令和6年9月20日判決言渡令和2年(行ウ)第223号行政処分取消請求事件主文 1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 東京航空局長が令和元年12月16日付けで東京国際空港長に対して発出した通知(東空保第16号)を取り消す。 2 国土交通大臣が、東京国際空港における「計器飛行方式による進入の方式そ の他当該空港等について定められた飛行の方式」として定め、令和2年1月30日に施行された、別紙2AIPチャート目録記載の各経路の定めを取り消す。 第2 事案の概要①東京航空局長が昭和45年11月6日付けで東京国際空港長宛てに発出した「東京国際空港に離着陸する航空機は、原則として、川崎石油コンビナート 地域上空を避け、適切な飛行コースをとらせること」等を内容とする通知(東空航第710号。以下「昭和45年通知」という。)による取扱いは、同一当事者間の令和元年12月16日付けの通知(東空保第16号。以下「本件通知」という。)によって廃止された。また、②国土交通大臣は、航空法(昭和27年法律第231号)83条本文並びに同法施行規則(昭和27年運輸省令第56 号)189条2項及び同条1項1号に基づき、東京国際空港(以下「羽田空港」ともいう。)に離着陸するに際しての「計器飛行方式による進入の方式その他当該空港等について定められた飛行の方式」として、別紙3のとおり、それまで使用されていた、主に東京湾上空を通過する飛行経路に加えて、新たに川崎石油コンビナート地域上空ないし東京都内の陸上の区域上空を通過する各飛行経 路を定めた(その詳細は別紙2AIPチャート目録記載のとおり。以下、同目 録記載の飛行経路を「本件経路」といい、 油コンビナート地域上空ないし東京都内の陸上の区域上空を通過する各飛行経 路を定めた(その詳細は別紙2AIPチャート目録記載のとおり。以下、同目 録記載の飛行経路を「本件経路」といい、その設定行為を「本件経路の定め」という。)。 本件は、東京都特別区内又は川崎市内に居住する原告らが、本件通知及び本件経路の定めはいずれも違法な行政処分であると主張して、それらの取消しを求める事案である。 これに対し、被告は、本件通知及び本件経路の定めはいずれも処分性を欠き、また、原告らには本件経路の定めの取消しを求めるについての原告適格がないとして争っている。 なお、AIPチャートとは、国際民間航空条約の第15附属書に従い、国土交通大臣から航空機乗組員に対して航空機の運航のために必要な情報提供を行 う航空路誌すなわちAIP(AeronauticalInformationPublication)に掲載されている飛行経路をいう(甲125・航空法99条1項並びに同法施行規則209条の2第2項及び同条1項4号)。 1 関係法令の定め等 本件に関係する法令の定めは、別紙4のとおりである。 また、別紙3に示された羽田空港の井桁状を成す4本の滑走路のうち、おおむね北東と南西とを結ぶ線上にある2本が北からB滑走路及びD滑走路、おおむね北西と南東とを結ぶ線上にある2本が西からA滑走路及びC滑走路である(乙22、31)。 2 本件通知の発出の経緯(以下、特に断りのない限り書証番号は枝番を含む。)⑴ 昭和41年、羽田空港周辺において航空機事故が続けて発生したことを受け、同年3月、川崎市議会に対して川崎市臨海工業地帯上空飛行空路の変更を求める請願が提出され、神奈川県知事及び川崎市議会から、運輸大臣(官職及び省庁名はいずれ いて航空機事故が続けて発生したことを受け、同年3月、川崎市議会に対して川崎市臨海工業地帯上空飛行空路の変更を求める請願が提出され、神奈川県知事及び川崎市議会から、運輸大臣(官職及び省庁名はいずれも当時のもの。以下同じ。)に対し、川崎市臨海工業 地帯を飛行禁止区域に指定すること等、同臨海工業地帯の航空安全確保につ いての要望があった(甲38、乙43)。 ⑵ 運輸省は、昭和41年3月、①川崎石油コンビナート地域上空における低高度(3000フィート以下)及び低視程進入(飛行高度600フィート)の飛行訓練の禁止、②小型機によるB滑走路南西側からの着陸における前記コンビナート地域の上空飛行を避ける適切な経路選択の2点について、東京 国際空港長を通じて羽田空港を利用する運航関係者に通知した(乙6)。 ⑶ その後、羽田空港の拡張整備等に伴い、羽田空港に離着陸する航空機の数が激増したことを受け、昭和45年7月、川崎市長から運輸大臣に対し、川崎石油コンビナート地域上空における飛行制限について更なる規制強化の要望があった(甲4)。 ⑷ 川崎市側の要望を踏まえ、昭和45年11月6日、運輸省東京航空局長から同省東京国際空港長に対し、以下の内容の通知(昭和45年通知・甲2)が発出された。 ① 東京国際空港に離着陸する航空機は、原則として、川崎石油コンビナート地域上空を避け、適切な飛行コースをとらせること。 ② 東京国際空港に離着陸する航空機以外の航空機は、川崎石油コンビナート地域上空における飛行を避けさせるとともに、やむを得ず上空を飛行する必要のある場合は低高度(3000フィート以下)の飛行は行わせないこと。 ⑸ 国土交通省東京航空局長は、航空需要や社会情勢の変化を踏まえて、令和 元年12月16日、昭和45年通 空を飛行する必要のある場合は低高度(3000フィート以下)の飛行は行わせないこと。 ⑸ 国土交通省東京航空局長は、航空需要や社会情勢の変化を踏まえて、令和 元年12月16日、昭和45年通知を同日付けで廃止するとともに、同省東京国際空港長に対し、以下の内容の通知(本件通知・甲1)を発出した。 ① 東京国際空港に離着陸する航空機以外の航空機は、川崎石油コンビナート地域上空における飛行を避けさせるとともに、やむを得ず上空を飛行する必要のある場合は低高度(3000フィート以下)の飛行は行わせない こと。 ② 川崎石油コンビナート地域での事故・災害発生時には、救助活動等の妨げとならぬよう、状況に応じて配慮した運用を行うこと。 なお、本件経路には、南風時におけるB滑走路からの離陸に際して航空機が川崎石油コンビナート地域上空を通過するものも含まれている。 3 本件経路の定めに関する事実経過 ⑴ 本件経路の運用発表までの事実経過首都圏に位置する羽田空港については、旺盛な航空需要を背景として容量拡大が累次にわたり実施されてきたところ、国土交通省では、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会(国土交通省設置法6条1項)の下に設置された航空分科会基本政策部会(交通政策審議会令6条及び7条。以下単に 「基本政策部会」という。)において、首都圏における航空需要の増大への対応について学識経験者等を交えて議論が行われてきた。平成25年9月26日に開催された第9回基本政策部会では、日本経済の一層の発展に向け成長著しいアジア等世界の成長力を取り込むことが重要であるとして、そのための基盤となる首都圏空港の更なる機能強化を検討する必要性が指摘され、 また、従来の首都圏空港の発着容量では2020年代前半にも限界を迎える 界の成長力を取り込むことが重要であるとして、そのための基盤となる首都圏空港の更なる機能強化を検討する必要性が指摘され、 また、従来の首都圏空港の発着容量では2020年代前半にも限界を迎えるとの航空需要予測が示されるなどした。(乙23、24、33)これを受けて、平成25年以降、基本政策部会の下に設置された首都圏空港機能強化技術検討小委員会(以下単に「首都圏空港小委員会」という。)が、首都圏空港の機能強化を実現するための方策について技術的な検討を行 った。首都圏空港小委員会においては、安全性の担保(①航空機同士の安全確保及び②航空機と地上建築物との安全間隔の確保)、騒音影響の軽減、滑走路等の空港施設の容量等の観点から羽田空港の空港処理能力を拡大するための具体的方策等について議論が重ねられた。これを踏まえ、平成26年7月8日の「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間取りまとめ」におい ては、滑走路処理能力の再検証及び滑走路運用・飛行経路の見直しにより、 羽田空港の1時間当たりの発着回数が従来の80回(到着・出発各40回)から90回(出発46回・到着44回)に増加し、年間発着容量を最大約3. 9万回拡大することが可能となるとの結論が得られた。(乙25)国土交通省は、羽田空港の機能強化方策について、平成26年から「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」(以下「首都圏空港協議会」とい う。)において、首都圏空港小委員会が取りまとめた首都圏空港の機能強化に係る技術的選択肢を基に、東京都や千葉県、川崎市等の関係自治体や航空会社、学識経験者等との間で協議を行った(乙26)。 平成28年7月28日に開催された第4回首都圏空港協議会においては、騒音・安全対策や情報提供等の拡充等を内容とした「環境影響等に配慮した 航空会社、学識経験者等との間で協議を行った(乙26)。 平成28年7月28日に開催された第4回首都圏空港協議会においては、騒音・安全対策や情報提供等の拡充等を内容とした「環境影響等に配慮した 方策」(乙31)について、関係自治体から、当該方策がその要望や住民意見等を踏まえたものであるとの評価を受けた(乙32)。「環境影響等に配慮した方策」としては、例えば、陸域全体への騒音影響を小さくするとともに周辺の飛行場に離着陸する航空機との安全間隔を確保する観点での南風時の羽田空港への新しい到着時用飛行経路における飛行高度の引上げ、騒音影 響の特に大きいB滑走路からの出発機の便数の削減、騒音に配慮した料金体系の導入による低騒音機の導入促進、外国航空機を含めた安全対策の徹底、国の職員が駐機中の航空機をチェックする仕組みを新たに構築することなどによる落下物(部品・氷塊等)未然防止策の強化等が挙げられた。 国土交通大臣は、令和元年8月8日、同2年3月29日から羽田空港離着 陸用の新しい飛行経路(本件経路)の運用を開始し、国際線を年間約3.9万回増便する旨発表した(乙33)。 ⑵ 制限表面の設定羽田空港については、離着陸する航空機の安全性を確保するため、進入表面、水平表面、転移表面、延長進入表面、円錐表面及び外側水平表面(これ らを併せて「制限表面」と総称する。航空法49条1項及び56条の3第1 項によれば、何人も、原則として、制限表面の上に出る高さの建造物等を設置等してはならない。)が指定されていたが(航空法40条、56条1項)、本件経路の設定に伴い、新たに、東京都15区市の上空に、円錐表面及び外側水平表面が設定された(乙15、16。うち、杉並区、中野区、練馬区、板橋区、豊島区、北区、文京区、新宿区、世田谷区及 条1項)、本件経路の設定に伴い、新たに、東京都15区市の上空に、円錐表面及び外側水平表面が設定された(乙15、16。うち、杉並区、中野区、練馬区、板橋区、豊島区、北区、文京区、新宿区、世田谷区及び武蔵野市については、 これまで制限表面が設定されていなかった。)。 ⑶ 本件経路の設定及び周知国土交通大臣は、本件経路を定め、令和元年12月5日から航空路誌(AIP)により本件経路についての情報提供を行い(航空法99条1項)、同2年1月30日から適用した(甲8~14)。 本件経路は、航空法施行規則189条1項1号の「計器飛行方式による進入の方式」(着陸時)又は同号の「その他当該空港等について定められた飛行の方式」(離陸時)に該当するところ、その概要は、以下のとおりである。 ア南風時においてB滑走路から離陸する飛行経路(甲12~14、弁論の全趣旨。別紙2AIPチャート目録記載1ないし3の飛行経路) 南風時においてB滑走路から離陸する飛行経路は、RNAV方式(航空機が人工衛星を利用して自機の位置を把握して飛行する方式)によるものであり、南風時の午後3時ないし午後7時のうち3時間程度運用され、1時間当たり20便程度運航することが予定されている。 具体的には、B滑走路から離陸後、磁針路222度で高度600フィー ト以上に上昇し、その後左旋回して「HOBBS」ポイントに直行し、次いで「BASSA」ポイントへ飛行した後、「VAMOS」ポイントに向かう場合はそのまま直行し同ポイントを高度9000フィート以上で通過する(甲12)。また、「LAXAS」ポイントに向かう場合は、「BASSA」ポイントを通過後、「UMUKI」及び「PIPER」の各ポイントを高度 9000フィート以上、「SATOL」及び「IMOLA」の各ポ 。また、「LAXAS」ポイントに向かう場合は、「BASSA」ポイントを通過後、「UMUKI」及び「PIPER」の各ポイントを高度 9000フィート以上、「SATOL」及び「IMOLA」の各ポイントを 同15000フィート以上、「LAXAS」ポイントを同17000フィート以上で通過する(甲13)。「NINOX」ポイント方面に向かう場合は、「SATOL」ポイントまでは「LAXAS」ポイントに向かう場合と同様であるが、「SATOL」ポイントへ飛行した後、「CURVA」ポイントを高度15000フィート以上、「NINOX」ポイントを同17000 フィート以上で通過する。いずれも、川崎市上空を通過後、南方面に東京湾上空を飛行する(甲14)。 イ南風悪天時においてA滑走路に着陸する飛行経路(甲10、弁論の全趣旨。別紙2AIPチャート目録記載4の飛行経路)南風悪天時においてA滑走路に着陸する飛行経路は、ILS進入方式 (着陸のため進入中の航空機に対し、誘導電波を発射し、滑走路への進入コースを指示する無線施設である計器着陸装置(ILS)からの誘導電波を使用して進入する方式)により滑走路に着陸する経路であり、南風悪天時の午後3時ないし午後7時のうち3時間程度運用され、1時間当たり14便程度運航することが予定されている。 具体的には、「NATTY」ポイントを高度3000フィート以上で、「RANGY」及び「RUGBY」の各ポイントを同3000フィートでそれぞれ通過後、最終降下開始点である「RONIE」ポイントから3度の降下角で降下し、滑走路に着陸するものである。着陸までに練馬区、中野区、渋谷区、品川区等の上空を飛行する。 ウ南風好天時においてA滑走路に着陸する飛行経路(甲11、弁論の全趣旨。別紙2AIPチ で降下し、滑走路に着陸するものである。着陸までに練馬区、中野区、渋谷区、品川区等の上空を飛行する。 ウ南風好天時においてA滑走路に着陸する飛行経路(甲11、弁論の全趣旨。別紙2AIPチャート目録記載5の飛行経路)南風好天時においてA滑走路に着陸する飛行経路は、RNAV方式により滑走路に着陸する経路であり、南風好天時の午後3時ないし午後7時のうち3時間程度運用され、1時間当たり14便程度運航することが予定さ れている。 具体的には、「NATTY」及び「REMUS」の各ポイントを高度5000フィートで、「RIPOD」ポイントを同3800フィート以上でそれぞれ通過し、最終降下開始点である「RIPOD」ポイントは速度170ノットで通過するよう目安速度が設定されており、同ポイント通過後、「T6R73」、「T6R74」及び「T6R75」の各ポイントを通過 して滑走路に着陸するものである。仮に航空機が「RIPOD」ポイントを高度3800フィートで通過し、滑走路へ向け降下した場合、降下角は3.45度となる。着陸までに練馬区、中野区、渋谷区、品川区等の上空を飛行する。 エ南風悪天時においてC滑走路に着陸する飛行経路(甲8、弁論の全趣旨。 別紙2AIPチャート目録記載6の飛行経路)南風悪天時においてC滑走路に着陸する飛行経路は、ILS進入方式により滑走路に着陸する経路であり、南風悪天時の午後3時ないし午後7時のうち3時間程度運用され、1時間当たり30便程度運航することが予定されている。 