平成23(行ケ)10205 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年11月30日 知的財産高等裁判所 3部 判決 審決取消
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判決文本文11,552 文字)

平成23年11月30日判決言渡平成23年(行ケ)第10205号審決取消請求事件平成23年9月28日口頭弁論終結判決 原告茨城県信用組合 訴訟代理人弁理士中川邦雄 被 告特許庁長官指定代理人小川きみえ同小林由美子同芦葉松美 主文 1 特許庁が不服2010-21579号事件について平成23年5月19日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 当事者間に争いのない事実等 1 特許庁における手続の経緯等原告は,平成21年12月14日,別紙商標目録記載(1)の構成のとおり,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなる商標(以下「本願商標」という。)について,指定役務を同目録記載(2)のとおりとして,商標登録出願(商願2009―94362号)したが,平成22年7月13日付けで拒絶査定を受け,同 年9月27日,同査定に対する不服の審判(不服2010-21579号事件)を請求した。 特許庁は,平成23年5月19日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は同月31日に原告に送達された。 2 本件審決の理由本件審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願商標と別紙引用商標目録記載1ないし7の商標(以下,これらの商標を順に,「引用商標1」などといい,これらをまとめて「引用商標」という。判決注・審決における「特例 決書写しのとおりである。要するに,本願商標と別紙引用商標目録記載1ないし7の商標(以下,これらの商標を順に,「引用商標1」などといい,これらをまとめて「引用商標」という。判決注・審決における「特例商標登録出願」は,平成3年法律第65号附則5条1項の規定による使用に基づく特例の適用の主張を伴う商標登録出願を指し,「特例商標」は,同出願に基づく登録商標を指し,「重複商標」は,同附則5条3項の規定による登録商標を指すものと解する。)とは,「けんしん」の称呼を共通にし,外観上においても近似した印象を与え,観念において相違するところのない類似の商標であり,本願商標の指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似する役務を含むから,本願商標は,商標法4条1項11号により商標登録を受けることができない,というものである。 第3 本件審決の取消事由に関する原告の主張本件審決には,以下のとおり誤りがある。 1 分離観察の可否について本願商標は,平仮名4文字(けんしん)と片仮名10文字(スマートカードローン)が,同じ大きさのゴシック体調の文字で隙間を空けることなく,一連に横書きされ,一体不可分の構成となっており,「けんしん」の文字部分だけが,指定役務の取引者・需要者に対し,識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえない。したがって,本願商標について,「けんしん」と「スマートカードローン」を分離して類否の判断をすることは妥当を欠く。 2 本願商標と引用商標との類否について本願商標と引用商標は,以下のとおり,外観,称呼及び観念において相違してお り,役務の出所に誤認混同を来すおそれはなく,非類似である。 (1) 外観本願商標は,「けんしん」と「スマートカードローン」が一体不可分となった結合商標であり,引用商標の「けんしん」とは外観 り,役務の出所に誤認混同を来すおそれはなく,非類似である。 (1) 外観本願商標は,「けんしん」と「スマートカードローン」が一体不可分となった結合商標であり,引用商標の「けんしん」とは外観において類似しない。 (2) 称呼本願商標全体からは「ケンシンスマートカードローン」との称呼が生じ,引用商標からはいずれも「ケンシン」との称呼が生じるから,本願商標と引用商標とは称呼において類似しない。 (3) 観念本願商標からは,「県信のマイクロプロセッサやメモリを組み込んだカードによる貸付け」,「県信のほっそりした粋なクレジットカード・キャッシュカードで貸し付けを受けることができる貸し付け」との観念が生じる。他方,引用商標からは,「県信用組合の略称である県信」との観念が生じる。したがって,本願商標と引用商標とは観念において類似しない。 (4) 取引の実情等「けんしん」ないし「ケンシン」を略称として使用している信用組合は,全国に多数存在しており,これに接した需要者は,いかなる内容の指定役務に関するものかを確認して当該役務を購入するか決定するものであり,「けんしん」に着目して自他識別することはない。本願商標に接した需要者も,「けんしん」ではなく,造語である「スマートカードローン」に注視して指定役務を選択するといえる。原告は,本願商標が登録された場合,一段で一連に記載して使用する予定である。 また,原告は,「けんしんすまいる住宅ローン」について,商標登録出願をし,商標登録を受けた。「けんしん」の後に「すまいる住宅ローン」が続く登録商標と,「スマートカードローン」が続く本願商標とを対比すると,引用商標との類似性において,差異はない。 (5) 小括 以上のとおり,本願商標と引用商標は,外観,称呼及び観念が異なり,取引の実 「スマートカードローン」が続く本願商標とを対比すると,引用商標との類似性において,差異はない。 (5) 小括 以上のとおり,本願商標と引用商標は,外観,称呼及び観念が異なり,取引の実情等に照らしても,誤認混同が生ずるおそれはなく類似しない。 第4 被告の反論 1 分離観察の可否について本願商標の構成中,「けんしん」と「スマートカードローン」の各文字部分は,前者が平仮名で後者が片仮名であって,その文字の種類が異なっており,視覚上自ずと分離して看取,把握され得るものである。 また,本願商標の構成中,「カードローン」の文字部分は,本願商標の指定役務中「資金の貸付け」との関係では,その役務の普通名称を表示するものであり,「スマート」の文字部分は「賢い,頭のよい」といった意味で使用されることが多い語であるから,「スマートカードローン」の文字部分は役務の質を表示するものと理解され,出所識別標識としての観念は生じない。他方,本願商標の構成中,「けんしん」の文字部分は,「県信用組合」の略称である「けんしん(県信)」との意味合いを想起させるものであり,一義的ではないものの,その限りにおいて出所識別標識としての観念を生じさせる。以上によれば,本願商標からは,「ケンシンスマートカードローン」のほか,「ケンシン」の称呼も生ずる。 さらに,金融業界においては,「カードローン(資金の貸付け)」の役務を提供するに当たり,使用される商標名には,銀行名などの役務の提供主体を表示する文字と「カードローン」の文字との間に,当該役務の質や用途などを表示する文字を付加するものが多数存在する。このような取引の実情に照らすと,本願商標は,指定役務「資金の貸付け」との関係においては,「けんしん」の文字部分が当該役務の提供主体を表示する部分として認識され,取引者 付加するものが多数存在する。このような取引の実情に照らすと,本願商標は,指定役務「資金の貸付け」との関係においては,「けんしん」の文字部分が当該役務の提供主体を表示する部分として認識され,取引者・需要者に対し,役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるのに対し,「スマートカードローン」との文字部分は,当該役務の質を誇称する語と普通名称とからなる部分として認識されるにすぎず,同部分からは当該役務の出所識別標識としての称呼,観念は生じない。 以上によれば,本願商標は,その指定役務中「資金の貸付け」との関係において は,「スマートカードローン」の文字部分からは出所識別標識としての称呼,観念が生じないのに対し,「けんしん」の文字部分は,取引者・需要者に対し,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから,簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,「けんしん」の部分のみを抽出し,同部分を引用商標と比較して類否の判断をすることができる。 2 本願商標と引用商標の類否について(1) 外観本願商標と引用商標とは,その要部である「けんしん」の文字部分の綴りが同じであり,その限りで外観が類似する。 (2) 観念本願商標と引用商標とは,その要部である「けんしん」の文字部分が共通しており,「けんしん」からは「けんしん(県信)」のほか多数の意味合いが想起されるとしても,観念において相違しない。 (3) 称呼本願商標からは「ケンシンスマートカードローン」ないし「ケンシン」の称呼が生じ,引用商標からは「ケンシン」の称呼が生じるから,両者は「ケンシン」の称呼を共通にする。 (4) 取引の実情等「けんしん」を指定役務「資金の貸付け」との関連で使用している者は,その大部分が原告を含む12の信用組合であり,このうち「新潟縣信用組合」,「長野県 」の称呼を共通にする。 (4) 取引の実情等「けんしん」を指定役務「資金の貸付け」との関連で使用している者は,その大部分が原告を含む12の信用組合であり,このうち「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合」,「富山県信用組合」及び「滋賀県信用組合」は,それぞれ「けんしん」関連の商標について特例商標,重複商標として商標登録を受け,商標権の範囲内で使用をしているものであり,その他の信用組合も,平成3年法律第65号附則3条に規定する「継続的使用権」に基づき,その範囲内で使用をしているものである。したがって,「けんしん」との標章が多数使用されているとしても,その自他役務識別力が小さいとはいえない。 (5) 小括以上のとおり,本願商標と引用商標とは,称呼を共通にし,外観において近似した印象を与えるものであって,観念においても格別相違するところがないから,取引者・需要者に与える印象,記憶及び連想等を総合して全体的に考察すると,その出所について誤認混同を生ずるおそれがあり類似する。また,本願商標の指定役務中「資金の貸付け」は,引用商標1ないし6の指定役務に含まれており,引用商標7の指定役務中「金融に関する情報の提供,財務に関する情報の提供」と類似する。 したがって,本願商標は,商標法4条1項11号により商標登録を受けることができないとした本件審決の判断に誤りはない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,本願商標と引用商標が類似するとした本件審決の認定判断には誤りがあると判断する。