平成18年(行ウ)第78号相続税更正処分取消請求事件主文 本件訴えのうち,主位的請求及び第1次予備的請求に係る訴えをいずれも却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求(主位的請求)処分行政庁が平成17年11月22日付けでした原告に対する平成15年5月14日相続開始に係る相続税の更正処分を取り消す。 (第1次予備的請求)処分行政庁が平成17年11月22日付けでした原告に対する平成15年5月14日相続開始に係る相続税のうち1112万6000円の納税猶予の申立てにつきその要件に該当しないとした処分を取り消す。 (第2次予備的請求)被告は,原告に対し,1112万6000円及びこれに対する平成17年11月29日から支払済みまで年7.3%の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,原告が,別紙物件目録記載の各土地の相続に係る相続税につき,租税特別措置法(平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「措置法」という。)70条の6第1項所定の納税猶予(農地等についての相続税の納税猶予)の適用が受けられなかったことを不服とし,①主位的請求として,名古屋西税務署長(処分行政庁)がした相続税の更正処分の取消しを求め,②第1次予備的請求として,上記納税猶予の適用をしなかった名古屋西税務署長の処分の取消しを求め,さらに,③第2次予備的請求として,上記納税猶予の適用が受けられないものとして支払った相続税相当額の返還を求める事案である。 なお,農地等についての相続税の納税猶予とは,農業相続人が,農業を営んでいた被相続人から相続等により農地等を取得し,その者の農業の用に供していく場合には,その農地等の価額のうち,農業投資価格(農地等が恒久的に耕作又は養蓄の用に供されるものであるとした が,農業を営んでいた被相続人から相続等により農地等を取得し,その者の農業の用に供していく場合には,その農地等の価額のうち,農業投資価格(農地等が恒久的に耕作又は養蓄の用に供されるものであるとした場合に通常成立すると認められる取引価格で,土地評価審議会の意見を聴いて所轄国税局長が決定した価格。措置法70条の6第5,6項。)を超える部分に対する相続税が,担保の提供を条件として猶予され,しかも,当該農業相続人の死亡の日又は申告期限から20年を経過する日若しくは農業相続人がその農地等を農業後継者に対して生前一括贈与する日までのいずれか早い日まで,その農地の農業相続人が農業の用に供してきた場合は,これらの日において,納税猶予されていた相続税が免除されるという制度である。 前提事実(争いがないか証拠上明白である。)(1) 相続の開始ア原告(昭和22年2月28日生)は,平成15年5月14日に実父であるA(昭和2年1月1日生。以下「亡A」という。)が死亡したことにより,別紙物件目録記載の各土地(以下「本件各土地」という。)を相続した。 イ亡Aの相続人は,その長男である原告のほか,妻であるB(大正10年2月15日生),長女であるC(昭和23年10月2日生),二男であるD(昭和27年3月14日生),養子であるE(昭和48年9月30日生)であった。 (2) 原告による相続税の申告と更正処分等ア原告は,平成16年3月8日,名古屋西税務署長に対し,次の内容の相続税の申告書を提出し,その際,同申告書に措置法70条の6第1項所定の納税猶予(以下「本件特例」という。)の適用を受ける旨記載した。 課税価格1億5821万0000円相続税額2060万0900円納税猶予税額1112万6000円納付すべき税額947万4900円イ名古屋西税務 。)の適用を受ける旨記載した。 課税価格1億5821万0000円相続税額2060万0900円納税猶予税額1112万6000円納付すべき税額947万4900円イ名古屋西税務署長は,平成17年11月22日,原告の相続税につき,次のとおり,更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。その際,同税務署長は,原告には本件特例の適用はないものとして納付すべき税額を算定し,同日付けでこれを原告に通知した(以下,これを「本件通知」という。)。 課税価格1億6027万3000円相続税額1872万2700円納税猶予税額0円納付すべき税額1872万2700円ウ原告は,平成17年11月28日,本件通知に従って,同通知に係る「納付すべき税額」である924万7800円のうち,同年4月28日に納付していた相続税等合計12万7100円を除く912万0700円を納付した。 エ原告は,本件更正処分を不服として,平成18年1月19日,名古屋西税務署長に対し異議申立てをしたが,名古屋西税務署長は,同年3月29日,上記異議申立てを却下した(甲3,4)。 オ原告は,上記却下決定を不服として,同年4月20日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたが,同所長は,同年5月23日,上記審査請求を却下するとの裁決をし,同月24日,原告に対し,裁決書が到達した(甲5,6の1・2)。 (3) 本訴提起原告は,同年11月22日,本件更正処分の取消請求(主位的請求)に係る訴えを提起し,平成19年3月1日,各予備的請求を追加した。 関連法令関連法令は別紙関連法令記載のとおりである。 本件の争点(1) 本件更正処分の取消しの訴えに訴えの利益が認められるか(主位的請求)。 (2) 本件通知が行政処分に該当するか(第1次予備的請求)。 (3) 令は別紙関連法令記載のとおりである。 本件の争点(1) 本件更正処分の取消しの訴えに訴えの利益が認められるか(主位的請求)。 (2) 本件通知が行政処分に該当するか(第1次予備的請求)。 (3) 本件各土地の相続に本件特例の適用があるか(第2次予備的請求)。 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)について(原告の主張)本件更正処分は,単に相続税額を減額したものであるのみならず,納付すべき税額を増額したものであり,原告の法的利益を侵害したものである。 このことは,本件更正処分に係る相続税の更正通知書の理由欄に,「納税猶予の特例に該当しないため」と,納付すべき税額の増加(納税猶予額の減額)の理由を記載して,原告にとって不利益な処分であることが示されていることからも明らかである。 したがって,本件更正処分は,単に原告の相続税額を減額しただけではなく,原告の納付すべき税額の増額をも決定した原告に不利益な処分であって,これに対する取消訴訟には訴えの利益が認められるべきである。 (被告の主張)ア一般に,取消訴訟における訴えの利益は,当該処分がその公定力によって有効なものとして存在しているために生じている法的効果を除去することによって回復すべき権利又は法律上の利益があると認められる場合にのみ肯定されるものである。 しかし,本件更正処分は,原告の相続に係る申告書の提出により確定した相続税額を減額したいわゆる減額更正処分であり,原告は,本件更正処分によって有利な効果を得たのであるから,本件更正処分の取消しによって回復すべき権利又は法律上の利益があるとは認められない。 すなわち,更正処分の本質は,税額の確定にあるので,原告にとって,本件更正処分が有利か不利かの判断基準は,申告によって確定した税額が増額したか否かによるところ,本件更正処分によっ とは認められない。 すなわち,更正処分の本質は,税額の確定にあるので,原告にとって,本件更正処分が有利か不利かの判断基準は,申告によって確定した税額が増額したか否かによるところ,本件更正処分によって原告に対して課されるべき相続税額が減少している以上,原告に本件更正処分の取消しを求める訴えの利益はないというべきである。 イ原告は,本件更正処分は,単に相続税額を減額したものであるだけでなく,納税猶予税額の減額及び納付すべき税額の増額をも決定した不利益な処分であると主張する。 しかし,国税通則法24条による更正処分の対象は,「課税標準等又は税額等」であり,「課税標準等」とは同法2条6号イ~ハに掲げる事項をいい,「税額等」とは同号ニ~ヘに掲げる事項をいうところ(同法19条1項),原告が主張する「納税猶予額」及び「納付すべき税額」は,いずれも「課税標準等又は税額等」には該当しない。 したがって,本件更正処分は,納税猶予税額及び納付すべき税額を更正したものではないから,原告の主張は失当である。 (2) 争点(2)について(原告の主張)本件特例の適用がないとの本件通知は,法令に基づく措置とはいえないが,相続税のように申告納税制度を採用する国税にあって,税務署長が申告内容に対して異議を唱えて申告額を超える納付税額を請求することは,常に納税者に不利益な結果を及ぼすものであるから,行政上の処分と変わらない。そして,本件通知は,更正通知書の名の下に減額更正(本件更正処分)と一体としてされたものであり,その結果,本件通知を受けた納税者は,納付請求に応じて不足分を納付せざるを得ないのであるから,行政上の処分であるというべきである。 (被告の主張)相続税の申告書の「納付すべき税額」は,納税猶予の特例の適用を受けるか否かによって増減することになるが,本件特例は 付せざるを得ないのであるから,行政上の処分であるというべきである。 (被告の主張)相続税の申告書の「納付すべき税額」は,納税猶予の特例の適用を受けるか否かによって増減することになるが,本件特例は,措置法等に定められた一定の要件に該当するとの事実が発生すれば,その事実の発生のみをもって,当然に納税猶予という法律上の効果が生ずるものであって,税務署長の判断によって発生・確定するものではない。 また,納税者が,本件特例の適用があることを前提に相続税の申告書を提出した場合に,税務署長が,納税猶予が認められない旨の通知を発することがあるが,当該通知書は,措置法等に定められた一定の要件に該当する事実が存在しないため,本件特例の適用がないことを納税者に通知するものにすぎず,本件特例に関する納税者の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効力(処分性)を有するものでもない。 したがって,本件通知は,行政事件訴訟法3条2項にいう「処分」と解することはできない。 (3) 争点(3)について(原告の主張)ア亡Aによる委託の内容亡Aは,本件各土地について,平成8年から平成9年にかけて西春日井農業協同組合(以下「本件組合」という。)