昭和52(ワ)1168等 日本シェーリング賃金請求

裁判年月日・裁判所
昭和56年3月30日 大阪地方裁判所
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【DRY-RUN】主   文 一 被告は、別紙請求債権目録1記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右 目録1の(21)の認容額欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右 目録1の(22)欄記載の各金員に対す

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判決文本文64,732 文字)

主文 一被告は、別紙請求債権目録1記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録1の(21)の認容額欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録1の(22)欄記載の各金員に対する昭和五二年三月一七日から、同(23)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで年五分の割合による金員、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する右目録1の(24)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 二被告は、別紙請求債権目録2記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録2の(15)欄の認容額欄に記載の各金員及びこれに対する原告aの関係では昭和五三年七月四日から、原告bの関係では同五四年三月一日から、原告cの関係では同五五年二月一日から、原告dの関係では同五三年八月二二日から、原告eの関係では同年一月二六日から、右各支払済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。 三被告は、別紙請求債権目録3記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録3の(19)の認容額欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録3の(20)欄に記載の各金員に対する昭和五三年一二月六日から、同(21)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一二月一日から右各支払済に至るまで年五分の割合による金員、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り右各原告らに対応する右目録3の(22)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 四被告は、別紙請求債権目録4に記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録4の(19)の認容額欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録4の(20)欄に記載の各金員に対する昭和五五年四月一一日から、同(21)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで年 欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録4の(20)欄に記載の各金員に対する昭和五五年四月一一日から、同(21)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。 五被告は、原告f、同g、同hに対し、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する別紙請求債権目録4の(22)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 六原告らのその余の請求を棄却する。 七訴訟費用はこれを三分し、その二を被告の負担とし、その余を原告らの各負担とする。 八この判決は、第一項ないし第五項に限り、仮に執行することができる。 事実 第一当事者の求めた裁判 1 被告は、別紙請求債権目録1記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録1の(20)欄に記載の各金員及びそのうち右目録1の(18)欄に記載の各金員に対する昭和五二年三月十七日から、同(19)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで年五分の割合による金員、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する右目録1の(5)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 2 被告は、別紙請求債権目録2記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録2の(14)欄に記載の金員及びこれに対する原告aについては昭和五三年七月四日から、原告bについては同五四年三月一日から、原告cについては同五五年一月三一日から、原告dについては同五三年八月二二日から、原告eについては昭和五三年一月二六日からそれぞれ右各支払済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。 3 被告は、別紙請求債権目録3記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録3の(18)欄に記載の金員及びそのうち右目録3の( ぞれ右各支払済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。 3 被告は、別紙請求債権目録3記載の各原告らに対し、右各原告らに対応する右目録3の(18)欄に記載の金員及びそのうち右目録3の(16)欄に記載の各金員に対する昭和五三年一二月六日から、同(17)欄に記載の各金員に対する昭和五五年一二月一日から、右各支払済に至るまで年五分の割合による金員、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する右目録3の(5)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 4 被告は、別紙請求債権目録4に記載の各原告らに対し、右目録4の(18)欄に記載の各金員及びそのうち右目録4の(16)欄に記載の各金員対する昭和五五年四月一一日から、同(17)欄に記載の各金員に対する同年一一月一日から右各支払済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。 5 被告は、原告f、同g、同hに対し、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する別紙請求債権目録4の(6)欄に記載の各金員を、それぞれ支払え。 6 訴訟費用は、被告の負担とする。 7 仮執行の宣言。 二請求の趣旨に対する答弁 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は、原告らの負担とする。 第二当時者の主張一請求の原因 1 当事者(一) 被告は、肩書地に本社を、全国二九ヶ所に営業所を置き、西ドイツのシエーリング・AG・ベルリン・ベルクカーメン株式会社より医薬品の輸入、医薬品の製造・販売を業とし、従業員約八00名を擁する株式会社である。 (二) 原告らはいずれも被告の従業者であり、かつ総評化学同盟日本シエーリング労働組合(以下日シ労組と略称する。)の組合員である。 (三) 被告には、日シ労組(組合員約九五名、但し、昭和五二当時は約一六〇名。)の他に、被告の営業所従業員を 、かつ総評化学同盟日本シエーリング労働組合(以下日シ労組と略称する。)の組合員である。 (三) 被告には、日シ労組(組合員約九五名、但し、昭和五二当時は約一六〇名。)の他に、被告の営業所従業員を中心に組織されている全日本シエーリング労働組合(以下全日シ労組と略称する。)及び昭和四九年六月に日シ労組から脱退した者を中心に組織された「職場と生活を守る会」(以下守る会と略称する。)なる御用組織が存在する。 2 賃金引上げに関する協定(以下本件各協定と略称する。)の成立と原告らに対する賃金引上げ額の不支給(一) 昭和五一年八月六日、日シ労組と被告との間に、左記内容を含む昭和五一年度賃金引上げに関する協定(以下昭和五一年度協定と略称する。)が成立した。 (1) 賃金引上げ率昭和五〇年度基本給に対し、平均八・八パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格級共三号俸ロ定率配分基本給の四・四パーセントハ定額配分一律一人当り二〇〇〇円ニ是正分基本給に対し、平均〇・七パーセント(3) 賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする。但し、雇員、アルバイト、昭和五一年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く(以下本件八〇ぱーっせんと条項と略称する。)。 (4) 新賃金は妥結した月より適用する(以下本件妥結月払条項と略称する)。 (5) 賃金引上げ対象者に対し、一時金として昇給の一ヶ月相当額を昭和五一年八月二五日までに支給する。 (二) 昭和五二年六月三〇日、日シ労組との間に、左記内容を含む昭和五二年度賃金引上げに関する協定(以下昭和五二年度協定と略称する。)が成立した。 (1) 賃金引上げ率昭和五一年度基本給に対し、平均一〇パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格給共三号俸ロ定率配分基本給の六・九パーセントハ定 年度協定と略称する。)が成立した。 (1) 賃金引上げ率昭和五一年度基本給に対し、平均一〇パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格給共三号俸ロ定率配分基本給の六・九パーセントハ定額配分一律一人当り一〇〇〇円ニ是正分基本給に対し、平均〇・七パーセント(3) 賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする。但し、雇員、アルバイト、昭和五二年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く。 (4) 新賃金は妥結した月より適用する。 (5) 賃金引上げ対象者に対し、一時金として昇給の二ヶ月相当額を妥結の日より一ヶ月以内に支給する。 (三) 昭和五三年四月二八日、日シ労組と被告との間に、左記内容を含む昭和五三年度賃金引上げに関する協定(以下昭和五三年度協定と略称する。)が成立した。 (1) 賃金引上げ率昭和五二年度基本給に対し、平均八パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格給共三号俸ロ定率配分基本給の五・四パーセントハ定額配分一律一人当り一〇〇〇円ニ是正分基本給に対し、平均〇・一四パーセント(但し、是正該当者にのみ適用する。)(3) 賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする。但し、雇員、アルバイト、パートタイマー、昭和五三年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く。 (4) 新賃金は妥結した月より適用する。 (四) 昭和五四年四月二七日、日シ労組と被告との間で、左記内容を含む昭和五四年度賃金引上げに関する協定(以下昭和五四年度協定と略称する。)が成立した。 (1) 賃金引上げ率昭和五三年度基本給に対し、平均八・六パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格給共三号俸ロ定率配分基本給の五・四パーセントハ定額配分一律一人当り五〇〇円ニ是正分基本給に対し、平均〇 三年度基本給に対し、平均八・六パーセント(2) 配分方法イ定期昇給各資格給共三号俸ロ定率配分基本給の五・四パーセントハ定額配分一律一人当り五〇〇円ニ是正分基本給に対し、平均〇・一パーセント(但し、是正該当者のみに適用する。)ホ家族手当の増額妻月額一七〇〇円子月額一〇〇〇円(3) 賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする。但し、雇員、アルバイト、パートタイマー、昭和五四年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く。 (4) 新賃金は妥結した月より適用する。 (五) 被告は、別紙請求債権目録1、2記載の各原告らについては昭和五一年度の賃金引上げに際し、同目録3記載の各原告らについては昭和五二年度の賃金引上げに際し、同目録4記載の各原告らについては昭和五三年度及び同五四年度の各賃金引上げに際し、それぞれその稼働率が八〇パーセント以下であって、右八〇パーセント条項に該当するとして、右賃金引上げ額、これに対応する夏期冬季一時金、退職金を支払わない。 3 本件各協定に至った背景(一) 被告に労働組合が結成される以前は、被告には、営業部門重視政策のもとに、内勤者と外勤者との間に不合理な差別が存し、労働条件の面においては、同業他社に比して賃金が安く、安全衛生の軽視により、労働災害が多発し、賃金面における公正な査定、些細なミスを理由とする配置転換、解雇がなされるなど、従業員の地位は低く、不安定であった。 また、賃金の決定方法も不明朗であったため、従業員の不満が次第に大きくなり、それに対し、被告は昭和四五年六月に経営協議会を設置して切り抜けをはかったが、同年冬季一時金の決定につき、被告は右競技会も無視して一方的に決定するに至り、同年十一月二七日、日シ労組が結成され、同労組は同時に総評化学 は昭和四五年六月に経営協議会を設置して切り抜けをはかったが、同年冬季一時金の決定につき、被告は右競技会も無視して一方的に決定するに至り、同年十一月二七日、日シ労組が結成され、同労組は同時に総評化学同盟に加盟した。 (二) 被告は、日シ労組の結成に機敏に対応し、これを弱体化させるため、二週間余りの間に、労使協調をスローガンとする企業本位の労働組合である全日シ労組を作り上げた。 全日シ労組は、日シ労組の打倒を目標とし、被告から一〇〇万円の資金援助を受けて結成されるや、日シ労組組合員に対し、「お前らは会社をつぶすつもりやろ。」などと中小誹謗し、被告から、組合事務所、チェックオフ制度などについて優遇を受け、昭和四六年度から賃金について、付加給、特能給の名目で一人当たり年額一万五五〇〇円の上積みを受けるほか、同年冬季一時金についても秘かに〇・二ヶ月分の上積みを受けた。 日シ労組は、被告の右のような差別政策に対して闘い、被告にその是正をさせてきたが、被告は、昭和四七年五月、全日シ労組との間に、営業所従業員に対する食事手当名目での月三〇〇〇円の闇賃金引上げ協定を結び、就業規則もそれにそうよう秘かに改訂した。 (三) 被告が日シ労組結成当時より一貫してこれを嫌悪し、不当労働行為に及んでいることは、右結成後間もなく、社長自身の名で「会社員殿」と題する異例の文言を全従業員に配布して、労働組合無用論を強調し、昭和四六年一月には再度、文書により労働組合有害論を述べるなどして、日シ労組の活動に介入したことに示される。 また、被告は、同年一月、日シ労組をつぶすために、いわゆる労務屋iを雇入れ、日シ労組に対する誹謗、赤攻撃をはじめ、新入女子社員を一室に監禁しての反組合教育や、組合活動制約のための就業規則の改悪を企てるなど、種々の攻撃をした。 (四) 昭和四十 、いわゆる労務屋iを雇入れ、日シ労組に対する誹謗、赤攻撃をはじめ、新入女子社員を一室に監禁しての反組合教育や、組合活動制約のための就業規則の改悪を企てるなど、種々の攻撃をした。 (四) 昭和四十八年二月、jが被告の労務最高責任者になると、被告の日シ労組に対する攻撃は更に悪らつかつ強引になった。 すなわち、被告は、日シ労組組合集会での委員長の発言を口実に、長期にわたり団体交渉を拒否し、あるいは誠実な団体交渉をしないようになり、昭和四十八年には、日シ労組のストライキ中のピケットを挑発して暴力事件を捏つちあげ、日シ労組幹部を傷害罪等で告訴するとともに降格処分にし、日シ労組がこれに屈しないとみるや、昭和四九年六月、職制を動員し、被告の別働隊として不当労働行為を実践するための「職場と生活を守る会」を作り上げた。 また、被告は、日シ労組の団結の要であるEDP課を突如廃止する旨通告し、同課員を配置転換して、その弱体化を図つたのみならず、それまで組合幹部だけになされてきた昇給昇格差別を、昭和五0年より一般組合員まで及ぼした。 (5) 昭和五0年九月、右jに代わつて労務屋kが被告に入社すると、被告による不当労働行為は新たな展開を見せるようになった。kは、入社するや直ちに「Z計画」を作成し、昭和五一年三月までに日シ労組組合員を三0名に減少させることを目標として、徹底した資金差別攻撃を開始した。 同年冬季一時金について、被告は、日シ労組と全シ労組との間に一時金算定の平均支給月数に格差を付けた。(その後も同様の組合間差別をした。)昭和五〇年冬季一時金について、被告がとった不当労働行為の手口は、日シ労組に対しては回答指定日を守らず、全シ労組に対しては速やかに回答して直ちに団体交渉に入り、先に全シ労組との間に妥結した内容を日シ労組に押しつける、回答が欲しけ 告がとった不当労働行為の手口は、日シ労組に対しては回答指定日を守らず、全シ労組に対しては速やかに回答して直ちに団体交渉に入り、先に全シ労組との間に妥結した内容を日シ労組に押しつける、回答が欲しければ種々の秋期闘争の要求を撤回せよとの不当な交換条件を提示する、団体交渉の開催日、時間帯、出席者数などについていいがかりをつけて団体交渉に入らない、団体交渉において資料の提出を拒否する、地方労働委員会のあっせんを拒否する、労使慣行や既得権を奪う、査定の導入や支給制限条項を押しつけるなどであった。 4 本件各協定成立の経過(一) 日シ労組は、昭和五一年三月、同年春期賃金引上げ闘争における賃金引上げ要求をして被告に対し団体交渉を申し入れたところ、被告は、内容に立入らず、一方的に団体交渉条件を提示し、開催日、時間帯、場所、参加人数についての被告の提案に応じない限り話合いに応じられないとし、次いで有無をいわせず一方的に回答をし、右回答に応じない限り団体交渉に応じないとして、同年五月一一日より三ヶ月にわたって団体交渉を拒否した。 日シ労組は、この間、淀川労働基準監督署、大阪地方労働委員会などに対し、指導、立入り調査、あっせんなどを求め、いずれについても相当の措置が講ぜられたが、被告は、それらをことごとく無視し、意識的に争議を長期化させた。 他方、被告は、同年五月八日、全シ労組との昭和五一年度協定(但し、賃金引上げ対象者に対し、一時金として昇給の一ヶ月相当額を昭和五一年五月二五日までに支給すると定めた点は異なる。)を締結し、同年五月分から(右一時金によって実質は同年四月分から。)賃金引上げ額の支給をした。 ところが、日シ労組は、主として八〇パーセント条項のため、被告との間に容易に協定をできない立場にあった。