平成25(行ケ)10173 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年2月12日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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判決文本文17,742 文字)

- 1 -平成26年2月12日判決言渡平成25年(行ケ)第10173号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年1月27日判決 原告 X 原告 X 両名訴訟代理人弁理士佐々木 功川村恭子久保 健山崎嘉久 被告特許庁長官指定代理人豊永茂弘吉水純子瀬良聡機堀内仁子 主文 原告らの請求を棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 原告らの求めた判決 - 2 -特許庁が不服2012-8654号事件について平成25年5月13日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要本件は,特許出願拒絶審決の取消訴訟である。争点は,補正についての独立特許要件(進歩性,実施可能要件)の有無である。 1 特許庁における手続の経緯原告X1は,2005年(平成17年)7月11日,名称を「天然鉱石を使用した還元水の製造方法」とする発明につき,国際特許出願(PCT/JP2005/012753,特願2006-529028号,優先権主張日:平成16年7月23日,特願2004-240166号,優先権主張日:平成17年4月6日,特願2005-109853号・甲24~26)をし,原告X2が出願人の地位の一部譲渡を受け,出願人に追加された。原告らは,平成24年2月3日付けで拒絶査定を受けた(甲28)ので,同年5月11日,手続補正書(甲30・以下「補正明細 24~26)をし,原告X2が出願人の地位の一部譲渡を受け,出願人に追加された。原告らは,平成24年2月3日付けで拒絶査定を受けた(甲28)ので,同年5月11日,手続補正書(甲30・以下「補正明細書」という。)により特許請求の範囲の減縮を含む本件補正をするとともに,これに対する不服審判請求をした(甲29,不服2012-8654号)。特許庁は,平成25年5月13日,本件補正を却下した上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同月23日,原告らに送達された。 2 本願発明の要旨(1) 本件補正後の請求項1(補正発明)「遠赤外線放射率80%以上の金属マグネシウムと,遠赤外線放射率80%以上の天然鉱石である麦飯石と,トルマリンと,ブラックシリカとを選択し,これらを5mm以下の粉末または粒状物若しくはこれらをバインダーで小径のボール状に形成した混合物とし,該金属マグネシウムと天然鉱石との粉末または粒状物の混合物に水を接触させて - 3 -pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水とすることを特徴とする還元水の製造方法。」(下線部が補正箇所。)(2) 本件補正前の請求項1(補正前発明)「遠赤外線放射率80%以上の複数の天然鉱石を選択し,これらを5mm以下の粉末または粒状物若しくはこれらをバインダーで小径のボール状に形成した混合物とし,該天然鉱石の粉末または粒状物の混合物に水を接触させてマイナスの還元電位を有する還元水の製造方法。」 3 審決の理由の要点(1) 引用発明についてア引用例1(特開2004-174301号公報,甲1)には,以下の引用発明1が記載されている。 「マグネシウムと,トルマリンとを選択し,これらを粒体の混合物とし, 発明についてア引用例1(特開2004-174301号公報,甲1)には,以下の引用発明1が記載されている。 「マグネシウムと,トルマリンとを選択し,これらを粒体の混合物とし,該マグネシウムとトルマリンとの粒体の混合物に水を接触させてアルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水(飲料水)とする,還元水の製造方法。」イ引用例2(特開2004-160386号公報,甲2)には,以下の引用発明2が記載されている。 「麦飯石充填フィルターと,接触した水を水素水(還元水)にする『マグネシウム,黒曜石,トルマリン,抗菌砂,風化サンコ゛等を収容したステック』を用いる,還元水(飲料水)の製造方法。」(2) 独立特許要件についてア進歩性(特許法29条2項)について補正発明は,引用発明1及び引用発明2並びに周知技術に基づいて,本願優先権 - 4 -主張日当時,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (ア) 補正発明と引用発明1との一致点と相違点は,次のとおりである。 【一致点】「金属マグネシウムと,天然鉱石であるトルマリンとを選択し,これらを粒状物の混合物とし,該金属マグネシウムとトルマリンとの粒状物の混合物に水を接触させてマイナスの還元電位を有する還元水とする還元水の製造方法。」【相違点1】補正発明では,「遠赤外線放射率80%以上の」金属マグネシウムと,「遠赤外線放射率80%以上の」天然鉱石である「麦飯石と,」トルマリンと「,ブラックシリカと」を選択しているのに対して,引用発明1では,マグネシウム(金属マグネシウム)と,トルマリン(天然鉱石であるトルマリン)とを選択しているものの,上記「」内の事項の特定がない点。 