を通じて耕作の全面委託の申込みをし,また,平成15年には本件組合を通じて休耕管理の申込みをし,いずれもオペレーターである有限会社明治トラクター(以下「明治トラクター」という。)に作業を委託した。しかし,これは言葉こそ「全面委託」とされているが,実質的には一部委託にすぎない。 すなわち,亡Aがこれらの委託をした理由は,高齢のため,自ら農業機械を運転・操作して農作業を行うことができなくなったからであり,委託した農作業は,専ら農業機械で行う耕耘,田植え,肥料散布,稲刈り(脱穀,わら処理を含む。)であって,機械による作業よりも時間を要 機械を運転・操作して農作業を行うことができなくなったからであり,委託した農作業は,専ら農業機械で行う耕耘,田植え,肥料散布,稲刈り(脱穀,わら処理を含む。)であって,機械による作業よりも時間を要する除草,水管理については,自らの作業として家族で行っていたのであるから,農作業の全部を委託したものではない。 また,全面委託による場合,オペレーターが費用を負担し,収穫した米の売却代金から費用等を控除して利益が出ればこれを委託者が取得するところ,亡Aが死亡する前年の平成14年3月までは,明治トラクターが亡Aに利益を支払っていたのであるから,実質的に亡Aが農業経営の主体であって明治トラクターに委託料を支払う関係にはなかった。 以上のとおり,亡Aは,本件各土地について,耕作作業を一部委託していたのみであって,死亡の日まで農業を営んでいた者であるといえるから,本件特例の適格性が認められる。 イ農業委員会による適格者証明書措置法施行令40条の7,措置法施行規則23条の8は,相続人が,本件特例の適用を求める場合,相続税の申告書に農業委員会の発行する適格者証明書を添付することを要する旨規定しているところ,これは,被相続人及び相続人の双方が本件特例の適格者であることを地元の農業の実情を知悉している農業委員会の判定にゆだねる趣旨のものであると解すべきであり,農業委員会の証明が事実に反する場合には,農業委員会として証明を取り消すべきであって,それが取り消されないまま税務署長において本件特例の適用がないとすることはできないというべきである。 本件において原告が提出した適格者証明書については何らの措置も執られておらず,依然として有効なものであるから,名古屋西税務署長は,その証明内容に従い,原告に本件特例を適用すべきである。 ウ高齢・病弱による委託の場合の例外的な 格者証明書については何らの措置も執られておらず,依然として有効なものであるから,名古屋西税務署長は,その証明内容に従い,原告に本件特例を適用すべきである。 ウ高齢・病弱による委託の場合の例外的な取扱い本件特例は,農地の相続に当たり,農業経営を継続しようとする農家が農業経営の規模を縮小させない目的で設けられたものである。 ところで,農業経営者が高齢又は病弱により農作業ができなくなった場合にも,同人の死亡後に相続人が農業経営を行う可能性があり,この場合にも農業経営の規模が縮小してしまう可能性がある。すなわち措置法70条の6第1項の「農業を営んでいた個人として政令で定める者」として,措置法施行令40条の7第1項1号は「その生前において有していた法70条の6第1項に規定する農地(中略)につきその死亡の日まで農業を営んでいた個人」を挙げており,これを厳格に解釈すると,高齢又は病弱の農業経営者が長期間農作業ができない場合には本件特例が適用されないこととなり,上記のような本件特例の趣旨に添わない結果となる。 この点,措置法通達70の6-6は,被相続人が死亡の日まで農業を営んでいなかった場合においても,既往において相当の期間農業を営んでおり,かつ,被相続人が老齢又は病弱のため,生前においてその者と住居及び生計を一にする親族に農業経営を移譲していたときは,本件特例の適用を例外的に肯定しており,上記の「その死亡の日まで農業を営んでいた個人」を厳格に解釈すべきではないことを示している。 確かに,上記通達は,本件特例の適用を同居同一生計の親族に経営を移譲している場合に肯定する旨定めているが,他方において,移譲を受けた者が相続開始後も引き続き農業経営を承継したことを要件とはしていないのであって,このことは,被相続人が老齢又は病弱により農業を営めなくなった後死亡 に肯定する旨定めているが,他方において,移譲を受けた者が相続開始後も引き続き農業経営を承継したことを要件とはしていないのであって,このことは,被相続人が老齢又は病弱により農業を営めなくなった後死亡するまでの間,一時的に第三者に農業経営を委託していた場合にも本件特例の適用を肯定する趣旨であると解するのが相当である。 したがって,被相続人が老齢又は病弱により農業を営めなくなった後死亡するまでの間,一時的に当該農地において第三者が農業経営をしていたとしても,相続開始後,相続人が当該農地を相続して農業経営を承継した場合には本件特例の適用が認められるべきである。 本件では,亡Aは,高齢のため,自ら農作業をすることが困難になり,本件各土地について本件組合に農作業を委託し,休耕田について休耕管理の委託を申し出ているが,全面委託の申込みはいつでも解消することができるものとされているのであるから,本件特例の適用を肯定すべきである。 