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主文 一原告の請求を棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。事実及び理由 第一請求被告が、平成一〇年三月三〇日付けで原告に対してした在留資格変更を許可しない旨の処分を取り消す。第二事案の概要本件は、出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)別表第一の「留学」の資格で本邦に在留していた外国人である原告が、被告に対し、同表の「技術」への在留資格の変更許可を申請したところ、被告から、右申請を不許可とされたことから、右不許可処分の取消しを求めた事案である。一在留資格変更に係る関係法令の概要 1 在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格の変更を受けることができ(法二〇条一項)、在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続により、被告に対し在留資格の変更を申請しなければならない(同条二項)。2 右申請があった場合には、被告は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる(同条三項)。在留資格は、法別表第一及び第二の上欄に掲げるとおりであり、別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者は、当該在留資格に応じ、本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができる(法二条の二第二項)。3 在留資格のうち「技術」の在留資格をもって在留する者は、本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動を行うことができる(法別表第一の二)。二前提となる事実次の各事実は当事者間に争いがない。1 原告の来日及び在留の経緯(一) 原告は、昭和四五年(一九七〇年)六月二七日、中華人民共和国(以下「中国」という。)において出生し、同国の国籍を有する外国人であ の各事実は当事者間に争いがない。1 原告の来日及び在留の経緯(一) 原告は、昭和四五年(一九七〇年)六月二七日、中華人民共和国(以下「中国」という。 を行うことができる(法別表第一の二)。二前提となる事実次の各事実は当事者間に争いがない。1 原告の来日及び在留の経緯(一) 原告は、昭和四五年(一九七〇年)六月二七日、中華人民共和国(以下「中国」という。)において出生し、同国の国籍を有する外国人であ の各事実は当事者間に争いがない。1 原告の来日及び在留の経緯(一) 原告は、昭和四五年(一九七〇年)六月二七日、中華人民共和国(以下「中国」という。)において出生し、同国の国籍を有する外国人である。(二) 原告は、平成四年七月二日、仙台入国管理局(以下「仙台入管」という。)において、仙台市α四番一八号所在の東北外国語専門学校を通じて、同校で日本語を勉強して日本の大学へ入学したい等との理由で在留資格認定証明書の交付を申請し、同年八月二〇日、被告から法別表第一に定める在留資格「就学」に係る在留資格認定証明書の交付を受けた。(三) 原告は、同年一一月九日、本邦新東京国際空港に到着し、東京入国管理局(以下「東京入管」という。)成田支局入国審査官から、在留資格「就学」及び在留期間六月を付与されて、本邦に上陸した。(四) 原告は、平成五年四月二三日及び同年一一月九日の各日に、仙台入管において、在留期間更新許可申請を行い、各同日、それぞれ在留期間を六月とする更新許可を受けた。(五) 原告は、平成六年四月二〇日、仙台入管において、東北大学教育学部の研究生となったため、続けて専門の勉強をしたいとして、就学の在留資格から、留学の在留資格への在留資格変更許可申請を行い、同月二七日、在留資格を「留学」、在留期間を一年とする在留資格の変更許可を受けた。(六) 原告は、平成七年四月一四日、平成八年四月二六日及び平成九年四月一六日の各日に、仙台入管において、在留期間更新許可申請を行い、それぞれ、平成七年六月一六日、平成八年六月一九日及び平成九年五月七日の各日に、在留期間を一年とする更新許可を受けた。2 本件不許可処分に至る経緯(一) 原告は、平成一〇年一月六日、千葉市美浜区長に対し、仙台市β一〇-一五から千葉市γ三-三-一七-三〇六に居住地の変更をしたと 期間を一年とする更新許可を受けた。2 本件不許可処分に至る経緯(一) 原告は、平成一〇年一月六日、千葉市美浜区長に対し、仙台市β一〇-一五から千葉市γ三-三-一七-三〇六に居住地の変更をしたとして、居住地変更登録をした。 