【相違点2】 カと」を選択しているのに対して,引用発明1では,マグネシウム(金属マグネシウム)と,トルマリン(天然鉱石であるトルマリン)とを選択しているものの,上記「」内の事項の特定がない点。 【相違点2】補正発明では,「pH7~8の」マイナスの還元電位を有する還元水であるのに対して,引用発明1では,「アルカリ性の」マイナスの還元電位を有する還元水である点。 【相違点3】補正発明では,「5mm以下の」粒状物であるのに対して,引用発明1では,粒体(粒状物)であるものの,上記「」内の事項の特定がない点。 (イ) 相違点に関する審決の判断は,以下のとおりである。 a 相違点1について引用発明1において,還元水を製造するマグネシウム(金属マグネシウム)及びトルマリン(天然鉱石であるトルマリン)は,遠赤外線放射により水の改質を行うことができるものであり,また,麦飯石及びブラックシリカが,還元水を製造する - 5 -と共に遠赤外線放射により水の改質を行うことができるものであることは,本願優先権主張日前に周知の事項である。したがって,マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカは,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うことができるものであり,そうである以上,引用発明1において,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うものとして,金属マグネシウムとトルマリンを用いることに加えて麦飯石とブラックシリカをも用いる(選択する)ことは,当業者であれば容易に想起し得ることである。 そして,引用発明1において,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うものとして,マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカを用いる際,遠赤外線放射率が平均98%であるブラックシリカを用い,さら において,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うものとして,マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカを用いる際,遠赤外線放射率が平均98%であるブラックシリカを用い,さらに,このブラックシリカと同じく遠赤外線放射率が高いトルマリン(94.4%)及び麦飯石(89.3%)についても,これを用いて水の改質を行うことは,「遠赤外線放射率が低ければ効果(影響)が少ない」ことも考慮すると,当業者であれば普通に行うことであるというべきである。 また,引用発明1のマグネシウム(金属マグネシウム)と補正発明の金属マグネシウムとは,単元素金属(組成物ではない物質)であって結晶構造等のバリエーションがないものであることから,物性としての遠赤外線照射率(80%以上)も含め実質的に同じものであるというべきである。 したがって,相違点1に係る補正発明の発明特定事項とすることは,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者であれば容易になし得ることである。 b 相違点2について一般に,高いpH値の水を中和して飲料水基準(pH値が5.8以上8.6以下)の飲料水を製造することは,本願優先権主張日前に周知の事項(例えば,特開昭63-252589号公報の特に1頁参照)であり,また,飲料水としての嗜好性を高めるために,マイナスの還元電位を有するアルカリ性の還元水に酸性液を添加し - 6 -て(中和して)マイナスの還元電位を有する中性の還元水(飲料水)を製造することも,本願優先権主張日前に周知の事項(例えば,特開2003-10865号公報の特に【0005】参照)であり,引用発明1と上記周知の事項とは,飲料水を製造するという点で共通している。 そうすると,引用発明1において,「アルカ 事項(例えば,特開2003-10865号公報の特に【0005】参照)であり,引用発明1と上記周知の事項とは,飲料水を製造するという点で共通している。 そうすると,引用発明1において,「アルカリ性の」マイナスの還元電位を有する還元水(飲料水)について,飲料水基準を満たすと共に飲料水としての嗜好性を高めるために,この還元水を中和してマイナスの還元電位を有する,例えばpH7~8の還元水(飲料水)を製造するという,上記の点で共通する該周知の事項を適用することは,引用例1に「アルカリ水の中和」を排除する旨の開示がないことも考慮すると,当業者であれば容易に想起し得ることである。 したがって,相違点2に係る補正発明の発明特定事項とすることは,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者であれば容易になし得ることである。 c 相違点3について一般に,粒状物(改質材)に水を接触させてマイナスイオン水を製造するときの粒状物の形状について,粒径が1mm程度の粒状物(改質材)を用いることは,本願優先権主張日前に周知の事項(例えば,特開2003-24956号公報の【0030】ないし【0032】【表1】参照)であり,引用発明1と上記周知の事項とは,粒状物(改質材)に水を接触させて改質水を製造するという点で共通している。 そうすると,引用発明1において,粒状物(改質材)に水を接触させて還元水(改質水)を製造するときの粒状物の形状について,粒径が「1mm程度(5mm以下)の」粒状物(改質材)を用いるという,上記の点で共通する該周知の事項を適用することは,粒状物(改質材)の粒径が小さいほど水との接触効率が高まる(改質効率を高められる)ことも考慮すると,当業者であれば容易に想起し得ることである。 