平成15(う)56 殺人未遂,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成16年7月26日 広島高等裁判所 松江支部 鳥取地方裁判所 平成15(わ)136
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判決文本文8,138 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役3年に処する。 原審における未決勾留日数中20日をその刑に算入する。 押収してある腰鉈1丁(当庁平成16年押第1号の1)を没収する。 理由 1 本件控訴の趣意は,弁護人近藤剛(主任),同井上雅雄連名作成の控訴趣意書記載のとおりであるから,これを引用する。 2 控訴趣意中,事実誤認の主張について所論は,被告人の経歴,過去の行動に加え,極度の興奮状態で本件犯行状況をほとんど記憶していないことなどからみると,被告人は原判示第1,2の各犯行当時心神耗弱の状態にあった可能性を否定できない旨主張するが,本件各犯行の動機は,それまでの被告人の思考,行動形態の延長線上にあるものとして理解することが可能であるうえ,一貫性のある各犯行の態様,凶器を手離した際の被告人の言動等に照らしても,被告人は,本件各犯行当時是非善悪を判断し,これに従って行動する能力を有していたものと認められる。所論は採用できない。 次に,所論は,原判決は,原判示第1の事実について,被告人の被害者に対する確定的殺意を認定したが,被告人には殺意がなかったから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。 そこで,検討するに,関係証拠によれば,被告人は,ハンセン病に罹患していた母親に関する行政の対応にかねてから不満を有し,特に,被告人に対し時に厳しいとも思える態度で接してきた鳥取県福祉保健部健康対策課職員の被害者に対する苛立ちを募らせていたこと,被告人は,犯行当日,B会館に赴いたついでに,同会館での会合に出席していた被害者に会って帰ろうと考え,その会合が終わるのを待ちつつ,運動靴に履き替えようとして自車に積んであった道具箱を開けたところ, 告人は,犯行当日,B会館に赴いたついでに,同会館での会合に出席していた被害者に会って帰ろうと考え,その会合が終わるのを待ちつつ,運動靴に履き替えようとして自車に積んであった道具箱を開けたところ,その中の腰鉈(本件凶器)に目がとまったこと,被告人は,それを見て,日頃の被害者の応対ぶりから,また話がかみ合わず態度が悪いようであるなら,この腰鉈で被害者を切り付けてやろうと思い立ち,それを作業服の下にしまって同会館に戻ったこと,被告人は,被害者と同会館2階のベンチに座って話を始めたが,一方的で際限のない不満話に見切りをつけた被害者が,話を打ち切って帰りかけたため,無視されたように感じて憤激し,持っていた清涼飲料水の小型瓶を被害者めがけて投げつけたが,被害者は,これを意に介しない様子で階段を下りかけたこと,ここにおいて,被告人は,被害者に対する憤懣の情が一気に募り,階段の2段ほど下の被害者の背後から,右手に持った腰鉈(木製柄の付いた全長約29センチメートル,刃体の長さ約16センチメートル,重さ約236グラム)で被害者の頭部を右上から左下に向けて斜めに振り下ろして1回切り付け,振り向いて被告人の右手首を掴むなどして揉み合いとなった被害者の頭部をさらに数回切り付けたこと,被害者は,これにより4か所の傷(後頭部にL字型の縦約2センチメートル・横約6センチメートル・頭蓋骨に達する深さ約1センチメートルの切挫創,左側頭部に長さ約3センチメートル・頭蓋骨に達する深さ約1センチメートルの切創,頭頂正中部に長さ約2.5センチメートル・深さ約5ミリメートルの切創,右側頭部に長さ約1.5センチメートル,頭蓋骨に達する深さ約1センチメートルの切創)を,それぞれ負ったこと,その後,被告人は,被害者に両手首を掴まれるなどしながらも,駆けつけた高校生が取り上げるまで腰 頭部に長さ約1.5センチメートル,頭蓋骨に達する深さ約1センチメートルの切創)を,それぞれ負ったこと,その後,被告人は,被害者に両手首を掴まれるなどしながらも,駆けつけた高校生が取り上げるまで腰鉈を離さないでいたが,手離す際,「お前に渡すんだけんな」などと言って,それ以上の抵抗はしなかったこと,以上の事実が認められる。 こうした事実,すなわち,犯行の用に供した凶器の形状,人体の枢要部である頭部に加えた打撃の態様や回数,負わせた傷害の部位・程度に加え,被告人が捜査段階において,「殺しても構わない・・と決意し」(乙7),「死んでしまってもよいと思って切り付けたのです」(乙8),「殺してしまうかもしれないと分かっていましたが,・・非常に腹を立てていたので,そうなってもよいと思って切り付けたのです」(乙9),「こんな奴殺してしまっても構わないと思って(鉈を繰り返し振り下ろしたのです)」(乙10,11),と供述していることを併せると,被告人が,被害者が死亡するかもしれないことを認識しながら,それもやむを得ないとして敢えて原判示第1の犯行に及んだものと認定することができる。