【DRY-RUN】主 文 原審決を破毀する。 本件を特許標準局へ差戻す。 理 由 上告理由第一點は「原審決ハ審理不盡ニシテ審決ニ理由ヲ附セザル違法アリ、即 チ原審決ノ
主文 原審決を破毀する。 本件を特許標準局へ差戻す。 理由 上告理由第一點は「原審決ハ審理不盡ニシテ審決ニ理由ヲ附セザル違法アリ、即チ原審決ノ理由ニヨレバ『仍テ商標原簿及甲各號證ノ記載並ニ證人及本人訊問ノ結果ヲ綜合審究スレハ』ト事實確認ノ資料ヲ擧グル所ナルモ本件各登録商標ノ聯合商標タル各基本ノ登録商標ハ上告人先代A及被上告人並ニ訴外B及C四名ノ共有ニ属シタルモノナルモ、モトモト之等ノ基本登録商標八幅井Aニ於テ其ノ所有スル商標權保護ノ趣旨ヨリ之ヲ右四名ノ共有ニナシタルモノニシテAノ債權者ノ侵害セザランコトヲ期シタルモノニシテ其ノ他ノ被上告人等ノ共有權者ハ何等ノ對價ヲ支出スルコト無ク共有者トナリタルモノナリ。従ツテA以外ノ共有者ハAノ營業ニ關與シタルコトモ無キ次第ナリシナリ。而シテAガ其ノ營業ヨリ事實上隠退シ相続人タル上告人ニ商標權ト共ニ營業權ノ一切ヲ贈與スルニ當リ本件ノ聯合商標權ノ基本タル登録商標第一九二五九九號以下九件ノ商標權(以上四名ノ共有名義ナリシモノ)ノ共有者連名ノ譲渡證ヲ作成シ被上告人ノ承諾捺印ヲ得、Cハ事業ニ失敗シ不在ナリシモ出奔以前事務處理ニ關スル一切ノ件ニ付キ、Aニ委任シ居リタルヲ以テ其ノ委任ノ趣旨ニ基キ其ノ趣旨ノ範圍ニ於テ右譲渡證ニ代理捺印シ、Bハ當時死亡シ居リタリシモ其家督相続人未成年者タリシ故ニ同人ノ親權者母D並ニ親戚ノ訴外Eノ諒承ノ下ニBノ儘捺印ヲ受ケ上告人名義ニ移轉登録ヲ受ケクルモノナリ。右商標権ハ何レモ元來Aニ専屬スベキ商標權ニシテ單ニ上述ノ通り債權者ヨリノ侵奪ヲ妨グル爲メニ形式上之等ノ人々ノ名義ヲ借リテ共有ト爲シクルモノニ過ギズ共有者タル被上告人C、B等ハ右登録商標ニ付イテハ何等ノ實質上ノ權利ナキモノニシテAノ隠退ニ當リテ名實共ニ之ヲ自己ノ相續人タル上告 グル爲メニ形式上之等ノ人々ノ名義ヲ借リテ共有ト爲シクルモノニ過ギズ共有者タル被上告人C、B等ハ右登録商標ニ付イテハ何等ノ實質上ノ權利ナキモノニシテAノ隠退ニ當リテ名實共ニ之ヲ自己ノ相續人タル上告人ニ歸一セシメタルモノナリ。被上告人C移轉ノ承認ハ適法ナルモ既ニ死亡シタルB名義ノ移轉ノ承認アルハ一見不當ニ見ラルベキモノアルモAヨリ上告人ヘノ商標ノ移轉ハ其ノ實質ニ於テ不當ニ非ザルナリ。原審決ハ上述ノ證據資料ヲ擧ゲタルノミニシテ之等實質關係ニ付キ審理ヲ盡サザルノミナラズ原審ニ於ケル上告人ノ總テノ抗辯ニ付キ(昭和十九年七月六日附上告人代理人Fノ提出シタル答辯補充書同年六月二十四日附同人ノ提出シタル上申書参照)何等ノ判斷ヲ示サザルモノト謂フベク原審決ハ判斷ヲ遺脱シ理由ヲ附セザル違法アリ。」と云うのである。 右は要するに原審が原審決にあげた證據によつてなした本件各登録商標が元上告人先代A外三名の共有關係にあつたとの事實認定が實験則に反していると云うことに歸するのである。 <要旨>本件記録は戦災によつて全部焼失し、當事者代理人に保存せられた寫によつて再製せられたのであるが、その</要旨>中には、原審決引用の書證(甲號各證)の寫はあるけれども、證人及び當事者本人の訊問調書は缺けているのであつて、商標原簿の記載と右書證とだけでは原審決に示すような事實を認定することはできないのである。或は右訊問調書とあわせ見るならば原審決の如く認定し得るのかも知れないが、またそれでも尚そう云う認定はできないのかも知れない。訊問調書を見ることができない本件では、いまこれを確かめるすべがないのである。しかし前述のように、原審の事實記定が違法である、實験則違反であると攻撃されている場合に上告論旨を排斥して、上告人の主張を認められないとするには原審決並に上告理由に引用してあ るすべがないのである。しかし前述のように、原審の事實記定が違法である、實験則違反であると攻撃されている場合に上告論旨を排斥して、上告人の主張を認められないとするには原審決並に上告理由に引用してある、證人、本人の訊問調書とか書證書などを見て原審決の認定に到達したことが、違法でないことを確め得た上であることを要するのであるから、本件の如く記録が焼失して證人及本人の訊問調書を記録上にみることができない場合には原審決の認定を正當とし原審決を維持することはできないと云はねばならぬ。 したがつて本件上告は第一點に於て理由あり、原審決は破毀を免れないから他の上告理由についての判断を省略し商標法第二十四條、特許法第百十五條、民事訴訟法第四百七條第一項によつて主文の通り判決する。 (裁判長判事箕田正一判事藤江忠二郎判事大野璋五判事柳川昌勝判事多田威美)
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