その理由は,以下のとおりである。 1 商標の類否判断について商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の 商標法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最三小判昭和43年2月27日民集22巻2号399頁参照),複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである(最一小判昭和38年12月5日民集17巻12号1621頁,最二小判平成5年9月10日民集47巻7号5009頁,最二小判平成20年9月8日裁判集民事228頁561頁参照)。 そこで,上記の観点から本件について検討する。 2 本願商標と引用商標との類否について(1) 本願商標についてア本願商標の特徴部分本願商標の構成は,別紙商標目録記載(1)のとおりである。すなわち,本願商標は,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなるものである。本願商標は,「けんしん」の文字部分が平仮名で,「スマートカードローン」の文字部分が片仮名で表記されているものの,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記されており,全体がまとまった印象を与えている。 また,本願商標の「カードローン」部分は,クレジットカードなどを利用した融資を意味し(乙8),資金の貸付けを含む指定役務に使用された場合には,その役務の普通名称を表示するものと理解される。また,「スマート」部 商標の「カードローン」部分は,クレジットカードなどを利用した融資を意味し(乙8),資金の貸付けを含む指定役務に使用された場合には,その役務の普通名称を表示するものと理解される。また,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどを意味する語であると理解される(乙9,10)。他方,「けんしん」部分は,資金の貸付け等を行う取引者,需要者においては,「県信用組合」の略称と理解される場合があることを否定することはできないものの,平仮名で表記されており,一義的に理解される語とまではいえない。 そうすると,本願商標は,「けんしん」,「スマート」,「カードローン」のいずれかが,出所識別標識としての機能を有する特徴部分であるということはできず,取引者,需要者は,一体のものとして認識,理解するものと解され,平仮名で表記された「けんしん」部分のみが役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分と認めることはできない。 イ本願商標の外観,称呼及び観念本願商標の外観は,別紙商標目録記載のとおりである。 本願商標は,一体として「ケンシンスマートカードローン」の称呼が生じる。また,本願商標の「カードローン」部分は,上記のとおり,取引者,需要者にとって,クレジットカードなどを利用した融資との観念が生じ,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどの観念が生ずるが,「けんしん」部分は,一義 的な観念を生じるとまではいえない。 (2) 引用商標の外観,称呼及び観念について引用商標1,4,6,7は,別紙引用商標目録記載のとおり,それぞれが,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で,「けんしん」の文字を横書きした外観を有している。 また,引用商標2は,別紙引用商標目録記載のとおり,横長の矩形において,右4分の3の部分が赤色に,左4 ,それぞれが,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で,「けんしん」の文字を横書きした外観を有している。 また,引用商標2は,別紙引用商標目録記載のとおり,横長の矩形において,右4分の3の部分が赤色に,左4分の1部分が白色に塗り分けられ,赤色の部分には,白抜きの文字により,「けんしん」の文字が横書きされ,白色の部分には,赤色で描かれた半円(底面を下にした場合に円弧の右側にわずかに切り欠きがある)を2個上下に組み合わせて円形になるように表記した図形が配置された外観を有している。 さらに,引用商標3は,別紙引用商標目録記載のとおり,赤色で縦長の楕円形の中に,白抜きの文字により,「けんしん」の文字を縦書きした外観を有し,引用商標5は,青色で横長の楕円形の中に,白抜きの文字により,「けんしん」の文字を横書きした外観を有している。 上記引用商標は,いずれも「ケンシン」の称呼が生じ,資金の貸付け等を行う取引者,需要者においては,「県信用組合」の略称であるとの観念を生じることを否定できないものの,平仮名で表記されていることから,一義的な観念を生じるとまではいえない。 (3) 取引の実情等について県信用組合は,組合員により構成される協同組合組織の金融機関であり,その営業活動は,県内に限られており,同一県内に複数の県信用組合が存在しない。少なくとも,「秋田県信用組合」,「福島県商工信用組合」,「茨城県信用組合」(原告),「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合」,「富山県信用組合」,「愛知県中央信用組合」,「滋賀県信用組合」,「兵庫県信用組合」,「広島県信用組合」,「香川県信用組合」,「熊本県信用組合」,「大分県信用組合」は,略称として,「けんしん」ないし「ケンシン」を使用している。