昭和32(う)23 贈賄幇助被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和32年6月25日 仙台高等裁判所 秋田支部 破棄自判
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【DRY-RUN】主    文      原判決中無罪部分を破棄する。      被告人を懲役二月に処する。      但し本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。      当審における訴訟費用は被告人の負担と

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判決文本文3,631 文字)

主文 原判決中無罪部分を破棄する。 被告人を懲役二月に処する。 但し本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予する。 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 検察官長井省吾が陳述した控訴趣意は検察官辻内良隆作成名義の控訴趣意書の記載と同一であるからこれを引用する。 同控訴趣意(事実誤認)について。 原判決が公訴事実第二記載の「被告人は昭和二十八年六月中旬頃秋田県北秋田郡a町b字cd番地の町長A方において同人に対しBが前示払下げ立木をa町よりa町農業協同組合に特売するについて種々便宜を図り尽力をなしたる謝礼として供与するものであることの情を知りながら現金十万円を同人に交付しもつてBの犯行を幇助した」との事実に対し被告人がAに金十万円を手渡したことは明らかであるが右金員をBが贈賄の用に供するものであることの情を知つていた点につき証明がないとして被告人に対し無罪の言渡をしたことは所論のとおりである。しかして被告人の原審公判廷における供述、検察官に対する昭和二十九年二月二十七日附第二回供述調書、原審第四回公判調書中証人B、同Cの各供述記載を綜合すれば被告人が当時右金十万円を含めた金十二万円の預り証をBに差入れたこと、同人は該預り証を担保として前記農業協同組合より金十二万円を借受けたこと、右組合もまた被告人に対し該預り証の真偽をただし融資した事情を告げた上預り金の返還に際しては組合に連絡すべき旨の注意を与えたこと等の事情が看取しえられるところ原審はかかる事情の下にあつてはBより何等かの指示を与えて交付させる等特段の行為があれば格別そのようなことのない本件においてはBが右金十万円をAに贈賄する意思でいたことの知情を推断することは甚だ不自然で牽強附会の譏を免れないと説示 より何等かの指示を与えて交付させる等特段の行為があれば格別そのようなことのない本件においてはBが右金十万円をAに贈賄する意思でいたことの知情を推断することは甚だ不自然で牽強附会の譏を免れないと説示するので按ずるに被告人の司法警察員に対する昭和二十九年二月二十日附供述調書(記録一一三丁以下)検察官に対する前記第二回供述調書、同じく昭和二十九年三月十一日附第四回供述調書の各記載を綜合すれば被告人はa町議会議長Bが首謀し他の議員等と共に昭和二十八年二月頃よりA町長に働きかけ官行、県行造林の払下げ特売に関し町議会を開催せしめ関係議案を提出せしめる等種々工作を進めていたことを関知していたのでBの依頼により昭和二十八年四月一日D株式会社振出町長A宛金額五十万円の約束手形二通を担保にE銀行F支店より金八十万円借受けの斡旋をした際右手形金が右造林払下げに絡まる差益金である事情を察知しており、同日G荘においてBよりH助役に手渡すべく依頼を受けた金四万円が同助役に対する右払下げ議案の提出等に尽力した謝礼として手渡されるものであることの一事情を了知してその頃これを同助役に取次ぎ又Bが右手形残金二十万円を同年五月三十日の支払期日に銀行より収入役の口座に直接払込む手続をして被告人に保管を託しそのうちよりI議員に手渡すべき金八万円を差引いた残金十二万円につき前叙のとおり預り証をBに作成交付したのであるが同年六月中旬頃Aより右保管金のうち金十万円を届けて貰いたい旨要請された際も同町長よりBの了解をえている旨告げられBがAに対し前記造林の払下げ特売に関し尽力した謝礼として右金十万円を交付するものであることの事情を認識して金庫より金十万円を取出し町長の自宅に届けたことが認められ、当審における証人Aの供述、原審第二回公判調書中同証人の供述記載、Bの検察官に対する昭和二 金十万円を交付するものであることの事情を認識して金庫より金十万円を取出し町長の自宅に届けたことが認められ、当審における証人Aの供述、原審第二回公判調書中同証人の供述記載、Bの検察官に対する昭和二十九年二月二十五日附第一回供述調書謄本及び原審証人Bの証人尋問調書の各記載を綜合すればBは直接収入役の口座に払込み被告人に保管を託した右手形残金二十万円のうちI議員に手渡すべき金八万円を差引いた残金十二方円につき被告人より預り証を受取りこれを担保に前記農業協同組合より金十二万円を借受けておりながらAに対しては予て約束していた造林払下げ特売に関する謝礼として金十万円を被告人に保管を託した右金十二万円のうちより受取るよう申向けていたこと。