なぜならば、日シ労組は、労働災害による休業、 は同年四月分から。)賃金引上げ額の支給をした。 ところが、日シ労組は、主として八〇パーセント条項のため、被告との間に容易に協定をできない立場にあった。なぜならば、日シ労組は、労働災害による休業、通院、産前産後の休暇、ストライキ等により不就労を余儀なくされた組合員を多数擁し、八〇パーセント条項が専ら日シ労組の弱体化を図る狙いで提示されていたことが明白であったからである。 被告は、日シ労組が右条項を容れられない立場にあることを熟知したうえで団体交渉を拒否して時間を稼ぎ、他方では全日シ労組及び守る会の組合員に対し賃金引上げ額による賃金を支給して、心理面及び経済面の両面から日シ労組組合員を絞めつけた。更には、同年夏季一時金についても、被告は全日シ労組及び守る会との間で速かに妥結、支給する一方、日シ労組とは団体交渉を拒否し続けるという攻撃を加え、そのため、日シ労組は、現行法制度の下ではかかる明白な不当労働行為を速やかに無効にし、賃金引上げ額の支給を受ける方策がないところから、組合員の生活の困窮状態を考慮し、日シ労組内部ではその後も闘い続けることを確認したうえで、同年八月六日に至り、右協定を締結することにふみ切つた。 (二)日シ労組は、昭和五二年三月、被告に対し、昭和五二年春季賃金引上げを要求したところ、被告は、日シ労組の要求した回答指定日である同年三月二五日に回答せず、同年四月二0日になつてようやく有額回答をしてきたが、右回答には、日シ労組及びその組合員が大阪地方労働委員会及び当裁判所において違憲、違法行為と主張している八0パーセント条項及び妥結月払条項を含んでいた。 また、日シ労は、被告に対し、右要求と同時に団体交渉の申し入れをし、その後も再三その申し入れをしたが、被告は、開催日、時間帯、場所、参加人数について、被告の提案に応じない限り団体 項を含んでいた。 また、日シ労は、被告に対し、右要求と同時に団体交渉の申し入れをし、その後も再三その申し入れをしたが、被告は、開催日、時間帯、場所、参加人数について、被告の提案に応じない限り団体交渉に応じない姿勢をとり続け、日シ労組から資料の提出や説明を求めたことに対してもこれに応ぜず、事実上団体交渉を拒否し、意識的に争議を長期化させた。 被告は、そればかりではなく、同年三月度賃金より組合費、臨時組合費のチェックオフを一方的に中止し、同年五月一四日より被告施設の使用を拒否し、同年五月度賃金より有給休暇、生理休暇、産前産後休暇、労働災害による休業、通院のための休業などで、ストライキに参加していない者に対しても賃金カットをするなど、集中的に日シ労組に対する組織、団体破壊のための攻撃をし、更には、同年夏期一時金についても右賃金引上げ問題の決着がつくまで、回答すらもしなかった。 日シ労組は、かかる状況の中で、組合員の経済的困窮、不安の解消、団結権の維持などを考慮し、日シ労組内においてその後も闘い続けることを確認し、被告に対してもその違法、違憲性を追求することを明示したうえ、昭和五二年度協定を締結することにふみ切った。 (三) 日シ労組は、昭和五三年三月十六日、被告に対し、昭和五三年春季賃金引上げ闘争における賃金引上げ要求をしたところ、被告は、日シ労組が要求した回答指定日である同年三月二九日にその回答をせず、同年四月一〇日になってようやく有額回答してきたが、右回答にも、八〇パーセント条項及び妥結月払条項を含んでいた。 また、日シ労組は、被告に対し、右要求につき再三にわたり団体交渉の申し入れをしたが、被告は、開催日、時間帯、場所、参加人数について、被告の提案に応じない限り団体交渉に応じないとの姿勢をとり続け、日シ労組からの資料提出や説明の要 右要求につき再三にわたり団体交渉の申し入れをしたが、被告は、開催日、時間帯、場所、参加人数について、被告の提案に応じない限り団体交渉に応じないとの姿勢をとり続け、日シ労組からの資料提出や説明の要求に対してもこれに応じず、事実上団体交渉を拒否した。 他方、被告は、全日シ労組とは精力的に交渉を重ね、五回にわたる労使協議を経たうえ、同年四月末に協定を締結した。しかも、被告は、全日シ労組に対しては第三回労使協議会(同年四月に五日開催)において、家族手当増額の回答をし、それを含む内容で協議締結に至っているが、日シ労組に対しては協定締結の時点においてすらその内容を示していない。更には、被告は、同年夏期一時金についても、右賃金引上げ問題の決着がつくまで回答すらしなかった。 日シ労組は、かかる状況の中で、昭和五二年度協定締結の際と同様の事情から、昭和五三年度協定を締結することにふみ切った。 (四) 日シ労組は、昭和五四年三月二八日、被告に対し、昭和五四年春季賃金引上げ闘争における賃金引上げ要求をしたところ、被告は日シ労組の要求した回答指定日である同年四月五日に回答せず、同年4月一三日になつてようやく有額回答したが、右回答の内容のも、八0パーセント条項及び妥結月払条項を含んでいた。 また、日シ労組は、右要求後被告に対し団体交渉の申し入れを行つたが、被告は、開催日、時間帯、場所、参加人数について被告の提案に応じない限り団体交渉に応じない姿勢をとり続け、日シ労組からの資料の提出及び説明の要求に対してもこれに応せず、事実上団体交渉を拒否した。更に、被告は、同年四月一三日の有額回答の際、日シ労組からの申し入れもないのに、同年夏季一時金についても「回答」という形でその案を提示し、右夏季一時金及び諸請求についての妥結を、右賃金引上げ交渉の妥結の条件とするとの攻撃 三日の有額回答の際、日シ労組からの申し入れもないのに、同年夏季一時金についても「回答」という形でその案を提示し、右夏季一時金及び諸請求についての妥結を、右賃金引上げ交渉の妥結の条件とするとの攻撃をも加えた。 日シ労組は、かかる状況及び前年度までと同様の事情から、昭和五四年度協定を妥結することにふみ切った。 5 八〇パーセント条項の無効原因(一) 八〇パーセント条項自体の不当労働行為性八〇パーセント条項はそれ自体不当労働行為であり、本件協定中右条項部分は無効である。 八〇パーセント条項は、前年一月から一二月までの一年間の稼働日数中の所定労働時間から不就労時間を控除した時間を所定労働時間で除したところの稼働率が八〇パーセント以下である者について賃金引上げをしないというものである。 従前の賃金引上げは、被告の就業規則四九条に従い、賃金引上げ対象者全員につき、なんらの制限や条件もなしに当該年度四月より実施されてきた。 被告が右条項を導入した狙いは、前記のとおりの賃金差別攻撃をめぐるそれまでの経緯、団体交渉拒否の手口、右条項導入になんらの合理的理由も存しないこと、及び、右条項が日シ労組を対象として作出されたことなどからして、日シ労組を弱体化させることにあることが明白である。 なるほど、日シ労組は、本件各協定の締結に応じたものであるが、これは前記のとおり被告から窮地に追い込まれてやむを得ず締結したものであるから、右締結をしたからといって、右条項の不当労働行為性が消失するわけではない。 (二) 被告の稼働率算定方法の違法無効性被告は、八〇パーセント条項の適用について、稼働率算定の基礎となる不就労時間に、欠勤、遅刻、早退だけでなく、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児時間、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間、 ト条項の適用について、稼働率算定の基礎となる不就労時間に、欠勤、遅刻、早退だけでなく、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児時間、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間、ストライキ等の組合活動などの時間(以下年次有給休暇以下の項目と略称する。)も含めている。 しかしながら、八〇パーセント条項の不就労時間に、前記年次有給休暇以下の項目を含ませることは次のとおり違法であるから、右条項は無効である。 (1) 年次有給休暇について労働基準法(以下労基法と略称する。)三九条は、年次有給休暇の権利について規定する。右権利は、憲法二五条、二七条に基づく休息する権利を具体化し、労働者に人たるに値する生活を維持させるため、一定時間の就労からの解放と、その間の賃金相当額の支払を不可分一体の権利として保障されたものである。 それは、単に労働者の労働からの解放にとどまらず、賃金の支払いを義務付けることにより、賃金を唯一の生活手段とする労働者に実質的な休息を与えるためのものであるから、使用者は、労働者から年次有給休暇の請求があった場合には休暇相当の支給を含む右休暇を与える作為義務を負うと同時に、それを保証するため、その行使を受容し、それを妨害してはならない不作為の義務も負う。 従って、年次有給休暇を不就労時間に含めて計算することは、本件においては、これと他の不就労時間とが合わさって賃金引上げがなされない結果をもたらし、結局、賃金引上げを得るために年次有給休暇の権利を行使しないことを強いることに成るから、憲法二五条、二七条、労基法三九条に違反し、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (2) 生理休暇について労基法六七条は、女子の生理休暇の権利について規定する。右権利を、女子労働者の母性と健康とを守り、健康で文化的な生活 に違反し、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (2) 生理休暇について労基法六七条は、女子の生理休暇の権利について規定する。右権利を、女子労働者の母性と健康とを守り、健康で文化的な生活を保障する憲法二五条、二七条に基礎を置くとともに、母性を保護しながら、男性と平等に労働する権利を保障する憲法一四条にも基礎を置くものであるから、使用者は、右権利の行使を受容し、これを妨げてはならない義務を負うことは、年次有給休暇の場合と同様である。 因みに、昭和二五年八月三〇日婦発二一三号には、「生理休暇返上を奨励するような扱いは法第六七条の趣旨に違反するものと解してよいか。」との問に対し、「生理休暇日に出勤する者に対しては、休日出勤等と同様の取扱いをし、超過勤務手当を与えるとの定めが、法六七条の趣旨に反する。」としている。 従って、生理休暇を不就労時間に含めて計算することは、憲法二五条、二七条、一四条、労基法六七条の趣旨に反し、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (3) 産前産後の休暇及び育児時間ついて女子労働者の産前産後休暇及び育児時間は、単に当該女子労働者個人の母性保護だけでなく、これを通じて次代を担う健全な子を生み育てるとの社会全体の利益擁護の見地から、労基法六五条、六六条により保証されているものである。 そこで、使用者は、同法で定める期間、女子労働者を強制的に就労させることはもとより、不当な経済的不利益を課することによって事実上就労を余儀なくさせることも許されない。とりわけ、同法一一九条一項には産後休暇の期間内に就労させた使用者に対しては、刑罰を課すことまで規定している。 ところで、産前産後の休暇を不就労時間に含めて計算すると、同休暇を産前産後に各六週間とった女子労働者については、他の不就労時間がなくてもそれだけで稼働率 対しては、刑罰を課すことまで規定している。 ところで、産前産後の休暇を不就労時間に含めて計算すると、同休暇を産前産後に各六週間とった女子労働者については、他の不就労時間がなくてもそれだけで稼働率が八〇パーセント以下となるから、これは、憲法二五条、二七条、一三条、労基法六五条、六六条に違反し、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (4) 労働災害による休業、労働災害の治療のための通院について被告の職場内において、不十分な安全衛生対策により、昭和四七年には研究所において、大量なステロイドホルモンの無防備な取扱いによる男性の女性乳房症、女性の多発性月経症が発生したのを初め、昭和四六年九月ころより、キーパンチャーに剄肩腕障害が発生し、次第に包装工、電話交換手、一般事務員までに及び、現在同疾病による労働災害認定患者は四七名にのぼっている。 そもそも、労基法の災害補償に関する諸規定は、企業主がその資本機能に内包する災害の危険のもとで労働者を働かせて利潤を得る以上は、その使用する労働者のため災害を呼ぼうしなければならず、その労働過程で事故が生じた以上は、企業主が当然にその補償義務を負い、それが企業主の最低の社会的責任であるとの考えに基づくが、被告における労働災害、職業病は、その予防義務を著しく怠った債務不履行ないしは故意による不法行為によるものであって、すべて被告の責に帰すべき事由によって生じたものというべきであって、労働者にはなんらの責任もないのであるから、それによる休業の期間中も当然賃金全額を補償し、賃金引上げも実施しなければならない。 しかるに、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間を不就労時間に含ませて計算することは、労働者に賃金引上げを得るために休業、労働災害のための通院を控えることを強いる結果となるから、被告の責任を に、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間を不就労時間に含ませて計算することは、労働者に賃金引上げを得るために休業、労働災害のための通院を控えることを強いる結果となるから、被告の責任を労働者に転嫁し、労働者に対し健康破壊と賃金差別の二重の不利益をもたらすものであって、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (5)ストライキ・団体交渉その他労働組合活動時間についてストライキ・団体交渉の時間を八〇パーセント条項に含ましめることは、直接に日シ労組の団結権侵害を目的とするものである。 ストライキ権を行使すれば、その間の賃金の不払以上に不利益を受けて、以後の一切の賃金引上げ、一時金にまで影響し、また、当該賃金引上げ額分については、被告で働く限り永久に不利益を受けることになる。 また、日シ労組が団体交渉を重ねれば重ねるほど不利益となる。被告は、団体交渉の場所を社外に定めるため、被告の会社から右団体交渉の場所に赴く時間、団体交渉の時間もすべて八〇パーセント条項の適用のある不就労とされるため、団体交渉が著しく制限される。 しかも、ストライキ、団体交渉、その他の組合活動時間が八〇パーセント条項にふれることになるため、組合幹部の活動家が著しく不利益をうけ、これに対する徹底的な攻撃となる。 さらに、前述の如き被告の不当労働行為については、日シ労組は、公的機関での闘争を余儀なくされているが、その法廷等に本人、証人、補佐人、傍聴人等として出頭しても、すべて八〇パーセント条項にふれることになるので、被告の不当労働行為に対する戦いさえ充分に行えなくなっている。 なお、原告lの不就労時間のほとんどは、地方労働委員会への出頭や抗議ストライキといったストライキ権の行使及び被告の許可を得て行使支度見合い活動のための不就労に基づくものであるが、それを不 ている。 なお、原告lの不就労時間のほとんどは、地方労働委員会への出頭や抗議ストライキといったストライキ権の行使及び被告の許可を得て行使支度見合い活動のための不就労に基づくものであるが、それを不就労時間に含ませるのは、労働者にその権利の行使をしないことを強い、労働組合の活動を抑制する結果となり、また、全日シ労組については団体交渉時間を不就労時間に含ませず、ホテルの費用まで被告において負担しているのである。 以上の通り、ストライキ等を不就労時間に含まし目留ことは、憲法二八条、労働組合法(労組ほうと略称する。)七条に違反し、民法九〇条の公序良俗に反し、無効である。 (6) 以上の通り、八〇パーセント条項は、憲法一三条、二五条、二七条、二八条、労基法三九条、六五条、六六条、六七条労組七条に違反し、民法九〇条の公序良俗に反して無効である。 6 妥結月払条項の不当労働行為性前記妥結月払条項は、被告が前記八〇パーセント条項を日シ労組に押しつけるため同条項と一緒にして提案されたものであり、しかも前記就業規則四九条の規定する、昇給は毎年四月に行うとの規定及び賃金引上げは四月に遡及して支払うとの従来の慣行に違反するものであるところ、被告は、被告の主張を容れる内容の団体交渉にしか応じられないとして日シ労組との団体交渉を拒否し続けたため、賃金引上げに関する協定の妥結を遅らせられ、日シ労組の組合員は、その間の賃金の引上げ額相当分の支給を受けることができなかった。 被告は、他方において、臨時一時金制度を導入し、全日シ労組組合員及び守る会会員に対しては、妥結時期に合わせて臨時一時金の支給月数が決められ、これに各人の賃金引上げ額相当額を乗じた金額を支払った。即ち、全日シ労組については昭和五一年度が五月に妥結したので一ヶ月分、昭和五二年度が六月に妥結したので二 合わせて臨時一時金の支給月数が決められ、これに各人の賃金引上げ額相当額を乗じた金額を支払った。即ち、全日シ労組については昭和五一年度が五月に妥結したので一ヶ月分、昭和五二年度が六月に妥結したので二ヶ月分、昭和五三年度が四月に妥結したので零といった具合である。これは、各四月度から賃金引上げが実施されたのと同一の扱いをしたものである。 日シ労組が八〇パーセント条項に最後まで応ぜずにいたとしたならば、その間の組合員に対しては賃金引上げが実施されず、途中で応じたとしても、すでに、多額の賃金引上げ相当額を受け得なくなっていたことになる。 7 請求金額(一) 被告は、別紙請求権目録1ないし4記載の格原告らの昭和五一年度ないし昭和五四年度の賃金引上げの前提となる稼働率が年間八〇パーセント以下であるとして、本件各協定中の八〇パーセント条項を適用し、その当該年度分の賃金引上げ分に当る賃金を支払わないが、本件各協定中八〇パーセント条項及び妥結月払条項は、前述の通り、当然無効であるから、右各表に記載の格原告らには、当該賃金引上げのなされた年の四月分から、右賃金引上げ相当分の賃金請求権がある。 また、被告は、別紙請求権目録1ないし4記載の各原告らがいずれも日シ労組の組合員であること等を理由として、原告らを不当に差別し、原告らに右賃金引上げ相当分を支払わないところ、右は、被告の不当労働行為であって、故意に原告らの権利を侵害するものであるから、原告らには、不法行為に、基づく右賃金引上げ相当分の損害賠償請求権がある。 (二) ところで、被告の昭和五二年度以来の賃金引上げの内容は、次の通りである。 昭和五二年度定昇+定率(基本給×六.九パーセント)+定額+是正昭和五三年度定昇+定率(基本給×五.四パーセント)+定額+是正昭和五四年度定昇+定率(基本給× 内容は、次の通りである。 昭和五二年度定昇+定率(基本給×六.九パーセント)+定額+是正昭和五三年度定昇+定率(基本給×五.四パーセント)+定額+是正昭和五四年度定昇+定率(基本給×五.四パーセント)+定額+是正昭和五五年度定昇+定率(基本給×六.五パーセント)+定額+是正しかして、原告らが昭和五一年度以降八〇パーセント条項により右率による賃金引上げ額の支払を受けられなかったところ、これを征前の賃金を基礎として計算すると、その額は、別紙請求権目録1記載の各原告らについては同目録1の(2)ないし(4)欄に記載の金額の合計額に、同目録2に記載の各原告らについては同目録2の(10)及び(12)の各欄に記載の金額の合計額に、同目録3に記載の各原告らについては同目録3の(2)ないし(4)欄に記載の金額の合計額に、同目録4に記載の各原告らについては同目録4の(2)、(4)及び(5)に記載の金額の合計額に、それぞれなる。