主文 原告らの主位的請求をいずれも棄却する。 被告株式会社P1は,東京都八王子市に対し,1283万6250円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P2株式会社は,東京都八王子市に対し,1475万2500円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P3株式会社は,東京都八王子市に対し,1921万5000円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P4株式会社は,東京都八王子市に対し,1207万5000円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P5株式会社は,東京都八王子市に対し,1246万8750円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告株式会社P6は,東京都八王子市に対し,2483万2500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 引受参加人株式会社P7は,東京都八王子市に対し,1638万円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払 え。 被告P8株式会社は,東京都八王子市に対し,1081万5000円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P9株式会社は,東京都八王子市に対し,1811万2500円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P10株式会社は,東京都八王子市に対し,1512万円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告P10株式会社は,東京都八王子市に対し,1512万円及びこれに対する平成14年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告株式会社P11は,東京都八王子市に対し,4147万5000円及びこれに対する平成14年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の予備的請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを100分し,その5を被告株式会社P1の負担とし,その6を被告P2株式会社の負担とし,その8を被告P3株式会社の負担とし,その5を被告P4株式会社の負担とし,その5を被告P5株式会社の負担とし,その11を被告株式会社P6の負担とし,その7を引受参加人株式会社P7の負担とし,その4を被告P8株式会社の負担とし,その7を被告P9株式会社の負担とし,その6を被告P10株式会社の負担とし,その18を被告株式会社P11の負担とし,その余は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 主位的請求被告らは,東京都八王子市に対し,連帯して8億8524万9750円及びこれに対する平成13年4月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 予備的請求(1)被告株式会社P1(以下「被告P1」という。)は,東京都八王子市に対し,5088万0900円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)被告P2株式会社(以下「被告P2」という。)は,東京都八王子市に対し,5713万7850円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)被告P3株式会社(以下「被告P3」という。)は,東京都八王子市に対し,7657万6500円及びこれ 50円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)被告P3株式会社(以下「被告P3」という。)は,東京都八王子市に対し,7657万6500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)被告P4株式会社(以下「被告P4」という。)は,東京都八王子市に対し,4394万2500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5)被告P5株式会社(以下「被告P5」という。)は,東京都八王子市に対し,4941万3000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6)被告株式会社P6(以下「被告P6」という。)は,東京都八王子市に対し,9888万9000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済 みまで年5分の割合による金員を支払え。 (7)引受参加人株式会社P7(以下「引受参加人P7」という。)は,東京都八王子市に対し,6492万1500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (8)被告P8株式会社(以下「被告P8」という。)