した の点で共通する該周知の事項を適用することは,粒状物(改質材)の粒径が小さいほど水との接触効率が高まる(改質効率を高められる)ことも考慮すると,当業者であれば容易に想起し得ることである。 したがって,相違点3に係る補正発明の発明特定事項とすることは,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者であれ - 7 -ば容易になし得ることである。 d そして,補正発明の「還元水を飲料水として使用することができる等」の作用効果は,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項(特に,マイナスの還元電位を有する中性の飲料水を製造すること)に基づいて,当業者であれば十分に予測し得るものである。 e よって,補正発明は,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ実施可能要件(特許法36条4項1号)について補正明細書は,「還元水(飲料水)」と「活性酸素の除去」と「ドロドロの血液をサラサラにすること,健康回復,ガン細胞発生の抑制,脳細胞の活性化によるアルツハイマー病発症の撲滅」の因果関係を証明(立証)する科学的,合理的な根拠を何ら示すものではなく,補正明細書の【0030】【0031】に示されている「血液がサラサラになる」現象は,水分を十分に摂取したことによる結果であるとみることもできることから,「ドロドロの血液をサラサラにすること,健康回復,ガン細胞発生の抑制,脳細胞の活性化によるアルツハイマー病発症の撲滅」を達成するものは「還元水(飲料水)」である,更にいうと,この還元水を製造する「還元水(飲料水)の製造方法」であると直ちにいうことはできない。 そうすると,補正明細書は,補正 マー病発症の撲滅」を達成するものは「還元水(飲料水)」である,更にいうと,この還元水を製造する「還元水(飲料水)の製造方法」であると直ちにいうことはできない。 そうすると,補正明細書は,補正発明の目的の一つである「ドロドロの血液・・・撲滅」を達成する「還元水(飲料水)の製造方法」を記載するものではない,つまり,当業者が発明を実施する(目的を達成する)ことができる程度に明確にかつ十分に記載したものであるとはいえない。 よって,補正明細書は,特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものではない。 (3) 補正前発明の進歩性について本件補正における請求項1の補正事項は,請求項1に記載した発明を特定するた - 8 -めに必要な事項を限定すると共に不明りょうな記載を釈明するものであることから,補正前発明は,補正発明を包含している。 そうすると,補正発明を包含する補正前発明も同じく,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 また,出願時明細書(国際出願時の明細書)は,当業者が発明を実施することができる程度に明確にかつ十分に記載したものであるということはできず,特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものではない。 第3 原告ら主張の審決取消事由審決には,補正発明についての進歩性判断及び実施可能要件の判断を誤り,本件補正を却下した違法がある。 1 補正発明の進歩性判断の誤り(1) 補正発明の作用効果について審決は,補正発明の作用効果を誤認しており,その結果,当業者が補正発明の作用効果を十分予測できると判断したもので,誤りである。 補正発明は,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を簡単に製造で 補正発明の作用効果を誤認しており,その結果,当業者が補正発明の作用効果を十分予測できると判断したもので,誤りである。 補正発明は,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を簡単に製造できるようにすることを課題とし,その課題を解決したものである。 また,補正明細書の段落【0010】【0014】に,「水と(を)接触させるだけで」と記載されているとおり,中和などの付加的な工程を必要とせず,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造できることが,補正発明の顕著な作用効果である。すなわち,甲14(特開2003-252685号公報)にあるとおり,本願優先権主張日前において,マイナスの還元電位を有する還元水を製造すること自体,容易ではなく,また,甲22(特開2003-10865号公報)にあるとおり,本願優先権主張日前において,pH7~8の還元水を製造することは困難であり,アルカリ性の還元水を製造し,中和して中性にすることが行われて - 9 -いた。引用例1の段落【0028】【表1】を見れば,本願優先権主張日前において,還元水の酸化還元電位をマイナスにしようとすればアルカリ性になり,弱アルカリ性にしようとすれば酸化還元電位がプラスになり,pH7~8とマイナスの還元電位とを両立させることは困難であったことが分かる。そのような中で,補正発明は,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけでpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水を簡単に製造できる」という顕著な作用効果を奏するもので,このような効果は当業者に予測できるものではない。 (2) 相違点1に関する進歩性判断の誤りについて還元水を製造できるとされている物質,遠赤外線を放射するとされている物質,その他水を改質するとされている物質には,金属 できるものではない。 (2) 相違点1に関する進歩性判断の誤りについて還元水を製造できるとされている物質,遠赤外線を放射するとされている物質,その他水を改質するとされている物質には,金属マグネシウム,トルマリン,麦飯石,ブラックシリカの他にも多数のものが存在する。 補正発明は,これら多数の物質のなかから,特に,金属マグネシウムと,麦飯石と,トルマリンと,ブラックシリカとを選択し,混合したところに特徴があるところ,審決で引用された文献には,「水を改質するとされている多数の物質のなかから,特に,金属マグネシウムと,麦飯石と,トルマリンと,ブラックシリカとを選択」する試みをしたはずであるという示唆は存在しない。 また,補正発明は,この選択により,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造できるという顕著な効果を奏するものであり,この顕著な効果は,いずれの文献の記載からも予測することができない。 そうすると,水を改質するとされている非常に多くの物質のなかから,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造できる物質の組合せを見つけることは,当業者にとって容易ではない。 (3) 相違点2に関する進歩性判断の誤りについて前記(1)のとおり,補正発明は,中和などの追加的な工程を必要とせず,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を簡単に製造できるものであるから,引用発明1において,製造されたアルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水 - 10 -を,「中和してpH7~8にする」ように変更した発明は,補正発明とは異なるものである。そうすると,審決が,相違点2に係る補正発明の発明特定事項とすることは,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて当業者であれば容易に は,補正発明とは異なるものである。そうすると,審決が,相違点2に係る補正発明の発明特定事項とすることは,引用発明1及び引用発明2並びに本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて当業者であれば容易になし得ることであると判断したのは,誤りである。 また,審決には,相違点2に係る進歩性判断の論理付けが示されているということはできない。 2 実施可能要件(特許法36条4項1号)の判断の誤りについて審決は,補正発明の作用効果を誤認した結果,補正発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないという誤った判断をしている。 補正発明は,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を簡単に製造できるようにすることを課題とし,その課題を解決したものであるところ,補正発明に係る「還元水の製造方法」で使用される「混合物」をいかにして製造するかについては,補正明細書の段落【0024】~【0027】に明確に記載されている。 また,補正発明にかかる「還元水の製造方法」で「混合物」に水をどのように接触させるかについては,補正明細書の段落【0030】,【0031】に明確に記載されている。 したがって,当業者が補正明細書に従って補正発明を実施すれば,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することができるものであるから,補正明細書には,当業者が補正発明の実施をできる程度に明確かつ十分に記載されている。 よって,審決における「補正明細書は,特許法36条4項1号に規定する要件を満たすものではない」との判断は,誤りである。 第4 被告の反論審決のした独立特許要件に関する判断には,いずれも誤りがない。 - 11 - 1 補正発明の進歩性判断について(1) 原告ら主張1(1)に対し補正明細書に 第4 被告の反論審決のした独立特許要件に関する判断には,いずれも誤りがない。 - 11 - 1 補正発明の進歩性判断について(1) 原告ら主張1(1)に対し補正明細書には,pHに関する直接的な記載として「【0035】更に,本願発明で製造された還元水については,最高酸化還元電位が-1,250ミリボルト(mV)は電解によるORPが-350mV前後という数値に比べたら比較にならない強力なものである。しかも一般にORPのマイナス電位が高ければpHは11~12前後が普通であるが必要に応じてpH7~8程度までは調整が可能であるということがこの発明の還元水の特徴でもあり,従って利用度はこの後広範囲に拡大していくものと思われる。」があるのみであり,ここには,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することについての明記はない。上記の記載は,少なくとも「追加的な調整によりpHを11~12前後から7~8にすることで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造すること,つまり,pH11~12前後(アルカリ性)からpH7~8(中性)に調整(中和)することを包含するものである。 