【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役三月に処する。 原審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理 由 弁護人森健の控訴趣意は本件
主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役三月に処する。 原審に於ける訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 弁護人森健の控訴趣意は本件訴訟記録編綴の同弁護人名義の控訴趣意書と題する書面記載の通りであるから茲に之を引用する。 之に対する当裁判所の判断は次の通りである。 控訴趣意第一点について原判決が論旨摘録の事実を判示したことは所論の通りであるが、その挙示の各証拠を総合すれば優に右事実を認定し得られるから右行為が公務執行妨害罪を構成することは何等疑を容れる余地はない。而して判示収税官吏A外四名が被告入方に於て判示臨検捜索差押の執行をなすに際し判示裁判官の発した許可状を携行所持していたこと、被告人方に於て臨検捜索を開始せんとした時被告人は不在であつたので警察吏員立会の下に之を開始したこと、その執行の途中で被告人が帰宅し妨害に出たこと、及び同人には遂に裁判官の許可状を<要旨第一>示さなかつたことは何れも右巻示の証拠により認められる。然しながら被告人方が不在であつても警察吏員又</要旨第一>は市町村吏員の立会の下に適法に臨検捜索の処分が開始できることは国税犯則取締法第六条第二項の規定に徴し明らかであるから本件執行は適法に開始されたと認められる。従つて一旦適法に開始された前記処分の執行途中で被告人が帰宅しても同人に改めて許可状を示さなければその執行の続行ができないものでないのみならず右取締法には臨検捜索差押の執行に当りその執行者の身分を証明する証票を携帯すべき旨規定するけれども裁判官の許可状を犯則者に示さなければならない旨の規定は存しないから、右収税官吏に於て被告人に前記許可状を示さなかつたからと云うて右執行が不適法となるものではない。本件公務の執行は適法であつて之を妨害した被 可状を犯則者に示さなければならない旨の規定は存しないから、右収税官吏に於て被告人に前記許可状を示さなかつたからと云うて右執行が不適法となるものではない。本件公務の執行は適法であつて之を妨害した被告人の所為は公務執行妨害罪を構成するから原判決には何等所論のような法律解釈の誤りはほい。論旨は採用できない。 同第二点について<要旨第二>本件臨検捜索、差押は被告人方に於ける証拠物件を捜索し之を差押領置し之を収税官吏の完全な支配内に移</要旨第二>す迄はその執行は終了しないものと解すべきであるが、本件訴訟記録並びに原裁判所で取調べた証拠に依れば右執行は未だ右の終了に至らない途中に於て判示妨害を受けたものであること明らかで公務執行妨害罪の成立すること勿論で原判決には何等所論のような審理不尽も理由のくいちがいもないから論旨は理由がない。 同上第三点について本件訴訟記録並びに原裁判所で取調べた証拠に現はれた被告人の本件犯行の動機、態容、経歴、家庭の状況に情状を斟酌考量すると原判決の科刑は重きに過ぎると認められるから此点あ論旨は理由がある。 以上説明の通りで本件控訴は理由があるから刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十一条に則り原判決を破棄することとし而して当裁判所は本件訴訟記録並びに原裁判所で取調べた証拠に依り直ちに判決をすることができると認めるので同法第四百条但書に従ひ更に被告事件について判決することとする。 被告人に対する本件の罪となるべき事実並びに之が認定の証拠は原判決摘示通りであるから茲に之を引用する。 法律に照すと被告人の判示所為は刑法第九十五条第一項に該当するから所定刑中懲役刑を選択しその刑期範囲内に於て、被告人を懲役三月に処し原審に於ける訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用し全部被告人をして負担させることとする。 ( 十五条第一項に該当するから所定刑中懲役刑を選択しその刑期範囲内に於て、被告人を懲役三月に処し原審に於ける訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項を適用し全部被告人をして負担させることとする。 (裁判長判事深井正男判事石谷三郎判事上田孝造)
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