は,東京都八王子市に対し,4226万2500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (9)被告P9株式会社(以下「被告P9」という。)は,東京都八王子市に対し,6673万8000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (10)被告P10株式会社(以下「被告P10」という。)は,東京都八王子市に対し,5811万7500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 支払え。 (10)被告P10株式会社(以下「被告P10」という。)は,東京都八王子市に対し,5811万7500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (11)被告株式会社P11(以下「被告P11」という。)は,東京都八王子市に対し,1億6420万9500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,東京都八王子市(以下「八王子市」という。)から工事の施工等につき委託を受けた財団法人P12公社(以下「公社」という。)が発注した土木工事の入札に際して,被告らが談合した結果,受注予定者があらかじめ合意され,入札参加者間で公正な競争が確保された場合に形成されたであろう正常な落札価格と比較して不当に高い価格で落札がされ,八王子市が損害を受けた にもかかわらず,八王子市の市長(以下「八王子市長」という。)が被告らに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを怠っているとして,八王子市の住民である原告らが,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「改正前法」という。)242条の2第1項4号に基づき,八王子市に代位して,被告らに対し,八王子市への損害賠償の支払を求める住民訴訟である。 前提事実(1)当事者等ア原告らは,いずれも八王子市の住民である。 イ被告P13株式会社(以下「被告P13」という。),被告P11,被告P2,被告P6,被告P4,被告P5,被告P3,脱退被告株式会社P14(なお,引受参加人P7は,平成16年4月1日にされた会社分割により,同脱退被告の営む建設事業に関する一切の営業を承継した。),被告P9,被告P1,被告P10及び被告P8(以下,総称して「被告ら」という。)は,いずれも建設業法の規 年4月1日にされた会社分割により,同脱退被告の営む建設事業に関する一切の営業を承継した。),被告P9,被告P1,被告P10及び被告P8(以下,総称して「被告ら」という。)は,いずれも建設業法の規定に基づき国土交通大臣の許可を受け,国内の広い地域において総合的に建設業を営むもの(以下「広域総合建設業者」という。)であり,いわゆる多摩地区(東京都のうち区部及び島しょ部を除く区域)において営業所を置くなどして事業活動を行っていたものである(なお,被告P10の平成15年7月1日商号変更前の商号は「P15株式会社」であるが,同商号変更の前後を問わず,同被告について「被告P10」と略称する。)。 引受参加人P7(平成16年4月1日商号変更前の商号は「P16株式 会社」)は,同日にされた会社分割により,脱退被告株式会社P14(同日商号変更前の商号は「株式会社P7」)から,本件訴訟に係る権利義務関係を免責的かつ包括的に承継したものである(以下,上記脱退被告を「旧P7」という。)。 ウ公社は,昭和36年7月20日,首都圏整備構想に基づき,新都市の総合的建設と,地域開発を促進し,首都の秩序ある発展を図ることを目的として,当時,東京都が1000万円,八王子市,町田市,青梅市,日野町,福生町及び羽村町が各50万円(合計1300万円)を出えんして設立された財団法人であり,多摩地区所在の市町村から委託を受けるなどして,公共下水道の建設等の都市基盤整備事業を行うものである(甲サ60)。 (2)工事請負契約の締結ア平成10年3月9日,被告P1は,別紙工事目録1記載のとおり,公社から,八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事(以下「本件工事1」という。)を,契約金額2億5672万5000円(うち消費税及び地方消費税額1222万5000円)で請 のとおり,公社から,八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事(以下「本件工事1」という。)を,契約金額2億5672万5000円(うち消費税及び地方消費税額1222万5000円)で請け負った(甲14の1,甲サ328)。 イ平成10年5月26日,被告P2を代表者とする「P2・P17建設共同企業体」は,別紙工事目録2記載のとおり,公社から,八王子市α2×××番地先外下水道築造44(公1工区)工事(以下「本件工事2」という。)を,契約金額2億9505万円(うち消費税及び地方消費税額1405万円)で請け負った(甲14の2,甲サ328)。 なお,建設共同企業体(ジョイントベンチャー)とは,建設会社数社が 互いに出資して,共同して1つの建設工事を施工するために結合する事業組織体である。 