-- 平成18年4月26日判決言渡平成17年第9048号損害賠償請求事件( )ワ判決主文 被告A株式会社、同B及び同Cは、原告に対し、連帯して、5043万9398円及びこれに対する平成12年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告の被告A株式会社、同B及び同Cに対するその余の請求及び同D企業株式会社に対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は、原告に生じた費用の5分の2と被告D企業株式会社に生じた費用を原告の負担とし、原告に生じたその余の費用並びに被告A、同B及び同Cに生じた費用を被告A、同B及び同Cの負担とする。 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求被告らは、原告に対し、連帯して5871万9907円及びこれに対する平成12年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要事案の要旨 訴外Eは、被告A株式会社の大型貨物自動車の運転手として同社の運送業務に従事していた者であるが、同人の運転する大型貨物自動車が、高速道路を走行中、前方を走行していた車輌に追突し、これにより同人が死亡した。 訴外Eが上記の事故により死亡するに至ったのは、被告らが同人を超過勤務させた安全配慮義務違反行為をしたことにより、大型貨物自動車の運転中も注意力散漫になったことによるものであるとして、同人の父である原告は、被告-- らに対し、安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償及び同人の死亡日(不法行為日)である平成12年9月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した前提となる事実証拠のページ番号を〔〕内に示す。 成12年9月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 (認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した前提となる事実証拠のページ番号を〔〕内に示す。以下同じ)。 当事者( )ア原告関係原告は、訴外E(以下「E」という)の父である(甲1。 ( )ア。 )Eは、昭和44年8月20日生まれの男性であり(甲1、平成10()イ))、年12月3日、被告D企業株式会社との間で入社契約を締結し(甲7その後、被告A株式会社の従業員となり、大型貨物自動車の運転手として同社の運送業務に従事していた(争いのない事実。 )イ被告関係被告A株式会社(以下「被告A」という)及び被告D企業株式会社()ア。 (以下「被告企業」という)は、いずれも、自動車運送取扱業等を目。 的とする株式会社である(争いのない事実、甲4、5。 )被告B(以下「被告B」という)は、被告A及び被告企業の代表取()イ。 締役である(争いのない事実。 )被告C(以下「被告C」という)は、被告企業の常務取締役である()ウ。 (争いのない事実。 ) 本件事故の発生( )Eは、平成12年9月13日3時10分ないし13分ころ(以下、断り書きのない限り、時刻については24時間制で表記する、大型貨物自動車。)(以下「Eのトラック」という)を運転し、静岡県磐田市岩井東名高速道。 路下り線222.1キロポスト地点を走行中、Fが運転する大型貨物自動車(以下「相手方のトレーラー」という)に自車を追突させ、死亡した(以。 -- 下「本件事故」という(争いのない事実、乙1の1ないし3、乙2の1及。)び2、乙3の1及び2。 ) 相続( )原告は、Eの母であるG(以下「G」という)との間で、平成16 。 -- 下「本件事故」という(争いのない事実、乙1の1ないし3、乙2の1及。)び2、乙3の1及び2。 ) 相続( )原告は、Eの母であるG(以下「G」という)との間で、平成16年3。 月3日、Eが被告らに対して有するべき債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権について遺産分割協議を行い、原告が単独で相続取得する旨を合意した(甲3の1ないし3。 ) 争点 被告企業、被告B及び被告CとEとの間における指揮監督関係の有無( ) 本件事故当時、Eが過労状態にあったか否か(安全配慮義務違反の有無)( ) 本件事故の原因(安全配慮義務違反行為とEの死亡との間の因果関係の有( )無) 損害額( )争点についての当事者の主張 争点1 (被告企業、被告B及び被告CとEとの間における指揮監督関係の( )( )有無)について(原告の主張)ア被告企業との関係被告Aの実質上の本店は被告企業の本店と同一の場所にあるほか、両( )ア者の実質上の取締役は同一であるなど、被告Aと被告企業は実質的には同一の企業であった。 また、被告Aと被告企業は、取締役会以下各課に両者の従業員等が混在して同一の組織を形成しており、両者は実質上、同一の労務管理を行っていた。 さらに、Eは、形式上は、被告Aの従業員とされていたものの、平成10年12月3日の入社時においては、被告企業との間で入社契約を締-- 結していた。 これらの事情からすれば、被告Aと被告企業とが実質的には同一の組( )イ織であり、実質上同一の労務管理を行っていたものである。これに加えて、Eが、入社時に被告企業との間で入社契約を締結していたことからすれば、Eは、実質的には、両者との間において、雇用ないし雇用と同視できる労務提供の関係にあったの を行っていたものである。これに加えて、Eが、入社時に被告企業との間で入社契約を締結していたことからすれば、Eは、実質的には、両者との間において、雇用ないし雇用と同視できる労務提供の関係にあったのであって、被告企業とEとの間において、指揮監督関係が存在したものである。 イ被告Bとの関係被告Bは、被告A及び被告企業の代表取締役であって、両者の労務管( )ア理業務を含む業務全般を統括掌理すべき者であった。また、被告Bは、かつては自ら自動車運転業務をしていたことから、自動車運転者の労務管理については、労働基準法や自動車運転労務改善基準等に従って、労働時間並びに拘束時間、運転時間及び連続運転時間を管理し、運転手が休息時間が十分にとれるように措置をしなければならないことを熟知していた。 しかしながら、被告Bは、自動車運転者の労務管理を被告Cに委ねた( )イまま、時間外労働協定を締結しているか否かなどの最低限の状況把握すら行っていなかった。 