平成18(行ウ)191等 法人税更正処分取消等請求事件(甲事件),法人税更正処分取消等請求事件(乙事件)

裁判年月日・裁判所
平成23年6月24日 大阪地方裁判所 租税
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判決文本文72,866 文字)

主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 甲事件(1) 門真税務署長が平成17年6月28日付けで原告に対してした原告の平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち加算税の額●円を超える部分を取り消す。 (2) 門真税務署長が平成17年6月28日付けで原告に対してした原告の平成14年4月1日から平成15年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち加算税の額●円を超える部分を取り消す。 (3) 門真税務署長が平成17年6月28日付けで原告に対してした原告の平成15年4月1日から平成16年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち加算税の額●円を超える部分を取り消す。 2 乙事件(1) 門真税務署長が平成20年6月16日付けで原告に対してした原告の平成16年4月1日から平成17年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (2) 門真税務署長が平成20年6月16日付けで原告に対してした原告の平成17年4月1日から平成18年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過 少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (3) 門真税務署長が平成20年6月16日付けで原 31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過 少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (3) 門真税務署長が平成20年6月16日付けで原告に対してした原告の平成18年4月1日から平成19年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分のうち所得金額●円,納付すべき税額●円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,平成13年4月1日から平成14年3月31日までの事業年度(以下「平成14年3月期」といい,他の事業年度についても同様に表記する。)から平成19年3月期までの各事業年度(以下,併せて「本件各事業年度」という。)の法人税につき確定申告をしたところ,門真税務署長が,本店が香港に所在するA1 及びA2(A1 と併せて「A1 等」という。)は,いずれも租税特別措置法(以下「措置法」という。)66条の6第1項にいう特定外国子会社等に該当し,さらに,A1 等は製造業を主たる事業としており,その主たる事業を本店の所在する地域(香港)において行っていないから,同項に基づき,A1 等の同項に定める課税対象留保金額に相当する金額は,原告の本件各事業年度の所得の計算上,益金の額に算入すべきであるなどとして,原告に対し,平成14年3月期から平成16年3月期までについては平成17年6月28日付けで,平成17年3月期から平成19年3月期までについては平成20年6月16日付けでそれぞれ更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税賦課決定(以下「本件各賦課決定」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)をしたため,原告が,本件各処分の全部又は一部の取消しを求めた事案である。 2 法令の定め(改正の有無にかかわらず,特 以下「本件各賦課決定」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)をしたため,原告が,本件各処分の全部又は一部の取消しを求めた事案である。 2 法令の定め(改正の有無にかかわらず,特記しない限り,本件各事業年度の最終事業年度である平成19年度3月期に適用される法令の規定を掲げる。 以下同じ。)(1) タックスヘイブン対策税制(外国子会社等合算税制)について ア内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入措置法66条の6第1項は,同条各号に掲げる内国法人(国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。以下同じ。措置法2条1項2号,所得税法2条1項6号)に係る外国関係会社(内国法人と,措置法66条の6第2項1号に定める関係を有する外国法人(内国法人以外の法人をいう。以下同じ。措置法2条1項2号,所得税法2条1項7号)をいう。以下同じ。)のうち,本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に該当するもの(以下「特定外国子会社等」という。)が,昭和53年4月1日以後に開始する各事業年度において,その未処分所得の金額から留保したものとして,政令で定めるところにより,当該未処分所得の金額につき当該未処分所得の金額に係る税額等の額に関する調整を加えた金額(以下「適用対象留保金額」という。)を有する場合には,その適用対象留保金額のうちその内国法人の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等の数(個人又は内国法人が直接に有する外国法人の株式の数又は出資の金額及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国法人の株式の数又は出資の金額 会社等の直接及び間接保有の株式等の数(個人又は内国法人が直接に有する外国法人の株式の数又は出資の金額及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国法人の株式の数又は出資の金額の合計数又は合計額をいう。以下同じ。措置法66条の6第2項3号。)に対応するものとしてその株式等(株式又は出資をいう。)の請求権(経済的な利益の給付を請求する権利をいう。)の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(以下「課税対象留保金額」という。)に相当する金額は,その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入する旨規定し,同条1項1号は,その有する外国関係会社の直接及び間接保有の株式等の数の当該外国関係会 社の発行済株式又は出資(当該外国関係会社の有する自己の株式等を除く。)の総数又は総額のうちに占める割合が100分の5以上である内国法人を掲げ,同項2号は,直接及び間接の外国関係会社株式等の保有割合が100分の5以上である一の同族株主グループ(外国関係会社の直接及び間接保有の株式等を有する者のうち,一の居住者,内国法人又は特定信託の受託者である法人及び当該一の居住者,内国法人又は特定信託の受託者である法人と政令で定める特殊の関係のある者(外国法人を除く。)をいう。同条2項4号。)に属する内国法人を掲げている。 租税特別措置法施行令(以下「措置法施行令」という。)39条の14第1項は,措置法66条の6第1項に規定する政令で定める外国関係会社は,①法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社(1号)及び②その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額 令で定める外国関係会社は,①法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社(1号)及び②その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額の100分の25以下である外国関係会社(2号)とする旨規定し,措置法施行令39条の14第2項は,同条1項2号の外国関係会社に該当するかどうかの判定について規定する。 イ適用除外措置法66条の6第4項(なお,平成17年法律第21号(同年4月1日施行)による改正前にあっては3項)は,同条1項の規定は,同項各号に掲げる内国法人に係る特定外国子会社等(株式(出資を含む。)若しくは債券の保有,工業所有権その他の技術に関する権利,特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものを除く。以下,これらの事業を主たる事業としないことを「事業基準」という。)がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域に おいてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所,店舗,工場その他の固定施設を有し(以下,この要件を「実体基準」という。),かつ,その事業の管理,支配及び運営を自ら行っているものである場合(以下,この要件を「管理支配基準」という。)であって,各事業年度においてその行う主たる事業が同条4項各号に掲げる事業のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場合に該当するときは,当該特定外国子会社等のその該当する事業年度に係る適用対象留保金額については,適用しない旨規定する。 同項1号は,事業として,卸売業,銀行業,信託業,証券業,保険業,水運業又は航空運送業を掲げ,これらの事 その該当する事業年度に係る適用対象留保金額については,適用しない旨規定する。 同項1号は,事業として,卸売業,銀行業,信託業,証券業,保険業,水運業又は航空運送業を掲げ,これらの事業につき,その事業を主として当該特定外国子会社等に係る同法40条の4第1項各号に掲げる居住者,当該特定外国子会社等に係る同法66条の6第1項各号に掲げる内国法人,当該特定外国子会社等に係る同法68条の3の7第1項各号に掲げる特定信託の受託者である法人,当該特定外国子会社等に係る同法68条の90第1項各号に掲げる連結法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるもの以外の者との間で行っている場合として政令で定める場合を定めており(以下,同法66条の6第4項1号に掲げる事業に適用される基準を「非関連者基準」という。),措置法施行令39条の17第2項は,措置法66条の6第4項1号に規定する政令で定める場合は,同項に規定する特定外国子会社等の各事業年度において行う主たる事業が卸売業に該当する場合にあっては,当該各事業年度の棚卸資産の販売に係る収入金額の合計額のうちに関連者(当該特定外国子会社等に係る措置法66条の6第1項各号に掲げる者等をいう。以下同じ。)以外の者との間の取引に係る上記収入金額の合計額の占める割合が100分の50を超える場合又は当該各事業年度において取得した棚卸資産の取得価額の合計額のうちに関連者以外の者との間の取引に係る上記取 得価額の合計額の占める割合が100分の50を超える場合とする旨規定する。 措置法66条の6第4項2号は,事業として,同項1号に掲げる事業以外の事業を掲げ,これらの事業につき,その事業を主として本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において行っている場合として政令で定める場合を定めており(以下 は,事業として,同項1号に掲げる事業以外の事業を掲げ,これらの事業につき,その事業を主として本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において行っている場合として政令で定める場合を定めており(以下,同号に掲げる事業に適用される基準を「所在地国基準」という。),措置法施行令39条の17第5項は,措置法66条の6第4項2号に規定する政令で定める場合は,同項に規定する特定外国子会社等の各事業年度において行う主たる事業が不動産業及び物品賃貸業以外の事業に該当する場合にあっては,主として本店所在地国(その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域をいう。措置法施行令39条の14第2項1号柱書き)において行っている場合とする旨規定する。 (2) 外国税額控除について法人税法69条1項は,内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で,政令で定めるものをいう。 以下同じ。)を納付することとなる場合には,一定の場合を除き,当該事業年度の所得の金額につき同法66条1項から3項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下「控除限度額」という。)を限度として,その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める金額を除く。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨規定する。 法人税法施行令141条1項は,法人税法69条1項(外国税額の控除)に規定する外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定める ものは,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税(以下「外国法人税」という。)とす 定する外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定める ものは,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税(以下「外国法人税」という。)とする旨規定する。また,同条3項は,外国又はその地方公共団体により課される次に掲げる税は,外国法人税に含まれないものとすると規定し,その3号で,同法24条1項各号(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額に対して課される税(当該交付の基因となった同項に規定する法人の株式又は出資の取得価額を超える部分の金額に対して課される部分を除く。)を挙げている。 3 前提事実以下の事実は,当事者間に争いがない。なお,外国における事実関係についても年号は和暦でのみ表記する。また,書証番号は特記しない限り枝番を含む。 (1) 原告原告は,映像機器(ビデオ,DVDプレーヤー,DVDレコーダー,テレビ,液晶テレビ,プラズマテレビ及びプロジェクター等)や情報機器(プリンター及びデジタルスチルカメラ等)などの各種電気器具の製造販売等を業とする株式会社(内国法人)である。 (2) A1 等ア A1 は,原告が平成4年に設立した中華人民共和国(以下「中国」という。)香港特別行政区(以下「香港」という。)に本店(以下「香港事務所」という。)を有する法人である。原告は,A1 の平成13年1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「A1 平成13年12月期」といい,他の事業年度についても同様に表記する。)からA1 平成18年12月期までの各事業年度(以下「A1 各事業年度」という。)の各末日において,その発行済株式総数の全てを有しており,A1 は,原告の外国関係会社に該当する(措置法施 記する。)からA1 平成18年12月期までの各事業年度(以下「A1 各事業年度」という。)の各末日において,その発行済株式総数の全てを有しており,A1 は,原告の外国関係会社に該当する(措置法施行令39条の20第1項参照)。なお, A1 は,その設立時の商号はA3 であったが,平成12年4月に現商号に変更された。 イ A2 は,平成7年5月2日に設立された香港に本店を有する法人である。 A1 は,A2 の平成13年1月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「A2 平成13年12月期」といい,他の事業年度についても同様に表記する。)からA2 平成18年12月期までの各事業年度(以下「A2各事業年度」といい,A1 各事業年度と併せて「A1 等各事業年度」という。)の各末日においてその発行済株式総数の55%を有しており,A2は,原告の外国関係会社に該当する。 ウ A1 等は,いずれも香港にその本店を有するところ,本件各事業年度と措置法66条の6第1項により対応するA1 等の各事業年度(A1 等各事業年度)の各所得(措置法施行令39条の14第2項1号に従いその金額が定められるもの)に対して課される租税の額(同項2号に定める金額)はいずれも上記各所得の金額の100分の25以下であり,A1等は,いずれも原告の特定外国子会社等に該当する。 また,A1 等は,いずれも,香港に事業所を有し,株式若しくは債券の保有,工業所有権等若しくは著作権の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするもの以外のものであり,その本店の所在する地域(香港)において事業を行うのに必要な固定施設を有し,かつ,その事業の管理,支配及び運営を自ら行っており,措置法66条の6第4項における事業基準,実体基準及び管理支配基準をいずれも満たして する地域(香港)において事業を行うのに必要な固定施設を有し,かつ,その事業の管理,支配及び運営を自ら行っており,措置法66条の6第4項における事業基準,実体基準及び管理支配基準をいずれも満たしている。 (3) 本件各公司及び本件各工場ア A4 は,中国広東省において,昭和59年に国営企業として設立され,平成15年に民営化された法人であり,原告及びA1 等との間に資本関係はない。 A4 は,同省東莞市(以下略)にB1 工場及びB6 工場を,同市(以下略)にB2 工場を,同市(以下略)にB2 工場の後身であるB3 工場を,それぞれ所有している。 イ A5 は,中国において設立された法人であるところ,中国広東省中山市にB4 工場を所有している。 ウ A6(A4 及びA5 と併せて「本件各公司」という。)は,中国において設立された法人であるところ,中国広東省中山市にB5 工場(以下,B1工場,B2 工場,B3 工場及びB4 工場と併せて「B1 工場等」といい,B1工場等とB6 工場を併せて「本件各工場」という。)を所有している。 (4) 本件各協議書の作成等A1 等は,本件各公司との間で,本件各工場における製品の製造に関する以下のような協議書を取り交わした。 ア B1 工場関係(ア) A1 は,A7 及びA4 との間で,B1 工場に関し,平成4年3月28日付けで,有効期限をその発効の日から5年とする「協議書(●)」(乙9の1。以下「B1 平成4年第1協議書」という。)を取り交わし,次いでA4 との間で,平成8年12月23日付けで,B1 平成4年第1協議書の有効期限を5年延長して平成14年4月9日までとするとともに,その記載内容を一部修正・補充することなどを内容とする「委託加工貿易期間 との間で,平成8年12月23日付けで,B1 平成4年第1協議書の有効期限を5年延長して平成14年4月9日までとするとともに,その記載内容を一部修正・補充することなどを内容とする「委託加工貿易期間延長協議書(●)」(乙9の2。以下「B1 平成8年第1協議書」という。)を取り交わし,さらに,平成14年2月5日付けで,B1 平成4年第1協議書の有効期限をさらに10年延長して平成24年4月9日までとするとともに,その記載内容を一部修正・補充することなどを内容とする「委託加工貿易期間延長協議書(●)」(乙9の3。以下「B1 平成14年第1協議書」といい,B1 平成4年第1協議書及びB1 平成8年第1協議書と併せて「B1 各第1協議書」という。) を取り交わした。なお,B1 平成8年第1協議書及びB1 平成14年第1協議書を取り交わす際には,B1 平成4年第1協議書の当事者であったA7 の地位が「商務代理」に変更されており,これら各協議書の当事者とはなっていない。 (イ) A1 は,A4 との間で,B1 工場に関し,平成4年3月20日付けで「協議書」(乙10の1。以下「B1 平成4年第2協議書」という。)を取り交わした。 また,A1 は,A4 との間で,B1 工場に関し,平成5年3月20日付けで新たに「協議書(●)」(乙10の2。以下「B1 平成5年第2協議書」という。)を取り交わし,これによりB1 平成4年第2協議書は失効し,以後B1 平成5年第2協議書が効力を有するものとされた。 その後,A1 は,A4 との間で,平成10年1月23日付けで,B1 平成5年第2協議書の有効期限を平成15年3月31日まで延長することなどを内容とする「補充協議書(●)」(乙10の3。以下「B1 平成10年第2協議書」という。)を取り交わし 月23日付けで,B1 平成5年第2協議書の有効期限を平成15年3月31日まで延長することなどを内容とする「補充協議書(●)」(乙10の3。以下「B1 平成10年第2協議書」という。)