ウ平成11年3月30日,被告P3を代表者とする「P3・P18建設共同企業体」は,別紙工事目録3記載のとおり,公社から,八王子市α3×××番地先外下水道築造44(公14工区)工事(以下「本件工事3」という。)を,契約金額3億8430万円(うち消費税及び地方消費税額1830万円)で請け負った(甲14の3,甲サ328)。 エ平成11年4月5日,被告P4は,別紙工事目録4記載のとおり,公社から,八王子市α4××××番地先外下水道築造44(公16工区)工事(以下「本件工事4」という。)を,契約金額2億4150万円(うち消費税及び地方消費税額1150万円)で請け負った(甲14の4,甲サ328)。 オ平成11年6月21日,被告P5は,別紙工事目録5記載のとおり,公社から,八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事(以下「本件工事5」という。)を,契約金額2億4937万5000円(うち消費税及び地方消費税額1187万5000円)で請け負った(甲14の5, 社から,八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事(以下「本件工事5」という。)を,契約金額2億4937万5000円(うち消費税及び地方消費税額1187万5000円)で請け負った(甲14の5,甲サ328)。 カ平成11年6月28日,被告P6を代表者とする「P6・P19建設共同企業体」は,別紙工事目録6記載のとおり,公社から,八王子市α6×××番地先外下水道築造45(公1工区)工事(以下「本件工事6」という。)を,契約金額4億9665万円(うち消費税及び地方消費税額2365万円)で請け負った(甲14の6,甲サ328)。 キ平成11年8月16日,旧P7を代表者とする「P7・P20建設共同企業体」は,別紙工事目録7記載のとおり,公社から,八王子市α5××××番地先外下水道築造45(公4工区)工事(以下「本件工事7」という。)を,契約金額3億2760万円(うち消費税及び地方消費税額1560万円)で請け負った(甲14の7,甲サ328)。 ク平成11年8月16日,被告P8は,別紙工事目録8記載のとおり,公社から,八王子市α7××××番地先外下水道築造45(公14工区)工事(以下「本件工事8」という。)を,契約金額2億1630万円(うち消費税及び地方消費税額1030万円)で請け負った(甲14の8,甲サ328)。 ケ平成11年12月20日,株式会社P21(以下「P21」という。)は,別紙工事目録9記載のとおり,公社から,八王子市α4×××番地先外下水道築造45-公10工事(以下「本件工事9」という。)を,契約金額2億2155万円(うち消費税及び地方消費税額1055万円)で請け負った(甲14の9,甲サ328)。 コ平成12年5月1日,被告P9を代表者とする「P9・P22建設共同企業体」は,別紙工事目録10記載のとおり,公社から,八王子 び地方消費税額1055万円)で請け負った(甲14の9,甲サ328)。 コ平成12年5月1日,被告P9を代表者とする「P9・P22建設共同企業体」は,別紙工事目録10記載のとおり,公社から,八王子市α8×××番地先外下水道築造46(公2工区)工事(以下「本件工事10」という。)を,契約金額3億6225万円(うち消費税及び地方消費税額1725万円)で請け負った(甲14の10,甲サ328)。 サ平成12年5月29日,P23株式会社(以下「P23」という。)を代表者とする「P23・P24建設共同企業体」は,別紙工事目録11記 載のとおり,公社から,八王子市α4×××番地先外下水道築造46(公4工区)工事(以下「本件工事11」という。)を,契約金額3億4755万円(うち消費税及び地方消費税額1655万円)で請け負った(甲14の11,甲サ328)。 シ平成12年7月31日,被告P10を代表者とする「P15・P25建設共同企業体」は,別紙工事目録12記載のとおり,公社から,八王子市α9××××番地先外下水道築造46(公3工区)工事(以下「本件工事12」という。)を,契約金額3億0240万円(うち消費税及び地方消費税額1440万円)で請け負った(甲14の12,甲サ328)。 ス平成12年8月23日,被告P11を代表者とする「P11・P18建設共同企業体」は,別紙工事目録13記載のとおり,公社から,八王子市α10×××番地先外下水道築造46(公1工区)工事(以下「本件工事13」という。)を,契約金額8億2950万円(うち消費税及び地方消費税額3950万円)で請け負った(甲14の13,甲サ328)。 (3)公社における工事の発注方法等(以下,甲サ64,436,438,439)ア指名競争入札公社では,原則として,工事予定価格が500万円以上 万円)で請け負った(甲14の13,甲サ328)。 (3)公社における工事の発注方法等(以下,甲サ64,436,438,439)ア指名競争入札公社では,原則として,工事予定価格が500万円以上の土木工事については,あらかじめ工事の件名,工事の概要,工事の格付等を公示して入札に参加することを希望する者を公募し,入札参加希望者に工事希望票を提出させた上,指名業者選定委員会の審議を経て,入札に参加する指名業者を選定し,同指名業者による入札を実施する「発注予定工事公表制度」 (通称「工事希望型指名競争入札」)によって工事の発注をすることとしている。 