エ 結論 原告は,本件特例を適用しないとの本件通知に従い,平成17年11月28日までに相続税合計1872万2700円を納付したが,このうち当初の申告書に記載した納税猶予額である1112万6000円については,法律上の義務がないのにやむを得ず納付したものであるから,過誤納であり還付請求権を有するものである。 したがって,原告は,被告に対し,還付金1112万6000円及びこれに対する平成17年11月29日(納付の日の翌日)から支払済みまで国税通則法58条1項所定の年7.3%の割合による還付加算金の支払いを求める。 (被告の主張)ア本件特例について相続税は,すべての財産を金銭で評価して課税するものとされており,その財産の価額は,相続又は遺贈によって取得した時における時価により評価するのが原則となっている。農地等を相続又は遺贈により について相続税は,すべての財産を金銭で評価して課税するものとされており,その財産の価額は,相続又は遺贈によって取得した時における時価により評価するのが原則となっている。農地等を相続又は遺贈により取得した場合もその例外ではなく,その農地の価額は,従来より近傍農地の売買実例価額や精通者意見価額を基として評価することになっている。ところが,農地の売買実例価額は,近年,都市化の現象が広く浸透した結果,将来宅地として高額で売却できるとの潜在的な期待益を反映して,本来その土地が専ら農業経営に使用されることを前提としたならば到底成立し得ない高い水準となっている。しかし,このような宅地期待益は,その農地を売却したときに初めて実現するものであり,その農地を農業用地として継続使用している限りにおいては実現しないものである。そのため,農家が農業を継続する意思を有していたとしても,その宅地見込価額の売買実例価額を基礎とした価額をもって農地の価額の評価がされて相続税を課されると,その相続税の納付のために農地の売却を余儀なくされ,農業経営の縮小を招くことになりかねない。 そこで,将来とも永続的に農業を継続する農業者については,その農業の用に恒久的に使用される農地等に対応する相続税額のうち,その農地等の恒久的な農地等としての価格(農業投資価格)を超える部分,いわば宅地期待益部分ともいうべき価額部分に対応する相続税については,一定の要件の下にその納税を猶予するとの特例(本件特例を含む。)が設けられたものである。 イ本件特例の適用要件について本件特例の適用を受けることができる農地は,措置法70条の6第1項において「(被相続人の)農業の用に供されていた農地」と規定されており,農地法2条1項に規定する農地に該当するとともに(措置法70条の4第2項1号),被相続人が死亡 る農地は,措置法70条の6第1項において「(被相続人の)農業の用に供されていた農地」と規定されており,農地法2条1項に規定する農地に該当するとともに(措置法70条の4第2項1号),被相続人が死亡の日までその農業の用に供していた農地でなければならない(措置法施行令40条の7第1項1号)。したがって,例えば,農地であっても他に貸し付けられているものであるとか,全く耕作されずに荒地のまま放置されているような土地である場合には,その死亡の日現在において被相続人の農業の用に供していたことにはならないから,それらの土地は,原則として本件特例の適用対象とはならない。 そして,農地の所有者が他人に耕作を委託し,その耕作者が提供した労務に対して報酬を支払い又は耕作に要した諸資材に対し補償を支払うことを約するいわゆる請負耕作契約によって他人に耕作を請け負わせている場合においては,その請負耕作契約の内容がその農地等に係る耕作の作業の一部である場合を除き,被相続人(農地所有者)の農業の用に供している農地に該当しないものとして取り扱うのが相当である(措置法通達70の6-13,70の4-13)。 ウ原告には本件特例が適用されないこと亡Aは,本件各土地について,その死亡の日(平成15年5月14日)より前の時点(遅くとも平成8~9年)に本件組合に作業の全面委託の申込みをしており,その死亡の日まで本件組合には全面委託を取りやめる旨の書類は提出されていない。 そして,全面委託の場合,作業内容は,オペレーターが作業の一切を行うこととなっているので,田起し,田植え,稲刈りに加え,肥料やり,あぜ道の管理,草取りについてもオペレーターが行うこととなる。さらに,農地の管理,農作業方法の決定権もすべてオペレーターにあり,地主は農作業の管理や作業方法の指示さえも行わない。また,全面委 やり,あぜ道の管理,草取りについてもオペレーターが行うこととなる。さらに,農地の管理,農作業方法の決定権もすべてオペレーターにあり,地主は農作業の管理や作業方法の指示さえも行わない。また,全面委託に係る肥料や苗代はオペレーターが負担し,収穫した米はオペレーターの所有となり,オペレーターが収穫した米を売って得た売却代金を作業代金と相殺勘定し,米代の方が作業代より多ければ,その差額が地主に支払われることになっている。 このように,原告が本件特例の対象であると主張する本件各土地は,本件組合に対し,全面委託されていたのであるから,亡Aの死亡当時,その農業の用に供されていた農地と認められないことは明らかである。 