具体的には、「SANDY」ポイントを高度4500フィート以上で、「LABAN」及び「LORRY」の各ポイントを同4000フートでそれぞれ通過し、最終降下開始点である「LYCOS」ポイントから3度の降下角で降下し ANDY」ポイントを高度4500フィート以上で、「LABAN」及び「LORRY」の各ポイントを同4000フートでそれぞれ通過し、最終降下開始点である「LYCOS」ポイントから3度の降下角で降下し、滑走路に着陸するものである。着陸までに練馬区、新宿区、港区等の上空を飛行する。 オ南風好天時においてC滑走路に着陸する飛行経路(甲9、弁論の全趣旨。 別紙2AIPチャート目録記載7の飛行経路)南風好天時においてC滑走路に着陸する飛行経路は、RNAV方式により滑走路に着陸する経路であり、南風好天時の午後3時ないし午後7時のうち3時間程度運用され、1時間当たり30便程度運航することが予定さ れている。 具体的には、「SANDY」ポイントを高度4500フィートで、「LYCEE」ポイントを同4000フィート以上で、「LAUDA」ポイントを同3400フィート以上でそれぞれ通過し、最終降下開始点である「LAUDA」ポイントは速度170ノットで通過するよう目安速度が設定されており、同ポイント通過後、「T6L61」、「T6L62」及び「T6L6 3」の各ポイントを通過して滑走路に着陸するものである。仮に航空機が「LAUDA」ポイントを高度3446フィートで通過し、滑走路へ向け降下した場合、降下角は3.45度となる。着陸までに板橋区、豊島区、新宿区、港区等の上空を飛行する。 ⑷ 実機飛行確認 国土交通省は、令和2年1月30日から同年3月11日にかけて、本件経路に係る管制官の運用の手順等の確認及び本件経路下に新たに設置した航空機騒音測定局の機器の調整のため、実際の運航に使用する航空機による本件経路の確認(実機飛行確認)を、南風時・北風時それぞれ7日間実施した(乙35)。 実機飛行確認における騒音測定結果は 空機騒音測定局の機器の調整のため、実際の運航に使用する航空機による本件経路の確認(実機飛行確認)を、南風時・北風時それぞれ7日間実施した(乙35)。 実機飛行確認における騒音測定結果は、取りまとめの上、同月24日に公表された。上記結果は、大型機・中型機・小型機のそれぞれについて、19の航空機騒音測定局ごとに実測値の平均を算出したものであり、最大は本件経路のうちB滑走路西向き出発経路のほぼ直下に所在する国立医薬品食品衛生研究所における87.9デシベル(大型機)であった。もっとも、実測値 の最大値は、上記騒音測定局であれば約93.5デシベルに達していたが、これは7日間に測定された騒音発生回数246回中の1回(大型機)の値であり、上記測定局について実施日ごとに算出したLden(時間帯補正等価騒音レベル。その概要については別紙5)の値は56.1デシベルないし61.8デシベルであった。なお、他の騒音測定局において上記Ldenの値 が60デシベルを超えた日のあるものはなく、50デシベルを超えた日があ るのは3局(E小学校、F小学校及びG)であった。(乙36)⑸ 事業計画変更認可及び運航計画変更認可羽田空港においては、2020年夏期ダイヤ(令和2年3月29日から同年10月24日までの期間)からの本件経路の運用等による国際線の発着枠の増枠分(1日50便)について、令和元年9月に国別の配分数が決定され た(乙21、弁論の全趣旨)。 国際航空運送協会(IATA)が指定した混雑空港である羽田空港においては、上記ダイヤについても、同協会が定める世界共通の基本ルールであるWASG(WorldAirportSlotGuidelines)に沿って発着枠の割当て(発着時刻の調整)が行われ、調整済みのダイヤを ついても、同協会が定める世界共通の基本ルールであるWASG(WorldAirportSlotGuidelines)に沿って発着枠の割当て(発着時刻の調整)が行われ、調整済みのダイヤを 記載した事業計画又は運航計画が各航空会社より申請され、令和2年3月27日付け又は同月28日付けで事業計画又は運航計画変更の認可がされた(弁論の全趣旨)。 4 争点⑴ 本件通知の処分性の有無(争点1) ⑵ 本件経路の定めについてア処分性の有無(争点2)イ原告適格の有無(争点3) 5 争点に関する当事者の主張の要旨⑴ 争点1(本件通知の処分性の有無)について (原告らの主張の要旨)昭和45年通知及び本件通知は、いずれも行政組織内の内部的行為としての性格を有するものではあるが、かかる行為であっても、当該行為により国民の具体的な権利義務ないし法律上の利益に変動を来す場合には、処分性が認められるべきものである。 しかるところ、川崎市民は、昭和45年通知及びこれに基づく運用の継続 により、「川崎石油コンビナート地域上空を飛行する航空機の墜落等の事故により自己の生命・身体を侵害されないことを期待する法的地位」という具体的な法的地位を取得していたものであり、昭和45年通知の取扱いを廃止する本件通知は、川崎市民の上記法的地位を喪失せしめるものである。 また、本件通知に引き続く具体的な処分は予定されていないため、本件通 知を取消訴訟の対象として争うことができなければ、上記具体的な法的地位の保全を求めての出訴ができないこととなり、権利救済の実効性に欠けることとなる。また、仮に、本件経路の定めを本件通知に後続する具体的処分と解したとしても、本件通知が有効である限り、新たに設定される飛行経路が川崎石油 訴ができないこととなり、権利救済の実効性に欠けることとなる。また、仮に、本件経路の定めを本件通知に後続する具体的処分と解したとしても、本件通知が有効である限り、新たに設定される飛行経路が川崎石油コンビナート地域上空を含むものとなる可能性があり、そのような 飛行経路が設定されるたびに当該飛行経路設定行為の取消訴訟を提起しなければならないとするのは余りに酷である。 以上のとおり、本件通知により、川崎市民の具体的な法的地位に変動が生じており、本件通知そのものを争わなければ権利救済が図り得ないため、本件通知には処分性が認められるものというべきである。 (被告の主張の要旨)昭和45年通知の発出は、東京航空局長から東京国際空港長に対し、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務における運用上の配慮を求めるために行われた作用法上の根拠を持たない行政組織内の内部行為であり、国民の法律上の地位ないし権利義務関係に直接的な影響を及ぼすものではな い。昭和45年通知の内容を変更するにすぎない本件通知もまた同様である。 加えて、本件通知は、昭和45年通知による飛行の制限を一部緩和するにとどまるものであり、本件通知により川崎石油コンビナート地域を飛行しなければならないとの具体的な義務が航空機に生ずるものではないし、仮にそのような義務が生ずるとしても、その義務は特定の者を対象とするものでは なく、一般的抽象的なものにすぎない。 以上によれば、本件通知に処分性は認められないものというべきである。 ⑵ 争点2(本件経路の定めの処分性の有無)について(原告らの主張の要旨)飛行経路が設定されることにより、航空機の乗組員は当該飛行経路を飛行する義務を負い(航空法83条本文、154条1項2号)、管制官の指示(同 の処分性の有無)について(原告らの主張の要旨)飛行経路が設定されることにより、航空機の乗組員は当該飛行経路を飛行する義務を負い(航空法83条本文、154条1項2号)、管制官の指示(同 法96条1項)も基本的には当該飛行の方式に従うよう行われるため、実質的には、本件経路の定めは、航空機の乗組員らに対して飛行経路を設定するものである。そうすると、本件経路の定めの時点で、航空機の乗組員に対する具体的な効果が生じているといえる。 また、自衛隊機の運航に関する防衛庁長官の権限の行使につき処分性を認 めた最高裁昭和62年(オ)第58号平成5年2月25日第一小法廷判決・民集47巻2号643頁及び最高裁平成27年(行ヒ)第512号・第513号同28年12月8日第一小法廷判決・民集70巻8号1833頁(以下、これらを併せて「各厚木基地最高裁判決」という。)の射程は本件にも及ぶところ、本件経路の定めは、本件経路周辺住民に対し、航空機が飛行する以 上避けることのできない騒音被害や墜落ないし部品の落下事故から生ずる生命、身体等への重大な法益侵害の危険性を受忍すべき義務を課している。 さらに、航空法96条1項に基づく管制官の指示のたびに取消訴訟ないし差止訴訟を提起するのは合理的でなく、権利救済の実効性を欠く。 以上によれば、本件経路の定めは、航空機の乗組員ないし本件経路周辺住 民に対する直接的かつ具体的な効果を有するものであり、これを争わなければ権利救済の実効性に欠けることになるから、処分性があるというべきである。 (被告の主張の要旨)ア航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設 定行為は、航空機が航行の際に従うべき基準を空港等ごとに定めるもので あり、その文言上、対象となる航空機は )ア航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設 定行為は、航空機が航行の際に従うべき基準を空港等ごとに定めるもので あり、その文言上、対象となる航空機は特定されていない。そして、飛行経路の設定がされれば、その時点で、将来にわたり当該空港等を利用する全ての航空機の乗組員に対して、かかる飛行経路の設定行為の効果が及ぶこととなる。そうすると、飛行経路の設定行為は、不特定多数の航空機乗組員を対象としたものといわざるを得ない。 そして、航空法83条、97条(飛行計画の通報・承認)及び96条(航空交通の指示)は相互に機能することで一体となって航空の安全に寄与するものであるところ、航空法83条本文並びに同法施行規則189条2項及び同条1項1号に基づく飛行経路の設定時点においても、同法97条1項に基づく飛行計画(その記載事項に「飛行の方式」は含まれていな い。)の承認の時点においても、各航空機がいかなる飛行の方式を使用するかは定まっていない。いずれの飛行の方式により飛行するかが個別具体的に定まるのは、管制官が、航空法96条1項に基づき、時間帯や風向き、天候等を勘案し、当該航空機の乗組員に対して適切な飛行の方式を指示した時点である。 このように、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設定行為は、一般的規範を定立したものにすぎず、その効果は一般的・抽象的なものにとどまるというべきである。 イまた、民間機の運航は自衛隊機の運航と異なるのであって、自衛隊機の運航に係る各厚木基地最高裁判決の射程は本件に及ばない。 航空法83条、97条及び96条は専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めた規定であるところ、上記各規定は、飛行場周辺住民に対す 木基地最高裁判決の射程は本件に及ばない。 航空法83条、97条及び96条は専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めた規定であるところ、上記各規定は、飛行場周辺住民に対する騒音等による被害を防止することは要求しておらず、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が飛行場周辺住民に「一定程度」以上の騒音被害を受けない利益を保障していると解したり、「一定程 度」以下の騒音被害を受忍すべき義務を課していると解したりすることは できない。 ウそして、飛行経路の設定行為は、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を画定するものではないから、そもそも取消訴訟によって救済すべき具体的な「権利(ないし法律上の地位)」は認められず、実効的な権利救済の必要性を述べる原告らの主張は失当である。 エ以上によれば、本件経路の定めに処分性は認められないというべきである。 ⑶ 争点3(本件経路の定めについての原告適格の有無)について(原告らの主張の要旨)ア騒音被害について 国際民間航空条約の第16附属書は、航空機騒音及び航空機エンジン排出物に対する標準及び勧告方式を定めるものであるところ、航空法1条の「航空機の航行に起因する障害の防止」には、航空機の騒音による障害の防止が含まれる。実際に、同法は、原則として、有効な耐空証明を受けている航空機でなければ航空の用に供してはならない旨を定め (11条1項)、耐空証明がされるためには、騒音の基準等に適合している必要があると定めている(10条4項2号)。 また、関係法令である航空機騒音防止法は、飛行場周辺住民が航空機の騒音を受けない利益を保護することを目的とするところ(1条)、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項により定められた飛行 )。 また、関係法令である航空機騒音防止法は、飛行場周辺住民が航空機の騒音を受けない利益を保護することを目的とするところ(1条)、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項により定められた飛行経 路は、航空機騒音防止法3条1項に基づき、騒音被害を防止するために変更され得るものである。また、環境基本法は、騒音について、政府に対し、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定め、その基準が確保されるように努めることを求めている(16条1項、4項)。 これらのことからすれば、航空法83条本文及び同法施行規則189 条2項が、飛行経路周辺住民の騒音被害を受けない利益を保障していることは明らかである。 本件経路は夕方の国際線の出発及び到着の需要の集中が見込まれる(乙25)午後3時ないし午後7時のうち実質3時間という短時間しか運用されておらず、間欠的に騒音暴露が繰り返されているわけではない。 そして、1日に発生する騒音の暴露量の合計値が少なく、夕方や夜間については本件経路における航行が問題とならない以上、24時間の平均騒音レベルも小さくなるため、Ldenで評価すると実態を全く反映しない数値が算出されることとなる。そのため、本件経路に係る航空機騒音をLdenで評価することは適切でなく、その航空機騒音は、原告ら 居住地屋外で騒音が生じた際の瞬間値(最大値)で評価すべきである。 ここで、騒音規制法や川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例(甲100)、東京都都民の健康と安全を確保する環境に関する条例68条(別表第7)及び136条(別表第13)(甲55、101)は、本件経路に係る航空機騒音の程度を評価する際にも重要な指針となると ころ、これらの基準によれば、本件におい る環境に関する条例68条(別表第7)及び136条(別表第13)(甲55、101)は、本件経路に係る航空機騒音の程度を評価する際にも重要な指針となると ころ、これらの基準によれば、本件において航空機騒音が生ずる時間及び住居地域の基準値は、最大でも50デシベルである。また、環境基本法16条1項に係る環境省の告示「騒音に係る環境基準」(甲54)の場合、基準値が一番大きい商業、工業等の用に供される地域でも、その値は60デシベル以下となっている。 