平成15(わ)2510 殺人,死体損壊,有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使,窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成17年2月22日 千葉地方裁判所
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判決文本文16,834 文字)

平成17年2月22日平成15年(わ)第2510号等殺人,死体損壊,有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使,窃盗被告事件 主文 被告人を無期懲役に処する。 未決勾留日数中340日をその刑に算入する。 千葉地方検察庁で保管中の金槌1丁及び未成年者の婚姻に関する同意書1通の偽造部分を没収する。 理由 (犯行に至る経緯等)第1 被告人と被害者との関係等 1 被告人は,A(以下「被害者」ともいう)が中学生であったころに同女と顔見知りとなり,その後,平成15年1月ころ,被告人の友人であったBが同女と交際することになったことから,同女と行動を共にすることが多くなった。 被告人と被害者は,同年6月中旬から同年7月下旬までの間,千葉市a区bc丁目所在の市営住宅の一室において,それぞれの交際相手を含めた4名で同居生活を送り,その後,同居生活が解消してからも,交遊を続けていた。 2 被告人は,共通の友人であったBらを介し,C,D,E及びFと知り合った(以下,C,D,E及びFを併せて「共犯者4名」ともいう。)。 平成15年9月ころ,共犯者4名は,共通の友人であったGのアパート(以下「本件アパート」という。)を溜まり場としており,被告人も,本件アパートに毎日のように出入りしていた。 第2 殺人に至る経緯等 1 被告人は,平成15年6月11日,千葉地方裁判所において,詐欺罪・窃盗罪により懲役2年・4年間保護観察付き執行猶予の判決の宣告を受け,釈放された。 被告人は,当時,消費者金融に対する多額の借金を抱えており,新規借入れが困難であったため,当時の甲姓を偽装結婚により別姓に変えて新たな借入れをしようと考え,謝礼金10万円の支払い名下に後記(罪となるべき事実)第3で判示するとおり,同居していた被害者の承諾を得て,同年7月10日,千葉市a区役所d市民セ 結婚により別姓に変えて新たな借入れをしようと考え,謝礼金10万円の支払い名下に後記(罪となるべき事実)第3で判示するとおり,同居していた被害者の承諾を得て,同年7月10日,千葉市a区役所d市民センターに被害者との婚姻届を提出し,直ちに消費者金融から新たな借入れをするなどし,そこから5万円程度を被害者に支払った。 しかし,その後間もなく,被告人は,被害者から,偽装結婚の謝礼金の残額を支払うよう繰り返し求められるようになり,同年8月下旬,これを支払わなければ,場合によっては偽装結婚の事実を警察に通報するかもしれない旨告げられ,同年9月に入ると,謝礼金の支払いとともに戸籍を元に戻すよう強く求められるようになった。このため,被告人は,被害者が警察に通報すれば,執行猶予が取り消され,服役しなければならなくなるかもしれないと危惧し,同月中旬ないし同月下旬,口封じのために被害者を殺害しようと決意した。 2 被告人は,被害者殺害の確実性を考え,C及びDを仲間に引き込むこととした。そこで,被告人は,C及びDが同年8月に老女に対する木刀を使用した強盗致傷事件(以下「本件強盗致傷」という。)を敢行し,後日被告人から,新聞等でこの老女が死亡した旨報道されていたと教えられ,そのとおりの結果が発生したと思い込んでいたことから,これを利用することを考え,同年9月28日夜,本件アパートにおいて,C及びDに対し,被害者が本件強盗致傷の犯人はC及びDであるなどと言い触らしている旨述べて,両名に被害者に対する憤怒の念を焚き付けて煽った上,被害者の殺害を持ち掛けたところ,案の定,C及びDは,これを聞き,被害者に立腹するとともに,口封じのために被告人とともに被害者を殺害しようと決意し,これを承諾した。 被告人は,まず,C及びDがバイクに二人乗りして背後から被害者を襲うことを考 びDは,これを聞き,被害者に立腹するとともに,口封じのために被告人とともに被害者を殺害しようと決意し,これを承諾した。 被告人は,まず,C及びDがバイクに二人乗りして背後から被害者を襲うことを考え,C及びDに対し,バイクを盗むよう指示したが,適当なバイクを確保できなかった。このため,被告人は,計画を変更し,同市a区ef番地g所在のH墓園駐車場(以下「本件墓園駐車場」ともいう。)に被害者を呼び出した上,被害者を殺害することを考え(以下「本件計画」という。),同月29日夜以降,順次,D及びCに対してその旨伝えた。 3 被告人は,電話で被害者と会う約束を取り付けると,同月30日午後11時ころ,本件アパートにおいて,C及びDに対し,本件計画の決行を告げ,その際,Eにも,本件計画に参加するよう持ち掛けた。