主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(1) 被告が平成13年12月3日付けで原告に対してした在留期間の更新を許可しない旨の処分を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 本案前の答弁主文同旨(2) 本案に対する答弁ア原告の請求を棄却する。 イ訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要本件は,出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)別表第二に定める「日本人の配偶者等」の在留資格をもって本邦に在留していた外国人の原告が,上記在留資格による在留期間の更新を申請したところ,被告から同申請を不許可とする請求の趣旨(1)掲記の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 1 前提となる事実(1) 原告は,ペルー共和国国籍を有する男性である(甲1)。 (2) 原告は,平成2年8月29日,在留資格を「短期滞在」,在留期間を「90日」とする上陸許可を受けて本邦に入国した者であるが,同年10月31日,名古屋入国管理局(以下「名古屋入管」という。)において,在留資格変更申請をし,同年12月25日,在留資格を「日本人の配偶者等」,在留期間を「3年」とする在留資格変更許可を受けた。原告は,その後,上記在留資格を前提とする5回の在留期間更新許可(在留期間は,①平成6年1月31日,②同年9月29日,③平成7年2月21日の各許可においてそれぞれ6か月,④平成7年8月25日,⑤平成10年5月20日の各許可においてそれぞれ3年間)を受けた 新許可(在留期間は,①平成6年1月31日,②同年9月29日,③平成7年2月21日の各許可においてそれぞれ6か月,④平成7年8月25日,⑤平成10年5月20日の各許可においてそれぞれ3年間)を受けた(乙1)。 (3) 原告は,平成12年1月26日,豊橋市内のスーパーマーケットにおいて,米4袋(時価合計1万4020円相当)を窃取したとの事実で公訴を提起され(甲3),豊橋簡易裁判所において,懲役1年,執行猶予3年の判決を受け,この判決は確定した(甲6)。 (4) 原告は,平成13年5月21日,名古屋入管において,在留期間更新許可の申請をした(以下「本件申請」という。)ところ,被告は,同年12月3日,本件申請に対し,「あなたの在留状況が好ましいものとは認められ」なかったため,「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由があると認められ」ないことを理由として,本件処分をなし,同日,原告に告知した(甲2,乙2)。 (5) 原告は,平成13年12月20日,リマ行きの航空機搭乗予約証明書を提出の上,被告に対し,出国準備を理由とする在留資格変更の申請をしたので,被告は,同日,在留資格を「短期滞在」,在留期間を「90日(在留期限は同年8月25日)」とする在留資格変更許可処分をした(乙3,6)。 また,原告は,同日,上記在留資格を前提とする在留期間更新許可申請を2回行い,被告は,同日,在留資格を「短期滞在」,在留期間を「90日(在留期限は同年11月23日と平成14年2月21日)」とする在留期間更新許可処分をそれぞれした(乙4,5)。 2 本案前の争点原告が,「短期滞在」の在留資格を取得したことによって,本件処分の取消しを求める訴えの利益を喪失したか否か。 3 当事者の主張の要旨(1) 被告の主張ア法及び同法施行規則 原告が,「短期滞在」の在留資格を取得したことによって,本件処分の取消しを求める訴えの利益を喪失したか否か。 3 当事者の主張の要旨(1) 被告の主張ア法及び同法施行規則(以下「規則」という。)によれば,本邦に上陸する外国人は,法別表第一,第二の定める一定の在留資格をもって本邦に在留するものとされている(法7条1項2号)。