令和3(行ウ)197 手続却下の処分取り消し請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年12月10日 東京地方裁判所
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令和3年12月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(行ウ)第197号手続却下の処分取り消し請求事件口頭弁論終結日令和3年10月25日判決原告 A 被告国処分行政庁特許庁長官処分行政庁特許庁審査官 主文 1 本件訴えのうち,特願2019-086601号について,特許庁 審査官が令和2年2月20日付けでした拒絶をすべき旨の査定の取消しを求める部分及び特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める部分をいずれも却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 特願2019-086601号について,特許庁審査官が令和2年2月20日付けでした拒絶をすべき旨の査定を取り消す。 2 原告の令和2年11月23日付け提出の意見書について,特許庁長官が令和 3年3月11日付けでした手続却下の処分を取り消す。 3 特許庁審査官は,原告に対し,特願2019-086601号について,特許をすべき旨の査定をせよ。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,平成31年4月10日に発明の名称を「ボトルキャップ開 けホルダー」とする発明について特許出願(特願2019-086601号。 請求項の数1。以下「本件出願」という。)をし,令和2年2月20日付けで本件出願について拒絶をすべき旨の査定(以下「本件拒絶査定」という。)を受けたところ,本件出願について特許をすべき旨の査定が 請求項の数1。以下「本件出願」という。)をし,令和2年2月20日付けで本件出願について拒絶をすべき旨の査定(以下「本件拒絶査定」という。)を受けたところ,本件出願について特許をすべき旨の査定がされるべきであると主張して,被告に対し,① 本件拒絶査定の取消し,② 原告の同年11月23日付け提出の意見書(以下「本件意見書」という。)について特許庁長官が令 和3年3月11日付けでした手続却下の処分(以下「本件処分」という。)の取消し,③ 特許庁審査官に対する本件出願について特許査定をすることの義務付けをそれぞれ求める事案である。 2 争点及びこれに関する当事者の主張(1) 本案前の争点 ア本件拒絶査定の取消しを求める訴えの適法性(争点1-1)(原告の主張)従来のキャップ開け補助具は,片手の不自由な人による使用が困難であったことから,本件出願に係る発明は,この問題点を解決するため,基板に,キザミ溝を連続して設けた長さのある二本の部材をV字型に一体構造 として設け,ボトルを差し込んだときに傾斜するように同基板の背面に傾斜を設け,同基板を冷蔵庫等に接着テープ等により固定することにより,ボトルを片手で回転させるだけでキャップを緩めたり,開けたりすることができることを特徴とするボトルキャップ開けホルダーを提供するものである。 上記発明は,アメリカ等の多数の文献に記載された発明と比較して,構造,装着方法,使用方法,仕様等において大きな相違があり,片手の不自由な人が,片手だけで使いやすい場所に装着し,片手だけでキャップを開けることができ,小口のキャップも開けることができる,シンプルなボトルキャップ開けホルダーに係る発明は,上記発明のほかに存在しない。 使いやすい場所に装着し,片手だけでキャップを開けることができ,小口のキャップも開けることができる,シンプルなボトルキャップ開けホルダーに係る発明は,上記発明のほかに存在しない。 したがって,本件出願について拒絶をすべきとした本件拒絶査定は,誤 りであって,取り消されるべきである。 (被告の主張)拒絶をすべき旨の査定を受けた者は,その査定に不服があるときは,その査定の謄本の送達があった日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる(特許法121条1項)が,それ以外の方法によって不服 申立てをすることはできず,拒絶査定の取消しを求めて直接裁判所に提訴することもできない(同法178条6項,195条の4)。 したがって,本件拒絶査定の取消しを求める訴えは不適法である。 イ本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める訴えの適法性(争点1-2) (原告の主張)前記ア(原告の主張)のとおり,本件出願に係る発明は,これまでにない,片手の不自由な人にとって使いやすい,シンプルなボトルキャップ開けホルダーを提供するものであるから,特許庁審査官は本件出願について特許をすべき旨の査定をしなければならない。 (被告の主張)拒絶をすべき旨の査定に対する不服申立ては,拒絶査定不服審判請求によることとされ(特許法121条1項),当該審判の審決に対して提起できる訴訟は取消訴訟に限られるから(同法181条1項),特許をすべき旨の査定をすることの義務付け訴訟を提起することはできない。 