主文 1 1審原告の本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。 (1) 1審被告A及び同Bは,連帯して,1審原告に対し,991万4847円及びうち983万3580円に対する平成8年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 1審被告Aは,1審原告に対し,9952円及びこれに対する平成8年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 1審原告のその余の請求をいずれも棄却する。 2 1審被告らの本件控訴をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は第1,2審を通じてこれを3分し,その1を1審原告の負担とし,その余を1審被告らの負担とする。 4 この判決は第1項の(1),(2)に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 1審原告(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 1審被告A及び同Bは,連帯して,1審原告に対し,1638万9130円及びこれに対する平成8年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 1審被告Aは,1審原告に対し,1万1709円及びこれに対する平成8年10月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 1審被告らの控訴をいずれも棄却する。 (5) 訴訟費用は第1,2審とも1審被告らの負担とする。 (6) 仮執行宣言 2 1審被告ら(1) 原判決中,1審被告らの敗訴部分を取り消す。 (2) 上記取消しにかかる部分の1審原告の請求を棄却する。 (3) 1審原告の控訴を棄却する。 (4) 訴訟費用は第1,2審とも1審原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,1審原告が運転していた原動機付自転車(以下「原告単車」という。)と1審被告Aが運転していた同B所有の普通乗用自動車(以下「被告車」という。)とが衝突し, 負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,1審原告が運転していた原動機付自転車(以下「原告単車」という。)と1審被告Aが運転していた同B所有の普通乗用自動車(以下「被告車」という。)とが衝突し,1審原告が受傷し,原告単車が損傷した交通事故につき,1審原告が,1審被告Aに対しては,民法709条により人身損害及び物的損害並びにこれらに対する事故日から年5分の割合による遅延損害金の,1審被告Bに対しては,自賠法3条により,人身損害及びこれに対する上記と同じ遅延損害金の各支払を求め,1審被告らが後遺症の程度及び損害額等を争い,過失相殺を主張した事案である。 原審では,1審原告主張の損害の一部を認めて20%の過失相殺をし,既払金を控除して請求の一部を認容したところ,双方が損害の内容(後遺症の程度,逸失利益等)及び過失割合についての認定・判断を不服として控訴した。 2 争いのない事実及び争点は,次のとおり改めるほか,原判決「事実及び理由」の「第二事案の概要」の二,三のとおりであるからこれを引用する。 (1) 原判決の上記引用範囲中の「被告」はすべて「1審被告A」と(ただし,「被告ら」,「被告A」,「被告B」及び「被告の主張」と表記されているものの「被告」並びに8頁6行目の「被告」を除く。),「被告の主張」はすべて「1審被告らの主張」とそれぞれ改める。 (2) 原判決3頁7行目の「被告Aは,」の次に「被告車を運転して,」を加え,10行目及び11行目の各「原告の」を「1審原告運転の」と,13行目の「頭部傷害」を「頭部外傷」と,4頁1行目から2行目にかけての「水路擁癖」を「水路擁壁」と,5行目の「歯科」を「眼科医院」と,6行目から7行目にかけての「直進して右折し,そして左折して」を「まず右折したうえで左折して」と,8行目の「駐車しようとしていた駐車場」 路擁癖」を「水路擁壁」と,5行目の「歯科」を「眼科医院」と,6行目から7行目にかけての「直進して右折し,そして左折して」を「まず右折したうえで左折して」と,8行目の「駐車しようとしていた駐車場」を「進入しようとした眼科医院の駐車場内」と,19行目の「注視可能」を「視認可能」とそれぞれ改める。 (3) 原判決5頁3行目の「知覚傷害」を「知覚障害」と,同行及び6行目(2箇所)の「後遺傷害」を「後遺障害」と,6頁4行目の「家事専従者控除を受けており,」を「夫の所得税申告において専従者控除の対象者であり,」と,5行目の「休業損害に尽き,」を「休業損害につき,」と,6行目の「金額」を「休業損害額」とそれぞれ改める。 (4) 原判決7頁25行目から8頁1行目までを「 自賠責保険から1審原告に対し平成10年12月18日に支払われた75万円に相当する損害については,事故日から上記支払日までの2年61日間,年5分の割合による遅延損害金8万1267円が発生している。既払の治療費及び交通費の各損害については遅延損害金を主張しない。」と,8頁6行目の「被告」を「1審被告ら」とそれぞれ改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,1審原告の請求の一部を認容すべきものと判断するが,1審被告Aの過失割合を85%とし,逸失利益算定の中間利息控除の利率は民事法定利率の年5分を採用するのを相当とする。その理由は次のとおり改めるほかは,原判決「事実及び理由」の「第三当裁判所の判断」のとおりであるからこれを引用する。 (1) 原判決8頁12行目,14行目,21行目,23行目,26行目,9頁5行目,6行目,9行目の各「被告」をいずれも「1審被告A」と,8行目の「被告」を「1審被告ら」とそれぞれ改める。 (2) 原判決8頁18行目の「水路擁癖」を「水路擁壁」と,22行目の「歯 行目,9頁5行目,6行目,9行目の各「被告」をいずれも「1審被告A」と,8行目の「被告」を「1審被告ら」とそれぞれ改める。 (2) 原判決8頁18行目の「水路擁癖」を「水路擁壁」と,22行目の「歯科」を「C薬局」と,9頁3行目の「原告が運転していた車両の前バンパー付近」を「被告車前バンパー左角付近」と,同行から4行目にかけての「被告が運転していた原動機付自転車」を「原告単車」と,6行目の「事実が認められ」から7行目までを次のとおり,それぞれ改める。 「過失が認められ,いずれも本件事故と相当因果関係を肯定できるところ,原告単車は道路左側を直進していたものであり,被告車が右折すれば原告単車は被告車の左前角に衝突せずに進行できた可能性も否定しきれず,被告車が原告単車の進行道路を斜めに横断してC薬局の駐車場へ入ろうとしたことが主たる原因となって本件事故が起こったと考えられ,以上判示の事情を総合考慮すれば,1審被告Aの過失割合を85%とするのが相当である。」(3) 原判決9頁22行目の「知覚傷害」を「知覚障害」と,11頁16行目の「治療状況」を「治療状況,特に入院期間が2か月余,通院期間が約12か月で,その間の実通院日数が202日に及んだことを」と,17行目の「230万円」を「300万円」とそれぞれ改める。 (4) 原判決12頁1行目から14行目までを次のとおり改める。 「 1審原告は,中間利息を年2パーセントの割合で算出して控除すべきであると主張し,1審被告らはその控除割合を年5パーセントとすべきであると主張する。 そこで案ずるに,我が国においては,民法404条で「利息ヲ生スヘキ債権ニ付キ別段ノ意思表示ナキトキハ其利率ハ年五分トス」と,民法419条1項で「金銭ヲ目的トスル債務ノ不履行ニ付テハ其損害賠償ノ額ハ法定利率ニ依リテ之ヲ定ム」と規定して 法404条で「利息ヲ生スヘキ債権ニ付キ別段ノ意思表示ナキトキハ其利率ハ年五分トス」と,民法419条1項で「金銭ヲ目的トスル債務ノ不履行ニ付テハ其損害賠償ノ額ハ法定利率ニ依リテ之ヲ定ム」と規定して,民事上の債務の利息や損害金の利率を年5分と法定し,将来の請求権の現時点の評価を算出する場合の中間利息の控除についても,ほとんどの場合において法定利率により算出して控除すべきことを定めている(破産法46条5号,会社更生法114条,民事再生法87条1項1,2号,民事執行法88条2項,労働者災害補償保険法附則64条1項1,2号等)。これらの法規の定めを総合勘案すれば,現行法は,将来の請求権の現価を評価する際の中間利息の控除割合については,特段の定めや事情のない限り,年5分の法定利率によることを前提としていると解することができ,交通事故の損害賠償額についての逸失利益等を算出する場合について,特段の定めはないし,特段の事情があるとも考えられない。 確かに,損害としての逸失利益は,将来の得べかりし利益の喪失を損害と把握するものであって,その現価を算出する場合に,現在の社会で妥当している金利が法定利率をはるかに下回るものであり,数年先等においても,これが急上昇するとの予測は少ないものであることを考慮すると,中間利息を法定利率を下回る割合で控除すべきであるとの1審原告の主張も一理あるといえる。