そして,この在留資格は,在留期間と一体不可分のものであって,在留資格を決定する場合には,必ずその在留資格に対応する在留期間が定められる(法2条の2第1項及び第3項,規則3条,同別表第二,法9条1項及び3項,20条,21条)とともに,上陸,在留資格変更,在留期間更新のいずれの許可においても,在留資格,在留期間は1個のみ記載することとされている(法69条,規則7条1項,20条6項,21条4項)。 そして,既に在留資格(及びこれに対応する在留期間)を有する外国人が,当該在留期間経過後も適法に在留するためには,現に有する在留資格を変更することなく在留期間の更新を受けるか(法21条),又は,在留資格の変更を受ける(法20条)ことが必要とされている。 これらの規定からすれば,法及び規則は,外国人が上陸許可又は在留資格の変更若しくは在留期間の更新許可を受けて本邦に適法に在留するためには,1個の在留資格と,それに伴う1個の在留期間が決定されることを必要としており,同時に複数の在留資格を有したり,終期の異なる数個の在留期間を有することを許容していないものと解される。 イそして,短期滞在への資格変更許可処分と在留期間更新不許可処分とは,別個独立の処分というべきであるから,仮に,在留期間更新不許可処分の取消判決が確定したとしても,その判決の効力によって,資格変更許可処分が当然に失効したり,是正 可処分と在留期間更新不許可処分とは,別個独立の処分というべきであるから,仮に,在留期間更新不許可処分の取消判決が確定したとしても,その判決の効力によって,資格変更許可処分が当然に失効したり,是正義務が発生するとの法的根拠はない。また,仮に,行政処分につき取消判決がなされたとしても,その後に行われることになる処分は,取消しに係る当初の処分とは別個の行政処分であり,そのときの事実関係に基づいて行われるものであるから,行政庁は,再度の行政処分を行うに当たって,後続処分の存在を前提とせざるを得ない。 なお,被告の本案前の主張の根拠は,後続の資格変更許可処分が行われたことによって,変更前の資格を前提とする在留期間更新許可をする余地はないという点にあるから,現在,原告が不法残留の状態となっているか否かは,訴えの利益に影響を及ぼすものではない。 したがって,資格変更許可処分が無効である等特段の事情があるような場合は格別,そうでない以上は,先行の不許可処分の取消判決があったとしても,行政庁は,旧在留資格を前提とする在留期間の更新許可をすることはできず,結局,本件処分の取消しを求める訴えは,訴えの利益を欠くと言わざるを得ない。 ウところで,原告は,前記1(5)のとおり,本件処分後の平成13年12月20日,名古屋入管において,被告に対し,名古屋空港発リマ行きの航空機搭乗予約証明書(出発予定日は平成14年1月15日)を提出の上,在留資格を出国準備を理由とする「短期滞在」,在留期間「90日」とする在留資格変更の申請をし,被告は,同日,同申請を許可した(在留期限は平成13年8月25日)。また,原告は,同日,名古屋入管において,被告に対し,上記同様の理由により,短期滞在の在留資格を前提とする在留期間の更新を2回申請し,被告は,同日,在留資格を「 (在留期限は平成13年8月25日)。また,原告は,同日,名古屋入管において,被告に対し,上記同様の理由により,短期滞在の在留資格を前提とする在留期間の更新を2回申請し,被告は,同日,在留資格を「短期滞在」,在留期間を「90日」とする在留期間の更新をそれぞれ許可した(在留期限は同年11月23日と平成14年2月21日)。 そうすると,本件処分後,原告の在留資格が,原告自らの申請及びこれに対する被告の許可によって「短期滞在」に変更された以上,現時点で本件処分が取り消されたとしても,原告に対してそれ以前の在留資格である「日本人の配偶者等」としての資格で在留期間の更新の許可を受ける余地はない。 この点につき,原告は,前記在留資格の変更申請は,名古屋入管の担当者の示唆に基づいて行われたやむを得ない措置である旨主張するが,原告としては,いったん「短期滞在」在留資格への変更許可を受けた後に,再度,「日本人の配偶者等」在留資格への変更を申請し,あるいは,不法残留を理由とする退去強制手続の中で,法務大臣に対して残留を認めるようアピールする途があり,名古屋入管の担当者もこのことを原告に説明している。 