主文 1 第1ないし第3原告目録記載の原告らの訴えに基づき、建設大臣が平成12年1月19日に行った別紙事業認定を取り消す。 2 第4原告目録記載の原告らの被告国土交通大臣に対する訴えをいずれも却下する。 3 被告東京都収用委員会が、第5原告目録記載の原告らに対し、それぞれ別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表記載のとおり、平成14年9月30日に行った各明渡裁決をいずれも取り消す。 4 被告東京都収用委員会が、第5ないし第7原告目録記載の原告らに対し、それぞれ別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表記載のとおり、平成14年9月30日に行った各権利取得裁決をいずれも取り消す。 5 訴訟費用のうち、第1ないし第3及び第5ないし第7原告目録記載の原告らに生じた費用は被告両名の負担とし、その余の費用は参加によって生じた費用を含めて各自の負担とする。 事実及び理由 (略称)以下においては、次のとおり、各事項について略称を用いる。 第1原告ら別紙当事者目録のうち第1原告目録記載の原告らをいう。同目録第2ないし第7原告目録記載の原告らについても、この例により略称する。 被告国土交通大臣第1事件被告国土交通大臣明白であるときは単に「被告」と記載することがある。 被告収用委員会第2事件被告東京都収用委員会明白であるときは単に「被告」と記載することがある。 起業者第1事件及び第2事件参加人兼後記本件事業の起業者である国(建設大臣・当時)及び日本道路公団本件不動産1 第1事件について使用される別紙不動産目録記載の各不動産のうち、記載1の不 第1事件及び第2事件参加人兼後記本件事業の起業者である国(建設大臣・当時)及び日本道路公団本件不動産1 第1事件について使用される別紙不動産目録記載の各不動産のうち、記載1の不動産。記載2以下の不動産についてもこの例により略称する。 本件各不動産別紙不動産目録記載の各不動産の総称本件土地1 第2事件について使用される別紙土地目録記載の各土地のうち、記載1の土地。記載2以下の土地についてもこの例により略称する。 本件各土地別紙土地目録記載の各土地の総称法土地収用法圏央道一般国道468号[一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道」]本件都市計画決定都市計画決定権者(平成11年7月16日法律第87号による改正前の都市計画法15条1項)であった東京都知事が、平成元年3月13日、都市計画法(平成11年7月16日法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)に定める手続を経て、同法4条5項の都市施設(道路)として、本件事業について行った都市計画決定本件事業一般国道468号新設工事[一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道」新設工事](東京都あきる野市α1地内から同市α2地内までの間、青梅市α3地内から同市α4地内までの間及び同市α5地内から同市α6地内までの間)及びこれに伴う附帯事業並びに市道付替工事本件事業認定本件事業について、建設大臣(当時)が平成12年1月19日付けで行った別紙事業認定事業認定庁国土交通大臣(本件事業認定当時は建設大臣)本件起業地本件事業認定の起業地本件事業 2年1月19日付けで行った別紙事業認定事業認定庁国土交通大臣(本件事業認定当時は建設大臣)本件起業地本件事業認定の起業地本件事業区間一般国道468号[一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道」]事業のうち、八王子市α7地内の中央自動車道との接続点である八王子ジャンクション(仮称)から青梅市α8地内の青梅インターチェンジまでの間を結ぶ延長20.30キロメートルの区間本件起業地区間本件事業区間のうち、あきる野市α1地内から同市α2地内までの延長1.93キロメートルの区間、青梅市α3地内から同市α4地内までの延長0.61キロメートルの区間及び同市α5地内から同市α6地内までの延長0.81キロメートルの区間の合計3.35キロメートルの区間本件道路本件事業区間に建設を予定されている道路構造令第1種3級の規格による4車線の一般有料の自動車専用道路東京都環境条例東京都環境影響評価条例(昭和55年10月20日条例第96号)技術指針東京都環境影響評価技術指針(昭和62年7月東京都告示第835号)本件環境影響評価圏央道(一般国道20号~埼玉県境間)建設の実施が環境に及ぼす影響について、東京都環境影響評価条例等に基づいて行った環境影響評価本件環境影響評価書本件環境影響評価に基づいて作成された評価書(乙7号証)本件再評価計画交通量の変更に伴い、事業認定庁が平成32年を予測時点として一部の項目を対象として行った環境影響評価の再実施(乙5号証189頁以下)本件明渡裁決東京都収用委員会が平成14年9月30日に行った別紙権利取得裁決 平成32年を予測時点として一部の項目を対象として行った環境影響評価の再実施(乙5号証189頁以下) 本件明渡裁決 東京都収用委員会が平成14年9月30日に行った別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表記載の各明渡裁決の総称 本件権利取得裁決 東京都収用委員会が平成14年9月30日に行った別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表記載の各権利取得裁決の総称 本件収用裁決 本件明渡裁決と本件権利取得裁決の総称 平成7年最高裁判決 最高裁平成7年7月7日判決民集49巻7号1870頁、同民集49巻7号2599頁 目次 <申立> 1 第1事件 2 第2事件 <事案の概要> <前提となる事実> 1 原告ら(第1事件) 2 原告ら(第2事件) 3 本件事業に係る全体事業計画 4 本件事業に係る事業認定申請 5 本件事業認定 6 本件事業に係る収用裁決申請 7 本件収用裁決 8 本件各不動産の所在 9 明渡の事実 <認定事実> 第1 法令等(事業認定関連)(収用裁決関連)(環境影響評価)(環境基準) 1 騒音に関する環境基準 2 新環境基準 3 騒音規制法に基づく自動車騒音の要請基準 4 大気の汚染に係る環境基準(道路公害に関する裁判例等) 1 国道43号線訴訟上告審判決(平成7年最高裁判決) 2 川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟判決 大気の汚染に係る環境基準(道路公害に関する裁判例等) 1 国道43号線訴訟上告審判決(平成7年最高裁判決) 2 川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟判決 3 川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟控訴審和解 第2 本件事業認定及び本件収用裁決に至る経緯 1 圏央道全体の事業経緯 2 本件事業の概要 3 本件事業に係る圏央道建設計画の経緯(都市計画決定手続) 4 事業評価監視委員会における再評価 5 工事の着手及び完成の予定年月日の変更 6 本件事業認定の手続 7 本件事業申請書及びその添付資料の概要 8 事業認定における環境影響評価 9 本件道路の計画交通量の見直しに伴う本件事業の実施が環境に及ぼす影響に関する再予測・評価 10 公害調停(乙5号証493頁) 11 被告収用委員会の本件収用裁決に至る経緯 第3 本件事業認定における環境影響評価の内容 1 手続の概要 2 本件環境影響評価書の概要 3 本件再評価の内容 4 技術指針の改定の影響 <第1事件についての判断> 第1 原告適格 1 原告適格 2 考え方 3 第2原告ら及び第3原告らの原告適格 4 事業認定の単位 第2 本件事業認定の適法性 1 事業認定の要件とその該当性の判断手法 (1) 法20条所定の要件 (2) 法20条3号 (3) 瑕疵ある営造物の設置を目的とする 法性 1 事業認定の要件とその該当性の判断手法(1) 法20条所定の要件(2) 法20条3号(3) 瑕疵ある営造物の設置を目的とする事業の取扱い(事業認定の前提要件)(4) (3)の前提要件を満たす申請についての事業認定庁の審査のあり方 2 本件事業認定の違法性(その1)-前提要件非該当性(1) 騒音被害(2) 大気汚染(3) 小括 3 本件事業認定の違法性(その2)-法20条3号非該当性(1) 事業施行の必要性(2) 本件事業によって得られる便益(3) あきる野インターチェンジを建設する必要性(4) 代替案検討の欠如(5) 小活 4 結論<第2事件についての判断> 1 訴えの適法性 2 事業認定の違法性の承継 100<事情判決について> 102<結論> 103<当事者の主張> 105第1 第1事件 105(被告国土交通大臣及び起業者の主張) 105 1 原告適格 105(1) 第1事件の原告適格 105(2) 第1原告らの原告適格 106(3) 第2及び第3原告らの原告適格 106(4) 第4原告らの原告適格 107 2 本件事業認定の手続的適法性 107 3 本件事業認定が、法20号1号及び2号の要件を満たしていること 108(1) 法20条3号の解釈 108(2) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって 3 本件事業認定が、法20号1号及び2号の要件を満たしていること 108(1) 法20条3号の解釈 108(2) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益 109(3) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益 111(4) 得られる公共の利益と失われる利益の比較衡量 113(5) 原告らの主張に対する反論 115(6) 法20条4号の要件 134(7) 事業の認定(法20条3号及び4号)の裁量性と司法審査の在り方 134(原告らの主張) 135 1 第2及び3原告らの原告適格 135 2 第4原告らの原告適格 136 3 本件事業に公益性がないこと 138 4 本件事業の重大かつ明白な瑕疵(瑕疵ある営造物の建設) 151 5 自然破壊 157 6 遺跡・文化財破壊 158 7 アセスメントの欠陥 159 8 本件都市計画決定の瑕疵 162 9 本件事業認定の手続的違法 163第2 第2事件 164(被告収用委員会の主張) 164 1 原告適格 164 2 収用裁決の適法性 165(原告の主張) 171 1 事業認定の違法性の承継 171 2 本件収用裁決の手続的違法 171当事者目録 173第1原告目録 176第2原告目録 177第3原告目録 178第4原告目録 182第5原告目録 183第6原告目録 184第7原告目録 185原告代理人弁護士目録 188事業認定 189不動産目録 190土地目録 目録 182第5原告目録 183第6原告目録 184第7原告目録 185原告代理人弁護士目録 188事業認定 189不動産目録 190土地目録 195権利取得裁決及び明渡裁決一覧表 201<申立> 1 第1事件(1) 原告ら被告国土交通大臣が平成12年1月19日に行った本件事業認定を取り消す。 (2) 被告国土交通大臣ア本案前の答弁(ア) 原告P1(承継人P2)の訴えのうち、別紙不動産目録記載9ないし16の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも却下する。 (イ) 原告P3の訴えのうち、別紙不動産目録記載1ないし12の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも却下する。 (ウ) 原告P4の訴えのうち、別紙不動産目録記載1ないし8、13ないし16の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも却下する。 (エ) 原告P5の訴えのうち、別紙不動産目録記載1ないし11、13ないし16の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも却下する。 (オ) 第2原告目録ないし第4原告目録記載の原告らの訴えをいずれも却下する。 イ本案の答弁(ア) 原告P1(承継人P2)の訴えのうち、別紙不動産目録記載1ないし8の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (イ) 原告P3の訴えのうち、別紙不動産目録記載13ないし16の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (ウ) 原告P4の訴えのうち、別紙不動産目 (イ) 原告P3の訴えのうち、別紙不動産目録記載13ないし16の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (ウ) 原告P4の訴えのうち、別紙不動産目録記載9ないし12の各不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (エ) 原告P5の訴えのうち、別紙不動産目録記載12の不動産について、本件事業認定の取消しを求める部分を棄却する。 2 第2事件(1) 原告ら被告収用委員会が、別紙土地目録記載の各土地について、平成14年9月30日に行った本件収用裁決を取り消す。 なお、本件収用裁決は、本件明渡裁決と本件権利取得裁決とからなるもので、明渡裁決は収用の対象となった土地を占有している者(第5原告ら)を名宛人とし、権利取得裁決は収用の対象となった土地につき何らかの権利を有している者(第5原告らないし第7原告ら)を名宛人とするものであるところ、原告らが求めているのは、各自が名宛人となったそれぞれの裁決の取消しであり、共同原告の関係ではあっても第三者を名宛人とする裁決の取消しを求める趣旨ではないものと解される。 (2) 被告収用委員会ア本案前の答弁(ア) 原告P1(承継人P2)の訴えのうち、被告が本件土地1ないし17についてした権利取得裁決及び明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (イ) 原告P2の訴えのうち、被告が本件土地1ないし26についてした権利取得裁決及び明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (ウ) 原告P3の訴えのうち、被告が本件土地1ないし8、13ないし27についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも 部分をいずれも却下する。 (ウ) 原告P3の訴えのうち、被告が本件土地1ないし8、13ないし27についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (エ) 原告P4の訴えのうち、被告が本件土地1ないし12、18ないし27についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (オ) 原告P5の訴えのうち、被告が本件土地1ないし12、14ないし27についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (カ) 原告P6の訴えのうち、被告が本件土地9ないし13、18ないし27についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 (キ) 第6原告目録及び第7原告目録記載の各原告の訴えのうち、被告が本件土地1ないし24及び27記載の各土地についてした権利取得裁決及び本件各土地についてした明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも却下する。 イ本案の答弁(ア) 原告P1(承継人P2)の訴えのうち、被告が本件土地18ないし27についてした権利取得裁決及び明渡裁決の各取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (イ) 原告P2の訴えのうち、被告が本件土地27についてした権利取得裁決及び明渡裁決の各取消しを求める部分を棄却する。 (ウ) 原告P3の訴えのうち、被告が本件土地9ないし12についてした権利取得裁決の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (エ) 原告P4の訴えのうち、被告が本件土地13ないし17についてした権利取得裁決の取消しを求める部分をいずれも棄却す ついてした権利取得裁決の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (エ) 原告P4の訴えのうち、被告が本件土地13ないし17についてした権利取得裁決の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (オ) 原告P5の訴えのうち、被告が本件土地13についてした権利取得裁決の取消しを求める部分を棄却する。 (カ) 原告P6の訴えのうち、被告が本件土地1ないし8、14ないし17についてした権利取得裁決の取消しを求める部分をいずれも棄却する。 (キ) 第6原告目録及び第7原告目録記載の原告らの請求をいずれも棄却する。 <事案の概要>本件は、圏央道あきる野インターチェンジ建設予定地に所有権などの権利を有する原告ら及び周辺住民である原告らが、圏央道は建設の必要性がなく、周辺の環境を悪化させるものであるから、圏央道について事業認定を行うことは土地収用法20条3号及び4号の要件を満たしておらず、また、本件事業認定に際して周辺住民の意見を十分反映させていないことなど事業認定の手続にも違法があったとして、起業者の申請に基づき、建設大臣が平成12年1月19日に行った(中央省庁等改革関係法施行法1301条の規定により被告国土交通大臣が行った処分とみなされる。)本件事業認定の取消しを求め(第1事件)、さらに、本件事業認定を受けて被告収用委員会が行った本件収用裁決(権利取得裁決及び明渡裁決)について、本件事業認定の違法性が承継され、かつ収用裁決手続にも固有の違法があったとして、本件収用裁決の名宛人となった原告らが、その取消しを求めた事案(第2事件)である。なお、両事件について、本件事業の起業者である国及び日本道路公団が行政事件訴訟法22条により訴訟参加している。 <前提となる事実>(認定した事実には証拠を掲げる。 を求めた事案(第2事件)である。なお、両事件について、本件事業の起業者である国及び日本道路公団が行政事件訴訟法22条により訴訟参加している。 <前提となる事実>(認定した事実には証拠を掲げる。) 1 原告ら(第1事件)(1) 第1原告らは、本件起業地に存する本件各不動産に所有権移転登記ないし共有持分移転登記を有している者である。 第1原告P1(承継人P2)は本件不動産1ないし7に所有権移転登記、本件不動産8について共有持分移転登記(持分2分の1)、同P4は本件不動産11に所有権移転登記、本件不動産9、10及び12に共有持分移転登記(本件不動産9及び10について持分2分の1、本件不動産12について持分5分の2)、同P5は本件不動産12に共有持分移転登記(持分5分の3)、同P3は本件不動産13ないし16に共有持分移転登記(本件不動産13及び14について持分2分の1、本件不動産15及び16について持分10分の1)をそれぞれ有している(丙25号証ないし40号証)。 なお、原告P1は、平成16年1月14日死亡しており、相続人間の協議により同人の妻であるP2が本件訴訟を承継した(相続人間で同人の遺産全体についての遺産分割協議が整ったことを認め得る資料はないが、少なくとも本件原告の地位の承継については協議が整っていることが明らかであり、訴訟の承継についてはそれで足りるというべきである。)。 (2) 第2原告ら及び第3原告らは、本件不動産1にそれぞれ賃借権準共有持分設定登記又は同移転登記を有している(第2原告らについて持分32分の1、ただし同P7については3200分の19、第3原告らについて持分3200分の1。 なおその真正については争いがある。)。 (3) 第4原告らは、本 有している(第2原告らについて持分32分の1、ただし同P7については3200分の19、第3原告らについて持分3200分の1。 なおその真正については争いがある。)。 (3) 第4原告らは、本件起業地付近に居住する者らであり、本件事業によって公害被害を受ける危険があることを主張して、本件事業認定の取消しを求めている。 2 原告ら(第2事件)(1) 第5原告P1(承継人P2)は本件土地18ないし27を、同P2は本件土地27を、同P3は本件土地9ないし12を、同P4は本件土地13ないし17を、同P6は本件土地1ないし8、14ないし17をそれぞれ所有又は共有している者らであり、同P5は本件土地13上に建物(本件不動産12)を共有し、同土地について使用借権を有している(原告P1の訴訟承継については前記1(1)のとおり。)。 (2) 第6原告ら及び第7原告らは、本件土地25及び26について賃借権の準共有持分を有する者らである(第6原告らについて持分32分の1、第7原告らについて持分3200分の1。なお、その真正については争いがある。)。 3 本件事業に係る全体事業計画圏央道は、横浜市、神奈川県厚木市、東京都八王子市、同青梅市、埼玉県川越市、茨城県つくば市、千葉県成田市、同木更津市(以下、市町を表示する際、都県名は省略する。)等といった東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより、地域間の交流を拡大し、地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに、首都圏から放射状に伸びる高速自動車国道である第一東海自動車道、中央自動車道西宮線、関越自動車道新潟線、東北縦貫自動車道弘前線、常磐自動車道、東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより、都心部への 自動車国道である第一東海自動車道、中央自動車道西宮線、関越自動車道新潟線、東北縦貫自動車道弘前線、常磐自動車道、東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより、都心部への交通の集中を緩和し、都心部一極集中型から多極分散型への転換による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路である(乙1号証10ないし12頁、2号証)。 4 本件事業に係る事業認定申請起業者国(当時建設大臣代理人関東地方建設局長、現在は国土交通大臣代理人関東地方整備局長)及び同日本道路公団は、圏央道事業のうち、八王子市α7地内の中央自動車道との接続点である八王子ジャンクション(仮称)から青梅市α8地内の青梅インターチェンジまでの間を結ぶ延長20.30キロメートルの区間(本件事業区間)を全体計画区間として、道路構造令第1種3級の規格による4車線の一般有料の自動車専用道路(本件道路)の新設工事(本件事業)を計画し、平成11年8月20日、被告に対し、本件事業区間のうち、あきる野市α1地内から同市α2地内までの延長1.93キロメートルの区間、青梅市α3地内から同市α4地内までの延長0.61キロメートルの区間及び同市α5地内から同市α6地内までの延長0.81キロメートルの区間の合計3.35キロメートルの区間(本件起業地区間)について、事業の認定の申請をした(乙1号証13頁)。 5 本件事業認定建設大臣(当時)は、平成12年1月19日、別紙事業認定のとおり事業の認定(本件事業認定)を行ったが、平成13年1月6日施行の中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)1301条の規定により、従前の建設大臣がした事業認定処分は、同法1068条の規定による改正後の土地収用 定)を行ったが、平成13年1月6日施行の中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)1301条の規定により、従前の建設大臣がした事業認定処分は、同法1068条の規定による改正後の土地収用法に基づき被告国土交通大臣がした処分とみなされることとなった。 6 本件事業に係る収用裁決申請起業者は、平成12年10月31日、被告収用委員会に対し、別紙土地目録記載1ないし11及び13ないし15の各土地について、法39条1項及び47条の2第3項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(以下「本件第1次申請」という。)(丁12号証ないし18号証の各1及び2)。 また、起業者は、同年11月30日、被告に対し、本件土地18ないし21、25及び27について、上記各条項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(以下「本件第2次申請」という。)(丁19号証ないし22号証の各1及び2)。 なお、上記審理の過程で、原告P6は本件土地8、16及び17、同P3は本件土地12、同P4は本件土地16及び17、同P1は本件土地22ないし24及び26について、それぞれ残地収用の請求をした(丁1号証ないし11号証)。 7 本件収用裁決被告収用委員会は、裁決申請書、明渡裁決申立書及びそれらの添付書類、土地所有者等から提出された意見書、審理において表明された意見、現地調査によって得られた資料等を検討した結果、平成14年9月30日、別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表のとおり、それぞれ権利取得裁決及び明渡裁決を行い、同年10月10日までに、原告らに対し、裁決書正本を送達した(丁1号証ないし11号証)。 8 本件各不動産の所在本件起業地には、本件不動産8、11、13及び16の全部並びに本件不動産1、3 10日までに、原告らに対し、裁決書正本を送達した(丁1号証ないし11号証)。 8 本件各不動産の所在本件起業地には、本件不動産8、11、13及び16の全部並びに本件不動産1、3ないし5、7、9、10及び15の一部(いずれも土地)が含まれている。 また、本件起業地上には、本件不動産2、6、12及び14(いずれも建物)が存在している。 9 明渡の事実起業者は、本件明渡裁決に基づき、東京都知事に対し、法102条の2第2項に基づき、代執行の請求をしたところ、原告P3は平成16年2月12日に本件土地9ないし12を、同P4は同月20日に本件土地13ないし17を、同P5は同日に本件土地13を、同P6は同月10日に本件土地1ないし8及び14ないし17をそれぞれ起業者に引き渡した(戊1号証ないし4号証)。 <当事者の主張>別紙当事者の主張のとおり<認定事実>第1 法令等(事業認定関連) 1 土地収用法3条1号は、土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業の一つとして、「道路法(昭和27年法律第180号)による道路」を掲げている。 2 土地収用法17条1項1号は、起業者が国である事業については、国土交通大臣(ただし、本件事業認定当時は建設大臣)が事業の認定に関する処分を行うことを定めている。 3 土地収用法20条は、事業認定庁が事業の認定をすることができるための要件を定めている。そのうち、同条3号は「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」と定め、同4号は「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」と定めている。 4 都市計画法11条1項1号は、都市計画に定める都市施設の一つとして、「道路」を掲げている。 同法は、その第4章で、都市計画事業 使用する公益上の必要があるものであること」と定めている。 4 都市計画法11条1項1号は、都市計画に定める都市施設の一つとして、「道路」を掲げている。 同法は、その第4章で、都市計画事業の規定を設けている。同法59条1号は、都市計画事業は、都道府県知事又は国土交通大臣の認可又は承認を受けて施行することを定め、同法61条は、認可等の実体的要件として、「事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。」(1号)、「事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があったこと又はこれらの処分がされることが確実であること。」(2号)と定めている。 他方、同法70条1項は、都市計画事業については、土地収用法20条の規定による事業の認定は行わず、都市計画法59条の規定による認可又は承認をもってこれに代えるものとすることを定めている。 (収用裁決関連) 1 土地収用法39条1項は、起業者は、同法26条第1項の規定による事業の認定の告示があった日から1年以内に限り、収用し、又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用又は使用の裁決を申請することができることを定めている。 2 同法47条は、収用又は使用の裁決の申請が以下の各号の一に該当するときその他この法律の規定に違反するときは、収用委員会は、裁決をもって申請を却下しなければならないことを定めている。 (1) 申請に係る事業が第26条第1項によって告示された事業と異なるとき(2) 申請に係る事業計画が第18条第2項第1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき。 3 同法47条の2第1項は、「収用委員会は、前条の規定によって申請を却下する場合を除くの外、収 第2項第1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき。 3 同法47条の2第1項は、「収用委員会は、前条の規定によって申請を却下する場合を除くの外、収用又は使用の裁決をしなければならない。」と定め、同2項は、「収用又は使用の裁決は、権利取得裁決及び明渡裁決とする。」と定めている。 (環境影響評価) 1 東京都環境影響評価条例(東京都環境条例)東京都は、昭和55年、東京都環境影響評価条例(昭和55年条例96)を定め、その評価手法について東京都環境影響評価技術指針(昭和62年7月東京都告示第835号)を定めている。 (1) 同条例は、環境影響評価及び事後調査の手続に関し必要な事項を定めることにより、事業の実施に際し、公害の防止、自然環境及び歴史的環境の保全、景観の保持等について適正な配慮がなされることを期し、もって都民の健康で快適な生活の確保に資することを目的とするもの(1条)であり、第2条3号別表に掲げる事業でその実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるものとして東京都規則で定める要件に該当するものを対象事業としている。 (2) 同条例では、事業者は、対象事業を実施しようとするときは、知事があらかじめ定める環境影響評価に係る技術上の指針(技術指針)に基づき、当該対象事業の実施が環境に及ぼす影響について調査等を行い、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した環境影響評価案及びその概要を作成し、規則で定める時期までに知事に提出しなければならないこととされている(9条1項)。 一事業者の氏名及び住所二対象事業の名称、目的及び内容三評価書案の作成前に代替案を検討した場合にあっては、その経過四調査の結果五環境に影響を及ぼ 一事業者の氏名及び住所二対象事業の名称、目的及び内容三評価書案の作成前に代替案を検討した場合にあっては、その経過四調査の結果五環境に影響を及ぼす地域並びに環境に及ぼす影響の内容及び程度六環境の保全のための措置七環境に及ぼす影響の評価八対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれのある地域九前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項(3) 予測及び評価の項目は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、震動、地盤沈下、悪臭、日照阻害、電波障害その他の公害、植物、動物その他の自然環境、史跡、文化財その他の歴史的環境、景観等について、既に得られている科学的知見に基づき予測及び評価を行うことが可能なもののうちから選択するものとされている(10条)。 (4) 知事は、提出された評価書案を前記(2)五の地域を管轄する市町村長等に送付するとともに許認可権者に通知し(12条)、市町村長等の意見を聴いた上、当該対象事業に係る関係地域を定めて評価書案の概要を公示するとともに評価書案を縦覧に供し(13条、16条)、審査意見書を東京都環境影響評価審議会に諮問することとされている(14条)。 (5) 事業者は関係地域に対する説明会を行い(17条)、知事は、都民から意見書の提出を受けるほか(18条)、関係区市町村の意見を求め(19条)、公聴会を開催し(20条)、事業者に各意見に対する見解書を提出させ(21条)た後、審査意見書を作成し(22条)、これを受けて、事業者が環境影響評価書(23条)を作成して知事に提出することとなる。 2 環境影響評価法(平成9年法律第81号)の施行に伴い、上記東京都環境影響評価条例 査意見書を作成し(22条)、これを受けて、事業者が環境影響評価書(23条)を作成して知事に提出することとなる。 2 環境影響評価法(平成9年法律第81号)の施行に伴い、上記東京都環境影響評価条例も改正され、平成11年6月12日から施行された。 また、東京都環境影響評価技術指針については、平成6年7月に改正されており、改正後の技術指針(乙4号証187-3-41頁)においては、大気汚染及び騒音について、地表付近の予測とあわせて必要に応じて高所における影響を予測・評価することが追加されるようになった(なお、改正後の技術指針は、平成7年4月以降に提出される環境影響評価書案から適用されるものとされており、本件環境影響評価書には適用されていない。乙5号証172頁)。 (環境基準) 1 騒音に関する環境基準(1) 旧環境基準(甲108号証、乙7号証の165頁)公害対策基本法に基づく騒音に係る環境基準(昭和46年5月25日閣議決定、昭和47年5月1日東京都告示519・乙7号証165頁表5.3-4)によれば、本件起業地を含むA地域についての騒音基準は以下のとおり定められている。 ア A地域(第1種住居専用地域、第2種住居専用地域、住居地域並びにこれに接する地先及び水面に該当する地域)①6時から8時まで(朝) 45ホン以下②8時から19時まで(昼間) 50ホン以下③19時から23時まで(夕) 45ホン以下④23時から翌朝6時まで(夜間) 40ホン以下イ A地域のうち、2車線を有する道路に面する地域①6時から8時まで(朝) 50ホン以下②8時から19時まで(昼間) 55ホン以下③19時から23時まで(夕) 50ホン以下④23 道路に面する地域①6時から8時まで(朝) 50ホン以下②8時から19時まで(昼間) 55ホン以下③19時から23時まで(夕) 50ホン以下④23時から翌朝6時まで(夜間) 45ホン以下ウ A地域のうち、2車線を越える車線を有する道路に面する地域①6時から8時まで(朝) 55ホン以下②8時から19時まで(昼間) 60ホン以下③19時から23時まで(夕) 55ホン以下④23時から翌朝6時まで(夜間) 50ホン以下 2 新環境基準(甲107号証)平成10年9月30日環境庁告示第64号、平成12年3月31日東京都告示第420号によれば、本件起業地を含むA地域についての騒音基準は以下のとおり定められている。 (1) A地域(第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域)のうちの一般地域①6時から22時まで(昼間) 55デシベル以下②22時から6時まで(夜間) 45デシベル以下(2) A地域のうち、2車線以上の車線を有する道路に面する地域①6時から22時まで(昼間) 60デシベル以下②22時から6時まで(夜間) 55デシベル以下(3) なお、幹線交通を担う道路に近接する空間(2車線以下は道路端から15メートル以内、2車線を超える道路は道路端から20メートル以内。丙4号証)については、上記の基準にかかわらず、特例として以下のとおりとする。 ①昼間 70デシベル以下②夜間 65デシベル以下備考個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認め とする。 ①昼間 70デシベル以下②夜間 65デシベル以下備考個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、室内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。 3 騒音規制法に基づく自動車騒音の要請基準騒音規制法17条に基づく自動車騒音の限度(乙7号証165頁表5.3-5)によれば、本件起業地を含む地域の要請基準は以下のとおりである。 ア第1種区域(第1種住居専用地域・AA地域)(ア) 1車線①6時から8時まで(朝) 50ホン②8時から19時まで(昼間) 55ホン③19時から23時まで(夕) 50ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 45ホン(イ) 2車線①6時から8時まで(朝) 65ホン②8時から19時まで(昼間) 70ホン③19時から23時まで(夕) 65ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 55ホン(ウ) 3車線以上①6時から8時まで(朝) 70ホン②8時から19時まで(昼間) 75ホン③19時から23時まで(夕) 70ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 60ホンイ第2種区域(第2種住居専用地域・住居地域・都市計画法による用途地域の定められていない地域)(ア) 1車線①6時から8時まで(朝) 55ホン②8時から19時まで(昼間) 60ホン③19時から23時まで(夕) 55ホン④23時から翌朝6時まで(夜 1車線①6時から8時まで(朝) 55ホン②8時から19時まで(昼間) 60ホン③19時から23時まで(夕) 55ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 50ホン(イ) 2車線①6時から8時まで(朝) 65ホン②8時から19時まで(昼間) 70ホン③19時から23時まで(夕) 65ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 55ホン(ウ) 3車線以上①6時から8時まで(朝) 70ホン②8時から19時まで(昼間) 75ホン③19時から23時まで(夕) 70ホン④23時から翌朝6時まで(夜間) 60ホン 4 大気の汚染に係る環境基準(1) 「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年6月8日環境庁告示第25号・乙12号証)では以下のとおり定められている。 ア二酸化硫黄(SO2)1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1ppm以下であることイ一酸化炭素(CO)1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であることウ浮遊粒子状物質(SPM・大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10μm以下のものをいう。)1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、1時間値が0.20mg/m3以下であることエ光化学オキシダント(オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。)をいう。)1時間値が0.06ppm以 パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。)をいう。)1時間値が0.06ppm以下であること(2) 二酸化窒素(NO、NO2)に係る環境基準(昭和53年7月11日環境庁告示第38号・乙13号証)では以下のとおり定められている。 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること。 (道路公害に関する裁判例等)本件事業認定時(平成12年1月19日)に公表されていた裁判例等は以下のとおりである。 1 国道43号線訴訟上告審判決(平成7年最高裁判決)(①最高裁平成7年7月7日判決民集49巻7号1870頁、②同民集49巻7号2599頁)①事件判示事項一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛等の被害を受けている場合において、右道路は産業物資流通のための地域間交通に相当の寄与をしているが、右道路が地域住民の日常生活の維持存続に不可欠とまではいうことのできないいわゆる幹線道路であって、周辺住民が右道路の存在によってある程度の利益を受けているとしても、その利益とこれによって被る被害との間に、後者の増大に必然的に前者の増大が伴うというような彼此相補の関係はないなど判示の事情の存するときは、右被害は社会生活上受忍すべき限度を超え、右道路の設置又は管理には瑕疵があるというべきである。 ②事件判示事項一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により被害を受けている場合において、右道路の周辺住民が現に受け、将来も受 又は管理には瑕疵があるというべきである。 ②事件判示事項一般国道等の道路の周辺住民がその供用に伴う自動車騒音等により被害を受けている場合において、右道路の周辺住民が現に受け、将来も受ける蓋然性の高い被害の内容が、睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛等のいわゆる生活妨害にとどまるのに対し、右道路が地域間交通や産業経済活動に対してその内容及び量においてかけがえのない多大な便益を提供しているなど判示の事情の存するときは、右道路の周辺住民による自動車騒音等の一定の値を超える侵入の差止請求を認容すべき違法性があるとはいえない。 