主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判(請求の趣旨) 1 第1事件(1) 被告が平成12年9月28日付けでした東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」(DVD&CD-ROM付き雑誌)平成12年9月号及び「遊ぶインターネット」(DVD&CD-ROM付き雑誌)平成12年10月号を青少年にとって不健全な図書類として指定した処分を取り消す。 (2) 被告が平成12年11月2日付けでした東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」(CD-ROM付き雑誌)平成12年10月号及び「遊ぶインターネット」(DVD&CD-ROM付き雑誌)平成12年11月号を青少年にとって不健全な図書類として指定した処分を取り消す。 2 第2事件被告が平成12年12月1日付けでした東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」(CD-ROM付き雑誌)平成12年11月号及び「遊ぶインターネット」(CD-ROM付き雑誌)平成12年12月号を青少年にとって不健全な図書類として指定した処分を取り消す。 3 第3事件被告が平成12年12月21日付けでした東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」(CD-ROM付き雑誌)平成12年12月号及び「遊ぶインタ 月21日付けでした東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」(CD-ROM付き雑誌)平成12年12月号及び「遊ぶインターネット」(DVD&CD-ROM付き雑誌)平成13年1月号を青少年にとって不健全な図書類として指定した処分を取り消す。 (被告の答弁) 1 本案前の答弁本件訴えをいずれも却下する。 2 本案の答弁主文第1項と同旨第2 事案の概要本件は,被告が,原告の発行に係る雑誌「DOS/VUSER(ドスブイ・ユーザー)」及び「遊ぶインターネット」(いずれも,DVDとCD-ROM又はCD-ROM付き)について,東京都青少年の健全な育成に関する条例8条の規定に基づき,青少年にとって不健全な図書類として指定したことに対し,原告が,上記条例の規定は憲法21条1項等に反して違憲であり,また,上記指定はその手続に瑕疵があり違法であるなどと主張して,上記指定の取消しを求めている事案である。 1 法令等の定め(1) 東京都青少年の健全な育成に関する条例(昭和39年東京都条例第181号。 ただし,平成13年3月30日条例第30号による改正前のもの。以下「都青少年条例」という。)の定めア条例の目的この条例は,青少年の環境の整備を助長するとともに,青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し,もって青少年の健全な育成を図ることを目的とする(1条)。 イ図書類の定義都青少年条例において,図書類とは,販売若しくは頒布又は閲覧若しくは観覧に供する目的をもって作成された書籍,雑誌,文書,図画,写真,ビデオテープ及びビデオディスク並びにコンピュータ用のプログラ 都青少年条例において,図書類とは,販売若しくは頒布又は閲覧若しくは観覧に供する目的をもって作成された書籍,雑誌,文書,図画,写真,ビデオテープ及びビデオディスク並びにコンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体並びに映写用の映画フィルム及びスライドフィルムをいう(2条2号)。 ウ図書類等の販売等の自主規制図書類の発行,販売又は貸付けを業とする者は,図書類の内容が,青少年に対し,性的感情を刺激し,又は残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは,相互に協力し,緊密な連絡の下に,当該図書類を青少年に販売し,頒布し,若しくは貸し付け,又は観覧させないように努めなければならない(7条)。 エ不健全な図書類の指定知事は,「販売され若しくは頒布され,または閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で,その内容が,青少年に対し,著しく性的感情を刺激し,またははなはだしく残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」を,青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる(8条1項1号)。 上記の指定は,指定するものの名称,指定の理由その他必要な事項を告示することによってこれを行わなければならず(同条2項),知事は,上記の指定をしたときは,直ちに関係者にこの旨を周知しなければならない(同条3項)。 オ不健全な図書類の指定の手続知事は,上記の指定をしようとするときは,東京都青少年健全育成審議会(以下「都審議会」という。)の意見を聞かなければならない(15条1項)。 また,知事は,都審議会の意見を聞く場合にお 事は,上記の指定をしようとするときは,東京都青少年健全育成審議会(以下「都審議会」という。)の意見を聞かなければならない(15条1項)。 また,知事は,都審議会の意見を聞く場合において,都青少年条例7条に規定する自主規制を行っている団体があるときは,必要に応じ,当該団体の意見を聞かなければならない(同条2項)。 カ不健全な図書類の指定の効果a 図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人,使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人,使用人その他の従業者(以下「販売業者等」という。)は,都青少年条例8条の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し,頒布し,又は貸し付けてはならない(9条1項)。 また,何人も,青少年に指定図書類を閲覧させ,又は観覧させないように努めなければならない(同条2項)。 b そして,9条1項の規定に違反して青少年に指定図書類を販売し,頒布し,又は貸し付けた者に対し,都青少年条例17条所定の関係公務員は,警告を発することができ(18条1項1号,2項),上記の警告に従わず,なお,都青少年条例9条1項の規定に違反した者は,30万円以下の罰金又は科料に処せられる(25条)。 (2) 「東京都青少年の健全な育成に関する条例第5条,第8条及び第14条の規定に関する認定基準」(昭和39年総青健第29号知事決定。ただし,平成13年生都協青第第199号知事決定による改正前のもの。 以下「都認定基準」という。)の定め第2「第8条による指定に関する認定基準」において,都青少年条例8条1項1号の規定する「著しく性的感情を刺激する」と認められるものとは,原則として次のとおりと 「都認定基準」という。)の定め第2「第8条による指定に関する認定基準」において,都青少年条例8条1項1号の規定する「著しく性的感情を刺激する」と認められるものとは,原則として次のとおりとする。 ア図書類(ビデオテープ及びビデオディスク並びにコンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体を除く。)の指定に関する認定基準(同基準第2(1))(ア) 男女の肉体の全部又は一部を露骨に表現し,卑わいな感じを与えるもの(イ) 性的行為を露骨に表現し,又は容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの(ウ) 医学的,民俗学的その他学術的内容であっても,性に関する描写,表現が青少年に対し性的劣情を刺激するもの(エ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(ウ)までと同程度に卑わいな感じを与えるものイコンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体の指定に関する認定基準(同基準第2(3))(ア) 男女の肉体の全部又は一部を露骨に表現し,卑わいな感じを与えるもの(イ) 動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるもの(ウ) 記録されたプログラムを実行することにより,擬似的に著しく卑わいな体験をさせるもの(エ) 医学的,民俗学的その他学術的内容であっても,性に関する描写,表現が青少年に対し,性的劣情を刺激するもの(オ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(エ)までと (エ) 医学的,民俗学的その他学術的内容であっても,性に関する描写,表現が青少年に対し,性的劣情を刺激するもの(オ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(エ)までと同程度に卑わいな感じを与えるもの(3) 東京都行政手続条例(平成6年東京都条例第142号。以下「都行政手続条例」という。)の定めア不利益処分の定義都行政手続条例において,不利益処分とは,行政庁が,条例等に基づき,特定の者を名あて人として,直接に,これに義務を課し,又はその権利を制限する処分をいう(2条1項4号)。 イ不利益処分をしようとする場合の手続行政庁は,不利益処分をしようとする場合には,不利益処分の内容等に従い,都行政手続条例第3章の定めるところにより,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,13条1項1号のイないしハのいずれかに該当するときは聴聞による,同項1号イないしハのいずれにも該当しないときは弁明の機会の付与による,意見陳述のための手続を執らなければならならない(13条1項)。 ウ不利益処分の理由の提示行政庁は,不利益処分をする場合には,原則として,その名あて人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならず(14条1項),また,不利益処分を書面でするときは,上記理由は,書面により示さなければならない(同条3項)。 2 前提となる事実(1) 当事者原告は,雑誌の編集・発行等を目的とする株式会社である。 (争いのない事実)(2) 「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」についてア 「DOS/VUSER」は,原告が平成5年4月から発行している月刊誌 である。 (争いのない事実)(2) 「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」についてア 「DOS/VUSER」は,原告が平成5年4月から発行している月刊誌であり,その発行部数は約23万部である。 (甲11)ページ数は表紙等を含めて約210ページであり,その内容は,紙面の大部分がパソコン関連の情報及び広告であり,付録としてCD-ROMが2枚付いている(ただし,そのうちの1枚がDVDである場合もある)。 (争いのない事実)イ 「遊ぶインターネット」は,原告が平成7年2月から発行している月刊誌であり(ただし,平成12年4月号までは,雑誌名が「遊ぶWindows」であった。),その発行部数は約10万部である。 (甲11)ページ数は表紙等を含めて約90ページである。その内容は,「DOS/VUSER」とほぼ同様であり,付録としてCD-ROMとDVDが付いている(ただし,CD-ROMだけの場合もある)。 (争いのない事実)(3) 本件における不健全な図書類の指定ア平成12年9月28日付けの不健全な図書類の指定(以下「本件指定1」という。)についてa 被告は,平成12年9月18日,出版倫理協議会(社団法人日本書籍出版協会,社団法人日本雑誌協会,社団法人日本出版取次協会及び日本書店商業組合連合会により構成されている。)加盟社に,首都圏新聞即売懇談会,東京都古書籍商業協同組合及び東京都貸本組合連合会の加盟社を加えた都青少年条例7条に規定する自主規制団体(以下「本件自主規制団体」という。)との間で,都青少年条例15条2項の規定に基づき,諮問候補図書類に関する打合せ会 組合及び東京都貸本組合連合会の加盟社を加えた都青少年条例7条に規定する自主規制団体(以下「本件自主規制団体」という。)との間で,都青少年条例15条2項の規定に基づき,諮問候補図書類に関する打合せ会(以下「打合せ会」という。)を行った。 本件自主規制団体は,上記打合せ会において,被告に対し,「DOS/VUSER」平成12年9月号(以下「本件図書1」という。)及び「遊ぶインターネット」平成12年10月号(以下「本件図書2」という。)を都審議会への諮問候補誌とされたい旨の意見を述べた。 (弁論の全趣旨)b 被告は,同年9月21日,上記aの意見を踏まえ,都審議会に対し,都青少年条例15条1項の規定に基づき,本件図書1及び本件図書2を同条例8条1項に規定する不健全な図書類に指定すべきか否かについて諮問した。 そして,都審議会は,同日,被告に対し,本件図書1及び本件図書2を不健全な図書類に指定することが適当である旨を答申した。 (争いのない事実)c 被告は,同月28日,上記bの答申を受け,都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件図書1及び本件図書2を同条1項に規定する不健全な図書類に指定した。 告示された指定の理由は,上記各図書のいずれについても,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」というものであった。 (争いのない事実)d 被告は,同日付けで,都青少年条例8条3項の規定に基づき,本件指定1で指定された指定図書類の発行所等(原告を含む。),新刊書店,古書店,雑誌委託販売店(コンビ (争いのない事実)d 被告は,同日付けで,都青少年条例8条3項の規定に基づき,本件指定1で指定された指定図書類の発行所等(原告を含む。),新刊書店,古書店,雑誌委託販売店(コンビニエンスストア),ブックレンタル店,雑誌自動販売業者,学校及び他道府県区市町村等の関係団体等(以下,これらを併せて「関係者」という。)1万3316名に対し,郵便により本件指定1がされたことを周知した。 (争いのない事実)イ平成12年11月2日付けの不健全な図書類の指定(以下「本件指定2」という。)についてa 被告は,平成12年10月23日,本件自主規制団体との間で,都青少年条例15条2項の規定に基づき,打合せ会を行った。 本件自主規制団体は,上記打合せ会において,被告に対し,「DOS/VUSER」平成12年10月号(以下「本件図書3」という。)及び「遊ぶインターネット」平成12年11月号(以下「本件図書4」という。)を都審議会への諮問候補誌とされたい旨の意見を述べた。 (弁論の全趣旨)b 被告は,同年10月26日,上記aの意見を踏まえ,都審議会に対し,都青少年条例15条1項の規定に基づき,本件図書3及び本件図書4を同条例8条1項に規定する不健全な図書類に指定すべきか否かについて諮問した。 そして,都審議会は,同日,被告に対し,本件図書3及び本件図書4を不健全な図書類に指定することが適当である旨を答申した。 (争いのない事実)c 被告は,同年11月2日,上記bの答申を受け,都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件図書 (争いのない事実)c 被告は,同年11月2日,上記bの答申を受け,都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件図書3及び本件図書4を同条1項に規定する不健全な図書類に指定した。 告示された指定の理由は,上記各図書のいずれについても,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」というものであった。 (争いのない事実)d 被告は,同日付けで,都青少年条例8条3項の規定に基づき,本件指定2に係る関係者1万3267名に対し,郵便により本件指定2がされたことを周知した。 (争いのない事実)ウ平成12年12月1日付けの不健全な図書類の指定(以下「本件指定3」という。)についてa 被告は,平成12年11月20日,本件自主規制団体との間で,都青少年条例15条2項の規定に基づき,打合せ会を行った。 本件自主規制団体は,上記打合せ会において,被告に対し,「DOS/VUSER」平成12年11月号(以下「本件図書5」という。)及び「遊ぶインターネット」平成12年12月号(以下「本件図書6」という。)を都審議会への諮問候補誌とされたい旨の意見を述べた。 (弁論の全趣旨)b 被告は,同年11月24日,上記aの意見を踏まえ,都審議会に対し,都青少年条例15条1項の規定に基づき,本件図書5及び本件図書6を同条例8条1項に規定する不健全な図書類に指定すべきか否かについて諮問した。 そして,都審議会は,同日,被告に対し,本件図書5及び本件図書6を不健全な図書類に指定することが適 6を同条例8条1項に規定する不健全な図書類に指定すべきか否かについて諮問した。 そして,都審議会は,同日,被告に対し,本件図書5及び本件図書6を不健全な図書類に指定することが適当である旨を答申した。 (争いのない事実)c 被告は,同年12月1日,上記bの答申を受け,都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件図書5及び本件図書6を同条1項に規定する不健全な図書類に指定した。 告示された指定の理由は,上記各図書のいずれについても,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」というものであった。 (争いのない事実)d 被告は,同日付けで,都青少年条例8条3項の規定に基づき,本件指定3に係る関係者1万3208名に対し,郵便により本件指定3がされたことを周知した。 (争いのない事実)エ平成12年12月21日付けの不健全な図書類の指定(以下「本件指定4」といい,本件指定1ないし本件指定4を併せて「本件各指定」という。)についてa 被告は,平成12年12月13日,本件自主規制団体との間で,都青少年条例15条2項の規定に基づき,打合せ会を行った。 本件自主規制団体は,上記打合せ会において,被告に対し,「DOS/VUSER」平成12年12月号(以下「本件図書7」という。)及び「遊ぶインターネット」平成13年1月号(以下「本件図書8」といい,本件図書1ないし8を併せて「本件各図書」という。)を都審議会への諮問候補誌とされたい旨の意見を述べた。 (弁論の全趣旨) ット」平成13年1月号(以下「本件図書8」といい,本件図書1ないし8を併せて「本件各図書」という。)を都審議会への諮問候補誌とされたい旨の意見を述べた。 (弁論の全趣旨)b 被告は,平成12年12月14日,上記aの意見を踏まえ,都審議会に対し,都青少年条例15条1項の規定に基づき,本件図書7及び本件図書8を同条例8条1項に規定する不健全な図書類に指定すべきか否かについて諮問した。 そして,都審議会は,同日,被告に対し,本件図書7及び本件図書8を不健全な図書類に指定することが適当である旨を答申した。 (争いのない事実)c 被告は,同月21日,上記bの答申を受け,都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件図書7及び本件図書8を同条1項に規定する不健全な図書類に指定した。 告示された指定の理由は,上記各図書のいずれについても,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」というものであった。 (争いのない事実)d 被告は,同日付けで,都青少年条例8条3項の規定に基づき,本件指定4に係る関係者1万3160名に対し,郵便により本件指定4がされたことを周知した。 (争いのない事実)(4) その後の原告の対応出版倫理協議会の「出版倫理協議会の自主規制についての申し合わせ」は,都青少年条例8条1項の規定に基づく指定を連続3回受けた雑誌については,発行者において,その次の号から,「18歳未満の方々には販売できません」という字句を印刷した,幅3センチメートル以上5センチメート 青少年条例8条1項の規定に基づく指定を連続3回受けた雑誌については,発行者において,その次の号から,「18歳未満の方々には販売できません」という字句を印刷した,幅3センチメートル以上5センチメートル未満の薄いブルー又はグリーンの帯紙を付けることとし,帯紙のないものについては,取次店は取り扱わないこととする,また,取次店は上記帯紙のついた第1回目の現品を小売店に送品するに当たり,定期部数を再確認するため必要部数の申し込みを受けることとし,申し込みのない小売書店への送品は一切行わないこととすると定めている。 (争いのない事実)「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」は,本件指定1ないし本件指定3により,連続3回の指定を受けたため,原告は,平成12年12月1日付けで,出版倫理協議会から,上記の各雑誌について,上記申し合わせのとおり取り扱う旨の通知を受けた。 (争いのない事実)そこで,原告は,「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」について,取次店を通さずに読者へ直接販売することとし,「DOS/VUSER」平成13年1月号に,その旨を掲載した。 (甲2の5,証人大串) 3 当事者の主張(原告の主張)(1) 被告の本案前の主張についてア都青少年条例8条の規定により不健全な図書類の指定を受けると,同条例9条1項により,販売業者等が,東京都において,青少年に対し,当該指定図書類を販売又は貸付けすること等を禁止されるものであるから,本件各指定が,行政事件訴訟法3条2項の規定する処分に当たることは明らかである。 イa これに対し,被告は,本件各指定は,本件各図書を不健全な図書類として指定し告示したものであって,特定の個人 指定が,行政事件訴訟法3条2項の規定する処分に当たることは明らかである。 イa これに対し,被告は,本件各指定は,本件各図書を不健全な図書類として指定し告示したものであって,特定の個人に対して向けられたものではなく,不特定多数人を対象とする一般処分にすぎないので,抗告訴訟の対象となる行政処分にはあたらない旨主張する。 しかし,本件訴訟は,都青少年条例8条1項に規定する不健全な図書類の定義規定あるいは都認定基準の制定という,法規範の定立行為の取消しを求めているのではない。被告が,原告に対し,上記アのとおり本件各図書を青少年に対し販売すること等を禁止した,都青少年条例8条1項の規定や都認定基準に基づいて行われた被告の処分の取消しを求めているのである。 b また,被告は,本件各指定が特定の個人に向けられたものでないことは,同条例8条3項の規定が,不健全な図書類を指定したときは直ちに関係者に周知しなければならないと規定していることからも明らかであると主張する。 しかし,上記規定が「周知」しなければならないとしたのは,既に出版・販売後の雑誌を対象としていることから,処分の効果を十全ならしめるための伝達手段として定められているだけのことであって,本件各指定に処分性がないことを裏付けるものではない。 c さらに,被告は,最高裁平成11年12月14日第三小法廷判決・裁判所時報1258号1頁が,宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例(以下「宮崎県青少年条例」という。)に基づく有害な図書類の指定が処分性を有することを前提としていることについて,宮崎県青少年条例と都青少年条例の違いを指摘したうえ,都青少年条例は,不健全な図書類の指定については,同条例18条1項1号,2号によ 害な図書類の指定が処分性を有することを前提としていることについて,宮崎県青少年条例と都青少年条例の違いを指摘したうえ,都青少年条例は,不健全な図書類の指定については,同条例18条1項1号,2号による関係公務員の警告に従わなかった場合の刑事手続によってのみその不服を争わせるという立法政策をとったものである旨主張する。 しかし,宮崎県青少年条例にも刑罰の定めはあるのであるから,被告の主張によれば,宮崎県青少年条例においても,刑罰の発動を待って不服を争わせれば足り,抗告訴訟は認められないとの結論になったはずであるところ,最高裁はそのようには判断せず,訴えを却下しなかったものである。 確かに都青少年条例は,指定と刑罰の間に関係公務員からの警告という手続を定めているが,それによって,なぜ都青少年条例の場合だけ,刑事手続によってのみ不服を争うべきだということになるのか不明である。 このように,上記最高裁判決からいっても,本件各指定は行政事件訴訟法3条2項にいう処分に該当することは明らかである。 (2) 都青少年条例8条1項,9条の違憲性ア憲法21条1項(事前抑制の禁止),同条2項(検閲の禁止)違反a 都青少年条例8条1項,9条の規定は,憲法21条1項の規定する事前抑制の禁止及び憲法21条2項の規定する検閲の禁止に反するから,違憲である。 b 検閲の概念について,判例は,「行政権が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部または一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止すること」(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号13 止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止すること」(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁)と定義している。 これによるならば,都青少年条例の規制は発表後の規制であるから,検閲に該当しないことになる。 しかし,この判例の検閲概念については,その対象とするところが狭すぎるという観点から,学説は総じて批判的であって,思想・情報の受領時を基準として,受領前の抑制や,思想・情報の発表に抑止的効果を及ぼすような事後規制も検閲の問題と考えるべきであり,その意味で,都青少年条例の規制もこれに該当するというべきである。 仮に,判例のように,検閲概念を狭く理解したとしても,「憲法21条2項前段の「検閲」の絶対的禁止の趣旨は,同条1項の表現の自由の保障の解釈に及ぼされるべきものであり,たとえ発表された後であっても,受け手に入手されるに先立ってその途を封ずる効果をもつ規制は,事前の抑制としてとらえられ,絶対的に禁止されるものではないとしても,その規制は厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許されるものといわなければならない」(有害図書の自動販売機への収納を禁止処罰する岐阜県青少年保護育成条例(以下「岐阜県青少年条例」という。)に関する最高裁平成元年9月19日第三小法廷判決・刑集43巻8号785頁における伊藤正己裁判官の補足意見(以下「伊藤補足意見」という。))のである。 c 被告は,上記2(4)のとおり,出版倫理協議会による自主規制により,不健全な図書類の指定を連続3回受けることが当該雑誌の廃刊につながる事実を十分に認識しつつ,それを前提として出版社に対し次号以降の雑誌の内容を規 2(4)のとおり,出版倫理協議会による自主規制により,不健全な図書類の指定を連続3回受けることが当該雑誌の廃刊につながる事実を十分に認識しつつ,それを前提として出版社に対し次号以降の雑誌の内容を規制しているのである。これはまさに,被告が指定後の出版の事前規制を意図して不健全な図書類の指定をしているものにほかならないから,憲法21条の定める事前抑制の禁止に違反しているものである。 すなわち,都青少年条例の規制は,指定された後に当該指定図書類の入手を困難にするものである。しかし,指定の効果として,取次業者が同一雑誌の次号の取扱いを拒否したり,1回の指定でも全国一斉に販売を中止するコンビニエンスストアがあるなど,その後の出版及び出版物の流通に対して事前の抑制としての意味を持っていることは明らかであり,被告もそれを認識したうえで不健全な図書類の指定を行っているのである。被告は単行本については不健全な図書類の指定の対象としていないが,これは,単行本は,「3回連続による事実上の廃刊」という効果が期待できないからである。 d 伊藤補足意見は,先に引用した部分に続けて,「本件条例による規制は,個別的指定であると包括的指定であるとをとわず,指定された後は,受け手の入手する途をかなり制限するものであり,事前抑制的性格を持っている。しかし,それが受け手の知る自由を全面的に閉ざすものではなく,指定を受けた有害図書であっても販売の方法は残されていること,のちにみるように指定の判断基準が明確にされていること,規制の目的が青少年の保護にあることを考慮にいれるならば,その事前抑制的性格にもかかわらず,なお合憲のための要件を満たしているものと解される。」とするが,これに対しては,その事案へのあてはめ方について「ゆきすぎ」等の批判があ ることを考慮にいれるならば,その事前抑制的性格にもかかわらず,なお合憲のための要件を満たしているものと解される。」とするが,これに対しては,その事案へのあてはめ方について「ゆきすぎ」等の批判がある。 伊藤補足意見は,同意見の他の部分にある「有害図書とされるものが一般に価値がないか又は極めて乏しい」という価値判断を前提にしているが,本件各図書の大部分は,パソコン関係の情報であり,それは普遍的な価値を有している。また,伊藤補足意見は,合憲の理由として,岐阜県青少年条例においては指定の判断基準が明確にされていることを挙げているが,都青少年条例は岐阜県青少年条例と比較しても,あるいは絶対的にみても,漠然かつ不明確であり,伊藤補足意見の考え方によっても,本件においては違憲との判断が下されるものである。 イ憲法21条1項違反a より制限的でない他の選び得る手段のテスト(a) 本件各図書の大部分を構成しているパソコン関係の情報が,青少年にとっても「不健全」なものではなく,「健全」なものであることは疑いがない。その意味で,本件各図書中には,仮に「不健全」な部分があったとしても,「不健全」な部分と「健全」な部分の両方があるともいうことができ,そうであれば,本件各図書に関する知る権利は,①青少年が「不健全」な部分を知る権利,②青少年が「健全」な部分を知る権利,③成人が「不健全」な部分を知る権利,④成人が「健全」な部分を知る権利の4つに整理される。 都青少年条例及び他の道府県の同種の青少年条例は,青少年が「不健全」な情報を知ることによる弊害を避けるため,①の知る権利を制約するというものであるが,仮にその規制目的を是認するとしても,そのためには,①の知る権利のみを制 県の同種の青少年条例は,青少年が「不健全」な情報を知ることによる弊害を避けるため,①の知る権利を制約するというものであるが,仮にその規制目的を是認するとしても,そのためには,①の知る権利のみを制約すべきであって,それ以外の②ないし④の知る権利を制約する目的は,都青少年条例にはないし,その制約を正当化できる理由もない。 しかしながら,本件各図書への指定により,18歳未満の青少年は,本件各図書の「健全」な部分を知ることができなくなり,②の知る権利が完全に侵害されるという問題があり,また,都青少年条例8条1項による不健全な図書類の指定の効果により,取次業者が当該指定図書類を取り扱わなくなったり,コンビニエンスストアなどが指定図書類の販売を全面的に中止するため,成人は,本件各図書の「健全」な部分も「不健全」な部分も知る権利(③及び④)を有しているにもかかわらず,それを行使できなくなり,成人の知る権利が侵害されるという問題が生じる。この2つの問題は,指定図書類中に「健全」な部分と「不健全」な部分の両方が存在する場合には,必ず生じるものである。 このような場合,上記②ないし④の知る権利を侵害することは許されず,それを規制する立法はすべて違憲であるとの立論も考えられるところであるが,それでは「不健全」な部分が主たる図書でありながら,わずかでも「健全」な部分を抱き合わせにすることにより,法を潜脱することも可能となり,不健全な図書類の規制という目的を是認する立場からは受入れられない。 そこで,法の規制目的は正当であることを前提としつつ,規制目的達成に必要な範囲を超えて人権を制約することを回避する方策が必要とされることとなるが,この場合の合憲性判定基準としては,いわゆる「より制限的でない 法の規制目的は正当であることを前提としつつ,規制目的達成に必要な範囲を超えて人権を制約することを回避する方策が必要とされることとなるが,この場合の合憲性判定基準としては,いわゆる「より制限的でない他の選び得る手段のテスト」が適当である。 同テストは,裁判所が法令の合憲性審査を行うときに,法目的そのものが実質的に正当であっても,規制方法ないし規制違反に対する制裁の面において,その法目的を達成するより徹底的でない方法,あるいはより制限的でない他の選び得る手段を採用することができたとの指摘をして,法令を違憲と判断する手法であり,このテストは,表現の自由や信教の自由といった個人の精神的自由への公権力による規制問題において適用されることになるとされている。 そして,本件においても,この判定基準を適用すべきことは,以下で述べるとおりである。 (b) 不健全な図書類を規制する目的を是認しつつ,目的達成に必要な範囲でのみ規制をする手段として合理的なのが,分量的基準による規制である。 分量的基準とは,問題となる図面・写真等が書籍・雑誌に占める割合や問題となる映像がビデオテープ等に連続して描写される時間を基準として,構成要件を定めているものを指すが,分量的基準によって都青少年条例8条1項の規定を運用することは,以下の点で合理的である。 ⅰ 分量的基準は,基準として明確である。 ⅱ 青少年が不健全な図書類により悪影響を受け得ることを前提としても,不健全な部分の分量に比例して,その影響の程度も変わることは容易に理解できる。そうだとすると,行政の比例原則からしても,一定の分量的基準で線を引くのは合理的である。 としても,不健全な部分の分量に比例して,その影響の程度も変わることは容易に理解できる。そうだとすると,行政の比例原則からしても,一定の分量的基準で線を引くのは合理的である。 ⅲ 読者がある図書を認識する場合には,仮にその一部に不健全な部分があったとしても,それが全体に占める割合が小さく,かつ当該図書にその不健全な部分とは無関係な支配的価値や評価が容易に見出せる場合には,その図書を「不健全」と関連づけて認識することはない。 これは,医学書や歴史書の一部に不健全な部分(性器についての描写等)があった場合などや,「週刊現代」「週刊ポスト」「フライデー」等を初めとする一般週刊誌が数ぺージの女性の裸体の写真を掲載しても,一般人がそれらを「不健全」と結び付けて認識せず,単なる30代から40代の男性サラリーマンを主たる読者とする週刊誌としか認識しないのと同じである。逆に,「週刊現代」「週刊ポスト」「フライデー」等に毎号のように掲載されている女性の裸体の写真が,それらの雑誌のベージ数の大部分を占めたとしたならば,一般人は誌名の如何にかかわらず,それを「不健全」と結び付けて認識することになる。 このように「不健全」と結び付けて認識されない図書については,都青少年条例が「不健全」から遠ざけさせようとしている十代の青少年は,そもそも「不健全」に触れる目的でそれらにアクセスしようとは考えない。他の目的あるいはきっかけで入手して,不健全な部分をたまたま目にすることがあったとしても,それは,それを目的として入手した場合に比して青少年に与える影響は小さい。 原告は,本件各図書に読者カードを添付し,毎号アンケート調査を行っているが,そのうち,本件図書2の読者カー れを目的として入手した場合に比して青少年に与える影響は小さい。 原告は,本件各図書に読者カードを添付し,毎号アンケート調査を行っているが,そのうち,本件図書2の読者カード約800通のうち200通を無作為抽出して,購入動機を調べると,第1位は,「フリーソフト777本」というパソコン動作改善等のための無料ソフトの記事あるいはCD-ROM等があることで,これが圧倒的多数を占めている。第2位は,アダルトビデオの紹介があることとなっているが,その数は1位と格段の開きがあり,アダルトビデオ紹介部分を目的として本件各図書を購入する者は1割強でしかない。 また,同じ読者アンケートで,読者の年齢分布を調査すると,読者は18歳以上が圧倒的であり,この意味でも,本件各図書を不健全な図書類として指定する必要がないことがわかる。 ⅳ 被告は,不健全な図書類を選定するにあたり「青少年が手にとりやすいような状況で図書が販売されていること」を重視しているようであるが,不健全な図書類の青少年に与える影響を考えれば,衆人環視のもとでの書店店頭での立ち読みと,プライベートな空間での読書,視聴とでは,その影響力には格段の違いがあり,立ち読みの可能性を,図書販売を規制する理由とするのは無茶である。 まして,本件各図書にあっては,青少年にとって不健全とされ得る部分がCD-ROM又はDVDに収録されていて,立ち読みによる青少年への悪影響は発生し得ない。表紙を見ても,パソコン雑誌であることしか分からず,パソコンを所持しない者は最初から敬遠する雑誌である。青少年が不健全な部分があることを期待して手にとる雑誌でもない。 この点が,表紙を含む誌面に大々的に「不 しか分からず,パソコンを所持しない者は最初から敬遠する雑誌である。青少年が不健全な部分があることを期待して手にとる雑誌でもない。 この点が,表紙を含む誌面に大々的に「不健全」が現れている,不健全な図書類の指定を受けた他の図書などとは決定的に異なるところである。そして,この違いを合理的かつ明確な基準を示しつつ,妥当な解決を示すことができるのが,分量的基準なのである。 (c) 都青少年条例と同種の条例において,分量的基準により構成要件を定めている道府県は,北海道,岩手県,宮城県,群馬県,茨城県,福井県,愛知県,三重県,岐阜県,和歌山県,奈良県,京都府,大阪府,岡山県,佐賀県,長崎県,熊本県,宮崎県,鹿児島県,沖縄県の合計20道府県に及ぶ(「平成4年版都道府県青少年保護条例集」監修総務庁青少年対策本部による。)。 このうち,宮城県,京都府,大阪府及び沖縄県においては,ビデオテープ等については,問題となる映像の連続描写時間が3分を超えることを構成要件として定めており,このような現実に運用されている実績も踏まえれば,具体的な分量の程度については,これらの府県の条例にあるように,映像については問題となる映像の連続描写時間が3分を超えないという基準を設けることが合理的である。 (d) しかるに,被告は,このようにより制限的でない他の選び得る手段があるにもかかわらず,それを採用せず,そのため,本来制約されるべきでない青少年が本件各図書の「健全」な部分を知る権利,成人が本件各図書の「健全」な部分及び「不健全」な部分の両方について知る権利を侵害することになったのであるから,都青少年条例8条1項の規定は違憲無効である。 b 立法の前提となる事実の欠缺 図書の「健全」な部分及び「不健全」な部分の両方について知る権利を侵害することになったのであるから,都青少年条例8条1項の規定は違憲無効である。 b 立法の前提となる事実の欠缺(a) 上記の「より制限的でない他の選び得る手段」のテストは,いわゆる手段審査のテストであるから,条例の制定目的は正当であることを仮の前提としている。 しかし,都青少年条例8条1項,9条の制定目的は,その前提となる立法事実を欠いており,その意味でも違憲である。 (b) 被告は,「有害図書が一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし,青少年の健全な育成にとって有害であることは既に社会共通の認識になっている。」とする岐阜県青少年条例に関する上記最高裁平成元年9月19日第三小法廷判決を引用して,立法事実が存在する旨主張する。 しかし,この引用は,被告が自らに都合のよい部分だけを抜き出したものであり,引用の仕方として不当である。 すなわち,上記最高裁判決は,上記引用部分の「有害図書」を形容する文言として「本条例の定めるような」という一節を入れているのである。そして,この引用部分の前の項では,ていねいに,岐阜県青少年条例だけでなく,岐阜県青少年保護育成条例施行規則や岐阜県告示も含め,自動販売機収納が禁止されているところまでの規定の構造をすべて説明して,それを受けて「本条例の定めるような」としているのである。 このように,上記最高裁判決は,「卑わいな姿態若しくは性行為を被写体とした写真又はこれらの写真を掲載する紙面が編集紙面の「過半」を占めると認められる」(岐阜県青少年条例6条2項)雑誌を対象としているのである に,上記最高裁判決は,「卑わいな姿態若しくは性行為を被写体とした写真又はこれらの写真を掲載する紙面が編集紙面の「過半」を占めると認められる」(岐阜県青少年条例6条2項)雑誌を対象としているのである。すなわち,「紙面の「過半」が不健全な図書は,青少年に有害であることが社会共通の認識になっている」と述べているにすぎないのであって,本件各図書のように,仮に不健全な部分があるとしても,それは当該雑誌が提供する情報のごく一部でしかなく,当該雑誌には他に支配的な価値があり,かつ,誌面には不健全な部分がなく,購入しても特別の機器なしには再生することもできない媒体が添付されているにすぎないケースについては,上記最高裁判決は何も述べていないのである。 そして,上記最高裁判決は,被告が引用した部分に続けて,自動販売機による有害図書の販売は,売手と対面しないため心理的に購入が容易であること,昼夜を問わず購入ができること,購入意欲を刺激しやすいこと,自販機業者において指定がなされるまでの間に当該図書の販売を済ませることも可能であることなど,自動販売機特有の事情にかんがみたうえで,岐阜県青少年条例の規定の仕方も合理的であると述べており,まさに,自動販売機により販売された当該商品の特徴にかんがみたうえでの判旨であることが分かる。 このように,上記最高裁判決の引用に基づく被告の主張には理由がない。 (c) また,岐阜県青少年条例に関する上記最高裁判決から既に14年が経過している事実も忘れてはならない。 A教授の意見書(甲31。以下「A意見書」という。)によれば,日本性教育協会の全国調査では,18歳の男女で「性交経験がある」と答えた者の割合は,1984年には男子22パーセント,女 A教授の意見書(甲31。以下「A意見書」という。)によれば,日本性教育協会の全国調査では,18歳の男女で「性交経験がある」と答えた者の割合は,1984年には男子22パーセント,女子12パーセントであったものが,1999年には男子39パーセント,女子33パーセントとなり,この15年間に大きな変化があった事実が指摘されている。 同様に,A意見書は,高校生を対象としたアダルトビデオ視聴体験についても,激増の傾向にあることも指摘している。 