令和5(行ケ)10078 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年4月24日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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令和7年4月24日判決言渡 令和5年(行ケ)第10078号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和7年1月21日判決 原告 株式会社CSイノベーション 同訴訟代理人弁護士 澤田将史 被告 ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 同訴訟代理人弁護士 関口智弘 長谷部陽平 池田幸来子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由(注)本判決で用いる略語の定義は、本文中で別に定めるほか、次のとおりである。 本件審決:特許庁が無効2022-800002号事件について令和5年6月13日にした審決 本件特許:被告を特許権者とする特許第6329679号 本件発明:本件特許に係る発明の総称。各請求項に係る発明は、請求項の番号に対応して「本件発明1」などという。 本件明細書:本件特許に係る明細書及び図面(甲1) PDT社:米国法人PixieDustTechnologies,inc. 本件見積書:原告がPDT社宛に平成27年5月26日付けで作成した「空中超音波集束装置駆動回路設計・検証」を件名とする見積書(甲5の1) 甲204見積書:原告がPDT社宛に平成27年5月25日付けで作成した「空中超音波集束装 5月26日付けで作成した「空中超音波集束装置駆動回路設計・検証」を件名とする見積書(甲5の1)甲204見積書:原告がPDT社宛に平成27年5月25日付けで作成した 「空中超音波集束装置駆動回路設計・検証」を件名とする概算見積書(甲204)本件試作機 :原告が製作し、平成27年11月にPDT社に納品した4台の空中超音波集束装置(ソフトウェアを含む。)本件実験機 :AとBが平成27年4月以前に製作した空中超音波集束装置 (ソフトウェアを含む。)実験機仕様書1:本件実験機に係る「ポータブル空中超音波集束装置 USBインタフェース仕様書 Ver. 1.3」(甲122)実験機取扱説明書:本件実験機に係る「ポータブル空中超音波集束装置取扱説明書 Ver. 1.5」(甲123) 実験機仕様書2:本件実験機に係る「ポータブル空中超音波集束装置駆動回路仕様書 Ver. 1.5」(甲124)甲125論文 :Bが平成26年3月ころに発表した「超音波を集束させる装置とその応用例」と題する論文(甲125)第1 請求 特許庁が無効2022-800002号事件について令和5年6月13日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は、特許無効審判請求に係る不成立審決の取消訴訟である。争点は、発明者の認定である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等ア原告は、検査・計測機器及び装置の企画・開発・製造・販売等を目的とする株式会社であり、C(以下「C」という。以下の判決文中の他の個人名も、2回目以降は氏のみで表記する。)はその代表取締役である(資格証明書)。 イ被告は、PDT社を前身とし、平成29 る株式会社であり、C(以下「C」という。以下の判決文中の他の個人名も、2回目以降は氏のみで表記する。)はその代表取締役である(資格証明書)。 イ被告は、PDT社を前身とし、平成29年5月10日に設立された、音、光、電磁波等の波動制御に関するソフトウェア及びハードウェアの研究開発等を目的とする株式会社であり、A及びDはその代表取締役、Bは取締役(技術担当役員)である(資格証明書、本件審決、証人B、弁論の全趣旨)。 ⑵ 特許庁における手続の経緯等ア被告は、発明の名称を「オーディオコントローラ、超音波スピーカ、オーディオシステム、及びプログラム」とする発明について、平成29年10月3日、特許出願をし、平成30年4月27日、本件特許に係る特許権の設定登録を受けた(請求項の数17)。本件特許の特許公報(甲1)に は、発明者として、AとDの2名が記載されている。 イ原告は、令和4年1月20日、本件特許につき、①本件発明の真の発明者はC及びEであり、被告は本件各発明について特許を受ける権利を有しないから、被告の出願は冒認出願に当たる、②原告は前記の発明者らから特許を受ける権利を承継しているから、被告の出願は共同出願違反(特許 法38条)に当たるとの無効理由を主張して、無効審判を請求した(無効2022-800002号)。 ウ特許庁は、令和5年6月13日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし、その謄本は、同月22日、原告に送達された。 エ原告は、同年7月21日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起し た。 2 本件発明の内容等本件特許の特許請求の範囲(請求項1は以下のとおり)及び本件明細書の記載は、別紙特許公報に記載のとおりである。 【請求項1】 訴えを提起し た。 2 本件発明の内容等本件特許の特許請求の範囲(請求項1は以下のとおり)及び本件明細書の記載は、別紙特許公報に記載のとおりである。 【請求項1】少なくとも1つの超音波スピーカであって、且つ、複数の超音波トランス デューサを備える超音波スピーカ、及び、音源と接続可能なオーディオコントローラであって、前記音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、前記オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する 位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える、オーディオコントローラ。 3 本件審決の理由の要旨⑴ 本件発明の発明者について ア発明者の認定の判断基準特許発明の「発明者」といえるためには、特許請求の範囲の記載によって具体化された特許発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し、又は、その着想を具体化することに創作的に関与したことを要するものと解するのが相当である。 イ本件発明1の技術的思想本件明細書の記載によれば、本件発明の技術的課題は、複数のスピーカから構成されるオーディオシステムでは、各スピーカがリスナの周囲に配置されるため、オーディオシステムの使用環境に制約があること(オーディオシステムの使用環境の制約)である。 そして、本件明細書の記載によれば、焦点で集束した超音波は音源を 形成し、この音源から可聴音が発生し、つまり、超音波スピーカは任意の位置に可聴音を発生させることができ(本件明細書【0040】。以下、特に断らない限 によれば、焦点で集束した超音波は音源を 形成し、この音源から可聴音が発生し、つまり、超音波スピーカは任意の位置に可聴音を発生させることができ(本件明細書【0040】。以下、特に断らない限り、【 】内の番号は、本件明細書の段落番号を指す。)、焦点位置を任意に決められるので、リスナの位置に関わらず、超音波スピーカによる音をリスナに聴かせることができ、オーディオシ ステムの使用環境の制約を取り除くことができる(【0113】)。 本件発明1については、「オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデュ ーサに出力する制御手段を備える」構成が、前記技術的課題を解決する手段を基礎付ける部分(発明の特徴的部分)である。 ウ本件発明1の発明者の認定(ア) 本件見積書(甲5の1)の記載は、平成27年5月26日当時、PDT社のAが原告に依頼した内容と認められる。 本件見積書に記載された「フェーズドアレイAM変調スピーカ」とは、アレイ配列の個々のスピーカから放射される「音声をAM変調した超音波」が集束点で集束するような位相差を有するように、個々のスピーカを制御するものであり、従来技術に見られない新しい着想を示すものである。 そして、スピーカを制御する具体的構成としては、オーディオコントローラの制御手段が通常想定されるから、「フェーズドアレイAM変調スピーカ」は、前記イの課題解決手段である、①オーディオ信号に基づいて生成される「超音波トランスデューサを制御するための制御信号」を、各超音波トランスデューサについて個別に生成するこ アレイAM変調スピーカ」は、前記イの課題解決手段である、①オーディオ信号に基づいて生成される「超音波トランスデューサを制御するための制御信号」を、各超音波トランスデューサについて個別に生成すること、 ②少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超 音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力することを行う制御手段を備えることになる。 したがって、Aは、前記依頼より前に、既に本件発明1の技術的思想を着想済みであり、また、当該着想を具体化した結果を予測することも可能であったといえる。本件発明のように技術的思想の着想を具体 化した結果の予測が可能な技術分野においては、実際に物を製作していなくても、発明を完成していたということができる。 (イ) これに対し、Cは、前記依頼の段階で「フェーズドアレイAM変調スピーカ」について知得した者であるし、Eは前記依頼の段階では関与していないから、C及びE(以下「Cら」という。)は、本件発明1 の技術的思想を着想していないし、その着想を具体化することに創作的に関与していない。 (ウ) したがって、Cらは、本件発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し、又は、その着想を具体化することに創作的に関与した者ではないから、本件発明1の発明者ということはできない。 エ本件発明2~17の発明者の認定本件発明1の課題解決手段を備えることを前提とし、さらに当該課題解決手段を実施するための事項を特定した本件発明2~17について、Cらが当該各発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し、又は、その着想を具体化することに創作的に関与したことを立証するに足る 証拠の提出や具体的な した本件発明2~17について、Cらが当該各発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)を着想し、又は、その着想を具体化することに創作的に関与したことを立証するに足る 証拠の提出や具体的な主張はなされておらず、Cらは、本件発明2~17についても、同様に発明者ということはできない。 4 審決取消事由⑴ 冒認に係る判断の誤り(取消事由1)⑵ 共同出願違反に係る判断の誤り(取消事由2) 第3 当事者の主張 原告は、本件発明の発明者はCらであり、原告がCらから特許を受ける権利を承継したことを前提に、本件特許には冒認(特許法123条1項6号)の無効理由(取消事由1)又は共同出願違反(特許法38条及び123条1項2号)の無効理由(取消事由2)が存在すると主張する。 これに対し、被告は、本件発明の特徴的部分を創作したのはA及びD(以下 「Aら」という。)であり、原告に本件試作機の製作を依頼する前に本件発明は完成していたから、Cらは本件発明の発明者ではないと主張する。 したがって、本件の争点は、本件発明の発明者の認定(Aらが発明者であるか否か)である。 1 発明者の認定の判断基準について (原告の主張)⑴ 発明は、その技術内容が、当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されたときに、完成したと解すべきであるとされており(最高裁第一小法廷昭和52年10月13日判決・昭和49年(行 ツ)第107号・民集31巻6号805頁参照)、発明者とは、当該発明における技術的思想の創作に現実に関与した者、すなわち当該発明の特徴的部分を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動 民集31巻6号805頁参照)、発明者とは、当該発明における技術的思想の創作に現実に関与した者、すなわち当該発明の特徴的部分を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者を指すものと解される(知財高裁平成28年2月24日判決・平成26年(行ケ)第10275号〔歯列矯正ブラケット事件〕、知 財高裁平成27年3月25日判決・平成25年(ネ)第10100号〔生体吸収性の傾斜した多孔質複合体事件〕)。 ⑵ これに対し、本件審決は、「着想」段階に関与していたかどうかのみを問題として発明者該当性を判断している。 また、「本件特許発明のように技術的思想の着想を具体化した結果の予測 が可能な技術分野においては、実際に物を製作していなくても、発明は完成 していたということができる」との本件審決の判断も、後記のとおり、誤っている。 (被告の主張)⑴ 原告の主張⑴は認める。 ⑵ 本件審決は、本件発明の特徴的部分の着想のみにとどまらず、その具体化 への創作的関与についても検討して判断しており、原告指摘の箇所も含め、その判断に誤りはない。 2 本件発明の特徴的部分について(原告の主張)⑴ 本件発明の特徴的部分(主位的主張) ア本件では、特許請求の範囲の記載が発明の技術的特徴を十分に捉えていない上、冒認出願が問題となる事例では、出願者の無理解により特許請求の範囲や明細書の記載が不十分であるおそれが類型的に存在していることからも、発明者の認定に直接関わる特許発明の特徴的部分の認定に当たっては、特許請求の範囲の記載のみに囚われるべきではない。これを前提と すると、本件発明の特徴的部分は、次の①、②のとおりであり、本件発明の課題を解決するためには、いずれをも備えることが 当たっては、特許請求の範囲の記載のみに囚われるべきではない。これを前提と すると、本件発明の特徴的部分は、次の①、②のとおりであり、本件発明の課題を解決するためには、いずれをも備えることが必要である。 なお、本件発明2〜17は、本件発明1の課題解決手段を実施するための具体的な事項を特定したものにすぎず、本件発明1を離れた独自の技術的意義を有しない。 ① 複数の超音波スピーカについて、任意の超音波の焦点位置と各超音波トランスデューサとの距離を算出し、当該距離に応じて、焦点位置で超音波が集束するように各超音波トランスデューサの駆動タイミング(位相差)を制御する信号を生成し(以下「原告特徴的部分①」という。)、 ② 各超音波トランデューサからオーディオ信号に基づいた所望の信号 波形(信号値)を表した(オーディオ信号に基づいた強弱が表された)同じ波形の超音波を当該駆動タイミング(位相差)で放射すること(以下「原告特徴的部分②」という。)。 イ本件審決は、本件発明の特徴的部分を特許請求の範囲の記載内容に基づいて認定しているが、焦点で大きな音を発生させるためには、各超音波ト ランスデューサから焦点位置との距離に応じたタイミングで同じ音波形を出す(音波形を揃える)ことによって、焦点位置で綺麗に音波形を重ねることが必要であるから、特許請求の範囲の記載内容だけでは、任意の焦点位置において可聴音を発生させることはできず、本件発明の課題を解決することはできない。 被告は、1kHz の可聴音の例を挙げて、可聴音の位相制御を行わないことによる焦点位置における可聴音のずれは実用上無視することができると主張するが、一般的に人が聞き分けることができる可聴音は16㎐から20kHz の範囲とされるところ、可 可聴音の位相制御を行わないことによる焦点位置における可聴音のずれは実用上無視することができると主張するが、一般的に人が聞き分けることができる可聴音は16㎐から20kHz の範囲とされるところ、可聴音の周波数帯によっては、そのずれがわずかであるとはいえない。被告の主張によれば、結局のところ、波形が どの程度ずれていても構わないということになり、焦点位置で可聴音が発生することが担保されない。 ウ本件審決は、原告特徴的部分①のうち、各超音波トランスデューサの駆動タイミング(位相差)を制御する信号が「音源を形成する超音波の焦点位置と各超音波トランスデューサとの距離を算出し、当該距離に応じ」た ものであることについて、超音波が任意の焦点位置で集束することができれば本件発明の技術的課題は解決するから、当該位相差を特定するための「距離」の「算出」自体は、技術的課題を解決するのに必須のものとはいえないと判断した。 しかし、焦点位置と各超音波トランスデューサとの距離を算出した上で 位相差を設定しない限り、超音波が任意の位置で集束する可能性は現実的 に皆無であって、本件明細書の記載(【0035】〜【0040】)をみても、位相差の形成方法において超音波トランスデューサ21c(n)と焦点FPとの距離r(n)を計算して行われている。 ⑵ 本件発明の特徴的部分(予備的主張)特許請求の範囲に記載された事項のみを本件発明の特徴的部分として捉え るとしても、中核的な要素は、「1つの位置で集束する位相差を有する超音波」という部分である。 「集束」とは、一般的に「集めて束ねる」、「光線などが一点に集まる様子」を意味する語であるところ、集めて束ねられるもの、一点に集まるものは「同じもの」であることが当然の前提となっ いう部分である。 「集束」とは、一般的に「集めて束ねる」、「光線などが一点に集まる様子」を意味する語であるところ、集めて束ねられるもの、一点に集まるものは「同じもの」であることが当然の前提となっているから、超音波の場合、 同じ波形が1つの焦点位置で揃う場合にはじめて「集束」しているといえる。 また、超音波(音波)の性質上、複数の音源から出た音波が重なり合った場合、2つの音波の密度高低(粗密)が揃っている箇所では音波同士が強め合うのに対し、2つの音波の密度高低(粗密)が逆になっている箇所では音波同士が打ち消し合ってしまうことから、複数の音波の密度高低(粗密)が 揃って音波同士が強め合う場合、すなわち同じ波形が1つの焦点位置で揃う場合にはじめて「集束」に該当すると考えるべきであり、密度高低(粗密)が揃わず、音波同士が打ち消し合ったり減衰したりするような場合は「集束」しているとはいえない。 前記⑴イのとおり、焦点位置で可聴音を発生させるためには、可聴音の位 相を制御し、焦点位置で綺麗に音波形を重ねることが必要である。 したがって、本件発明の特徴的部分は「オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で『同じ波形が揃う』位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、制御信号を、各超音波トランスデ ューサに出力する制御手段を備える」(以下「予備的特徴的部分」という。) ことと解すべきである。 (被告の主張)⑴ 本件発明の特徴的部分本件発明の特徴的部分は、本件審決が認定するとおり、「複数の超音波トランスデューサのそれぞれを個別に制御する点」及び「少なくとも1つの焦 点位置で集束する超音波を放射するように、 の特徴的部分本件発明の特徴的部分は、本件審決が認定するとおり、「複数の超音波トランスデューサのそれぞれを個別に制御する点」及び「少なくとも1つの焦 点位置で集束する超音波を放射するように、制御信号を出力する点」である。 ⑵ 原告の主張について原告の主張する特徴的部分は、いずれも、本件発明の特徴的部分ではない。 ア原告特徴的部分①は、①-1:「搬送波」に対するタイミングの制御と、①-2:可聴音で変調された後の超音波に対するタイミングの制御に分け ることができる。 イしかし、原告特徴的部分①-1(「搬送波」に対するタイミングの制御)は、焦点位置で集束する位相差を有する超音波を取得するために採られ得る一手法にすぎない。 また、超音波を特定の焦点位置に集束させる技術は、従来技術・公知 技術であり、本件発明に特有の技術ではない。 ウ原告特徴的部分①-2(可聴音で変調された後の超音波に対するタイミングの制御)は、焦点位置で可聴音を発生させるために必要な構成ではない。 超音波(搬送波)と可聴音の両方の位相を制御する方法を用いると、位 相制御の計算が複雑化し、処理速度の低下等の問題が生じる。可聴音の位相を制御せず、超音波(搬送波)の位相のみを制御することによっても、焦点位置に超音波を集束させることによって可聴音を発生させるに十分に強力な超音波を作り出すことは可能であり、焦点位置における可聴音のずれは、実用上無視することができるものである。 例えば、以下のような一辺が170㎜の正方形型で半径5㎜の超音波ト ランスデューサを用いる超音波デバイスで、40kHz の超音波(波長8. 5㎜)を用い、中心から真上に200㎜の位置を焦点とする場合を想定すると、正方形の角に接する超音波トラン の超音波ト ランスデューサを用いる超音波デバイスで、40kHz の超音波(波長8. 5㎜)を用い、中心から真上に200㎜の位置を焦点とする場合を想定すると、正方形の角に接する超音波トランスデューサから焦点までの距離は、中心からの距離よりも29.78㎜長いものとなる。 √2002 + 802 + 802 −200 = 29.78(小数点第三位以下切捨て。以下同じ。) そして、超音波(搬送波)のみの位相制御を行うと、以下のとおり、 可聴音の波長のずれは、最大で超音波の波長(8.5㎜)の4周期分となる(超音波1が中心位置、超音波2が角に接する位置、超音波3、4は中心からの距離が比較的近い超音波トランスデューサのものである。)。 40kHz の超音波の1周期は、例えば1kHz の可聴音の1周期の40分の1であり、時間にすると4万分の1秒であるから、このようなわずかなずれは、実用上無視することができるものである。 実際、本件実験機は、原告特徴的部分①-2を備えていないが(なお、 この点は本件試作機も同様である。)、後記のとおり、焦点位置で可聴音を発生させることができた。 エ原告特徴的部分②(変調)は、従来のパラメトリックスピーカに備わる構成であり(特開2012-29096号公報(甲102)、乙18、特開2009-290253号公報(乙19)等)、本件発明の特徴的 部分とはいえない。本件明細書においても、従来のパラメトリックスピ ーカにおける変調とは異なる変調であることは、何ら記載されていない。 ⑶ 本件発明の特徴的部分(予備的主張)について原告の主張のうち、超音波(音波)の性質については認めるが ピ ーカにおける変調とは異なる変調であることは、何ら記載されていない。 ⑶ 本件発明の特徴的部分(予備的主張)について原告の主張のうち、超音波(音波)の性質については認めるが、その余は否認する。 前記⑵ウのとおり、可聴音の音波形が「綺麗に」重なることは、焦点位置 で可聴音を発生させるための必須の要素ではない。 3 本件発明の発明者について(原告の主張)⑴ 本件試作機開発による発明の完成本件試作機は、本件実験機と異なり、本件発明の特徴的部分を全て備 えているところ、その開発は専らCら及び原告関係者において行われ、AらPDT社の関係者は関与していないから、本件発明の特徴的部分を当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者、すなわち本件発明の発明者は、Cらである。 ⑵ 本件試作機について ア本件試作機の備える機能本件試作機は、PDT社から提供を受けた超音波集束装置の欠陥の原因を解明・解決すると同時に、超音波スピーカー機能を追加したものであって、以下のとおり、本件発明の特徴的部分を備え、焦点位置でオーディオ信号に基づいて任意の可聴音を発生させる機能を客観的に備えて いた。 (ア) 本件試作機では、超音波の1つの波に1つずつの音声データを組み込んでいることから、超音波に対する位相の制御を行えば、焦点位置で同じ波形が揃う(=集束する)ように超音波を放射することができた(すなわち、搬送波の位相の制御と可聴音の位相の制御を同時に行 うものであった。)。 (イ) 超音波を集束させる役割を果たすプログラムについては、入力信号を受けて変調し、超音波トランスデューサの制御を行って音声を乗せた超音波を発振するFP うものであった。)。 (イ) 超音波を集束させる役割を果たすプログラムについては、入力信号を受けて変調し、超音波トランスデューサの制御を行って音声を乗せた超音波を発振するFPGA(Field-ProgrammableGateArray、プログラム可能な集積回路)搭載のプログラムをEが作成し、本件試作機に搭載していた。このプログラムは、それぞれの超音波トランスデュ ーサごとに位相を設定して異なる位相で超音波を発振することができる機能を備えていた。 したがって、本件試作機は、焦点位置と各超音波トランスデューサの距離から各超音波トランスデューサの動作タイミング(位相差)を計算する数式(遅延数値)という、プログラムの知識を有する者であれ ば誰でも容易に入力することができる情報を追加するだけで、超音波を特定の位置で集束させることができた。 (ウ) 仮に、位相制御が行われていなかったことを理由として本件試作機が発明の特徴的部分を備えていないことになるとしても、前記(イ)からすれば、本件試作機を開発したCらが、本件発明の特徴的部分を当業 者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与したこと、すなわち、少なくとも共同発明者であることは、否定されない。 イ本件試作機開発の経緯について(ア) そもそも、PDT社から原告への当初の依頼事項は、既存の空中超音 波集束装置(本件実験機)の製品化であり、その際に併せて当該製品のパラメトリックスピーカー化について依頼されたにすぎず、「フェーズドアレイAM変調スピーカ」の開発は含まれていなかった(甲204見積書)。 「フェーズドアレイスピーカー」は、本件試作機により原告が独自に 開発したものである。 頼されたにすぎず、「フェーズドアレイAM変調スピーカ」の開発は含まれていなかった(甲204見積書)。 「フェーズドアレイスピーカー」は、本件試作機により原告が独自に 開発したものである。原告とPDT社との間のやり取りにおける「フ ェーズドアレイスピーカー」とは、パラメトリックスピーカーのうち、複数の超音波トランスデューサの位相を合わせ、焦点位置で可聴音を発生させるという形の指向性を持たせたものを意味していた。 (イ) Cは、原告関係者との検討やBとのメールのやりとり(甲10)を行った上で、平成27年5月26日、筑波大学のAの研究室で行われ た打ち合わせにおいて、「フェーズドアレイAM変調スピーカ」という新たな技術の提案を行い、これが本件見積書(甲5の1)に記載された。 (ウ) 原告に依頼された内容は、原理レベルからの開発を含む試作機の開発であり、被告が主張するように、本件発明の完成後にその試作品の 製作を依頼されたというものではない。 PDT社側には、フェーズドアレイスピーカーに音声を乗せる具体的な構想も技術もなかった。 ⑶ 本件実験機について本件実験機は、以下のとおり、本件発明の特徴的部分を備えるものではな かった。 ア本件実験機は、そもそも、焦点位置で可聴音を発生させることができるものではなかった。 (ア) 実験機仕様書2(甲124)の「4.1.4 変調部」の図4を見ても、出力のパルス幅は変更されておらず、可聴音はPWM変調され ていない。実験機取扱説明書(甲123)の6頁においても、出力強度の箇所でPWMによって制御される旨が記載されているのみで、Bの甲125論文においても同様であるから、本件実験機においては、PWMは音圧=出力強度を変えるために用いられているだけ おいても、出力強度の箇所でPWMによって制御される旨が記載されているのみで、Bの甲125論文においても同様であるから、本件実験機においては、PWMは音圧=出力強度を変えるために用いられているだけである。 Bは、平成27年5月25日18時13分送信のメール(甲10)に おいて、強度の変調だけであることを認めている。 (イ) 被告提出の動画(甲112、113)は、いずれも、動画に録音された音が焦点位置から発生していることを示すものではない。 イ本件実験機は、原告特徴的部分②、予備的特徴的部分を備えていない。 本件実験機は、実験機仕様書2の図5、甲125論文の図8から明らかなとおり、時間差計算部(phasecalculator)において計算した時間差 (phase)の情報を、超音波の音圧(power)をコントロールする波形生成部(carrier_generator)にしか渡しておらず、周波数(freq)をコントロールする変調部(modulator)には渡していない。この時間差の情報に基づいて位相差が設けられるのであるから、本件実験機では、変調部による変調に搬送波と同様のタイミングの制御がされる(位相差が設け られる)構成とはなっていない。この結果、各超音波トランスデューサから発せられる各々の音波形は、「同じ波形」ではなく「異なった音波形」となり、焦点位置において綺麗に重なることはない。 この場合、任意の焦点位置において可聴音を発生させることができないことは、前記2(原告の主張)⑴イのとおりである。 ⑷ 本件発明の特徴的部分が本件審決認定のとおりである場合についてア本件実験機について(ア) 前記⑶アのとおり、本件実験機は、そもそも、焦点位置で可聴音を発生させること ⑷ 本件発明の特徴的部分が本件審決認定のとおりである場合についてア本件実験機について(ア) 前記⑶アのとおり、本件実験機は、そもそも、焦点位置で可聴音を発生させることができるものではなかった。 (イ) 被告の主張を前提としても、本件実験機は、0〜1023Hz の音が 鳴らせる程度のものである(実験機取扱説明書)。一般的に人が聞き分けることができる可聴音は16Hz~20kHz の範囲であり、500Hz~2kHz が中音域、2kHz~20kHz が中高音域から超高音域とされているから、本件実験機は、中音域以降に対応することができておらず、オーディオ環境の制約を取り除くという本件発明の課題を解決するこ とができるものではなかった。 (ウ) Bの甲125論文(3頁、図9)によれば、本件実験機が採用していた変調方式においては、可聴音の1波長ごとにON・OFF制御(いわば50%のPWM制御)しているから、ON・OFF周期で発生音の周波数(高さ)が決まり、1周波数の矩形波音となる。 これでは、音声や音楽を再生することはできず、オーディオ環境の 制約を取り除くという本件発明の課題を解決することができるものではなかった。 (エ) これに対し、本件試作機は、①10kHz 程度までは問題なく対応することができるため、可聴周波数帯に幅広く対応しており、②搬送波の一波長ごとにPWM変調をしているため、原理的に任意の音波形を再 現可能であって、オーディオ信号に基づいた可聴音を焦点位置で発生させ、本件発明の課題を解決することができるものであった。 (オ) したがって、本件発明の特徴的部分が本件審決認定のとおりであるとしても、Cらは、本件発明の発明者(少なくとも共同発 置で発生させ、本件発明の課題を解決することができるものであった。 (オ) したがって、本件発明の特徴的部分が本件審決認定のとおりであるとしても、Cらは、本件発明の発明者(少なくとも共同発明者)である。 イ本件発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)の着想について (ア) 前記⑵イの経緯のとおり、本件見積書に記載された「フェーズドアレイAM変調スピーカ」は、Cの提案によるものであり、Aの着想によるものではない。 (イ) 前記のとおり、本件実験機は、任意の焦点位置でオーディオ信号に基づいて可聴音を発生させることができておらず、AやBには、フェーズ ドアレイスピーカーに音声を乗せる具体的な構想も技術もなかった。 (ウ) 発明者たり得る「着想」は、課題とその解決手段ないし方法が具体的に認識され、技術に関する思想として概念化されたものである必要があり、単なる「思いつき」では足りない。 本件見積書の「フェーズドアレイAM変調スピーカ」は、未だ単なる 思いつきのレベルであり、本件発明1の構成という具体的な課題解決 手段についての着想があったということはできない。Aのインタビュー記事(甲9)にある「新しい指向性スピーカー」についても同様である。 本件試作機において実際に採用された変調方式は、双方合意の上で(甲109)、本件見積書に記載されたAM変調からPWM変調に変 更された。これは、原告による本件試作機の開発過程において、AM変調方式によって所望の超音波波形を発生させるためには大掛かりな電圧制御機構が必要となり、PDT社の超音波集束装置のような小型化が不可能であると判明したためである。 このように、本件発明についての着想、すなわち一定程度の具体的な 解決手段 は大掛かりな電圧制御機構が必要となり、PDT社の超音波集束装置のような小型化が不可能であると判明したためである。 このように、本件発明についての着想、すなわち一定程度の具体的な 解決手段についての着想は、Cらによる本件試作機の開発段階において認められるものである。 (エ) 本件発明は、技術的思想の着想を具体化した結果の予測が可能な技術分野に属するものではないから、着想のみで本件発明が完成していたとはいえない。 実際、PDT社が原告に本件試作機の製作を依頼した平成27年5月26日時点において、当業者であるBは、本件実験機により本件発明を実施することができていない。 また、本件特許の出願が平成29年10月3日に至ってからであること等に照らしても、AやBが、着想のみでは本件発明が完成していな いと認識していたことが明らかである。 (被告の主張)⑴ 本件発明の特徴的部分を完成したのはAらであること本件発明の特徴的部分(前記2(被告の主張)⑴)を、当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動を行 い、本件発明を完成させたのは、以下のとおり、Aらである。 ア Bは、超音波トランスデューサの各振動子を個別に制御して振動のタイミングを遅延させることによって、位相制御により超音波を特定の焦点位置に集束させる技術(以下「本件位相制御技術」という。)を利用した非接触触覚ディスプレイを、遅くとも平成22年9月までに開発し(甲104)、平成24年9月12日から14日まで開催された学会において論文 を発表し(甲105)、超音波集束装置のデモ展示を行った。 Bが製作した超音波集束装置は、「超音波トランスデューサを個別に制御する」構成及び「少 から14日まで開催された学会において論文 を発表し(甲105)、超音波集束装置のデモ展示を行った。 Bが製作した超音波集束装置は、「超音波トランスデューサを個別に制御する」構成及び「少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように・・・各超音波トランスデューサに出力する制御手段」の構成を備えるものであった。 Aは、同年10月以降、Bと本件位相制御技術に関する共同研究を行い、平成26年9月ころ、超音波集束装置により超音波を集束させた任意の場所から意図的に音を発生させてスピーカーとして用いることも可能であるという着想を得て、同年9月7日ころ、Bとの共同論文(甲107、ただし未発表)をまとめるなどした。このようにして、Aらは、本件位相制御 技術をオーディオコントローラに適用することにより、本件実験機の実験動画(甲112、113)が撮影された平成25年1月30日までには、本件発明1を完成させていた。 本件実験機は、①超音波の焦点位置と各超音波トランスデューサとの距離を算出する機能、②本件位相制御技術に係る制御機能(超音波トランス デューサの各振動子を個別に制御して振動のタイミングを遅延させることによって、位相制御を実現し、位相制御によって集束超音波を放射する機能)及び③超音波の変調を制御する機能を有するソフトウェアを搭載し、焦点位置で可聴音を発生させることができるものであり(甲112~115)、本件発明の特徴的部分(前記2(被告の主張)⑴)を備え、発明の 課題を解決するものであった。 イ本件実験機が信号変調のPWM制御を備えていたことは、実験機取扱説明書(甲123)・6頁の「出力強度」「振動子を駆動する40kHz矩形波のPWM 課題を解決するものであった。 イ本件実験機が信号変調のPWM制御を備えていたことは、実験機取扱説明書(甲123)・6頁の「出力強度」「振動子を駆動する40kHz矩形波のPWMによって制御される」という記載から明らかである。 また、実験機仕様書2(甲124)の図4は、制御信号のスイッチング変調(スイッチング制御)を図示するものであり、PWM変調につい て説明するものではないが、スイッチング制御も制御信号の変調手段の1つであり、その結果として超音波の振幅が変調されるから、本件実験機が可聴音を発生する機能を備えていることを示している。 ⑵ 本件試作機についてア本件試作機と原告特徴的部分について 仮に、原告特徴的部分が本件発明の特徴的部分であるとしても、以下のとおり、Cらが本件試作機の開発によって創作したものではない。 (ア) 原告特徴的部分①-1(「搬送波」に対するタイミングの制御)は、原告に提供された実験機仕様書(甲124)に記載されているとおり、本件実験機も備えるものである。 (イ) 原告特徴的部分①-2(可聴音で変調された後の超音波に対するタイミングの制御)は、本件試作機も備えていない構成であるから、Cらは創作していない。 (ウ) 原告特徴的部分②は、従来のパラメトリックスピーカにおける変調と異なるものではなく、仮に異なるとしても、どのように異なるかについ て原告の具体的な主張はないから、Cらによる創作はない。 イ本件試作機開発の経緯について原告は、Aらが本件発明1を完成させた後、その試作品製作の受託者として関与したのみである。Cらは、本件発明1の特徴的部分である本件位相制御技術に関するソフトウェア製作も行っておらず、単に、Aら の指示に基づいて試作品 完成させた後、その試作品製作の受託者として関与したのみである。Cらは、本件発明1の特徴的部分である本件位相制御技術に関するソフトウェア製作も行っておらず、単に、Aら の指示に基づいて試作品を製作したにすぎない。 (ア) PDT社が原告に依頼したのは、本件発明1を実施するオーディオコントローラを備えた超音波スピーカーを製品化するための試作品の製作であり、研究開発ではない。実際、原告との間で、共同研究開発契約等が一切締結されていない。 (イ) PDT社は、平成27年4月、プロダクトデザイナーに依頼して製品 のプロダクトデザインを完成させた後、製品化のための試作機の製作を原告に依頼した。 