る更新許可を受けた。2 本件不許可処分に至る経緯(一) 原告は、平成一〇年一月六日、千葉市美浜区長に対し、仙台市β一〇-一五から千葉市γ三-三-一七-三〇六に居住地の変更をしたと 期間を一年とする更新許可を受けた。2 本件不許可処分に至る経緯(一) 原告は、平成一〇年一月六日、千葉市美浜区長に対し、仙台市β一〇-一五から千葉市γ三-三-一七-三〇六に居住地の変更をしたとして、居住地変更登録をした。(二) 原告は、同月一四日、東京入管において、同年四月一日から東京都品川区δ一三番六号所在のアイエスビー応用システム株式会社(以下「アイエスビー」という。)に就職し、コンピューターソフトウエアのシステムエンジニアとして稼働したいとして、在留資格を「留学」から「技術」へ変更したい旨の変更許可申請(以下「本件申請」という。)をした。(三) 原告は、同年二月一二日、宮城県仙台南警察署に著作権法違反容疑で逮捕され、同年三月四日、著作権者の許諾を受けないでコンピュータープログラムの著作物を複製し、他人に有償で頒布して著作権を侵害したとして、同法違反の罪で仙台地方裁判所に起訴され、さらに、同月二〇日、同様の同法違反の罪で同裁判所に追起訴された(以下、各起訴を併せて「本件起訴」といい、右の各著作権法違反被告事件を「本件刑事事件」という。)。(四) その後、原告は、同月二六日、制限住居を仙台市ε一三二-一所在のa方として保釈された。(五) 被告は、同年三月三〇日、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められないから、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がないと判断して、本件申請を不許可とする処分(以下「本件不許可処分」という。)をした。三在留資格変更許可申請に対する拒否処分が違法となる場合法は、前記のとおり、我が国に在留する外国人の在留資格の変更について、被告がこれを適当と認めるに足りる相当の理由があると判断した場合に限り許可することとしているところ(法二〇条一項、三項)、 る場合法は、前記のとおり、我が国に在留する外国人の在留資格の変更について、被告がこれを適当と認めるに足りる相当の理由があると判断した場合に限り許可することとしているところ(法二〇条一項、三項)、右の相当の理由が具備されているかどうかについては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って、申請者の申請理由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしゃくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならず、このような判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う被告の裁量に任せるのでなければ適切な結果を期待することができないものであるから、右の相当の理由が具備されているかどうかについての被告の裁量権の範囲は広範なものと解すべきである。 当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしゃくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならず、このような判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う被告の裁量に任せるのでなければ適切な結果を期待することができないものであるから、右の相当の理由が具備されているかどうかについての被告の裁量権の範囲は広範なものと解すべきである。したがって、在留資格の変更の許否の判断が裁量権の逸脱又は濫用として違法となるのは、右判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限られると解すべきである。(在留資格変更許可申請に対する拒否処分が違法となるのは右のような場合に限られていることについては、本件の当事者間においても、争いがない。)。四争点本件の争点は、本件不許可処分に係る被告の判断に裁量権の逸脱又は濫用がなかったか、具体的には、被告の判断が、全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるか否かである。五当事者双方の主張(原告の主張)被告は、原告が本件刑事事件について起訴されたことから、起訴されるような外国人はすなわち素行が善良でないと決めつけ、右事実とこれに付随する事実をもって、本件不 五当事者双方の主張(原告の主張)被告は、原告が本件刑事事件について起訴されたことから、起訴されるような外国人はすなわち素行が善良でないと決めつけ、右事実とこれに付随する事実をもって、本件不許可処分を行ったものである。