27,163 文字
判決主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、原告aに対し、10万円及びこれに対する令和元年10月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。2 被告は、原告bに対し、10万円及びこれに対する令和元年10月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。第2 事案の概要本件は、弁護士である原告らが、自己が弁護人を務めた刑事事件の公判手続における裁判官及び検察官の対応により、弁護人としての防御権を侵害されたなどと主張して、被告に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、慰謝料10万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和 元年10月3日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前の法)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。1 関係法令の定め本件に関係する刑事訴訟法(以下「刑訴法」という。)及び刑事訴訟規則(以 下「刑訴規則」という。)の定めは、別紙1関係法令の定めに記載のとおりである。2 前提事実(争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認められる事実)⑴ 当事者 原告a(以下「原告a」という。)及び原告b(以下「原告b」という。) は、いずれも弁護士であり、名古屋地方裁判所に係属した後述の強盗致傷、窃盗被告事件(以下「本件被告事件」という。)において国選弁護人を務めた者である(原告aが主任弁護人を務めた。)。⑵ 審理の経過ア本件被告事件の被告人(以下、単に「被告人」という。)は、いわゆる 援助交際の誘いに応じ )において国選弁護人を務めた者である(原告aが主任弁護人を務めた。)。⑵ 審理の経過ア本件被告事件の被告人(以下、単に「被告人」という。)は、いわゆる 援助交際の誘いに応じた男性から金品を脅し取ろうと考え、2名の共犯者(以下、本件被告事件における略称にならって「共犯者C」、「共犯者D」ということがあり、被告人と併せて「被告人ら」ということがある。 告人」という。)は、いわゆる 援助交際の誘いに応じ )において国選弁護人を務めた者である(原告aが主任弁護人を務めた。)。⑵ 審理の経過ア本件被告事件の被告人(以下、単に「被告人」という。)は、いわゆる 援助交際の誘いに応じた男性から金品を脅し取ろうと考え、2名の共犯者(以下、本件被告事件における略称にならって「共犯者C」、「共犯者D」ということがあり、被告人と併せて「被告人ら」ということがある。)と共謀の上、平成30年4月28日、愛知県知立市所在の公園において、援助交際の誘いに応じた被害者に暴行を加えて現金約10万円及び被害者 名義のキャッシュカード等在中の財布を強取し、その後に行ったものも含む一連の暴行により上記男性に鼻骨骨折等の傷害を負わせ、また、当該キャッシュカードを使って現金24万円を引き出して窃取したとして、同年9月11日、強盗致傷罪、窃盗罪で名古屋地方裁判所に起訴された(本件被告事件)。イ本件被告事件は、名古屋地方裁判所刑事第2部に係属し、c裁判官(以下「担当裁判長」という。)が裁判長を務める合議体(以下「担当裁判所」という。)により、窃盗罪も含めて裁判員の参加する合議体で取り扱うこととされ、公判前整理手続を経て、公判期日が開かれた。担当裁判所は、d検察官ほか2名の検察官(以下、これら3名の検察官 を総称して「担当検察官」という。)及び原告ら出席の上審理し、平成31年3月7日、被告人に対し、懲役5年を内容とする有罪判決を言い渡した(名古屋地方裁判所平成30年第1451号事件)。(甲3)ウ被告人は、前記イの判決を不服として控訴を申し立て、原告aは、被告 人の私選弁護人として、控訴趣意書において、要旨、担当検察官が、本件 被告事件に係る犯行日時より前に知立市内の図書館近くの公園で起きた出来 服として控訴を申し立て、原告aは、被告 人の私選弁護人として、控訴趣意書において、要旨、担当検察官が、本件 被告事件に係る犯行日時より前に知立市内の図書館近くの公園で起きた出来事(以下「図書館公園事件」という。)に関する共犯者Dの証言予定記載書面(共犯者Dが公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を開示しないまま、共犯者Dの証人尋問で図書館公園事件について尋問を始めたため、原告らが異議を申し立てたのに、担当裁判所が これを棄却して担当検察官に尋問を続行させたことが、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たることなどを主張した。 きた出来事(以下「図書館公園事件」という。)に関する共犯者Dの証言予定記載書面(共犯者Dが公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を開示しないまま、共犯者Dの証人尋問で図書館公園事件について尋問を始めたため、原告らが異議を申し立てたのに、担当裁判所が これを棄却して担当検察官に尋問を続行させたことが、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反に当たることなどを主張した。これに対し、控訴審担当の検察官は、令和元年6月10日に実施された控訴審の第1回公判期日において、図書館公園事件について記載がある共犯者Dの供述調書及び証言予定記載書面を原告らに対して開示していない 旨とその理由を述べた。名古屋高等裁判所は、令和元年6月24日、本件被告事件に係る控訴を棄却したが(名古屋高等裁判所平成31年第122号事件)、判決理由において、「当審での検察官の釈明によれば、証人Dが図書館公園事件についてどのような証言をするかについて、原審弁護人には事前に何らの情 報も開示されていなかったことが認められる。刑訴法316条の14第1項2号が証言予定記載書面を相手方である弁護人に開示しなければならないとしているのは、弁護人の防御権を保障するためである。…(中略)…原裁判所としては、原審弁護人の異議理由についての事実確認を踏まえた上で、図書館公園事件に関する証人Dへの尋問をどうするかについて当事 者と協議するなどして、原審弁護人への不意打ちを回避するための策を講ずべきであったのに、原審弁護人の主張を認識しつつ異議 た上で、図書館公園事件に関する証人Dへの尋問をどうするかについて当事 者と協議するなどして、原審弁護人への不意打ちを回避するための策を講ずべきであったのに、原審弁護人の主張を認識しつつ異議を棄却したことは、弁護人の防御権を侵害するものに他ならない。したがって、その後も原審検察官の証人Dに対する図書館公園事件に関する主尋問を続けさせたことは、訴訟手続の法令違反に当たるというべきである。もっとも、…(中 略)…前記訴訟手続の法令違反は判決に影響を及ぼさないことに帰着す る。」との判断をした。(甲1、12、乙5)エ被告人は、令和元年7月3日、上告の申立てをしたが、その後当該申立てを取り下げたことから、本件被告事件に係る判決は、同年11月11日に確定した。⑶ 図書館公園事件に関する証拠の整理及び公判における訴訟指揮等ア担当検察官は、 本件被告事件の公判前整理手続において、原告らが強盗の共謀及び窃盗の共謀を争う旨明らかにしたことを踏まえ、平成30年11月頃、担当裁判所及び原告らに対し、同月9日付「証明予定事実記載書⑵」(甲6・4~7枚目。 上告の申立てをしたが、その後当該申立てを取り下げたことから、本件被告事件に係る判決は、同年11月11日に確定した。⑶ 図書館公園事件に関する証拠の整理及び公判における訴訟指揮等ア担当検察官は、 本件被告事件の公判前整理手続において、原告らが強盗の共謀及び窃盗の共謀を争う旨明らかにしたことを踏まえ、平成30年11月頃、担当裁判所及び原告らに対し、同月9日付「証明予定事実記載書⑵」(甲6・4~7枚目。