エ 結論 以上から,本件では本件特例の対象農地の要件を欠いているから,原告の平成15年5月14日相続開始に係る相続税について本件特例を適用することはできず,過誤納を生じたとの原告の主張は理由がない。 第3当裁判所の判断 争点(1)について(1) 前記前提事実に証拠(甲1の1,2~6の1)及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件更正処分は,原告の申告に係る相続税額2060万0900円を1872万2700円に減額する減額更正処分であり,原告に有利な効果をもたらす処分であると認められるから,原告にはこれを取り消すことによって回復すべき利益がない。 したがって,本件更正処分の取消請求(主位的請求)に係る訴えは,訴えの利益を欠くものであり,不適法である。 (2) 原告は,本件更正処分が単に相続税額を減額したものであるだけでなく,本件特例を適用せず,納税猶予額を減少させ,納付すべき税額を増額したものであるから,原告には,これを取り消すことによって回復すべき利益がある旨主張する。 しかしながら,税務署長による更正は,納税申告に係る「課税標準等又は税額等 額を減少させ,納付すべき税額を増額したものであるから,原告には,これを取り消すことによって回復すべき利益がある旨主張する。 しかしながら,税務署長による更正は,納税申告に係る「課税標準等又は税額等」を対象とするものであり(国税通則法24条),ここにいう「課税標準等」とは同法2条6号イ~ハの事項をいい,「税額等」とは同号ニ~ヘの事項をいうところ(同法19条1項),原告が主張する「納付すべき税額」は,申告書記載の「申告期限までに納付すべき税額」であって,上記の「税額等」から納税猶予税額を控除した金額であるから,同法24条にいう「税額等」には当たらない。すなわち,本件更正処分は,あくまで原告の相続税に関し「課税標準等」及び「税額等」に変更を加えるものにとどまり,原告に対して本件特例を適用すべきか否かに関する判断を含むものとはいえないから,原告が本件特例の適用を受けることができず,結果として申告に係る「納付すべき税額」を超える納税義務を負うこととなったとしても,それによって生ずる不利益を本件更正処分を取り消すことによって回復することはできない。 したがって,原告には,本件更正処分を取り消すことによって回復すべき利益はない。 争点(2)について本件特例の適用に関しては,措置法上,申告書の提出を受けた税務署長がその適用の有無を決定する旨の規定はなく,税務署長においてその適用の有無に関する判断を示した通知をすべき旨の規定もない。 そうすると,相続税の申告書における本件特例の適用を受けようとする旨の記載は,同特例の適用を求める申請などと解する余地はなく,相続人において同特例の適用を受ける意向を表明する事実上の行為と解すべきであり,その適用の有無に関する税務署長による通知がされる場合であっても,その通知は,本件特例の適用の要件に該当する事実の存否を 続人において同特例の適用を受ける意向を表明する事実上の行為と解すべきであり,その適用の有無に関する税務署長による通知がされる場合であっても,その通知は,本件特例の適用の要件に該当する事実の存否を通知する事実上の行為であると解すべきであるから,このような通知を行政庁の処分と解することはできない。 したがって,名古屋西税務署長がした本件通知も行政処分であると解する余地はないから,原告の第1次予備的請求に係る訴えは,処分性を欠くものとして不適法である(なお,後記3のとおり,本件各土地については本件特例の適用がないと認められるから,名古屋西税務署長がした本件通知は正当なものである。)。 争点(3)について(1) 認定事実前記前提事実に後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア本件組合は,様々な理由から農地の耕作をすることができなくなった農家から耕作作業の委託に関する申込みを受け,実際に耕作を行うオペレーターに当該農地の耕作を依頼するという仲介業務を行っており,本件組合における耕作作業の委託には,全面委託と田植えや収穫などの個別の作業を委託する一部委託がある。 本件組合は,農家から全面委託の申込みを受けると,当該農家に対して申込みの対象となった物件について納税猶予制度を受けていないことを確認し,あぜ道の草取りやどぶさらい程度の作業は当該農家において行うよう説明した上で,その後,オペレーターに作業を依頼していたため,全面委託を申し込んだ農家と実際の作業を行うオペレーターとの間で直接委託に関する交渉等をすることはなかった。本件組合は,受け付けた全面委託に関して「全面委託作業申込一覧表」を作成し,これを管理していた(乙3の1・2,4)。なお,本件組合は,全面委託を申し込む農家に対し,全面委託された農地は当該個人の農業の 組合は,受け付けた全面委託に関して「全面委託作業申込一覧表」を作成し,これを管理していた(乙3の1・2,4)。なお,本件組合は,全面委託を申し込む農家に対し,全面委託された農地は当該個人の農業の用に供されている農地に該当しないので納税猶予の対象とならないと説明していた。 全面委託の依頼を受けたオペレーターは,全面委託を申し込んだ農家から作業方法や管理方法についての指示を受けることはなく,自らの判断に基づいて,田起こし,田植え,稲刈り,肥料やりなどの一切の作業を行い,休耕管理作業も行っていた。