なお、上記①事件においては、原審(大阪高判平4・2・20判例時報1415号3頁)で示された、(1)道路端と居住地との距離の長短にかかわらず、居住地における屋外等価騒音レベル(Leq)が65以上の騒音に暴露された原告らは、受忍限度を超える被害を受けた、(2)本件道路端と居住地との距離が20メートル以内の原告らは、その全員が排気ガス中の浮遊粒子状物質により受忍限度を超える被害を受け、騒音及び排気ガスによる被害以外の心理的被害等を併せ考えると、屋外等価騒音レベルが60を超える騒音に暴露された者が受忍限度超える被害を受けたとした判断を正当として是認している。 2 川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟判決(横浜地裁川崎支部平成10年8月5日判決判例時報1658号3頁)判示事項(1) 国及び首都高速道路公団の設置・管理する道路及びこれと接続する神奈川県道及び川崎市道からの大気汚染物質の排出は、社会通念上全体として一個の行為と認められる程度の一体性があり、国及び首都高速道路公団の設置・管理する道路からの大気汚染物質の排出の間 れと接続する神奈川県道及び川崎市道からの大気汚染物質の排出は、社会通念上全体として一個の行為と認められる程度の一体性があり、国及び首都高速道路公団の設置・管理する道路からの大気汚染物質の排出の間のみならず、右道路すべてからの大気汚染物質の排出の間に関連共同性が認められる。 (2) 昭和44年以降に国及び首都高速道路公団の設置・管理する道路及びこれと接続する神奈川県道及び川崎市道の道路端から50メートル以内の沿道地域に居住する患者原告及び死亡患者らの指定疾病の発症又は増悪という健康被害と右道路からの大気汚染物質の排出との間に因果関係が認められ、かつ右被害は受忍限度を超えている。 (3) 大気汚染物質排出による沿道原告らの被害に対する寄与割合は、沿道地域に対する大気汚染物質濃度(二酸化窒素の年平均値が0.035ppmを超える場合が多いことが認定されている。)の寄与率によるのが相当であるから、国及び首都高速道路公団は、昭和50年ころ以降は寄与率45パーセント、昭和44年ころから昭和49年ころまでの間は寄与率27パーセントの限度で損害額を分割した額の賠償責任を負う。 (4) 国及び首都高速道路公団が設置・管理する道路からの大気汚染物質の排出の差止請求は、請求が特定され、強制執行も可能であるから適法であるが、差止基準は合理性を欠き、大気汚染物質の排出に差し迫った危険性がなく、右道路の有する公共性を犠牲にしてまでも大気汚染物質の排出の差止めを認める緊急性がない。 3 川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟控訴審和解(東京高裁平成11年5月20日成立)2の控訴審である東京高等裁判所において、原告住民らと国及び首都高速道路公団との間で要旨以下のとおりの和解が成立しており、和解条項等の資料は、本件事業認定の参考資料として添付されて 0日成立)2の控訴審である東京高等裁判所において、原告住民らと国及び首都高速道路公団との間で要旨以下のとおりの和解が成立しており、和解条項等の資料は、本件事業認定の参考資料として添付されている(乙5号証7-1以下)。 (1) 国と首都高速道路公団は、現在もこの地域の大気の状況が環境基準を超えていること認識し、環境基準の達成に真摯に取り組む。 (2) 交通量を減らして大気汚染を軽減するため、建設省(当時)と公団は環境庁らと連携して沿道環境対策の総合的実現に取り組む。大気中の浮遊粒子状物質や、微小粒子状物質の状況を把握する。 (3) 原告団と建設省、公団で構成する「川崎市南部地区道路沿道環境に関する連絡会」を設置する。 (4) 原告は差し止め請求や損害賠償請求を放棄する。 第2 本件事業認定及び本件収用裁決に至る経緯 1 圏央道全体の事業経緯(1) 前提事実のとおり、圏央道は、横浜市、神奈川県厚木市、東京都八王子市、同青梅市、埼玉県川越市、茨城県つくば市、千葉県成田市、同木更津市等といった東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより、地域間の交流を拡大し、地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに、首都圏から放射状に伸びる高速自動車国道である第一東海自動車道、中央自動車道西宮線、関越自動車道新潟線、東北縦貫自動車道弘前線、常磐自動車道、東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより、都心部への交通の集中を緩和し、都心部一極集中型から多極分散型への転換による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路であり、現在、圏央道は、埼玉県鶴ヶ島ジャンクションから本件事業区間内である日の出インターチェ による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路であり、現在、圏央道は、埼玉県鶴ヶ島ジャンクションから本件事業区間内である日の出インターチェンジまで開通し、供用が開始されている。 (2) 証拠(乙11号証の1添付資料4-3・5頁)によれば、圏央道全体の事業経緯の概略は以下のとおりである。 ア昭和51年11月第3次首都圏基本計画(国土庁・当時)において、新たに圏央道の整備促進を位置付けイ昭和54年度~大規模事業計画調査として、横浜市~成田市間の調査を開始ウ昭和56年6月首都圏整備計画(国土庁・当時)で圏央道の整備推進を位置づけエ昭和58年度~第9次道路整備五箇年計画(昭和58年から昭和62年)において、首都圏中央連絡道路についても調査を進め、一部区間から事業に着手することを位置づけオ昭和60年度中央道~関越道間が圏央道として初めて事業化カ昭和62年度第四次全国総合開発計画において、高規格幹線道路を位置づけキ昭和62年6月建設省において高規格幹線道路の指定圏央道を高規格幹線道路のうちの一般国道の自動車専用道路として決定ク平成8年3月青梅インターチェンジ~関越道間が圏央道として初の供用開始 2 本件事業の概要(1) 本件事業は、圏央道のうち、八王子市α7地内の中央自動車道との接続点である八王子ジャンクション(仮称)から青梅市α8地内の青梅インターチェンジまでの間を結ぶ延長20.30キロメートルの区間を事業区間とするものであり、当該区間については、既に青梅インターチェンジから日の出インターチェンジの間は開通しており、供用が開 の青梅インターチェンジまでの間を結ぶ延長20.30キロメートルの区間を事業区間とするものであり、当該区間については、既に青梅インターチェンジから日の出インターチェンジの間は開通しており、供用が開始されている。本件事業は、残りの事業区間のうち、日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジ(旧α9インターチェンジ)までを開設しようとするものであり、残部のあきる野インターチェンジ以南から八王子ジャンクションまでの区間については事業進行が遅れていたため事業認定申請の対象とはされていない。 また、本件事業認定申請に係る起業地が3つに分散し、かつ本件事業区間全体のうちのわずかな部分であるのは、他の土地については、既に起業者が任意買収等によって用地を取得していることから、事業認定を行う必要がないことによるものである(乙1号証)。 (2) 本件起業地は、青梅市、α10、あきる野市を通過する圏央道建設予定部分に係るものであるところ、これらの市町村は、いずれも都心から約50キロメートル程度離れた地点に位置し、都心に通勤するベットタウンとして開発された地域もあるが、なお農地や山地も多く残されている。本件事業認定時点に近い平成10年度の青梅市の人口は13万7186人、α10は1万6521人、あきる野市は7万6815人である(乙4号証150頁)。 3 本件事業に係る圏央道建設計画の経緯(都市計画決定手続)(1) 昭和60年に建設省(当時)が圏央道の八王子~青梅区間について事業化を決定し、昭和61年、首都圏基本計画決定において、東京大都市圏の円滑な機能の発展と総合的な居住環境の整備を促すため圏央道の整備を促進することとされた。 (2) 都市計画決定の経緯都市計画決定権者であった東京都知事は、平成元年3月13日、都市計画法に な機能の発展と総合的な居住環境の整備を促すため圏央道の整備を促進することとされた。 (2) 都市計画決定の経緯都市計画決定権者であった東京都知事は、平成元年3月13日、都市計画法に定める手続を経て、同法4条5項の都市施設(道路)として、本件事業(「首都圏中央連絡道路」)について都市計画決定(平成元年3月13日付け東京都告示第246号ないし249号により、それぞれ都市計画道路八1・3・12号、秋1・3・4号、福2・3・6号、青2・3・12号の1及び青2・3・12号の2として決定され、同年6月16日付け東京都告示第661号、679号、677号及び666号により、それぞれ都市計画道路八1・3・1号、秋1・3・1号、福1・5・1号、青1・5・1号の1及び青1・5・1号の2と名称変更された。)を行った。 (3) 都市計画決定手続に伴う環境影響評価ア本件都市計画決定に当たり、都市計画決定権者であった東京都知事は、同道路の新設事業の実施が環境に及ぼす影響について、東京都環境条例に基づく環境影響評価を実施した(乙5号証1ないし3頁、7号証及び8号証)。 イ本件環境影響評価では、地域の概況と事業の内容を考慮して「大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、低周波空気振動、日照阻害、電波障害、植物・動物(陸上植物、陸上動物、水生生物)、地形・地質、史跡・文化財、景観」の11項目が予測・評価項目として選定され(乙7号証75頁)、各項目ごとに現況調査が行われ、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価がなされた(乙7号証79ないし457頁)。 ウそして、予測・評価項目について、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価した結論は、評価の指標(環境基準等)を下回る等のため、又は、適切な環境保全のための ないし457頁)。 ウそして、予測・評価項目について、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価した結論は、評価の指標(環境基準等)を下回る等のため、又は、適切な環境保全のための措置を講ずることにより、環境への影響は少ないというものであった(乙7号証4ないし6頁)。 エ代替案の検討平成14年7月改正(平成15年1月施行)後の東京都環境条例においては、環境影響評価において、複数の計画案の比較や複合アセスをすることが原則として義務付けられているが、本件事業はその対象となっておらず、本件事業について代替案の検討は行われていない。 4 事業評価監視委員会における再評価(1) 平成9年12月5日、内閣総理大臣から公共事業の再評価システムの導入及び事業採択段階における費用対効果分析の活用についての指示がなされ、これを受けて、当時の建設省は、平成10年3月27日付けで建設事務次官から各地方建設局長等あてに、「建設省所管公共事業の再評価実施要領及び建設省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領の策定について」との通達(乙10号証の1)、同年6月16日付けで建設省道路局長から各地方建設局長等あてに、「道路事業・街路事業に係る再評価実施要領細目及び道路事業・街路事業に係る新規事業採択時評価実施要領細目の策定について」との通達(乙10号証の2)を発し、平成10年度から建設省所管公共事業の再評価実施要領に基づき、公共事業の再評価が実施された。 (2) 上記要領によると、直轄事業においては、(ア)再評価の実施主体は、地方建設局等とし、(イ)地方建設局等は、関係する地方公共団体の意見の聴取、再評価を行うに当たって必要となるデータの収集、整理等を行い、事業の継続、休止若しくは中止の方針(案)の作成を行い、(ウ)本省 建設局等とし、(イ)地方建設局等は、関係する地方公共団体の意見の聴取、再評価を行うに当たって必要となるデータの収集、整理等を行い、事業の継続、休止若しくは中止の方針(案)の作成を行い、(ウ)本省は、地方建設局等と協議しつつ、地方建設局等が作成した対応方針(案)に検討を加え、当該事業の対応方針を決定することとされている。 そして、(エ)再評価の実施主体は、再評価の実施主体ごとに、再評価に当たって学識経験者等の第三者から構成される委員会(事業評価監視委員会)を設置し、意見を聴き、その意見を尊重するものとされ、(オ)評価に当たっては、事業の進捗状況、事業をめぐる社会経済情勢等の変化、事業採択時の費用対効果分析の要因の変化、コスト縮減や代替案立案等の可能性の4項目の視点から再評価を行うものとされている。 (3) 本件事業についても、上記要領に基づき再評価を実施する対象事業とされており、平成11年1月20日に関東地方建設局事業評価監視委員会の審議に付され、同委員会の委員より「関東地域の道路は、個々の路線としての必要性は理解できるが、道路網全体を考慮して優先的に整備すべき路線を検討し、早期に整備効果が発現されるような研究が必要。」「整備が遅延している原因の分析及び改善策等の検討が必要。」「圏央道は国道16号線の渋滞緩和に寄与し、全国的に占める交通量のシェアも大きく重要な路線。」「高齢化社会を踏まえ、高齢者のモビリティを踏まえた公共交通機関と幹線道路の連携整備が必要ではないか。」「圏央道については、自然環境の保全が大きな課題となっており、引き続き十分配慮し進める必要がある。」「関連する他の道路事業との相関関係を加味して、道路事業は計画されるべきであり、評価されるべきである。」「近接する複数の事業について、プラス・マイナスの相乗効果を持 き十分配慮し進める必要がある。」「関連する他の道路事業との相関関係を加味して、道路事業は計画されるべきであり、評価されるべきである。」「近接する複数の事業について、プラス・マイナスの相乗効果を持ってあらわれる整備効果の相関関係を加味して評価することは、大切なことであるが、実際には非常に難しい。道路事業の評価手法についてさらなる検討が必要。」「事業の遅れによる損失が議論されていない。遅れることによって失われる社会的コストも明確にして評価すべきである。」「道路計画が拠点開発とのアクセスを兼ねているので、市内交通の渋滞解消の目的と必ずしも一致するとは限らない。」といった意見等が出された上で、事業継続の対応方針が同委員会において基本的に了承され(乙11号証の1)、これを受けて、建設省は、本件事業の対応方針について、事業を継続することを決定した(乙11号証の2ないし4)。 5 工事の着手及び完成の予定年月日の変更本件事業区間を含む八王子市α7から青梅市α11までの圏央道区間は、当初、平成11年3月31日に工事に着手し、平成13年3月31日に完成予定であったが、平成11年7月1日、日本道路公団総裁は、建設大臣(当時)に対し、道路整備特別措置法3条5項の規定に基づき、平成13年10月1日工事着手、平成15年3月31日完成予定に変更することを届け出た(乙4号証5-2-12-2)。 6 本件事業認定の手続(1) 起業者は、平成11年8月20日、当時の建設大臣に対し、法16条に基づき、本件事業の事業認定申請をした(乙1号証)。 (2) 建設大臣は、平成11年8月24日、法24条1項に基づき、あきる野市長及び青梅市長に対し、それぞれ事業認定申請書及びその添付書類の各写しを送付し、また、同日、同条3項に基づき、本件事業認定申請に係る起 設大臣は、平成11年8月24日、法24条1項に基づき、あきる野市長及び青梅市長に対し、それぞれ事業認定申請書及びその添付書類の各写しを送付し、また、同日、同条3項に基づき、本件事業認定申請に係る起業地を管轄する東京都知事にその旨通知し、事業認定申請書及びその添付書類の各写しを送付した(乙3号証の1ないし3)。 (3) あきる野市長及び青梅市長は、平成11年8月30日、法24条2項に基づき、それぞれ起業者の名称、事業の種類及び起業地等を公告するとともに、公告の日から同年9月13日までの2週間、あきる野市役所及び青梅市役所において事業認定申請書及びその添付書類の各写しを公衆の縦覧に供した(乙3号証の4及び5)。 (4) 東京都知事は、上記縦覧期間内に法25条1項に基づき同知事に提出された意見書及び同期間満了後に提出された意見書を被告に送付した(乙3号証の6ないし8)。 (5) 建設大臣は、事業認定申請書及びその添付書類並びに前記意見書等により審査を行い、本件事業が法20条各号に定める要件のすべてに該当すると認め、平成12年1月19日、本件事業認定を行い、法26条1項に基づき、起業者らに同日付けでこの旨を通知し、同日の官報で、起業者の名称、事業の種類、起業地及び起業地を表示する図面の縦覧場所を告示した(乙3号証の9及び10)。 (6) また、建設大臣は、平成12年1月19日付けで、法26条3項に基づき、東京都知事に事業認定の告示をした旨を通知するとともに、法26条の2第1項に基づき、あきる野市長及び青梅市長に事業認定をした旨をそれぞれ通知した。 上記通知を受けたあきる野市長及び青梅市長は、同条2項に基づき、それぞれ起業地を表示する図面を公衆の縦覧に供した(乙3号証の11ないし15)。 (7) 代替案の検討土地 れぞれ通知した。 上記通知を受けたあきる野市長及び青梅市長は、同条2項に基づき、それぞれ起業地を表示する図面を公衆の縦覧に供した(乙3号証の11ないし15)。 (7) 代替案の検討土地収用法その他の関係法令に、起業者に代替案の提示を義務づけるような規定や事業認定庁自らが代替案を設定し検討すべきことを義務づける規定は存在しないが、事業認定の審査実務では、代替案の検討について、昭和63年8月30日に建設省建設経済局長から事業認定庁たる都道府県知事あてに通知された「土地収用制度の活用について」に基づきその審査が行われている(乙41号証)。 上記通達では、「都市計画決定されている道路等については、都市計画決定時から長期間経過し、事情が変化している場合等を除き、公共性、土地利用の合理性等が明らかであるときは代替案(ルート比較等)の資料を要しないものとすること。この場合には、土地利用の合理性については、当該ルート選定の考え方、具体の経過地の状況に関する記載、資料等をもとに判断すること。」と規定されている。 なお、本件事業認定手続の際には、代替案の検討はなされていない。 7 本件事業申請書及びその添付資料の概要(乙1、4、5、7、8号証)本件事業認定申請書及びその添付資料の概要は、後記8の環境影響評価についての記載を除き、おおよそ以下のとおりである。 (1) 事業の認定を申請する理由本件事業認定書(乙1号証)には、事業認定の理由(同3頁)として、①圏央道は、都心から40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより、地域間の交流を拡大し、地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに、首都圏から放射状に伸びる自動車道を相互に連絡することにより、都心部への交通の集中を緩和し、 置する都市を相互に連絡することにより、地域間の交流を拡大し、地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに、首都圏から放射状に伸びる自動車道を相互に連絡することにより、都心部への交通の集中を緩和し、都心部一極集中から多極分散型への転換を目的とすること、②八王子市から青梅市間の幹線道路としては、一般国道16号線(起点:横浜市~八王子市、川越市、木更津市等経由~終点:横浜市)や一般国道411号線(起点:八王子市~あきる野市~青梅市経由~終点:甲府市)等があるが、既成市街地を通過しているため、各所で慢性的な交通混雑を起こし、交通事故が多発し、また、八王子市、あきる野市、昭島市、α12、福生市等の一般国道16号線及び一般国道411号線沿線市町の自動車保有台数は増加しており、交通混雑状況等のますますの悪化により、日常生活や経済等の発展を阻害する要因となっており、こうした事態に対処する必要があると記載されている。 (2) 事業に必要な土地等の面積、数量等の概数(乙1号証28・29頁)本件事業において収用する土地合計14万7062平方メートルのうち、宅地は3万1809平方メートルであり、田・畑は7万8713平方メートルである。また、移転を要する主な物件のうち、住家は149棟であり、非住家は25棟であると記載されている。 (3) 計画交通量の見直し(乙4号証20頁以下)本件都市計画決定時点においては、昭和65年供用を前提に昭和55年交通センサスに基づき、昭和75年(平成12年)の計画交通量が推計されており、本件環境影響評価書も当該時点における予測を行っていたところ、その後、本件事業の進捗状況により、供用目標年度を平成14年度として、平成6年度の交通センサスに基づき、平成32年における計画交通量の推計が行われている。本件で問題 点における予測を行っていたところ、その後、本件事業の進捗状況により、供用目標年度を平成14年度として、平成6年度の交通センサスに基づき、平成32年における計画交通量の推計が行われている。本件で問題となるあきる野インターチェンジ(本件事業認定申請書及びその添付資料においては、α9インターチェンジと記載されている。以下同じ。)と日の出インターチェンジ間の計画交通量は、本件環境影響評価書においては1日4万7600台(平成12年)、本件事業認定申請書においては、日4万9800台(平成32年)であり、2200台増加している。 (4) 設計速度(乙4号証48~49-1頁)本件事業に係る本件道路は道路構造令上の第1種第3級道路(4車線道路)であり、計画交通量を1日4万9800台として、設計速度は毎時80キロメートルとされている。 (5) 環境施設帯(乙4号証89~94頁)本件事業においては、あきる野インターチェンジ付近のα9高架橋及びα13高架橋の2か所において、土工部20メートル、橋梁部10メートルの環境施設帯を設けることとされているが、その理由として、「本路線は、計画交通量が4万9800台/日と多く見込まれ、大型車混入率も48・5%と高い値を示しているため、騒音、排気ガス及び振動等の発生について配慮する必要があるものと考えられる。また、本路線は、住居が密集しているあきる野市α14、α15、α16市街地等第一種低層住居専用地域、第一種住居地域や第二種中高層住居専用地域内を通過しているため、特に沿道の生活環境の保全や景観上の配慮が必要であり、騒音、排気ガス及び振動等道路交通に起因する障害を防止しあるいは軽減し沿道における良好な生活環境の確保を図るとともに、道路交通の安全性、快適性を高めるために植樹帯を設けることとしたもので 要であり、騒音、排気ガス及び振動等道路交通に起因する障害を防止しあるいは軽減し沿道における良好な生活環境の確保を図るとともに、道路交通の安全性、快適性を高めるために植樹帯を設けることとしたものである。」と記載されている。 (6) あきる野インターチェンジと日の出インターチェンジの設置間隔について(乙4号証122-4、5頁、乙9号証)本件事業認定申請書の添付資料においては、あきる野インターチェンジを設置する必要性について、①あきる野インターチェンジ及び日の出インターチェンジの出入り交通が多く利用することが見込まれる一般国道411号線は2車線対面交通の幹線道路であり、現状でも交通混雑が深刻であり、特に夏期には、秋川渓谷、サマーランド、御岳渓谷への通行ルートとなり、さらに深刻な混雑であること、②あきる野インターチェンジは、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から発生する交通に対応することを目的とし、一般国道411号線をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8400台(うち7700台が八王子方面からの出入り)、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり9300台と推計されていること、日の出インターチェンジは、α10、旧秋川市北部及び福生市方面等から発生する交通に対応することを目的とし、都道奥多摩あきる野線(都市計画道路秋3・4・6号)、一般国道411号線及び都道杉並あきる野線等をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8300台、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり1万1100台と推計されており、仮に、あ ものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8300台、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり1万1100台と推計されており、仮に、あきる野インターチェンジを設置せず、同インターチェンジの機能をすべて日の出インターチェンジだけに集約した場合には、日の出インターチェンジには、平成12年の時点で1日当たり1万6700台、平成32年の時点で2万400台の交通が集中することになるのであって、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から日の出インターチェンジにアクセスする自動車の相当数が国道411号線(滝山街道)に集中することが見込まれ、α14地区を通過する滝山街道の交通混雑が今以上に深刻となることは必至であること、③道路構造令の解説と運用によれば、インターチェンジを利用すると思われる地域の人口が5万人以上のときに設置を考えるとされ、また最小設置間隔は1.5キロメートルないし4.0キロメートルが望ましいとされているが、両インターチェンジはこの基準を満たしていると記載されている。 (7) 費用便益分析(乙4号証175ー3~28頁)本件事業認定申請書においては、本件事業区間の費用分析を行った結果として、基準年度(平成11年度)における走行時間短縮便益は7041億円、走行経費減少便益は723億円、交通事故減少便益は331億円で合計8095億円とされている。 これに対し、費用については、基準年度(平成11年度)における事業費は3487億円、維持管理費は158億円で合計3645億円とされている。 以上の結果、費用便益比の比は、3645億円分の8095億円であり、2.2と算出されている。 なお、上記費用便益分析は、平成10年6月建設省道路局都市局が作成した費用便益分 ている。 以上の結果、費用便益比の比は、3645億円分の8095億円であり、2.2と算出されている。 なお、上記費用便益分析は、平成10年6月建設省道路局都市局が作成した費用便益分析マニュアル(案)に従ったものであって、走行時間の短縮、走行経費の減少及び交通事故の減少による便益の合計額を算出したものとされているが、その算出の前提となるべき交通量、走行時間及び交通事故数がどのように変化するかについては、唯一八王子・青梅間の所要時間の減少が記載されているにすぎず、その他の算出に用いた基礎数字やその根拠は示されていない。また、分析に当たって想定されている道路網の範囲(ネットワークの設定)がどのように設定されているのか(具体的には、計画はあるものの大半が未開通である東京外かく環状道路についてどのように考慮されているのか)も不明であり、また、上記費用分析は、本件事業区間が開通することによって得られるであろう便益のみに注目しており、本件事業を施行することによって生じる周辺環境への影響、また、それを最小限にとどめるために必要とされる対策費などの負の側面については何ら考慮に入れていないことに留意する必要がある。 (8) 都市計画案・見解書に対する意見書の概要(乙4号証188~191頁)ア都市計画決定案に対する意見本件事業認定申請書においては、先行した本件都市計画決定の案に対して、昭和61年度において総数6958通の意見があり、うち賛成6913通、反対45通であったこと、賛成意見は、国道16号線の交通渋滞解消に役立つこと、多摩地域の活力ある街作りに役立つこと、東京都心部に集中する交通を適切に分散させることなどを理由としており、反対意見は、α13地域においてはトンネル化すべきこと、住民の意向を無視して手続が進められて 多摩地域の活力ある街作りに役立つこと、東京都心部に集中する交通を適切に分散させることなどを理由としており、反対意見は、α13地域においてはトンネル化すべきこと、住民の意向を無視して手続が進められていること、大気汚染、騒音、振動等により生活環境が破壊されること、高尾山等、自然環境を破壊すること等を理由としていることが記載されている。 イまた、本件事業認定申請書においては、都市計画決定手続に伴って行われた環境影響評価における事業者の見解書に対し、昭和62年度において、合計4万7948通の意見が寄せられていること、このうち、賛成意見が2万4134通、反対意見が2万3814通であること、賛成意見のうち1万2703通は東京都区部からのものであり、過半数を占めること、多摩部からの意見合計2万3814通のうち、大半を占める2万1544通が反対意見であることが記載されている。 反対意見の中には、事業計画について、「秋川市において住宅密集地に道路を通すことは無謀である。」、「国道411号線に近いし、2つもインターチェンジはいらない(α9インター、日の出インター)」、「道路を作れば、車両台数も増加し、一層の交通混雑になる。」、大気汚染について「α17以外の地点も逆転層の調査が必要である。」、騒音について「調査・予測の箇所を追加し、調査・予測をしてほしい。」などの具体的な指摘がなされている。 このような反対意見に対する事業者の見解として、「秋川市内のルートは、土地利用状況、既決定の都市計画道路の有効利用、国道411号線との接続などを勘案して最適ルートとして選定した。」、「α9インターチェンジは秋川市南部及び八王子北部方面等の交通、日の出インターチェンジは、α10、(旧)秋川市北部、福生市方面等の交通に対応し、インターチェンジからの て最適ルートとして選定した。」、「α9インターチェンジは秋川市南部及び八王子北部方面等の交通、日の出インターチェンジは、α10、(旧)秋川市北部、福生市方面等の交通に対応し、インターチェンジからの出入り交通を適切に分散するために必要である。」、「a 放射道路を接続し都心部の集中する交通を分散し、都心部を通過する車に対しバイパスの役割をするため、交通混雑の緩和に役立つ。b 国道16号線の交通混雑が解消し、市街地生活道路に流入していた通過車両が排除され、地域全体の交通の流れを改善できる。」との考えが記載されている。 (9) ルート選定の妥当性(乙4号証234、235-1~3頁)本件事業認定申請書においては、本件事業認定に係る案の代替案の検討はなされていない。 なお、ルート選定の妥当性については記載されており、本件起業地を含むあきる野インターチェンジからα18橋の区間については、ア現計画ルート以東現計画ルート東側はあきる野市α14市街地が形成されているとともに、都心部に近づくにつれ、人口集中地区(DID)を通過することから、人家等の移転が大規模に生じるとともに周辺土地利用状況上不可能である。 また、アクセス道路を確保した上で、インターチェンジを計画できる大規模用地を見出すことは周辺土地利用上不可能である。 イ現計画ルート以西当該地域は都道五日市街道沿いにあきる野市(人口7万6815人)の市街地が形成されており、この周辺を通過した場合は人家等の移転が大規模に生じる。また、この市街地を避けるには約5km現ルートより西側になり、あきる野市街地から離れるため、サービスは著しく低下する。これを補うためにはアクセス道路整備として、現道拡幅又は新設バイパスによる都道五日市街道の改良も考え 避けるには約5km現ルートより西側になり、あきる野市街地から離れるため、サービスは著しく低下する。これを補うためにはアクセス道路整備として、現道拡幅又は新設バイパスによる都道五日市街道の改良も考えられるが周辺土地利用状況上不可能である。 ウ現計画ルート上記の理由により現ルートを振ることは困難であり、また現ルートは市街地を通過するものの都計道秋3・5・12を利用していることから人家等の移転は最小限に抑えられる。 また、あきる野市とα10境を通過しているため、市街地を通過している割には地域分断が少ない。 したがって、総合的に判断すると、現在のルートである都計道秋3・5・12を利用し、且つ、あきる野市とα10境を通過する現計画ルートが最良と判断される。 と記載されている。 8 事業認定における環境影響評価(1) 土地収用法その他の関係法令上、事業認定の際に起業者に対して環境影響評価を行うことを義務づける規定は存在しない。 しかしながら、国土交通省(旧建設省)所管事業に係る環境影響評価については、昭和59年8月28日に閣議決定された「環境影響評価の実施について」(乙4号証187-3-1)に基づき、「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について」(昭和60年4月1日建設省経環企第10号建設事務次官通知、乙4号証187-3-3、乙5号証25頁、以下「建設省要綱」という。)及び「都市計画における環境影響評価の実施について」(昭和60年6月6日建設省都計発第34号建設省都市局長通知、乙4号証187-3-6、以下「建設省都市局長通達」という。)がそれぞれ定められている。 これらによれば、建設省要綱において環境影響評価を実施すべき事業として定められた事業を実施しようとする者は、当該 87-3-6、以下「建設省都市局長通達」という。)がそれぞれ定められている。 これらによれば、建設省要綱において環境影響評価を実施すべき事業として定められた事業を実施しようとする者は、当該要綱の定めるところに従い、要綱対象事業の種類毎に定める時期までに環境影響評価を行うものとされている(建設省要綱第1ないし第3)。 (2) しかし、要綱対象事業に係る施設が都市計画法4条5項の都市施設として都市計画法の規定により都市計画に定められる場合における当該都市施設に係る要綱対象事業に関する環境影響評価については、都市計画を定める者が都市計画を定める際に行うものとされ、都市計画に係る事業を実施することとなる者は、環境影響評価を行わないものとされている(建設省要綱第7、建設省都市局長通達1(1)及び(2))。 また、東京都環境条例によれば、同条例別表に掲げる事業でその実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとして東京都環境条例施行規則で定める要件に該当するものを実施しようとする者が東京都環境条例対象事業を実施しようとするときは、知事があらかじめ定める環境影響評価に係る技術上の指針に基づき、当該対象事業の実施が環境に及ぼす影響について調査等を行い、同条例で定めるところにより、環境影響評価書等を作成し、知事に提出しなければならないとされ(東京都環境条例9条1項、23条)、知事は、対象事業が都市計画法の規定により都市計画に定められる場合においては、当該対象事業に係る東京都環境条例による手続を都市計画法の規定による当該都市計画の決定の手続に合わせて行うよう努めるものとするとされている(東京都環境条例45条)。 このように、建設省要綱上も東京都環境条例上も、対象事業が都市計画法の規定により都市計画に定められる場合においては、当 合わせて行うよう努めるものとするとされている(東京都環境条例45条)。 このように、建設省要綱上も東京都環境条例上も、対象事業が都市計画法の規定により都市計画に定められる場合においては、当該対象事業に係る環境影響評価は、都市計画決定の際にその手続に合わせて実施するものと定めている。 (3) 本件事業については、事業認定に先行して本件都市計画決定がなされているところ、前述のとおり、本件都市計画決定手続の際に、本件環境影響評価が行われているため、本件事業認定手続に際しては、9記載の再予測、評価が一部なされたほかには環境影響評価は実施されていない。 9 本件道路の計画交通量の見直しに伴う本件事業の実施が環境に及ぼす影響に関する再予測・評価(1) 本件環境影響評価は、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価(乙7号証75頁)の対象時点を、「大気汚染」、「騒音」及び「振動」については、本件道路の計画交通量の推計年次である昭和75年(平成12年)(乙7号証3、93、170及び217頁)、「陸上植物」及び「陸上動物」については、本件道路の工事の完了(昭和70年(平成7年))後おおむね10年の時点(平成17年)と設定していた(乙7号証18、303及び365頁)。 (2) 本件事業の事業認定の申請に当たり、起業者は、本件道路の計画交通量の推計年次を平成32年とした。起業者は、本件道路の計画交通量の見直しに伴い、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について検討を行うに当たり、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価項目として、「大気汚染」、「騒音」、「振動」及び「低周波空気振動」の4項目を選定し、平成32年を予測の対象時点として、東京都環境影響評価技術指針(平成11年7月23日告示第893号)等に基づき本件事業の実施が環境に及ぼす影響に 」、「振動」及び「低周波空気振動」の4項目を選定し、平成32年を予測の対象時点として、東京都環境影響評価技術指針(平成11年7月23日告示第893号)等に基づき本件事業の実施が環境に及ぼす影響について再予測計算及び評価を実施した(乙5号証189ないし208頁)。 この結果は、第3の3記載のとおり、環境に及ぼす影響は軽微なものであるというものであった。 (3) 環境影響評価の再実施(乙5号証187頁以下)ア環境影響法(平成9年法律第81号)の施行(平成11年6月12日)に伴い改正された東京都環境条例(平成11年6月12日実施)においては、事業者の氏名及び住所、対象事業の名称、目的及び内容を変更しようとするときは変更の届出が必要であるとしているところ(22条1項、35条1項)、東京都知事は、変更の届出があった対象事業について、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聴いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする(36条1項)とされている。 イまた、同条例37条では、知事は、事業者が環境影響評価書の縦覧期間が満了した日から5年を経過した後当該事業に係る工事に着手しようとする場合において、関係地域の状況が当該縦覧期間満了のときと比較して著しく異なっていることにより環境保全上必要があると認めるときは、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとすると定めている。 ウ本件事業については、供用年度を変更していることから、上記変更届出がなされているが、知事は環境影響評価手続の再実施を要請していない。 また、本件事業については、平成元年2月21日に環境影響評価書縦覧を終了し、平成5年11月25日 ることから、上記変更届出がなされているが、知事は環境影響評価手続の再実施を要請していない。 また、本件事業については、平成元年2月21日に環境影響評価書縦覧を終了し、平成5年11月25日に(本件起業地以外の区間において)工事着手がなされていることから、同条例37条には該当しない扱いとなっている。 エなお、平成11年に環境影響評価法が施行されているが、同法は、対象事業を実施しようとする場合の環境影響評価その他の手続について定めるものであり、すでに工事が終了した事業及び工事実施中の事業を対象としたものではないと理解されており、本件事業は平成11年時点で本件起業地以外の事業区間の工事が既に実施されていたことから、同法に基づいて環境影響評価手続の再実施は行われていない。 10 公害調停(乙5号証493頁)原告らを含む住民8名、は、平成10年3月31日、東京都公害審査会に対して国(代表者建設大臣(当時))を相手方として、圏央道あきる野インターチェンジについて公害調停の申請を行い、平成10年9月21日まで6回にわたり調停期日が開かれたが、調停委員会は、当事者間に合意が成立することは困難であると判断し、平成11年10月25日、第7回調停期日において、公害紛争処理法36条1項に基づき調停を打ち切った。 11 被告収用委員会の本件収用裁決に至る経緯(1) 起業者は、平成12年10月31日、被告に対し、別紙土地目録記載1ないし11及び13ないし15の各土地について、法39条1項及び47条の2第3項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(丁12号証ないし18号証の各1及び2)。 また、起業者は、同年11月30日、被告に対し、本件土地18ないし21、25及び27について、上記各条項に基づき、収用の裁決の申請 決の申立てをした(丁12号証ないし18号証の各1及び2)。 また、起業者は、同年11月30日、被告に対し、本件土地18ないし21、25及び27について、上記各条項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(丁19号証ないし22号証の各1及び2)。 (2) 被告は、平成12年11月10日以降、法42条1項及び47条の4第1項に基づき、上記各土地の所在地である東京都あきる野市の市長に対し、裁決申請書及び明渡裁決申立書等を送付し、これとともに、上記各土地の所有者及び関係人に対し、裁決の申請があった旨の通知をした(丁42号証の1ないし11、43号証の1ないし11。(孫番号を含む。))。 あきる野市長は、法42条2項及び47条の4第2項に基づき、本件第1次申請については平成12年11月16日、本件第2次申請については同年12月14日、それぞれ収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てがあったこと等を公告し、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供した(丁44号証の1ないし11)。 (3) 被告は、平成12年12月4日、法45条の2に基づき、本件第1次申請について裁決手続の開始を決定し、その旨公告し、同月20日、東京法務局福生出張所に、裁決手続の開始の登記を嘱託した(丁23号証ないし35号証、45号証の1ないし7(孫番号を含む。)。46号証の1ないし7)。 また、被告は、平成13年1月11日、上記条項に基づき、本件第2次申請について裁決手続の開始を決定し、その旨公告し、同月31日及び同年2月7日、上記出張所に、裁決手続の開始の登記を嘱託した(丁36号証ないし41号証、45号証の8ないし11、46号証の8ないし11)。 (4) 被告は、本件第1次申請及び第2次申請に係る審理を以下のとおり実施した。 続の開始の登記を嘱託した(丁36号証ないし41号証、45号証の8ないし11、46号証の8ないし11)。 (4) 被告は、本件第1次申請及び第2次申請に係る審理を以下のとおり実施した。 ア被告は、本件申請に係る審理を平成13年5月31日に行うことを決定し、同年4月26日以降、起業者、土地所有者等に対し、審理の期日及び場所を通知した(法46条2項)(丁47号証の1ないし11)。 イ被告は、平成13年5月31日、同年8月2日、同年10月11日、同年11月26日、同年12月20日、平成14年1月31日、同年2月21日、同年3月25日(本件第1次申請)、同年4月11日(本件第2次申請)及び同年5月2日(本件第2次申請)と審理を実施した。 ウまた、被告は、これに並行して、法65条1項3号に基づき、本件申請に係る現地調査等を実施した。 (5) なお、上記審理の過程で、原告P6は本件土地8、16及び17、同P3は本件土地12、同P4は本件土地16及び17、同P1は本件土地22ないし24及び26について、それぞれ残地収用の請求をした(丁1号証ないし11号証)。 (6) 被告は、裁決申請書、明渡裁決申立書及びそれらの添付書類、土地所有者等から提出された意見書、審理において表明された意見、現地調査によって得られた資料等を検討した結果、平成14年9月30日、別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表のとおり、それぞれ権利取得裁決及び明渡裁決を行い、同年10月10日までに、その名宛人となった原告らに対し、裁決書正本を送達した(丁1号証ないし11号証)。 (7) 起業者は、平成15年6月27日、東京都知事に対して、本件土地2ないし17、19ないし27について法102条の2第2項に定める代執行の請求を行い、これを受 (丁1号証ないし11号証)。 (7) 起業者は、平成15年6月27日、東京都知事に対して、本件土地2ないし17、19ないし27について法102条の2第2項に定める代執行の請求を行い、これを受けて、東京都知事は、原告P3、同P4、同P5及び同P6に対しては、同年9月15日を期限とする戒告を行い、同P1及び同P2に対しては、同月24日を期限とする戒告を行った。 (8) 東京都知事からの戒告が行われた後、本件第2事件について行政代執行手続の停止を求める執行停止申立事件の決定(平成15年10月3日決定・当庁平成14年(行ク)第197号及び同平成15年(行ク)第21号)において、同人らに対する代執行手続につき本案判決言渡し後15日後までに限っての停止が認められたが、東京高裁の抗告審(東京高裁平成15年12月25日決定・平成15年(行ス)第64号)において同決定が取り消されたことを受けて、原告P3は本件土地9ないし12を、同P4は本件土地13ないし17を、同P5は本件土地13を、同P6は本件土地1ないし8及び14ないし17を起業者に引き渡した。 第3 本件事業認定における環境影響評価の内容 1 手続の概要(1) 環境影響評価の不実施前述のとおり、本件事業認定手続に際しては、環境影響評価は行われておらず、これに代えて、平成元年3月13日付け本件都市計画決定手続の際に行われた環境影響評価書(乙7号証)の内容及び本件事業認定の申請に当たって起業者が行った、「大気汚染」「騒音」「振動」「低周波空気振動」の4項目についての、再予測計算及び評価の結果(本件再評価)が考慮されている。 (2) 都市計画決定時における環境影響評価の手続(乙5号証1頁以下)都市計画決定権者である東京都知事は、本件都市計画決定手続の際には、本件事業の の結果(本件再評価)が考慮されている。 (2) 都市計画決定時における環境影響評価の手続(乙5号証1頁以下)都市計画決定権者である東京都知事は、本件都市計画決定手続の際には、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について、東京都環境条例に基づく環境影響評価を実施している。 本件事業は、東京都の都市計画に係る事業であるとともに、建設省(当時)の所管事業であったため、東京都環境条例に基づく手続と建設省が要綱で定める環境影響評価の手続が重複することとなったが、東京都と関東地方建設局で協議を実施した結果、それぞれの手続を同時並行的に進行させることとなり、建設省要綱版環境影響評価書と東京東京都環境条例版環境影響評価書(本件環境影響評価書)の2つが作成されている。なお、本件環境影響評価書においては、東京都技術指針及び建設省道路事業技術指針の双方を満足するものとされている(乙5号証30頁以下)。 2 本件環境影響評価書の概要(乙7号証)(1) 本件環境影響評価書は、起業者が、東京都環境条例及び平成6年改正前の技術指針に基づき、昭和57年度から環境現況調査を実施し、その結果を基に予測及び評価を行って作成した環境影響評価書案を、昭和61年7月に東京都知事に提出し、環境影響評価審議会における審議を経て平成元年2月に公示されたものである。 (2) 調査項目と予測評価結果本件環境影響評価書において、対象とされた項目は、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、低周波空気振動、日照阻害、電波障害、植物・動物、地形・地質、史跡・文化財、景観の11項目であり(乙7号証75頁)、全体の予測評価結果は、「大気汚染については環境基準を満足しており、騒音についても遮音壁の設置等の適切な環境保全対策を行うことにより、環境基準を満足しており、影響は少 項目であり(乙7号証75頁)、全体の予測評価結果は、「大気汚染については環境基準を満足しており、騒音についても遮音壁の設置等の適切な環境保全対策を行うことにより、環境基準を満足しており、影響は少ない。自然環境の保全に係る植物・動物は、一部の改変などが生じるが樹林を想像する等を実施し、周辺環境の保全のための措置を講じるため影響は少ない。上記等の予測評価により、当該事業を実施しても環境への影響は少ないものと判断される。なお、事業の実施にあたっては、適切な環境保全のための措置を講ずることとしている。」(乙5号証40頁)とされている。具体的な環境保全のための措置は、大気汚染については、「トンネル坑口周辺の自然環境保全のため、高尾山トンネル等に換気塔を設け自動車排出ガスを上空拡散、希釈させる。」(乙7号証462頁)、騒音については、「地域の状況を勘案し、必要に応じて環境施設帯及び遮音壁の設置、トンネル坑口の吸音処理等により、環境基準の達成を図る。」(乙7号証463頁)と記載されている。 (3) 騒音についての記載の概要ア環境に及ぼす影響の評価の結論(乙7号証4頁)工事の完了後の道路交通騒音は、いずれの時間の区分においても評価の指標(環境基準)を下回るため、影響は少ないと記載されている。 イ予測条件(ア) 計画交通量(昭和75年)(乙7号証18頁)α9(あきる野)インターチェンジ~日の出インターチェンジについては、1日当たり4万7600台、日の出インターチェンジ~青梅インターチェンジについては、1日当たり4万0700台と記載されている。 なお、本件環境評価書作成時点においては、昭和55年に行われた交通センサスによる結果が最新のものであり、その数値が使用されている。また、あきる野イ 当たり4万0700台と記載されている。 なお、本件環境評価書作成時点においては、昭和55年に行われた交通センサスによる結果が最新のものであり、その数値が使用されている。また、あきる野インターチェンジの直接のアクセス道路として計画されている新滝山街道(411号線)建設計画は当時まだ策定されていなかったため、考慮されていない。 (イ) 平均走行速度(乙7号証103頁)通常、道路を走行する車は、設計速度の範囲内で設定される規制速度を遵守することから、平均走行速度は規制速度の上限値と考えられる設計速度とした(本線80km/時、ランプ40km/時)と記載されている。 (ウ) 人口(乙7号証34頁)昭和55年10月1日現在の秋川市の人口は4万2807人、α10の人口は1万3854人と記載されている。 ウ昭和58年東京都実施の道路交通騒音の測定結果(乙7号証60頁)本件起業地付近であるE地点(国道411号線(滝山街道)沿いの秋川市α19782)における測定結果は、夜間の時間帯で環境基準(旧環境基準を指す)である40ホンと同じ値であるほかは、朝、昼間、夕のいずれの時間帯も環境基準を上回る数値となっている。 エ本件環境影響評価における調査結果(乙7号証157~163頁)調査地域は、道路端から100~150mまでの範囲である。 (ア) 道路交通騒音調査結果観測地点:α16対象道路五日市街道1日当たりの交通量 1万2586台大型車混入率 14.1パーセント朝63ホン昼間68ホン夕63ホン夜間46ホン(イ) 環境騒音調査結果 大型車混入率 14.1パーセント朝63ホン昼間68ホン夕63ホン夜間46ホン(イ) 環境騒音調査結果①α16(エ(ア)とは異なる地点)朝46ホン昼間45ホン夕39ホン夜間37ホン②α14朝45ホン昼間43ホン夕42ホン夜間40ホン③α15朝43ホン昼間40ホン夕40ホン夜間38ホンオ予測結果(乙7号証191~192頁)騒音についての予測事項は、計画路線の利用交通に起因する道路交通の中央値であり、キの合成騒音予測結果を除き、近接する他の道路からの騒音については考慮されていない。 予測の対象とする時点は、工事の完了後については、昭和75年(平成12年)である。 予測範囲は、官民境界から80メートルないし150メートルの範囲で地上1.2mにおける値である。 ①α14朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時)夜間(5時~6時)考慮した騒音対策本線両側に遮音壁h=5m、ランプ北側一部に遮音壁h=3m、環境施設帯各10m②α16(1)朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時) 施設帯各10m②α16(1)朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時)夜間(5時~6時)考慮した騒音対策両側に遮音壁 h=5m③α16(2)朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時)夜間(5時~6時)考慮した騒音対策両側に遮音壁 h=8m④α16(3)朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時)夜間(5時~6時)考慮した騒音対策両側に遮音壁 h=2.5m⑤α16(4)朝 (6時~7時)昼間(10時~11時)夕 (19時~20時)夜間(5時~6時)考慮した騒音対策両側に遮音壁 h=6.5mカ騒音予測結果横断分布図(乙7号証193~4頁)環境基準を達成する上で最も厳しいとされている時間帯(夜間:午前5時~6時)については、以下の地点における騒音分布図が作成されており、いずれも上記の騒音対策が施された状態での官民境界からの距離が0m~80m、高さが12mの範囲の騒音が予測されている。 ① α16(1)の地点(乙7号証172頁の図5.3 が作成されており、いずれも上記の騒音対策が施された状態での官民境界からの距離が0m~80m、高さが12mの範囲の騒音が予測されている。 ① α16(1)の地点(乙7号証172頁の図5.3-5)については、時間交通量1476台/毎時、大型車混入率76.2パーセント、平均走行速度80km/時という前提で予測した場合、官民境界からの距離が0m(道路端からは約19mの地点)では、約5mの高さを超える地点から上は50ホンという環境基準(A地域のうち2車線を有する道路に面する地域)を超えており、官民境界から離れるに従って環境基準を超える地点の高さが徐々に高くなり、官民境界からの距離が80メートルの地点で予測範囲全て(地上12m)において環境基準を超えない騒音になるという予測結果となっている。 ② α16(2)の地点(乙7号証172頁の図5.3-5)については、時間交通量1476台/毎時、大型車混入率76.2パーセント、平均走行速度80km/時という前提で予測した場合、官民境界からの距離が0mの地点(道路開口部端からは約8mの地点)では、約4mの高さを超える地点から上は50ホンという環境基準を超えており、官民境界から離れるに従って環境基準を超える地点の高さが高くなり、官民境界からの距離が約18メートルの地点で予測範囲全て(地上12m)において環境基準を超えない騒音になるという予測結果となっている。 ③ α16(3)の地点(乙7号証172頁の図5.3-5)については、時間交通量1476台/毎時、大型車混入率76.2パーセント、平均走行速度80km/時という前提で予測した場合、官民境界からの距離が0mの地点(道路開口部からは約12メートルの地点)では、約5mの高さを超える地点から上は50ホンという環境基準を超えており、官 均走行速度80km/時という前提で予測した場合、官民境界からの距離が0mの地点(道路開口部からは約12メートルの地点)では、約5mの高さを超える地点から上は50ホンという環境基準を超えており、官民境界から離れるに従って環境基準を超える地点の高さが高くなり、官民境界からの距離が約13メートルの地点で予測範囲全て(地上12m)において環境基準を超えない騒音になるという予測結果となっている。 ④ α16(4)の地点(乙7号証172頁の図5.3-5)については、時間交通量1476台/毎時、大型車混入率76.2パーセント、平均走行速度80km/時という前提で予測した場合、官民境界からの距離が0mの地点(道路開口部からは約12メートルの地点)では、約5mの高さを超える地点から上は50ホンという環境基準を超えており、官民境界から離れるに従って環境基準を超える地点の高さが高くなり、官民境界からの距離が約13メートルの地点で予測範囲全て(地上12m)において環境基準を超えない騒音になるという予測結果となっている。 キ合成騒音(乙7号証192頁)本件環境影響評価書においては、前述のとおり、本件事業の実施に伴って発生する騒音の値が予測の対象とされており、既設置あるいは設置計画のある周辺道路との合成騒音については、①計画路線と主要幹線道路である国道411号線との交差部(α13地区)及び②交通量の最も多い主要地方道である五日市街道との交差部(α16地区)以外の地点においては予測されていない。 上記2地点において、環境基準達成がもっとも厳しくなる時間帯(夜間:午前5時~6時)の騒音レベルを合成した予測結果(地上1.2mの値)は以下のとおりである。 α13 計画路線50、主要幹線道路39、合成50 もっとも厳しくなる時間帯(夜間:午前5時~6時)の騒音レベルを合成した予測結果(地上1.2mの値)は以下のとおりである。 α13 計画路線50、主要幹線道路39、合成50α16(4) 計画路線46 主要幹線道路40、合成47(4) 大気汚染についての記載の概要ア評価の結論(乙7号証146頁)評価の結論については、「一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)のいずれも評価の指標を下回ること、換気塔からの寄与濃度は将来バックグラウンド濃度と比較して非常に低い値であることから、影響は少ない。また、α17における現地調査結果によれば、接地逆転層は主に夜間に発生し、日の出とともに急速に解消しており、その発生には晴天、弱風時等の一定の気象条件が必要である。夜間においては、昼間に比べ交通量が少ないことを考慮すれば接地逆転層が大気質に及ぼす影響は少ない。」と記載されている。 さらに、大気汚染の予測に用いた拡散幅は、建設省が昭和54年度から56年度に実施した全国での実測調査及び資料解析結果に基づき定められているため接地逆転層の予測値に反映されていると考えられ、このことは、α17地区を対象とした風洞模型実験においても確認していると記載されている。 イ予測事項(乙7号証93頁)工事の完了後における予測事項は、計画路線の利用交通に起因する排出ガスとし、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、及び二酸化硫黄(SO2)の年平均値について予測している。なお、浮遊粒子状物質(SPM)については、発生源からの寄与を特定することができないため予測の対象としないとされている。 予測の対象とする時点は、工事完了後については昭和75年(平成12年)とされている 物質(SPM)については、発生源からの寄与を特定することができないため予測の対象としないとされている。 予測の対象とする時点は、工事完了後については昭和75年(平成12年)とされている。 ウ接地逆転層について(乙7号証86頁)接地逆転層とは、夜間の放射冷却によって、地表面付近の空気が冷えてできる逆転層のことであり、接地逆転層が出現すると、通常と異なり、汚染された大気が拡散せず、そのまま滞留することとなるといわれ、一般に谷部は平地に比べ接地逆転層が形成されやすいといわれている。 本件環境影響評価書においては、この接地逆転層の形成状況を把握し、予測・評価の基礎資料とするため現地調査が行われているが、その対象地点は、谷の広さ及び比高等の地形条件を勘案して、α17が選定されている。また、同じくα17を対象に、風洞模型実験も行われている。 なお、本件起業地であるα14地区も谷部であるが、α14地区を対象とした現地調査及び風洞実験等は行われていない。 3 本件再評価の内容(1) 騒音(乙5号証195頁)騒音については、「道路に面する地域」の環境基準における夜間(午前0時から午前6時)の環境基準値を前提とし、最も厳しい予測結果を示した午前5時から午前6時について、数か所について遮音壁の高さを若干嵩上げするような追加対策が必要であると評価された(α14地域においては5.0メートルの遮音壁を7.0メートルに嵩上げすることとされた)。そのほかは、A地域(主として住居の用に供される地域)のうち二車線を越える車線を有する道路に面する地域については50ホン以下という環境基準及びB地域(相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域)のうち二車線を越える車線を有する道路に面する地域については60ホ る車線を有する道路に面する地域については50ホン以下という環境基準及びB地域(相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域)のうち二車線を越える車線を有する道路に面する地域については60ホン以下とする環境基準を満足するとされている。 なお、上記再評価においては、本件環境評価書の騒音予測結果横断分布図(乙7号証193頁以下)と対応するものはなく、地上1.2メートルの地点における予測結果のみが示されおり、予測値自体は、α14が49ホン(遮音壁嵩上げ後のもの)、α16(1)が47ホン、α16(2)がいずれも45ホンとなっている。 (2) 大気汚染(乙5号証189、197-1及び197-2頁、12号証及び13号証)大気汚染のうち一酸化炭素(CO)については、環境基準(1時間値の1日平均値が10ppm以下であること)に対して、最高の濃度を示す予測地域で1.7ppm、二酸化窒素(NO2)については、環境基準(1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること)に対して、最高の濃度を示す予測地域で0.046ppm、二酸化硫黄(SO2)については、環境基準(1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であること)に対して、最高の濃度を示す予測地域で0.023ppmとそれぞれ予測されており、いずれも環境基準を満足するとされている。 大気汚染については、平成12年度を予測時点とした本件環境影響評価書よりも、平成32年度を予測時点とした本件再評価の方が、予測値が減少する結果になっているが、この点については、交通量は増加するが、自動車排出ガス規制によって排出係数が低減することから、予測値が減少すると説明されている(「規制の効果を過大に評価しているものではない」とも説明されている(乙5号証22 ついては、交通量は増加するが、自動車排出ガス規制によって排出係数が低減することから、予測値が減少すると説明されている(「規制の効果を過大に評価しているものではない」とも説明されている(乙5号証225頁)。)。また、本件再評価については、「自動車NOX法」(平成4年6月)に基づき、「総量削減計画」(平成5年11月、東京都)を策定し、総合的に取り組むことになっていること、平成19年にはこうした規制が不要な状態となることを前提としている(乙5号証209頁)。 4 技術指針の改定の影響(1) 本件環境影響評価書が依拠した東京都技術指針は平成6年7月に改定されているが、本件事業認定申請書においては、改訂後の技術指針は平成7年4月以降に提出される環境影響評価書案から適用され、本件環境影響評価書には適用されないと説明されているものの、「もし、仮に改定指針を当該評価書に適用した場合においても、環境保全上の問題はない。」と記載されている(乙5号証184頁)。 (2) 高所予測本件環境評価書が策定された後、再評価が行われるまでの時点で、本件環境評価書で採用されていた東京都技術指針が平成6年7月に改定され、大気汚染及び騒音評価について、「地表付近の予測とあわせて必要に応じて高所における影響を予測・評価すること」とされていたが、本件事業申請書の参考資料(乙5号証172頁)においては、大気汚染については、「予測・評価は、地上1.5メートルの高さの地点において実施しており、予測結果及び周辺の建物の状況から判断して、高所での評価の必要はない。」とされ、騒音については、「騒音予測において、高さ12メートルの範囲まで予測の対象としている。環境基準を満足している。」と記載されているのみであり、高所における評価はなされていない。 (3) 浮遊粒子状物 音については、「騒音予測において、高さ12メートルの範囲まで予測の対象としている。環境基準を満足している。」と記載されているのみであり、高所における評価はなされていない。 (3) 浮遊粒子状物質(SPM)本件事業認定申請書添付資料においても、浮遊粒子状物質については、発生源別の排出量が明確に把握されていないし、バックグラウンド濃度についても発生源別の寄与率等が十分に解明されておらず、予測は行えないと説明されている(乙5号証45頁)。また、この点については、浮遊粒子状物質と健康被害の因果関係を認めた前記川崎公害訴訟の1審判決要旨(乙5号証46頁)及び東京高等裁判所における和解調書の写し(乙5号証403頁以下)などが資料として添付されている。 <第1事件についての判断>第1 原告適格 1 原告適格行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するところ、同条にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきとする趣旨を含むと解される場合には、このような利益も法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁、最高裁平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁、最高裁平成11年11月25日第一小法廷判決・判例時報1698号66頁)。 2 考え方 三小法廷判決・民集46巻6号571頁、最高裁平成9年1月28日第三小法廷判決・民集51巻1号250頁、最高裁平成11年11月25日第一小法廷判決・判例時報1698号66頁)。 2 考え方本件事業認定取消訴訟(第1事件)について、上記の観点から検討する。 本件で取消しが求められているのは、法17条に基づいて国及び道路公団に対してされた本件事業の認定処分である。 そこで、法の事業認定に関する具体的規定を検討するに、事業の認定が告示される(法26条1項)と、次のような法的効果が生じることが規定されている。 すなわち、①起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことが制限され(法28条の3)、②起業者は、法の手続により土地の収用、使用をすることができ(法35条以下)、③そのために起業者に対し、起業地内の土地調書、物件調書作成のための立入調査権(法35条1項)、裁決申請権(法39条1項)といった権限が与えられている。これらの規定によれば、土地収用法上の起業地内の不動産に権利を有する者は、違法な認定がされれば、それによって自己の権利を侵害され又は必然的に侵害されるおそれが生じることとなるのであるから、土地収用法第3章の認定の手続、要件等を定めた規定は、起業地内の不動産につき権利を有する者個々人の利益をも保護することを目的とした規定と解することができ、したがって、起業地内の不動産につき権利を有する者は、認定の取消しを求める原告適格を有するものと解すべきである。 これに対し、起業地内の不動産について権利を有していない者については、事業認定によりその権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されると解すべき根拠は認められない。 すなわち、土地収用法は、総則において、「この法律は していない者については、事業認定によりその権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されると解すべき根拠は認められない。 すなわち、土地収用法は、総則において、「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする(1条)と規定しており、この規定を見る限りでは、土地収用法は、公共の利益と個々人の具体的な私有財産の調整を図ることを目的とするものであり、第3章の事業認定の手続も、基本的視点としては上記の観点から設けられたものということができる。また、認定の基準を定める法20条3号において比較衡量すべき諸価値の中には、起業地の個人的な財産価値のほか、起業地を含む地域における居住環境、文化、景観、宗教上の利益等の社会的な価値も含まれると解すべきであって、このような社会的な価値は起業地内に権利を有する者のみならず、地域住民ひいては国民全体が享受するものであるが、同号は公益的観点から抽象的一般的にこのような社会的価値を保護しようとしているものとみるべきであって、起業地内の権利者以外に対してこのような社会的価値を個別、具体的に保護しようとした規定であるということはできない。 また、法は、起業地内の不動産につき権利を有しない者であっても、公聴会を開催するなどしてその意見を事業案の作成に反映させること(法23条)、利害関係人(一般に広く地域住民も含まれると解されている。)として意見提出の機会を与えている(法25条1項)が、これらの規定も、事業に住民の意見を広く反映させてその実効性を高めるという公益目的の規定と解されるのであって、これをもって れると解されている。)として意見提出の機会を与えている(法25条1項)が、これらの規定も、事業に住民の意見を広く反映させてその実効性を高めるという公益目的の規定と解されるのであって、これをもって住民の個別的利益を保護する趣旨を含む規定ということはできない。 したがって、起業地内の不動産につき権利を有していない者は、事業認定の取消しを求める原告適格を有しないというべきである。 よって、この点に関する原告らの主張は理由がない。 そうすると、本件起業地内の不動産について権利を有することについて争いがない第1原告ら、また、後記のとおり同様に権利を有することが認められる第2原告ら及び第3原告らについては、本件事業認定の取消しを求めるについて原告適格を有するということができるが、第4原告らは、本件起業地内の不動産について権利を有していないから、本件事業認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に該当せず、同原告らの訴えは、いずれも不適法である。 3 第2原告ら及び第3原告らの原告適格被告国土交通大臣は、第2原告ら及び第3原告らの本件不動産1(本件土地25及び26に相当する。)についての賃借権準共有持分は適正な権利設定の手続を経ておらず、また、同原告らは、圏央道建設に反対する目的で上記権利の設定を受けたものであって、各権利者において、本件不動産1を使用収益した事実は全くないから、同権利は、不動産の使用収益を目的としたものとはいえず、およそ正当な賃借権として保護に値するものとはいえないとして、同原告らについても、本件第1事件について原告適格を有していないと主張している。 しかしながら、そもそも同原告らは、土地収用手続において、賃借権準共有持分を有する権利者として扱われ、手続が進められているのであるから(甲1 事件について原告適格を有していないと主張している。 しかしながら、そもそも同原告らは、土地収用手続において、賃借権準共有持分を有する権利者として扱われ、手続が進められているのであるから(甲16号証の1)、本件の起業者自身が同原告らを起業地内の不動産につき権利を有する者として手続を行っているのであるし、また、第2原告らは、平成元年10月13日付けで、本件不動産1について賃借権準共有持分設定登記(持分各32分の1)を受け(甲30号証)、また第3原告らは、平成11年11月11日付け、同月19日付け又は同年12月7日付けでそれぞれ第2原告P7に係る同準共有持分の一部の移転登記(持分各3200分の1)を受けていること(甲15号証)が認められ、また、甲29号証及び弁論の全趣旨によれば、前記賃借権準共有持分は、平成元年1月10日の賃貸借契約及び平成4年1月10日の変更契約に基づき、目的を遺跡調査、賃料を1か月金1万円、存続期間を平成4年1月10日から10年間として設定された権利であることが認められるのであり、この認定を妨げる証拠はない。 そして、たとえ上記権利設定の動機の一つが圏央道の建設に反対することにあったとしても、そのことと遺跡調査とは動機として併存し得るものであるから、この点からも上記賃借権が真に設定されたことに疑問が生じる余地はなく、賃借権はそれ自体法的に保護を受けるべき権利であるから、その権利設定の目的如何によってその保護が否定されるものではないし、また、同原告らが未だ現実に本件不動産1を使用収益していなくても、そのことのみで同権利の権利性が否定されることにはならず、他に同権利が保護に値しないことを認めるに足りる証拠はない。 よって、第2及び第3原告らは、本件不動産1について賃借権準共有持分という権利を有する 同権利の権利性が否定されることにはならず、他に同権利が保護に値しないことを認めるに足りる証拠はない。 よって、第2及び第3原告らは、本件不動産1について賃借権準共有持分という権利を有する者らであり、本件事業認定によって同権利が侵害され又は侵害されるおそれがあることは明らかであるから、同原告らの原告適格を否定することはできないというべきであり、この点についての被告らの主張は採用することができない。 4 事業認定の単位被告国土交通大臣は、事業認定の取消訴訟について、事業認定は各原告が権利を有する物件毎に細分化されるという前提で、利害関係のない物件についての事業認定の取消しを求める部分について却下を求めているが、事業認定は、申請にかかる一個の事業に対してその適否が判断されるべきもので、それ自体が統一的な一個の判断であり、起業地内の不動産等の物件毎に細分化してその適否が判断されるものではないから、起業地内の不動産に権利を有する者であれば、等しくその全部の取消しを求める利益を有するというべきであり、個別の却下を求める被告の答弁は意味がないものといわざるを得ない(同被告も本件口頭弁論終結後に同主張を撤回している。)。 第2 本件事業認定の適法性 1 事業認定の要件とその該当性の判断手法(1) 法20条所定の要件本件において、原告らは、土地収用法上の事業認定の取消しを求めているところ、法20条は、国土交通大臣が事業認定を行う要件として、1号「事業が第3条各号の1に掲げるものに関するものであること」、2号「起業者が当該事業を遂行するに充分な意思と能力を有する者であること」、3号「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」、4号「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」を定めてい 遂行するに充分な意思と能力を有する者であること」、3号「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」、4号「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること」を定めているから、事業認定が適法であるというためには、以上の各要件を満たすことが必要である。 法20条1号は、事業の要件として、事業が法3条各号に掲げるものに関するものであることとしているところ、本件事業は法3条1項の道路法上の道路に該当するから、法20条1号の要件を満たしていることが認められる。 また、法20条2号は、起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有するものであることを要件としているところ、本件起業者らについて本件事業を遂行するに充分な意思と能力を有していることを直接的に認めるに足りる証拠は提出されていないが、原告らはこの点を特段争っていないことに照らし、申請書等の記載(乙1号証及び4号証)から同号の要件は認められるものと考えられる。 (2) 法20条3号ア法20条3号の意味法20条3号は、事業認定の要件として、「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」と定めている。 土地収用制度は、公共の利益となる事業のために必要とされる土地を強制的に取得するという制度であるから、事業認定庁は、事業認定に関する処分を行うに当たっては、土地収用を正当化する公共の利益の大きさ・程度について判断することになるが、その判断の過程において、収用を認めた場合に失われる利益についても十分考慮することになるから、結局、事業認定庁は、事業認定を行うことによって得られる公共の利益と失われる利益との双方を比較衡量した上で収用を認めるべきか否かを決定するという判断手法をとることになる。そして、法20条3号に ら、結局、事業認定庁は、事業認定を行うことによって得られる公共の利益と失われる利益との双方を比較衡量した上で収用を認めるべきか否かを決定するという判断手法をとることになる。そして、法20条3号にいう、「土地の適正且つ合理的な利用」とは、当該土地(事業地)がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と当該土地がその事業の用に供されることによって失われる利益とを比較衡量し、前者が後者に優越する状態で利用されることを意味するものと解される。 イ比較衡量の対象そして、このような比較衡量は、事業計画の内容、その事業によってもたらされるべき公共の利益、起業地の現在の利用状況、起業地の有する私的ないし公共的価値等について、総合的な判断としてなされることとなる。 ウ積極的価値審査の際、事業認定庁において考慮されるべき価値とは、まず、積極的な価値として、その事業が施行されることによって得られる公共の利益を検討することとなるから、本件のように対象が道路建設である場合には、当該道路の供用が開始されることによって、利便性の向上、交通渋滞の緩和が図られるという利益を想定することができる。この場合、審査の対象となる事業は、申請に係る事業であるのが原則であるが、本件事業のように、申請に係る事業が圏央道建設という全体計画の一部である場合には、事業が有する公益性については、全体計画から切り離した当該区間の公益性のみを判断すべきではなく、全体計画についても考慮し、その一部としての当該事業の公益性を判断すべきである。そして、このような積極的価値を算定する前提となる計画交通量及び得られる便益の算定は、事業計画の合理性を支える根幹となるものであるから、十分その合理性が首肯されるものでなければならない。 エ消極的価値(失わ 積極的価値を算定する前提となる計画交通量及び得られる便益の算定は、事業計画の合理性を支える根幹となるものであるから、十分その合理性が首肯されるものでなければならない。 エ消極的価値(失われる公共の利益)次に、消極的価値として、その事業が行われることによって失われる公共の利益、すなわち、本件のように道路の建設であれば、道路の建設に要する費用(国家財政に与える負担)、道路の建設中あるいは供用開始後に付近住民の健康や周辺環境に与える影響、また、こうした環境被害を防止するための対策が必要であればその費用等についても考慮する必要がある。また、道路建設に伴って失われる文化財等の価値のある財産についても当然に公益としての考慮の対象となる。 オ消極的価値(失われる私人の利益)さらに、消極的価値として、事業認定に伴って失われる私人の個別的な利益、すなわち、道路建設であれば道路建設に供される土地及び同土地上の財産の価値についても考慮しなければならない。特に、宅地の場合は、事業の施行によって家屋の移転を余儀なくされ、被収用者に与える影響が大きい場合が多いことからすると、農地、山林、原野などと比較して失われる利益は大きいということができる。そして、事業認定によってこのような私人の利益がはく奪されるものである以上、収用される起業地の範囲は必要最小限でなければならず、事業のために不可欠ではなく、あった方がよいといった程度の土地は、起業地に入れることはできないと解される。 カ都市計画決定と事業認定の関係認定事実のとおり、本件事業認定は、その前提として、都市計画法に基づく都市施設としての本件都市計画決定が行われているところ、都市施設として都市計画の決定が行われている施設の建設事業については、土地収用法上の事業認 り、本件事業認定は、その前提として、都市計画法に基づく都市施設としての本件都市計画決定が行われているところ、都市施設として都市計画の決定が行われている施設の建設事業については、土地収用法上の事業認定以外にも、都市計画事業の認可又は承認(都市計画法59条)によっても事業を施行することもできる。 本件事業認定は、都市計画法に基づく都市計画事業の事業認可ではなく、土地収用法に基づく事業認定がなされているところ、このように、都市計画決定がなされている事業について、都市計画法によらずに土地収用法に基づく事業認定を行うことを禁じた明文の定めはないから、同一の都市計画決定に係る事業を対象に、都市計画法に基づく事業の認可を受けることも、土地収用法に基づく事業認定を受けることも、起業者の選択に委ねられているものと解される。 しかしながら、起業地内の不動産に権利を有し、事業認定によって一定の不利益を受ける私人の立場からすれば、起業者が土地収用法に基づく事業認定を選択しても、また、都市計画法に基づく事業認可を選択しても、不動産の使用収益を妨げられ、将来的には収用裁決を受ける立場に置かれるという不利益が生じることは同質であるし、両法が対象とする事業の性格を対比してみても、都市計画事業として認可を受けられないものにつき、土地収用法による事業認定を受けることができるというのはきわめて例外的な場合に限られると考えられる。そして、都市計画法13条の定める都市計画基準は土地収用法20条3号の定めをより具体的に規定したものともみ得るところであるから、土地収用法に基づく事業認定を申請した事業が都市計画決定を前提とするものである場合においては、当該都市計画決定が都市計画基準に合致するとは認められないときには、特段の事情のない限り、当該事業計画は土地収用法 に基づく事業認定を申請した事業が都市計画決定を前提とするものである場合においては、当該都市計画決定が都市計画基準に合致するとは認められないときには、特段の事情のない限り、当該事業計画は土地収用法20条3号の要件の該当性も認められないと判断するのが相当である。 (3) 瑕疵ある営造物の設置を目的とする事業の取扱い(事業認定の前提要件)ア法が事業認定の要件として明示的に定めるところは上記(1)及び(2)のとおりであって、法は、20条各号はもとよりその全体をみても、事業によって設置される営造物に瑕疵があると認められる場合の取扱いについては明示的な規定を置いていない。そのために、たとえ設置される営造物に瑕疵があったとしても、他方において当該営造物が公共の利益に資するものであるならば、これらの利害得失を上記(2)アないしオで述べたような比較衡量の対象とすれば足りるという考え方が生じないでもない。 イしかし、行政機関である事業認定庁が瑕疵ある営造物の設置を許すことは、法の支配に服すべき行政機関が自ら法に違反することを意味するのであって、法秩序の否定につながるものである。法がこのような事態を是認しているものとは到底考えられず、上記のように明文の規定を欠いているのは、公共工事の起業者がそのような瑕疵ある営造物の設置を計画するはずがないとの前提に立っていることによるものと理解すべきであり、法はこの点を事業認定における黙示的な前提要件としているものと解すべきである。 そうであるとすると、事業認定庁としては、事業認定申請書とその添付資料により、当該事業によって設置される営造物に瑕疵があるものと認めた場合には(これらの資料中の記載は抽象的に道路と記載するにとどまらず、道路構造令に定める構造規格(3条)、車線数(5条)、設計速度( 料により、当該事業によって設置される営造物に瑕疵があるものと認めた場合には(これらの資料中の記載は抽象的に道路と記載するにとどまらず、道路構造令に定める構造規格(3条)、車線数(5条)、設計速度(13条)等ある程度の具体性を有するものであるから(土地収用法施行規則3条1項では事業申請書に事業計画の概要を記載することを要求している。)