しかし,経済状況が長期にわたって安定していることは少なく,相当の変動をするものであることは顕著な事実であり,将来の経済状況の予測は必ずしも容易ではなく,これを個々の裁判において主張を戦わせ,証拠調べをするなど攻撃防御させて判断することは,結果的には,事案の解決に時間と費用を要することとなる上に,適用する控除割合が個々の事案で異なる結果となることが予想され,被害者の損 て主張を戦わせ,証拠調べをするなど攻撃防御させて判断することは,結果的には,事案の解決に時間と費用を要することとなる上に,適用する控除割合が個々の事案で異なる結果となることが予想され,被害者の損害の早期回復,損害賠償関係の法的安定性等を考えると決して好ましいとはいえない。これらの点を考慮しても,上記のように,中間利息の控除割合については,損害算定に関する事実認定の問題ではなく,現行法が法定利率によることを前提としていると解することが相当といえよう。そして,このように解することは,中間利息を控除して算出された損害賠償額について,他の費目の損害例えば慰謝料等と併せて,事故日からの法定利率による遅延損害金を請求できることと整合するものといえるし,このような取り扱いを望まない被害者は,将来の個々の時点での定期金による賠償を求めることにより,現状の金利と法定利率との乖離を免れる方策を講ずることも可能であって,上記取り扱いが被害者の損害の回復の道を閉ざすものではないことも明らかである。 してみれば,この点についての1審原告の主張は採用できない。 (四) 以上をもとに,年5分の割合によるライプニッツ係数を用いて,1審原告の逸失利益を計算すれば,下記のとおり396万0920円となる。 301万1900円×0.14×9.3935≒396万0920円」(5) 原判決12頁22行目の「同金員は」から24行目の「証拠がない。」までを「同金員は先に遅延損害金へ充当すべきところ(民法491条),債権者である1審原告がこれを損害元本へ充当することを容認して本訴において同元本部分の請求をせず,同金員に対する弁済日までの遅延損害金を請求し,1審被告らもこの点につき特段の異議も述べないので,これを前提とする。」と,26行目の「遅延損害金」を「年5分の割合による遅 て同元本部分の請求をせず,同金員に対する弁済日までの遅延損害金を請求し,1審被告らもこの点につき特段の異議も述べないので,これを前提とする。」と,26行目の「遅延損害金」を「年5分の割合による遅延損害金」とそれぞれ改める。 (6) 原判決13頁2行目から3行目にかけての「1631万0012円(物損を除くと1629万8303円)」を「1618万5709円(物損を除くと1617万4000円)」と,3行目の「2割」を「15%」と,4行目の「1304万8009円(物損を除くと1303万8642円)」を「1375万7852円(物損を除くと1374万7900円)」と,6行目から7行目にかけての「823万3689円(物損を除いた場合822万4322円)」を「894万3532円(物損を除いた場合893万3580円)」と,7行目の「さらに」から8行目までを「さらに確定遅延損害金8万1267円を加算すると902万4799円(物損を除いた場合901万4847円)となる。」と,10行目の「70万円」を「90万円」と,12行目から13行目にかけての「901万4956円(物損を除いた場合900万5589円)」を「992万4799円(物損を除いた場合991万4847円)」とそれぞれ改める。 (7) 原判決13頁14行目から22行目までを次のとおり改める。 「六以上によれば,1審原告の請求は,1審被告両名に対し,物損を除いた損害合計991万4847円及びこれから確定遅延損害金8万1267円を除いた983万3580円に対する本件事故日である平成8年10月19日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり,1審被告Aに対しては,物損9952円とこれに対する同遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。」第4 結論よって,1審原告の控訴に 5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり,1審被告Aに対しては,物損9952円とこれに対する同遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。」第4 結論よって,1審原告の控訴に基づき,原判決を上記に従って変更し,1審被告らの控訴はいずれも失当としてこれを棄却することとし,訴訟費用の負担割合を定め,仮執行宣言を付し(原判決認容の範囲では原判決の仮執行宣言が効力を有するが,これを含めて掲げる。),主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第1部裁判長裁判官田村洋三裁判官小林克美裁判官戸田久
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