そして,A意見書は,「現代は,高度情報化社会化が急速に進み,そのためもあって,性に対する国民(特に青少年層)の性行動,性意識,性規範が劇的に変化しているのであり,このような情報化社会においては,もっぱら隠ぺいを目的とするいわゆる「猥褻物」規制立法は,ほとんど意味を失っているのである。」と結論付けている。 このような事情の変化を無視し,それを補うなんらの論理も根拠も提供できない被告の主張には,意味も価値もない。 (d) さらに,性情報の多いほうが,現実の性行動は少なくてすむという見解もある。 すなわち,A意見書は,「アダルトビデオを模倣したというのは,性非行少年らが責任の軽減を図っての「弁解」である可能性が高い」などと指摘し,規制推進派が唱える,子供に性的情報を与えることは,子供の精神の健全な発達を阻害し,性についての誤った価値観を与え,性非行や性倒錯を促進するという論拠に真っ向から異を唱えている。そして,「青少年が接触する性情報・性表現の量と,性非行や(現実)の性行動とは逆比例する」との事実が観察されると述べている。 ウ憲法31条違反(構成要件の明確性の欠如) ている。そして,「青少年が接触する性情報・性表現の量と,性非行や(現実)の性行動とは逆比例する」との事実が観察されると述べている。 ウ憲法31条違反(構成要件の明確性の欠如)a 都青少年条例8条1項は,その文言が漠然かつ不明確ゆえ憲法31条に違反し,無効である。 憲法31条は罪刑法定主義の要請から,刑罰法規に明確性を求めている。これは,国民に事前の告知を与えてその自由を保障するとともに,法規の執行者である行政の恣意を排除する必要があるからである。特に精神的自由を規制する立法は,精神的自由の人権上の優越的地位からして,制約は必要最小限に止められなければならないばかりでなく,その規定が明確に定められていなければ,本来合法的に行うことのできる表現行為も処罰の不安から差し控えてしまう萎縮効果が大きく,憲法31条の明確性はいっそう強く要請される。 都青少年条例8条1項の規定で問題となるのは「著しく性的感情を刺激し」「青少年の健全な成長を阻害するおそれ」との文言であるが,これらは,それ自体多義的であり,はなはだ不明確であるといわざるを得ない。東京都にもその認識があったようで,第2,1(2)のとおり都認定基準を定めている。 b(a) しかし,まず,都認定基準は,国民がこれを容易に知ることはできない。すなわち,都認定基準は,現在公刊されている図書にはその記載はなく,都のインターネットホームページにおいても都青少年条例しか掲載されておらず,下位規範にあたる都認定基準の有無も分からない。 このように,都認定基準の明確性及びその法的根拠はさておくとしても,それが国民に基準として告知されていないのであるから,罪刑法定主義を定める憲法31条違反であることは明 ない。 このように,都認定基準の明確性及びその法的根拠はさておくとしても,それが国民に基準として告知されていないのであるから,罪刑法定主義を定める憲法31条違反であることは明らかである。 (b) また,仮に上記の点をおくとしても,都認定基準は,明確性の要件を満たしておらず,違憲である。 すなわち,明確性の判断基準としては,一般的には「通常の判断能力を有する一般人の理解において,具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読みとれるかどうか」(最高裁昭和50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁)という基準によって決せられるとされる。 しかし,都認定基準は,他の道府県で行われている例と比較しても,はるかに漠然かつ不明確な規定であるといわざるを得ず,これについて,立法技術の限界を理由とすることはできない。 したがって,都認定基準の存在を考慮しても,都青少年条例8条1項の規定は,憲法31条に反する。 エ憲法14条違反a 都青少年条例の不健全な図書類に対する規制は,他の道府県の規制に比して,漠然かつ不明確であり,大きな萎縮効果を生じさせ,より表現の自由を制限している点で,憲法14条1項に反し,違憲である。 b 各地方自治体において,規制の有無,態様等が異なることにつき,最高裁昭和33年10月15日大法廷判決・刑集12巻14号3305頁は,売春の規制に関する事案において,「憲法が94条で,地方の実情に即して法的に規律する趣旨で条例制定権を認めている以上,各地方公共団体の条例内容に差異が生じてもそれは憲法の予定するところであり,憲法14条1項違反の問題は生 において,「憲法が94条で,地方の実情に即して法的に規律する趣旨で条例制定権を認めている以上,各地方公共団体の条例内容に差異が生じてもそれは憲法の予定するところであり,憲法14条1項違反の問題は生じない」旨判示している。 確かに,憲法が各地方公共団体ごとに条例制定権を認めている以上,条例による人権制約について地域ごとに差異が生じたとしても,それだけで,直ちに憲法14条1項に違反するわけではない,との主張は理解できるが,それは,この判旨がいうように「地方の実情に即して」異なる態様の規制をすることが合理的と認められる場合であることが前提である。また,人権といっても様々であるから,人権の種類ごとにその制約の差異の合理性を吟味する必要がある。さらに,制約の差異が合理性を認められるのは,当該地方の実情に即して規制をすることにあるから,その規制の効果が他の地域にまで及ぶとしたならば,それについては別の考慮が必要である。 このような観点で検討すると,次のようなことがいえる。 第1に,本件で問題となるのが表現の自由という優越的地位を占める人権であるから,他の経済的自由などの場合とは違い,単に憲法94条が地方公共団体ごとに条例制定権を認めているというだけでは地域ごとに制約態様,制約基準を異ならせることが合理的であるということはできず,それを根拠づける立法事実が必要である。 第2に,地方の実情に即して異なる実態があるかという点であるが,そもそも,長野県を除く全国46都道府県で不健全な図書類を規制する青少年条例が設けられているところからみても,地域ごとの実情に違いはないというのが,各都道府県の一致した認識ではないかと考えられる(長野県では,条例は制定されていないが,不健全な図書 書類を規制する青少年条例が設けられているところからみても,地域ごとの実情に違いはないというのが,各都道府県の一致した認識ではないかと考えられる(長野県では,条例は制定されていないが,不健全な図書類規制のための強力な行政指導を行っている。)。また,図書類の大部分は,首都圏に本社をもつ大手出版杜が発行しており,それらが寡占状態にある取次会杜を通して,全国一律に流通される昨今の事情をみると,不健全な図書類なるものの流通,頒布の程度について,地域ごとに差があるとは思われない。ある地域の青少年には激しい不健全な図書類を見せてもよいが,ある地域の青少年にはそうでもない,というほどに地域ごとにその制約態様を異ならせる必要は考えつかないし,異ならせるべきとの主張も見当たらない。 第3に,既に指摘したとおり,東京都による不健全な図書類の指定により,取次会社が次号から取次を拒否したり,全国展開しているコンビニエンスストアが全国で一斉にその取扱いを中止するのである。規制の対象は当該地方公共団体内で販売等されている図書類であるとしても,その規制の効果は全国に及ぶのである。他の地域にも規制の効果が及ぶのであれば,地域ごとの実情に即してという理由は成立しない。 c なお,本件では,情報の発信源が一元化されつつあり,かつ情報の流通も全国一元化されているという現代の状況の中で,全国有数の出版社である原告が全国で一律に発行している図書,いわばナショナルな情報について地域ごとにローカルな規制をして,異なる制約をもたらすことが合理的か否かが問われており,これは,憲法21条や31条の議論では出てこない観点である一方,憲法94条の条例制定権の限界という重要な憲法上の問題にも関連する。 そのため,本件においては,憲法14条 れており,これは,憲法21条や31条の議論では出てこない観点である一方,憲法94条の条例制定権の限界という重要な憲法上の問題にも関連する。 そのため,本件においては,憲法14条違反についても別個に検討されるべきである。 (3) 本件各指定の都青少年条例違反ア本件各図書は都青少年条例8条1項の規定する不健全な図書類に該当しないことa 本件各図書の紙面には,都青少年条例8条1項の規定に該当する部分は存在しない。該当可能性があるのは,本件各図書に添付されたCD-ROM又はDVDの内容であるが,仮に形式的に該当する部分があったとしても,上記(2)イaのとおり,都青少年条例8条1項は分量的基準に従って解釈すべきであり,また,映像については,問題となる映像の連続描写時間が3分を超えるか否かという基準によるべきである。 b 本件各図書に添付されたCD-ROMあるいはDVD中には,いわゆるアダルトビデオの一部を紹介している部分があるが,その画像は「SAMPLE」の表示や,編集のための時間表示が画面中に現れ,当該アダルトビデオ自体の画面とは異なり,紹介のための画像であることが分かるものである。そして,それらは,1本のビデオにつき30秒から40秒程度であり,問題となり得る描写が連続3分を超えるものはない。 したがって,分量的基準によるならば,本件各図書は,いずれも都青少年条例8条1項の規定する不健全な図書類には該当しないものである。 イ都青少年条例15条1項違反a 都青少年条例15条1項は,同条例8条の規定により不健全な図書類の指定をするときは,都審議会の意見を聞かなければならない旨規定しているが,これは,同条例8条の規定による不健 違反a 都青少年条例15条1項は,同条例8条の規定により不健全な図書類の指定をするときは,都審議会の意見を聞かなければならない旨規定しているが,これは,同条例8条の規定による不健全な図書類の指定が,出版側の表現の自由や読者側の知る権利という非常に高いレベルの保障を要求される基本的人権を制約することから,行政庁のみの判断だけではなく,行政庁とは距離をおいた審議会において,識者からの様々な意見により,行政庁の恣意性,独善性を排除することを目的としたものである。 そして,都青少年条例では,同審議会の意見を聞くことは,指定の必要要件とされている。 b 都審議会の審議の形骸化しかし,本件各図書に係る都審議会の審議は,以下の各事実にかんがみるならば,都の担当者の恣意的かつ独善的な提案を,実質的な議論,検討を経ずに,短時間のうちに例外なしに追認するためのものにすぎず,実際上まったく無意味な手続である。 そのため,形式的に本件各図書の指定と同趣旨の意見の審議会の議事が存在していたとしても,それは都青少年条例15条1項の要件を満たすものではないから,本件各図書に対する指定は違法である。 (a) 例えば,平成12年1月20日(第476回)から同年9月21日(第486回)までの11回分の都審議会の議事録によれば,その間,図書において合計105件(うちCD-ROM付きは24件),ビデオ等について合計37件の指定について,都審議会は意見を述べている。 ところが,実に,都担当者が用意してきた候補図書等すべてについて,すべての審議委員がひとつの例外もなく,直ちに賛成している。都審議会に先立って行われる扱いとなっている都青少年条例 ところが,実に,都担当者が用意してきた候補図書等すべてについて,すべての審議委員がひとつの例外もなく,直ちに賛成している。都審議会に先立って行われる扱いとなっている都青少年条例15条2項の規定に基づく自主規制を行っている団体からの意見聴取では,賛否が分かれた図書も複数あり,都の担当者はその事実も都審議会委員に告げているが,それらも含めて都審議会では多数決になったケースはもちろんなく,意見が分かれて議論になったこともない。 しかも,議事録記載の図書の回覧時間やビデオ等の再生時間と,指定を受ける図書あるいはビデオの本数等を考慮すると,審議委員は当該図書やビデオを一瞥したにすぎず,「審議委員が実際に見なかった,とまでは言い切れない。」という程度のものでしかない。 このように,開示された議事録の記載からも,審議会が,都担当者の判断を単に追認するだけの無意味な機関になっていることが分かる。 (b) 都審議会は,実際は,都の担当者が自らの公務員としての権力を背景として,恣意的かつ独善的な運用を行い,都の担当者の意のままに操られているだけである。 すなわち,原告が指定を受けた「DOS/VUSER」と「遊ぶインターネット」は,同様の編集方針で,長期にわたって多部数を出版販売してきたものである。そして,被告は,これらの2雑誌をずっと購入してきたのであるにもかかわらず,これらの雑誌が,ある時期を境に突然,不健全な図書類の指定を受けるということは,被告が恣意的に運用しているとしか考えられない。 また,上記の2雑誌と類似する雑誌として,「ウインドウズ・パワー」(株式会社アスキー。約14万部)と「Windows100%」(株式会社晋 的に運用しているとしか考えられない。 また,上記の2雑誌と類似する雑誌として,「ウインドウズ・パワー」(株式会社アスキー。約14万部)と「Windows100%」(株式会社晋遊社。約22万部)があり,いずれも,原告発行の上記の2雑誌同様に,CD-ROMを添付し,無料ソフトの提供等を主な内容としており,アダルトビデオの紹介も行っている。紹介しているビデオ等の本数,1本あたりの引用時間等も原告発行の上記の2雑誌と同様である。しかし,「ウインドウズ・パワー」,「Windows100%」とも,都青少年条例による不健全な図書類の指定は受けていない。「ウインドウズ・パワー」は,平成12年9月号においては,従前と同様に「最新人気AVムービー紹介」のコーナーがあり,アダルトビデオの内容紹介(動画)を行っていたのに対し,同年10月号においては,何の説明もなく,突如としてそのコーナーもアダルトビデオの紹介もやめている。同様に,「Windows100%」は,平成12年10月号までは,「AVキネマシアター」のコーナーで,アダルトビデオの内容紹介(動画)を行っていたのに対し,同年11月号では,そのコーナーが突然消失し,動画によるアダルトビデオの内容紹介を廃止した。これは不可解であり,この突然の変更がなされた時期が,本件各図書に対する指定が被告内部で検討されていた時期と一致することにかんがみるならば,原告に対しては何の前触れもなく被告は不健全な図書類の指定をしたが,「ウインドウズ・パワー」及び「Windows100%」に関しては,被告は,各発行会社に対し,従前のままでは不健全な図書類の指定を受ける旨の情報を事前に提供し,それを受けて各会杜が,編集方針を変更したことを容易に推認することができる。これは,都の担当者の恣意的運用を如実に物語るもの 対し,従前のままでは不健全な図書類の指定を受ける旨の情報を事前に提供し,それを受けて各会杜が,編集方針を変更したことを容易に推認することができる。これは,都の担当者の恣意的運用を如実に物語るものである。 c(a) 本件各図書は,いずれも誌面上には不健全な部分はなく,問題となり得るのは,それぞれ別個の,独立したビデオ作品のサンプル版であって,1本の長編作品の一部分だけを見たということとは異なるのであるから,都青少年条例15条1項でいう「審議会の意見」とは,個別のコンテンツに対する意見である。そして,個別の作品ごとに不健全か否かの判断は当然に異なる。 そうすると,審議会において,その他のコンテンツについては視聴させていない以上,それらについては,同条例15条1項の要件を満たしておらず,本件訴訟において,同条例8条1項に該当すると主張することは許されない。 (b) これに対し,被告は,意見を求められた図書類等について,どの程度視聴し,審議すべきかは,審議会自らが合理的に決すべき事項というべきである旨主張する。 しかし,これは実態とはまったく異なる。実際には,どのコンテンツを視聴するかについて,審議会委員の意見はまったく聞かず,都の担当者が指定した部分のみを早送りを交えて見ているにすぎない。 これは,例えば,平成12年12月14日に開催された都審議会(第489回)の議事録の記述からも明らかである。ここでは,どのコンテンツを見るか等についての審議はまったく存在せず,都の担当者が指定したものだけを,途中,早送りも交えて見ているにすぎない。また,議事録の記載をそのまま信用するとしても,11冊の図書を審査する時間が,CD-ROM及びDVDの視聴時間を含 く存在せず,都の担当者が指定したものだけを,途中,早送りも交えて見ているにすぎない。また,議事録の記載をそのまま信用するとしても,11冊の図書を審査する時間が,CD-ROM及びDVDの視聴時間を含めても,最大32分間でしかない。 このような運用は,そもそも,被告が指定したコンテンツ以外を理由として,審議会が指定の可否を判断するなどということがあり得ないことも意味している。 (4) 本件各指定の都行政手続条例13条違反ア都行政手続条例13条は,不利益処分をしようとする場合には,行政庁は当該不利益処分の名あて人となるべき者について,意見陳述のための手続を執らなければならないと規定しているが,これは,憲法31条の保障する権利を具体化したものである。 しかるに,以下のとおり,本件各指定に当たっては,行政手続について適正な手続的処遇を受ける原告の権利が侵害されており,その意味でも本件各指定は違法である。 イ本件各指定が不利益処分に該当すること都行政手続条例は,行政手続法をほとんどなぞる形で構成されており,都行政手続条例2条1項4号の規定する不利益処分の定義も,行政手続法2条1項4号の規定する不利益処分の定義と全く同一である。そして,いずれにおいても,不利益処分の定義は,上記条例及び法律の各「第3章不利益処分」の項が適用されるか否かを画する意味を有している。そのため,行政手続法についての解釈と都行政手続条例の解釈は同様に考えられる。 行政手続法の解釈では,同法2条1項4号の規定する「名あて人」について,不利益処分の内容が書面に記載されている場合には,相手方が特定されて表示されているのが通例であり,そこでは,表示された者が「名あて人」 続法の解釈では,同法2条1項4号の規定する「名あて人」について,不利益処分の内容が書面に記載されている場合には,相手方が特定されて表示されているのが通例であり,そこでは,表示された者が「名あて人」となるとされており,また,「特定の者を名あて人とし」とは,当該不利益処分の内容としての「義務を課し,又は権利を制限する」という法的効果が,その者について生じることを意味すると解されている。 本件各指定では,原告を名あて人として通知書が作成され(甲1の1ないし4),原告に義務を課し又は原告の権利を制限する処分がなされているから,本件各指定は,対物処分ではなく,原告に対する不利益処分である。 ウ弁明の機会(都行政手続条例13条1項2号)が付与されていないこと本件各指定に当たっては,原告に弁明の機会は付与されず,不健全な図書類に指定した旨の通知が一方的に原告に送達されたのみである。 本件は,被告が,パソコン雑誌の付録にも都青少年条例を適用した最初の事例であるうえ,不健全な図書類に該当するか否かは,わいせつ概念と同様に高度に微妙な判断を要するものであって,上記のように,他の同種雑誌については,被告から当該出版社に対し,情報を意図的に流した事実も存在したことにも照らすと,被告が原告に対し弁明の機会を付与しなかったことを正当化する理由はない。 この弁明の機会の付与は,憲法31条が保障する重要な権利であり,本件のような新しいケースで,かつ微妙な判断が要求される場合には,原告の弁明の内容如何によっては,被告の判断が変更される可能性も十分にあった。 なお,東京都における不健全な図書類の指定は,一般に,当該図書類の発売から1か月近くたった後にされていることや,被告は 容如何によっては,被告の判断が変更される可能性も十分にあった。 なお,東京都における不健全な図書類の指定は,一般に,当該図書類の発売から1か月近くたった後にされていることや,被告は,実際には,指定による販売自粛や出版社の自主的判断を重視していることからすれば,本件各指定が同条2項1号の規定する「公益上,緊急に不利益処分をする必要がある」ときに該当するとはいえない。 このように,この手続の瑕疵は極めて重大であり,本件各指定は違法,違憲である。 (5) 本件各指定が理由の提示を欠くことア都青少年条例8条2項は,同条1項の指定をする場合には,指定の理由をも告示すべき旨を定め,また,都行政手続条例14条は,不利益処分をする場合には,その理由を提示すべきことを定めているが,本件各指定は,理由の提示を欠いており,取り消されるべきである。 イそもそも法が行政処分において理由を提示すべきとする趣旨は,処分庁の判断の慎重さ,合理性を担保してその恣意性を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立の便宜を与えるところにある(行政手続法8条,14条も参照)。 この点についてはこれまでに多くの判例が積み重ねられ,それらを踏まえて,理由提示の最低限の要求として,①理由の提示は,単に根拠法条を示すだけでは足りず,いかなる事実関係に基づき,いかなる法規を適用して処分がなされたかを明らかにするものでなければならない,②処分根拠となる事実に関しては,処分の名あて人にとって十分理解し得る程度に詳しく示さなければならない,③処分理由は,その記載自体から,名あて人の知り得るところとならなければならず,名あて人がたまたま理由を知り得たかどうかは,理由の提示にあたって考慮されてはなら る程度に詳しく示さなければならない,③処分理由は,その記載自体から,名あて人の知り得るところとならなければならず,名あて人がたまたま理由を知り得たかどうかは,理由の提示にあたって考慮されてはならない,ことが求められている。 