よって,原告には,もはや本件処分の取消しを求める訴えの利益はない。 (2) 原告の主張ア取消判決は,行政庁その他の関係行政庁を拘束し,処分庁は改めて判決の趣旨に従った処分をすることになる(行政事件訴訟法33条1項,2項)。本件においては,先行する「日本人の配偶者等」の在留資格の更新申請不許可処分が違法として取り消された場合,申請に対して許可も不許可もしていない状態になり,再審査が行われるが,その場合,判決の趣旨に従い,当初の更新申請を許可することになる(当初の申請が期間3年の更新申請で,判決まで して取り消された場合,申請に対して許可も不許可もしていない状態になり,再審査が行われるが,その場合,判決の趣旨に従い,当初の更新申請を許可することになる(当初の申請が期間3年の更新申請で,判決まで3年以上の年月を経過している場合は,当初の申請の許可に加え,再度更新申請を出させて許可して現在まで繋ぐことになる)。 確かに,先行処分が判決で取り消されても,後行する「短期滞在」処分への変更許可処分が当然失効するわけではないので,前者の許可処分と後行の許可処分が不整合となる。そのため,法務省入国管理局作成の「入国・在留審査要領」の第12章第1節「瑕疵ある処分の取消し」の第4の2は,「処分の取消しと同時に新たな許可をするときは,処分取消通知書の交付と同時に新たな許可に係る許可書の交付又は旅券等への証印を行う。」と定めている。これによると,本件の場合,「日本人の配偶者等」の在留資格の更新が許可され,同時に「短期滞在」は取消通知がなされて無効の証印が押されることになる。したがって,先行処分である在留期間更新不許可処分を取り消すことによって,変更前の資格を回復する余地があるから,訴えの利益は失われない。 また,本件では,原告の「短期滞在」資格の期限が切れて不法残留の状態になっており,在留資格の一個性は問題とならない。 イしかも,原告は,平成13年12月3日,「日本人の配偶者等」資格での在留期間の更新を不許可とする本件処分を受けたが,その時点では従前得ていた在留期間更新許可の在留期限が経過していたため,不法残留にならずに上記在留資格での在留期間更新申請を再度行うために,同月10日,再申請時点までの期間をつなぐための「短期滞在」への変更申請書類及びその更新書類2通並びに「日本人配偶者等」への変更申請書類1通を名 に上記在留資格での在留期間更新申請を再度行うために,同月10日,再申請時点までの期間をつなぐための「短期滞在」への変更申請書類及びその更新書類2通並びに「日本人配偶者等」への変更申請書類1通を名古屋入管に提出した。ところが,上記各書類は,いずれも受付を拒絶され,その際,原告は,名古屋入管の担当者から,航空券の予約をしてくれば,「短期滞在」資格の在留を許可する,事情が変われば再度の申請の受付もあり得るとの指示,示唆を受けた。そこで,原告は,これに従い,在留資格を「短期滞在」に変更する旨の申請と,これを2回更新する旨の申請を同時に行ったものであって,以上の経緯が示すとおり,被告主張に係る在留資格の変更は,やむなく行われた緊急避難的なものであり,そうでないとしても,錯誤により無効である。 ウそして,本件処分は,平成12年1月15日に行われた窃盗の事実により,豊橋簡易裁判所において,窃盗罪により懲役1年,執行猶予3年の判決を受けたことを理由とするものであるが,同事案は,スーパーマーケットで米4袋を盗取したというものであって,被害は軽微の上,直ちに回復されており,前科前歴のない原告に対する量刑としては,もともと過重であり,しかも,原告が帰国すれば,実子の生活の基盤が失われ父子の別離を強いる結果となるなど,本件処分には裁量権を逸脱した違法事由がある。ところが,仮に,訴えが却下されると,原告はこの点について判断を受けることができず,あまりに酷な結果となる。 