イ事業者の格付公社では,公社が入札参加資格を満たす者として登録している有資格者の中から入札参加者を募り,入札参加希望者の中から指名競争入札の参加者を指名しているところ,有資格者は,その事業規模等により工種区分ごとにAからEまでのいずれかのランク(以下「事業者ランク」という。)に格付されている。 被告らは,土木工事のうち下水道工事及び一般土木工事の工種区分における事業者ランクがいずれもAとして格付されていた。 ウ土木工事の格付また,公社が発注する土木工事は,その工事予定価格の額を基準とし,これに工事の技術的な難易度等を勘案してAからEまでのいずれかのランクの工事に格付され(例えば,最も上位の格付等級であるAランクの工事は,その予定価格が1億7000万円以上2億6000万円未満の工事である。),さらに,工事予定価格が2億6000万円以上の工事については,建設共同企業体による共同施工方式で施工する工事として,「A・C」(工事予定価格2億6000万円以上3億円未満),「A・B」(工事予定価格3億円以上5億6000万円未満)及び「A・A」(工事予定価格5億6000万円以上)の3等級に分けて る工事として,「A・C」(工事予定価格2億6000万円以上3億円未満),「A・B」(工事予定価格3億円以上5億6000万円未満)及び「A・A」(工事予定価格5億6000万円以上)の3等級に分けて格付されている。 エ入札参加者の指名公社が指名競争入札の参加者として事業者を指名するに当たっては,発 注する工事のランクに対応する事業者ランクに格付された者の中から指名することを基本とし,また,指名競争入札の参加者として建設共同企業体を指名するに当たっては,事業者ランクがAである者を構成員のうちの代表者とし,これと事業者ランクがAからCまでのいずれかの者との組合せによる建設共同企業体を結成させ,同企業体を指名競争入札の参加者としている。 オ入札における最低制限価格等公社では,入札に当たって工事予定価格及び最低制限価格(工事予定価格の約80%に相当する額)を設定しているが,平成11年9月までは,工事予定価格を事前に公表しておらず,入札価格の全部が工事予定価格よりも高額である場合には,その場で2回まで再度入札を行うこととしていた。また,最低制限価格を下回る価格で入札した者は失格とし,最低制限価格以上の価格で入札した者の中で最も低い価格で入札した者を落札者としていた。 カ工事請負契約締結に至る手順入札に参加する事業者の指名又は建設共同企業体の構成員となるべき者の選定が行われた後の契約に至るまでの手順については,①事業者を指名する場合には,公社による事業者10社の指名,指名した事業者に対する現場説明会(公社の事務所で行われる。),入札,落札者との契約の順に進められ,また,②建設共同企業体を指名する場合には,公社による建設共同企業体の構成員となるべき者の指名(事業者ランクAの事業者10社と,事業者ランクがAからCまでのいずれかの事業者1 の契約の順に進められ,また,②建設共同企業体を指名する場合には,公社による建設共同企業体の構成員となるべき者の指名(事業者ランクAの事業者10社と,事業者ランクがAからCまでのいずれかの事業者10社との合計20 社),建設共同企業体結成についての説明会,入札参加者による建設共同企業体結成の届出,現場説明会,入札,落札者との契約の順に進められる。 キ公社発注の特定土木工事の落札率等(ア)平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件の工事件名,落札者及び落札率等は,別紙「P12公社発注の特定土木工事一覧表」のとおりである(甲サ190)。 (イ)また,平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件の工事名,落札者及び落札率等は,別紙「特定土木工事一覧表」のとおりである(乙イ2)。 (4)八王子市と公社の契約関係等ア八王子市は,公社との間で,「八王子市公共下水道事業(事業の一部)に関する業務委託契約書」を平成6年6月1日付け,同9年3月25日付け及び同11年3月25日付けでそれぞれ交わし,八王子市の基本計画に基づく公共下水道事業の建設工事,設計及び監督業務並びに調査業務につき,公社に対し業務の委託をする旨の契約を締結した(甲11の1ないし3)。 同各契約によれば,八王子市は,公社に対し,委託費を支払うものとされ,同委託費は,工事費,支障物件処理費及び公社の事務費から成るものとされているところ(甲11の1ないし3),このうち工事費は,公社と工事請負人との間の契約額(契約変更があった場合は変更後の契約額)であるとされている(甲12,甲サ60)。 平成9年3月25日付け及び同11年3月25日付け上記各契約(以下,総称して「本件各委託契約」と との間の契約額(契約変更があった場合は変更後の契約額)であるとされている(甲12,甲サ60)。 平成9年3月25日付け及び同11年3月25日付け上記各契約(以下,総称して「本件各委託契約」という。)によれば,公社は,委託業務のうち,工事の全部又は一部について工事が完了したときは,八王子市の検査を受けなければならず,その検査に合格した後,委託費の支払を八王子市に請求する旨約定されている。 