しかるに,本件各指定に係る通知書には「指定理由」欄はあるものの,複数の図書を指定しているにもかかわらず,「著しく性的感情を刺激し,甚だしく残虐性を助長し,青少年の健全な育成を助長するおそれがある。」と根拠規定である都青少年条例8条1項1号の条文の一部をそのまま引用しているだけである(甲1の1ないし4)。 これでは,原告としては,本件各図書が,「著しく性的感情を害し」「甚だしく残虐性を助長し」又は「青少年の健全な育成を助長するおそれがある」のいずれに該当するのか,それが当該図書のどの部分なのかを理解することは不可能である(なお,都青少年条例8条1項の上記3つの概念の論理的関係も明確ではない。)。したがって,上記①の点は満たしていない。 上記②の点に則していえば,本件では,少なくとも,本件各図書のどの部分が,どのような意味で都青少年条例8条1項の規定に該当するか否かが,上記通知書の記載から,原告が十分理解できるものでなければならない。しかし,上記通知書の記載では,本件各図書中の文書部分が問題となっているのか,それともCD-ROMの内容が問題となっているのかすら不明である。まして,どのビデオサンプルが,どのような意味で問題となっているのかを理解することは不可能である。 したがって,上記②の点も満たしていない。 また,上記③の点については,本件では,その後原告が都審議会議事録を閲覧することにより,指定の対象となる理由が多少は明らかになったものの,これは原告がたまた ②の点も満たしていない。 また,上記③の点については,本件では,その後原告が都審議会議事録を閲覧することにより,指定の対象となる理由が多少は明らかになったものの,これは原告がたまたま知り得た事実でしかないから,上記③で的確に指摘されているように,それは理由提示が十分であったか否かの要素として考慮されてはならない。したがって,上記③の点も満たしていない。 このように本件各指定には,理由の提示について瑕疵があることは,明らかである。 ウこれに対し,被告は,本件各図書が都青少年条例8条1項の規定する不健全な図書類に該当することは客観的にみて明らかである旨主張する。 しかし,本件各指定の通知書を見る限りでは,本件各図書の誌面の部分が問題なのか,CD-ROM及びDVD部分が問題なのか,あるいはどのコンテンツが問題とされているのか,理解しようがない。 「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」は,いずれも,パソコン関連の諸情報や講座,パソコン関係の広告が大部分を占めている。付録のCD-ROM等についても,その内容の大部分は,様々な無料ソフト等を読者に提供し,読者はそれをダウンロードして使用できるというものである。本件各図書は類書の中でもトップクラスの部数であるし,月刊誌という類型で比較しても,多部数の雑誌であった。このように広く販売されている多部数の雑誌について,販売開始から7年以上あるいは5年以上経過したのち,突然被告から不健全な図書類であるとして指定されても困惑するのが当然である。ましてや,これらの雑誌のどの部分がどのような意味で指定の対象となるかなど分かるはずもない。 (6) 本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用であることア本件各指定は,「 当然である。ましてや,これらの雑誌のどの部分がどのような意味で指定の対象となるかなど分かるはずもない。 (6) 本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用であることア本件各指定は,「青少年に対し,著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められる」か否かについての判断行為を前提にするものであるから,いわゆる覊束裁量行為であると考えられる。 そして,行政裁量行為は,権限のゆ越・濫用が認められる場合に違法となるところ,裁量行為が,その根拠となる条例等の許容する目的を超えて,別の目的を指向又は考慮する結果,社会通念上著しく妥当性を欠くに至るときには,その裁量行為は,憲法あるいは条理から導き出された行政法上の一般原則に基づき,権限ゆ越ないし権限濫用があるものとして,違法なものとされる。 イ本件各指定は,指向又は考慮すべきでない目的を指向又は考慮した結果,社会通念上著しく妥当性を欠いたものであるというべきであり,権限ゆ越ないし権限濫用にわたる違法なものである。 すなわち,都青少年条例8条による指定の効果は,販売業者等に対し,指定された図書類を青少年に販売し,頒布し又は貸し付けることを禁止すること(同条例9条1項)以外にないから,本件各指定にあたり,被告が,青少年に対する指定図書類の販売,頒布又は貸付け等の機会を封じること以外の効果の発生を目的にした場合には,同条例が規定する効果を超過した目的を指向,考慮したものとして,本件各指定は違法なものになるというべきである。 ところで,本件各指定の後,それに伴う関係諸団体の自主規制が発効したため,原告は,「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」を一般市場で流通させることが不可能となった。そして,被告は ところで,本件各指定の後,それに伴う関係諸団体の自主規制が発効したため,原告は,「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」を一般市場で流通させることが不可能となった。そして,被告は,特定の図書類に対する連続3回の不健全な図書類の指定が,その図書類の青少年に対する販売,頒布,貸付けの機会を奪うのみならず,組織化された民間の自主規制を通じて,その図書類について,一般的に「事実上流通できなくする」事実上の効果をもたらすものであることを知悉しつつ,そうした事実上の効果を目的として本件各指定を行ったものである。これは,かかる民間諸団体による自主規制が存在せず,事実上の廃刊という効果が期待できない単行本については,被告は購入もせず,全く調査の対象にしていないことからも明らかである。 このように,本件各指定は,都青少年条例が許容する以上の目的(上記各雑誌を,一般雑誌としての流通から排除する目的)を指向又は考慮してなされたものである。この点において,本件各指定は,社会通念上著しく妥当性を欠いたものというほかなく,権限ゆ越ないし権限濫用により違法であって,取消しを免れない。 (被告の主張)(1) 本案前の主張(本件各指定が取消訴訟の対象とならないこと)ア行政事件訴訟法3条2項によれば,処分の取消しの訴えの対象となる処分とは「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とされているところ,これは行政庁の法令に基づく行為すべてを意味するのではなく,そのうち当該行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいい,行政庁の当該行為が特定個人の具体的な権利義務に直接変動を与えるものでなければならない。 また,行政庁の行う行為のうち,不特定多数の者を対 定することが法律上認められているものをいい,行政庁の当該行為が特定個人の具体的な権利義務に直接変動を与えるものでなければならない。 また,行政庁の行う行為のうち,不特定多数の者を対象とするいわゆる一般処分は,法令の制定行為と同様に,通常は抽象的一般的な規範の定立という性質を有するにすぎないものであって,このような一般処分は抗告訴訟の対象となる行政処分ではない。 イ本件各指定は,いずれも被告が都青少年条例8条1項及び2項の規定に基づき,東京都公報に登載するという方法で告示することにより,本件各図書を不健全な図書類として指定したものであり,本件各指定は特定の個人に向けられたものではない。このことは,同条3項の規定が,不健全な図書類を指定したときは直ちに関係者に「周知」しなければならないと定めている文言からも明らかである。原告に対する通知(甲1の1ないし4)も,同項に基づく関係者への周知のひとつとしてなされたものである。 確かに,都青少年条例8条の規定により不健全な図書類として指定されると,販売業者等は指定図書類を青少年に対して販売し,頒布し又は貸し付けてはならない旨の規制を受けることになるが(同条例9条),これは指定図書類を青少年に対して販売し,頒布し又は貸し付けようとする不特定多数の者を対象とするいわゆる一般処分にすぎず,図書の発行者など特定の個人に向けられたものではない。たとえ,当該規制に反して,指定図書類の販売行為等を行う者があっても,その行為は,原告に対しなんら法的影響を及ぼすものではない。 また,当該規制に反して販売行為等を行った者に対して,別途,関係公務員は,同条例18条の規定に基づき,警告書を交付する方法で警告を発することができるが,当該警告に従わず,なお,同条例9 また,当該規制に反して販売行為等を行った者に対して,別途,関係公務員は,同条例18条の規定に基づき,警告書を交付する方法で警告を発することができるが,当該警告に従わず,なお,同条例9条1項の規定に違反した者のみが刑罰の対象となるにすぎない(同条例25条)。このような都青少年条例の規定の仕方をみると,不健全な図書類の指定は,一定の図書類を指定するのみで,特定の者を対象として行われるものではなく,販売業者等の守るべき一般的な心得を示すに止まり,それ以上に個々人に対して具体的な権利義務を形成するなどの法的効果を生じさせるものではないというべきである。そして,その指定後の販売行為等をした者に対して警告を発し,その警告に従わずなお販売行為等を行った者のみを刑罰の対象としていることからすると,同条例は,指定の段階ではなく,その後に予定される手続である警告を経て,なお,警告に従わず販売行為等を行なった者がある場合に,その者に対し公訴が提起され刑事事件に至った段階で,その不服を争わせるという立法政策を採ったものと解されるのである。 本件のように,行政担当者による指定行為が行われるものであっても,それが条例,規則などによる一般的な規範の定立と同様に一般的規制の一端を担うものであるものについては,条例がどういう図書類に一般的規制をかけるかを条例そのものに定めるかあるいは行政担当者に決定させるかの違いがあるのみであり,一般的規制の一端をたまたま行政に担わせているにすぎないのである。このような場合には,刑罰に先行する前段階の行政担当者の指定行為の処分性は否定されるものというべきである。 以上のとおり,被告の行った本件各指定は,特定の個人に向けられた行為ではなく不特定多数の者に対するいわゆる一般処分の域を出るものでは 定行為の処分性は否定されるものというべきである。 以上のとおり,被告の行った本件各指定は,特定の個人に向けられた行為ではなく不特定多数の者に対するいわゆる一般処分の域を出るものではないのであるから,行政事件訴訟法3条2項にいう処分には当たらない。 ウ宮崎県青少年条例に基づく有害な図書類の指定が争われた上記最高裁平成11年12月14日第三小法廷判決は,有害な図書類の指定が処分性を有することを前提としているが,宮崎県青少年条例と都青少年条例を比較すると,知事が有害ないし不健全な図書類を指定し,告示すると,販売業者等が,指定図書類を青少年に対して販売し,頒布し又は貸し付けてはならないとされることは,いずれの条例においても同様であるが,宮崎県青少年条例においては,有害な図書類の指定に反して,当該図書類を販売し,頒布し又は貸付けを行った場合には,その販売業者等は刑罰を受けることになるのに対し,都青少年条例においては,この段階において,不健全な図書類の指定に反して,販売行為等を行ったとしても,その販売業者等は,刑罰等の制裁を受けない。このように,宮崎県青少年条例においては,有害な図書類の指定と刑罰が密接に結びついているということができるが,都青少年条例においては,不健全な図書類の指定と刑罰は直接には結び付いていない。そうすると,上記最高裁判決で争われた宮崎県青少年条例に基づく有害な図書類の指定が抗告訴訟の対象となる処分であるとしても,本件とは事案を異にするものというべきである。 (2) 都青少年条例8条1項,9条の違憲性の主張についてア憲法21条1項(事前抑制の禁止),同条2項(検閲の禁止)違反の主張についてa 憲法21条2項にいう検閲とは,「行政権が主体となって,思想内容等の 性の主張についてア憲法21条1項(事前抑制の禁止),同条2項(検閲の禁止)違反の主張についてa 憲法21条2項にいう検閲とは,「行政権が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止することをその特質として備えるものを指す」と解されている(上記最高裁昭和59年12月12日大法廷判決)。 しかるに,東京都における不健全な図書類の規制の制度は,既に発表された図書類について,その内容が,青少年に対し,著しく性的感情を刺激し,又は甚だしく残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるときに,知事は不健全な図書類の指定をすることができ(都青少年条例8条1項),同指定によって,販売業者等が指定図書類を青少年に対して販売し,頒布し,又は貸し付けることを禁じるもの(同条例9条)であって,当該図書類の発表以前に同図書類を審査して,その発表を禁止するわけではなく,また,本件各指定によっても,青少年以外の者に対して,指定図書類を購入する途が開かれているのであるから,同制度は憲法21条2項にいう検閲には当たらない。 すなわち,岐阜県青少年条例等で採用されているいわゆる包括指定方式は,問題となる紙面等が条例に定める分量以上であれば,それが店頭に陳列された時点で直ちに個別指定したのと同様の効果が発生し,販売業者等が販売行為を継続すれば,行政当局は警告措置を講ずることなく,直ちに,罰則を適用することができるというものである。これに対し,都青少年条例が採用する指定方式は,店頭に陳列されている特定の図書類について,青少年の健全な成長を 行政当局は警告措置を講ずることなく,直ちに,罰則を適用することができるというものである。これに対し,都青少年条例が採用する指定方式は,店頭に陳列されている特定の図書類について,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるか否かという観点から,被告が,その内容を個別具体的に精査し,第三者機関である都審議会の意見を聞いたうえで,都青少年条例8条1項に規定する要件に該当する図書類についてのみ,不健全な図書類として指定をする個別指定方式である。 そして,指定の後に,条例に規定する違反行為があった場合には,関係公務員が違反者に警告を発し,その警告後においてもなお違反行為が継続した場合に,その違反者を刑罰の対象とする方式であり,指定から刑事手続に至るまでに,警告という行為が介在するものである。このように都青少年条例の指定の方式は,憲法が禁じる事前抑制禁止という面にも十分配慮した方式である。 したがって,都青少年条例の指定の方式が憲法21条2項の検閲に当たる,あるいは同条1項の事前抑制の禁止に違反する旨の原告の主張は理由がない。 b なお,不健全な図書類として連続3回指定された場合に,次号(4回目)以降は雑誌に所定の帯紙を付さないものは取次店にて取り扱わない旨の自主規制が存在すること自体は,被告において当然に認識しているが,そのことと不健全な図書類の個別の指定行為とは別異の問題である。 すなわち,都青少年条例の適用にあたっては,関係業者の自主規制を尊重して運用しているが,これは同条例の趣旨にかなうものである。この観点からすれば,都青少年条例及び都認定基準に該当する場合は,原則として,不健全な図書類としての指定を行うが,その後自主規制措置が執られれば,その指定を行わない場合もあることは当然である。しかし, 観点からすれば,都青少年条例及び都認定基準に該当する場合は,原則として,不健全な図書類としての指定を行うが,その後自主規制措置が執られれば,その指定を行わない場合もあることは当然である。しかし,その場合に執られる自主規制措置は,不健全な図書類の指定の結果であるにすぎず,事前規制の意図とは関係のないことである。 イ憲法21条1項(より制限的でない他の選び得る手段のテスト等)違反の主張についてa 「より制限的でない他の選び得る手段のテスト」について(a) 不健全な図書類の規制については,それが青少年に向けられている限りにおいては,表現の自由の制約に関する合憲性審査基準は,通常の場合ほど厳格性を要求されないものである。 確かに,一般に,国民の有する表現の自由が民主主義の根幹を支える重要な人権であることは他言を要しないところであるが,青少年は,一般に精神的に未熟であって,提供される知識や情報を選別して自ら人格形成に資するものを吸収していく能力に乏しいから,偏ったあるいは正確性を欠く興味本位の情報にさらされた場合には,その被る悪影響は成人の場合に比して著しいものがある。そのため,青少年を対象とする表現行為を,成人を対象とする場合と同様に認めることは,表現の自由の重要性を考慮に入れても相当でない。この見地からすれば,表現の自由が一般に優越的地位を有する人権であるとはいえ,それが青少年に向けられている限りにおいては,その表現の自由の制約に関する合憲性判断の審査基準(より制限的でない他の手段が存するときは他の手段によらなければならない等の基準)は,通常の場合ほど厳格性を要求されないものというべきである。 すなわち,一般に青少年の思慮分別能力は成人に比して 他の手段が存するときは他の手段によらなければならない等の基準)は,通常の場合ほど厳格性を要求されないものというべきである。 すなわち,一般に青少年の思慮分別能力は成人に比して劣っているとの認識に基づいて,現行法のそれぞれの局面において,青少年は保護を受ける反面,能力を制限されているのであるから,表現の制約に関する合憲性の判断基準についても,成人に対する表現行為の規制の場合に要求される厳格な基準は適用されないと解すべきである。 (b) 原告は,本件各図書に関する知る権利を,①青少年が「不健全」な部分を知る権利,②青少年が「健全」な部分を知る権利,③成人が「不健全」な部分を知る権利,④成人が「健全」な部分を知る権利の4つに分類したうえで,上記②ないし④の知る権利の侵害を避けるため,より制限的でない他の選び得る手段のテストであるところの分量的基準によるべきであると主張する。 しかし,不健全な図書類の指定後にあっても,都青少年条例9条により,青少年に対して指定図書類を販売すること等が禁じられるのみであって,成人に対してこれを販売すること等はなんら制限されていないのであるから,成人に対する権利侵害の観点から都青少年条例の違憲性を論じる意味はない。被告は,この観点から,図書類が青少年にとって不健全か否かの基準について主張しているのである。 (c) 分量的基準は,不健全な部分の量を表す評価にすぎず,図書類が不健全であるか否かということに関しては,分量的基準は全く機能しないのであり,結局のところは,当該図書類の内容が青少年の健全な育成を阻害するおそれのある不健全なものであるかどうかに尽きるのである。 すなわち,不健全な部分が一定以内の量であっても あり,結局のところは,当該図書類の内容が青少年の健全な育成を阻害するおそれのある不健全なものであるかどうかに尽きるのである。 すなわち,不健全な部分が一定以内の量であっても当該図書類が全体として不健全でないとはいえず,一冊の書籍の場合,登載されている写真の一部がわいせつ性を有するときは,他の部分がなんらわいせつ性を有しないとしても,それらが一体のものとして編綴されているときは,全体として書籍そのものがわいせつ性を持つに至るというべきであるから,本件各図書の一部が不健全であれば,全体として不健全と認識されることになるのである。 したがって,不健全な図書類を規制する基準として,分量的基準が合理的である旨の原告の主張は理由がない。 b 立法事実論について(a) 上記a(a)のとおり,青少年は,一般的に精神的に未熟であって,提供される知識や情報を選別して自ら人格形成に資するものを吸収していく能力に乏しいから,偏ったあるいは正確性を欠く興味本位の情報にさらされた場合には,その被る悪影響は成人の場合に比して著しいものある。このことから,青少年は,人権の主体であると同時に保護の対象でもあり,青少年の精神的未熟さに由来する害悪から保護される必要がある。 青少年の有するこのような特徴から,青少年を対象とする表現行為に対する制約の憲法適合性の判断においては,表現行為が成人に向けられている場合とは異なり,通常の場合ほど厳格性を要求されていないと解されているのであり,そうだとすると,立法事実についても,成人を対象とする通常の場合とは異なり,緩和されたもので足りるというべきである。 そうであるとすれば,有害図書類が青少年の健全な育成に り,そうだとすると,立法事実についても,成人を対象とする通常の場合とは異なり,緩和されたもので足りるというべきである。 そうであるとすれば,有害図書類が青少年の健全な育成に有害であることについて,厳格な科学的証明がなされていないからといって,都青少年条例に立法事実が欠けているとはいえない。 (b) そして,岐阜県青少年条例に関する上記最高裁平成元年9月19日第三小法廷判決が判示するとおり,著しく性的感情を刺激し,又は著しく残忍性を助長する内容の図書が,一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に好ましくない影響を及ぼし,性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであり,青少年の健全な育成にとって有害であることの認識は,既に社会共通の認識になっているのであり,このような社会共通の認識,すなわち不健全な図書類が青少年の健全な育成にとって有害であるという社会共通の認識が,都青少年条例の立法事実として存在するのである。 