また,補正明細書には,混合物に接触させた還元水をそのまま飲用することの記載(段落【0030】【0031】)があるものの,pHと還元電位を結びつけて簡単に製造できるという記載はない。 以上から,請求項1(ないし4)の記載には,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することについての明記はなく,補正明細書からして「中和してpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造するこ 物に水を接触させるだけで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することについての明記はなく,補正明細書からして「中和してpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することが包含されているから,原告らの主張は,特許請求の範囲の記載に基づく主張ではない。 (2) 原告ら主張1(2)に対し審決の判断のとおり,引用発明1におけるマグネシウム(金属マグネシウム)及びトルマリン(天然鉱石であるトルマリン)は,還元水を製造すると共に遠赤外線 - 12 -放射により水の改質を行うことができるものであり,また,麦飯石及びブラックシリカも,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うことができるものである。ここで,引用発明1において,金属マグネシウム及びトルマリンの他に何を用いるかの決定にある程度の試行錯誤が要求されるとしても,麦飯石及びブラックシリカが,金属マグネシウム及びトルマリンと同じく還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うことができるものである以上,引用発明1において,還元水を製造すると共に遠赤外線放射により水の改質を行うものとして,金属マグネシウム及びトルマリンを用いることに加えて麦飯石とブラックシリカをも用いる(選択する)こと,つまり,金属マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカの組合せを見つけることは,当業者であれば容易に想起し得ることである。 また,補正明細書には,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することについて,例えば,麦飯石及びブラックシリカの組合せ等の実施(比較)結果が示されていないことから,金属マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカの組合せに格別の 有する還元水」を製造することについて,例えば,麦飯石及びブラックシリカの組合せ等の実施(比較)結果が示されていないことから,金属マグネシウム,トルマリン,麦飯石及びブラックシリカの組合せに格別の技術的意義があるとはいえない。 そうすると,「金属マグネシウムとトルマリンを用いることに加えて麦飯石とブラックシリカをも用いる(選択する)ことは,当業者であれば容易に想起し得ることである」という審決の判断に誤りはない。 (3) 原告ら主張1(3)に対し補正発明は,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけで」「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することに限定されるものではなく,「中和してpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造することを包含するものである。 したがって,引用発明1において,製造されたアルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水を「中和してpH7~8にする」ように変更した発明は,補正発明 - 13 -であり,また,中和して飲料水にすることが周知技術(甲21,22)であることからして,審決の判断は正しく,論理付けは示されているといえる。 2 実施可能要件(特許法36条4項1号)の判断について審決は,補正明細書において,「還元水(飲料水)」と「活性酸素の除去」と「ドロドロの血液をサラサラにすること,健康回復,ガン細胞発生の抑制,脳細胞の活性化によるアルツハイマー病発症の撲滅」の因果関係を証明(立証)する科学的,合理的な根拠は何ら示されていないことを前提にするものであるが,原告らは,上記に対して何ら主張するものではない。 また,前記1(1)において述べたとおり,原告らの作用効果に関する主張は成り立たないから,上記の作用効果を前提とする原告らの主張は ものであるが,原告らは,上記に対して何ら主張するものではない。 また,前記1(1)において述べたとおり,原告らの作用効果に関する主張は成り立たないから,上記の作用効果を前提とする原告らの主張は失当である。 第5 当裁判所の判断 1 補正発明について補正明細書(甲30)によれば,補正発明につき,以下のことを認めることができる。 補正発明は,高い遠赤外線放射率を有する複数の天然鉱石を粉砕しミックスした状態で使用して,マイナスの還元電位を有する還元水の製造方法に関するものである(段落【0001】)。 