イ八王子市と公社との間では,本件各委託契約等に基づき,各年度の事業実施協定書を交わしており(甲13の1ないし11),本件工事1ないし13は,本件各委託契約及び事業実施協定に基づいて公社が発注したものである。 公社は,本件工事1ないし13につき,工事請負人と契約を締結した日と同日付けの通知書をもって,八王子市に対し,契約書の写し1部を添付した上,①工事件名,②契約金額,③工期,④契約年月日及び⑤契約先を通知していた(甲14の1ないし13)。 ウ本件工事1ないし13は,それぞれ所定の工期ころに完成し,公社は,工事請負人に対し,別紙工事目録1ないし13記載の各支払完了日までに所定の代金を支払った。また,八王子市は,公社に対し,本件工事1ないし13につき,工事完了ごとに公社からの請求に応じ,それぞれ本件各委託契約に基づく委託費を支払った。なお,八王子市は,公社から提出される清算書により各年度の支払金額を確認し,これを確定している。(甲1)(5)公正取引委員会による課徴金の納付命令等ア平成13年12月14日,公正取引委員会は,公社発注の土木工事の入 札参加業者のうち多摩地区において事業活動を行っている別紙「課徴金納付命令対象事業者一覧」記載の広域総合建設業者34社(以下「34社」という。)に対し,平成17年法律第35号による改正前の私的独占 札参加業者のうち多摩地区において事業活動を行っている別紙「課徴金納付命令対象事業者一覧」記載の広域総合建設業者34社(以下「34社」という。)に対し,平成17年法律第35号による改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「改正前独占禁止法」という。)48条の2第1項に基づき,課徴金の納付命令をした。課徴金額の合計は6億9021万円であり,34社それぞれの課徴金額は上記別紙記載のとおりである。また,課徴金の納付命令に係る対象物件は別紙「課徴金納付命令対象物件一覧」記載のとおりであり,本件工事1ないし13は,順次,同記載の番号4,25,29,23,10,6,24,28,37,27,13,34及び7に該当する。(甲1,2,4の2)。 イ34社は,上記課徴金納付命令についていずれも審判手続の開始の請求をした。そこで,公正取引委員会は,平成14年1月28日,34社に対し,改正前独占禁止法49条2項に基づき,審判開始決定をした。(甲1,15)(6)住民監査請求,本件訴えの提起等ア平成14年2月21日,原告らは,本件工事1ないし13につき,34社による談合行為があり,八王子市はその被害者であるとして,八王子市監査委員に対し,八王子市長が34社に対して有する損害賠償請求権を適正に行使するよう勧告することを求めて住民監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした(甲1)。 イ平成14年4月19日,八王子市監査委員は,①本件工事1ないし13につき,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁 止法」という。)3条に違反する行為(いわゆる談合行為)の存否を確認することができないこと,②談合行為の存否は,現時点で八王子市が具体的に立証できるほど明白なものとなっておらず,公正取引委員会の審決が確定した上で損害賠 違反する行為(いわゆる談合行為)の存否を確認することができないこと,②談合行為の存否は,現時点で八王子市が具体的に立証できるほど明白なものとなっておらず,公正取引委員会の審決が確定した上で損害賠償請求権の行使について検討することが妥当であり,八王子市長が民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことは,違法又は不当に財産の管理を怠る事実に該当しないことなどの理由で,本件監査請求を棄却した上,「公正取引委員会の審決の確定により,13件の監査請求対象工事に関する談合行為が認定され,市の損害が明らかになった場合には,関係者と協議の上,本件13社に対し,速やかに損害賠償請求権を行使されたい。」との「市長に対する意見」を付した(甲1)。 ウ平成14年5月17日,原告らは本件訴えを提起した。 なお,原告らは,平成17年2月8日の本件第11回口頭弁論期日において,予備的請求に係る請求の趣旨が記載された準備書面を陳述し,同期日において,被告P13を除く被告らは,原告らの予備的請求を棄却する旨の判決を求めた。 争点 (1)談合に関する基本合意の存否被告らを含む別紙業者一覧表記載の広域総合建設業者80社の間において,公社発注の土木工事につき,受注価格の低落防止等を図るため,あらかじめ受注予定者を決定し,受注予定者が予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合に関する基本合意が存在したかどうか(原告らの主位的請求に係る争点)。 (2)個別談合の存否談合に関する基本合意が認められない場合であっても,本件工事1ないし8,10,12及び13について個別に談合が存在し,落札業者が不法行為責任を負うかどうか(原告らの予備的請求に係る争点)。 また,そもそも原告らの予備的請求は,住民監査請求を前置したものといえるかどうか。 (3)八王子市 ついて個別に談合が存在し,落札業者が不法行為責任を負うかどうか(原告らの予備的請求に係る争点)。 また,そもそも原告らの予備的請求は,住民監査請求を前置したものといえるかどうか。 (3)八王子市における損害の発生公社発注の土木工事につき談合の事実があったとして,八王子市に損害が生じたことになるかどうか。 (4)損害の額本件工事1ないし13について談合の事実があったとして,本件工事1ないし13の請負契約において決められた現実の契約金額と,談合という不法行為がなかった場合に決められたであろう契約金額との差額(損害)は幾らか。 (5)違法な怠る事実の有無八王子市長は,公正取引委員会の審決が確定した後に独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが合理的であり,同審決がされていない時点において,民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しなくても,債権の管理を違法に怠っているとはいえず,したがって,原告らが,改正前法242条の2第1項4号に基づき,八王子市に代位して損害賠償請求をすることは許されないかどうか。 争点に関する当事者の主張 (原告らの主張)(1)本件の背景事情,被告らの共通認識,受注調整を行っていた業者の範囲等ア多摩地区に営業所を置く広域総合建設業者は,以前,P26と称する会を組織し,各社の多摩地区土木工事の営業担当者等がこの会に参加していた。同会は,昭和54年ころに発足し,平成4年ころまで存続していたが,同年5月15日に公正取引委員会がP26の会員を含む埼玉県発注の土木工事の入札参加者に対して勧告を行ったのを契機として解散した。 しかしながら,P26の解散後も,旧会員らのほか,同解散後に多摩地区に進出した会社や,多摩地区に営業所を置かずに事業活動を行っている会社の営業担当者を含めて,恒例的に懇親 たのを契機として解散した。 しかしながら,P26の解散後も,旧会員らのほか,同解散後に多摩地区に進出した会社や,多摩地区に営業所を置かずに事業活動を行っている会社の営業担当者を含めて,恒例的に懇親会が開催されている。また,P26の解散以前には,広域総合建設業者各社の多摩地区における営業担当者を掲載した名簿が作成されていたところ,解散後もほぼ同じ体裁の名簿が作成されている。 イP26存続当時,会員である広域総合建設業者の間では,工事の入札に当たって,受注意欲を持つ会社や,発注される工事との関連性を持つ会社がある場合には,当該受注意欲や関連性を尊重することによって各社同士で競争を避けることが望ましいとの認識が存しており,受注を希望する者の間の話合いが難航した場合には,P26の会長等の役員が調整に当たっていた。 P26の解散後においても,多摩地区において事業活動を行う広域総合建設業者各社は,工事の入札に当たって,受注意欲を持つ会社や,発注される工事との関連性を持つ会社がある場合には,当該受注意欲や関連性を 尊重することによって各社同士で競争することを避けることが望ましいとの認識を有している。 ウP27新聞社は,業界で取りまとめた多摩地区で営業活動を行う広域総合建設業者を掲載した営業関係者名簿を作成しているが,同名簿に掲載されている業者は,前記イで述べた認識を有し,相互に協力し合う仲間であるとの認識を有していた。多摩地区で事業活動を行う業者であっても,地元の土木工事会社,道路工事や橋梁工事の専門業者,あるいは地元の大手建設業者などは,個別に受注調整の話合いを行うことはあったとしても,上記共通認識の下で受注調整を行っている仲間とは認識されていない。 (2)原告らの主位的主張(争点(1)及び(4))についてア被告らの基本合意について 受注調整の話合いを行うことはあったとしても,上記共通認識の下で受注調整を行っている仲間とは認識されていない。 (2)原告らの主位的主張(争点(1)及び(4))についてア被告らの基本合意について被告らを含む別紙業者一覧表記載の業者80社は,公社発注の特定土木工事について,受注価格の低落防止を図り,予定価格近似の金額で落札できるようにするため,遅くとも平成9年10月1日までには,同日から同12年9月27日までの間に発注された72件の工事について,①公社から指名競争入札の参加者として指名を受けた場合(自社が構成員である建設共同事業体が指名を受けた場合を含む。)には,当該工事若しくは当該工事の施工場所との関連性が強い業者若しくは建設共同事業体又は当該工事について受注の希望を表明する者若しくは建設共同企業体(以下「受注希望者」という。)が1名のときは,その者を受注予定者とし,受注希望者が複数のときは,それぞれの者の当該工事又は当該工事の施工場所との関連性等の事情(以下「条件」という。)を勘案して,受注希望者間の話 合いにより受注予定者を決定する,②受注すべき価格は,受注予定者が決め,受注予定者以外の者は,受注予定者が決めた価格で受注できるように協力する旨合意していた(以下,この合意を「基本合意」という。)。 この受注予定者の決定には,当時,被告P13のα11営業所長であったP28が大きな役割を演じていた。すなわち,公社発注の工事を受注しようとする業者は,事前にP28の下へ受注意欲を表明しに行く慣行があった。P28の下には,どの業者がどの工事に強い「条件」を持っているか,どの企業がどの工事に受注希望を表明しているかなどの情報が集まっていることから,業者間での競争を回避する調整が「P28参り」という慣行等の中で行われてきたのである。 