Cからも本件強盗致傷の口封じのために本件計画を決行すると告げられたEは,C及びDが警察に検挙され,楽しい時間を共有していた仲間との関係が失われることを危惧し,被告人らとともに被害者を殺害することを決意し,これを承諾した。 Fは,その際,Cから本件強盗致傷の口封じのために被害者を襲うので一緒に来るよう持ち掛けられ,これを承諾した。 4 被告人は,同年10月1日午前1時16分ころ,本件アパートにおいて,電話で被害者の仕事が同日午前2時ころに終わるのを確認するなどした上,共犯者4名に対し,本件アパート前に駐車中の普通乗用自動車マークⅡ(以下「マークⅡ」という。)内に移動するよう指示した。 被告人は,マークⅡ内において,共犯者4名に対し,本件計画の実行手順として,共犯者4名が先に本件墓園駐車場に行って待機すること,被告人がマークⅡで被害者を本件墓園駐車場に連れ出し,口実を作って被害者を降車させ,トランク内を覗かせること,まずEが被害者の背後から近付き,被 共犯者4名が先に本件墓園駐車場に行って待機すること,被告人がマークⅡで被害者を本件墓園駐車場に連れ出し,口実を作って被害者を降車させ,トランク内を覗かせること,まずEが被害者の背後から近付き,被害者を引き倒すこと,その後全員で被害者を殴ったり蹴ったりすること等を説明した。 その際,Cは,「俺はこれを使うんだ。」と言い,刃渡り約12.1センチメートルのサバイバルナイフを被告人らに見せ,Fは,この時点で,被告人らが被害者を本気で殺すつもりなのかも知れないと思う一方,被告人らから本件計画について具体的に聞いてしまった以上,自分だけこの計画から抜ける訳にはいかないなどと考え,自分も一緒になってやるしかないと決意した。 被告人らは,その後間もなく本件アパートを出発し,本件計画に従い,被告人はマークⅡで被害者が勤務するパブ方面へ,共犯者4名はC運転の普通乗用自動車ニッサンセドリックで本件墓園駐車場方面へ,それぞれ向かい,共犯者4名は,本件墓園駐車場に到着して待機し,被告人らの到着を待った。 5 被告人は,同日午前2時20分ころ,同市a区hの路上において,仕事を終えた被害者及びその雇主らをマークⅡに乗車させ,同日午前2時30分ころ,雇主らをJRi駅付近で降車させた後,同日午前3時過ぎころ,本件墓園駐車場に到着した。 被告人は,マークⅡを停車し,本件計画に従い,被害者に対して降車してトランク内にあるバッグを探して持ってくるよう指示し,被害者はこれに従った。 しかし,待機していたEが躊躇して被害者を襲う機会を失しているうちに,被害者がマークⅡ内に戻ってしまったため,被告人は,小用を足すと口実を作って降車し,共犯者4名に直接接触して被害者を襲うよう再度指示し,マークⅡ内に戻った。被告人は,被害者に対し,再度トランク内にあるバッグを探して持ってくるよう指示し ,被告人は,小用を足すと口実を作って降車し,共犯者4名に直接接触して被害者を襲うよう再度指示し,マークⅡ内に戻った。被告人は,被害者に対し,再度トランク内にあるバッグを探して持ってくるよう指示し,被害者は,再度降車してトランク内を覗き込んだ。 (罪となるべき事実)被告人は第1 C,D,E及びFと共謀の上,A(当時16歳)を殺害しようと企て,平成15年10月1日午前3時15分ころから同日午前3時30分ころまでの間,千葉市a区ef番地g所在のH墓園駐車場において,同女に対し,Eがその衣服をつかんで引き倒し,被告人及び共犯者4名において,こもごも,その全身を多数回足蹴にし,被告人及びEにおいて,所携の金槌でその頭部・背部を数回殴打し,さらに,被告人,C,D及びEにおいて,同所に置かれていた複数の石材を同女の頭部・顔面等に多数回にわたり投げ付けるなどの暴行を加え,よって,同日午前3時30分ころ,同所において,同女を顔面を含む頭部打撲による脳障害により死亡させて殺害した第2 C,D及びEと共謀の上,同日午前4時20分ころ,同所において,Aの死体全体にライター用オイルをかけた上,ライターで点火してこれを燃焼させ,もって死体を損壊した第3 Aと共謀の上,姓を変えることにより消費者金融等から新たな借入れをする目的で,被告人と同女との婚姻を偽装しようと企て,同年7月上旬,同市a区bc丁目j番k棟l号所在の当時の被告人方において,行使の目的をもって,ほしいままに,未成年である同女の婚姻に同女の両親であるI及びJが同意する旨の内容虚偽の「未成年者の婚姻に関する同意書」の父の戸籍の表示の本籍欄に「千葉県千葉市a区mn-o-p」,筆頭者欄に「I」,住所欄に「千葉市a区bq-r-s-t」などと各記入し,氏名欄に「H」と冒書した上,「乙」と刻した印鑑を冒捺す