なお、以上の事情を踏まえ、品川労働基準監督署は、被告Aの代表者である被告Bが、違法な時間外労働が行われないよう必要な措置を講じていなかったとして、被告Aに両罰規定を適用すべきと判断している。 ウ被告Cとの関係被告Cは、実質的に被告A及び被告企業の常務取締役として、両社の労務管理業務を統括管理する者であった。 (被告の主張)ア被告企業との関係-- 被告企業は、原告と何ら雇用関係がないし、労働基準監督署が被告Aと被告企業が実質的に同一であると認定したのは、労務管理を行っていた被告Cが被告企業の役員であるものの被告Aの役員ではなく同社から役員報酬を受け取っていないため、形式的な認定をすると被告Cを処罰できなくなるからである。 また、被告Aの取引先は被告企業のそれと異なり、取引先によって事業 であるものの被告Aの役員ではなく同社から役員報酬を受け取っていないため、形式的な認定をすると被告Cを処罰できなくなるからである。 また、被告Aの取引先は被告企業のそれと異なり、取引先によって事業が峻別されているし、実質的に考えても、被告Aの方が被告企業よりも大規模であり、被告企業が被告Aを支配しているという関係にもない。したがって、本件において同一性を論ずる必要もなく、被告企業とEとの間に指揮監督関係は存在しない。被告企業は本件の当事者として不適格であるから、被告企業に対する訴えは却下されるべきである。 イ被告Bとの関係被告Bは、被告Aの代表取締役であるから、本件において同社に何らかの法的責任が認められれば、代表者たる同人にも法的責任が発生すると考えられそうではある。 しかしながら、法人の代表者は、その代表機関であるというだけでなく、現実に被用者の選任・監督を担当していたときに限り、当該被用者の行為について民法715条2項の責任を負うのであるから(最判昭和42年5月30日・民集21巻4号961頁、本件においては、被告BがEの労)務管理について現実に監督・指示をしていた場合に限り法的責任を負うものである。そして、本件では、安全配慮義務の具体的内容が特定されていないから、法的責任を法人の代表者である被告Bに負わせることはできない。この点について、品川労働基準監督署は、被告Bは自動車運転手の労務管理は被告Cに任せており、違反行為の関与が希薄であるため被疑者になり得ないと判断しているから、これに従えば、被告Bに対し、Eの死亡あるいは過重労働について法的責任を問うことはできない。 -- ウ被告Cとの関係被告Cが被告企業の常務取締役であることは認める。 しかしながら、原告が被告Cを被告としたのは、本件損害賠償請求を不法行為に基づく ついて法的責任を問うことはできない。 -- ウ被告Cとの関係被告Cが被告企業の常務取締役であることは認める。 しかしながら、原告が被告Cを被告としたのは、本件損害賠償請求を不法行為に基づくものとして構成した場合、民法715条1項の使用者として被告Aに請求するためには、現場責任者として被告Cが同法709条の不法行為責任を負う必要があるからであると思われるところ、このような複雑な構成を取る必要性はなく、本件では端的に債務不履行構成を取って被告Aのみを被告とすれば足りるものである。また、被告Cを履行補助者と考え、被告Aのみを被告とする不法行為に基づく損害賠償請求も理論的には十分に成立し得る。 したがって、被告Cを被告とするのは不当である。 争点2 (本件事故当時、Eが過労状態にあったか否か(安全配慮義務違反( )( )の有無)について)(原告の主張)ア被告A及び被告企業の労働管理体制被告A及び被告企業においては、長距離運送等の自動車運送取扱事業( )アを行っているから、法定の所定労働時間である1日8時間労働を実施することが困難であるのに、労使間の協議により時間外労働に関する協定が締結されていなかったし、就業規則も存在しなかった。 被告A及び被告企業においては、運行経路ないし車種ごとに運転手に( )イ支払われる賃金が定められており、これを前提として歩合制が採用されていた。そのため、特定の運転手に労働が集中したとしてもコストが上昇せず、事実上労働時間の管理がされていなかったことと相俟って、運転手に勤務が集中することがあった。 また、会社に不利益となる事項を6段階の始末書対象項目として定めており、それぞれの段階に応じて2ないし10パーセントの減給や退社-- といった罰則があったし、精勤手当制度があるものの、休日 。 また、会社に不利益となる事項を6段階の始末書対象項目として定めており、それぞれの段階に応じて2ないし10パーセントの減給や退社-- といった罰則があったし、精勤手当制度があるものの、休日以外に週に1日以上休日を取得した場合は支給されないため、運転手は、同手当の支給を受けるには、週1日の休日以外は業務に従事する必要があった。 被告A及び被告企業においては、24時間受注対応体制を採用してお( )ウり、これにより、両者は急激に規模を拡大したものであるが、他方で、同体制を維持するため、運転手に対して携帯電話による24時間連絡可能な体制を採用しており、これにより、運転手に対し、事実上24時間拘束するのと同じ心理的効果をもたらした。 被告A及び被告企業においては、上記に述べた賃金体系が採用されて( )エいたことから、恣意的な運行計画に流れやすい状況にあった。そのため、運転手としては、配車係との関係を維持する必要があることから、配車係から無理な指示があったとしても、これに従わざるを得ない状況にあった。 イEの業務の過重性Eは、被告A及び被告企業に入社後、主としてスポットと呼称される( )ア臨時便の運送業務に従事していたことから、近距離運送と長距離運送の業務が混在し、各日の作業内容、始業時刻・終業時刻が変化しており、Eの労働実態は非常に不規則であった。 そのため、Eは、長距離運送業務が終了して帰宅した当日の夜間に連続して近距離運送の業務を始めて翌日まで同業務に従事したり、近距離運送業務にもかかわらず自宅で休息する時間がないために数日間連続して大型貨物自動車内で宿泊することもあった。のみならず、Eは、青森県内のターミナルを荷卸地とする長距離運送業務と福岡県内のターミナルを荷卸地とする長距離運送業務に連続して従事することもあり、 連続して大型貨物自動車内で宿泊することもあった。のみならず、Eは、青森県内のターミナルを荷卸地とする長距離運送業務と福岡県内のターミナルを荷卸地とする長距離運送業務に連続して従事することもあり、5日以上連続して大型貨物自動車内で宿泊したこともしばしばであった。 上記の労働実態は、Eが入社後、本件事故が発生するまで約1年9か-- 月もの長期間にわたって継続していた。 