を取り交わし,次いで,平成13年5月31日付けで,B1 平成5年第2協議書の記載内容を一部変更するとともに,同協議書の有効期間を平成23年5月31日まで延長することなどを内容とする「協議書(●)」(乙10の4。以下「B1 平成13年第2協議書」という。)を取り交わしたほか,平成14年2月21日付けで,B1 工場に関し,「補充協議書(●)」(乙10の5。以下「B1 平成14年第2協議書」といい,B1 平成4年第2協議書,B1 平成5年第2協議書,B1 平成10年第2協議書及びB1 平成13年第2協議書と併せて「B1 各第2協議書」という。)を取り交わした。 なお,A1 は,A4 との間で,B1 工場に関し,「来料加工対口契約書」を取り交わしており,同契約書は,税関から「登録手帳」(甲44)の交付を受ける際に必要とされている。 イ B2 工場関係(ア) A1 は,A7 及びA4 との間で,平成4年9月13日付けで,B2工場に関し,「協議書(●)」(乙11の1。以下「B2 平成4年第1協議書」という。)を取り交わし,次いで,A4 との間で,平成9年5月15日付けで,B2 平成4年第1協議書の有効期間を平成14年9月16日まで延長するとともに,その記載内容の一部を修正・補充することなどを内容とする「委託加工貿易期間延長協議書(●)」(乙11の2。以下「B2 平成9年第1協議書」という。)を取り交わし,さらに,平成14年4月19日付けで,B2 平成4年第1協議書の有効期間を平成24年9月16日まで延長するとともに,その記載内容を改めて一部修正・ B2 平成9年第1協議書」という。)を取り交わし,さらに,平成14年4月19日付けで,B2 平成4年第1協議書の有効期間を平成24年9月16日まで延長するとともに,その記載内容を改めて一部修正・補充することなどを内容とする「委託加工貿易期間延長協議書(●)」(乙11の3。以下「B2 平成14年第1協議書」といい,B2 平成4年第1協議書及びB2 平成9年第1協議書と併せて「B2 各第1協議書」という。)を取り交わした。なお,B2 平成9年第1協議書及びB2 平成14年第1協議書を取り交わす際には,B2 平成4年第1協議書の当事者であったA7 の地位が「商務代理」に変更されており,これら各協議書の当事者とはなっていない。 (イ) A1 は,A4 との間で,B2 工場に関し,平成4年9月8日付けで「協議書」(乙12の1。以下「B2 平成4年第2協議書」を取り交わし,次いで,平成9年6月14日付けで,B2 平成4年第2協議書の有効期限を平成14年9月30日まで延長することなどを内容とする「補充協議書(●)」(乙12の2。以下「B2 平成9年第2協議書」という。)を取り交わし,さらに,平成13年5月31日付けで,B2 平成4年第2協議書の有効期限を平成23年4月30日まで延長するとともに,その記載内容を一部修正・補充することを内容とする「協議書(●)」(乙12の3。以下「B2 平成13年第2協議書」といい, B2 平成4年第2協議書及びB2 平成9年第2協議書と併せて「B2 各第2協議書」という。)を取り交わした。 ウ B3 工場関係(ア) A1 は,A4 との間で,B3 工場に関し,平成15年5月29日付けで「補充協議書(●)」(乙13。以下「B3 第1協議書」という。)を取り交わした。 (イ) 場関係(ア) A1 は,A4 との間で,B3 工場に関し,平成15年5月29日付けで「補充協議書(●)」(乙13。以下「B3 第1協議書」という。)を取り交わした。 (イ) A1 は,A4 との間で,B3 工場に関し,平成15年1月21日付けで「契約書(●)」(乙14。以下「B3 第2協議書」という。)を取り交わした。 エ B4 工場関係(ア) A1 は,B4 工場名義の相手方との間で,B4 工場に関し,平成6年5月4日付けで「委託組立加工契約書(●)」(乙15の1。以下「B4 平成6年第1協議書」という。)を取り交わし,さらに,平成11年3月17日付けで,改めて「委託加工合意書(●)」(乙15の2。 以下「B4 平成11年第1協議書」といい,B4 平成6年第1協議書と併せて「B4 各第1協議書」という。)を取り交わした。 (イ) A1 は,B4 工場に関し,A8 との間で,平成5年6月2日付けで平成5年6月2日付けで「来料加工協議書」(乙16の1。以下「B4平成5年第2協議書」という。)を取り交わし,さらに,A5 との間で,平成14年8月13日付けで,「協議書」(乙16の2。以下「B4 平成14年第2協議書」といい,B4 平成5年第2協議書を併せて「B4 各第2協議書」という。)を取り交わした。 オ B5 工場関係(ア) A1 は,B5 工場名義の相手方との間で,B5 工場に関し,平成12年9月29日付けで「委託加工合意書(●)」(乙17。以下「B5第1協議書」という。)を取り交わした。 (イ) A1 は,A6 との間で,B5 工場に関し,平成12年7月27日付けで「協力及び賃貸借契約書」(乙18。以下「B5 第2協議書」という。)を取り交わした。 カ B6 (イ) A1 は,A6 との間で,B5 工場に関し,平成12年7月27日付けで「協力及び賃貸借契約書」(乙18。以下「B5 第2協議書」という。)を取り交わした。 カ B6 工場関係(ア) A2 は,B6 工場に関し,A4 との間で,平成7年12月8日付けで「●」(乙19の1。以下「B6 平成7年第1協議書」という。)を取り交わし,さらに,B6 工場名義の相手方との間で,平成15年1月23日付けで「補充協議書(●)」(乙19の2。以下「B6 平成15年第1協議書」といい,B6 平成7年第1協議書と併せて「B6 各第1協議書」という。また,B1 各第1協議書,B2 各第1協議書,B3 第1協議書,B4 各第1協議書,B5 第1協議書及びB6 各第1協議書を併せて「本件各第1協議書」という。)を取り交わした。 (イ) A2 は,A4 との間で,B6 工場に関し,平成8年3月13日付けで「協議書(●)」(乙20の1。以下「B6 平成8年第2協議書」という。)を取り交わし,次いで,平成12年6月19日付けで「補充協議書(●)」(乙20の2。以下「B6 平成12年第2協議書」という。)を,平成13年5月31日付けで「補充協議書(●)」(乙20の3。 以下「B6 平成13年第2協議書」といい,B6 平成8年第2協議書及びB6 平成12年第2協議書と併せて「B6 各第2協議書」という。また,B1 各第2協議書,B2 各第2協議書,B3 第2協議書,B4 各第2協議書,B5 第2協議書及びB6 各第2協議書を併せて「本件各第2協議書」といい,本件各第1協議書と本件各第2協議書を併せて「本件各協議書」という。)を取り交わした。 キ本件各公司との間で取り交わした本件各協議書に基づき,本件各工場においてはビデオ,DVD 協議書」といい,本件各第1協議書と本件各第2協議書を併せて「本件各協議書」という。)を取り交わした。 キ本件各公司との間で取り交わした本件各協議書に基づき,本件各工場においてはビデオ,DVDプレーヤー等の各種電気器具の製造が行われていた。本件各工場において製造された製品は全て,A1 等に引き渡さ れ,A1 等が自己の名称で販売していた。 (5) 台湾における本件源泉税の納付ア原告は,平成15年3月31日当時,台湾法人であるA9 の株式●株を有していた。 イ A9 は,平成15年5月19日に開催された同社の株主総会において,①同年3月21日董事会(我が国の取締役会に相当する。)決議に係る当期利益の資本組入れに伴う新株●株,②資本準備金の資本組入れに伴う新株●株及び③従業員分配金の資本組入れに伴う新株●株の合計●株の新株を発行し,旧来の株主に対し,持株数●株につき●株を無償で割り当てるとともに資本準備金の資本組入れに係る●株を交付し,結局持株数●株につき合計●株を無償で付与することなどを内容とする増資を行う旨決議し,原告は,原告の平成16年3月期中に,A9 から,上記決議に基づき無償で同社の新株の発行を受けた。 ウ A9 は,上記①の当期利益の資本組入れに伴う新株を原告に付与するに当たり,台湾の所得税法に基づき,その支払総額を●台湾ドルとして,これに20%の源泉徴収税率を乗じた源泉徴収税額●台湾ドル(円換算額は●円。以下「本件源泉税」といい,その額を「本件源泉税額」という。)を原告から徴収し,台湾の税務当局に納付した。 (6) 本件各処分原告は,本件各事業年度の法人税につき,青色申告書により確定申告したところ,門真税務署長は,原告に対し,平成17年6月28日,原告の平成14年3月期から平成16年3月 (6) 本件各処分原告は,本件各事業年度の法人税につき,青色申告書により確定申告したところ,門真税務署長は,原告に対し,平成17年6月28日,原告の平成14年3月期から平成16年3月期までの各事業年度の法人税につき,それぞれ更正(ただし,平成14年3月期の法人税については再更正)及び過少申告加算税賦課決定をし,平成20年6月16日,原告の平成17年3月期から平成19年3月期までの各事業年度の法人税につき,それぞれ更正(ただし,平成17年3月期及び平成18年3月期については再更 正)及び過少申告加算税の賦課決定をした(本件各処分)。 (7) 不服申立て及び本件訴えア原告は,平成17年8月24日,本件各処分のうち,原告の平成14年3月期から平成16年3月期までの各事業年度に係る法人税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定を不服として,国税通則法(以下「通則法」という。)75条2項1号に基づき大阪国税局長に対して異議申立てをしたが,大阪国税局長は,平成18年6月27日,原告の同異議申立てを棄却する旨の決定をしたため,原告は,平成18年7月25日,国税不服審判所長に対して審査請求をした。 原告は,平成18年11月16日,上記各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定を不服として,当庁に対し,甲事件に係る訴えを提起した。 なお,国税不服審判所長は,平成20年6月26日付けで,原告の上記審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 イ原告は,平成20年8月6日,本件各処分のうち,原告の平成17年3月期から平成19年3月期までの各事業年度に係る法人税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定を不服として,通則法75条4項1号に基づき国税不服審判所長に対して審査請求をした。 原告は,平成20年11月1 3月期までの各事業年度に係る法人税の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定を不服として,通則法75条4項1号に基づき国税不服審判所長に対して審査請求をした。 原告は,平成20年11月14日,上記各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定を不服として,当庁に対し,乙事件に係る訴えを提起したところ,同月26日,乙事件は,甲事件に併合された。 なお,国税不服審判所長は,平成21年7月7日付けで,原告の上記審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。 (8) 被告が主張する税額算出過程原告の本件各事業年度の法人税について,被告が本件訴訟において主張する所得金額及び納付すべき税額並びに過少申告加算税の金額並びにその算出過程は,別紙1のとおりである。このうち,本件各事業年度の各益金 の額に措置法66条の6第1項によりそれぞれ対応するA1 等の各課税対象留保金額を算入している点並びに本件源泉税額を原告の平成16年3月期の事業年度の損金の額に算入した上で法人税法69条1項の規定に基づく同事業年度の法人税の額からの控除をしていない点については争いがあるが,その余の点については,A1 等のA1 等各事業年度の各課税対象留保金額も含め,当事者間に争いがない。 第3 主たる争点本件の争点は,本件各処分の各適法性であるところ,これを詳説すれば,次のとおりとなる。 1 A1 等に係る外国子会社合算税制の適用除外の有無(本件各事業年度)(1) A1 等の主たる事業が卸売業に該当するか(該当する場合には非関連者基準を満たすか)(争点①)(2) A1 等の主たる事業が卸売業に該当しない場合,所在地国基準を満たすか(争点②)(3) 経済合理性を理由とする適用除外の可否(争点③)(4) A1 等につき外国 満たすか)(争点①)(2) A1 等の主たる事業が卸売業に該当しない場合,所在地国基準を満たすか(争点②)(3) 経済合理性を理由とする適用除外の可否(争点③)(4) A1 等につき外国子会社合算税制を適用することが濫用的な課税として手続的正義に反するか(争点④) 2 本件源泉税に係る外国税額控除の可否(争点⑤,平成16年3月期) 3 本件各処分に理由不備ないし理由差換えの瑕疵があるか(争点⑥,本件各事業年度)第4 主たる争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点①(A1 等の主たる事業が卸売業に該当するか(該当する場合には非関連者基準を満たすか))について【被告の主張】(1) 主たる事業の判断基準ア措置法66条の6第4項の規定によると,同条1項の適用除外要件と して,卸売業等を主たる事業とする特定外国子会社等については非関連者基準が適用され,卸売業等以外の事業を主たる事業とする特定外国子会社等については所在地国基準が適用されることになるため,特定外国子会社等の主たる事業が卸売業等かそれ以外の事業かを判定する必要がある。 この点は基本的には事実認定の問題であると考えられるが,その前提として,卸売業等の各種事業の意義や判定基準をどのように解すべきかという点については,昭和50年2月14日付直法2-2租税特別措置法関係通達(法人税編)(平成17年課法2-14による改正前のもの。 以下「措置法通達」という。)66の6-14本文が,特定外国子会社等が措置法66条の6第4項1号又は2号に掲げる事業のいずれに該当するかどうかは,原則として日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定すると規定し,課税実務上の取扱いを定めている。日本標準産業分類は,統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として,事 るかどうかは,原則として日本標準産業分類(総務省)の分類を基準として判定すると規定し,課税実務上の取扱いを定めている。日本標準産業分類は,統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として,事業所において社会的な分業として行われる財貨及びサービスの生産又は提供に係る全ての経済活動を分類するものであり,統計の正確性と客観性を保持し,統計の相互比較性と利用の向上を図ることを目的として設定されたものであって,特定外国子会社等が営む事業が卸売業等に該当するかどうかなどを判断するに当たり,原則としてその分類を税務執務上の判断基準とすることを明らかにした上記措置法通達の定めは,もとより客観性・合理性を有するものである。 イそして,製造業については,措置法66条の6第4項1号に掲げられた卸売業等のいずれにも該当しないから,同項2号の規定により,所在地国基準が適用されることになり,他方,卸売業については,同号に掲げられているから,非関連者基準が適用されることになるところ,上記日本標準産業分類における「製造業」が,新製品の「製造(加工)」業務 と「卸売」業務を要素とするものであることに照らせば,同分類上の「製造業」と「卸売業」とは,基本的に,当該事業所において「製造」行為を行っているか否かによって区別されることになると考えられる。このような解釈は,製造業と卸売業の本質的な相違点が製造活動を行っているか否かという点にあることに基づくものである。すなわち,卸売業は,商品の購買と販売の利ざやを利益の源泉とするものである一方,製造業は,製造行為による付加価値を利益の源泉とするものであり,いずれも商品又は原材料等の仕入れと商品(製品)の販売を行うという点においてはもともと共通した側面があるのに対し,かかる仕入れから販売までの過程に製造活動が介 付加価値を利益の源泉とするものであり,いずれも商品又は原材料等の仕入れと商品(製品)の販売を行うという点においてはもともと共通した側面があるのに対し,かかる仕入れから販売までの過程に製造活動が介在しているか否かという点においてこそ,その本質的な違いがあるのである。また,卸売業等以外の事業一般について所在地国基準を採用した措置法66条の6第4項の立法趣旨は,軽課税国に所在する特定外国子会社等であってもその地に所在することに十分な経済合理性があれば課税対象とはされないという適用除外の基本理念に照らし,当該特定外国子会社等が,その本店所在地において資本投下を行い,その地の経済と密接に関連して事業活動(例えば,製造業であれば製造行為)を行っているか否かという観点から,特定外国子会社等が本店所在地国に所在していることの経済合理性を判断するのが適当であるという点にあると解され,ここでは,かかる経済合理性を判断する上で,製造行為等の事業活動の経済的な実態が問題とされているのである。 そうすると,措置法66条の6第4項各号の適用においても,特定外国子会社等が経営主体となっている事業所が製造行為という経済活動を行っているか否かによって製造業と卸売業等を区別することは,卸売業等以外の事業一般について所在地国基準を採用した同項2号の上記立法趣旨にも合致する。 (2) 本件各工場における事業の主体がA1 等であること 中略ア本件各第1協議書と本件各第2協議書との関係について中略イ A1 等は全面的かつ排他的に本件各工場の経営管理を行う権限を有していたこと中略ウ A1 等が人事・組織面から本件各工場における製造行為を統括・遂行していたこと(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略(エ) 中略(オ) を行う権限を有していたこと中略ウ A1 等が人事・組織面から本件各工場における製造行為を統括・遂行していたこと(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略(エ) 中略(オ) 中略エ A1 等が事業計画面や物的側面から本件各工場における製造行為を管理遂行していたこと中略オ A1 等は財務・会計面からも本件各工場において行われている製造行為の帰属主体と認められること中略カ A1 等も自らの事業を製造業と表明していたこと等中略キ小括以上のとおり,A1 等は,全面的かつ排他的に本件各工場の経営管理を行う権限を有しており,人事・組織面から本件各工場における製造行為を統括・遂行して,事業計画や物的側面からも本件各工場における製造活動を管理・遂行し,財務・会計面からも本件各工場において行われ ている製造行為の帰属主体と認められ,しかも,香港の税務当局に対し,自らの事業を製造業と表明していたこと等からすれば,A1 等こそが,中国広東省の本件各工場において行われている製造という経済活動の経営主体であり,新製品の製造,販売等を行う製造業者であると認められる。 (3) A1 等の主たる事業が製造業であること特定外国子会社等が2以上の事業を営んでいるときに,いずれが「主たる」事業であるかは,それぞれの事業に属する収入金額又は所得金額の状況,使用人の数,固定施設の状況を総合的に勘案して判定すべきである。 そうであるところ,A1 等の収入金額のほとんどが本件各工場における製造活動の産物である「製品」の売上げにより占められているほか,その使用人の多くが製造業務に従事し,その固定施設のほとんどが製造活動に使用され,A1 等が所有する固定資産の帳簿価額の合計額の大部分を,本件 動の産物である「製品」の売上げにより占められているほか,その使用人の多くが製造業務に従事し,その固定施設のほとんどが製造活動に使用され,A1 等が所有する固定資産の帳簿価額の合計額の大部分を,本件各工場において使用される機械設備等の固定資産の帳簿価額が占めていることなどの諸事情を勘案すれば,A1 等の主たる事業は製造業であることは明らかであり,措置法66の6第4項1号所定の卸売業等のいずれにも該当しない。 【原告の主張】(1) 主たる事業の判断基準ア措置法66条の6に規定するタックスヘイブン対策税制は,租税回避防止を唯一の目的として,外国法人については国内源泉所得等を有する場合にのみ法人税納付義務があるとする法人税法上の基本原則に反した例外的税制を定めたものであり,その趣旨は,経済的に合理的な理由もなくいわゆるタックスヘイブン地域に子会社等を設立し,これを利用して税負担の軽減を図るような場合に,税負担の公平の見地から,例外的に当該子会社等の留保利益を国内親会社の利益として合算して課税することにある。こうした同条の趣旨等からすると,同条による課税は,本 来内国法人に帰属すべき利益を,合理性がないにもかかわらず通常用いられない異常・不自然な法形式を選択して課税要件の充足を免れた場合に限って,例外的に,特定外国子会社等の留保利益を国内親会社の課税対象利益に合算するものというべきである。