そして、騒音の影響は、45デシベルで安眠の妨害、60デシベルで会話の妨害、80デシベルで聴力喪失がそれぞれ生ずる限界であり、騒音レベルが55ないし60デシベルを超えると、尿中ホルモン量や血液成分の変化等の生理的影響が出現し、会話妨害度が顕著となり、不快感を訴える者が50%を超すとされる(甲53)。 これらのことからすれば、少なくとも50デシベルを上回る航空機騒 音は、当該騒音の被害を受ける市民の健康に悪影響を及ぼすものであるといえ、本件において、航空機により50デシベルを超える騒音被害を受けている者には原告適格が認められると解すべきである。 これを原告らについてみるに、別紙6原告ら主張整理表「原告居住地屋外での推定騒音最大値」欄の値(被告が公表している各騒音測定局で 測定された実測値中の最大値を元に、原告らの住所地から最寄りの騒音測定局までの距離を考慮して推計した値)はいずれも50デシベルを超えているのであるから、原告らには原告適格が認められる。 イ墜落・落下物の被害について国際民間航空条約の第2附属書(3.1.2及び3.1.4)は地上 にいる住民の安全を確保する目的で定められた規定であるところ、航空法1条の「航空機の航行に起因する障害の防止 の被害について国際民間航空条約の第2附属書(3.1.2及び3.1.4)は地上 にいる住民の安全を確保する目的で定められた規定であるところ、航空法1条の「航空機の航行に起因する障害の防止」には、地上にいる住民の安全確保が含まれる。実際に、航空法には、地上にいる住民の諸権利利益を意識した規定が複数存在する(10条、80条、81条、89条、91条1項1号等)。 そして、航空法83条は「他の航空機又は船舶との衝突を予防し、並びに空港等における航空機の離陸及び着陸の安全を確保する」ことを目的とするものであるところ、これは、他の航空機又は船舶との衝突や航空機の離陸及び着陸の失敗が生ずれば、その乗客や乗組員のみならず、地上の人々の生命、身体、財産等に対して重大な損害を及ぼすことが想 定されるために規定されているものと解される。 これらのことからすれば、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項の目的が、航空機の部品の落下や墜落から地上にいる住民の安全を確保する趣旨を含んでいることは明らかである。 そして、ICAO(国際民間航空機関)作成に係るアジア太平洋地域 における平成27年から令和元年までの5年間の事故統計において、死 亡事故は離陸時及び着陸時に突出して生じているなど、航空機の部品の落下や墜落事故は特に離着陸時に発生しやすいといえ(その原因としては、航空機そのものが不安定になること、短時間に多くのタスクが集中すること、管制官とのやり取りで注意力がそがれることなどが挙げられている。)、クリティカル・イレブンミニッツ(離陸後3分と着陸前8 分の合計11分間に航空機事故が発生する頻度が高いことを示す概念)とも称されている。また、過去の墜落事故の事案や、航空機に付着していた可能性のある氷塊等の落 ブンミニッツ(離陸後3分と着陸前8 分の合計11分間に航空機事故が発生する頻度が高いことを示す概念)とも称されている。また、過去の墜落事故の事案や、航空機に付着していた可能性のある氷塊等の落下物により建造物等が損壊した事案に照らすと、ひとたび事故が発生すれば、地上にいる住民の生命、身体、財産に甚大な被害が生ずることは明らかである。そうすると、飛行経路周辺 住民の上記利益は、一般的公益の中に吸収解消されてしまうものではなく、公益と並んで、個々の住民の個別的利益としても保護されているものと解すべきである。 本件経路で採用されているRNAV1という飛行方式は、標準の経路からの±1海里(1852m)の誤差を許容するものであり、また、平 成29年9月に関西国際空港周辺で発生した部品落下事故によれば、航空機からの落下物は、推定飛行経路から約3700m離れた地点に落下し得ることが認められる。そうすると、本件経路から5552m(=1852m+3700m)以内においては、墜落ないし部品等の落下事故に遭遇する蓋然性があり、少なくとも当該範囲内に居住する住民には原 告適格が認められるというべきである。 しかるところ、原告らはいずれも本件経路直下から5552m以内に居住しているため、原告らには原告適格が認められるというべきである。 なお、川崎石油コンビナート地域の危険性との関連における原告適格の判断に当たっては「川崎市臨海部防災対策計画」の内容が参照される べきであるところ、同計画における大規模災害発生時の避難対象地域は、 原告らのうち川崎市に居住する者の居住地域を含むものであり、航空機が川崎石油コンビナート地域に墜落すれば大規模災害に近似した被害が生じ得るため、これらの原告らについては、この点においても 原告らのうち川崎市に居住する者の居住地域を含むものであり、航空機が川崎石油コンビナート地域に墜落すれば大規模災害に近似した被害が生じ得るため、これらの原告らについては、この点においても原告適格が認められるというべきである。 ウ排気ガスの被害について 国際民間航空条約の第16附属書は環境保護として航空機騒音及び航空機エンジン排出物に対する標準及び勧告方式を定めるものであるところ、航空法1条の「航空機の航行に起因する障害の防止」には、航空機のエンジン排出物による障害の防止が含まれている。実際に、同法は、航空機は、原則として、有効な耐空証明を受けているものでなければ航 空の用に供してはならない旨を定め(11条1項)、耐空証明がされるためには、排出物の基準等に適合している必要がある旨を定めている(10条4項3号)。 また、関係法令に当たる環境基本法は、大気の汚染について、政府に対し、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されること が望ましい基準を定め、その基準が確保されるように努めることを求めている(16条1項、4項)。 これらのことからすれば、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が、飛行経路周辺住民の航空機による大気汚染の被害を受けない利益を保障していることは明らかである。 しかるところ、航空機の通過に対応してNO(一酸化窒素)及びPM2.5濃度が顕著に上昇する傾向がみられ、航空機から大量のナノ粒子が排出されていることが確認されていることからすれば、その被害は甚大であるといえる。 そして、着陸時直前数分前のジェット旅客機から外気に放出される大 気汚染物質は時速200ないし300km前後のスピードで大気に放出 され、飛行経路周辺に広範にばらまかれるため る。 そして、着陸時直前数分前のジェット旅客機から外気に放出される大 気汚染物質は時速200ないし300km前後のスピードで大気に放出 され、飛行経路周辺に広範にばらまかれるため、原告らに原告適格が認められることは明らかである。 (被告の主張の要旨)ア原告らに原告適格が認められるには、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項において、原告らが主張する航空機の墜落、部品落下及び 騒音被害等の防止の利益が個別的利益として保護されている必要がある。 イ騒音被害について仮に航空法1条規定の「航空機の航行に起因する障害」に航空機の騒音による障害が含まれているとしても、同法83条本文及び同法施行規則189条2項は、同法97条及び96条と相互に機能することで一体となっ て、専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めることを求める規定にすぎず、その審査に当たり具体的な運航の内容に係る審査を行うことは想定されていない。 そのため、騒音による被害を免れるという利益は、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設定行為との関係では、 反射的な利益又は事実上の利益にとどまるものである。 なお、原告らは、本件経路に係る航空機騒音についてLdenで評価することは適切でない旨主張するが、他の一般騒音と比較した航空機騒音自体の特徴として、間欠的に騒音暴露が繰り返されるという点が挙げられるから、かかる航空機騒音の評価手法としては、エネルギー積分により1日 の騒音総量暴露量を評価する手法であるLdenを用いることが適切である。 ウ墜落・落下物の被害について航空法は、「航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法」(1条)を個別具体的に定めるも 手法であるLdenを用いることが適切である。 ウ墜落・落下物の被害について航空法は、「航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法」(1条)を個別具体的に定めるものとして、80条、8 1条、89条、91条1項1号等において、それぞれ異なる見地から航空 機の運航に係る制限等を定めているのであり、同法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設定行為に当たっては、上記諸規定において考慮されるべき利益まで含めて審査すべきものとはいえない。 同法83条本文及び同法施行規則189条2項は、前記イのとおり、専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めることを求め る規定にすぎず、墜落等の事故による被害を免れるという利益は、飛行経路の設定行為との関係では、反射的な利益又は事実上の利益にとどまるものである。 なお、墜落及び落下物の危険性に関する原告らの主張は、正確性や事実の裏付けを欠くものである。例えば、ICAO作成に係るアジア太平洋地 域における事故統計のうち、平成26年から同30年までのもの、平成25年から同29年までのもの、平成24年から同28年までのものによれば、死亡事故の発生件数は、離陸時及び着陸時において特に高いとはいえない。また、原告らが指摘する令和4年3月13日の氷塊の落下事案も、当該氷塊が航空機から落下したものであると認定するに足りる証拠はない。 エ排気ガスの被害について航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が、同法97条及び96条と相互に機能することで一体となって、専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めることを求める規定にすぎないのは前記イ及びウのとおりであり、排気ガスによる被害を免れるという利益が、 と相互に機能することで一体となって、専ら航空交通の安全を考慮するという見地から航行方法等を定めることを求める規定にすぎないのは前記イ及びウのとおりであり、排気ガスによる被害を免れるという利益が、 同法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の設定行為との関係で保護されているものとは認められない。 オ以上によれば、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項は、航空機の墜落、部品落下及び騒音被害等からの生命、身体の安全等の利益を、飛行経路周辺住民の個別的利益として保護すべきとする趣旨を含むものと 解することはできず、原告らには原告適格が認められない。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件通知の処分性の有無)について⑴ 判断枠組み処分の取消しの訴えの対象となるのは、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する行為、すなわ ち、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和28年(オ)第1362号同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁、最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参 照)。 ⑵ 検討本件通知は昭和45年通知の内容を変更する旨の通知であるところ、昭和45年通知は、旧運輸省設置法55条の2第7号の規定により航空交通管制に関する事務を分掌する地方航空局の長である東京航空局長から、同法55 条の6の規定により設置された地方航空局の事務所である空港事務所の長として羽田空港を所管する東京国際空港長(旧空港事務所等組織規則5条1項並びに13条1号及び ある東京航空局長から、同法55 条の6の規定により設置された地方航空局の事務所である空港事務所の長として羽田空港を所管する東京国際空港長(旧空港事務所等組織規則5条1項並びに13条1号及び8号の規定により、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務に関する事務を分掌している。) に対して運用上の配慮を求める趣旨で発出された通知であって、航空法80条に基づく飛行の禁止区域 の指定等とは異なり、作用法上の根拠を持たない行為にすぎないものと解され、現に、昭和45年通知の内容に係る航空法施行規則173条に基づく飛行禁止区域等の告示もされていないことが認められる(弁論の全趣旨)。したがって、川崎市民が昭和45年通知によって原告ら主張に係る「川崎石油コンビナート地域上空を飛行する航空機の墜落等の事故により自己の生命・ 身体を侵害されない」といった法的に保障された地位を取得することもなく、 かかる期待を仮に抱いていたとしても、それは飽くまでも事実上の期待にすぎないものというほかはない。また、本件通知や昭和45年通知が専ら行政機関内部における行為である以上、外部の者による期待が本件通知や昭和45年通知それ自体により直接的かつ具体的な影響を受けるものとも認められない(現に、昭和45年通知によっても、「原則として」川崎石油コンビナ ート地域上空の飛行を避けるべきものとされていたにとどまる上、その飛行につき航空法80条ただし書のように行政庁からの許可がなければならないなどとされていたわけでもない。)。 したがって、本件通知は、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず、処分性を有しないもの というべきである。 この点につき、原告らは、本件通知に処分性が認められない 、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず、処分性を有しないもの というべきである。 この点につき、原告らは、本件通知に処分性が認められないとすれば、川崎石油コンビナート地域上空を含む飛行経路が設定されるたびに当該飛行経路設定行為の取消訴訟を提起しなければならないこととなり、権利救済の実効性を欠く旨主張する。しかしながら、仮に原告ら主張のとおり飛行経路設 定行為に処分性が認められるとすればその取消判決には拘束力が認められるはずであるし、そもそも、上記のとおり、原告らが主張する昭和45年通知に基づく期待は事実上のものにすぎず、川崎市民の具体的な権利に昇華しているとまでは認められないのであるから、権利救済の実効性をいう原告らの主張はその前提を欠くものであって、いずれにせよ採用することができない。 なお、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の定めの効力を争うためにその取消訴訟を提起するよりも適切な方法が考えられることも、後記2⑶において説示するとおりである。 