(但し、昭和五二年度以降の賃金引上げの差額の計算において、前年度以前との重複部分は減じている。)(三) 被告は、その従業員に対し次のとおり夏季冬季一時金を支給した。 昭和五一年度夏季一時金二.四ヶ月+アルファ同冬季一時金三.四ヶ月+アルファ昭和五二年度夏季一時金二.二ヶ月+アルファ同冬季一時金三.二ヶ月+アルファ昭和五三年度夏季一時金二.二ヶ月+アルファ同冬季一時金三.五ヶ月+アルファ昭和五四年度夏季一時金二.二ヶ月+アルファ同冬季一時金三.六ヶ月+アルファ昭和五五年度夏季一時金二.三ヶ月+アルファところが、被告は、別紙請求債権目録は1ないし4に記載の各原告らについては、右(一)のとおり昭和五一年度から昭和五五年度までの賃金引上げを認めず、従前の低い賃金を基礎として各年度の夏季 +アルファところが、被告は、別紙請求債権目録は1ないし4に記載の各原告らについては、右(一)のとおり昭和五一年度から昭和五五年度までの賃金引上げを認めず、従前の低い賃金を基礎として各年度の夏季冬季一時金を支払ったところ、右各原告は、前述の通り、昭和五一年度ないし五四年度において当然賃金引上げされているから、右賃金引上げ相当分に対応する各年度の夏季冬季一時金の支払請求権がある。 また、被告は、前記賃金引上げ相当分の賃金の未払の場合と同様に、別紙請求債権目録1ないし4記載の各原告らを不当に差別し、不当労働行為によって右賃金引上げに対応する分の一時金を支払わず、故意に各原告らの権利を侵害したから、各原告らには、不法労働行為に基づく右一時金相当の損害賠償請求権がある。 (四) しかして、原告らの右未払一時金の額は、別紙請求債権目録1記載の各原告らについては同目録1の(15)欄に記載の金額に、同目録2記載の各原告らについては同目録2の(2)ないし(9)欄に記載の金額の合計爛に、同目録3記載の各原告らについては同目録3の(13)欄に記載の金額に、同目録4に記載の各原告らについては同目録4の(12)欄記載の金額にそれぞれなる。(但し、昭和五二年度以降の賃金引上げの差額の計算において前年度以前との重複部分は減じている。)(五) 次に、原告aは、昭和五三年七月三日に、同bは、昭和五四年二月二八日に、同cは、昭和五五年一月三一日に、同dは、昭和五三年八月二一日に、同eは、同年一月二五日に、同mは、昭和五四年五月三一日に、それぞれ被告を退職したが、右各原告らは、いずれも本件八〇パーセント条項の適用により賃金引上げされなかった賃金額に対応する部分の退職金額を支払われなかったところ、その額は、別紙請求債権目録2記載の各原告らについては同目録2の(11)欄 は、いずれも本件八〇パーセント条項の適用により賃金引上げされなかった賃金額に対応する部分の退職金額を支払われなかったところ、その額は、別紙請求債権目録2記載の各原告らについては同目録2の(11)欄に記載の額であり、また、原告mは金七万八九二一円(別紙請求債権目録4の(15)欄参照)であるから、右各原告らは、その支払請求権がある。 また、被告は、前記賃金引上げ相当分の賃金の未払の場合と同様に、右各原告らを不当に差別し、不当労働行為によって右賃金引上げに対応する退職金を支払わず,故意に右各原告らには、不法行為に基づく右退職金相当の損害賠償請求権がある。 (六) 原告らは、被告の八〇パーセント条項及び妥結月払条項による賃金差別により、甚大な精神的打撃を被り、それによる慰謝料は別紙請求債権目録1ないし4記載の慰謝料欄に記載の通りの額(金三〇万円ないし金六〇万円)をくだらない。 (七) 原告らは、本件の提起を余儀なく去れ、本件訴訟代理人らに対し、弁護士費用として、別紙請求債権目録1ないし4の弁護士費用欄の通りの額(各金一〇万円宛)支払うことを約した。 8 結論よって、被告に対し、第一次的に雇傭契約上の権利(賃金、一時金、退職金の各支払請求権)及び債務不履行に基づく損害賠償請求権(慰謝料、弁護士費用)に基づき、第二次的に不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、(イ)別紙請求債権目録1記載の各原告らは、右各原告らに対応する右目録1の(20)欄に記載の各金員及び右目録1の(18)欄に記載の各金員に対する昭和五二年(ワ)第一一六八号事件の訴状送達の日の翌日である昭和五二年三月一七日から、同⑲欄に記載の各金員に対するその支払期日五の昭和五五年一一月一日からそれぞれ右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、昭和五五年一一月から ある昭和五二年三月一七日から、同⑲欄に記載の各金員に対するその支払期日五の昭和五五年一一月一日からそれぞれ右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り右目録1の(5)欄に記載の各金員の各支払を、(ロ)別紙請求債権目録2記載の各原告らは、右各原告らに対応する右目録2の(14)欄に記載の金員及びこれに対する右各原告らの退職した日の翌日である原告aについては昭和五三年七月四日から、原告bについて同五四年三月一日から、原告cについては同五五年一月三一日から、原告dについては同五三年八月二二日から、原告eについては同年一月二六日から、それぞれ右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を、(ハ)別紙請求債権目録3記載の各原告らは、右各原告らに対応する右目録3の(18)欄に記載の各金員及びそのうち右目録3の(16)欄に記載の各金員に対する昭和五三年(ワ)第七一二二号事件の訴状送達の日の翌日である昭和五三年一二月六日から、同(17)欄に記載の各金員に対するその支払期日後の昭和五五年一二月一日から右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り右各原告らに対応する右目録3の(5)欄に記載の各金員の各支払を、(ニ)別紙請求債権目録4に記載の各原告らは、右各原告らに対応する右目録4の(18)欄に記載の各金員及びそのうち右目録4の(16)欄に記載の各金員に対する昭和五五年(ワ)第二〇五〇号事件の訴状送達の日の翌日である昭和五五年四月一一日から、同(17)欄に記載の金員に対するその支払期日後の昭和後五年一一月一日から、それぞれ民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を、(ホ)原告f、同g、同hは、昭和五五年一一月から毎 一一日から、同(17)欄に記載の金員に対するその支払期日後の昭和後五年一一月一日から、それぞれ民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払を、(ホ)原告f、同g、同hは、昭和五五年一一月から毎月二五日限り右目録4の(6)欄に記載の各金員の支払を、それぞれ求める。 二請求の原因に対する認否 1 請求の原因1の事実中、全日シ労組及び守る会が御用組織であることは否認するが、その余の事実(但し、昭和五二年当時の日シ労組印は約一五〇名である。)は認める。 2 同2の事実は認める。 3 同3の(一)の事実中、昭和四五年六月経営協議会が設置されたこと、同年一一月二七日に日シ労組が結成され、同時に総評化学同盟に加入したことは認めるが、その余は争う同3の(二)の事実中、日シ労組結成後二週間後に全日シ労組が結成されたこと、昭和四六年度から付加給,特能給制度が実施されたこと、同年冬季一時金で〇.二ヶ月分の上積みがあったこと、昭和四七年五月に被告と全日シ労組との協定により食事手当として営業所従業員並びにその後本社従業員に対しつき三〇〇〇円の支給を行ない、就業規則もそれに従って改訂されたことは認めるが、その余は争う。 同3の(三)の事実中、被告が全従業員に二回文書を配布したこと、昭和四六年一月iが総務部厚生課長として被告に入社したこと(但し、昭和五〇年八月末退職。)は認めるが、その余は争う。 同3の(四)の事実中昭和四八年二月jが社長顧問として被告に入社し、その後代表取締役副社長に就任したこと(但し、昭和五〇年六月末退職。)、被害者が組合幹部を傷害罪で告訴したこと、被告が組み合い幹部を降格処分にしたこと、昭和四九年六月守る会が組織されたこと、EDP課を廃止し、同課員を配置転換したことは認めるが、その余は争う。 同3の(五)の事実中、昭和五 罪で告訴したこと、被告が組み合い幹部を降格処分にしたこと、昭和四九年六月守る会が組織されたこと、EDP課を廃止し、同課員を配置転換したことは認めるが、その余は争う。 同3の(五)の事実中、昭和五〇年一〇月kが社長顧問として被告に入社し、その後製造部担当を経て、昭和五一年五月総務部長に就任したことは認めるが、その余は争う。4 同4の(一)の事実中、日シ労組が背負うわ五一年春季賃金引上げ闘争において、同年三月被告に対し賃金引上げ要求をして団体交渉を申し入れたこと、淀川労働基準監督署の指導及び立入調査があったこと、日シ労組が大阪府地方労働委員会にあっせんを求めたこと、被告が昭和五一年五月八日全日シ労組と原告らの主張のとおりの協定を締結し、同年五月分から賃金引上げ額の支給をしたこと、日シ労組と被告の間で、昭和五一年度協定が同年八月六日に締結されたことは認めるが、その余は争う。 同4の(二)事実中、日シ労組が昭和五二年春季賃金引上げ闘争において同年三月被告に対し賃金引上げを要求をしたこと、それに対する被告の回答中に本件八〇パーセント条項及び妥結月払条項が含まれていたこと、日シ労組が再三団体交渉の申し入れをしたこと、被告が同年三月度よりチェックオフを中止したことは認めるが、その余は争う。 同4の(三)の事実中、日シ労組が昭和五三年春季賃金引上げ闘争において同年三月被告に対し賃金引上げを要求こと、それに対する被告の回答中に本件八〇パーセント条項及び妥結月払条項が含まれていたこと、日シ労組が再三団体交渉の申し入れをしたこと、被告が日シ労組と交渉して家族手当増額を含み同年四月末に協定を成立させたことは認めるが、その余は争う。 同4の(四)の事実中、日シ労組が昭和五四年春季賃金引上げ闘争において同年三月被告に対し賃金引上げを要求したこと、それに対す 当増額を含み同年四月末に協定を成立させたことは認めるが、その余は争う。 同4の(四)の事実中、日シ労組が昭和五四年春季賃金引上げ闘争において同年三月被告に対し賃金引上げを要求したこと、それに対する被告の回答中に本件八〇パーセント条項及び妥結月払条項が含まれていたこと、日シ労組が話し合い及び団体交渉の申し入れを行ったこと、同年四月一三日被告が夏季一時金について回答をしたことは認めるが、その余は争う。 5 同5の(一)の事実中、八〇パーセント条項は、前年一月から一二月までの稼働日数中の所定労働時間から不就労時間を控除した時間を所定労働時間で除したところの稼働率が八〇パーセント以下である者について賃金引上げをしないものであることは認めるが、その余は争う。 同5の(二)の冒頭の事実中、被告が五〇パーセント条項の適用について、稼働率算定の基礎となる不就労時間に、欠勤、遅刻、早退だけでなく、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇,産前産後の休暇、育児時間、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間ストライキなど労働組合活動などの時間をふくめていることは認めるが、その余は争う。 同5の(二)の(1)ないし(3)の点は争う。 同5の(二)の(4)事実中、昭和四七年に研究所において男性の女性乳房症、女性の多発性月経症が発生したこと、昭和四六年九月ころより従業員の間に剄肩腕症患者が障害が発生したことは認めるが、その余は争う。昭和四七年に研究所においてはっせいした右疾病はまもなく全員完治し、また、剄肩腕症患者は現在七名である。 同5の(二)の(5)(6)の点は争う。 6 同6は争う。 7 同7の(一)の事実のうち、被告が別紙請求債権目録1ないし4記載の各原告らの昭和五一年度ないし五四年度の賃金引上げの前提となる稼働率が年間八〇パーセント以下である の点は争う。 6 同6は争う。 7 同7の(一)の事実のうち、被告が別紙請求債権目録1ないし4記載の各原告らの昭和五一年度ないし五四年度の賃金引上げの前提となる稼働率が年間八〇パーセント以下であるとして、本件各協定中の八〇パーセント条項を適用し、その当該年度分の賃金引き上げ分に相当する金額を支払わなかったことは認めるが、その余の事実は争う。 同7の(二)の事実のうち、別紙請求債権目録1ないし4に記載の各原告らに、原告ら主張の八〇パーセント条項を及び妥結月払条項を適用せずに賃金引上げした場合の右各原告らの賃金引上げ額が右目録1の(1)(3)欄、同目録23の各(1)欄、同目録4の(1)及び(3)欄にそれぞれ記載の通りの額になることは認めるが、その余は争う。 同7の(三)は争う。 同7の(五)のうち原告mが昭和五四年五月三一日に被告を退職したことは認めるが、、その余は争う。 同7の(六)は争う。 同8は争う。 三被告の主張 1 本件各協定締結までの経緯被告の会社では、昭和四五年一一月に七日に日シ労組が結成された外、昭和四五年一二月に四日に全日シ労組が、また、昭和四九年六月に守る会がそれぞれ結成去れ、以後被告の会社内二は、日シ労組、全日シ労組、守る会の三種類の従業員の組織があるが、被告は従業員がどの組織に属すかについては全く関知せず、右三種の組織を平等、公平に扱ってきた。被告は、それぞれの組合と交渉を行い、労働条件などについて改善すべきものについては改善に努めてきたのであって、日シ労組のみを敵視してきたことはない。被告としても、主張すべきものは主張し、企業の秩序維持のために必要かつ適切な措置をとったり、経営施策上必要な組織の改正などを行ったことはあるが、いずれも当然のことをしたまでであって、原告から非難されるようなことはしてき きものは主張し、企業の秩序維持のために必要かつ適切な措置をとったり、経営施策上必要な組織の改正などを行ったことはあるが、いずれも当然のことをしたまでであって、原告から非難されるようなことはしてきていない。 2 昇給請求権について(一) 一般に昇給請求権とは、労働者が使用者に対し、従来の賃金の増額支払を求める請求権であって、一般的には労働契約によって労働者が取得するものであるが、労働組合がある場合には、労働協約を締結することによっても発生する。従って、昇給請求権が何時から、どの位の額で、各人に発生するかは、一般の契約ないし労働協約の法理に従い、労働契約ないし労働協約を解釈することによって決せられると言える。 (二) 被告における就業規則及び賃金規定によると、従業員を雇入れする際、給与項目の中心となる基本給と資格給をきめ、これに該当諸手当を附加して支払賃金を決定する仕組みになっている(賃金規定二条、一七条、一八丈参照)が、従業員に毎年約束している昇給(四月)は、定期昇給と呼称され、基本給に対して行われる(賃金規定四九条、五〇条)。そして、この定期昇給も、本人の能力、技●、勤怠等などが勘案されて昇給額が決定され(賃金規定五〇条)、また、「昇給期間中に、長期欠勤した者、就業規則の規定により懲戒処分を受けた者、或いは能率低下の甚だしい者は、その期の昇給を停止することがある」(賃金規定五一条)等の条件がついている。従って、これらの条件が尤も不利に適用された場合には、その年の昇給請求権が発生しない従業員が生ずることも予想されている。そして、これらの規定が労基法違反でも公序良俗違反でもないことは明らかである。 なお、被告会社には、右の就業規則や賃金規則とは別に、一般的な昇給請求権の発生を規定している労働協約は存在してないのである。 (三) 被告に が労基法違反でも公序良俗違反でもないことは明らかである。 なお、被告会社には、右の就業規則や賃金規則とは別に、一般的な昇給請求権の発生を規定している労働協約は存在してないのである。 (三) 被告においても、他社の例にもれず、古くから毎年ベースアップ(賃金引上げ)を実施してきたし、労働組合ができてからは、日シ労組ら組合と協定してベースアップを行ってきた。このベースアップ協定は、基本給を増額する定期昇給の範囲では物価高に追いつかず、従業員の生活が困難となるのを回避すべく、主として基本給の額を大巾に高め、それと共に一部かずく手当額を高く是正し、中途採用者の差額調整のためにおかなわれてきた。そして、実際にはこのベースアップ協定の中に定期昇給問題も混入させて、同時的に解決をはかってきた。 しかし、事柄の性質上、右の定期昇給を含むベースアップ協定は、物価高が続く限り、組合の要求に応えてその要求年度のベースアップのために昇給額を定めることを主目的とし、年々定期昇給とは別に、ベースアップを自動的に行う義務を被告が負担したものではなかった。 右の定期昇給を含んだベースアップ協定(以下賃金協定という)を被告が組合と締結する場合、昇給対象者の中から、昇給不適格者の規準を前述の賃金規制の規定とは別に協定して、その該当者に対し、昇給を行わないことを定めることが許されることは、契約及び労働協約法理上当然の帰結である。 3 本件各協定の締結及びその適用について(一) 被告は、昭和五一年三月二二日、日シ労組から昭和五一年度賃金引上げ要求を提示され、同年四月一五日、日シ労組及び全日シ労組に対しそれに対する回答をした。被告は、同年四月二一日、三〇日及び同年五月一一日に日シ労組と団体交渉を持ち、双方で種種論議がなされたが、日シ労組は昭和五〇年度の基本給に対し平均八.八パ び全日シ労組に対しそれに対する回答をした。被告は、同年四月二一日、三〇日及び同年五月一一日に日シ労組と団体交渉を持ち、双方で種種論議がなされたが、日シ労組は昭和五〇年度の基本給に対し平均八.八パーセントとの賃金引上げ率についてはほぼ了承したが、八〇パーセント条項については難色を示していた。 (二) ところが、同年五月八日、被告の従業員の圧倒的多数を擁する全日シ労組と被告との間で、日シ労組との間で締結した賃金が実施され、日シ労組も同年八月六日被告との間に昭和五一年度協定を締結するに至り、日シ労組の組合員に対しても新賃金が実施されたが、別紙請求債権目録1、2記載の各原告らはいずれも稼働率が八〇パーセント以下であったため、同年度の賃金引上げは行われなかった。 (三) 被告のもとで昭和五〇年度の所定労働日数は、年間暦日数三六五日から被告の就業規則で規定する休日日数九五日を差引いた二七〇日であり、稼働率八〇パーセント以下(実際の取扱いは端数を四捨五入した関係で七九.五パーセント以下として運用、以下同じ)とは、五四日以上の不就労を指す。 (四) 右不就労には、欠勤、遅刻、早退、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇、産前産後の休暇、育児時間、労働災害による休業、労働災害の治療のための通院時間、組合活動時間、ストライキ等一切の不就労が含まれる。もっとも、右のうち育児時間、組合活動時間、ストライキを除いてはすべて有給とし、毎月の賃金のカットはされていない。 (五)従って、仮に一〇年勤続の女子従業員が、年次有給休暇二一日間を全部とり、生理休暇を毎月平均二日ずつ年間二四日とったとしても、二七〇日から右四五日を差引いた二二五日が稼働日数となり、稼働率は八三.三パーセントとなり、八〇パーセント条項には該当しない。つまり、通常の年次有給休暇や生理休暇をとっていれば問題 とったとしても、二七〇日から右四五日を差引いた二二五日が稼働日数となり、稼働率は八三.三パーセントとなり、八〇パーセント条項には該当しない。つまり、通常の年次有給休暇や生理休暇をとっていれば問題ない。 