したがって,本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める訴えは不適法である。 (2) 本案 旨の査定をすることの義務付け訴訟を提起することはできない。 したがって,本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める訴えは不適法である。 (2) 本案の争点本件処分の適法性(争点2)(被告の主張) 原告は,本件処分にいかなる違法事由があるのか,具体的な主張を何らし ていない。 審判は審決があったときに終了する(特許法157条1項)ところ,本件においては,原告が本件拒絶査定に不服があるとして請求した審判事件(以下「本件審判」という。)について,審判合議体は,令和2年10月27日付けで,審決(以下「本件審決」という。)をしたことから,本件審判は, 同日,終了した。そして,原告が本件意見書を提出したのは,本件審判終了後である同年11月23日付けであり,本件意見書に係る提出手続は,本件審判の終了後にされたものである。そうすると,本件審判の終了後に提出された意見書については,その提出の対象となる審判事件が存在せず,不適法な手続であって,これを補正することができないから,特許法18条の2第 1項本文の規定により,これを却下した本件処分は適法である。 なお,原告は,本件審決の謄本の末尾に記載された教示に従って本件意見書を提出したので,その提出手続は教示に従った適法なものであり,同手続を不適法であるとして却下した本件処分は違法であると主張しているとも解される。しかし,本件審決の謄本には,「(行政事件訴訟法第46条に基づ く教示)この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合には,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。」と記載されており,特許庁長官に対 対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合には,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。」と記載されており,特許庁長官に対して意見書の提出をする旨を教示しているものではないことは明らかである。 (原告の主張)前記(1)ア(原告の主張)のとおり,本件出願について拒絶をすべきとした本件拒絶査定は,取り消されるべきであり,また,原告は,指定された期日までに本件意見書等を提出したものであるから,本件処分は,不適法であって,取り消されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 証拠(甲1,2,7,8,12ないし16,乙3の1,乙4の1,10,12の1,乙17,18,19の1,乙20,21の1,乙22)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 (1) 原告は,平成31年4月11日,本件出願をし(甲1,乙3の1),令和元年7月2日,本件出願について出願審査の請求をした(甲2,乙4の1)。 (2) 特許庁審査官は,令和2年2月20日付けで,本件出願について,本件拒絶査定をした(甲7,乙10)。 (3) 原告は,令和2年3月10日,本件拒絶査定に不服があるとして,拒絶査定不服審判(本件審判)を請求した(甲8,乙12の1)。 (4) 審判合議体は,令和2年10月27日付けで,本件審判の請求は成り立た ない旨の本件審決をし(甲12,乙17),本件審決の謄本は,同年11月14日,原告に送達された(乙18)。 本件審決の謄本の末尾には,「(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内 。 本件審決の謄本の末尾には,「(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告 として,提起することができます。」との記載があった(甲12,乙17)。 (5) 原告は,令和2年11月24日,特許庁長官に対し,本件出願に係る発明が引用文献で記載された発明から当業者が容易に発明することができたものではないとして,「審決査定の取り消しを求める。」,「この出願の発明は,これを特許とすべきものとする。」及び「審決を求める。」旨を記載した同 月23日付け提出の意見書(本件意見書)を提出した(甲13,乙19の1)。 (6) 特許庁長官は,令和2年12月21日付けで,原告に対し,本件審判は本件審決により終了しており,本件審決の謄本の送達後は意見書を提出することはできないので,本件意見書に係る手続は特許法18条の2第1項により 却下すべきものと認める旨の却下理由を通知し,当該通知の発送の日から30日以内に弁明書を提出することができる旨を伝えた(甲14,乙20)。 (7) 原告は,令和3年1月19日,特許庁長官に対し,弁明書を提出した(甲15,乙21の1)。 (8) 特許庁長官は,令和3年3月11日付けで,前記(6)の理由により,本件意 見書に係る手続を却下する旨の本件処分を行い(甲16,乙22),本件処分の内容は,その頃,原告に対して通知された(弁論の全趣旨)。 (9) 原告は,令和3年5月19日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 2 争点1-1(本件拒絶査定の取消しを求める訴えの適法性)について 特許出願について,拒絶をすべき旨の査定 告は,令和3年5月19日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著な事実)。 2 争点1-1(本件拒絶査定の取消しを求める訴えの適法性)について 特許出願について,拒絶をすべき旨の査定を受けた者は,その査定に不服があるときは,拒絶査定不服審判を請求することができる(特許法121条1項)ところ,審判を請求することができる事項に関する訴えは,審決に対するものでなければ,提起することができない(同法178条6項)。 したがって,拒絶をすべき旨の査定に不服があるときは,拒絶査定不服審判 を請求しなければならず,当該査定の取消しを求めて訴えを提起することはできないと解されるから,本件訴えのうち,本件拒絶査定の取消しを求める部分は不適法である。 3 争点1-2(本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める訴えの適法性)について 前記1(1)のとおり,原告は,本件出願をし,本件出願について出願審査を請求した。特許庁は,出願審査の請求(特許法48条の2)がされた場合,特許出願の審査をし,特許をすべき旨の査定(同法51条)又は拒絶をすべき旨の査定(同法49条)をしなければならないから,本件訴えのうち,本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める部分は,申請型の 義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項2号)であると認められる。 そして,申請型の義務付けの訴えは,法令に基づく申請を却下し又は棄却する旨の処分がされた場合においては,当該処分に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合して提起しなければならない(同法37条の3第3項2号)。 しかし,前記1(2)のとおり,特許庁審査官は本件出願について本件拒絶査定をしたところ,前記2のとおり,本件訴えのうち, の訴えを併合して提起しなければならない(同法37条の3第3項2号)。 しかし,前記1(2)のとおり,特許庁審査官は本件出願について本件拒絶査定をしたところ,前記2のとおり,本件訴えのうち,本件拒絶査定の取消しを求 める部分は不適法である。 したがって,本件拒絶査定に係る適法な取消訴訟等の併合提起がないことになるから,本件出願について特許すべき旨の査定をすることの義務付けを求める部分も,上記の訴訟要件を満たさない不適法な訴えというべきである。 4 争点2(本件処分の適法性)について (1) 審決があったときは,審判は終了する(特許法157条1項)から,審決があった後に当該審判に係る書面を提出する手続は,不適法であると解される。 前記1(4)及び(5)のとおり,本件審判の手続において,令和2年10月27日付けで本件審決がされたところ,その後,原告が同年11月24日に提 出した本件意見書には,本件出願に係る発明が引用文献で記載された発明から当業者が容易に発明することができたものではないことを理由に,本件拒絶査定を取り消す審決を求める旨が記載されていたものと理解することができる。 そうすると,本件意見書は本件審判に係る書面であり,本件審決があった 後にこれを提出する手続は不適法であって,その補正をすることができないものと認められる。 したがって,本件意見書に係る手続を特許法18条の2第1項により却下した本件処分は適法である。 (2) 原告は,指定された期日までに本件意見書等を提出したから,本件処分は 不適法であると主張する。 しかし,前記1(4)のとおり,本件審決の謄本の末尾には,本件審決に対する訴えは,同謄本の送達のあった日から30日以内に 等を提出したから,本件処分は 不適法であると主張する。 しかし,前記1(4)のとおり,本件審決の謄本の末尾には,本件審決に対する訴えは,同謄本の送達のあった日から30日以内に,特許庁長官を被告として提起することができる旨の記載があり,特許法178条及び179条に定める手続が教示されている。そして,他に原告に対して手続の教示がされたことをうかがわせる証拠はないことからすると,原告が,本件審決があっ た後に,特許庁長官に対して本件審判に係る書面を提出するよう教示された事実はないと認めるのが相当である。 したがって,原告の上記主張は前提を欠いているから理由がないというべきである。 第4 結論 したがって,本件訴えのうち,本件拒絶査定の取消しを求める部分及び本件出願について特許をすべき旨の査定をすることの義務付けを求める部分については不適法であるからいずれも却下し,原告のその余の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 矢野紀夫 矢野紀夫

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