以下「本件証明予定事実記載書面」という。) を提出、送付した。本件証明予定事実記載書面には、強盗の事前共謀を認めるに足りる事実として、①被告人、共犯者C、共犯者D及びA(共犯者Dの元交際相手)の関係、②共犯者DがAの協力を得て「援交狩り」と称する悪事(Aがネットを用いていわゆる援助交際の相手を募り、これに応じてAに会いに来た男性がAと共にいる場面に被告人らが踏み込み、因縁 をつけ、場合によっては暴行を加えてでも現金等を奪う行為)を企てたこと、③被告人らが「援交狩り」を共謀したこと、④被告人らが③の共謀に基づいて実行に及んだこと(本件犯行前 らが踏み込み、因縁 をつけ、場合によっては暴行を加えてでも現金等を奪う行為)を企てたこと、③被告人らが「援交狩り」を共謀したこと、④被告人らが③の共謀に基づいて実行に及んだこと(本件犯行前、本件犯行時、本件犯行後)が挙げられている。そして、④の本件犯行前の事実の1つとして、「被告人、C及びDは、援助交際の相手を探し、援助交際の相手の男とどこかの公園 で待ち合わせをし、その公園において、Aが自動車を降りた後、自動車を降りた。しばらくした後、被告人は、Cらと一緒に自動車に戻ると、持っていた財布の中身を確認して、『中身が入ってない。』などと言った。その後、被告人、C及びDは、Aと次の援助交際の相手(被害者)との待ち合わせ場所をe公園とした。」との図書館公園事件に係る事実が記載され ており、これを証明するために用いる証拠としては、E(当時14歳の女 性で共犯者Dの元交際相手。本件被告事件当時、被告人らと行動を共にし、終始移動中の車内で待機していた。)の供述調書(甲7。本件被告事件における証拠番号は甲25)のみが挙げられていた。(甲6、7、乙3)イ担当検察官は、平成31年1月16日に開かれた第2回公判前整理手続期日において、立証趣旨を「共謀状況、共同犯行状況等」として共犯者D ており、これを証明するために用いる証拠としては、E(当時14歳の女 性で共犯者Dの元交際相手。本件被告事件当時、被告人らと行動を共にし、終始移動中の車内で待機していた。)の供述調書(甲7。本件被告事件における証拠番号は甲25)のみが挙げられていた。(甲6、7、乙3)イ担当検察官は、平成31年1月16日に開かれた第2回公判前整理手続期日において、立証趣旨を「共謀状況、共同犯行状況等」として共犯者D の証人調べを請求し、当該請求は同年2月20日の第4回公判前整理手続期日で採用された(乙2)。ウ担当検察官は、平成30年11月7日及び平成31年2月19日、刑訴法316条の15第1項に基づき、同項各号所定の証拠を原告らに開示した(いわゆる類型証拠開示)。その際開示された証拠の一つに、平成30 年8月29日午後2時30分から同日午後2時58分まで実施された共犯者Dの取調べにおける供述を記録した記録媒体(ブ に開示した(いわゆる類型証拠開示)。その際開示された証拠の一つに、平成30 年8月29日午後2時30分から同日午後2時58分まで実施された共犯者Dの取調べにおける供述を記録した記録媒体(ブルーレイディスク)(以下「本件記録媒体」という。)があり、以下の内容の音声が記録されている。検察官この日の今回の事件の前にどっか寄ってなんかやってるの。(中略)検察官 Cさんたちと合流して今回の事件起こすまでの間、なんかほかの事件起こしたとか。(中略)共犯者D …(中略)・・・いろいろありましたね。大変でしたわ。(中略)検察官どういう系?共犯者D どういう系?犯罪に当たるんかな…。検察官そんな微妙な話なんだ。共犯者D 僕単独なんで。大体は。むかついたんで。検察官むかついて何かしたってこと?共犯者D まあ、先にぼこぼこにされましたけど。検察官あー、誰かからってこと?え、なんでそのとき一人なの?共犯者D 一人ってわけじゃないですよ。(中略)検察官何にむかついたの?共犯者D …(中略)・・・なんかにむかついて、けんかになって、殴ったら、逆にやられましたね。検察官それはお金とろうとかそういうことじゃなかったってこと?共犯者D お金とろうか…でも考えてたんじゃないですか、もしかしたら。(中略)共犯者D だから、先にぼくが突っかかってるんでそのときは。で、返り討ちあっただけなんですよ。検察官一人でって 一人ってわけじゃないですよ。(中略)検察官何にむかついたの?共犯者D …(中略)・・・なんかにむかついて、けんかになって、殴ったら、逆にやられましたね。検察官それはお金とろうとかそういうことじゃなかったってこと?共犯者D お金とろうか…でも考えてたんじゃないですか、もしかしたら。(中略)共犯者D だから、先にぼくが突っかかってるんでそのときは。で、返り討ちあっただけなんですよ。検察官一人でって ゃないですか、もしかしたら。(中略)共犯者D だから、先にぼくが突っかかってるんでそのときは。で、返り討ちあっただけなんですよ。検察官一人でってこと?共犯者D そうですよ。ぼくは。検察官あなたは?共犯者D 相手もですよ。(中略)検察官 …(中略)・・・結局そのときは、とったりっていうのは、返り討ちにあったから…。共犯者D とってないですね。逆に慰謝料欲しいくらいですよ。検察官それは何、Cさんたちと会った後の話なの?共犯者D 前にも後にも。前はあれっすよ、普通にけんか。後は、ん、まあいいじゃないっすか。(乙4) エ担当検察官は、平成31年2月25日に開かれた第1回公判期日におい て、図書館公園事件を含む犯行に至る経緯等を共犯者Dの証言及びEの証言等で立証する旨の冒頭陳述をした(乙3)。オ平成31年2月26日の、第2回公判期日において、共犯者Dの証人尋問が実施された。原告らは、担当検察官が主尋問において「本件の被害者よりも前に、援助交際として、別の男性と待ち合わせしてましたよね。」 と尋問したこと(甲8・128、129頁以下「本件尋問」という。)に対し、本件尋問に係る共犯者Dの供述内容は公判前整理手続において開示されておらず、主尋問の範囲を超えているとして異議を申し立てた。しかし、担当裁判所は、当該異議の申立てを理由がないものとして棄却した。また、担当裁判長は、原告らによる共犯者D、被害者及び証人Eに対する 反対尋問において、関連性がない、誤導である等の理由で、複数回にわたり尋問を制限するなどした 理由がないものとして棄却した。また、担当裁判長は、原告らによる共犯者D、被害者及び証人Eに対する 反対尋問において、関連性がない、誤導である等の理由で、複数回にわたり尋問を制限するなどした。担当検察官は、上記棄却決定の後、共犯者Dに対し、再度、本件尋問と同内容の尋問を行った。これに対し、共犯者Dは、要旨、被告人らが、本件被告事件前、知立市内の図書館のある公園で、Aとの援助交際名目の誘 るなどした 理由がないものとして棄却した。また、担当裁判長は、原告らによる共犯者D、被害者及び証人Eに対する 反対尋問において、関連性がない、誤導である等の理由で、複数回にわたり尋問を制限するなどした。担当検察官は、上記棄却決定の後、共犯者Dに対し、再度、本件尋問と同内容の尋問を行った。これに対し、共犯者Dは、要旨、被告人らが、本件被告事件前、知立市内の図書館のある公園で、Aとの援助交際名目の誘 いに応じた男性に暴行を加え、男性が落としていった財布を確認したが、お金が入っていなかった、当該男性は共犯者Dが蹴った際、共犯者Dを殴り返すなどしてきた、との図書館公園事件に係る供述(甲8・131~139頁。以下「本件供述」という。)をした。(甲8) 3 争点⑴ 担当裁判長の訴訟指揮等に係る国賠法上の違法性⑵ 担当検察官による本件尋問に係る国賠法上の違法性⑶ 原告の損害及び額 4 争点についての当事者の主張 ⑴ 争点⑴(担当裁判長の訴訟指揮等に係る国賠法上の違法性)について (原告らの主張)ア判断基準国賠法1条1項の「違法」とは、公務員が行政活動を行うに際して職務上尽くすべき注意義務に違反することをいうが、裁判官がした争訟の裁判につき国賠法上「違法」と認められる要件は、これよりも相当厳格なもの である。