2 争点2(本件経路の定めの処分性の有無)について⑴ 航空機乗組員との関係について ア前記関係法令の定め等によれば、本件経路の定めは、航空機が航行する に当たって原則として従うべき「基準」を空港等ごとに定立するものである(航空法施行規則189条1項柱書き本文)。そのため、本件経路は、それが定められた時点のみならず、将来にわたり羽田空港を利用する不特定多数の航空機の乗組員に対して反復継続的に適用されることが予定されているものであるといえる。そうすると、本件経路の定めが、その対象の 特定性を欠く一般的な規範の定立行為という性質を有することは否定し得ない。 イまた て反復継続的に適用されることが予定されているものであるといえる。そうすると、本件経路の定めが、その対象の 特定性を欠く一般的な規範の定立行為という性質を有することは否定し得ない。 イまた、仮に本件経路が定められた時点における航空機の乗組員に対する効果に絞って検討したとしても、本件経路の定めは、当該乗組員の個別具体的な権利義務に直接影響を及ぼすものとはいえない。 すなわち、本件経路は「計器飛行方式による進入の方式その他当該空港等について定められた飛行の方式」の一つであるところ、本件経路の定めの時点では、その対象となるべき羽田空港を利用する航空機さえ特定されていない。すなわち、計器飛行方式により羽田空港に進入し又は羽田空港から離陸する航空機は、国土交通大臣に飛行計画を通報し、その承認を受 けなければならないところ(航空法97条1項)、この承認により、羽田空港に進入し又は羽田空港から離陸する航空機が初めて具体的に特定されることとなるのである。しかしながら、この時点においてもなお、本件経路を利用する航空機は特定されていない。けだし、①羽田空港において航空機がどのような飛行経路により離着陸をするかを定めるのは、時間帯、 風向き、天候等を勘案して管制官が行う航空法96条1項に基づく指示(進入許可、離陸許可)であり、この指示は、国土交通大臣が定めた飛行経路と異なる飛行経路を指定するものであることがあり得る(航空法施行規則189条1項柱書き)上、②航空機は、他の航空機が発動機の故障、燃料の欠乏その他緊急の状態にあることを知ったときは、指定された飛行 経路等にかかわらず、当該他の航空機がとる緊急措置を妨げないように航 行しなければならない(同法施行規則191条)ためである。なお、羽田空港においては、複数 ときは、指定された飛行 経路等にかかわらず、当該他の航空機がとる緊急措置を妨げないように航 行しなければならない(同法施行規則191条)ためである。なお、羽田空港においては、複数の進入ないし離陸の方式が定められているため、管制官が国土交通大臣により定められた飛行経路を指定する場合であっても、そのいずれの飛行経路を指定するかをその都度選択する必要がある(乙57参照)。 以上によれば、ある航空機が羽田空港における離着陸に際して上記飛行経路のうち本件経路を利用するか否かは、最終的にはその航行中に初めて決まるものというほかはなく、このように、本件経路の定めの時点においては、いずれかの航空機が本件経路を利用するか否かはなお不明であるといわざるを得ない。 そうすると、本件経路の定めの時点における航空機の乗組員に限ってみても、当該乗組員が負う義務は、羽田空港における離着陸の際に管制官に指定されたいずれかの飛行経路を飛行しなければならない蓋然性が高く、かつ、当該飛行経路の選択肢には本件経路が含まれるという抽象的なものにとどまり、本件経路の定めが具体的な個々の航空機乗組員に対してその 飛行経路を実質的に設定するものとまでいうことはできないものというほかはない。 したがって、本件経路の定めは、国民の個別具体的な権利義務に直接影響を及ぼすとはいえず、処分性は認められないものというべきである。 ウこの点につき、原告らは、告示により一括して指定する方法でされた建 築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定につき処分性を認めた最高裁平成10年(行ヒ)第49号同14年1月17日第一小法廷判決・民集56巻1号1頁(以下「平成14年判決」という。)によれば、本件経路の定めにも処分性が認められる旨主張する。 処分性を認めた最高裁平成10年(行ヒ)第49号同14年1月17日第一小法廷判決・民集56巻1号1頁(以下「平成14年判決」という。)によれば、本件経路の定めにも処分性が認められる旨主張する。 しかしながら、建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定 は、一括指定による場合でもあっても具体的な個々の道路を対象としてお り、その指定の効果が及ぶ道路の敷地所有者は指定の時点で特定されている上、その時点で既に当該道路につき道路内の建築等が制限され(建築基準法44条)、私道の変更又は廃止が制限される(同法45条)等の具体的な私権の制限を受けることになる。このように、一括指定によるみなし道路の指定は、個々の道路に関し、多数ではあっても特定の権利者の具体 的権利義務に直接影響を及ぼすものということができる。 一方、航空法83条本文並びに同法施行規則189条2項及び同条1項1号に基づく飛行経路の定めは、前記ア及びイのとおり、その定めの時点では対象が不特定であり、かつ、個人の具体的権利義務に直接影響を与えるものとも認められない。そうすると、上記飛行経路の定めは、一括指定 によるみなし道路の指定とはその性質を明らかに異にするものと解される。 したがって、平成14年判決は本件とは本質的に事案を異にするものといわざるを得ず、参考とすることができないものというほかはないから、原告らの上記主張は採用することができない。 エ以上によれば、本件経路の定めは、航空機乗組員との関係という観点か らみて、処分性を有するものとは認められないというべきである。 ⑵ 本件経路周辺住民との関係についてア原告らは、本件経路の定めは、本件経路周辺住民に騒音被害を受忍すべき義務を課しており、また、墜落や落下物の被害から生ずる生命、身 れないというべきである。 ⑵ 本件経路周辺住民との関係についてア原告らは、本件経路の定めは、本件経路周辺住民に騒音被害を受忍すべき義務を課しており、また、墜落や落下物の被害から生ずる生命、身体等への重大な法益侵害の危険性を本件経路周辺住民に負わせているため、処 分性を有するものである旨主張する。 イこの点につき、航空法によれば、航空機は原則として耐空証明(10条)を受けなければ航空の用に供してはならず(11条)、騒音に関して航空機が耐空証明を受けるには、航空機の種類、装備する発動機の種類、最大離陸重量の範囲その他の事項が国土交通省令で定めるものである航空機に あっては、国土交通省令で定める騒音の基準に適合すると認められる必要 があり(10条4項(2号に係る部分))、安全性に関して航空機が耐空証明を受けるためには、国土交通省令で定める安全性を確保するための強度、構造及び性能についての基準に適合すると認められる必要等がある(同項(1号に係る部分))。そうすると、航空法は、騒音の防止や安全性確保の観点から、およそ航空機を航空の用に供するために一定の基準等 を満たすことを要求しているものとみるべきであり、いかなる者に対してもこの基準等を超えて騒音被害や生命・身体に対する被害を受忍すべき義務を課しているとは解し難いものというべきである。加えて、航空機が耐空証明を受けるために必要な基準等によって保護されている対象が特定の飛行経路や飛行場に近接した地域に居住する者に限られていると解するこ とも一般に困難というほかはない。 また、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づき定められた飛行経路が利用される頻度は飛行経路ごとに区々であって、飛行経路周辺住民が被る騒音被害の程度や墜落・落下物の被害が生ず はない。 また、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づき定められた飛行経路が利用される頻度は飛行経路ごとに区々であって、飛行経路周辺住民が被る騒音被害の程度や墜落・落下物の被害が生ずる可能性の程度もまた飛行経路により異なるものとなる上、前記⑴でみたとおり、管制 官が具体的状況の下で個別の航空機に対してこれらと異なる飛行経路を指定する可能性や、航空機が他の航空機がとる緊急措置を妨げないように管制官から指定された飛行経路を外れて航行しなければならない可能性も常に存在する。 そうすると、上記飛行経路の定めも、飛行経路周辺住民に対し、他の者 と区別して特に一定程度の騒音被害等の受忍を義務付けたり、墜落・落下物の被害による生命、身体等への危険を負わせたりするものとはいえないものというほかはない。このことは、航空法において、上記飛行経路の定めに当たり飛行経路周辺住民の手続保障に関する制度を定めていないことからもうかがわれるところである。 なお、実際に、本件経路の運用により、航空機騒音防止法8条の2にお ける第一種区域に該当するLden62デシベルの騒音にさらされる住宅は存在しないとの調査結果が報告されており(乙50)、また、本件経路周辺住民が他から区別される程度に墜落・落下物の被害による生命、身体等への危険を負っているものとは認められないことは、後記3⑶のとおりである。 以上によれば、本件経路の定めは、本件経路周辺住民に騒音被害等を受忍すべき義務を課すものとは認められない。そうすると、本件経路の定めは、本件経路周辺住民との関係という観点からみても、処分性を有するとは認められないものというべきである。 ウこれに対し、原告らは、自衛隊機の運航に関する防衛庁長官の権限の行 使につき処分 は、本件経路周辺住民との関係という観点からみても、処分性を有するとは認められないものというべきである。 ウこれに対し、原告らは、自衛隊機の運航に関する防衛庁長官の権限の行 使につき処分性を認めた各厚木基地最高裁判決の射程は本件に及ぶ旨主張する。 しかしながら、各厚木基地最高裁判決において問題となった自衛隊機については、一般の航空機と異なる特殊の性能、運行及び利用の態様等が要求されるため、航空法の規定の適用は耐空証明(11条)を含めて大幅に 除外されており(自衛隊法107条5項)、また、自衛隊機の運航は、我が国を取り巻くその時々の安全保障環境等に左右される部分が多く、必ずしも一定の計画や一定の経路に沿って実現されるものではない。そのため、自衛隊機の運航により飛行場周辺住民が被る騒音被害の性質及び程度は、一般の航空機による騒音被害のそれとでおのずから異なるものと解される。 また、自衛隊機の運航は、内閣総理大臣の指揮監督を受けてその運航を統括する権限を有する防衛大臣からの段階的な職務命令に基づき行われる自衛隊機の運航それ自体という事実行為で構成されたものであるのに対し、一般の航空機の運航においては、その運航に先立ち、管制官の指示(航空法96条1項)の処分等が予定されており、自衛隊機の運航と一般の航空 機の運航は、その仕組みを異にするものである。 以上のとおり、自衛隊機の運航と一般の航空機の運航は、その仕組みも飛行場周辺住民が被る被害の性質及び程度も異なるものであり、かかる事実的及び法的前提を異にする以上、各厚木基地最高裁判決の射程が本件に当然に及ぶということはできない。原告らの上記主張は、採用することができない。 ⑶ 原告らのその他の主張について前記⑴及び⑵のとおり、本件経路の定めに 、各厚木基地最高裁判決の射程が本件に当然に及ぶということはできない。原告らの上記主張は、採用することができない。 ⑶ 原告らのその他の主張について前記⑴及び⑵のとおり、本件経路の定めには処分性が認められないものと解されるが、原告らは、本件経路の定めを争うことができなければ個別の管制官の指示を争うなどするほかなく、航空機乗組員ないし本件経路周辺住民の権利救済の実効性に欠ける旨主張する。 しかしながら、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の定めの効力を争うためには、少なくとも、その経路の定めに引き続く飛行計画の承認(航空法97条1項)や指示(同法96条1項)についての差止訴訟を提起することや、公法上の法律関係に関する確認の訴えを提起する余地があるものと解される(最高裁平成23年(行ツ)第177号、 第178号、同年(行ヒ)第182号同24年2月9日第一小法廷判決・民集66巻2号183頁参照)。その一方、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の定めについて処分性を認めると、後続の航空法97条1項に基づく飛行計画の承認や同法96条1項に基づく指示についての抗告訴訟において、原則として上記飛行経路の定めの効力を争うこと ができなくなることからも、その出訴期間経過後に当該飛行経路の定めの効果を受ける者の権利救済との関係で困難が生ずることとなり、紛争の対象の選択としておよそ適切とはいい難いものというべきである。また、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の定めは、告示等によらず、航空機乗組員に対する情報提供という形で行われるものであるた め(航空法99条1項。本件経路も、第2の冒頭及び同3⑶で摘示したとお り、令和元年12月5日に 定めは、告示等によらず、航空機乗組員に対する情報提供という形で行われるものであるた め(航空法99条1項。本件経路も、第2の冒頭及び同3⑶で摘示したとお り、令和元年12月5日に航空機乗組員向けの航空路誌(AIP)に掲載され、同2年3月29日の運用開始に先立って同年1月30日から適用されたものである。)、特に本件経路周辺住民との関係において、必ずしも本件経路が定められたことを適時に認識し得るものとは限らない(なお、これに対し、航空機騒音防止法3条1項による航行の方法の指定は、告示によってさ れ、その際、関係地方公共団体の長からの意見聴取等が必要とされていること(40条1項)などからして、利益状況は大きく異なるものと考えられる。)。 これらのことからすれば、実効的な権利救済のために本件経路の定めを抗告訴訟の対象として取り上げることが必ずしも合理的であるとはいえず、原 告らの上記主張は採用することができない。 3 争点3(本件経路の定めの原告適格の有無)について事案に鑑み、原告らに原告適格が認められるかについても検討する。その際、本件経路の定めに処分性が認められると仮定して論を進めることとする。 ⑴ 判断枠組み 行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させる にとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保 体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させる にとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 そして、処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有 無を判断するに当たっては、当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し、この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し、当該利益の内容及び性質を考慮するに 当たっては、当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項、最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 ⑵ 検討-騒音 前記⑴の見地から、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の指定につき、飛行経路周辺住民が、当該飛行経路を航行する航空機の騒音により障害を受けることを理由として、その取消しを求める原告適格を有するか否かを検討する。 