これらの作業における苗代や肥料の費用はオペレーターが負担し,収穫した米の販売もオペレーターが行ってその販売代金と作業代金とを相殺勘定し,米の販売代金が作業代金を上回った場合には,その差額を農家に支払っていた(乙3の1・2)。 全面委託や一部委託を申し込んだ農家は,本件組合に対し,委託を取りやめる旨の意思表示をすることで契約を終了させることができるが,このような希望がない限り,契約が自動的に更新されていくものとされていた(乙3の1)。 イ亡Aは,平成8年1月ころ,本件組合に対し,その所有していた農地(西春日井郡a町b。原告の弟であるDが相続したもの。)の全面委託を申し込み,本件各土地についても,平成9年1月ころから,順次,全面委託を申し込んだ(本件組合は,全面委託作業申込一覧表にこれを記載し,管理していた。)。また,亡Aは,平成15年4月24日,その所有していた別紙物件目録記載1の土地につき,休耕管理を申し込んだ(本件組合は,全面委託作業一覧表にこれを記載し,管理していた。)。 上記各申込み後,本件各土地の耕作や休耕管理作業は,すべてオペレーターである明治トラクターが行い,少なくとも,亡Aの預金口座には,平成12年から平成14年までの間に明治トラク ,管理していた。)。 上記各申込み後,本件各土地の耕作や休耕管理作業は,すべてオペレーターである明治トラクターが行い,少なくとも,亡Aの預金口座には,平成12年から平成14年までの間に明治トラクターから委託料の名目で,作業代金と相殺勘定した後の残余の米の販売代金が振り込まれており,また,平成16年3月には,亡Aが明治トラクターに対して休耕管理料金を支払った(乙3の1・2,4~7)。 亡Aは,本件各土地の周辺の農地一円の水については,各部落が毎年持ち回りで管理し,田の水面の高さについても各家庭で管理する建前になっており,雑草が生えると他人の田にも迷惑をかけることから,本件各土地の耕作につき全面委託の申込みをした後も,あぜ道の草取りや水の管理を行っており,これらの作業を原告に手伝わせたこともあった(甲7,原告本人)。 ウ原告は,亡Aが本件各土地における農作業等を全面委託した理由については聞かされておらず,全面委託後は農作業の手伝いが楽になったと感じていた程度であり,オペレーターである明治トラクターによる作業を見たこともなかった(原告本人)。 エ本件各土地の耕作等を委託されていた明治トラクターは,地主からの依頼を受けて米作りをすることを主たる事業内容とする会社であり,本件組合を通じて全面委託を受けた場合の作業内容は,トラクターでの田起こし,代掻き,肥料まき,除草剤の散布,あぜ草の処理など,田で米を作るためのすべての作業となっていた。 このような作業を経て収穫した米は,明治トラクターが取得することとされているが,全面委託の場合には10a当たり12万円くらいの費用を要するため,ここ3年くらいは利益が出ていない状態であった(乙7)。 オ亡Aは,平成15年5月14日に死亡したが,それまでに本件組合に対し,本件各土地に関する耕作の全面委託を取りやめ くらいの費用を要するため,ここ3年くらいは利益が出ていない状態であった(乙7)。 オ亡Aは,平成15年5月14日に死亡したが,それまでに本件組合に対し,本件各土地に関する耕作の全面委託を取りやめる旨の意思を表明したことはなく,継続して明治トラクターによる作業が行われていた。 カ農地等の相続人から相続税の納税猶予に関する適格者証明願を受けた農業委員会は,担当者が現地確認をして土地の現況が農地であることの実質審査を行うが,農家が自ら耕作しているかどうかについては,添付書類による形式審査のみを行って証明書を発行している(乙8)。 (2) 検討ア本件特例は,すべての財産を金銭評価して課税することとされている相続税において,農地の売買実例価額が,将来の宅地転売への期待から,農業経営を前提とした場合には成立し得ないほど高額なものとなっており,このような価格を基準として相続税を課税する場合には,相続税の納付のために農地を売却することを余儀なくされるなど,農業経営の継続を希望する農家の経営規模の縮小を招来する可能性があることにかんがみ,設けられたものと解される。 そして,本件特例の適用を受ける農地は,農地法2条1項に規定する農地,すなわち耕作の目的に供される土地をいうものとされ(措置法70条の4第2項1号),単に地目が農地となっているものの現実に耕作されていない土地が排除されるとともに,被相続人については,当該農地において死亡の日まで農業を営んでいたことが(措置法施行令40条の7第1項1号),相続人については,相続税の申告書の提出期限までに相続によって取得した農地に係る農業経営を開始し,その後引き続き当該農業経営を行うと認められることが必要とされている(同条2項1号)。これらによれば,本件特例は,被相続人によって行われていた農業経営が現実に相続 得した農地に係る農業経営を開始し,その後引き続き当該農業経営を行うと認められることが必要とされている(同条2項1号)。これらによれば,本件特例は,被相続人によって行われていた農業経営が現実に相続人によって承継されている場合における当該農業経営を税制面から保護しようとするものであることが明らかというべきである。 