令和5(ワ)5968 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年8月8日 名古屋地方裁判所
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判決文本文8,679 文字)

令和6年8月8日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第5968号地位確認等請求事件口頭弁論終結日令和6年7月2日判決 主文 1 原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は、原告に対し、令和5年10月から本判決確定の日まで、毎月24日限り39万3943円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで 年3分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。 5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主文1項同旨 2 被告は、原告に対し、令和5年10月から本判決確定の日まで、毎月24日限り57万8954円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年3 分の割合による金員を支払え。 3 被告は、原告に対し、令和5年10月から本判決確定の日まで、毎年6月30日及び12月10日限り、84万6973円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は、被告の従業員である原告が、令和5年9月21日付けの懲戒解雇 (以下「本件懲戒解雇」という。)が無効であるとして、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約の賃金請求権に基づき、令和5年10月から本判決確定の日までの賃金及び賞与の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により 容易に認められる事実)⑴ 原告は、平成13年4月、当時の郵政省に入省し、郵政 金及び賞与の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により 容易に認められる事実)⑴ 原告は、平成13年4月、当時の郵政省に入省し、郵政民営化を経て、被告に期間の定めなく雇用され、令和2年4月1日にa郵便局第四集配営業部長、令和3年4月1日にb郵便局郵便部課長、令和4年4月1日にc郵便局郵便部課長を命ぜられた。(乙14、弁論の全趣旨) ⑵ 原告の本件懲戒解雇時の1か月分の固定給の種類及び金額は以下のとおり合計39万3943円であり、賃金の締日及び支払日は、末日締め当月24日払いである。(争いがない。)基本給月額35万8700円調整手当月額1万0760円 郵便計画手当月額6800円その他手当2 月額1500円通勤手当月額1万6183円⑶ 原告は、令和5年7月12日、通勤途上の勤務時間外、名古屋市営地下鉄の電車内において、自己の所有する小型カメラを録画状態にしてリュックサ ック内に設置し、口を開いたリュックサックを足元に置いて、被害者のスカート内を撮影しようとした行為(以下「本件行為」という。)をし、同日、愛知県迷惑行為防止条例違反により逮捕され、翌13日、釈放された。(争いがない。)⑷ 原告は、令和5年7月18日、本件行為の始末書を提出し、同月26日、 被害者に被害弁償し、被害者が被害届を取り下げるという内容の示談が成立 した。(乙2、弁論の全趣旨)⑸ 被告は、令和5年9月21日、原告を、本件行為を理由に、就業規則第81条1項1号及び15号により懲戒解雇(本件懲戒解雇)し、退職手当については100分の30を支給することとした。(甲1) ⑸ 被告は、令和5年9月21日、原告を、本件行為を理由に、就業規則第81条1項1号及び15号により懲戒解雇(本件懲戒解雇)し、退職手当については100分の30を支給することとした。(甲1)⑹ 名古屋地方検察庁検察官事務取扱副検事は、令和5年11月16日、本件 行為に係る愛知県迷惑行為防止条例違反被疑事件について不起訴処分をした。 なお、本件行為及び本件行為に関する刑事手続について報道されたことはなかった。(甲3、弁論の全趣旨)⑺ 被告の就業規則(乙3)は、要旨、以下のとおり規定している。 ア会社は、社員が、法令又は会社の規程に違反したとき(1号)、業務の 内外を問わず、会社の信用を傷つけ、又は会社に勤務する者全体の不名誉となるような行為があったとき(15号)等のいずれかに該当するときは、次条1項に定める懲戒を行うことができる(81条1項)。 イ懲戒の種類は、①懲戒解雇、②諭旨解雇、③停職、④減給、⑤戒告、⑥訓戒、⑦注意とする(82条1項)。 ⑻ 被告の懲戒規程(乙4)は、要旨、以下のとおり規定している。 ア懲戒を行う場合には、懲戒標準により量定を決定する(4条1項)。 