る同意書」の父の戸籍の表示の本籍欄に「千葉県千葉市a区mn-o-p」,筆頭者欄に「I」,住所欄に「千葉市a区bq-r-s-t」などと各記入し,氏名欄に「H」と冒書した上,「乙」と刻した印鑑を冒捺するとともに,母の戸籍の表示の本籍欄に「同上」,筆頭者欄に「I」,住所欄に「千葉市a区bq-r-s-t」などと各記入し,氏名欄に「J」と冒書した上,「乙」と刻した印鑑を冒捺し,もって上記I及び上記J作成名義の未成年者の婚姻に関する同意書1通を偽造した上,同月10日,同市a区mu所在の同区役所d市民センターにおいて,同センター職員Kに対し,真実は被告人及び上記Aには婚姻の意思がないのに,被告人と同女が婚姻する旨の内容虚偽の婚姻届とともに上記偽造に係る未成年者の婚姻に関する同意書を真正に作成されたもののように装って提出・行使し,そのころ,同センター職員らをして,上記婚姻届等の書類を同市a区v所在の同区役所に転送させ,情を知らない同区役所職員をして,権利又は義務に関する公正証書の原本である上記被害者の戸籍の原本にその旨不実の記載をさせた上,これを即時,同所に備え付けさせて行使した第4 C及びDと共謀の上,同年9月22日午後9時35分ころ,千葉県市原市wx丁目y番地z所在のL店駐車場において,同所に駐車中のM管理に係る普通乗用自動車1台(時価約70万円相当)を窃取したものである。 (事実認定の補足説明)本件殺人について,弁護人は,被告人には被害者を計画的に殺害する動機はなく,被告人が被害者に対する殺意を抱いたのは,Eらによる投石が開始された後であるなどと主張する。 しかし,当裁判所は,犯行に至る経緯等及び罪となるべき事実第1で摘示したとおり,被告人は,平成15年9月中旬ないし同月下旬,被害者に対する確定的殺意を抱き,その後,被害者殺害を計画するとと 張する。 しかし,当裁判所は,犯行に至る経緯等及び罪となるべき事実第1で摘示したとおり,被告人は,平成15年9月中旬ないし同月下旬,被害者に対する確定的殺意を抱き,その後,被害者殺害を計画するとともに,共犯者4名を順次仲間に引き込んだものと認定したので,その理由を以下補足して説明する。 1 関係各証拠によれば,被告人は,本件殺人前,執行猶予期間中であったにもかかわらず,消費者金融から新たな借入れをするため,被害者の両親作成名義の同意書を偽造した上,被害者と偽装結婚したことが認められる。そして,C,D,E及びNの捜査段階及び公判廷における各供述並びにF及び被告人の捜査段階における各供述によれば,① 被告人は,平成15年8月ころから同年9月ころ,被害者から,偽装結婚の謝礼金の支払いとともに,これを支払わなければ,場合によっては偽装結婚の事実を警察に通報するかもしれない旨告げられた上,戸籍を元に戻すよう強く求められており,C及びDに対して被害者襲撃を持ち掛けるに際しても,偽装結婚に関して被害者から訴えられるかもしれない旨打ち明けていること,②被告人は,当初C及びDに対して被害者襲撃を指示するに際し,「生きていたら困る」との理由から,いったん引き返して被害者をめった打ちにするよう話しており,その後計画を変更して共犯者らに対して被害者襲撃を指示するに際しても,同様に極めて危険性が高い方法を伝えていること,③ 被告人は,Eに対して被害者襲撃を持ち掛けるに際し,「殺す」という言葉と「ボコす」という言葉とを明確に区別して使用していること,④ 被告人は,D及びNに対し,事前に遺体の処理方法にも言及していたこと,⑤ 被告人は,被害者襲撃に際し,無抵抗の被害者に対して激しい足蹴りを加えるEらを全く制止することなく,これに同調して足蹴りを加えたり,自ら率 びNに対し,事前に遺体の処理方法にも言及していたこと,⑤ 被告人は,被害者襲撃に際し,無抵抗の被害者に対して激しい足蹴りを加えるEらを全く制止することなく,これに同調して足蹴りを加えたり,自ら率先して被害者の背中付近を金槌で複数回殴打したりした上,躊躇なく被害者に対して投石を繰り返し,最終的に被害者を殺害したことなどが認められる。 上記各事実によれば,被告人は,同月中旬ないし同月下旬,偽装結婚の発覚を免れることを考え,口封じのために被害者に対する確定的殺意を抱き,被害者殺害を計画するとともに,共犯者4名を順次仲間に引き込んだことは明らかである。 上記各証拠が採用するに足りるものといえる理由は次のとおりである。 (1) 共犯者4名の各供述の信用性被告人の一連の言動に関し,共犯者4名が捜査段階において供述する内容は,いずれも具体的かつ詳細であり,迫真性もある上,おおむね符合して相互に信用性を高め合っており,被告人が被害者と偽装結婚していた事実,遺体や犯行現場の状況,発見された凶器などの客観的事実・状況とも符合していること,共犯者4名はいずれも殺意を抱くに至った動機や経緯,殺害行為の具体的態様等について自己に不利益な事実を供述しており,供述態度が真摯であるといえることなどの事情があり,その信用性は高いといえる。 