寄附又は補助をする場合法232条の2,,と同様に公益上の必要性が認められないような支出をすることは許されずそのような支出については,違法・不当であるとして,支出公金についての損害賠償請求や支出が予定されている公金の支出差止請求が認められるべきであると考える。しかし,公益上の必要性の有無については,これを一義的に決定することは困難であり,それぞれの地方公共団体における社会的,経済的,地域的諸事情の下において,当該支出に係る行政目的に照らした政策的な考慮に基づく個別具体的な判断がされるべきものであるから,第一次的には,地方公共団体の長等が判断し,次に,地方議会が予算審議等を通じて判断することになるところ,上記地方公共団体の長等の判断に,裁量権の逸脱,濫用がある場合には,当該支出は公益上の必要性が認められず,違法・不当であると判断すべきものと考える。 (2)そこで,検討するに,α事業の目的,事業経過等は,原判決第6,2(1)ないし(6),4(2)ウエオカ認定のとおりであり,さらに,証拠(甲215,,,,,,),乙64 135ないし139 によるとα開園前後の経過について,概要次の事実が認められる。 ア市は,昭和63年に提起されたε構想に基づき,本件会社を設立する等,ε計画(後にα事業として具体化される)の実施を推進し,上記構想にお。 いて協調・補完関係を持つことが期待され,P10企業が中心となって進めていた九州η構想が平成3年12月に白紙撤回された後も,平成4年12月に策定された新荒尾市総合計 の実施を推進し,上記構想にお。 いて協調・補完関係を持つことが期待され,P10企業が中心となって進めていた九州η構想が平成3年12月に白紙撤回された後も,平成4年12月に策定された新荒尾市総合計画において,荒廃していたπの炭住跡地が広がる市内μ地区を事業対象地として,ε計画を第三セクターである本件会社によって推進していくほか,これに隣接して,温泉を核とするリゾート施設であるλ施設を開発することとし,これらの周辺地区においても高度商業集積整備計画の実施を進めながら,観光・商業・文化都市を目指して,産業構造-- の転換だけでなく,都市構造,交通体系,生活環境等の様々な分野で関連した総合的な都市作りを行う方針を明らかにし,これを推進してきた。 イα事業の収益予測等の採算性については市の委嘱による事業化研究会委,(員は,P12,P10企業,地元企業,金融機関,商工会議所,県,市,学識経験者などで構成)が企業化調査を行うなかで,P14が平成2年10。 月26日付けで採算性の検討を踏まえた実施計画案を取りまとめ,同案においては,P3に隣接する事業用地にテーマパークを開園することにより,P3と施設面及びイベント面において連携を図ることを重視し,上記連携による相乗効果によりP3の利用実績(年間利用者約140万人)を基本とした算定が妥当であるとして,テーマパークの年間利用者数が72万人と設定されていた。その後の平成3年9月から平成4年にかけてP6がε実施計画基本計画を策定して施設の全体構成を打ち出し,平成3年12月に,P5が上記P14の実施計画案をマスタープランとして,年間利用客を74万人と予測する商業ゾーン基本計画を策定し,本件会社は,これらのコンサルタント業者が策定した基本計画等を参考として,初年度来場者をミニチュアランド(βに相 案をマスタープランとして,年間利用客を74万人と予測する商業ゾーン基本計画を策定し,本件会社は,これらのコンサルタント業者が策定した基本計画等を参考として,初年度来場者をミニチュアランド(βに相当する)につき50万人,物販・飲食につき75万人とする実施。 計画を取りまとめ,上記計画を資料として平成4月9月の全員協議会において,ε実施計画の説明をした上,開園に至ったものである。 ウ平成5年7月のα開園後,P3との間の隣接地にホテル,娯楽施設等が次々と建設された。その後も,平成6年3月には,ε計画地等と,県道平山荒尾線を挾んで南東側に位置するμ地区において,炭住跡地にまとまりのある都市型住宅地を形成する旨のθ基本計画が策定され,平成8年3月には,θ計画地の南西に隣接する山の手周辺地区に,第三セクター方式により,大規模商業施設を建設する旨の荒尾市特定商業集積整備基本構想が策定された。 エ平成9年9月当時は,同年3月にπが閉山した直後である一方,上記大規模商業施設としてκが開店したばかりであり,さらに,市及び県が出資する-- 第三セクター方式による地ビール園の開園も計画されていた時期であった。 (3)α事業の公益性・公共性(教育文化学習施設としての性格)について控訴人らは,αは,一周わずか15分程度の水路の両側にアジアの文物のミニチュアを並べただけの施設であって,これにより学習効果を期待することは困難であるし,本件会社の定款の事業目的にも教育文化学習施設であるとは記載されていない上,平成9年には施設内容が大きく変貌し,完全にレジャー施設になったものであり,市当局も平成11年12月の市議会において,上記事実を認めていたなどと主張する。 ,,,しかしながら4(2)及び原判決第62(2)ないし(4)で認定のとおりα事業は,市が なったものであり,市当局も平成11年12月の市議会において,上記事実を認めていたなどと主張する。 ,,,しかしながら4(2)及び原判決第62(2)ないし(4)で認定のとおりα事業は,市が,基幹産業であった石炭産業の縮小・合理化に伴って生じた市の就労人口の急激な減少,失業者増大,炭鉱住宅の荒廃等への対応,将来のζの閉山も視野に入れて,構造転換法に基づく特定地域の指定を受け,P12等による国や県の支援・指導等による国策に乗った地域振興対策として,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点の形成及び地域活性化を図るため,主導的に設立した本件会社により実施した,アジアとの文化交流をテーマとしたテーマパーク事業であり,主としてβやγで開催するイベント等により上記テーマを具現していたが,α開園の翌年ころから,入場者数及びβ乗船者数が減少し,経営状況の悪化が深刻な状態となったため,本件会社の経営を再建し,α事業を存続するための集客・増収対策として,平成7年にバンジージャンプ施設を設置し,平成8年8月にδα店が開店するなどレジャー施設を新規導入し,上記の新規施設導入等による集客・増収策と並行して,βについても,平成5年度に洞窟等の施設改修を行い,平成10年3月にはウォーターライドボートからカート使用に変更することにより,σに改装して施設改善及び集客対策を続けていたものである。 上記のとおり,α事業は,石炭産業の合理化・縮小によりζ閉山の事態-- も視野に入れた,迅速かつ根本的な産業構造転換の実現に迫られていた市が,地域振興対策の一環として,国策に沿って,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点の形成及び地域活性化を図るため,主導的に実施したものであり,石炭産業自体の浮揚は考えられない状況にあったのであるから,失業者の増大へ て,国策に沿って,観光・レクリエーションを軸とした地場産業拠点の形成及び地域活性化を図るため,主導的に実施したものであり,石炭産業自体の浮揚は考えられない状況にあったのであるから,失業者の増大への歯止め,就労人口の拡大,荒廃した炭鉱住宅周辺地区の再生等を目的としてのαの開園・存続を事業内容とするα事業自体が,市の地域振興対策として広義かつ高度の公益性・公共性を有するものであったといわねばならない。もとより,事業内容が私企業と同様に利潤追求のみを目的とする場合は別として,主たる事業内容とされたβは,αのテーマであるアジアとの文化交流を最も端的に具現する教育文化学習施設としての性格を有するものとして計画,開業されたのであり,地方公共団体が行う事業として不適当なものであったとはいえない。 さらに,開園の翌年ころから,入場者及びβ乗船者が減少し,α事業の経営難が深刻となったのであるから,事業を存続させて地域振興を押し進めるために,営利的効果のある新規のレジャーないしレクリエーション施設を導入して経営改善を図ることは,α事業の上記目的に反するものではない。また,上記集客・増収策と並行して,β自体についても,平成10年3月に大規模な改装をすることなどにより,一応はその教育文化学習施設としての維持・充実が図られていたのであるから,平成9年9月時点において,α事業が公益性を失っていたものとは認められないし,αが完全なレジャー施設になったということもできない。 本件会社の定款の記載如何や市議会における事業経営内容,目的等に関する質問と答弁等(甲143ないし174)によって,上記α事業の目的や公益性の実体が左右されるものでないことは明らかである。 よって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (4)α事業の採算性及び平成9年9月当時の経営状況等について- 74)によって,上記α事業の目的や公益性の実体が左右されるものでないことは明らかである。 よって,控訴人らの上記主張は理由がない。 (4)α事業の採算性及び平成9年9月当時の経営状況等について-- ア控訴人らは,α開園前にされた事業の収支予測は根拠を欠くものであった上,開園後の同年9月時点においては,事業の採算性を欠き再建可能性が全くないことが確定的であったから,このような事業の金融支援として本件損失補償を支出することには公益性がない旨主張する。