AとBは、原告側に対し、本件実験機を見せるとともに、実験機仕様書1、実験機取扱説明書、実験機仕様書2のデータを提供し(甲116~125)、本件実験機のソフトウェアも提供している(甲126、 127)。 (ウ) Cが「フェーズドアレイAM変調スピーカ」という新たな技術の提案を行った事実はない。 甲204見積書に記載されている「空中超音波集束装置駆動部1式(4つ)」とは、非接触触覚ディスプレイやフェーズドアレイスピー カーといった様々な用途に用いることのできる汎用型(多機能型)の超音波集束装置である。 そして、甲204見積書に「AM変調バージョンも視野にいれたプラットフォーム化を念頭に進めます。」と記載されているのは、発注した装置自体は制御信号のAM変調機能が搭載されていない装置である が、Aらにおいて、今後実現したいと考えていたからである。 その後、平成27年5月26日の打ち合わせを経て本件見積書が作成され、前記の汎用型(多機能型)の超音波集束装置を2台、ハードウェアの設計により制御信号のAM変調 実現したいと考えていたからである。 その後、平成27年5月26日の打ち合わせを経て本件見積書が作成され、前記の汎用型(多機能型)の超音波集束装置を2台、ハードウェアの設計により制御信号のAM変調を行う、スピーカー特化型の「フェーズドアレイAM変調スピーカ」2台を発注することになった というのが、見積書の記載が変更された経緯である。 (エ) Aらは、発注時点では、試作品のハードウェア及びソフトウェアを全て原告において製作することを依頼していたが、同年10月初めころ、原告との協議の結果、ソフトウェアのうち本件発明1の特徴的部分である「超音波トランスデューサを個別に制御し、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサ が放射するように各超音波トランスデューサに出力する制御手段」(本件位相制御技術)に関するソフトウェアについてはAらが製作し、原告は、変調の制御に関するソフトウェアのみを製作することとなった(甲109)。 ⑶ 本件発明の技術的思想(技術的課題及びその解決手段)の着想について ア前記⑴のとおり、Aらは、原告に本件試作機の製作を依頼する前に、本件発明の技術的思想を着想し、完成させていた。 イ Aは、平成27年4月20日に掲載されたインターネット記事(甲9)において、PDT社が、「新しい指向性スピーカー」として、「これまでひとつの振動子からひとつの超音波を発していたのに対し、たくさんの振 動子から異なる周期で超音波を発する装置(フェーズドアレイ)に替え」、「複数のスピーカーから異なる位相で超音波を発生させる」ことで、「超音波の強く届く場所を動かせる」スピーカであり、「遠いところにいる人にはこの説明、近づいてきた人にはこの説明といったように、そ 」、「複数のスピーカーから異なる位相で超音波を発生させる」ことで、「超音波の強く届く場所を動かせる」スピーカであり、「遠いところにいる人にはこの説明、近づいてきた人にはこの説明といったように、それぞれに合った音声を聞かせることにも応用可能」な「より空間指向性の強い、よ りプログラミング自由度の高いスピーカー」を製造予定であると述べている。これは、本件位相制御技術をスピーカー(ないしオーディオコントローラ)に適用するという本件発明を意味している。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明について ⑴ 本件明細書 本件明細書には、次の記載がある。 ア技術分野本発明は、オーディオコントローラ、超音波スピーカ、及び、オーディオシステムに関する(【0001】)。 イ発明が解決しようとする課題 複数のスピーカから構成されるオーディオシステムでは、各スピーカがリスナの周囲に配置される。このようなオーディオシステムは、音源から入力されるオーディオ信号に対応する複数のチャネルを各スピーカに割り当てることにより、臨場感のあるサウンドを再生することができる。 しかし、従来技術では、リスナの周囲に複数のスピーカを配置する必要 があるため、オーディオシステムの使用環境に制約があり、特に、リスナの背後にスピーカを設置することが難しい使用環境では、使用することができない。本発明の目的は、オーディオシステムの使用環境の制約を取り除くことである(【0002】~【0005】)。 ウ課題を解決するための手段 (ア) 本発明の一態様は、少なくとも1つの超音波スピーカ、及び、音源と接続可能なオーディオコントローラであって、前記音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、前記オーデ するための手段 (ア) 本発明の一態様は、少なくとも1つの超音波スピーカ、及び、音源と接続可能なオーディオコントローラであって、前記音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、前記オーディオ信号に基づいて、前記超音波スピーカが放射する超音波の焦点位置を制御する手段を備える、オーディオコントローラである(【0006】)。 (イ) 本発明の一実施形態として、超音波スピーカ21は、オーディオコントローラ10の制御に従って、超音波を放射するように構成される。 図3に示すように、放射面には、複数の超音波トランスデューサ21cから構成されるフェーズドアレイFAが配置される。複数の超音波トランスデューサ21cは、XZ平面に配置される。超音波スピーカ 21は、各超音波トランスデューサ21cを駆動させる駆動部(不図 示)を備える。駆動部は、複数の超音波トランスデューサ21cを個別に駆動し、各超音波トランスデューサ21cは、駆動部の駆動により振動し、超音波が発生する。超音波スピーカ21は、例えばAM(AmplitudeModulation)変調、FM(FrequencyModulation)変調、PM(PhaseModulation)変調など、所定の変調方式で変調した超音波 を放射する。複数の超音波トランスデューサ21cから放射された超音波は、空間上を伝播し、空間上の焦点で集束する。焦点で集束した超音波は、可聴音の音源を形成し、任意の位置に可聴音を発生させることができる(【0019】、【0025】~【0027】、【0033】、【0040】)。 【図3】超音波スピーカの概略構成図 【図6】本実施形態の超音波スピーカの動作例1の説明図 エ発 、【0033】、【0040】)。 【図3】超音波スピーカの概略構成図 【図6】本実施形態の超音波スピーカの動作例1の説明図 エ発明の効果本発明によれば、オーディオシステムの使用環境の制約を取り除くことができ、一例として、焦点位置を任意に決められるので、リスナLの位置に関わらず、超音波スピーカ21による音をリスナLに聴かせることがで きる(【0007】、【0113】)。 ⑵ 超音波から可聴音が聴こえるようにする仕組みについて別紙「超音波から可聴音が聴こえるようにする仕組み」のとおり(弁論の全趣旨)。 ⑶ 超音波スピーカー(パラメトリックスピーカー)に関する従来技術文献の 記載(【 】内の番号は、各公開特許公報の段落番号を示す。)ア特開2012-29096号公報(甲102)(ア) パラメトリックスピーカは、変調された音声信号を発振後に復調することにより、可聴域の音を再生するものである。パラメトリックスピーカは、指向性スピーカなどとも呼ばれ、出力される音の指向性が強 いという特徴がある。このため、パラメトリックスピーカを用いるこ とにより、特定の領域に選択的に音場を形成することが可能である(【0002】)。 (イ) パラメトリックスピーカ10は、複数の発振源それぞれからAM変調やDSB変調、SSB変調、FM変調をかけた超音波(輸送波)を空気中に放射し、超音波が空気中に伝播する際の非線形特性により、 可聴音を出現させるものである(【0033】)。 イ 「Areviewofparametricacousticarrayinair」と題する論文(2012年、乙18)の抄訳「 空中でパ を出現させるものである(【0033】)。 イ 「Areviewofparametricacousticarrayinair」と題する論文(2012年、乙18)の抄訳「 空中でパラメトリックアレイ効果を生成するためには、変調された信号を超音波発信器に供給する前に増幅する必要があります。…先行する FPGA実装では、DACを必要とせず、パルス変調ブロックを使用してデジタル変調信号を直接パルス列に変換することができます。一般的に使用されるパルス変調技術には、バルス幅変調(PWM)とパルス密度変調(PDM)があります。」ウ特開2009-290253号公報(乙19)(注:下線は当裁判所が 付記した。)(ア) 従来、特定範囲の空間に可聴音を発生させる装置として、超音波に対する空気の非線形性を利用したパラメトリックスピーカーが提案されている。このパラメトリックスピーカーの基本的な構成の例として、…搬送波発振器から発生した超音波を可聴音信号源から発生した可聴域信号 で振幅変調(注:AM変調)し、振幅変調された搬送波としての超音波をパワーアンプを経て超音波振動子から空中に放射するようにしている。 空中に放射された超音波(1次波)は、搬送波と上下の側帯波とが空気中で非線形相互作用を起こし、超音波伝搬路に沿って変調信号が自己復調されて可聴音(2次波)が発生するのである(【0002】)。 (イ) ところで、パラメトリックスピーカーは、1次波から2次波への変換 効率が低いことから、スピーカーとして実用レベルの可聴音を得るには相当高い音圧で1次波を放射する必要がある。その為、超音波振動子への入力が最大60Vppに達することもあり、大規模な回路が必要になって消費電力が大きくなると共に、発熱面、コ レベルの可聴音を得るには相当高い音圧で1次波を放射する必要がある。その為、超音波振動子への入力が最大60Vppに達することもあり、大規模な回路が必要になって消費電力が大きくなると共に、発熱面、コスト面で問題を抱えていた(【0003】)。 (ウ) 本発明は前記課題を解決するために、超音波周波数帯域のパルス信号から成る搬送波信号を発生する搬送波信号発生部と、可聴周波数帯域の可聴音信号を入力する可聴音信号入力部と、該可聴音信号入力部に入力される可聴音信号の信号レベルに応じて前記搬送波信号をパルス幅変調(注:PWM変調)し、被変調信号として出力するパルス幅 変調部と、該パルス幅変調部から出力される被変調信号を受けて超音波として媒質中に放射する超音波振動子とを備え、媒質の非線形特性により可聴音を再生することを特徴とするパラメトリックスピーカーを提案する(【0005】)。 (エ) 本発明によれば、超音波周波数帯域のパルス信号を可聴音信号でパ ルス幅変調して被変調信号とし、この被変調信号を超音波振動子に入力して超音波として放射するので、従来のようにアナログ電気信号を振幅変調するものに対して、電気信号をデジタル処理することができる。従って、電力効率を大幅に向上させて発熱の抑制が可能になると共に、回路規模を簡単に構成することができる(【0007】)。 2 本件発明の特徴的部分について⑴ 発明者とは、当該発明における技術的思想の創作、とりわけ従前の技術的課題の解決手段に係る発明の特徴的部分の完成に現実に関与した者、すなわち当該発明の特徴的部分を当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者を指すものと解され る。 ⑵ しかるところ、本件特許の特許請求 当該発明の特徴的部分を当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与した者を指すものと解され る。 ⑵ しかるところ、本件特許の特許請求の範囲の記載及び前記1⑴の本件明細書の記載によれば、本件発明の課題は、複数のスピーカから構成され、各スピーカをリスナの周囲に配置する必要があるオーディオシステムにおいて、例えば、リスナの背後にスピーカを設置することができないときは、このようなオーディオシステムを利用することができなくなる等といった使用環境 による制約を取り除くことである。 前記1⑵、⑶によれば、可聴音の音波形に沿って変調した超音波(搬送波)が空気中を伝わると可聴音を発生させる(自己復調)という現象を利用した、複数の超音波トランスデューサを備える超音波スピーカ(パラメトリックスピーカ)自体は、本件特許の出願日(平成29年10月3日)、さらには原 告が本件試作機の開発を受注した平成27年5月、被告がAらにおいて本件発明を完成させたと主張する平成25年1月ころにおいても、周知の技術であったと認められる。 本件発明1は、このような周知の技術を前提に、特許請求の範囲に記載されたオーディオコントローラにより、任意に定めることができる焦点位置 (【0113】)のリスナに音を届けることを可能にし、前記課題を解決するものである。すなわち、特許請求の範囲のうち、オーディオコントローラが「オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制 御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える」という部分は、本件発明 なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制 御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える」という部分は、本件発明の課題を解決する発明の特徴的部分であると認められる。 原告は、発明者の認定に直接関わる特許発明の特徴的部分の認定に当たっては、特許請求の範囲の記載のみに囚われるべきではない旨主張するが、発明者の認定が問題となる特許発明の内容は、特許として保護される技術的範 囲により特定されるのであり、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の 記載により決められるべきもの(特許法70条)であるから、原告の主張は、採用することができない。 そして、本件発明2〜14は、本件特許の請求項1の従属項に係る発明であって、本件発明1のオーディオコントローラをさらに特定するものであり、本件発明15~17は、それぞれ、本件発明1~13を実施するための超音 波スピーカ、オーディオシステム、(コンピュータ)プログラムを特定するものであるから、本件発明1の特徴的部分は、本件発明2〜17においても、発明の特徴的部分であると認められる。 ⑶ これに対し、原告は、本件発明の特徴的部分は、① 複数の超音波スピーカについて、任意の超音波の焦点位置と各超音波ト ランスデューサとの距離を算出し、当該距離に応じて、焦点位置で超音波が集束するように各超音波トランスデューサの駆動タイミング(位相差)を制御する信号を生成し(原告特徴的部分①)、② 各超音波トランデューサからオーディオ信号に基づいた所望の信号波形(信号値)を表した同じ波形の超音波を当該駆動タイミング(位相差) で放射すること(原告特徴的部分②)であり、予備的に、特許請求の範囲の記載を前 サからオーディオ信号に基づいた所望の信号波形(信号値)を表した同じ波形の超音波を当該駆動タイミング(位相差) で放射すること(原告特徴的部分②)であり、予備的に、特許請求の範囲の記載を前提としても、③ 少なくとも1つの焦点位置で『同じ波形が揃う』位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備えること(予備的特徴的部分) であって、これらを備えなければ、任意の焦点位置で可聴音を発生させることはできない旨主張するので、以下検討する。 ア原告特徴的部分①について複数の各超音波トランスデューサが放射する超音波を1つの(特定の)焦点位置で集束させるためには、前提として、特定の焦点位置と各超音波 トランスデューサの距離及びその差を計算する必要があることは、別紙 「超音波から可聴音が聴こえるようにする仕組み」の2に記載されているとおりである。また、超音波トランスデューサの各振動子を個別に制御して振動のタイミングを遅延させることによって位相制御を実現し、位相制御によって集束超音波を放出する技術(本件位相制御技術)は、平成27年5月以前に公知となっていた技術であると認められる(甲105、12 5、129)。そうすると、焦点位置と各超音波トランスデューサの「距離及びその差」に基づいた計算を行うこと自体は、「少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段」が当然に備えることが通常想定されるものであり、本件発明1の 特徴的部分であるということはできない。 なお、原告の主張する「任意の超音波の焦点位置と各超音波ト ンスデューサに出力する制御手段」が当然に備えることが通常想定されるものであり、本件発明1の 特徴的部分であるということはできない。 なお、原告の主張する「任意の超音波の焦点位置と各超音波トランスデューサとの距離を算出し」という点が、本件明細書の段落【0037】にあるように、実際のリスナLの位置をリスナ位置検出部25により検出して焦点座標を決定することを指すのであれば、本件審決が述べると おり、任意の焦点位置に対応する位相差を取得するための一手法というべきであって、本件発明の技術的課題を解決するために必須のものとはいえない。 イ原告特徴的部分②及び予備的特徴的部分について(ア) 原告特徴的部分②は、各超音波トランスデューサの位相制御は、超音 波(搬送波)の周期のみではなく、可聴音に自己復調するよう変調した後の波形(以下、便宜上「可聴音の波形」という。)が焦点位置で集束するような位相差で放射することをいうものであり、予備的特徴的部分は、実質的に同内容を主張するものである。 そこで、焦点位置で可聴音を発生させるため、同じ可聴音の波形が焦 点位置で集束する必要があるか否かについて検討する。 (イ) 被告は、前記第3の2(被告の主張)⑵ウのとおり、一辺が170㎜の正方形型で、半径5㎜の超音波トランスデューサを用いる超音波デバイス(超音波トランスデューサの数は、17×17=289個程度と考えられる。)により、40kHz の超音波(波長8.5㎜)を用い、中心から真上に200㎜の位置を焦点とする場合を想定し、超音波(搬 送波)のみの位相制御を行うと、可聴音の波形のずれは、最大で超音波の波長(8.5㎜)の4周期分となるとするところ、この計算自体は相当と認められ、原告も争っていな とする場合を想定し、超音波(搬 送波)のみの位相制御を行うと、可聴音の波形のずれは、最大で超音波の波長(8.5㎜)の4周期分となるとするところ、この計算自体は相当と認められ、原告も争っていない。 周波数の単位ヘルツ(Hz)は、周期的変化をする現象が1秒間に何回繰り返されるかを示す数値であり、40kHz の1周期は時間にすると4 万分の1秒(4周期で1万分の1秒)であるから、可聴音の波形のずれの時間差自体はわずかなものである。 音波には、複数の音源から出た音波が重なり合った場合、2つの音波の密度高低(粗密)が揃っている箇所では音波同士が強め合うのに対し、2つの音波の密度高低(粗密)が逆になっている箇所では音波同 士が打ち消し合う性質があるが(別紙「超音波から可聴音が聴こえるようにする仕組み」の1⑵)、実際の音波の形状は、音の高低、強弱により変わるから、自然復調した複数の可聴音について1万分の1秒の波形のずれが生ずることにより、音波同士が打ち消し合う関係になる可能性は低いと考えられる。 (ウ) さらに、被告が例とした超音波デバイスでいえば、前記のとおり超音波トランスデューサの数は289個と考えられ(なお、本件実験機においては285個(甲122~124)。)、中央に位置するものからみて角よりも近い位置には多数の超音波トランスデューサがあることになる。これら多数のものを基準とすれば、全体の可聴音の波形は 相当割合が揃うか、ずれがあるとしても超音波の波長(8.5㎜)の 1~2周期分程度にとどまることになると考えられる。 また、被告が挙げた例において、焦点距離を1mとした場合(オーディオシステムとして十分想定される距離である。)には、以下の計算式のとおり 2周期分程度にとどまることになると考えられる。 また、被告が挙げた例において、焦点距離を1mとした場合(オーディオシステムとして十分想定される距離である。)には、以下の計算式のとおり、焦点までの距離の差は最大で約6.37㎜となり、超音波の波長(8.5㎜)より短いものとなる。このように、焦点距離が 長くなるほど、各超音波トランスデューサから焦点距離までの距離の差は、短いものとなる。 √10002 + 802 + 802 −1000 = 6.37(エ) 以上を総合すると、超音波(搬送波)の周期の位相制御のみを行い、可聴音の波形が焦点位置で集束するような位相制御を行わないことに よる影響の程度は、焦点との距離、超音波スピーカの大きさ、超音波トランスデューサの個数及び変調される可聴音の周波数によって異なるものであるが、可聴音の波形のずれは、被告が挙げた例において、焦点距離200㎜の場合に最大でも1万分の1秒(超音波の波長の4周期分)というわずかなものにすぎない上、多数の超音波トランスデ ューサから放射されて自己復調される可聴音の波形は、多くが揃ったものとなるか、ごくわずかなずれにとどまる場合が多いと考えられるから、一部の周波数成分が打ち消しあったり、可聴音の波形の位相制御を行った場合より音量が小さくなることはあっても、完全に打ち消しあうことはなく、可聴音を発生させること自体は可能であると認め られる。 (オ) なお、原告は、「集束」の辞書的な意味や前記の音波の性質から、本件発明1の「集束」は、可聴音の波形も含めて「同じ波形が揃う」ことを意味すると解すべきと主張する。 しかし、請求項1の文言は、「超音波」の集束を規定するものと認め られるし、本件明細書の記載をみても 、可聴音の波形も含めて「同じ波形が揃う」ことを意味すると解すべきと主張する。 しかし、請求項1の文言は、「超音波」の集束を規定するものと認め られるし、本件明細書の記載をみても、変調後の可聴音の波形に触れ た記載は見当たらないことから、原告の主張は採用することができない。 ⑷ 以上のとおり、本件発明の特徴的部分に関する原告の主張は、いずれも採用することができず、本件発明の特徴的部分は、前記⑵のとおり、「オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制 御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える」部分であると認められる。 3 本件発明の発明者について ⑴ 本件発明の発明者について原告は、①本件発明の特徴的部分(原告特徴的部分①、②又は予備的特徴的部分)を当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成する創作活動に関与したのは、本件試作機を開発したCらであり、②仮に本件発明の特徴的部分が前記2⑵のとおりであるとしても、本件実験 機は焦点位置で一般的なオーディオ音源の可聴音を発生させるものではなく、一定程度の具体的な解決手段についての着想を行ったのは本件試作機を開発したCらである等として、Cらが本件発明の発明者(少なくとも共同発明者)であると主張する。 ⑵ 本件実験機について ア Bは、超音波を含む波動制御技術を専門とする研究者であり、平成20年に東京大学大学院情報理工学博士課程を卒業し、同大学院の研究室、熊本大学大学院助教等を歴任した。Bは、博士課程在学中から、超音波トランスデ 音波を含む波動制御技術を専門とする研究者であり、平成20年に東京大学大学院情報理工学博士課程を卒業し、同大学院の研究室、熊本大学大学院助教等を歴任した。Bは、博士課程在学中から、超音波トランスデューサの各振動子を個別に制御して振動のタイミングを遅延させることによって、位相制御により超音波を特定の焦点位置に集束させる技術 (本件位相制御技術)の研究と、超音波の音響放射圧を利用した触覚ディ スプレイの開発を行っており、平成24年9月に開催された日本バーチャルリアリティ学会において、「非接触インタラクションのための小型超音波集束装置」と題する論文を発表するとともに、自作の超音波集束装置の展示を行った。同学会に出席していたAは、同年10月以降、Bと共に本件位相制御技術に関する共同研究を行うとともに、超音波集束装置である 本件実験機の開発、改良を進めた(甲104、105、107、112、113、129、乙24~26、証人B)。 イ本件実験機が、①PDT社が原告に本件試作機の開発を依頼する平成27年5月より前に製作されていたこと、②各超音波トランスデューサから放出される超音波を一定の任意の位置に集束させるものであって、本件発 明の特徴的部分のうち、「各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える」(注:制御信号が「オーディオ信号に基づ」くものである点は、ひとまず おく。)ものであったことは、証拠(甲122~125、原告代表者C本人、証人B)から優に認められ、当事者間にも争いがない。 ウそこで、本件実験機が焦点位置 」くものである点は、ひとまず おく。)ものであったことは、証拠(甲122~125、原告代表者C本人、証人B)から優に認められ、当事者間にも争いがない。 ウそこで、本件実験機が焦点位置で可聴音を発生させることができるものであったか否かについて検討する。 (ア) Bは、本件実験機について、平成24年4月から6月にかけて、実 験機仕様書1、実験機取扱説明書及び実験機仕様書2を作成し、平成27年1月31日まで順次改訂するとともに、平成26年3月、甲125論文を発表した(甲122~125)。 (イ) 実験機取扱説明書には、次の記載がある。 「1 概要 本デバイスは空間中の1点に超音波焦点を形成する。PCから の制御はUSBインタフェースを介して行われる。『出力コマンド+焦点座標+出力強度+変調周波数+振動子間隔』を受け取ると、その位置に焦点を結ぶための各振動子の適切な位相を計算し、矩形波で振幅変調された超音波を出力する。」「表1 各種パラメータの値 …変調周波数 DCおよび1~1023Hz(1Hz 刻み)」(ウ) 実験機仕様書2には、次の記載がある。 「1 概要…駆動回路の役割は、PCからの指令に応じて振動子285個分の駆動波形を生成することである。本デバイスは空間中の1点に超 音波焦点を形成する。焦点位置はx座標、y座標、z座標の組で指定する。」「1.1 ブロック図…FPGAはPCからの出力コマンドと焦点座標、出力強度、変調周波数のデータを受け取ると、各振動子から焦点までの距離にも とづいて適切な位相を算出し、超音波波形(40kHz 矩形波)を生成する。」「4.1.3 波形生成部振動子285個 数のデータを受け取ると、各振動子から焦点までの距離にも とづいて適切な位相を算出し、超音波波形(40kHz 矩形波)を生成する。」「4.1.3 波形生成部振動子285個分の駆動波形を生成して出力する。」「4.1.4 変調部 変調周波数に応じた矩形波mclkを生成し、アンプ回路へのイネーブル信号として出力する。 図4 搬送波40kHz とイネーブル信号OE と出力波形の関係」(エ) 甲125論文には、次の記載がある。 「2.開発した装置…本装置は超音波焦点を発生させ、三次元的に動かすことができる(空間的な制御)。またPWM変調による超音波強度の調節や、 AM変調による振動の出力が可能である(時間的な制御)。」「 …座標値から各振動子の時間差を算出する。その結果にもとづいて、出力強度に応じたPWM制御を施した駆動信号(40kHz 矩形波)を生成する。また変調周波数にもとづいて超音波をAM変調するための矩形波を生成する。…AM変調用の矩形波のDuty 比は50%とし、 変調周波数は0~1,023Hz を1Hz 刻みで指定できるものとしている。 」「4.強力超音波超音波の音圧が高いときに顕著に現れる現象がいくつか知られている。…本装置は超音波を集束させて強力な超音波を発生させ、こ れらを利用することができる。…4.1 音響放射圧…4.2 自己復調超音波から可聴音が生じる現象であり、超指向性スピーカ(パラ メトリックスピーカ)の基礎原理である。AM変調やFM変調など で超音波p[Pa]の波形が変化するとき、二次 超音波から可聴音が生じる現象であり、超指向性スピーカ(パラ メトリックスピーカ)の基礎原理である。AM変調やFM変調など で超音波p[Pa]の波形が変化するとき、二次波ps[Pa]が放射される。二次波psの波動方程式は以下の式で与えられる。…すなわち、超音波が変動するとき、その空間自体が音源としてふるまう。 4.3 音響浮揚…」 (オ) 以上の各記載から、本件実験機は、変調周波数1~1023Hz の範囲(1Hz 刻み)で変調された矩形波(初期のテレビゲームの電子音のような音)を出力することが可能であり、その範囲では、焦点位置で可聴音を発生させることができたと認められる。 また、本件実験機の動画(甲113)の内容は、前記認定とも整合 するものである。この動画は、「本来は空中に力を発生させる装置ですが超音波を振幅変調することで可聴音も出せます今回は簡単のため超音波のON/OFFだけで指定した周波数の矩形波を鳴らしています演奏データは楽譜を見ながら手作業で作りました」との説明文とともに、2台の本件実験機が、その下に置かれた液体の表面の 複数箇所を順次凹ませ(焦点位置と認められる。)、これに合わせて単音の電子音の音楽が流れるものであるところ、動画のみからは可聴音が焦点位置で発生していることまでは不明であるものの、前記(イ)から(エ)の各記載内容と併せると、焦点位置でこの動画に現れた程度の可聴音を発生させることができたとしても、不自然ではない。 エこれに対し、原告は、①実験機仕様書2の「4.1.4 変調部」の記載等は、PWM変調が音圧=出力強度を変えるために用いられることを示しているにすぎない、②AやBが作成したとされる動画(甲112、 エこれに対し、原告は、①実験機仕様書2の「4.1.4 変調部」の記載等は、PWM変調が音圧=出力強度を変えるために用いられることを示しているにすぎない、②AやBが作成したとされる動画(甲112、113)は、焦点位置から可聴音が発生していることを示すものではない旨主張する。 しかし、①の点については、前記の実験機仕様書1、実験機取扱説明書、 実験機仕様書2及び甲125論文の記載を総合すると、本件実験機が変調周波数1~1023Hz の範囲(1Hz 刻み)で変調された矩形波を出力し、1023Hz 以下の可聴音を発生させることが可能であったと認められるし、②の点については、前記ウ(オ)で述べたとおりである。 また、原告は、③本件実験機は、変調部による変調に搬送波と同様のタ イミングの制御がされる(位相差が設けられる)構成となっておらず、原告特徴的部分②、予備的特徴的部分を備えていないから、任意の焦点位置において可聴音を発生させることができないと主張する。 この点、本件実験機が原告特徴的部分②、予備的特徴的部分を備えていないことは当事者間に争いがないが、そうであっても任意の焦点位置に おいて可聴音を発生させることができることは、前記2⑶イのとおりである。 オ以上によれば、本件実験機は、1023Hz 以下の範囲(1Hz 刻み)で変調された矩形波の可聴音(初期のテレビゲームの電子音のような音)という制約はあるものの、任意の焦点位置において可聴音を発生させる ことができるものであったと認められる。 ⑶ 本件試作機とその開発経緯についてア本件試作機について証拠(原告代表者C本人及び陳述書(甲210、214)、証人B及び陳述書(甲129、乙26)のほか、以 ったと認められる。 ⑶ 本件試作機とその開発経緯についてア本件試作機について証拠(原告代表者C本人及び陳述書(甲210、214)、証人B及び陳述書(甲129、乙26)のほか、以下に掲げる証拠)及び弁論の 全趣旨によれば、Cらが開発した本件試作機は、以下のものであったと認められる。 (ア) 本件試作機は、PDT社があらかじめプロダクトデザイナーに依頼して作成していた筐体に組み込んだものであった(甲5の1、甲204、211の1~3)。 (イ) 本件実験機のソフトウェアは、パソコンとFPGAに搭載されたプ ログラムであったのに対し、本件試作機においては、マイコンボードGR-SAKURAによる処理とFPGAが採用された(甲39、117、118、123、211の1~3)。 (ウ) 可聴音の音波形に変調させる際の方式はPWM変調とし、変調部において搬送波と同様のタイミングの制御を設ける構成であった(甲2 09)。 (エ) ただし、本件試作機は、超音波トランスデューサを個別に制御し、変調した超音波を異なる位相で発振することができるFPGA搭載のプログラムを搭載していたものの、発振した超音波を焦点に集束させるための位相制御のプログラムは搭載していなかった(甲109、11 0)。 (オ) 前記(エ)の位相制御のプログラムを加えれば、本件試作機は、10kHz程度までの任意のオーディオ信号に基づく可聴音を焦点位置で発生させることができるものであって、本件見積書に記載された課題(ES(エンジニアリングサンプル)を製造するために、耐久性、安全性と 課題解決(発火及び共鳴音発生要因解明と解決を含む))をも解決したものとして、PDT社に納品された。 イ本件見積書記載の「フェー ンジニアリングサンプル)を製造するために、耐久性、安全性と 課題解決(発火及び共鳴音発生要因解明と解決を含む))をも解決したものとして、PDT社に納品された。 イ本件見積書記載の「フェーズドアレイAM変調スピーカ」の着想について(ア) 本件試作機の開発において、「フェーズドアレイスピーカー」とは、 パラメトリックスピーカーのうち、複数の超音波トランスデューサの位相を合わせ、焦点位置で可聴音を発生させるという形の指向性を持たせたものを意味していた(弁論の全趣旨)。 (イ) 前記⑵ウ(エ)のとおり、Bは、平成26年3月ころに公表した甲125論文において、超音波を焦点位置で集束させて強力な超音波を発生 させる本件実験機の利用方法の一つとして、「超指向性スピーカ(パ ラメトリックスピーカ)」を挙げている。 (ウ) Aは、原告に本件試作機を発注する前の平成27年4月20日付けのインターネット記事のインタビューにおいて、本件試作機と同じ筐体デザインの指向性スピーカー「PixieDust」を発売予定であり、焦点で集束した超音波により物体を浮かせ、その場所を自由に移動させられ ることに続けて、「新しい指向性スピーカーにもなる」、「遠いところにいる人にはこの説明、近づいてきた人にはこの説明といったように、それぞれに合った音声を聞かせることにも応用可能」、「より空間指向性の強い、よりプログラミング自由度の高いスピーカー」などと述べている(甲9)。 (エ) そうすると、AとBは、PDT社が原告に本件試作機を発注する前から、「フェーズドアレイスピーカー」の着想を得ていたと認められる。 前記のとおり、AとBは、超音波の研究者であって、従来技術であるパラメトリックスピーカーの基本原理 が原告に本件試作機を発注する前から、「フェーズドアレイスピーカー」の着想を得ていたと認められる。 前記のとおり、AとBは、超音波の研究者であって、従来技術であるパラメトリックスピーカーの基本原理も認識していたと認められ、また、一定の制約があるとはいえ、焦点位置で可聴音を発生させること ができる本件実験機を開発していたのであるから、AとBの着想は、原告が主張するような単なる思い付きのレベルではなく、具体的な解決手段を伴う着想であったというべきである。 なお、「AM変調」については、前記1⑶ウのとおり、パラメトリックスピーカーにおいて、超音波を可聴音の音波形に変調させる際の方 式をAM変調とすることも従来技術であったと認められる(本件試作機が結果的に採用したPWM変調も同じ。)。 (オ) これに対し、原告は、A、B及びPDT社とのやりとりにおいて、「フェーズドアレイAM変調スピーカ」という技術の提案をしたのはCであると主張し、原告代表者C本人尋問の結果及び陳述書(甲21 4)には、これに沿う供述及び陳述があるほか、甲204見積書にお ける「空中超音波集束装置駆動部一式(4つ)の試作を完成させる。」との記載が本件見積書では「空中超音波集束装置駆動部1式(2つ)とフェーズドアレイAM変調スピーカ1式(2つ)の試作品を完成させる。」と変更されていることが認められる。証人Bの尋問においても、Cからの提案があったことを明確に否定する供述はない (尋問調書9、10、18頁)。 しかしながら、前記(エ)のとおり、AやBは、PDT社が原告に本件試作機を発注する平成27年5月より前に既に「フェーズドアレイスピーカー」の着想を得ていたと認められる以上、前記原告の主張及びこれに沿う証拠を考慮して (エ)のとおり、AやBは、PDT社が原告に本件試作機を発注する平成27年5月より前に既に「フェーズドアレイスピーカー」の着想を得ていたと認められる以上、前記原告の主張及びこれに沿う証拠を考慮しても、「フェーズドアレイスピーカー」の着 想がCの提案に由来するものであると認めるには足りない。 ⑷ 本件発明の発明者についてア本件発明の特徴的部分は、「オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデ ューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える」構成である(前記2⑵)。 そして、A及びBが開発した本件実験機は、少なくとも「オーディオ信号に基づいて、」とある部分以外の本件発明の特徴的部分を備えるものであり(前記⑵イ)、さらに、1023Hz 以下の範囲(1Hz 刻み)で変調 された矩形波の可聴音(初期のテレビゲームの電子音のような音)という制約はあるものの、任意の焦点位置において可聴音を発生させることができるものであったと認められる(前記⑵オ)。 イこれに対し、原告は、1023Hz 以下の範囲(1Hz 刻み)で変調された矩形波の可聴音を発生させるだけでは、一般的なオーディオ音源の周波 数帯の可聴音を発生させるものとはいえず、オーディオ環境の制約を取り 除くという本件発明の課題を解決できない旨主張する。 しかし、本件発明は、特許請求の範囲の記載や本件明細書の記載をみても、発生させる可聴音の音域や音質を特定するものではない。「オーディオ信号に基づいて、」との部分から、一般的なオーディオ音源の周波数帯に対応することができることを 範囲の記載や本件明細書の記載をみても、発生させる可聴音の音域や音質を特定するものではない。「オーディオ信号に基づいて、」との部分から、一般的なオーディオ音源の周波数帯に対応することができることを要すると解するとしても、前記1⑵、⑶に よれば、可聴音の音波形に変調させた超音波の自己復調現象を利用したパラメトリックスピーカーは周知の技術であり、製品としても実用化されていたと認められるから、超音波を一般的なオーディオ音源の可聴音の音波形に変調すること自体は、当業者であれば実施することができるものであったと認められる(なお、AやBは、研究者としての知識は有していたが、 実際の製品を開発・製造する当業者ではなく、だからこそ原告に本件試作機開発を依頼している(甲129、乙26、証人B))。 