そして,同条4項は,タックスヘイブン課税により日本企業の海外投資の自由が阻害され,日本企業の国際競争力が毀損され,ひいては日本の国益にも反し得ることから,こうした弊害を防止するため,経済合理性のある特定外国子会社等が行う事業活動であって租税回避に該当しないものについては,上記法人税法の原則に戻ることを示しているのであり,同項は も反し得ることから,こうした弊害を防止するため,経済合理性のある特定外国子会社等が行う事業活動であって租税回避に該当しないものについては,上記法人税法の原則に戻ることを示しているのであり,同項は,租税回避に当たらない経済合理性ある行為を類型化したものであるということができる。 したがって,同項1号の卸売業の意義についても,そうした措置法の趣旨を踏まえる必要がある。のみならず,タックスヘイブン対策税制導入後の日本企業の経済活動のグローバル化や事業形態の複雑化多様化等の社会状況の大きな変化にもかかわらず,その適用除外要件の文言は変更されていないことからすると,経済合理性を無視して適用除外要件を形式的な解釈適用したのでは,ボーダレスな経済活動の実態に全くそぐわないことになるから,その解釈適用に当たっては,経済合理性を十分に考慮する必要があり,経済合理性ある経済活動については,広く適用除外を認めていく方向で解釈すべきである。 また,租税法律主義(憲法84条)からすれば,措置法66条の6第4項1号の業種を判定するに当たり,不明確,多義的な用語について,立法の趣旨目的等を考慮することなく納税者に不利益に限定的又は拡張的な解釈をすることは許されない。 イそうであるところ,措置法66条の6第4項1号の事業に該当するかどうかの判定については,措置法通達66の6-14が,原則として総務省が設定した日本標準産業分類の分類を基準として判定するとしてお り,本件でA1 等が行う主たる事業の業種を判定するに際しても,措置法通達の定める日本標準産業分類を参考にしつつも,前記措置法の趣旨によってこれを判定すべきである。 そして,日本標準産業分類を踏まえると,典型的な卸売業の意義は,「有体的商品を購入して販売する業」と解すべきであるが,この 業分類を参考にしつつも,前記措置法の趣旨によってこれを判定すべきである。 そして,日本標準産業分類を踏まえると,典型的な卸売業の意義は,「有体的商品を購入して販売する業」と解すべきであるが,このような有体的商品を購入する方法としては,既製品を購入する場合,材料,部品等を調達してこれを製造業者に供給して組立加工を依頼し,組立加工された製品を販売するような業務を行う場合(いわゆる「製造問屋」)など多様な形式があるのであって,措置法66条の6第4項1号の「卸売業」についても,古典的な既製品を購入して販売する卸売業の他に,自らは物流・金融等の商社機能を持ち,下請け工場などに対して原材料・情報提供や金融支援,技術・生産指導をしたうえで商品を買い取る場合も含むと考えるべきである。かかる解釈は,多様な企業活動を尊重し経済合理性ある企業活動を阻害しないという前記措置法66条の6第3項の趣旨にも合致するものである。 (2) 来料加工取引についてア香港は,部品・原材料の調達の点及び物流機能,金融機能及びビジネスインフラといった貿易関連サービスの点において,他の国や都市と比較して圧倒的に高い優位性を有し,世界各国の商社や金融機関が香港に進出しているほか,いわゆるメーカーであっても,調達や貿易に関する機能を活用するため商社機能を有する別会社を香港に設立して調達や販売を行わせる例が多い。 他方,中国華南地方の珠江デルタは,貿易機能等の面で優位性を有する香港に隣接しているという地理的利点があるほか,香港と密接な関係を有しており,香港と合わせた地域は,一体として,「華南経済圏」と呼ばれる。そして,中国の改革開放以来,香港企業と珠江デルタにある中 国本土企業は,委託加工取引などで連携して華南経済圏を電気機器の一大供給拠点として た地域は,一体として,「華南経済圏」と呼ばれる。そして,中国の改革開放以来,香港企業と珠江デルタにある中 国本土企業は,委託加工取引などで連携して華南経済圏を電気機器の一大供給拠点として発展させてきたのであり,香港は,委託加工方式による中国本土企業の生産活動を支える拠点として,また,輸出入,資金管理や情報交換の中心地として,珠江デルタの企業活動に不可欠の要素とされている。 イところで,外資企業が中国本土へ進出する形態には,中国本土に現地法人を設立する形態のほか,委託加工や補償貿易という方法があるが,このうち委託加工という形態として位置づけられる来料加工委託契約は,中国本土企業のみならず,中国政府及び地方政府と外資企業との双方が利益を追求する中で,次のような内容のものとして発展してきたものである。すなわち,来料加工取引とは,外国企業が原材料,補助材料,部品,組立部品,包装材料の全て又は一部を提供し,必要な場合には生産設備も提供して,中国本土企業に製品の組立加工を委託し,同中国本土企業が外国企業の上記委託に従って加工又は組立てを行い,製品を外国企業に引き渡し,当該外国企業から加工料を取得することをその基本内容とする取引であり,中国の法令ないし規則上,来料加工取引において加工又は組立てを行っているのは中国本土企業であり,委託者である外国企業はその対価として中国本土企業に加工料を支払っているにすぎず,委託者である外国企業が自ら加工を行うなどということは全く予定されていない。具体的には,組立加工工場の土地建物及び寮は中国本土企業が提供し,工場の建設及び附帯施設が必要な場合には,外資企業が有償又は無償でその資金を提供することもでき,委託先工場の生産設備は,外資企業が必要に応じて有償又は無償で提供するものとされているが,組立加工 し,工場の建設及び附帯施設が必要な場合には,外資企業が有償又は無償でその資金を提供することもでき,委託先工場の生産設備は,外資企業が必要に応じて有償又は無償で提供するものとされているが,組立加工工場における従業員の雇用及び企業と従業員の労働安全及び衛生活動は中国本土企業が行わなければならないものとされており,来料加工取引において,外資企業が管理者,技術者,労働者を雇用すること は法的に不可能である。また,来料加工取引においては,外資企業は上記生産設備のほか,工具,部品・原材料,工場建物の改装材料及び燃料等を調達して委託先工場に供給し,これらを中国本土企業の従業員が組立加工し,完成品を外資企業に輸出することになるが,この際,完成品は全て発注者である外資企業に輸出されることが予定されており,政府の厳しい管理を受けることを条件に,部品・原材料及び完成品の輸出入関税と増値税(流通付加価値税)が免除されるが,供給された物品や完成品を他に譲渡し又は転売することは厳に禁じられ,税関当局による監視監督を受けることになる。さらに,来料加工取引では,外資企業は組立ての対価として中国本土企業に加工料を支払うが,中国の法令ないし規則上,ここには,工員の給与,ボーナス,従業員福祉保険,教育費,管理費,工商税(売り上げに対して課される流通税の性格を持つ税目),水道・電気代,工場・土地使用料,運送料,港使用料,工場建物・設備の減価償却費,修繕費,外国貿易手数料及び利益等が含まれなければならないとされているところ,これは結局,来料加工委託契約においては,中国本土企業が第一次的に組立加工の受託者としてこれらの費用を負担するものの,これは加工料に反映され,外資企業がこれらの費用を全て加工料として最終負担することを意味する。そして,中国本土企業は市場競争原 土企業が第一次的に組立加工の受託者としてこれらの費用を負担するものの,これは加工料に反映され,外資企業がこれらの費用を全て加工料として最終負担することを意味する。そして,中国本土企業は市場競争原理の下での経営管理や技術的な能力に乏しいという背景に加え,上記のとおり外資企業が完成品の全量引取義務を負うことなどから,来料加工取引において,外資企業には事実上の義務として委託先工場の生産工程や技術関係を指導することが求められる。そして,法の規定に従い対外経済貿易委員会の審査と認可を受けて経営請負契約を締結することも可能とされるが,こうした手続がとられたとしても,委託先工場の経営責任が外資企業に移転するわけではなく,組立加工事業を行うのは中国本土企業であることが当然の前提とされ,人事(経営者,労働者の 人事),財務(予算の作成,財務決定権),通関,決算(利益の処分),照合(経費の支出等の確認)等,工場の経営の根本にかかわるものは絶対に外資企業に移転されない。なお,本件では,A1 がB1 工場全体の経営を自ら請け負うための認可等の手続がとられたという事実もない。そして,以上のような,委託者が,受託者の工場に対して生産設備の一部を提供するとともに,生産管理及び品質管理等の技術面において技術指導等の関与をすることについては,我が国における通常の組立加工の委託契約においてもいわゆる「外注管理」として一般に行われているものである。 (3) A1 等の来料加工取引について中略(4) A1 等の香港における事業活動ア中略イ中略ウ中略エ中略(5) A1 等の主たる事業が卸売業に該当すること中略(6) 被告の主張についてア被告は,香港本社を中心としたA1 等の総体が行って 中略ウ中略エ中略(5) A1 等の主たる事業が卸売業に該当すること中略(6) 被告の主張についてア被告は,香港本社を中心としたA1 等の総体が行っている事業の実態や機能を全く見ようともせず,専ら,A1 等の電気機器組立加工委託先である,A4 の組織上の一部であるB1 工場等内でのA1 の役割,関わり方のみを審査の対象としているが,こうした事実認定の手法は,本件各更正処分の結論形成過程において最も重要な点である「審査対象とすべき基本的な事実関係」の理解を誤るものであり,失当である。また,措置法66条の6第1項の適用除外要件を定める同条4項の定め方に照らす と,本件においては,まずA1 等の事業が同項1号に列挙された業種に当たるか否かを判断するのが論理的順序であるところ,被告はそうした条文構成を無視し,A1 等の事業が同号に列挙されている業種に当たるか否かを検討することなく,いきなり,A1 等の業種が同号に記載のない「製造業」であると断定しており,課税要件の理解を誤っている。 イまた,課税は原則として私法上の法律関係に則して行われるべきであり,課税庁としては,当事者間の契約が通謀虚偽表示である等の特段の事情がない限り,これを尊重するのが当然であり,正当な根拠なく当事者間の法律関係を否定してはならない。そして,本件において,A1 等と本件各公司との間では,中国の諸法規の適用と規制の下,来料加工委託契約を締結しており,この来料加工委託契約が有効に存在しており通謀虚偽表示などではないことは明らかであり,そうであれば,上記の私法上の法律関係を検討するに際しては,上記来料加工委託契約に適用される中国法,取り分け強行法規として適用される法規の規定を考慮することが不可欠である。しかるに,本 らかであり,そうであれば,上記の私法上の法律関係を検討するに際しては,上記来料加工委託契約に適用される中国法,取り分け強行法規として適用される法規の規定を考慮することが不可欠である。しかるに,本件各工場における製造行為の主体がA1等であるとする被告の主張は,当事者が任意に締結し,かつ現に存在する契約関係を無視するものであり,課税要件の認定に必要な私法上の法律関係は当該私法上の契約関係に即して決すべきであるという事実認定における上記採証法則に反する。 ウ中略(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略(エ) 中略(オ) 中略(カ) 中略 (キ) 中略(ク) 中略(7) A1 等が非関連者基準を満たすことA1 等は,その仕入取扱金額のほとんど全てが非関連者からの仕入れであるから,A1 等の事業活動が非関連者基準を満たすことは明らかである。 2 争点②(A1 等の主たる事業が卸売業に該当しない場合,所在地国基準を満たすか)について【被告の主張】争点①において述べたとおり,A1 等は本件各工場における製造行為の経営主体であり,その主たる事業である製造業を主として中国本土の本件各工場において行っているものであり,本店の所在する「地域」である香港においてはその主たる事業を行っていないから,所在地国基準を満たさない。 この点,原告は,特定外国子会社等がその行っている主たる事業を,主として本店又は主たる事務所の所在する「国」又は「地域」のいずれかにおいて行っていれば,所在地国基準を満たすと主張する。しかし,外国子会社合算税制の制度趣旨からすると,所在地国基準の適用に当たり,租税の負担がないか又は著しく低い「地域」に本店等が所在する特定外国子会社等が所在地国基準を満たすためには,その事業を主 しかし,外国子会社合算税制の制度趣旨からすると,所在地国基準の適用に当たり,租税の負担がないか又は著しく低い「地域」に本店等が所在する特定外国子会社等が所在地国基準を満たすためには,その事業を主として当該「地域」において行っていると認められることを要すると解すべきであり,このことは,措置法66条の6第1項及び4項並びに措置法施行令の各規定等の条文構造からも明らかであって,原告の主張は,外国子会社合算税制や所在地国基準の趣旨に反するものである。そして,香港は,中国本土とは異なる独自の租税制度を有し,かつ,その租税負担は世界的にも最も低いレベルにあり,代表的なタックスヘイブンの一つとして,外国子会社合算税制が適用される典型的な「地域」であると理解されているところであり,A1 等が所在地国基準を満たすためには,その事業を主として本店の所在する「地域」である香港において 行っていると認められることを要するというべきであり,原告の上記主張は失当である。 【原告の主張】仮に,A1 等の主たる事業が卸売業に該当しないとしても,本件においては措置法66条の6第4項2号に規定する所在地国基準を満たしている。 (1) すなわち,A1 等の主たる事業が卸売業か否かにかかわらず,香港に主たる事業を行うのに必要な事務所を有し,香港でその事業の管理,支配及び運営を自ら行うとともに,香港で製品を販売することで収入・所得をあげるなどしており,A1 等は,その事業の主たる部分を本店所在地である香港で行っている。 (2) また,措置法66条の6第4項2号の文理からすれば,特定外国子会社等が,その主たる事業を,主として本店又は主たる事務所の所在する「国」又は「地域」のいずれかにおいて行っていれば,所在地国基準を満たすというべきところ,香港は,平成9年7 からすれば,特定外国子会社等が,その主たる事業を,主として本店又は主たる事務所の所在する「国」又は「地域」のいずれかにおいて行っていれば,所在地国基準を満たすというべきところ,香港は,平成9年7月1日にその主権がイギリスから中国に返還された以後は,中国の一特別行政区であり,中国の他の直轄地(上海市等)や省と同レベルの地方行政区である。したがって,香港は中国の一部で同じ「国」であり,A1 等は,その事業を主として本店の所在する「国」で行っているから,所在地国基準の要件を満たすというべきである。 さらに,措置法66条の6第4項2号が所在地国基準を定めている趣旨は,特定外国子会社等がその本店等の所在する国又は地域において,その地の経済と密接に関連して事業活動を行っている場合には,当該特定外国子会社等がタックスヘイブン地域に設立されたことにつき経済合理性が認められるという点にあるところ,争点①について述べたとおり,香港と本件各工場の所在する広東省は,いわゆる華南経済圏として地理的にも経済的にも一体といえる。のみならず,来料加工委託契約の下では,香港と委 託先工場との間で,税関の監視下にある封印されたトラック等によって保税状態を保ちながら,部品・原材料及び製品の出入れが行わなければならず,その出入れには,関税・増値税がかからないものとされており,これによれば,少なくとも来料加工取引との関係では,香港と委託先工場とは税務行政上同じ地域であり,あたかも一つの保税区のように取り扱われているといえる。したがって,所在地基準の判定に当たっては,香港と封印されたトラック等によって結ばれた委託先工場とは同一の「地域」に当たると解すべきであり,仮に,A1 等の主たる事業が卸売業に該当しないとしても,A1 等は所在地国基準を満たしている。 は,香港と封印されたトラック等によって結ばれた委託先工場とは同一の「地域」に当たると解すべきであり,仮に,A1 等の主たる事業が卸売業に該当しないとしても,A1 等は所在地国基準を満たしている。 3 争点③(経済合理性を理由とする適用除外の可否)について【原告の主張】措置法66条の6第4項が規定するタックスヘイブン対策税制の適用除外事由の立法趣旨は争点①において述べたとおりであるところ,そのような立法趣旨からすると,端的に,経済合理性ある企業活動を行う企業については,広く適用除外規定を充足すると解釈すべきである。 そして,A1 等が香港に所在し,本件各公司との間で来料加工取引を行うことに経済合理性があることは争点①において述べたとおりであるから,A1等については適用除外事由を充足すると解すべきである。 【被告の主張】争う。 外国子会社合算税制の適用の有無は,措置法66条の6に規定された要件に従って判断されるべきであり,これとは別に「経済合理性があること」が独立の適用除外要件となると解釈することはできない。 4 争点④(A1 等につき外国子会社合算税制を適用することが濫用的な課税として手続的正義に反するか)について【原告の主張】 本件各更正処分は,①経済合理性のある企業活動についてタックスヘイブン課税をしないという立法の経緯及び趣旨に反するものであり,こうした課税は我が国企業の国際競争力が大幅に減殺するものである上,②従来の取扱いを突然変更し,同時期に成立した移転価格税制における一国内事前確認との関係でも,原告の予測可能性を無視するものであって,国家権力の濫用ともいえる課税処分であり手続的正義に反し違法である。 (1) 国際競争力への影響来料加工取引は,中国の 国内事前確認との関係でも,原告の予測可能性を無視するものであって,国家権力の濫用ともいえる課税処分であり手続的正義に反し違法である。 (1) 国際競争力への影響来料加工取引は,中国の法制度に基づく厳格な許認可・管理の下で,香港及び広東省を中心にして発展してきたものであり,国際的なコスト削減競争に対抗するために香港に進出した多くの日本企業(特に中小企業)にとって欠くことのできない取引形態となっており,華南地方には,日系香港企業の委託先工場だけで少なくとも約4000工場あるとされている。 また,タックスヘイブン対策税制の立法過程の検討でも,その課税の対象は,パナマ等に設立されるペーパーカンパニーや関係会社間の取引を形式的に仲介するダミー的会社のみとされ,独立した企業としての実体があり,正常な事業活動を行う企業はタックスヘイブン課税の対象として想定されていなかったのである。 そうであるとすれば,A1 等のように,本店所在地である香港に実体があり,香港に所在することに経済合理性があって,かつ,独立企業として事業活動を行っているものに対し,タックスヘイブン課税をすることは,法の趣旨に反し,また,こうした課税が容認されれば,国際的なコスト削減競争に対抗するために香港に進出し,正常な事業活動を行ってきた多数の日本企業に大きなダメージを与え,我が国の国際競争力に悪影響を与える結果となることは明らかである。香港・華南地区では,世界各国から香港に進出した数万社の企業によって来料加工取引が行われているが,我が国以外に来料加工取引に対してタックスヘイブン対策税制を適用している国 はない。 (2) 課税に関する予測可能性に反すること課税庁は,過去10年の長期間にわたり,A1 等の業種が「卸売業」であるとの前提の下に,A1 ブン対策税制を適用している国 はない。 (2) 課税に関する予測可能性に反すること課税庁は,過去10年の長期間にわたり,A1 等の業種が「卸売業」であるとの前提の下に,A1 等が非関連者基準を満たしていることを理由として,タックスヘイブン課税の適用を除外してきたとみられるのであり,原告もこれを当然とし,これを前提として厳しい国際競争を闘ってきた。 のみならず,課税庁は,本件タックスヘイブン課税に先行して,平成12年11月頃から,移転価格税制に基づき原告及びA1 を税務調査し,平成17年6月29日には,原告とA1 との間の国外関連取引に関しての移転価格税制における一国内事前確認(以下「APA」という。)が成立しているところ,そこでは,製品の販売から生じた利益の半分をA1 が生み出したものと認めているのであり,A1 が単なるペーパーカンパニーとして租税回避に利用されているわけではないことを十分承知していたはずである。 しかるに,課税庁は,これまでの原告に対する法人税課税の経緯を無視し,また,APAでA1 の実体を認めたことすら反故にして本件各処分をしたのである。こうした濫用的課税処分がされるのでは,企業は,課税に対する予測が不可能となり,安心して経済活動を行うことができないのであって,このような濫用的課税処分は断じて許されるべきものではない。 【被告の主張】争う。 原告は,従前の経緯に照らして本件各処分が濫用的な課税処分であると主張するが,A1 等の主たる事業が製造業であることは,本件各更正処分に係る税務調査により初めて明らかになったものであり,それまでの間,原告においてA1 等の業種を「卸売業」とする誤った申告を行っていたからといって,課税庁がかかる申告内容を是認していたことになるものではない。原告 により初めて明らかになったものであり,それまでの間,原告においてA1 等の業種を「卸売業」とする誤った申告を行っていたからといって,課税庁がかかる申告内容を是認していたことになるものではない。