ア航空法は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択さ れた標準、方式及び手続に準拠して、「航空機の航行に起因する障害」の防止を図ることをその直接の目的の一つとしている(1条)。この目的は、同条約の第16附属書として採択され 附属書として採択さ れた標準、方式及び手続に準拠して、「航空機の航行に起因する障害」の防止を図ることをその直接の目的の一つとしている(1条)。この目的は、同条約の第16附属書として採択された航空機騒音に対する標準及び勧告方式に準拠して、航空法の一部改正(昭和50年法律第58号)により、航空機騒音の排出規制の観点から航空機の型式等に応じて定められた騒音 の基準に適合した航空機につき、運輸大臣がその証明を行う騒音基準適合証明制度に関する規定が新設された際に新たに追加されたものであるとの経緯からすれば、上記「航空機の航行に起因する障害」に航空機の騒音による障害が含まれることは明らかである。 また、国土交通大臣は、航空機騒音防止法3条に基づき、公共用飛行場 周辺における航空機の騒音による障害の防止・軽減のために必要があると きは、当該飛行場において航空機が離陸し、又は着陸することができる経路又は時間その他当該飛行場及びその周辺における航空機の航行方法の指定をする権限を有している。 このように、本件経路の定めは航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づくものではあるが、国土交通大臣が同項に基づき定めた飛 行経路の運用は、航空機騒音防止法3条に基づき、航空機の騒音による障害の防止等の観点から、同一の行政機関である国土交通大臣によって変更され得るものである。そして、前記第2の2によれば、本件経路の定めに当たっては、首都圏空港小委員会等において周辺地域への騒音影響等を考慮した議論が行われ、その後も、関係自治体等に対する騒音を含む環境影 響に関する情報提供や、本件経路の飛行高度の引上げ、便数の削減等による騒音軽減措置が実施されていることから、実際にも、航空法に基づく飛行経路の定めの段階で、騒音障害の 対する騒音を含む環境影 響に関する情報提供や、本件経路の飛行高度の引上げ、便数の削減等による騒音軽減措置が実施されていることから、実際にも、航空法に基づく飛行経路の定めの段階で、騒音障害の有無及び程度が考慮されていることが認められる。 そうすると、国土交通大臣が航空法83条本文及び同法施行規則189 条2項に基づき飛行経路を定めるに当たっては、航空法1条の目的はもとより、関連法規である航空機騒音防止法に基づく航空機の騒音による障害の防止の趣旨をも踏まえることが求められているものと解すべきである。 このような航空法83条本文及び同法施行規則189条2項の趣旨・目的に加え、航空機の騒音による障害の及ぶ範囲が飛行経路周辺の一定の範 囲の住民に限定され、その障害の程度は居住地域が飛行経路に接近するにつれて増大するという航空機の騒音による障害の性質等を考慮すれば、同項は、単に飛行経路周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行経路周辺住民が航空機の騒音によって著しい障害を受けないという利益を、これら個々人の個別的利益としても保護すべき とする趣旨を含むものと解するのが相当である。 したがって、本件経路の周辺に居住していて、航空機が本件経路を飛行する結果、騒音の程度、本件経路の一日の利用回数、利用時間帯等からして、本件経路を飛行する航空機の騒音によって新たに又は従前以上に社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、本件経路の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有 するものと解するのが相当である。 イここで、航空機騒音は、広帯域雑音に周期的な音が重なった間欠的な音であり、地上の騒音源に比べて桁違いに音源パワーが大きいなどの特性 おける原告適格を有 するものと解するのが相当である。 イここで、航空機騒音は、広帯域雑音に周期的な音が重なった間欠的な音であり、地上の騒音源に比べて桁違いに音源パワーが大きいなどの特性があるため、その特性を考慮した航空機騒音の評価指標として、従前、我が国では、WECPNL(加重等価平均感覚騒音レベル)という評価 指標が用いられてきた(乙81~84)。我が国におけるWECPNLとは、簡単にいえば、航空機1機ごとの知覚騒音レベル(やかましさ)を表す評価指標(PNL)の値に、純音補正及び継続時間補正を加え、騒音発生時間帯を考慮して夕方及び夜間における騒音に対する重み付けを行ったものである(乙82)。 WECPNLを我が国における航空機騒音の評価方法として初めて採用したのは、公害対策基本法9条1項を受けて昭和48年12月に告示された「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第154号。以下「昭和48年環境基準」という。なお、昭和48年環境基準は、平成5年に環境基本法が公布、施行されたことに伴い、同法 16条1項所定の基準の一つとなった。)である。 昭和48年環境基準は、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい航空機騒音に係る基準及びその達成期間を定めるものであり、専ら住居の用に供される地域(地域の類型Ⅰ)については70WECPNL以下、それ以外の地域であって通常の生活を 保全する必要がある地域(地域の類型Ⅱ)については75WECPNL 以下とされていた(甲144)。なお、地域の類型は、公害対策基本法9条(環境基本法16条2項)に従い、都道府県知事により指定されるものである。 昭和48年環境基準は、平成19年環境省告示第114号により改正され、平 144)。なお、地域の類型は、公害対策基本法9条(環境基本法16条2項)に従い、都道府県知事により指定されるものである。 昭和48年環境基準は、平成19年環境省告示第114号により改正され、平成25年4月1日からは、上記改正後の基準(乙42。現行環 境基準)が適用されている。この改正は、近年の騒音測定機器の技術的進歩及び国際的動向に即して、WECPNLの代わりに新たな評価指標としてLdenを採用したものである。Ldenは、現行環境基準第1の2記載の方法により測定・評価した値であり、WECPNLとLdenとの理論的及び実態的な関係は、Lden≒WECPNL-13とな る(乙69)。 現行環境基準における基準値は、昭和48年環境基準の基準レベルの早期達成の実現を図ることが肝要であるとの観点から、騒音対策の継続性も考慮して定められ、その基準値は昭和48年環境基準の基準値に相当する値とされている(乙69)。すなわち、現行環境基準は、地域の 類型ⅠにつきLden57デシベル以下、地域の類型ⅡにつきLden62デシベル以下とされたが、それぞれの数値は70WECPNL以下、75WECPNL以下に対応する。 このように、公害対策基本法ないし環境基本法においては、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい航空 機騒音に係る環境基準として、全ての地域において少なくともLden62デシベル(75WECPNL)以下という基準が示されてきた。 また、航空機騒音防止法は、公共用飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害の防止を目的とし(1条)、特定飛行場の設置者が、政令で定めるところにより航空機の騒音により生ずる被害が著しいと認 めて国土交通大臣が指定する特定飛行場の周辺の区域(第一種区域) より生ずる障害の防止を目的とし(1条)、特定飛行場の設置者が、政令で定めるところにより航空機の騒音により生ずる被害が著しいと認 めて国土交通大臣が指定する特定飛行場の周辺の区域(第一種区域)に 当該指定の際現に所在する住宅の防音工事の助成の措置を行う旨(8条の2)、同様に第二種区域と指定された区域における移転の補償等を行う旨(9条)及び同様に第三種区域と指定された区域における緑地帯等を整備する旨(9条の2)を各規定している。 そして、航空機騒音防止法施行令6条は、上記各区域の指定は、当該 飛行場において離陸し、又は着陸する航空機による騒音の影響度をその騒音の強度、発生の回数及び時間帯その他の事項を考慮して国土交通省令で定める算定方法で算定した値が、その区域の種類ごとに国土交通省令で定める値以上である区域を基準として行うものとする旨を定めており、これを受けた航空機騒音防止法施行規則2項は、上記「国土交通省 令で定める値」を、平成24年国土交通省令第78号による改正前は、第一種区域にあっては75WECPNL、第二種区域にあっては90WECPNL、第三種区域にあっては95WECPNLと定め、上記改正後は、第一種区域にあってはLden62デシベル、第二種区域にあってはLden73デシベル、第三種区域にあってはLden76デシベ ルと定めている。 このように、航空機騒音防止法における第一種区域も、公害対策基本法ないし環境基本法と同じくLden62デシベルという水準によって画されており、航空機騒音について政策措置を講ずべき最低限の水準は一貫してLden62デシベル相当と定められてきたものということが できる。 以上によれば、航空機の騒音は、過去約50年にわたり一貫してWECPNLないしLdenを用 ずべき最低限の水準は一貫してLden62デシベル相当と定められてきたものということが できる。 以上によれば、航空機の騒音は、過去約50年にわたり一貫してWECPNLないしLdenを用いて評価されてきたものと認められるところ、これらの値は航空機の騒音の程度や回数、その時間帯等を考慮して測定・評価され、国際的にも広く用いられてきた値であることからすれ ば、本訴において本件経路の定めの取消しの訴えについての原告適格を 画する基準についても、同様にLdenを用いるのが相当というべきである。そして、前記のとおり、通常の生活を保全する必要がある全ての地域において、生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持することが望ましい航空機の騒音に係る基準も、航空機騒音について政策措置を講ずべき最低限の水準も、いずれもLden62デシベル以下と 定められていることからすれば、本件経路の定めによりLden62デシベル以上の航空機騒音が生ずるおそれがある区域に居住する者及び既にLden62デシベル以上の航空機騒音が生じていた区域に居住している住民のうち本件経路の定めによりその数値が実質的に増加するおそれがある者については、本件経路の定めの取消しを求める原告適格を有 すると解し得るものというべきである。 しかるに、本件では、原告らのうちにその住所地において本件経路の定めによりLdenで何デシベルの騒音にさらされている者がいるか否かは本件全証拠によっても不明といわざるを得ず、そうである以上、騒音被害との関係で原告らに原告適格を認めることはできないものという ほかはない。なお、本件経路周辺に設置された19の航空機騒音測定局のうち、7日間行われた実測日のうち1日ごとのLdenの実測値が62デシベルを超えた日のあ 格を認めることはできないものという ほかはない。なお、本件経路周辺に設置された19の航空機騒音測定局のうち、7日間行われた実測日のうち1日ごとのLdenの実測値が62デシベルを超えた日のあるものがないことは前記第2の3⑷のとおりである。 ウこれに対し、原告らは、本件経路は午後3時ないし午後7時のうち実質 3時間しか運用されておらず、間欠的に騒音暴露が繰り返されているわけではないため、Ldenで評価することは適切でなく、その航空機騒音は、騒音が生じた際の瞬間値(最大値)で評価すべきである旨主張する。 しかしながら、羽田空港に限らず、24時間運用を行っていない飛行場は多数あるが(乙85)、いずれの飛行場においても航空機騒音について はLdenを用いた評価を行うことが想定されている(現行環境基準、小 規模飛行場環境保全暫定指針(乙82))ところである。加えて、実質3時間という時間的な制約があるとしても、航空機が上空を通過する間に騒音が単発的に発生し、それが繰り返されるという航空機騒音の性質には変わりがないことからすれば、本件においてのみ航空機騒音の評価をLden以外の方法で行うべき理由はないものといえる。そもそも、騒音が生じ た際の瞬間値(最大値)は、ある地点においてあるレベルの騒音が一度生じたこと(前記第2の3⑷のとおり、国立医薬品食品衛生研究所であれば7日間に測定された騒音発生回数246回中の1回)を示すにとどまり、間欠的に騒音暴露が繰り返されるという累積効果の評価を行わないものであって、上記性質を有する航空機騒音を評価する基準として適当なものと は認め難い。 この点につき、原告らは、①騒音規制法、②川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例(甲100)、③東京都都民の健康と安全を確保する 航空機騒音を評価する基準として適当なものと は認め難い。 この点につき、原告らは、①騒音規制法、②川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例(甲100)、③東京都都民の健康と安全を確保する環境に関する条例68条(別表第7)及び136条(別表第13)(甲55、101)、④環境基本法16条1項に係る環境省の告示「騒音に係る 環境基準」(甲54)における基準値である50デシベル程度の値を本件においても参照すべき旨主張する。しかしながら、①騒音規制法は、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する、継続的かつ相当範囲にわたる騒音について規制するものであり、上記のとおり間欠的な性質を有する航空機騒音を対象としたものではない。また、②原告ら が川崎市公害防止等生活環境の保全に関する条例に係る基準として指摘するのは、同条例で規制している事業所において発生する騒音に関するものであり(甲100)、当該基準もまた航空機騒音を対象としたものではない。さらに、③東京都都民の健康と安全を確保する環境に関する条例についても、その68条により規制されるのは工場又は指定作業場の設置者で あり(甲101)、136条による規制も、同条例別表第13において 「騒音の測定方法は、工場及び指定作業場の騒音に係る測定方法の例による」とされ、「音源の存する敷地と隣地との境界線における音量」が当該規制基準の数値とされていることからすれば、原告ら主張に係る各条項が上空からの航空機騒音を対象とした本件のような事案において参照すべきものと認めることはできない。最後に、④上記告示「騒音に係る環境基準」 の第3については、同基準は航空機騒音には適用しない旨が明記されている上、同じく第1の備考2⑵において、騒音の評価手法は等価騒音レベ めることはできない。