、これと他の添付資料とを併せて考慮することにより、瑕疵ある営造物の設置が計画されているものと認めることが可能な場合も少なくないと考えられる。)、法の想定している公共事業ではないとの理由により、そのままでは事業認定をすることはできないとの判断をすべきであり、その点を指摘してもなお起業者が計画の変更等をしない場合には、上記(2)アないしオの比較衡量等をするまでもなく、申請を却下するか、瑕疵のない内容への変更を条件に事業認定をすべきである。すなわち、この点につき、事業認定庁には、要件裁量の余地はなく、効果裁量も上記のとおり限定されたものとなるのである。 ウ以上のことを本件事業認定に即して敷衍すると、土地収用法における事業とは、法3条で規定するとおり、道路、河川の堤防、ダム、農業用用水路などであり、これらは国家賠償法2条1項にいう公の営造物に当たるものである。そして、国家賠償法2条1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態、すなわち他人に危害を及ぼす危険性のある状態を指すのであるが、これには、営造物に物理的な瑕疵がある場合のみならず、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合(いわゆる供用関連瑕疵)をも含むものであり、営造物の設置・管理者において、このような危険性のある営造物を公共の利用に供 の関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合(いわゆる供用関連瑕疵)をも含むものであり、営造物の設置・管理者において、このような危険性のある営造物を公共の利用に供し、その結果周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害を生じせしめた場合には、原則として同項の規定に基づく責任を免れることができないものと解されるのである(最高裁昭56年12月16日民集35巻10号1369頁、平成7年最高裁判決)。 そして、道路の通行によって生じる騒音について供用関連瑕疵を認めた平成7年最高裁判決は、そのような瑕疵が生じるに至ったことについての設置・管理者の予測・回避可能性について、「本件道路の交通量等の推移はおおむね開設時の予測と一致するものであったから、被告らにおいて騒音等が周辺住民に及ぼす影響を考慮して当初からこれらについての対策を実施すべきであった・・・。」「国家賠償法2条1項は、危険責任の法理に基づき被害者の救済を図ることを目的として、国又は公共団体の責任発生の要件につき、公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときと規定しているところ、所論の回避可能性があったことが本件道路の設置又は管理に瑕疵を認めるための積極的要件になるものではないと解すべきである。」と判示しているところから考察すると、公の営造物の管理者には、供用開始後の営造物の利用状況を正しく予測し、当初から瑕疵のない営造物を設置する義務があることを前提としているものと解されるのである。 そうすると、事業認定時の審査資料及び事業認定庁として当然知悉しているべき知見及び公知の事実などから、当該事業の実施によって瑕疵を帯びた営造物が設置されるものと認められるにもかかわらず、そのような事業計画につき事業認定をすることは、 事業認定庁として当然知悉しているべき知見及び公知の事実などから、当該事業の実施によって瑕疵を帯びた営造物が設置されるものと認められるにもかかわらず、そのような事業計画につき事業認定をすることは、本来設置すべきではない瑕疵ある営造物の設置を許容することにほかならないのであり、事業認定庁に与えられた裁量の範囲を考慮するまでもなく違法性を生じさせるというべきである。 エ瑕疵の有無の認定上記のような考え方に対し、公の営造物の瑕疵について、営造物そのものの瑕疵(いわゆる物的性状瑕疵)であれば、事業計画段階でも判明し得る事柄であるから、前記のような議論が成立し得るとしても、道路公害(騒音被害、大気汚染等)のように、公の営造物が一定の利用限度を超えて利用される場合にはじめて発生するいわゆる供用関連瑕疵においては、瑕疵の発生について道路の供用開始前に的確な予想を行うことは困難であるから、事業認定においてこのような要素までをも考慮することはできないのであり、実際に供用が開始された後、瑕疵と評価し得るような利用方法がなされた場合にはじめて対策をとれば足りるという考えもないではない。 しかしながら、合理的な予測方法がない場合や合理的な予測方法によっても公害の発生が予測し得ない場合はともかくとして、合理的な予測方法によって公害の発生が予測し得る場合にまで上記のように考えるべき根拠は見当たらないし、そのような場合にまで上記のように考えることはきわめて不当な結論を招くこととなる。すなわち、道路の設置後に大気汚染、騒音被害等のいわゆる道路公害が発生した場合に、事後的に道路の遮音措置や排気ガス規制などの対策をとることはできるとしても、こうした対策は恒常的に発生する著しい道路公害に対して必ずしも実効性を持たないことは多々見受けられることで 発生した場合に、事後的に道路の遮音措置や排気ガス規制などの対策をとることはできるとしても、こうした対策は恒常的に発生する著しい道路公害に対して必ずしも実効性を持たないことは多々見受けられることであって、道路公害に対する抜本的な対策は交通量の抑制や極端な場合は道路の供用廃止ということにならざるを得ないのであるが、道路の供用が開始されると、供用関連瑕疵の有無にかかわらず、地域間交通や産業経済活動がその道路の存在を前提として営まれることとなり、そのような事情を考慮すると、いかに深刻な供用関連瑕疵が存在していたとしてに、もはやそれを理由に道路の供用を廃止することは著しく困難となるのであって、このことは、道路公害について、道路に公の営造物としての瑕疵があり、これにより周辺住民が受忍限度を超える損害を被ったとして国家賠償法による損害賠償が認められる場合でも、道路の供用の差止め請求については、周辺住民が甚大な被害を被っていることを前提としても、なお道路の供用によってもたらされる多大な便益を考慮して差止めは認められないとして、その違法性については質的に異なる判断基準が示されていることからも裏付けられる(平成7年最高裁判決)。 また、道路に周辺住民の受忍限度を超える供用関連瑕疵があると認められ、その瑕疵によって周辺住民に被害が及んでいるとされた場合は、管理責任者に国家賠償法上の責任があるということとなり、被害を被った多数の周辺住民に対して総計すると決して少なくない額の損害賠償が支払われることとなるのであるが、こうした賠償額も結局のところ国家財政によって賄われるのであって、瑕疵ある道路建設は、周辺住民のみならず、国家財政にも多額の損失を生じさせることとなるのである。 このような観点からすると、既に供用されている道路についてはともかく て賄われるのであって、瑕疵ある道路建設は、周辺住民のみならず、国家財政にも多額の損失を生じさせることとなるのである。 このような観点からすると、既に供用されている道路についてはともかく、今後建設されようとしている道路について、その予測される交通量、道路の構造、地形及び周辺の居住状況等を前提として、合理的な予測方法による予測の結果、当該道路の供用開始により、その周辺住民に受忍限度を超える被害が生ずると認められる場合には、当該事業計画は瑕疵ある道路の設置を目的とする点で違法といわざるを得ず、そのような場合になおその道路の便益を優先させ、住民の被害は国家賠償によって解決すれば足りるとの考え方は、法律による行政の原則の下ではとり得ないものであるといわざるを得ない。 オ事業認定庁のとるべき審査態度このように見ると、事業認定申請に当たり起業者から提出を受けた資料によって、上記のような観点から瑕疵ある道路の建設が行われるものと認定できる場合には、本来当該申請を却下するかあるいはそのような状態を解消し得る条件を付加して事業認定を行うべきであるから、それにもかかわらず事業認定がなされた場合は、法が事業認定の前提として要求している要件を満たさないままされたものとして、当該事業認定は違法となるというべきである。また、起業者が提出した資料が十分でなく、瑕疵ある道路の建設が行われるとは直ちに認められないものの、提出された資料及び審査時点で事業認定庁が有する知見及び公知の事実(法令等を含む)に照らしてそうした疑念を生じさせるものである場合には、事業認定庁は、瑕疵ある道路の建設を許容してはならない義務を有している以上、そうした疑念について、起業者に追加資料の提出や追加調査を命じることによって、将来予測され得る事態がどの程度のもの 合には、事業認定庁は、瑕疵ある道路の建設を許容してはならない義務を有している以上、そうした疑念について、起業者に追加資料の提出や追加調査を命じることによって、将来予測され得る事態がどの程度のものかを確かめ、その上で瑕疵が生じ得るものかどうかを認定判断すべきである(事業認定庁は、事業認定申請書とその添付資料(法18条1項、2項)、土地の管理者及び関係行政機関の意見(21条)、公聴会における一般の意見(22条)、利害関係人の意見書(25条)又は社会資本整備審議会等の意見(25条の2)、必要があると認める場合には学識経験者の意見聴取(22条)を行い、これらの資料を参考にして事業認定の要件を判断することとなるが、さらに、判断資料はこれら明文の規定があるものに限定されるものではなく、処分に関する心証を形成するに必要であれば、必要に応じて起業者から事情聴取を行い、関連資料の提出を求め、起業者に調査を命じるなどをすることもできる。)。 そうした疑念を生じさせる内容であるにもかかわらず、事業認定庁がその点について十分な調査をしないまま事業認定が行われた場合には、法が事業認定の前提として要求している要件を満たすか否かについての判断をしていないものとして、当該事業認定は違法とされるべきである。 (4) (3)の前提要件を満たす申請についての事業認定庁の審査のあり方ア事業認定庁の裁量事業認定庁は、(3)の前提要件を満たしている申請については、法20条各号の要件該当性と事業認定の可否を検討することとなるが、同条各号該当性判断についてはもとより、これを満たす場合の事業認定の可否についても、同条が「事業認定をすることができる」としていることからすると、事業認定庁に一定の裁量があるというべきであり、その一環として、事業認定に際し一定の条件を付 これを満たす場合の事業認定の可否についても、同条が「事業認定をすることができる」としていることからすると、事業認定庁に一定の裁量があるというべきであり、その一環として、事業認定に際し一定の条件を付すことも許されるものと解される。 ところで、法20条3号要件の判断に当たり、事業認定庁に広範な裁量を認める考えの中には、その根拠として、3号要件の判断については専門的技術的判断を伴うことを理由とする見解もある。しかしながら、すべての事業計画が特段の専門的技術を必要とするとは限らないのであり、かつ、事業認定を求める事業には法3条が定めるとおり様々なものがあり、事業認定庁はかならずしもこれらの多種多様な事業について専門的技術を有している行政庁であるとは限らない。また、法20条3号の要件がきわめて一般的抽象的な規定であることに照らしても、かならずしも事業認定庁に専門的技術を前提とした判断を求めているとも解されない。 むしろ、法20条3号の判断に当たり事業認定庁に認められる裁量とは、事業認定庁の有する専門的技術的知識に由来するものではなく、得られる価値と失われる価値との比較衡量をするに当たり、性質上そのままでの比較対象が困難な複数の価値について、事業認定庁における政策的判断としてそのいずれを優先させるかという意味においての裁量であり、事業認定庁の政策判断能力に由来するものと解される。 すなわち、法20条3号要件の審査に当たっては、事業認定庁において得られる利益と失われる利益との比較衡量を行うべきであることは前述のとおりであるが、事業認定の対象とされる公的事業の場合、私法の分野における利益衡量のように同質の価値を比較検討するのとは異なり、その基本的対立軸となるのは、事業によって生じる公共の利益と起業地内の私人の利益との衝突で 業認定の対象とされる公的事業の場合、私法の分野における利益衡量のように同質の価値を比較検討するのとは異なり、その基本的対立軸となるのは、事業によって生じる公共の利益と起業地内の私人の利益との衝突であるところ、これらはいずれも質的に異なる利益であって、単純にその大きさを比較できるというものではない。また、公共の利益の範ちゅうにおいても、事業によって生じる便益(道路建設の場合であれば利便性の向上、渋滞の解消)と、失われる利益(環境一般に与える悪影響、受忍限度の範囲内において地域住民に生じる騒音、大気汚染等の不快感等)については、やはり利益の質が異なり、何らかの特別な視点によらない限りそのまま比較衡量することは実際上困難であるといわざるを得ないのである。このような、さまざまな性質を異にする利益を比較衡量という手法を使って勘案するに当たり、結局のところどのような価値を最も重視すべきかということについては、現行の法体系の下で社会に普遍的に受け入れられた価値の優先順位を探求する必要が生じるのであり、そのような場面で作用するのが事業認定庁に認められた裁量であるというべきである。 イ判断の手法とその限界以上のような事業認定庁の裁量に基づく判断は、比較衡量を行うに当たって当然に考慮すべき要素(上記のように現行の法体系の下で社会に普遍的に受け入れられている諸価値)を考慮した上で行われるべきものであって、その判断が、事業認定庁に与えられた裁量の趣旨からして本来考慮すべきでない要素を過大に重視し、また、本来考慮すべき要素を不当に軽視し、その結果が判断を左右したものと認められる場合には、その判断過程には社会通念上看過することができない過誤欠落があるというべきであり、同判断はとりもなおさず裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとし 果が判断を左右したものと認められる場合には、その判断過程には社会通念上看過することができない過誤欠落があるというべきであり、同判断はとりもなおさず裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとして、違法となると解するのが相当である。 ウ代替案土地収用法には、事業認定の手続的要件として、当該事業と代替案との比較検討をすべき旨の明文の規定はなく、事業認定庁が代替案について比較検討をせずに事業認定を行ったからといって直ちに事業認定に手続違背があったということにはならない。 しかしながら、一般的には、当該事業の計画内容以外の代替案と当該事業の計画案を比較衡量し、当該事業の計画自体の優位性はもとより、収用の対象及び事業によって失われる利益を最小限にとどめつつ事業目的をよりよく実現し得るか否かを考慮して初めて当該事業の合理性が首肯され得るのであって、こうした比較検討は、事業計画の合理性を審査する上で必要不可欠な手法であるといえる。そうであれば、起業者は、事業認定の申請を行うに当たり、代替案についても検討を行い、その結果を参考資料として事業認定庁に提出すべきものであるが、仮に、起業者が代替案の検討を行っていなかったとしても、事業認定庁は、法20条3号の審査をするのに必要な資料として、起業者に代替案の作成を求めることもできる。 そうすると、代替案の検討を行わなくても当該事業計画の合理性が優に認められるといえるだけの事情があればともかく、そうした事情が存在しないにもかかわらず、代替案の検討を何ら行わずに事業認定をすることは、不十分な審査態度といわざるを得ず、本来考慮すべき要素を不当に軽視することによって、その結果が判断を左右している可能性があるから、事業認定庁に与えられた裁量を逸脱する疑いを生じさせるというべきであ 不十分な審査態度といわざるを得ず、本来考慮すべき要素を不当に軽視することによって、その結果が判断を左右している可能性があるから、事業認定庁に与えられた裁量を逸脱する疑いを生じさせるというべきである。 2 本件事業認定の違法性(その1)-前提要件非該当性1で述べた判断の枠組みを前提として、まず、本件事業認定が法が黙示的に要求する前提要件を具備しているか否かについて以下検討する。 (1) 騒音被害ア本件事業認定時に提出された資料自体から判明する事実本件事業認定時に考慮された環境被害に関する提出資料は、本件都市計画決定時に行われた本件環境影響評価書(昭和63年作成・乙7号証)及び本件再評価結果(平成11年作成・乙5号証189頁以下)であるところ、本件環境影響評価書の記載(乙7号証60頁)からは、まず、昭和58年東京都実施の道路交通騒音の測定結果から、本件起業地付近である国道411号線(滝山街道)において、朝、昼、夕の時間帯で環境基準を上回る騒音が生じており、夜間の時間帯で環境基準と同レベルの騒音が生じていること、また、本件環境影響評価書作成に際して行われた道路交通騒音調査結果(乙7号証161頁)によれば、α16地点において、朝63ホン、昼68ホン、夕63ホン、夜46ホンという環境基準を大幅に上回る値の騒音が生じていることを読み取ることができる。 さらに、圏央道建設後の騒音予測について示した騒音予測横断図(乙7号証191頁以下)によれば、本件起業地内である、α16(1)、α16(2)、α16(3)、α16(4)の地点では、いずれの地点においても最短で2.5メートル、最大で8メートルもの遮音壁の設置を前提としてもなお、いずれも5m超の高所において環境基準を上回る騒音が生じることが予測されていることを読み取 の地点では、いずれの地点においても最短で2.5メートル、最大で8メートルもの遮音壁の設置を前提としてもなお、いずれも5m超の高所において環境基準を上回る騒音が生じることが予測されていることを読み取ることができる。特に、α16(1)の地点においては、高所において環境基準を上回る状態は、官民境界からの距離0メートル地点から始まり、西側において約65メートル、東側においては予測範囲である80メートル地点に至るまで続いているのであり、他の3つの地点においても、官民境界からの距離0メートルから約15メートルの地点まで続いているのであるから、これらの範囲内の2階ないし3階建以上の建物に居住する住民は、本件道路の供用後、環境基準を上回る騒音にさらされるものと認めることができたというべきである。 また、本件事業申請に当たって行われた本件再評価(乙5号証189頁以下)の時点においては、平成6年に東京都環境条例の技術指針が改正され、必要に応じて高所における騒音の予測を行うことが新たに加わっていたものであるが、本件再評価においては、従前の技術指針に準じて地上1.2メートル地点における予測結果のみが記載されているため、高所においてどのような予測結果となったのかは明らかではない。ただし、本件再評価実施の理由が、予測の基準年が変動したことに伴い、本件環境影響評価書作成時点において予測の前提とされた計画交通量が増加したことにあり(乙5号証189頁)、かつ、再評価の結果、α14地域の遮音壁の高さが従前の5メートルから7メートルに嵩上げされていることからすれば(乙5号証195頁)、再評価時点において高所の予測を行っていれば、本件環境影響評価書における予測結果を下回るものではなかったことは容易に推認し得る事柄である。 以上の事実に照らせば、環境への影 号証195頁)、再評価時点において高所の予測を行っていれば、本件環境影響評価書における予測結果を下回るものではなかったことは容易に推認し得る事柄である。 以上の事実に照らせば、環境への影響を調査した結果として事業認定時に提出された資料のみの記載に照らしても、本件起業地付近は本件事業施行以前の時点においても、環境基準を上回る騒音を生じさせている地域であり、また、本件事業施行後についても、遮音壁という措置をとったとしてもなお高所において環境基準を超える騒音を生じさせる結果となることを容易に認定することができたのである。 イ本件環境影響評価書における環境基準の適否本件環境影響評価書においては、本件起業地について、旧環境基準のA地域における2車線を超える車線を有する道路に面する地域に適用される基準が適用されている。そして、前記のとおり、騒音予測横断分布図(乙7号証193頁以下)においては、官民境界から80メートルの地点までの予測結果が示されているが、これら全ての範囲について、上記2車線を超える車線を有する道路に面する地域の基準を適用して、環境基準超過の有無が示されている。 これについて、被告は、「道路に面する地域」とは、「当該道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域」を意味するのであって、単に物理的に道路に面しているか否かといった点から決められるものではなく、道路を建設するに当たり「道路に面する地域」の環境基準を適用することは適切であると主張している。 しかしながら、「道路に面する地域」を字義どおり素直に読めば、物理的に道路に面した地域を意味するものと解するほかないのであって、これを被告主張のように、道路交通騒音の影響を受ける地域と解しても、道路交通騒音の影響を受けるということが、例えば、当 直に読めば、物理的に道路に面した地域を意味するものと解するほかないのであって、これを被告主張のように、道路交通騒音の影響を受ける地域と解しても、道路交通騒音の影響を受けるということが、例えば、当該道路からの騒音が人の耳で全く感知できなくなる地点までを広く含むのかあるいは何ホン以上の騒音が伝わる地域を指すのかなど、具体的にどのような基準で判断されるのか何ら明らかではなく、そのように何らの基準もないのであれば、実際には道路交通騒音の影響を受けないといい得る地域はほとんどないのであるから、同じA地域の中で3つの異なる環境基準を設けた意味はないことになるのであり、環境基準が基準として機能しなくなるものといわざるを得ない。 そして、新環境基準においては、幹線交通を担う道路に近接する空間の特例が設けられ、幹線交通を担う道路のうち2車線以下は道路端から15メートル以内、2車線を超える道路は道路端から20メートル以内については、緩やかな基準を適用することとされ、特例の適用を受けない(幹線交通とはいえない)2車線以上の車線を有する道路に面する地域については、より厳格な基準を適用することとしたことに照らすと、「道路に面する地域」とは、文字通り物理的に道路に面した地域であり、道路からせいぜい20メートル程度の範囲を指すものと解すべきであり、この点についての被告の主張は採用することができない。 そうすると、官民境界地点から80メートルに至る範囲が「道路に面する地域」といえないことは明らかであるから、本件環境影響評価書は、そもそもより厳格な環境基準を適用すべきであった地点においてまで緩やかな環境基準を適用しているのであり、誤った基準を用いることによって騒音による被害の発生を過小に評価したものといわざるを得ない。 ウ騒音評価の問 を適用すべきであった地点においてまで緩やかな環境基準を適用しているのであり、誤った基準を用いることによって騒音による被害の発生を過小に評価したものといわざるを得ない。 ウ騒音評価の問題点(ア) 自動車の走行速度本件環境影響評価書及び本件再評価においては、騒音の予測数値は、自動車の走行速度が法定最高速度である80km/hとして計算されている。 しかしながら、事業認定の申請の理由(乙1号証)からすれば、圏央道は、生活道路に流入している物流のための自動車(主にトラック)の排除を主たる目的のひとつとして建設されるものであり、α16地区における午前5時から6時の時点での大型車混入率は76.2パーセントに上ると予測されているのであるから(乙7号証193頁)、物流の用途に供されているトラックが実際に走行する速度を勘案しない限り、確度の高い予測結果は得られないというべきであって、特別の事情がない限り道路が渋滞することのない午前5時から6時の自動車専用道路における大型車の走行速度は80km/hを大幅に上回ることは経験則上明らかであるから、本件環境影響評価書の予測手法は実態に即していないというべきである。 (イ) 高所の予測結果また、α14地区の騒音予測結果は、α16地区と比較しても大きい数値となっており(乙7号証191頁)、本件再評価においても遮音壁の追加が決定されていることからすると(乙5号証189頁)、高所においても多大な騒音が発生することが容易に想定されるところであるが、α14地区においては、α16地区において作成されている騒音予測結果横断分布図(乙7号証193頁以下)すら作成されていないため、高所における予測結果が判明しない記載となっている。 このことは、平成6年に技 は、α16地区において作成されている騒音予測結果横断分布図(乙7号証193頁以下)すら作成されていないため、高所における予測結果が判明しない記載となっている。 このことは、平成6年に技術指針が改正され、高所における予測の必要性が明白となった後で行われた本件再評価においても調査されていない。 (ウ) 複合騒音さらに、本件環境影響評価書も本件再評価も、いずれも圏央道自体から生じる騒音の程度を予測しているものであって、圏央道付近に存在する他の幹線道路との複合騒音については、国道411号線との交差部(α13地区)及び五日市街道との交差部(α16地区)において予測されているのみである(乙7号証192頁)から、圏央道の供用が開始された以後において周辺住民が実際に被る騒音被害の程度については予測されていないものといわざるを得ない。 (エ) 計画交通量の変化本件環境影響評価書における予測時点は、平成12年度であったところ、本件事業の進行の遅延に伴い、供用開始予定年度が変更されたことから、予測時点も平成32年に変更されており、計画交通量も増加方向に修正されているが、それにもかかわらず、本件再評価においては、本件環境影響評価書における調査事項がすべて再調査されたものではなく、限定された内容にとどまっているため、こうした記載からでは、平成32年を予測時点とする実際の現象は十分に把握されておらず、計画交通量が増加方向に修正されていることに照らすと、十分な調査をすればより重大な影響が予測できたにもかかわらず、それをしていないことにより、これを過小に評価している可能性が高いといわざるを得ない。 (オ) 技術指針への準拠(ア)ないし(エ)の問題点について、被告は、本件環境影響評価及び本件 いないことにより、これを過小に評価している可能性が高いといわざるを得ない。 (オ) 技術指針への準拠(ア)ないし(エ)の問題点について、被告は、本件環境影響評価及び本件再評価は、東京都の策定した技術指針等に基づいて実施されているものであり、こうした指針に基づいて評価した結果環境基準を下回るという評価が得られたことから事業認定を行った旨主張している。 ところで、事業認定庁が、事業認定の可否を判断するに当たり、当該事業の環境影響評価が法令の手続を遵守してなされたものかどうかを審査することは当然であり、被告の主張はこの点においては首肯し得るものであるということができる。 しかしながら、事業認定庁は、法20条3号の要件を審査する前提として、当該事業を施行することにより瑕疵ある営造物を設置することにならないか否かという点についても判断を要するのであるから、事業認定庁は、起業者から提出された資料を吟味し、事業が施行された場合に実際起業地にどのような事態が生じることとなるのかについて慎重に検討した上、事業施行後の予測結果についてなお不明な点があれば、当該資料が行政上の指針に準拠したものか否かにかかわらず、さらに調査を尽くさせた上で認定すべきか否かを判断する義務があるというべきであり、仮に、被告の主張が、一定の指針に基づいて得られた評価の結論については事業認定庁において審査するまでもなく当然に受け入れられるべきであるという趣旨なのであれば、事業認定制度の趣旨を誤解した見解であるといわざるを得ない。 エ騒音被害についての結論以上検討したところは、すべて本件事業認定申請時に提出された資料のみによるものであり、それらのみによっても、本件道路が同申請における事業計画のまま建設され供用 エ騒音被害についての結論以上検討したところは、すべて本件事業認定申請時に提出された資料のみによるものであり、それらのみによっても、本件道路が同申請における事業計画のまま建設され供用が開始された場合には、その相当広範囲の周辺住民に受忍限度を超える騒音被害を与えることになることは容易に認定できたというべきである。 その上、原告らは、独自の調査の結果、実際には上記資料の記載以上の騒音被害が生ずると主張し、これらに沿う証拠(甲98号証、99号証、原告P8本人)を提出している。被告らはこれらの証拠の正確性を争っており、これらの証拠の記載をそのまま認めることは困難というほかないが、これらの証拠によると、少なくとも上記申請時の資料に記載された程度の騒音被害は確実に発生するものとの裏付けが可能であるし、さらに、重大な被害の発生の可能性を否定し得ないことが認められる。 また、平成7年最高裁判決は、「発生した騒音が環境基準を超えるかどうかにかかわらず、一定程度以上の騒音が恒常的に生活に侵入することによってこれによる被害が受忍限度を超えると認定され得る」ことを是認しており、その程度は環境基準より厳格なものと一般に理解されているところであって、道路行政に携わる者はもとより、道路建設事業について事業認定をすべき事業認定庁においては、この判決の趣旨を法律に準じるものとして、環境基準以上に重視すべき立場にあるというべきである。 これらのことからすると、事業認定庁としては申請にかかる事業がそのまま施行された場合には、周辺住民に受忍限度を超える損害を与えることとなる瑕疵のある道路が建設されることとなると認定することができたというべきである。 また、前記のとおり、広範囲にわたって緩やかな道路に面する環境基準が適用されて 度を超える損害を与えることとなる瑕疵のある道路が建設されることとなると認定することができたというべきである。 また、前記のとおり、広範囲にわたって緩やかな道路に面する環境基準が適用されていることや、自動車の走行速度が実態から予測される事態と合致していないこと、他の道路も兼ね併せた現実に発生する騒音(合成騒音)の程度が一部しか判明していないこと、高度の騒音が予想される地域において高所予測がなされていないことなど、技術指針を前提としていたとしても、なお予測の確度が著しく低く、予測としておよそ合理性を欠くと思われる事情が多々存在したにもかかわらず、これらの疑念を解消するに足りる追加調査等が行われることなく、本件事業認定がなされたものともいわざるを得ない。 (2) 大気汚染ア接地逆転層本件環境影響評価書の大気質予測においては、建設省技術指針に則り、有風時(風速が1m/secを超える場合)にプルームモデル、静穏時(風速が1m/sec以下の場合)にパフモデルと呼ばれる予測方法を用いている。 この点について、原告らは、本件起業地内のあきる野インターチェンジ付近には強度の接地逆転層(夜間の放射冷却によって、地表面付近の空気が冷えてできる逆転層のこと)が出現し、通常と異なり、圏央道によって汚染された大気が拡散せず、そのまま滞留することとなるので、平原における大気の拡散を予測するモデルである上記各モデルを使った予測は不可能であると主張する。これに対し、被告は、接地逆転層は全国各地で見受けられるもので特段珍しい現象ではなく、また、本件環境影響評価書の作成に当たっては、圏央道建設予定地の中で接地逆転層が最も強く形成されるとされているα17を対象に現地調査及び風洞模型実験を行い、その結果を係数化して加味しているから く、また、本件環境影響評価書の作成に当たっては、圏央道建設予定地の中で接地逆転層が最も強く形成されるとされているα17を対象に現地調査及び風洞模型実験を行い、その結果を係数化して加味しているから、本件環境影響評価書の記載は接地逆転層についても考慮されていると主張している。 ところで、国土交通省国土技術総合研究所交通環境研究室の平成11年度調査・試験・研究の成果概要のうち「環境アセスメント技術に関する調査」(甲122号証)によれば、「谷や盆地のような局所に閉じた地形においては、逆転層発生時には、大気汚染物質が滞留し、大気汚染の影響が顕著になると考えられるが、現在のところこのような地形による逆転層の影響を予測できないため、その予測手法の確立が必要である。11年度は、谷内部の逆転層の出現状況及び気象状況を把握するため、詳細な現地気象観測及び同地点における大気拡散実験を実施した。また、そこで得られたデータをもとに、局地気象モデルにより接地逆転層の出現しやすい気象パターンについて気象の再現計算を行い、実際の気象状況との整合性を検討した。その結果、概ね気象状況を再現できていることが確認できた。」との記載があり、当該記載からは、少なくとも、専門家の間でも、平成11年度の時点において、大気汚染の予測を行う際に、接地逆転層による影響を予測する手法はなお確立されていないことが認められる。また、α17を対象とした風洞模型実験(乙8号証15頁以下)によって得られた係数は、対象とされたα17の地形及び構造物の設置条件を前提とするものであり、これをあきる野インターチェンジ付近の地形に一般化して通用性を有するものかどうかについては何ら説明がなく、このことと平成11年度においても確立された予測手法がなかったことからすれば、当該係数を用いてあきる野インター ターチェンジ付近の地形に一般化して通用性を有するものかどうかについては何ら説明がなく、このことと平成11年度においても確立された予測手法がなかったことからすれば、当該係数を用いてあきる野インターチェンジ付近における接地逆転層の影響が正しく予測されているものかどうかについてはなお疑問が残るものといわざるを得ない。 このように、一般に承認された予測手法が存在しないことを前提とした場合、接地逆転層が起こり得ることが予想される地形については、それが発生したときには大気汚染による重大な被害が発生するおそれがあることからすると、個別に現地調査、実験を行うという手段をとることによって、他の地域における実験結果から類推するという確度の低い予測に代えることこそが合理的な予測方法にほかならないと考えられるが、事業認定庁においてそのような調査を命じた事実はない。 イ浮遊粒子状物質(SPM)技術指針においては、浮遊粒子状物質についても評価の項目として挙げられているが、本件環境影響評価書においては、浮遊粒子状物質については、発生源からの寄与を特定することができないため予測の対象とはしなかった(乙7号証93頁)との理由で評価の対象とされておらず、本件再評価においてもやはり予測はされていない。 この点について、被告は、東京都環境条例及び技術指針において浮遊粒子状物質(SPM)の予測が義務付けられていたものではなく、これを行わなかったとしても東京都環境条例に違反したことにはならないと主張しているが、前述のとおり、法が黙示的に前提とする要件該当性の審査においては、法令上の義務を遵守した手続が行われるべきことは当然として、事業が実施された場合に生じ得る事態を吟味する必要があるのであるから、そのような判断を行うに当たり、審査時に する要件該当性の審査においては、法令上の義務を遵守した手続が行われるべきことは当然として、事業が実施された場合に生じ得る事態を吟味する必要があるのであるから、そのような判断を行うに当たり、審査時において確立していた知見に基づき調査を行う必要が生じる場合も当然にあり得るというべきである。 そして、本件事業認定の審査が行われていた平成11年後半の時点においては、浮遊粒子状物質(SPM)については、平成10年度の一般環境大気測定局測定結果においても、環境基準を達成している測定局が多摩地域においては19局中6局にすぎず(甲28号証の1)、自動車排出ガス測定局の測定結果に至っては、多摩地域の全9局においていずれも環境基準を達成していないこと(甲28号証の2)が判明している。浮遊粒子状物質による汚染が他の大気汚染物質を含め、東京都の環境保全において重大な問題として認識されていたことは明らかであるし(甲110号証)、また、東京都環境条例の技術指針においてはもとより、環境庁発行の「浮遊粒子状物質の解析予測」(昭和62年)、「浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル」(平成9年)(甲115号証)において、予測手法が示されていたし、自動車排ガスによる浮遊粒子状物質(SPM)及びその中のディーゼル排気微粒子が呼吸器疾患の健康被害と因果関係があることについても多数の科学的知見が得られていた(甲5号証ないし14号証)ほか、前記川崎大気汚染公害第2次~第4次訴訟判決など複数の裁判例においてもそうした因果関係が認定されているのであるから、浮遊粒子状物質(SPM)は、道路の建設によって地域住民の健康に重大な影響を与える要素となり得る事項であり、法20条3号の要件を審査するに当たり、当然考慮されるべき事柄であったというべきである。 (3) 小括以上によ の建設によって地域住民の健康に重大な影響を与える要素となり得る事項であり、法20条3号の要件を審査するに当たり、当然考慮されるべき事柄であったというべきである。 (3) 小括以上によると、本件事業認定は、法がその前提として黙示的に要求している要件該当性の審査に当たり、本件道路が事業計画どおりに建設され、供用が開始された場合には、相当範囲の周辺住民に対し受忍限度を超える騒音被害を与えるものと認められ、その点において、瑕疵ある営造物の設置を目的とする事業といわざるを得ず、上記要件に該当しないものであったにもかかわらず、これを看過して事業の開始を是認したものであって、この点のみを取り上げても違法といわざるを得ない。 その上、本件事業認定は、本件道路の供用による大気汚染の発生の有無について、接地逆転層発生の有無及び浮遊粒子状物質(SPM)の影響の有無の2点で、なお、それらによる被害発生の疑念が払拭できず、それらが発生すると相当重大な結果が発生するおそれがあり、かつ、さらに確度の高い調査をする余地もあったのに、これらを行わないまま、事業の開始を是認したものであって、上記要件該当性の判断を怠った違法があるというべきである(しかも、本件全証拠によっても、これらの疑問は解消されていない。)。 3 本件事業認定の違法性(その2)-法20条3号非該当性2で説示したとおり、本件事業認定は、その前提要件を満たすとは認められない点で違法といわざるを得ないが、念のため、これを満たすとして、法20条3号の要件を満たしているか否かを検討する。 (1) 事業施行の必要性ア本件事業認定申請書(乙1号証)においては、本件事業施行の必要性について、圏央道事業全体の意義として、①都心部の通過交通が迂回路として利用し得る環状道路を建設す (1) 事業施行の必要性ア本件事業認定申請書(乙1号証)においては、本件事業施行の必要性について、圏央道事業全体の意義として、①都心部の通過交通が迂回路として利用し得る環状道路を建設することにより都心部の渋滞が緩和されることを挙げ、本件起業地であるあきる野市付近の意義として、②南北の幹線道路であり慢性的に渋滞している国道16号線及び411号線の混雑を緩和させ、付近の生活道路に侵入している通過交通を排除することを挙げている。 イ東京都心部の道路の混雑状況が著しいこと、また、多摩地区の南北道路の幹線道路である国道16号線及び国道411号線の混雑状況も著しいことは公知の事実であるから、本件事業がこれらの解消に資するものと認められるものならば、これらの理由は、本件事業の高度の公共性を根拠付けるものであり、相当の合理性を有するものといえる。 ウしかしながら、①については、首都圏の交通混雑を緩和するという目的については何ら異論がないところであろうが、首都圏の環状道路としては、既存の首都高速都心環状線の混雑を緩和するために、本件事業の対象である圏央道と併せて首都高速中央環状線と東京外かく環状道路の建設が予定され、一部についてはすでに供用が開始されていることは公知の事実であるところ、本件事業認定申請書においては、これらの同じ目的を有する他の事業計画の進捗状況、相互の役割分担については何ら触れられていない。そして、甲17号証によると、平成6年度における東京都区部の1日当たりの自動車交通量は660万台であって、そのうち区部に用がなく通過するだけの通過交通が35万台であること、首都高速東京線の1日の利用台数は94万台であって、そのうち約27万台は都心環状線を通過するだけの交通であることが認められるから、被告の主張する通過交通は、具 するだけの通過交通が35万台であること、首都高速東京線の1日の利用台数は94万台であって、そのうち約27万台は都心環状線を通過するだけの交通であることが認められるから、被告の主張する通過交通は、具体的には上記1日当たり35万台相当のものと考えられるが、都心環状線1路線のみでも現在何とか約27万台の交通を引き受けていることからすると、そのすべてが被告のいう通過交通ではないとしても、これに首都高速中央環状線、さらには東京外かく環状道路が加わってもなお上記の程度の通過交通を円滑に処理し得ないと認めるにはさらに具体的な説明を要すると考えるのが相当であるが、本件全証拠によっても、そのような説明は見当たらない(なお、丙24号証によると、通過交通の起点又は終点が圏央道以遠に存するものはわずかであり、より多くが都心部寄りに存することが認められるから、圏央道と比べて上記2路線の方がはるかに効率的であり必要性が高いと考えられる。)。そうであるとすると、本件事業が都心部の通過交通の解消に資するものであるとの被告の主張は具体的な根拠に欠けるものといわざるを得ない。このことは、本件道路の1日当たりの計画交通量が平成32年度時点においてなお約4万9800台であって、これには元々通過交通とは無関係なものやいわゆる誘発交通も相当数含まれていると考えられることからして、上記の通過交通の規模に比して誠に微々たるものであり、事業認定庁においてもこれを十分に認識していたと思われることや、国土交通省が、首都高速中央環状線の王子線、新宿線、品川線の開通によって首都高速の渋滞は9割解消すると説明している(甲236号証35頁)ことからも裏付けられるところである。 他方、被告らは我が国の首都圏においては環状道路の整備が著しく低いとして諸外国との事例との比較対照を試みているが ると説明している(甲236号証35頁)ことからも裏付けられるところである。 他方、被告らは我が国の首都圏においては環状道路の整備が著しく低いとして諸外国との事例との比較対照を試みているが、それら諸外国においても、環状道路は都心部の近くに1本あるいは2本敷設されている(あるいは計画されている)ことが多く、かつその敷設位置も圏央道のように都心から約50キロメートルも離れて建設される場合は稀であること(甲236号証)が認められるのであり、被告らが主張するように、圏央道の建設が世界的な趨勢に合致したものとも解されない。