4 本件八〇パーセント条項の合法性(一) 本件八〇パーセント条項の定着本件八〇パーセント条項は、原告らの所属する日シ労組自身が被告との団体交渉の結果、これを承諾し、労働協約の重要な一条項として確約したもので、しかも、もう一つの労組である全日シ労組も、同じ内容の協約を結び(乙第二号証)、その結果右条項は、右両組合員は勿論のこと、その他の非組合員従業員に対しても適用され、その後何回も繰り返し適用されているのであるが、これを違法無効として争っているのは、原告らが所属している少数人数の日シ労組のみであって、他の従業員は何の不満も表明していないのである。そして、協約の両当事者である日シ労組と被告とが、労基法上保護されていない昇給請求権の成否について、それが法律上許されないものであって無効なものであるか否かを判断するに当っては、安易に立法趣旨を拡大採用したり、公序良俗概念を勝手に拡大応用したり、未だ実定法化されていない政策的課題を先取りして運動論的感覚から適用する等の解釈態度を以て議論することは、厳に慎むべきことである。 (二) 八〇パーセント条項導入の目的被告の業績は、昭和四〇年以降次第に伸びなやみとなり、遂に同四九年には赤字に転落し、今後の赤字の拡大を防止するためには、具体的な方策で実施可能なものは、全て取り入れて実施する必要が生じていた。これらの中で稼働率(正味業務貢献時間)が年々休息に減少していることが、重要な対策問題となり、例えば製造部における昭和五〇年の女子年間平均稼働率は六四パーセントで、この非生産性は、被告の給与制度が、パー の中で稼働率(正味業務貢献時間)が年々休息に減少していることが、重要な対策問題となり、例えば製造部における昭和五〇年の女子年間平均稼働率は六四パーセントで、この非生産性は、被告の給与制度が、パートタイマー、アルバイトを除き同五〇年末において九八パーセントを占める一般社員に対し、理由と原因の如何を問わず、遅刻、早退は勿論のこと何日欠勤しようとも無断欠勤であろうとも、給与を全額支払って控除しない建前になっていることより生じ、コスト上昇にひびく構造になっていた。従って、赤字体質を改善するため、八〇パーセント条項の導入を決定せざるを得なかったのである。赤字体質の改善であるから企業の倒産にまで立至らなくても、また黒字になっても進めるべき事柄である。 使用者が労働者の稼働率の工場により生産性の改善を図ることは企業目的達成のため必要な措置として是認さるべきことである。そのための手段方法は、労働者の諸権利との関係で自ら制約をうける場合のあることは当然のことであるが、被告は、労働者の既得権を侵害することのない昇給請求権の付与条件を選び、その付与条件を決めるについても、現行法律制度に抵触しないように配慮して八〇パーセント条項の原案を作成の上、日シ労組も団体交渉の中で審議をつくして合意の上実施したものであって、その間に何等違法の存在する余地はない。 (三) 年次有給休暇年次有給休暇日数を八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは、何ら憲法一三条、二五条、二七条、労基法三九条、民法九〇条の公序良俗に違反するものではない。 労基法三九条は、労働者の年次有給休暇亜権の行使を妨げるいかなる措置をとってもならない旨の不作為義務を使用者に課しているのではない。却って、行政解釈によると、賞与の算定に関してであるが、「賞与を過去の実出勤日に応じて支給するため、 暇亜権の行使を妨げるいかなる措置をとってもならない旨の不作為義務を使用者に課しているのではない。却って、行政解釈によると、賞与の算定に関してであるが、「賞与を過去の実出勤日に応じて支給するため、年次有給休暇により休業した日数を通常の欠勤と同視して賞与の算定をすることは労基法違反にはならぬ。」とされ(昭三〇・一一・三〇・基収四七一八号)、また、この考えによるときは、事実上年次有給休暇の請求が抑制される作用をもち、法の趣旨からみれば決して好ましいものとはいえないが、直ちに、法違反を構成するものではないので、やむをえないとの見解もあるのである。従って、賞与の算定は勿論、昇給の資料にまで年次有給休暇の消化日数が用いられたとしても、違法であるとは言えないのである。 (四) 生理休暇生理休暇を取得した場合に、精皆勤手当等の減額により著しく不利益を課することは、法の趣旨に照らし好ましいことではなく、また、生理休暇は、女子労働者の権利ではあるけれども、労基法は、生理休暇の有給を保障しておらず、また、その無給を禁止しているわけではないから、生理休暇取得者に対して、手当を支給せず、又は、これを減額する結果となり、そのため生理休暇の取得を抑制する自体が生じたとしても、そのことから、生理休暇に対し、手当不支給の措置をとっても違法ではないのである。(東京高裁昭和五五年三月一九日判決・労働経済判例速報一〇四四号一二頁)。しかも、生理休暇には、医学的根拠がなく、雇傭の機会と待遇を男女平等にするという観点からも、生理休暇の制度は本来廃しさるべきものである。 従って生理休暇を八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは何ら違法でない。 (五)産前産後の休暇及び育児時間労基法は、産前産後の休暇中の賃金の保障については特段の規定をおかず、また不利益取扱いの禁 理休暇を八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは何ら違法でない。 (五)産前産後の休暇及び育児時間労基法は、産前産後の休暇中の賃金の保障については特段の規定をおかず、また不利益取扱いの禁止についても、僅かに一二条三項(平均賃金算定の際の特例)と一九条一項(解雇制限)及び三九条五項(年休取得要件である出勤日数算定の特例)を置くのみである。この根底には、出産、育児はあくまで労働者の個人的事情であるから、法は深く関与しないという考えに立っているものというべきである。 また、育児時間をとったことを理由にする不利益扱いを禁止した法律はない。 従って、労使の合意によって、これらの出産休暇をとった者に、それを理由として不利益な取扱いをしても、右の強行規定に反しない限り、それが違法となり或いは公序良俗に反して許されないと安易に言うことはできない。 のみならず、被告においては、労基法が保障する婦人労働者の生理休暇、産前産後の休暇、育児時間に関する権利を完全に保障し、更にこれらの権利行使による不就労に対しても、賃金を支払って、法律の規定以上に優遇措置をとっているのであるから、産前産後の休暇及び育児時間を八〇パーセント条項の不就労時間に算入しても、何ら違法ではない。 (六) 労働災害による休業及び通院労基法七五条は、使用者に療養補償義務を課した規定であり、労働安全衛生法三条は、事業者に対して一定の責務(安全配慮義務)を課し、どう法二〇条ないし二四条は、労働者の危険又は健康障害を防止するための物的措置をとることを義務づけている規定であって、いづれもそれ以上でもそれ以下でもない。また、労基法が、労働災害休業、通院について不利益取扱いを回避せんとして特に配慮している条項は、同法三九条五項の有給休暇取得にあたっての特別算定方法の定めのみであって、他に 上でもそれ以下でもない。また、労基法が、労働災害休業、通院について不利益取扱いを回避せんとして特に配慮している条項は、同法三九条五項の有給休暇取得にあたっての特別算定方法の定めのみであって、他に何らふれるところはない。そして、被告は、労働災害休業、通院にたいしてもその権利を十分に確保している上、全額の賃金の支払を行って優遇措置をとっておるので、却ってその乱用が問題とされているところであり、これらの乱用防止のための施策は、経営者としての法の範囲ないにおいて当然とりうるものである。 従って、労働災害の休業及び通院時間を本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは何ら違法ではない。 (七) 労働組合活動(ストライキを含む)(1) ストライキストライキは、組合の指令によって、組合員が経営者の支配下から労働力を引きあげて、労務提供を拒否する行為であるから、賃金請求は発生しないし、賞与の支給にあたり、労務の不提供の範囲においてこれを減額することは、過去の労使慣行なり、労働協約に反しない限り、適法であることはノーワーク・ノーペイの原則からも当然のことである。 従って、ストライキによる不就労を、一般の欠勤と同視して取扱う慣行のあることや、格別の協約のない被告において、稼働率計算の際、一般の欠勤と同様の扱いをストライキによる不就労について行ったとして、不当労働行為等違法となるものではない。いわんやストライキの主体も、本件各協定を締結した主体も同一の日シ労組であるから、何等外部からこの日シ労組の自主的決定に介入することは許されないと言うべきである。 (2)組合活動就業時間中の組合活動が許されないことは当然のことである(東京高裁昭和五二年七月一四日判決・労働経済判例速報九五三号)。被告においては、一般的に組み合い活動については日シ労組、 。 (2)組合活動就業時間中の組合活動が許されないことは当然のことである(東京高裁昭和五二年七月一四日判決・労働経済判例速報九五三号)。被告においては、一般的に組み合い活動については日シ労組、全日シ労組に対し、共に就業時間中の組合活動をみとめていないが、全日シ労組が労使協議会に出席する場合のみ、その出席組合員の活動は就業時間であっても、これを認め、かつ有給の扱いをしている。しかし、日シ労組とは労使協議会に関する協定がなく、すべて団体交渉で行っているので、有給の取扱いをしていない。それは制度上、並びに、右両組合の方針上の差に基づくもので、組合間差別を行っているわけではない。(3) 従って、ストライキ及び組合活動に基づく不就労八〇パーセントじょうこうの稼働率計算の際、一般の欠勤と同様の扱いをしても何等違法ではない。 (八) 八〇パーセント条項の適用結果からみた合法性本件八〇パーセント条項は、以上のような内容をもち、法律的根拠に支えられたものである。しかも、この八〇パーセントの条項には救済措置があって、前年一年間の稼働率が八〇パーセント以上の者であっても、翌年一月から三月までの間のは稼働率が八〇パーセント以上の者には賃金引上げを行うことになっている。従って、実際に昇給対象者から除外されるのは、年間稼働率も救済期間稼働率も共に、八〇パーセントを下廻った者達のみである。 しかして、この八〇パーセント条項が実際に適用された結果、昭和五一年から同五五年度における毎回の昇給対象者中における昇給不適格者の人数とその比率は、乙第一一号証に見る如く、意外に少なく、従業員がこの制度の適用をうけてから五年を経過したが、毎年本件八〇パーセント条項が労働協約によって確認適用され、それが非組合人にも及んで制度的に定着し、原告らを除く従業員によって支持されてい なく、従業員がこの制度の適用をうけてから五年を経過したが、毎年本件八〇パーセント条項が労働協約によって確認適用され、それが非組合人にも及んで制度的に定着し、原告らを除く従業員によって支持されている。一方、本件八〇パーセント条項によって年々稼働率が向上し、昭和五三年以降は、被告そのもの赤字経営を脱却し、また、労働災害認定患者も治癒により減少し、更に新たな労働災害認定患者が発生してないところよりみても、労働強化や健康破壊をもたらすものでないことを示している。従って本件八〇パーセント条項は決して違法ないし公序良俗の違反とは言えないのである。 5 八〇パーセント条項の締結は,何ら、不当労働行為となるものではない。 (一) 組合間差別の不存在(1) 被告が本件八〇パーセント条項を提案し、締結したのは、従前における被告の賃金制度の不備から勤労意欲の工場がはかれず、それが不況時の赤字の重大原因でありまた今後の激烈な企業間闘争において敗者への道を歩む重大要因であったので、それを是正する必要があったところ、八〇パーセント条項は、右是正のため、,最も従業員との間で摩擦が少く、かつ、法律上からみても難のない方法であったからである。 かかる経営改善を提案し、実施せんと努力することは、経営者の当然の権利であって、それを以て不当労働行為と非難することは出来ず、また、この改善を日シ労組組合員間差別を行ってはいないのである。 (2) 被告は、八〇パーセント条項の原因項目として、不就労時間を発生させる項目をすべてとり上げることにした。その理由は、特定の項目を外すならば、場合によっては組合間差別、組合と非組合員間差別、男女間差別を発生させて全従業員の協力が得られなくなることを危惧したからである。そして、それが法律からみて適法か否かの検討を加え、問題がないことを確認して によっては組合間差別、組合と非組合員間差別、男女間差別を発生させて全従業員の協力が得られなくなることを危惧したからである。そして、それが法律からみて適法か否かの検討を加え、問題がないことを確認して採用した。 (3) 被告は、日シ労組員に女子や職業病患者が多く、また組合活動が活溌であって、列挙された項目が適用されたならば、最も被害を被るのは日シ労組員であると考え、それを計算した上で、右の項目を選んだものではない。女子の比重や職業病患者の人数は、時の経過によって変化するものであり、また組合活動による不就労時間についても同様のことが言える。このような項目は、全従業員に平等に適用せんとする規準であるから、もともと組合間差別などはできないのである。原告らも、八〇パーセント条項の締結が不当労働行為であると言いながら、原因項目の大部分は、違法ないし公序良俗に反するので、許されるものではないと言う主張と重複し、繰返したに過ぎないもので、その観点からの議論であれば不当労働行為とは無関係なものである。何故ならば、それが不当労働行為を形成するものであれば、全日シ労組に対しても被告は不当労働行為を行っていることになるからである。 (4) 全項目の不就労時間を合計して稼働率を出し、昇給除外者をどの稼働率以下のところで決めるかは、極めて難しい問題である。稼働率を高くすれば、該当者は多くなって、従業員の不満が増大するため、所期の目的が達成できず、低くすれば、逆に、改善目的が達成できず、無意味なものとなる。そこで、被告は、以下の事情から、稼働率を八〇パーセントとしたのである。すなわち、昭和五〇年当時の所定年間稼働日が二七〇日であったので、八〇パーセントの線で昇給の許否をきめるとすれば、年間五七日の不就労時間があっても、昇給は可能となり、その場合は、年間年休最大二二日( なわち、昭和五〇年当時の所定年間稼働日が二七〇日であったので、八〇パーセントの線で昇給の許否をきめるとすれば、年間五七日の不就労時間があっても、昇給は可能となり、その場合は、年間年休最大二二日(年間非稼働率八.一パーセント)をとっても、生理休暇年間二四日(年間非稼働率八.九パーセント)、をとっても、また両方の休暇権を行使したとしても、五七日(年間稼働率一七パーセント)の範囲におさまり、なお余裕があり無理ではない。そして、日曜、祭日、会社が定めた休日の合計は年間で九五日あるわけであるから、年間で一五二日の不就労日があることになり、年間の稼働率は五八.三パーセントとなる。一年産六五日の中で、右日数だけ現実に会社へ出て労務提供すれば、昇給は確保されるのあるから、決して保健上も組合活動上にも悪い影響は出ない。ただ長期の労働災害休業や産前産後の休暇の場合には、この稼働率では昇給不可となるが、被告は、これらの長期休業に対しても全部有給で賃金を支払っているので、それとの兼ね合いで、昇給しない場合があったとしても、衡平は保たれているいる。しかも、被告が後に救済措置を設けたのも、係る長期休業者の救済を特に考慮したからであった。以上の事由により八〇パーセント条項を定めたが、これを実際に適用した結果を見ても、問題が生じていないことは、前述の通りである。この八〇パーセントの数字こそ固定され、裁量の余地の全くないもので、組合差別を云々することはできない。 (二) 労働契約と不当労働行為労働者が使用者と団体交渉を行い、また交渉を有利にすすめるために、法は争議権をも認めているが、それらはすべて労働者と使用者との間の関係を規制する労働協約を締結することを目的とする手段として与えられているものである(労組法一条)。そして、一旦協約が成立するならば、両当事者は、それ めているが、それらはすべて労働者と使用者との間の関係を規制する労働協約を締結することを目的とする手段として与えられているものである(労組法一条)。そして、一旦協約が成立するならば、両当事者は、それを守り実行しなければならない契約上の義務を負うが、法は労働協約の特性に鑑み、単なる労使間の合意以上に、様々の法的効力を認めている。このように、労働協約によって労使間の秩序が形成され、組合員、使用者間の権利義務の内容が確定せられるから、その締結を慎重にさせ、当事者の意図を確認させることにより、将来における協約上の紛争を防止する必要から、労組法は、その一四条において、「書面に作成し、両当事者が署名し又は記名押印することによって効力を生ずる」と定めているのである。 そして、一旦労働協約が有効にせいりつすると、その有効期間中は、協定事項の改廃を求めて、争議行為に訴えることは出来ないと言う平和義務が生ずることも制度の趣旨からみて当然のことであって異論をみないところである。 ところで、被告がはじめて昭和五一年に本件八〇パーセント条項を日シ労組二提案したとき、交渉は円満に行かず厳しい対立となって、日シ労組は、度重なるストライキ先述を以て対抗したが、被告の毅然たる態度の前に屈して同年八月六日に本件八〇パーセント条項をのんで賃金引上げ闘争を中止し(乙第一号証)、翌五二年度以降の賃金引上げ闘争の時は、何等抵抗することなく八〇パーセント条項を含む協定を締結し(乙五号証の三・乙六号証の二・乙第一二・一三号証)、その上八〇パーセント条項の適用の有無をめぐる紛争は、解決済であるとの合意(追認)をも再三にわたり与えているのである(乙第五・六・九号証)から、今更八〇パーセント条項を以て,違憲、違法であるとか、それは不当労働行為であって許されないものであるとか主張することは、 の合意(追認)をも再三にわたり与えているのである(乙第五・六・九号証)から、今更八〇パーセント条項を以て,違憲、違法であるとか、それは不当労働行為であって許されないものであるとか主張することは、極めて不誠実陰険であって、禁反言の法理に基づき主張自体失当であると言うべきである。 (三) 以上の通り、被告が本件八〇パーセント条項を締結したことは何ら不当労働行為となるものではない。 原告らは、被告が本件八〇パーセント条項提案以前に、数々の不当労働行為をしてきたと主張しているが、そのような事実はないし、仮にあったとしても、そのことから、本件八〇パーセント条項の締結が不当労働行為であるということはできない。 6 仮に、本件八〇パーセント条項が無効であるとしても、次に述べる理由により、原告らの本訴請求は理由がない。 (一) 本件八〇パーセント条項は、賃金引上げ額と一緒にされ、共に協約の規範的部分を構成しているから、本件八〇パーセント条項が違憲・違法・無効であるばあいには、不法な停止条件となり、この停止条件事項をつけた賃金引上げに関する本件各協定は、民法一三二条によりその全部が無効である。 もっとも,法律行為に不法な条件が付された場合に、その不法な条件の部分をないものとして、その他の部分を有効する見解がないわけではない。しかし、本件各協定は、団体交渉という特別の手段を経て締結され法によって通常の民事上の契約にはない特別の効力が与えられているところ、八〇パーセント条項は、賃金引上げ額と一体不離のものとして協定された規範的事項であるから、本件各協定中、八〇パーセント条項のみを無効とし、その余の部分を有効と解することは許されないのである。 (二) なお、本件八〇パーセント条項を含んだ本件各協定は、右の通り八〇パーセント条項付賃金引上げ協定として一体とし ーセント条項のみを無効とし、その余の部分を有効と解することは許されないのである。 (二) なお、本件八〇パーセント条項を含んだ本件各協定は、右の通り八〇パーセント条項付賃金引上げ協定として一体としてその効力を判断すべきものであるから、右八〇パーセント条項が不当労働行為として無効であるならば、本件各協定全部が無効となるものというべきである。何故ならば、当事者殊に被告の意思として全員に無条件で賃金引上げするという協定は締結されていないし、そもそも一つの不当労働行為を勝手に分解して、別々に有効、無効を反ダインすることは実定法上許されていないからである。本件各協定全体が無効となれば、原告らの賃金請求権は発生しないのである。 (三) 本件八〇パーセント条項は、昭和五一年の最初の導入からその後毎年の賃金引上げ協定の中で繰返し取り入れられ、前述の如く、また本条項を適用されたことについては、意義をのべないとの協定も再三締結れているのであるから、仮に右条項を締結したことが不当労働行為であったとしても、その不当性は、既に治癒されており、禁反言の法理からも、原告らの請求は理由がないものと言うべきである。 7 なお、後記四の原告らの主張ないし2ないし8は争う。 四前記被告の主張に対する原告らの認否及び主張 1 前記三の被告の主張は争う。 2 昇給請求権昇給は、労働契約に含まれる不可欠なけんりである。すなわち、労働者が毎月どれだけの賃金を得られるかということは、労働者の生活を支える長期的な生活設計をたてるうえで、極めて重要なことである。それと同じく、労働者が将来どれだけの賃金を保障されるかということも重要である。 とりわけ被告の資金体系は、終身雇傭を前提として年功序列型賃金体系が採用されており、一般に初任給が低く押えられているから、従業員は、長期勤務の中で年 けの賃金を保障されるかということも重要である。 とりわけ被告の資金体系は、終身雇傭を前提として年功序列型賃金体系が採用されており、一般に初任給が低く押えられているから、従業員は、長期勤務の中で年々昇給がなされることによってはじめて生活を支えるに必要な賃金を得られるようになっている。従って、被告会社の労使間においては、将来必ず昇給させるという合意が存在し、これが継続的雇傭関係の存立の基盤となっているのである。 しかも、現在のように、物価の上昇が著しい状況の下にあっては、昇給は、実質賃金の保障という正確があるのであって、合理的な理由もなしに昇給をさせないことは、労働契約違反であり、労働者の生存権を侵害するものである。 3 年次有給休暇終身雇傭を特質とする我が国の雇傭制度の下においては、賃金引き上げ決定につき、年次有給休暇を不就労時間として不利益扱いとすることは、次年度以降退職に至るまでの賃金の一部を不払を続けることにもなるものであり、その影響は、年次有給休暇取得日における賃金不払よりもはるかに深刻である。年次有給休暇制度が功労報酬制度でないと同様に、賃金引上げ(ベースアップ)も功労報酬として実施されるものではない。年次有給休暇制度は、人たるに値する生活を営むための必要として存在するものである。従って賃金引上げ決定に対し、年次有給休暇取得を不利益扱いの要素とすることは、年次有給休暇の趣旨に反し、賃金不払の本質を有するから、法律上許されないのである。 4 生理休暇生理休暇の取得は、憲法にその根拠をおく労基法上の権利を行使することであって、本来郎党しなければならない日に、自己の都合等で休業する欠勤とは本質的に異なり、その権利行使を妨げた場合には、労基法一二〇条一項により罰金に処せられる性質のものである。 労基法上の権利を行使したも 本来郎党しなければならない日に、自己の都合等で休業する欠勤とは本質的に異なり、その権利行使を妨げた場合には、労基法一二〇条一項により罰金に処せられる性質のものである。 労基法上の権利を行使したものに対し、これを欠勤と同様の不就労時間に算入し、その稼働率を計算して賃金引上げに影響させることは、権利を行使する者に対する不当な附地駅取扱いであり、かかる不利益な取扱いをすることによって、その権利行使を阻害し、現実の行使を困難にするものである。 なお、労基法六七条は、使用者に生理休暇を与える義務を課すると共に、死傷者に生理休暇の権利行使を受認し、妨害してはならない不作為義務を課するものであって、この権利行使を阻害することになる本件八〇パーセント条項は、労基法六七条の趣旨に反し、民法九〇条の公序良俗にいはんするものである。 5 産前産後の休暇・育児時間女性の妊娠、出産、育児は、全人類及び社会にとって、不可欠な社会的機能であり、母性にとって崇高な義務であり、その存在自体に基づく根源的な権利である。 社会は、この重大な機能を有し、現にその機能を果たしている女性に対し、最大限に寛大でなければならず、被告としても、その従業員の大半を自らの意思で、出産の可能性のある婦人労働者で埋めている以上、当然この責務を免れるものではない。 ところで、被告は、婦人労働者の出産に当っては、一応産前産後の休暇中、健康保険による六〇パーセントの支出を含め一〇〇パーセントの賃金を支払っている。 しかし、労基法で定める産前産後の休暇は一二週間であり、被告会社のように異常出産の多い職場ではそれ以上の期間休まざるを得なくなる。産前産後の休暇を八〇パーセント条項の不就労時間に含めれば、婦人労働者が女性としての機能を果たそうとする場合には、必ずこの助要項にふれて、賃金を引上げされない ではそれ以上の期間休まざるを得なくなる。産前産後の休暇を八〇パーセント条項の不就労時間に含めれば、婦人労働者が女性としての機能を果たそうとする場合には、必ずこの助要項にふれて、賃金を引上げされないことになる。 そして、年末から年始にかけて出産すれば、二年間に亘って賃金を引上げされないばかりでなく、出産する婦人は、二〇歳代から三〇歳代前半の者がほとんであるから、産前産後の休暇中に賃金が支給されても、二〇年、三〇年の期間を通じてみれば、賃金引上げのない不利益は、一二週間分の賃金の支給をうけないことよりもはるかにおおきいのである。 このように、女性としての根元的権利として、労基法で認められて最小限の権利を行使することによって、以後退職するまでの長い期間に亘って不利益を被ることを余儀なくさせる本件八〇パーセント条項は、労基法に違反するものである。 6 労働災害による休業及び通院別紙請求債権目録1,2記載の原告中、原告n、同lを除く一五名(全部女性)は、剄肩腕障害労災認定患者であり、昭和五一年度賃金引上げにおいて、労働災害による休業や通院のため、本件八〇パーセント条項に該当するとして、賃金引上げを許否されたものである。 剄肩腕障害は、手指や腕を一定の姿勢で長時間連続的かつ単純に反復使用する労働のため、首、肩、腕、手、背などに痛み、しびれ、こり、冷え、知覚異常、筋硬結、運動制限、さらには頭痛、目まい、不眠などの自律神経失調症状を呈する全身病であり、典型的な合理化病、職業病である。 ところで、被告は、合理化を進める一方、労働安全衛生対策を皆無に等しくしていたため、昭和四六年頃から剄肩腕障害患者が続出し、昭和四九年一二月当時の本社における剄肩腕患者は、前記一五名の原告ら含め、合計四七名に達し(全部女性)、その数は、本社女子社員の約五分の一に達し いたため、昭和四六年頃から剄肩腕障害患者が続出し、昭和四九年一二月当時の本社における剄肩腕患者は、前記一五名の原告ら含め、合計四七名に達し(全部女性)、その数は、本社女子社員の約五分の一に達した。 被告は、これら労働災害を受けた従業員に対し、労働安全配慮義務違反による債務不履行責任を負い、慰謝料を含む損害賠償義務を負うのである。しかるに、被告は、右労働災害を受けた従業員を職場から放逐しようとする姿勢を取り続けていたのであって、労働災害による休業及び通院時間を本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは、被告の前記企画を速やかにたっせいさせるものであるから、この点で公序良俗に反するものというべきである。 なお、労働災害による休業及び通院時間を本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入されることになれば、労働災害を受けた者は、その実質賃金を維持せんがために、苦痛に堪えて休業や通院を制限し、身を破壊しつつ労働に就かざるを得なくなるのである。従って、労働災害による休業や通院時間を八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは、労基法七五条一項に違反し、公序良俗に反するのである。 7 八〇パーセント条項による現実の被害昭和五一年に本件八〇パーセント条項は設けられたことにより、日シ労組の組合員を始め、被告会社の従業員は、労基誤報その他で認められた法律上の権利の行使をためらうようになった。年次有給休暇取得は、従前は一人平均一四・五日であったが、最近では年に一〇日ないし一一日となり、生理休暇についても、付きに一・二六日から〇・三日となり、労働災害による通院についても、現在多くの患者がいるのに、零にまで近くなっているし、結婚、出産による退職が激増している。その他団体交渉にせよ、組合活動にせよ、ストライキにせよ、すべて各従業員において八〇パ による通院についても、現在多くの患者がいるのに、零にまで近くなっているし、結婚、出産による退職が激増している。その他団体交渉にせよ、組合活動にせよ、ストライキにせよ、すべて各従業員において八〇パーセントの稼働率を計算しながらせざるを得なくなっている。 更に、八〇パーセント条項によって、日シ労組組合員の被る不利益は、定年退職まで続き、単純計算でも一人金三〇〇万円以上の損害にとなり、二年連続八〇パーセント条項に該当するものは金六〇〇万円以上の損害を被っている。 以上要するに、本件八〇パーセント条項は、憲法一三条、二五条、二七条、二八条、労基法三九条、六五条、六六条、六七条、労組法七条に違反し、民法九〇条の公序良俗に違反して無効である。 8 協定の成立と八〇パーセント条項被告は、形式上本体八〇パーセント条項を含む本件各協定が成立したこと、及び、全日シ労組が繰返し右条項を有効と認めたことを事由に、原告らが右条項の効力を争うことはできないと主張している。 しかし、右被告の態度は、恰も犯罪行為の最中に、被害者に対し、その行為が犯罪でないと承諾させ、訴えたりはしないと強要しているのに似ている。このような約束をしたからといって、その行為が犯罪でなくなるものではない。 もし、日シ労組があくまで本件八〇ぱーせんと条項に反対していたならば、昭和五一年度以降の賃金引上げ協定及び一時金協定は成立しておらず、日シ労組員の賃金引上がは実現せず、従前の賃金のままに据え置かれたのである。何故ならば、被告は、日シ労組が本件八〇パーセント条項を呑まない限り賃金引上げに応ぜず、一時金の回答さえも出さないとの態度を取り続けたからである。 従って、形式上本件各協定が成立し、日シ労組がその後本件八〇パーセント条項を有効なものと認めたとしても、もともと無効な右条項が有効となる 一時金の回答さえも出さないとの態度を取り続けたからである。 従って、形式上本件各協定が成立し、日シ労組がその後本件八〇パーセント条項を有効なものと認めたとしても、もともと無効な右条項が有効となるものではない。 なお、日シ労組は、被告から強要強迫されたので、涙を呑んで、本件八〇パーセント条項を含む本件各協定の締結に応じたのである。本件各協定の締結により、被告の不当労働行為が治癒されるとすれば、憲法も労働法も、また、不当労働行為の制度そのものも否定されることになるのである。 第三証拠(省略) 理由 一被告が肩書地に本社を、全国二九ケ所に営業所を置き、西ドイツのシェーリング・AG・ベルリン・ベルクカーメン株式会社から医薬品の輸入をし、また、医薬品の製造販売を業とし、従業員約八〇〇名を擁する株式会社であること、原告らは、いずれも被告の従業員であり、かつ、総評化学同盟日本シェーリング労働組合(日シ労組)の組合員であること、被告には、日シ労組の外、全日本シェーリング労働組合(全日シ労組)と、「職場と生活を守る会」(守る会)なる組織があること、以上の事実については当事者間に争いがない。 二次に、 1 昭和五一年八月六日、日シ労組と被告との間に、(イ)賃金引上げ率を昭和五〇年度基本給に対し、平均八・八パーセントとする、(ロ)賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする、但し、雇員、アルバイト、昭和五一年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者は除く(本件八〇パーセント条項)、(ハ)新賃金は妥結した月より適用する(妥結月払条項)とする外、原告ら主張の内容による昭和五一年度賃金引上げに関する協定が成立したこと、 2 昭和五二年六月三〇日、日シ労組と被告との間に、(イ)賃金引上げ率を昭和五一年度基本給に対し平均一〇パーセント とする外、原告ら主張の内容による昭和五一年度賃金引上げに関する協定が成立したこと、 2 昭和五二年六月三〇日、日シ労組と被告との間に、(イ)賃金引上げ率を昭和五一年度基本給に対し平均一〇パーセントとする、(ロ)賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする、但し、雇員、アルバイト、昭和五二年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く、(ハ)新賃金は妥結した月より適用するとする外、原告ら主張の内容による昭和五二年度賃金引上げに関する協定が成立したこと、 3 昭和五三年四月二八日、日シ労組と被告との間に、(イ)賃金引上げ率を昭和五二年度基本給に対し平均八パーセントとする、(ロ)賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする、但し雇員、アルバイト、パートタイマー、昭和五三年一月一日以降入社した者及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く、(ハ)新賃金は妥結した月より適用するとする外、原告ら主張の内容による昭和五三年度賃金引上げに関する協定が成立したこと 4 昭和五四年四月二七日、日シ労組と被告との間に、(イ)賃金引上げ率を昭和五三年度基本給に対し、平均八・六パーセントとする、(ロ)賃金引上げ対象者は妥結時在籍者とする。但し、雇員、アルバイト、パートタイマー、昭和五四年一月一日以降入社したもの及び稼働率八〇パーセント以下の者を除く、(ハ)新賃金は妥結した月より適用するとする外、原告ら主張の内容による昭和五四年度賃金引上げに関する協定が成立したこと 5 被告が、別紙請求債権目録1、2記載の各原告らについては昭和五一年度の賃金引上げに際し、同目録8記載の各原告らについては昭和五二年度の賃金引上げに際し、同目録4記載の各原告らについては昭和五三年度及び同五四年度の各賃金引上げに際し、それぞれその稼働率が八〇パーセント以下であって、右八〇パーセント条項に該 については昭和五二年度の賃金引上げに際し、同目録4記載の各原告らについては昭和五三年度及び同五四年度の各賃金引上げに際し、それぞれその稼働率が八〇パーセント以下であって、右八〇パーセント条項に該当するとして、その賃金引上げの対象から除外し、右賃金引上げ相当額の賃金、これに対応する夏季冬季各一時金、退職金を支払わないこと、以上の事実については、いずれも当事者間に争いがない。 三八〇パーセント条項の効力原告らは、本件各協定中、稼働率八〇パーセント以下の者を賃金引上げ対象者から除く旨の条項(本件八〇パーセント条項)は、憲法一三条、二五条、二七条、二八条、労基法三九条、六五条、六六条、六七条、労組法七条に違反し、民法九〇条の公序良俗に違反して無効であると主張するので、以下その点につき検討する。 1 八〇パーセント条項の内容は、前年一月から一二月までの一年間の稼働日数中の所定労働時間から不就労時間を控除した時間を所定労働時間で除したところの稼働率が八〇パーセント以下の者について、賃金引上げ対象者から除外し、賃金引上げを行わないとのものであること、被告は、同条項の適用について、右稼働率の算定の基礎となる不就労時間に、欠勤、遅刻、早退によるものの外、年次有給休暇、生理休暇、慶弔休暇、産前産後の休暇、育児時間、労働災害休業、労働災害の治療のための通院、ストライキ等組合活動によるものを含めて、右稼働率の計算をしていること、以上の事実は当事者間に争いがない。 2 そこで、本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入される年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇及び育児時間、労働災害による休業及び通院時間、ストライキその他の組合活動のための時間の法律上の特質等について検討する。 (一) 年次有給休暇労基法三九条は、労働者が一年以上継続して勤務し、その出勤率 育児時間、労働災害による休業及び通院時間、ストライキその他の組合活動のための時間の法律上の特質等について検討する。 (一) 年次有給休暇労基法三九条は、労働者が一年以上継続して勤務し、その出勤率が八割以上の場合には六日の年次有給休暇を、その後勤務一年ごとに一日を加算した日数を最高二〇日の限度内において年次有給休暇を与えるべき旨規定しているところ、右規定は、休日の外に毎年一定日数の有給休暇を労働者に与えることによつて、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を目的としたものである。 しかして、右年次有給休暇は、単に使用者からの恩恵として与えられるものではなく、年次有給休暇の権利は、労基法三九条一、二項の要件が充足されることによつて、法律上当然に労働者に生ずる権利であつて(最高裁判所昭和四八年三月二日・民集二七巻二号一九一頁)、右年次有給休暇日に就労したときは一定の金銭等を支給する旨のいわゆる年次有給休暇の買上げ契約や、その他右年次有給休暇を放棄する旨の契約は、労基法三九条一、二項に違反して無効であると解すべきであるし、また、年次有給休暇を取得した場合には、その日数に応じて相当多額の収入減少を伴うことが予め定められている契約は、年次有給休暇の買上げと同様の効果があるから、労基法三九条一、二項に違反するか或いは民法九〇条の公序良俗に違反するものとして無効と解すべきであるし、さらに、年次有給休暇日を取得せずに稼働した場合には、特別の賞与を支払う旨の契約も、労働者において年次有給休暇を取ることを差控える傾向を招くことになり、間接的に年次有給休暇の取得を抑制することになるから、労基法三九条一、二項に違反することを免がれないと解すべきである。従つて、労働者が年次有給休暇をとつたことを理由に、賃金引上げその他において不利益な取扱いをすること の取得を抑制することになるから、労基法三九条一、二項に違反することを免がれないと解すべきである。従つて、労働者が年次有給休暇をとつたことを理由に、賃金引上げその他において不利益な取扱いをすることは、労基法三九条一、二項に違反し、許されないものというべきである。 (二) 生理休暇労基法六七条は、生理日の就労が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない旨規定しているところ、右規定は、女子特有の生理現象及びその後の肉体に及ぼす影響を考慮して定められた女子労働者に対する保護規定である。女子の生理日における労働がその健康に影響を及ぼすか否かについては、医学上議論の存するところではあるが、労基法六七条が、請求のある場合に女子の生理日における就労を禁止していることは、女子労働者が生理日に休暇を取る権利を法律上認めたものというべきであるから、右生理休暇に関する権利行使をしたことを理由に、賃金引上げその他において不利益な取扱いをすることは許されないものといわなければならない。