また,別紙引用商標目録記載の商標について,「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合 県信用組合」,「熊本県信用組合」,「大分県信用組合」は,略称として,「けんしん」ないし「ケンシン」を使用している。また,別紙引用商標目録記載の商標について,「新潟縣信用組合」,「長野県信用組合」,「富山県信用組合」及び「滋賀県信用組合」は,それぞれ「け んしん」関連の商標について特例商標,重複商標として商標登録を受けている(甲12,12の1ないし14,弁論の全趣旨)。 (4) 本願商標と引用商標との対比本願商標は,上記のとおり,「けんしんスマートカードローン」の文字を横書きしてなるものであるが,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記されており,全体がまとまった印象を与えているのに対し,引用商標は,「けんしん」の文字を横書き又は縦書きしたもの,あるいはこれと図形を組み合わせたものであり,両商標は,外観において,相違する。また,本願商標は,上記のとおり,「ケンシンスマートカードローン」との称呼が生じるのに対し,引用商標は,「ケンシン」との称呼が生じ,両者は,類似するとまではいえない。上記のとおり,本願商標の「カードローン」部分は,取引者,需要者にとって,クレジットカードなどを利用した融資との観念が生じ,「スマート」部分は,賢い,頭のよい,体型がよい,質が高いなどの観念が生ずるが,「けんしん」部分は,一義的な観念を生じるとまではいえないのに対し,引用商標も一義的な観念を生じるとまではいえず(もっとも,「県信用組合」の略称であるとの観念を生じることを否定するものではない。),両商標は,観念において,同一ではなく,類似するとまではいえない。さらに,上記のとおり,取引の実情について,県信用組合は,組合員により構成される協同組合組織の金融機関であり,その営業活動は,県内に限られていること,同一県内に複数の県信用組合が存在しないこ ない。さらに,上記のとおり,取引の実情について,県信用組合は,組合員により構成される協同組合組織の金融機関であり,その営業活動は,県内に限られていること,同一県内に複数の県信用組合が存在しないこと等を総合考慮するならば,取引者,需要者が,その役務の出所について,混同を来すことは想定できない。 (5) 小括以上によれば,本願商標と引用商標とは外観,称呼において相違し,観念が類似するとまではいえず,取引の実情等を考慮しても,本願商標がその指定役務に使用された場合に,引用商標との間で役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれはないから,両商標は,類似しない。 3 被告の主張について これに対し,被告は,本願商標について,「けんしん」と「スマートカードローン」の各文字部分は,前者が平仮名で後者が片仮名であって,文字の種類が異なっており,視覚上自ずと分離して看取,把握され得ること,本願商標のうち「スマートカードローン」の文字部分は役務の質を表示するものと理解されるのに対し,「けんしん」の文字部分は,「県信用組合」の略称である「けんしん(県信)」との意味合いを想起させるものであり,出所識別標識としての観念を生じさせること等に照らすと,本願商標は,その指定役務との関係において,「けんしん」の文字部分が,取引者・需要者に対し,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから,簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,「けんしん」の部分のみを抽出し,同部分を引用商標と比較して類否の判断をすることができる,と主張する。 しかし,被告の上記主張は,以下のとおり,採用できない。すなわち,①本願商標は,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記され,全体がまとまった印象を与えていること,②「けんしん」部分は,必ずしも,一義的な観念を生じるとまではいえ り,採用できない。すなわち,①本願商標は,各文字が,ほぼ同一の書体,大きさ,間隔で表記され,全体がまとまった印象を与えていること,②「けんしん」部分は,必ずしも,一義的な観念を生じるとまではいえないが,「スマート」との語も付加されており,「けんしん」部分のみが,本願商標の特徴部分であると解すべきではないこと,③「けんしん」部分が,「県信用組合」の略称であるとの観念を生じさせることがある場合であっても,前記取引の実情に照らすならば,需要者,取引者において,本願商標と引用商標について,役務の出所の混同を来すことはないと解されることから,被告の主張は,採用できない。 4 結論以上によれば,原告の請求は理由がある。