イ職務外の非違については、刑事事件により有罪とされた者は、「懲戒解雇~減給」とし、刑事事件により有罪とされた者以外の行為により、会社の信用若しくは名誉を棄損し、又は業務に支障をきたした者は、基本 は「減給~注意」とし、重大なものは「懲戒解雇~停職」とする(懲戒標準2)。 2 争点及びこれに関する当事者の主張の要旨⑴ 本件懲戒解雇の有効性(争点1)(被告の主張の要旨) ア本件行為は、電車内において被害者のスカート内を撮影するという愛知 県迷惑行為防止条例に違反する 張の要旨⑴ 本件懲戒解雇の有効性(争点1)(被告の主張の要旨) ア本件行為は、電車内において被害者のスカート内を撮影するという愛知 県迷惑行為防止条例に違反する行為であり、法令に違反し、会社の信用を傷つけ、会社に勤務する者全体の不名誉になるような行為に当たるから、就業規則81条1項1号及び15号に該当する。 イ被告は、懲戒規程を定め、懲戒標準により量定を決定する。そして、被告においては、社員の盗撮行為は、刑事事件により有罪とされた者でな くても、重大な非違行為と捉え、行為者に対して一律懲戒解雇をもって臨んでいる。被告においては、これまでも業務外非行による信用失墜行為の禁止を研修等で繰り返し指導してきたところ、令和2年4月1日、懲戒解雇時における退職手当一部支給制度を創設し、同日以降発生する盗撮、児童買春等の破廉恥事案については原則「懲戒解雇」(退職手当 一部支給)により措置することとし、この旨を社員に周知した。原告は、令和2年4月1日からはa郵便局第四集配営業部長、令和3年4月1日からはb郵便局郵便部課長、令和4年4月1日からはc郵便局郵便部課長として、信用失墜行為をしないように部下を指導する立場にあった。 にもかかわらず、原告は、令和4年夏頃から、通勤の電車内で卑劣な盗 撮行為を繰り返していたのであり、これは断じて許されるものではない。 また、盗撮行為に対しては、令和5年6月16日に成立した性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律によって、全国一律に処罰することができるようになるとともに、法定刑も条例の刑罰より厳罰化された。 本件行為は、原告が施行日の前日に逮捕されたから条例違反になっただ 的記録の消去等に関する法律によって、全国一律に処罰することができるようになるとともに、法定刑も条例の刑罰より厳罰化された。 本件行為は、原告が施行日の前日に逮捕されたから条例違反になっただけであり、被害者を著しく羞恥させ、不安を覚えさせる卑猥行為であって、悪質性がないとか軽微なものと評価されるようなものではない。 ウ原告の平素の勤務成績はAないしEランク中いずれもC評価であって、酌量減免がされるほど良好な成績とはいえないし、罪を一貫して認めて いるだけで改悛の情が顕著と評価できるものではない。また、原告の妻 が自発的に本件行為を報告したものであり、原告自身は、被告への連絡を強く拒んでいたし、令和5年8月26日の示談の報告も同年9月14日になってから報告しており、刑事手続の進展等を逐一かつ速やかに報告したという事実もない。本件懲戒解雇時に新聞報道がされていないことをもって、会社に与える損害や影響が軽微なものとはいえない。 エ被告は、原告から事情聴取を行い、始末書の提出を受けている。被告の懲戒手続(乙10)には、弁明する事情があれば、その内容を具体的に始末書に記述するよう明記されており、事情聴取や始末書を通じて弁明の機会は十分に与えている。 オ以上によれば、本件懲戒解雇は客観的に合理的な理由があり、社会通念 上も相当であると認められる。 (原告の主張の要旨)ア本件行為は、愛知県迷惑行為防止条例において規制されているにすぎないから、就業規則81条1項1号の「法令又は会社の規程に違反した」とはいえない。また、原告は、本件行為当時、制服は着用していないし、報 道もされていないため、本件行為につき、同項15号の「会社の信用を傷つけ、又は会社に勤務する者全体の不名誉となるよ した」とはいえない。また、原告は、本件行為当時、制服は着用していないし、報 道もされていないため、本件行為につき、同項15号の「会社の信用を傷つけ、又は会社に勤務する者全体の不名誉となるような行為があった」ともいえない。したがって、就業規則上、懲戒事由に該当しない。 イその点を措くとしても、被告の懲戒規程上、刑事事件により有罪とされた者以外の行為により、会社の信用若しくは名誉を棄損し、又は業務に支 障をきたした者は、基本は「減給~注意」とし、重大なものは「懲戒解雇~停職」と定められている。本件行為は、愛知県迷惑行為防止条例に該当するに過ぎず、刑事罰の対象となる行為としては軽微なものといえ、被害者とも示談をしている。本件行為は報道されていないから、会社の信用又は名誉に対する毀損は生じていない。また、原告の欠勤は逮捕期間中の令 和5年7月12日及び翌13日の2日間にとどまるから、業務に与えた支 障も大きくない。 これらの事情からすれば、被告の懲戒標準にいう「重大なもの」に該当するとはいえない。 ウ原告は、顧客から感謝の手紙をもらうなど平素の勤務成績が良好である上、本件行為を認めて反省をするなど、改悛の情が顕著である。また、本 件行為により逮捕された日に、原告の妻を通じて被告に本件行為を報告する等、速やかに上司に報告し、非違に対する適切な対応をしている。