また,総務庁青少年対策本部(なお,青少年対策本部は,中央省庁等再編により,現在は内閣府に設置される。)が平成10年9月に委託調査機関を通じて実施した調査報告によれば,保護者が考えている青少年の犯罪,非行の主な原因として,「テレビ,新聞,雑誌などのマスコミ(メディア)の影響」が多く挙げらている。この調査によるまでもなく,さまざまなメディアに性や暴力に関する情報が氾濫していることは公知の事実であって,生活環境の整備という地方公共団体に課された責務を果たすうえからも,青少年の健全な育成に影響を与えるおそれのある不健全な図書類を規制する必要性は存在するのである。 (c) 以上のとおり,不健全な図書類が青少年の健全な育成に有害であ すうえからも,青少年の健全な育成に影響を与えるおそれのある不健全な図書類を規制する必要性は存在するのである。 (c) 以上のとおり,不健全な図書類が青少年の健全な育成に有害であることについて,科学的証明まではないものの,そのことゆえ都青少年条例に立法事実が欠けているとはいえず,同条例の制定目的について,立法事実を欠いている旨の原告の主張は理由がない。 ウ憲法31条(構成要件の明確性)違反の主張についてa 一般に法規は,規定の文言の表現力に限界があるばかりでなく,その性質上,多かれ少なかれ抽象性を有するものである。特に,不健全な図書類の規制に関しては,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を規制の対象とするというその立法趣旨から,ある程度の抽象的文言を使用せざるを得ない事情が存在する。 また,その規制対象が青少年に向けられている表現の自由に限っては,明確性の理論もある程度緩やかに解することが許容されること,憲法31条の規定は刑事手続に関する一般原則であり,当然には行政手続に及ぶわけではないこと,都青少年条例においては,指定と刑事罰との間に関係公務員の警告が介在し,指定と刑事罰とは直接連動しないことを考え併せれば,都青少年条例8条1項の規定が,その文言が漠然かつ不明確ゆえ憲法31条に違反するとまではいい得ない。 b また,都青少年条例の具体的運用となる基準として,都認定基準が設けられ,同条例8条1項の抽象的文言を補い,その内容を明らかにしている。 かつ,都認定基準は,「東京都青少年健全育成関連条例の解説」(東京都生活文化局女性青少年部青少年課編集,平成12年3月31日発行)にも登載されており,同冊子は,東京都及び区市町村の公立図書館 かつ,都認定基準は,「東京都青少年健全育成関連条例の解説」(東京都生活文化局女性青少年部青少年課編集,平成12年3月31日発行)にも登載されており,同冊子は,東京都及び区市町村の公立図書館に所蔵され,一般に公開されているのであるから,同冊子により,一般人も都認定基準の内容を知り得るのであって,いわゆる萎縮的効果の発生の危惧も少ない。 c したがって,都青少年条例8条1項の文言が漠然かつ不明確ゆえに憲法31条に違反する旨の原告の主張は理由がない。 エ憲法14条違反の主張について原告は,都青少年条例に基づく規制が,他の道府県の規制に比して,漠然かつ不明確であり,大きな萎縮効果を生じさせ,より表現の自由を制限している点で,憲法14条1項に反し,違憲である旨主張する。 しかし,規制の漠然かつ不明確性については,憲法21条及び31条との関係において議論されるべきものであり,憲法14条1項との関係において問題とされるべきものは,もっぱら条例制定権に基づく地域的差異の問題についてであると考えられる。そして,条例による規制が地域的差異を生ずるということが問題であるとすれば,憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上,地域によって差異を生ずることは当然に予想されることであるから,かかる差異は憲法みずから容認するところであると解すべきである。 したがって,都青少年条例による規制が,憲法14条に違反するとの原告の主張は理由がない。 (3) 本件各指定の都青少年条例違反の主張についてア本件各図書が都青少年条例8条1項の規定する不健全な図書類に該当することa 本件各図書は,以下のとおり,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に 違反の主張についてア本件各図書が都青少年条例8条1項の規定する不健全な図書類に該当することa 本件各図書は,以下のとおり,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものである。 なお,原告は同号の該当性判断について,分量的基準を用いるべきである旨主張するが,これが失当であることは,上記(2)イaのとおりである。 b(a) 本件図書1(「DOS/VUSER」平成12年9月号,甲2の1)関係ⅰ 本件図書1は,誌面112頁(表紙及び裏表紙を除く。)並びにDVD及びCD-ROMで構成されている。 このうち,本件図書1の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書1に付属するDVD及びCD-ROMの収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定1をしたものである。 すなわち,本件図書1に付属するDVDには,「マルチアングルム一ビー」及び「禁断のアダルトムービー100連発」と題するコンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版の映像が104タイトル,時間にして約80分間,また,同CD-ROMには,「フルサイズ!アダルトムービーDX」と題するコンテンツ中に,同内容の映像が10タイトル,時間にして約14分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものである。同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DVDに収録される「マルチアングルムービー」と題するコンテンツ中の「禁断のア ,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DVDに収録される「マルチアングルムービー」と題するコンテンツ中の「禁断のアダルト映像」は,ベッドで男優が女優の胸を愛撫し,下着を脱がせ,同女の局部を愛撫し,また,女優が男優の性器を口唇愛撫した後,様々な体位による性交等の性戯の場面が,種々のカメラアングルから直接的,かつ,露骨に演じられ,最後は男優が女優の胸に射精するところまで,卑わいな声とともに性交を見せ場としているものである。同DVD映像における性交の描写は,モザイク処理が施されているが,DVD映像特有の高画質,高音質とあいまって,男女の性交等の性戯の場面が時間にして約5分間,かなり明確に写しだされていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DVD及びCD-ROM中に収録されているアダルトビデオ映像(別表1の1及び2のうち○印を付したもの)が,第2,1(2)イの都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書1を不健全な図書類として指定した。 (b) 本件図書2(「遊ぶインターネット」平成12年10月号,甲2の2)関係ⅰ 本件図書2は,誌面80頁(表紙及び裏表紙を除く。)並びにDVD及びCD-ROMで構成されている。 図書2(「遊ぶインターネット」平成12年10月号,甲2の2)関係ⅰ 本件図書2は,誌面80頁(表紙及び裏表紙を除く。)並びにDVD及びCD-ROMで構成されている。 このうち,本件図書2の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書2に付属するDVD及びCD-ROMの収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定1をしたものである。 すなわち,本件図書2に付属するDVDには,「マルチストーリー搭載ムービー」,「最新AVムービー」,「超A級女優マルチアングルスペシャル」及び「鮮烈!インディーズAV」と題する各コンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が55タイトル,時間にして約40分間,また,同CD-ROMには,「特選!大人のコーナー」と題するコンテンツ中に,「アダルトDVDダイジェスト」及び「DVDムービー体験」をはじめとして,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が12タイトル,時間にして約8分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DVDに収録される「最新AVムービー」と題するコンテンツ中の「α」というタイトルのアダルトビデオ映像では,男優と女優の性交のクライマックスシーンのみの場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交を見せ場としているものであり,その映像は,モザイクの処理は施されているが,DVD映像特有の高画質,高音質とあい クライマックスシーンのみの場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交を見せ場としているものであり,その映像は,モザイクの処理は施されているが,DVD映像特有の高画質,高音質とあいまって,男女の性交場面が約40秒,かなり明確に描写されていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DVD及びCD-ROM中に収録されているアダルトビデオ映像(別表2の1及び2のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書2を不健全な図書類として指定した。 (c) 本件図書3(「DOS/VUSER」平成12年10月号,甲3の1)関係ⅰ 本件図書3は,誌面112頁(表紙及び裏表紙を除く。)及びCD-ROMで構成されている。CD-ROMは,DISC:1(実用編)及びDISC:2(映像編)の2枚である。 このうち,本件図書3の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書3に付属するCD-ROM2枚のうち,DISC:2(映像編)の収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定2をしたものである。 すなわち,本件図書3に付属するDISC:2(映像編)には,「ノンストッ (映像編)の収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定2をしたものである。 すなわち,本件図書3に付属するDISC:2(映像編)には,「ノンストップアダルトムービー」,「AV撮影現場に突入」,「AV特ダネNews」,「DVDムービー体験」,「美女写真館」,「ゴージャス姉妹の激似ムービー入手」,「禁断のインターネット」,「ロングアダルトムービー」及び「フルサイズ!アダルトムービーDX」と題する各コンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべきビデオ映像だけでも28タイトル,時間にして約70分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DISC:2(映像編)に収録される「フルサイズ!アダルトムービーDX」中の「β」というタイトルのアダルトビデオ映像では,男優が女優の性器を愛撫したり,性交等の性戯の場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交そのものを見せ場としているものであり,特に,同ビデオ映像における性交の描写は,いわゆる薄消しで,明確とまではいえないとしても,男女の性交等の性戯の場面が時間にして約2分50秒,かなり明確に映し出されていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DISC:2(映像編)中に収録されているアダルトビデオ映像(別表3のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想 ビデオ映像(別表3のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DISC:2(映像編)を含む本件図書3を不健全な図書類として指定した。 (d) 本件図書4(「遊ぶインターネット」平成12年11月号,甲3の2)関係ⅰ 本件図書4は,誌面80頁(表紙及び裏表紙を除く。)並びにDVD及びCD-ROMで構成されている。 このうち,本件図書4の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書4に付属するDVD及びCD-ROMの収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定2をしたものである。 すなわち,本件図書4に付属するDVDには,「快楽!マルチアングル(その1~その4)」,「最新AVムービー」,「マルチアングルコスプレスペシャル」,「今月も元気!インディーズAV」と題する各コンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が58タイトル,時間にして約40分間,また,同CD-ROMには「特選!大人のコーナー」と題するコンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が12タイトル,時間にして約6分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画 ツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が12タイトル,時間にして約6分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DVDに収録される「今月も元気!インディーズAV」と題するコンテンツ中の「γ」というタイトルのアダルトビデオ映像は,黒人の男優が二人かがりで日本人の女優をベッドに押さえつけ,一人が女優の口を手で塞ぎ,声を静めさせながら,もう一人が,性交するというレイプシーンが直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交そのものを見せ場としているものであり,同DVDにおける映像は,モザイク処理はあるものの,DVD映像特有の高画質,高音質とあいまって,男女の性交場面が約37秒,かなり明確に描写されていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DVD及びCD-ROM中に収録されているアダルトビデオ映像(別表4の1及び2のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書4を不健全な図書類として指定した。 (e) 本件図書5(「DOS/VUSER」平成12年 するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書4を不健全な図書類として指定した。 (e) 本件図書5(「DOS/VUSER」平成12年11月号,甲2の3)関係ⅰ 本件図書5は,誌面112頁(表紙及び裏表紙を除く。)及びCD-ROMで構成されている。CD-ROMは,DISC:1(実用編)及びDISC:2(映像編)の2枚である。 このうち,本件図書5の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書5に付属するCD-ROM2枚のうち,DISC:2(映像編)の収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定3をしたものである。 すなわち,本件図書5に付属するDISC:2(映像編)には,「フルサイズ!アダルトムービーDX」,「ノンストップアダルトムービー」,「AV撮影現場に突入」,「DVDタイトル紹介」,「禁断のインターネット」と題する各コンテンツ中にアダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が27タイトル,時間にして約70分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DISC:2(映像編)に収録される「フルサイズ!アダルトムービーDX」と題するコンテンツ中の「δ」のアダルトビデオ映像は,多数の男優が集団で女優を押さえつけ,性交を強いるなど,性戯の場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交及び射精そのものを見せ X」と題するコンテンツ中の「δ」のアダルトビデオ映像は,多数の男優が集団で女優を押さえつけ,性交を強いるなど,性戯の場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交及び射精そのものを見せ場としているものであり,特に,同ビデオ映像における性交等の描写は,モザイクが薄く,明確とまではいえないとしても,男女の性器が約1分,かなり明確に描写されていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DISC:2(映像編)中に収録されているアダルトビデオ映像(別表5のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DISC:2(映像編)を含む本件図書5を不健全な図書類として指定した。 (f) 本件図書6(「遊ぶインターネット」平成12年12月号,甲3の3)関係ⅰ 本件図書6は,誌面80頁(表紙及び裏表紙を除く。)及びCD-ROMで構成されている。CD-ROMは,DISC:1(素材スペシャル3000),DISC:2(カンタン年賀状作成)及びDISC:3(大人のCD-ROM)の3枚である。 このうち,本件図書6の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書6に付属するCD-ROMの収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定3をした 本件図書6の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,本件図書6に付属するCD-ROMの収録内容の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定3をしたものである。 すなわち,本件図書6に付属するDISC:3(大人のCD-ROM)には,「2000年ベストAVムービー60連発」,「超鮮明!DVDムービー体験」及び「完全保存版!AV100年史20世紀のアダルトベスト版」と題する各コンテンツ中に,アダルトビデオのダイジェスト版ともいうべき映像が60タイトル,時間にして約40分間収録されていることが認められ,いずれも都青少年条例8条1項1号の要件に該当するものであるが,同映像は,動画及び音声で構成される一体となった映像であり,かつ,上記のとおり極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DISC:3(大人のCD-ROM)に収録される「2000年ベストAVムービー60連発」と題するコンテンツ中の「ε」というタイトルのアダルトビデオ映像は,女優が男優の性器を口唇愛撫する場面のアップや,性交等の性戯の場面が直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに,性交そのものを見せ場としているものであり,特に,右ビデオ映像における性交等の描写は,モザイクの薄い消し方で,とりわけ男優の性器が約4秒間,かなり明確に描写されていることが認められる。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DISC:3(大人のCD-ROM)中に収録されているアダルトビデオ映像(別表6のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは るアダルトビデオ映像(別表6のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DISC:3(大人のCD-ROM)を含む本件図書6を不健全な図書類として指定した。 (g) 本件図書7(「DOS/VUSER」平成12年12月号,甲2の4)関係ⅰ 本件図書7は,誌面112頁(表紙及び裏表紙を除く。)及びCD-ROMで構成されている。CD-ROMは,DISC:1(実用編)及びDISC:2(映像編)の2枚である。 このうち,本件図書7の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,上記CD-ROM2枚のうちのDISC:2(映像編)に収録される映像の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定4をしたものである。 