原告が指摘するAPAについても,移転価格税制やその事前確認の制度と外国子 会社合算税制の適用とは無関係であるから,原告の主張は失当である。 5 争点⑤(本件源泉税に係る外国税額控除の可否)について【被告の主張】(1) 外国税額控除が適用される外国税の範囲ア我が国が採用する外国税額控除の仕組みは,全世界所得課税主義,すなわち自国の国民や法人の所得につき,その源泉が国内にあるか国外にあるかを問わず,その全てを課税の対象とする結果,外国政府に納付した所得税ないし法人税と,我が国の所得税ないし法人税が二重に課せられることになるため,それを是正する制度である。 そうであるとすれば,ある外国の租税に「所得税」や「法人税」という名称が付されていても,我が国の法人税法上の「所得」とは基本的な性格を異にするものを課税標準とする外国の租税の場合には,そもそも同一の所得に対する国際的二重課税が生じているとはいえないから,かかる租税をあえて外国税額控除の対象とする必要がない。このような場合に,原告の納付すべき我が国の法人税額から当該外国の租税相当額を減額することとするならば,我が国が本来確保すべき税源を外国に無償で移譲してしまうことになり,かかる事態は外国税額控除制度の趣旨目的に反するものである。 したがって,外国税額控除は,同一の所得に対して国際的二重課税が生じた場合,すなわち,利息や配当の受け取り,役務提供の対価の受け取りなどもろもろの取引により発生したある一つの所得に対し,我が国の法人税が課税されると同時に外国からも当該所得を課税標準と 重課税が生じた場合,すなわち,利息や配当の受け取り,役務提供の対価の受け取りなどもろもろの取引により発生したある一つの所得に対し,我が国の法人税が課税されると同時に外国からも当該所得を課税標準として税が課された場合,すなわち,当該租税が我が国の「法人税に相当する税」に当たるか否かによって判断すべきである。 イ外国法人税について,上記のように解すべきことは,以下の点からも明らかである。 (ア) すなわち,法人税法69条1項は,「外国法人税」の意義について,「法人税に相当する税」で政令で定めるものとする旨規定しており,この規定ぶりからすれば,当該「法人税」とは,我が国の法人税を指すものと考えることができる。そして,法人税法施行令141条1項は外国法人税を,我が国の法人税に相当する税であると定めた同法69条1項の委任に基づき,その具体的な範囲について規定したものであるから,その解釈にあたっては,上記法の外国法人税についての解釈を前提として解釈しなければならないのであり,同施行令141条1項における外国法人税の定義についても同様に解すべきである。 (イ) また,法人税法施行令141条3項は上記「外国法人税」に含まれない税の類型について具体的に規定しているが,同項は,平成13年法律第6号による税制改正(以下「平成13年税制改正」という。)において新たに加えられたものであるところ,この改正は,政府税制調査会の「中期答申」(平成12年7月)において,「控除対象となる外国税の範囲について,二重課税の排除という制度の趣旨を踏まえて明確化することが求められる。」と述べられたことを受けて,外国税額控除は,単なる損金算入ではなく,自国法人税額を直接相殺する仕組みであることから,対象となる外国法人税の要件についても,自国法人税に相当す することが求められる。」と述べられたことを受けて,外国税額控除は,単なる損金算入ではなく,自国法人税額を直接相殺する仕組みであることから,対象となる外国法人税の要件についても,自国法人税に相当することを適正に捉える必要があるとの考えをもとに,我が国の法人税に相当しない例を明記することとされたものである。このように,外国税額控除の対象となる外国の租税が,我が国の法人税に相当するものであることが必要であることは明らかであるといえる。 (ウ) さらに,法人税法施行令141条3項3号は,みなし配当(法人税法24条1項)の基因となる事由により交付を受ける金銭の額又はその他の資産の価額に対して課される税は,外国法人税に含まれない旨定めているところ,立法担当者は,この規定につき,みなし配当 の基因となる事由による金銭等の交付のうち,その交付の基因となった株式の取得価額を超えない部分は,単なる出資の払い戻しにすぎず,我が国の法人税法上の「所得」を生じさせるものとはいえず,我が国では所得を構成しないものであるから,外国法人税に含まれない旨解説している。ここから,同施行令は,我が国では所得を構成しないものに対して課される外国の租税は,「所得を課税基準とする税」とはいえず,ひいては「法人税に相当する税」に当たらないという考え方を採っているといえる。 (エ) また,実質的にも,国内法令の概念にない外国の租税を外国税額控除の対象とした場合には,日本の税制及び税収が外国の税制に左右されることになる上,納税者間の公平が害され,投資活動に対する税制の中立性が維持できなくなるのであって,そのような事態は,外国税額控除の制度が,国際二重課税を排斥し,事業活動に対する中立性を確保しようとする制度目的を有することに反するものであるといえる。 (オ) 以上 維持できなくなるのであって,そのような事態は,外国税額控除の制度が,国際二重課税を排斥し,事業活動に対する中立性を確保しようとする制度目的を有することに反するものであるといえる。 (オ) 以上により,内国法人が納付した外国の租税が外国税額控除の対象となる「外国法人税」に該当するかどうかは,我が国の法人税法が定める法人税の基本的な性格を基準として,その外国の租税が我が国の「法人税に相当する税」に当たるか否かという観点から判断されるべきである。 (2) 本件源泉税が,我が国の法人税に相当する税に該当しないことそこで,本件源泉税が,我が国の法人税に相当する税に当たるか否かについて検討すると,我が国の法人税法は,「各事業年度の所得の金額」を法人税の課税標準と定めているところ,この所得の概念は,我が国の法人税の基本的な性格を決定付ける重要な要素であるから,ある外国の租税が,我が国の法人税に相当する税といえるためには,当該租税の課税標準が, 我が国の法人税法上の所得と基本的な性格を共通にしていることが必要である。そこで,法人税法施行令141条1項にいう「所得」は基本的には,法人税法22条で算定される所得の内容と同じと考えるのが相当であるところ,同条1項においては,内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする旨を定めており,同条2項において,「益金」を各種の取引に係る当該事業年度の収益として観念していること,同条3項において「損金」から資本等取引を排除する旨規定していることからすれば,我が国の法人税法上の「所得」は,企業会計上の当期利益と性格は同一であって,実現した収益から原価,費用,損失を控除した残額としてのいわゆる純所得概念として把握されるものであり,また資本等取引 れば,我が国の法人税法上の「所得」は,企業会計上の当期利益と性格は同一であって,実現した収益から原価,費用,損失を控除した残額としてのいわゆる純所得概念として把握されるものであり,また資本等取引を排除して計算することが前提となっている。 したがって,我が国の法人税法上の「所得」とは,実現した収益から原価,費用及び損失を控除した残額であり,未実現の利得は特別の定めがない限り,課税の対象から除外されているのであるから,我が国の法人税法が未実現の利得と見て課税の対象から除外している利得に対して課された外国の租税は,法人税法施行令141条1 項にいう,「所得を課税標準とする税」には該当せず,外国法人税に当たらないというべきである。 (3) 本件源泉税は未実現の利益に対する課税であり,我が国の法人税法上の所得に当たらないこと我が国においては,平成2年法律第64号による商法改正(以下「平成2年商法改正」という。)前には,株式会社において配当可能利益の資本組入れと株式の追加発行が併せて行われる場合,当該資本組入額のうち,当該株式会社の株主等である内国法人が有する株式に対応する部分の金額については,それに見合う新株の発行の有無にかかわらず,利益の配当とみなされ,その内国法人が当該組入れ時において当該金額の交付を受けたも のとして,当該利益について課税の対象とされてきたところ,上記みなし配当課税は,未実現の利益に対する課税であったことから,法人税法22条2項が採用する実現原則を排除する特別の定めとして,平成13年税制改正前の法人税法24条2項2号において規定されていた。一方台湾においては,配当可能利益の資本組入れとともに行われる株式の追加発行は,利益の配当であると考えられ,当該配当について課税がされているが,これは我が国の平成2年商 2号において規定されていた。一方台湾においては,配当可能利益の資本組入れとともに行われる株式の追加発行は,利益の配当であると考えられ,当該配当について課税がされているが,これは我が国の平成2年商法改正前における株式配当制度に相応する制度であると考えられる。 一方,我が国においては,平成13年税制改正において,みなし配当制度についての抜本的改正が行われ,資産の交付を伴わない場合のみなし配当課税は廃止されることとなり,上記法人税法24条2項2号が削除され,これにより未実現の利益に対する課税はされないことになったため,かつての株式配当と同様に,配当可能利益の資本組入れと株式の追加発行が併せて行われる場合にも,法人税の課税関係は一切生じないこととなった。 すなわち,現在の我が国の法人税法の解釈適用上は,上記資本組入れについては,株主に未実現の利得としての増加益を生じさせるにとどまるのであって,法人税課税の対象とはならず,また,新株の追加発行についても,その法的性質は株式の分割であって,各株主の持分に変動を与えるものではないのであり,法人税の課税関係を生じさせるものではないから,株式配当を受けても原告には何ら収益が生じず,所得は認識されないと考えられている。 したがって,本件源泉税は,我が国の法人税法が課税対象である「所得」について採用している実現原則に照らせば,「所得」といえないものに課された租税にほかならず,我が国の法人税法上の所得に対して課された税とはいえないことになる。 (4) まとめ 以上により,本件源泉税は,我が国の法人税が課税対象とする所得に対して課された租税とはいえず,我が国の法人税に相当する税に該当しないから,これについて控除をしなかったとしても,二重課税は生じないことになる。 現に原告は,A9 の新株 が課税対象とする所得に対して課された租税とはいえず,我が国の法人税に相当する税に該当しないから,これについて控除をしなかったとしても,二重課税は生じないことになる。 現に原告は,A9 の新株の発行を受けた事実に関し,平成16年3月期の確定申告において,何ら益金を計上しておらず,我が国の法人税法上上記行為によっては所得が認識されないことを前提に確定申告を行っており,課税庁も本件源泉税の課税標準とされた金額を我が国の法人税法上の「所得」とは認識していないのである。このため,本件源泉税の課税標準とされた金額に対して我が国で法人税が課税されることはなく,二重課税の状態は生じていない。 原告は,株式配当によって交付された株式に対して台湾でみなし配当課税が行われたにもかかわらず,当該株式を譲渡した際に当該株式配当により取得した株式の取得価額を零として譲渡原価を計算して,我が国の法人税法上譲渡益課税を行うとすれば,結果的に株式配当において課税された金額について二重課税が発生する余地があるため,みなし配当課税が行われた時点で当該税額を外国税額控除の対象とすべきであると主張する。しかしながら,本件のように,台湾においてみなし配当課税が課されたものの,いまだ株式の譲渡が行われていないような場合には,譲渡益に対する課税も生じていないのであるから,二重課税が生じていると解することはできない。 【原告の主張】(1) 外国税額控除の対象となる外国法人税について,法人税法69条1項が「外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるもの」と規定し,法人税法施行令141条1項が,外国税額控除の対象となるのは,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課 税標準として課される税」と規定しているところ,本件源泉税額は 法人税法施行令141条1項が,外国税額控除の対象となるのは,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課 税標準として課される税」と規定しているところ,本件源泉税額は,台湾において台湾の法令に基づいて課された租税であるから外国の法令に基づき課された税に当たり,かつ,以下のとおり,「法人の所得を課税標準とする税」に当たるのであるから,上記外国税額控除の対象となる租税に該当する。 すなわち,法人税法22条によれば,我が国の法人税法上「所得」とは当該事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額であり(同条1項),当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は当該事業年度の収益の額であり(同条2項),収益の額は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとされているのであるから(同条4項),株式配当が利益配当としての意味を有する法制度を保有している国において,利益配当としての株式配当を受けた場合には,我が国の法人税法上においても,これがその株式配当を受けた法人の「所得」となることは否定できないところである。 そして,法人に対する営業事業所得税も規定している台湾の所得税法は,当期利益の資本組入れと併せて行われる株式配当を利益の配当と解した上で,当該配当を課税対象である実現した所得と認定し,源泉所得税の徴収をしているのであるから,我が国の法人税法上においても,当該配当が「所得」に当たることは明らかである。したがって,本件源泉税は,外国税額控除の対象となる外国の法令に基づき外国により所得を課税標準として課される税に当たるということができる。 (2) 被告は,外国税額控除の制度が,同一の所得に対して外国で課税がされている場合に,その課税額を我が国の法人税額から控除することにより,国際的二重課税を排除 れる税に当たるということができる。 (2) 被告は,外国税額控除の制度が,同一の所得に対して外国で課税がされている場合に,その課税額を我が国の法人税額から控除することにより,国際的二重課税を排除する趣旨の制度であるところ,我が国の法人税法に基づく課税標準と異なる所得を課税標準とする外国税であれば,同一の所得に対して二重に課税をすることにはならず,国際的二重課税は生じ ないのであるから,外国税額控除の対象となる外国法人税は,我が国の法人税法に基づく課税標準と同様の所得を課税標準とする税であることが必要であると主張する。 しかしながら,外国税額控除の対象となる外国法人税について,法人税法69条1項,法人税法施行令141条1項の文言上,日本の法人税法に基づく課税標準と同様の所得を課税標準とする税であることは要件とされていない。 また,外国税額控除の制度趣旨が国際的二重課税の排除にあることはその通りであるものの,国際的二重課税が生じるか否かについては,次のとおり,実質的に同一の利益について課税されているか否かを見て判断すべきであり,被告主張のように,形式的に,外国において課された租税が,我が国の法人税法と異なる課税標準について課税されているから,外国税額控除の対象とはならないと解するのは妥当ではない。外国において課される税について,我が国の法人税と実質的に同一の利益を目的とする租税であるにもかかわらず,外国税額控除をしないとすれば,国際的二重課税を排除することができないのであって,これは外国税額控除の制度趣旨に反するものである。 (3) 我が国の法人税法において,二重課税の判断に当たって実質的な基準を採用するべきことは,以下の点から明らかである。 アすなわち,平成2年商法改正前については株式配当について利益の配当がされ (3) 我が国の法人税法において,二重課税の判断に当たって実質的な基準を採用するべきことは,以下の点から明らかである。 アすなわち,平成2年商法改正前については株式配当について利益の配当がされたものとして当該利益を課税標準として課税され,平成13年税制改正前の法人税法では,資本に組み入れられた利益積立準備金のうち,当該株主が保有する株式に対応する部分の金額を利益の配当とみなして,当該利益を課税標準として課税がされていた。さらに,これらの株式を後に譲渡した場合には,譲渡益を課税標準として課税をされるところ,利益積立金の資本組入れないし株式配当がされた時点で課税され た額だけ株式の取得価額を増加させて,譲渡益をその分だけ減額する扱いとなっていた。これは利益課税をした以上,それを反映させて譲渡益を算定しなければ,部分的にではあるが,実質的に同一の利益に対する課税がなされることになり,実質的には二重課税となってしまうことによるものである。このように,利益配当がされた場合の課税標準と株式が譲渡された場合の課税標準とは全く異なるものであるが,実質的に二重課税となってしまう場合には,我が国の法人税法,所得税法上,これを排除する仕組みがとられていたのである。 イまた,平成13年税制改正後,利益積立金額の資本組入れについて,組入れ額のうち当該株主が有する株式に対応する部分の金額を利益の配当とみなす規定が削除され,利益積立金額の資本組入れとこれに伴う新株の発行が行われた場合でも,利益積立金額の資本組入れに対する課税はされないことになり,上記取得価額の調整規定が削除され,株式が譲渡された場合に,利益積立金額の資本組入れ以前の株式の帳簿価額と譲渡価額の差額が譲渡益であるとして課税されることになった。 しかし,平成13年税制改正前に利益積立 価額の調整規定が削除され,株式が譲渡された場合に,利益積立金額の資本組入れ以前の株式の帳簿価額と譲渡価額の差額が譲渡益であるとして課税されることになった。 しかし,平成13年税制改正前に利益積立金の資本組入れが行われ,同改正後に株式が譲渡された場合に,資本組入れの時点で課税され,譲渡の時点にも課税されることになるが,譲渡の際に取得価額に資本組入れがされたことを反映する規定が削除されているため,これを反映させないまま課税がされることにより,実質的に二重課税が生じることになる。そこで,平成13年法律第6号の附則2条では,同改正前に利益積立金額の資本組入れが行われていた場合の法人税については従前の例によるとされた。 ウこのように,我が国の法人税法,所得税法は,二重課税が生じるかどうかについて,課税標準が同じであるかどうかといった形式的な基準によるのではなく,実質的に同じ利益に二重に課税をしているかどうかと いう基準を採用しており,実質的に二重課税となる場合には,それを排除するための仕組みが設けられているといえる。 (4) 以上により,外国税額控除の対象となる税は,我が国の法人税法に基づく課税標準と同様の所得を課税標準とする税である必要はなく,「外国の法令に基づき外国により所得を課税標準として課される税」であって,当該租税を控除しなければ,我が国における課税との関係で,国際的二重課税が生じてしまう場合であれば,これに当たると解すべきである。 (5) なお,平成2年商法改正前においては,我が国においても,株式配当自体を利益の配当と解していたところ,同改正後においては,利益積立金額の資本組入れがされた場合に,資本に組み入れた利益積立金額のうち当該株主が有する株式に対応する部分の金額を利益の配当とみなすこととされたが,これは, していたところ,同改正後においては,利益積立金額の資本組入れがされた場合に,資本に組み入れた利益積立金額のうち当該株主が有する株式に対応する部分の金額を利益の配当とみなすこととされたが,これは,我が国内部における法制度において,何をもって利益の配当とみるかという点を変更したにすぎず,これと異なる法制度,本件においては,台湾における課税制度において,株式の配当につき,利益の配当と解釈した上で,それが我が国の法人税法上の「所得」であることを否定するものではない。 また,平成13年税制改正において,我が国の法人税法は,利益積立金額の資本組入れにつき,これを課税標準としなくなったが,これは利益積立金の資本組入れがされた場合に,これによりキャピタルゲインとしてその時点で課税標準とするか,それとも株式が譲渡されてキャピタルゲインが実現された場合にその時点で課税標準とするかについての運用を変更したにすぎず,我が国の法人税法上の「所得」概念を,変更させるものではないから,この改正により,別の法制度のもとで,利益積立金の資本組入れを法人税施行令141条1 項の「法人の所得」に該当すると解することに支障はない。 このように,平成2年商法改正,平成13年税制改正は,いずれも同施 行令141条1 項の「法人の所得」の概念に変化をもたらすものではないのである。 (6) 上記のとおり,外国税額控除が,所得を課税標準として外国で納税した税目について,自国の法人税の税額から控除することで国際的二重課税を排除することを目的とする制度であることから考えれば,外国税額控除の対象となる税は我が国の法人税法に基づく課税標準と同様の所得を課税標準とする税である必要はなく,当該制度趣旨を踏まえ,当該税目について我が国において税を課すことで,二重課税となるものであ 税額控除の対象となる税は我が国の法人税法に基づく課税標準と同様の所得を課税標準とする税である必要はなく,当該制度趣旨を踏まえ,当該税目について我が国において税を課すことで,二重課税となるものであるかによって判断すべきである。 