しかし、右のような判断に基づいて行われた本件不許可処分は、次のとおり、全く事実の基礎を欠き、また、事実に対する評価も合理性を欠いていることは明白であるから、取り消されるべきである。1 本件起訴を本件不許可処分の判断の基礎とすることについて(一) 原告は、本件刑事事件の公訴事実とされた著作権法違反を犯したことはない。原告は、逮捕に当たった警察官から自白を強制され、また犯罪事実をすべて認めれば東北大学大学院にも入国管理局にも報告しないと約束されるなどの利益誘導を受けたため、捜査段階において、身に覚えがないにもかかわらず、犯行を認める虚偽の供述を行った。しかし、原告は、本件不許可処分を受けて初めて、右警察官の約束が虚偽であったことを悟り、その後はえん罪であることを主張して現在に至っている。 違反を犯したことはない。原告は、逮捕に当たった警察官から自白を強制され、また犯罪事実をすべて認めれば東北大学大学院にも入国管理局にも報告しないと約束されるなどの利益誘導を受けたため、捜査段階において、身に覚えがないにもかかわらず、犯行を認める虚偽の供述を行った。しかし、原告は、本件不許可処分を受けて初めて、右警察官の約束が虚偽であったことを悟り、その後はえん罪であることを主張して現在に至っている。(二) 在留資格変更の許否の判断に当たって、起訴されたことをもって不利益に取り扱うことは、刑事手続における無罪推定の原則(憲法三七条一項参照)を破ることになり、我が国も批准している市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という。)にも反する(憲法九八条二項)。実際、外国人が起訴されたことを理由に在留の権利を奪われるとなると、不法滞在の状態で防御権を行使せざるを得ず、極めて不安定な状態に置かれることになる。場合によっては、刑事被告人に対し、裁判の経過と無関係に、不法滞在を理由として退去強制処分がされることも考えられるが、そうすると、その者が無罪判決を受けてこれが確定したとしても、その後に在留資格を得ることは極めて困 刑事被告人に対し、裁判の経過と無関係に、不法滞在を理由として退去強制処分がされることも考えられるが、そうすると、その者が無罪判決を受けてこれが確定したとしても、その後に在留資格を得ることは極めて困難であり、結局、国の過誤によって在留権を奪われる結果となり、被告人の裁判を受ける権利(憲法三二条)は守られないことになる。したがって、起訴をされたとの一事をもって在留資格の判断の基礎にすることは、社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである。2 その他の理由について(一) 技術者としての適格性について原告は、本国の東北師範大学及び我が国の東北大学大学院でコンピューターによる高度な専門技術を修めたものであり、高度技術者(システムエンジニア)としてアイエスビーに就職が内定していたものである。被告は、原告から提出された東北師範大学の履修証明書によって、原告の技術者としての適格性は審査し、既に了解済みであったから、技術者としての適格性が本件不許可処分の理由になるとは考えられない。(二) 本件申請当時の原告の通勤可能性について原告は、本件不許可処分当時、保釈の際の制限住居が仙台市内のa方であったため、アイエスビーの所在地である東京都品川区に通勤することはできなかったが、それは、逮捕、起訴に基づく状況の変化であって、申請時には、予期できなかったことである。 技術者としての適格性は審査し、既に了解済みであったから、技術者としての適格性が本件不許可処分の理由になるとは考えられない。(二) 本件申請当時の原告の通勤可能性について原告は、本件不許可処分当時、保釈の際の制限住居が仙台市内のa方であったため、アイエスビーの所在地である東京都品川区に通勤することはできなかったが、それは、逮捕、起訴に基づく状況の変化であって、申請時には、予期できなかったことである。また、刑事裁判の行方によっては、原告がアイエスビーに勤務する可能性はあったのであるから、そのことも確かめないままに機械的に通勤可能性を判断したのは明らかに誤りである。(被告の主張) 1 本件不許可処分について被告は、左記の各事実等を総合的に考慮し、原告については、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められないことから、在留資格の変更を適当と 件不許可処分について被告は、左記の各事実等を総合的に考慮し、原告については、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められないことから、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がないと判断したものである。