最後に、④上記告示「騒音に係る環境基準」 の第3については、同基準は航空機騒音には適用しない旨が明記されている上、同じく第1の備考2⑵において、騒音の評価手法は等価騒音レベルによるものとし、時間の区分ごとの全期間を通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とすると定められてもいる。以上によれば、上記各基準の存在を根拠として、瞬間値を航空機騒音の評価として用いることは できない。 なお、原告らの主張によっても、多くの原告らの居住地域は本件経路を航空機が運航していない日においてすら1日のうち相当時間において騒音が50デシベルを超える環境にある(甲129ないし131によっても裏付けられている。)というのであるから、騒音被害の側面から原告らの原 告適格を基礎付ける実測値として50デシベルという値が相当であるともいい難い。 したがって、原告らの上記主張は採用することができない。 ⑶ 検討-墜落・落下物続いて、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経 路の指定につき、飛行経路周辺住民が、当該飛行経路を航行する航空機の墜落や航空機からの落下物の被害を受ける危険を有することを理由として、その取消しを求める原告適格を有するか否かを検討する。 ア航空法は「航空機の航行に起因する障害の防止を図る」ことを目的とするところ(1条)、当該目的は、前記のとおり騒音基準適合証明制度に関 する規定が新設された際に追加されたものではあるが、その文言等によれ ば、「航空機の航行に起因する障害」には航空機騒音によるもの以外の障害も含まれ得るものと解される。 また、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項は、第一義的には、空港等付近の航行の方法について安全に離着陸するための方式を 害」には航空機騒音によるもの以外の障害も含まれ得るものと解される。 また、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項は、第一義的には、空港等付近の航行の方法について安全に離着陸するための方式を定めるものであるところ、これは、事前に航空機の飛行に関する情報を確認す ることで事故等が発生した場合の迅速な対応や安全かつ効率的な管制業務の提供を可能とする同法97条による飛行計画の通報及び承認や、状況に即応した対応を可能とする同法96条による管制官の指示と一体として機能して、空港等における航空機の離陸及び着陸の安全を確保することを目的とした規定と解される。したがって、上記目的を達成するために国土交 通大臣が同法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づき飛行の方式を定める際には、航空交通の安全に係る国土交通大臣の専門技術的知見に基づき、各空港における個別具体的な事情に応じて当該空港等における航空機の離陸及び着陸の安全の確保された方式を定めることが求められているものと解すべきである。 イしかるところ、飛行経路の定め方によっては、飛行経路間近に障害物が出現するなどして、航空機の離陸及び着陸の安全が脅かされる場合があり得るのであって、このような場合には航空機が墜落等する可能性が高まることが明らかである。そこで、かかる飛行経路の定め方に起因する航空機の墜落等からの生命及び身体の安全という利益が、航空法83条本文及び 同法施行規則189条2項により個別的利益として保護されているか否かを検討する。 ここで、飛行経路の定め方に起因する何らかの障害が航行に生じたとしても、航空機の航行という性質の特殊性に加え、我が国の領域において、航空機は離着陸の際に管制官等の支援を得ながら安全な着陸に向け た措置をとることが想定 起因する何らかの障害が航行に生じたとしても、航空機の航行という性質の特殊性に加え、我が国の領域において、航空機は離着陸の際に管制官等の支援を得ながら安全な着陸に向け た措置をとることが想定されているものというべきであって、このよう な緊急事態においてもなお、航空機が当初の飛行経路上の航行をあえて継続しなければならないものではない(例えば、航空法施行規則189条1項柱書きただし書によれば、管制官は、航空法96条1項に基づき、航空機の安全な運航を優先して同法83条本文及び同法施行規則189条2項により定められた飛行経路と異なる指示をする場合があることが 予定されている。)。このことだけからみても、飛行経路の定め方に起因する航空機の墜落等により生命及び身体の安全を侵害されるおそれを有する者の範囲を他から区別される程度に特定することは、一般的に困難といわざるを得ない。 加えて、航空法83条本文並びに同法施行規則189条2項及び同条 1項1号は、飛行の方式を定めるに当たっての条件等を何ら定めておらず、また、関係法令を見ても、同条2項に基づき飛行の方式を定めるに当たって、特定の第三者に意見聴取、異議申立て等の機会が保障されるなど、特定の個人の利益保護を図り得る手続を定めた規定の存在は認められない。 そうすると、上記航空法1条の規定を踏まえても、同法83条本文及び同法施行規則189条2項は、第一義的には航空機同士の衝突予防や飛行場における航空機の離着陸の安全といった航空交通の安全を考慮するという見地から航空機の航行方法等を設定することを求めているものであって、同項に基づく飛行経路の定めが、管制官の指示やあらかじめ 設定された制限表面の存在等を考慮に入れたとしても当該飛行経路上の障害物に航空機が衝突し 方法等を設定することを求めているものであって、同項に基づく飛行経路の定めが、管制官の指示やあらかじめ 設定された制限表面の存在等を考慮に入れたとしても当該飛行経路上の障害物に航空機が衝突して直ちに墜落し又は破損する蓋然性が高い極めて危険なものであるなどの特段の事情(後記のとおり、原告らがかかる事情の存在を主張しているわけでない。)があるような場合は格別、一般的には、当該飛行経路の定め方に起因する航空機の墜落等からの生命 及び身体の安全という利益をその周辺住民の個別的利益としても保護す る趣旨を含むものということはできないものというべきである。 そして、本件における原告らの主張をみても、原告らが他から区別される程度に生命及び身体の安全を侵害されるおそれを有するなど、上記と異なる事情の存在は認められない。 すなわち、原告らは、本件経路固有の違法性として、①多摩川水系の 生態系保持空間上空を通過するためバードストライク(鳥の衝突)の危険がある点、②着陸時の降下角度が3.45度と急角度に定められている点及び③横風の危険がある点を指摘する。 しかるに、①航空機は有効な耐空証明を受けているものでなければ航空の用に供してはならないところ(航空法11条、10条1項)、耐空 証明においては、航空機の安全性を確保するための強度、構造及び性能についての基準(航空法施行規則14条1項、附属書第1)に適合することが求められており(航空法10条4項1号)、この基準を定める耐空性審査要領(昭和41年10月20日付空検第381号)では、航空機の構造として、3.6kgの鳥が衝突してもその後継続した安全な飛 行及び着陸ができるよう設計されていること等が求められている(乙39、弁論の全趣旨)。このように、航空機はバードストラ 、航空機の構造として、3.6kgの鳥が衝突してもその後継続した安全な飛 行及び着陸ができるよう設計されていること等が求められている(乙39、弁論の全趣旨)。このように、航空機はバードストライクが発生した場合も安全な着陸を目指して飛行を継続し得ることを前提に耐空証明を受けているのであるから、仮に原告らが主張するような機序でバードストライクが生じ得るとしても、それに起因する航空機の墜落等により 原告らのうちに生命及び身体の安全を侵害される者があると認めることは困難であり、まして、そのような者が生じ得る住民の地理的範囲を他から区別される程度に特定することは更に困難というべきである。 なお、本件においては、本件経路を飛行する航空機に3.6kgを超える鳥が衝突する危険性がある旨の具体的な立証もないし、国土交通省 が羽田空港において空砲による威嚇射撃を行うなどのバードストライク 対策を講じていることについては争いがない(甲152によれば、このような対策を講じている21空港における離着陸1万回ごとのバードストライクの件数は講じていない74空港のそれと比べて一貫して有意に低いこと、羽田空港周辺におけるバードストライクの数が本件経路の定め以降もそれ以前と比べて特に増加傾向がみられないことが認められ る。)。 また、②着陸時の降下角度が3.45度であるからといって、航空機の航行に飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に影響し得るいかなる危険があるかは証拠上明らかでなく(仮に航空機の機体が着陸に際して強い衝撃を受けるようなハードランディングが発生し得るとしても、そ の乗員乗客についてはともかく、必ずしも飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に直ちに影響が生じ得るものではない。)、着陸時の降下角度が大きいことに起因 ドランディングが発生し得るとしても、そ の乗員乗客についてはともかく、必ずしも飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に直ちに影響が生じ得るものではない。)、着陸時の降下角度が大きいことに起因する墜落等の障害により生命及び身体の安全を侵害される者の範囲を他から区別される程度に特定することも困難である。 なお、3.45度以上の降下角度については、広島空港やローマ空港 等、国内外で採用実績があり、シミュレーターや実際に本件経路を運行したパイロットを含む運航担当者らから安全性に問題はない旨の意見が出されている上(乙9、10)、本件経路の運用開始後にも、降下角の引上げに起因したゴーアラウンド(着陸のやり直し)やハードランディングが発生したことをうかがわせる証拠もない。 さらに、原告らは、③横風時の着陸においては、機首を風上に向けながら滑走路に進入させ、接地直前に機体を風上側に傾けるという操縦技術が要求され、また、機体が不安定になる旨主張するが、仮に本件経路の定めによって羽田空港における横風時の着陸回数が増えると仮定しても、上記②と同様に、それによって航空機の航行に本件経路周辺住民の 生命及び身体の安全に影響し得る程度の危険が生ずるといえるか否かは 証拠上明らかでなく(かえって、乙10によれば、本邦航空運送事業者の運航部門担当者らは、本件経路の安全性は、着陸直前に旋回を行うそれまでの南風好天時経路よりも高いとの意見を有していることがうかがわれる。)、横風に起因する墜落等の障害により生命及び身体の安全を侵害される者の範囲を他から区別される程度に特定することはやはり困 難である。 以上のとおり、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が、原告らの主張する、同項に基づく飛行経路の定め方に起因して生ずる航 範囲を他から区別される程度に特定することはやはり困 難である。 以上のとおり、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が、原告らの主張する、同項に基づく飛行経路の定め方に起因して生ずる航空機の墜落等からの生命及び身体の安全という利益を、原告ら個々人の個別的利益として保護しているものとは認められないというべきである。 ウこの点に関し、原告らは、本件経路の指定につき、①クリティカル・イレブンミニッツ、②氷塊等の落下物及び③川崎石油コンビナートの存在に起因する危険があることを、その原告適格を基礎付ける事情として主張する。 これらの危険は、飛行経路の定め方により航空機自体の離陸及び着陸の 安全が左右された結果として生ずる危険ではないため、前記イの危険とは性質を異にする部分がある。しかしながら、航空法には地上又は水上の人又は物件の安全を考慮した規定(80条、89条等)が存在することに加え、飛行経路の定め方によっては、航空機が人口密集地の上空を飛行する場合等があり得、このような場合には航空機が墜落等した際に被害が拡大 する可能性があることは一般論として首肯し得るため、このような飛行経路の定め方により飛行経路周辺住民への被害の程度が左右され得る危険からの生命及び身体の安全という利益が、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項において個別的利益として保護されているか否かを検討する。 ここで、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項が、第一義 的に空港等付近の航行の方法について安全に離着陸するための方式を定めるものであることは、前記アのとおりである。 他方、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項の文言から飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全を直接に保護する趣旨を読み取ることはで めの方式を定めるものであることは、前記アのとおりである。 他方、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項の文言から飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全を直接に保護する趣旨を読み取ることはできず、また、「飛行の方式」のほかに同項に基づき定められる ものは、離着陸のための最低の気象条件、進入限界高度、進入限界高度よりも高い高度の特定の地点及び目視物標であるところ、いずれについても、航空機自体の離陸及び着陸の安全と独立して飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全を直接に保護することを目的としたものであるとは認めることができない。さらに、航空法が、航空機の航行に伴う危険に つき、分野ごとの規制を行っていることからしても(例えば、航空機そのものの強度、構造及び性能については10条において、飛行禁止区域の指定は80条において規制するなどしている。)、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項において考慮されるのは、飽くまでも空港等における航空機自体の離陸及び着陸の安全性に関わる事項であると 解される。 これに対し、原告らは、本件経路の定めには前記①ないし③の危険が存在することから、原告らに原告適格が認められる旨主張する。 しかしながら、①クリティカル・イレブンミニッツの危険について、平成23年から令和元年において、我が国の領域で発生した大型飛行機 に係る事故及び外国の領域ないし公海上で発生した我が国の大型飛行機に係る事故34件(航空法76条に基づく報告がされたもの)のうち、概ね離陸後3分ないし着陸前8分に発生したものは9件(約26%)となっているところ、これらの事故のほとんどが、空港内で離着陸時に発生した機体の損傷等であって墜落の結果を伴うものではない(乙49)。 これに加え、我が国の領域で生じたが同条に 件(約26%)となっているところ、これらの事故のほとんどが、空港内で離着陸時に発生した機体の損傷等であって墜落の結果を伴うものではない(乙49)。 これに加え、我が国の領域で生じたが同条に基づく報告義務のない事例 を見ても(甲39)、その被害が飛行経路周辺住民にまで及んでいるものは確認されておらず、実際にクリティカル・イレブンミニッツに発生した事故が、航空機の墜落等による飛行経路周辺住民への被害を伴う危険性のあるものであったとは直ちには認め難い。 