【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役四月に処する。 理 由 検察官山本清二郎の控訴趣意および弁護人山内忠吉の答弁は、本判決書末尾添附 の控訴趣意
主文原判決を破棄する。 被告人を懲役四月に処する。 理由検察官山本清二郎の控訴趣意および弁護人山内忠吉の答弁は、本判決書末尾添附の控訴趣意書および答弁書に夫々記載のとおりであるから、これらについて判断する。 検察官控訴趣意の要旨は、本件公訴事実は、「被告人は韓国に本籍を有する外国人で昭和二十七年六月下旬不法に本邦に入り、京都市、大阪市等を転々し昭和三十年八月頃から川崎市abc番地に居住しているものであるが、その上陸の日より六十日以内に居住地の市町村長に対し外国人登録証明書の交付を申請しなければならないのに之を怠り右期間を超えて不法に本邦に在留していたものである」と謂うに対し、原判決は、被告人の右不法入国および上陸の日より六〇日以内に右申請手続をとらなかつた事実を認めながら、斯ような不法入国者に対しては外国人登録法第三条第一項の規定は適用なく、同事実に関しては別に出入国管理令によつて規律されるべきものなりとして、被告人に対して無罪の言渡をしたのは、法令の解釈適用を誤つた旨主張するものであり、弁護人山内忠吉の答弁の要旨は、本件被告人の如く成規の手続によらずして入国した者に対しては出入国管理令の適用ありとなすは格別、検察官所論の如く外国人登録法第三条第一項所定の登録証明書交付申請の義務ありとなすは失当である。このことは同条項に同申請書には「旅券」を添附すべき旨不法入国者には実行不能なる事項を規定していることに鑑みるも明らかである。故に原判決が被告人に右条項の適用ないものとして無罪を宣したのは正当にして検察官の控訴趣意は理由ない旨主張するものである。 そこで按ずるに、外国人登録法は本邦に在留する外国人の登録制を実施することによつて外国人の居住および身分の状態を常に明確にし以て したのは正当にして検察官の控訴趣意は理由ない旨主張するものである。 そこで按ずるに、外国人登録法は本邦に在留する外国人の登録制を実施することによつて外国人の居住および身分の状態を常に明確にし以て在留外国人に対する公正な管理の施行に資することを目的としていることは同法の第一条その他全規定の精神に徴して明らかであり、同法第三条第一項所定の本邦在留外国人の登録証明書交付申請義務も右登録制度の基本的段階を形成するために課せられているものに外ならない。而して、他方、出入国管理令は総ての人の本邦に入国し又は本邦から出国すること自体の公正な管理を主眼とし、同法所定の<要旨>不法入国者強制退去の如きも入国管理の趣意を徹底する見地に発する処置と観るべき筋合のものである。 故</要旨>に、等しく対外国人関係法規であつても、外国人登録法と出入国管理令とは各その規律分野を異にして、而して本件被告人の如く不法入国をなした外国人に対する関係においても現実の入国者の入国後の居住や身分関係の実状を不断に明確にして、それらの対策樹立に資することは、出入国管理令にはよらず、検察官所論の如く外国人登録法の第三条その他の規定の適用によるものと解するを相当とする。 尤も、同法第三条第一項には登録証明申請書に「旅券」を添附すべき旨の文言あること弁護人答弁のとおりであるが、右旅券添附のことは単に成規入国者関係を目途として一応標準的方式を定めたに止まり、要するに入国した外国人の居住や身分の現状調査を目的とする同法条の精神よりすれば、実際上旅券を具有しない入国者の場合には、その具有しないことによつて直ちに右申請義務そのものがないものとなすことは却つて右外国人登録制度の眼目を逸する結果となつて正当ではなく、むしろ、その際は実質上旅券と同目的を達し得る他の書類の添附を認める等適宜の方 とによつて直ちに右申請義務そのものがないものとなすことは却つて右外国人登録制度の眼目を逸する結果となつて正当ではなく、むしろ、その際は実質上旅券と同目的を達し得る他の書類の添附を認める等適宜の方法によつても右申請をなすべき義務あるものと解するを相当とする(この点に関し、昭和三一年六月二六日法務省管合令第三五六号別冊第一外国人登録事務取扱要領第二外国人登録申請(二)(4)(5)には、登録申請日までに外国人たる公的身分証明書も所持していない者は右旅券に代えて陳述書と称する自己証明書を申請書に添附すべき旨規定している点参照)。 故に、原判決において被告人が本件公訴にかかる外国人登録証明書の交付申請をなさざりし事実に対し外国人登録法第三条第一項の適用はないものとして被告人に無罪の判決言渡をしたのは、検察官所論の如く右法令の誤解に発端して適用を誤つたものであり、而して之がため判決に影響あること明らかであるから、此の点において原判決は破棄を免れない。論旨は理由がある。 そこで刑事訴訟法第三九七条第三八〇条第四〇〇条但書により原判決を破棄した上左のとおり判決する。 一、犯罪事実被告人は、韓国に本籍を有する外国人であるが、昭和二七年六月下旬頃本邦に入団し、その後京都市および大阪府下等に居住した後昭和三〇年八月頃から神奈川県川崎市abc番地A方に居住していたにかかわらず、右上陸の日から六〇日以内にその居住地の市町村長に対し外国人登録証明書交付の申請をしないで右期間をこえて本邦に在留したものである。 一、証拠(一) 被告人の原審公廷における供述(第一回公判調書記載)(二) 被告人の検察官に対する供述調書(三) 被告人の司法警察員に対する供述調書二通(四) Aの司法警察員に対する供述調書二通(五) 川崎市役所外国人登録係長Bの臨 第一回公判調書記載)(二) 被告人の検察官に対する供述調書(三) 被告人の司法警察員に対する供述調書二通(四) Aの司法警察員に対する供述調書二通(五) 川崎市役所外国人登録係長Bの臨港警察署長Cに対する外国人登録について照会回答書一、法令の適用外国人登録法第一八条第一項第一号第三条第一項(所定刑中懲役刑を選択し、その刑期範囲内において被告人を懲役四月に処する)(裁判長判事久礼田益喜判事武田軍治判事石井文治)
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