基 強い「条件」を持っているか,どの企業がどの工事に受注希望を表明しているかなどの情報が集まっていることから,業者間での競争を回避する調整が「P28参り」という慣行等の中で行われてきたのである。 基本合意に参加していた業者は,別紙業者一覧表記載の業者で,いずれもP27新聞社が作成した営業関係者名簿に記載されている。この営業関係者名簿は,被告らの側で取りまとめ,同新聞社が発行したものである。 イ基本合意に基づく受注予定者の決定と個別工事の受注調整公社は,あらかじめ発注予定工事の工事件名,工事概要,工事の格付等級及び申込期限等を公示し,工事希望型指名競争入札で土木工事の発注を行っていた。 被告らのうち,基本合意により受注予定者とされた業者は,他の入札参加者が基本合意に参加していた業者(以下「仲間業者」という。)であれば受注調整を行うことが容易であることから,仲間業者に対し工事希望票の提出を依頼し,依頼を受けた業者は,受注予定者の依頼に応じ,公社に対し工事希望票を提出するなどしていた。 受注予定者は,遅くとも現場説明会までには,当該工事の入札に参加する業者を知ることができた。入札参加者の中に仲間業者以外の地元業者や専門業者が指名されている場合は,受注予定者がそれらの業者に個別に協力を依頼し,協力が得られたときは受注調整が成立するが,協力が得られないときには受注予定者と地元業者等との間で競り合いとなる場合があった。 受注調整が成立した案件については,受注予定者が受注すべき価格を決め,少なくとも入札が実施されるまでの間に,相指名業者に入札してもらう価格を連絡したり,相指名業者の入札価格を確認したりするなどし,自社が予定価格近似の金額で落札できるよう働きかけ,相指名業者は受注予定者の落札に協力していた。 その結果,受注予定者は,予定価格近似 う価格を連絡したり,相指名業者の入札価格を確認したりするなどし,自社が予定価格近似の金額で落札できるよう働きかけ,相指名業者は受注予定者の落札に協力していた。 その結果,受注予定者は,予定価格近似の金額で工事を落札することができ,これによって八王子市は,競争が成立した場合の落札金額との差額に相当する損害を被った。 ウ被告らの共同不法行為責任上記のとおり,被告らは,公社発注の土木工事において,事前に受注予定者を決定し,互いに受注予定者の入札に協力することで,受注予定者が予定価格近似の金額で落札できるようにするとの基本合意を行っている。 この基本合意をした広域総合建設業者については,談合という不法行為を行う故意があり,このような基本合意には違法性も認められる。そして,公社が特定土木工事を発注した後の具体的な行為は,この基本合意に基づく因果の流れと評価することができる。 したがって,被告らは,自社が入札に参加した工事だけでなく,公社が発注し,受注調整が成立した本件工事1ないし13について生じた八王子市の損害について,連帯して賠償する責任がある。 エ損害の額本件工事1ないし13に関する談合によって八王子市が被った損害の額は,別紙工事目録1ないし13記載の各落札価格の合計金額43億1500万円と各最低制限価格の合計金額34億7190万5000円との差額に,消費税5%相当額を加算した8億8524万9750円となる。 (3)原告らの予備的主張(争点(2)及び(4))について仮に,原告ら主張の基本合意の存在が,受注調整の基本ルールとして認められないとした場合には,各個別談合の成立について,原告らは次のとおり,予備的主張を行う。 別紙工事目録1ないし8,10,12及び13の落札業者欄記載の被告らは,工事件名欄記載の各工事につき,入札日欄記載 いとした場合には,各個別談合の成立について,原告らは次のとおり,予備的主張を行う。 別紙工事目録1ないし8,10,12及び13の落札業者欄記載の被告らは,工事件名欄記載の各工事につき,入札日欄記載の入札実施期日までの間に,落札業者を除く「入札参加業者及び開札結果」欄記載の各業者(別紙業者一覧表記載以外の業者を含む。また,建設共同企業体の場合には主として代表者である先頭に記載の各業者。)に働きかけ,自社を受注予定者すなわち「本命」として取り決めさせ,その入札において,自社の入札価格又は相手方に入札してもらう価格を連絡し,あるいは相手方の入札価格を確認するなどして,予定どおり自社が落札した。その結果,落札業者欄記載の被告らは,競争を回避し,予定価格近似の価格で落札することにより,本件工事1ないし8,10,12及び13を公社に委託した八王子市に対し,落札価格 から最低制限価格を差し引いた金額に消費税5%分を加えた金額の損害を与えたものである。原告らは,談合に参加した「入札参加業者及び開札結果」欄記載の各業者のうち,落札業者欄記載の被告らに対し,上記損害を賠償するよう求める。 なお,住民監査請求の対象と住民訴訟の対象は完全に一致する必要はなく,事件としての同一性があれば足りるから,予備的請求についても住民監査請求の前置に欠けるところはない。 ア本件工事1について被告P1は,平成8年に初めてα12営業所を開設したことから,多摩地区における受注実績がなく,受注実績を作りたかったため,本件工事1の受注を希望していた。 被告P1は,公社が本件工事1の入札予定を公表したころ,P29株式会社(以下「P29」という。)に対して,自社が本件工事1の受注を希望している旨を伝え,また,P30株式会社(以下「P30」という。)に対し,公社に工事希望票を提 入札予定を公表したころ,P29株式会社(以下「P29」という。)