被告は、原告が逮捕直後に本件行為を被告に報告することを拒んだなどと主張するが、原告は妻とやり取りの上、妻を通じて被告に報告したものである。 さらに、会社等に与える損害や影響が軽微である。 原告には、以上のように、懲戒規程にいう酌量減免事由も複数ある。原告はこれまで懲戒処分を受けたことはなく、本件懲戒解雇は均衡を著しく欠いている 会社等に与える損害や影響が軽微である。 原告には、以上のように、懲戒規程にいう酌量減免事由も複数ある。原告はこれまで懲戒処分を受けたことはなく、本件懲戒解雇は均衡を著しく欠いている。 エ被告は、本件懲戒解雇をするにあたって、原告に弁明の機会の付与をしておらず、本件懲戒解雇の手続には著しい瑕疵がある。 オ以上のとおり、本件行為はそもそも被告の懲戒事由及び懲戒標準に該当しない上、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当ともいえないため、本件懲戒解雇は無効である。 ⑵ 賃金支払請求の可否及び額(争点2)(原告の主張の要旨) ア原告の1か月分の固定給の種類及び金額は前記前提事実記載のとおりであり、月額39万3943円となる。 被告においては、業績に応じて業績手当、時間外業務時間に応じて超過勤務手当等が支払われるべきところ、原告の逮捕前1年間(令和4年7月分から令和5年6月分まで)の実績による1月当たりの平均額は、 業績手当(営業)6180円、業績手当(業務)2万5076円、超過 勤務手当12万9165円、夜勤手当959円、祝日給1233円、早出勤務手当2万1565円、年始勤務手当833円の合計18万5011円であり、本件懲戒解雇がなければ、これらの賃金が支払われる蓋然性は高い。 したがって、1か月当たり57万8954円が支払われるべきである。 イ原告の令和4年6月から令和5年6月までの賞与の平均額は84万6973円である。 したがって、毎年6月及び12月にそれぞれ84万6973円が支払われるべきである。 (被告の主張の要旨) 上記ア、及びイの金額については認め、その余の主張は争う。営業による業績手当等は毎月の原告の実際の 12月にそれぞれ84万6973円が支払われるべきである。 (被告の主張の要旨) 上記ア、及びイの金額については認め、その余の主張は争う。営業による業績手当等は毎月の原告の実際の営業成績や超過勤務時間に対応して賃金計算がされるものである。賞与についても、労働組合と妥結した支給割合によるほか、本人の成績等に基づく人事評価による査定区分によるため、毎期ごとに支給額は異なる。したがって、原告の主張する賃金が本件懲戒解雇 以降に支払われる蓋然性は高くない。 第3 当裁判所の判断 1 本件懲戒解雇の有効性(争点1)について⑴ 前記前提事実⑶のとおり、原告は本件行為に及んだことが認められるところ、職務遂行と直接関係のない従業員の私生活上の非行であっても、会社の 企業秩序に直接の関連を有するもの、又は、企業の社会的評価の毀損につながるおそれがあると客観的に認められるものについては、企業秩序の維持確保のための懲戒の対象となり得るものというべきである。 そこで検討するに、本件行為の内容自体は、原告が電車内で女性の乗客のスカート内を撮影しようとしたものであるところ(前記前提事実⑶)、被告 は、職務外非行による信用失墜行為の根絶に向け、ミーティングにより従業 員に対して周知するなどの取組を行っていたことが認められる(乙6、7、12、13)。そうすると、本件行為について報道がされず、被告の社会的評価を低下させることはなかったとの原告の主張を考慮しても、本件行為は、被告の企業秩序に直接の関連を有するものであり、被告の社会的評価の毀損につながるおそれがあると客観的に認められるから、懲戒の対象となり得る ということができる。そして、原告は、被害者を撮影したことを認めているから、本件行為は、愛知県迷 り、被告の社会的評価の毀損につながるおそれがあると客観的に認められるから、懲戒の対象となり得る ということができる。そして、原告は、被害者を撮影したことを認めているから、本件行為は、愛知県迷惑行為防止条例に違反する行為であるといえ、法令に違反したとして就業規則81条1項1号に該当する。また、従業員による盗撮行為は、会社の信用を傷つけ、又は会社に勤務する者全体の不名誉となるような行為といえるから、就業規則81条1項15号にも該当すると いうべきである。 ⑵ そこで、被告が本件行為につき、本件懲戒解雇を選択したことが社会通念上相当であるといえるか否かについて検討する。 本件行為は、被害者の性的な姿態の撮影を目的とするものであるところ、①性的な姿態に対する撮影行為が行われた場合に、撮影時以外の他の機会に 不特定又は多数の者に見られるという重大な危険を有すること等を踏まえ、令和5年6月16日に性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律が制定され、本件行為日の翌日である同年7月13日に施行されたこと(乙11)、②原告は、令和4年の夏頃から同様の手口で盗撮をしていたと供述していること (乙1)などからすれば、本件行為は、極めて卑劣なものであって、社会的に厳しい非難を免れないものである。 