すなわち,被告人には未必的殺意があったというべきである。 この点に関し,原判決は,確定的殺意を認めているのであるが,被告人が腰鉈を見つけたのはいわば偶然的であったうえ,その折りの認識も,被害者の対応次第では切り付けてやろうという程度の漠としたものであったこと,B会館で被害者に話を持ちかけたときの被告人の様子に特に変わったものはなく,居合わせた被害者の同僚も何の懸念も抱かなかったこと,ベンチでの話合いも,それまでの対応と同様の経過を辿っていたもので,殊更に被告人を刺激,激昂させるようなやりとりではなかったことからすると,被告人が確定的殺意を抱いていたとみるのは不自然という と,ベンチでの話合いも,それまでの対応と同様の経過を辿っていたもので,殊更に被告人を刺激,激昂させるようなやりとりではなかったことからすると,被告人が確定的殺意を抱いていたとみるのは不自然というべきである。また,被告人は腰鉈を真っ向から振り下ろしたのではなく,斜めになぐように振り下ろしていることも,確定的殺意の認定には消極的に働く状況である。先に引用した捜査段階における被告人の供述も,確定的殺意を裏付けるには十分でない。なお,被告人は,現行犯逮捕される際,「極刑覚悟でやってやった。」などと口走っているが,興奮した状況下のものであるし,それ自体から確定的殺意を推認できるものではない。 そうすると,原判決は殺意の内容を確定的なものとしている点において事実の誤認があり,この誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかである。 そして,原判決は,原判示第1の事実のほか第2の事実(銃刀法違反)を認定し,両者を刑法45条前段の併合罪として1個の刑を言い渡しているので,その全部について破棄を免れない。 3 よって,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書により,直ちに当裁判所において自判すべきものと認め,さらに次のとおり判決する。 (罪となるべき事実)被告人は,第1 かねて死亡した母親の罹患していたハンセン病をめぐる鳥取県職員A(当時55歳)の対応に不満を持ち,同人に反感を抱いていたところ,平成15年7月24日午後6時5分ころ,鳥取市a町b番地c所在のB会館において,同人と口論の末,同人の態度に憤激し,同人に対し,同人が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,所携の腰鉈(刃体の長さ約16センチメートル,当庁平成16年押第1号の1)でその頭部を数回にわたり切りつけたが,同人に抵抗されるなどしたため が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,所携の腰鉈(刃体の長さ約16センチメートル,当庁平成16年押第1号の1)でその頭部を数回にわたり切りつけたが,同人に抵抗されるなどしたため,同人に加療約2週間を要する頭皮切・挫創の傷害を負わせたにとどまり,その目的を遂げず,第2 業務その他正当な理由による場合でないのに,上記日時場所において,上記腰鉈1丁を携帯した。 (証拠の標目)判示第1の事実につき被告人の当審における公判供述を付加するほかは,原判決の挙示する証拠と同一であるから,これを引用する。 (事実認定の補足説明)所論は,被告人が判示第1の犯行当時,心神耗弱の状態にあった可能性を否定できない旨主張するが,これが理由がないことは前記2で判断したとおりである。 所論は,また,被告人には判示第1の犯行当時殺意がなかった旨主張するが,被告人には未必的殺意が認められることは,前記2で判断したとおりである。 (法令の適用)被告人の判示第1の所為は刑法203条,199条に,判示第2の所為は銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条にそれぞれ該当するところ,各所定刑中,判示第1の罪について有期懲役刑を,判示第2の罪について懲役刑をそれぞれ選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,同法21条を適用して原審における未決勾留日数中20日をその刑に算入し,押収してある腰鉈1丁(当庁平成16年押第1号の1)は,判示第1の殺人未遂の用に供するとともに判示第2の犯罪行為を組成した物で,被告人以外の者に属しないから,同法19条1項1号,2号,2項本文を適用してこれを没収し,原審における訴訟 押第1号の1)は,判示第1の殺人未遂の用に供するとともに判示第2の犯罪行為を組成した物で,被告人以外の者に属しないから,同法19条1項1号,2号,2項本文を適用してこれを没収し,原審における訴訟費用については,刑訴法181条1項ただし書を適用してこれを被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由)本件は,亡くなった母親がハンセン病に罹患していたことに関し,かねてから行政の対応に不満を有していた被告人が,行政の担当者であった当時55歳の被害者の態度に憤激し,未必的殺意をもって,所持していた腰鉈で被害者の頭部を数回切りつけ,その結果同人に加療約2週間を要する傷害を負わせたという殺人未遂及び銃刀法違反の事案である。