上記映像は,動画及び音声で一体となった映像であり,かつ,極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DISC:2(映像編)に収録される「フルサイズ!アダルトムービーDX」と題するコンテンツ中の「ζ」というタイトルの映像では,男優と女優の性交の場面,口内に男優の射精を受けた女優の口許を強調する場面,また,女優が男優の性器を口唇愛撫し,口内に射精を受けたり,仰臥した男優の顔に馬乗り座りになった女優の性器を男優 映像では,男優と女優の性交の場面,口内に男優の射精を受けた女優の口許を強調する場面,また,女優が男優の性器を口唇愛撫し,口内に射精を受けたり,仰臥した男優の顔に馬乗り座りになった女優の性器を男優が口唇愛撫するなどの場面が,時間にして約4分30秒間,直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交等の性戯そのものを見せ場としているものであり,特に,当該ビデオ映像における性交等の描写は,モザイク処理がなされてはいるが,男女の性交や性戯の場面,また,とりわけ男優の性器がかなり明確に描写されている。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DISC:2(映像編)中に収録されているアダルトビデオ映像(別表7のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,又は容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DISC:2(映像編)を含む本件図書7を不健全な図書類として指定した。 (h) 本件図書8(「遊ぶインターネット」平成13年1月号,甲3の4)関係ⅰ 本件図書8は,誌面80頁(表紙及び裏表紙を除く。)並びにDVD及びCD-ROMで構成されている。 このうち,本件図書8の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,上記DVD及びCD-ROMに収録される映像の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定4をしたもの 図書8の誌面に関し,都青少年条例8条1項1号に規定する不健全な部分は存在しないものの,上記DVD及びCD-ROMに収録される映像の一部に不健全な部分が存在することから,被告は,本件指定4をしたものである。 上記映像は,動画及び音声で一体となった映像であり,かつ,極めて長時間,多数に及ぶことから,以下,その一例を挙げて説明する。 ⅱ 上記DVDに収録される「最新AVムービー」と題するコンテンツ中の「η」というタイトルのアダルトビデオ映像は,マット状のベッドの上で,ローションまみれになった男優と女優が,互いに相手の性器を口唇愛撫する場面や性交等の性戯の場面が,時間にして約40秒間,直接的,かつ,露骨に演じられ,卑わいな声とともに性交そのものを見せ場としているものであり,同DVD映像における性交等の描写には,モザイク処理が施されているが,DVD映像特有の高画質,高音質ともあいまって,男女の性交等の性戯の場面,とりわけ男優の性器などがかなり明確に描写さている。 ⅲ 上記一例をはじめ,同DVD及びCD-ROM中に収録されているアダルトビデオ映像(別表8の1及び2のうち○印を付したもの)が,上記の都認定基準のうち,(ア)男女の肉体の全部又は一部を露出し,卑わいな感じを与えるもの,かつ,(イ)動作が性的行為を露骨に表現し,又は容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるものに該当し,都青少年条例8条1項1号に規定する「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書8を不健全な図書類として指定した。 イ都青少年条例15条 感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるものであることから,同DVD及びCD-ROMを含む本件図書8を不健全な図書類として指定した。 イ都青少年条例15条1項違反の主張についてa 都青少年条例8条によれば,不健全な図書類の指定は,図書類を単位として行うことを前提にしており,同条例15条は,この指定をするときは,都審議会の意見を聞かなければならないと定めているから,図書類を単位として,都審議会の意見を聞けば足りるものと解される。 また,同条例15条は,知事が同条例8条の規定による不健全な図書類の指定をしようとするときには,都審議会の意見を聞かなければならないと定めているものの,これに拘束されるとは定めていない。これによれば,被告が不健全な図書類の指定をする場合には,都審議会の意見を聞く必要はあるものの,その意見を聞いた以上は,自己の責任において,不健全な図書類の指定をすべきか否かを決定しなければならないのであり,その際,都審議会の意見と知事の意見が異なることもあり得るが,その場合には,知事は自己の責任で都審議会の意見を採用せずに自らの見解に従い指定をすべきか否かを決定することになる。そうすると,知事は,都審議会の意見とは別の理由,根拠に基づき,不健全な図書類の指定をすることができるというべきことになる。 次に,都青少年条例15条は,知事が都審議会の意見を聞かなければならない事項について定めるのみで,その審議の程度について定めているわけではない。知事から意見を求められた都審議会が,これに対する意見を述べるにあたり,意見を求められた図書類について,どの程度視聴し,審議すべきかは,都審議会自らが合理的に決すべき事項というべきであり,必ずしも当該図書 ら意見を求められた都審議会が,これに対する意見を述べるにあたり,意見を求められた図書類について,どの程度視聴し,審議すべきかは,都審議会自らが合理的に決すべき事項というべきであり,必ずしも当該図書類の隅々にわたり視聴を尽くさなければならないことまで,都青少年条例で義務づけているわけではない。 以上によれば,被告は,都青少年条例8条1項の規定による不健全な図書類の指定をしようとする場合には,当該図書類について,都審議会の意見を聞く必要はあるが,当該図書類について,不健全な図書類として指定すべきか否かの意見を聞けば足りるのであって,それ以上に,当該図書類の細部にわたって,個別事項ごとに意見を聞かなければならないということはできない。したがって,都青少年条例15条は,指定に当たりすべてのコンテンツに示される作品を視聴し,そのすべてについて意見を求めることまで求めるものではないから,原告の主張は理由がない。 b 都審議会において審議委員が視聴したコンテンツは,本件各図書それぞれにつき1ないし2つであるが,これらは本件各指定の理由となる事実の一部にすぎない。すなわち,各審議会において付議の対象となっていたのは,問題となっているすべてのコンテンツであり,会議の効率性等から,その一部を実際に視聴したにすぎないのである。そうであるとすれば,各審議会で実際に視聴していない各コンテンツに係る被告の主張は,理由の差替え(追加)に当たらないものである。 また,仮に理由の差替え(追加)にあたるとしても,要件事実の同一性が損なわれない限り,理由の差替え(追加)は許容されると解されるところ,本件で問題となっている各コンテンツは,いずれも都審議会で実際に視聴したものと同じような「著しく性的感情を刺激し,青少年の健 性が損なわれない限り,理由の差替え(追加)は許容されると解されるところ,本件で問題となっている各コンテンツは,いずれも都審議会で実際に視聴したものと同じような「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」事実であるから,要件事実の同一性を害するものと評価することはできず,そうであるとすれば,,理由の差替え(追加)が許容されるというべきである。 (4) 本件各指定の都行政手続条例13条違反の主張についてア原告は,本件各指定が都行政手続条例2条1項4号の規定する不利益処分に当たることを前提に,本件各指定に際して,同条例13条1項2号に定める弁明の機会が付与されなかったから,手続に違法がある旨主張する。 しかし,上記(1)のとおり,本件各指定はそもそも処分性を有しないものであり,都行政手続条例の規定する「処分」(同条例2条1項2号)にも当たらないものであるが,仮に,本件各指定が同号の処分に当たるとしても,以下に述べるとおり,同条例2条1項4号にいう不利益処分には当たらないので,原告の主張はその前提において誤っている。 イ都行政手続条例2条1項4号は,不利益処分を,「行政庁が,条例等に基づき,特定の者を名あて人として,直接に,これに義務を課し,又はその権利を制限する処分をいう。」と定義している。 上記規定は,行政手続法2条1項4号が規定する不利益処分の定義とほぼ同一であるところ,同法の同規定は次のように解されている。 「名あて人」とは,不利益処分が規律の対象としている形式的な相手方をいう。当該不利益処分により,社会的・経済的に不利益を被る者とは必ずしも一致しない。「特定の者」を名あて人としない処分は,その処分の内容としての「義務を課し,又 規律の対象としている形式的な相手方をいう。当該不利益処分により,社会的・経済的に不利益を被る者とは必ずしも一致しない。「特定の者」を名あて人としない処分は,その処分の内容としての「義務を課し,又はその権利を制限する」という法的効果を受ける者が存在する場合であっても,行政手続法2条1項4号にいう「不利益処分」には該当せず,同法第3章(不利益処分)の規定は適用されない。 このようなカテゴリーに属するものとしては,理論上の「一般処分」ないし「対物処分」が考えられ,これらは個別処分の束とも観念できるものであるが,個々の相手方の個性を意識しないものであり,特定の者を名あて人とする不利益処分には当たらない。 以上の行政手続法の解釈は,規定の文言がほぼ同一である都行政手続条例にも妥当するといい得る。 ウ都青少年条例8条2項は,同条1項の規定による不健全な図書類の指定は,指定するものの名称,指定の理由その他必要な事項を告示することによってこれを行わなければならないと規定する。さらに,同条3項は,知事は,前2項の規定により指定したときは,直ちに関係者にこの旨を周知しなければならないと規定する。 被告は東京都公報で告示することにより本件各指定を行ったが,東京都公報の記載内容は,同条例8条1項の規定により,青少年の健全な育成を阻害するものとして指定すること,及び指定対象となる図書類の①指定番号,②種類,③名称,号刊及び発行所等,④指定理由であり,同告示には,原告を含め特定の名あて人の記載は存しない。 以上のとおり,本件各指定は,東京都公報に登載することによる告示によって行われたものであって,対物処分の域を出るものではなく,特定の者を名あて人としてなされたものではない。 以上のとおり,本件各指定は,東京都公報に登載することによる告示によって行われたものであって,対物処分の域を出るものではなく,特定の者を名あて人としてなされたものではない。 なお,原告は,本件各指定が原告を名あて人とする不利益処分に当たる根拠として,原告に対する通知(甲1の1ないし4)を挙げるが,これは,同条例8条3項の規定に基づき,本件各指定がなされたことを関係者に周知するためになされた単なるお知らせにすぎない。 エ以上のとおり,本件各指定は都行政手続条例が定める不利益処分に当たらないので,同条例13条1項2号に定める弁明の機会が付与されていないから手続に違法があるとの原告の主張は理由がない。 オなお,行政手続について,憲法31条による法定手続の保障が及ぶと解すべき場合があるとしても,行政手続は,行政目的に応じて多種多様であり,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合考慮して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするというものではないから,本件各指定に当たってこれが必要であるということはできない。 (5) 本件各指定は理由の提示を欠くとの主張についてア本件各指定は,上記(1)のとおり,そもそも「処分」ではないし,仮に処分といえるとしても,上記(4)のとおり,特定の者を名あて人として行った不利益処分には当たらないから,不利益処分について定めた行政手続条例14条に違反するとの原告の主張はその前提において誤っている。 イ都青少年条例8条2項は,不健全な図書類の指定は,指定の理由を告 分には当たらないから,不利益処分について定めた行政手続条例14条に違反するとの原告の主張はその前提において誤っている。 イ都青少年条例8条2項は,不健全な図書類の指定は,指定の理由を告示することによって行わなければならないと規定するので,以下において,本件各指定に係る告示が上記の要件を充たしているか否かを検討する。 a 本件各指定は,都青少年条例8条2項に基づく告示により実施され,告示の内容として,同項が規定している「指定理由」について,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」との記載がされた。上記の記載内容は,同条例8条1項1号の規定とほぼ同様の内容であるから,ここで検討すべき点は,都青少年条例8条1項1号の根拠規定を示すだけで,同条2項の要求する理由付記として足りるというべきであるか否かということになる。 b 最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決・判例時報1453号116頁は,公文書の非開示決定が理由付記の要件を欠き違法であるとして争われた事件であるが,同判決は,理由付記に関し,どの程度の理由を付記すべきかについては,処分の性質と理由付記を命じた各法令の趣旨・目的に照らして判断すべきであるとしたうえで,「単に非開示の根拠規定を示すだけでは,当該公文書の種類,性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然に知り得るような場合は別として,本条例7条4項の要求する理由付記としては十分でないといわなければならない。」と判示した。 この判決によれば,当該文書の種類,性質等とあいまって開示請求者が非開示の理由を当然に知り得るような場合には,単に非開示の根拠規定を示すだけで足りると解される。 これを本件についてみると,本件各図書には程度 種類,性質等とあいまって開示請求者が非開示の理由を当然に知り得るような場合には,単に非開示の根拠規定を示すだけで足りると解される。 これを本件についてみると,本件各図書には程度や量の差こそあれ,いずれもアダルトビデオの映像が本件各図書に付属するCD-ROM若しくはDVDに収録され,さらに,その映像は,動画及び音声で一体となり,極めて長時間,多数に及んでいることが認められる。 上記のような映像は,客観的にみて,それ自体が都青少年条例8条1項1号にいう「青少年に対し著しく性的感情を刺激し」,「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」であることは一見して明白に判断できるものであるといわざるを得ない。 したがって,本件各指定においては,条例の根拠規定を示すだけで理由付記として足りる場合に該当するといえるので,都青少年条例8条2項に基づく理由付記についても,原告の主張には理由がない。 (6) 本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用であるとの主張について原告が問題とする関係団体の自主規制は,被告が都青少年条例に基づき本件各図書を不健全な図書類と指定することによって発生する法的効果ではなく,自主規制という言葉からも明らかなとおり,関係団体で実施されている事実上の措置にすぎない。被告が本件各指定によって実現しようとした目的は,青少年の健全な育成を図ることであって(同条例1条),これを超える目的は有していない。 都の担当者が上記自主規制を認識していることは,青少年の健全育成の担当者として当然のことであり,このことをもって,本件各指定に当たり,被告が「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」を一般流通市場から排除することを真の目的としてい は,青少年の健全育成の担当者として当然のことであり,このことをもって,本件各指定に当たり,被告が「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」を一般流通市場から排除することを真の目的としていたという原告の主張は,こじつけというほかない。 したがって,本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用に当たるとの主張も失当である。 4 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定は,行政事件訴訟法3条2項の規定する処分に当たるか否か。 (争点1)(2) 都青少年条例8条1項,9条の規定は,憲法の次の各条項に違反するか否か(争点2)ア憲法21条1項(事前抑制の禁止),2項(検閲の禁止)イ憲法21条1項(より制限的でない他の選び得る手段のテスト等)ウ憲法31条(構成要件の明確性)エ憲法14条(3) 本件各指定は,次の点で都青少年条例に適合しているか否か。 (争点3)ア本件各図書は同条例8条1項の定める不健全な図書類に該当するか。 イ本件各指定に当たり,同条例15条1項の違反があったか。 (4) 本件各指定は都行政手続条例13条に違反するか否か。 (争点4)(5) 本件各指定は理由の提示を欠くものとして違法か否か。 (争点5)(6) 本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用に当たるか否か。 (争点6)第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1)ア 欠くものとして違法か否か。 (争点5)(6) 本件各指定が権限ゆ越ないし権限濫用に当たるか否か。 (争点6)第3 当裁判所の判断 1 争点1について(1)ア東京都においては,青少年の環境の整備を助長するとともに,青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し,もって青少年の健全な育成を図ることを目的として,都青少年条例が制定されている(同条例1条参照)。 同条例は,不健全な図書類の販売等の規制について,図書類の発行,販売又は貸付けを業とする者は,図書類の内容が,青少年に対し,性的感情を刺激し,又は残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは,相互に協力し,緊密な連絡の下に,当該図書類を青少年に販売し,頒布し,若しくは貸し付け,又は観覧させないように努めなければならない(7条)と定めて,図書類の発行者等の自主規制を促す規定を置くと同時に,「販売され若しくは頒布され,または閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で,その内容が,青少年に対し,著しく性的感情を刺激し,またははなはだしく残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの 」については,知事において,青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる旨を定めている(8条1項1号)。 イ上記の指定に当たっては,前記のとおり,都認定基準が設けられており,それによれば,都青少年条例8条1項1号の規定する「著しく性的感情を刺激(する)」と認められるものとは,原則として次のとおりとするとされている。 a 図書類(ビデオテープ及びビデオディスク並びにコンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体を除 次のとおりとするとされている。 a 図書類(ビデオテープ及びビデオディスク並びにコンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体を除く。)の指定に関する認定基準(同基準第2(1))(ア) 男女の肉体の全部又は一部を露骨に表現し,卑わいな感じを与えるもの(イ) 性的行為を露骨に表現し,又は容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの(ウ) 医学的,民俗学的その他学術的内容であっても,性に関する描写,表現が青少年に対し性的劣情を刺激するもの(エ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(ウ)までと同程度に卑わいな感じを与えるものb コンピュータ用のプログラム又はデータを記録したシー・ディー・ロムその他の電磁的方法による記録媒体の指定に関する認定基準(同基準第2(3))(ア) 男女の肉体の全部又は一部を露骨に表現し,卑わいな感じを与えるもの(イ) 動作が性的行為を露骨に表現し,若しくは容易に連想させ,卑わいな感じを与えるもの又はせりふ,説明,口上,歌曲等言語が著しく卑わいな感じを与えるもの(ウ) 記録されたプログラムを実行することにより,擬似的に著しく卑わいな体験をさせるもの(エ) 医学的,民俗学的その他学術的内容であっても,性に関する描写,表現が青少年に対し,性的劣情を刺激するもの(オ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(エ)までと同程度に卑わいな感じを与えるものウ知事は,上記の指定をしようとするときは,都審議会の意見を聞かなければならならず (オ) 前記のほか,素材,描写,表現等が前記(ア)から(エ)までと同程度に卑わいな感じを与えるものウ知事は,上記の指定をしようとするときは,都審議会の意見を聞かなければならならず(都青少年条例15条1項),また,都審議会の意見を聞く場合において,都青少年条例7条に規定する自主規制を行っている団体があるときは,必要に応じ,当該団体の意見を聞かなければならないものとされている(同条2項)。 