確かに,α事業は,市が,本件会社に対し多額の出資をするなどの公金を投与して実施した地域振興対策事業であるから,公金支出の基礎となる公益目的を達成しうる事業継続性を備えるべきであり,また,第三セクター方式によるとはいえ,株式会社である以上,営利法人として収支が維持されるべきものであるということができる。そして,また,P8鑑定意見書等(原判決第6,4(2)ウ(イ))も,①建設費をみても資金計画の29億円余りが開業初年度で38億円余りと1.28倍の増加となり,②創業時の収益計画等についても,初年度から売上高総利益も計上できない経営実体であり,③平成7年度からのアミューズメント性への運営方針の転換等も,当初の収益力の欠如から経営不能となったものであるなどの問題点を指摘する。 イしかしながら,次のとおり,損失補償契約締結時等において,なお,α事業がその公益性を失っていたと認めることはできない。 (ア)開園前のα事業の採算性について前記のとおり,α事業は,産業構造のサービス化,ソフト化を軸とした産業開発と並行して,アジア諸国に近く歴史的つながりもある荒尾市地域の特性を活かした,人,物,情報,文化の交流を促進させる地場産業振興拠点を形成することが望ましいとする,P18の調査結果に基づき,観 業開発と並行して,アジア諸国に近く歴史的つながりもある荒尾市地域の特性を活かした,人,物,情報,文化の交流を促進させる地場産業振興拠点を形成することが望ましいとする,P18の調査結果に基づき,観光・レクリエーションを軸とする地場産業振興拠点の形成を目指し,年間約140万人という大規模な集客実績を有する大規模遊園地であるP3及び九州η構想との補完・協調関係を持ち,上記2つのプロジェクトと相乗的に開発効果を高め合うことによる地域経済の活性化を期待するというε構想に基づいて事業実施計画が策定されて開始され,α-- の開園に至ったものであり,その収益予測等の採算性については,単に市の内部機関等で検討されたものではなく,市の委嘱により,学識経験者らも含めた事業化研究会で検討され,P14が平成2年10月に取りまとめた結果に基づいてなされたものである。 このように,α事業の計画段階における採算性については,ε構想に基づき,集客実績を有する既存施設であるP3との連携及び集客における相乗効果を念頭におき,民間企業,金融機関,国,県,市及び学識経験者等を委員とする事業化研究会の検討調査結果及び複数のコンサルタント業者が策定した計画案を参考として,本件会社が検討結果を取りまとめたものであり,上記段階で調査可能な情報に基づき,複数機関による検討を経た上で実施計画が策定されたものであるといえるから,これ,。 が収支分析の根拠を欠くずさんなものであったということはできないまた,本件会社は,平成4年9月の全員協議会において,上記の経緯で取りまとめた収支分析結果を明らかにした資料を示すなどして,α事業の実施計画を説明しているのであるから(乙139,264,事業)計画書等が市議会に提出・公表されていないとする控訴人らの主張も理由がない。 (イ)平成 果を明らかにした資料を示すなどして,α事業の実施計画を説明しているのであるから(乙139,264,事業)計画書等が市議会に提出・公表されていないとする控訴人らの主張も理由がない。 (イ)平成9年9月当時の本件会社の経営状況及び本件会社の再建可能性についてαが開園した平成5年度以降の本件会社の収支は,毎年3億円ないし,()4億円の経常損失を計上しており平成8年度末平成9年3月31日における当期損失は3億6877万4000円であり,累積損失は14億3336万7000円,借入金残高は30億3769万4000円にのぼっていたことは,原判決第6,2,(4),(6)認定のとおりである。 さらに,本件会社は,平成8年度に運転資金等として本件5行から借り入れていた短期借入金合計5億5000万円について,弁済資金が調達-- できず,平成8年12月末,次に平成9年3月末と,支払期日の延期措置を繰り返した上,さらに猶予を求めて設定されていた同年9月30日の支払期限については,本件5行から返済を迫られており,猶予を求めることが極めて困難な状況であったところ,α事業について著しい増収が期待できるような抜本的,具体的経営改善策は見いだせない状況であった(甲3,177,乙19,238,244,245,253。 ),,,,このように平成9年9月当時本件会社は経営不振が続いたため多額の累積損失及び借入金残高を抱えており,金融機関等に対する弁済資金が調達できない上,抜本的経営改善策の目処も立っていなかったのであるから,自力による経営再建は到底期待できず,破産に近い状態であったと評価するのが相当である。 