記① 原告は、本件不許可処分当時、著作権者の許諾を受けないでコンピュータープログラムの著作物を複製し、他人に頒布して著作権を侵害したとして起訴されていたのであり、そのような容疑で刑事訴追されている者が我が国においてシステムエンジニアとして稼働するのは好ましくないと思われたこと② 原告は、本件申請まで、東北大学大学院で教育心理学を専攻していたものであり、その内容は、「技術」の在留資格により認められる活動の内容とは著しく関連性の低いものであったこと③ 本件申請に際して、原告の居住地は千葉市γ三-三-一七-三〇六とされており、原告はここから東京都品川区θ所在のアイエスビーまで通勤予定であったと思われるところ、原告の保釈中の制限住居は仙台市ε一三二-一a方となっており、右制限住居からアイエスビーまで通勤することは事実上困難であると認められたこと 2 原告の裁量権の逸脱又は濫用の主張に対する反論(一) 本件起訴を在留に係る申請の許否の判断に考慮することの可否について(1) 原告に対する本件刑事事件については、仙台地方裁判所において、有罪判決が言い渡されており、原告について、システムエンジニアとして活動することを許容すべきでないことは明らかである。 a方となっており、右制限住居からアイエスビーまで通勤することは事実上困難であると認められたこと 2 原告の裁量権の逸脱又は濫用の主張に対する反論(一) 本件起訴を在留に係る申請の許否の判断に考慮することの可否について(1) 原告に対する本件刑事事件については、仙台地方裁判所において、有罪判決が言い渡されており、原告について、システムエンジニアとして活動することを許容すべきでないことは明らかである。(2) 無罪推定の原則は、国の刑罰権の発動の可否が問題とされる刑事手続で採用されているものであるから、この原則が、刑事手続とはおよそ制度目的を異にする出入国管理行政に直ちに適用されると解することはできない。有罪判決確定前に行われた在留に 可否が問題とされる刑事手続で採用されているものであるから、この原則が、刑事手続とはおよそ制度目的を異にする出入国管理行政に直ちに適用されると解することはできない。有罪判決確定前に行われた在留に係る申請の許否の判断に際し、申請者である外国人の行状を判断するについては、刑事手続における起訴事実は、判決が確定していなくても、判断の重要な資料となるのは当然であり、刑事手続における無罪推定の原則が、在留に係る申請の許否の判断においてこのような事実を考慮しないという原則まで含むとする根拠はない。(3) また、原告は、起訴されたことを理由に在留の権利を奪われると、裁判の経過と無関係に不法滞在を理由に退去強制処分をされることも考えられ、そうなると被告人の裁判を受ける権利は守られないことになると主張するが、在留資格変更手続と退去強制手続は別個の手続であるから、右の原告の主張は、将来予想される行政処分を危倶するものに過ぎず、それ自体失当であるし、刑事訴追されている外国人について、判決が確定する前に退去強制処分がなされたとしても、それによって直ちに被告人の裁判を受ける権利が侵害されるものでもない。(二) 勤務地及び原告居住地について原告は、刑事裁判をきちんと争いたいとして、仙台市内に指定された制限住居以外の場所に保釈の制限住居を変更する意思を有していなかった。そして、本件不許可処分時において、原告の保釈中の制限住居が、原告がアイエスビーまで通勤することが事実上困難とみられる仙台市内に所在する住居であったことから、原告がアイエスピーにおいて稼働することは困難であると認めたのであり、現に原告は東京での就職を延期せざるを得なくなっている。 刑事裁判をきちんと争いたいとして、仙台市内に指定された制限住居以外の場所に保釈の制限住居を変更する意思を有していなかった。そして、本件不許可処分時において、原告の保釈中の制限住居が、原告がアイエスビーまで通勤することが事実上困難とみられる仙台市内に所在する住居であったことから、原告がアイエスピーにおいて稼働することは困難であると認めたのであり、現に原告は東京での就職を延期せざるを得なくなっている。このような事情を、被告が本件不許可処分において、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われる 難であると認めたのであり、現に原告は東京での就職を延期せざるを得なくなっている。このような事情を、被告が本件不許可処分において、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるか否かを判断する際、消極的な一要素として考慮したとしても、当該判断は事実の基礎を欠くものとはいえないし、事実に対する評価が明白に合理性を欠くものともいえない。