本件において,外国税額控除の対象としないことで二重課税が生じるかについて検討すると,前記のとおり,台湾においては,株式配当が利益配当に当たることを前提として,配当額を課税標準とする課税がされている一方,我が国の現在の法制度のもとでは,利益配当としての株式配当という制度は存在せず,新株発行の前提となる利益積立金額の資本組入れが当該会社の株主の保有する株式の価値を増加させるはずであると考えた上で,その増加益(キャピタルゲイン)が実現するのはその株式の譲渡時であるため,その時点において,増加益を含めた譲渡益を所得として,これを課税標準とする課税をしている。このように,台湾における課税と我が国における課税とは,課税標準が異なるので,外形的には双方に課税がされても二重課税とはならないようにも思える。 しかし,実質的に見れば,株式譲渡の際には,利益積立金額の資本組入れより前の株式の帳簿価格と譲渡価格との差額が譲渡益であるとして課税されるところ,台湾において,利益積立金額の資本組入れに伴う新株配当について課税がされていた場合に,これを考慮して株式の取得価額を増加させなければ,同一の利益について部分的にではあるが,二重に課税がされることになり,これは前記の我が国におけるみなし配当課税における状 態と同様であるといえるところ,現在の我が国の法人税法においては,当該株式を譲渡するに当たっては,その株式配当で課税標準とされた金額を株式の取得価額の計算にあたって考慮に入れないのであるから,台湾で株式配当に課税がされた ころ,現在の我が国の法人税法においては,当該株式を譲渡するに当たっては,その株式配当で課税標準とされた金額を株式の取得価額の計算にあたって考慮に入れないのであるから,台湾で株式配当に課税がされた年度において,その税額が外国法人税に当たるとし,これを当該年度の我が国の所得に対する法人税額から控除しなければ,実質的に二重課税となることは避けられない。 したがって,外国税額控除制度の趣旨が,二重課税を避けるためであることから考えれば,本件においても,外国税額控除が適用されることは明らかである。 6 争点⑥(本件各処分に理由不備ないし理由差換えの瑕疵があるか)について【原告の主張】(1) 青色申告の更正処分においては,理由付記が必要とされており(法人税法130条2項),このように理由付記が効力規定とされているのは,処分の判断の慎重・合理性を担保して恣意的な処分を抑制するとともに,処分の理由を相手方納税者に知らしめて不服申立てに便宜を与えるという趣旨によるのであり,当該趣旨に鑑みれば,青色更正処分の理由付記が不備である場合には,その内容の適否を問うまでもなく,その処分は違法となる(最判昭和38年5月31日・民集17巻4号617頁)。なお,通則法74条の2は租税法の領域について行政手続法の適用除外を規定しているため,本件において行政手続法14条は直接には適用されないが,我が国において平成6年に行政手続法が施行されたことにより,理由付記などの手続保障の要請は強化されていることから考えれば,更正の理由付記に関する規定は,より強い要請を受けて適用すべきである。 また,上記理由付記の趣旨からすれば,青色申告の更正処分における付記理由をその後の不服申立手続や訴訟手続において,差し換えることは許 されず,当該処分は手続的に違法となる。 すべきである。 また,上記理由付記の趣旨からすれば,青色申告の更正処分における付記理由をその後の不服申立手続や訴訟手続において,差し換えることは許 されず,当該処分は手続的に違法となる。 (2) 本件各更正処分における付記理由としては,A1 は,A4 の所有するB1 工場等における製造行為について,外殻(営業許可,通関,行員募集企画)を得て,自らの計算と負担で主体的に行っていると認められること等が主に記載されているが,これについての根拠となる資料をほとんど示していないばかりか,A1 の主たる事業が製造業であることを認定する根拠を何ら明らかにしておらず,明らかに理由不備である。 ところが,異議決定においては,処分理由について,A1 の業種の判断については,単なる協議書における文言だけではなく,経営主体が行う経済活動が何であるかという観点から判断する必要があり,具体的には,B1工場の生産管理(工程管理,品質管理,労務管理)及び製造行為に係る損益の帰属が誰にあるかにより判断を行う必要があるとして,経営主体の行う経済活動が何であるかという実質論を中心として記載し,理由の差換えを行っている。さらに,A1 は製品の製造についての経営主体,A4 は建物等及び工員の提供に関する経営主体となるとの二重構造論を展開するなど,理由の追加も行っている。 また,本件訴訟において,被告は,処分時の付記理由や異議申立手続,審査請求手続では取り上げられていないB1 工場以外の協議書や工場の運営についての主張をしており,かつ,被告の主張する実質協議書の約定内容やこれに基づく各工場の経営の実態を根拠として,各工場において行われている製造行為の経営主体についての主張をするなど,理由の追加,差換えを行っている。 以上のとおり,異議決定及び審査請求時以降の課 やこれに基づく各工場の経営の実態を根拠として,各工場において行われている製造行為の経営主体についての主張をするなど,理由の追加,差換えを行っている。 以上のとおり,異議決定及び審査請求時以降の課税庁側の主張は,本件各更正処分に付記理由として記載されている外殻論から実体論に差し換えられているものであり,また,本件訴訟における被告の主張は,異議申立手続において全く主張されていなかった,A4,B1 工場以外の事由につい ても追加主張されているものであって,理由の差換えないし追加がされたものであるから,違法である。 【被告の主張】(1) 判例上,処分時の付記理由とは異なる主張を訴訟において主張した場合にも,それによって被処分者に争訟上格別の不利益を与えることがない場合には,いわゆる理由の差換えの枠外の問題であり,理由の差換え固有の問題はそれが被処分者の争訟上の利益にかかわるような場合に限定されるとされている(最判昭和56年7月14日・民集35巻5号901頁)。 (2) 本件において被告が主張する本件各更正処分の処分理由は,本件各通知書における付記理由の段階から実質的には全く変更されておらず,所得金額にも何ら変更はない。その上,原告は特定外国子会社等に当たるA1等の主たる事業が何であるかといったことについては,熟知しているはずであるのだから,被告が本件において,各工場の経営実体を根拠とした主張をすることによって,被処分者である原告に格別の不利益を与えるものではないことは明白である。したがって,本件において処分理由の差換えの問題が生じる余地はない。 なお,原告は,本件各通知書に記載された更正の理由と異議決定書及び審査請求に対する答弁書の記載が異なる旨主張するが,本件は異議決定や審査裁決の取消訴訟ではないから,かかる主張は失当で 余地はない。 なお,原告は,本件各通知書に記載された更正の理由と異議決定書及び審査請求に対する答弁書の記載が異なる旨主張するが,本件は異議決定や審査裁決の取消訴訟ではないから,かかる主張は失当である。 第5 当裁判所の判断 1 争点①(A1 等の主たる事業が卸売業に該当するか(該当する場合には非関連者基準を満たすか))について(1) 総論ア製造業と卸売業の区別の意義措置法66条の6第1項の規定するタックスヘイブン対策税制は,内国法人が,法人の所得等に対する租税の負担がないか又は極端に低い国 又は地域(いわゆるタックスヘイブン)に子会社を設立して経済活動を行い,当該子会社に所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することを目的とする制度である(乙4)。一方,同条4項の規定するタックスヘイブン対策税制の適用除外規定は,特定外国子会社等の所在地国における事業活動が正常なものとして経済的合理性を有する場合にまでタックスヘイブン対策税制の対象とすることは,我が国の民間企業の海外における正常かつ合理的な経済活動を阻害することになり妥当ではないことから,たといタックスヘイブンに所在する特定外国子会社等であっても,当該企業が独立企業としての実体を備え,かつ,その地で主たる事業を行うことに十分な経済的合理性があると認められる場合には,例外的にタックスヘイブン対策税制の適用を排除しようとする趣旨で定められたものである(甲24,99,乙4)。 そして,同項においては,タックスヘイブン対策税制の適用除外要件として,事業基準,実態基準及び管理支配基準のほかに,卸売業等の一定の業種については非関連者基準を,その他の業種については所在地国基準を満たすべきことが規定されているところ,このうち,所在地国基準は,その事業にと ,実態基準及び管理支配基準のほかに,卸売業等の一定の業種については非関連者基準を,その他の業種については所在地国基準を満たすべきことが規定されているところ,このうち,所在地国基準は,その事業にとって本質的な行為の行われる場所が主としてその本店所在国又は地域にあり,本店所在地国又は地域において資本投下を行い,その地の経済と密接に関連して事業活動を行っていると評価できる場合には,特定外国子会社等がその地に所在する経済的合理性を推認し得るという認識に基づき,その事業を主としてその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において行っていることを要件としたものである(乙4)。 これに対し,卸売業等の同項1号に挙げられた事業については,その事業の性質上,事業活動の範囲が必然的に国際的にならざるを得ず,これらの事業を営む特定外国子会社等に対して,地場経済との密着性を重 視する前述の所在地国基準を適用することには無理があり,それよりも,その事業を関連者との取引に頼っているような企業は,その地に所在する経済的合理性が希薄であると考えられることから,その事業の大半が関連者以外の者との取引から成っているかどうかで判断するのが適当であるとして,非関連者基準を適用することとしたものである(甲24,乙4)。 そうであるところ,本件においては,同項の適用除外要件のうち,所在地国基準と非関連者基準のどちらが適用されるかについて,原告は,A1 等の主たる事業は同項1 号所定の卸売業に該当するから,非関連者基準が適用されると主張するのに対し,被告は,A1 等の主たる事業は製造業に該当し,同項2号により所在地国基準が適用されると主張している。そこで,製造業及び卸売業の意義並びにその区別基準が問題となるが,措置法上,製造業及び卸売業の用語についての定義規 主たる事業は製造業に該当し,同項2号により所在地国基準が適用されると主張している。そこで,製造業及び卸売業の意義並びにその区別基準が問題となるが,措置法上,製造業及び卸売業の用語についての定義規定は特に設けられていないことから,製造業と卸売業との区別に当たっては,卸売業と製造業の社会通念上の意義を基礎として,上記アの適用除外要件の趣旨・目的を考慮して解釈することが必要というべきである。 イ製造業と卸売業の区別の基準(ア) ところで,特定外国子会社等の営む事業が同項1号又は2号に掲げる事業のどちらに該当するかについては,措置法通達66の6-14が,原則として総務省が設定した日本標準産業分類(乙6)を基準として判定することとしているところ,同分類は,統計調査の結果を産業別に表示する場合の統計基準として,多岐にわたる経済活動を分類したものであり,一般の社会通念が反映されたものとして客観性,合理性を有しているといえる。 そして,同分類によれば,製造業とは,新たな製品の製造加工を行い,かつ,自ら製造した新たな製品を主として卸売りする業務を行う 事業をいうとされ,自らは製造を行わないで,自己の所有に属する原材料を下請工場などに支給して製品を作らせ,これを自己の名称で販売する製造問屋は製造業とせず,卸売業又は小売業に分類するとしている。一方,卸売業とは,小売業又は他の卸売業に商品を販売するものであり,自らは製造を行わないで,自己の所有に属する原材料を下請工場などに支給して製品を作らせ,これを自己の名称で卸売りするいわゆる製造問屋を含むとしている。 以上の分類によれば,製造業と卸売業とは,製品又は商品を販売するという点については共通しているものの,製造業とは,自ら新たな製品の製造加工を行い,これを販売して製造原価と販売額との差 としている。 以上の分類によれば,製造業と卸売業とは,製品又は商品を販売するという点については共通しているものの,製造業とは,自ら新たな製品の製造加工を行い,これを販売して製造原価と販売額との差額による利益を得る業種であるのに対して,卸売業とは,自らは製造を行わず,既に製造された製品又は商品を購入して販売し,それらの価格の差益により利益を得る業種であるから,結局,卸売業と製造業とは,販売する製品(商品)を自ら製造しているかどうかにより区別されるということができる。 (イ) また,措置法66条の6第4項の適用除外要件の趣旨に照らしてみても,製造行為とは,原材料の加工等を行うための工場建物や設備等を整備し,人員を確保するなどして資本の投下を行うことが予定されている経済活動であるから,特定外国子会社等が,その主たる事業の事業活動として自ら製造行為を行っている場合には,当該製造行為が本店所在地国又は地域において行われ,当該国又は地域において資本投下を行い,その地の経済と密接に関連して事業活動を行っていると評価できるかどうかにより,タックスヘイブン対策税制適用除外の是非を判断するのが合理的であると考えられ,適用除外要件のうち所在地国基準を適用するのが相当であると考えられる。 したがって,特定外国子会社等の営む事業が同項1号又は2号に掲 げる事業のどちらに該当するか判定するに当たって,製造業と卸売業とを,販売する製品を自ら製造しているかどうかにより区別し,自ら製品を製造していない卸売業を主たる事業とする場合には非関連者基準が,自ら製品を製造する製造業を主たる事業とする場合には所在地国基準が適用されると考えることは,前記アの適用除外要件の趣旨にも合致するということができる。 (ウ) 以上からすれば,A1 等が主たる事業の事業活動 製造する製造業を主たる事業とする場合には所在地国基準が適用されると考えることは,前記アの適用除外要件の趣旨にも合致するということができる。 (ウ) 以上からすれば,A1 等が主たる事業の事業活動として,販売する製品を自ら製造している場合には,その主たる事業は製造業であると解すべきであり,措置法66条の6第4項2号において主たる事業が卸売業である場合には当たらず,所在地国基準が適用されると解するのが相当である。 ウ製造の主体性の判断枠組み(ア) ところで,前記前提事実(4)キによれば,本件各工場において,A1 等と本件各公司との間で取り交わされた本件各協議書に基づき,製品の製造が行われ,A1 等はこれを全て引き取り,自己の名で販売していたところ,被告は,本件各工場において行われていた製品の製造行為は,実質的にはA1 等が行っていたものであると主張するのに対し,原告は,本件各工場における製造行為はA1 等が本件各公司に製造を請け負わせて行わせていたものであり,A1 等がその主体として製造行為を行っているものではないと主張する。 そこで,まず,製造行為の主体に係る判断の在り方について検討するに,前記のとおり,タックスヘイブン対策税制は,タックスヘイブンの子会社に所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することを目的とする制度であり,その適用除外は,民間企業の海外における正常かつ合理的な経済活動を阻害することのないよう,特定外国子会社等がその地で主たる事業を行うことに十分な経済 的合理性があると認められる場合に,上記制度の適用を排除するものである。このような制度の趣旨目的に照らせば,適用除外要件の判断に当たり,その地で事業を行う経済的合理性は実質を備えたものであることが必要というべきであり,事業の形式的 上記制度の適用を排除するものである。このような制度の趣旨目的に照らせば,適用除外要件の判断に当たり,その地で事業を行う経済的合理性は実質を備えたものであることが必要というべきであり,事業の形式的な外観だけではなく,現実に行われている事業活動の実体がどういうものであるかという観点から,社会通念に照らして検討することが必要というべきである。 このような考え方からすれば,適用除外要件該当性の判断に当たっても,当該事業において行われる法律行為の名義や形式のみによることなく,現実に行われている事業活動の実体を考慮して,A1 等が当該事業を実質的に行っているのかを,社会通念に照らして検討することが必要というべきである。 (イ) そして,前記のとおり,適用除外要件のうち所在地国基準は,本店所在地国又は地域において資本投下を行い,その地の経済と密接に関連して事業活動を行っていると評価できる場合には,特定外国子会社等がその地に所在する経済的合理性を推認し得るという認識に基づき,その事業を主としてその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において行っていることを要件としたものであるところ,主たる事業として製造業を行う特定外国子会社等について,非関連者基準ではなく所在地国基準が適用されるのは,製造業の本質的な事業活動として行われる製造行為が,一定の場所において,人的物的資本を投下して行われる行為であり,当該特定の場所との関連が強い事業活動であると評価できるからである。そうであれば,特定外国子会社等が事業活動として製造行為を行っているといえるためには,製造行為に基づく損益(製造原価と販売額との差額による損益)の帰属主体であることに加えて,一定の場所において行われる事実行為としての製造行為(資本投下)について,自らの責任と判断において主体的にこれ 行為に基づく損益(製造原価と販売額との差額による損益)の帰属主体であることに加えて,一定の場所において行われる事実行為としての製造行為(資本投下)について,自らの責任と判断において主体的にこれ を行っているといえることが必要である。 そうであるところ,製造行為とは,人的労力,機械設備,原材料等を運用して製品を生産する行為であり,これを事業として主体的に遂行するには,人的労力,機械設備,原材料等の継続的な確保・管理にとどまらず,製造行為により得られる利潤を最大化するべく,品質・納期を適切に管理して顧客の満足を得るよう努め,かつ,製造原価(コスト)の低減に努めるなどの管理行為が不可欠である。そうすると,A1 等が本件各工場において行われている製造行為の主体であるかどうかを判断するに当たっては,本件各工場における製造行為に基づく損益がA1 等に帰属するかどうかという点に加えて,A1 等が,本件各工場における製造行為に関して,①人員の確保・管理,②施設・設備の確保・管理,③原材料の確保・管理,④製品の品質管理,⑤納期・工程管理,⑥原価管理等を自らの責任と判断において主体的に行っているかについて具体的に検討し,それらを総合して,社会通念に照らし,実質的に判断すべきである。 (ウ) これに対し,原告は,課税は原則として私法上の法律関係に即して行われるべきであるところ,本件において,A1 等と本件各公司との間では,中国の諸法規の適用と規制の下で契約を締結しているから,A1 等が本件各工場の経営主体といえるかどうかについても,これらの根拠法規の規定を考慮することが不可欠であり,A1 等が本件各工場を経営していたと認めることは,当事者間の契約関係を無視するものであり許されない旨主張する。 しかし,非関連者基準又は所在地国基準のどちら 規の規定を考慮することが不可欠であり,A1 等が本件各工場を経営していたと認めることは,当事者間の契約関係を無視するものであり許されない旨主張する。 しかし,非関連者基準又は所在地国基準のどちらが適用されるかを決めるための「主たる事業」の判断は,その地で主たる事業を行うことに十分な経済的合理性があると認められるかどうかという観点から実質的に判断すべきものであって,当該事業において行われる法律行 為の名義や形式のみによることなく,現実に行われている事業活動の実体がどういうものであるかという観点から,A1 等が当該事業を実質的に行っているのかを,社会通念に照らして検討することが必要というべきであり,原告の上記主張は採用することができない。 (2) 認定事実前記前提事実に加え,掲記各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。なお,争いのない事実には認定根拠を付記しない。 ア本件各公司との間の基本合意の成立中略イ本件各第1協議書(乙9,11,13,15,17)(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略(エ) 中略(オ) 中略(カ) 中略ウ本件各第2協議書(ア) B1 各第2協議書(乙10)a 中略b 中略c 中略d 中略e 中略(a) 本件B1 平成4年第2協議書(乙10の1)中略(b) 本件B1 平成5年第2協議書(乙10の2) 中略(c) 本件B1 平成13年第2協議書(乙10の4)中略(d) 本件B1 平成14年第2協議書(乙10の5)中略f 中略g 中略(イ) B2 各第2協議書(乙12)中略a 中略b 中略c 中略(a) B2 平成4年第2協議書(乙12の1)中略(b) B2 平 の5)中略f 中略g 中略(イ) B2 各第2協議書(乙12)中略a 中略b 中略c 中略(a) B2 平成4年第2協議書(乙12の1)中略(b) B2 平成13年第2協議書(乙12の3)中略d 中略(ウ) B3 第2協議書(乙14)中略(エ) B4 各第2協議書(乙16)中略(オ) B5 第2協議書(乙18)中略a 中略b 中略c 中略 d 中略中略(カ) B6 各第2協議書(乙20)中略エ製品の製造本件各工場においては,上記アのA1 等と本件各公司との間の合意に基づき,ビデオ,DVDプレイヤー,インクジェットプリンター,レーザープリンター等の完成品や,当該完成品の基幹部品等の製造が行われていた(乙62)。 