Eの平成12年8月1日から同年9月13日までの労働実態は、休日( )イが8月13日から16日まで、同月20日、27日及び9月3日の7日間であり、休日を含めて自宅で休息できた期間は14日と21時間にすぎなかった。また、Eは、車庫に帰着し、車庫から発車した日以外は、大型貨物自動車内で宿泊していた。 また、手待時間を含めたEの労働時間は、平成12年8月2日から同年9月11日までで、547時間であった。すなわち、1週当たりの平均労働時間数は約93時間23分であり、週40時間制を前提とすれば、1週当たりの平均時間外労働時間数は約53時間23分という著しい長時間に及んでいた。それだけでなく、運転時間及び積込・荷卸時間のみを労働時間とした場合であっても、平成12年8月1日から同年9月13日まで著しい長時間労働にさらされていた。 これらの労働実態は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基、準(労働省告示第7号)4条に定められた貨物自動車運送事業に従事」する自動車運転者の場合の基準に照らすと、拘束時間、休息期間、運転時間及び連続運転時間のいずれについても、上記基準に著しく違反するものであった。 さらに、平成12年9月4日から本件事故に至るまで、首都圏から八( )ウ戸ターミナル、福岡市、千葉市、岡山市への業務を遂行していたものであり、その労働実態は常軌を逸していた。 ウ のであった。 さらに、平成12年9月4日から本件事故に至るまで、首都圏から八( )ウ戸ターミナル、福岡市、千葉市、岡山市への業務を遂行していたものであり、その労働実態は常軌を逸していた。 ウまとめ上記のとおりのEの勤務状態に照らせば、被告Aらは、Eの労働環境を整える労働契約上及び条理上の安全配慮義務を怠ったものであり、Eは、上記の勤務状態により、過労の状態に至っていた。 (被告の主張)-- 原告は、被告AにおけるEの就労状況について、本件被告A及び被告Cに対する労働基準法違反事件における刑事記録に基づき、同刑事記録中の労働基準監督署作成の捜査報告書の記載を拠り所として主張立証している。しかし、これらの記録によっても、被告Aと被告CがEに計101時間25分の時間外労働をさせた事実は立証可能であるが、Eがこれにより過労状態であった事実を推認することはできない。 争点3 (本件事故の原因(安全配慮義務違反行為と本件事故及びEの死亡( )( )との間の因果関係の有無)について)(原告の主張)ア本件事故態様Eは、上り勾配約3パーセントの坂道で、ほぼ直線道路であって、前方の見通しも良い状況だったにも関わらず、速度差が時速約25キロメートルの状態で相手方のトレーラーに接近し続け、ブレーキをかけることなく自車を正面から追突させたものである。 イ上記の状況から考え得ること上記の態様からすれば、Eは、本件事故発生直前において相当程度の時間にわたって前方への注視を欠いていたものと考えられるところ、このことは、Eが、本件事故発生において、自動車運転に必要な注意を行う集中力を著しく欠いていた状態にあったことを容易に推認させる。 そして、上記のEの労働実態及び本件事故発生に至るまでのEの勤務状況からすれば、Eがこのような状態になっ て、自動車運転に必要な注意を行う集中力を著しく欠いていた状態にあったことを容易に推認させる。 そして、上記のEの労働実態及び本件事故発生に至るまでのEの勤務状況からすれば、Eがこのような状態になった原因は、Eが被告らにおいて著しく過重な業務に従事した結果として、過労状態にあったこと以外にあり得ない。 ウまとめ以上によれば、被告らがEに過重労働をさせたという安全配慮義務違反及び不法行為における過失行為によって、本件事故及びEの死亡を招いた-- ことはもはや明らかである。 (被告の主張)ア本件事故時の時速本件事故は、Eが、時速127キロメートル以上の速度でEのトラックを運転し、高速道路の上り勾配3パーセントの坂道を走行していたところ、前方にいた相手方のトレーラーに追突したというものである。 このうち、時速については、タコグラフチャートの第2針の記録位置がずれており、時速0キロメートルの位置が時速マイナス17キロメートルの位置にあったことから、実際の速度は記録上の速度に時速17キロメートルを加算する必要があるのであって、上記のとおり、走行時の速度は時速127キロメートル以上であった。 イ高速道路上の事故原因と本件事故の態様そして、このことに加えて、高速道路における車輌相互の事故原因としては追突が7割程度であり、追突の原因としては、脇見が大半であること、その他に眠気、飲酒、思い込み等があって、過労による居眠りが大半とはいえないことが統計上証明されている。 ウ時速と本件事故現場の状況との関係さらに、上記のとおり、Eは、時速100キロメートル以上のスピードを出していたことが明らかであるが、上り坂で、大型貨物自動車が受ける風圧もあるのに、時速100キロメートル以上のスピードを出し続けるには、積極的にアクセルを踏み続ける必要があ メートル以上のスピードを出していたことが明らかであるが、上り坂で、大型貨物自動車が受ける風圧もあるのに、時速100キロメートル以上のスピードを出し続けるには、積極的にアクセルを踏み続ける必要があり、このことは、過労による意識低下状態における運転の態様とは大きく異なる。 エまとめ以上の事情を考慮すれば、本件事故は、Eが、ほぼ直線の高速道路上において、先行する相手方のトレーラーの存在を認識しながら、相手方のトレーラーも自車と同様の速度で走っていると思い込み、何らかの理由で脇-- 見をしていたところ、両者の速度が思ったよりも大きく異なり、気づいたときにはハンドル操作やブレーキでは回避できない距離にまで接近していたため、追突に至ったものと見るのが自然であって、Eは、居眠り等の意識低下状態になかったものである。 争点4 (損害額)について( )( )(原告の主張)Eが死亡したことによって発生した損害は、合計5871万9907円であり、その内訳は次のとおりである。 ア葬儀費用、遺体搬送費用等200万0000円イ死亡による逸失利益4527万3254円Eの死亡前3か月の平均賃金は1日当たり1万4992円であるところ、これに生活費を5割控除することとすれば、Eは死亡時31歳であるから、次の計算式により逸失利益が算出される。 14,992×365×0.5×16.547=45,273,254ウ慰謝料2200万0000円エ損害の填補▲1589万1520円労働者災害補償保険から、遺族補償一時金1499万2000円及び葬祭料89万9520円の給付を受けたので、同額を控除する。 