(三) したがって、原告が、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動を行える状況になかったことは、明らかであり、原告の素行や活動の安定性・継続性に重大な問題点が認められることからすれば、原告が、中国の大学においてコンピュータープログラミングに関する単位を修得しているとしても、これによって被告の前記判断が合理性を欠くということはない。第三当裁判所の判断一被告が在留資格の変更の許否の判断について広範な裁量権を有していることは前記のとおりであるところ、被告は、本件申請について、前記「被告の主張」1記載の①ないし③の各事実等を総合的に考慮し、原告については、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められないことから、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がないと判断したものであると主張する。そこで、以下、本件申請に対する被告の右の判断が原告の主張するように事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くものであるか否かを検討することとする。二証拠(甲二、同八、同一〇、同一三、同一四、乙二、同三、同一、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。1(一) 原告は、平成元年(一九八九年)、本国の東北師範大学マルチメディア教育学部に入学し、平成四年(一九九二年)一一月、必要な単位を修得して、同大学を卒業したが、その が原告の主張するように事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くものであるか否かを検討することとする。二証拠(甲二、同八、同一〇、同一三、同一四、乙二、同三、同一、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。1(一) 原告は、平成元年(一九八九年)、本国の東北師範大学マルチメディア教育学部に入学し、平成四年(一九九二年)一一月、必要な単位を修得して、同大学を卒業したが、その 、以下の事実が認められる。1(一) 原告は、平成元年(一九八九年)、本国の東北師範大学マルチメディア教育学部に入学し、平成四年(一九九二年)一一月、必要な単位を修得して、同大学を卒業したが、その中には、ビジュアル技術関係とコンピューターソフトウエア関係の単位の履修が含まれていた。原告が、同大学で専攻したマルチメディア教育は、最新のマルチメディア技術にコンピューター技術を活かして、より効果的なパソコン教材やビデオ教材の作成を研究する学問であり、同大学においては理科系科目と扱われている。(二) 原告は、我が国の東北大学大学院において専門分野の研究をさらに進めるため、平成四年一一月、我が国に入国し、仙台市所在の東北外国語専門学校に入学して日本語を学び、平成六年三月に同校を卒業した後、同年四月、東北大学教育学部に研究生として入学し、平成七年四月、同大学大学院教育学研究科博士前期課程に入学して、教育心理学を専攻した。その後、原告は、平成九年には修士号を取得して、同年四月、同研究科博士後期課程に進学した。原告が東北大学において専攻したテーマであるマルチメディア教育の研究は、情報の分析にコンピューターを活用することはあるものの、あくまで教育学的な面からの研究であり、同人が、同大学大学院教育学研究科博士前期課程を卒業し、修士号を取得するに際して作成した修士論文「前置質問によるビデオ教材の学習効果についての研究」は、ビジュアル教材の視聴前に学習者に対して質問を与えた場合、そのような質問を与えない場合に比してより高い教育効果が得られるのか否かをテーマとした研究論文であった。2(一) 被告は、前記のとおり、平成一〇年三月四日、著作権法違反の罪で起訴されたが、本件刑事事件に係る公訴事実は、被告人は、他の二名の者と共謀の上、法定の除外事由がなく、 とした研究論文であった。2(一) 被告は、前記のとおり、平成一〇年三月四日、著作権法違反の罪で起訴されたが、本件刑事事件に係る公訴事実は、被告人は、他の二名の者と共謀の上、法定の除外事由がなく、かつ著作権者の許諾を受けないで、平成八年一二月一八日ころ及び同月二五日の前後二回ころ、仙台市ζ内において、アメリカ合衆国マイクロソフトコーポレーションが著作権を有するプログラムの著作物である「マイクロソフト・オフィス・フォー・ウインドウズ九五・バージョン七・〇・プロフェッショナル・エディション」をシーディーアール三枚に複製し、そのころ、同所において、東京都内在住の三名の購入希望者に対し、同シーディーアール三枚を有償で郵送頒布し、もって、右マイクロソフトコーポレーションの著作権を侵害したというものである。 