被害者に被告人による攻撃を受けなければならない事情は見受けられないにもかかわらず,公共の場所において,いきなり被害者の背後から,あらかじめ準備した腰鉈でその頭部を一回切りつけ,その後も数回にわたり執拗に攻撃を加えているもので,その態様は大胆かつ危険で,悪質である。これに,本件につき被害弁償がされていないことをも併せ考慮すると,被告人の刑事責任は重いというべきである。 しかしながら,他方,ハンセン病に罹患した母親を抱え,青年期に一人で母親の面倒をみるなど,ひとかたならぬ苦労を強いられた被告人の境遇には同情すべき点があること,幸い殺人については未遂に終わり,被害者の傷害の程度も重くはなかったこと,被害者も被告人の境遇自体については一定の理解を示していること,古い交通罰金前科以外に前科前歴がないこと,被害者に対し詫び状を出すなど,本件犯行に及んだこと自体については反省の情が認められることなど,被告人のために斟酌すべき事情も認められるので,以上の諸事情を総合考慮したうえ,被告人を主文掲記の刑に処することとしたものである。 本件犯行に及んだこと自体については反省の情が認められることなど,被告人のために斟酌すべき事情も認められるので,以上の諸事情を総合考慮したうえ,被告人を主文掲記の刑に処することとしたものである。 よって,主文のとおり判決する。 平成16年7月26日広島高等裁判所松江支部裁判長裁判官廣田聰裁判官吉波佳希裁判官植屋伸一(参考原審判決) 主文 被告人を懲役4年に処する。 未決勾留日数中20日をその刑に算入する。 押収してある腰鉈1丁(平成15年押第11号の1)を没収する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 かねて死亡した母親のり患していたハンセン病をめぐる鳥取県職員A(当時55歳)の対応に不満を持ち,同人に反感を抱いていたところ,平成15年7月24日午後6時5分ころ,鳥取市a町b番地c所在のB会館において,同人と口論の末,同人の態度に憤激し,同人を殺害するもやむなしと決意し,同人に対し,殺意をもって,所携の腰鉈(刃体の長さ約16センチメートル(平成15年押第11号の1))でその頭部を数回にわたり切り付けたが,同人に抵抗されるなどしたため,同人に加療約2週間を要する頭皮切・挫創の傷害を負わせたにとどまり,その目的を遂げなかった第2 業務その他正当な理由による場合でないのに,上記日時場所において,上記腰鉈1丁を携帯したものである。 (事実認定の補足説明)弁護人は,本件は未必的殺意によるものであって,被告人が確定的殺意を有していたとまではいえない旨主張するの のに,上記日時場所において,上記腰鉈1丁を携帯したものである。 (事実認定の補足説明)弁護人は,本件は未必的殺意によるものであって,被告人が確定的殺意を有していたとまではいえない旨主張するので,以下検討する。 前掲各証拠によれば,被告人は,7人兄弟の末っ子であるが,昭和40年にハンセン病にり患しているとの診断を受け平成6年に死亡した母の世話を兄弟が自分一人に押し付けたために一生を棒に振ってしまった,行政も兄弟に自己の苦労を分からせるための指導をすべきであった,行政によるハンセン病り患の確認が遅すぎるなどとして鳥取県等に対し長年主張してきたところ,同県職員の中で被告人の上記主張のうち独善的なものに対しては毅然とした態度をもって対応にあたってきた被害者に対し強い不満や反感を抱くようになり,経済的不安も重なって,犯行当日は,被害者に上記話をして被害者の対応が悪ければ強度の危害を加えてやろうと考えて,予め腰鉈(木製柄の付いたもの,全長約29センチメートル,刃体の長さ約16センチメートル,胴金から約8センチメートルの位置の刃幅約3.2センチメートル,刃厚約5ミリメートル,重さ約236グラム)を用意したこと,被告人は,被害者に声を掛けてベンチで話をしたが,被告人が一方的な不満を主張し始めたため,被害者は話を打ち切るべく立ち上がって歩き始めたことから,被害者の態度に憤激し,いきなり持っていた飲みかけの清涼飲料水の瓶を被害者に向けて投げ付けたが,被害者がなおも歩き続けて階段を下りようとしたため,被告人は被害者を追い,服の中から腰鉈を取り出すと,階段を下りていく被害者の背後からその後頭部を目掛けて,手加減することなく利き腕である右手に持った腰鉈を上から下に強く振り下ろして切り付けたこと,腰鉈で切り付けられた被害者はすぐに振り返り,被告人の腕を掴 りていく被害者の背後からその後頭部を目掛けて,手加減することなく利き腕である右手に持った腰鉈を上から下に強く振り下ろして切り付けたこと,腰鉈で切り付けられた被害者はすぐに振り返り,被告人の腕を掴むなどして抵抗したが,被告人はなおも被害者の頭部を目掛けて繰り返し腰鉈を上から下に振り下ろして切り付けたため,腰鉈は数回被害者の頭部に当たったこと,被害者は被告人の手から腰鉈を取り上げようとして抵抗を続けたが,居合わせた高校生が駆け付けて,被告人から腰鉈を取り上げたこと,現行犯人として逮捕される際に被告人は,「極刑覚悟でやってやった」などと発言していること,被害者はその結果,頭部に,全長1.5ないし6センチメートルの傷を4箇所にわたり負い,合計15針を縫ったことの各事実が認められる。 