したがって,措置法70条の6第1項所定の「その農業の用に供されていた農地」についても,被相続人が死亡の日まで自らの農業の用に供していた農地をいうものと解するのが相当であり,請負耕作契約により農作業のすべてを第三者に行わせていたような土地はこれに該当しないものと解するのが相当である。 イそこで,本件各土地が,措置法70条の6第1項所定の「(被相続人)の農業の用に供されていた農地」に該当するか否かについて検討するに,上記認定事実によれば,亡Aは,その生前に本件組合を通じて農作業の全面委託の申込みをし,本件各土地の一切の耕作作業及び休耕管理作業をオペレーターに委託しており,自らは水の管理や草刈りをする程度で,機械による作業全般や肥料や苗代の費用の負担,更には収穫物の販売も委託を受けたオペレーターが行い,その収穫物の販売代金をもって作業代金に充てられていたというのであるから,本件各土地における農業経営は,すべてオペレーターである明治トラクターが行っていたものと認められ,亡Aが行っていたものとは認めることができない。したがって,本件各土地は,措置法70条の6第1項所定の「その農業の用に供されていた農地」には当たらない。 以上によれば,本件各土地は,本件特例の適用要件を欠くから,その適用がないことを前提として原告が納付した相続税につき過誤納金が生ずるものとは認められない。 ウ原告の主張の検討(ア) これに対し,原告は,亡Aが,機械による農 本件特例の適用要件を欠くから,その適用がないことを前提として原告が納付した相続税につき過誤納金が生ずるものとは認められない。 ウ原告の主張の検討(ア) これに対し,原告は,亡Aが,機械による農作業以上に時間を要する除草や水の管理などを行っていたことから,本件組合に対する委託は実質的には一部委託であるなどと主張し,原告本人尋問においてこれに沿う供述をする。 しかしながら,原告は,明治トラクターによる実際の作業内容を見たことはないというのであるから,明治トラクターの作業時間を的確に把握していたかについて疑問がある上,明治トラクターは自らの判断や費用負担をもって田起こし,田植え,稲刈り,肥料やりなどの作業全般を行っていたというのであるから,これを一部委託であると認めることはできない。 (イ) また,原告は,農業委員会が発行した適格者証明書が取り消されていない以上,名古屋西税務署長としては,原告に本件特例の適用があるものとして扱うべきであると主張する。 しかし,本件特例は,法律上の実体的要件を充足した場合に適用されるべきものであり,措置法上,農業委員会に本件特例の適否を判断すべき権限が付与されているものと解することもできないのであるから(なお,前記(1)カのとおり,農業委員会は,農家が自ら耕作しているかどうかについては形式審査のみを行っている。),農業委員会の発行した適格者証明書が存在する限り,それが当該相続人の農業経営に関する実態に符合していなくとも,本件特例を適用すべきものと解することはできない。 (ウ) さらに,原告は,措置法通達70の6-6を根拠として,措置法70条の6第1項1号を受けた措置法施行令40条の7第1項1号の「その生前において有していた農地につきその死亡の日まで農業を営んでいた個人」には,老齢又は病弱により農業を営めなく 根拠として,措置法70条の6第1項1号を受けた措置法施行令40条の7第1項1号の「その生前において有していた農地につきその死亡の日まで農業を営んでいた個人」には,老齢又は病弱により農業を営めなくなった後死亡するまでの間,一時的に当該農地において第三者に農業経営をさせていた者も含まれるなどと主張する。 しかし,上記通達は,家族経営的な色彩が強い農業経営において,被相続人が高齢又は病弱などの特別の事情により,その生前に住居及び生計を一にする親族に農業経営を移譲した場合には,実質的に被相続人が農業経営を継続しているのと同視し得ることから,このような被相続人についても措置法施行令40条の7第1項1号の「その死亡の日まで農業を営んでいた個人」に当たるとの解釈を示したものと解するのが相当であって,これを根拠として,その生前に何ら親族関係のない第三者に農業経営を移譲していた被相続人が「その死亡の日まで農業を営んでいた個人」に当たると解することはできない。 (エ) 以上のとおり,原告の主張はいずれも採用することができない。 以上によれば,原告の主位的請求に係る訴え及び第1次予備的請求に係る訴えはいずれも不適法であるからこれらを却下することとし,第2次予備的請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部松並重雄裁判長裁判官前田郁勝裁判官片山博仁裁判官(別紙)物件目録 所在場所西春日井郡a町c面積296.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町d面積801.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町e面積904.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町f面積478.00㎡田・畑等の別田 所在場所 積801.