令和2(ワ)572 上下水道工事承諾請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年10月29日 札幌地方裁判所
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判決文本文3,247 文字)

- 1 -判決主文 1 被告らは,原告に対し,別紙物件目録記載1の土地のうち別紙図面のアイウキアの各点を順次直線で結んだ範囲につき,公共汚水・雨水ます及び給排水装置の設置並びにそ の設置工事のために必要な掘削及び土地使用を承諾せよ。 2 被告有限会社中嶋土地建物及び総和拓財株式会社は,原告に対し,別紙物件目録記載2の土地のうち別紙図面のウエオカキウの各点を順次直線で結んだ範囲につき,給排水装置の設置並びにその設置工事のために必要な掘削及び土 地使用を承諾せよ。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文第1項及び第2項と同旨 第2 当事者の主張 1 請求原因(原告の主張)⑴ 原告は,別紙物件目録記載3の土地(以下「本件土地3」という。)を所有している。 ⑵ 原告が本件土地3に建物を建てるに当たり,隣接する別紙物件目録記載1 の土地(以下「本件土地1」という。)に公共汚水・雨水ます及び給排水装置(上下水道管)を,同目録記載2の土地(以下「本件土地2」という。)に給排水装置(上下水道管)を,それぞれ工事により設置する必要がある。 その設置に必要な土地の範囲は,別紙図面のアイウエオカキアの各点を順次直線で結んだ範囲である。 ⑶ 被告らは本件土地1を所有し,被告有限会社中嶋土地建物(以下「被告中- 2 -嶋土地建物」という。)及び被告総和拓財株式会社(以下「被告総和拓財」という。)は本件土地2を所有している。 ⑷ よって,原告は,下水道法11条1項及び3項,隣地使用の権利に基づき,①被告らに対し,本件土地1のうち別紙図面のアイウキアの各点を順次直線で結んだ範囲につき,②被告中嶋土地建物及び被告総和拓財に対し,本件土 地2のうち別紙図面のウ 3項,隣地使用の権利に基づき,①被告らに対し,本件土地1のうち別紙図面のアイウキアの各点を順次直線で結んだ範囲につき,②被告中嶋土地建物及び被告総和拓財に対し,本件土 地2のうち別紙図面のウエオカキウの各点を順次直線で結んだ範囲につき,次のことを求める。 ア下水道法11条1項に基づき,本件土地1の上記範囲への公共汚水・雨水ます及び排水装置の設置,本件土地2の上記範囲への排水装置の設置の各承諾 イ下水道法11条3項に基づき,上記アの設置工事のために必要な掘削及び土地使用の承諾ウ隣地使用の権利に基づき,本件土地1及び2の上記範囲への給水装置の設置の承諾並びにその設置工事のために必要な掘削及び土地使用の承諾 2 請求原因に対する認否等(被告らの主張,応訴態度) ⑴ 被告A上記被告は,本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しない。 ⑵ 被告B 及び被告C請求原因⑴~⑶は認める。 ⑶ 被告中嶋土地建物請求原因⑴及び⑶は認め,同⑵は知らない。 ⑷ 被告総和拓財上記被告は,公示送達による呼出しを受けたが,本件口頭弁論期日に出頭しない。 第3 当裁判所の判断- 3 - 1 隣接地に給排水設備を設置する権利及びその発生要件⑴ 下水道法11条1項は,下水道の整備により都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与することなどの目的(下水道法1条)を達成する必要があることから,建築物の所有者等に対して下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管その他の排水設備を設置する義務を負わせたこと(同法10条 1項)を受けて,そうした義務を負う者が,①他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは,②他人の土地又は排水設 する義務を負わせたこと(同法10条 1項)を受けて,そうした義務を負う者が,①他人の土地又は排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは,②他人の土地又は排水設備にとって最も損害の少ない場所又は箇所及び方法により,他人の土地に排水設備を設置し,又は他人の設置した排水設備を使用することができる旨を,同条3項は,③当該排水設備の設置等をするためやむ を得ない必要があるときは,他人の土地を使用することができる旨を規定している。同条1項及び3項は,民法220条及び221条の特則であると解される。 ⑵ 上水道の給水設備については,上記⑴に係る明文の規定を欠いている。しかし,民法220条及び221条は,低地に対する排水や通水に必要な場合 の他人の土地の工作物を利用する権利を認めていて,上下水を問わず,通水の必要に応じて他人の土地を利用し得る趣旨を見出すことができる。加えて,上水道の給水は,衛生的で快適な居住環境を確保する上で不可欠な利益に属するもので,宅地利用の重要な部分を占めるのであり,給水設備を設置する必要性が大きい。また,水道の整備は公衆衛生の向上を図る目的のものとい える(水道法1条)ところ,こうした目的は,下水道の整備の目的(下水道法1条)と同一である。 そうすると,同じ目的を有し,その通水のための設備を整備する必要性が高い上水道について,下水道法11条1項を類推適用して,他人の土地に給水設備を設置することができ,また,同条3項を類推適用して,他人の土地 を使用することができると解するのが相当である。 - 4 -そして,こうした権利には,当該他人の土地の所有者に対し,設備の設置や使用の承諾を求める権利が含まれると解される。 2 各請求の当否⑴ 被告A,被告B 解するのが相当である。 - 4 -そして,こうした権利には,当該他人の土地の所有者に対し,設備の設置や使用の承諾を求める権利が含まれると解される。 2 各請求の当否⑴ 被告A,被告B 及び被告C との関係について被告A は,前記第2の2⑴の訴訟態度であるから,上記被告は,請求原因 ⑴~⑶の事実を争うことを明らかにしないものと認め,これを自白したものとみなす。 被告B 及び被告C と原告との間では,請求原因⑴~⑶の事実は争いがない。 したがって,上記各被告との関係で,前記1の①~③の各要件を満たす。 ⑵ 被告中嶋土地建物との関係についてア原告と上記被告の間で,請求原因⑴及び⑶の事実は争いがない。 イ請求原因⑵について検討する。 証拠(甲3,4)によれば認められる本件土地3と本件土地1及び2,その周辺土地,道路の位置関係に照らすと,本件土地3には,本件土地1 及び2に給排水設備(上下水道管),公共汚水・雨水ますといった給排水設備を設置しなければ上下水道を通水し得ないといえる。また,上記の給排水設備の工事を行うには,その設置場所に人が立ち入る必要があると考えられる。 そして,給排水管及びその設置工事の規模に鑑みると,その設置のため に必要な掘削の範囲,立入りその他の使用の範囲は,別紙図面のアイウエオカキアの各点を順次直線で結んだ範囲であると認められる。 そうすると,請求原因⑵の必要性があると認められる。 ウしたがって,上記被告との関係で,前記1の①~③の各要件を満たす。 ⑶ 被告総和拓財との関係について 証拠(甲3)及び弁論の全趣旨(添付書類参照)によれば,請求原因⑴及- 5 -び⑶の各事実が認められ,また,上記⑵において認定判断したとおり,請求原因⑵の必要 和拓財との関係について 証拠(甲3)及び弁論の全趣旨(添付書類参照)によれば,請求原因⑴及- 5 -び⑶の各事実が認められ,また,上記⑵において認定判断したとおり,請求原因⑵の必要性があると認められる。 したがって,上記被告との関係で,前記1の①~③の各要件を満たす。 3 結論よって,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとし,訴 訟費用については,事案に鑑み,民事訴訟法62条を適用して原告に負担させることとして,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第5部 裁判官萩原孝基

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