オ弁護士費用533万8173円(被告の主張)損害の内容は不知。 第3当裁判所の判断事実認定 前記第2の2記載の前提となる事実に加え、証 万9520円の給付を受けたので、同額を控除する。 オ弁護士費用533万8173円(被告の主張)損害の内容は不知。 第3当裁判所の判断事実認定 前記第2の2記載の前提となる事実に加え、証拠等によれば、次の事実が認められる(認定の根拠となった証拠等を()内に示す。直前に示した証拠のページ番号を〔〕内に示す。 。)-- 被告らの関係( )ア本店所在地及び役員等、被告Aは、東京都大田区丁目番号を登記簿上の本店所在地としabcd自動車運送取扱業等を目的とする株式会社であり(争いのない事実、甲4、被告企業は、東京都品川区丁目番号を登記簿上の本店所在地)efghとし、自動車運送取扱業等を目的とする株式会社である(争いのない事実、甲5。もっとも、両社とも、実質的な本社事務所は東京都品川区丁目)ef番号にある(甲6の9〔2、6の12〔2。 ij〕〕)被告Aと被告企業の代表取締役はいずれも被告Bである。代表取締役を除く両社の取締役は、本件当時、被告Aが、H及びI(専務取締役である)であり、被告企業が被告C(常務取締役である、I(同じく専務。 。)取締役である)及びJであり、両社の監査役は、被告AがK、被告企業。 がHである(争いのない事実、甲4、5、6の9〔1。 〕)イ両社における業務の仕組み被告A及び被告企業は、Lとして一体となっており、被告B、I及び( )ア被告Cが「L取締役会」を形成している。 同取締役会の下には、代理店部、経理課、総務課、業務課、運行課、営業相談役、車輌担当及び営業課が置かれ、両者の従業員105名(平成12年5月20日現在)がそのいずれかに所属しているが、これらのうち前5者には被告Aに所属する者と被告企業に所属する者とが混在していた(甲6の 車輌担当及び営業課が置かれ、両者の従業員105名(平成12年5月20日現在)がそのいずれかに所属しているが、これらのうち前5者には被告Aに所属する者と被告企業に所属する者とが混在していた(甲6の3〔4、26。 〕)被告Bは、被告A及び被告企業の代表取締役として、大口取引先の営( )イ業と銀行との折衝等を担当しており、Iは、両社の専務取締役として、経理や営業の管理部門を担当し、被告Cは、被告企業の常務取締役であるとともに、登記されていないが社内においては被告Aの常務取締役としても行動しており、トラックの運行管理など、一般の営業と労務・人-- 事等の分野を担当している(甲6の9〔2、6の18〔2。 〕〕)被告Bは、本件事故発生時及びその前の時期において、被告Aにおいて時間外労働が行われていたことを熟知しており、労働管理などをしなければならないことを認識していたが、営業や資金繰り等の業務に忙しいことや、被告Cが多忙な状況にあったことを理由として、労働管理は被告Cに任せており、特段、被告Cに対する指示を出さなかった(甲6の18〔3、4。 〕)、( )ウ被告Aは、日本通運に関する運送業務を受注しており、被告企業は郵便局及び全農等に関する業務を受注していた(甲6の19〔3。 〕) Eの入社( )アEは、平成10年12月3日、被告企業との間で雇用契約を締結したが、その後、被告Aの従業員となり、大型貨物自動車の運転手として運行12課に所属し、同社の運送業務に従事していた(争いのない事実、甲6の3〔26、6の10〔6、甲7。 〕〕)イEは、毎日決まった路線(定期路線)を走る仕事ではなく、フリー又はスポットと呼ばれる、臨時便を中心とした貨物の運転の業務に就いており、各日により作業内容や作業開始時刻が異なっ 甲7。 〕〕)イEは、毎日決まった路線(定期路線)を走る仕事ではなく、フリー又はスポットと呼ばれる、臨時便を中心とした貨物の運転の業務に就いており、各日により作業内容や作業開始時刻が異なっていた(甲6の6〔2、6〕の11〔8。 〕) 本件事故に至るまでのEの就労状況( )別紙「就労状況表」記載のとおりである(甲6の4、6の6、甲8の1ないし48、甲9の1ないし34。 ) 本件事故の発生( )ア本件事故に至るまでの経緯及び本件事故の態様Eは、平成12年9月12日23時10分ころ、習志野市所在の日本( )ア通運千葉ターミナルを出発し、翌13日1時45分ころ、東名高速道路を利用して日本通運静岡ターミナルに到着し、荷の積込み及び積卸しの-- 作業をした。その後、Eは、同日2時25分ころに同ターミナルを出発し、再び東名高速道路に入り、日本通運岡山ターミナルに向けて走行していた(甲6の3〔11、乙2の1。なお、これらの時間的経過につ〕いては、Eの作成した運転日報(甲8の48)とやや異なっているが、同日報は、千葉ターミナルを出発した時間の記載がなく、静岡ターミナルでの停止時間がタコグラフチャート(乙2の1)上40分間であることが明らかであるのに30分間と記載するなど、その信用性に疑問があるので、タコグラフチャート(乙2の1)の記録によって上記のとおり認定するのが相当である。また、タコグラフチャート自体の信用性については、後記イで説示するとおりである。 ( )イ。)Eは、同日午前3時10分ないし13分ころ、東名高速道路袋井インターチェンジから西方約2.7キロメートル、遠洲豊田パーキングから東方約3.1キロメートルに位置する下り線走行車線上、東京起点222.1キロポスト先、上り勾配約3%の坂道でほぼ 東名高速道路袋井インターチェンジから西方約2.7キロメートル、遠洲豊田パーキングから東方約3.1キロメートルに位置する下り線走行車線上、東京起点222.1キロポスト先、上り勾配約3%の坂道でほぼ直線上となっている地点(以下「本件事故現場」という)を走行中、同車線の前方を時速。 約85キロメートルで走行していた相手方のトレーラーの後方に正面から追突し、相手方のトレーラーに積載されていた建設用鋼材がEのトラックの前面ガラスを突き破ってEに激突した。これにより、Eは、脳挫傷となり、運転席に挟まって、頭蓋骨が陥没した状態で即死していた。 (甲6の3〔1、乙1の1、2の1、2の2、3の1、7)〕本件事故現場は、前方の見通しが良いが、夜間の照明は暗い状態にあ( )イる。追突地点よりも下り方向の走行車線には擦過痕が3条存在するが、追突地点よりも上り方向には、擦過痕やブレーキ痕は存在しない(乙。 1の1)イ上記認定の補足説明本件事故発生時刻である3時13分のEのトラックの時速については、( )ア-- Eのトラックのタコグラフチャート(乙2の1)の記録は不明確である。 他方、相手方のトレーラーのタコグラフチャートによっても、3時10分以降、時速0キロメートル、すなわち停止状態となっている(乙2の2。