なお,B2 工場は,平成15年11月からB3 工場へ機能が一部移管し,同年12月以降,B3 工場が本格的に稼働した。 オ原材料の調達及び機械設備の整備,管理(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略カ加工料の支払(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略キ完成品の引渡し中略ク原告との間の製造委託契約中略ケ A1 等の設立目的,事業概要(ア) A1 等の設立目的中略 (イ) A1 等の事業内容中略(ウ) A1 の原告グループにおける位置付け 中略コ A1 等の組織・本件各工場の位置付け,分掌業務等(ア) 香港事務所中略(イ) 本件各工場の位置付け中略(ウ) A1 の各部門の分掌事項中略サ人員の配置(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略シ事業所会議(ア) 中略(イ) 中略ス分社 本件各工場の位置付け中略(ウ) A1 の各部門の分掌事項中略サ人員の配置(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略シ事業所会議(ア) 中略(イ) 中略ス分社会計処理基準中略セ財務諸表の内容(ア) 中略(イ) 中略(ウ) 中略ソ生産計画中略 タ技術指導中略チ事業計画の策定・管理中略ツ政府に対する税務申告中略(3) 検討以上の認定事実を基に,A1 等が本件各工場における製造行為の主体であるかどうかについて検討する。 ア本件各工場の管理運営について(ア) A1 等による経営管理についてa 前記認定事実ウ(ア)a,(オ)bによれば,A1 等と本件各公司との間で取り交わされた本件各第2協議書(B2 各第2協議書を除く。)には,A1 等が,本件各工場の経営を請け負い,経営管理者として本件各工場に関する全責任を負い,これについて本件各公司は一切関与しないこととされていたことが認められる。したがって,A1 等と本件各公司との間においては,A1 等が,本件各工場の責任者として,本件各工場の経営全般にわたって管理運営を行うことが合意されていたものということができる。また,B2 各第2協議書及びB3 第2協議書については,「経営管理を請け負う」などの明確な文言はないものの,「A1 がB2 工場を賃借し,委託加工工場を作る」などの記載があることから(前記認定事実ウ(イ)),他の工場と同様に,B2 工場についても,A1 が責任者として本件各工場の経営管理を行うことが予定されていたといえる。 なお,本件各第1協議書には,「本件各公司は,(略)A1 等委託の加工生産を進め」などと,上記の本件各第2協議書と異なり,本 件各公司が本件各 営管理を行うことが予定されていたといえる。 なお,本件各第1協議書には,「本件各公司は,(略)A1 等委託の加工生産を進め」などと,上記の本件各第2協議書と異なり,本 件各公司が本件各工場における製造行為を行うかのような記載がある(前記認定事実イ(ウ))。しかしながら,原告によれば,本件各第1協議書は,A1 等と本件各公司の取引における基本部分について規定されたものであるところ,証人P1 によれば,これは,本件各公司とA1 等の取引と同様に,中国企業と外国企業が製品の製造に関する契約を締結する際に用いられる政府所定の書式によるものであるということであるから,本件各第1協議書に定められた事項がA1 等と本件各公司との間の実際の合意内容と合致していない部分が存在する可能性があり,実際,後述のとおり,A1 等が本件各公司に支払う加工料の定めについても,本件各第1協議書ではなく本件各第2協議書の定めに従って行われていることなどからすると,本件各第1協議書と本件各第2協議書との間に齟齬がある場合には,本件各公司との間の合意内容は,本件各第2協議書の定めによるものと認めるのが相当である。 b そして,前記認定事実サによれば,A1 等は,従業員の多くを本件各工場へ派遣し,本件各工場の統括責任者である総経理や工場長,また,本件各工場の部門のほとんどにA1 等から派遣された従業員を責任者として配置しており,これらの人員により,本件各工場全体を組織的に管理運営する体制を整えていたということができる。 c また,前記認定事実コ(イ)によれば,A1 は,B1 工場等を,A1の生産部として位置付け,自らの組織の一部として扱っていると認められるし,また,A1 等が,香港税務局に対する申告において,本件各工場について,「中国4工場はA11 の所 は,B1 工場等を,A1の生産部として位置付け,自らの組織の一部として扱っていると認められるし,また,A1 等が,香港税務局に対する申告において,本件各工場について,「中国4工場はA11 の所有ではないが,当該工場が中国相手方に代わってA1 等により運営されていることを当然に意味する」などと,自らが本件各工場を事実上経営している旨の申告をしていたこと(前記認定事実ツ)からすれば,A1 等が事 実上の経営者として本件各工場を組織的に管理運営していると認識していたことが看取される。そして,A1 は,もともと中国本土において製品の製造を行うことを目的として設立された会社であり(前記認定事実ケ(ア)),原告のグループにおいては,A1 は生産技術,部品の購買,生産管理を自社の責任で行う総合製造会社として位置付けられていたこと(前記認定事実ケ(ア)),A2 についても,原告において,製品の組立製造を行う会社として位置付けられていたこと(前記認定事実ケ(ウ))などからすれば,A1 等は,本件各公司との間で取り交わした本件各協議書に基づき,本件各工場を自ら経営し,製造行為を行っているという認識のもとに,本件各工場を組織的に管理運営していたということができる。 (イ) 本件各協議書に関する原告の主張についてa これに対し,原告は,①本件各第2協議書において,「経営を請け負う」等の文言があるのは,A1 等の要求する品質,納期等を本件各公司に確実に実行させ,本件各工場における現地の工員による不正を防止するため,本件各公司をけん制する趣旨で用いられているのであり,現実に本件各工場の経営権をA1 等に移転したり,A1等が自ら本件各工場を経営することを意図していたものではないと主張し,証人P1 もこれに沿う証言をする。 b しかし,A1 れているのであり,現実に本件各工場の経営権をA1 等に移転したり,A1等が自ら本件各工場を経営することを意図していたものではないと主張し,証人P1 もこれに沿う証言をする。 b しかし,A1 等の要求する品質,納期等を本件各公司に確実に実行させ,本件各工場における現地の工員による不正を防止するという目的であれば,品質,納期等の遵守や不正防止のための手段を尽くすことを本件各公司が誓約する等,より直截的な文言を入れるのが自然であると考えられ,「経営を請け負う」などという婉曲な文言を入れるのは不自然である。また,中国の関係法令上,審査認可機関の審査,認可がない限り,外国企業に中国工場の経営を請け負わ せたり,経営権を移転することは禁止されていたため,当該文言は法的には何ら意味のないものであり,かつ,本件各公司はそのことを当然に認識していたというのであるから(証人P1),けん制のために当該文言を入れても実効性があるとも思われない。しかも,証人P1 によれば,A1 等は,本件各工場について,約束した品質や納期が遵守されず,経営がうまく行かない場合は,本件各協議書の規定(前記認定事実ウ(ア)g)に従い契約を解除することができるというのであるから,上記のようなけん制の文言を入れる必要性はますます乏しいというべきである。 c また,証人P1 は,上記「経営を請け負う」旨の文言については,A1 の中国現地の弁護士が本件各第2協議書に書き加え,それをA4に見せたところ,A4 は当該文言について特に何も言わなかった旨証言するが,原告が主張するように,当該文言が,A4 との合意により規定されたものではなく,A1 がA4 をけん制するために挿入されたものであれば,前記のとおり,中国において外国企業に工場の経営を請け負わせることは禁止されてい に,当該文言が,A4 との合意により規定されたものではなく,A1 がA4 をけん制するために挿入されたものであれば,前記のとおり,中国において外国企業に工場の経営を請け負わせることは禁止されていたというのであるから,A4において,当該文言について何らかの異議が唱えられるのが通常であると考えられるところ,A4 がこれについて何らの反応もしなかったというのは不自然である。加えて,A1 従業員のP2 が平成16年12月2日にA1 財務担当責任者に宛てて送付した電子メール(乙32)には,「中国パートナー(A4)との委託加工契約では,工場の経営管理はA12 側が全権を持って行い,A4 側は廠長(B1工場の登記上の代表者),報関員,水電管理人を派遣する以外は一切経営に対しては関与しないこととなっています。」などという記載があるところ,このような記載は,上記本件各第2協議書の記載内容と整合するものであり,本件各第2協議書の記載が本件各工場 の実態に沿うものであることを推認させるものである。 d さらに,原告は,前記のとおり,B2 平成4年第2協議書(乙12の1)には,A1 が工場の経営を「請け負う」等の明確な文言が記載されていないことについて,これは,当該協議書を取り交わす際は,A4 との取引を開始してから半年余り経過しており,A4 との信頼関係が形成されていたため,けん制の文言を入れる必要がなかったからであるとして,これが原告の上記①の主張を根拠付けるものである旨主張し,証人P1 もこれに沿う証言をする。 しかし,B1 平成5年第2協議書(乙10の2)及びB1 平成10年第2協議書(乙10の3)がA4 との間で取り交わされたのは,上記B2 平成4年第2協議書が取り交わされた後のことであるから,原告の主張を前提とすれば,これらの協 (乙10の2)及びB1 平成10年第2協議書(乙10の3)がA4 との間で取り交わされたのは,上記B2 平成4年第2協議書が取り交わされた後のことであるから,原告の主張を前提とすれば,これらの協議書についても,A1 がB1工場の経営を請け負うなどの文言を入れる必要はないことになるが,いずれについてもこれらの文言が記載されているのであり,原告の上記主張は採用することができない。 e 以上からすれば,本件各第2協議書の「経営を請け負う」等の文言については,その文言のとおり,A1 等が本件各工場の経営を自ら実質的に管理することを目的として記載されたものであると認めるのが相当である。 なお,原告は,中国の関係法令上,審査認可機関の審査,認可がない限り,外国企業に中国工場の経営を請け負わせたり,経営権を移転することは禁止されていたことから,協議書にA1 等と本件各公司との間で,本件各工場の経営をA1 等に請け負わせる旨の合意があったとしてもそれは無効であり,そのような合意があったと認めるべきではない旨主張する。しかし,当事者であるA1 等と本件各公司があえて協議書に当該文言を記載している以上,契約当事者 であるA1 等と本件各公司においては,A1 等が本件各工場の経営を請け負うことを予定し実質的に経営を管理していたものと認められるのであり,中国の法令に適合するか否かによって上記事実が否定されるものではないから,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 本件各工場の組織に関する原告の主張についてa また,原告は,②本件各工場へ従業員を派遣したのは,A1 等が,本件各公司に製品の製造を委託するのに際し,製品の品質と納期を確保するため,技術指導,品質管理等を行うためにすぎず,本件各工場は本件各公司から派遣された廠長を最 へ従業員を派遣したのは,A1 等が,本件各公司に製品の製造を委託するのに際し,製品の品質と納期を確保するため,技術指導,品質管理等を行うためにすぎず,本件各工場は本件各公司から派遣された廠長を最高責任者として,各部門の本件各公司の従業員により実質的な運営がされているのであり,A1 等から派遣された従業員には,本件各工場の経営を決定する権限はない旨主張し,証人P3 及び証人P4 もこれに沿う証言をする。 b しかし,前記のとおり,本件各第2協議書記載の文言のとおり,A1 等が本件各工場の経営を「請け負う」ものとされ,本件各公司はこれに一切関与しないこととされていたことからすれば,本件各工場はA1 等から派遣された従業員により管理運営されていたというべきであり,本件各公司から派遣された廠長等の従業員により管理運営されていたとは認め難い。また,A1 の平成13年に作成された組織図(乙26)及び平成14年当時の会社案内に記載されたB1 工場等組織図(乙21)においては,総経理がB1 工場等の組織図の頂点に記載されている。B1 工場等の組織図のうちには,頂点にA4 から派遣された廠長が記載され,その下に総経理が記載されて,あたかも廠長が最高責任者であるかのようなものが存在するが(乙28),原告がA1 のタックスヘイブン対策税制についての打ち合わせを行った際の議事録(乙31)の記載によれば,原告があら かじめ作成していたと思われる組織図には,総経理が頂点に記載されていたところ,当該打ち合わせにおいて,税理士法人担当者より,「工場のトップには現地の従業員を記載すべきである」「トップと底辺は中国パートナーが押さえており,中間部分をA1 がカバーしている事を主張する」などのアドバイスを受け,A4 から派遣された廠長を頂点に記載した組織 は現地の従業員を記載すべきである」「トップと底辺は中国パートナーが押さえており,中間部分をA1 がカバーしている事を主張する」などのアドバイスを受け,A4 から派遣された廠長を頂点に記載した組織図を作成するに至ったことが認められることからすると,上記組織図の記載が実際のB1 工場等の組織の実体を的確に反映したものとは認められない。また,証人P3 の証言によれば,本件各工場の廠長は,本件各工場の財務関係や生産管理等にも関与することなく,生産計画の策定にも携わっていないというのであり,このように本件各工場の製造行為の重要部分について関与していない人物が,本件各工場を管理運営しているとも考え難いのであって,原告の上記主張は採用することができない。 (エ) まとめ以上のとおり,A1 等は,本件各公司との間の合意に基づき,本件各工場についての経営管理権を有しており,これに基づきA1 等の人員を本件各工場の指揮監督系統の中枢に配置し,もって本件各工場を管理運営していたことが認められる。 イ人員の確保・管理について(ア) 前記認定事実ウによれば,本件各第2協議書において,A1 等は,本件各公司が廠長,通関員,水道電気の管理人を派遣する以外は,本件各工場の全ての管理者を委任し又は罷免することとされていたことが認められ,A1 等は,本件各公司との間の合意に基づき,本件各工場における管理者の人事権を有していたといえる。そして,A1 においては,工場部門の生産課の分掌事項として,作業員の作業分担,配置,勤務状態の管理,衛生管理,技術指導等の実施等を挙げており (前記認定事実コ(ウ)),自らの業務の一環としてB1 工場等における工員の人事に関する事項を位置付けている。また,実際に,A1 の香港事務所の役員・従業員及びB1 工場等に派 挙げており (前記認定事実コ(ウ)),自らの業務の一環としてB1 工場等における工員の人事に関する事項を位置付けている。また,実際に,A1 の香港事務所の役員・従業員及びB1 工場等に派遣された従業員による事業所会議(乙33,乙B8)において,受注の増減に沿った製造量の増減,生産計画に合わせた人員の増加・人員の削減,新規採用の予定,工員の労働時間(残業や一時帰休の予定)や給与支払等の労働条件,配置換え等の人事事項に関する方針の決定などが行われていたことが認められる(前記認定事実シ)。これらの点を総合すれば,A1 が,実際に,B1 工場等の人員の確保・管理を自らの責任と判断において主体的に行っていたことが認められる。 また,A2 においても,事業所会議において工場の人事に関する事項の検討,方針の決定等が行われていたのであるから(前記認定事実シ),同様に,B6 工場の人員の確保・管理を自らの責任と判断において主体的に行っていたものと認められる。 (イ) 原告は,①本件各第2協議書の人事権に関する規定は,上記ア(イ)と同様に,A1 等の要求する品質,納期等を本件各公司に確実に実行させ,本件各工場における現地の工員による不正を防止するため,本件各公司をけん制する趣旨で記載されたもので,本件各工場における人事は全てにわたり,A4 から派遣された廠長が最終的に判断して決定しているのであり,A1 等から派遣された従業員には何らの権限もない,②事業所会議は,A1 等から派遣された従業員が,外注管理の一環として,本件各工場における問題点の共有と意見交換の場として,A4 の方針やA4 が既に実施した事項を報告したり,今後A4に要望する事項を報告したりしているにすぎず,事業所会議により本件各工場の人事を決定しているわけではないと主張し,証 意見交換の場として,A4 の方針やA4 が既に実施した事項を報告したり,今後A4に要望する事項を報告したりしているにすぎず,事業所会議により本件各工場の人事を決定しているわけではないと主張し,証人P3 及び証人P4 はこれらの主張に沿う証言をし,B1 工場に派遣されたA4 の 従業員のこれに沿う内容の陳述書もある(甲232から235まで)。 しかしながら,前記ア(イ)と同様,本件各第2協議書の上記記載は工員の不正を防ぐため本件各公司をけん制する趣旨で記載されたもので実質を伴うものではない旨の原告の主張は採用し難く,また,A1 等から派遣された従業員が実際に本件各工場を管理運営していたと認められることは前記ア(ウ)のとおりである。 確かに,原告が主張するとおり,工員の募集採用,工員の安全衛生等については,A4 が派遣した廠長がこれを行っていたことが認められる(前記認定事実サ(ウ))。しかし,総合的な人事方針の決定については,各工場の受注の状況や今後の製造量の増大等を総合的に考慮した上で行う必要があると考えられるところ,前記のとおり,廠長は,本件各工場の財務関係や生産管理等にも関与することなく,生産計画の策定にも携わっていないというのであるから,廠長がB1 工場等の総合的な人事方針の決定を行っていたとは考えられない。実際,廠長は,原告から提供される生産計画に基づいて人員の採用計画を決めており,これについてA1 から確認を受けることとされていたというのである(甲166)。そうであるとすれば,本件各工場において,個別の人員の採用や配置等の手続については廠長が行っていたものの,全体的な採用の方針については,受注の増減や生産計画を考慮して,A1 等から派遣された従業員がその大枠を決定していたと考えるのが自然であり,前記イ(ア)の 等の手続については廠長が行っていたものの,全体的な採用の方針については,受注の増減や生産計画を考慮して,A1 等から派遣された従業員がその大枠を決定していたと考えるのが自然であり,前記イ(ア)のとおり,事業所会議において,A1 等の従業員らが,生産計画に合わせた人員の増減を検討していたこととも整合するものである。 そして,前述のA1 従業員のP2 が平成16年12月2日にA1 財務担当責任者に宛てて送付した電子メール(乙32)においても,「A4が派遣した廠長は組織上はB1 工場の人事総務部の責任者となってお り,人事総務部の業務内容として工員募集,教育訓練(入社時),出退勤管理,宿舎管理,守衛・掃除係りの管理に就いて,A12 側責任者である総経理の指示・意向に基づき,人事総務部メンバーに指示を出しています。工場の工員が就業時間,退勤後を問わず,何か事件を起こしたり,事故に遭ったりした場合にはやはり廠長が処理し最終的に総経理の判断を仰いでいます。」などと記載されており,また,本件各第2協議書(前記認定事実ウ(ア)d)においても,本件各工場において必要とする工員については,「B1 工場の名で」採用する,「人事等に協力する」などの記載があることなども考慮すれば,本件各工場に派遣された廠長は,A1 等から派遣された責任者の指示に基づいて,工員の確保等を行うことが予定されていたにすぎず,A1 等から派遣された総経理が人事権に関する実質的な権限を有していたと認めるのが相当である。したがって,本件各第2協議書の人事権に関する規定が実質を伴うものではないとはいえないし,事業所会議が外注管理の一環として行われているもので,ここで議論されたことについての実質的な決定権がなかったとは認められず,原告の上記①及び②の主張は採用できない。 うものではないとはいえないし,事業所会議が外注管理の一環として行われているもので,ここで議論されたことについての実質的な決定権がなかったとは認められず,原告の上記①及び②の主張は採用できない。 (ウ) また,原告は,中国人労働者の人事・労務管理は,中国が多民族国家で価値観等が異なっていることからすれば,中国人の行動傾向を日本人が把握し,人事権を行使することは不可能であるから,A1等から派遣された従業員が中国労働者の人事・労務管理を行っていたはずがないと主張する。しかし,そのようにA1 等の従業員において,中国労働者の人事・労務管理を直接に扱うことが困難であるからこそ,本件各協議書においては,廠長が派遣されることが約定され,人事関係の仕事を行うこととされていたものと考えられるのであり,廠長が現場レベルでの工員の人事・労務管理を行っていたとしても,それは, A1 等の採用計画や配置計画などのB1 工場の運営に関する全体的な方針に基づいて廠長に委ねられていたものにすぎず,あくまで全体的な人事管理,労務管理に関する判断は,A1 等から派遣された従業員が行っていたものと認めるのが相当である。 ウ機械設備等の確保,部品・原材料等の調達についてA1 等は,本件各協議書に基づき,本件各公司が所有する工場建物を使用し(前記認定事実イ(ウ),ウ(ア)b,(イ)b),これに対する工場の使用料を毎月支払い(前記認定事実ウ(ア)e,カ),工場建物を本件各公司から賃借していた。また,A1 等は,本件各工場における製品の製造の用に供する機械設備等を自らの負担で購入してこれを本件各工場に設置した上,これらの機械設備等を,財務諸表上,自らの固定資産として計上し管理を行っており(前記認定事実オ(ア),(ウ)),さらに,本件各協議書によれば,A1 等 の負担で購入してこれを本件各工場に設置した上,これらの機械設備等を,財務諸表上,自らの固定資産として計上し管理を行っており(前記認定事実オ(ア),(ウ)),さらに,本件各協議書によれば,A1 等は,本件各公司が提供する工場建物・宿舎等を除く製造に関する施設の整備を行うこととされており(前記認定事実ウ(ア)c,(イ)b),これに基づき一切の製造に関する施設の整備を行っていたことも認められる。以上からすれば,A1 等は,本件各工場における製造手段の確保及び管理を,自らの責任と判断において主体的に行っていたということができる。 また,前記認定事実オ(イ)によれば,A1 等は,原告から示された納期計画に基づき,部品・原材料等の調達計画を立案した上,これに基づき部品・原材料等を調達し,これを本件各工場に提供しており,香港から運び込まれる部品・原材料等の輸送手段の確保も行っていたことが認められるから,A1 等は,本件各工場の製造行為に必要な部品・原材料等の調達に関する事項についても全て自らの責任と判断において主体的に行っていたということができる。 エ品質管理について (ア) 本件各第1協議書において,A1 等は,製品の品質管理のため,人員を派遣して製品の品質検査を行うこととされ,原材料の品質不良又は技術指導の誤りに起因する不良品が発生した場合にはA1 等の責任となり,再製造に係る費用はA1 等が負担することとされていたことなどからすれば(前記認定事実イ(オ)),本件各工場で製造される製品の品質管理については,A1 等が自らの責任において主体的に行うこととされていたことが認められる。 そして,A1 は,工場部門(すなわちB1 工場等を指す。)に品質管理課を置いた上で,新製品のサンプル検査,検査基準の制定等,生産品質の把握及び て主体的に行うこととされていたことが認められる。 そして,A1 は,工場部門(すなわちB1 工場等を指す。)に品質管理課を置いた上で,新製品のサンプル検査,検査基準の制定等,生産品質の把握及び改善等を品質管理課の分掌事項と設定しており(前記前提事実コ(ウ)),本件各工場で製造される製品の品質管理を,自らの業務の一環として位置付け,実際に,A1 から派遣された従業員は,事業所会議において,品質管理,品質の向上についての問題点・対策の検討を行い(前記認定事実シ),工員に対する品質確保のための指導を行い(前記認定事実タ),さらに,原告が独自に考案したA10 を導入し,品質の確保に努めていたことからすれば(前記認定事実タ),A1 は,B1 工場等における製品の製造における品質管理を自らの責任と判断において主体的に行っていたことが認められる。 また,A2 についても,同様に,事業所会議において品質管理に関する事項についての検討が行われていることが認められ(前記認定事実シ),B6 工場における製品の製造に係る品質管理を自らの責任と判断において主体的に行っていたものと認められる。 以上からすれば,A1 等は,本件各工場における製品の製造における品質管理について,自らの責任と判断において主体的に行っていたと認められる。 (イ) これに対し,原告は,A1 等から本件各工場に派遣された従業 員が品質管理に関する指導を行っていたのは,A1 等が,製品の製造を委託した者として,不良品であっても全ての製品の引き取りが義務付けられていたために,品質管理技術の指導に積極的に努めてきただけであり,これをもって自ら製造活動を行っていたとはいえないと主張する。 しかしながら,不良品であっても全てA1 等が引き取るという合意がされていたということは, 技術の指導に積極的に努めてきただけであり,これをもって自ら製造活動を行っていたとはいえないと主張する。 しかしながら,不良品であっても全てA1 等が引き取るという合意がされていたということは,A1 等が品質管理の最終的な責任を持っていたといえ,そのこと自体によりA1 等が本件各工場における生産管理を自ら主体的に行ってきたと評価する要素の一つとなるものであるし,現実にA1 等が本件各工場における製造行為に係る品質管理について責任を持ち,これを掌握していたことには変わりがない。また,原告は,事業所会議について,外注管理の一環として話し合っていただけで,ここで話し合ったことについて実質的に決定する権限はなかった旨主張するが,当該主張に理由がないことは前記イと同様である。 オ納期管理についてA1 は,原告との間で製造委託契約を締結し,本件各工場で製造した製品を,原告の指定する納期どおりに納入する義務を負っていたところ(前記認定事実ク),A1 は,業務分掌規定において,A1 の生産出荷管理課が分掌すべき事項の一つとして,B1 工場等の生産計画及び出荷計画の取りまとめを掲げ,また,工場の生産課が分掌すべき事項の一つとして,製造日程計画の作成及び実施督促を掲げるなど(前記認定事実コ(ウ)),A1 は,原告との契約に基づく納期を遵守するため,自らの業務の一環として,B1 工場等における納期管理を位置付けていた。 そして,B1 工場等においては,日々の生産計画を作成していたのはA4 等の従業員であったものの,この生産計画は,原告が作成した3か月分の納期計画に基づき作成されたものであり,最終的にはA1 から派遣 された従業員がその内容を確認していたというのであって(前記認定事実ソ),A1 から派遣された従業員は,事業所会議において, の納期計画に基づき作成されたものであり,最終的にはA1 から派遣 された従業員がその内容を確認していたというのであって(前記認定事実ソ),A1 から派遣された従業員は,事業所会議において,納期の遵守状況,今後の課題,問題と対策等を検討し,納期管理に自ら取り組むとともに,B1 工場等の工員に対しても,納期管理の指導を行っていたことが認められる(前記認定事実シ,タ)。 以上からすれば,A1 は,原告の指定する納期を遵守するため,自らの責任と判断において生産計画の確認を行い,これを遵守するための体制の整備に努めていたのであり,納期管理を自ら主体的に行っていたということができる。 また,A2 についても同様に,A2 から派遣された従業員による納期管理の指導が行われ,事業所会議においても,納期管理に関する事項についての話し合いがされていたことが認められ,B6 工場における納期管理を自らの責任と判断において主体的に行っていたと認められる。 カ原価管理について(ア) A1 は,B1 工場等を一経営体とみなし,B1 工場等の資産,経営成績,活動実績及び会計等を把握し,工場別の原価管理(予算管理・利益管理)を行い,また,B1 工場等をそれぞれ独立会計単位とすることにより,B1 工場等の活動実績及び会計を迅速かつ正確に把握することを目的として,分社会計処理基準を作成し,これに基づき,B1 工場等の個別の財務諸表を作成していた(前記認定事実ス,セ(ア))。そして,A1 の財務諸表は,B1 工場等の個別の財務諸表を合算して作成されており,B1 工場等で製造された製品の販売益を売上として計上する一方で,B1 工場等の製造行為に係る部品・原材料等の費用やA4 に支払う加工料,さらに,労務費及び工場の機械設備等の減価償却費等が含まれる製造経費 場等で製造された製品の販売益を売上として計上する一方で,B1 工場等の製造行為に係る部品・原材料等の費用やA4 に支払う加工料,さらに,労務費及び工場の機械設備等の減価償却費等が含まれる製造経費等を製造原価として計上していた(前記認定事実セ(ア))。また,A2 においても,財務諸表上,B6 工場の製造行為に 係る部品・原材料等の費用,A4 に支払う加工料,さらに,労務費及び工場の機械設備等の減価償却費等が含まれる製造経費等を製造原価として計上し,原価計算を行っていた(前記認定事実セ(ア))。 そして,A1 においては,算出された原価計算をもとに,事業計画において,B1 工場等の問題点と対策を個別に検討し,B1 工場等の利益実績等を検討しており(前記認定事実シ),A2 においても,B6 工場における製品の製造に関する費用について具体的な費目ごとの損益計画を策定していた。そして事業所会議においては,本件各工場における当該月度の実績及び累計実績,翌月度の直近計画,生産達成率,売上達成率等の具体的かつ詳細な報告を毎月行い,これに加え,赤字増の要因の分析,購入調整,電力消費の削減による経費節減など,製造原価低減のための方策を検討し,対策を行っていた(前記認定事実シ)。 以上からすれば,A1 等は,本件各工場の製品の製造について,財務諸表を作成し,原価を把握・分析した上,原価低減のための方策を検討し,計画を策定するなどしており,自らの責任と判断において主体的に原価管理を行っていたことが認められる。 (イ) 原告は,B1 工場等の財務諸表(乙44)は,B1 工場等における異常な仕損,原価ロスや商品・原材料等の在庫の実態を把握したり,同工場の内部管理上の収益を算出することにより納期の管理を可能にしたりするため,すなわち,内部管理のため 44)は,B1 工場等における異常な仕損,原価ロスや商品・原材料等の在庫の実態を把握したり,同工場の内部管理上の収益を算出することにより納期の管理を可能にしたりするため,すなわち,内部管理のために作成されたものであり,正式なものではないから,このような財務諸表を作成していたからといってA1 等が自ら主体的に財務管理をしていたことにはならない旨主張する。しかし,内部管理のために作成されたものであっても,A1がB1 工場等における収益を管理するために作成されたものであることには変わりがなく,正にA1 がB1 工場等における原価管理を自ら行っていたということができるのであるから,これにより上記評価が覆 されるものではない。 また,原告は,本件各工場における会計については,A4 本社から交付される会計規則(甲93)に従って会計処理がされており,A4 が派遣する会計課長の責任において独自の会計書類が作成されていた旨主張するが,これらの者により会計処理がされていたとしても,前記のとおり,A1 自身が自ら財務諸表を作成し,原価の把握・分析を行っていた事実の認定を覆すものではないし,上記会計課長により作成された本件各工場の会計書類であると主張する書類(甲155)には,A1等が本件各公司に支払う管理費や賃借料等についての記載があるのみで,製造業における損益管理の基本である部品・原材料等の費用や製造経費等の製造原価についての記載がないことからすれば,実質的に本件各工場の製造行為に係る製造原価に関する会計処理を行っていたのはA1 等であると考えられるから,原告の上記主張は採用することができない。 キ利益の帰属及びリスクの負担について(ア) 前記認定事実カによれば,A1 等は,A1 等各事業年度において,実際の賃料相場に準じた金額が設 るから,原告の上記主張は採用することができない。 キ利益の帰属及びリスクの負担について(ア) 前記認定事実カによれば,A1 等は,A1 等各事業年度において,実際の賃料相場に準じた金額が設定されていた工場建物の使用料,A4の派遣する管理人,通関員,水道電気管理者の給与及び工場内の緑化費用等に充てられる管理費に加え,本件各工場の経営資金として,工場の工員の人件費,電気代,水道代等に充てられる加工賃を支払っており,さらに,前記ウのとおり,A1 等は,本件各工場の製造行為に必要な部品・原材料等を全て自らの負担で調達し,これを本件各工場に供給しており,また,香港から運び込まれる部品・原材料等と完成品の輸送手段の確保も行っていたというのであるから,A1 等は,本件各工場における製造行為に不可欠な費用をほぼ全て負担していたといえる。 (イ) そして,A1 等が支払う加工料のうち,本件各公司の取得分は,あらかじめ定められた一定の金額(B1工場)又は毎月の工員の人数に一定の額(●香港ドル)を乗じた額(B2 工場,B4 及びB5 工場,B6 工場)から政府手数料を差し引いた額に一定の割合(B1 工場,B2工場及びB6 工場については東莞市により定められた割合である30%)を乗じた額とされていたことから(前記認定事実カ),ほぼ一定で,本件各工場における製造活動の効率化により製造コストが削減されたとしても,本件各公司が得る利益は変化しなかったと考えられる。 (ウ) これに対し,A1 等が本件各公司に支払う加工賃のうち,東莞市政府手数料及び上記本件各公司の取得分を差し引いた額は,本件各工場の運営資金とされ,必要額を控除して残余が生じた場合には,A1等の所有に属し,逆に,不足額が生じた場合にはA1 等が責任を持って補てんすることとされ 記本件各公司の取得分を差し引いた額は,本件各工場の運営資金とされ,必要額を控除して残余が生じた場合には,A1等の所有に属し,逆に,不足額が生じた場合にはA1 等が責任を持って補てんすることとされていたのであるから(前記認定事実ウ(ア)e,(イ)c,(オ)d,カ),製造コストを削減し,より少ない原価で製品の製造を行うことが可能になった場合には,残余の運営資金がA1等に帰属する以上,A1 等にその利益が帰属するといえるのであり,逆に製造コストが増加した場合には,不足額をA1 等が支払うことになり,A1 等がその費用(損失)を負担することになると考えられる。 以上からすれば,A1 等には,本件各工場における製造行為により生じる利益と損失(製造原価と販売額との差額)が帰属していたと認められる。また,そうであるからこそ,製造行為により得る利益を最大化するために,前記カのとおり,A1 等が自ら原価管理を行っていたということができる。 ク小括以上アからキまでを総合すると,A1 等は,本件各協議書による本件各公司との間の合意により,本件各工場の経営を自ら管理することとして, A1 等の従業員を本件各工場に派遣してその要職に置き,本件各工場をあたかもA1 等の組織の一部として管理運営する体制を整えており,その上で,本件各工場の人員の確保・管理,工場施設・機械設備等の確保・管理,部品・原材料等の確保・管理,製品の品質管理及び納期管理を,自らの責任と判断において行っており,さらに,製造行為による利益が帰属するとともに,そのリスクも負担した上で,本件各工場について統一的に財務管理を行い,原価の把握・分析,原価低減のための方策の検討等の原価管理に努めていたというのである。 以上からすれば,A1 等は,本件各工場において行われている製造行為 本件各工場について統一的に財務管理を行い,原価の把握・分析,原価低減のための方策の検討等の原価管理に努めていたというのである。 以上からすれば,A1 等は,本件各工場において行われている製造行為を自らの責任と判断の下で主体的に行っていたということができ,かつ,その製造行為による利益及びリスクもA1 等に帰属するというのであるから,社会通念に照らして,A1 等が実質的に本件各工場における製造行為を行っていたと認めるのが相当である。したがって,A1 等は,措置法66条の6第4項1号所定の卸売業(製造問屋)ではなく,製造業を行っていたものと認められる。 (4) A1 等の主たる事業について以上のとおり,A1 等は,A1 等各事業年度において,本件各工場における製造活動を自ら主体的に行い,製造業を営んでいたと認められる。そこで,次に,当該事業がA1 等各事業年度におけるA1 等の「主たる事業」といえるかどうかが問題となる。 ア特定外国子会社等が複数の事業を営む場合に,そのいずれの事業が主たる事業であるかについては,対象となる事業年度におけるそれぞれの事業活動の客観的結果として得られた収入金額及び所得金額や,使用人の数及び固有施設の状況等の具体的かつ客観的な事業活動の内容を,総合的に考慮して判断すべきであると解するのが相当である。 イそうであるところ,前記認定事実セ(イ)によれば,A1 等各事業年 度における本件各工場における製造活動による製品売上高は,A1 については,売上全体の約●パーセント強,A2 についても売上全体の約●パーセントと,その売上げのほとんどを製造業による売上げが占めていたことが認められる。 また,従業員の数についても,A1 については香港事務所に勤務する従業員は毎年35名程度であったのに対し,B1 ーセントと,その売上げのほとんどを製造業による売上げが占めていたことが認められる。 また,従業員の数についても,A1 については香港事務所に勤務する従業員は毎年35名程度であったのに対し,B1工場等には70名程度の従業員が派遣されており(前記認定事実サ(ア)(イ)),さらに,A1 の従業員であるP5 の陳述書(甲228)及び原告がA1 について分析した社内報告書(乙62)のA1 の管理部・購買部の業務の内容の記載に加え,上記売上の割合にも考慮すれば,香港事務所においても,本件各工場における製品の製造のための部品・原材料等の調達,納期管理等に関する業務が主に行われていたことがうかがわれる。 そして,A1 等の有する固定資産についても,そのほとんどが,本件各工場に設置されたものであることが認められる(前記認定事実セ(ウ))。 以上からすれば,A1 等は,本件各工場における製造業を主たる事業として行っていたと認めるのが相当である。 2 争点②(A1 等の主たる事業が卸売業に該当しない場合,所在地国基準を満たすか)について(1) 事業を主として行っている場所についてア A1 等の本店である香港事務所は,中国の特別行政区である香港に所在しているところ,前記1のとおり,A1 等は,A1 等各事業年度において,香港事務所において主に本件各工場の製造に供するための部品・原材料等の調達業務を行い,一方で,中国所在の本件各工場において,原材料等を加工し,製品を製造していたことが認められる。 イ原告は,A1 等は,部品・原材料等の調達と製品の販売・納入及びそれらのための情報収集,調達・物流網の構築,組立ての発注・決裁等の 業務を香港事務所で行っているから,主として事業を行っている場所は香港である旨主張する。 しかし,前記1ア及 ・納入及びそれらのための情報収集,調達・物流網の構築,組立ての発注・決裁等の 業務を香港事務所で行っているから,主として事業を行っている場所は香港である旨主張する。 しかし,前記1ア及びイのとおり,製造業の本質的な事業活動たる製造行為は,原材料の加工等を行うための工場建物や設備等を整備し,人員を確保するなどして資本の投下を行うことが予定されている経済活動であり,このような一定の建物,施設において資本の投下を行う製造活動を行うからこそ,製造業を主たる事業とする特定外国子会社等についてはタックスヘイブン対策税制の適用除外要件として所在地国基準が要求されるものと考えられる。そうであれば,所在地国基準の充足の判断において,A1 等が製造業を主として行っている場所は,実際に製造行為を行っている中国本土であると考えるべきであり,たとい香港事務所において部品・原材料等の調達を行い,完成した製品を販売するなど製造業の一環としての業務を行っていたとしても,これをもって製造業を香港において行っていると評価することはできない。 (2) 本店又は主たる事務所の所在する国又は地域について以上のとおり,A1 等においては,本店は香港に所在する一方で,製造業を主に中国本土において行っていると認められるため,A1 等が所在地国基準を満たすためには,主たる事務所の所在する香港と,製造業としての事業活動が行われている中国本土が同じ国又は地域といえる必要がある。 アところで,措置法66条の6第1項は,租税の負担がないか又は著しく低く設定されている「国又は地域」に本店又は主たる事務所が存在する特定外国子会社等について適用されるところ,このように,「国」だけではなく「国又は地域」と規定されている趣旨は,例えば英国領バミューダや,同ケイマン諸島,同ヴァー 」に本店又は主たる事務所が存在する特定外国子会社等について適用されるところ,このように,「国」だけではなく「国又は地域」と規定されている趣旨は,例えば英国領バミューダや,同ケイマン諸島,同ヴァージン諸島など,一般的に,全体としては必ずしも税率が低く設定されているとはいえない国においても,一 部の地域についてのみ税率が著しく低く設定されている場合も存在することから,ある国のうちの租税の負担がないか又は著しく低く設定された地域内に所在する特定外国子会社等についても,タックスヘイブン対策税制の適用を及ぼすことを可能にするためであると解される。 