メリカ合衆国マイクロソフトコーポレーションが著作権を有するプログラムの著作物である「マイクロソフト・オフィス・フォー・ウインドウズ九五・バージョン七・〇・プロフェッショナル・エディション」をシーディーアール三枚に複製し、そのころ、同所において、東京都内在住の三名の購入希望者に対し、同シーディーアール三枚を有償で郵送頒布し、もって、右マイクロソフトコーポレーションの著作権を侵害したというものである。(二) 原告は、逮捕、勾留、起訴の各段階においては、自己の無罪を主張することはなく、保釈を得る際にも、同様であったが、本件不許可処分の後である本件刑事事件の第一回公判において、初めて自己の無罪を主張するに至った。(三) しかし、本件刑事事件の第一審裁判所である仙台地方裁判所は、公訴事実を認定し、平成一〇年○月○日、原告に対し、著作権法一一九条一号、一一三条一項二号違反により、懲役一年六月、執行猶予三年の有罪判決を言い渡した。(四) 原告は、右判決を不服として、控訴を提起したが、仙台高等裁判所は、平成一〇年○月○日、原判決を破棄し、懲役一〇月、執行猶予三年とする判決を言い渡した。(五) なお、原告は、本件起訴後、仙台市η所在のa方を制限住居として保釈されたが、その後、裁判所に対して右制限住居の変更を申し立てたことはなかった。3 原告は、平成一〇年初めころ、ビジネスソフトウェアの開発に従事する予定で東京都品川区θ所在のアイエスビーから就職の内定 れたが、その後、裁判所に対して右制限住居の変更を申し立てたことはなかった。3 原告は、平成一〇年初めころ、ビジネスソフトウェアの開発に従事する予定で東京都品川区θ所在のアイエスビーから就職の内定を受けたため、在留資格「技術」を取得した上で同社に就職し、コンピューターソフトウエアのシステムエンジニアとして稼働しようと考え、本件申請を行うこととしたものである。三1 右の認定事実及び前記争いのない事実によれば、本件不許可処分当時、原告が、著作権法違反の罪を犯したとして仙台地方裁判所に刑事訴追されていたこと、原告が、本件申請まで、東北大学大学院で教育心理学を専攻していたこと、原告は、本件刑事事件において逮捕勾留され、その後保釈されたが、その制限住居は、仙台市ε一三二-一a方と定められていたことは、いずれも客観的事実に符合しているということができる。 である。三1 右の認定事実及び前記争いのない事実によれば、本件不許可処分当時、原告が、著作権法違反の罪を犯したとして仙台地方裁判所に刑事訴追されていたこと、原告が、本件申請まで、東北大学大学院で教育心理学を専攻していたこと、原告は、本件刑事事件において逮捕勾留され、その後保釈されたが、その制限住居は、仙台市ε一三二-一a方と定められていたことは、いずれも客観的事実に符合しているということができる。2(一) そして、原告は、我が国の企業において、コンピューターソフトウエアのシステムエンジニアとして稼働することを目的として本件申請に及んだものであるところ、右刑事訴追を受けた内容は、コンピューターソフトウエアを著作権者に無断で複製及び頒布したという著作権法違反の事実であるから、被告が、現にそのような公訴事実で刑事訴追されている者に対して、在留資格を変更して我が国においてシステムエンジニアとして稼働できる在留資格を新たに付与することは好ましくないと判断したことが不合理であるとは認められない。この点について、原告は、在留資格変更の許否の判断に当たって、原告が起訴されたとの一事をもって不利益に扱うことは憲法ないしB規約によって外国人にも保障されている無罪推定の原則に反すると主張する。しかし、無罪推定の原則は、国の刑罰権の発動を前提とする刑事手続に妥当するものであって、制度目的を異にする在留資 憲法ないしB規約によって外国人にも保障されている無罪推定の原則に反すると主張する。しかし、無罪推定の原則は、国の刑罰権の発動を前提とする刑事手続に妥当するものであって、制度目的を異にする在留資格変更許否の判断において、起訴されたとの事実を一切考慮してはならないとまで解すべき根拠は存しない。本件においても、被告は、原告に対して本件起訴がされたことから直ちに原告が右公訴事実に係る犯罪を犯したものであるとの事実を認定してこれを本件申請に対する許否の判断の基礎としたものではなく、システムエンジニアとして稼働することを希望して在留資格「技術」への変更を申請している原告が、本件不許可処分当時、コンピューターソフトウエアを著作権者に無断で複製及び頒布したとの内容の著作権法違反の公訴事実で刑事訴追を受けているという客観的事実を右の判断の基礎として考慮したものであると認められ、この点に関する被告の判断が広く諸般の事情を総合的に勘案して行われるべきことからすれば、被告がこのような事実を右判断の基礎としたことが憲法又はB規約に違反する違法なものであると解されない。 