これらの事実からすれば、少なくともタコグラフチャート上は、)本件事故発生日時は平成12年9月13日3時10分ころと認定するのが合理的であると考えられ、かつ、同時刻ころのEのトラックの時速は、タコグラフチャート上は時速75ないし80キロメートルであり、相手方のトレーラーの時速も同程度であると認められる。 しかしながら、乙第7号証、10号証の1ないし4、11号証の1ないし3を総合すれば、Eのトラックのタコグラフ本体は、実際の時速よりも ルであり、相手方のトレーラーの時速も同程度であると認められる。 しかしながら、乙第7号証、10号証の1ないし4、11号証の1ないし3を総合すれば、Eのトラックのタコグラフ本体は、実際の時速よりも時速約17キロメートル分下回って記録されるようになっており、かつ、記録上の時速110キロメートル以上の速度が記録されないようになっていたことが認められる。 したがって、Eのトラックについては、タコグラフチャートの値に17を加算した値を時速として認めるべきである。 なお、この点について、被告Cは、Eのトラックのタコグラフチャー( )イト(乙2の2)が約20分遅く記録されていると述べているが(乙6の10〔3、他方、9月11日のチャートについては、時刻が30分ず〕)れていると述べており(乙6の11〔8、いずれも、その根拠が判然〕)としない。また、仮に被告Cの供述が正しいとすれば、記録線が2時50分ころで終了すべきものであるところ、乙第2号証の2によれば、3時以降にも記録の線が存在している。この点については、3時付近から、時速及び走行距離の記録線上にノイズ上の線が存在していることから、いささか判然としない部分があるが、少なくとも走行距離の記録は3時すぎまで明確に記録されており、その他に記録時刻がずれていることをうかがわせる証拠はないから、同チャートは正確な時刻に基づく記録と-- 認めるのが相当であり、被告Cの供述は信用できない。 本件事故後の処理等( )ア労災給付品川労働基準監督署は、原告に対し、平成13年12月19日、品川労働基準監督署から、遺族補償一時金1499万2000円、遺族特別支給金300万円及び葬祭料89万9520円の支給を決定し、同額を銀行振込みした(甲10の1・2。 )イ略式命令東京区検察庁検察官事 基準監督署から、遺族補償一時金1499万2000円、遺族特別支給金300万円及び葬祭料89万9520円の支給を決定し、同額を銀行振込みした(甲10の1・2。 )イ略式命令東京区検察庁検察官事務取扱検事は、平成14年7月10日、東京簡易裁判所に対し、被告A及び被告Cが、法定の除外事由がないのに、平成12年8月1日から同年9月11日までの間に、千葉県内ほか多数の地域において、労働者であるEに対し、1週間の各日において、1日8時間を超えて計23回にわたり、合計101時間25分の時間外労働をさせたとの公訴事実、平成11年法律第160号による改正前の労働基準法119条1号、32条2項、121条1項の罰条により略式命令の請求をした。東京簡易裁判所は、被告A及び被告Cに対し、平成14年9月5日、平成11年法律第160号による改正前の労働基準法119条1号、32条2項、121条1項により、両者を罰金刑に処した(甲6の2)。 争点1 (被告企業、被告B及び被告CとEとの間における指揮監督関係の有 ( )無)について 被告企業関係( )ア上記11 において認定したところによれば、被告A及び被告企業は双( )( )ア方とも自動車運送取扱業を目的とし、同一の営業場所において営業活動がされており、被告B、被告C及びIが、L取締役会を構成して両社の役員として両社の業務を管理統括しているほか、同取締役会の下に置かれた部署についても、被告Aに所属する者と被告企業に所属する者が混-- 在しているというのであって、これらの事実からすれば、両社は、同一のグループを形成して営業活動をしていたことが認められる。 しかしながら、上記11 イにおいて認定したところによれば、被告( )( )( )イウA及び被告企業は受注する業務において 、同一のグループを形成して営業活動をしていたことが認められる。 しかしながら、上記11 イにおいて認定したところによれば、被告( )( )( )イウA及び被告企業は受注する業務において振り分けがされていた。また、上記12 において認定したとおり、Eは、当初被告企業に入社したもの( )の、その後被告Aに所属が移転し、被告Aが受注した運送業務に従事していたのであることに鑑みれば、被告A及び被告企業は、その受注先及び従業員において区別されていたというべきであり、いわば企業連合的な運用がされていたものであって、これらの事実のみでは、被告企業がEの使用者であると認めるに足りないというべきであるし、その他に被告企業がEの使用者であると認めるに足りる証拠はない。 イなお、被告らは、被告企業とEとの間に指揮監督関係が存在しないと主張し、被告企業は本件の当事者として不適格であるから、被告企業に対する訴えは却下されるべきであると主張するが、いわゆる給付訴訟における当事者適格が原告の主張内容により定まることに照らせば、被告企業も、給付訴訟たる本件に関して被告適格を有するから、被告の主張は採用できない。 被告B関係( )ア被告Bは、上記11 アにおいて認定したとおり、被告Aの代表取締役の( )地位にあり、被告Aの業務全般を統括掌理すべき者であって、常務取締役であった被告Cの担当業務についても、被告Cを適切に指揮監督するなどして従業員の安全に配慮すべき義務があったというべきである。 しかしながら、被告Bは、上記11 イにおいて認定したとおり、従業( )( )イ員であるトラック運転手が時間外労働を行っていることを熟知しており、その点を適切に管理すべき必要性を認識しながら、トラックの運行管理業務について被告Cに任せきりで、何らの 、従業( )( )イ員であるトラック運転手が時間外労働を行っていることを熟知しており、その点を適切に管理すべき必要性を認識しながら、トラックの運行管理業務について被告Cに任せきりで、何らの注意等もしていなかったというの-- であり、被告Aが従業員100人程度の会社であることに照らすと、被告Bには、被告Cを適切に指揮監督するなどして従業員であるトラック運転手の運行管理を適正化し、その健康に配慮すべきであったのにこれを怠った過失があると評価するのが相当である。 イ被告らは、被告Bについて、法人の代表者は現実に被用者の選任・監督を担当していたときに限り、当該被用者の行為について民法715条2項所定の責任を負うべき(最高裁判所第三小法廷昭和42年5月30日判決・最高裁判所民事判例集21巻4号961頁)ところ、被告Bは上記選任・監督を担当していなかったと主張して、被告Bについて責任はないと主張する。 