さらに、一般的なパラメトリックスピーカーと異なり、焦点位置で集束する超音波から可聴音を発生させるという点を考慮するとしても、そのために必要な技術事項として原告が主張するのは、可聴音の波形が焦点位置 で集束するような位相差で放射し、焦点位置で可聴音の波形を揃えること(原告特徴的部分②、予備的特徴的部分)である。そして、この構成がなくとも可聴音を発生させることは可能であり、当該構成自体は本件発明の特徴的部分に当たらないことは、既に述べたとおりである。 したがって、本件実験機で発生することができる可聴音が1023Hz 以下の範囲(1Hz 刻み)で変調された矩形波の可聴音であったという点を考慮しても、本件発明の特徴的部分は当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されており、本件発明は完成していたと認められる。 ウ原告は、Aらにおいて本件発明が完成したと認識していたのであれば、 本件特許が平成29 ができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されており、本件発明は完成していたと認められる。 ウ原告は、Aらにおいて本件発明が完成したと認識していたのであれば、 本件特許が平成29年10月3日に至ってようやく出願されたことや、原 告に本件試作機開発を依頼する前に出願しなかったことは不自然である旨主張する。 しかし、発明が完成した後に特許出願をするか否か、するとしていつ出願するかについては、多くの考慮すべき事情があると考えられるから、原告が主張する事情は、本件発明の完成時期の認定を左右するものとまでは いえない。 エ確かに、関係証拠及び弁論の全趣旨によれば、Cら原告関係者が、変調方式をAM変調とするかPWM変調とするかについての試験と検討、マイコンボードやFPGA基盤の評価と選定、発熱・共鳴音対策、基盤・回路の設計、必要なソフトウェアの作成(位相制御のプログラムを除く。)等 を、独自に行ったことは認められ(甲21~39、原告代表者C本人)、本件試作機の音質や音域は、本件実験機よりも改良されていることが認められる(Bも、陳述書において、本件実験機は音質が高いとはいえないという課題を有していることを認め(乙26・8頁)、「本件実験機は、あくまでも本件位相制御技術を「音」の分野に適用した結果を実験的に確認 することを目的とするものであることから、市販の機材・部品・回路を組み合わせ、また、実験に必要最小限のプログラムをA氏及び私が書き上げて、製作しました。大学に所属する若手研究者が低予算で実験機を製作するというのは、そういうものです。本件実験機は、それにより音楽を楽しんだりするものではありません。」(甲129・11頁)と述べてい る。)。 しかし、本件試作機が備える前記⑶アの各機 するというのは、そういうものです。本件実験機は、それにより音楽を楽しんだりするものではありません。」(甲129・11頁)と述べてい る。)。 しかし、本件試作機が備える前記⑶アの各機能のうち、可聴音の波形が焦点位置で集束するような位相差で放射し、焦点位置で可聴音の波形を揃える機能(同(ウ))は、可聴音の音質を向上させるものではあっても、本件発明の技術的課題は、使用環境の制約の除去であって、可聴音の音質の 向上ではないから、本件試作機の当該機能は本件発明の特徴的部分に当た るものではない。その余の点も、本件発明の特徴的部分を実施する場合における具体的・客観的な態様の一つにすぎず、その内容に応じ、本件発明とは別の課題を解決したものということができることがあるとしても、本件発明の課題を解決したということはできない。すなわち、本件試作機の各機能は、本件実験機の開発によって、本件発明の特徴的部分は当業者が 実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成され、本件発明が完成していたとの前記認定を左右するものではない。 オ以上によれば、Cらは、本件発明の特徴的部分を当業者が実施することができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成した者ということはできず、本件発明の発明者(共同発明者)ではないと認められる。 他方、本件発明に係る特許公報(甲1)には、Aらが発明者として記載されているところ、前記認定及び弁論の全趣旨によれば、本件発明の発明者はAらであると認めることができ、これを覆すに足りる証拠はない。 4 結論以上のとおり、本件特許には、原告の主張する冒認も、共同出願違反もない と認められるから、本件審決の判断に誤りがあるとは認められず、原告主張の取消事由は、いずれも理 はない。 4 結論以上のとおり、本件特許には、原告の主張する冒認も、共同出願違反もない と認められるから、本件審決の判断に誤りがあるとは認められず、原告主張の取消事由は、いずれも理由がないことになる。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官頼晋一 JP 6329679 B1 2018.5.23(57)【特許請求の範囲】【請求項1】少なくとも1つの超音波スピーカであって、且つ、複数の超音波トランスデューサを備える超音波スピーカ、及び、音源と接続可能なオーディオコントローラであって、前記音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、前記オーディオ信号に基づいて、各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、且つ、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように、前記制御信号を、各超音波トランスデューサに出力する制御手段を備える、オーディオコントローラ。 【請求項2】前記オーディオ信号は、音圧レベルの周波数特性と、第1サラウンドパンパラメータと、を含み、前記制御手段は、前記音圧レベルの周波数特性と、前記第1サラウンドパンパラメータと、に基づいて、前記超音波スピーカのパンニングを含む第2サラウンドパンパラメータを生成し、前記第2 含み、前記制御手段は、前記音圧レベルの周波数特性と、前記第1サラウンドパンパラメータと、に基づいて、前記超音波スピーカのパンニングを含む第2サラウンドパンパラメータを生成し、前記第2サラウンドパンパラメータに基づいて、前記焦点位置及び前記音圧レベルを制御する、請求項1に記載のオーディオコントローラ。 【請求項3】 (別紙)(2)JP 6329679 B1 2018.5.23前記制御手段は、前記位相差を用いて、少なくとも1つの焦点位置を制御する、請求項1又は2に記載のオーディオコントローラ。 【請求項4】前記制御手段は、各超音波トランスデューサが放射する超音波が前記位相差を有するように、各超音波トランスデューサの駆動タイミングを決定し、前記駆動タイミングに応じて、前記制御信号を各超音波トランスデューサに出力する、請求項1~3の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項5】前記制御手段は、前記焦点位置の焦点座標と、各超音波トランスデューサの位置を示す座標と、に基づいて、各超音波トランスデューサの駆動時間差を決定する、請求項4に記載のオーディオコントローラ。 【請求項6】前記オーディオ信号と、前記焦点位置と、に基づいて、前記超音波をAM(AmplitudeModulation)変調又はPM(PhaseModulation)変調させるための変調パラメータを決定する手段を備える、請求項1~5の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項7】前記制御手段は、前記超音波スピーカに対するリスナの相対位置に基づいて、前記焦点位置を制御する、請求項1~6の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項8】前記超音波スピーカの使用環境に関する使用環境情報を取得する手段を備え 対するリスナの相対位置に基づいて、前記焦点位置を制御する、請求項1~6の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項8】前記超音波スピーカの使用環境に関する使用環境情報を取得する手段を備え、前記制御手段は、前記使用環境情報を更に参照して、前記焦点位置を制御する、請求項1~7の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項9】前記使用環境情報は、前記超音波スピーカの使用環境のレイアウトを示すレイアウト情報、及び、前記使用環境の画像情報の少なくとも1つを含む、請求項8に記載のオーディオコントローラ。 【請求項10】前記超音波スピーカが放射した超音波の反射波に基づいて、前記超音波スピーカの使用環境に存在する反射部材の反射率を推定する手段を備え、前記制御手段は、前記反射率を更に参照して、前記焦点位置を制御する、請求項1~9の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項11】前記オーディオコントローラは、更に、少なくとも1つのスピーカと接続可能であり、前記オーディオ信号に基づいて、前記超音波スピーカの第1音圧レベルと、前記スピーカの第2音圧レベルと、を決定する手段を備え、前記制御手段は、前記第1音圧レベルに基づく第1スピーカ制御信号を前記超音波スピーカに出力し、前記第2音圧レベルに基づく第2スピーカ制御信号を前記スピーカに出力するする、請求項1~10の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項12】前記決定する手段は、周波数特性において高い周波数帯域ほど前記第1音圧レベルが高くなるように、前記第2音圧レベルを決定する、請求項11に記載のオーディオコントローラ。 【請求項13】前記制御手段は、少なくとも1つの焦点位置に点音源を形成する第1動作モード、及び、前記超音波の放射方向に向かってビーム状音 ルを決定する、請求項11に記載のオーディオコントローラ。 【請求項13】前記制御手段は、少なくとも1つの焦点位置に点音源を形成する第1動作モード、及び、前記超音波の放射方向に向かってビーム状音源を形成する第2動作モードの何れかで動 (3)JP 6329679 B1 2018.5.23作する、請求項1~12の何れかに記載のオーディオコントローラ。 【請求項14】前記制御手段は、前記第1動作モードでは、前記超音波トランスデューサから第1距離に位置する第1焦点に前記超音波を集束させ、前記第2動作モードでは、前記超音波トランスデューサから、前記第1距離より長い第2距離に位置する第2焦点に前記超音波を集束させる、請求項13に記載のオーディオコントローラ。 【請求項15】請求項1~13の何れかに記載のオーディオコントローラと接続可能な超音波スピーカであって、複数の超音波トランスデューサを備え、前記制御信号に従って、前記複数の超音波トランスデューサを個別に駆動する駆動部を備える、超音波スピーカ。 【請求項16】請求項1~13の何れかに記載のオーディオコントローラを備え、複数の超音波トランスデューサを備える超音波スピーカを備え、前記超音波スピーカは、前記制御信号に従って、前記複数の超音波トランスデューサを個別に駆動する駆動部を備える、オーディオシステム。 【請求項17】コンピュータを、請求項1~13の何れかに記載の各手段として機能させるためのプログラム。 【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、オーディオコントローラ、超音波スピーカ、及び、オーディオシステムに関する。 【背景技術】【0002】複数のスピーカから構成されるオーディオシステムでは 【技術分野】【0001】本発明は、オーディオコントローラ、超音波スピーカ、及び、オーディオシステムに関する。 【背景技術】【0002】複数のスピーカから構成されるオーディオシステムでは、各スピーカがリスナの周囲に配置される。このようなオーディオシステムは、音源から入力されるオーディオ信号に対応する複数のチャネルを各スピーカに割り当てることにより、臨場感のあるサウンドを再生することができる。 例えば、特許文献1には、リスナの位置及び方向に応じて、各スピーカのミキシング係数を設定する技術が開示されている。 【先行技術文献】【特許文献】【0003】【特許文献1】特開2006-270522号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかし、特許文献1では、リスナの周囲に複数のスピーカを配置する必要がある。そのため、オーディオシステムの使用環境に制約がある。特に、リスナの背後にスピーカを設置することが難しい使用環境では、特許文献1のオーディオシステムは使用することができない。 【0005】 (4)JP 6329679 B1 2018.5.23本発明の目的は、オーディオシステムの使用環境の制約を取り除くことである。 【課題を解決するための手段】【0006】本発明の一態様は、少なくとも1つの超音波スピーカ、及び、音源と接続可能なオーディオコントローラであって、前記音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、前記オーディオ信号に基づいて、前記超音波スピーカが放射する超音波の焦点位置を制御する手段を備える、オーディオコントローラである。 【発明の効果】【0007】本発明によれば、オーディオシステムの使用環境の制約を取り除くことができる。 【図面の簡単な る超音波の焦点位置を制御する手段を備える、オーディオコントローラである。 【発明の効果】【0007】本発明によれば、オーディオシステムの使用環境の制約を取り除くことができる。 【図面の簡単な説明】【0008】【図1】本実施形態のオーディオシステムのシステム構成図である。 【図2】図1のオーディオシステムの構成を示すブロック図である。 【図3】図1の超音波スピーカの概略構成図である。 【図4】本実施形態の概要の説明図である。 【図5】図1の超音波スピーカの駆動タイミングの決定方法の説明図である。 【図6】本実施形態の超音波スピーカの動作例1の説明図である。 【図7】図6の動作例1において形成される音源を示す図である。 【図8】本実施形態の超音波スピーカの動作例2の説明図である。 【図9】図8の動作例2において形成される音源を示す図である。 【図10】本実施形態の超音波スピーカの動作例3の説明図である。 【図11】図10の動作例3において形成される音源を示す図である。 【図12】本実施形態の超音波スピーカの動作例4の説明図である。 【図13】図12の動作例4において形成される音源を示す図である。 【図14】本実施形態のオーディオシステムの制御の処理のフローチャートである。 【図15】図14の処理において参照される音圧レベル情報及び第1サラウンドパンパラメータの概略図である。 【図16】図14の処理において第1周波数帯域~第3周波数帯域に分割される音圧レベル情報の概略図である。 【図17】図14の処理において生成される第2サラウンドパンパラメータの概略図である。 【発明を実施するための形態】【0009】以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し 【発明を実施するための形態】【0009】以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。 【0010】(1)オーディオシステムの構成オーディオシステムの構成について説明する。図1は、本実施形態のオーディオシステムのシステム構成図である。図2は、図1のオーディオシステムの構成を示すブロック図である。 【0011】図1に示すように、使用環境SPにオーディオシステム1が設置される。オーディオシステム1は、リスナLの前方に位置する。 図2に示すように、オーディオシステム1は、オーディオコントローラ10と、超音波スピーカ21と、ラウドスピーカ22と、音源23と、カメラ24と、リスナ位置検出部 (5)JP 6329679 B1 2018.5.2325と、ウーファ26と、を備える。 【0012】オーディオコントローラ10は、スピーカセット(超音波スピーカ21、ラウドスピーカ22、及び、ウーファ26)を制御する情報処理装置の一例である。 オーディオコントローラ10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14と、を備える。 【0013】記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(ReadOnlyMemory)、RAM(RandomAccessMemory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。 【0014】プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。 ・OS(OperatingSystem)のプログラム・情報処理 レージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。 【0014】プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。 ・OS(OperatingSystem)のプログラム・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、オーディオシステム1を制御する制御用アプリケーション)のプログラム【0015】データは、例えば、以下のデータを含む。 ・情報処理において参照されるデータベース・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)【0016】プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、オーディオコントローラ10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。 【0017】入出力インタフェース13は、オーディオコントローラ10に接続される入力デバイス(音源23、カメラ24、及び、リスナ位置検出部25)から入力信号を受け付け、且つ、オーディオコントローラ10に接続される出力デバイス(超音波スピーカ21及びラウドスピーカ22)に出力信号を出力するように構成される。 【0018】通信インタフェース14は、オーディオコントローラ10とサーバ(不図示)との間の通信を制御するように構成される。 【0019】超音波スピーカ21は、オーディオコントローラ10の制御に従って、超音波を放射するように構成される。 【0020】ラウドスピーカ22及びウーファ26は、オーディオコントローラ10の制御に従って、可聴音を発生させるように構成される。 【0021】音源23は、オーディオコントローラ10にオーディオ信号を与えるように構成される。音源23は、以下のものを含む。 ・テレビ・オーディオメディアプレーヤ(カセットプレーヤ、CD(CompactDis 音源23は、オーディオコントローラ10にオーディオ信号を与えるように構成される。音源23は、以下のものを含む。 ・テレビ・オーディオメディアプレーヤ(カセットプレーヤ、CD(CompactDisc)プレーヤ、DVD(DigitalVersatileDisc)プレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ)・デジタルオーディオプレーヤ【0022】カメラ24は、使用環境SPの画像情報を取得するように構成される。カメラ24は、例えば、CMOS(ComplementaryMOS)カメラである。 【0023】リスナ位置検出部25は、リスナLの位置を検出するように構成される。 リスナ位置検出部25は、例えば、赤外線センサである。赤外線センサは、赤外線を照 (6)JP 6329679 B1 2018.5.23射し、且つ、赤外線の反射光を受光すると、反射光に応じて電気信号を生成する。これにより、リスナLの位置が検出される。 【0024】(1-1)超音波スピーカの構成本実施形態の超音波スピーカの構成について説明する。図3は、図1の超音波スピーカの概略構成図である。 【0025】図3に示すように、超音波スピーカ21の放射面には、カバー21a(図3A)が配置されている。カバー21aを取り外すと、筐体21b上の放射面(図3B)が露出する。 【0026】放射面には、複数の超音波トランスデューサ21cから構成されるフェーズドアレイFAが配置される。複数の超音波トランスデューサ21cは、XZ平面(以下「アレイ面」という)に配置される。 【0027】超音波スピーカ21は、各超音波トランスデューサ21cを駆動させる駆動部(不図示)を備える。駆動部は、複数の超音波トランスデューサ21cを個別に駆動する。各超音波ト )に配置される。 【0027】超音波スピーカ21は、各超音波トランスデューサ21cを駆動させる駆動部(不図示)を備える。駆動部は、複数の超音波トランスデューサ21cを個別に駆動する。各超音波トランスデューサ21cは、駆動部の駆動により振動する。各超音波トランスデューサ21cの振動により、超音波が発生する。複数の超音波トランスデューサ21cから放射された超音波は、空間上を伝播し、空間上の焦点で集束する。焦点で集束した超音波は、可聴音の音源を形成する。 【0028】(2)本実施形態の概要本実施形態の概要について説明する。図4は、本実施形態の概要の説明図である。 【0029】図4に示すように、音源23は、オーディオ信号をオーディオコントローラ10に与える。 【0030】オーディオコントローラ10は、音源23からオーディオ信号を入力する。オーディオ信号は、音圧レベルの周波数特性及び第1サラウンドパンパラメータと、を含む。 オーディオコントローラ10は、オーディオ信号の周波数特性及び第1サラウンドパンパラメータに基づいて、超音波スピーカ21の第1音圧レベルと、ラウドスピーカ22の第2音圧レベルと、ウーファ26の第3音圧レベルと、を決定する。 オーディオコントローラ10は、第1音圧レベルに基づく第1スピーカ制御信号を生成し、超音波スピーカ21に出力する。 オーディオコントローラ10は、第2音圧レベルに基づく第2スピーカ制御信号を生成し、ラウドスピーカ22に出力する。 オーディオコントローラ10は、第3音圧レベルに基づく第3スピーカ制御信号を生成し、ウーファ26に出力する。 【0031】超音波スピーカ21は、第1スピーカ制御信号に基づいて超音波を放射する。 ラウドスピーカ22は、第2スピーカ制御信号に基づいて音波を放射する。 ウー 成し、ウーファ26に出力する。 【0031】超音波スピーカ21は、第1スピーカ制御信号に基づいて超音波を放射する。 ラウドスピーカ22は、第2スピーカ制御信号に基づいて音波を放射する。 ウーファ26は、第3スピーカ制御信号に基づいて音波を放射する。 これにより、オーディオ信号に対応するサラウンド環境が構築される。 【0032】(3)超音波スピーカの動作例本実施形態の超音波スピーカの動作例について説明する。 【0033】超音波スピーカ21は、所定の変調方式で変調した超音波を放射する。 変調方式は、例えば、以下の何れかである。 ・AM(AmplitudeModulation)変調 (7)JP 6329679 B1 2018.5.23・FM(FrequencyModulation)変調・PM(PhaseModulation)変調【0034】超音波スピーカ21は、複数の超音波トランスデューサ21cの駆動タイミングを個別に制御することにより、各超音波トランスデューサ21cから放射される超音波に位相差を与える。焦点位置及び焦点数は、この位相差に依存する。つまり、超音波スピーカ21は、位相差を制御することにより、焦点位置及び焦点数を変化させることができる。 【0035】本実施形態の超音波スピーカの位相差の形成方法について説明する。図5は、図1の超音波スピーカの駆動タイミングの決定方法の説明図である。 【0036】記憶装置11には、フェーズドアレイFAの基準点(例えば、中心)に対する超音波トランスデューサ21c(n)のフェーズドアレイFA上の相対位置を示す超音波トランスデューサ21c(n)の座標(x(n),y(n),z(n))が記憶されている。nは、超音波トランスデューサ21cの識別子 ンスデューサ21c(n)のフェーズドアレイFA上の相対位置を示す超音波トランスデューサ21c(n)の座標(x(n),y(n),z(n))が記憶されている。nは、超音波トランスデューサ21cの識別子(正の整数)である。 【0037】例えば、リスナ位置検出部25がリスナLの位置を検出すると、プロセッサ12は、図5に示すように、基準点に対する焦点FPの相対位置を示す焦点座標(xfp,yfp,zfp)を決定する。 プロセッサ12は、記憶装置11に記憶された超音波トランスデューサ21c(n)の座標(x(n),y(n),z(n))と、焦点座標(xfp,yfp,zfp)と、に基づいて、超音波トランスデューサ21c(n)と焦点FPとの距離r(n)を計算する。 【0038】プロセッサ12は、n+1番目に駆動する超音波トランスデューサ21c(n+1)の駆動タイミングと、n番目に駆動する超音波トランスデューサ21c(n)との駆動タイミングとの時間差(以下「駆動時間差」という)Δ T(n+1)を、式1を用いて、計算する。 Δ T(n+1)=-r(n+1)/c … (式1)・c:音速【0039】上記のとおり、プロセッサ12は、焦点座標(xfp,yfp,zfp)と、記憶装置11に記憶された座標(x(n+1),y(n+1),z(n+1))と、を用いて、各超音波トランスデューサ21c(n+1)の駆動時間差Δ T(n+1)を計算する。プロセッサ12は、この駆動時間差Δ T(n+1)に従い、各超音波トランスデューサ21c(n+1)に駆動信号を供給する。 各超音波トランスデューサ21cは、この駆動信号に応じて駆動する。各超音波トランスデューサ21cから放射された超音波は、駆動時間差Δ T(n+1)に応じた位相差を有するので、焦点FPで集束する。 【0040】 ランスデューサ21cは、この駆動信号に応じて駆動する。各超音波トランスデューサ21cから放射された超音波は、駆動時間差Δ T(n+1)に応じた位相差を有するので、焦点FPで集束する。 【0040】焦点FPで集束した超音波は、音源を形成する。この音源から、可聴音が発生する。つまり、超音波スピーカ21は、任意の位置に可聴音を発生させることができる。 【0041】焦点距離が短くなるほど、焦点深度は小さくなる。焦点深度が小さくなるほど、超音波の指向性は低下する。つまり、焦点距離が短くなるほど、超音波の進行方向からずれた方向にも音波が伝わる傾向にある。換言すると、超音波スピーカ21は、焦点位置を変えることにより、可聴音の音波が進行する進行範囲を変化させることができる。 【0042】リスナLが可聴音を聴き取れる可聴範囲の分布は、焦点FPを軸とする略回転対称の形状を形成する。可聴範囲は、超音波ビームに対して可聴音が進む方向又は角度、及び、焦 (8)JP 6329679 B1 2018.5.23点FPとリスナLとの距離の組合せによって規定される。 可聴範囲は、超音波スピーカ21の使用環境の環境音と可聴音の音量との大小関係によって決まる。可聴音の音量は、超音波トランスデューサ21cから放射される超音波の振幅又は変調度によって決まる。 従って、プロセッサ12は、超音波の振幅又は変調度を調整することにより、可聴範囲を変化させることができる。 【0043】(3-1)動作例1(単焦点)本実施形態の超音波スピーカの動作例1について説明する。図6は、本実施形態の超音波スピーカの動作例1の説明図である。図7は、図6の動作例1において形成される音源を示す図である。動作例1では、1つの焦点に超音波を集束させる。 【0044 について説明する。図6は、本実施形態の超音波スピーカの動作例1の説明図である。図7は、図6の動作例1において形成される音源を示す図である。動作例1では、1つの焦点に超音波を集束させる。 【0044】図6に示すように、動作例1では、超音波トランスデューサ21ca~21ciが、両端部から中央に向かう順に、時間差で振動する。 超音波スピーカ21からは、振動の時間差に応じた位相差を有する超音波USW1が放射される。超音波USW1は、フェーズドアレイFAの中心から焦点距離d1だけ離れた焦点FP1で集束する。 【0045】図7に示すように、超音波スピーカ21は、焦点FP1に点音源SS1を形成する。 例えば、焦点FP1がリスナLの耳元に位置する場合、点音源SS1はリスナLの耳元に形成される。この場合、リスナLには、耳元で点音源SS1からの可聴音が聴こえる。 【0046】(3-2)動作例2(複焦点)本実施形態の超音波スピーカの動作例2について説明する。図8は、本実施形態の超音波スピーカの動作例2の説明図である。図9は、図8の動作例2において形成される音源を示す図である。動作例2では、複数の焦点に超音波を集束させる。 【0047】図8に示すように、動作例2では、超音波トランスデューサ21ca~21ciが、2つのグループG1及びG2に分かれる。グループG1は、超音波トランスデューサ21ca~21ceから構成される。グループG2は、超音波トランスデューサ21cf~21ciから構成される。 【0048】グループG1(超音波トランスデューサ21ca~21ce)は、両端部から中央に向かう順に、時間差で振動する。 超音波スピーカ21からは、振動の時間差に応じた位相差を有する超音波USW2aが放射される。超音波USW2aは、フェーズドアレイFAの中心か e)は、両端部から中央に向かう順に、時間差で振動する。 超音波スピーカ21からは、振動の時間差に応じた位相差を有する超音波USW2aが放射される。超音波USW2aは、フェーズドアレイFAの中心から焦点距離d2aだけ離れた焦点FP2aで集束する。 【0049】グループG2(超音波トランスデューサ21cf~21ci)は、両端部から中央に向かう順に、時間差で振動する。 超音波スピーカ21からは、振動の時間差に応じた位相差を有する超音波USW2bが放射される。超音波USW2bは、フェーズドアレイFAの中心から焦点距離d2bだけ離れた焦点FP2bで集束する。 【0050】図9に示すように、超音波スピーカ21は、焦点FP2a及びFP2bに、それぞれ、点音源SS2a及びSS2bを形成する。 例えば、焦点FP2aがリスナL1の耳元に位置する場合、点音源SS2aはリスナL1の耳元に形成される。この場合、リスナL1には、耳元で点音源SS2aからの可聴音が聴こえる。 焦点FP2bがリスナL2の耳元に位置する場合、点音源SS2bはリスナL2の耳元に形成される。この場合、リスナL2には、耳元で点音源SS2bからの可聴音が聴こえ (9)JP 6329679 B1 2018.5.23る。 【0051】なお、超音波スピーカ21は、3個以上の焦点に点音源を形成することも可能である。 【0052】(3-3)動作例3(ビーム)本実施形態の超音波スピーカの動作例3について説明する。図10は、本実施形態の超音波スピーカの動作例3の説明図である。図11は、図10の動作例3において形成される音源を示す図である。 【0053】図10に示すように、動作例3では、動作例1の焦点距離d1、並びに、動作例2の焦点距離d2a及びd 3の説明図である。図11は、図10の動作例3において形成される音源を示す図である。 【0053】図10に示すように、動作例3では、動作例1の焦点距離d1、並びに、動作例2の焦点距離d2a及びd2bより十分に長い距離d3aが設定される。この場合、超音波トランスデューサ21ca~21ciが、略同時に振動することにより、超音波スピーカ21からは、実質的に位相差がない超音波USW3が放射される。超音波USW3は、焦点FP3方向への指向性が高い超音波ビームUSB3を形成する。 【0054】一般的に、超音波ビームは、ビーム状の音源を形成する。つまり、可聴音のビームは、超音波ビームに覆いかぶさるように存在する。 この場合、図11に示すように、超音波ビームUSB3が、ビーム状の音源SS3を形成する。従って、リスナLには、超音波スピーカ21の方向からビーム状の音源SS3(つまり、超音波ビームUSB3に沿って形成された音源)からの可聴音が近づいてくるように聴こえる。 【0055】(3-4)動作例4(ビーム)本実施形態の超音波スピーカの動作例4について説明する。図12は、本実施形態の超音波スピーカの動作例4の説明図である。図13は、図12の動作例4において形成される音源を示す図である。 【0056】図12に示すように、動作例4では、動作例1の焦点距離d1、並びに、動作例2の焦点距離d2a及びd2bより十分に長い距離が設定される。この場合、超音波トランスデューサ21ca~21ciが、一端部側から他端部側に向かう順に、時間差で振動することにより、超音波スピーカ21からは、実質的に位相差がない超音波USW4が、アレイ面に直交する方向(Y+方向)に対して斜めに放射される。超音波USW4は、超音波スピーカ21から、アレイ面に直交する方向(Y+方向)に対し ーカ21からは、実質的に位相差がない超音波USW4が、アレイ面に直交する方向(Y+方向)に対して斜めに放射される。超音波USW4は、超音波スピーカ21から、アレイ面に直交する方向(Y+方向)に対して斜めの位置にある焦点FP4方向への指向性が高い超音波ビームUSB4を形成する。 【0057】図13に示すように、超音波スピーカ21が放射した超音波ビームUSB4aは、ビーム状の音源SS4aを形成し、且つ、反射部材RMで反射する。反射部材RMで反射した反射ビームUSW4bは、ビーム状の音源SS4bを形成する。 【0058】一例として、反射部材RMの側方に位置するリスナLには、超音波スピーカ21とは異なる方向から音源SS4bが近づいてくる。従って、リスナLには、側方からの可聴音が壁から鳴っているように聴こえる。 【0059】別の例として、反射部材RMが超音波USW4aを鏡面反射させる面を有する壁である場合、反射部材RMに対して、超音波ビームUSB4aの反射方向に位置するリスナLには、自身の背後に位置する壁から音源SS4bが近づいてくる。従って、リスナLには、音源SS4bからの可聴音が壁から鳴っているように聴こえる。 【0060】別の例として、反射部材RMが超音波ビームUSB4aを乱反射させる面を有する場合、反射部材RMから広角に反射ビームUSW4bが拡散する。従って、リスナLの位置に (10)JP 6329679 B1 2018.5.23よらず、リスナLには、音源SS4bからの可聴音が広範囲で鳴っているように聴こえる。 【0061】(4)オーディオシステムの制御本実施形態のオーディオシステムの制御について説明する。図14は、本実施形態のオーディオシステムの制御の処理のフローチャートである。図 うに聴こえる。 【0061】(4)オーディオシステムの制御本実施形態のオーディオシステムの制御について説明する。図14は、本実施形態のオーディオシステムの制御の処理のフローチャートである。図15は、図14の処理において参照される音圧レベル情報及び第1サラウンドパンパラメータの概略図である。図16は、図14の処理において第1周波数帯域~第3周波数帯域に分割される音圧レベル情報の概略図である。図17は、図14の処理において生成される第2サラウンドパンパラメータの概略図である。 【0062】ステップS200の後、音源23は、オーディオ信号の出力(S200)を実行する。 具体的には、音源23は、オーディオ信号をエンコードし、オーディオコントローラ10に出力する。 オーディオ信号は、再生すべき音の音圧レベル情報(図15A)と、第1サラウンドパンパラメータ(図15B)と、を含む。 【0063】図15Aは、音圧レベル情報の例である。横軸が周波数(Hz)であり、縦軸が音圧レベル(dB)である。 【0064】図15Bは、5.1chサラウンドモードの第1サラウンドパンパラメータの例である。第1サラウンドパンパラメータは、センタスピーカ(C)、右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、右サラウンドスピーカ(RS)、左サラウンドスピーカ(LS)、及び、ウーファ(LFE)の音圧レベルのバランス(つまり、パンニング)を示す。 【0065】オーディオコントローラ10は、使用環境情報の取得(S100)を実行する。 【0066】具体的には、プロセッサ12は、使用環境SPのレイアウトを示すレイアウト情報を生成する。レイアウト情報は、使用環境SPの3次元のサイズを示す情報と、3次元形状を示す情報と、を含む。 一例として、カメラ24は、使用環 ッサ12は、使用環境SPのレイアウトを示すレイアウト情報を生成する。レイアウト情報は、使用環境SPの3次元のサイズを示す情報と、3次元形状を示す情報と、を含む。 一例として、カメラ24は、使用環境SPの画像情報を撮像する。プロセッサ12は、カメラ24によって撮像された画像情報に三次元モデリングを適用することにより、使用環境SPのレイアウトを示すレイアウト情報を生成し、記憶装置11に記憶する。 別の例として、プロセッサ12は、入出力インタフェース13又は通信インタフェース14を介して、使用環境SPのレイアウト情報(例えば、3次元CADデータ)を記憶装置11に記憶する。 【0067】リスナ位置検出部25は、赤外線を照射し、且つ、赤外線の反射光を受光することにより、リスナLの位置を検出する。 プロセッサ12は、リスナ位置検出部25が生成した電気信号に基づいて、超音波スピーカ21に対するリスナLの相対位置を示す三次元座標を生成することにより、当該相対位置を特定する。 【0068】ステップS100及びS200の後、オーディオコントローラ10は、オーディオ信号の入力(S101)を実行する。 具体的には、プロセッサ12は、ステップS200で音源23から出力されたオーディオ信号を入力する。 【0069】ステップS101の後、オーディオコントローラ10は、オーディオ信号のデコード( (11)JP 6329679 B1 2018.5.23S102)を実行する。 具体的には、プロセッサ12は、オーディオ信号をデコードすることにより、オーディオ信号から、音圧レベル情報(図15A)と、第1サラウンドパンパラメータ(図15B)と、を取り出す。 