及び高橋恰一郎は同年五月末頃Bより造林払下げに尽力した謝礼として金十万円を被告人に託した右保管金のうちより受取るよう指示され、被告人にその事情を確めたところ被告人が金十二万円を保管している事実を確認したのでそのうち金十万円は自分がBより貰い受ける分である旨告げて翌日被告人に自宅までこれを届けさせたことが明らかであるから以上の各事実を綜合考察すればBが被告人に対し特段の指示を直接与えておらないことは明白であるけれどもBはAに対し被告人の保管している右金十二万円のうちより謝礼金十万円を手渡す旨Aに指示しこれに基き同人はBより貰い受ける分であることを被告人に告げて右金十万円を受取り被告人もまたBがAに供与する払下立木特売につき便宜を図り尽力した謝礼金であることの事情を認識してAに交付したことを確認するに充分であるから前説示の事情下にBの被告人に対する特段の指示行為がないからといつて被告人の右知情を認定することは少しも不自然ではなく右認定を目して牽強附会の論となすことはできない。しかして右認定に副わない被告人の原審公判廷 情下にBの被告人に対する特段の指示行為がないからといつて被告人の右知情を認定することは少しも不自然ではなく右認定を目して牽強附会の論となすことはできない。しかして右認定に副わない被告人の原審公判廷における供述及び原審第四回公判調書中証人Bの供述記載はいづれも前記各証拠に照らし措信できない、他に右認定を覆すに足る証拠はない。されば右と認定を異にした原判決は事実を誤認したものでありこの誤りは判決に影響を及ぼすこと明白であるから破棄を免れない。論旨は理由がある。 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第一項、第三百八十二条により原判決中無罪部分を破棄し同法第四百条但書により当裁判所において改めて次のとおり判決する。 (罪となるべき事実)被告人は秋田県北秋田郡a町収入役として同町の出納その他の会計事務を掌理していたものであるが昭和二十八年六月中旬頃同町b字cd番地の町長A方において同人に対し同町議会議員Bが官行、県行造林等払下げ立木をa町より同町農業協同組合に特売するについて種々便宜を図り尽力をなしたことの謝礼として供与するものであることの情を知りながら同人より預り保管中の金十二万円のうちより現金十万円をAに交付しもつてBの贈賄の犯行を幇助したものである。 (証拠の標目)一、 被告人の検察官に対する昭和二十九年二月二十七日附、同年三月十一目附各供述調書一、 被告人の司法警察員に対する昭和二十九年二月二十日附供述調書(記録一一三丁以下)一、 原審第二回公判調書中証人Aの供述記載一、 Bの検察官に対する昭和二十九年二月二十五日附供述調書謄本一、 原審証人Bの証人尋問調書一、 当審における証人Aの供述(法令の適用)<要旨>被告人の判示所為は刑法第百九十八条、罰金等臨時措置法第二条、第三条、刑法第六十二条に該当するので</要旨 一、 原審証人Bの証人尋問調書一、 当審における証人Aの供述(法令の適用)<要旨>被告人の判示所為は刑法第百九十八条、罰金等臨時措置法第二条、第三条、刑法第六十二条に該当するので</要旨>所定刑中懲役刑を選択し従犯であるから同法第六十三条、第六十八条第三号に従い法定の減軽をなした刑期範囲内において被告人を懲役二月に処すべく尚情状執行を猶予するを相当と認むべきところ被告人は原判決において公訴事実第一につき懲役三月二年間執行猶与の言渡を受け右は確定しておるのであるから本件につき同法第二十五条第二項を適用すべきやの疑義が生じない訳ではないが元来本件犯罪事実は右確定判決の事実と同法第四十五条前段所定の併合罪の関係にあるものとして起訴せられ一個の刑をもつて処断せられるべきものであつたのであるからかかる場合は同法第二十五条第二項を適用すべきではなく且つ右両者が同時に審判せられたとしても一括して執行猶予の言渡を附するを相当と認められる情状にあるから同法第二十五条第一項を適用し本裁判確定の日より二年間右刑の執行を猶予すとするを相当とすべく当審における訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文により被告人をして負担せしむべきものとして主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官松村美男裁判官大島雷三裁判官三浦克己)

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