しかしながら、被告らが援用する判例は本件とは事案を異にするものであって、そもそも前提が異なるというべきであるし、原告は、被告Bが代表取締役として業務全般を統括掌理すべきであるのにこれを怠ったことを請求原因としているのであって、被告Bが、被告Cの使用者である被告Aのいわゆる履行代行者であることを主張しているものではないから、この点においても前提が異なるというべきであって、被告らの主張は採用できない。 被告C関係( )ア被告Cについては、上記11 イにおいて認定したとおり、対内的には( )( )イ被告Aの常務取締役として同社のトラックの運行管理についての責任者であったから、トラックの運転手の労働管理についてもまた責任を負っていたというべきであり、被告Aのトラックの運転手であったEとの間には指揮監督関係があったという のトラックの運行管理についての責任者であったから、トラックの運転手の労働管理についてもまた責任を負っていたというべきであり、被告Aのトラックの運転手であったEとの間には指揮監督関係があったというべきである。 イ被告らは、被告Cについて、本件では端的に債務不履行構成を取って被告Aのみを被告とすれば足りるから、同人を被告とするのが不当であると主張するが、給付訴訟における被告適格は原告の主張によって定まるとい-- うことができるし、被告らのいう不当性は、本件請求が認められるか否かには何ら影響しないのであって、被告らの主張は採用できない。 争点2 (本件事故当時、Eが過労状態にあったか否か(安全配慮義務違反の ( )有無)及び争点3 (本件事故の原因(安全配慮義務違反行為とEの死亡との)( )間の因果関係の有無)について) 上記認定事実に対する評価( )アEの就労状況と安全配慮義務違反との関係労働基準法上、労働時間は、原則として1日当たり8時間、1週間当( )アたり40時間を超えてはならず(32条1・2項、同時間を超えて労)働者を労働させるにはいわゆる時間外労働協定が必要であるとされているところ(32条の2ないし4、36条、被告Aにおいては、時間外)労働協定が締結されていなかったのであるから、被告Aにおいては、労働基準法上の原則通りの労働時間のみ、労働させることができるものであって、被告Aにおいて運行管理の責任者であった被告Cも、上記の労働時間のみ労働させる等、労働者の管理をすべき義務を負っていたというべきである。 本件においては、上記13 において認定したところによれば、Eは、( )( )イ平成12年8月1日から同年9月12日まで、総労働時間が338時間58分、うち、時間外労働時間が合計101時間 。 本件においては、上記13 において認定したところによれば、Eは、( )( )イ平成12年8月1日から同年9月12日まで、総労働時間が338時間58分、うち、時間外労働時間が合計101時間25分に及んでいたことが認められるから、被告C及び被告Aには、Eの労働時間を遵守すべき上記義務に違反した過失があり、被告Bには、上記において説示したとおり、被告Cを適切に指揮監督するなどして従業員であるトラック運転手の運行管理を適正化し、その健康に配慮すべきであったのにこれを怠った過失がある。 イ上記と本件事故発生との関係そればかりか、Eについては、上記のとおり長時間労働していたこと( )ア-- に加え、勤務開始時間及び同終了時間が不規則であったこと、勤務開始時間が早朝であり、同終了時間が翌日の早朝になるなど、労働時間が2日にまたがり、かつ深夜帯をもって労働時間とすることも頻回にあったこと、上記の43日中には自宅で休息できない日が18回あって、その場合においては、Eは、臨時便の運転手として東京都内から長野県内、兵庫県内、岡山県内、福岡県内等、相当長距離にわたる運転を行っており、その中間地点において荷の積込み・積卸し作業もしているというEの労働態様からして、トラック内において睡眠等の休息をとっていたことがそれぞれ認められる。 これらの事実からすれば、Eが本件事故当時31歳であったこと(甲1)を考慮しても、平成12年9月13日には、相当重い程度の疲労状態にあったものと推認される。 また、本件事故の状況は、上記14 ア及びイにおいて認定したとおり( )( )イであるところ、Eのトラックと相手方のトレーラーの相対速度は時速約マイナス20キロメートル、すなわち、相手方のトレーラーがEのトラックに向かって時速約20キロメートルで近 とおり( )( )イであるところ、Eのトラックと相手方のトレーラーの相対速度は時速約マイナス20キロメートル、すなわち、相手方のトレーラーがEのトラックに向かって時速約20キロメートルで近づいてくるようにEには見えたものであるところ、本件事故現場付近は照明が暗いものの見通しもよかったのであるから、相手方のトレーラーとの車間距離が減少し、追突の危険を感じた際にはブレーキをかけるか車線変更をするといった措置をとるべきものであり、そうすることが困難であったという事情はうかがわれない。そして、本件事故においては、追突現場に至るまでには擦過痕もブレーキ痕も認められないから、Eがブレーキをかけていたとは認められないし、しかも追突の際、Eのトラックが相手方のトレーラーに正面から追突していることに鑑みると、Eが車線変更をした形跡も認められない。 したがって、通常人であれば容易にとり得ると考えられる措置をEが-- とっていないことから、Eには、上記措置を取り得なかった何らかの理由があったものと推認される。 この理由については、何らかの理由で脇見をしていて相手方のトレーラーを発見するのが遅れたり、相手方のトレーラーが急激に減速するなどして車間距離が突然縮まった場合であって、かつ、身体の反応速度に鑑みてブレーキを踏む行動に出る暇もないときなどが一応考えられるが、相手方のトレーラーが急激に減速したとも認められないし、前方のトラックを直近に至るまで発見し得ないほどに脇見をすることも通常は想定し難い。 他方、上記のとおり、Eは相当重度の疲労状態にあったと推認でき( )( )ウアるところ、重度の疲労状態にある者は、注意力散漫になり、かつ、緊張低下状態になる頻度が高いということができ、かつ、自動車の運転の際には、前方の状況等の確認等のた たと推認でき( )( )ウアるところ、重度の疲労状態にある者は、注意力散漫になり、かつ、緊張低下状態になる頻度が高いということができ、かつ、自動車の運転の際には、前方の状況等の確認等のために一定の注意力及び緊張状態にあることが必要であると考えられるから、注意力散漫・緊張低下状態は、自動車事故の原因として考えられるものであるところ、本件においてはその他に事故の原因となる事情は認められない。 