プロセッサ12は、音圧レベル情報と、第1サラウンドパンパラメータ コードすることにより、オーディオ信号から、音圧レベル情報(図15A)と、第1サラウンドパンパラメータ(図15B)と、を取り出す。 プロセッサ12は、音圧レベル情報と、第1サラウンドパンパラメータと、を記憶装置11に記憶する。 【0070】ステップS102の後、オーディオコントローラ10は、焦点位置の決定(S103)を実行する。 【0071】第1例として、ステップS100でリスナ位置検出部25によって1人のリスナLが検出された場合、プロセッサ12は、ステップS100でリスナ位置検出部25の検出結果に基づいて、超音波スピーカ21に対するリスナLの相対位置を特定する。 プロセッサ12は、特定した相対位置に基づいて、図7の焦点FP1の位置を決定する。 【0072】第2例として、ステップS100でリスナ位置検出部25によって複数(例えば、2人)のリスナL1及びU2が検出された場合、プロセッサ12は、ステップS100でリスナ位置検出部25の検出結果に基づいて、超音波スピーカ21に対するリスナLの相対位置を特定する。 プロセッサ12は、特定した相対位置に基づいて、図9の複数の焦点FP2a及びFP2bの位置を決定する。 【0073】第3例として、反射部材RM(例えば、壁)から可聴音を発生させる場合、プロセッサ12は、ステップS100でプロセッサ12によって生成されたレイアウト情報に基づいて、超音波スピーカ21に対する反射部材RMの相対位置を特定する。 プロセッサ12は、特定した相対位置に基づいて、図11の焦点FP3の位置を決定する。 【0074】第4例として、リスナLの背後の空間で可聴音を発生させる場合、プロセッサ12は、ステップS100でプロセッサ12によって生成されたレイアウト情報に基づいて、反射部材RMの相対位置を特定する。 4】第4例として、リスナLの背後の空間で可聴音を発生させる場合、プロセッサ12は、ステップS100でプロセッサ12によって生成されたレイアウト情報に基づいて、反射部材RMの相対位置を特定する。 プロセッサ12は、特定した相対位置に基づいて、図13の焦点FP4aの位置を決定する。 【0075】ステップS103の後、オーディオコントローラ10は、第2サラウンドパンパラメータの生成(S104)を実行する。 具体的には、プロセッサ12は、ステップS102で記憶装置11に記憶した音波レベル情報の周波数特性を第1周波数帯域B1~第3周波数帯域B3に分割する(図16)。 【0076】図16に示すように、第1周波数帯域B1は、第1周波数閾値TH1以上の周波数帯域である。 プロセッサ12は、超音波スピーカ21の出力特性に基づいて第1周波数帯域B1を決定する。 プロセッサ12は、第1周波数帯域B1を構成する周波数成分について、超音波スピーカ21の音圧レベルが最も高くなり、且つ、ウーファ26の音圧レベルが最も低くなるように、超音波スピーカ21の音圧レベルと、ラウドスピーカ22の音圧レベルと、ウーファ26の音圧レベルと、を決定する。 【0077】第2周波数帯域B2は、第2周波数閾値TH2と第1周波数閾値TH1との間の周波数 (12)JP 6329679 B1 2018.5.23帯域である。 プロセッサ12は、ラウドスピーカ22の出力特性に基づいて第2周波数帯域B2を決定する。 プロセッサ12は、第2周波数帯域B2を構成する周波数成分について、ラウドスピーカ22の音圧レベルが最も高くなり、且つ、ウーファ26の音圧レベルが最も低くなるように、超音波スピーカ21の音圧レベルと、ラウドスピーカ22の音圧レベ 域B2を構成する周波数成分について、ラウドスピーカ22の音圧レベルが最も高くなり、且つ、ウーファ26の音圧レベルが最も低くなるように、超音波スピーカ21の音圧レベルと、ラウドスピーカ22の音圧レベルと、ウーファ26の音圧レベルと、を決定する。 【0078】第3周波数帯域B3は、第2周波数閾値TH2以下の周波数帯域である。 プロセッサ12は、ウーファ26の出力特性に基づいて第3周波数帯域B3を決定する。 プロセッサ12は、第3周波数帯域B3を構成する周波数成分について、ウーファ26の音圧レベルが最も高くなり、且つ、超音波スピーカ21の音圧レベルが最も低くなるように、超音波スピーカ21の音圧レベルと、ラウドスピーカ22の音圧レベルと、ウーファ26の音圧レベルと、を決定する。 【0079】プロセッサ12は、決定した音圧レベル(超音波スピーカ21の音圧レベル、ラウドスピーカ22の音圧レベル、及び、ウーファ26の音圧レベル)に基づいて、第2サラウンドパンパラメータ(図17)を生成する。 図17の第2サラウンドパンパラメータは、超音波スピーカ(US)、右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、右サラウンドスピーカ(RS)、左サラウンドスピーカ(LS)、及び、ウーファ(LFE)の音圧レベルのバランス(つまり、超音波スピーカ21を含むスピーカコンポーネントのパンニング)を示している。 【0080】図17Aは、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより高い場合の第2サラウンドパンパラメータの例を示している。 図17Aに示すように、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより高い場合の第2サラウンドパンパラメータでは、ラウドスピーカ22(右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、 に示すように、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより高い場合の第2サラウンドパンパラメータでは、ラウドスピーカ22(右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、右サラウンドスピーカ(RS)、及び、左サラウンドスピーカ(LS))の音圧レベルより、超音波スピーカ(US)の音圧レベルが高い。 つまり、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより高い場合、オーディオコントローラ10は、ラウドスピーカ22の音より超音波スピーカ21の音を強調する。 【0081】図17Bは、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより低い場合の第2サラウンドパンパラメータの例を示している。 図17Aに示すように、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより低い場合の第2サラウンドパンパラメータでは、ラウドスピーカ22(右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、右サラウンドスピーカ(RS)、及び、左サラウンドスピーカ(LS))の音圧レベルより、超音波スピーカ(US)の音圧レベルが低い。 つまり、第1周波数帯域B1の音圧レベルが第2周波数帯域B2の音圧レベルより低い場合、オーディオコントローラ10は、超音波スピーカ21の音よりラウドスピーカ22の音を強調する。 【0082】ステップS104の後、オーディオコントローラ10は、変調パラメータの決定(S105)を実行する。 具体的には、プロセッサ12は、ステップS104で決定した第2サラウンドパンパラメータのうち超音波スピーカ(US)の音圧レベルと、ステップS103で決定した焦点 (13)JP 6329679 B1 2018.5.23位置と、に基づいて、変調パラ ち超音波スピーカ(US)の音圧レベルと、ステップS103で決定した焦点 (13)JP 6329679 B1 2018.5.23位置と、に基づいて、変調パラメータを決定する。変調パラメータとは、超音波スピーカ21から放射される超音波のAM変調のレベルに関するパラメータである。超音波の振幅は、変調パラメータに依存する。 【0083】ステップS105の後、オーディオコントローラ10は、スピーカ制御信号の生成(S106)を実行する。 【0084】具体的には、プロセッサ12は、第2サラウンドパンパラメータのうち、超音波スピーカ(US)の音圧レベルと、ステップS103で決定した焦点位置と、ステップS105で決定した変調パラメータと、に基づいて、超音波スピーカ21を制御するための第1スピーカ制御信号を生成する。 【0085】プロセッサ12は、ステップS104で決定した第2サラウンドパンパラメータのうち、右フロントスピーカ(R)、左フロントスピーカ(L)、右サラウンドスピーカ(RS)、及び、左サラウンドスピーカ(LS)の音圧レベルに基づいて、ラウドスピーカ22を制御するための第2スピーカ制御信号を生成する。 【0086】プロセッサ12は、第2サラウンドパンパラメータのうち、ウーファ(LFE)の音圧レベルに基づいて、ウーファ26を制御するための第3スピーカ制御信号を生成する。 【0087】プロセッサ12は、第1スピーカ制御信号~第3スピーカ制御信号を、それぞれ、超音波スピーカ21、ラウドスピーカ22、及び、ウーファ26に出力する。 超音波スピーカ21は、第1スピーカ制御信号に基づいて、超音波を放射する。超音波スピーカ21から放射された超音波は、ステップS103で決定された焦点FPで集束する。集束した ーファ26に出力する。 超音波スピーカ21は、第1スピーカ制御信号に基づいて、超音波を放射する。超音波スピーカ21から放射された超音波は、ステップS103で決定された焦点FPで集束する。集束した超音波は、焦点FPに可聴音の音源を形成する。つまり、焦点FPに形成された音源は、可聴音を発生させる。 ラウドスピーカ22及びウーファ26は、それぞれ、第2スピーカ制御信号及び第3スピーカ制御信号に基づいて、自身を音源とする可聴音を発生させる。 【0088】音源23は、再生が終了するまで(S201-NO)、ステップS200の処理を繰り返し実行する。 オーディオコントローラ10は、再生が終了するまで(S107-NO)、ステップS100~S106の処理を繰り返し実行する。 【0089】これにより、オーディオシステム1は、使用環境SPと、リスナLの位置と、音源23から出力されるオーディオ信号と、に応じたサラウンド環境を構築することができる。 特に、オーディオシステム1では、超音波スピーカ21の焦点位置及び焦点数が可変であるので、使用環境SPの制約(例えば、使用環境SPのレイアウト、使用環境SP内に存在する障害物、リスナLの位置)を受けずに、より多様な音をリスナLに聴かせることができる。 【0090】(5)変形例本実施形態の変形例について説明する。 【0091】(5-1)変形例1変形例1について説明する。変形例1は、フェーズドアレイFAが曲面形状を有する例である。 【0092】変形例1のフェーズドアレイFAは、可変曲率を有する曲面形状のアレイ面上に形成される。 (14)JP 6329679 B1 2018.5.23超音波スピーカ21には、アクチュエータ(例えば、可変アーム)が接続される。アク 上に形成される。 (14)JP 6329679 B1 2018.5.23超音波スピーカ21には、アクチュエータ(例えば、可変アーム)が接続される。アクチュエータは、アレイ面の曲率(つまり、曲面形状)を変えるように構成される。アレイ面の曲率が変わると、フェーズドアレイFAから放射される超音波の位相差も変化する。 【0093】具体的には、ステップS106で生成される第1スピーカ制御信号は、アクチュエータを駆動させるための駆動信号を含む。 アクチュエータは、駆動信号に基づいて、アレイ面の曲率を変える。 【0094】変形例1によれば、アレイ面の曲率を変えることにより超音波に位相差を与える超音波スピーカ21を用いる場合にも、上記本実施形態と同様の効果が得られる。 特に、単一の焦点(例えば、図6の焦点FP1)に超音波を集束させる場合、複数の超音波トランスデューサ21cの放射方向が当該焦点を向くので、当該焦点で集束する超音波の音圧レベルを上げることができる。 【0095】(5-2)変形例2変形例2について説明する。変形例2は、超音波スピーカ21を用いて、反射部材RMの反射率と特定する例である。 【0096】変形例2は、超音波トランスデューサ21cが放射する超音波の反射波を検出する超音波センサを備える。 【0097】ステップS100において、プロセッサ12は、更に、レイアウト情報に基づいて、反射部材RMの位置を特定する。 プロセッサ12は、超音波トランスデューサ21cを駆動させることにより、特定した位置(つまり、反射部材RM)に向かって、超音波を放射する。超音波は、反射部材RMに反射する。 超音波センサは、反射部材RMからの反射波を検出する。 プロセッサ12は、超音波を放射してから、超音 位置(つまり、反射部材RM)に向かって、超音波を放射する。超音波は、反射部材RMに反射する。 超音波センサは、反射部材RMからの反射波を検出する。 プロセッサ12は、超音波を放射してから、超音波センサによって反射波が検出されるまでの時間に基づいて、反射部材RMによる超音波の反射方向及び反射率を推定する。 【0098】ステップS103において、プロセッサ12は、ステップS100で推定した反射部材RMの反射方向と、リスナLの相対位置と、に基づいて、焦点位置を決定する。 【0099】ステップS105において、プロセッサ12は、ステップS100で推定した反射部材RMの反射率に基づいて、変調パラメータ(つまり、超音波の振幅)を決定する。 【0100】変形例2によれば、超音波スピーカ21をソナーとして用いる。これにより、反射部材RMの位置、反射方向、及び、反射率の組合せに応じて、使用環境SPに適したサラウンド環境を構築することができる。 【0101】(5-3)変形例3変形例3について説明する。変形例3は、複数の超音波スピーカ21を用いてサラウンド環境を構築する例である。 【0102】変形例3のオーディオシステム1は、複数の超音波スピーカ21を備える。 【0103】プロセッサ12は、ステップS103及びS104において、各超音波スピーカ21とリスナLの相対位置に基づいて、複数の超音波スピーカ21の焦点位置及び音圧レベルを個別に決定する。 【0104】 (15)JP 6329679 B1 2018.5.23変形例3によれば、本実施形態に比べて、焦点で集束する超音波が増えるので、集束する超音波により形成された音源からの可聴音の音圧を上げることができる。その結果、より多様なサラウンド環境を構築 .23変形例3によれば、本実施形態に比べて、焦点で集束する超音波が増えるので、集束する超音波により形成された音源からの可聴音の音圧を上げることができる。その結果、より多様なサラウンド環境を構築することができる。 【0105】(5-4)変形例4変形例4について説明する。変形例4は、可聴範囲を動的に変化させる例である。 【0106】変形例4の第1例では、プロセッサ12は、オーディオシステム1のオペレータ(例えば、リスナL)の指示(例えば、音量を変化させるための操作)を受け付けると、当該指示に応じて、超音波トランスデューサ21cから放射される超音波の振幅又は変調度を変更する。 この場合、オペレータは、超音波スピーカ21による音の可聴範囲を任意に変更することができる。 【0107】変形例4の第2例では、プロセッサ12は、リスナ位置検出部25によって検出されたリスナLの位置に応じて、超音波トランスデューサ21cから放射される超音波の振幅又は変調度を変更する。例えば、プロセッサ12は、複数のリスナLのうち一部のリスナLの位置が可聴範囲から除外されるように、振幅又は変調度を決定する。 この場合、特定のリスナLにのみ、超音波スピーカ21による音を聴かせることができる。 【0108】変形例4の第3例では、オーディオコントローラ10は、環境音の音量を検出するセンサ(不図示)を備える。プロセッサ12は、当該センサによって検出された音量に応じて、可聴範囲が一律に保たれるように、振幅又は変調度を決定する。 この場合、環境音が変化しても、可聴範囲を維持することができる。 【0109】変形例4の第4例では、オーディオコントローラ10は、音源23から与えられたオーディオ信号に応じて、振幅又は変調度を決定する。例えば、オーディオ信号に含まれる第1サ ることができる。 【0109】変形例4の第4例では、オーディオコントローラ10は、音源23から与えられたオーディオ信号に応じて、振幅又は変調度を決定する。例えば、オーディオ信号に含まれる第1サラウンドパンパラメータが広い可聴範囲に適したサラウンドパンを示す場合、プロセッサ12は、可聴範囲が広がるように、振幅又は変調度を決定する。第1サラウンドパンパラメータが狭い可聴範囲に適したサラウンドパンを示す場合、プロセッサ12は、可聴範囲が狭まるように、振幅又は変調度を決定する。 この場合、再生される音に応じて可聴範囲を変更することができる。 【0110】変形例4によれば、超音波スピーカ21の外部要因に応じて、可聴範囲を動的に変化させることができる。 【0111】(6)本実施形態の小括本実施形態について小括する。 【0112】本実施形態の第1態様は、少なくとも1つの超音波スピーカ21、及び、音源23と接続可能なオーディオコントローラ10であって、音源23からオーディオ信号を入力する手段(例えば、ステップS101を実行するプロセッサ12)を備え、オーディオ信号に基づいて、超音波スピーカ21が放射する超音波の焦点位置を制御する手段(例えば、ステップS104を実行するプロセッサ12)を備える、オーディオコントローラ10である。 【0113】第1態様によれば、オーディオシステム1の使用環境の制約を取り除くことができる。 (16)JP 6329679 B1 2018.5.23一例として、焦点位置を任意に決められるので、リスナLの位置に関わらず、超音波スピーカ21による音をリスナLに聴かせることができる。 別の例として、少なくとも1つの点に形成される点音源SS1(図7)と、ビーム状の音源 を任意に決められるので、リスナLの位置に関わらず、超音波スピーカ21による音をリスナLに聴かせることができる。 別の例として、少なくとも1つの点に形成される点音源SS1(図7)と、ビーム状の音源SS3及びSSb(図11)と、を1つの超音波スピーカ21を用いて選択的に切り替えることができる。 【0114】本実施形態の第2態様のオーディオコントローラ10は、オーディオ信号は、第1サラウンドパンパラメータを含み、制御する手段は、第1サラウンドパンパラメータと、周波数特性と、に基づいて、超音波スピーカ21のパンニングを含む第2サラウンドパンパラメータを生成し、第2サラウンドパンパラメータに基づいて、焦点位置及び音圧レベルを制御する。 【0115】本実施形態の第3態様の制御する手段は、超音波スピーカが放射する超音波の位相差を用いて、焦点位置及び焦点数の少なくとも1つを制御する。 【0116】本実施形態の第4態様の制御する手段は、超音波スピーカ21の複数の超音波トランスデューサ21cの駆動タイミングを個別に制御することにより、超音波スピーカ21が放射する超音波の位相差を生成する。 【0117】第4態様によれば、駆動タイミングの制御によって位相差を生成するので、焦点位置をより高速に制御することができる。 【0118】本実施形態の第5態様の制御する手段は、複数の超音波トランスデューサ21cから構成されるフェーズドアレイFAのアレイ面の曲率を変えることにより、超音波スピーカ21が放射する超音波の位相差を生成する。 