また、新規に道路を建設することによって、新たな交通需要を誘発するといういわゆる誘発交通については、本件事業認定申請時点においても一定の知見が得られていたことが認められるが(甲21号証、22号証)、本件事業認定申請書においては、本件事業の施行によって渋滞緩和の効果が得られることを当然の前提としており、渋滞緩和の効果を減殺し得る誘発交通の影響については何ら触れられていない。 以上の点からすると、①の点は具体的な根拠に基づかないものであり、真摯な検討を行っていないものというほかない。 エ次に、②については、国道16号線及び411号線の渋滞緩和を図るというものであるが、このうち、国道16号線の渋滞については、本件道路に近い区間内においても均一なものではない。すなわち、平成6年度及び9年度の交通センサスによる同道路の混雑度は次のとおりである(乙4号証145頁、146-3頁)。 平成6年度平成9年度a 八王子市162 1.51 0.82b 同市α20267 2.99 1.24c 昭島市 6年度平成9年度a 八王子市162 1.51 0.82b 同市α20267 2.99 1.24c 昭島市α2116 1.28 1.57d 同市α2216 2.03 1.81e 西多摩郡α231212 1.05 1.44f α24776 1.53 --g α25970 -- 0.94以上によると、平成9年度においては、c及びe地点を除いて混雑度の改善がみられるし、また、その度合いにはかなりの格差がみられ、bからfに至る区間で混雑が激しいのは、新旧の奥多摩街道、五日市街道及び青梅街道といった放射状道路と交差していることから、これらから流入する交通が存し、一部においては、国道16号線が奥多摩街道又は五日市街道と重複していることから、同道路が環状道路としての役割に加え放射状道路としての役割を兼ねていることや、南北に広大な敷地を占める横田基地の西側に沿っていることから、その西側にある福生市内からの交通を東側に通過させることなく一手に引き受けていること(東から延びている江戸街道や西砂川街道は横田基地に阻まれている。)などの地域的に特殊な要因に基づくことが容易に予想されるところである。このように特殊な地域的要因に基づく混雑を解消する方策については、当該部分の交通の流れを具体的に分析し、それに応じたものとする必要があり、単純にかなり離れた場所に並行する道路の建設を続けることで解消し得るものか否かは明らかでないといわざるを得ない。 その上、そのような路線自体に有用性があったとしても、それが有料道路である場合には、有効に機能するか否 た場所に並行する道路の建設を続けることで解消し得るものか否かは明らかでないといわざるを得ない。 その上、そのような路線自体に有用性があったとしても、それが有料道路である場合には、有効に機能するか否かには疑問がある。すなわち、上記区間のやや南側には国道16号線から最大でも2キロメートル程度の位置に並行して八王子バイパスが建設され、平成3年から供用が開始されているが、その無料区間は相当の混雑度を示しているのに、有料区間はその数分の1の混雑度にすぎず、そのために同バイパスは赤字を余儀なくされているのであるから(甲33号証、乙4号証18頁、146-3頁)、国道16号線から数キロメートルも離れた地点に有料道路である本件道路の供用を開始したとしても、国道16号線の混雑解消に資するか否かはなお詳細かつ具体的な分析をしなければ不明というほかなく、本件全証拠によってもそのような分析は見当たらない。 他方、国道411号線についてみると、α14地区における同道路の1日当たりの交通量は、平成6年度が1万3395台、平成9年度が1万3370台であるところ(乙4号証145頁、146-3頁)、本件道路供用開始後の平成32年度における同地区の1日当たりの交通量の予測値はあきる野インターチェンジとの合流点以北で1万2100台、同以南で1万5400台となっており、合流地点以北で若干の改善が見られるものの、以南においては台数だけをとらえても悪化しており、しかも同道路は片側1車線の構造であって、あきる野インターチェンジとの合流地点においては、その以南からインターチェンジに向かう右折車のための特別の車線もないため、台数の増加以上に混雑が増すことが容易に予想される。このように国道411号線については、混雑が改善される点はわずかであるのに対し、新たにより深刻な影響をもた かう右折車のための特別の車線もないため、台数の増加以上に混雑が増すことが容易に予想される。このように国道411号線については、混雑が改善される点はわずかであるのに対し、新たにより深刻な影響をもたらすものというほかない。また、沿道の自動車保有台数が年々増加していることが認定申請資料中に記載されていることからすると(乙1号証26頁)、前記の誘発交通が発生する蓋然性が高いことが認められるが、誘発交通による交通量の増加によって本件事業が主要な目的としている通過交通の排除効果が減殺されることにもなりかねないにもかかわらず、本件事業申請書においてはこれについて何ら触れられていない。 以上によると、②についてもそのような効用が期待できるものかどうかは明らかではないといわざるを得ず、本件全証拠をもってしても、被告ら主張のような高度の公益性が実際に実現可能なものかどうかを判断するには甚だ不十分である。 オ被告らは、そのほかに地域間の交流の拡大と産業活動の活性化が期待できると主張するが、この点は①及び②の点以上に具体性を欠き、いついかなる形でそのような効用が期待できるかは全く明らかでなく、単に道路ができれば、そのようなことになるかもしれないという期待感が認められるにすぎず、①及び②に付随する効用としてはともかく、これらに具体性がない以上、この点のみを取り上げて本件事業の公益性を基礎付けることはできない。 (2) 本件事業によって得られる便益認定事実において記載したとおり、本件事業認定申請書においては、建設省道路局都市局が作成した費用便益分析マニュアル(案)に従い本件事業区間の費用分析を行った結果として、基準年度(平成11年度)において得られる便益の額は合計8095億円とされ、他方、費用については、合計3645億円とされ た費用便益分析マニュアル(案)に従い本件事業区間の費用分析を行った結果として、基準年度(平成11年度)において得られる便益の額は合計8095億円とされ、他方、費用については、合計3645億円とされ、その結果、本件事業の施行によって高度の便益が生じるものと評価されている(乙4号証175ー8頁)。 しかし、上記分析は、もともと本件事業が事業として採算性のあるものかどうかを分析したものではなく、そうした点を分析した資料は見当たらない。また、上記分析は、その記載のみからでは分析の前提とした交通ネットワークをどのように設定したのか(他の環状道路の開設を前提としているのかどうかなど)が不明であり、また、本件事業区間が開通することによって計画したとおりの混雑の緩和、交通事故の減少が実現することを前提に算出されているが、本件道路が有料道路であることからすると、たとえ便益のあるものであっても利用者が料金を払ってまでこれを利用するか否かは、前記八王子バイパスの例からしても疑問があり、さらに、通常の将来予測であれば当然考慮されるべきその実現可能性の大小は全く考慮されていないし、その上、得られるであろう積極的な価値のみに注目しており、本件事業を施行することによって生じる周辺環境への影響、それを最小限にとどめるために必要とされる対策費などの負の側面については一切考慮されていないことなどに照らすと、このような数値を前提として本件事業によって多大な便益が生じるものと判断することはおよそ不合理であって、上記の点を捨象してこのような数値を前提に判断を進めることは許されないというべきである。 (3) あきる野インターチェンジを建設する必要性アあきる野インターチェンジ建設の必要性仮に圏央道建設事業全体について公益性があるとしても、その一部分で ないというべきである。 (3) あきる野インターチェンジを建設する必要性アあきる野インターチェンジ建設の必要性仮に圏央道建設事業全体について公益性があるとしても、その一部分である本件事業について、計画のままの内容で独自の公益性が認められるものか否かは別個の考察が必要とされる。 この点につき、原告らは、本件事業に公益性が認められるとしても、開設済みの日の出インターチェンジとわずか約2.0キロメートルしか離れていない距離に新たなインターチェンジ(あきる野インターチェンジ)を建設することについては全く必要性がないと主張しているので、以下検討する。 イ起業地の範囲前述のとおり、事業認定によって生じる効果として、権利者に過大な負担を与えることからすれば、起業地の範囲は必要最小限でなければならず、事業のために不可欠でなく、あった方がよいといった程度の土地を起業地に入れることは許されないと解される。 ウ被告国土交通大臣の考え被告は、インターチェンジの位置選定に当たっての基本的な考えは、地域の幹線道路網と一体となった効率的なネットワークを形成することであること、あきる野インターチェンジは、旧秋川市及び八王子市北部方面等から発生する交通に対応することを目的とし、一般国道411号線をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8400台(乙4号証122-4ないし122-5頁)、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり9300台と推計されていること(乙9号証)、また、日の出インターチェンジは、α10、旧秋川市北部及び福生市方面等から発生する交通に対応することを目的とし、都道奥多摩あ 画出入り交通量は、1日当たり9300台と推計されていること(乙9号証)、また、日の出インターチェンジは、α10、旧秋川市北部及び福生市方面等から発生する交通に対応することを目的とし、都道奥多摩あきる野線(都市計画道路秋3・4・6号)、一般国道411号線及び都道杉並あきる野線等をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8300台(乙4号証122-4頁ないし122-5頁)、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり1万1100台と推計されている(乙9号証)こと、仮に、あきる野インターチェンジを設置せず、同インターチェンジの機能をすべて日の出インターチェンジだけに集約した場合には、日の出インターチェンジには、平成12年の時点で1日当たり1万6700台、平成32年の時点で2万0400台の交通が集中することになるのであって、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から日の出インターチェンジにアクセスする自動車の相当数が国道411号線(滝山街道)に集中することが見込まれ、α14地区を通過する滝山街道の交通混雑が今以上に深刻となることは必至であることから、あきる野インターチェンジの設置の必要性は十分に認められると主張している。 エ現状しかしながら、現在既に開通している日の出インターチェンジについて、2003年4月から12月までの出入り台数は6300台から8000台であって(甲239号証の1、2)、予測された交通量よりも少ない値にとどまっていることが認められる。 また、現在、日の出インターチェンジ設置場所からあきる野インターチェンジ設置予定場所には一般道(都市計画道路秋3・5・12)が並行して設置されているが、一般道を ていることが認められる。 また、現在、日の出インターチェンジ設置場所からあきる野インターチェンジ設置予定場所には一般道(都市計画道路秋3・5・12)が並行して設置されているが、一般道を通過した場合の所要時間は約6分であって、この間のみの交通に限れば、あえて自動車専用道路を必要とするとはいえないこと(甲224、225)、また、旧秋川市及び八王子市北部方面等から発生する交通をあきる野インターチェンジで処理するには、片側1車線で右折専用車線のない国道411号線から同インターチェンジへの右折によって進入する必要が生じ、その入口南側で相当な混雑が生ずることが容易に予想し得るのに対し、同国道をそのまま北上して、あきる野市内を東西を結ぶ睦橋通(都道秋3・3・3)(片側2車線)を左折し圏央道に併設されている前記一般道を右折することにより、日の出インターチェンジに短時間で容易に辿り着くことができ、この場合は右折による渋滞も少ないと予想できるし、八王子市北部からの交通は、さらに西側の山田宮の前線(都道61号線)を経由して睦橋通(都道秋3・3・3)を東進して日の出インターチェンジに至ることも可能である。 オインターチェンジの設置基準インターチェンジの設置基準を定めた法律は見当たらないが、道路管理者が道路計画を行うに当たり、一般的に使用している図書である「道路構造令の解説と運用」には、インターチェンジ設置に当たり考慮する事項として以下の記載がある(乙24号証)。 ①主要道路との交差点に位置すること。 ②そのインターチェンジを利用すると思われる人口がおおむね5万人以上であること。 ③重要な港湾、重要な飛行場、重要な流通施設、国際観光上重要な地域に通じる主要な道路との交点であること。 ④いくつかの都市の を利用すると思われる人口がおおむね5万人以上であること。 ③重要な港湾、重要な飛行場、重要な流通施設、国際観光上重要な地域に通じる主要な道路との交点であること。 ④いくつかの都市の連絡に使用される場合には、交通経済的に最も有利な位置に計画すること。 ⑤相隣するインターチェンジの間隔を照査すること、最小間隔は、インターチェンジの本線上に占める長さを除いた純間隔内で、2つのインターチェンジ間に生ずる織込みの処理と、道路標識の設置に必要な長さから、1.5~4.0キロメートル程度が望ましい。特に市街地の道路の場合には、交差する道路の密度が高いので、道路網全体にわたる配慮が必要である。最大間隔は、道路の管理運営上の問題と道路の利用上の便を考えれば、一応20キローメートルないし30キロメートルを限度とすべきである。 ⑥自動車起終点調査の結果から、個々のインターチェンジの利用交通量を概略推定し、経済的に適当なものかどうかを検討する。 ⑦インターチェンジを1か所にまとめないで、例えば、一つの都市に複数のインターチェンジを設けたり、必要に応じて一つのインターチェンジの機能を2か所に分散することを検討する。 上記検討事項は、「道路構造令の解説と運用」に記載され、道路管理者が一般的に参照する文書であるというのみで、法的規範としての効力を有するものではないが、道路管理者の裁量の範囲を考慮するに当たっては、参考とされるべきであると考えられる。 しかしながら、上記の検討すべき要素を前提に考えたとしても、あきる野インターチェンジの場合、主要道路の交差点に位置しておらず、上記①の要件を満たさないし、上記②については、両インターチェンジを利用すると思われるあきる野市の平成10年現在の人口は7万6815人であり、α ターチェンジの場合、主要道路の交差点に位置しておらず、上記①の要件を満たさないし、上記②については、両インターチェンジを利用すると思われるあきる野市の平成10年現在の人口は7万6815人であり、α10の人口は1万6521人であって併せても10万人に満たず、これを満たすか否かは疑問であるし、上記③について、あきる野インターチェンジ付近には、重要な港湾、飛行場、流通施設、国際観光上重要な地域に通じる主要な道路があるというわけではない(秋川渓谷及び御岳渓谷への通行は日の出インターチェンジを利用すれば足りるし、サマーランドについては、被告もこれへの通行のためにのみインターチェンジを設置したものではないと主張している上、これについても、日の出インターチェンジから都計道3・5・12、睦橋通(都道秋3・3・3)及び国道411号線を利用することにより容易に通行することができる。)。その上、上記エで指摘した点を考慮すると、上記⑤にいう「道路網全体にわたる配慮」をすれば、むしろ日の出インターチェンジ一つで足りると考えるのが素直な結論であるというべきである。 こうしたことを考えると、あきる野インターチェンジの設置計画は、要するところ、現在供用が開始されている日の出インターチェンジでは対応しきれない交通量が発生するとすることに尽きると思われるが、日の出インターチェンジの予測交通量に差異が生じていることや現状でも幹線道路である国道16号線と411号線から日の出インターチェンジまでのアクセスが図られていることからすれば、そのような予測が正当なものかどうかについては疑問が生じざるを得ず、この点は日の出インターチェンジ自体の構造をより処理能力の高いものとすることによって容易に解消する問題であり、そうである以上、インターチェンジを1箇所余分に建設することは、 は疑問が生じざるを得ず、この点は日の出インターチェンジ自体の構造をより処理能力の高いものとすることによって容易に解消する問題であり、そうである以上、インターチェンジを1箇所余分に建設することは、事業のために不可欠でなく、あった方がよいという程度の土地をも起業地に加えるものといわざるを得ない。 そして、本件事業区間が、既に相当の騒音被害を生じている住宅の密集地を通過するものであり、その付近にインターチェンジが設置されること自体によっても、周辺の交通量が増大し、騒音被害や大気汚染など周辺環境の悪化が生じ得ること、また、法20条3号の要件として、事業に要する土地は必要最小限であることを要するところ、あきる野インターチェンジを設置することによっても、事業地として指定された相当数の住宅地からの立ち退きが必要となることからすれば、設置にはより高い必要性が要求されるというべきであり、単純に複数あればより便利であるという観点のみから設置することに公益性があるとは認められない。 カ結論そうすると、本件事業認定申請書の記載から、供用開始済みの日の出インターチェンジのみでは発生する交通量に対応することができないとして、わずか約2.0キロメートルの距離に近接してあきる野インターチェンジを設置しなければならない高度の必要性があるとは言い難い。 (4) 代替案検討の欠如ア被告国土交通大臣の考え前記のとおり、本件事業認定手続の際には、代替案の検討はなされていないところ、被告は、本件事業は先行して本件都市計画決定がなされており、昭和63年8月30日に建設省建設経済局長から都道府県知事あてに通知された「土地収用制度の活用について」(乙41号証)によれば、「都市計画決定されている道路等については、都市計画決定時から長期 り、昭和63年8月30日に建設省建設経済局長から都道府県知事あてに通知された「土地収用制度の活用について」(乙41号証)によれば、「都市計画決定されている道路等については、都市計画決定時から長期間経過し、事情が変化している場合等を除き、公共性、土地利用の合理性等が明らかであるときは代替案(ルート比較等)の資料を要しない。」とされ、本件事業は公共性、土地利用の合理性等が明らかであるときに当たるとして、代替案の検討をしないことに何ら問題はないと主張している。 イ代替案検討の要否土地収用法その他の関係法令に、起業者に代替案の提示を義務づけるような規定や事業認定庁自らが代替案を設定し検討すべきことを義務づける規定は存在しないが、前述のとおり、代替案の検討を行わなくとも、当該事業計画の合理性が優に認められるといえるだけの事情があればともかく、そうした事情が存在しないにもかかわらず、代替案の検討を何ら行わずに事業認定がなされた場合は、不十分な審査態度であって、事業認定庁に与えられた裁量を逸脱する疑いを生じさせるというべきであり、本件事業については、これまで述べてきたところから明らかなように、公益性、必要性について合理的な説明がなされていない部分が多々見受けられるのであるから、およそ事業計画の合理性が優に認められる場合に該当するものではない。 そうすると、本件事業について、代替案の検討を行っていないことについては、十分な審査が行われていないとの誹りを免れないというべきであって、最低限あきる野インターチェンジを設置しないことを前提とした場合いかなるルートが妥当かという観点から代替案の検討は必要不可欠であったと認められる。 (5) 小活前記(1)で説示したとおり、被告らが圏央道事業全体の意義として主張するとこ 提とした場合いかなるルートが妥当かという観点から代替案の検討は必要不可欠であったと認められる。 (5) 小活前記(1)で説示したとおり、被告らが圏央道事業全体の意義として主張するところは、都心部の交通混雑の緩和や、国道16号線と国道411号線の渋滞緩和は、総じて具体的裏付けに欠けるし、その他は期待感の表明にとどまるものもある。とりわけ、被告らが第一義的に主張している都心部の通過交通の解消の点については、単に裏付けを欠くばかりか、むしろ首都高速中央環状線及び東京外かく環状道路が建設されるならば、圏央道までは必要がないとさえ認められるのであって、圏央道の建設にこだわることは、いたずらに人的物的投資を分散するものであって、本来必要な上記2つの道路の完成、ひいては都心部の通過交通の解消という問題の解決を遅らせるものとも考えられるのである。また、被告らが主張する高度の便益についてもその算定過程が明らかでないなど合理的なものとは認められず、さらに、あきる野インターチェンジの設置については、隣接するインターチェンジと約2.0キロメートルしか離れていない地点に設置する必要性について合理的な説明がなされているものとは認められないから、本件事業として施行する必要性は低いというほかなく、この点に関連して必要不可欠となる代替案の検討を全く行っていないことからしても本件事業の合理性は裏付けられていない。このように、事業認定庁は、事業によって得られる公共の利益の点につき、具体的な根拠もないのにこれがあるものと判断したと認めざるを得ず、その判断過程には社会通念上看過することができない過誤欠落があったといわざるを得ない。 したがって、本件事業認定は、法20条3号の要件を満たしているものとは認められない。 4 結論以上のとおり、本件事業認 上看過することができない過誤欠落があったといわざるを得ない。 したがって、本件事業認定は、法20条3号の要件を満たしているものとは認められない。 4 結論以上のとおり、本件事業認定は、法の要求する前提要件を満たしていないばかりか、法20条3号の要件も満たしておらず、いずれにしても違法なものとして取り消すほかない。 <第2事件についての判断> 1 訴えの適法性(1) 各原告らが権利を有する又は占有する土地以外の部分について権利取得裁決及び明渡裁決の取消しを求める訴えの適法性被告収用委員会は、個々の原告らが権利を有する又は占有する土地以外については、権利取得裁決及び明渡裁決の取消しを求める訴えの利益を欠くとして、当該部分について却下を求める答弁をしている。 しかしながら、請求の趣旨の記載及び原告らの主張内容からすれば、原告らは各自が権利を有する各土地についてされた権利取得裁決、あるいは各自が占有する土地についてされた明渡裁決の取消しをそれぞれ求めているものと解すべきであり、何ら権利を有していない土地についてされた権利取得裁決の取消し、あるいはもともと占有していない土地についてされた明渡裁決の取消しまでを求めているものではないものというべきである。 したがって、原告らは、各自が名宛人となった権利取得裁決及び明渡裁決の取消しをそれぞれ求めているにすぎないから、それ以外の部分について却下を求める被告の答弁は意味がないものといわざるを得ない。 (2) 第6及び第7原告らの賃借権上記原告らの賃借権が真正なものであり、収用手続において保護されるべきものであることは第1事件において判断したとおりである(なお、本件不動産1は本件土地25及び26に相当する。)。 (3) 明渡後に明渡裁決の取消し 真正なものであり、収用手続において保護されるべきものであることは第1事件において判断したとおりである(なお、本件不動産1は本件土地25及び26に相当する。)。 (3) 明渡後に明渡裁決の取消しを求める訴えの適法性前提事実9のとおり、本件各土地の一部については、起業者が東京都知事に対して法102条の2第2項に基づき代執行の請求をしたことを受けて、第5原告P1(承継人P2)及び同P2を除き、第5原告らが既に起業者に対する明渡義務を履行している。 この点については、明渡裁決がなされたことによって土地の占有者等が負う義務の内容は、土地の現実的支配を移転するための事実行為を行うことのみであるから、これらの事実行為が行われ、明渡しが完了した場合は、同裁決は既に目的を達成し、もはや占有者等が同裁決により何らかの義務を負い、これを強制されるという関係はなく、明渡しについての原状回復を求めるためには、収用裁決のうちの権利取得裁決の取消しを求めれば足りるから、明渡しが完了した以上、明渡裁決の取消を求める訴えの利益は消滅するとの考え方もないではない。 しかしながら、明渡裁決の義務の履行としていったん占有を解除したとしても、明渡裁決が取り消された場合は対象となった土地を正当に占有する権利を回復すると解されるのであるから(法101条の2参照)、占有がいったん解除されたとしてもなお明渡裁決の取消しを求める独自の訴えの利益は失われていないと解すべきである。 また、被告収用委員会は、第5原告P3、同P4、同P5、同P6が、起業者の東京都知事に対する代執行の請求を受けて、それぞれの占有する土地を任意に引き渡したとして、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅していると主張するが、弁論の全趣旨によれば、上記原告らが土地の明渡しに応じたの に対する代執行の請求を受けて、それぞれの占有する土地を任意に引き渡したとして、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅していると主張するが、弁論の全趣旨によれば、上記原告らが土地の明渡しに応じたのは、当裁判所が平成15年10月3日付けで行った行政代執行の手続を本案判決言渡後15日後まで停止する旨の執行停止決定に対し、東京高等裁判所が、同年12月25日付けで同決定を取消し、原告らの執行停止の申立を却下する旨の決定をしたことから、代執行手続の続行が不可避となったため、代執行手続に伴う無用の混乱を避けるためになされたものあることが認められるのであり、こうした事情の下で行われた明渡しは、同原告らの自由意思に基づくものとはいえないことは明らかであるから、前記のとおり明渡裁決が取り消された場合は対象土地を正当に占有する権利を回復すると解されることに照らし、明渡裁決の取消しを求める点について同原告らの訴えの利益はなお失われていないというべきである。 2 事業認定の違法性の承継第1事件についての判断部分で述べたとおり、本件事業認定は、法が黙示的に要求する前提要件及び法20条3号の要件を満たしていないから、本件事業認定は本来認定されるべきものではない事業が認定されたものであり、取り消されるべきものである。 この点について、被告収用委員会は、収用委員会が収用裁決を行うことができないのは、事業認定に重大かつ明白な瑕疵が存在するときに限られるところ、本件事業認定には重大かつ明白な瑕疵はなく、また、事業認定と収用裁決はそれぞれ別個の行政処分であって、格別にその瑕疵を理由として取消訴訟を提起し、その適法性を争うことができるのであるから、収用裁決の取消訴訟において事業認定の取消事由の有無を判断する実益はなく、本件事業認定の違法性は本件収用裁決に承継 にその瑕疵を理由として取消訴訟を提起し、その適法性を争うことができるのであるから、収用裁決の取消訴訟において事業認定の取消事由の有無を判断する実益はなく、本件事業認定の違法性は本件収用裁決に承継されるものではないと主張する。 しかしながら、土地収用法における事業認定と収用裁決との関係は、両者が相結合して一つの効果の実現を目指し、これを完成させるものである。先行処分である事業認定処分は、形式的には独立の行政行為であり、独立に争訟の対象となるが、これを実質的にみれば、これら一連の行政行為によって法が実現しようとしている目的ないし法的効果は、後行処分に留保されているのであって、先行処分の法的効果は付随的なものにすぎない。先行する事業認定処分が独立の行政行為として独立の争訟の対象とされたのは、これを認めることが事業認定の段階ですでに一定の不利益を被る者に対する保護に資することによるものであり、ひいては適正な行政の遂行のためである。そうすると、先行する事業認定処分における違法性の主張は、通常の行政処分を争う場合の違法事由の主張に該当するにすぎないものであって、事業認定の適法性について既に裁判所の判断が確定し、既判力によって当該違法性の主張が遮断される場合を除き、当然に許されるべきものである。先行処分である事業認定処分に対して争訟の機会が設けられていることは、これによって不利益を受ける者のために特に認められた保護手段というべきであって、これがあるがために、逆に、その段階で争わなければ後行処分における争いが排除されるという趣旨ではない(このように解することは、先行処分の段階で不利益を受ける者に対して争訟の機会を与えたことを、不利益を受ける者に対する保護を拡大するという趣旨ではなく、保護を受け得る機会(争訟を行い得る機会)を縮小する方向で捉え ることは、先行処分の段階で不利益を受ける者に対して争訟の機会を与えたことを、不利益を受ける者に対する保護を拡大するという趣旨ではなく、保護を受け得る機会(争訟を行い得る機会)を縮小する方向で捉える考え方ということができるが、先行処分及び後行処分の処分の適法性についての最終的な判断権は、行政庁が有するものではなく、司法権の発現である裁判所が有することに照らすと、およそ採用し得ない見解であるといわざるを得ない。)。 そうすると、収用裁決が事業認定を前提として行われる処分であり、両者は全体として一個の目的(事業の実現)に向けた一連の手続であるというべきことからすると、収用裁決の適否を争う訴訟において事業認定の違法性について主張することは、既にその点について裁判所の判断が確定している場合を除き、当然に許されるべきことであり、このことは、先行する事業認定についての違法事由が重大かつ明白であるか否かに限られないというべきである。 以上のとおりであって、本件事業認定についての違法性は本件収用裁決にも承継されることとなるから、本件収用裁決には、先行する事業認定が法が黙示的に要求する前提要件及び法20条3号の要件を満たしていないという違法性があり、本件収用裁決固有の違法性について判断するまでもなく、すべて取り消されるべきである。 <事情判決について>本件事業は、現在進行中であって、事業施行の根拠となっている事業認定及び収用裁決の取消判決が有する社会的影響の大きさに照らせば、行政事件訴訟法31条のいわゆる事情判決の適用の可否を検討する余地もないではない。 しかしながら、現時点で事業を中止すれば無益な投資の相当部分は避けられること、当事者はいずれもこの点について何ら主張をしていないこと、また、事業認定及び収用裁決を取り消す旨の判決の効力が生じ い。 しかしながら、現時点で事業を中止すれば無益な投資の相当部分は避けられること、当事者はいずれもこの点について何ら主張をしていないこと、また、事業認定及び収用裁決を取り消す旨の判決の効力が生じるのは、当該判決が確定した時点であるところ、本件訴訟のこれまでの経過に照らせば、本件取消判決に対して被告らが控訴することなく第1審限りで確定させることはおよそ想定し難いというべきであるから、結局のところ、第1審裁判所である当裁判所において、行政事件訴訟法31条の事情判決の可否を検討する必要性はないというべきである。 なお、付言するに、このような事情判決といった例外的な制度の運用の可否が問題となるのは、計画行政一般につき、計画策定以降長期間にわたって事業認定等の行政処分をしないまま、任意買収の形で着々と事業の準備を進め、それが完了した段階で事業認定を得て、それについて取消訴訟が提起されても一気呵成に事業を続行して完成に至らせるという行政の運用とそれを可能とする法令の定めがあることによるものであり、これを国民の側からみると、例えば、本件のように都市計画法に基づく都市計画施設に関する都市計画決定がされた場合、その計画区域内に居住する住民らは、都市計画決定は行政処分ではないため、同法53条による建築制限の効果を受けるにもかかわらず、決定に不服があってもこれを直接争うことができず、あくまで計画に反対する場合は、建築制限による不便を忍びつつ、本件のような事業認定又は都市計画法に基づく事業認可という行政処分がされるのを待って取消訴訟を提起するほかないのであって、しかも、これを提起しても事業の進行を止めることはできず、強制収用を甘受するしかない地位に置かれるのである(執行停止制度が有効に機能しないことは、本件において明らかとなった。)。このような状況に直面 かも、これを提起しても事業の進行を止めることはできず、強制収用を甘受するしかない地位に置かれるのである(執行停止制度が有効に機能しないことは、本件において明らかとなった。)。このような状況に直面した場合、多くの住民は、計画への不服の有無にかかわらず、任意買収に応じざるを得なくなるのであり、その結果、計画行政の分野においては、司法によるチェック機能が十分に働かず、国民は行政のなすがままに任されているといえよう。これは、一般法としての行政事件訴訟法のみでは、この種類の争訟を有効に解決することができないことを示しているのであり、この分野における法の支配を有効に機能させるには、都市計画法等の個別実体法において事業計画の適否について早期の司法判断を可能にする争訟手段を新設することが是非とも必要である。これが実現するならば、事業進捗前に事業計画の適否が明らかとなっており、それを前提とした事業の進行を図ることにより、事情判決という例外的な制度の発動を検討する必要性もほとんど消滅するものと考えられるのである。 <結論>よって、本件第1事件については、第4原告らの訴えについては不適法であるからこれらを却下することとし、その余の原告らの請求はいずれも理由があるからこれを認容し、本件第2事件については、すべて理由があるから認容することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、65条1項及び66条の規定を適用して主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官藤山雅行裁判官新谷祐子裁判官加藤晴子<当事者の主張>第1 第1事件(被告国土交通大臣及び起業者 裁判官新谷祐子裁判官加藤晴子<当事者の主張>第1 第1事件(被告国土交通大臣及び起業者の主張) 1 原告適格(1) 第1事件の原告適格原告適格は、処分の取消しを求めるについて法律上の利益を有する者について認められるべきであるところ(行政事件訴訟法9条参照)、起業地の周辺地域に居住するにとどまる者については、法の目的を定める法1条、事業の認定の要件を定める法20条等の規定をみても、これらの規定を通して起業地周辺に居住する住民等個々人の個別的利益を保護しようとする趣旨は含まれていないから、事業の認定によりその権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあるということはできない。 同条3号が事業の認定の要件として、「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること」を規定している趣旨は、土地が適正かつ合理的に利用されることになるか否かを専ら国民経済的、専門技術的な観点に立ち、「起業地内の土地等の権利者の不利益」と「土地の収用により実現される事業によりもたらされる公共的利益」とを比較衡量することによって判断すべき義務を行政庁に課したにとどまるものと解すべきであって、同号が付近住民に対して環境保全を個別的、具体的に保証する趣旨を含むものと解することはできない。 また、法は、事業認定機関である国土交通大臣又は都道府県知事が、事業の認定に関する処分を行おうとする場合において必要があると認めるとき、公聴会を開いて一般の意見を求めることができ(法23条)、事業の認定について利害関係を有する者は、都道府県知事を通じて意見書を提出することができる(法25条)と定めているが、 要があると認めるとき、公聴会を開いて一般の意見を求めることができ(法23条)、事業の認定について利害関係を有する者は、都道府県知事を通じて意見書を提出することができる(法25条)と定めているが、これらの規定も事業の認定を行うに当たり、住民の意見を広く収集して、できる限り公正妥当な事業の認定を行おうという公益目的の規定と解すべきであって、これをもって住民の個別的利益を保護する趣旨を含む規定ということはできないというべきである。 (2) 第1原告らの原告適格事業認定の取消しを求める原告適格を有する者は、起業地内の土地等につき権利を有する者である。 第1原告P1は本件不動産1ないし8、同P3は本件不動産13ないし16、同P4は本件不動産9ないし12、同P5は本件不動産12について権利を有するにすぎず、その余の土地については権利を有しないから、かかる土地についてはその取消しを求める原告適格を欠くというべきである(なお、被告は、本件訴訟の口頭弁論終結後である平成16年3月30日に提出した準備書面(9)において、かかる本案前の答弁を撤回する旨述べている。)。 (3) 第2及び第3原告らの原告適格第2原告らは、平成元年10月13日付けで、賃借権準共有持分設定登記(持分各32分の1)を受けた者、第3原告らは、平成11年11月11日付け、同月19日付け又は同年12月7日付けでそれぞれ第2原告P7に係る同準共有持分の一部の移転登記(持分各3200分の1)を受けた者である(甲15号証)。 原告らは、上記原告らの有する賃借権準共有持分が平成元年1月10日の賃貸借契約及び平成4年1月10日の変更契約に基づき発生した権利であって、目的を遺跡調査、賃料を1か月金1万円、存続期間を平成4年1月10日から10年間とするもので 準共有持分が平成元年1月10日の賃貸借契約及び平成4年1月10日の変更契約に基づき発生した権利であって、目的を遺跡調査、賃料を1か月金1万円、存続期間を平成4年1月10日から10年間とするものであると主張している。 しかし、平成4年1月10日付け賃貸借契約書(甲29号証)の借主欄には、P9の記名押印、同契約書に添付された登記権利者目録には、第2原告らを含む31名の記名があるだけで、同人らの署名押印もされておらず、これが真正に成立したものと認めることは到底できない。 また、第3原告らについては、各原告らが第2原告P7に係る賃借権準共有持分の一部の移転を受けたことを証する証拠は何ら提出されていない。 そもそも原告ら主張に係る賃借権準共有持分は、圏央道建設に反対する目的で設定されたものであって(甲30号証)、各権利者において、本件不動産1を使用収益した事実は全くない。上記賃借権準共有持分権は、その権利者の多さ一つをみても、不動産の使用収益を目的としたものとはいえず、およそ正当な賃借権として保護に値するものとはいえない。 したがって、第2原告ら及び第3原告らについても、本件起業地内の土地等について所有者又は関係人として権利を有していないから、本件事業認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者には当たらない。同原告らの訴えは、いずれも不適法である。 なお、起業者は、本件事業認定後の土地収用手続において、第2原告ら及び第3原告らの賃借権準共有持分につき、これを認めた上でその手続を行っているが、これは、土地収用手続を可及的速やかに進行させ、一刻も早い事業化を目指すために、当該手続において認めたにすぎないものであるから、かかる事実があるからといって、本件事業認定の原告適格を肯定する根拠 が、これは、土地収用手続を可及的速やかに進行させ、一刻も早い事業化を目指すために、当該手続において認めたにすぎないものであるから、かかる事実があるからといって、本件事業認定の原告適格を肯定する根拠にはならないというべきである。 (4) 第4原告らの原告適格第4原告らは、本件起業地内の土地等について所有者又は関係人として権利を有していないから、本件事業認定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者には当たらない。同原告らの訴えは、いずれも不適法である。 2 本件事業認定の手続的適法性本件事業認定の手続は法の定めに則って適式に行われており、何ら違法なものではない。 原告らは、起業者が住民との話合いを拒否してきたこと、法による収用は用いないと約束したにもかかわらず、これを破って本件事業認定の申請を行ったこと、説明会において原告ら住民の入場を阻止したこと、公害審査会の審理が十分に尽くされていない中で申請が行われたこと、話合いを予定する建設大臣の発言に反して申請を行ったことなどを挙げて、本件事業認定が手続的に違法である旨主張する。 しかし、原告らが指摘するような事実はそもそもないし、かかる事実は、いずれも本件事業認定手続の違法を基礎付けるものではないというべきである。 なお、原告らは、本件事業に適合する都市計画決定の過程で、秋川市の都市計画審議会の採決が行われていないと主張する。 しかし、都市計画法は、「都道府県は、関係市町村の意見を聴き、かつ、都道府県都市計画地方審議会の議を経て、都市計画を決定するものとする。」と定めており(都市計画法18条1項)、都市計画決定の手続的要件として、市の都市計画審議会の議決は要件ではない。本件では、昭和63年12月5日付けで8名の審議会委員が賛成 画を決定するものとする。」と定めており(都市計画法18条1項)、都市計画決定の手続的要件として、市の都市計画審議会の議決は要件ではない。本件では、昭和63年12月5日付けで8名の審議会委員が賛成の意見を秋川市長あて提出し(甲73号証)、これを受けた秋川市長が最終的な判断を行ったところであり、その後も東京都の都市計画地方審議会では特に問題になることもなく、都市計画案は了承されているのであるから、都市計画決定手続についても何ら違法はないというべきである。 3 本件事業認定が、法20号1号及び2号の要件を満たしていること本件事業認定については、法20条1号及び2号の要件を満たしていることは明らかであるし、以下に述べるとおり、同3号及び4号の要件を満たしているものであり、取り消されるべき違法性はない。 (1) 法20条3号の解釈法20条3号は、その文言及び同法1条の「公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もって国土の適正且つ合理的な利用に寄与する」という法の目的に照らすと、事業計画が国土全体の土地利用の観点からみて適正かつ合理的であることを要する旨を規定したものであり、いわば事業計画全体の合理性に関する要件を定めたものと解される。