被告はその他縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官八木貴美子 裁判官知野明 (別紙)商標目録(1) 構成 (2) 指定役務第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有 受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入のあっせん,前払式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等精算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,企業の信用に関する調査,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」 (別紙)引用商標目録引用商標1商標登録番号:第3307914号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年7月31日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年5月16日更新登録日:平成19年5月11日指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券・貴金属その他 月11日指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替」商標権者:新潟縣信用組合引用商標2商標登録番号:第3307915号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年7月31日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年5月16日更新登録日:平成19年5月11日指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券・貴金属その他の物品 の保護預かり,両替」商標権者:新潟縣信用組合引用商標3商標登録番号:第3317525号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年9月5日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年5月30日更新登録日:平成19年8月24日指定役務:第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,国債証券・地方証券若しくは政府保証債権の引受け,国債証券・地方証券若しくは政府保証債権の募集又は売出しの取扱い」商標権者:長野県信用組合引用商標4商標登録番号:第3322259号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年8月3日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年6月13日 更新登録日:平成19年6月22日指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。) 願):平成4年8月3日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年6月13日 更新登録日:平成19年6月22日指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付及び手形の割引,内国為替取引,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり」商標権者:富山県信用組合引用商標5商標登録番号:第3343670号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年9月30日設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年9月5日更新登録日:平成19年12月28日指定役務:第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算」商標権者:滋賀県信用組合引用商標6商標登録番号:第3343671号商標の構成: 出願日(特例商標登録出願):平成4年9月30日 設定登録日(特例商標,重複商標):平成9年9月5日更新登録日:平成19年12月28日指定役務:第36類「預金の受入れ及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算」商標権者:滋賀県信用組合引用商標7商標登録番号:第4096392号商標の構成: 出願日:平成4年9月30日設定登録日:平成9年12月26日更新登録日:平成20年3月25日指定役務:第36類「有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の 更新登録日:平成20年3月25日指定役務:第36類「有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引,有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,金融に関する情報の提供,年金に関する情報の提供,生命保険に関する情報の提供,損害保険に関する情報の提供,税金に関する情報の提供,財務に関する情報の提供,生命保険契約の締 結の媒介,損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸与,建物の売買,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸与,土地の売買,建物又は土地の情報の提供,企業の信用に関する調査」商標権者:滋賀県信用組合

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