確かに,共犯者4名の捜査段階における各供述は,特に本件墓園駐車場における被告人の暴行態様やその回数について,相互に一致しない部分も見受けられるが,深夜人気のない本件墓園駐車場において,被害者に対して集団で熾烈な暴行を継続的に加えていたという異常な状況の中,共犯者4名がいずれも相当な興奮状態にあったと推察されることや,各人が自己の行為に集中するなどして被告人の行為に注意を払っていない場面も少なからずあったと推察されることなどからすれば, 常な状況の中,共犯者4名がいずれも相当な興奮状態にあったと推察されることや,各人が自己の行為に集中するなどして被告人の行為に注意を払っていない場面も少なからずあったと推察されることなどからすれば,細部において相互に一致しない部分があるのはむしろ自然である上,そのような供述があること自体から,他の共犯者の各供述及び取調官の確認又は質問に影響を受けることなく,各人が自己の記憶に従って供述していることが窺われる。 そして,C,D及びEの各公判廷供述も,捜査段階におけるそれぞれの供述と大筋では一致していること,また,本件殺人から半年以上経過した時点でのものであることから,細部については記憶の減退が少なからず見受けられるものの,これらの点については,それぞれが捜査段階における供述の方が正確である旨供述していることなどからすると,信用性の高い各自の捜査段階における供述と符合する部分については信用性が高いといえる。 なお,Fの公判廷供述には,Fが本件殺人等に関する自身の裁判において殺意等を否認したことから,これに合わせて同人の捜査段階における供述を後退させる形で変遷させた部分があり,信用性の高い同人自身の捜査段階における供述やC,D及びEの各供述に反する部分が少なからず見受けられ,これらの信用が措ける他の供述に反する供述部分については,到底採用することができない。 弁護人は,共犯者4名の捜査段階における各供述について,未成年者である共犯者4名が,経験豊富な大人の捜査官を前にして自らの気持ちを自由に話すことができたとは到底考えられず,また,CやEの取調べに当たった取調官が,実際に被告人を陥れるような発言を行い,Cらはこれを信じたまま供述をしたのであるから,共犯者4名の捜査段階における各供述に信用性を認めることはできないなどと主張する。しかし,Fを除く共 た取調官が,実際に被告人を陥れるような発言を行い,Cらはこれを信じたまま供述をしたのであるから,共犯者4名の捜査段階における各供述に信用性を認めることはできないなどと主張する。しかし,Fを除く共犯者らは,公判廷において,捜査段階における供述と基本的に同一内容の供述をした上,記憶が曖昧な部分等については捜査段階における供述の方が正確である旨明言しており,また,Fの公判廷供述が他の共犯者らの供述に反する部分が少なからず見受けられる一方,Fの捜査段階における供述が他の共犯者らの供述とおおむね符合していることからすれば,仮に弁護人が指摘するような事情が存在したとしても,これが共犯者4名の捜査段階における各供述の信用性を左右することはない。 (2) Nの供述の信用性Nは,被告人の前妻であり,被告人との間に一子を儲けている上,被告人の供述するところによれば,被告人が本件で身柄拘束された後,被告人に対し,「また一緒にやり直したい。子供のことはしっかり見ておくから,頑張れ。」という内容の手紙を送っているというのであるから,殊更虚偽を述べてまで被告人に不利な供述をするとは到底考えられないところ,Nは,捜査段階及び公判廷において,いずれも被告人にとって不利な内容の供述をしており,その供述は極めて信用性が高いといえる。 また,Nは,公判廷において,被告人が本件殺人の前に「オイルを掛ける。」とも話していた旨供述する一方,捜査段階でその旨の供述をしなかった理由について特段の説明をしていないが,Nと被告人との上記関係に加え,Nの公判廷での真摯な供述態度からすれば,上記供述も信用性が高いというのが相当である。 (3) 被告人の供述の任意性及び信用性ア弁護人は,被告人の検察官調書及び警察官調書の一部について,取調べに際し,捜査官が,暴行,暴言,利益誘導, 上記供述も信用性が高いというのが相当である。 (3) 被告人の供述の任意性及び信用性ア弁護人は,被告人の検察官調書及び警察官調書の一部について,取調べに際し,捜査官が,暴行,暴言,利益誘導,被告人と弁護人との信頼関係を破壊するような言動等に及び,被告人が体調不良であったなどの事情を指摘し,任意性がなく,証拠から排除されるべきと主張する。 しかし,被告人の上記各調書には,いずれも被告人の署名指印がある上,内容的にも,本件偽装結婚に関して被害者から繰り返し金銭の支払いを要求されていたこと,被告人自身も本件強盗致傷の被害老女が死亡したと思い込んでいたこと,本件強盗致傷と同様の方法で被害者を襲撃する際には被害者を介抱して恩を着せようと思っており,被害者を殺害するようCらに依頼したわけではなかったこと,本件墓園駐車場で共犯者らが投石を始めるまでは,被害者に対する確定的殺意は持っていなかったこと,被告人自身が被害者を金槌で殴打したのは1回のみであったこと,被告人自身の投石もDと一緒に巨大な石材を被害者の顔面に落とした1回のみであったことなど,供述全般にわたって,被告人にとって有利な内容が数多く録取されている。