なお,この点につき,被告は,本件不許可処分を受けた後に,原告の取り得た手段として,不法残留となって退去強制手続の中で,法務大臣に本邦に残留できるようにアピールするか,短期滞在変更許可を受けた後に「日本人の配偶者等」在留資格への変更を申請できたと主張するが,退去強制手続は収容を伴 不法残留となって退去強制手続の中で,法務大臣に本邦に残留できるようにアピールするか,短期滞在変更許可を受けた後に「日本人の配偶者等」在留資格への変更を申請できたと主張するが,退去強制手続は収容を伴うことも多く,退去強制へと進んだ場合の執行停止は容易にとれるものではないし,後者の手段についても,そのような知識を有する者は弁護士でも少数であり,「日本人の配偶者等」在留資格への変更を申請しなかったことで本案審理の機会を失うことになるのは不当不均衡である。 第3 判断 1 一般に,行政処分の取消しの訴えは,当該処分により法律上の権利又は利益の侵害を受けた者が,その処分の取消しにより上記権利ないし利益を回復することを目的とするものである。したがって,当該処分が取り消されたとしても,当該権利ないし利益の回復の可能性が皆無となった場合には,もはや訴えの目的を達成することができないから,かかる場合における処分取消しの訴えは,その利益を欠くというべきである。 そして,法及び規則によれば,本邦に上陸しようとする外国人は,一定の在留資格を有することの審査を受けなければならず(法7条1項2号),本邦に在留する外国人は,特別の規定がある場合を除き,当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人が取得し又は変更に係る一定の在留資格をもって本邦に在留するものとされている(法2条の2第1項)。そして,在留資格を決定する場合には,必ずその在留資格に対応する在留期間が定められることとなっていること(法2条の2第1項及び第3項,規則3条,同別表第二,法9条1項及び3項,20条4項,21条4項),上陸,在留資格変更,在留期間の更新のいずれの許可においても,在留資格,在留期間は,1個のみ記載することとされていること(法69条,規則7条1項,20条6項,21条4項), 条4項,21条4項),上陸,在留資格変更,在留期間の更新のいずれの許可においても,在留資格,在留期間は,1個のみ記載することとされていること(法69条,規則7条1項,20条6項,21条4項),既に在留資格(及びこれに対応する在留期間)を有する外国人が,在留期間経過後も適法に在留するためには,現に有する在留資格を変更することなく在留期間の更新を受けるか(法21条),又は在留資格の変更を受ける(法20条)ことを必要とすることなどに照らすと,在留資格は,これに対応する在留期間と常に一体不可分に観念されるべきものであることが明らかである。 そうすると,法及び規則は,外国人が上陸許可又は在留資格の変更若しくは在留期間の更新許可を受けて本邦に適法に在留するためには,1個の在留資格と,それに対応する1個の在留期間が決定されることを必要としており,同時に複数の在留資格を有したり,終期の異なる数個の在留期間を有することを許容していないものと解される。 したがって,ある在留資格に基づいて在留期間更新の申請をした者が,その不許可処分を受けた後,他の在留資格の変更許可申請をし,その変更許可処分を受けたときは,後者の処分に重大かつ明白な瑕疵があって無効というべき特段の事情が存しない限り,これと抵触する従前の在留資格に基づく在留期間更新申請は一応その目的を達したとみなされるべきであり(本邦に在留する外国人は,規則3条,別表第二の定める在留期間内といえども,特定の在留期間の付与を要求する権利を有するものではなく,希望する在留期間を下回る在留期間の更新許可がなされた場合においても,その取消しを求める訴えの利益が存しないことにつき最高裁判所平成8年2月22日第一小法廷判決・判時1562号39頁参照),法務大臣もそのような二重の在留資格を与えることはでき れた場合においても,その取消しを求める訴えの利益が存しないことにつき最高裁判所平成8年2月22日第一小法廷判決・判時1562号39頁参照),法務大臣もそのような二重の在留資格を与えることはできない(仮に,法務大臣が,何らかの事情によって,既に有効な在留資格を与えていることを看過し,二重の在留資格を与えた場合には,後になされた在留資格授与処分が当然無効の瑕疵を帯びるというべきである。)と解される。