他方,本件会社は,同年6月20日ころから,内部において,取締役会や,相談役を加えた取締役・相談役会拡大会議,同会議を補助する責, 底期待できず,破産に近い状態であったと評価するのが相当である。 他方,本件会社は,同年6月20日ころから,内部において,取締役会や,相談役を加えた取締役・相談役会拡大会議,同会議を補助する責,,任者会議において本件会社の存続ないし廃止問題について検討した上経営再建の途を探ることとし,主力株主である市及び主要2社が最大限の支援を行うことを前提に,同年9月までに経営改善のための課題整理を行った結果,同年9月1日の取締役会において,上記30億3769万円余りの借入金の返済について,市50%及び主要2社50%の金融支援を受けること,今後の基本的業務運営については,主要2社から増収及び経費節減について強力な支援を受けて(βについてはP3社が,γ及び駐車場についてはP11が,施設活用及び増収対策につき,専門的ノウハウを駆使して努力するというもの,平成10年度から年間。)2億円台の売上げを確保し,単年度において減価償却前の黒字化を図ることを目標として最大限の取組みを行うとする経営再建スキームを承認した(甲3,乙18,245,253,265,原審証人P2)ものであり,これを受けて,被控訴人P1を始めとする市当局においても,上-- 記経営再建スキームにより本件会社の再建が期待できると判断して,本件全員協議会において上記経営再建スキームについて市議会議員に説明した上,上記金融支援のための本件債務負担行為に係る補正予算の議案を本件臨時会に提出したものである。 そこで,平成9年9月当時,本件会社について,上記経営再建スキームに沿った再建可能性が存したといえるか否かについて検討するに,α事業の平成8年度の売上高は1億7762万円余りであるところ(乙245,δα店の開店効果により,総入場者数が対前年度84%増とな)っていたのであるから,さ したといえるか否かについて検討するに,α事業の平成8年度の売上高は1億7762万円余りであるところ(乙245,δα店の開店効果により,総入場者数が対前年度84%増とな)っていたのであるから,さらにβやγの集客対策を行い,徹底した経費節減を実行することにより,平成9年度以降も,平成8年度の入場者数を維持し,減少傾向の歯止めを期待することは,ある程度期待できる状況であったと解される。そうすると,借入金返済について市及び主要2社の全面的支援を受けることを前提とするならば,上記のとおり,平成,,9年9月当時本件会社が破産に近い経営状態であった状況においても二千数百万円程度の増収を図り,年間2億円台の売上げを確保することにより本件会社の存続・再建を図る途を選択することが,全く可能性のない不合理な判断であったとは断じ難い。実際にも,増収には至らなかったものの,本件債務負担行為に基づく金融支援が実行され,βの運営がP3社に委託されて同社によりσに改装されるなどし,P3からの集客対策が実施された平成10年度は,前年度に比べ,単年度赤字が1億3000万円ほど圧縮され,今後,抜本的再建策が提示されることによ,(,)。 り再建への期待が高まる状況もみられたものである乙81 これらのほか,平成9年9月時点における上記経営再建スキームによる本件会社の再建可能性の有無の判断は,極めて繊細な評価を要するものであったといえる上,前記説示のとおり,α事業が産業構造の転換を急務とする市において高度の公益性・公共性を有する事業であることか-- ら,採算性の追求を緩和して事業の存続を優先すべき場合があることを,,も併せ考慮すると被控訴人P1ら市当局が再建可能性ありと判断して本件債務負担行為につき議案を提出し,市議会の議決を得て,本件損失 ,採算性の追求を緩和して事業の存続を優先すべき場合があることを,,も併せ考慮すると被控訴人P1ら市当局が再建可能性ありと判断して本件債務負担行為につき議案を提出し,市議会の議決を得て,本件損失補償を支出したことが,α事業の採算性についての分析・判断を明白に誤ったものであると認めることは困難である。 これに対し,控訴人らは,前記P8鑑定意見書の意見内容,市が平成11年8月に行った経営分析結果(乙41)及び特別清算手続におけるP9清算人の報告書(甲29)において,いずれも本件会社の事業継続性ないし採算性が否定されているとするが,必ずしも平成9年9月当時におけるα事業の具体的経営状況を踏まえた採算性の検証がされたと認めるには足りない上,同鑑定意見書によっても,平成8年度には,複合レジャー施設化により売上高は33%余りの増加となったこと,また,土地再評価により現金収入に影響はないものの,債務超過との状況は脱することができたことなどを考慮すると,上記認定判断を左右するものと認めることはできないというべきである。 