被告人のこれらの供述中には,客観的状況や信用性の高い共犯者らの供述に照らすと信用性に疑問があるにもかかわらず,そのまま録取されているものが少なからず存在することからすると,被告人の捜査段階における各供述はいずれも任意にされたと認めるのが相当であって,弁護人が指摘する各事情が仮に存在したとしても,それらの事情は被告人の捜査段階における供述の任意性に疑いを差し挟むものではない。 したがって,弁護人の上記主張は採用することができない。 イ被告人の捜査段階における供述は,客観的事実や信用性の高い共犯者らの各供述と符合する部分も多い上,全般的にい 疑いを差し挟むものではない。 したがって,弁護人の上記主張は採用することができない。 イ被告人の捜査段階における供述は,客観的事実や信用性の高い共犯者らの各供述と符合する部分も多い上,全般的にいえば被告人にとって不利益な事実を認めるものであるから,基本的には信用性が高いといえるが,任意性の検討の際に指摘したとおり,被告人の上記供述には,客観的事実から推認されるところや,信用性の高い共犯者らの各供述に反する部分も少なからず見受けられる。被告人が,本件による逮捕直後の取調べや公判廷において,言い逃れのできない部分のみはやむなく認めるものの,それ以外の部分については共犯者らに責任を転嫁してでも自己の刑事責任を軽減させようとの態度を露骨にとっていることからすると,被告人の捜査段階における供述も,全面的に信用性を認めることはできず,信用性の高い共犯者らの各供述等に反しない限度において,その信用性を肯定するのが相当である。 ウなお,被告人は,公判廷において,本件殺人の動機や計画性についての捜査段階における供述を根本から覆し,本件偽装結婚に関し,被害者から金銭を要求されたことはなく,投石が始まるまでは被害者に対する殺意は全くなかったなどと弁解するが,かかる弁解は,被告人質問に入ってから唐突に行われたものであり,これに先立って行われた共犯者4名の本件殺人等に関する裁判における証人尋問の際に同内容の供述をできない合理的な理由は全くない上,内容的にも被告人が本件殺人当時に置かれていた状況や本件殺人に至るまでの被告人の言動等に照らして不自然かつ不合理である。しかも,自己に有利な弁解は積極的に行う一方,自己に不都合な質問にはことごとく曖昧な供述や黙秘を貫くという被告人の公判廷での供述態度からすると,被告人の公判廷における上記弁解は到底信用することができない も,自己に有利な弁解は積極的に行う一方,自己に不都合な質問にはことごとく曖昧な供述や黙秘を貫くという被告人の公判廷での供述態度からすると,被告人の公判廷における上記弁解は到底信用することができない。そして,これに付随するその余の点についての被告人の公判廷における供述も,同様の理由から,全く信用することはできない。 2 弁護人は,本件殺人が計画的なものではないことの根拠として,被告人らは,「殺す」という言葉を本来の意味とは異なる意味で日常的に使用しており,被告人が被害者襲撃に関連して「殺す」という言葉を使用したとしても,それは,被害者襲撃の決意の強固さを意味するものにすぎないこと,本件計画にあっても役割分担や遺体の処理方法等について具体化されていない上,本件殺人後の被告人らの行動等も場当たり的であることなどを指摘する。しかし,上記認定事実によれば,被告人が「殺す」という言葉を本来の意味で使用したことに疑いを容れる余地はない。 また,本件計画は相当ずさんで稚拙なものであるが,これは,執行猶予の取消しを避けるために被害者を殺害するという,通常では考えられない手段を安易かつ短絡的に選択した被告人,そして,そのような被告人に言われるがまま,さしたる疑問を感じることもなく被告人に追随して本件殺人に及んだ共犯者4名の思慮の浅さや幼稚さ,短絡的で場当たり的な考え方を反映しているに過ぎない。特に,本件殺人の首謀者たる被告人の考えの浅はかさは,自己に向けられた嫌疑を到底払拭することはできない稚拙なアリバイ工作を考えついただけで,自分が捕まらないと周囲に豪語していたその態度に如実に表れている。確かに,本件計画は,細部まで綿密に計算された用意周到なものとは到底いえないが,深夜,人気のない本件墓園駐車場に誘い出した被害者に対し,待ち伏せしていた共犯者4名と被告人 その態度に如実に表れている。確かに,本件計画は,細部まで綿密に計算された用意周到なものとは到底いえないが,深夜,人気のない本件墓園駐車場に誘い出した被害者に対し,待ち伏せしていた共犯者4名と被告人が集団で暴行を加えるという被告人らの謀議内容は,それ自体十分計画的なものである。 また,弁護人は,被告人には被害者を殺害する動機がないことの根拠として,偽装結婚の謝礼金の残額支払いを要求されたことはないなどとの被告人の公判廷供述を指摘するが,これが信用できないことは上記のとおりである。 したがって,これらの弁護人の主張は,いずれも採用することができない。 3 以上によれば,犯行に至る経緯等及び罪となるべき事実第1のとおり認められ,これに合理的な疑いを容れる余地はない。 (法令の適用) 1 罰条(1) 判示第1の所為刑法60条,行為時においては平成16年法律第156号による改正前の刑法(以下「改正前刑法」という。)