また、被告は、令和2年4月以降、業務外非行による信用失墜行為につき、研修等により繰り返し指導しているが未だに根絶には至っていないとして、飲酒運転・人身事故及び物損事故並びに盗撮、児童買春等の破廉恥事案につ いて、原則「懲戒解雇(退職手当一部不支給)」により措置することとし、 ミーティング等において社員に周知することとし、原告は、本件行為時、 損事故並びに盗撮、児童買春等の破廉恥事案につ いて、原則「懲戒解雇(退職手当一部不支給)」により措置することとし、 ミーティング等において社員に周知することとし、原告は、本件行為時、c郵便局郵便部課長として、これを指導する立場にあったことが認められる(前記前提事実⑴、乙6、7、12、13)。 他方、本件行為については、前記のとおり、行為時においては条例違反にとどまり、その法定刑に照らせば、他の法令違反行為と比較して重い法令違 反行為であるとまではいえない。原告は被害者と示談をし、令和5年11月16日には不起訴処分がされており(前記前提事実⑷、⑹)、刑事手続において有罪判決を受けたものではない。また、懲戒標準においては、職務外の非違行為において刑事事件により有罪とされた者は、基本として「懲戒解雇~減給」とされているのに対し、それ以外の非違行為については、基本とし て「減給~注意」、重大なものとして「懲戒解雇~停職」とされているところ(前記前提事実⑻イ)、本件行為は、それ以外の非違行為に分類されるものであり、刑事事件において有罪判決を受けた場合と比して、類型的に、会社の業務に与える影響や被告の社会的評価に及ぼす影響は低いということができる。さらに、本件行為が行われて以降、本件行為ないし本件行為に係る 刑事手続について報道がされておらず、その他本件行為が社会的に周知されることはなかったことが認められ、原告自身も本件行為日の翌日には釈放されており、通常の勤務に復帰できる状態になったことが認められる(前記前提事実⑶、⑹)。そうすると、本件懲戒解雇時点において、本件行為及び原告の逮捕によって、被告の業務等に悪影響を及ぼしたと評価することができ る具体的な事実関係があるとはいえない。 これら 実⑶、⑹)。そうすると、本件懲戒解雇時点において、本件行為及び原告の逮捕によって、被告の業務等に悪影響を及ぼしたと評価することができ る具体的な事実関係があるとはいえない。 これらの事情に加え、原告が過去に懲戒処分歴を有していないこと等も考慮すると、本件行為を懲戒事由として、懲戒解雇を選択したことは、懲戒処分としての相当性を欠き、懲戒権を濫用したものとして無効であるといわざるを得ない。この点、被告は、被告における従前の処分事例との比較から、 本件行為について懲戒解雇を相当とした被告の判断は適正である旨主張する が、被告が指摘する従前の処分事例(乙5)は、刑事事件における有罪判決がされたかどうかという事実自体明らかではない上、職場内における盗撮行為かどうかなどの非違行為の内容、報道の内容やその程度等によって被告の社会的評価に与える具体的な影響の程度も異なるから、被告が指摘する従前の処分事例と本件とを直ちに同列に扱うことはできず、被告の上記主張は結 論を左右するものとまでは認められない。また、被告は、原告が本件行為による逮捕を被告に報告することを拒んだなどとも主張するが、これを認めるに足りる証拠はない上、原告の妻は、原告が本件行為による逮捕をされた日に被告に連絡をして本件行為による逮捕を告げており、この点も結論を左右するものとまでは認められない。 ⑶ よって、本件懲戒解雇は、無効である。 2 賃金支払請求の可否及び額(争点2)について前記1のとおり、本件懲戒解雇は無効であるから、原告は、被告に対し、被告が原告に対して本件懲戒解雇をした日以降も、労働契約上の権利を有する地位にあり、賃金の支払を請求することができる。 原告の1か月の賃金の固定給の合計は39万3943 、被告に対し、被告が原告に対して本件懲戒解雇をした日以降も、労働契約上の権利を有する地位にあり、賃金の支払を請求することができる。 原告の1か月の賃金の固定給の合計は39万3943円であるから(前記前提事実⑵)、原告は、被告に対し、同金額を、毎月の給与として請求することができるというべきである。なお、原告は同金額のほか、業績手当及び超過勤務手当等並びに賞与の支払を求めているが、業績手当及び超過勤務手当等は原告の実際の営業成績及び超過勤務時間に対応するものであり、賞与についても、 使用者による査定等を要するものであって(乙15、弁論の全趣旨)、原告の主張する金額が確定的に支払われるべきものであるとは認められず、具体的な権利として発生しているとはいえない。 3 結論以上によると、原告の請求は、労働契約上の地位確認請求並びに令和5年1 0月から本判決確定の日まで毎月39万3943円の賃金請求及びこれらに対 する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第1部 裁判官山田亜湖

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