もっとも、本件で対象とする担当裁判官の各行為は、訴訟指揮権の行使であって争訟の裁判ではない上、その態様も、本来中立的であるはずの裁判所が一方当事者の訴訟行為に踏み込み干渉するものであることから、かかる場合においてまで厳格な要件によるべきではなく、当該訴訟指揮権の行使が、裁量権を逸脱し、経験則及び論理則に違反した不合理な 場合には 事者の訴訟行為に踏み込み干渉するものであることから、かかる場合においてまで厳格な要件によるべきではなく、当該訴訟指揮権の行使が、裁量権を逸脱し、経験則及び論理則に違反した不合理な 場合には、国賠法上の違法があると判断されるべきである。また、仮に最高裁判所昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁(以下「昭和57年最高裁判決」という。)の基準に沿って本件について判断するとしても、昭和57年最高裁判決の「不当な目的」という基準については、当該裁判官が他の裁判官の誰もが間違えない(間 違えてはいけない)ことを間違えたか否かという観点から外形的・客観的に判断するものと理解されるべきである。 があると判断されるべきである。また、仮に最高裁判所昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁(以下「昭和57年最高裁判決」という。)の基準に沿って本件について判断するとしても、昭和57年最高裁判決の「不当な目的」という基準については、当該裁判官が他の裁判官の誰もが間違えない(間 違えてはいけない)ことを間違えたか否かという観点から外形的・客観的に判断するものと理解されるべきである。イ本件尋問における訴訟指揮以下のとおり、担当裁判所が本件尋問に対する原告らの異議を棄却し、担当検察官に主尋問を続行させた行為は、刑訴法316条の13第1項後 段、同法316条の14第1項2号に違反するものである。刑訴法316条の13第1項後段は、文言的には証明予定事実記載書面に余分なことは記載してはならない旨を定めているが、余分なことを記載してはならないということは、記載したことが全てだということである。そうすると、証明予定事実記載書面に記載のない事実は、検察官 において立証する意思がない事実ということになる。その結果、証明予 定事実記載書面に記載のない事実と証拠は公判で出てこないという前提で訴訟が進行することになる。本件証明予定事実記載書面には、共犯者Dの本件供述に係る事実の記載がなく、また、図書館公園事件に関し共犯者Dの供述に係る証拠も引用されていない。したがって、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実を本件証 共犯者Dの本件供述に係る事実の記載がなく、また、図書館公園事件に関し共犯者Dの供述に係る証拠も引用されていない。したがって、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実を本件証明予定事実記載書面に記載しないまま本件尋問を行ったのは、刑訴法316条の13第1項後段に違反する。そして、本件尋問に対する原告らの異議を棄却し、担当検察官の主尋問を継続させた訴訟指揮も、同項後段に違反する。刑訴法316条の14第1項2号の「その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」は、当該内容が公判期日における供述内容とおおむね同じ内容であり、かつ、同程度に具体的なものでなければならない。本件記録媒体は、きわめて抽象的かつ曖昧な供述である上、公判期日 における本件供述とは内容が全く異なっている。したがって、本件記録媒体は、「その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」に当たらない。 て供述すると思料する内容が明らかになるもの」は、当該内容が公判期日における供述内容とおおむね同じ内容であり、かつ、同程度に具体的なものでなければならない。本件記録媒体は、きわめて抽象的かつ曖昧な供述である上、公判期日 における本件供述とは内容が全く異なっている。したがって、本件記録媒体は、「その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」に当たらない。担当検察官は、「その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」を開示しないまま 本件尋問を行ったものであるから、本件尋問は、刑訴法316条の14第1項2号に違反する。そして、担当裁判所が本件尋問に対する原告らの異議を棄却し、担当検察官の主尋問を継続させた担当裁判長の訴訟指揮も、同号に違反する。上記、のとおり刑訴法316条の13第1項後段、同法316条 の14第1項2号に違反する担当裁判長の訴訟指揮は、弁護人である原 告らの防御権を侵害するものであり、裁量を逸脱した違法なものである。そして、仮に昭和57年最高裁判決の判断基準によるとしても 第1項2号に違反する担当裁判長の訴訟指揮は、弁護人である原 告らの防御権を侵害するものであり、裁量を逸脱した違法なものである。そして、仮に昭和57年最高裁判決の判断基準によるとしても、当該訴訟指揮は、違法又は不当な目的をもって行われたものであるから、違法である。ウ本件尋問以外の尋問における訴訟指揮 担当裁判長は、本件被告事件を検察官に有利に進めるべく、本件被告事件の弁護人による証人尋問(反対尋問)に、合計50回ほど介入した。他方、検察官の証人尋問に対しては、一度も介入しなかった。具体的な違法介入及び各介入に対する原告らの主張は、別紙2裁判所による介入一覧記載のとおりである。担当裁判長が公判を検察官の有利に進めることを意図していたことは、介入回数が異常であること、原告らの証人尋問の戦略に関わる部分等への介入であること、その他いずれも不必要な介入であったことから、明らかである。上記の訴訟指揮は、弁護人である原告らの防御権を侵害するものであり、 裁量を逸脱した違法なものである。そして、仮に昭和57年最高裁判決の判断基準によるとしても、当該訴訟指揮は、違法又は不当な目的をもって行われたものであるから、違法である。 とを意図していたことは、介入回数が異常であること、原告らの証人尋問の戦略に関わる部分等への介入であること、その他いずれも不必要な介入であったことから、明らかである。上記の訴訟指揮は、弁護人である原告らの防御権を侵害するものであり、 裁量を逸脱した違法なものである。そして、仮に昭和57年最高裁判決の判断基準によるとしても、当該訴訟指揮は、違法又は不当な目的をもって行われたものであるから、違法である。(被告の主張)ア判断基準 国賠法1条1項の「違法」とは、公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいい(職務行為基準説。最高裁判所昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁等参照)、当該公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限 り、違法の評価を受けるというべきである(最高裁判所平成5年3月11 照)、当該公務員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限 り、違法の評価を受けるというべきである(最高裁判所平成5年3月11 日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁、最高裁判所平成11年1月21日第一小法廷判決・判例時報1675号48頁参照)。そして、裁判官がした争訟の裁判について国賠法上の「違法」が認められるためには、裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官が違法又は不当な目的をも って裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする(昭和57年最高裁判決参照)。そして、裁判官の訴訟指揮権の行使も、事件の実質的内容に即した裁判官の判断作用と関連すること、瑕疵が存在したときには当該審級における訴訟手続内あるいは上訴による是正 が予定されていることからすると、この理は、争訟の裁判に限らず、裁判官の訴訟指揮権の行使にも妥当する。