もつとも、生理休暇中の賃金の支払に関しては、労働契約や就業規則によつて任意に定めることができるから、女子労働者の全部について、一律に生理休暇中の賃金を支払わない旨定めることも違法ではないのであるが、この取扱いは、有償双務の雇傭契約の特質上、生理休暇により労働をしないことに対する当然の結果であり、何ら法律上の不利益な取扱いではないというべきであるし、また一方、生理休暇日に対しても賃金を支払うことは、単に使用者の恩恵的措置に過ぎないものというべきである。しかし、右賃金の外に、生理日に出勤した女子に超過勤務手当を支給するなど特別の手当を支給することは、生理休暇の取得を抑制することになりかねないから、労基法六七条に違反し ぎないものというべきである。しかし、右賃金の外に、生理日に出勤した女子に超過勤務手当を支給するなど特別の手当を支給することは、生理休暇の取得を抑制することになりかねないから、労基法六七条に違反して許されないものと解すべきである。 (三) 産前産後の休暇労基法六五条は、産前及び産後の各六週間以内に(但し、産前の六週間と産後の五週間以後は請求のあつた場合に限る。)、女子労働者を就労させてはならない旨規定しているところ、右規定は、母性を保護するための保護規定であり、産前産後の休暇は、古く旧工場法や鉱業法においても認められていたものである。産前産後の休暇を取得することは、法律上女子労働者に認められた権利であるから、産前産後の休暇によつて休業した期間は、労基法三九条一項の年次有給休暇に関する規定の適用については出勤とみなされるし(同条五項)、また、使用者は、産前産後の女子が右労基法六五条の規定によつて休暇をとつている期間及びその後三〇日間は、解雇をしてはならない法律上の義務を負つている外(労基法一九条)、女子労働者が産前産後の休暇をとつたことを理由に、賃金引上げその他において不利益な取扱いをしてはならないと解すべきである。もつとも、産前産後の休暇中の賃金を支払うか否かは、生理休暇の場合と同様に、労働契約や就業規則で自由に定めることができるのであつて、産前産後の休暇中の賃金を支払わない旨定めることも、勿論適法ではあるが、これは、双務有償である雇傭契約の性質上労働をしないことに対する当然の結果で、何ら不利益な取扱いではないというべきである。 (四) 育児時間労基法六六条は、生後満一年に達しない生児を育てる女子から請求があつた場合には、正規の休憩時間(労基法三四条の休憩時間)の外、一日二回各々少くとも三〇分間、当該女子労働者を使用してはならない 時間労基法六六条は、生後満一年に達しない生児を育てる女子から請求があつた場合には、正規の休憩時間(労基法三四条の休憩時間)の外、一日二回各々少くとも三〇分間、当該女子労働者を使用してはならない旨規定しているところ、右各規定は、女子労働者が生後一年未満の生児を育てている場合において、育児時間を与えられなければ、休憩時間中に補乳をしたり、その世話をしなければならないところから、生児に授乳その他の世話をするための時間と、一般の休憩時間とを別に確保し、あわせてかかる女子労働者に対し、作業から離脱できる余裕を与えるために設けられた保護規定である。女子労働者が右育児時間をとることも法律上認められた権利であるから、使用者は、女子労働者が右育児時間をとつたことを理由に賃金引上げその他において不利益な取扱いをしてはならないものというべきである。なお、育児時間中の賃金については、月給もしくは日給の場合には、原則として差引くことは許されず、ただ時間給の場合にのみ、労働契約等でこれを差引くことができるものと解すべきである。 (五) 労働災害による休業及び通院時間使用者は、労働者の労働によつて収益をあげている以上、その労働に伴う災害について責任を負うべきは当然である。そして、労基法七五条は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない旨規定し、同法七六条は、労働者が業務上の災害による療養のため、労働することができない場合には、使用者は、労働者の療養中平均賃金の六〇パーセントの休業補償を行わなければならず(同条一項)、また、労働災害を受けて休業補償を受けている労働者の補償額にくらべ、同一事業場における同種の労働者の通常の一定期間における平均賃金額が、一二〇パーセントを 休業補償を行わなければならず(同条一項)、また、労働災害を受けて休業補償を受けている労働者の補償額にくらべ、同一事業場における同種の労働者の通常の一定期間における平均賃金額が、一二〇パーセントを超え、又は八〇パーセントを下るに至つた場合には、右林業補償の額を右比率に応じて改定しなければならない(同条二項)旨規定し、さらに、同法七七条は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、なおつたとき身体に障害が存する場合には、その障害の程度に応じて、平均賃金に一定率を乗じた金額の障害補償を行なわなければならない旨規定しており、同法一九条は、使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため休業する期間は、解雇してはならない旨規定し、さらに同法三九条五項は、業務上災害による休業は、同条一項の年次有給休暇の計算に当つては、出勤したものと看做す旨規定している。しかして、これらの労基法の各規定に照らせば、労働者が労働災害を受けた場合には、使用者は、その過失の有無を問わず、極力右労働災害により労働者の被つた損害の補償に努めるべきであり、使用者に過失がある場合には、民法等の規定により、労働者の被つた全損害を賠償すべき義務があるものというべきである。従つて、労働者が労働災害によつてかかつた傷害や疾病のため、やむなく休業をし、或いは、通院した場合において、その不就労を理由に、その後の賃金引上げやその他の点において、他の労働者と差別をし、不利益な取扱いをしてはならない義務を負うことは当然である。そして、前記休業補償のスライド制を認めた労基法七六条二項の趣旨に照らして考えれば、労働災害後の経済事情の変動等のため、同一事業場における同種の労働者の賃金が上昇した場合には、使用者は、労働災害により休業していた労働者がその後就労するに至つた際の賃金も、当然に右上 して考えれば、労働災害後の経済事情の変動等のため、同一事業場における同種の労働者の賃金が上昇した場合には、使用者は、労働災害により休業していた労働者がその後就労するに至つた際の賃金も、当然に右上昇割合に応じて上昇させるべき法律上ないし条理上の義務があるものとすべきであつて、右労働災害による休業や通院による不就労を理由として、賃金引上げを拒否することは、右労基法の各規定の趣旨に照らして許されないものというべきである。 (六) ストライキ・団体交渉及びその他組合活動労働者が使用者に対する要求を貫徹するため、ストライキや団体交渉を行うことは、憲法二八条で保障された権利であつて、労働者がストライキや団体交渉を行つたことを理由として、その労働者に対し不利益な取扱いをすることの許されないことは勿論である(労組法七条)。しかして、労働者がストライキや団体交渉を行なつたために就労をしなかつた場合において、右不就労に対応する賃金を支払わないことは、有償双務契約である雇傭契約の性質上何ら不利益な取扱いではないが、ストライキや団体交渉中の不就労を理由として、その将来における賃金引上げを拒否し、或いは、他の労働者との間に差別を設けて不利益な取扱いをすることは、結局、ストライキや団体交渉を理由にした不利益な取扱いであつて許されないものというべきである。けだし、ストライキや団体交渉と不就労とは表裏一体の関係にあり、ストライキや団体交渉には必然的に不就労を伴うので、ストライキや団体交渉中の不就労を理由とした不利益な取扱いはとりもなおさずストライキや団体交渉そのものを理由とした不利益な取扱いに外ならないからである。 なお、ストライキや団体交渉以外の日常の組合活動については、使用者の承認を得た場合、労働者が雇傭契約の義務の履行としてなすべき身体的精神的活動と何ら 由とした不利益な取扱いに外ならないからである。 なお、ストライキや団体交渉以外の日常の組合活動については、使用者の承認を得た場合、労働者が雇傭契約の義務の履行としてなすべき身体的精神的活動と何ら矛盾なく両立し、義務に支障を及ぼすおそれのない場合、その他緊急の必要性がある場合は格別、それ以外の場合の日常の組合活動は、勤務時間外になさるべきであるから、右例外的な場合を除く勤務時間中の日常の組合活動による不就労を他の一般の欠勤による不就労と同様に取扱い、本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは何ら違法ではないというべきである。 3 以上の通り、年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇及び育児時間を取得することは、労基法三九条、六七条、六五条、六六条により労働者に認められた権利であるから、使用者は、労働者が右権利を行使して年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇及び育児時間を取得して就労をしなかつたことを理由に不利益な取扱いをしてはならないし、さらに使用者は、労働災害による休業及び通院による不就労についても、労基法七五条、七六条、七七条、一九条、三九条(五項)等の規定の趣旨に照らし、右不就労を理由に不利益な取扱いをしてはならず、さらに、ストライキや団体交渉による不就労についても、憲法二八条、労組法七条の規定により右不就労を理由に不利益な取扱いをしてはならないというべく、このことは、右不利益を受けるにつき労働者の包括的な承諾があつた場合も同様に解すべきである。けだし、右労基法等で保障された権利行使を理由に不利益な取扱いを承諾することは、強行法規である右労基法等が右権利を保証した趣旨に反することになるし、また、現実にも労働者にその権利行使を抑制させる結果を招くことになるからである。 ところで、本件八〇パーセント条項は、前記の通り年次有給休 ある右労基法等が右権利を保証した趣旨に反することになるし、また、現実にも労働者にその権利行使を抑制させる結果を招くことになるからである。 ところで、本件八〇パーセント条項は、前記の通り年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇、育児時間、労働災害による休業及び通院時間、ストライキ、団体交渉等による不就労を、稼働率を算出するための不就労時間に算入し、その不就労時間と他の不就労時間とを合わせた合計が、全労働時間の二〇パーセントを超えるときには、賃金引上げの対象から除外する旨定めたものであるから、本件八〇パーセント条項は、結局、前記労基法その他の法律上認められた年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇、育児時間等をとり、労働災害による休業及び通院をし、ストライキ、団体交渉等をしたことを理由にした不利益な取扱いを定めたものというべきであるし、また、右条項は、労働者をして、爾後右各権利行使による休暇を取得し、休業及び通院をし、ストライキ、団体交渉等をすることを抑制する機能を有しているものというべきである。 そして、本件八〇パーセント条項の現実の適用の面においても、成立に争いにない甲第四三、四四号証、乙第七、八号証、原告f本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第五0ないし五二号証、同第五五号証、同第五七号証、証人oの証言、原告l、同p、同f各本人尋問の結果、並びに答弁の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。すなわち、(1)昭和五一年度の賃金引上げにおいて本件八〇パーセント条項に該当するとして賃金引上げを拒否された別紙請求債権目録1、2記載の原告ら一七名のうち、原告n、同lを除くその余の原告ら一五名は、被告会社の勤務中労働災害を受け、頸肩腕障害労災認定患者であるところ、いずれもその稼働率を算出するための不就労時間(日)に、労働災害による 告ら一七名のうち、原告n、同lを除くその余の原告ら一五名は、被告会社の勤務中労働災害を受け、頸肩腕障害労災認定患者であるところ、いずれもその稼働率を算出するための不就労時間(日)に、労働災害による休業ないし通院が含まれており、原告p、同n、同d、同eの不就労時間には、産前産後の休暇が含まれていること(原告p、同d、同eは、労働災害による不就労と産前産後の休暇の両方が含まれている)、従つて、昭和五一年度において、本件八〇パーセント条項に該当するとして賃金引上げを拒否された原告らの大部分は、年次有給休暇や生理休暇の外に、労働災害による休業や通院、産前産後の休暇をとつたものであること、(2)なお、原告fは、昭和五一年度ないし同五三年度の三年間、続けて右労働災害による通院による不就労があつたため本件八〇パーセント条項に該当するとしてその賃金引上げを拒否されたこと、(3)本件八〇パーセント条項が設けられてからは、その賃金引上げの拒否されることを回避するため、年次有給休暇や生理休暇をとるものが従前にくらべて減少し、また、日シ労組では、ストライキを行うに当つても、年次有給休暇の残存日数を考慮しなければならない状況となり、これらの権利行使が抑制されるようになつたこと、以上のような事実が認められ、右認定に反する証拠はない。 そうだとすれば、本件八〇パーセント条項は、その現実の運用面においても、労働者が前記労基法その他の法律で認められている権利行使をしたため賃金引上げにおいて不利益な取扱いを受け、或いは、その権利行使を抑制する結果を招いているものというべきである。 従つて、本件八〇パーセント条項は、強行法規である前記労基法三九条、六七条、六五条、六六条、七五条、七六条、七七条、一九条、憲法二八条、労組法七条等の各規定ないしはその規定の趣旨に違反し、ひい 。 従つて、本件八〇パーセント条項は、強行法規である前記労基法三九条、六七条、六五条、六六条、七五条、七六条、七七条、一九条、憲法二八条、労組法七条等の各規定ないしはその規定の趣旨に違反し、ひいては民法九〇条の公序良俗に反するものというべきであるから、当然無効というべきである。 4 もつとも、(一) 被告は、労基法三九条は、労働者の年次有給休暇権の行使を妨げる措置をとつてはならない旨の不作為義務を使用者に課したものではないとし、賞与の算定や昇給の資料に年次有給休暇の消化日数を用いても違法ではないから、本件八〇パーセント条項は、労基法三九条、民法九〇条の公序良俗に違反しないと主張している。しかしながら、前述の如く、年次有給休暇の取得権は、労基法によつて認められた権利であるから、使用者は、同法三九条三項による時季変更権を行使する場合は格別、それ以外の如何なる場合にも、その行使を妨げてはならず、また、右年次有給休暇を取得したことを理由に、賃金引上げ等において差別することは、右権利の行使を妨げる結果になるから、許されないものというべきである。よつて、右被告の主張は失当である。 (二) 次に、被告は、労基法は、生理休暇の有給を保障しておらず、また、その無給を禁止しているわけではないから、生理休暇取得者に対して手当を支給せず、又は、これを減額する結果となり、生理休暇の取得を抑制する事態が生じても違法ではないとし、生理休暇を八〇パーセント条項の不就労日に算入することは違法でないと主張している。しかしながら前述の通り、生理休暇は、労基法六七条が女子労働者に認めた権利であるから、使用者がその権利の行使を抑制することは許されないと解すべきところ、生理休暇をとつたことを理由に賃金引上げについて差別を設けて不利益に取扱うことは、生理休暇を取得することを抑制 認めた権利であるから、使用者がその権利の行使を抑制することは許されないと解すべきところ、生理休暇をとつたことを理由に賃金引上げについて差別を設けて不利益に取扱うことは、生理休暇を取得することを抑制する結果をもたらすことになるから許されないものと解すべきであり、このことは、労基法が生理休暇を有給としなかつたからといつて左右されるものではないと解すべきである。よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (三) 次に、被告は、女子労働者が産前産後の休暇及び育児時間をとつたことを理由に不利益な取扱いをすることを禁止した法律はないのみならず、被告会社では、産前産後の休暇及び育児時間の取得による不就労についても賃金を支払つているから、これを本件八〇パーセント条項の不就労日に算入しても違法ではないと主張している。しかしながら、前述の通り、労基法六五条、六六条が女子労働者に産前産後の休暇及び育児時間を保障した趣旨からすれば、産前産後の休暇及び育児時間をとつたことを理由に賃金引上げ等において不利益な取扱いをすることを禁止したものと解すべきである。けだし、このように解さなければ、使用者はもともと労基法六五条、六六条の規定をまつまでもなく、憲法一八条により、その意に反して産前産後及び育児時間に女子労働者を強制的に就労させることはできないのであつて、労基法六五条、六六条で産前産後の休暇及び育児時間をとる権利を保障した趣旨が失なわれるからである。 なお、産前産後の休暇及び育児時間を有給にすることと、産前産後の休暇及び育児時間をとつたことを理由に将来の賃金引上げにおいて差別することとは全く別の事柄であつて、産前産後の休暇及び育児時間を有給にしたからといつて、そのことから、将来の賃金引上げにおいて差別をすることが合法となるものではない。けだし、産前産後の休暇 いて差別することとは全く別の事柄であつて、産前産後の休暇及び育児時間を有給にしたからといつて、そのことから、将来の賃金引上げにおいて差別をすることが合法となるものではない。けだし、産前産後の休暇及び育児時間を有給にすることは、使用者が恩恵的にしたに過ぎないのみならず、労働と賃金は対価関係に立つものであるから、産前産後の休暇及び育児時間を無給とすることも、双務有償の雇傭契約の性質から当然に許されるべきことであるのに対し、産前産後の休暇及び育児時間をとつたことによる賃金引上げの差別は、当該労働者が退職するまで影響するのみならず、右による不就労と賃金引上げの拒否とは対価関係に立たないからである。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (四) 次に、被告は、労基法七五条は、使用者に療養補償義務を課した規定に過ぎず、労働災害による休養及び通院についても、労基法三九条五項により年次有給休暇の取得にあたつて特別の算定方法を定め、不利益な取扱いを回避させようとしているに過ぎないとし、また、被告会社では労働災害による休業及び通院については全額賃金の支払をしているから、労働災害による休業及び通院を本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは何ら違法ではないと主張している。しかしながら、前述の通り、労働災害による休業及び通院については、労基法七五条、七六条、七七条、三六条、三九条の規定の趣旨から、右による不就労を理由に賃金引上げ等において差別することは許されないものと解すべきであるし、また、被告が右労働災害による休業及び通院については賃金を全額支払つているからといつて、そのことを理由に、将来の賃金引上げについて差別をしこれを拒否することは、労働者が労働中の災害によつて休業及び通院を余儀なくされているという労働災害の特質に照らして許されない つているからといつて、そのことを理由に、将来の賃金引上げについて差別をしこれを拒否することは、労働者が労働中の災害によつて休業及び通院を余儀なくされているという労働災害の特質に照らして許されないばかりでなく、労基法七六条の規定の趣旨に照らしても許されないものというべきである。