それゆえ、土地がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と、土地がその事業の用に供されることによって失われる利益とを比較衡量した結果、前者が後者に優越すると認められる場合に、この要件に適合すると解すべきである。そして、事業認定庁のこの要件の存否についての判断は、事業認定に係る事業計画の内容、事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益、事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯、事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素の比較衡量に基づく総合判断として行 、事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益、事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯、事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきもので、その性質上広範な裁量が認められるべきである。 (2) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益ア広域的な視点による利益圏央道は、横浜市、厚木市、八王子市、青梅市、川越市、つくば市、成田市、木更津市等の東京都心から約40キロメートルないし60キロメートル圏に位置する都市を相互に連絡することにより、地域間の交流を拡大し、地域経済及び地域産業の活性化を促すとともに、首都圏から放射状にのびる高速自動車国道である東名高速道、中央自動車道、関越自動車道、東北自動車道、常磐自動車道、東関東自動車道水戸線及び同自動車道千葉富津線を相互に連絡することにより、都心部への交通の集中を緩和し、都心部一極集中型から多極分散型への転換による首都圏全体の調和のとれた発展に貢献すること等を目的に計画された総延長約300キロメートルの環状道路である。 その一部を構成する本件事業が完成すると、圏央道を介して関越自動車道と中央自動車道が自動車専用道路で連絡されることになり、広域的な利便性が飛躍的に高まるとともに、他の環状方向のネットワークである東京外かく環状道路、首都高速中央環状線と有機的に連絡し、長距離輸送交通や観光交通等の都心部を通過するだけの交通をバイパスさせることにより、慢性的に発生している都心部の交通混雑を緩和し、首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られるものである。 さらには、地域間交流の拡大及び産業活動の活性化を促すこととなり、東京都心の近郊に位置する八王子市や青梅市等の都 都心部の交通混雑を緩和し、首都圏全体の円滑かつ安全な交通の確保が図られるものである。 さらには、地域間交流の拡大及び産業活動の活性化を促すこととなり、東京都心の近郊に位置する八王子市や青梅市等の都市の発展に大きく貢献するとともに、都心部一極集中型から多極型への転換を図り、首都圏全体の調和のとれた発展に貢献するものである。 イ地域的な視点による利益八王子市から青梅市間の幹線道路としては、一般国道16号線(起点:横浜市、経由:八王子市、川越市、木更津市、終点:横浜市)や一般国道411号線(起点:八王子市、経由:あきる野市、青梅市、終点:甲府市)等があるが、これらの道路は、八王子市、あきる野市、青梅市等の既成市街地を通過していること等から、各所で慢性的な交通混雑を起こしている。 また、交通事故も多発しており、八王子市α26地内から西多摩郡α12地内までの間の一般国道16号線においては、平成9年度において事故件数207件、死傷者数275人と平成4年度の事故件数68件、死傷者数96人に比べ大幅に増加している。 さらに、一般国道16号線等の沿線市町の自動車保有台数の増加により、今後ますますの交通混雑や交通事故の増加が予想されるところである。 こうした交通問題等に対処するため計画された本件事業が完成すると、本件道路が多摩地域(八王子市、青梅市等)の南北方向の幹線道路として機能するとともに、現在一般国道16号線等の幹線道路が担っている交通の一部が本件道路に流入することにより、上記幹線道路の交通混雑の解消や周辺の市街地生活道路に流入していた通過車両の排除がなされ、地域全体の交通の流れが改善されるとともに、既設幹線道路・市街地生活道路について交通事故の減少により本来の生活道路としての機能回復が図られる。 の市街地生活道路に流入していた通過車両の排除がなされ、地域全体の交通の流れが改善されるとともに、既設幹線道路・市街地生活道路について交通事故の減少により本来の生活道路としての機能回復が図られる。 ウ他の決定、計画における位置づけ本件事業の公益性については、平成13年5月8日に閣議決定された都市再生本部の「都市再生プロジェクト(第二次決定)」(丙24号証)、平成10年3月31日に閣議決定された第5次全国総合開発計画(丙41号証)、及び昭和61年6月以降数次にわたって策定された首都圏整備計画(乙4号証の33-3-2ないし5)において積極的に認められているし、平成元年3月13日には都市計画決定されている。 (3) 本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益ア本件事業に関する環境影響評価(ア) 都市計画法4条5項の都市施設として平成元年3月13日に都市計画決定された「首都圏中央連絡道路」は、本件事業に係る事業計画に適合するところ、上記都市計画決定に当たり、都市計画決定権者であった東京都知事は、同道路の新設事業の実施が環境に及ぼす影響について、本件環境影響評価を実施した。 (イ) 本件環境影響評価では、地域の概況と事業の内容を考慮して「大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、低周波空気振動、日照阻害、電波障害、植物・動物(陸上植物、陸上動物、水生生物)、地形・地質、史跡・文化財、景観」の11項目が予測・評価項目として選定され、各項目ごとに現況調査が行われ、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価がなされた。 (ウ) そして、予測・評価項目について、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価した結果は、評価の指標(環境基準等)を下回る等のため、又 ぼす影響について予測・評価がなされた。 (ウ) そして、予測・評価項目について、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価した結果は、評価の指標(環境基準等)を下回る等のため、又は、適切な環境保全のための措置を講ずることにより、環境への影響は少ないというものであった。 (エ) 起業者は、この結果に基づき、専門家の意見を聞きながら必要なモニタリング調査や環境保全対策を実施する等地域の環境保全に必要な措置を講ずることとしている。 (オ) さらには、本件事業の実施に当たり、起業者には東京都環境条例に基づく事後調査が義務づけられており、本件事業が環境に著しく影響を与えている場合には、適切な措置を講じていくなど、社会情勢等の変化に対しても十分対応することとしている。 イ本件道路の計画交通量の見直しに伴う本件事業の実施が環境に及ぼす影響に関する再予測・評価(ア) 本件環境影響評価は、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価の対象時点を、「大気汚染」、「騒音」及び「振動」については、本件道路の計画交通量の推計年次である昭和75年(平成12年)、「陸上植物」及び「陸上動物」については、本件道路の工事の完了(昭和70年(平成7年))後おおむね10年の時点(平成17年)と設定していた。 (イ) その後、本件事業の事業認定の申請に当たり、起業者は、本件道路の計画交通量の推計年次を平成32年とした。起業者は、本件道路の計画交通量の見直しに伴い、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について検討を行うに当たり、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価項目として、「大気汚染」、「騒音」、「振動」及び「低周波空気振動」の4項目を選定し、平成32年を予測の対象時点として、東京都環境条例の技術指針等に基づき本 、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価項目として、「大気汚染」、「騒音」、「振動」及び「低周波空気振動」の4項目を選定し、平成32年を予測の対象時点として、東京都環境条例の技術指針等に基づき本件事業の実施が環境に及ぼす影響について再予測計算及び評価を実施した。 その結果は、環境に及ぼす影響は軽微なものであるというものであった。 そして、起業者は、計画交通量の見直しに伴い必要となった遮音壁の追加対策は、今後実施していくものとした。 ウ埋蔵文化財への影響起業者は、本件事業認定申請を行うに当たり、本件起業地に存する埋蔵文化財について、文化庁長官に対して法18条2項5号に基づく意見照会をしているが、同長官は、これらの埋蔵文化財包蔵地を本件起業地に含めることについて異議を述べていない。 エ生活基盤への影響原告らは、本件事業が田畑や住宅を奪い、農業や自然環境を破壊するのみならず、生活や健康までをも奪う事業である旨主張する。 しかしながら、本件道路は、既存集落連担地区の回避、既設主要幹線道路との有機的連携、沿線地域の土地利用計画との整合、事業の経済性等を勘案して社会的、技術的及び経済的観点から都市計画法上の都市施設として決定された首都圏中央連絡道路の計画と整合しているものであり、生活基盤への影響は最小限にとどめられている。 (4) 得られる公共の利益と失われる利益の比較衡量ア得られる公共の利益前記(2)で述べたとおり、本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益は、広域的には、(ア) 都心部流入交通の分散導入(イ) 首都圏全体の交通の円滑化(ウ) 地域間 供されることによって得られる公共の利益は、広域的には、(ア) 都心部流入交通の分散導入(イ) 首都圏全体の交通の円滑化(ウ) 地域間の交流の拡大、産業活動の活性化であり、また地域的には、(ア) 交通混雑の解消(イ) 周辺の市街地生活道路に流入していた通過車両の排除(ウ) 交通事故の減少である。 イ失われる利益前記オで述べたとおり、本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益は、(ア) 環境への影響(イ) 埋蔵文化財への影響(ウ) 生活基盤への影響である。 ウ両者の比較衡量そこで、両者を比較衡量するに、まず、得られる公共の利益については、本件事業が完成すれば、放射方向の幹線道路と接続することにより、都心部流入交通の分散導入、首都圏全体の交通の円滑化が図られ、地域間の交流の拡大、産業活動の活性化を促すものである。また、多摩地域において不足している南北方向の幹線道路として機能することにより、交通混雑の解消、周辺の市街地生活道路に流入していた通過車両の排除がなされ、交通事故の減少が図られるものである。 したがって、本件事業によって得られる公共の利益は極めて大きいというべきである。 一方、失われる利益についてみると、自然環境への影響は、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、低周波空気振動、日照阻害、電波障害、陸上動植物、水生生物、地形・地質、史跡・文化財及び景観について、都条例に基づき予測・評価を行った結果、適切な環境保全の 影響は、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、低周波空気振動、日照阻害、電波障害、陸上動植物、水生生物、地形・地質、史跡・文化財及び景観について、都条例に基づき予測・評価を行った結果、適切な環境保全のための措置を講ずることにより、環境への影響は少ないものと評価されていること、埋蔵文化財への影響は、文化庁長官からも特段の異議はなく、また、発掘調査等により保護されるべきものであること、生活基盤への影響は、極力少ない制限にとどめられていること等からすると、本件事業によって失われる利益が得られる公共の利益に優越するとはいえない。 以上のとおり、本件起業地が本件事業の用に供されることによって得られる公共の利益は、本件起業地が本件事業の用に供されることによって失われる利益に優越しているというべきであるから、本件事業は法20条3号にいう「土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること」との要件に適合する。 (5) 原告らの主張に対する反論アあきる野インターチェンジを設置する公益上の必要性について原告らは、本件事業において設置が計画されているあきる野インターチェンジと日の出インターチェンジの設置間隔は、圏央道において計画されている他のインターチェンジの設置間隔や全国の高速道路におけるインターチェンジの設置間隔と比べて、1.9キロメートルと非常に短く、このように近接して二つのインターチェンジが設置されている高速道路は全国的にみてもなく、上記インターチェンジの設置間隔は適正なものではないと主張する。そして、あきる野インターチェンジは、当初の計画では設置が計画されておらず、同インターチェンジの建設予定地のすぐ近くにある遊園地である東京サマーランド及び同遊園地内に設置が計画されている場外舟券(モーターボート)売場へのア ェンジは、当初の計画では設置が計画されておらず、同インターチェンジの建設予定地のすぐ近くにある遊園地である東京サマーランド及び同遊園地内に設置が計画されている場外舟券(モーターボート)売場へのアクセスを唯一の動機として当初の計画を変更して設置されることとなったものであること等から、同インターチェンジには設置する公益上の必要性そのものが存在しないなどと主張する。 (ア) 設置の必要性あきる野インターチェンジは、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から発生する交通に対応することを目的とし、一般国道411号線をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8400台、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり9300台と推計されている。 また、日の出インターチェンジは、α10、旧秋川市北部及び福生市方面等から発生する交通に対応することを目的とし、都道奥多摩あきる野線(都市計画道路秋3・4・6号)、一般国道411号線及び都道杉並あきる野線等をアクセス道路とするインターチェンジとして計画されたものであり、同インターチェンジの昭和75年(平成12年)における計画出入り交通量は、1日当たり8300台、平成32年における計画出入り交通量は、1日当たり1万1100台と推計されている。 仮に、あきる野インターチェンジを設置せず、同インターチェンジの機能をすべて日の出インターチェンジだけに集約した場合には、日の出インターチェンジには、平成12年の時点で1日当たり1万6700台、平成32年の時点で2万400台の交通が集中することになるのであって、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から 約した場合には、日の出インターチェンジには、平成12年の時点で1日当たり1万6700台、平成32年の時点で2万400台の交通が集中することになるのであって、旧秋川市南部及び八王子市北部方面等から日の出インターチェンジにアクセスする自動車の相当数が国道411号線(滝山街道)に集中することが見込まれ、α14地区を通過する滝山街道の交通混雑が今以上に深刻となることは必至である。 したがって、かかる観点からあきる野インターチェンジの設置の必要性は十分に認められる。 (イ) 設置位置の合理性本件道路が通過するあきる野市及びα10の地域は、南北を山地に囲まれ、その間の平地部に市街地や農地が広がるという土地利用の状況にある。インターチェンジの設置位置の選定に当たっては、アクセス道路との調整を図りつつ、人家等の移転が大規模に生じることのないように市街地を極力避けた位置に計画されることが特に重要である。 かかる観点から、あきる野インターチェンジと日の出インターチェンジの設置位置についてみると、人家等の密集している市街地を極力避けた上で、アクセス道路を確保できる場所としては、市街地が形成されていない現計画位置以外には適地は存在しないというべきである。 具体的には、あきる野インターチェンジの設置位置は、① 連結予定施設である一般国道411号線が、当該インターチェンジを設置するために付け替えの必要がないこと、② 当該インターチェンジと同国道との間に極力残地が残らないよう調整を図っていること、③ あきる野市α16市街地及び同市α14市街地の家屋密集地域を極力避けていること、 ェンジと同国道との間に極力残地が残らないよう調整を図っていること、③ あきる野市α16市街地及び同市α14市街地の家屋密集地域を極力避けていること、④ 秋川及び都道淵上日野線、秋川神社の位置を考慮していること、⑤ 移転を要する支障物件が少ないことといった条件を満足しており、これらの条件を満たす他の適地はない。 また、日の出インターチェンジについても、① 連結予定施設である都市計画道路秋3・4・6号が、当該インターチェンジを設置するために付け替えの必要がないこと、② 当該インターチェンジと同都市計画道路との間に極力残地が残らないよう調整を図っていること、③ α10α27市街地の家屋密集地を避けていること、④ 都市計画道路秋3・4・5号及び都市計画道路秋3・5・12号の計画位置を考慮していること、⑤ α10α28土地区画整理事業で計画されている土地区画を分断することなく整合を図っていること、⑥ 移転を要する支障物件が少ない平地部であること、といった条件を満たしており、これらの条件を満たす適地は他にはない。 したがって、両インターチェンジの設置位置は、いずれも十分な合理性を有するというべきである。 (ウ) なお、原告らは、圏央道は、当初の計画では、日の出インターチェンジから八王子北インターチェンジの間は直線コースで計画されており、あきる野インターチェンジは計画されていなかったところ、昭和59年8月に発表された計画に突然 は、当初の計画では、日の出インターチェンジから八王子北インターチェンジの間は直線コースで計画されており、あきる野インターチェンジは計画されていなかったところ、昭和59年8月に発表された計画に突然同インターチェンジが書き込まれ、圏央道がわざわざ東側に大きく湾曲するコースをたどることになったと主張し、あきる野インターチェンジが計画されたのは、東京サマーランドへのアクセスのために、そのことを唯一の動機として設置されることになったと主張する。 しかし、上記主張には何ら具体的な根拠がなく、原告らも「あきる野インターチェンジは、まさにサマーランドへのアクセスのために、そのことを唯一の動機として、計画途中から設置されることになったとしか考えられない。」と自認するように、単なる憶測にすぎないものである。あきる野インターチェンジの設置について、公益上の必要性が認められることは前述したとおりであり、かかる点における原告らの主張も失当というほかない。 イ α14地区において重大な交通渋滞が発生するものではないこと原告らは、本件環境影響評価が行われた当時の滝山街道の交通量が1万4000台とされていたのに対し、あきる野インターチェンジへの接続道路として建設が予定されている新滝山街道における環境影響評価は、α14地域の交通量を平成17年度で2万4100台と予測しており、大幅な交通量の増加がみられるとし、本件環境影響評価がされて以降10数年の間に、あきる野市の交通事情は劇的に変化しているから、牛沼地区で数万台の交通量の増加は避けられず、圏央道及び新滝山街道の建設によって、交通渋滞は解消されるどころか、かえって重大な交通渋滞を生ずることが明らかであって、本件事業には公益上の理由は存在しないと主張する。 (ア) 本件環境 道及び新滝山街道の建設によって、交通渋滞は解消されるどころか、かえって重大な交通渋滞を生ずることが明らかであって、本件事業には公益上の理由は存在しないと主張する。 (ア) 本件環境影響評価は、昭和61年に環境影響評価書案が作成され、昭和63年に評価書として作成されたが、評価書案はもとより評価書を作成する時点において使用できる最も新しいOD調査(起終点調査)のデータは、昭和55年度に行われた道路交通センサスであった。 しかし、起業者は、本件事業の事業の認定の申請に当たって、本件道路の将来交通量の予測の精度を高めるため、建設省が平成6年度に全国的規模で実施した一般交通量調査及び自動車起終点調査(申請当時の最新のデータである。)等に基づき作成した平成32年の将来自動車OD表から、同年を推計年次とする本件道路の計画交通量を算出した。これらの計画交通量は、平成32年の時点における道路網を想定して算出されたものであり、原告らが主張する新滝山街道やその他の都市計画道路も考慮に入れられているものである。 これによると、本件事業区間及び東京都あきる野市α14地区に設置されるあきる野インターチェンジ(仮称)が滝山街道に合流するα14地区における同街道の計画交通量は、1日当たり1万2100台ないし1万5400台であり、これを「平成6年度道路交通センサス一般交通量調査」及び「平成9年度道路交通センサス一般交通量調査」における24時間当たりの自動車交通量(平成6年度1万3395台、平成9年度1万3370台)(乙4号証145頁及び146-3頁の滝山街道「調査地点:秋川市α1483」における「自動車類24時間交通量」)と比較すると、実績値を下回るか又は15パーセント程度の増加にとどまるのであって、より長期的な視点から 頁及び146-3頁の滝山街道「調査地点:秋川市α1483」における「自動車類24時間交通量」)と比較すると、実績値を下回るか又は15パーセント程度の増加にとどまるのであって、より長期的な視点からみた場合、新滝山街道をはじめとする本件道路の周辺道路網が整備され、α14地区の自動車交通量は、原告らが主張するように著しく増加するものではない。 (イ) そもそも滝山街道の交通混雑緩和は、本件事業の公益上の理由を基礎づける事情の一つにすぎないのであって、それがないからといって直ちに本件事業の公益性が失われ、本件事業認定が違法となるものでもない。 ウ環境への影響が適切に考慮されていること土地収用法その他の関係法令上、事業認定の際に起業者に対して環境影響評価を行うことを義務づける規定は存在しないから、環境影響評価の実施は、事業認定を行うための要件であるというものではない。 しかし、事業認定に際し、当該事業に関して実施された環境影響評価を考慮することは、当該事業計画の合理性を判断する上で考慮要素の一つとなり得るものである。 本件事業については、これに適合する都市計画として、平成元年3月13日に首都圏中央連絡道路(起点:東京都八王子市α29の一般国道20号~同青梅市α8の埼玉県境間、延長22.5キロメートル)に関して都市計画が定められ、東京都知事は、上記都市計画の決定手続に合わせて、本件環境影響評価を行うこととした。本件環境影響評価は、国と東京都知事との協議により、本件事業に係る都市計画を定める東京都が実施するものとされた(東京都環境条例44条)。本件環境影響評価書は、地元説明会、公聴会、利害関係人から提出された意見書等を踏まえ、また、東京都環境影響評価審議会において2年以上にわたる慎重 東京都が実施するものとされた(東京都環境条例44条)。本件環境影響評価書は、地元説明会、公聴会、利害関係人から提出された意見書等を踏まえ、また、東京都環境影響評価審議会において2年以上にわたる慎重な審議を経て、都条例、建設省要綱及び建設省都市局長通達に従い、適正に作成されたものであり、その妥当性が担保されている。 被告は、本件事業認定に際し、本件環境影響評価における予測・評価をも考慮した上で本件事業に係る事業計画に合理性があると判断し、本件事業認定を行っているものであって、かかる被告の判断に裁量を逸脱ないし濫用したと評価されるものはない。 (ア) 大気汚染の予測・評価に誤りがないこと原告らは、あきる野インターチェンジ付近は、接地逆転層が形成されやすい地域であり、アセスメントで用いたプリュームモデルでは、大気汚染を予測計算することは不可能であると主張する。 接地逆転層とは、夜間の放射冷却によって、地表面付近の空気が冷えてできる逆転層であるが、この現象は、日本各地に起きる現象であって取り立てて珍しいものではない。そして、本件環境影響評価におけるプルームモデル・パフモデルの拡散幅は、理論値に加え、道路沿道における様々な気象条件等における実測値も考慮されているものであり、接地逆転層の影響についても、設定した拡散幅に反映されていることから、上記拡散モデルによる予測は適切なものである。(イ) 騒音の予測・評価に誤りがないことa 道路に面する地域原告らは、α14地区、α16地区及びα15地区に適用されるべき騒音に係る環境基準は、A地域の住宅地に関する環境基準であって、道路に面する地域の環境基準を適用するのは誤っていると主張する。 14地区、α16地区及びα15地区に適用されるべき騒音に係る環境基準は、A地域の住宅地に関する環境基準であって、道路に面する地域の環境基準を適用するのは誤っていると主張する。 本件環境影響評価では、α14地区及びα16地区における騒音の予測値を旧環境基準により評価するに当たり、原告らの指摘するように、当該地区の地域の類型をA地域(主として住居の用に供される地域)と認定した上で、「A地域のうち2車線を越える車線を有する道路に面する地域」の環境基準値を当てはめている。しかしながら、「道路に面する地域」とは、「当該道路より発する道路交通騒音の影響を受ける地域」を意味するのであって、単に、物理的に道路に面しているか否かといった点から定められるものではない。 そもそも、道路騒音に係る環境影響評価は、道路の新設により発生する騒音について、その影響が及ぶ範囲についてその程度を予測し、これを評価するものであるから、その対象地域は、本来「道路に面する地域」と一致するものでなければならない。昭和46年閣議決定「騒音に係る環境基準」においても、「道路の新設に際しては、…(中略)…道路に面する地域の環境基準を達成に資するよう、道路計画、その他道路周辺の土地利用計画の策定と実施に十分配慮するものとする。」として、道路の新設の場合において「道路に面する地域」の環境基準値が適用されることを明らかにしている。 したがって、本件環境影響評価がα14地区及びα16地区を「A地域のうち2車線を越える車線を有する道路に面する地域」に当てはめ、評価したことは、適切かつ妥当であって、何ら不合理ではなかったというべきである。 なお、騒音の評価の指標が等価騒音レベル(LAeq) える車線を有する道路に面する地域」に当てはめ、評価したことは、適切かつ妥当であって、何ら不合理ではなかったというべきである。 なお、騒音の評価の指標が等価騒音レベル(LAeq)に改正された新環境基準(騒音に係る環境基準について(平成10年9月30日環境庁告示第64号)は、「幹線交通を担う道路に近接する空間」の基準値を設けるとともに、道路端から20メートルの範囲を「2車線を越える車線を有する幹線交通を担う道路」としている。しかし、「幹線交通を担う道路に近接する空間」の基準値は、「道路に面する地域」のうちの幹線交通を担う道路に近接する空間についての特例として掲げられているものであって、「道路に面する地域」は「幹線交通を担う道路に近接する空間」よりも広い概念であることは明らかである。したがって、「幹線交通を担う道路に近接する空間」のうち、「二車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路」の範囲が道路端から20メートルの距離であると規定されているからといって、これを超えた範囲が直ちに「道路に面する地域」に当たらないということにはならないのである。 したがって、「幹線交通を担う道路に近接する空間」の範囲を超えれば「道路に面する地域」に当たらないかのような原告らの主張も、失当である。 b 高さ方向の予測・評価原告らは、本件環境影響評価書では、地上1.2mの地点のみでしか予測がなされておらず、高所については、環境基準を満たす範囲として高さ12mまでの範囲を示して予測を行っているものの、環境基準を満たすかどうかの判断は地上1.2mの分についてしかなされておらず、高さ5m以上の地点では環境基準を超えるとの予測をしながら保全措置がとられていないとして、このような予測は不十分であると述 境基準を満たすかどうかの判断は地上1.2mの分についてしかなされておらず、高さ5m以上の地点では環境基準を超えるとの予測をしながら保全措置がとられていないとして、このような予測は不十分であると述べている。 本件環境影響評価は、地域の概要と事業の内容を考慮し、騒音を含めた11項目が予測・評価項目として選定され(乙7号証75頁)、各項目ごとに現況調査が行われ、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について予測・評価がなされた。その際、騒音に関しては、国の技術指針である「建設省所管道路事業環境影響評価に関する実施上の運用(案)について」(昭和61年2月)において、騒音の予測点は、高さ1.2mを原則とすると示されており、「騒音に係る環境基準について」(昭和46年5月閣議決定)においても、「騒音測定方法は、日本工業規格Z8731に定める騒音レベルの測定方法による。」とされ、「日本工業規格環境騒音の表示・測定方法」において、「測定点の高さは、特に指定がない限り、地上1.2~1.5mとする。」とされている。本件環境影響評価は、これらを考慮し、地上1.2mにおける騒音レベルを評価の対象とした。 その結果は、評価の指標(環境基準等)を下回る等のため、適切な環境保全のための措置を講ずることにより、環境への影響は少ないというものであった。なお、本件環境影響評価では、住宅2階に相当する地上4mにおいても評価の指標に適合することが確認されている。 また、参加人らは、本件事業認定の申請に当たり、本件道路の計画交通量の見直しに伴い、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について検討を行うに当たり、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価項目として、「騒音」のほか「大気汚染」、「振動」及び「低周波空気振動」 画交通量の見直しに伴い、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について検討を行うに当たり、工事の完了後の施設の供用に伴う予測・評価項目として、「騒音」のほか「大気汚染」、「振動」及び「低周波空気振動」の交通量が影響を及ぼす4項目を選定し、平成32年を予測の対象時点として、環境影響評価と同じ手法を用い、本件事業の実施が環境に及ぼす影響について再予測計算及び評価を実施した。 その結果、騒音については、「道路に面する地域」の環境基準における夜間(午前0時から午前6時)の環境基準値に対して最も厳しい予測結果を示した午前5時から午前6時について、数か所において遮音壁の高さを若干嵩上げする等の追加対策が必要とされたものの、いずれも環境基準を満足することが確認された(乙第5号証189、195頁、第14号証、第15号証)。 そして、参加人らは、計画交通量の見直しに伴い必要となった遮音壁の追加対策を今後実施していくこととした(乙第5号証195頁)。 c 合成騒音の予測・評価原告らは、あきる野地域には、圏央道だけでなく、多数の道路が近接しているから、複合的な騒音の予測・評価が必要であるところ、本件環境影響評価は、α13地区について評価しただけで、他の地点にもある交差・併設する都市計画道路についての複合予測・評価を実施していないことを非難している。 しかし、そもそも、環境影響評価は、事業の実施が環境に及ぼす影響について予測及び評価を行うものであって、既存道路との合成騒音を予測することは環境影響評価技術指針にも規定されていない。しかし、本件環境影響評価においては、「既存の道路に面している地域については、計画道路と既存道路との合成による騒音の程度について記述するとともに、合成騒音レベルの求め方に 術指針にも規定されていない。しかし、本件環境影響評価においては、「既存の道路に面している地域については、計画道路と既存道路との合成による騒音の程度について記述するとともに、合成騒音レベルの求め方についても説明すること」との都知事の意見を受けて、中央自動車道、都市計画道路との騒音の合成が行われ、また、参考として、国道411号線との交差部及び五日市街道との交差部における騒音の合成結果が記載されているのである。 このように、原告らの主張は事実を正しく認識していないものであり、失当である。なお、原告らは、他の道路の交差点における測定結果を指摘しているが、それらの交差点はいずれも本件道路とは状況を著しく異にし、類似事例として評価するに値しないものである。 d 自動車走行速度原告らは、本件環境影響評価書が法定走行速度である時速80キロメートルを前提としていることについて、時速80キロメートルを維持する車など皆無であり、時速100キロメートルないし120キロメートルで走行する車両がほとんどであると非難している。 しかし、本件環境影響評価に用いた平均走行速度は、原則として、道路交通施行令で定める最高速度に基づき、規制速度ないしその上限値と考えられる設計速度を用いたものであって、その設定に何ら不合理な点はない。 (ウ) 本件環境評価においてSPMの予測・評価をすることが必要不可欠ではなかったこと原告らは、本件環境影響評価を実施した時点において、SPMの予測が可能であったにもかかわらず、これをしなかったのは、意図的なサボタージュであると主張している。 しかし、環境庁が提示した予測・評価の手法は、試行的に提示されたものであって、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOX)に れをしなかったのは、意図的なサボタージュであると主張している。 しかし、環境庁が提示した予測・評価の手法は、試行的に提示されたものであって、二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOX)に比べ、環境濃度の再現精度が十分でなく、種々の課題が残されていたのであって、上記予測・評価手法は、本件環境影響評価の時点において、十分に確立したものとはいえなかったから、これを用いた予測・評価を行わなかったからといって、本件環境影響評価に重大な瑕疵があるということはできない。 また、本件事業認定当時、国土交通省により道路事業に係るSPMの予測手法が具体的に示されていなかったことから、起業者によるSPMの予測・評価は行われていなかった。 土地収用法その他の関係法令には、事業の認定に当たり当該事業についての環境影響評価を行うことを法的に義務づける規定は設けられていない。また、東京都知事は、本件事業について、都条例28条、29条(平成10年12月25日条例第107号による改正後の同条例36条、37条)に基づく環境影響評価の再実施を求めていない。なお、起業者は、本件再評価を実施しているが、その結果は環境に及ぼす影響は軽微というものであった。 本件事業認定は、本件環境影響評価の結果及び予測時点を修正した結果を踏まえた上で行われたものであって、本件事業の環境に及ぼす影響について十分に考慮しており、何ら不合理なものではないことは明らかである。 なお、起業者は、本件事業認定後、平成12年10月に示された「道路環境影響評価の技術手法」に基づき、本件事業区間について、平成32年時点におけるSPMの予測・評価を実施している。それによると、あきる野市α16の4地点における予測値は、いずれも環境基準値を下回るこ 環境影響評価の技術手法」に基づき、本件事業区間について、平成32年時点におけるSPMの予測・評価を実施している。それによると、あきる野市α16の4地点における予測値は、いずれも環境基準値を下回ることが確認されている。したがって、仮に、本件事業認定において、SPMについて予測・評価がなされていたとしても、同様の結果が得られ、結論に影響を及ぼすことはなかったのであるから、これをしていないことが裁量権の逸脱・濫用を導く余地などないというべきである。 (エ) 環境影響評価の再実施が必要でないこと原告らは、交通量予測の重要な指標の一つは自動車保有台数の予測であり、自動車保有台数はすべての環境要素の予測の基礎になるものであるとした上で、本件環境影響評価の調査が実施されたのが1984年(昭和59年)から1985年(昭和60年)にかけてであり、当時において2000年(平成12年)の台数は5800台と予測されていたにもかかわらず、1995年(平成7年)の実績は6695万台、1999年(平成11年)4月の実績は7080台であり、当時の予測を大幅に上回っていたから、大気汚染、騒音、自然等への環境影響をすべて修正しなければならず、アセスのやり直しは当然であるなどと主張する。 しかし、環境影響評価に使用する計画交通量の推計は、原告らが主張する自動車保有台数のほかに、人口、就業者数等の社会経済指標を考慮して発生集中交通量を推計し、次いで地域間の分布交通量を推計し、最終的に各路線の将来の交通量を推計するという手法を採っている。大気汚染や騒音の予測は、上記の手法で推計した計画交通量を基に、気象条件、道路条件、交通条件等を加味して行われるものであるから、上記のような予測手順における一要素である自動車保有台数という数値のみを捉え、予 騒音の予測は、上記の手法で推計した計画交通量を基に、気象条件、道路条件、交通条件等を加味して行われるものであるから、上記のような予測手順における一要素である自動車保有台数という数値のみを捉え、予測値との乖離が認められたからといって、直ちに本件環境影響評価書における予測を遥かに超える大気汚染ないし騒音が発生するという結論に至るわけではない。 また、土地収用法その他関係法令上、事業認定の際に起業者に対して環境影響評価を行うことを義務づける規定は存しないから、それを実施しなかったからといって、直ちに本件事業認定が違法となるものでない。 本件事業は、都条例上の対象事業であるところ、東京都知事は、改正後の同条例(平成10年12月25日条例第107号)36条に基づく事業内容の変更による環境影響評価手続の再実施又は同条例37条に基づく事情変更による同手続の再実施が必要な場合に当たるとしての環境影響評価手続の再実施を求めていない。 なお、起業者は、本件事業の事業認定の申請に当たり、本件再評価を実施しているが、その結果は、大気汚染(原告らが主張するNO2を含む。)、騒音、振動及び低周波空気騒音について、環境基準値を満たし、環境に及ぼす影響は軽微なものと評価されている。また、公共事業の再評価については、公共事業の効率的な執行及び透明性の確保の観点から、平成9年12月5日に内閣総理大臣から公共事業の再評価システムの導入及び事業採択段階における費用対効果分析の活用についての指示がなされ、これを受けて、平成10年3月27日付けで建設事務次官から各地方建設局長等あてに、「建設省所管公共事業の再評価実施要領及び建設省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領の策定について」の通達(乙第10号証の1)、同年6月1 月27日付けで建設事務次官から各地方建設局長等あてに、「建設省所管公共事業の再評価実施要領及び建設省所管公共事業の新規事業採択時評価実施要領の策定について」の通達(乙第10号証の1)、同年6月16日付けで建設省道路局長から各地方建設局長等あてに、「道路事業・街路事業に係る再評価実施要領細目及び道路事業・街路事業に係る新規事業採択時評価実施要領細目の策定について」の通達(乙第10号証の2)がそれぞれ発出され、平成10年度から建設省所管公共事業の再評価実施要領(以下、単に「要領」という。)に基づき、公共事業の再評価が実施されている。本件事業についても、要領に基づき再評価を実施する事業とされ、平成11年1月20日に関東地方建設局事業評価監視委員会の審議に付され、同委員会の委員より「圏央道は国道16号線の渋滞緩和に寄与し、全国的に占める交通量のシェアも大きく重要な路線」である、「圏央道については、自然環境の保全が大きな課題となっており、引き続き十分配慮し進める必要がある。」といった意見等が出された上で、事業継続の対応方針が同委員会において基本的に了承され(乙第11号証の1)、これを受けて、建設省は、本件事業の対応方針について、事業を継続することを決定している(乙第11号証の2ないし4)。 したがって、本件事業認定に当たり、再度、環境影響評価を実施することが当然に要請されるものではなく、これを行わなければ被告の裁量権を逸脱又は濫用したということになるわけでもないというべきである。 (オ) 環境影響評価書において代替案の検討がなされていないことが不合理ではないこと原告らは、環境アセスメント(環境影響調査)は、人間環境に影響を及ぼすおそれのある行為に対して、考えられるいくつかの代替案とともに、環境への効果、影 れていないことが不合理ではないこと原告らは、環境アセスメント(環境影響調査)は、人間環境に影響を及ぼすおそれのある行為に対して、考えられるいくつかの代替案とともに、環境への効果、影響を衆知を集め予測評価し、これを公表し検討する中で環境への影響を十分考慮した賢明な社会的判断を形成することを理念としていると述べた上で、日本においても、環境アセスメントにおいて、代替案を予備的に分析、評価し、代替案の検討を行うべきであるとされることは定着した考えとなっているところ、現実に行われている環境アセスメントは、本来の姿とは異なっており、本件環境影響評価においては、代替案の検討がされておらず、大きな欠陥を持っていると主張する。 