イ本件尋問における訴訟指揮 刑訴法316条の13第1項後段に関する原告らの解釈は、文理上導かれ得ないものであり、失当である。公判前整理手続の目的に鑑みると、 証明予定事実記載書面には、争点と証拠を整理し、審理計画を立てるために重要なものを記載しなければならないが、そのために具体的にどのような事項をどの程度盛り込むかは検察官の合理的な裁量に任されている。 限らず、裁判官の訴訟指揮権の行使にも妥当する。イ本件尋問における訴訟指揮 刑訴法316条の13第1項後段に関する原告らの解釈は、文理上導かれ得ないものであり、失当である。公判前整理手続の目的に鑑みると、 証明予定事実記載書面には、争点と証拠を整理し、審理計画を立てるために重要なものを記載しなければならないが、そのために具体的にどのような事項をどの程度盛り込むかは検察官の合理的な裁量に任されている。本件証明予定事実記載書面の記載から、担当検察官が公判期日におい て、事前共謀を推認させる間接事実として、図書館公園事件を含む「本件犯行前」の被告人らの言動を、そこにいた者の供述等 本件証明予定事実記載書面の記載から、担当検察官が公判期日におい て、事前共謀を推認させる間接事実として、図書館公園事件を含む「本件犯行前」の被告人らの言動を、そこにいた者の供述等により立証しようとしていたことは明白であって、その記載内容が証明予定事実記載書面の上記役割に照らし不十分と断じるべき点は見当たらない。したがって、本件証明予定事実記載書面の内容は、刑訴法316条の 13又は同法316条の21に違反するものとはいえない。本件記録媒体は、刑訴法316条の14第1項2号の「その者の供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」に該当する。したがって、担当検察官が、本件記録媒体の開示に加えて共犯者Dの証言予定記載書面を同号の書面として開示する必要はなく、担当検察官に同号違反の事実は認められない。同号 に関する原告らの解釈は、失当である。上記、のとおり、本件尋問は刑訴法の規定に違反するものではなく、原告らの反対尋問権の行使に実質的な支障もなかったことから、本件尋問に対する異議を棄却した担当裁判所の判断に不合理な点はない。また、他に、担当裁判所が違法又は不当な目的をもって異議の申立てを 棄却したなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別な事情もない。ウ本件尋問以外の尋問における訴訟指揮担当裁判長は、本件被告事件の公判における原告らの質問の趣旨が不明確であったこと等から原告らの尋問に介入したものである。かかる介入 は、原告らに質問の仕方を工夫するよう促すなどしたものであり、原告らの質問に係る証人の証言を公判上に現出させないよ てを 棄却したなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別な事情もない。ウ本件尋問以外の尋問における訴訟指揮担当裁判長は、本件被告事件の公判における原告らの質問の趣旨が不明確であったこと等から原告らの尋問に介入したものである。かかる介入 は、原告らに質問の仕方を工夫するよう促すなどしたものであり、原告らの質問に係る証人の証言を公判上に現出させないよ 趣旨が不明確であったこと等から原告らの尋問に介入したものである。かかる介入 は、原告らに質問の仕方を工夫するよう促すなどしたものであり、原告らの質問に係る証人の証言を公判上に現出させないよう積極的に阻止したものではない。したがって、本件尋問以外の尋問における訴訟指揮に係る原告らの主張にも、理由がない。⑵ 争点⑵(担当検察官による本件尋問に係る国賠法上の違法性)について(原告らの主張)ア判断基準後記(被告の主張)アの判断基準は、積極的には争わない。イ担当検察官による本件尋問 争点⑴について主張したとおり(原告らの主張イ)、担当検察官が、 共犯者Dの本件供述に係る事実を本件証明予定事実記載書面に記載しないまま本件尋問を行ったのは、刑訴法316条の13第1項後段に違反する。また、同様に(争点⑴原告らの主張イ)、担当検察官は、共犯者Dの「供述録取書等のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」を開示しないまま本件尋問を行ったのであるか ら、同法316条の14第1項2号に違反する(これらの法令違反は、故意によるものである。)。担当検察官が本件尋問を行ったことは、検察官の個人差を考慮に入れてもなお行き過ぎであり、経験則・論理則からして到底その合理性を肯定することができないという程度に達している。以上によれば、担当検察官が、本件証明予定事実記載書面に共犯者Dの本件供述に係る事実(図書館公園事件の具体的な犯行状況)とこの事実の関係証拠として共犯者Dの供述録取書等を記載しないまま、また、共犯者Dの供述録取等又は証言予定記載書面を開示しないまま、本件尋問を行ったことは、国賠法上違法 公園事件の具体的な犯行状況)とこの事実の関係証拠として共犯者Dの供述録取書等を記載しないまま、また、共犯者Dの供述録取等又は証言予定記載書面を開示しないまま、本件尋問を行ったことは、国賠法上違法である。 館公園事件の具体的な犯行状況)とこの事実の関係証拠として共犯者Dの供述録取書等を記載しないまま、また、共犯者Dの供述録取等又は証言予定記載書面を開示しないまま、本件尋問を行ったことは、国賠法上違法 公園事件の具体的な犯行状況)とこの事実の関係証拠として共犯者Dの供述録取書等を記載しないまま、また、共犯者Dの供述録取等又は証言予定記載書面を開示しないまま、本件尋問を行ったことは、国賠法上違法である。(被告の主張)ア判断基準争点⑴について主張したとおり(被告の主張ア)、国賠法1条1項の「違法」とは、公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいい、当該公務員が職務上尽くすべき注 意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受けるというべきである。そして、この理は、検察官の職務行為についても妥当し、検察官の訴訟行為につき、国賠法上の「違法」が認められるためには、当該訴訟行為に係る検察官の判断が、個人差を考慮に入れても、なお行き過ぎで経験則・論理則からしてそ の合理性を到底肯定することができないという程度に達している必要が あるというべきである。イ担当検察官による本件尋問担当検察官による共犯者Dに対する本件尋問が刑訴法上違法でなく、また、原告らの反対尋問権の行使を実質的に妨げるものでないことは、争点⑴について主張したとおりである(被告の主張イ)。担当検察官が共犯者 Dに対して本件尋問を行ったことは相当であり、そこに職務上の義務違背を認めることはできず、かかる担当検察官の行為に国賠法上の違法があるとはいえない。⑶ 争点⑶(原告らの損害及び額)について(原告らの主張) 原告らは、争点⑴で主張した担当裁判官の各行為(原告らの主張イ及びウ)並びに争点⑵で主張した担当検察官の行為(原告らの主張イ)によって防御権を侵害され、精神的苦 (原告らの主張) 原告らは、争点⑴で主張した担当裁判官の各行為(原告らの主張イ及びウ)並びに争点⑵で主張した担当検察官の行為(原告らの主張イ)によって防御権を侵害され、精神的苦痛を受けた。原告らの精神的苦痛を慰謝するための金額は、原告らそれぞれにつき10万円を下回らない。(被告の主張) 争う。第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に加え、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 らの主張) 原告らは、争点⑴で主張した担当裁判官の各行為(原告らの主張イ及びウ)並びに争点⑵で主張した担当検察官の行為(原告らの主張イ)によって防御権を侵害され、精神的苦痛を受けた。原告らの精神的苦痛を慰謝するための金額は、原告らそれぞれにつき10万円を下回らない。(被告の主張) 争う。第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に加え、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。