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (五) 次に、被告は、ストライキについては、賃金請求権は発生せず、賞与の支給に当り、労務の不提供の範囲で減額することは適法であるから、右ストライキによる不就労を本件八〇パーセント条項の不就労時間に算入することは適法であると主張している。成程、ストライキによる不就労については賃金請求権が発生しないけれども、このことと、ストライキによる不就労を理由に賃金引上げについて差別しこれを拒否することとは別個の事柄であつて、前述の通り、ストライキによる不就労を理由に賃金引上げについて差別することは、ストライキという争議行為を理由とした不利益な取扱いというべきであるから、許されないものというべきである。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (六) なお、被告は、一〇年勤続の女子従業員が年次有給休暇二一日を全部とり、生理休暇を毎月二日ずつ年間二四日とつたとしても、その稼働率は、八三・三パーセントとなつて、本件八〇パーセント条項に該当しないし、現実に右八〇パーセント条項に該当するとして賃金引上げ対象から除外されたものは極めて少ないこと等を一事由に、本件八〇パーセント条項は有効であると主張している。 ところで前掲乙第七、八号証、証人kの証言(第一回)に弁論の全趣旨を総合すると、右稼働率の計算は、各賃金引上げをすべき年の前年度の一月から一二月までの所定労働時間及び不就労時間を基礎にしてなされるものであるところ、それを昭和五 人kの証言(第一回)に弁論の全趣旨を総合すると、右稼働率の計算は、各賃金引上げをすべき年の前年度の一月から一二月までの所定労働時間及び不就労時間を基礎にしてなされるものであるところ、それを昭和五一年度協定についてみれば、昭和五〇年度の所定労働日数は、年間歴日数三六五日から被告の就業規則で規定する年間休日日数約九五日を差引いた約二七〇日であり、その二〇パーセントは約五四日であるから、一年間に右約五四日以上就労しなかつた者が右八〇パーセント条項の適用を受け、賃金引上げの対象から除かれたこと、そして、昭和五二年度ないし五四年度においても、一年間に右とほぼ同一日数就労しなかつた者が右八〇パーセント条項の適用を受けたこと、以上の事実が認められ、これに反する証拠はない。従つて、女子労働者が労基法三九条に定める年次有給休暇の最大限である二一日をとり、生理休暇を毎月二日ずつ年間二四日とつたとしても、未だ本件八〇パーセント条項によつて賃金引上げの対象から除外される者に該当しないことは明らかである。 しかしながら、本件八〇パーセント条項の不就労時間には、前述の通り、年次有給休暇や生理休暇による不就労の外、産前産後の休暇及び育児時間、労働災害による休業及び通院時間、ストライキや団体交渉等による不就労も含まれ、これらの不就労や年次有給休暇、生理休暇による不就労が合計二〇パーセント以上になつたときは、賃金引上げの対象から除外されることになる。例えば、労基法三九条五項では、労働災害で休業した期間や、同法六五条で認められている産前産後の休暇期間は、年次有給休暇に関する同条一項の適用関係では出勤したものとみなされるのに、本件八〇パーセント条項では、これらはすべて不就労(欠勤)として扱われるから、労働災害による休業及び通院や産前産後の休暇として年間に五十数日を取れ 条一項の適用関係では出勤したものとみなされるのに、本件八〇パーセント条項では、これらはすべて不就労(欠勤)として扱われるから、労働災害による休業及び通院や産前産後の休暇として年間に五十数日を取れば、もはや年次有給休暇をとることもできず、年次有給休暇をとれば、本件八〇パーセント条項では不就労(欠勤)として扱われ、同条項に該当するとして賃金引上げの対象から除外されることになるが、このような取扱いは前記労基法に違反するものといわなければならない。従つて、本件八〇パーセント条項は、前述の労基法等の規定ないしはその趣旨に違反し無効というべきである。 なお、被告主張の如く、被告会社において、現実に本件八〇パーセント条項に該当するとして、賃金引上げの対象から除外されるものが極めて少ないからといつて、右条項が無効となるものでないことは勿論である。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (七) また、被告は、本件八〇パーセント条項は、原告らの所属する日シ労組自身が被告との団体交渉の結果、これを承諾し、労働協約の重要な一事項として確約したものであり、しかも他の組合である全日シ労組も被告と同じ内容の協定を結び、その結果右協定は被告会社において定着していると主張し、また、本件八〇パーセント条項は、被告の業績が悪化したところから、従業員の稼働率を上げ、被告の業績を向上させる目的でなされたものであるとして、本件八〇パーセント条項は、有効であると主張している。 しかしながら、前述の通り、年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇及び育児時間を取得することや、労働災害による休業及び通院をし、ストライキ、団体交渉等をすることは、強行法規である労基法その他の法律によつて保障された権利であるから、労働者において現実にこれを行使するか否かの自由はあるにしても、労働 害による休業及び通院をし、ストライキ、団体交渉等をすることは、強行法規である労基法その他の法律によつて保障された権利であるから、労働者において現実にこれを行使するか否かの自由はあるにしても、労働者が使用者との契約により、予めこれを行使しないことを約したり、或いは、右各権利を行使したことを理由に、賃金引上げその他において差別され不利益な取扱いを受けることを承認することは、前述の強行法規である労基法その他の法律等に違反するものであつて、右契約は無効というべきである。ましてや、右各権利を有する個々の労働者ではなく、その労働者の所属する労働組合が、使用者との団体交渉において、個々の労働者の意思とは関係なく、各労働者が、その固有する右各権利を行使したことを理由に、その後の賃金引上げ等において不利益な取扱いを受けることを認める趣旨の協定を締結することは許されず、右協定を締結しても、それは、前記労基法等の各規定に違反して無効というべきであり、このことは、被告主張の如く右協定が被告会社において定着しているとしても変りはないというべきである。 また、被告の経営が、被告主張の如く悪化していたとしても、その業積を上げるため、労基法等に違反する本件八〇パーセント条項を設けて従業員の稼働率を上げることは許されず、右稼働率を上げるためには、労基法による休暇以外のいわゆる欠勤を少なくするとか、労働災害が起きないように職場を改善するとか、要するに労基法等に牴触しない他の方法をもつて行うべきであるから、被告主張の目的の正当性から、本件八〇パーセント条項を有効なものと認めることはできない。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (八) さらに、被告は、原告らの不当労働行為の主張との関連において、本件八〇パーセント条項については、昭和五一年度にこれが設けられて とはできない。 よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 (八) さらに、被告は、原告らの不当労働行為の主張との関連において、本件八〇パーセント条項については、昭和五一年度にこれが設けられて以後、原告らの所属する日シ労組は、これが適用されることについて異議を述べないとの協定も再三締結しているから、その不当性は治癒されているし、禁反言の法理からも、その無効を主張することは許されないとの趣旨の主張もしているが、前記労基法等の強行法規や民法九〇条の公序良俗に違反して無効な本件八〇パーセント条項が、その後の日シ労組のいわゆる追認によつて有効となるものではなく、また、日シ労組が右条項の有効性を追認したとしても、右日シ労組と法的人格を異にする原告らが、本訴において、もともと無効な右条項の無効を改めて主張することは何ら禁反言に反するものではないというべきである。よつて、右の点に関する被告の主張も失当である。 四本件各協定中賃金引上げ部分等の効力 1 次に、被告は、本件八〇パーセント条項が無効であるとすれば、賃金引上げを認めた本件各協定全部が無効であると主張している。すなわち、本件八〇パーセント条項は、賃金引上げ額と一緒にされ、共に協約の規範的部分を構成しているから、本件八〇パーセント条項が違憲・違法・無効である場合には、右条項は、賃金引上げについて不法な条項をつけたこととなり、この条項をつけた賃金引上げに関する本件各協定は、民法一三二条によりその全部が無効であるし、また、被告は、右八〇パーセント条項の有効なことを本件各協定の要素として本件各協定を締結したから、本件八〇パーセント条項が無効であるならば、本件各協定は、その要素に錯誤があつて無効であると主張している。そして、成立に争いのない甲第九号証、乙第一号証、同第五号証の三、同第六号証の二、 したから、本件八〇パーセント条項が無効であるならば、本件各協定は、その要素に錯誤があつて無効であると主張している。そして、成立に争いのない甲第九号証、乙第一号証、同第五号証の三、同第六号証の二、同第一二、一三号証、証人o、同k(第一回)の各証言及び弁論の全趣旨によれば、被告は、日シ労組との団体交渉において、日シ労組が被告の提案する本件八〇パーセント条項を受諾したので、賃金引上げを含む本件各協定を締結したものであつて、日シ労組が本件八〇パーセント条項を受諾しなければ、本件各協定を締結しなかつたことが一応認められる。 2 しかしながら、右事実のみから、本件八〇パーセント条項が有効なることをいわゆる停止条件として本件各協定が締結されたものとは認め難く、他に右事実を認め得る証拠はない。却つて、前掲甲第九号証、乙第一号証、同第五号証の三、同第六号証の二、同第一二、一三号証、及び弁論の全趣旨によれば、本件八〇パーセント条項は、本件各協定中の賃金引上げ率、その配分方法、諸手当、実施時期、その他の協定条項のうちの一つとして定められているに過ぎず、しかも、本件各協定による賃金引上げの非対象者として、雇員、アルバイト、新入社員等と同列に取扱われているに過ぎないこと、そして本件各協定中には、本件八〇パーセント条項が有効なることを条件として本件各協定を締結する趣旨や、右条項が無効であれば本件各協定はその効力を生じない趣旨を現わした部分は何らないこと、以上の事実が認められる。してみれば、本件各協定は、本件八〇パーセント条項が有効なることを停止条件としたものとは認め難く、却つて、被告は、日シ労組が本件八〇パーセント条項を受諾したので本件各協定を締結するに至つたものであつて、その関係は、一般の契約において契約条件につき双方が合意に達したために契約が締結された関係 、却つて、被告は、日シ労組が本件八〇パーセント条項を受諾したので本件各協定を締結するに至つたものであつて、その関係は、一般の契約において契約条件につき双方が合意に達したために契約が締結された関係と何ら変らないというべきである(この場合、通常は契約条項の一つの有効であることが契約全部の効力発生の条件となつているものではない)。したがつて、本件各協定が停止条件付であつたとし、これを前提として本件各協定全部が無効であるとの被告の主張は失当である。 3 次に、成立に争いのない甲第三五号証、同第四二号証、証人o、同k(第一回)の各証言、原告l本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。すなわち、日シ労組は、昭和五一年四月に被告が本件八〇パーセント条項を提案して以来その違法不当を主張して撤回を求めたが、被告は、これを拒否し、本件八〇パーセント条項を受け入れなければ、賃金引上げに応じない旨の態度を固持していたために、日シ労組は、やむなく一応これを受諾したこと、しかし、日シ労組は、当初から本件八〇パーセント条項は違法・不当なものと考えていたので、昭和五一年度及び同五二年度における本件各協定を締結した後、本件八〇パーセント条項は違法・不当であるから、後日これを取上げて争う旨の意思を表明し、その旨被告に通告していること、そして、別紙請求債権目録1、2記載の原告らは、昭和五二年三月八日、昭和五一年度の本件協定中八〇パーセント条項は違法無効であるとして、昭和五一年度の賃金引上げ相当の賃金の支払を求める本訴(昭和五二年(ワ)第一一六八号)を提起したところ(右訴提起の日は本件記録上明らかである)、昭和五二年度ないし同五四年度の本件各協定はいずれも右訴訟中に締結されたものであること、以上の事実が認められる。しかして、以上の事実に弁論の全 起したところ(右訴提起の日は本件記録上明らかである)、昭和五二年度ないし同五四年度の本件各協定はいずれも右訴訟中に締結されたものであること、以上の事実が認められる。しかして、以上の事実に弁論の全趣旨を総合すれば、被告は、本件八〇パーセント条項を有効なものと考えて本件各協定を締結したけれども、日シ労組は、必ずしもこれを有効なものと考えて本件各協定を締結したものではないと認めるのが相当である。してみれば、本件各協定は、その当事者双方が一致して本件八〇パーセント条項を有効なものとし、このことを本件各協定の内容・要素として締結したものではないというべきであつて、本件八〇パーセント条項が有効なことは本件各協定の要素とはなつていなかつたから、本件各協定には被告主張の如き要素の錯誤はないというべきである。 なおまた、本件各協定のうち八〇パーセント条項が労基法等の強行法規や公序良俗に反して無効なことを前提とした錯誤を理由に、本件各協定全部の無効を認めることは、右労基法等の強行法規によつて経済的弱者である労働者を保護しようとした法の趣旨に反して許されないものと解すべきである。けだし、一般に、契約締結に際し、借地借家法やその他経済的弱者の保護のために設けられた強行法規に反する条項を含む契約条項を自ら持出してその条項による契約を締結させておきながら、その後になつて右強行法規に反する条項が無効であることを理由に、契約の要素に錯誤があるとして、契約全部の無効の主張を許すことは、右強行法規によつて経済的弱者を保護しようとした法の趣旨に反して許されず、右の場合は当該強行法規違反の条項(例えば借地借家法に違反する部分)のみが無効になると解すべきところ、本件の場合もこれと同様に解すべきであるからである。 従つて、以上いずれにしても、本件各協定が要素の錯誤により無効で 規違反の条項(例えば借地借家法に違反する部分)のみが無効になると解すべきところ、本件の場合もこれと同様に解すべきであるからである。 従つて、以上いずれにしても、本件各協定が要素の錯誤により無効であるとの被告の主張は失当である。 4 しかして、一般に、契約の一部が強行法規違反等の理由により無効な場合には、右強行法規の規定の趣旨や条理、当事者の意思その他により、これを合理的に解釈して、その契約全部が無効となるか否かを判断すべきところ、本件八〇パーセント条項を無効ならしめる前記労基法等の各規定は、いずれも経済的弱者である労働者保護の規定であつて、これに違反する条項を含む契約がなされた場合には、当該条項のみを無効とするのが右各規定の趣旨に合致する場合が多いといえるし、また、本件八〇パーセント条項が無効なために、本件各協定全部が無効になるとすれば、日シ労組の賃金引上げ要求に基づく交渉が、当事者双方の予期しない事情のため本件各協定の成立後中断され、賃金引上げのなされないままの状態となつて、日シ労組側にとつて極めて不利益となるのに対し、被告は、前記の如く違法な本件八〇パーセント条項を持出したことにより、現在まで賃金引上げ交渉を遷延して賃金引上げを免がれたことになつて不当に利益を得たことになるし、さらに、弁論の全趣旨によれば、被告は、本件原告ら以外の日シ労組の組合員については、本件各協定が有効なものとして、既に本件各協定による賃金引上げを実施し、現実に右賃金引上げ相当の賃金を支払つていることが認められるのであつて、これらの諸点や前記3に認定の諸事情その他本件における諸般の事情を総合して考えると、本件八〇パーセント条項が無効なために、賃金引上げを含むその他の本件各協定の全部が無効であると解するのは著しく不合理であるから、本件八〇パーセント条項は無効で 件における諸般の事情を総合して考えると、本件八〇パーセント条項が無効なために、賃金引上げを含むその他の本件各協定の全部が無効であると解するのは著しく不合理であるから、本件八〇パーセント条項は無効ではあるが、それ以外の本件各協定中後記妥結月払条項を除くその余の条項はすべて有効と解するのが相当である。 五妥結月払条項の効力 1 団体交渉も、一種の取引であるから、団体交渉において労使の双方がその要求や回答の内容に如何なる条項を持出しても、原則として自由であつて、賃金引上げの実施時期を交渉妥結の日からとする旨の条項も、賃金引上げの実施時期が最終的には労使の合意によつて決定されるべきものであるところからすれば、これを取上げて直ちに違法とすることはできない。しかしながら、右要求や回答の一部に強行法規違反のものがあり、相手方がその受諾をしなければ賃金引上げ交渉は妥結させないとの態度を堅持しながら、賃金引上げの実施時期を妥結の月からすることは、右強行法規秩序を乱すことにもなりかねないし、また、当事者双方の公平ないし信義則にも反することになるから、違法たるを免がれないと解すべきである。 2 これを本件についてみるに、前掲甲第九号証、乙第一号証、同第五号証の三、同第六号証の二、同第一二、一三号証、成立に争いのない甲第七、八号証、同第一二ないし第一六号証、同第三五号証、同第三七号証、同第四二号証、乙第五の一、二、同第六号証の一、証人oの証言により真正に成立したと認められる甲第六号証、証人o、同k(第一回)の各証言、原告l本院尋問の結果、並びに、弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。すなわち、原告らの所属する日シ労組は、昭和五一年度の賃金引上げについて、同年三月二二日、被告に対し、基本給の二四パーセントと一律一万円の賃金引上げ等を内容とした賃金引上 ると、次の事実が認められる。すなわち、原告らの所属する日シ労組は、昭和五一年度の賃金引上げについて、同年三月二二日、被告に対し、基本給の二四パーセントと一律一万円の賃金引上げ等を内容とした賃金引上げ要求をしたところ、被告は、同年四月一五日、賃金引上げ額については昭和五〇年度の基本給の八パーセントとする旨の回答をした外、右賃金引上げの対象者を稼働率の八〇パーセント以上の者とする旨の本件八〇パーセント条項及び賃金引上げの時期を交渉妥結の月からとする旨の妥結月払条項を持出し、その受諾を求めたこと、これに対し、日シ労組は、右被告の提案、殊に八〇パーセント条項は受け入れられないとして、被告と団体交渉を重ねていたこと、その後被告は、同年五月一八日、日シ労組に対し、本件八〇パーセント条項を含む会社回答案による妥結調印を求め、そのための団体交渉を日シ労組に申入れ、その後は、被告において右回答の内容を変える意思はないとし、被告の回答案で妥結するのでなければ賃金引上げの団体交渉に応じないとの態度を固執し、右賃金引上げの団体交渉に応じようとしなかつたこと、これに対し、日シ労組は、被告に右八〇パーセント条項の撤回を求め続けたが、被告の態度が固い上、賃金引上げの実施時期が遅れて組合員の経済生活が窮してきたことや、日シ労組の組合員以外の従業員については既に賃金引上げが実施され、昭和五一年度の夏季一時金も支給されていること、さらには、本件妥結月払条項の関係から妥結が遅れれば遅れる程賃金引上げの実施時期が遅れることなどから、昭和五一年八月六日、被告と団体交渉を持ち、昭和五一年度の賃金引上げに関する会社の回答案を受け入れ、昭和五一年度の本件協定を締結したこと、日シ労組は、昭和五二年度の賃金引上げについても、同年三月八日、被告に対しその要求を提出したところ、被告は、同 年度の賃金引上げに関する会社の回答案を受け入れ、昭和五一年度の本件協定を締結したこと、日シ労組は、昭和五二年度の賃金引上げについても、同年三月八日、被告に対しその要求を提出したところ、被告は、同年四月二〇日に有額回答をしたが、被告の右回答中には昭和五一年度の場合と同様に八〇パーセント条項及び妥結月払条項があり、日シ労組が強くその撤回を求めたのに対し、被告は日シ労組が右各条項を受諾しなければ賃金引上げ交渉を妥結させない旨の態度を堅持したため、その妥結が遅れ、同年六月三〇日に至つて漸く右賃金引上げ交渉は妥結し、昭和五二年度の本件協定が締結されたこと、以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。 