従来,天然鉱石を使用した酸化還元水を製造するものとして,水を還元触媒又は天然石,セラミックの少なくとも1種類と還元触媒とからなる活性材に接触通過させることによってミネラル還元水を製造する方法や(段落【0004】),麦飯石,ミネラル石,ラジウム鉱石,トルマリン,還元セラミックを充填したカラムに天然水又は精製水を通過させてミネラル水を生成する方法が知られているが(段落【0005】),これまでに開発され,強力な還元水であると強調されていたほとんどの水は,酸化還元電位が+100~+200ミリボルトであって,しばらく放置して - 14 -おけば+300~+400ミリボルトの普通の水で還元水ではないものが多く,高価な電解水であってもボトルに詰めた状態で4~5日経過すれば+200ミリボルト程度になってしまうものが多かった(段落【0009】)。また,従来の種々の技術手段は複雑であった。 そこで,補正発明は,簡単な手段でありながら,水と接触させるだけで余計な動力を必要とせずに,マイナスの還元電位を有する還元水を製造できるようにすることを解決課題とし(段落【0010】),遠赤外線放射率80%以上の金属マグネシウムと,遠赤外線放射率 触させるだけで余計な動力を必要とせずに,マイナスの還元電位を有する還元水を製造できるようにすることを解決課題とし(段落【0010】),遠赤外線放射率80%以上の金属マグネシウムと,遠赤外線放射率80%以上の天然鉱石である麦飯石と,トルマリンと,ブラックシリカとを選択し,これらを5mm以下の粉末若しくは粒状物又はこれらをバインダーで小径のボール状に形成した混合物とし,該金属マグネシウムと天然鉱石との粉末又は粒状物の混合物に水を接触させてpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水とすることによって(段落【0011】),短時間に必要量と必要マイナスミリボルトの強力還元水が製造できるという効果を奏するものである(段落【0013】)。 2 引用発明1について引用例1(甲1)によれば,以下のことが認められる。 引用発明1は,水中の溶存水素濃度を高くするための高水素濃度水製造用構造物の改良に関し(段落【0001】),従来,溶存水素濃度を高めた水を飲用に使用すると,人体内の活性酸素を減少でき,健康の維持増進に効果があることが知られており,また,溶存水素濃度が高く還元力のある水を使用して洗顔等を行うと,肌の汚れが落ちやすく,肌への水分補給を行いやすいので,肌の老化の抑制に効果があることも知られているが,このような,水中の溶存水素濃度が高められた高水素濃度水を製造するための装置は,水中に水素を吹き込むための特別の大がかりな装置が必要で,家庭用,個人用の用途,特に携帯用途に適さないという問題があった(段落【0002】,【0004】)。また,家庭用の電気分解式の装置等により - 15 -製造した高水素濃度水をPET(ポリエチレンテレフタラート)ボトル等に詰めて,使用時まで保存しておくことも考えられるが,水素は非常に軽い気体なので短時間 の電気分解式の装置等により - 15 -製造した高水素濃度水をPET(ポリエチレンテレフタラート)ボトル等に詰めて,使用時まで保存しておくことも考えられるが,水素は非常に軽い気体なので短時間で水中から空気中に放散してしまい,使用時に十分な水素濃度を確保できないという問題もあった(段落【0005】)。そこで,引用発明1は,使用時に十分な水素濃度を確保できる簡易な高水素濃度水製造用構造物を提供することを目的として(段落【0006】),側面に複数の穴があけられ,一方側の端部が開口し他方側の端部が閉じられた柱状容器と,頂部に少なくとも1つの穴があけられ,前記開口を覆う蓋と,前記柱状容器の中に収容された布製の袋と,前記布製の袋の中に収容され,水中の溶存水素濃度を高くするための高水素濃度化剤とを備える高水素濃度水製造用構造物とすることによって(段落【0007】),柱状容器中に,布製の袋に収容された高水素濃度化剤を入れるので,水中で振ったときに布製の袋が振動に合わせて変形し,攪拌効果により水と高水素濃度化剤との接触が促進される(段落【0008】,段落【0037】)という効果を奏するというものである。この高水素濃度化剤は,マグネシウムであることが好適であり,さらに,トルマリンを含むことが好適であり,マグネシウムと水が接触している限り十分な水素を常に発生でき(段落【0009】,【0010】),実施例として,マグネシウムと,トルマリンとを選択し,これらを粒体の混合物とし,該マグネシウムとトルマリンとの粒体の混合物に水を接触させることによって,アルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水(飲料水)の製造方法が示されている(段落【0020】,【0023】,【0026】,【0028】~【0030】)。 3 補正発明の進歩性判断について(1 イナスの還元電位を有する還元水(飲料水)の製造方法が示されている(段落【0020】,【0023】,【0026】,【0028】~【0030】)。 3 補正発明の進歩性判断について(1) 作用効果について原告らは,補正明細書の段落【0010】,【0014】の記載等を根拠として,補正発明は,「中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけでpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水を簡単に製造できる」という顕 - 16 -著な作用効果を奏するものであるのに,補正発明の作用効果を誤認し,作用効果が当業者に十分予測し得るものであるとした審決の判断は誤りであると主張する。 補正発明における「pH7~8」とのpH値の特定は,本件補正により,請求項1に付加された事項であるところ,pH値については,出願当初の明細書(甲24の2,以下「当初明細書」という。)