⑴ 平成30年11月9日付けで担当検察官から担当裁判所及び原告らに提出された本件証明予定事実記載書面(甲6・4~7枚目)において、図書館公園事件に係る事実(同書面第1の4⑴ア)を証明するために用いる主要な証拠として「甲25」(Eの供述調書。本訴での甲7)が挙げられていた。このEの供述調書(甲7)には、要旨、①被告人ら及びAは、移動中の車内で 援交狩りの相手の男を探し、当該男とどこかの公園で待ち合わせをしたこと、 ②公園の近くまで来ると、Aが自動車を降り、その後、被告人らは近くの駐車場に自動車を止めて自動車から降りたこと、③Eが自動車内で待っていると、1時間もしないうちに被告人ら及びAが戻ってきたこと、その際、被告人は、援交狩りにより盗ったと思われる財布の中を見て「中身が入ってない。」などと述べたこと、④その後、被告人ら及びAは、別の援交狩りの相手の男 を探し、当該男と、上記とは別の公園で待ち合わせたこと、などが記載されていた。(上掲証拠の外、前提事実⑶ア)⑵ 原告らは、本件被告事件の公判前整理手続において、平成31年2月6日頃、担当裁判所及び担当検察官に対し、同日付「予定主張記載書面」(乙1。以下「本件予定主張記載書面」という。) 事実⑶ア)⑵ 原告らは、本件被告事件の公判前整理手続において、平成31年2月6日頃、担当裁判所及び担当検察官に対し、同日付「予定主張記載書面」(乙1。以下「本件予定主張記載書面」という。)を提出、送付した。本件予定主張 記載書面には、被告人には傷害罪が成立するにとどまるとの主張に関する補充として、「本件犯行現場であるe公園に行く前に立ち寄った知立図書館横の公園において、D及びCと3名でいるときに、被告人は、Dから、『喧嘩になって、相手が1人だったらいいですけど、2、3人いたら手伝ってくださいよ。』と喧嘩の加勢を依頼され、被告人は、これを了承した。 下「本件予定主張記載書面」という。)を提出、送付した。本件予定主張 記載書面には、被告人には傷害罪が成立するにとどまるとの主張に関する補充として、「本件犯行現場であるe公園に行く前に立ち寄った知立図書館横の公園において、D及びCと3名でいるときに、被告人は、Dから、『喧嘩になって、相手が1人だったらいいですけど、2、3人いたら手伝ってくださいよ。』と喧嘩の加勢を依頼され、被告人は、これを了承した。…(後略) …」、「e公園において、D、Cと被害者が殴り合っていた際、被告人は、…(中略)…前記の暴行罪に関する共謀に基づき、被害者に足蹴りを1回加える暴行をして加勢した。」、「被告人としては、DやCが援助交際狩りとして被害者を暴行しているという認識はなく、単なる喧嘩に加勢したという認識であった。・・・(後略)・・・」と、図書館公園事件に係る事実が記載され ている。(乙1)⑶ 本件被告事件の第2回公判期日において実施された共犯者Dの本件尋問について、以下のとおり、原告らは、図書館公園事件に係る担当検察官の主尋問の際に異議を述べたが、担当裁判所はこれを棄却し、尋問が続行された。(前提事実⑶オ、甲8・128~131頁)。検察官その後、知立市内に着いてからのことについて聞いていき ます。本件の被害者よりも前に、援助交際として、別の男性と待ち合わせしてましたよね。原告b 異議。主尋問の範囲を超えています。その情報は開示されてません。(中略) 原告a 要するに、予定主 男性と待ち合わせしてましたよね。原告b 異議。主尋問の範囲を超えています。その情報は開示されてません。(中略) 原告a 要するに、予定主張には出てますけど、引用証拠、Eの証言だけなので、証拠開示全く受けてないです、その話。証人からの証拠開示、事前に受けてないんで、我々。で、証明予定にも、尋問のところに引用されてなかったから、わざわざ間接事実、右側のやつ出してもらったときに、証人 の証拠を引用するという話でその話をするとはされてなかったんで、当然出てこないものと思って考えてました。いや、見てもらったらそうなってると思います。担当裁判長一応、ご意見は。主尋問の範囲を超えてるという異議らしいですけど。原告a いや、証拠未開示ですもん、だって。だって、尋問事項として挙げられてなかったですもん。原告b 証言予定要旨を作成する場合は、その範囲を超えて主尋問はできないということになってると思いますけれども、開示された供述調書、あと録音録画、それにその話はなかっ のと思って考えてました。いや、見てもらったらそうなってると思います。担当裁判長一応、ご意見は。主尋問の範囲を超えてるという異議らしいですけど。原告a いや、証拠未開示ですもん、だって。だって、尋問事項として挙げられてなかったですもん。原告b 証言予定要旨を作成する場合は、その範囲を超えて主尋問はできないということになってると思いますけれども、開示された供述調書、あと録音録画、それにその話はなかっ たので、主尋問の範囲を超えていると考えます。担当裁判長超えてるという異議なので、ご意見を伺います。検察官主尋問、うちは予定主張の中にも記載しておって、その共謀状況としてこの話を聞いているということなので、範囲外ではございません。担当裁判長異議を棄却します。原告a 主張と立証、違うと思うんですけど、1つは。もう1つは、事前開示をお願いしたんですよ。証明されるなら、証人の開示をしてくれって言ったら、ごまかされて出されなかったから、じゃ、こちらの証人からはとらないとこちらは うと思うんですけど、1つは。もう1つは、事前開示をお願いしたんですよ。証明されるなら、証人の開示をしてくれって言ったら、ごまかされて出されなかったから、じゃ、こちらの証人からはとらないとこちらは認識してたんですけど。事前に言ってますから。そこの話は、 本人からの話、見えないんで、DVDも証明も出してくれって言われたら、検察官のほうからお茶を濁されたんで。それは多分、事件が未解決だったからとかいろいろ事情があるんでしょうけど、今この段階になって不意打ち的に出されても、ちょっと用意してないから、反対尋問は。それ は無理ですよね、どう考えても。担当裁判長でも、争点で当然この共謀の経緯については争点整理してるので、そこが問題になるのは当然でしょう。原告a でも、引用証拠には挙がってないですもん。引用証拠では、証人のEのほうからしか話とらないっていうふうになっ てたから、そこだけで証明するという趣旨だと思ってました。(中略)担当裁判長だから、御主張はわかりました。御主張はわかりましたけれども、今回、この証人に聞く当然の範囲、範疇に入って いると理解していたので、異議については、先ほど申したように棄却です。どうぞ、続けてください。⑷ 担当裁判長(ただし、異議の申立てに対する決定は担当裁判所による。)は、上記⑶のとおり、原告らの異議を棄却したほか、本件被告事件の第1回公判期日において実施された被害者の反対尋問、第2回公判期日において実 、御主張はわかりました。御主張はわかりましたけれども、今回、この証人に聞く当然の範囲、範疇に入って いると理解していたので、異議については、先ほど申したように棄却です。どうぞ、続けてください。⑷ 担当裁判長(ただし、異議の申立てに対する決定は担当裁判所による。)は、上記⑶のとおり、原告らの異議を棄却したほか、本件被告事件の第1回公判期日において実施された被害者の反対尋問、第2回公判期日において実 施された共犯者Dの反対尋問、第4回公判期日において実施された共犯者E の反対尋問において、担当検察官による異議の申立てがされたり、原告らの尋問をきっかけにしたりして、原告らの尋問を多数回にわたっ 者Dの反対尋問、第4回公判期日において実施された共犯者E の反対尋問において、担当検察官による異議の申立てがされたり、原告らの尋問をきっかけにしたりして、原告らの尋問を多数回にわたって制限するなどした。担当裁判長による尋問の制限は、①尋問の趣旨が分かりにくい、②尋問が重複している、③尋問内容が抽象的、④証人の現時点での記憶に基づく陳述を聞く前に、取調べ時の供述内容を聞くのは相当ではない、⑤必要が ないのに取調べ時の状況を聞くのは相当ではない、⑥関連性がない、⑦誤導である、⑧尋問の前提事実が誤っているなどといった理由により行われた。