199条に,裁判時においてはその改正後の刑法(以下「改正後刑法」という。)199条に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による(所定刑中有期懲役刑の長期は,行為時においては改正前刑法12条1項に,裁判時においては改正後刑法12条1項によることとなるが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑による。)。 (2) 判示第2の所為刑法60条,190条(3) 判示第3の所為のうち有印私文書偽造の点刑法60条,159条1項同行使の点刑法60条,161条1項,159条1項公正証書原本不実記載の点刑法60条,157条1項同行使の点刑法60条,158 の点刑法60条,159条1項同行使の点刑法60条,161条1項,159条1項公正証書原本不実記載の点刑法60条,157条1項同行使の点刑法60条,158条1項,157条1項(4) 判示第4の所為刑法60条,235条 2 科刑上一罪の処理判示第3 刑法54条1項後段,10条(有印私文書偽造とその行使と公正証書原本不実記載とその行使との間には順次手段結果の関係があるので,結局以上を1罪として刑及び犯情の最も重い偽造有印私文書行使罪の刑で処断) 3 刑種の選択判示第1の罪無期懲役刑 4 併合罪の処理刑法45条前段,46条2項本文 5 未決勾留日数の本刑算入刑法21条 6 没収(1) 金槌1丁刑法19条1項2号,2項本文(判示第1の犯罪行為の用に供した物で,被告人以外の者に属しないもの)(2) 未成年者の婚姻に関する同意書1通の偽造部分刑法19条1項1号,2項本文(判示第3の偽造有印私文書行使の犯罪行為を組成した物で,何人の所有をも許さないもの) 7 訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)(量刑の理由) 1 本件は,被告人が,当時16歳から18歳の少年であった共犯者4名と共謀の上,深夜,人気のない本件墓園駐車場に誘い出した当時16歳の少女に対し,集団で足蹴り,金槌での殴打及び投石等の暴行を加え,被害者を殺害した殺人(判示第1),これに引き続き,少年3名と共謀の上,被害者の死体にライター用オイルをかけて点火し,これを焼損した死体損壊(判示第2),これらに先立つ,殺人の被害者との偽装結婚に伴う有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使(判示第3),少年2名と共謀の上,自動車を乗り逃げした窃盗(判示第4)の事案である。 2 本件 ,これらに先立つ,殺人の被害者との偽装結婚に伴う有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使(判示第3),少年2名と共謀の上,自動車を乗り逃げした窃盗(判示第4)の事案である。 2 本件殺人は,共犯者中唯一の成人であり,共犯者4名よりも年長であった被告人の発案・指示に基づいて計画的に行われた,確定的殺意に基づく極めて残虐な犯行である。 被告人らは,事前の打合せに従い,被告人が被害者を誘い出す一方,共犯者4名は被告人が被害者を連れてくるのを本件墓園駐車場で待ち伏せし,被告人が被害者を現場まで連れてくると,無警戒の被害者に背後から襲いかかって引き倒し,被害者が絶命するまで,集団で熾烈な暴行を執拗に加えている。被害者は,人気が全くないと思っている本件墓園駐車場で被告人から頼まれるまま車外に出て,何ら警戒心を抱くことなく同車トランク内に探しものを始めた矢先,突然共犯者らから攻撃を受け,ただただ頭を両手でかばい体を丸めることしかできないでいたところ,被告人らは,被害者に対し,顔面や頭部を含む全身を数十回にわたり連続して足蹴りすることに始まり,金槌を用いて被害者の頭部・背中付近を殴打し,防御の姿勢すら取れなくなった被害者に対して多数回にわたり投石(これに用いられた石材には,重量20キログラムを超えるものを多数含む。)を繰り返し,最終的には仰向けになって地面に横たわっていた被害者にとどめを刺そうとして,その顔面に,被告人とDの二人がかりで抱えてきた重さ60キログラムを超える巨大な石材を真上から落とすまでに至っており,この一連の執拗な暴行態様は,想像を絶する残忍さであり,まさに残虐非道というほかない。被告人らは,暴行の最中に,被害者が被告人の名を呼んで助けを求める声を耳にしながら,これを意に介することなく冷徹に強烈な暴行を継続したばかりか, を絶する残忍さであり,まさに残虐非道というほかない。被告人らは,暴行の最中に,被害者が被告人の名を呼んで助けを求める声を耳にしながら,これを意に介することなく冷徹に強烈な暴行を継続したばかりか,瀕死の重傷を負った被害者の姿を目にしてもなお暴行を止めることなく,かえって「しぶといな。」