以上のとおりであるから,α事業の採算性についての控訴人らの主張は,たやすく採用することができない。 (ウ)被控訴人P1が市議会に対する報告・説明義務を怠ったとの控訴人らの補足主張について前記のとおり,控訴人らは,被控訴人P1には市議会に対する説明義務の違反があり,本件支出に対する市議会の承認は,被控訴人P1を免責するものではない旨主張する。 しかしながら,開園前のα事業の採算性については,本件会社が事業化研究会の検討調査結果及び複数のコンサルタント業者が策定した計画案を参考として実施計画を策定し,平成4年9月の全員協議会において収支分析結果を明らかにした資料を示すなどし,α事業の実施計画を説-- 明していること,開園後 ンサルタント業者が策定した計画案を参考として実施計画を策定し,平成4年9月の全員協議会において収支分析結果を明らかにした資料を示すなどし,α事業の実施計画を説-- 明していること,開園後の本件会社の具体的な経営状況及びα事業の現状や今後の経営見通しについても,市議会において毎回のように質疑・答弁がされていることは,前記3(2)イ(ア)及び原判決第6,4(2)オ(ア)で認定,説示のとおりである。また,本件債務負担行為の内容,市がそのような金融支援を行う根拠や必要性,金融支援による本件会社の再建可能性などについては,本件全員協議会で被控訴人P1ら市当局が資料(甲3)を配付した上,説明を行い,本件臨時会及び同会から本件債務負担行為に係る補正予算議案について付託を受けた経済環境常任委員会及び総務常任委員会において,質疑・答弁等がされた上,両委員会ともに原案のとおり可決すべきであるとの意見が多数であったところ,本件臨時会において上記議案が賛成多数で可決されたことは原判決第6,2,(6)認定のとおりである。 このように,α事業の採算性や本件会社の経営状況・再建可能性については,本件会社,被控訴人P1ら市当局が資料を示すなどして説明を行い,毎年の市議会においても,具体的な経営状況等を踏まえた上,継,,続して質疑・答弁がされているのであり本件債務負担行為についても市議会において,α事業の存続のため巨額の公金を支出することの是非について踏み込んだ論議がされた結果,本件臨時会において承認されたものであるということができる。したがって,被控訴人P1がα事業の採算性について十分な情報提供や状況説明をしなかったものであるということはできない。 また,前記4(2)イのとおり,α事業はε構想に基づいて事業実施計画が策定され,P3と施設面及びイベン がα事業の採算性について十分な情報提供や状況説明をしなかったものであるということはできない。 また,前記4(2)イのとおり,α事業はε構想に基づいて事業実施計画が策定され,P3と施設面及びイベント面において連携を図ることを重視して,ζの炭住跡地に建設されたものであるから,P3社ないしP10企業の支援ないしこれらの企業との連携が不可欠であったものといえるが,被控訴人P1がP10企業の利益を図る目的で殊更にα事業が-- 公益性を有する旨強弁したものであるとは認められないし,市議会がチェック機能を果たすことができないまま,同事業の開始,継続を是認していったものであると疑うべき事情も認めることができない。 以上のとおりであるから,控訴人ら主張の市議会に対する報告・説明義務違反の主張は理由がなく,損失補償契約の締結とこれに伴う支出の違法性の有無の判断を左右するものとはいえない。 (エ)平成9年9月当時の本件会社の再建ないしα事業の有効活用の可能性について控訴人らは,平成9年9月当時の本件会社の再建ないしα事業の有効活用の可能性については厳しい検討が必要であるのに,原判決は判断を回避し,画一的な判断を下しておらず,合理的かつ客観的に当時のα事業の経営状況を判断すれば,再建ないし事業の有効活用の可能性は喪失していたというべきであると主張するが,前記4(4)イ(イ)で認定説示,,,したとおり平成9年9月当時本件会社は破産に近い状態であったが借入金返済について市及び主要2社の全面的支援を受けることを前提とするならば,年間2億円台の売上げを確保することにより本件会社の存続・再建を図る途を選択することが,全く可能性のない不合理な判断であるとは断じ難い状況であったのであり,本件会社取締役会が承認した経営再建スキームによる本件会社の再建 確保することにより本件会社の存続・再建を図る途を選択することが,全く可能性のない不合理な判断であるとは断じ難い状況であったのであり,本件会社取締役会が承認した経営再建スキームによる本件会社の再建可能性の有無の判断は,極めて繊細な評価を要するものであったといえる上,α事業が高度の公益性・公共性を有する事業であることに照らすと,被控訴人P1ら市当局が再建可能性ありと判断したことが,α事業の採算性についての分析・判断を明白に誤ったものであると認めることは困難である。 (オ)本件損失補償契約締結についての公益上の必要性について控訴人らは,原判決が,経営が悪化した本件会社を市が特段の支援をせず,いきなり破綻させれば,国,県等の信頼を失いかねず,以後の市-- の各事業に対する支援・協力等につき悪影響が出るおそれがあるとしたのは,事実を誤認した不当な判断であり,平成9年9月当時,市は本件会社に対し,増資の引受け,市の融資制度の適用,奨励金等により,すでに特段の支援をしており,いきなり破綻させることにはならないし,市は,国や県とは独立した組織として対等に存在し,それぞれ法律等に基づいて行政を行っているのであるから,信頼関係の悪化を過大評価するべきではなく,上記信頼関係を,税金の有効活用による地域住民の生活環境の向上に優先すべきではない旨主張する。 しかしながら,上記認定の平成9年9月当時の市の開発計画の実施状況等に照らすと,α事業は,当時,破産に近い経営状況であったとはいえ,市における他部門の開発計画や開発事業と一体として進められてきた経緯が存し,既存事業や後続として予定されている事業と相互に関連・補完しながら地域振興対策としての機能を果たすものとしての役割を担っていたものということができる。 このような市の地域的事情に加え,前記説示の し,既存事業や後続として予定されている事業と相互に関連・補完しながら地域振興対策としての機能を果たすものとしての役割を担っていたものということができる。 このような市の地域的事情に加え,前記説示のとおり,平成9年9月当時,本件会社の再建可能性が完全に喪失していたものとは断じ難い状況であったこと,損失補償にかかる債務負担行為については,市議会において十分論議がされた上,賛成多数で承認されたことを総合すると,被控訴人P1が,経営が悪化した本件会社に対し,市が経営再建の金融支援をすることなく,平成9年9月の時点で本件会社を破綻させ,α事業を頓挫させた場合の,本件会社の出資者である国,県,地場企業等との信頼関係の喪失による悪影響や,市が今後も実施を予定している地域振興対策事業等に対する国や県の支援・協力等に支障が出るおそれがあるとの政策的考慮を行い,損失補償契約を締結し,損失補償の支出に至ったことが,その裁量権を逸脱した違法,不当なものであると解することは困難である。 -- また,本件損失補償の支出が被控訴人P1その他α事業の関係者に対し,同事業の清算と関わりのない不正な利益をもたらすものであるとはうかがわれないし,損失補償の支出の結果として,市の財政事情に明らかな打撃が生じたものであるというべき具体的な事情も認められないのであるから,上記控訴人らの主張を採用することはできない。 (5)以上のとおりであり,控訴人らがその他るる主張する点を勘案しても,本件損失補償契約に基づく支出が違法であるとはいえないから,控訴人らの上記各請求は理由がないというほかはない。 第5 結論 よって,控訴人らの被控訴人P1に対する損害賠償請求のうち,本件監査請求期間外の各支出に係る損害賠償請求に関する訴えを不適法であるとして却下し,被控訴人P1に対するそ というほかはない。 第5 結論 よって,控訴人らの被控訴人P1に対する損害賠償請求のうち,本件監査請求期間外の各支出に係る損害賠償請求に関する訴えを不適法であるとして却下し,被控訴人P1に対するその余の損害賠償請求(ただし,提訴後支出分を追加する以前のもの)及び控訴人らの被控訴人市長に対する本件損失補償の支出差止請求(ただし,控訴人らは,当審において,前記第3の1(1)ア(ア)のとおり,差止請求の一部取下げ及び減縮をした)を棄却した原判決は相当として是認するこ。 とができ,控訴人らが当審において追加した提訴後支出分に係る被控訴人P1に対する損害賠償請求については,別表A⑨ないし⑬記載の各支出に係る請求を棄却し,同⑭ないし⑳記載の各支出に係る請求に関する訴えを却下すべきものであるから,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第4民事部裁判長裁判官牧弘二裁判官永松健幹-- 裁判官野島香苗
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