してみれば、日シ労組の被告に対する昭和五一年度及び五二年度の賃金引上げ交渉の妥結が遅れたのは、主として被告が本件八〇パーセント条項を提案し、日シ労組においてこれを受諾しなければ交渉を妥結させないとの強い態度を固執し、日シ労組も右条項の受諾を拒否していたことによるものというべきである。 3 そしてまた、前掲乙第一号証、同第五号証の三、同第六号証の二、同第一二、一三号証、成立に争いのない甲第二一号証、同第三四号証、乙第一〇号証、証人oの証言により真正に成立したと認められる甲第二二号証、証人oの証言及び弁論の全趣旨を総合すると、本件各協定による賃金引上げのなかには、定期昇給とベースアップ分が含まれているところ、被告の賃金規則(乙第一〇号証)では、定期昇給は毎年四月に実施する旨定められており(第四九条)、これが個々の労働者との労働契約の内容となつていること、そして、被告会社では、昭和五〇年度までは、定期昇給もベースアップ分も一緒にして毎年四月一日から実施されていたところ、昭和五一年度に突然妥結月払条項が持ち出されたこと、以上の事実が認められ、右認定に して、被告会社では、昭和五〇年度までは、定期昇給もベースアップ分も一緒にして毎年四月一日から実施されていたところ、昭和五一年度に突然妥結月払条項が持ち出されたこと、以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。しかして、このように、被告が、従前の取扱慣行を変更し、昭和五一年度から賃金引上げの時期を四月一日とせず、賃金引上げ交渉の妥結したときからとしなければならない合理性のあつたことについては的確な証拠はない。却つて、前記の如く、被告が昭和五一年度の賃金引上げ交渉の時から始めて本件八〇パーセント条項を持出し、これと同時に賃金引上げの実施時期を交渉の妥結した月からする妥結月払条項を持出したところからすると、妥結が遅れたことによる不利益を組合側に帰属させることにより、組合側に右八〇パーセント条項を早期に受諾させるための右交渉の一手段として妥結月払条項を持ち出したものと推認せざるを得ないのである。 4 しかして、本件八〇パーセント条項は、前述の通り、強行法規に違反して無効であるところ、被告において、かかる強行法規違反の条項を持出し、これを受諾しなければ賃金引上げ交渉を妥結させないとの態度を堅持し、それと同時に賃金引上げの実施時期を交渉の妥結した月からとすることは、組合に強行法規違反の無効な条項の受諾を強要しつつ、組合がこれを受諾するまで賃金引上げの時期を遅らせるものであつて強行法規秩序や信義則に反するものというべきであるから、昭和五一年度及び同五二年度の本件各協定中の右妥結月払条項は、この点で無効というべきである。また、前述の如く、日シ労組が本件八〇パーセント条項及び妥結月払条項を受諾するに至るまでの被告の団体交渉態度は、使用者としての誠実な団体交渉を怠り、ひいては日シ労組の組合運営に対する支配介入ともなるのであつて、不当労働行為を構成す 〇パーセント条項及び妥結月払条項を受諾するに至るまでの被告の団体交渉態度は、使用者としての誠実な団体交渉を怠り、ひいては日シ労組の組合運営に対する支配介入ともなるのであつて、不当労働行為を構成するものと認めるのが相当であるから、昭和五一年度及び同五二年度の本件各協定中の妥結月払条項は、この点でも無効というべきである。 なお、前記四に述べたところと同一の理由により、右妥結月払条項が無効であつても、右妥結月払条項及び八〇パーセント条項を除くその余の本件各協定の条項が有効であることは勿論である。 六原告らに対する未払賃金等 1 以上の通り、昭和五一年度ないし昭和五四年度の賃上げに関する本件各協定のうち八〇パーセント条項及び昭和五一年度、五二年度の各協定のうち妥結月払条項はいずれも無効であるが、その余の条項はいずれも有効というべきであり、また、前述の通り、被告の賃金規則では、定期昇給は毎年四月に実施することとなつており、被告会社では、従前は、毎年四月一日から賃金引上げが実施されていたのであるし、さらに前掲甲第六号証、乙第五号証の一、二、同第六号証の一によれば、日シ労組は、昭和五一年度以降の賃金引上げについても、毎年四月一日からの実施を要求していたことが認められる。してみれば、他に特段の合意等の認められない本件では、別紙請求債権目録1、2記載の各原告らは昭和五一年四月一日から昭和五〇年度の基本給に対し平均八・八パーセント、定率配分四・四パーセント、同目録3記載の各原告らは昭和五二年四月一日から昭和五一年度の基本給に対し平均一〇パーセント、定率配分六・九パーセント、同目録4記載の各原告らは、昭和五三年四月一日から昭和五二年度の基本給に対し平均八パーセント、定率配分五・四パーセント、同五四年四月一日から昭和五三年度の基本給に対し平均八・六パーセン 九パーセント、同目録4記載の各原告らは、昭和五三年四月一日から昭和五二年度の基本給に対し平均八パーセント、定率配分五・四パーセント、同五四年四月一日から昭和五三年度の基本給に対し平均八・六パーセント、定率配分五・四パーセントの割合で、それぞれ賃金引上げがされたものというべく、また、原告f本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第五九号証及び弁論の全趣旨によれば、原告らはいずれも昭和五五年四月一日から定率配分六・五パーセントの割合で賃金引上げがされたことが認められ、また、弁論の全趣旨によれば、被告会社における賃金の支払期日は、毎月二五日であることが認められる。 そして、前掲甲第五九号証によれば、原告らの昭和五一年度の夏季一時金は二・四ケ月プラスアルファ、冬季一時金は三・四ケ月プラスアルファ、昭和五二年度の夏季一時金は二・二ケ月プラスアルファ、冬季一時金は三・二ケ月プラスアルファ、昭和五三年度夏季一時金は二・二ケ月プラスアルファ、冬季一時金三・五ケ月プラスアルファ、昭和五四年度の夏季一時金は二・二ケ月プラスアルファ、冬季一時金は三・六ケ月プラスアルファ、昭和五五年度の夏季一時金は二・三ケ月プラスアルファであり、その現実の支給額は、基本給に、別紙一時金支払月数一覧表の数字を乗じたものであること、そして、弁論の全趣旨によれば、右一時金はいずれもその妥結の都度支払われたことが認められる。 2 次に、原告mが昭和五四年五月三一日に被告を退職したことは当事者間に争いがなく、また、前掲甲第五九号証によれば、原告aが昭和五三年七月三日に、同bが昭和五四年二月二八日に、同cが昭和五五年一月三一日に、同dが昭和五三年八月二一日、に同eが昭和五三年一月二五日に、それぞれ被告を退職したことが認められる。 3 しかして、前記1の通り賃金引上げがされた場 四年二月二八日に、同cが昭和五五年一月三一日に、同dが昭和五三年八月二一日、に同eが昭和五三年一月二五日に、それぞれ被告を退職したことが認められる。 3 しかして、前記1の通り賃金引上げがされた場合における別紙請求債権目録1、2記載の各原告らの昭和五一年四月一日からの賃金引上げ額が同目録1、2の各(1)欄記載の金額であり、別紙債権目録3記載の各原告らの昭和五二年四月一日からの賃金引上げ額が同目録(1)欄記載の金額であり、別紙請求債権目録4記載の各原告らの昭和五三年四月一日からの賃金引上げ額が同目録4の(1)欄記載の金額であり、昭和五四年四月一日からの賃金引上げ額が同目録4の(3)欄記載の金額であること、以上の事実についてはいずれも当事者間に争いがなく、また、前掲甲第五九号証によれば、前記退職した原告らの退職一時金率は、原告aについては基本給の五・一〇ケ月分、同bについては同じく四・六〇ケ月分、同cについては同じく九・四〇ケ月分、同dについては同じく七・七〇ケ月分、同eについては同じく五・一〇ケ月分、同mについては同じく七・九〇ケ月分であることがそれぞれ認められる。 4 従つて、(イ)、別紙請求債権目録1記載の各原告らのうち原告qを除くその余の各原告らの昭和五一年四月一日から同五五年一〇月三一日までの賃金引上げに相当する賃金及び一時金の合計額は、右各原告らに対応する右目録1の(2)(3)(4)(15)の各欄に記載の金額の合計額((21)欄の認容額)ないしはこれを超える額に、昭和五五年一一月一日以降の一ケ月の賃金差額月額は同じく右目録1の(5)欄((24)欄)に記載の金額ないしはこれを超える額に、原告qの昭和五一年四月一日から同五五年一〇月三一日までの賃金引上げに相当する賃金及び一時金の合計額は、原告qに対応する右目録1の(2)(3)(4 ((24)欄)に記載の金額ないしはこれを超える額に、原告qの昭和五一年四月一日から同五五年一〇月三一日までの賃金引上げに相当する賃金及び一時金の合計額は、原告qに対応する右目録1の(2)(3)(4)欄に記載の金額と金二五万〇四一三円(右目録1の(15)欄の括弧内の金額)の合計額((21)欄の認容額)である金七九万九四三三円に、昭和五五年一一月一日以降の一ケ月の賃金差額月額は右原告qに対応する右目録1の(5)((24)欄)に記載の金額に、(ロ)、別紙請求債権目録2記載の各原告らの昭和五一年四月一日から各自退職するまでの右賃金引上げに相当する賃金、一時金及び退職金の合計は、右各原告らに対応する右目録2の(2)ないし(12)の各欄に記載の金額の合計額((15)の認容額)ないしはそれを超える額に、(ハ)、別紙請求債権目録3記載の各原告らの昭和五二年四月一日から同五五年一〇月三一日までの右賃金引上げに相当する賃金及び一時金の合計額は、右各原告らに対応する右目録3の(2)(3)(4)(13)の各欄に記載の金額の合計額((19)欄の認容額)ないしはこれを超える額に、昭和五五年一一月一日以降の一ケ月の賃金差額月額は、右各原告らに対応する右目録3の(5)欄((22)欄)に記載の金額ないしはこれを超える額に、(ニ)、別紙請求債権目録4記載の各原告らのうち、原告f、同g、同hの昭和五三年四月一日から同五五年一〇月三一日までの右賃金引上げに相当する賃金及び一時金の合計額、並びに、原告mの昭和五三年四月一日から退職するまでの右賃金引上げに相当する賃金、一時金及び退職金の合計額は、それぞれ右各原告らに対応する右目録4の(19)欄に記載の金額に、原告f、同g、同hの昭和五五年一一月からの一ケ月の賃金差額月額は、右各原告らに対応する右目録4の(6)欄((22)欄) の合計額は、それぞれ右各原告らに対応する右目録4の(19)欄に記載の金額に、原告f、同g、同hの昭和五五年一一月からの一ケ月の賃金差額月額は、右各原告らに対応する右目録4の(6)欄((22)欄)に記載の金額にそれぞれなることは、計算上明らかであつて、右に反する原告らの主張は失当である。 5 よつて、被告は、原告らに対し、右賃金引上げに相当する賃金、一時金及び退職金等を支払う義務があり、なお、昭和五五年一一月分以降の賃金差額については、これを毎月二五日に支払う義務がある。 6 次に、原告らは、被告の右賃金、一時金、退職金等を支払わない債務不履行ないし不法行為による精神的苦痛を受けたとして金三〇万円ないし六〇万円の慰謝料の請求をしている。しかしながら、本件は、遅滞にかかる金銭債務の履行を求めるものであるところ、民法四一九条は、金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は法律に別段の定めがある場合を除き、約定または法定の利率により、債権者はその損害の証明をする必要がないとされているが、その反面として、たとえこれ以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできないものと解すべきである(最高裁判所昭和四八年一〇月一一日判決・判例時報七二三号四四頁参照)。したがつて、被告の債務不履行を前提とした原告らの慰謝料請求は、この点において失当である。また、被告の不法行為を理由とした慰謝料請求については、前述の如く、原告らが契約上の権利に基づき、賃金、一時金、退職金等の支払請求権を有している以上、原告ら主張の被告の不当労働行為によつて右請求権が侵害されたとはいい難いから、被告の右賃金等の不払がさらに不法行為を構成するものとは解し難い。のみならず仮に不法行為を構成するとしても、被告が右賃金等を支払わないことによる損害は、純然たる財産的損 が侵害されたとはいい難いから、被告の右賃金等の不払がさらに不法行為を構成するものとは解し難い。のみならず仮に不法行為を構成するとしても、被告が右賃金等を支払わないことによる損害は、純然たる財産的損害であるというべきところ、このような財産的損害を受けた場合には、その財産的損害が賠償されれば精神的損害も一応回復されたと解すべきであつて、ただ右財産的損害を回復されてもなお回復され得ない精神的損害を受けた特別の事情がある場合に限つて、精神的損害の賠償を請求し得るものと解すべきである。ところで、本件においては、原告らが財産的損害を回復されてもなお回復され得ない精神的苦痛を被つた特別の事情の存在については何らの主張立証がないのみならず、本件は単なる金銭債務の不履行に起因するものであるから、原告らが右財産的損害の回復によつて回復され得ない精神的苦痛を被つたものとは到底認め難い。 よつて、慰謝料の支払を求める原告らの請求は、その余の点につき判断するまでもなく失当である。 7 次に、原告らの弁護士費用の請求について判断するに、本件において、原告らは第一次的には契約に基づいて賃金、一時金、退職金等の金銭債権の支払を求めているものであるところ、一般に債権者は、民法四一九条の規定の趣旨に照らし、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用の請求をすることはできないと解すべきである(前掲最高裁判所昭和四八年一〇月一一日判決参照)。また、被告の不法行為を理由とした弁護士費用についても、被告の本件賃金、一時金、退職金の不払いが不法行為を構成するものと認め難いことは前述の通りであるし、仮に、不法行為を構成するとしても、不法行為による弁護士費用は、不法行為の被害者が自己の権利保護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合に限 いことは前述の通りであるし、仮に、不法行為を構成するとしても、不法行為による弁護士費用は、不法行為の被害者が自己の権利保護のため訴を提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合に限つてその賠償が請求できると解すべきところ(最高裁判所昭和四四年二月二七日判決・民集二三巻二号五二五頁参照)、本件においては、原告らは前記の如く契約上の権利に基づいて未払の賃金、一時金、退職金の請求をできるのであるから、不法行為による損害賠償の訴の提起を余儀なくされたものとは到底認め難い。 よつて、弁護士費用の支払を求める原告らの請求は、以上いずれの点からするも、その余の点について判断するまでもなく失当である。 七結論よつて、原告らの本訴請求は、被告に対し、雇傭契約上の権利に基づく賃金、一時金、退職金の支払請求として、(イ)、別紙請求債権目録1記載の各原告らにおいて、右各原告らに対応する右目録1の(21)の認容額欄記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録1の(22)欄に記載の各金員に対する昭和五二年(ワ)第一一六八号事件の訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五二年三月一七日から、同(23)欄に記載の各金員に対するその支払期日後の昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り右各原告らに対応する右目録1の(24)欄に記載の各金員、(ロ)、別紙請求債権目録2記載の各原告らにおいて、右各原告らに対応する右目録2の(15)の認容額欄に記載の各金員及びこれに対する右各原告らが退職した日の翌日である原告aについては昭和五三年七月四日から、原告bについては同五四年三月一日から、原告cについては同五五年二月一日から、原告dについては同五三年八月二二日から に対する右各原告らが退職した日の翌日である原告aについては昭和五三年七月四日から、原告bについては同五四年三月一日から、原告cについては同五五年二月一日から、原告dについては同五三年八月二二日から、原告eについては同年一月二六日からそれぞれ右支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、(ハ)、別紙請求債権目録3記載の各原告らにおいて、右各原告らに対応する同目録3の(19)の認容額欄に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録3の(21)欄に記載の各金員に対する昭和五三年(ワ)第七一二二号事件の訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五三年一二月六日から、同(21)欄に記載の各金員に対するその支払期日後の昭和五五年一二月一日から右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、昭和五五年一一月から毎月二五日限り、右各原告らに対応する右目録3の(22)欄に記載の各金員、(ニ)、別紙請求債権目録4記載の各原告らにおいて、右各原告らに対応する右目録4の(19)の認容額に記載の各金員及びそのうち右各原告らに対応する右目録4の(20)欄に記載の各金員に対する昭和五五年(ワ)第二〇五〇号事件の訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五五年四月一一日から、同(21)欄に記載の各金員に対するその支払期日後の昭和五五年一一月一日から右各支払済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金、並びに、右目録4に記載の原告らのうち原告f、同g、同hにおいて昭和五五年一一月から毎月二五日限り右各原告らに対応する右目録4の(22)欄に記載の各金員の支払を求める限度で正当であるからその限度で認容することとし、その余の請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執 録4の(22)欄に記載の各金員の支払を求める限度で正当であるからその限度で認容することとし、その余の請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 別紙請求債権目録1~4〈省略〉

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