また、ICAO作成に係るアジア太平洋地域の事故統計についてみて も、平成27年から令和元年までのもの、平成26年から同30年までのもの、平成25年から同29年までのもの、平成24年から同28年までのものによれば、各期間における死亡事故の発生件数は、いずれも離陸時及び着陸時において合計5件以下にとどまっている(甲23、乙60~62、弁論の全趣旨)。 以上によれば、少なくとも、航空法その他の関連法令の規定に基づき航空機の運航が行われている限り、我が国の領域において航空機が離着陸時に飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に被害を及ぼす危険が高いものとは認め難い。 また、②落下物の危険についても、羽田空港において報告された部品 欠落(航空機の運航過程のどの時点で生じたかは不明である。)の件数は、1kg未満のものを含めると、令和元年度が382件、令和2年度が468件、令和3年度が530件、令和4年度が418件であるところ(甲151の2)、これは羽田空港全体の運航便数の約0.1%である(弁論の全趣旨)。そして、このうち、1kg以上の部品欠落件数が、 平成29年11月から令和6年4月頃までの約6年の間に、羽田空港を含む7空港で報告されたものは合計42件、うち 0.1%である(弁論の全趣旨)。そして、このうち、1kg以上の部品欠落件数が、 平成29年11月から令和6年4月頃までの約6年の間に、羽田空港を含む7空港で報告されたものは合計42件、うち羽田空港の敷地内で欠落した部品が発見された事例は4件であったこと(甲151の2)、昭和53年度から平成30年度までの期間に成田国際空港周辺において落下物(氷塊を除く。)が確認された件数を発着回数で除した割合は、0. 0007%(平成3年度以降)ないし0.0028%(同2年度以前) であったこと(甲115の2)からすれば、飛行経路周辺住民への被害を伴い得る部品脱落は、上記約0.1%のうちの更に一部のものであると解される上、部品欠落が特に離着陸に際して多く生ずるものと認めることもできない。さらに、平成29年11月に立ち上げられた「落下物防止等に係る総合対策推進会議」における有識者、実務者等による検討 結果を踏まえ、平成30年3月、国土交通省において「落下物対策総合パッケージ」が取りまとめられ、前記第2の3⑴で説示したような駐機中の航空機をチェックする仕組みの新たな構築などによる落下物(部品・氷塊等)未然防止策の強化等に加え、航空会社が「部品等脱落防止措置に関する技術基準」に適合した落下物防止対策を義務付けられるな ど(航空法100条、129条、航空法施行規則210条1項9号、232条1項7号ト参照)、落下物の未然防止策の更なる徹底と事案発生時の対応強化が実施されている(甲125、乙33、40、弁論の全趣旨)。 なお、航空機からの氷塊落下についてみると、新東京国際空港(現在 の成田国際空港)への着陸に際して洋上脚下げ方式(着陸のための車輪を洋上で出す方式。車輪を出す際に氷塊が落下する可能性があるためであるが、 からの氷塊落下についてみると、新東京国際空港(現在 の成田国際空港)への着陸に際して洋上脚下げ方式(着陸のための車輪を洋上で出す方式。車輪を出す際に氷塊が落下する可能性があるためであるが、本件経路ではこれを採用することは困難である。)が実施されていなかった昭和53年度から平成2年度までにおける統計においても、同空港周辺において氷塊落下が確認された件数を発着回数で除した割合 は、0.0061%にとどまっている(甲115の2)。そして、氷塊落下対策は洋上脚下げ方式に限られるものではなく、平成30年9月に制定された「部品等脱落防止措置に関する技術基準」において、出発前の給排水パイプにおける残留水の水切りの徹底、給排水系統の漏洩やその機能(氷塊付着防止のため、機内で使用された後の飲料水等を機外に 放出する排水塔に装備されたヒーター等)の定期的な点検、航空機内に 溜まった液体等を排出するためのドレイン・バルブについての定期的な清掃等が義務付けられている(乙40、弁論の全趣旨)。 以上に加え、本件経路につき、その運用開始後、羽田空港周辺住民の生命及び身体の安全に被害を及ぼし得るような航空機からの落下物の存在を認めるに足りる十分な証拠はない(甲125、弁論の全趣旨。なお、 原告らが主張する令和4年3月13日の渋谷区内のテニスコートへの氷塊落下の事例についても、当該氷塊が本件経路を航行する航空機からの落下物である可能性は否定し切れないものの、このことを断定するに足りる的確な証拠まではないといわざるを得ない。)。 そうすると、落下物との関係においても、航空法その他の関連法令の 規定に基づき航空機の運航が行われている限り、航空機が離着陸時に飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に被害を及ぼす危険が高いものとまで と、落下物との関係においても、航空法その他の関連法令の 規定に基づき航空機の運航が行われている限り、航空機が離着陸時に飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に被害を及ぼす危険が高いものとまでは認め難い。 最後に、③危険地域上空の飛行禁止は、航空法80条に定めがあるところ、同条は「国土交通省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずる おそれがある区域」について航空機の飛行を禁止し、これを受けて、同法施行規則173条は、緊急の必要がある場合を除いて、飛行禁止区域及び飛行制限区域を告示で定める旨規定している。このような航空法の法体系によれば、原告らの上記③に係る危険性については航空法80条に基づく措置をとるか否かという点においてまずもって考慮されるべき ものである。 なお、市街地上に飛行経路が設定されるような事例は、大阪国際空港やロンドン・ヒースロー空港等にもみられる(乙10、25)のであり、コンビナート上空に離着陸時の飛行経路が設定される事例(原告らは羽田空港以外には地球上に存在しない旨主張する。)についても、「コン ビナート」の規模や定義にもよるが、他には存在しないことを認めるに 足りる的確な証拠は提出されていない。 以上によれば、航空法その他の関連法令の規定に基づき航空機の運航が行われている限り、航空機が離着陸時に飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全に被害を及ぼす危険が高いものとは認め難く、原告ら指摘に係る前記①ないし③の危険は、航空法のその他の規定に加えて、航空法 83条本文及び同法施行規則189条2項が飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全を直接に保護するものであることを示すものとは認められないというべきである。 エしたがって、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項による飛行経 条2項が飛行経路周辺住民の生命及び身体の安全を直接に保護するものであることを示すものとは認められないというべきである。 エしたがって、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項による飛行経路の定めは、同一の飛行場において離着陸しようとする航空機自体が 事故等を起こすことなく安全に離着陸すること等ができるようにするという航行交通の観点から行われるものと解されるのであって、同項が、原告ら主張に係る危険からこれらの者の生命及び身体の安全という利益を個別的利益として保護していると解することはできず、墜落や落下物による被害との関係で原告らに原告適格を認めることはできない。 ⑷ 検討-大気汚染最後に、航空法83条本文及び同法施行規則189条2項に基づく飛行経路の指定につき、飛行経路の周辺に居住する者が、大気汚染の被害を受けることを理由として、その取消しを求める原告適格を有するか否かを検討する。 この点につき、同項による飛行経路の定めは、離着陸しようとする航空機 自体が安全に離着陸すること等ができるようにするという航行交通の観点から行われるものであると解されるのは前記⑶アのとおりであり、特に大気汚染は、その性質上、被害を受ける者の範囲の特定が極めて困難である。 そうすると、同項が、大気汚染の被害を受けないという利益を飛行経路周辺住民の個別的利益としても保護していると解することはできず、大気汚染 による被害との関係で原告らに原告適格を認めることはできないものという ほかはない。 4 以上によれば、本件訴えは、その余の点について判断するまでもなくいずれも不適法であるから、これらを却下することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田 その余の点について判断するまでもなくいずれも不適法であるから、これらを却下することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官岡田幸人 裁判官村井壯太郎 裁判官藤本思帆音 (別紙1,2,3,5,6省略) (別紙4)関係法令の定め等 ○ 航空法(ただし、平成29年法律第45号による改正前のもの) ⑴ 1条によれば、航空法は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運航して営む事業の適正かつ合理的な運営を確保して輸送の安全を確保するとともにその利用者の利便の増進を図ること等により、航空の発達を図り、もって公 共の福祉を増進することを目的とする。 ⑵ア 2条13項によれば、「航空交通管制圏」とは、航空機の離陸及び着陸が頻繁に実施される国土交通大臣が告示で指定する空港等(空港法2条に規定する空港その他の飛行場・航空法2条4項及び6項)並びにその付近の上空の空域であって、空港等及びその上空における航空交通の安全のために国土 交通大臣が告示で指定するものをいう。 これを受けて定められた「航空交通管制区、航空交通管制圏等の指定に関する告示」(昭和37年運輸省告示第140号)によれば、羽田空港の標点を中心とする半径9kmの円内の区域の直上空域で高度900m以下のものが航空交通管制圏(東京管制圏)として指定されている。 イ 2条14項によれば、「航 第140号)によれば、羽田空港の標点を中心とする半径9kmの円内の区域の直上空域で高度900m以下のものが航空交通管制圏(東京管制圏)として指定されている。 イ 2条14項によれば、「航空交通情報圏」とは、同条13項に規定する空港等以外の国土交通大臣が告示で指定する空港等及びその付近の上空の空域であって、空港等及びその上空における航空交通の安全のために国土交通大臣が告示で指定するものをいう。 ⑶ 2条17項によれば、「計器飛行方式」とは、以下の飛行の方式をいう。 ア同条13項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続 く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通管制圏又は航空交通管制区(地表又は水面から200m以上の高さの空域であって、航空交通の安全のために国土交通大臣が告示で指定するもの・同条12項)において、国土交通大臣が定める経路又は96条1項の規定により国土交通大臣が与える指示による経路により、かつ、 その他の飛行の方法について同項の規定により国土交通大臣が与える指示に常時従って行う飛行の方式(1号)イ 2条14項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通情報圏(航空交通管制区である部分を除く。)にお いて、国土交通大臣が定める経路により、かつ、96条の2第1項の規定により国土交通大臣が提供する情報を常時聴取して行う飛行の方式(2号)ウアに規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を96条1項の規定により国土交通大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従って行う飛行の方式(3号) ⑷ア 2条1 号)ウアに規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を96条1項の規定により国土交通大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従って行う飛行の方式(3号) ⑷ア 2条18項によれば、「航空運送事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。 イ 2条19項によれば、「国際航空運送事業」とは、本邦内の地点と本邦外の地点との間又は本邦外の各地間において行う航空運送事業をいう。 ウ 2条20条によれば、「国内定期航空運送事業」とは、本邦内の各地間に 路線を定めて一定の日時により航行する航空機により行う航空運送事業をいう。 ⑸ 10条4項によれば、国土交通大臣は、航空機について耐空証明の申請があったときは、当該航空機が次に掲げる基準に適合するかどうかを設計、製造過程及び現状について検査し、これらの基準に適合すると認めるときは、耐空証 明をしなければならない(4項)。 ア航空法施行規則(令和2年国土交通省令第17号による改正前のもの。以下同じ。)14条1項、附属書第1で定める安全性を確保するための強度、構造及び性能についての基準(1号)イ航空機の種類、装備する発動機の種類、最大離陸重量の範囲その他の事項が航空法施行規則14条2項、附属書第2の適用を受ける航空機にあっては、 同規則附属書第2に定める騒音の基準(2号)ウ装備する発動機の種類及び出力の範囲その他の事項が航空法施行規則14条3項、附属書第3又は第4で定めるものである航空機にあっては、同附属書第3又は第4に定める発動機の排出物の基準(3号)⑹ 11条1項によれば、航空機は、原則として、有効な耐空証明を受けている ものでなければ、航空の用に供してはならない。 ⑺ 80条に 属書第3又は第4に定める発動機の排出物の基準(3号)⑹ 11条1項によれば、航空機は、原則として、有効な耐空証明を受けている ものでなければ、航空の用に供してはならない。 ⑺ 80条によれば、航空機は、国土交通省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならないが、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。 同条を受けて定められた航空法施行規則173条によれば、航空法80条の 規定により航空機の飛行を禁止する区域は、原則として、飛行禁止区域(その上空における航空機の飛行を全面的に禁止する区域)及び飛行制限区域(その上空における航空機の飛行を一定の条件の下に禁止する区域)の別に告示で定められる。 ⑻ア 83条本文によれば、航空機は、他の航空機又は船舶との衝突を予防し、 並びに空港等における航空機の離陸及び着陸の安全を確保するため、国土交通省令で定める進路、経路、速度その他の航行の方法に従い、航行しなければならない。 イ 83条本文を受けて定められた航空法施行規則189条1項によれば、航空機は、空港等及びその周辺において、以下のないしに掲げる基準に従 って航行しなければならないが、航空法96条1項の規定による国土交通大 臣の指示であってに掲げる基準と異なる指示があった場合等はこの限りでない。 