しかし、本件環境影響評価は都条例等に基づき実施されたところ、そこでいう環境影響評価とは、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査、予測及び評価を行い、これらの結果について公表すること(東京都環境影響評価条例2条1号)をいう。条例9条は、代替案について検討を行った場合には、その経過を評価書案に記載しなければならないと規定しているが、これは、代替案を環境面から比較検討することを要求しているものではないし、およそ代替案を検討すべきことを義務づけているものでもない。 本件事業認定が告示されたのは平成12年1月19日であるが、環境影響評価において、複数の計画案の比較や複合アセスをするということが東京都の環境影響評価条例に盛り込まれたのは平成14年7月であり、その条例が施行されたのは平成15年の1月である。 しかも、東京都環境影響評価条例においては、計画段階の環境影響評価の代替案の比較検討については、東京都の事業に限定されており、事 その条例が施行されたのは平成15年の1月である。 しかも、東京都環境影響評価条例においては、計画段階の環境影響評価の代替案の比較検討については、東京都の事業に限定されており、事業中のものは対象外とされている。 このように、原告が主張するような計画段階における複数案の環境面からの比較検討という考え方は、本件事業認定当時には採られていないのであって、原告らの主張は、自ら理想とするところの環境アセスメントの理念なるものを前提にして、現行の環境影響評価制度を非難するものにすぎず、到底是認し難い。 エ本件事業認定に際し代替案の検討がなされていないことが不合理ではないこと(ア) 原告らは、あきる野インターチェンジを設置しない場合に考えられる圏央道のルートとして2つの代替案を示した上で、仮に圏央道建設自体を前提にしたとしても、あきる野インターチェンジを建設しなければ、2つの代替案のいずれかを採ることによって、本件各土地の収用の必要はなくなる、あきる野インターチェンジの建設を前提としなければ、これらの代替案はいずれも十分可能であるから、これらの代替案について検討すらしていない本件事業計画は、重大な瑕疵があるものであって、このような事業認定は取り消されなければならないと主張する。 しかしながら、原告らの主張は、そもそも設置の必要性が認められるあきる野インターチェンジが不要であることを前提としている点からして、失当である。 (イ) 本件事業案の合理性事業認定庁が事業認定の審査の過程において代替案との比較検討を行っていないからといって、直ちにその事業認定処分が違法となるものではない。このことは、法的にみた場合、土地収用法その他の関係法令に、起業者に代替案の提示 定の審査の過程において代替案との比較検討を行っていないからといって、直ちにその事業認定処分が違法となるものではない。このことは、法的にみた場合、土地収用法その他の関係法令に、起業者に代替案の提示を義務づけるような規定や事業認定庁自らが代替案を設定し検討すべきことを義務づける規定が存在しないことからも明らかである(事業認定の審査に当たっての代替案の検討については、昭和63年8月30日付けの建設省建設経済局長の通達があるが、同通達も、本件道路のように都市計画決定されているものについては代替案の検討を省略できる旨定めている。)。 また、実態的にみた場合でも、例えば、道路建設事業で周囲の地形や土地利用の状況等から具体的な代替案(代替ルート)が考えにくいような場合にまで、比較検討のために敢えて現実的でない代替ルートを設定して比較検討を行うというのが無意味であることからも明らかである。 (ウ) 原告らの主張する2つの代替案に対する反論原告らは、「あきる野インターを設置しなければ、日の出インターの南方向の次のインターは八王子北インターとなる。…(中略)…日の出インターと八王子北インターを結ぶのなら、添付地図に赤線を引いたようなルートを通せば最短となるし、現在のルートよりも格段に住宅地を回避することができる。建設費も大幅に節約できる。このコースが代替案のひとつとして検討されるべきである。」と主張し、代替案の1つとして、日の出インターチェンジと八王子北インターチェンジ(仮称)とを直線で結んだルートを挙げる。 しかし、原告らが掲げる上記ルートは、単純に日の出インターチェンジと八王子北インターチェンジ(仮称)とを直線で結んだものであって、ルート選定における諸々の考慮要素を捨象し、事業計画案に反対するこ しかし、原告らが掲げる上記ルートは、単純に日の出インターチェンジと八王子北インターチェンジ(仮称)とを直線で結んだものであって、ルート選定における諸々の考慮要素を捨象し、事業計画案に反対することを唯一の目的として提示された案であることが明らかであり、およそ代替案として考慮に値するものではない。 仮に、上記代替案におけるルート上にあきる野インターチェンジに代わるインターチェンジを設けるとしても、①国道411号線から代替インターチェンジに至る間のアクセス道路の整備が必要であることや、②上記ルートが東京サマーランドを通過することから、用地買収費及び補償費が現計画よりも過大となることからすると、上記代替案が事業計画案よりも劣ることは明らかである。 原告らは、「あきる野インターを設置しなければ、現在工事が進められているような高い橋梁をつくる必要はなく、現在の国道411号線と同じ高さで秋川に橋をかければ足りる。計画では、圏央道は日の出インターから半地下方式で南下し、JR五日市線の北側でトンネルとなる。この場所から秋川までは下り傾斜であり、秋川に近づくに従って河岸段丘となっており、段差が大きくなる。現在あきる野インターの建設されている土地のグラウンドレベルがもっとも低い。この土地のレベルで秋川に国道411号線のα30橋がかかっている。このグラウンドレベルの土地から原告P3の土地までは、崖が形成されるほどの段差がある。この崖にトンネルの出入り口を作り、五日市線北部までをトンネル化すれば原告らの土地を含む市街地の立ち退きは一切必要がなくなるのである。」と主張し、事業計画案のルートを前提とした上で、道路の構造を地下方式とする代替案を提示している。 しかし、かかる主張もあきる野インターチェンジ(仮称)を設置しないことを くなるのである。」と主張し、事業計画案のルートを前提とした上で、道路の構造を地下方式とする代替案を提示している。 しかし、かかる主張もあきる野インターチェンジ(仮称)を設置しないことを前提としている以上、失当というほかない。 その点をおくとしても、上記代替案は、現在の国道411号線と同じ高さに橋をかければ足りるとするものであるところ、国道411号線と同じ高さには都道淵上日野線が存在しており、仮に、国道411号線と同じ高さに圏央道の橋を架けた場合には、交差する都道淵上日野線を立体交差の高架橋として整備する必要が生じ、それに伴って、さらに国道411号線の構造も変更させる必要が生じるなど、当該代替案が周辺地域に及ぼす影響は極めて大きく、交差する一般道路の機能確保について十分に配慮したものとはいえない。上記代替案も、単に本件各土地の土地収用を逃れるだけの目的で提示されたものにすぎず、原告らの主張は失当と言わざるを得ない。 また、原告らは、原告P3の居宅下の河岸段丘にトンネル坑口を設け、五日市線北部までをトンネル構造とすれば、本件各土地を含む市街地の立ち退きは一切必要がなくなると主張し、甲128号証では、あきる野インターチェンジ部分の圏央道本線の縦断勾配が4.3パーセント及び3.0パーセントとなる計画案が提案されている。 しかし、かかる計画案も、4.3パーセントの縦断勾配は、インターチェンジ部における縦断勾配として、満足しなければならないと示された標準値である3パーセントを超えていること(乙49号証378頁)、トンネル構造における3パーセントの縦断勾配は、換気上の問題などから目標とするのがよいとされる通常の縦断勾配2パーセントを超えていることから、妥当でないというべきである。 以上からす 、トンネル構造における3パーセントの縦断勾配は、換気上の問題などから目標とするのがよいとされる通常の縦断勾配2パーセントを超えていることから、妥当でないというべきである。 以上からすると、原告らが主張する構造面における代替案も、本件事業計画案よりも劣った計画であることが明らかである。 (6) 法20条4号の要件法20条4号は、同条3号によって事業計画自体の合理性が肯定される場合であっても、当該土地を取得するのに強制的な土地収用という手段を用いるだけの「公益上の必要性」のあることを規定したものであると解される。 本件事業について、起業者は、平成11年7月末日の時点で、所要面積約15万9995平方メートルのうち約94パーセントの用地の取得を完了しており、残る土地等についても継続して土地所有者及び関係人と任意協議を進めて円満な解決に努めているところであるが、任意による解決が困難な場合には、速やかに収用委員会の裁決を求められるよう本件事業認定申請に及んだものである。 本件事業の道路整備上の必要性については、上記(3)で述べたとおりであり、本件事業が法20条3号の要件に適合することをも併せ考慮すると、本件事業において、本件起業地を取得するために「収用」及び「使用」という手続を執ることの公益上の必要性は十分に認められる。 したがって、本件事業は、法20条4号の要件に適合する。 (7) 事業の認定(法20条3号及び4号)の裁量性と司法審査の在り方法20条3号は、事業計画全体の合理性に関する要件を定めたものと解され、土地がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と、土地がその事業の用に供されることによって失われる利益とを比較衡量した結果、前者が後者に優越すると認められる場 件を定めたものと解され、土地がその事業の用に供されることによって得られる公共の利益と、土地がその事業の用に供されることによって失われる利益とを比較衡量した結果、前者が後者に優越すると認められる場合に、この要件に適合すると解すべきである。そして、事業認定庁のこの要件の存否についての判断は、事業認定に係る事業計画の内容、事業計画が達成されることによってもたらされるべき公共の利益、事業計画策定及び事業認定に至るまでの経緯、事業計画において収用の対象とされている土地の状況等諸要素の比較衡量に基づく総合判断として行われるべきもので、性質上必然的に政策的又は専門技術的判断を伴うものであるから、行政庁の広範な裁量にゆだれられているというべきであって、行政庁がその判断について委ねられた裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したと認められる場合に限り違法となるものと解される。 法20条4号は、当該土地を取得するのに強制的な土地収用という手段を用いるだけの「公益上の必要性」のあることを規定したものと解されるところ、この判断も行政庁の政策的又は専門技術的判断を伴うものであるから、性質上広範な裁量に委ねられているというべきである。 これらの場合の司法審査の方法としては、行政庁の第一次的な裁量判断が既に存在することを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等によりその判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により同判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、同判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとすることができるというべきである。一方、裁判所が行政庁と同一の立場に立って、独自に自己の認定判断をし、その められる場合に限り、同判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法であるとすることができるというべきである。一方、裁判所が行政庁と同一の立場に立って、独自に自己の認定判断をし、その結論と行政庁の処分とが異なるときは、当該行政処分を違法と判断する方法(いわゆる実体的判断対置方式)は、裁判所が独自の立場で行政行為をすべきであったかどうかを判断するのと等しいこととなり、司法審査の名の下に、実質的に行政庁の裁量を否定し、裁判所の裁量を認める結果となり、そもそも政策決定機関でない裁判所の立場や能力からみても適切ではないから、採用されるべきではない。 (原告らの主張) 1 第2及び3原告らの原告適格(1) 被告の態度の矛盾被告は、第2及び第3原告らがいずれも賃借権を有するものとして、買収の対象として補償金の提示を行い、さらに、東京都収用委員会に対しても裁決申請手続きを行っているのであり、第2及び第3原告らに原告適格がないと主張するのは矛盾している。 (2) 第2及び第3原告らは、本件土地1について、以下のとおり賃借権を有している。 ア目的・用法遺跡調査イ賃貸借の期間平成4年1月10日から10年間ウ賃料 1か月1万円エ準共有持分① 第2原告のうち原告P7が3200分の19、他は各32分の1② 第3原告らは、いずれも各3200分の1オ賃借権取得の時期・経過①第2原告らについては、平成元年1月10日、上記の各条件で期間を3年間とする賃貸借契約を締結し、3年経過した平成4年1月10日からは、同一条件で期間を10年間とする賃貸借契約となっている。なお、この契約締結時点では、原告P7の準共有持分は32分の1であった。 ②第3原告らは、平成1 、3年経過した平成4年1月10日からは、同一条件で期間を10年間とする賃貸借契約となっている。なお、この契約締結時点では、原告P7の準共有持分は32分の1であった。 ②第3原告らは、平成11年11月、原告P7の有する賃借権準共有持分のうち各3200分の1ずつそれぞれ譲渡を受け、所有者である原告P1が譲渡を承諾した。 2 第4原告らの原告適格(1) 原告適格の解釈当該行政法規が不特定多数の具体的利益をそれが帰属する個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは、当該行政法規の趣旨・目的、当該行政法規が当該処分を通じて保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断すべきであり、その判断に当たっては、単に当該行政法規の文言解釈のみにとらわれず、行政法規及びそれと目的を共通にする関連法規の関係規定によって形成される法体系を合理的に解釈、検討しなければならない。 (2) 土地収用法の規定土地収用法は、土地を収用し、または使用する公益上の必要性があること(20条4号)とは別個の要件として、「土地の適正かつ合理的な利用」(同3号)を規定している。そして、3号の要件は、収用によって財産を奪われる私人の利益保護ともその趣旨を異にする。したがって、「土地の適正且つ合理的な利用」という要件を単なる公益(国民経済的視点)に解消してしまうことは許されない。 それは、地域住民の環境や生活など様々な権利についても考慮しなければならないという意味を持つのである。 (3) 環境に関する権利保護近年、公害被害に対する救済が進められてきたこととあわせて、環境問題に関する世論の関心が高まり、人は良好な環境の下で生活する権利が認められるべきであるとする認識も急速に広がっている。このような状況の下で、土地につ に対する救済が進められてきたこととあわせて、環境問題に関する世論の関心が高まり、人は良好な環境の下で生活する権利が認められるべきであるとする認識も急速に広がっている。このような状況の下で、土地について適正且つ合理的な利用を図るために、環境に関する権利を含めた判断がされなければならないことはいうまでもない。つまり、当該事業が周辺住民に対して及ぼす環境被害を抜きにしては考えられないのであって、当然に周辺住民の権利や利益保護に関わってくるのである。 (4) 住民の手続参加土地収用法は、公聴会の開催(23条)、利害関係人の意見書の提出(25条)などを定め、周辺住民を含む利害関係人の手続参加を認めているのであり、これは、土地収用手続によって行われるような事業の実施に当たっては、所有権者ばかりでなく、周辺住民にも大きな影響を与えることになる以上、その意見を聴取することが不可欠であることにあり、被告が主張するように公益目的のみに解消されるものではない。 (5) アセスメントとの関係本件事業については、東京都環境影響評価条例によりアセスメントが義務付けられているところ、アセスメントでは、事業者は、周辺住民への説明会を開催することが義務付けられており、環境の変化によって重大な影響を被る可能性のある住民の意見を反映することが予定されている。 そして、被告は、アセスメントの内容を前提として事業認定の是非を決することとなるので、被告は事業によって生じる環境への影響や住民の意見も踏まえて事業認定をすることとなるのである。このような法制度の下では、当該事業の手続において、住民らの環境被害によって健康などに被害を受けない権利が具体的権利として保護されていると考えるべきである。 3 本件事業に公益性がないこと(1) 巨額な無駄 の下では、当該事業の手続において、住民らの環境被害によって健康などに被害を受けない権利が具体的権利として保護されていると考えるべきである。 3 本件事業に公益性がないこと(1) 巨額な無駄遣い起業者らが、2000年10月31日付で土地収用法に基づいて被告収用委員会宛に行った本件収用裁決の申請書によると、青梅インターチェンジから八王子市α7の八王子ジャンクション予定地間20.3キロメートルに要する道路建設のための費用は3886億6200万円となっている。それだけで1キロメートル当たりの費用が、191億円を超えることとなる。さらには、八王子ジャンクションの建設費428億9800万円を加算すると、1キロメートル当たりの建設費が212億円かかる計算となる(甲245号証)。この単価を総延長300キロメートルの圏央道の工事費に換算すると6兆円余の費用がかかることになる。今後、工事費の高いトンネル工事部分や物価の値上がりなどを考慮すると、総工事費は10兆円になるといわれている。 しかし、圏央道にはこのような巨額な予算をつぎ込む公益上の利益はない。 我が国の道路政策は客観的にも根本的な見直しが求められているのであり、それが国民の世論でもある。 (2) 交通需要の「水増し」予測国土交通省は新しい方法に基づいた予測で、自動車交通量は2030年度以降減少に転ずるという結果を発表せざるを得なくなっている(甲61号証)。そもそも、国土交通省の予測は、交通需要が増加するという点で、「水増し」が行われている。 すなわち、交通需要推計は、就業者率や免許保有率が自動的に上昇して、人口やGNPが伸びなくても(減っても)、それとは無関係に交通需要は増えるという仕掛けになっている(甲60号証)。現行の道路整 すなわち、交通需要推計は、就業者率や免許保有率が自動的に上昇して、人口やGNPが伸びなくても(減っても)、それとは無関係に交通需要は増えるという仕掛けになっている(甲60号証)。現行の道路整備5カ年計画も、バブル期を含む経済指標を参考に年2パーセントの成長が続くと想定していたが、2000年度に予測を1.5パーセント下回り、国土交通省に対し、「水増し予測で道路整備を続けている」との批判が強まっている。乙4号証23-8に示された平成6年よりも人口の減る平成32年(2020年)に20パーセント以上も自動車が増えるなどという試算は、科学的論拠を欠く。 首都圏各地域相互の交通量についても、被告らは、平成32年の時点で相当の割合で増加することを前提に議論している。しかし、平成32年は今から16年後である。18年前にはバブル経済がはじけて不況に陥ることも予測できなかったことを考えれば、16年後の予測があてにならないことは容易に分かる。今後16年間でモノから情報への産業構造の転換がより進み、大量生産大量消費から環境重視のライフスタイルへの転換が図られることは確実である。 平成32年に東京圏の交通量が被告主張のように増加している可能性は低いものと言わざるを得ない。 これらは、交通混雑の緩和などといった圏央道の必要性についての被告らの説明に重大な疑問を呈するものである。 (3) 赤字増加と完成が見通せない圏央道計画圏央道自体も既に大幅赤字となっており、事業を認定し、収用手続きを進めるのではなく、逆に見直しこそ求められる。 圏央道の現在の経済採算性に関する状況は、2520億円の負債でしかも現在の営業区間である鶴ヶ島ジャンクションと青梅インター間の約20キロメートルの営業で年間146億円の赤 そ求められる。 圏央道の現在の経済採算性に関する状況は、2520億円の負債でしかも現在の営業区間である鶴ヶ島ジャンクションと青梅インター間の約20キロメートルの営業で年間146億円の赤字となっている。この状態は管理費や修理などの改良費は払えるが償却費が払えない、もちろん金利の支払はできない状況であり、このまま建設を続けても赤字が増えるばかりである。このような圏央道計画について、前述のように、1キロメートル当たり212億円もの巨費を投じる建設事業を進めることは、財政的にも、無謀といわなければならない。 他方、圏央道事業のアセスメントが実施されたのは1988年12月である。以来、13年を経て、全体計画300キロメートルのうち開通したのは埼玉県鶴ヶ島から東京都あきる野市日の出インターまでの約30キロメートルにすぎない。1996年3月26日に、東京都青梅市の青梅インターチェンジから埼玉県鶴ヶ島市の関越自動車道との鶴ヶ島ジャンクションまでのわずか19.8キロメートルが開通し、その後、2002年3月29日に青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでの8.7キロメートルが開通したのみであり、全線完成供用のメドはたっていない(甲165号証)。 そればかりか、あきる野インターチェンジ以南の八王子方面では、八王子北インターチェンジ建設予定地にダイオキシン汚染土壌が発見され、この汚染土壌の処理方法が決まらないために八王子北インターチェンジ建設の予定さえ立たないのである(甲164号証の1~7)。さらにそれ以南のα31トンネル工事では2002年1月にトンネル工事による42件もの井戸涸被害や地下水位が13メートルも低下する事態が起きて、トンネル掘削工事を2年近くも中止し現在止水工事をせざるを得なくなり工事は大幅に遅れてい 事では2002年1月にトンネル工事による42件もの井戸涸被害や地下水位が13メートルも低下する事態が起きて、トンネル掘削工事を2年近くも中止し現在止水工事をせざるを得なくなり工事は大幅に遅れている(甲152~163号証)。八王子ジャンクションまでの工事でさえ八王子市α17の工事予定地は土地所有者や立木トラストなどで多くの市民が圏央道建設に反対しており土地収用手続も終了していない状況であるため、いまだ完成の見通しはたっていないのである。 圏央道については、事業中止を決断するべき状態にあるといわざるを得ないのである。 (4) 20条3号及び4号の要件を満たさないこと本件事業には、被告が主張するような利益は見込めないのであって、20条4号の要件を満たさない。また、「失われる利益」(それは、後述のように、「公共の利益」を遥かに上回るが)との比較衡量を待つまでもなく、20条3号の要件も満たさないのである。 ア分散導入と交通量の増加被告らは、圏央道建設による分散導入の効果を主張する。 しかし、分散導入により、都心方向に入りやすくなれば、自動車交通へのシフトはさらにすすむ。ロンドンのM25で明らかになったように、環状道路の建設は誘発交通を生むのであり、圏央道では、分散導入は図れない分散導入によって都心部流入を円滑化することが仮に必要だとしても、圏央道に分散導入の機能はほとんど期待できない。すなわち、分散導入の効果は、迂回しても時間短縮の効果が確実で、かつガソリン消費量や通行料金などコスト面でもロスの少ない場合にしか期待できず、圏央道のように放射道路間を大きく結ぶ道路にはその機能はほとんど期待できない。 さらに、主要な高速道路の交通量を都区部への入口付近 通行料金などコスト面でもロスの少ない場合にしか期待できず、圏央道のように放射道路間を大きく結ぶ道路にはその機能はほとんど期待できない。 さらに、主要な高速道路の交通量を都区部への入口付近でみると、東名川崎121、162台、中央道高井戸117、866台、常磐道三郷104、472台、東関東道習志野109、530台、東北道浦和83、201台といずれも非常に多い(『高速道路便覧2002年版』による)。このようにどの放射道路へまわっても、その入り口で詰まってしまう実態にある。これでは、そもそも分散導入を図りようがないのである。 イ通過交通の実態と対策(ア) 迂回効果は通過交通のうちのごくわずかであること丙24号証12頁では、「国土交通省の平成11年度道路交通センサスによれば、東京都23区を通行する交通量が全体で約6812万台キロメートル/日(1台が1キロメートル走ると1台キロメートル)であるが、そのうち、東京都区部をただ通過するだけの交通は約927万台キロメートル/日(全体のほぼ14パーセント)であり、これは都区部を本来通過しなくてもよい交通である。都区部を通過するだけの交通(約927万台キロメートル/日)のうち、一般国道16号線以遠(16号線が通過する市町村含む。以下同じ)に起点及び終点を持つ交通が約48パーセント(約448万台キロメートル/日)、圏央道以遠(圏央道が通過する市町村含む。以下同じ)に起点及び終点を持つ交通が約14パーセント(約132万台キロメートル/日)ある。」と述べる。さらに、内外交通について、都区部の内外交通は2、227万台キロメートル/日で、そのうち、圏央道以遠に起終点を持つ交通は477万台キロメートル/日であるという。そして、この内外交通と通過交通を足して、この両者のなかで圏央 、都区部の内外交通は2、227万台キロメートル/日で、そのうち、圏央道以遠に起終点を持つ交通は477万台キロメートル/日であるという。そして、この内外交通と通過交通を足して、この両者のなかで圏央道以遠に起終点を持つ交通が2割を占めることから圏央道の利用は多いと結論づける。 しかし、上記のうち477万台キロメートルは迂回可能な交通ではない。これは都区部から出て行く交通と都区部へ入ってくる交通の和であるから、圏央道によって迂回できるものではない。圏央道が開通しても、都区部の交通量を減らすものではない。 結局、区部の通過交通のうち、圏央道予定地以遠に起算点を持つ132万台キロが、区部の通過を回避できる対象となりうる。それは全体の交通量の1.9パーセントにすぎない。しかも、その全部が圏央道によって迂回できる交通ではない。たとえば千葉県から神奈川以西への交通はアクアラインか湾岸線を利用する他はないのであって、圏央道の利用により区部を迂回して神奈川以西と千葉を行き来することはない。 (イ) 外環・中央環状を選択する圏央道内側の通過交通16号線以遠で都区部を通過する交通は、通過交通927万台キロメートル/日のうち448万台キロメートル/日であり、都区部の交通量6812万台キロメートル/日の6.6パーセントほどになる。しかし、この全部が外側の圏央道をまわる可能性はきわめて少ない。16号線以遠であっても圏央道の内側に起終点をもつ交通は、圏央道の内側に計画通り3つの環状道路(外環・中央環状・都心環状)が完成した場合は、当然、外環もしくは中央環状を通るからである。 さらに、第3次首都圏基本計画には北関東横断道路が、第4次全国総合開発計画や第4次首都圏基本計画には核都市広域幹線道路が、首都圏整備計画には 当然、外環もしくは中央環状を通るからである。 さらに、第3次首都圏基本計画には北関東横断道路が、第4次全国総合開発計画や第4次首都圏基本計画には核都市広域幹線道路が、首都圏整備計画には第2湾岸が打ち出されている(国土交通省21世紀の国土交通のグランドデザインにはそのすべてが盛り込まれている)。これらすべてが完成すれば、5環状2湾岸道路に交通が分散するはずである。現実に迂回効果が見込めるのは、前述のように圏央道以遠からの通過交通132万台キロメートル/日のうちのそのまた一部程度なのである。 このように圏央道の迂回効果はきわめて小さい。都区部を通過する交通の大部分が圏央道の内側に起終点をもっている。圏央道によって都区部の通過交通を大きく減少させ、都区部の交通混雑を緩和できるという論法は、通過交通そのものが相対的に小さいにもかかわらず、これを過大視し、さらにそれを圏央道で減少させられるという二重の誤りをおかしている。 (ウ) 原告らの主張ですら過大原告らは、従前、『東京都環境白書』34頁等を根拠に東京都区部の通過交通が5パーセント、35万台にすぎないと主張してきたが、この数字さえも過大である可能性が高い。まず、平成13年度警視庁交通年鑑によると東京都と他県境の流入出の合計台数は1日243万台、道路交通センサスによる東京都への流入が1日98万台、東京都からの流出が1日96万台(東京都に起終点を持つものが194万台)であり、243万台と194万台の差49万台の2分の1(出入りで2回カウントされているため)の24万5千台が東京都の通過交通となる。このなかに多摩地域の通過交通(埼玉・山梨間など)が含まれているから、多く見積もっても都区部の通過交通は24万台を超えることはないのである(首都高速道路公 )の24万5千台が東京都の通過交通となる。このなかに多摩地域の通過交通(埼玉・山梨間など)が含まれているから、多く見積もっても都区部の通過交通は24万台を超えることはないのである(首都高速道路公団平成10年度第24回起終点調査報告書によれば、このうち17万台が首都高速を利用した通過交通である)。 したがって、実際は、35万台という原告主張の3分の2以下となる。 (エ) 都心環状の通過交通は圏央道には無関係被告らは、都心環状線の交通量の6割が通過交通であるという。たしかに、首都高速道路公団平成10年度第24回起終点調査報告書によれば、首都高の放射線~都心環状線~放射線とぬける交通量が1日28.5万台、それ以外の放射線と環状線との間の交通量が1日18.1万台、放射線を利用しない環状線内の交通が1日870台であるから、28.5万台と18.1万台、870台の合計1日46.7万台の6割が通過交通(放射線~都心環状線~放射線)という計算になる。 しかし、そもそも竹橋インターチェンジ、一の橋インターチェンジ、浜崎橋インターチェンジ、江戸橋インターチェンジを結ぶ都心環状線は、その内側の多くの部分を皇居が占めるのであり、通過交通をさばく目的で造られた道路であるから、都心環状線という単位で見れば通過交通が多いのは当然である。 そして、その46.7万台の多くは、たとえば板橋区から大田区までのトラックなど区部に起終点を持つものと考えられるから、圏央道を建設しても都心環状線の通過交通を減らすことにはつながらないのである。 エ誘発交通交通渋滞の原因は、道路の整備状況を超える過剰な自動車保有台数及び自動車走行量の急速な増大である。1986年に完成したロンドンの環 らすことにはつながらないのである。 エ誘発交通交通渋滞の原因は、道路の整備状況を超える過剰な自動車保有台数及び自動車走行量の急速な増大である。1986年に完成したロンドンの環状道路M25について調査したイギリス政府の諮問委員会の結論は、道路の建設が交通量を増大させているというものであった。「道路を造ったから自動車交通量が増加する」ということは、イギリス政府の公的な見解であり、東京都の環境白書もこの見解を前提としているのである。 そして、この誘発交通は、決して外国だけのことではなく、我が国の湾岸線の経験(開通後1年間で32パーセント増)においても明らかになっているのである(甲19号証32頁)。また、1985年に開通した国道16号線の八王子バイパスの12時間通過台数が19、800台であるのに、国道16号線の交通量は83年の12、000台から97年の15、600台に増えていることも、その例である。 首都高速中央環状線や東京外かく環状道路と比べた場合の圏央道の特色は、「地域間の交流の拡大、産業活動の活性化」を目的として正面に掲げていることである。 被告らの主張のとおり地域開発を促進するというのならば、現在1日15万台前後である埼玉県・多摩地域間、25万台前後である神奈川県・多摩地域間の交通量を増加させるなど圏央道の建設によって地域に新たな交通を誘発することに他ならず、交通渋滞が悪化することは明らかである。 圏央道建設が「首都圏全体の交通の円滑化」に役立つというなら、この誘発交通の問題をどのように考えるのかという問題は、避けて通れないのである。 オ需要の低い圏央道環状道路に交通管理や交通抑制の効果があるというなら、都心に近い環状道路を建設す 通の問題をどのように考えるのかという問題は、避けて通れないのである。 オ需要の低い圏央道環状道路に交通管理や交通抑制の効果があるというなら、都心に近い環状道路を建設する方が効果的である。都心から60キロメートルも離れたところに環状道路を作っているのは、世界の主要都市では東京だけであり、丙24号証9頁で述べられるようなアメリカの都市も(具体的にどこかは不明だがどこであっても)、都心から60キロメートル圏に環状道路を有しない。 被告らは、東京の環状道路の整備率はロンドン・パリなどに比べて低いと主張し、丙24号証9頁にもこれに沿った記載があるが、このことは、そもそも東京の環状道路計画が過大すぎたことの裏返しなのである。 また、圏央道のインターチェンジが予定されている市については人口が減少傾向であり、24市中平成7年度から12年度にかけて人口が減少した市が7市、12年度から15年度にかけて減少した市が11市ある。増加している市もほぼ横ばいと言っていい状況である。特に、圏央道沿道の業務核都市・副次核都市は、横浜をのぞいて木更津、つくば、青梅、八王子、厚木とすべて人口が減少している。圏央道沿道の都市は停滞していると言わざるを得ない。 被告らの主張によると、圏央道の目的は首都圏の交通混雑解消のために、一極集中型の都市構造を改造して、首都圏の広域的多核都市複合体を形成するという多極型への転換を図り、その多極化した中核都市を連絡することであるという。 しかし、首都圏が多極化した場合とは、こうした指標が政府施策によって都心から多極型の都市構造を形成する業務核都市に移動し集積し、都心の跡地が都市公園や緑地などのオープンスペースとして機能した場合である。しかし、いまだこのようなことは実 うした指標が政府施策によって都心から多極型の都市構造を形成する業務核都市に移動し集積し、都心の跡地が都市公園や緑地などのオープンスペースとして機能した場合である。しかし、いまだこのようなことは実現されていない。首都圏の多極化は進んでおらず、圏央道を作っただけでは多極化は進まないのである。現在では、ますます首都機能の都心への一極集中が加速し、オフィスビルの需要は23区内に集中しているのである。東京区部の交通渋滞の解消には道路建設の方向ではなく、交通需要を減らす方向での都市機能の拡散こそが重要で、都市機能の拡散ができない限り交通渋滞は解消されない。 圏央道沿道の都市にニーズはなく、ニーズのある業務核都市を連絡する道路として圏央道は無関係である。 カ本件事業区間の建設の必要性がないこと(ア) 交通混雑は解消しない圏央道を利用する車が増えれば、圏央道に流入する車が一般幹線道路に流入し、一般幹線道路の交通量も増える。現に本件事業に伴い、アクセス道路があきる野市内にも数多く建設されている。起業者自身、交通量の飛躍的増大を予定していることの証左である。交通混雑を解消するこれからの施策の基本は、車の通行量を減らすことであり、そのために道路建設より安価な違法駐車の取り締まり、ロードプライシングの実施など道路を作る前にやるべきことがたくさんあるのである。 (イ) 通過車両の増大生活道路に通過車両が進入するのは、幹線道路間のショートカットや信号回避などの利便目的があるからである。圏央道が完成すれば、インターチェンジ付近の道路には圏央道を利用する車両が集まり、かえって通過車両が増大する。 (ウ) 減少しない交通事故ある地域の交通量が減少すれば交通事故 道が完成すれば、インターチェンジ付近の道路には圏央道を利用する車両が集まり、かえって通過車両が増大する。 (ウ) 減少しない交通事故ある地域の交通量が減少すれば交通事故が減少するであろうとは言えても、交通渋滞が解消したから交通事故が減少するとは言えない。交通渋滞を極める東京よりスムーズに流れる北海道の方が人口当たりの交通事故による死傷者数は多いのである。 キあきる野インターチェンジ建設の必要性がないこと(ア) 高度の公益性が必要なこと日の出インターチェンジからあきる野インターまで1・9キロメートルの圏央道を時速80キロメートルで走行すると1分25秒、時速100キロメートルだと1分あまりの所要時間である。この2つのインターチェンジはつい目と鼻の先であり、一般道を走っても6分しかかからないのである(甲224、225号証)。 原告らの住まいや土地を強制的に奪ってこのような至近距離の間に2つのインターチェンジを設置するとするならば、インターチェンジの効用について一般論では足りず、被告らには、どうしても2つが必要なのだということについて、高度の公共性と明白な公益性を立証する責任が負わされているいうべきである。 (イ) 建設の必要性がないことあきる野市内には、圏央道計画に付随して、多くの都市計画道路が計画され、すでに完成開通しているものが多い。現在の一般国道411号線は、もともとは都道にすぎなかったが、圏央道計画ができるのにあわせて、国道にふさわしい整備をすることもなく、いきなり国道に昇格させたものである。 現在から将来に向けて、あきる野市内の交通網を考える上で、東西を結ぶ都道睦橋通(新五日市街道・杉並あきる野線)(秋3・3 整備をすることもなく、いきなり国道に昇格させたものである。 現在から将来に向けて、あきる野市内の交通網を考える上で、東西を結ぶ都道睦橋通(新五日市街道・杉並あきる野線)(秋3・3・3)、睦橋通りのα16の交差点から北に向かう市道油平平井線(秋3・5・12)が幹線である。 旧秋川市南部を出発した車が圏央道にアクセスするためには、この2本の道路を利用すれば15分以内で日の出インターチェンジに達することができる(甲224号証)。あきる野インターチェンジはまったく必要がない。 八王子北部方面から発生する交通についてもこの2本の道路の利用で、日の出インターチェンジに容易にアクセスできる。まず睦橋通りを西に向かって約5分走ると、山田宮の前線と接続し、ここを左折すれば八王子西部から高尾駅まで行くことができる。このルートは八王子北部の接続に便利である。 次に睦橋通りを東に向かい、国道411号線を越えたところから国道16号線まで約5キロメートルである。睦橋通りは直線の片側2車線道路で、片側2車線の奥多摩街道に右折し、しばらく進むと国道16号線に合流する。約10分の所要時間である。国道16号線との接続は日の出インターで十分であり、むしろ国道411号線の隘路をもつあきる野インターよりもはるかに合理的である。 さらに、睦橋通りを東進して、「瑞穂あきる野八王子線」との交差点を右折して南下すれば国道411号線に合流することができる。このルートの方が、すべて片側1車線の狭い道路である国道411号線をあきる野インターからずっと走ってくるよりも確実に早い(甲224号証)。 以上のルートの利用で、八王子北部方面で発生する交通も、日の出インターチェンジを利用するこ 国道411号線をあきる野インターからずっと走ってくるよりも確実に早い(甲224号証)。 以上のルートの利用で、八王子北部方面で発生する交通も、日の出インターチェンジを利用することに支障がないである。 なお、現在は開通済みの日の出インターチェンジの2003年4月から12月までの間の出入台数は6300台~8800台であり(甲239号証の1、2)、被告国土交通大臣の「予想」を大きく下回っている。 あきる野インターチェンジの設置は、同被告の主張とは逆にα14地区においてあきる野インターチェンジに向かう車を増加させ、かえって国道411号線の交通混雑を助長することになる。 (ウ) 私益のためのインターチェンジあきる野インターチェンジ付近にある東京サマーランドを経営する株式会社東京サマーランドは、昭和47年に設立された。もともとは公営ギャンブルを担う東京都の外郭団体である東京都競馬株式会社が設立母体である。東京都が株式会社東京サマーランドの51パーセントの株をもつ。昭和62年に株式会社東京サマーランドの代表取締役となったP10は元東京都の副知事であるし、昭和60年当時の取締役P11は元東京都財務局理事であり、東京都幹部職員の天下り先となっている(甲75号証、76号証、12回P12調書91~101項)。被告国土交通省は、「あきる野インターチェンジがサマーランドへのアクセスのために、そのことを唯一の動機として設置されることになった」との原告の主張を、「単なる憶測にすぎない」と非難するが、2つのインターチェンジの必要性について、被告国土交通省が、合理的な主張も立証もできていない以上、サマーランドと結びつけて考えることがもっとも合理的な推認なのである。 ケ代替案の検討仮に ーチェンジの必要性について、被告国土交通省が、合理的な主張も立証もできていない以上、サマーランドと結びつけて考えることがもっとも合理的な推認なのである。 ケ代替案の検討仮に圏央道の建設自体を認めるとしても、あきる野インターチェンジの設置がなければ、原告らの土地の収用の必要性はなくなる。 原告らの土地が圏央道建設のために必要ではなくなる以下の代替案が、計画発表当初から、住民の犠牲を最小限度にする代替案として提示され、秋川市都市計画審議会においても有力な修正案として提案されていた(甲64号証、12回P12調書165~175項)。しかし、代替案が検討された形跡はまったくない。 ① 別コースあきる野インターチェンジを設置しなければ、日の出インターチェンジの南方向の次のインターは八王子北インターチェンジとなる。八王子北インターチェンジの設置予定地は、北浅川支流の小津川岸のあたりである。日の出インターチェンジと八王子北インターチェンジを結ぶのなら、圏央道のルートは、現在の計画路線よりもさらに西側を通ることになり、この方が最短距離に近くなるし、現在の計画ルートよりも格段に住宅地を回避することができる。建設費も大幅に節約できる。このコースがとられれば300世帯もの民家の立ち退きは回避できるし、原告らの所有地も奪われることはない。 ② トンネル方式圏央道は、青梅市や八王子市地域では地下方式・トンネル方式を採用されている。 あきる野市内でも全体を地下方式にすれば、原告らの所有地を含めて今の計画のような多数の民家の立ち退きという事態を回避できる。 そしてこの地下方式は工法的にも可能なのである。地下に設置された日の出インターチェンジから秋 れば、原告らの所有地を含めて今の計画のような多数の民家の立ち退きという事態を回避できる。 