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町e面積904.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町f面積478.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町g面積944.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町h面積757.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町i面積187.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町j面積942.00㎡田・畑等の別田 所在場所西春日井郡a町k面積444.00㎡田・畑等の別田(別紙)関連法令 措置法(農地等についての相続税の納税猶予等)70条の6農業を営んでいた個人として政令で定める者(以下この条において「被相続人」という。)の相続人で政令で定めるもの(以下この条において「農業相続人」という。)が,当該被相続人からの相続又は遺贈によりその農業の用に供されていた農地(中略)の取得(中略)をした場合(中略)には,当該相続に係る相続税法第27条第1項の規定による申告書(当該申告書の提出期限前に提出するものに限る。以下この条において「相続税の申告書」という。)の提出により納付すべき相続税の額のうち,当該農地(中略)で当該申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの(中略)に係る納税猶予分の相続税については,当該申告書の提出期限までに当該納税猶予分の相続税の額に相当する担保を提供した場合に限り,同法第33条の規定にかかわらず,納税猶予期限(中略)まで,その納税を猶予する。 (以下略) 租税特別措置法施行令(平成16年政令105号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)(農地等についての相続税の納税猶予等)40条の7法第70条の6第1項 を猶予する。 (以下略) 租税特別措置法施行令(平成16年政令105号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)(農地等についての相続税の納税猶予等)40条の7法第70条の6第1項に規定する農業を営んでいた個人として政令で定める者は,次に掲げる者のいずれかに該当する者(略)とする。 一その生前において有していた法第70条の6第1項に規定する農地及び採草放牧地につきその死亡の日まで農業を営んでいた個人二略 法第70条の6第1項に規定する被相続人の相続人で政令で定めるものは,次に掲げる者のいずれかに該当する者であることにつき財務省令で定めるところにより農業委員会が証明した者(略)とする。 一当該被相続人からの相続又は遺贈に係る法第70条の6第1項の相続税の申告書の提出期限までに当該相続又は遺贈により取得をした同項に規定する農地及び採草放牧地に係る農業経営を開始し,その後引き続き当該農業経営を行うと認められる者二略(以下略) 租税特別措置法施行規則(平成17年財務省令37号による改正前のもの。以下「措置法施行規則」という。)(農地等についての相続税の納税猶予を受けるための手続等)23条の8施行令第40条の7第2項に規定する証明は,法第70条の6第1項に規定する被相続人(以下この条において「被相続人」という。)の相続人で当該被相続人からの相続又は遺贈(略)により同項に規定する農地及び採草放牧地の取得(略)をしたものの申請に基づき,当該農地及び採草放牧地の所在地を管轄する農業委員会が,当該相続人が施行令40条の7第2項の規定に該当することを明らかにする事実を記載した書類により行うものとする。 (以下略) 租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて(平成16年6月課資2-8による改正前のもの。以下 項の規定に該当することを明らかにする事実を記載した書類により行うものとする。 (以下略) 租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて(平成16年6月課資2-8による改正前のもの。以下「措置法通達」という。)70の6-6措置法第70条の6第1項に規定する「農業を営んでいた個人として政令で定める者」とは,措置令第40条の7第1項に規定する者をいうのであるが,同項第1号に規定する「その生前において有していた法70条の6第1項に規定する農地及び採草放牧地につきその死亡の日まで農業を営んでいた個人」には,被相続人が,死亡の日まで農業を営んでいなかった場合においても既往において相当の期間農業を営んでおり,かつ,次の(1)又は(2)に掲げる事実があるときは,その者もこれに含まれるものとして取り扱う。 (1) 被相続人が老齢又は病弱のため,生前において,その者と住居及び生計を一にする親族に農業経営を移譲していたこと。 (2) 略
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