いる原告が、本件不許可処分当時、コンピューターソフトウエアを著作権者に無断で複製及び頒布したとの内容の著作権法違反の公訴事実で刑事訴追を受けているという客観的事実を右の判断の基礎として考慮したものであると認められ、この点に関する被告の判断が広く諸般の事情を総合的に勘案して行われるべきことからすれば、被告がこのような事実を右判断の基礎としたことが憲法又はB規約に違反する違法なものであると解されない。(二) また、原告が東北大学大学院教育学研究科後期博士課程において専攻したマルチメディア教育の研究の主たる目的はマルチメディア技術等を利用した教育効果の向上にあり、本件申請の直前までの原告が行っていた活動の内容が、「技術」の資格により原告が従事することとなるコンピューターソフトウエア開発とは必ずしも密接な関連を有していたとまでは認められないから、右の意味において、被告が、この点を、本件申請に対する判断における消極的な事実として評価したことが不合理であるとまではいえない。(三) さらに、原告は、本件不許可処分当時、保釈中で、その制限住居は、仙台市ε一三二-一a方と定められていたため、少なく 判断における消極的な事実として評価したことが不合理であるとまではいえない。(三) さらに、原告は、本件不許可処分当時、保釈中で、その制限住居は、仙台市ε一三二-一a方と定められていたため、少なくとも本件刑事事件の第一審判決が言い渡されるまでは、原告は、右の制限住居から東京都品川区θ所在のアイエスビーへ通勤することは事実上不可能な状態にあり、このような状態が、早期に解消されると見込まれる状況にもなかったことは明らかであるから、被告が、この点を本件申請に対する判断における消極的な事実として評価したことが不合理であるとまではいえない。3 右のとおりであるから、本件不許可処分に当たって被告がその判断の基礎とした各事実については、事実に誤認があるとか、その評価が著しく合理性を欠くとかいえないことは明らかである。したがって、本件においては、原告が東北師範大学在学中にビジュアル技術関係とコンピューターソフトウエア関係の単位を履修していたとの事実を考慮に入れても、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められず、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がないとして原告の本件申請を却下した被告の判断には、それが全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとの事情は存しないから、被告に裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められない。 ーターソフトウエア関係の単位を履修していたとの事実を考慮に入れても、本邦で安定的、継続的に「技術」の在留資格に該当する活動が行われるものとは認められず、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由がないとして原告の本件申請を却下した被告の判断には、それが全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとの事情は存しないから、被告に裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められない。なお、原告は、在留資格の変更が認められなければ、憲法及びB規約により保障されている原告の裁判を受ける権利が侵害されると主張するが、右主張は本件不許可処分とは別個の手続である退去強制手続がとられることによって生じる不利益を前提とした主張であり、本件申請が認められないことによって、直ちに原告の裁判を受ける権利が侵害されることになるとは認められない。四以上の 手続である退去強制手続がとられることによって生じる不利益を前提とした主張であり、本件申請が認められないことによって、直ちに原告の裁判を受ける権利が侵害されることになるとは認められない。四以上の次第であるから、原告の本訴請求には理由がない。よって、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第二部裁判長裁判官市村陽典裁判官阪本勝裁判官村松秀樹
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