などと言いながら,被害者を確実に殺害すべく,更に投石を繰り返し,遂には巨大な石材を二人がかりで抱えてきて,その顔面の真上から落としてとどめを刺したというのであって,被告人らの殺意は極めて強固であるといえる。 3 本件殺人に続き,被告人らが行った本件死体損壊も,残酷かつ悪質である。被告人らは,多量のライター用オイルを被害者の遺体にかけて火をつけたばかりか,証拠隠滅のために被害者の返り血がついた着衣等を被害者の遺体に乗せて燃やしている。これら被害者の遺体に対する冷酷な扱いから窺えるように,被告人らは,本件殺人に対する悔悟の念や死者に対する畏敬の念など全く持たずに,被害者の遺体を汚れた着衣などと同程度の不要な物として焼却処分したのであって,犯情は極めて悪質である。 4 被害者は,想像を絶する苛烈な暴行を受け,そして,到底耐えることのできない激しい肉体的苦痛に耐えながら,その場から逃げることも,抵抗することもできず,ただただ小さく体を丸めてうずくまることしかできない絶望的な状況の中,最後に助けを求めた被告人こそがまさに首謀者であることも,また,誰が,なぜ自分を殺そうとしているのかも分からないまま,理不尽にも16歳の若さでその尊い命を奪われている。このような非業の死を迎えるまでの間に被害者が受けた苦痛,恐怖,そして,道半ばで人生を奪われた無念の情は筆舌に尽くし難く,察するに余りある。 被害者は,その命を奪われたにとどまらず,被告人らによってその遺体を燃やされている までの間に被害者が受けた苦痛,恐怖,そして,道半ばで人生を奪われた無念の情は筆舌に尽くし難く,察するに余りある。 被害者は,その命を奪われたにとどまらず,被告人らによってその遺体を燃やされているが,その損傷の程度は激しく,正視し難いものがある。まさに無惨というほかなく,余りにも残酷である。 被害者が,このような凄惨な仕打ちを受けなければならない理由など全くない。被害者が,被告人との偽装結婚に応じたり,被告人に対してその謝礼金の支払いを求めたりしたことが,その理由とならないのは当然である。責められるべきは,わずかこれだけの理由で生命の尊さを一顧だにせず被害者を惨殺した被告人その人である。 5 被告人は,前刑の執行猶予付き判決を受けてから1か月も経たないうちに,生活費等を捻出するための手段として被害者との偽装結婚に及び,被害者から謝礼金の支払いを求められるとともに警察への通報を示唆されるや,偽装結婚の発覚及びそれによる執行猶予の取消しを避けるための手段として,被害者殺害を安易に決断している。自己中心的かつ短絡的で,幼稚極まりない本件殺人の動機及びその経緯に酌むべき点は全くない。 被告人は,被害者殺害を確実に遂行するため,被害者においてC及びDが本件強盗致傷の犯人であると周囲に言い触らしているなどと虚言を用い,その不安や憤怒の念を焚き付けたり,煽ったりしてC及びDを本件殺人に引き込んだ上,その友人関係を利用してE及びFも本件殺人に巻き込んでおり,甚だ狡猾である。共犯者4名はいずれも十代の少年であり,その判断能力の乏しさや友人関係を年長成人者の被告人に利用された結果,最終的には自己の意思で加担したとはいえ,被告人とともに本件殺人を実行しており,これは少年らの将来に禍根を残すおそれが大であり,かように被告人が共犯少年らの健全育成を阻害する契機を に利用された結果,最終的には自己の意思で加担したとはいえ,被告人とともに本件殺人を実行しており,これは少年らの将来に禍根を残すおそれが大であり,かように被告人が共犯少年らの健全育成を阻害する契機を作出した点も強い非難に値する。 被告人は,個人的動機から被害者殺害の発端を作り,共犯関係の形成や計画の具体化,現場における手順や役割の指示など事前の謀議において中心的な役割を果たすとともに,現場においても,被害者襲撃を躊躇したEを叱責して計画実行を強く指示した上,共犯者らとともに被害者に足蹴りを加え,自ら率先して所携の金槌を持ち出して被害者を殴打し,瀕死の状態の被害者に石材を繰り返し投げ付け,最終的にはDとともに巨大な石材を被害者の顔面に落としているのであって,殺害行為においても極めて重要な役割を果たしたといえる。さらに,暴行の最中から,使用した金槌の処理をEに指示したり,アリバイ工作のために被害者と携帯電話で通話したように仮装したりするなどして罪証隠滅工作を講じる一方,被害者殺害後も,被害者の遺体にライター用オイルをかけて焼損させることを共犯者らに提案し,その入手方法やオイルの掛け方等を具体的に指示するなど,本件死体損壊の謀議や実行においても主導的役割を果たしている。加えて,被告人は,他の共犯者らに指示して被害者の遺品を燃やすなどの罪証隠滅工作を図るとともに,仲間内で口裏合わせをして虚偽のアリバイ工作を図ったばかりか,事件とは無関係な知人らに対しても虚偽のアリバイを供述するよう依頼しており,これら犯行後の事情も極めて悪質である。 6 被害者の遺族が本件殺人及び本件死体損壊によって受けた,余りに深い悲しみと苦しみ,そして激しい怒りは,想像することすらできない。