そして,知事の都青少年条例8条1項の規定に基づく指定は,「指定するものの名称,指定の理由その他必要な事項」を告示することによって行われる(同条2項)。 なお,知事は,上記の指定をしたときは,直ちに関係者にこの旨を周知しなければならないものとされている(同条3項)が,指定に先立って,図書類の発行,販売又は貸付けを業とする者の意見等を聞くべき旨の規定は設けられていない。 エ都青少年条例8条1項の規定に基づく知事の指定がされると,販売業者等は,当該指定図書類を青少年に販売し,頒布し,又は貸し付けてはならず(9条1項),また,何人も,青少年に当該指定図書類を閲覧させ,又は観覧させないように努めなければならないこととなる(同条2項)。 そして,前記9条1項の規定に違反して青少年に指定図書類を販売し,頒布し,又は貸し付けた者に対しては,都青少年条例17条所定の関係公務員は,警告を発することができ(18条1項1号,2項),上記の警告に従わず,なお,都青少年条例9条1項の規定に違反した者は,30万円以下の罰金又は科料に処せられる(25条)こととされている。 (2) (1)によれば,知事が同条例8条1項の規定に基づいて行う不健全な図書類の指定は,当該図書類を発行,販売又は貸付けする者等の主 の罰金又は科料に処せられる(25条)こととされている。 (2) (1)によれば,知事が同条例8条1項の規定に基づいて行う不健全な図書類の指定は,当該図書類を発行,販売又は貸付けする者等の主観的な事情は斟酌されず,専ら対象となる図書類の内容が同項1号及び都認定基準の定めるものであるか否かの点に着目して認定判断がされるものであり,指定の方法も,「指定するものの名称,指定の理由その他必要な事項」を告示することによって行われることからすれば,その性格は,当該図書類を対象として行われるいわば対物的な処分であって,特定の個人又は団体を名あて人として行われるものではないと解するのが相当である。 (3) ところで,原告のように雑誌の発行を行う者は,一般に,当該書籍を制作し,これを,取次店を経由し又は自ら直接読者に販売する方法によって流通におくことを予定しているものであるところ,自らの発行にかかる雑誌が都青少年条例8条1項の規定に基づく不健全な図書類の指定を受けた場合,当該指定図書類について,これを青少年に対して販売,頒布及び貸し付けてはならないとの制限が生じることによって,もともと自由であった当該雑誌の流通販売が一定の範囲で制約されるという法的な不利益が生じることは明らかである。 そうであるとすれば,本件各指定は,行政事件訴訟法3条2項所定の取消訴訟の対象となる処分に当たるというべきであり,本件各図書を発行する原告にはその取消しを求める利益があるものと解される。 (4) したがって,被告の本案前の主張は理由がない。 2 争点2について(1) 憲法21条1項(事前抑制の禁止),2項(検閲の禁止)関係の主張についてア原告の憲法21条2項(検閲の禁止)違反の主張についてa 憲法21 点2について(1) 憲法21条1項(事前抑制の禁止),2項(検閲の禁止)関係の主張についてア原告の憲法21条2項(検閲の禁止)違反の主張についてa 憲法21条2項にいう検閲とは,行政権が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査したうえ,不適当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるものを指すと解するのが相当である(上記最高裁昭和59年12月12日大法廷判決,最高裁昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁参照)。 b これに対し,都青少年条例8条,9条の規定による規制は,既に発表されている図書類を対象とするものであって,当該発表済みの図書類が同条例8条1項各号の要件に当たる場合に,これを不健全な図書類として指定し,これにより,販売業者等において当該指定図書類を青少年に対して販売すること等が禁止されるという効果が生じるものである。ちなみに,同条例8条1項の不健全な図書類の指定についての審査の対象となる図書類は,雑誌類が発売された後において,都の担当者が書店やコンビニエンスストア等で購入したものである(甲32の2ないし3,乙22,証人鵜沢)。 また,仮に都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定があったとしても,販売業者等において青少年以外の者に当該指定図書類を販売すること等が禁止されるわけではない。 c このように,都青少年条例による規制は,当該図書類の発表前にその内容を審査して,その発表を禁止するものではないから,憲法21条2項の規定する検閲に当たると解することはできない。 イ原告の憲法2 に,都青少年条例による規制は,当該図書類の発表前にその内容を審査して,その発表を禁止するものではないから,憲法21条2項の規定する検閲に当たると解することはできない。 イ原告の憲法21条1項(事前抑制の禁止)違反の主張についてa(a) 都青少年条例8条の規定により不健全な図書類の指定を受けると,販売業者等が当該指定図書類を青少年に販売すること等が禁止されるから,それ以後は,受け手において当該指定図書類を入手する途が制限されることになり,その意味で,上記指定には事前抑制的な性格が存するということができる。 (b)ⅰ しかし,青少年は,一般的にみて,精神的に未熟であって,提供される知識や情報を自ら選別して自己の人格形成に資するものを取得していく能力を十分に有しているわけではなく,偏ったあるいは正確性を欠く興味本位の情報にさらされた場合には,その影響を受け易いから,成人と同等の知る自由を保障される前提を欠くばかりでなく,むしろ,青少年の知る自由に一定の制約を加えて,青少年の精神的未熟さに由来する害悪から保護されるべき必要性が存するというべきである。そうであるとすると,ある表現が受け手として青少年に向けられている場合には,その表現の自由の制約に関する憲法適合性の判断については,成人に対する表現の規制に関するような厳格な審査基準は適用されないものと解するのが相当である。 そして,都青少年条例は,上記のような観点から,青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止することなどにより,青少年の健全な育成を図ることを目的としているものであり(1条),同条例8条,9条の規定も,この目的を達するために,青少年を有害な図書類から遠ざけようとするものである。 ⅱ ま 少年の健全な育成を図ることを目的としているものであり(1条),同条例8条,9条の規定も,この目的を達するために,青少年を有害な図書類から遠ざけようとするものである。 ⅱ また,都青少年条例8条の規定により不健全な図書類の指定がされたとしても,販売業者等において青少年以外の者に当該指定図書類を販売すること等が禁止されるわけではない。 ⅲ さらに,都青少年条例においては,不健全な図書類の指定に違反して,販売業者等が青少年に指定図書類を販売するなどしても,これにより直ちに刑罰が適用されるのではなく,まず関係公務員が警告を発し,その警告後においてもなお違反行為が継続した場合に,初めて刑罰が適用されることとなっている。 このような方式は,いわゆる包括指定方式,すなわち,問題となる紙面等が予め知事が定める一定の分量以上であれば,それが店頭に陳列された時点で個別指定したのと同様の効果が発生し,販売業者等が販売行為を継続すれば,行政当局は警告を発することなく,直ちに刑罰を適用することができるという方式に比べると,事前抑制的な側面にも一定の配慮を加えているということができる。 ⅳ 以上のほか,都青少年条例8条1項1号の規定が,後述のとおり,不明確であるとはいえないことも踏まえて総合的にみると,同条例8条の規定による不健全な図書類の指定に事前抑制的な側面があるとしても,これをもって憲法21条1項の規定に違反するということはできないというべきである。 b 原告は,出版倫理協議会による自主規制との関係で,被告が出版の事前規制を意図して不健全な図書類の指定をしているものであるから,憲法21条の規定する事前抑制の禁止に違反する旨主張する。 告は,出版倫理協議会による自主規制との関係で,被告が出版の事前規制を意図して不健全な図書類の指定をしているものであるから,憲法21条の規定する事前抑制の禁止に違反する旨主張する。 (a) 確かに,証拠(甲23,25)及び弁論の全趣旨によれば,都の担当者は,第2,2(4)のとおりの出版倫理協議会の自主規制があり,そのため,特定の雑誌類が都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定を連続して3回受けると,当該雑誌類は事実上流通が困難になることを認識していたことが認められる。 しかし,都青少年条例は,図書類の発行,販売等を業とする者は,不健全な図書類を青少年に販売等しないよう努めなければならない旨規定し(7条),また,都審議会に指定の諮問をする場合には,必要に応じ自主規制団体の意見を聞くべきものと規定するなど(15条2項),同条例自体が関係業者による自主規制を前提としているのであるから,都の担当者が上記出版倫理協議会の自主規制の存在及び内容を知っているのは,その職責に照らすと当然というべきであって,これだけで直ちに,被告において,連続3回指定された雑誌について,次号以降の雑誌の内容を規制する意図のもとに不健全な図書類の指定をしているなどと認めることはできない。 (b) 原告は,その主張の根拠として,民間諸団体による自主規制が存在せず,事実上の廃刊という効果が期待できない単行本については,被告が全く調査の対象にしていないことを指摘する。 しかし,証人関口の供述によると,被告において単行本を不健全な図書類の指定の調査対象にしていないのは,現在の担当部署の人的状況では,単行本にまで手が回らないためであることが認められるのであって,自主規制の存否とは関係がない。 と,被告において単行本を不健全な図書類の指定の調査対象にしていないのは,現在の担当部署の人的状況では,単行本にまで手が回らないためであることが認められるのであって,自主規制の存否とは関係がない。 (c) 他に,被告が出版の事前規制を意図して不健全な図書類の指定をしていることを認めるに足りる証拠はない。 (d) 以上のとおり,この点に関する原告の主張は理由がない。 ウしたがって,原告の憲法21条1項(事前抑制の禁止),2項(検閲の禁止)違反の主張は,いずれも理由がない。 (2) 憲法21条1項(より制限的でない他の選び得る手段のテスト等)関係の主張についてアより制限的でない他の選び得る手段のテストについてa 原告は,本件各図書に関する知る権利を,①青少年が「不健全」な部分を知る権利,②青少年が「健全」な部分を知る権利,③成人が「不健全」な部分を知る権利,④成人が「健全」な部分を知る権利の4つに分類したうえ,規制が許されるのは上記①の権利のみであって,上記②ないし④の権利を制約することは許されないから,かかる場合の合憲性判定基準としては,より制限的でない他の選び得る手段のテストであるところの分量的基準によるべきである旨主張する。 b(a) しかし,表現行為が青少年に向けられている場合には,その表現の自由の制約に関する憲法適合性の判断について,成人に対する表現の規制に関するような厳格な審査基準は適用されないものと解すべきことは,上記(1)イa(b)ⅰで述べたとおりであるから,都青少年条例8条,9条の合憲性審査基準として,直ちにより制限的でない他の選び得る手段のテストによるべきであるということはできない。 (b)ⅰ とこ ⅰで述べたとおりであるから,都青少年条例8条,9条の合憲性審査基準として,直ちにより制限的でない他の選び得る手段のテストによるべきであるということはできない。 (b)ⅰ ところで,不健全な図書類の指定をすることにより,青少年にとっては,上記①の権利(青少年が「不健全」な部分を知る権利)ばかりでなく,上記②の知る権利(青少年が「健全」な部分を知る権利)も制約されることは否めないが,これは,それぞれを含む部分が一体となった書籍等については,やむを得ないものというべきである。 ⅱ 原告は,不健全な図書類の指定により,成人の有する上記③の権利(成人が「不健全」な部分を知る権利)及び④の知る権利(成人が「健全」な部分を知る権利)も制約される旨主張するが,不健全な図書類に指定されたとしても,販売業者等が成人に当該指定図書類を販売することはなんら制限されないものである。 この点,原告は,不健全な図書類に指定された場合には,取次業者やコンビニエンスストアなどが当該指定図書類を扱わなくなる旨指摘するが,これは自主規制ないしコンビニエンスストアなどの自主的判断によるものであって,上記指定の効果とはいえない。 そして,仮に不健全な図書類の指定によって,成人の有する上記③及び④の知る権利が事実上なんらかの制約を受けることになったとしても,これは青少年保護の観点から必要とされる規制に伴って付随的に生じるものにすぎず,やむを得ないものというべきである。 (c)ⅰ 原告は,不健全な図書類を規制する目的を是認しつつ,目的達成に必要な範囲でのみ規制をする手段は,分量的基準による規制が合理的であると主張する。 しかし,ある図書類が青少 ⅰ 原告は,不健全な図書類を規制する目的を是認しつつ,目的達成に必要な範囲でのみ規制をする手段は,分量的基準による規制が合理的であると主張する。 しかし,ある図書類が青少年にとって不健全なものであるか否かは,当該図書類中の不健全な部分の量の多寡のみによって決せられるべきものでなく,分量的基準を採用している他の道府県の青少年保護条例においても,分量的基準に基づく,みなし規定ないし知事による包括指定の規定のほか,知事が分量的基準によることなく,個別的に有害ないし不健全な図書類を指定することができる旨の規定も併せて設けられているところである(甲6,15,16の1,乙14)。 原告は,不健全な部分の全体に占める割合が小さければ,当該図書類は「不健全」と結び付けて認識されることはないから,青少年は「不健全」な部分に触れる目的でこれにアクセスしようとは考えないと主張するが,不健全な部分の全体に占める割合が小さいとしても,それを目的に青少年が当該図書類を購入することも十分想定されることであり,かかる図書類から青少年を遠ざける必要性が存しないということはできない。 ちなみに,証拠(甲2の1ないし4,甲3の1ないし4)によると,本件各図書の誌面には,目次等で,付属のCD-ROMないしDVDの内容を説明する箇所があり,そこでアダルト系のコンテンツが含まれていることが分かるようになっており,また,甲7によると,本件図書2の読者アンケートでは,その1割強がアダルトビデオ紹介部分を目的として当該図書を購入したことが認められる。 ⅱ また,原告は,CD-ROMやDVDの場合の具体的な分量的基準として,問題となる映像の連続描写時間が3分を超えるか否かによるべきで して当該図書を購入したことが認められる。 ⅱ また,原告は,CD-ROMやDVDの場合の具体的な分量的基準として,問題となる映像の連続描写時間が3分を超えるか否かによるべきである旨主張する。 しかし,この基準を本件各図書に添付されたCD-ROMやDVDに当てはめてみると,証拠(甲2の1ないし4,甲3の1ないし4)によれば,これらのCD-ROM等のそれぞれには,そのほとんどが3分を超えないものの,後記のとおり,問題となるコンテンツが多数含まれており,その合計時間は相当長くなっていることが認められる。このような場合,個々のコンテンツの映像の連続描写時間が3分を超えていないからといって,これらのコンテンツの存在が青少年の接近動機とならないと認めることが合理的とは解されない。 現に,分量的基準により有害図書類を包括的に定めるとともに,知事による有害図書類の個別指定の規定をも設けている他の道府県の青少年保護条例においても,知事による個別指定の規定が設けられている。 そうであるとすれば,原告が具体的に主張する分量的基準が必ずしも合理的であるとはいい難い。 ⅲ 以上のことからすると,都青少年条例が不健全な図書類の指定要件として分量的基準を採用していないとしても,これが不合理であるとはいえない。 (d) 以上の点からすると,都青少年条例8条の規定が不健全な図書類の指定基準として分量基準を採用していないからといって,憲法21条1項の規定に違反するということはできないから,原告の上記主張は理由がない。 イ立法の前提となる事実の欠缺の主張についてa 表現行為が青少年に向けられてい て,憲法21条1項の規定に違反するということはできないから,原告の上記主張は理由がない。 イ立法の前提となる事実の欠缺の主張についてa 表現行為が青少年に向けられている場合には,その表現の自由の制約に関する憲法適合性の判断について,成人に対する表現の規制に関するような厳格な審査基準は適用されないものと解すべきことは,既に述べたとおりであり,著しく性的感情を刺激し,又は著しく残忍性を助長する内容の図書類が,一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に好ましくない影響を及ぼし,性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものであって,青少年の健全な育成にとって有害であることについての社会共通の認識があれば足りるものと解するのが相当である。 証拠(乙21)及び弁論の全趣旨によると,当時の総務庁青少年対策本部が平成10年9月に委託調査機関を通じて実施した調査報告によれば,保護者が考えている青少年の犯罪ないし非行の主な原因としては,「テレビ,新聞,雑誌などのマスコミの影響があるから」が最も多く挙げられていること,少年を非行に駆り立てる悪い社会的環境としては,約36パーセントの者がポルノ雑誌,アダルトビデオなどの自動販売機を,約11パーセントの者がインターネットのアダルト番組を挙げていることが認められ,これらの事実に照らしても,著しく性的感情を刺激する内容の図書類が,上記のとおり青少年の健全な育成にとって有害であり,とりわけ,著しく性的感情を刺激する内容の情報がCD-ROM等の電磁的方法による記録媒体に記録されている場合には,その写実性等に照らし,一般の図書類に比べ,青少年の健全な育成にとってより有害であるとの社会共通の認識があるということができる。 b これに対し る記録媒体に記録されている場合には,その写実性等に照らし,一般の図書類に比べ,青少年の健全な育成にとってより有害であるとの社会共通の認識があるということができる。 b これに対し,甲22及び31(A教授の論稿,A意見書)には,性非行少年が非行の原因として「アダルトビデオを模倣した。」というのは,少年らが責任の軽減を図ってする「弁解」である可能性が高い,青少年が接触する性情報・性表現の量と,性非行や現実の性行動とは逆比例するとの事実が観察される等の記述があることが認められるが,かかる記述の存在をもってしても,上記aのような社会共通の認識が存することを否定するものとはいえない。 c 以上のとおり,都青少年条例8条1項,9条の規定の制定目的について,立法の前提となる事実が欠けているということはできないから,原告の主張は理由がない。 ウしたがって,原告の憲法21条1項(より制限的でない他の選び得る手段のテスト等)違反の主張は,いずれも理由がない。 (3) 憲法31条(構成要件の明確性)関係の主張についてアa 都青少年条例の規定をみると,同条例8条1項1号は,不健全な図書類として指定する要件として,「その内容が,青少年に対し,著しく性的感情を刺激し,またははなはだしく残虐性を助長し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」と規定しているが,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある図書類を規制の対象としようとする場合,その要件の一部に,ある程度の抽象的・評価的な概念を含む文言を使用することは避けられないものであり,これらが含まれているからといって,上記の条例の文言自体が必ずしも不明確で漠然としているとまではいえない。 b そして,証拠(甲5,乙22) 言を使用することは避けられないものであり,これらが含まれているからといって,上記の条例の文言自体が必ずしも不明確で漠然としているとまではいえない。 b そして,証拠(甲5,乙22)及び弁論の全趣旨によると,上記規定の具体的運用となる基準として,第2,1(2)のとおり,その認定基準を相当程度に具体的事実に即して定めた都認定基準が設けられており,都認定基準は,「東京都青少年健全育成関連条例の解説」(東京都生活文化局女性青少年部青少年課編集,平成12年3月31日発行)に登載されており,同冊子は東京都及び区市町村の公立図書館に所蔵され,一般に公開されていることが認められる。 