したがって、本件事故は、Eが重度の疲労状態により、注意力散漫・緊張低下状態に至り、これによって相手方のトレーラーを認識することが不可能となったことにより発生したものと認めるべきである。 ウ小括以上によれば、本件においては、被告A、被告B及び被告Cの上記義務違反行為と、本件事故が発生し、Eが死亡するに至ったこととの間に因果関係がある。 当事者の主張に対する判断( )アこれに対して、被告らは、被告Aと被告CがEに計101時間25分の時間外労働をさせたことによりEが過労状態であったとは推認できないと-- 主張するが、上記認定説示のとおり、時間外労働をさせた事実のみならず、Eの労働態様をあわせ考えると、Eについては重度の疲労状態にあったと推認するのが合理的であって、被告らの主張は当を得ない。 イまた、被告らは、Eが本件事故当時も時速127キロメートルで走行していたことを前提に、本件事故現場が上り約3パーセントの勾配があったことから、そのような道路状況で上記時速を出すには積極的にアクセルを踏む必要があり、そのためには意識状態がはっきりしている必要があるし、高速道路の事故原因の統計に鑑みれば、過労による居眠りが原因であるとはいえないと主張する。 しかしながら、Eのトラックのタコグラフチャート(乙2の1)に記載された記録線は、本件事 いる必要があるし、高速道路の事故原因の統計に鑑みれば、過労による居眠りが原因であるとはいえないと主張する。 しかしながら、Eのトラックのタコグラフチャート(乙2の1)に記載された記録線は、本件事故発生時直前には最大値より下回って、時速75ないし80キロメートル前後になっており(このことについて、被告も本件第6回口頭弁論期日において、最大値より下回った後、やや安定していたと述べ、しかも上り坂であるから速度が少し下がったものであると思うと述べている、前記において認定したとおりタコグラフチャート(乙2。)の1)の記録が実際の速度を下回るものであったとしても、この時点におけるEのトラックの速度はせいぜい時速100キロメートル程度であったと認められるから、被告の主張は前提を欠くというべきであるが、さらに、高速道路の事故原因の統計についても、高速道路の事故全般についての統計であって、本件においては、Eの状態等、具体的状況が明らかになっているから、上記統計をそのまま当てはめることはできないというべきである。 したがって、被告のこの主張も採用できない。 争点4 (損害額)について ( ) 以上によれば、被告A、被告B及び被告Cが労働時間の管理を怠り、Eの( )健康ないし安全に対する配慮を怠った過失行為により、本件事故が発生し、-- Eが死亡するに至ったということができるから、Eが死亡したことにより通常生ずべき損害について検討する。 損害の内容( )ア逸失利益(主張額4527万3254円)4025万0918円)、Eは、Eは、昭和44年8月20日生まれの男性で(第2の21 ア( )( )イ本件事故当時31歳であり、Eは、本件事故の発生した前年においては計486万5100円の給与収入があったものと認められる(乙12 昭和44年8月20日生まれの男性で(第2の21 ア( )( )イ本件事故当時31歳であり、Eは、本件事故の発生した前年においては計486万5100円の給与収入があったものと認められる(乙12)から(なお、この点について、原告は、Eの本件事故前3か月の収入の平均をとっているが、被告Aにおける給与制度が歩合制であったことに鑑みると、3か月のみの平均によることは相当でないというべきである、本件事故。)により死亡しなければ、さらに67歳までの36年間就労可能であり、その間に上記収入が少なくとも得られたものと推認される。したがって、同金額を基礎に、生活費として5割(Eの年齢、家族構成等の事情を考慮すると、生活費控除率は5割とするのが相当である)を控除し、ライプニ。 ッツ式計算法により年5分の割合による中間利息を控除して、Eの死亡による逸失利益を算出すると、次の計算式のとおり4025万0918円となる(1円未満切捨て。 )〔計算式〕4,865,100×(1-0.5)×16.5468=40,250,918イ慰謝料(主張額2200万円)2000万円本件事故に至る経緯、本件事故の態様、結果等、上記1において認定した事実のほか、本件弁論に現れた諸事情を考慮すれば、本件事故によるEの死亡慰謝料は、2000万円とするのが相当である。 ウ相続原告は、Eの母であるGとの間で、平成16年3月3日、Eが被告らに対して有するべき債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権について遺産分割協議を行い、原告が単独で相続取得する旨を合意した(第2の-- 23 )から、上記ア及びイの損害賠償請求権を原告が取得した。 ( )エ葬儀料等(主張額200万円)150万円Eが死亡したことにより、葬儀費用等200万円を支出したことが認められるところ(弁 23 )から、上記ア及びイの損害賠償請求権を原告が取得した。 ( )エ葬儀料等(主張額200万円)150万円Eが死亡したことにより、葬儀費用等200万円を支出したことが認められるところ(弁論の全趣旨、うち、150万円については、Eの死亡)により通常生ずべき損害であると認められる。 オ損害填補(主張額1589万1520円)1589万1520円上記15 アにおいて認定したとおり、品川労働基準監督署は、原告に対( )し、平成13年12月19日、遺族補償一時金1499万2000円、遺族特別支給金300万円及び葬祭料89万9520円の支給をしたと認められ、原告は、上記のうち遺族補償一時金及び葬祭料を以て損害の填補であると自認しているところ、損害の填補額としては、原告の主張どおり遺族補償一時金及び葬祭料が含まれ、遺族特別支給金については損害の填補たる性質を有しないと解すべきであるから、前二者の合計額のみを逸失利益及び葬儀料等の損害額から控除すべきものと認められる。 カ弁護士費用458万0000円上記アないしウの損害額から上記オの損害填補額を控除した額は4585万9398円であり、本訴提起時において原告が請求し得る金額はこの限度にとどまるものである。本件記録上、原告が原告訴訟代理人に本件訴訟の提起追行を依頼しその報酬として相当額の支払を約していることが明らかであるところ、本件のような事案については、訴訟代理人に依頼して行うことも合理的であると認められるから、弁護士費用もEの死亡により通常生ずべき損害であるというべきである。