そうだとすると,仮に,従前の在留期間更新不許可処分が判決によって取り消されたとしても,これによって,同不許可処分後の申請に基づいてされた在留資格の変更許可処分が当然に違法,無効となると解する根拠はないから,被告としては判決の理由に沿った新たな在留期間更新許可処分をすることができず,従前の在留資格は完全に失われて復活する余地がないといわざるを得ない。したがって,上記不許可処分を取り消す利益を喪失したというべきである。 なお,この点について,原告は,法務省入国管理局の「入国・在留審査要領」によれば,従前の在留期間更新不許可処分を取り消して,判決の趣旨に従った新たな処分をすることが可能なはずである旨主張するが,上記処理要領は,直接には,職権取消しに関するものであることがその内容から明らかである上,そもそも,「処分に重大な瑕疵があると認められる事案」に係る処分について取り消すことができ,その事後措置として,「処分の取消しと同時に新たな許可をするときは,処分取消通知書の交付と同時に新たな許可に係る許可書の交付又は旅券等への証印を行う。」と定めているにとどまるから,上記の訴えの利益についての判断に影響を及ぼすことはないと解される。 そして,このことは,他の在留資格を取得後に,その在留資格の在留期間について期間の更新が許可されなかったため, まるから,上記の訴えの利益についての判断に影響を及ぼすことはないと解される。 そして,このことは,他の在留資格を取得後に,その在留資格の在留期間について期間の更新が許可されなかったため,在留資格を失った場合も同様であると解される。 2 これを本件についてみるに,前記第2の1(5)によれば,被告の本案前の主張のとおり,原告は,本件処分後の平成13年12月20日,名古屋入管において,被告に対し,名古屋空港発リマ行きのヴァリグ・ブラジル航空機の搭乗予約証明書(出発予定日は平成14年1月15日)を提出の上,出国準備を理由とする在留資格変更の申請をし,被告は,同申請に対し,同日,在留資格を「短期滞在」,在留期間「90日」とする在留資格の変更を許可したこと,さらに,原告は,同日,名古屋入管において,被告に対し,上記同様の理由により,短期滞在の在留資格を前提とする在留期間の更新を2回申請し,被告は,同日,在留資格を「短期滞在」,在留期間を「90日」とする在留期間の更新をそれぞれ許可したこと,以上の事実が認められる。 そうすると,原告の在留資格は,本件処分後,自らの意思により,「日本人の配偶者等」から「短期滞在」に変更されたものであり,現時点で本件処分が取り消されたとしても,原告が従前の在留資格で在留期間の更新の許可を受ける余地はないというべきであるから,本件訴えは,その利益を欠くといわざるを得ない。 この点について,原告は,まず,上記在留資格の変更許可申請は,名古屋入管の係官の示唆に基づき,やむなく行われたものである旨主張するが,その主張及び本件全証拠に照らしても,原告の自由な意思決定を妨げるような状況があったとは認められず,上記申請及びこれに基づく被告の許可を無効と評価することはできない。また,原告は,本訴が却下され ,その主張及び本件全証拠に照らしても,原告の自由な意思決定を妨げるような状況があったとは認められず,上記申請及びこれに基づく被告の許可を無効と評価することはできない。また,原告は,本訴が却下されれば,本件処分の違法性を争う途がなくなり,短期滞在資格への変更申請の経緯を参酌されないことになり,不当である旨主張する。なるほど,本件処分そのものについては,仮に違法であったとしても,抗告訴訟の形式で争うことはできず,国家賠償法に基づく損害賠償の請求をするほかないが,いったん,短期滞在資格へ変更された後も,再度,日本人の配偶者等の在留資格への変更申請を行うことは可能であり,その不許可処分(不受理処分も含まれ得る。)を抗告訴訟の対象とすることによって,実質的な救済を得ることができるから,前記判断を覆すことはできない。 3 よって,本件訴えは不適法であるから,これを却下することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官富岡貴美
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