c さらに,都青少年条例においては,販売業者等が不健全な図書類の指定に違反して当該指定図書類を販売等した場合にも,直ちに刑事罰が科せられるわけではなく,関係公務員の警告を受けたにもかかわらず,なお違反行為を継続した場合に刑事罰が科せられる仕組みとなっており,不健全な図書類の指定と刑事罰の適用との間には警告の手続が介在されている。 イ上記アの各点を総合的にみると,都青少年条例8条1項1号の規定が漠然かつ不明確であって,憲法31条に違反するとまでいうことはできないというべきである。 ウしたがって,この点に関する原告の主張は理由がない。 (4) 憲法14条関係の主張についてア原告は,都青少年条例の不健全な図書類に対する規制は,他の道府県の規制に比して,漠然かつ不明確であり,大きな萎縮効果を生じさせるものであるから,憲法14条1項に違反する旨主張する。 しかし,規制文言の漠然かつ不明確性が,他の道府県の規制との比較の観点から憲法14条1項違反の問題を生じ得るものであるか否かはともかく,都 ら,憲法14条1項に違反する旨主張する。 しかし,規制文言の漠然かつ不明確性が,他の道府県の規制との比較の観点から憲法14条1項違反の問題を生じ得るものであるか否かはともかく,都青少年条例の規制文言が,他の道府県の条例に比べて,より漠然かつ不明確で,大きな萎縮効果を生じさせるものであることを認めるに足りる証拠はない。 むしろ,上記(2)アb(c)ⅰのとおり,分量的基準により包括的に有害ないし不健全な図書類を定めている条例においても,知事による個別指定の途を残しており,しかも,同所掲記の証拠によれば,その個別指定の要件も,都青少年条例8条1項1号とほとんど同じであることが認められる。 イ原告は,都青少年条例による規制対象や各地域の実情等に照らすと,有害ないし不健全な図書類の規制が各地域によって異なるのは不合理である旨主張するが,都青少年条例による規制が,同種の規制を定めている他の道府県の条例と比較して,より漠然かつ不明確で,大きな萎縮効果を生じさせるものであること認められないことは,上記アのとおりである。 また,この点をおくとしても,憲法が各地方公共団体の条例制定権を認めている以上,地域によって規制の内容にある程度の差異を生ずることは,憲法自体が容認するところであると解するのが相当であり,原告の主張する諸事情を考慮したとしても,都青少年条例による規制が憲法14条1項に違反するとは解されない。 なお,原告の指摘する取次会社やコンビニエンスストアの扱いは,取次会社等の自主規制ないし自主的判断による事実上のものであって,不健全な図書類の指定の効果ではないから,この点を取り上げて,都青少年条例の規制が地方の実情に即していないとか,他の道府県の規制との平等性を欠くと論じ 規制ないし自主的判断による事実上のものであって,不健全な図書類の指定の効果ではないから,この点を取り上げて,都青少年条例の規制が地方の実情に即していないとか,他の道府県の規制との平等性を欠くと論じるのは相当とはいえない。 ウしたがって,都青少年条例による規制が憲法14条1項に違反するということはできないから,原告の主張は理由がない。 3 争点3について(1) 本件各図書の都青少年条例8条1項該当性についてアa 本件図書1について証拠(甲2の1,甲41,49,53,乙15,25,29)によると,本件図書1に付属するDVD及びCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表1の1及び2の○印を付したものには,いずれも,第2,3の被告の主張(3)アb(a)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書1もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 b 本件図書2について証拠(甲2の2,甲42,50,乙16,26)によると,本件図書2に付属するDVD及びCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表2の1及び2の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(b)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これ ることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書2もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 c 本件図書3について証拠(甲3の1,甲43,乙17)によると,本件図書3に付属するCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表3の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(c)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書3もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 d 本件図書4について証拠(甲3の2,甲45,51,乙18,27)によると,本件図書4に付属するDVD及びCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表4の1及び2の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(d)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書4もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 e 本件図書5について証拠(甲2の3,甲45,54,乙19,30)によると,本件図 本件図書4もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 e 本件図書5について証拠(甲2の3,甲45,54,乙19,30)によると,本件図書5に付属するCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表5の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(e)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書5もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 f 本件図書6について証拠(甲3の3,甲46,55,乙20,31)によると,本件図書6に付属するCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表6の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(f)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書6もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 g 本件図書7について証拠(甲2の4,甲47,56,乙23,32)によると,本件図書7に付属するCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表7の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(g)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 CD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表7の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(g)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書7もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 h 本件図書8について証拠(甲3の4,甲48,52,57,乙24,28,33)によると,本件図書8に付属するDVD及びCD-ROMに収録されているコンテンツのうち,別表8の1及び2の○印を付したものには,いずれも,上記被告の主張(3)アb(h)ⅱ記載の内容の男女の性交等の場面が映し出されていることが認められる。 そして,これらの内容はいずれも,都青少年条例8条1項1号にいう「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるから,これらを含む本件図書8もまた,同項の規定する不健全な図書類に該当するというべきである。 イなお,原告は,都青少年条例8条1項の該当性判断においても,分量的基準によるべきである旨主張するが,分量的基準を採用していない同項が憲法21条1項に違反するものでないことは,上記2(2)アのとおりであるから,上記主張は採用できない。 また,本件各図書には,青少年の健全な育成を阻害するおそれのないパソコンに関する情報等も含まれているものではあるが,上記アのとおり,本件各図書に添付されたDVDないしCD-ROMに収録されているコンテンツには,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健 おそれのないパソコンに関する情報等も含まれているものではあるが,上記アのとおり,本件各図書に添付されたDVDないしCD-ROMに収録されているコンテンツには,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」と認められるコンテンツが多数含まれており,その合計時間は相当長くなっていることに照らすと,これらのDVDないしCD-ROMと一体となっている本件各図書全体が不健全な図書類に当たるというべきである。 ウしたがって,本件各図書は,いずれも都青少年条例8条1項1号の規定する不健全な図書類に該当するものということができる。 (2) 都青少年条例15条1項違反の有無についてア原告は,都審議会の審議は形骸化しており,都の担当者の恣意的かつ独善的な提案を追認するためのものにすぎなくなっている旨主張する。 a 原告は,その理由として,平成12年1月20日(第476回)から平成12年9月21日(第486回)までの11回の都審議会において,都の担当者が用意してきた候補図書等すべてについて,すべての審議委員が例外なく賛成していることを挙げる。 しかし,都の担当者は,予め調査した図書類について,本件自主規制団体との間で打合せ会を行い,その意見を聞いたうえで都審議会に諮問しているものであり,このような事前の絞り込みがされていることに照らすと,上記のような事実があったからといって,これにより直ちに都審議会の審議が形骸化しているなどということはできない。 むしろ,証拠(甲8の1及び4,甲25,乙43,証人鵜沢)によると,本件各図書が諮問されたそれぞれの都審議会においても,都の担当者の説明に対して,委員から種々の質問が出たり,様々な意見交換がされていること,都 拠(甲8の1及び4,甲25,乙43,証人鵜沢)によると,本件各図書が諮問されたそれぞれの都審議会においても,都の担当者の説明に対して,委員から種々の質問が出たり,様々な意見交換がされていること,都の担当者は,打合せ会において不健全な図書類に指定することに反対意見が出たことも紹介したうえ,なぜ都審議会に諮問したかという理由についても説明していることが,それぞれ認められる。 これらの審議会の状況に照らすと,審議が形骸化しているとか,都審議会が都の担当者の判断を単に追認するだけの無意味なものとなっていると認めることはできない。 b 原告は,不健全な図書類の指定制度が都の担当者によって恣意的かつ独善的に運用されていることの根拠として,「DOS/VUSER」と「遊ぶインターネット」は,同様の編集方針のもとに長期にわたって出版販売してきたにもかかわらず,突然,不健全な図書類の指定を受けたことを挙げるが,そのことだけから,直ちに都の担当者による運用が恣意的であるということはできない。 また,原告は,「ウインドウズ・パワー」及び「Windows100%」について,被告がこれらの雑誌の発行会社に対し,従前のままでは不健全な図書類の指定を受ける旨の情報を事前に提供していた旨主張し,証人大串はこれに沿う供述をするほか,「テックジャイアン」についても同様のことがあった旨供述する(甲11及び27にも同趣旨の記載がある。)。しかし,これらの供述は,伝聞ないし推測にすぎないうえ,反対趣旨の証人鵜沢の供述や,「ウインドウズ・パワー」については,その後の平成14年1月30日付け及び同年2月27日付けの各東京都公報によって,不健全な図書類に指定されていること(乙37,38,証人大串)に照らしても,これを信用すること ズ・パワー」については,その後の平成14年1月30日付け及び同年2月27日付けの各東京都公報によって,不健全な図書類に指定されていること(乙37,38,証人大串)に照らしても,これを信用することはできない。 他に上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 c 以上のとおりであるから,原告の主張は理由がない。 イ原告は,都審議会の意見はCD-ROMないしDVDに収録されている個別のコンテンツに対する意見でなければならないから,都審議会で視聴していないコンテンツについて,被告は都青少年条例8条1項に該当すると主張することは許されない旨主張する。 a しかし,都審議会の運営については,都青少年条例24条が定足数及び表決数を定め,都審議会運営要領3(1)が,図書類についての審議方法として,「指定することが適当と考えられる図書類があったときは,当該図書類を審議会の当日提出して,委員の意見によって決定する。」旨を,同運営要領4が,会議の公開についての定めを設けている(同運営要領「会議」細則においても,会議の公開について定められている。)ほかは,格別の規定はない。そうであるとすると,意見を求められた図書類について,どの程度視聴し,審議すべきかは,都審議会の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。 そして,証拠(甲8の1及び4,甲25,乙43,証人鵜沢)によると,本件各図書が諮問されたそれぞれの都審議会においては,限られた時間内に,相当多数の図書類について審議することが予定されていたこと,そのため,CD-ROMないしDVDについては,本件各図書を含め諮問された各図書類に付属するCD-ROM等の中から,代表的なコンテンツを視聴し,視聴したコンテンツ以外にも同様 とが予定されていたこと,そのため,CD-ROMないしDVDについては,本件各図書を含め諮問された各図書類に付属するCD-ROM等の中から,代表的なコンテンツを視聴し,視聴したコンテンツ以外にも同様のコンテンツが当該CD-ROM等に収録されている旨の説明がされたうえで,意見交換がされたことが,それぞれ認められる。 このような運営方法は,都審議会の合理的な裁量の範囲内ということができるから,問題となる個別のコンテンツすべてについて視聴していなかったとしても,不適当であるとか違法であるなどということはできないし,また,都審議会は,実際に視聴しなかったコンテンツの存在をも踏まえたうえで意見を述べたものということができる。 b また,都青少年条例8条1項は図書類を単位として不健全な図書類の指定をする建前をとっていることからすると,都審議会の意見も図書類ごとに聞けば足りるのであって,各図書類に付属するCD-ROM等に収録された問題となる個々のコンテンツすべてについて,個々的に意見を聞くことまでは要求されていないと解するのが相当である。 c 以上のとおりであるから,原告の上記主張は理由がない。 ウしたがって,本件各指定に当たり都青少年条例15条1項違反があった旨の原告の主張は理由がない。 4 争点4について原告は,本件各指定は,不利益処分をしようとする場合には,行政庁は当該不利益処分の名あて人となるべき者について,意見陳述のための手続を執らなければならないとの都行政手続条例13条の規定が履践されていないから違法であると主張する。 しかし,前記1記載のとおり,都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定は,当該図書類を対象として行われるいわば対物的な処分であって 規定が履践されていないから違法であると主張する。 しかし,前記1記載のとおり,都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定は,当該図書類を対象として行われるいわば対物的な処分であって,特定の個人又は団体を名あて人として行われるものではないと解すべきであるから,本件各指定がいずれも原告を名あて人としてされたものであることを前提として,都行政手続条例13条違反をいう原告の上記主張は,その前提において誤りがあるといわざるを得ない。 したがって,この点に関する原告の主張は理由がない。 5 争点5について(1) 原告は,都青少年条例8条2項は,同条1項の指定をする場合には,指定の理由をも告示すべき旨を定め,また,都行政手続条例14条は,不利益処分をする場合には,その理由を提示すべきことを定めているにもかかわらず,本件各指定は,理由の提示を欠いているから,取り消されるべきであると主張する。 (2) しかし,都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定は,当該図書類を対象として行われるいわば対物的な処分であって,特定の個人又は団体を名あて人として行われるものではないと解すべきであるから,本件各指定がいずれも原告を名あて人としてされたものであることを前提として,都行政手続条例14条違反をいう原告の上記主張は,前記4において述べたところと同様に,その前提において誤りがあり,この点に関する原告の主張は理由がない。 (3) また,前記のとおり,都青少年条例8条2項は,同条1項の指定をする場合には,「指定するものの名称,指定の理由その他必要な事項」を告示すべき旨を定めている。 そして,証拠(乙3,6,9,12)によると,本件各図書については,いずれも,東京都公報による告示において,指定理由とし 名称,指定の理由その他必要な事項」を告示すべき旨を定めている。 そして,証拠(乙3,6,9,12)によると,本件各図書については,いずれも,東京都公報による告示において,指定理由として,「著しく性的感情を刺激し,青少年の健全な成長を阻害するおそれがある。」旨の記載がされていたことが認められる。 これらの記載内容は,都青少年条例8条1項1号の規定の文言の一部とほぼ同じであるが,その記載内容から,本件各図書が同条例8条1項1号のいずれの部分に該当するものとして指定されたものであるかが明らかにされており,本件各指定がいわば対物的な処分であって,その方法も処分の名あて人など特定人を対象とするものではなく告示の方法によってされることが予定されていることからすれば,同条2項所定の「指定の理由」の告示は,上記の程度に処分の理由が明らかにされることをもって足りるものと解される。 (4) したがって,これらの点に関する原告の主張は理由がない。 6 争点6について(1) 原告は,本件各指定は,指定された本件各図書を青少年に販売する等の機会を奪うばかりでなく,「DOS/VUSER」及び「遊ぶインターネット」の各雑誌そのものを,流通市場から排除する目的でされたものであるから,権限のゆ越ないし権限濫用に当たる旨主張する。 (2)ア本件各指定の際,都の担当者は,出版倫理協議会の自主規制があり,そのため,特定の図書類が都青少年条例8条の規定による不健全な図書類の指定を連続して3回受けると,当該図書類は事実上流通が困難になることを認識していたことは,上記2(1)イbのとおりである。 しかし,都青少年条例自体が関係業者による自主規制を前提としており,都の担当者が上記自主規制の存在及び内容を認識し になることを認識していたことは,上記2(1)イbのとおりである。 しかし,都青少年条例自体が関係業者による自主規制を前提としており,都の担当者が上記自主規制の存在及び内容を認識しているのは,その職責上当然であることも,前述したとおりであり,これだけで直ちに,本件各指定が青少年の健全な育成を図るという目的(同条例1条)にとどまらず,上記各雑誌を流通市場から排除することを目的としてされたものであると認めることは困難である。 また,被告が単行本を不健全な図書類の指定の調査対象にしていないことと,自主規制の存否とが無関係であることも,同所で述べたとおりである。 イ他に,本件各指定が上記各雑誌を流通市場から排除する目的でされたものであることを認めるに足りる証拠はない。 (3) したがって,原告の権限ゆ越ないし権限濫用の主張は,その前提を欠くものであるから,理由がない。 第4 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却し,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官石井浩裁判官丹羽敦子
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