そして,措置法66条の6第4項2号の所在地国基準における「地域」とは,同条1 項の「地域」と同様の意味に解するのが相当であり,同項において「国」だけでなく「国又は地域」と規定されている上記趣旨に照らせば,同条4項2号の「地域」とは,同じ国の中の他の場所と異なり,租税の負担がないか又は著しく軽い一帯の場所を意味するものであるというべきであり,同一の「地域」に当たるかどうかの判断については,税制度の同一性を基本として判断すべきである。 イそうであるところ,香港は,1997年(平成9年)7月1日,英中共同声明に基づき中国に返還されたが,同日発効した「香港基本法」により,従前の経済,法律,社会制度を返還後50年間維持することとされ,また,高度の自治権を有する特別行政区として行政権,立法権,独立した司法権を付与する,いわゆる「一国二制度」の原則が適用されることになった。そのため,課税の面においても,中国本土への返還後も独自の課税システムが維持継続され,中国本土からの課税は実施されておらず(乙84,85),中国が締結した租税条約も香港には適用されない(乙86,87)。また,香港の税率は世界的にも 本土への返還後も独自の課税システムが維持継続され,中国本土からの課税は実施されておらず(乙84,85),中国が締結した租税条約も香港には適用されない(乙86,87)。また,香港の税率は世界的にも低く設定されている(乙85)。 以上からすれば,香港と中国本土とは,税制が全く異なるのであり,措置法66条の6第4項2号における同一の「地域」にあるとは認められない。 (3) 小括したがって,A1 等は所在地国基準を満たさず,適用除外要件を満たさ ないから,原告は措置法66条の6のタックスヘイブン対策税制の適用除外を受けることができない。 3 争点③(経済的合理性を理由とする適用除外の可否)について原告は,上記タックスヘイブン対策税制の制度趣旨からすれば,措置法66条の6第4項の適用除外要件に該当するか否かにかかわらず,端的に,経済的合理性のある企業活動を行う企業については,広くタックスヘイブン対策税制の適用が除外されるべきである旨主張する。 しかし,これまで述べたように,タックスヘイブン対策税制の適用除外規定は,単に海外において経済的合理性のある企業活動を行う企業について適用除外を認める趣旨の規定ではなく,主たる事業の内容に照らして,その地で主たる事業を行うことに十分な経済的合理性があると認められる場合として定められた要件に該当する場合に限り,適用除外を認める趣旨のものである。租税法においては,課税要件の明確性及び法的安定性を重視すべきであり,みだりに規定の文言を離れて解釈すべきではない。したがって,同条1項の適用において,同条4項の適用除外要件の文言を離れて,条文上規定されていない「経済的合理性」という不明確な要件を用いてその可否を判断することはできないというべきであり,原告の上記主張は採用することができない。 条4項の適用除外要件の文言を離れて,条文上規定されていない「経済的合理性」という不明確な要件を用いてその可否を判断することはできないというべきであり,原告の上記主張は採用することができない。 4 争点④(A1 等につき外国子会社合算税制を適用することが濫用的な課税として手続的正義に反するか)について(1) 原告は,①本件各更正処分は,経済的合理性のある企業活動についてタックスヘイブン対策税制の適用をしないという適用除外要件の制度趣旨に反するものであり,国際競争力に悪影響を与え,妥当ではない,②門真税務署長は,過去10年間の長期にわたり,A1 等の業種が「卸売業」であるとの前提で非関連者基準を満たしていることを理由としてタックスヘイブン対策税制の適用を除外し,移転価格税制における一国内事前確 認(APA)との関係で,門真税務署長が製品の販売から生じた利益の半分をA1 が生み出したものであると認めていたことから,同税務署長は,A1 が単なるペーパーカンパニーとして租税回避に利用されているわけではないことを十分認識していたはずであり,そうであるにもかかわらず,原告に対してタックスヘイブン対策税制を適用することは,予測が不可能となり,濫用的な課税として許されるべきではないと主張する。 (2) しかし,上記①の主張については,タックスヘイブン対策税制の適用除外の可否は,あくまで措置法66条の6第4項の規定する適用除外要件該当性を満たすか否かによって判断すべきものであるところ,原告の上記①の主張は,経済的合理性のある企業活動であるかどうかという条文にない要件を付加するに等しいというべきであり,上記3と同様採用することができない。 また,上記②の主張については,A1 等の主たる事業が製造業であることは,事業の実体が判明して初めて という条文にない要件を付加するに等しいというべきであり,上記3と同様採用することができない。 また,上記②の主張については,A1 等の主たる事業が製造業であることは,事業の実体が判明して初めて分かることであり,本件各更正処分に係る税務調査により初めて明らかになったことが認められ(弁論の全趣旨),それまでの間,原告においてA1 等の業種を「卸売業」とする申告を行っていたからといって,課税庁がかかる申告内容を積極的に是認していたわけではなく,本件各更正処分が手続的正義に反するということはできない。 さらに,移転価格税制は,親子会社間の取引についての取引価格と互いに独立した当事者間の取引における通常の取引価格との差異を問題とする制度であり,タックスヘイブン対策税制の適用の有無と移転価格税制の適用の有無を判断する根拠となる事情は全く異なるものであることからすれば,移転価格税制において,原告が主張するAPAが成立していたことと,措置法66条の6第1項の適用の可否とは何ら関係がないものである。また,措置法66条の6第1項のタックスヘイブン対策税制は,前記1(1)アのとおり,タックスヘイブンに子会社を設立して経済活動を行 い,当該子会社に所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することを目的として規定されたものであるところ,その適用の対象となるのは,必ずしも当該子会社が租税回避目的のために設立されたペーパーカンパニーであると認められる場合に限られるものではないから,課税庁が,A1 は実体のある企業であると認めていたからといって,A1 について同項の適用を認めることが濫用的な課税として手続的正義に反するとはいえず,原告の上記主張は採用することができない。 5 争点⑤(本件源泉税に係る外国税額控除の可否)について(1 ,A1 について同項の適用を認めることが濫用的な課税として手続的正義に反するとはいえず,原告の上記主張は採用することができない。 5 争点⑤(本件源泉税に係る外国税額控除の可否)について(1) 外国法人税について法人税法69条の定める外国税額控除の制度は,内国法人が外国法人税を納付することとなる場合に,一定の限度でその外国法人税の額を我が国の法人税の額から控除するという制度であるところ,これは,同一の所得に対する国際的二重課税を排斥し,かつ,事業活動に対する税制の中立性を確保しようとする政策目的に基づく制度である(最判平成17年12月19日・民集59巻10号2964頁)。 そして,同条1項は,外国税額控除の対象となる控除対象外国法人税について,「外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう」と規定し,これを受けて,法人税法施行令141条1項は,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」を外国法人税とすると規定しているところ,同一の所得に対する国際的二重課税を排斥するという上記外国税額控除制度の趣旨及び「外国の法令に基づき課される法人税に相当する税」という文言に鑑みれば,法人税法69条1項の「法人税に相当する税」とは,我が国の法人税に相当する税のことを意味すると解される。そうであるとすると,法人税法施行令141条1項にいう「法人の所得を課税標準として課される税」の意義についても,我が国の法人税からみて二重課税となる性質の外 国税に限定されるべきであり,したがって,同項所定の「法人の所得」とは,我が国の法人税に相当する税の課税標準となるものでなければならないと解するのが相当である。 (2) 資本組入れについてアところで我が国においては,かつて がって,同項所定の「法人の所得」とは,我が国の法人税に相当する税の課税標準となるものでなければならないと解するのが相当である。 (2) 資本組入れについてアところで我が国においては,かつて,配当可能利益の資本組入れとそれに伴う新株の発行を同時に行う株式配当の制度が存在し,税務上,株式配当に係る株式の額面金額相当額につき,利益の配当とみなして課税の対象とされており(平成3年税制改正前所得税法施行令83条),平成2年商法改正において株式配当の制度が廃止された後も,内国法人につき配当可能利益の資本組入れが行われた場合において,組入れ額のうち当該法人の株主が有する株式に対応する部分の金額を利益の配当の額とみなし(平成13年税制改正前の法人税法24条2項2号),資本組入れの時において利益の配当があったものとみなして課税することとされていた(同改正前の所得税法25条2項2号。甲207,乙75)。 しかし,平成13年税制改正により,法人税法24条2項各号の規定が削除され,資産の交付を伴わない場合のみなし配当課税は廃止されることになった(乙67)。これは,配当可能利益の資本組入れが行われた段階では,株主に現実的な利益が生じるわけではなく,また,株式の分割が行われても,各株主の持ち分に変動を与えるものではないため,これについて課税の対象とするのは相当ではないという考え方に基づくものと解される。 以上のとおり,我が国においては,平成13年税制改正により,配当可能利益の資本組入れ及び株式の分割については,株主に具体的な利益が生じているとはいえないとして,その時点において,法人税の課税は一切行われないこととなった。 イそうであるところ,前記前提事実(5)によれば,原告が株主として 株式を有していた台湾法人であるA9 が,当期利益の資 て,その時点において,法人税の課税は一切行われないこととなった。 イそうであるところ,前記前提事実(5)によれば,原告が株主として 株式を有していた台湾法人であるA9 が,当期利益の資本組入れに伴い,旧来の株主に持ち株数に応じて無償で新株を付与することとし,原告も当該株の交付を受けたところ,台湾においては,会社が配当可能利益を資本に組み入れるとともに,株式を追加発行することにより,新株発行の方式で利益の配当を行うことが可能とされており(台湾の会社法240条1項前段4項,乙71),本件源泉税は,このような新株発行の方式による利益配当につき課税されたものである。そして,この新株発行の方式による利益配当の制度は,かつての我が国の株式配当に類似した制度であるといえる。 一方,前記のとおり,平成13年度税制改正以降,我が国においては,株式配当と同様に配当可能利益の資本組入れと株式の追加発行が併せて行われる場合については,具体的な利益の発生を観念せず,法人税の課税の対象としていないのであるから,本件のような場合,我が国の法人税に相当する税の課税標準となる「所得」の発生を観念することができない。したがって,本件源泉税は,「法人の所得を課税標準として課される税」に該当するものではないというべきであり,外国税額控除の対象となる控除外国税には当たらないと解するのが相当である。 (3) 原告の主張についてアこれに対し,原告は,台湾において,配当可能利益の資本組入れ及び株式の追加発行についてこれが利益配当に当たることを前提として課税がされている一方で,当該株主が株式を譲渡する際には,譲渡価格は,配当可能利益の資本組入れによる株式の価値の増加を前提として決定されることになるところ,我が国においては,当該株式の譲渡益に対して課税をする際 る一方で,当該株主が株式を譲渡する際には,譲渡価格は,配当可能利益の資本組入れによる株式の価値の増加を前提として決定されることになるところ,我が国においては,当該株式の譲渡益に対して課税をする際,上記配当可能利益の資本組入れによる株式の価値の増加を考慮しないのであるから,本件源泉税と原告が有するA9 の株式の譲渡益に対する我が国における課税は,外形的には異なる課税標準に対す る課税であるとしても,実質的に,部分的にではあるが,同一の利益に対して二重に課税がされることになるとして,これを防止するため,本件源泉税につき外国税額控除の対象とすべきである旨主張する。 確かに,我が国において配当可能利益の資本組入れを利益の実現とは見ない以上,これがその時点における株式の潜在的なキャピタルゲインの一部を示すものとして,後に株式が譲渡された場合の譲渡益と関連性を有するものであることは認められる。しかしながら,上記資本組入れ額に示される潜在的なキャピタルゲインは,原則として株式発行時から上記組入れ時までの株式のキャピタルゲインの一部を示すものであって,株式の取得時から譲渡時までのキャピタルゲインを示す譲渡益と一致するものではなく,同一の利益といえるものではない。さらに,本件源泉税は,上記資本組入れ及び株式発行を利益配当と見て,その利益に課税するものであって,上記のような配当利益は,後に株式が譲渡された場合の譲渡益を構成するものではなく,譲渡益により実現される利益でもないのであって,これらを実質的に同一の所得に対する課税ということはできず,原告の上記主張は採用することができない。 イまた原告は,平成13年税制改正前に資本組入れの時点で課税された株式については,同改正後に譲渡した場合実質的に二重課税となるため,従前の例によるとされて 告の上記主張は採用することができない。 イまた原告は,平成13年税制改正前に資本組入れの時点で課税された株式については,同改正後に譲渡した場合実質的に二重課税となるため,従前の例によるとされている旨主張する。 しかしながら,上記は,同改正前においては配当可能利益の資本組入れと株式の発行を利益配当と見るため,当然同利益配当額で株式を取得することになることから,株式の取得価額の調整規定を従前と同様に適用するものであって,同一の所得に対する二重課税を理由に税額控除を認めるものではなく,これを理由に,本件源泉税と原告が有するP9 の株式の譲渡益に対する我が国における課税が,実質的な二重課税ということはできない。 (4) 小括以上からすれば,本件源泉税について,外国税額控除を適用することはできない。 6 争点⑥(本件各処分に理由不備ないし理由差換えの瑕疵があるか)について(1) 理由付記の不備についてア法人税法130条2項は,青色申告にかかる法人税について更正をする場合には,更正通知書に更正の理由を付記すべき旨を定めているが,このように法人税法が更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは,同法が青色申告制度を採用して,青色申告にかかる所得の計算については,それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上,その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨に鑑み,更正処分庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである(最判昭和38年5月31日・民集17巻4号617頁,最判昭和54年4月19日・民集33巻3号379頁)。 イそうであるところ,証拠(乙1から3まで)及び弁 を与える趣旨に出たものというべきである(最判昭和38年5月31日・民集17巻4号617頁,最判昭和54年4月19日・民集33巻3号379頁)。 イそうであるところ,証拠(乙1から3まで)及び弁論の全趣旨によれば,本件各更正処分においては,その更正の理由として,A1 等が措置法66条の6第1項1号の特定外国子会社等に該当すること,そして,A1等は中国本土に所在する本件各工場における製造行為を自らの計算と負担で主体的に行っていると認められ,かつ,原告自身A1 等の主たる事業が製造業であると自認していたことから,A1 等の主たる事業が製造業であると認められるところ,A1 等は本店が所在する香港において製造行為を行っていないから,香港と中国本土は税務上別々の地域として取り扱われることからすれば,同条4項の適用除外要件に該当しないとして, 措置法施行令39条の15第1項の規定に基づき算出されたA1 等に係る課税対象留保金額を,措置法66条の6第1項の規定により,原告の本件各事業年度の益金の額に算入し,所得金額に加算した旨記載されていたことが認められる。 また,上記理由の記載については,更に,A1 等が本件各工場における製造行為を主体的に行っていると認定した根拠について,本件各協議書の記載,A1 等が本件各工場責任者を派遣しており,生産管理及び財務管理を行っていたこと,本件各工場の機械設備や原材料等を自らの資産として帳簿に計上し,また中国工場名義の経営管理口座を自らの銀行預金として帳簿に計上していることなどの具体的かつ詳細な間接事実を挙げ,本件各協議書を資料として摘示していたことが認められる。 ウ上記認定のとおり,本件各更正処分においては,A1 等について同条4項の適用除外要件に該当しないと認めるに至った評価判断の過程を具体 ,本件各協議書を資料として摘示していたことが認められる。 ウ上記認定のとおり,本件各更正処分においては,A1 等について同条4項の適用除外要件に該当しないと認めるに至った評価判断の過程を具体的に明示した上で,その評価判断の根拠となった事実関係を具体的かつ詳細に摘示しており,当該事実関係を裏付ける資料として,本件各協議書等も摘示していることからすれば,更正処分庁の恣意の抑制及び相手方の不服申立ての便宜という理由付記の趣旨目的に鑑みても,本件各更正処分の理由付記としては十分なものということができ,本件各更正処分に理由付記の不備があったとは認められない。 (2) 理由の差換えについてア原告は,被告が,本件訴訟において,更正の理由につき本件各更正処分に付記された理由と異なる理由に差し換え,又は異なる理由を追加しているとして,これにより本件各更正処分は違法となる旨主張する。 イしかしながら,本件各更正処分において付記された更正の理由については上記(1)イで認定したとおり,A1 等が措置法66条の6第1項の特定外国子会社等に当たり,かつ同条4項規定の適用除外要件が適用さ れない結果,A1 等の課税対象留保金額を原告のA1 等各事業年度の益金の額に算入するというものであるところ,被告は,本件訴訟においても,上記と同様の主張をしている。また,適用除外要件が適用されない根拠についても,評価判断の過程に関する表現に若干の相違があるものの,基本的には同様の主張をしていることが認められ,被告において,本件各更正処分の適否に関し,付記理由と全く異なる新たな事実関係を主張したものとはいえないから,そもそも,被告が本件訴訟において本件各更正処分の理由の差換えや理由の追加をしたとは認められない。原告の上記主張は採用することができない。 異なる新たな事実関係を主張したものとはいえないから,そもそも,被告が本件訴訟において本件各更正処分の理由の差換えや理由の追加をしたとは認められない。原告の上記主張は採用することができない。 7 本件各処分の適法性(1) 以上によれば,本件には,措置法66条の6第1項が適用され,原告に係る特定外国子会社等であるA1 等のA1 等各事業年度における各課税対象留保金額を,原告のA1 等各事業年度の各所得の計算上,各益金の額に算入すべきこととなり,また,原告が平成16年3月期中に台湾で源泉徴収された本件源泉税は,法人税法施行令141条1項所定の外国法人税に該当せず,外国税額控除の対象とはならないから,これにより各算出した原告の各所得金額及び各納付すべき税額は,別紙1「第1 本件各更正処分の根拠」記載のとおりであると認められ(なお,争点に関する部分を除き,計算の基礎となる金額及び計算方法については,当事者間に争いがない。),これらの各金額及び各税額は本件各更正処分における原告の本件各事業年度の法人税に係る各所得金額及び各納付すべき税額と同一であるから,本件各更正処分はいずれも適法である。 (2) また,上記のとおり本件各更正処分は適法であるところ,本件各賦課決定処分において過少申告加算税の対象とした各税額の計算の基礎となった各事実が本件各更正処分前における各税額の計算の基礎とされなかったことについて通則法65条4項に規定する正当な理由があるとは認めら れないから,原告の本件各事業年度の法人税に係る各過少申告加算税の額は,別紙1「第2 本件各賦課決定の根拠」記載のとおりであると認められ,いずれも本件各賦課決定における各過少申告加算税の額と同一であるから,本件各賦課決定処分もいずれも適法である。 第6 結論よって,原告の 本件各賦課決定の根拠」記載のとおりであると認められ,いずれも本件各賦課決定における各過少申告加算税の額と同一であるから,本件各賦課決定処分もいずれも適法である。 第6 結論 よって,原告の請求は,いずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官藤根桃世

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