の段落【0036】には,「更に,本願発明で製造された還元水については,最も強力なものは酸化還元電位が-1,250mVのものであったが,これは電解によって得られる酸化還元電位が-350mV前後という数値に比べたら比較にならない強力なものである。しかも一般にORPのマイナス電位の数値が大きければP.Hは11~12前後が普通であるが必要に応じてP.H7~8程度までは調整が可能であるということがこの天然鉱石還元水の特徴でもあり,従って利用度はこの後広範囲に拡大していくものと思われる。」(補正明細書の段落【0035】の記載事項も同じ。)との記載があるのみで,当初明細書中に,上記以外にpHについての記載はない。そして,この段落には,必要に応じてpH7~8程度まで調整が可能であることは記載されているものの,混合物を水と接触させるだけでpH7~8のマイナスの還元電位を有す 上記以外にpHについての記載はない。そして,この段落には,必要に応じてpH7~8程度まで調整が可能であることは記載されているものの,混合物を水と接触させるだけでpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水が製造できることは記載されていない。 原告らが上記主張の論拠として主張する補正明細書の段落【0010】には,「簡単な手段でありながら,水と接触させるだけで余計な動力を必要とせずに,マイナスの還元電位を有する還元水を製造出来るようにすることに解決課題を有する。」と記載されているのみであり,また,段落【0014】には,「金属マグネシウムと,複数種類の天然鉱石を所要割合で混合(組み合わせ)した固形物または微粒体であって,これに水を接触させるだけで還元水となる」旨の記載があるのみで,いずれにもpHに関する記載はない。当初明細書及び補正明細書には,天然鉱石を利用した還元水についての従来技術は,マイナスの酸化還元電位の還元水を製造するのに,水を循環又は流動させることが必要であり,装置も処理手段も複雑であった旨が記載されており,その後に,解決課題を記載した上記段落【0010】が置かれてい - 17 -ることに照らすと,両明細書には,マイナスの還元電位を有する還元水を,余計な動力を必要とせずに水と接触させるだけという簡易な方法で製造できることが開示されていると見るのが自然であって,混合物を水と接触させるだけで他の工程を経ずにpH7~8とできることについてまで述べているものとは認めることができない。 また,補正明細書を見ても,金属マグネシウム又は天然鉱石により構成される混合物の組成物の組合せのみによってpH7~8程度とすることができる旨を示す記載はなく,その組成物の組合せや組成割合によって,pH7~8程度まで調整が可能であることを示すよう 然鉱石により構成される混合物の組成物の組合せのみによってpH7~8程度とすることができる旨を示す記載はなく,その組成物の組合せや組成割合によって,pH7~8程度まで調整が可能であることを示すような実験結果も示されていない。 なお,補正明細書における還元水の飲用試験例(段落【0030】,【0031】)には,中和などの付加的な工程を経た旨の記載がない。しかし,この試験例では,時間の経過と酸化還元電位数値との関係及び飲用効果が示されているのであって,pH値に着目した飲用例が示されたものではないことや,高いpH値の水を中和して飲料水基準(pH値が5.8以上8.6以下)の飲料水を製造すること(特開昭63-252589号公報・甲21)や,飲料水としての嗜好性を高めるために酸性液を添加して中和し,マイナスの還元電位を有する中性の還元水である飲料水を製造すること(特開2003-10865号公報・甲22)が本願優先権主張日前に周知であったことを考慮すれば,上記段落に中和などの付加的工程の記載がないことが,そのような中和工程の不存在を示すものと見ることはできない。 そうすると,pHが11~12前後の還元水を必要に応じてpH7~8程度まで調整が可能であるという補正明細書の記載(段落【0036】)は,中和などの付加的な工程を行うことによって還元水のpHを7~8にするものを含んでいるといえる。 以上から,補正発明は,常に中和などの追加的な工程を必要とせず,混合物に水を接触させるだけでpH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水を簡単に製造できるとの顕著な効果を有するものとはいえず,原告らの主張は採用できない。 - 18 -(2) 相違点1に関する進歩性判断について原告らは,還元水を製造できるとされている物質,遠赤外線を放射するとされて を有するものとはいえず,原告らの主張は採用できない。 - 18 -(2) 相違点1に関する進歩性判断について原告らは,還元水を製造できるとされている物質,遠赤外線を放射するとされている物質,その他水を改質するとされている物質には,多数のものが存在するところ,補正発明は,これら多数の物質の中から,特に,金属マグネシウムと,麦飯石と,トルマリンと,ブラックシリカとを選択し,混合したところに特徴があるのに,引用例には,これらの選択をする試みをしたはずであるという示唆は存在しない旨主張する。 ア補正明細書において,天然鉱石で構成される混合物の組成の選択により,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」が水と接触させるだけで簡易に製造できるとの開示がなされているとはいえないことは,前記(1)のとおりであり,他に,金属マグネシウム,麦飯石,トルマリン及びブラックシリカの選択に関する技術的意義を示す記載もない。 