【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を函館地方裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人土家健太郎の上告理由について。 上告人らの援用する訴外Aの本件建物
主 文 原判決を破棄する。 本件を函館地方裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人土家健太郎の上告理由について。 上告人らの援用する訴外Aの本件建物買取請求権の行使は昭和三八年一月一四日 であること、しかるにそれより先、被上告人らから右訴外人を相手取り、建物所有 による敷地不法占有を理由として建物収去・土地明渡の訴訟が提起され、被上告人 ら勝訴の判決が昭和三七年一月二五日確定していたものであることは、原判決の適 法に確定した事実である。原判決は、訴訟中に行使することのできた買取請求権を その口頭弁論終結後に行使しても、その効果を訴訟上主張することはできないもの と解すべきである、とする。 <要旨>案ずるに、借地法に規定された建物買取請求権は形成権であつて、その行 使以前には買取の効果を当該訴訟</要旨>上主張することを得ないのであり、行使を まつて初めて口頭弁論終結後に新たな法律効果を生じるものといわなければならな い。建物買取請求権の行使は、建物収去による土地明渡の請求権を消滅させること になるけれども、その性質は、後者に本来附着していた瑕疵の主張ではなく、地上 建物保護の政策的理由から建物の買主に認められた対価的取引の強制締結の効果の 主張たるに止まるから、口頭弁論終結時までに当然その行使が被告たる建物の買主 に期待されるわけのものではなく、従つて、口頭弁論終結前にその行使が可能であ つたとの一事を以て、終結後に行使された場合の法律効果が爾後の訴訟において主 張されることを禁ずるのは失当とせねばならない。そして、この理は、その爾後の 訴訟が右収去明渡の確定判決に対する請求異議の訴訟であつて、右建物買主自身が 原告として買取請求権行使の効果を主張する場合たると、本件のように土地所有者 から建物の借家人に対する明渡訴訟で 、その爾後の 訴訟が右収去明渡の確定判決に対する請求異議の訴訟であつて、右建物買主自身が 原告として買取請求権行使の効果を主張する場合たると、本件のように土地所有者 から建物の借家人に対する明渡訴訟であつて、その被告が家主の行使した買取請求 権の効果を訴訟上援用主張する場合たるとで異なることはない。(もつとも、右借 家人の入居が先の訴訟の口頭弁論終結時以後であつたとすれば、更に考うべき余地 なしとしないが、本件では、上告人らの入居は昭和三〇年四月一四日と確定されて いるから、この点の問題はない。)従つて、右主張を許さずとした原判決は法律の 解釈適用を誤つたもので、論旨はこの点において理由がある。 よつて、民事訴訟法第四〇七条第一項に従い、原判決を破棄して原審に差し戻す こととし、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 伊藤淳吉 裁判官 臼居直道 裁判官 倉田卓次)
▼ クリックして全文を表示