逆に、担当裁判長は、担当検察官の尋問については、これを一度も制限しなかった。(前提事実⑶オ、甲8・59、61~63、69、84、157、160、163、164、167、169、171、176、177、18 0、182、183、189、191、192、423、427頁)⑸ Eは、本件被告事件の第4回公判において実施された証人尋問において、上記⑴の供述調書(甲7)と同旨の証言をした(甲8・414~418頁)。⑹ 控訴審担当の検察官は、令和元年6月10日に実施された本件被告事件の控訴審の第1回公判において、原審弁護人である原告らに対して、図書館公 園事件に関する記載のある共犯者Dの供述調書及び証言予定記載書面を開示していない旨述べた。そして、その理由として、要旨、「本件被告事件では援交狩りについて被告人と共犯者C及び共犯者Dとの間で共謀があったかどうかが争点である。原審検察官としては事前共謀を遂げていたことを主張し、これを基礎付けるものとして、①被告人らの間で援交狩りについて会話のや 公判において、原審弁護人である原告らに対して、図書館公 園事件に関する記載のある共犯者Dの供述調書及び証言予定記載書面を開示していない旨述べた。そして、その理由として、要旨、「本件被告事件では援交狩りについて被告人と共犯者C及び共犯者Dとの間で共謀があったかどうかが争点である。原審検察官としては事前共謀を遂げていたことを主張し、これを基礎付けるものとして、①被告人らの間で援交狩りについて会話のや り取りがあったこと、②本件被告事件の直前に被告人と共犯者C及び共犯者Dとの間で別 ては事前共謀を遂げていたことを主張し、これを基礎付けるものとして、①被告人らの間で援交狩りについて会話のや り取りがあったこと、②本件被告事件の直前に被告人と共犯者C及び共犯者Dとの間で別の援交狩りをしていたことを立証する旨を本件証明予定事実記載書面に記載していた。①については共犯者Dの供述調書、②についてはEの供述調書を開示した。この流れから、共犯者Dの証人尋問の際に、①についてはもちろん、②についても尋問されることは、原告らにも被告人にも容 易に予想することができ、反対尋問に支障はないと思われた。」と述べた。(前提事実⑵エ、乙5) 2 争点⑴(担当裁判長の訴訟指揮等に係る国賠法上の違法性)について⑴ 判断基準について原告らは、本件被告事件の担当裁判所の異議申立てに対する決定ないし担当裁判長の訴訟指揮について、国賠法上の違法を主張している。そして、当 該決定や訴訟指揮は、審理を経て下される判決といった裁判官の判断作用に密接に関連するものであるといえるから、昭和57年最高裁判決の判断基準は、争訟の裁判に限らず、訴訟手続における裁判官(裁判長)の訴訟指揮にも当てはまると解するのが相当である。そうすると、担当裁判所の判断ないし担当裁判長の訴訟指揮が国賠法上違法か否かは、当該裁判官が違法又は不 当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があるか否かによって判断すべきであり、以下、この観点から検討する。⑵ 本件尋問における訴訟指揮についてア原告らは、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実(図書館公 園事件の具体的な犯行状況)を本件証明予定事実記載書面(甲6・4~7枚目)に記載し ⑵ 本件尋問における訴訟指揮についてア原告らは、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実(図書館公 いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があるか否かによって判断すべきであり、以下、この観点から検討する。⑵ 本件尋問における訴訟指揮についてア原告らは、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実(図書館公 園事件の具体的な犯行状況)を本件証明予定事実記載書面(甲6・4~7枚目)に記載し ⑵ 本件尋問における訴訟指揮についてア原告らは、担当検察官が、共犯者Dの本件供述に係る事実(図書館公 園事件の具体的な犯行状況)を本件証明予定事実記載書面(甲6・4~7枚目)に記載しないまま共犯者Dに対する本件尋問を行ったことが刑訴法316条の13第1項後段に違反する旨主張する。しかしながら、刑訴法316条の13第1項後段は、証明予定事実記載書面について、「当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠 としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記載することができない。」とするのみで、記載のない事実について直接規律するものではない。この点、原告らは、同項後段が、証明予定事実記載書面に記載のない 事実と証拠について、公判で提出されることを一切禁止するものである かの如く主張する。そして、刑訴規則217条の20第1項も、「検察官は、刑訴法第316条の13第1項・・・(中略)・・・に規定する書面に証明予定事実を記載するについては、事件の争点及び証拠の整理に必要な事項を具体的かつ簡潔に明示しなければならない。」と定めており、必要事項の明示を求めている。しかし、証明予定事実記載書面にどのような事項をどの程度盛り込むかについては、検察官の裁量に委ねられていると解されることからすると、記載のない事実ないし証拠について公判での提出が一切許されないと解することもできない。また、刑訴規則217条の21は、「検察官及び被告人又は弁護人は、 証明予定事実を明らかにするに当たっては、事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示することその他の適当な方法によって、事件の争点及び証拠の整理が円滑に行われ 護人は、 証明予定事実を明らかにするに当たっては、事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示することその他の適当な方法によって、事件の争点及び証拠の整理が円滑に行われるように努めなければならない。 証明予定事実を明らかにするに当たっては、事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示することその他の適当な方法によって、事件の争点及び証拠の整理が円滑に行われ 護人は、 証明予定事実を明らかにするに当たっては、事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示することその他の適当な方法によって、事件の争点及び証拠の整理が円滑に行われるように努めなければならない。」と定めているところ、これは、争点と証拠の整理を円滑に行うことを目的として、証明予定事実を証明するために用いる証 拠について、主要なものを明示することを求めているものであるとはいえるものの、証明予定事実を証明するために用いる証拠を網羅的に挙げることを法的に義務づけるものとまでは解されない。そうすると、原告らの前記主張は、独自の見解に基づくものであり、採用することができない。そして、本件証明予定事実記載書面についてみると、ここでは「強盗の事前共謀を認めるに足りる事実」との項目の下、被告人らが「援交狩り」の共謀に基づいて強盗の実行行為に及んだことが記載され、その間接事実の1つとして、被告人らが「どこかの公園」で援交狩りの相手男性と待ち合せをしていたこと、しばらくした後に被告人が共犯者Cらと 戻ってきて、持っていた財布の中身について語った内容等が記載されて いるにとどまり、被告人らが図書館公園において実際に援助交際の相手の男性に暴行を加えて財布を盗った事実までは明記されていない。この点、担当検察官は、Eの供述内容(認定事実⑴。Eは自動車内で待っていた。)に加え、図書館公園事件をEのみならず、共犯者Dの証言等で立証する旨の冒頭陳述をしていること(前提事実⑶エ)からする と、図書館公園事件の暴行や財布の奪取といった具体的な中身については、主に共犯者Dの供述により立証することを予定していたと推認される。