【0119】第5態様によれば、アレイ面の曲率を変えることにより超音波に位相差を与える超音波スピーカ21を用いる場合にも、上記と同様の効果が得られる。 特に、単一の焦点(例えば、図6の焦点FP1)に超音波を集束させ 態様によれば、アレイ面の曲率を変えることにより超音波に位相差を与える超音波スピーカ21を用いる場合にも、上記と同様の効果が得られる。 特に、単一の焦点(例えば、図6の焦点FP1)に超音波を集束させる場合、複数の超音波トランスデューサ21cの放射方向が当該焦点を向くので、当該焦点で集束する超音波の音圧レベルを上げることができる。 【0120】本実施形態の第6態様の制御する手段は、超音波スピーカ21に対するリスナLの相対位置に基づいて、焦点位置を制御する。 【0121】第6態様によれば、リスナLの位置に応じたサラウンド環境を構築することができる。 特に、リスナLが再生中に動いた場合であっても、サラウンド環境を構築し続けることができるので、再生中のリスナLの位置の制約を取り除くことができる。 また、音源を移動させることができる。特に、リスナLに近づく音、及び、リスナLから遠ざかる音(例えば、虫の羽音)をリスナLに聴かせることができる。 【0122】本実施形態の第7態様のオーディオコントローラ10は、超音波スピーカ21の使用環境SPに関する使用環境情報を取得する手段(例えば、ステップS100を実行するプロセッサ12)を備え、制御する手段は、使用環境情報を更に参照して、焦点位置を制御する。 【0123】第7態様によれば、超音波スピーカ21の使用環境SPに応じたサラウンド環境を構築することができる。 【0124】 (17)JP 6329679 B1 2018.5.23本実施形態の第8態様の使用環境情報は、超音波スピーカ21の使用環境SPのレイアウトを示すレイアウト情報、及び、使用環境SPの画像情報の少なくとも1つを含む。 【0125】第8態様によれば、超音波スピーカ21の使用環境SPのレイア は、超音波スピーカ21の使用環境SPのレイアウトを示すレイアウト情報、及び、使用環境SPの画像情報の少なくとも1つを含む。 【0125】第8態様によれば、超音波スピーカ21の使用環境SPのレイアウトに応じたサラウンド環境を構築することができる。 【0126】本実施形態の第9態様のオーディオコントローラ10は、超音波スピーカ21が放射した超音波の反射波に基づいて、超音波スピーカ21の使用環境SPに存在する反射部材RMの反射率を推定する手段(例えば、プロセッサ12)を備え、制御する手段は、反射率を更に参照して、焦点位置を制御する。 【0127】第9態様によれば、超音波スピーカ21の使用環境SPの反射部材RMの位置、形状、及び、反射率に応じたサラウンド環境を構築することができる。特に、環境光(例えば、太陽光)の影響で、カメラ24が取得した画像情報の画質が低い場合であっても、使用環境SPの反射部材RMの位置、形状、及び、反射率に応じたサラウンド環境を構築することができる。 【0128】本実施形態の第10態様のオーディオコントローラ10は、更に、少なくとも1つのスピーカ(例えば、ラウドスピーカ22及びウーファ26の少なくとも1つ)と接続可能であり、オーディオ信号に基づいて、超音波スピーカ21の第1音圧レベルと、スピーカの第2音圧レベルと、を決定する手段(例えば、ステップS104を実行するプロセッサ12)を備え、制御する手段は、第1音圧レベルに基づく第1スピーカ制御信号と、第2音圧レベルに基づく第2スピーカ制御信号と、を生成し、第1スピーカ制御信号を超音波スピーカ21に出力する手段を備え、第2スピーカ制御信号をスピーカに出力する手段を備える。 【0129】本実施形態の第11態様の決定する手段は、周波数特性において高い周波 スピーカ制御信号を超音波スピーカ21に出力する手段を備え、第2スピーカ制御信号をスピーカに出力する手段を備える。 【0129】本実施形態の第11態様の決定する手段は、周波数特性において高い周波数帯域ほど第1音圧レベルが高くなるように、第2音圧レベルを制御する。 【0130】第11態様によれば、超音波スピーカ21、超音波スピーカ21以外のスピーカ(例えば、ラウドスピーカ22、及び、ウーファ26)の出力特性と、の組合せに応じたサラウンド環境を構築することができる。 【0131】本実施形態の第12態様は、上記オーディオコントローラ10と接続可能な超音波スピーカ21であって、複数の超音波トランスデューサ21cを備え、オーディオコントローラ10の制御に従って、複数の超音波トランスデューサ21cを個別に駆動する駆動部を備える、超音波スピーカ21である。 【0132】本実施形態の第13態様の複数の超音波トランスデューサ21cは、平面上に配置され、駆動部は、複数の超音波トランスデューサ21cから放射される超音波に位相差が形成されるように、各超音波トランスデューサを個別に振動させる。 【0133】本実施形態の第14態様は、上記オーディオコントローラ10を備え、複数の超音波トランスデューサ21cを備える超音波スピーカ21を備え、 (18)JP 6329679 B1 2018.5.23超音波スピーカ21は、オーディオコントローラ10の制御に従って、複数の超音波トランスデューサ21cを個別に駆動する駆動部を備える、オーディオシステム1である。 【0134】(7)その他の変形例【0135】記憶装置11は、ネットワークNWを介して、オーディオコントローラ10と接続されてもよい。 駆動する駆動部を備える、オーディオシステム1である。 【0134】(7)その他の変形例【0135】記憶装置11は、ネットワークNWを介して、オーディオコントローラ10と接続されてもよい。 【0136】図2のスピーカコンポーネント(超音波スピーカ21、ラウドスピーカ22、及び、ウーファ26の組合せ)は一例である。本実施形態は、以下のスピーカコンポーネントにも適用可能である。 ・超音波スピーカ21単体(つまり、超音波スピーカ21以外のスピーカ(図2のラウドスピーカ22及びウーファ26)を含まないスピーカコンポーネント)・図2に示されていないスピーカ(例えば、サブウーファ)を含むスピーカコンポーネント【0137】カメラ24が、リスナ位置検出部25の代わりに、リスナLの相対位置を検出しても良い。 例えば、カメラ24が、リスナLの画像情報を取得する。 プロセッサ12が、カメラ24が取得した画像情報に対して、人の特徴量に基づく特徴量解析を適用する。これにより、画像情報におけるリスナLの位置(画像空間上の位置)が特定される。 プロセッサ12は、特定した画像空間上の位置に基づいて、超音波スピーカ21に対するリスナLの相対位置を示す三次元座標を生成することにより、当該相対位置を特定する。 【0138】超音波スピーカ21が、リスナ位置検出部25の代わりに、リスナLの相対位置を検出しても良い。 例えば、超音波トランスデューサ21cが放射する超音波の反射波を検出する超音波センサを備える。 ステップS100において、プロセッサ12は、超音波トランスデューサ21cを駆動させることにより、超音波を放射する。超音波は、リスナLに反射する。 超音波センサは、リスナLからの反射波を検出する。 プロセッサ12は、超音波を放射してから、超音波センサ ンスデューサ21cを駆動させることにより、超音波を放射する。超音波は、リスナLに反射する。超音波センサは、リスナLからの反射波を検出する。プロセッサ12は、超音波を放射してから、超音波センサによって反射波が検出されるまでの時間に基づいて、リスナLの相対位置を推定する。 以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。 【符号の説明】 1 :オーディオシステム 10 :オーディオコントローラ 11 :記憶装置 12 :プロセッサ 13 :入出力インタフェース 14 :通信インタフェース 21 :超音波スピーカ 21a :カバー 21b :筐体 21c :超音波トランスデューサ 22 :ラウドスピーカ 23 :音源 24 :カメラ 25 :リスナ位置検出部 26 :ウーファ 【要約】 【課題】オーディオシステムの使用環境の制約を取り除く。 【解決手段】オーディオコントローラは、少なくとも1つの超音波スピーカ、及び、音源と接続可能である。このオーディオコントローラは、音源からオーディオ信号を入力する手段を備え、オーディオ信号に基づいて、超音波スピーカが放射する超音波の焦点位置を制御する手段を備える。 【選択図】図4 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【図5】 【図6】 の焦点位置を制御する手段を備える。 【選択図】図4【図1】【図2】 (20)JP 6329679 B1 2018.5.23【図3】【図4】【図5】【図6】 (21)JP 6329679 B1 2018.5.23【図7】【図8】【図9】【図10】 (22)JP 6329679 B1 2018.5.23【図11】【図12】【図13】【図14】 (23)JP 6329679 B1 2018.5.23【図15】【図16】【図17】 (24)JP 6329679 B1 2018.5.23̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶フロントページの続き(56)参考文献特開2015-056905(JP,A)特開2004-112211(JP,A)特開2012-029096(JP,A)国際公開第2017/135194(WO,A1)GAN, Woon-Seng, etal.,"ADigitalBeamsteererforDifferenceFrequencyinaParametricArray",IEEETRANSACTIONSONAUDIO, SPEECH, ANDLANGUAGEPROCESSING,米国,IEEE,2006年 5月,[オンライン],[検索日 2017.11.6],インターネット:<URL:http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=1621214>,URL,http://ie 1.6],インターネット:<URL:http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=1621214>,URL,http://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?arnumber=1621214(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)H04R 3/00H04S 7/00 (別紙)超音波から可聴音が聴こえるようにする仕組み 1 音波の性質⑴ 「音波」とは、「空気が振動して、空気密度の高低として、空気中を伝わっていく 波」である(図1)。 図1 スピーカーが空気を揺らすと、図1上部のように、黒点線で描いた方向に空気が振 動することにより、空気密度が高いところ(空気分子が密なところ)と低いところ(空気分子が疎なところ)が生まれる。この空気密度の高低が「波」として伝わっていくのが「音波」である。この音波を表現する際には、図1の下段のように、空気が振動した結果生じた、空気密度の高低(粗密)を描く。図1上部では、スピーカーを揺らすことによって、「音波」すなわち「空気中を進む空気密度の高低(粗密)の波」 が、耳に向かって進んでいる。 図1の下部では、一次元的に一方向に進む図解を行ったが、音波が二次元的に進む様子を図示すると図2のようになる。 空気の密度⾼低スピカ⽿ 図2 ⑵ 複数の音源(スピーカー)から音波を出すと、複数の音波は空気中で重なり合いながら、それぞれ空気中を進んで行く。図3は、「2箇所の点音源からそれぞれ出た2 つの音波が、空気中で重なり合いなが ⑵ 複数の音源(スピーカー)から音波を出すと、複数の音波は空気中で重なり合いながら、それぞれ空気中を進んで行く。図3は、「2箇所の点音源からそれぞれ出た2 つの音波が、空気中で重なり合いながら進む」様子を図示したものである。 図3図3上部の左右には、それぞれ異なる場所に配置された2音源から発せられた音波が、単独でそれぞれどのように進んで行くかが描かれている。図3の下部では、音波 を同時に発した場合に2箇所の点音源からそれぞれ出た2つの音波が、空気中で重なり合いながら進む様子を描いており、複合的な波が生じていることが見て取れる。 この図3の例で、空気中の各場所で、複数の音波が重なり合った結果生じている「音波の大きさ」を色で図示したのが図4である。 図4図4では、図3の例で2つの点音源から出た各音波が重なり合って生み出す音波の大きさを、音が大きいところはオレンジ色、音が小さいところは紫色で表現している。 図4を見ると、2つの点音源から出た2音波が重なりあったとき、(a)音波が重なりあってできた(複合的な)音波の大きさが大きな箇所(オレンジ色)、(b)音 波が重なりあってできた(複合的な)音波の大きさが小さな箇所(紫色)があることが見てとれる。(a)の箇所では、2つの音波の密度高低(粗密)が揃い、(b)の箇所では、2つの音波の密度高低(粗密)が逆になる結果、(a)の箇所では、「音波同士が強め合うことで、大きな音が生じる」、(b)の箇所では、「音波同士が打ち消し合い、小さな音しか生じない」のである。 ・複数の⾳波の⾼低が揃う場所⇒「⾳波同⼠が強め合う」・複数の⾳波の⾼低が逆になる場所⇒ 「⾳波同⼠打ち消し合う」⾳量⼤⼩⾳源⾳源オレンジ部分︓⾳波同⼠が強め合うムラサキ ・複数の⾳波の⾼低が揃う場所⇒「⾳波同⼠が強め合う」・複数の⾳波の⾼低が逆になる場所⇒ 「⾳波同⼠打ち消し合う」⾳量⼤⼩⾳源⾳源オレンジ部分︓⾳波同⼠が強め合うムラサキ部分︓⾳波同⼠が弱め合う 図3・図4では、点音源が2つある場合を例に取ってきたが、点音源の数を増やすと、図5のとおりである。 図5 図5は、11個の点音源から「同じ音波形」を「同じタイミング」で出した場合に生じる波を描いたものである。 図5を見ると、点音源の近くでは、複数の点音源からの音波が複雑に重なり合っているが、点音源から離れた領域では、音波が重なり合って、通常のスピーカが生み出 すような「平行波」又は「平面波」と呼ばれる単純な波になっていることがわかる。 2 複数の超音波スピーカーを使い、焦点で大きな音を発生させる仕組み空気中で複数音波の密度高低(粗密)が揃うと音波同士が強め合って大きな音が生じ、空気中で複数音波の密度高低(粗密)が逆だと音波同士が打ち消し合って音が消えるこ とからすれば、任意の焦点位置で音波形(密度高低・粗密の変化)が重なれば、焦点で 大きな音を発生させることができる。 その方法としては、点音源(スピーカー)から出た音波形が焦点に届くまでには距離に応じた時間がかかる(音波の速さはおよそ1秒当たり約340メートルであるため、点音源から焦点までの距離(メートル)/約340メートルで計算される秒数かかる)ことから、点音源(スピーカー)から焦点までの距離に応じて、各点音源から音波形を 出すタイミング(時間)を調整すれば、各音源から出された音波形が任意の焦点位置で綺麗に重なることになる。 図5の例で、焦点に届く音波形が揃うように、各音源で出す音波形にタイミング補正 波形を 出すタイミング(時間)を調整すれば、各音源から出された音波形が任意の焦点位置で綺麗に重なることになる。 図5の例で、焦点に届く音波形が揃うように、各音源で出す音波形にタイミング補正をしたのが図6である。 図6 図6では、赤丸や紫丸で図示した11個の点音源から、(各点音源から)焦点までの距離に応じて、その距離を音波が進むのにかかる時間を計算し、点音源から出す音波形に時間差を付けて音波形を出している(焦点に対して遠い点音源からは(焦点に近い点 音源と比較すると)距離に応じて早めに音波形を出す。)。その結果として、中央部に青丸で示した「狙う特定場所=焦点」で音波が集中している。 この図6の例について、図4のように、空気中の各場所で、複数の音波が重なり合っ た結果生じている「音波の大きさ」を色で図示したのが図7である。 図7図7を見ると、焦点領域では各音源から届く音波形が綺麗に揃うことで「大きな音」が生じ、それ以外の場所では「音波形が綺麗には揃わないために、比較的小さな音しか 発生していない」ことがわかる。 図6の例で、赤丸の点音源と紫丸の点音源から出した音波形を示したのが図8である。 図8 ⾳量⼤⼩焦点⾳源焦点近くの領域では(⽐較的)⼤きな超⾳波が⽣じる 図8の上部と下部の音波形は、基本的に同じ音波形であるが、時間軸(横軸)方向にずれている=音波形を出すタイミング(時間)に対して制御が掛けられている(紫丸の方が赤丸よりも音波形を出すタイミングが遅い)。このように同じ音波形を、時間をずらして出すことによって、焦点位置で音波形を綺麗に揃えている。 3 可聴音を超音波に乗せて、可聴音を聴こえるようにする仕組み⑴ 変調過程:可聴音を )。このように同じ音波形を、時間をずらして出すことによって、焦点位置で音波形を綺麗に揃えている。 3 可聴音を超音波に乗せて、可聴音を聴こえるようにする仕組み⑴ 変調過程:可聴音を超音波に乗せる過程変調過程では、周波数が一定の超音波(搬送波)の大きさを「可聴音の音波形」を使って変化させる。図9はその概略を示した図である。 図9 図9では、1秒間に4万回振動する(40kHz)超音波の大きさを、人が聴くことができる880Hz(時報音の最後音(ポーン)の高さ)の可聴音の音波形の形に沿って、変えている。この段階では、超音波の音量が周期的に変化しているだけであ り、超音波であることに変わりはないため、人は可聴音を聴くことはできない。 ⑵ 自己復調過程:超音波から可聴音を復元する過程音波は「空気が振動して、空気密度の高低として、空気中を伝わっていく波」であるところ、超音波は「振動がとても速く繰り返される=周波数がとても高い」音波である。 図10超音波が空気中を伝わる際には、「超音波が空気中を進んで行くと、元の超音波の音量変化と同じような形状の音波形が自然に生まれる」という現象が起きる。図10左上に示した「音波形」は、空気中を進む中で図10右上のような「音波形」に変化 する。この図10右上の音波形(空気中を進む際の音波形)は、図10右下に示すように「(可聴音の音量で変調した)元の超音波の音波形」に「元の超音波の音量変化と同じような形状の音波形」を足したような音波形である。 そのため、超音波が空気中を進んで行くと、「元の超音波の音波形」に「可聴音の音波形と同じような形状の音波形」を足したような音に自然と変化する。この現象を 言い換えると「自然に可聴音が生じる(復元 のため、超音波が空気中を進んで行くと、「元の超音波の音波形」に「可聴音の音波形と同じような形状の音波形」を足したような音に自然と変化する。この現象を 言い換えると「自然に可聴音が生じる(復元される)」のであり、この「超音波の振幅として載せた可聴音波形が自然に生じる・復元される現象」を「自己復調」と呼ぶ。 以上時間( 秒)時間( 秒)⾳波形変︖( 元の超⾳波の) ⾳量変化と同じ波形=可聴⾳の⾳波形( 可聴⾳の⾳量で変調した) 「元の超⾳波の⾳波形」( 可聴⾳の⾳量で変調した) 「元の超⾳波の⾳波形」+空気中を進む中で⾳波形が変化した超⾳波元の超⾳波の⾳量変化と同じ波形が⽣じる(超⾳波に載せた可聴⾳波形が復元される)

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