被害者の両親は,言葉にならないその悲痛な心情の一端を,公判廷で述べると共に,当裁判所 本件殺人及び本件死体損壊によって受けた,余りに深い悲しみと苦しみ,そして激しい怒りは,想像することすらできない。被害者の両親は,言葉にならないその悲痛な心情の一端を,公判廷で述べると共に,当裁判所宛の意見書に綴っている。愛する娘を殺害し,遺体を焼いたにもかかわらず,真摯な反省の態度を見せることなく,後記のとおり,死人に口なしとばかりに被害者の名誉を蹂躙して止まない被告人に対する激しい怒り,事件によって平穏な生活を破壊された苦しみ,そして何よりも2度と戻らない被害者に対する強い愛情など,被害者の両親が語る様々な心情は,それだけでも痛ましく哀れであり,重く心に響くものがあるが,これらによっても到底その心情を語り尽くすことはできない。その一生癒えることはないであろう心の傷を被害者の遺族にもたらしたのは,他ならぬ被告人である。被害者の遺族が,被告人に対して可能な限りの厳罰を望むのは無理からぬところがある。 7 本件殺人及び本件死体損壊は,少年を含む若者らによる集団凶悪事案として,そして,犯行態様のまれに見る残忍さなどから,社会的に耳目を集めた事件であり,事件関係者はもちろん,周辺の地域住民,更には社会全体に与えた影響も相当深刻である。 8 被告人は,16歳及び18歳の時にいずれも窃盗罪等により中等少年院送致決定を受け,中等少年院に合計660日余りにわたり収容保護され,専門家による集中的かつ強力な矯正教育を受けた。また,成人後も,詐欺罪・窃盗罪により懲役2年・4年間保護観察付き執行猶予の判決を受けるなど,繰り返し更生の機会を与えられたにもかかわらず,その機会を生かすことなく,その後僅か4か月足らずのうちに,素行不良の未成年者らの兄貴分的関係で,それらとの交遊に耽る不健全な生活状況下に身を置き,犯罪行為によって生活費や遊興費等を捻出すべく被害者と の機会を生かすことなく,その後僅か4か月足らずのうちに,素行不良の未成年者らの兄貴分的関係で,それらとの交遊に耽る不健全な生活状況下に身を置き,犯罪行為によって生活費や遊興費等を捻出すべく被害者との偽装結婚に及んで判示第3の有印私文書偽造等を敢行した上,足代わりの自動車が欲しいというCらの希望を叶えるという短絡的な動機から,これを止めるどころか判示第4の被害車両に狙いを付け,窃取行為の具体的な段取りを指示するなどして自動車窃盗に及び,遂には共犯少年らを巻き込んで本件殺人及び本件死体損壊を犯すまでに至っている。いずれも自己中心的で短絡的な動機から,結果の重大性等に何ら思いを致すこともなく,躊躇無く犯罪行為を重ねた挙げ句,自己の犯した犯罪行為と真摯に向き合うことなく,他者への責任転嫁や自己弁護を繰り返し,また,公判廷において,被告人と被害者との間には性的関係があり,本件殺人の当夜被害者が被告人運転車両に同乗したのは,被告人と戸外で性的関係を持つためであったなどと到底措信できない供述を突然行うようになり,被害者が反論できないことを良いことに被害者を愚弄し,被害者の名誉を著しく損ねるなどして,被害者をこの上なく侮辱し,遺族の被害感情を逆撫でにしている。これらによれば,被告人の規範意識は極めて鈍麻しており,遺憾ながらその犯罪性向には,もはや矯正不可能な段階に至っているとさえいわざるをえない面が窺える。 9 以上の諸事情によれば,被告人の刑事責任は極めて重大である。 10 そうすると,被告人が,本件殺人の動機や計画性については不合理な弁解を繰り返しているものの,外形的事実については一応認め,被害者及び遺族に対して謝罪の言葉を一応述べていること,被害者の両親と共犯者のうちの1名及びその父との間で刑事訴訟手続における和解により示談が成立し,これが成立し のの,外形的事実については一応認め,被害者及び遺族に対して謝罪の言葉を一応述べていること,被害者の両親と共犯者のうちの1名及びその父との間で刑事訴訟手続における和解により示談が成立し,これが成立したことによる情状面の反射的効果を被告人も享受することになること,被告人が現在でも23歳と若年であり,服役歴がないこと,被告人には前妻及び幼い娘がおり,被告人の出所を待ち望んでいるとも窺われること,被告人が本件殺人等に及んだ背景には,実母との関係を含めた被告人の複雑で不遇な家庭環境やこれにより形成されてきた被告人の性行等の影響が存することも否定できないことなど,弁護人が指摘する被告人にとって酌むべき事情が存するが,これらを十分に考慮してもなお,被告人の刑事責任は誠に重大であり,被告人が謝罪の言葉を述べ,若年であることに一縷の望みを繋ぎつつ,被告人に対し,主文掲記のとおり無期懲役を量定した次第である。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑無期懲役並びに金槌1丁及び未成年者の婚姻に関する同意書1通の偽造部分の各没収)平成17年2月22日千葉地方裁判所刑事第2部裁判長裁判官加登屋健治裁判官鈴木尚久裁判官西山渉

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