そうであれば、本件証明予定事実記載書面の図書館公園事件に係る事実に関し 館公園事件の暴行や財布の奪取といった具体的な中身については、主に共犯者Dの供述により立証することを予定していたと推認される。そうであれば、本件証明予定事実記載書面の図書館公園事件に係る事実に関し、暴行や財布の奪取の点を記載し、証拠として共犯者Dの供述録取書等を挙げることは、刑訴法316条の13第1項前段で証明予 定事実記載書面の提出等が求められていること、あるいは、被告人ないし弁護人である原告らの防御の観点からすると、望ましかったということはできる。 ては、主に共犯者Dの供述により立証することを予定していたと推認される。そうであれば、本件証明予定事実記載書面の図書館公園事件に係る事実に関し、暴行や財布の奪取の点を記載し、証拠として共犯者Dの供述録取書等を挙げることは、刑訴法316条の13第1項前段で証明予 定事実記載書面の提出等が求められていること、あるいは、被告人ないし弁護人である原告らの防御の観点からすると、望ましかったということはできる。しかし、上記記載に照らせば、担当検察官が事前共謀の間接事実として被告人らが図書館公園事件に及んだことを証明しようとしていること は予想することができたといえる。そして、前記のとおり、証明予定事実記載書面にどのような事項をどの程度盛り込むかについては、検察官の裁量に委ねられていると解されることも念頭に置くと、本件証明予定事実記載書面に被告人らが図書館公園において援助交際の相手の男性に暴行を加えて財布を盗った事実が明記されていないことをもって、直ち に刑訴法316条の13第1項で証明予定事実記載書面の提出等が求められている趣旨に違反するということもできない。以上によると、担当検察官が図書館公園事件の暴行や財布の奪取といった事実及び共犯者Dの供述録取書等を本件証明予定事実記載書面に記載しないまま本件尋問を行ったことをもって、直ちに刑訴法316条の 13第1項後段ないし同項の趣旨に違反するものであったということは できない。イ次に、原告らは、担当検察官が、刑訴法316条の14第1項2号所定の供述録取書等の開示を行わないまま本件尋問を行ったことが、同号に違反する旨主張する。しかし、本件記録媒体には、e公園における本件の犯 、担当検察官が、刑訴法316条の14第1項2号所定の供述録取書等の開示を行わないまま本件尋問を行ったことが、同号に違反する旨主張する。しかし、本件記録媒体には、e公園における本件の犯行の前に、犯罪に 当たるかもしれないことをしたと採れる発言、お金をとろうという考えもある中で人を殴ったと採れる発言があり、「援交狩り」に及んだことを想起させ得るやりとりが記録されている(前提事実⑶ウ)。そうすると、本件記録媒体は、共犯者Dに対する本件尋問における本件供述と比較すると、内容において抽象的ではあるものの、共犯者Dの「供述録取書等のう ち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」(刑訴法316条の14第1項2号)に当たるといえる(なお、供述録取書等の意義につき刑訴法290条の3第1項参照。 り」に及んだことを想起させ得るやりとりが記録されている(前提事実⑶ウ)。そうすると、本件記録媒体は、共犯者Dに対する本件尋問における本件供述と比較すると、内容において抽象的ではあるものの、共犯者Dの「供述録取書等のう ち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの」(刑訴法316条の14第1項2号)に当たるといえる(なお、供述録取書等の意義につき刑訴法290条の3第1項参照。)。刑訴法316条の14第1項2号の供述録取等の内容が公判期日における供述内容と概ね同内容であり、同程度の具体的なものでなければならない旨をいう原 告の主張は、独自の見解を述べるものといわざるを得ず、採用することはできない。そうすると、上記のとおり、供述録取書等が存在するのであるから、担当検察官が「その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面」(証言予定記載書面、刑訴法316条の14第1項2号) を開示しないまま本件尋問を行ったことが、同号ないしその趣旨に違反するとは認められない。ウ以上を踏まえて、本件被告事件における担当裁判官の訴訟指揮等について検討する。上記ア及びイで認定説示したところに、共犯者Dの証人取調請求の立 証趣旨が「共謀状況、共同犯行状況等」であったこと(前提事実⑶イ) などを加味すると、主尋問の範囲を超えるとの理由 上記ア及びイで認定説示したところに、共犯者Dの証人取調請求の立 証趣旨が「共謀状況、共同犯行状況等」であったこと(前提事実⑶イ) などを加味すると、主尋問の範囲を超えるとの理由で申し立てられた異議を棄却したという限りにおいて、担当裁判所の判断に刑訴法、刑訴規則に反するところがあるとはいえない。もっとも、本件尋問に対する原告らの異議は、その発言内容に照らすと、担当検察官が共犯者Dの供述録取書等が開示されていないままに本 件尋問を行うことが違法であるという点を指摘するものであるとも解される。そして、本件被告事件の控訴審判決が指摘するように(前提事実⑵ウ)、共犯者Dが図書館公園事件についてどのような証言をするかについて、原告らが事前に何らの情報も開示されていないとすれば(もっとも、前記イ記載のとおり、供述録取書等として本件記録媒体が開示さ れている。)、弁護人である原告らの防御権を保障するため、担当裁判所として、異議理由とされている当該事実関係について確認し、当事者と協議して、原告らへの不意打ちを回避するための策を講ずるのが相当であったということもできる。 Dが図書館公園事件についてどのような証言をするかについて、原告らが事前に何らの情報も開示されていないとすれば(もっとも、前記イ記載のとおり、供述録取書等として本件記録媒体が開示さ れている。)、弁護人である原告らの防御権を保障するため、担当裁判所として、異議理由とされている当該事実関係について確認し、当事者と協議して、原告らへの不意打ちを回避するための策を講ずるのが相当であったということもできる。しかし、異議の申立ては簡潔に理由を示してするものとされていると ころ(刑訴規則205条の2)、本件尋問に対する異議が申し立てられた後のやりとり(認定事実⑶)に照らせば、公判の過程において、担当裁判所ないし担当裁判長は、上記の事前開示の状況を知らないまま、原告らの異議申立ての理由が飽くまでも主尋問の範囲を超えているという点にあるとの認識の下で対応したと認められる。そして、担当裁判所な いし担当裁判長がそうした認識を持ったこと自体については、当時の審理の状況に鑑みれば、致し方ない側面もあるといわざるを得ない。そうすると、本件尋問に対 たと認められる。そして、担当裁判所な いし担当裁判長がそうした認識を持ったこと自体については、当時の審理の状況に鑑みれば、致し方ない側面もあるといわざるを得ない。そうすると、本件尋問に対する異議をめぐるやりとり及び本件尋問に対する異議を棄却して尋問を続行させたことなどをもって、担当裁判所ないし担当裁判長に、本件被告事件を検察官にとって有利に進める意図 などの違法、不当な目的等があったなどと推認することは到底できない といわざるを得ない。⑶ 本件尋問以外の尋問における訴訟指揮について認定事実⑷のとおり、担当裁判長ないし担当裁判所は、多数回にわたって、原告らの尋問を制限するなどしている。これらの尋問の制限は、刑訴法295条1項、刑訴規則199条の4第4項、199条の13第1項、2項2号、 199条の14第1項に基づき、関連性がないもの、抽象的なもの、重複しているもの、誤導によるもの、その他相当でないものとして行われたものであるところ、原告らの尋問内容(甲8)に照らすと、当該制限は、いずれも不合理、不適切であるとまでは認められない。また、担当裁判長ないし担当裁判所が、上記認定の原告らの尋問の制限に 際し、本件被告事件を検察官にとって有利に進める意図などの違法、不当な目的等があったなどと推認すべき事情に関する的確な主張立証はない。 、抽象的なもの、重複しているもの、誤導によるもの、その他相当でないものとして行われたものであるところ、原告らの尋問内容(甲8)に照らすと、当該制限は、いずれも不合理、不適切であるとまでは認められない。