そしてこの地下方式は工法的にも可能なのである。地下に設置された日の出インターチェンジから秋川の河岸段丘の最低部に向けて下り勾配でトンネルを通し、河岸段丘に坑口をつくり、そこから秋川に橋をかけることができる(甲128、129の1ないし3、甲130号証)。 4 本件事業の重大かつ明白な瑕疵(瑕疵ある営造物の建設)(1) 要旨本件事業による圏央道が建設されるようなことがあれば、交通量が急増し、それにともなって、大気汚染がいっそう深刻となり健康被害も著しいものとなる。あわせて周辺住民は激しい騒音被害を受けることとなる。 このような瑕疵ある営造物を造り、道路公害の発生をもたらす本件事業は、とうてい公益性を有するといえないものであり、土地の適正かつ合理的な利用ともいえない。本件事業に重大かつ明白な瑕疵があることは明らかである。 (2) 交通量の急増圏央道建設に伴い、あきる野インターチェンジへのアクセス道路である新滝山街道の建設が開始され、他にも当該地域の都道等について併せて整備が進むことから、当該地域の交通量は飛躍的に増加することとなるので、深刻な大気汚染や騒音被害が生じることとなる。 (3) 大気汚染ア現状おいても東京都内は環境基準すら達成することができない深刻な大気汚染が生じており、あきる野インターチェンジ建設予定地であるあきる野地域もその例外ではない。にもかかわらず、新たに圏央道が建設されることとなれば、圏央道を通行する車両のみならず、圏央道に向かうためにそのアクセス道路としてあきる野地域の道路を利用する車が著しく増加することとなるから、大気汚染がより深刻化することは必至である。 なれば、圏央道を通行する車両のみならず、圏央道に向かうためにそのアクセス道路としてあきる野地域の道路を利用する車が著しく増加することとなるから、大気汚染がより深刻化することは必至である。 実際に、自主的な大気汚染測定運動を通じて行われた測定結果では、あきる野地域の幹線道路付近において深刻な大気汚染状況が生じていることが示されている。 イまた、大気汚染による健康被害も重大であり、あきる野市内において全市的に行われたアンケート結果では呼吸器症状を訴えた人の率が増加しているし、東京都健康局の資料によれば、東京都の大気汚染障害者医療助成に基づく認定患者数は年々急速に増加している。あきる野市内の市中学校において、幹線道路に近いところに存在する学校に通う生徒にぜんそく患者が多くみられることからすれば、幹線道路が呼吸器疾患の原因となっていることが裏付けられている。あきる野インターチェンジが秋川が形成する谷間に存在することを考えると、秋口から春先にかけて頻発する接地逆転層などによって、汚染物質が谷間や小学校近辺に滞留し、大規模な被害が発生する可能性が高い。 ウ現在の大気汚染の主原因はNO2(二酸化窒素)、SPM(浮遊粒子状物質)という自動車排出ガスであって、これらが環境基準以上の汚染数値を示せば人の健康被害を生じさせる危険が高いことは各種研究等から明らかであり、判決でも認められている。 (4) 騒音被害ア圏央道が完成すると、その道路交通騒音は、あきる野地域において、国道411号線(滝山街道)、都道3.3.3(睦橋通)、市道3・5・12、都道五日市線などの道路騒音と合成されて、圏央道周辺住民に睡眠妨害や日常生活の妨害などの健康被害を発生させることは明らかである。 道路騒音に関する環境基準は、生理的 、市道3・5・12、都道五日市線などの道路騒音と合成されて、圏央道周辺住民に睡眠妨害や日常生活の妨害などの健康被害を発生させることは明らかである。 道路騒音に関する環境基準は、生理的、心理的、生活的影響も苦情もなく、生理的影響、聴取妨害、作業妨害はまだ出現せず、睡眠影響は無視できるとレベルとして決定されたものである。 したがって、これらの被害を出さないためにもこの環境基準を超える騒音は違法な騒音と判断すべきである。 イ東京都は昭和46年と49年に「都民を公害から防衛する計画」を策定し、昭和60年度を目指した計画を設定した。これによると道路騒音は国の環境基準を踏襲しているが、道路に面する地域については、夜間の目標値を5デシベル、B地域2車線では10デシベル厳しく最高でも50デシベル(国の基準は最高60デシベル)とした。これは夜間でも室内で40デシベルを超えないように考えたためである(甲191号証)。 ところが平成11年4月1日に施行された「騒音に係る環境基準」(甲107)は、「幹線交通を担う道路に近接する空間」(近接空間)(2車線以下は道路端から15メートル以内、2車線を超える道路は道路端から20メートル以内)の特例を設け、当該空間では昼間が70デシベル(等価騒音レベル)、夜間が65デシベル(同)という、他地域と比較して格段に緩やかな基準を新たに設けてしまった。この緩やかな基準は最高裁判所が国道43号線訴訟で行った判決(平成7年最高裁判決)が損害賠償責任を認め違法とした騒音レベル(等価騒音レベルが65デシベル以上の住民については距離の遠近にかかわらず全て、等価騒音レベルが60デシベルを超える住民については道路端からの距離が20メートル以内の住民について受忍限度を超える騒音被害があると認定した) デシベル以上の住民については距離の遠近にかかわらず全て、等価騒音レベルが60デシベルを超える住民については道路端からの距離が20メートル以内の住民について受忍限度を超える騒音被害があると認定した)を超える緩やかな基準である。しかし、そのような数値の設定は前述の環境基準の趣旨に反して道路騒音の現状を追認したものといわざるを得ず、また判例にも違反するものである。 さらに、近接空間では窓を閉じた生活が営まれている場合は室内で昼間45デシベル、夜間40デシベルを環境基準とした。これは住民に窓を閉めた状態での生活を強要するものである上、窓ガラス等の防音効果を過大評価しており、実効性も乏しい、などの理由から合理性を欠く基準といわなければならない(甲98号証14頁、13回P8調書20項以下)。 これらの理由から、新環境基準は重大な問題点があり、騒音被害が違法であるか否かを判断する場合は新環境基準のみで騒音被害の有無を判断するのは合理的ではなく、新環境基準告示前の環境基準(甲108号証)をも用いて判断すべきである。 ウ原告らは、圏央道の供用が予定されているあきる野市α14地域の現況の騒音値及び圏央道と類似していると思われる地域の騒音値を測定した。その結果は、騒音測定結果報告書(甲99号証)のとおりであり、圏央道の供用が開始されていない時点で既に昼間の等価騒音が71.6デシベルを記録している。また、昼間の測定地点6か所のうち3か所の地点において、現行の新環境基準の幹線道路の近接空間の基準である70デシベル(等価騒音)を超過していることが認められる。前述のように緩やかに過ぎる基準すら守られていないのが現状である。また、残りの3か所も新環境基準の70デシベルは超過していないものの、60デシベルを超える高い値を示している。夜間の騒音 認められる。前述のように緩やかに過ぎる基準すら守られていないのが現状である。また、残りの3か所も新環境基準の70デシベルは超過していないものの、60デシベルを超える高い値を示している。夜間の騒音も測定地点3か所のうち2か所の現況値が、現行の環境基準の幹線道路に近接する空間の夜間の環境基準65デシベルを超過しており、残りの地点も環境基準ぎりぎりの数値を示していることが判明した。 これを2車線の道路に面する地域に適用される旧環境基準(昼間55デシベル、夜間45デシベル)を元に判断すると、全ての地点において昼間、夜間を問わず、旧環境基準を超過している。 以上の結果から、現状でもあきる野地域の騒音環境は非常に劣悪であり(同P8調書50項)、睡眠妨害や生活妨害など、既に「地域住民が日常生活において支障を感じる程度」に至っていると考えられる。 起業者側が昭和63年に行ったアセスメント(乙7号証)でも、あきる野市(当時は秋川市)の国道411号線(滝山街道)に面する地域の道路交通騒音の現況調査結果は環境基準(道路に面する)を超えており、五日市街道に面する秋川市α16の道路交通騒音も道路に面する環境基準(昼間55ホン、夜間45ホン)を超える騒音状況であることが報告されている(乙7号証59頁60頁、159頁)。 そうである以上、圏央道が完成すれば、圏央道と国道411号線や五日市街道が交差又は接近するあきる野地域は、現況の騒音に圏央道の騒音が加算されるからさらに重大な騒音被害が予測される。 また、原告らが3か所の類似事例として選定した場所で行った騒音測定においても、78.5デシベル(等価騒音レベル)、75.1デシベル(同)という値が出ているように、緩やかな新環境基準(幹線道路に近接する空間の昼間70デシベル) 例として選定した場所で行った騒音測定においても、78.5デシベル(等価騒音レベル)、75.1デシベル(同)という値が出ているように、緩やかな新環境基準(幹線道路に近接する空間の昼間70デシベル)さえも超過した値が出た地点が少なくない。 類似した地点の騒音の現況からも、圏央道が完成すれば、あきる野地域の国道411号線、都道3・3・3、市道3・5・12、五日市街道などが圏央道と交差したり接近する地域では環境基準を超過する可能性が高い。少なくとも東京都環境影響評価事後調査基準(甲101号証)において定められた「地域住民が日常生活において支障を感じる程度」の騒音が生じる蓋然性は極めて高いものといわざるを得ない。 (5) まとめ以上の事実から、あきる野地域における騒音は、多くの地点で、前述のとおり緩やかに過ぎる新環境基準すらも超過する状況が存在し、また旧環境基準を元に判断すると、全ての地点において昼間、夜間を問わず、基準を超過している状況にある。よって、現状でもあきる野地域の騒音環境は非常に劣悪であり、既に「地域住民が日常生活において支障を感じる程度」に至っているといえる。 しかも、本件アセスにおいて、高所において環境基準を超過する騒音が発生することが予測されていること、起業者らがアセスにおいて行った予測が外れるおそれが高いこと、合成騒音が発生し、高所において著しい騒音が発生するおそれが高いこと、環境保全の措置が不十分であることなどが分かる。 そうである以上、さらに圏央道が完成すれば、同地域にさらに重大な騒音が発生し、睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛といった被害が沿道住民に生じるであろうことは明らかである。 に重大な騒音が発生し、睡眠妨害、会話、電話による通話、家族の団らん、テレビ・ラジオの聴取等に対する妨害及びこれらの悪循環による精神的苦痛といった被害が沿道住民に生じるであろうことは明らかである。 なお、この点については、建設前に検討すべきという考え方に対し、まず道路を建設し、受忍限度を超える騒音が発生した場合には損害賠償や遮音壁の設置など事後的に対処すればいいという考え方もあると思われる。 しかし、違法な騒音の発生を理由として金銭賠償を受けたとしても、騒音そのものがなくなるわけではなく、睡眠妨害や生活妨害など、騒音による深刻な被害は依然として残存し続けるのである。金銭賠償で足りるなどという議論は、そのような騒音被害の深刻な実態をみない暴論と言わざるを得ない。そればかりか、上記のような議論は、道路公害発生について国には予見可能性も回避可能性も認められ、権利侵害の発生を事前に抑止する環境保全等の対策を講じる義務があること、そのような措置を講じないまま道路を開設する行為が違法であることを認めた平成7年最高裁判決(国道43号線公害訴訟)に反して違法な権利侵害の発生を容認するものであり、到底是認し得るものではない(14回P8調書151項及び152項)。 そして、一旦道路を建設すれば、その公共性故に、後で道路の使用をしないようにする、あるいは大幅に交通量を削減するといったことが大変困難であることは、尼崎公害訴訟における訴訟上の和解において国らが検討課題とした大型車の交通規制を国が誠実に検討せず、住民らが公害等調停委員会のあっせん手続を行わざるを得なくなったこと(甲216ないし218号証)などからも明らかである。 また、遮音壁を設置すればいいという意見についても、遮音壁は限定的にしか効果を発 委員会のあっせん手続を行わざるを得なくなったこと(甲216ないし218号証)などからも明らかである。 また、遮音壁を設置すればいいという意見についても、遮音壁は限定的にしか効果を発揮せず、特に高所においては十分な防音機能を果たさないのである。 むしろ交通規制などの抜本的な対策が行われなければ騒音被害は防げないのであり、これも騒音公害の実態から目を背けた空論との非難を免れない(14回P8調書153項)。 したがって、道路を開設するに当たっては、騒音等が地域住民の生活や環境に及ぼす影響を十分検討し、その対策を講じる義務があるというべきであるが、本件事業においてはそのような検討が十分になされたとは到底いえない状況にある。 よって、このまま圏央道が完成すれば、沿線に重大な騒音被害が生じる可能性は極めて高いといわざるを得ず、土地収用法20条3号の「土地の適正且つ合理的な利用」に資するとはいえず、また同条4号の公益性も認められない。その点を看過してなされた本件事業認定及び本件収用裁決は、違法といわざるを得ない。 5 自然破壊(1) 多摩川と秋川と秋川街道に囲まれたα32地域は、東京の市街地と隣接する場所であり、市民生活の最も身近にある残された緑の大地である。圏央道は、豊かな自然の残されたこの地域を南北に貫通することによってこの地域を東西に2分し、貴重な動植物、生態系、市民生活の未来像に重大な影響を及ぼすことになる。 (2) トウキョウサンショウウオ平成10年に環境庁が行った調査結果により、都心部から伸びてきた開発の波が多摩地域に生息するトウキョウサンショウウオの生態系を脅かしていることが判明している。すでに圏央道建設工事の進んだ場所で、トウキョウサンショウウオの生息地であった湧水池が 部から伸びてきた開発の波が多摩地域に生息するトウキョウサンショウウオの生態系を脅かしていることが判明している。すでに圏央道建設工事の進んだ場所で、トウキョウサンショウウオの生息地であった湧水池がつぶされてなくなっていることが確認されている。東京都の個体群については、環境庁によって日本版レッドデーターブックに、保護に留意すべき地域個体群として記載されているが、この点に関する環境アセスメントは極めて不十分である。 (3) 雨武主神社のツガ林圏央道から直線で約800メートルの距離に雨武主神社があるが、同神社のモミ、ツガ類は樹齢が約200年から250年と推定されている。圏央道はこの森林のすぐ近くを通過する。その影響についての予測データはまだないが、この雨武主神社のツガ林、モミ林は、地元住民によって大切に保存されてきたもので、後世に伝えていく貴重な自然遺産であり、その保護が重視されるべきである。 (4) 地域の生態系に及ぼす影響あきる野市は東京都の中でも豊かな自然が残されている場所であり、その多様な価値と保全の重要性が次第に広く認識されるようになっている。圏央道の工事開始によって、生態系に重大な影響が生じていることが確認されている。 6 遺跡・文化財破壊原告P1宅をはじめ、α14地域には多数の貴重な遺跡が存在しているが、本件環境影響評価書にはその一部しか評価されていない。これらは現状保存が必要であり、破壊されて記録として保存されただけでは証拠としての文化遺産の価値を失うこととなる。 7 アセスメントの欠陥(1) 本件環境影響評価は、前提となる調査が1984年から85年にかけて行われてからすでに約20年が経過している。調査から評価書作成、着工までの間の社会的情勢の変化は極めて大きいものがあり、長い期間を経て 本件環境影響評価は、前提となる調査が1984年から85年にかけて行われてからすでに約20年が経過している。調査から評価書作成、着工までの間の社会的情勢の変化は極めて大きいものがあり、長い期間を経ているうちに、自動車の保有台数の予測値が5800万台の予測が実際には6700万台弱となるなど大きく異なり、二酸化窒素濃度については平成6年には予測と異なり環境基準を達成できなかったこと、当時計画されていなかった道路が計画地域に新たに建設を予定されていることなど本件環境影響評価書と実績とが大きく食い違う事実が判明している。 また、本件環境影響評価書及び本件再評価は、常に新たな科学的知見に則って行われるべきであるにもかかわらず(甲98号証)、健康被害をもたらす大気汚染の原因物質として明らかとなっているSPM(浮遊粒子状物質)の予測・評価がなされていないこと、接地逆転層が十分考慮されていないこと、調査後に発見された古墳などの遺跡、文化財について調査がなされていないという欠陥があり、改めて環境影響評価をやり直す必要がある。 (2) 代替案の検討の欠如東京都は、計画の早い段階で、採用可能な複数案を立案し、比較検討を通じて計画をより環境に配慮したものに調整していくため、複数案はできるだけ幅広くかつ明確に対比できる案として作成されるべきとの方針をとっているが、本件環境影響評価書及び本件再評価においては代替案の検討は全くなされていない。 (3) 計算値のみによる予測本件環境影響評価書には、大気汚染や騒音は環境基準内におさまると記載されているが、この予測は計算値のみに依拠して算出されたものであり、こうした手法は、α33を通過する臨港道路等の実測値から明らかになったように、供用開始後の実測値と予測値との乖離が極めて高くなるという れているが、この予測は計算値のみに依拠して算出されたものであり、こうした手法は、α33を通過する臨港道路等の実測値から明らかになったように、供用開始後の実測値と予測値との乖離が極めて高くなるという重大な欠陥がある。昭和61年の東京都環境影響評価条例と技術指針においては、予測、評価する場合には安全則に立って行われなければならないとされているのであるが、本件環境影響評価書も本件再評価においてもこの安全則は守られていないという欠陥がある。 (4) 現実離れした条件設定本件環境影響評価書においては、走行車両が自動車専用道路の法定速度である80km/hを遵守することを前提に騒音の評価をしているが、渋滞時であればともかく、それ以外のときは100km/hないし120km/hの速度で通行するのが通常である。この現状を直視して120km/hの速度で走行することを前提に計算をすれば、騒音の予測値は大きく変わることが容易に想定できる。 (5) 複合予測の欠如あきる野市α14地区には、圏央道のほかにも国道411号線(滝山街道)、都道3・3・3号線、市道3・5・12号線が存在する。滝山街道には新滝山街道が合流する計画である。このように複数の既存道路、計画道路が存在することから、これらの発生源が複合した場合を予測しなければならないはずであり、本件環境影響評価書の住民意見及び知事意見においてもそのような指摘がなされている。しかしながら、本件環境影響評価書においては、複合予測はα16の五日市街道とα13地区の国道411号線との交差点の2か所でしか行われていない。また、本件環境影響評価書の調査が行われた昭和61年には新滝山街道の新設計画はなかったのであり、その後新滝山街道について行われた環境影響評価はα30橋までであり、その延長である圏央道あき ていない。また、本件環境影響評価書の調査が行われた昭和61年には新滝山街道の新設計画はなかったのであり、その後新滝山街道について行われた環境影響評価はα30橋までであり、その延長である圏央道あきる野インターチェンジとの合流地点であるα14地区の環境影響評価は行われていない。 (6) 騒音評価に欠陥があること本件環境影響評価書においては、道路端から150メートルや200メートルの範囲までについて、騒音に係る環境基準のうち、道路に面する地域の環境基準が適用されているが、道路に面する地域といえるのは道路端からせいぜい20メートル程度以内であり、それ以降は背後地であり住宅の夜間の環境基準を適用すべきである。 また、平成15年の東京都技術指針においては、騒音の予測は道路端のみならず代表的な区間における沿道建物の背後地の予測も検討することとされているが、再評価においても背後地の予測はなされておらず、上記指針に反している。 平成11年と同15年の技術指針においては、騒音の予測について、高所(地表から4、5メートル)の予測も行うことを定めているが、本件環境影響評価書においては、地表から12メートル地点までの予測をしているものの、これについて環境基準を超える結果が出ているにもかかわらず、評価をしていない。遮音壁を設けても高所の騒音は環境基準を超過する可能性が高いといえる。 さらに、本件環境影響評価書においては、2か所のみにおいて複合騒音の予測をしているが、α16の交通騒音現況調査結果においては、旧環境基準(昼55ホン、夜45ホン)を超えると指摘しながら、合成予測では夜間47ホンであり、圏央道に面する地域の環境基準は夜間50ホン以内であるので環境基準に反していないと主張している。それまで五日市街道に面していた住民は環 5ホン)を超えると指摘しながら、合成予測では夜間47ホンであり、圏央道に面する地域の環境基準は夜間50ホン以内であるので環境基準に反していないと主張している。それまで五日市街道に面していた住民は環境基準を超える騒音レベルがあるという結果となっていたものが、圏央道と交差することによって、騒音が合成によってより大きくなるにもかかわらず、夜間の環境基準が緩和されることから環境基準内の騒音ということになるというあまりに不合理な事態となるのである。 8 本件都市計画決定の瑕疵本件事業の前提として本件都市計画決定がなされているところ、本件事業認定は、都市計画法に基づく事業認可ではなく、土地収用法16条に基づく事業認定がなされたものである。 この点、被告は、都市計画決定を受けた都市計画施設の整備に関する事業を、都市計画法に基づく都市計画事業として施行するか、土地収用法に基づく事業認定を受けて施行するかは、事業を行うものの選択に委ねられていると主張する。 法の形式は被告主張のとおりであるとしても、本件事業は、住民や環境に及ぼす影響が極めて大きいことから、東京都知事は都市計画法に基づく諸手続及び東京都環境影響評価条例に基づく環境影響評価を実施しているのであり、本件事業についてより慎重な手続をとることが選択された以上、本件事業認定が土地収用法に基づいてなされたものであるとしても、本件事業認定に先立って実施された都市計画決定手続における瑕疵は、本件事業認定手続における瑕疵として承継されるものと解すべきである。 そして、本件都市計画は、もともと都市計画道路として予定されていなかったα14地区を対象としているところ、α14地区のうち、あきる野インターチェンジ建設予定地は、土地改良区画整理が施行され、α16地区は農業を行う特別区としての と都市計画道路として予定されていなかったα14地区を対象としているところ、α14地区のうち、あきる野インターチェンジ建設予定地は、土地改良区画整理が施行され、α16地区は農業を行う特別区としての農用地として国や東京都から指定されている農耕地であり、本来住宅や諸施設を作ることができない地域であった。このようなα14地区に巨大な道路を建設するかどうかについては、住民の意思に特段の配慮をした慎重な手続を持って検討することが求められているというべきである。 昭和51年、第3次首都圏基本計画が策定されたときにつくられた圏央道計画の原型にはあきる野インターチェンジは組み込まれておらず、昭和59年に発表された圏央道計画においてはじめて組み込まれたものである。あきる野インターチェンジの建設に対しては地元から疑問が出され反対論が強かったにもかかわらず、都市計画についての意見を諮問された秋川市都市計画審議会におおいては、昭和63年11月、代替案の検討をすることもなく、それまで全員一致が慣例とされており、賛否が議論となって裁決するに至らなかったにもかかわらず、委員15名のうち賛成派8名の連名で原案どおり異議がないものとするとの意見書を作成し、秋川市に提出し、秋川市はこれを東京都都市計画審議会と東京都知事に提出した。 このような手続違背によって提出された意見書を踏まえて決定された本件都市計画決定は違法であり、この違法性は本件事業認定における手続的違法として承継されている。 9 本件事業認定の手続的違法α14地区圏央道反対同盟は、圏央道を疑問視する地元住民の声を代表して環境庁、農水省、林野庁及び秋川市などに陳情書を提出し、建設省に対して計画変更の話合いを求め、建設省において説明会が開催されたものの、起業者らは質問を求める地元住民の声を無視し 元住民の声を代表して環境庁、農水省、林野庁及び秋川市などに陳情書を提出し、建設省に対して計画変更の話合いを求め、建設省において説明会が開催されたものの、起業者らは質問を求める地元住民の声を無視した上再度の開催要求にも応じなかった。また、原告P3は、あきる野市α34において起業者が住民を対象に開催したあきる野インターチェンジ説明会に参加しようとしたところ、その会場に入場することすら拒否され、会場に入れないまま説明会が終了してしまい、再度の開催要求も拒否された。 さらに、平成10年に行われた工事用道路の説明会の際は、その道路の至近距離に居住していた住民が、起業者の手続ミスで入場できない事態も生じている。この説明会に出席した原告P13は、高所に塀を設置する必要性などについて質問したが発言を制限された。 また、起業者らは、交通量や環境被害については公害審査会において説明すると通告していたにもかかわらず、公害審査会では何ら説明をせず、住民らが申請した公害調停においても、住民らの求める説明を行わず、このような状況の下で事業認定が強行されたものである。 以上のとおり、本件事業認定は手続的にも適正手続の要請に反し違法である。 第2 第2事件(被告収用委員会の主張) 1 原告適格(1) 権利取得裁決土地の収用に係る権利取得裁決の取消しを求める原告適格を有する者は、当該裁決の対象となった土地につき権利を有する者と解すべきである(法101条1項)。原告らは本件各土地の一部について権利を有するにすぎず、その余の土地については権利を有しないから、各原告らにつき、権利を有する土地以外の土地についてした権利取得裁決については、その取消しを求める原告適格を欠くというべきである。 (2) 明渡裁決ア占有のない物件明 から、各原告らにつき、権利を有する土地以外の土地についてした権利取得裁決については、その取消しを求める原告適格を欠くというべきである。 (2) 明渡裁決ア占有のない物件明渡裁決があったときは、当該土地又は当該土地にある物件を占有している者は、明渡裁決において定められた明渡の期限までに、起業者に土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない義務を負うところ(法102条)、明渡裁決の取消しを求める原告適格を有する者は、当該裁決の対象となった土地又は当該土地にある物件を占有している者と解すべきである。 そうすると、第1原告らは、本件各土地に対する明渡裁決当時、それぞれの所有する土地及び同土地上の物件を占有しているにすぎなかったから、各原告らにつき、当該土地以外についてした明渡裁決については、その取消しを求める原告適格を有しないことになる。 イ明渡済みの土地また、明渡裁決の対象となる土地の明渡しが完了した場合には、明渡裁決はその目的を達し、もはや所有者等が同裁決により何らかの義務を負うことはなく、所有者等が明渡しについて原状回復を求めるためには、権利取得裁決を争い、その取消しを求めれば足りるから、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅するというべきであるところ、原告P3、同P4、同P5及び同P6は、起業者が東京都知事に対して法102条の2第2項に基づき代執行の請求をしたことを受けて、それぞれ占有していた各土地を任意に引き渡した。 そうすると、同原告らについては、上記各土地についてなされた明渡裁決の取消しを求める利益は消滅したから、明渡裁決の取消しを求める訴えは不適法である。 ウ賃借権第6原告ら及び第7原告らの賃借権が真正なものでなく、収用手続にお いてなされた明渡裁決の取消しを求める利益は消滅したから、明渡裁決の取消しを求める訴えは不適法である。 ウ賃借権第6原告ら及び第7原告らの賃借権が真正なものでなく、収用手続における保護に値しないことについては、第1事件における被告国土交通大臣及び起業者の主張を援用する。 また、第6原告ら及び第7原告らは、本件各土地について、当該土地又は当該土地にある物件を占有していない。なお、同原告らは、本件土地25及び26に賃借権を有するものの、上記各土地を使用収益していないから、これらを占有していない。 したがって、上記原告らは、本件各土地について明渡裁決の取消しを求める原告適格を有していないものである。 2 収用裁決の適法性土地収用法は、収用の裁決の申請が、①申請に係る事業が法26条1項の規定によって告示された事業と異なるとき、②申請に係る事業計画が法18条2項1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき、③その他法の規定に違反するときは、申請を却下しなければならず、これらの場合を除くほかは、収用の裁決をしなければならないと定めている(法47条、47条の2)。 (1) 本件各収用裁決が手続的要件を充足していることア起業者は、平成12年10月31日、被告に対し、本件土地1ないし11及び13ないし15について、法39条1項及び47条の2第3項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(丁12号証ないし18号証の各1及び2)。 また、起業者は、同年11月30日、被告に対し、本件土地18ないし21、25及び27について、上記各条項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(丁19号証ないし22号証の各1及び2)。 また、起業者は、同年11月30日、被告に対し、本件土地18ないし21、25及び27について、上記各条項に基づき、収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした(丁19号証ないし22号証の各1及び2)。 イ被告は、平成12年11月10日以降、法42条1項及び47条の4第1項に基づき、上記各土地が所在する東京都あきる野市の市長に対し、法42条1項及び47条の4第1項に基づき、裁決申請書及び明渡裁決申立書等を送付し、これとともに、上記各土地の所有者及び関係人に対し、裁決の申請があった旨の通知をした(丁42号証の1ないし11、43号証の1ないし11)。 あきる野市長は、法42条2項及び47条の4第2項に基づき、本件第1次申請については平成12年11月16日、本件第2次申請については同年12月14日、それぞれ収用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てがあったこと等を公告し、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供した(丁44号証の1ないし11)。 ウ被告は、平成12年12月4日、法45条の2に基づき、本件第1次申請について裁決手続の開始を決定し、その旨公告し、同月20日、東京法務局福生出張所に、裁決手続の開始の登記を嘱託した(丁23号証ないし35号証、45号証の1ないし7、46号証の1ないし7)。 また、被告は、平成13年1月11日、上記条項に基づき、本件第2次申請について裁決手続の開始を決定し、その旨公告し、同月31日及び同年2月7日、上記出張所に、裁決手続の開始の登記を嘱託した(丁36号証ないし41号証、45号証の8ないし11、46号証の8ないし11)。 エ被告は、本件第1次申請及び第2次申請に係る審理を以下のとおり実施した。 (ア) 被告は、本件申請に係る審理を平成13年5月31日に行うことを 11、46号証の8ないし11)。 エ被告は、本件第1次申請及び第2次申請に係る審理を以下のとおり実施した。 (ア) 被告は、本件申請に係る審理を平成13年5月31日に行うことを決定し、同年4月26日以降、起業者、土地所有者等に対し、審理の期日及び場所を通知した(法46条2項)(丁47号証の1ないし11)。 (イ) 被告は、平成13年5月31日、同年8月2日、同年10月11日、同年11月26日、同年12月20日、平成14年1月31日、同年2月21日、同年3月25日(本件第1次申請)、同年4月11日(本件第2次申請)及び同年5月2日(本件第2次申請)と審理を実施した。 (ウ) また、被告は、これに並行して、法65条1項3号に基づき、本件申請に係る現地調査等を実施した。 (エ) なお、上記審理の過程で、原告P6は本件土地8、16及び17、同P3は本件土地12、同P4は本件土地16及び17、同P1は本件土地22ないし24及び26について、それぞれ残地収用の請求をした(丁1号証ないし11号証)。 オ被告は、裁決申請書、明渡裁決申立書及びそれらの添付書類、土地所有者等から提出された意見書、審理において表明された意見、現地調査によって得られた資料等を検討した結果、平成14年9月30日、別紙権利取得裁決及び明渡裁決一覧表のとおり、それぞれ権利取得裁決及び明渡裁決を行い、同年10月10日までに、原告らに対し、裁決書正本を送達した(丁1号証ないし11号証)。 カ以上のように、本件各収用裁決は、法が定める手続的要件を充足している。 (2) 本件各収用裁決が実体的要件を充足すること本件申請は、上記2の①ないし③のいずれにも該当しないから、本件各収用裁決は実体的要件を充足し 法が定める手続的要件を充足している。 (2) 本件各収用裁決が実体的要件を充足すること本件申請は、上記2の①ないし③のいずれにも該当しないから、本件各収用裁決は実体的要件を充足している。 (3) 本件事業認定の違法性が本件処分の違法性に承継されないこと収用又は使用の裁決の申請は、有効な事業の認定の存在を前提として行われるべき手続であるから、事業の認定に重大かつ明白な瑕疵があってこれが当然に無効とされる場合には、収用委員会が収用又は使用の裁決を行うことは許されない。 しかし、収用委員会は、もともと裁決に当たって事業認定の適法性について審理する権限がなく、事業の認定に瑕疵があると判断した場合でも、法47条に該当する場合以外は収用又は使用の裁決をしなければならない(法47条の2第1項)。そして、事業の認定と収用又は使用の裁決は、それぞれ別個の行政処分であり、各別にその瑕疵を理由として取消訴訟を提起し、その適法性を争うことができるのであるから、収用又は使用の裁決の取消訴訟において、事業の認定の取消事由の有無を審理判断しなければならない必要性はない(殊に、本件では、事業認定取消訴訟が提起されており、そこで本件事業認定の違法性について主張の機会が与えられているから、本件訴訟において、本件事業認定の違法性を主張させる実益はない。)。 したがって、本件事業認定についての瑕疵の有無は、それが重大かつ明白といえない限り、事業認定取消訴訟において審理判断されるべき事柄であって、本訴においてこれを審理判断することは許されないというべきである(東京高裁平成15年12月25日決定、使用認定と職務執行命令に関する最高裁平成8年8月28日大法廷判決参照)。そして、本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵はない。 することは許されないというべきである(東京高裁平成15年12月25日決定、使用認定と職務執行命令に関する最高裁平成8年8月28日大法廷判決参照)。そして、本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵はない。 なお、本件事業認定の適法性については、予備的に、第1事件における被告国土交通大臣及び起業者の各主張・立証を援用する。 (4) 原告らの主張に対する反論ア原告らは、審理を通じて、本件土地収用の裁決申請が理由のない違法なものであって、到底これが認められるべきものでないことを明らかにしてきたとした上で、①本件事業が道路公害を激化させ周辺住民の健康を害するものであり、自然環境や歴史的文化遺産を破壊するものであって、建設の理由や公益性が存在せず、適正なアセスメントが行われておらず、地下構造の代替案の検討も行われていないこと、②起業者が原告らから提起された疑問に何ら答えることなく、周辺住民に対する説明や協議もほとんど行われず、虚言を弄して収用手続を強行したこと、③原告らが被告の審理の冒頭から、起業者に対し、計画の必要性・公益性、道路の選定理由、道路公害の発生やアセスメント、協議経過等について具体的事実を明らかにするように求めたにもかかわらず、起業者はこれにほとんど応じなかったことといった事実を挙げ、かかる事実からすると、本件事業そのものに重大な瑕疵があり、手続も適正でなく違法であると主張する。 しかし、被告が収用裁決の申請を却下することができるのは、①申請に係る事業が法26条1項の規定によって告示された事業と異なるとき、②申請に係る事業計画が法18条2項1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき、③その他法の規定に違反するときと定められており、収用裁決の申請に係る事 ②申請に係る事業計画が法18条2項1号の規定によって事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき、③その他法の規定に違反するときと定められており、収用裁決の申請に係る事業に瑕疵があることや土地収用手続・収用委員会の審理における起業者の対応が不誠実であったといったことは、何ら収用裁決の違法事由を構成しないというべきである。 本件において、原告らは、上記①ないし③の事由を何ら具体的に主張していない。 したがって、かかる原告らの主張は、それ自体失当というほかない。 なお、原告らの主張は、本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵があるという趣旨と解されなくもないが、原告らが主張する事由は、本件事業認定を無効ならしめるような重大かつ明白な瑕疵とはいえず、それ自体失当である。 イ次に、原告らは、被告が原告らが書面を提出してからわずか2か月余りしか経過していないのに、何ら理由を示すことなく本件収用裁決を行ったと主張する。 しかし、法は、審理から収用裁決に至るまでの期間について特に規定を設けておらず、上記期間の長短は、裁決の違法性を基礎づけるものとはいえない。 また、本件において、書面提出から2か月という期間で裁決に至ったとしても、これをもって著しく短いということもできない。 また、法66条2項によれば、裁決書にはその理由を付記することが必要であるところ、ここでいう「理由」とは、主文によって示される被告の最終的な判断に到達するに至った過程をいう。本件において、被告は、本件申請を却下することなく、主文に掲げた収用裁決をするに当たり、本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵がなく、無効であるとはいえないことをその理由として掲げているのであるから、法66条2項において要求され 申請を却下することなく、主文に掲げた収用裁決をするに当たり、本件事業認定に重大かつ明白な瑕疵がなく、無効であるとはいえないことをその理由として掲げているのであるから、法66条2項において要求されている理由は示されているというべきである。 したがって、かかる原告らの主張も失当である。 ウさらに、原告らは、被告が審理終了後に行った調査の結果を開示し、意見を述べさせよとの原告らの要求を無視して、本件収用裁決を行ったと主張する。 収用委員会は、法65条1項により、必要と認めるときは職権をもって所要の事項を調査し、裁決の資料とすることができるのであり、調査手続によって蒐集した資料は、審理制度の趣旨に反しない限り、必ずしも審理手続にのせて当事者に意見を述べる機会を与えなければならないものではない。 被告は、原告らから異議が申し立てられた事項について調査し、その結果を裁決書に明記して裁決したのであるから、原告らの主張は失当である。 エ原告らは、土地などの評価に重大な問題点があるにもかかわらず、被告は、起業者が示した低レベルの評価を基準として裁決したと主張する。 しかしながら、収用委員会の裁決事項のうち損失の補償についての不服については、行政不服審査法による不服申立てが許されず(法132条2項)、被収用者は、起業者を被告として出訴すべきものとされているから(法133条)、かかる事由を収用裁決の違法事由として主張することは許されない。 したがって、かかる原告らの主張もそれ自体失当というほかない。 (5) 結論以上のとおり、原告らの主張はいずれも理由がなく、本件収用裁決は適法である。 (原告の主張) 1 事業認定の違法性の承継第1事件において主張したとお かない。 (5) 結論以上のとおり、原告らの主張はいずれも理由がなく、本件収用裁決は適法である。 (原告の主張) 1 事業認定の違法性の承継第1事件において主張したとおり、本件事業認定は違法であり、当然に取り消されるべきものであるところ、事業認定と収用裁決は、先行処分と後行処分の関係に立ち、土地収用という一個の目的に向けた一連の行為といえるから、事業認定の違法性は本件収用裁決に承継される。したがって、本件事業認定に取消事由がある以上、収用裁決にも取消事由が認められると解すべきである。また、承継される違法は、重大かつ明白な瑕疵(無効事由)に限定されないと解すべきである。 2 本件収用裁決の手続的違法収用委員会における手続において、起業者側は、住民らが示した様々な疑問に対し何ら説明しない態度をとっていたにもかかわらず、収用委員会は、起業者側に説明させ、資料を提出させようとしなかった。しかも、収用委員会は、手続の進行や内容に関わる意見については、住民らと直接面会することを拒否し、すべて事務局を通じてしか対応せず、住民らの意見や進行についての要望を無視した。実際、収用委員会事務局長は、収用委員会の審理及び指揮は事務局がお膳立てをして事務局で決めた審理内容を委員に進言し、それにもとづいて収用委員が進めていることを認めている。 このように行政当局によって主導されている収用委員会の審理は、収用委員会を準司法的機関たる独立行政委員会と位置づけ、中立な第三者としての立場から公正な審理をすることを求めた土地収用法の趣旨に反するものであり、このような収用委員会の手続、判断には、適正手続に反する重大な瑕疵があるというべきである。 以上 に反するものであり、このような収用委員会の手続、判断には、適正手続に反する重大な瑕疵があるというべきである。 以上
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