そして、本件事案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、原告らが被告らに対して請求できる弁護士費用は、その時点で請求可能な額の1割に相当する458万円であるとするのが相当である。 キ合計5043万9398円 案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、原告らが被告らに対して請求できる弁護士費用は、その時点で請求可能な額の1割に相当する458万円であるとするのが相当である。 キ合計5043万9398円-- 結論 以上によれば、原告は、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償請求と債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償請求とを選択的にしているところ、前者については、被告A、被告B及び被告Cについて、連帯して5043万9398円及びこれに対する不法行為日である平成12年9月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余の請求及び被告企業に対する請求全部については理由がない。後者については、被告企業について、Eとの間に雇用関係ないし指揮監督関係がない以上(争点1 、前者の請求と同様に理由がない。 ( ))したがって、原告の被告らに対する請求は、上記の限度において認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第34部裁判長裁判官藤山雅行裁判官金光秀明裁判官萩原孝基-- (別紙)就労状況表稼働日労働時間時間外労働勤務開始時間~勤務終了時間備考8月1日10時間25分2時間25分1日15時00分~2日02時10分自宅休息2日14時間40分6時間40分2日12時15分~3日12時15分3日4時間00分(なし)3日13時50分~3日17時25分自宅休息4日12時間20分4時間20分4日06時00分~5日03時55分5日9時間05分1時間05分5日08時25分~5日21時00分自宅休息6日6時間10分(なし)6日05時05分~6日16時20分自宅休息7日 分4日06時00分~5日03時55分5日9時間05分1時間05分5日08時25分~5日21時00分自宅休息6日6時間10分(なし)6日05時05分~6日16時20分自宅休息7日12時間20分4時間20分7日14時35分~8日07時10分8日13時間50分5時間50分8日20時00分~9日14時30分自宅休息9日(なし)(なし)自宅休息10日17時間00分9時間00分10日04時40分~11日03時50分11日12時間00分4時間00分11日04時25分~12日04時25分12日5時間20分(なし)12日04時25分~12日16時00分自宅休息13日自宅休息14日自宅休息15日自宅休息16日自宅休息17日13時間05分5時間05分17日08時45分~18日06時30分18日11時間05分3時間05分18日19時00分~19日14時30分自宅休息19日自宅休息20日自宅休息21日7時間55分(なし)21日05時05分~21日23時05分自宅休息-- 22日10時間15分2時間15分22日05時10分~22日22時20分自宅休息23日14時間50分6時間50分23日05時40分~24日02時00分24日5時間30分(なし)24日06時10分~24日13時40分自宅休息25日14時間10分6時間10分25日05時10分~26日05時10分26日10時間50分2時間50分26日05時10分~26日20時30分自宅休息27日自宅休息28日14時間50分6時間50分28日05時30分~29日05時30分29日10時間55分2時間55分29日05時30分~30日03時40分30日9時間35 宅休息27日自宅休息28日14時間50分6時間50分28日05時30分~29日05時30分29日10時間55分2時間55分29日05時30分~30日03時40分30日9時間35分1時間35分30日07時50分~31日05時40分31日3時間15分(なし)31日13時00分~31日17時00分自宅休息9月1日12時間35分4時間35分1日05時30分~2日05時30分2日4時間30分(なし)2日05時30分~3日00時40分自宅休息3日自宅休息4日14時間25分6時間25分4日05時30分~5日5時25分5日5時間30分(なし)5日05時30分~5日20時20分6日14時間15分6時間15分6日01時00分~6日23時40分7日8時間40分40分7日03時45分~7日21時35分8日14時間15分6時間15分8日01時20分~8日19時30分9日7時間20分(なし)9日05時40分~9日17時45分自宅休息10日自宅休息11日10時間00分2時間00分11日05時35分~11日20時30分自宅休息12日4時間03分(なし)12日23時10分~13日03時13分(上記の認定について)労働時間は、Eのトラックのタコグラフチャート(甲9の1ないし34)によ●り、Eが運転していた時間を特定し、他方、被告Aから提出を受けた運転日報-- (甲8の1ないし48)により積込時間を特定し、運転時間と積込時間を各日ごとに合算する。ただし、1日を24で除した各1時間を区切った際、各時間帯において積み込み時間と労働時間の和が1時間を超える場合は、これを1時間と見なす(甲6の6及び14。 。 )各日の労働時間については、次の基準によった(甲6の1 除した各1時間を区切った際、各時間帯において積み込み時間と労働時間の和が1時間を超える場合は、これを1時間と見なす(甲6の6及び14。 。 )各日の労働時間については、次の基準によった(甲6の14。 ●)。 [1]労働時間が暦日内に収まっている場合は、それを各日の1つの労働とする[2]労働時間が2日以上の暦日にまたがっている場合は、始業時点の日の労働とする。ただし、2日以上またがっている労働の中で、作業をしていない一定の時間がある場合、その時間帯の前後で労働を区切り、勤務の再開時点を、新たな日の労働開始とし、この方法により労働を区切ることが困難な場合は始業から24時間経過時で新たな日の労働開始とする。 「備考」欄に「自宅休息」とある日は、休日であるか、又は、勤務終了後、自●宅において休息することができた日を示す。
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