また、担当裁判長ないし担当裁判所が、上記認定の原告らの尋問の制限に 際し、本件被告事件を検察官にとって有利に進める意図などの違法、不当な目的等があったなどと推認すべき事情に関する的確な主張立証はない。⑷ 小括以上によれば、担当裁判所ないし担当裁判長が本件尋問を続行させたことや原告らの尋問の制限等をしたことについて、国賠法上の違法性があるとは 認められず、その他原告らが種々主張する点を踏まえても、この判断は左右されない。争点⑴に関する原告らの主張は、採用することができない。3 争点⑵(担当検察官による本件尋問に係る国賠法上 められず、その他原告らが種々主張する点を踏まえても、この判断は左右されない。争点⑴に関する原告らの主張は、採用することができない。3 争点⑵(担当検察官による本件尋問に係る国賠法上の違法性)について原告らは、担当検察官が本件証明予定事実記載書面に共犯者Dの本件供述に 係る事実とこの事実の関係証拠として共犯者Dの供述調書を記載しないまま、また、共犯者Dの供述録取等又は証言予定記載書面を開示しないまま、本件尋問を行ったことが国賠法違法である旨主張する。しかし、原告らの上記主張に係る担当検察官の不作為が刑訴法316条の13第1項後段、316条の14第1項2号に違反するものでないことは、上記 2⑵ア、イで認定説示したとおりである。また、仮にこれらの担当検察官の対 応に原告らの防御権を侵害する側面があるとしても、担当検察官が図書館公園事件含む犯行に至る経緯等を共犯者Dの証言等で立証する旨の冒頭陳述をしていること(前提事実⑶エ)からすると、本件尋問が被告人ないし原告らに対する不意打ちを企図して敢えて行われたものとは認められない。そして、担当検察官は、主尋問の範囲を超えるとの理由でされた異議申立てが棄却された後に 尋問を続けたものであるから、そのこと自体に違法な点があるとは認められない。以上によると、担当検察官の訴訟行為に国賠法上の違法性があるとは認められず、その他原告らが種々主張する点を踏まえても、この判断は左右されない。争点⑵に関する原告らの主張も、採用することができない。 を企図して敢えて行われたものとは認められない。そして、担当検察官は、主尋問の範囲を超えるとの理由でされた異議申立てが棄却された後に 尋問を続けたものであるから、そのこと自体に違法な点があるとは認められない。以上によると、担当検察官の訴訟行為に国賠法上の違法性があるとは認められず、その他原告らが種々主張する点を踏まえても、この判断は左右されない。争点⑵に関する原告らの主張も、採用することができない。4 結論よって、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。名古屋地方裁判所民事第4部 4 結論よって、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。名古屋地方裁判所民事第4部 裁判長裁判官岩井直幸 裁判官川勝庸史 裁判官渡邉麻紀 (別紙1)関係法令の定め 1 刑訴法⑴ 316条の131項検察官は、事件が公判前整理手続に付されたときは、その証明予定事実 (公判期日において証拠により証明しようとする事実をいう。以下同じ。)を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、当該書面には、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、裁判所に事件について偏見又は予断を生じさせるおそれのある事項を記 載することができない。(以下省略)⑵ 316条の141項検察官は、前条第2項の規定により取調べを請求した証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については、速やかに、被告人又は弁護人に 対し、次の各号に掲げる証拠の区分に応じ、当該各号に定める方法による開示をしなければならない。1号省略2号証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人その氏名及び住居を知る機会を与え、かつ、その者の供述録取書等 のうち、その者が公判期日において供述すると思料する内容が明らかになるもの(当該供述録取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあっては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、 取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあっては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。 又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあっては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、 取書等が存在しないとき、又はこれを閲覧させることが相当でないと認めるときにあっては、その者が公判期日において供述すると思料する内容の要旨を記載した書面)を閲覧する機会(弁護人に対しては、閲覧し、かつ、謄写する機会)を与えること。(以下省略) ⑶ 316条の151項検察官は、前条第1項の規定による開示をした証拠以外の証拠であって、次の各号に掲げる証拠の類型のいずれかに該当し、かつ、特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められるものについて、被告人又は弁護人から開示の請求があった場合において、その 重要性の程度その他の被告人の防御の準備のために当該開示をすることの必要性の程度並びに当該開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、速やかに、同項第1号に定める方法による開示をしなければならない。この場合において、検察官は、必要と認めるときは、開示の時期若しくは方法を指定し、又は条件を付 することができる。1号~4号省略5号次に掲げる者の供述録取書等イ検察官が証人として尋問を請求した者ロ省略 6号~9号省略(以下省略)⑷ 316条の211項検察官は、第316条の13から前条まで(第316条の14第5項を除く。)に規定する手続が終わった後、その証明予定事実を追加し又 は変更する必要があると認めるときは、速やかに、その追加し又は変更すべき証明予定事実を記載した書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段〈予断・偏見を生じさせるおそれのある事項の記載の禁止〉の規定を準用する。書面を、裁判所に提出し、及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段〈予断・偏見を生じさせるおそれのある事項の記載の禁止〉の規定を準用する。(以下省略) 2 刑訴規則⑴ 217条の201項検察官は、法第316条の13第1項又は第316条の21第1項に規定する書面に証明予定事実を記載するについては、事件の争点及び証拠の整理に必要な事項を具体的かつ簡潔に明示しなければならない。 及び被告人又は弁護人に送付しなければならない。この場合においては、第316条の13第1項後段〈予断・偏見を生じさせるおそれのある事項の記載の禁止〉の規定を準用する。(以下省略) 2 刑訴規則⑴ 217条の201項検察官は、法第316条の13第1項又は第316条の21第1項に規定する書面に証明予定事実を記載するについては、事件の争点及び証拠の整理に必要な事項を具体的かつ簡潔に明示しなければならない。2項省略⑵ 217条の21検察官及び被告人又は弁護人は、証明予定事実を明らかにするに当たっては、事実とこれを証明するために用いる主要な証拠との関係を具体的に明示することその他の適当な方法によって、事件の争点及び証拠の整理が円滑に 行われるように努めなければならない。以上
▼ クリックして全文を表示