上記のとおりの凶器の形状及び使用方法,攻撃の態様,強さ及び回数,被告人が意識的に狙った傷害の部位,数及び程度並びに本件の動機,経緯及び犯行後の言動などに照らすと,本件は確定的殺意によるものであるというべきである。 以上のとおりであって,弁護人の上記主張は理由がない。 (法令の適用)罰条判示第1の所為刑法203条,199条判示第2の所為銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条刑種の選択判示第1の罪につき有期懲役刑,判示第2の罪につき懲役刑各選択併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で加重)未決勾留日数の算入刑法21条没収刑法19条1項2号,2項本文(判示第1の犯行供用物)訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,ハンセン病にり患していた母親に関する対応をめぐり鳥取県やその職員らに対する不満を募らせていた被告人が,正当な理由なく )訴訟費用の不負担刑事訴訟法181条1項ただし書(量刑の理由)本件は,ハンセン病にり患していた母親に関する対応をめぐり鳥取県やその職員らに対する不満を募らせていた被告人が,正当な理由なく腰鉈を携帯した上,かねてから反感を抱いていた同県職員である被害者の態度に憤激し,被害者を殺害してもやむを得ないと決意して,上記腰鉈でその頭部を数回切り付けて殺害しようとしたが,被害者が抵抗するなどしたため,被害者に加療約2週間を要する傷害を負わせたにとどまり,その目的を遂げなかったという殺人未遂及び銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案である。 被告人は,鳥取県やその職員,とりわけ被告人に対し強い態度で接していた被害者への不満や反感を有していたが,経済的な問題なども相まって自暴自棄に近い心境に陥り,憤激の余り何らの落ち度もない被害者に対してその後頭部を数回にわたり腰鉈で切り付けているところ,予め道具箱から持ち出した腰鉈を本件犯行に使用しており,本件は計画的に敢行された危険な犯行であって,被告人の犯情は悪質である。被告人は,上記のとおり自己の不満を一方的に被害者を初めとする鳥取県の職員らに訴え続けた挙げ句,不満や不遇感の矛先を被害者に転嫁して本件犯行に及んでおり,その動機には酌量の余地はない。犯行態様も,確定的殺意をもって腰鉈で執拗に被害者の頭部を狙って多数回切り付けるという,危険極まりないものであって,被害者の受けた苦痛や死の恐怖感が大きかったことはもとより,公共の場所において公衆の面前で敢行された本件犯行が社会に与えた影響も多大なものである。被告人は,本件犯行後,犯行そのものに対する反省の意は示しているものの,依然として自分の行政に対する不満は正当なものであると強く主張し,ともすれば被害者に非があったかのような発言を続けており,被害者の受けた 本件犯行後,犯行そのものに対する反省の意は示しているものの,依然として自分の行政に対する不満は正当なものであると強く主張し,ともすれば被害者に非があったかのような発言を続けており,被害者の受けた苦痛や恐怖感を十分に受けとめて真に自己の行為を悔悟しているとは認められず,被害者に対する補償の措置も尽くされていない。 そうすると,母親がハンセン病にり患し,過去に家族がいわれのない苦労を強いられ,被告人自身は青年期に一人で病の母親の世話をしなければならなかったことなど被告人の境遇そのものに対しては一定の同情できる点があること,被害者の抵抗や通行人の協力により幸い犯行が未遂に終わり,結果として被害者に発生した傷害が重くはなかったこと,被害者が被告人の境遇や心境に一定の理解を示していること,被告人には27年前に業務上過失傷害による罰金前科がある外には前科前歴がないこと,被告人が被害者に対して詫び状を差し入れた上,当公判廷においても一定の反省の態度を示していることなど被告人に有利な事情も認められるが,それらを十分考慮しても,被告人に対して主文の刑を科すことはやむを得ない。 (検察官児堀達也,国選弁護人松本光寿各出席)(求刑懲役6年,押収してある腰鉈1丁没収)平成15年10月10日鳥取地方裁判所刑事部裁判長裁判官松尾昭彦裁判官檜皮高弘裁判官下澤良太

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