計器飛行方式による進入の方式その他当該空港等について定められた飛行の方式に従うこと(1号)。 計器飛行方式により離陸しようとする場合であって空港等における気象 状態が離陸することができる最低の気象条件未満であるときは、離陸しないこと(2号)。 計器飛行方式により着陸しようとする場合であって次に掲げるときは、着陸のための進入を継続しないこと(3号) 状態が離陸することができる最低の気象条件未満であるときは、離陸しないこと(2号)。 計器飛行方式により着陸しようとする場合であって次に掲げるときは、着陸のための進入を継続しないこと(3号)。 a 進入限界高度よりも高い高度の特定の地点を通過する時点において空 港等における気象状態が当該空港等への着陸のための進入を継続することができる最低の気象条件未満であるとき(イ)。 b 進入限界高度以下の高度において目視物標を引き続き視認かつ識別することによる当該航空機の位置の確認ができなくなったとき(ロ)。 ウ航空法施行規則189条2項によれば、国土交通大臣は、空港等ごとに、 前記イの飛行の方式、同及びの規定による気象条件並びにの規定による進入限界高度、進入限界高度よりも高い高度の特定の地点及び目視物標を定める。 エ航空法施行規則191条によれば、航空機は、他の航空機が発動機の故障、燃料の欠乏その他緊急の状態にあることを知ったときは、189条等の規定 にかかわらず、当該他の航空機がとる緊急措置を妨げないように航行しなければならない。 ⑼ 89条本文によれば、何人も、航空機から物件を投下してはならない。 ⑽ 96条1項によれば、航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、国土交通大臣が安全かつ円滑な航空交通の確保を考慮して、離陸若しく は着陸の順序、時機若しくは方法又は飛行の方法について与える指示に従って 航行しなければならない。 なお、同項における国土交通大臣の権限は空港事務所長に委任され(航空法137条1項、2項、同法施行規則240条1項(33号に係る部分)、240条の2第2項)、空港事務所は、地方航空局の所掌事務のうち、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務に関す され(航空法137条1項、2項、同法施行規則240条1項(33号に係る部分)、240条の2第2項)、空港事務所は、地方航空局の所掌事務のうち、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務に関する事務を分掌し、東京空港事務所に おける航空管制官は、飛行場管制業務及びターミナル・レーダー管制業務に関する事務をつかさどる(地方航空局組織規則(ただし、令和2年国土交通省令第33号による改正前のもの)37条(18号に係る部分)、56条6項(1号に係る部分)、7項)。 ⑾ 97条1項によれば、航空機は、計器飛行方式により、航空交通管制圏若し くは航空交通情報圏に係る空港等から出発し、又は航空交通管制区、航空交通管制圏若しくは航空交通情報圏を飛行しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に飛行計画を通報し、その承認を受けなければならない。 そして、同条3項本文によれば、同条1項の規定により、飛行計画の承認を 受けた航空機は、96条1項の国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従って航行しなければならない。 なお、同条1項を受けて定められた航空法施行規則203条1項によれば、飛行計画の記載事項は航空機の型式等の情報や機長の氏名、出発地及び移動開始時刻、巡航高度等であり、「飛行の方式」(189条1項1号)は含まれて いない。 ⑿ 99条1項、航空法施行規則209条の2第2項によれば、国土交通大臣は、書面、口頭又は電磁的方法により、航空機乗組員に対し、航空機の運航のため必要な情報(航空情報)を提供しなければならない。 国土交通大臣は、航空法99条1項を受けて、航空路誌(AIP)やノータ ム(NoticeToAirmen)により航空情報の提供を行っている (弁論の全趣旨)。 航空 らない。 国土交通大臣は、航空法99条1項を受けて、航空路誌(AIP)やノータ ム(NoticeToAirmen)により航空情報の提供を行っている (弁論の全趣旨)。 航空法施行規則209条の2第1項(4号に係る部分)によれば、「飛行の方式」(189条1項1号)は、航空情報に該当する。 ⒀ア航空運送事業を経営しようとする者は、事業計画等を記載した申請書を提出の上、国土交通大臣の許可を受けなければならず(航空法100条1項、 2項)、上記許可を受けた者である本邦航空運送事業者が事業計画を変更する際は、原則として国土交通大臣の認可を受けなければならない(同法109条1項)。 イアの許可の申請に当たり、航空運送事業を経営しようとする者は、部品等脱落防止措置(最大離陸重量が5700kgを超える飛行機の運航に伴う部 品等の脱落の防止に関する措置をいう。以下同じ。)の内容(航空法施行規則210条1項9号)等を事業計画に記載しなければならない。 ウアの許可の申請に当たり、国際航空運送事業を経営しようとする者は、前記イの事項に加えて「路線を定めて一定の日時により航行する航空機により国際航空運送事業を経営しようとする場合には、当該路線ごとの使用空港等、 運航回数、発着日時及び使用航空機の型式」(航空法施行規則210条2項1号)等を事業計画に記載しなければならない。 ⒁ 混雑空港(航空法107条の3第1項、同法施行規則219条の2。当該空港の使用状況に照らして、航空機の運航の安全を確保するため、当該空港における一日又は一定時間当たりの離陸又は着陸の回数を制限する必要があるもの として国土交通省令で指定する空港をいい、羽田空港はこれに指定されている。)を使用して国内定期航空運送事業を経営しようとする本 日又は一定時間当たりの離陸又は着陸の回数を制限する必要があるもの として国土交通省令で指定する空港をいい、羽田空港はこれに指定されている。)を使用して国内定期航空運送事業を経営しようとする本邦航空運送事業者は、混雑空港ごとに、運航計画(航空法107条の2第1項。路線ごとの使用空港等、運航回数、発着日時及び使用航空機の型式等の同法施行規則219条で定める事項を記載した計画)を記載した申請書を提出し、当該混雑空港を 使用して運航を行うことについて国土交通大臣の許可を受けなければならず (航空法107条の3第1項及び2項)、運航計画を変更する際は国土交通大臣の認可を受けなければならない(同法107条の3第6項)。 ⒂ 航空運送事業を経営しようとする外国人国際航空運送事業者(航空法126条1項)は、事業計画を提出の上、国土交通大臣の許可を受けなければならず(同法129条1項、2項)、事業計画等を変更する際は原則として国土交通 大臣の認可を受けなければならない(同法129条の3第2項)。上記許可の申請に当たり、外国人国際航空運送事業者は、「運航回数及び発着日時」(同法施行規則232条1項7号ハ)、「部品等脱落防止措置の内容」(同号ト)等を事業計画に記載しなければならない。 ⒃ア 143条(1号に係る部分)によれば、航空機の使用者が11条1項の規 定に違反して、耐空証明を受けないで当該航空機を航空の用に供したときには、3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科される。 イ 150条(7号に係る部分)によれば、89条の規定に違反して航空機から物件を投下したときには、50万円以下の罰金に処せられる。 ウ 154条1項(2号、8号及び10号に係る部分)によれば、航空機乗組員が、80 部分)によれば、89条の規定に違反して航空機から物件を投下したときには、50万円以下の罰金に処せられる。 ウ 154条1項(2号、8号及び10号に係る部分)によれば、航空機乗組員が、80条又は83条の規定に違反して航空機を運航したとき、96条1項の規定による指示に従わないで航空機を運航したとき及び97条3項の規定に違反して飛行計画に従わないで航空機を運航したときには、50万円以下の罰金に処せられる。 ○ 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和42年法律第110号。以下「航空機騒音防止法」という。) ⑴ 1条によれば、航空機騒音防止法は、公共用飛行場の周辺における航空機の 騒音により生ずる障害の防止、航空機の離着陸の頻繁な実施により生ずる損失 の補償その他必要な措置について定めることにより、関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的とする。 ⑵ 2条によれば、「特定飛行場」とは、国土交通大臣が設置する公共用飛行場であって、当該飛行場における航空機の離陸又は着陸の頻繁な実施により生ずる騒音等による障害が著しいと認めて政令で指定するもの並びに成田国際空港及 び大阪国際空港をいう。 なお、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律施行令(昭和42年政令第284号。以下「航空機騒音防止法施行令」という。)1条によれば、東京国際空港は特定飛行場に当たる。 ⑶ 3条によれば、国土交通大臣は、公共用飛行場の周辺における航空機の騒音 により生ずる障害を防止し、又は軽減するため必要があると認めるときは、航空交通の安全を阻害しない限度において、当該飛行場において航空機が離陸し、又は着陸することができる経路又は時間その他当該飛行場及びその 生ずる障害を防止し、又は軽減するため必要があると認めるときは、航空交通の安全を阻害しない限度において、当該飛行場において航空機が離陸し、又は着陸することができる経路又は時間その他当該飛行場及びその周辺における航空機の航行の方法を告示で指定することができ(1項)、航空機は、かかる指定があったときは、航行の安全を確保するためやむを得ないと認められる 場合等を除き、これに従わなければならない(2項)。 ⑶ 40条1項によれば、国土交通大臣は、前記⑵の指定をしようとするとき、あらかじめ、当該指定に係る飛行場の周辺地域を管轄する都道府県知事の意見をきかなければならない。 ⑷ア 8条の2によれば、特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより航 空機の騒音により生ずる障害が著しいと認めて国土交通大臣が指定する特定飛行場の周辺の区域(以下「第一種区域」という。)に当該指定の際現に所在する住宅について、その所有者等が航空機の騒音により生ずる障害を防止し、又は軽減するため必要な工事を行うときは、その工事に関し助成の措置をとる。 イ 9条1項によれば、特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより第 一種区域のうち航空機の騒音により生ずる障害が特に著しいと認めて国土交通大臣が指定する区域(以下「第二種区域」という。)に当該指定の際現に所在する建物等の所有者が当該建物等を第二種区域以外の地域に移転し、又は除却するときは、当該建物等の所有者及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、 当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。 また、9条2項によれば、特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより第二種区域に所在する土地の所有者が当該土地の において、 当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。 また、9条2項によれば、特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより第二種区域に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。 ウ 9条の2によれば、特定飛行場の設置者は、政令で定めるところにより第 二種区域のうち新たに航空機の騒音による障害が発生することを防止し、あわせてその周辺における生活環境の改善に資する必要があると認めて国土交通大臣が指定する区域(以下「第三種区域」という。)に所在する土地で9条2項の規定により買い入れたものが緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう必要な措置をとり(1項)、上記土地以外の第三種区域に所在する土地 についても、できる限り、緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう適当な措置をとる(2項)。 エ航空機騒音防止法施行令6条、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律施行規則(昭和49年運輸省令第6号。以下「航空機騒音防止法施行規則」という。)3項によれば、第一種区域、第二種 区域又は第三種区域の指定は、時間帯補正等価騒音レベル(Lden。当該飛行場において離陸し、又は着陸する航空機による騒音の影響度をその騒音の強度、発生の回数及び時間帯その他の事項を考慮して航空機騒音防止法施行規則2項で定められた算定方法で算定した値をいう。)が、第一種区域にあってはLden62デシベル、第二種区域にあってはLden73デシベル、 第三種区域にあってはLden76デシベル以上である区域を基準として行 われる。 ○ 環境基本法(平成5年法律第91号) ⑴ 16条によれば、政府は、大気の汚染、水質の汚 第三種区域にあってはLden76デシベル以上である区域を基準として行 われる。 ○ 環境基本法(平成5年法律第91号) ⑴ 16条によれば、政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に 係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定め(1項)、政府は、この基準が確保されるように努めなければならない(4項)。 ⑵ 16条1項に基づく告示である「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和48年環境庁告示第154号・乙42。以下「現行環境基準」という。)に おいては、航空機の騒音に係る環境基準として、地域の類型Ⅰ(専ら住居の用に供される地域)の基準値はLden57デシベル以下、地域の類型Ⅱ(Ⅰ以外の地域であって通常の生活を保全する必要がある地域)の基準値はLden62デシベル以下と定められている(第1の1)。 なお、現行環境基準は、第一種空港(羽田空港はこれに含まれる。)におけ る基準の達成期間について、原則として10年を超える期間内に可及的速やかに達成することとしているが、段階的に基準が達成されるよう、中間的な目標として、①5年以内に、Lden70デシベル未満とすること又はLden70デシベル以上の地域において屋内でLden50デシベル以下とすること、②10年以内に、Lden62デシベル未満とすること又はLden62デシ ベル以上の地域において屋内でLden47デシベル以下とすることを定めている(第2)。
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