イそして,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事項が本願優先権主張日以前に周知であったと認められる。 麦飯石が,マイナスイオンを発生するものであることは,周知事項であるところ(特開2001-161414号公報・甲6,特開2003-306034号公報・甲7),水をマイナスイオン化することによって還元水が製造されること(特開2000-317414号公報・甲8)も,周知であるから,麦飯石が還元水を製造することができるものであることも,本願優先権主張日前に周知の事項である。また,ブラックシリカが還元水を製造することができるものであること(特開2003-252685号公報・甲14)も,本願優先権主張日前に周知の事項である。 さらに,遠赤外線放射により水の活性化(改質)が行われることは,周知の事項で することができるものであること(特開2003-252685号公報・甲14)も,本願優先権主張日前に周知の事項である。 さらに,遠赤外線放射により水の活性化(改質)が行われることは,周知の事項であるところ(特開2001-276852号公報・甲18,特開2002-143866号公報・甲19),引用発明1におけるマグネシウム及びトルマリンが遠赤外線放射により水の活性化を行うことができるものであることは,本願優先権主張日前の周知事項である(マグネシウムにつき,特開平6-233830号公報・甲 - 19 -17,トルマリンにつき,特開2002-81657号公報・甲9,特開2003-154386号公報・甲10,特開2003-275328号公報・甲12,甲18)。そして,麦飯石,ブラックシリカについても,同様に,遠赤外線放射により水の活性化を行うことができるものであることは,周知であった(麦飯石につき,甲9,10,ブラックシリカにつき,甲12,特開2004-41524号公報・甲15,特開2003-210592号公報・甲16)。 以上によれば,引用発明1のマグネシウム,トルマリンと同様に,麦飯石,ブラックシリカについても還元水を製造することができ,かつ,遠赤外線による水の活性化を行うものであることは,本願優先権主張日前に周知であったといえる。 ウそうすると,上記アのとおり,補正発明において,その混合物の組成に特段の技術的意義が窺われない以上,引用発明1において,還元水を製造するとともに遠赤外線放射により水の活性化(改質)を行うものとして,金属マグネシウム,トルマリンに加えて,麦飯石及びブラックシリカを用いて,相違点1に係る補正発明の発明特定事項とすることは,当業者であれば必要に応じて適宜なし得るものである。 したがって,「金属 属マグネシウム,トルマリンに加えて,麦飯石及びブラックシリカを用いて,相違点1に係る補正発明の発明特定事項とすることは,当業者であれば必要に応じて適宜なし得るものである。 したがって,「金属マグネシウムとトルマリンを用いることに加えて麦飯石とブラックシリカをも用いる(選択する)ことは,当業者であれば容易に想起し得ることである」とした審決の判断に誤りはない。 (3) 相違点2に関する進歩性判断について原告らは,補正発明は,「混合物に水を接触させ」ることにより「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を製造できるものであって,中和などの追加的な工程を必要とせず,「pH7~8のマイナスの還元電位を有する還元水」を簡単に製造できるものであるから,引用発明1において,製造されたアルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水を,「中和してpH7~8にする」ように変更した発明は,補正発明とは異なるものであり,審決のした相違点2の判断は誤りであると主張する。 - 20 -しかし,上記のとおり,補正発明は,中和などの付加的な工程を行うことによって,還元水のpHを7~8にするものを含んでいると認められるから,原告らの主張は前提において誤っている。 そして,前記のとおり,アルカリ性の水を飲料水基準にしたり,飲料水として嗜好性を高めるために,酸性液を添加して中和し,中性の飲料水を製造することは周知であるから,引用発明1において,アルカリ性のマイナスの還元電位を有する還元水を,飲料水基準にしたり,飲料水として嗜好性を高めるために,還元水である飲料水を中和して,pH7~8とすることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。したがって,この旨の判断を示した審決の判断には誤りはない。 (4) 以上により,補正発明は,引用発明 である飲料水を中和して,pH7~8とすることは,当業者であれば容易に想到し得るものである。したがって,この旨の判断を示した審決の判断には誤りはない。 (4) 以上により,補正発明は,引用発明1及び本願優先権主張日前に周知の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,補正発明が進歩性を欠くとした審決の結論に誤りはない。 そうすると,補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,特許法36条4項1号の判断について検討するまでもなく,補正を却下した審決の判断に誤りはない。 第6 結論以上によれば,原告ら主張の取消事由は理由がない。 よって,原告らの請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水 節 - 21 - 裁判官中村 恭 裁判官中武由紀

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