に対して,自社が本件工事1の受注を希望している旨を伝え,また,P30株式会社(以下「P30」という。)に対し,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。 本件工事1は,その予定価格からAランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者10社を指名した。指名された業者はいずれも営業関係者名簿に掲載されており,被告らにおいて仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成10年2月24日以降,被告P1は,指名を受けた各社に対して,自社が本件工事1の受注を希望している旨を伝えた。 指名を受けた業者は,以上の過程で被告P1が本件工事1の受注を希望 していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において,自社の入札価格が被告P1の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,被告P1が予定価格近似の金額で落札できるように協力した。 被告P1は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事1につき,予定価格2億4505万2000円の99.77%に当たる2億4450万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億4450万円から最低制限価格1億9604万2000円を差し引いた4845万8000円に消費税5%相当額242万2900円を加えた5088万0900円の損害を被った。 イ本件工事2について被告P2は,自社と特別な関係にある建設コンサルタントであるP31が,本件工事2に係る調査設計作業の入札参加者として指名されたことから,本件工事2の受注を希望していた。 被告P2は,P28に対し,P31から入手した調査設計作業の工事設計書など発注情報に関する資料を持参して,自社が本件工事2の受注を希望している旨を伝えた。 本件工事2は,その予 受注を希望していた。 被告P2は,P28に対し,P31から入手した調査設計作業の工事設計書など発注情報に関する資料を持参して,自社が本件工事2の受注を希望している旨を伝えた。 本件工事2は,その予定価格から「A・C」ランクの工事とされ,公社は,建設共同企業体の代表者となるべき業者として事業者ランクAの業者10社を選定し,その下で構成員となる業者として事業者ランクCの業者並びに直近上位の事業者ランクBの業者及び直近下位の事業者ランクDの業者から10社を選定し指名した。指名された事業者ランクAの業者10社のうち,株式会社P32,P33株式会社及びP34株式会社を除く7 社は,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成10年4月28日以降,被告P2は,本件工事2の施工場所の最も近くに所在する株式会社P17とP2・P17建設共同企業体を結成した。 被告P2は,入札日である平成10年5月26日までに,指名を受けた各社に対して,自社が本件工事2の受注を希望している旨を伝え,また,入札してもらう価格を連絡し,又は相手方の入札価格を確認した。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P2を代表者とするP2・P17建設共同企業体が本件工事2の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP2・P17建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,P2・P17建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるように協力した。 P2・P17建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事2につき,予定価格2億8322万8000円の99.21%に当たる2億8100万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億8100万 き受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事2につき,予定価格2億8322万8000円の99.21%に当たる2億8100万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億8100万円から最低制限価格2億2658万3000円を差し引いた5441万7000円に消費税5%相当額272万0850円を加えた5713万7850円の損害を被った。 ウ本件工事3について被告P3は,本件工事3の受注を希望しており,平成9年6月以前から受注に向けて運動を続けていた。 本件工事3は,その予定価格から「A・B」ランクの工事とされ,公社は,建設共同企業体の代表者となるべき業者として事業者ランクAの業者10社を選定し,その下で構成員となる業者として事業者ランクBの業者7社及び直近下位の事業者ランクCの業者3社を選定し指名した。指名された事業者ランクAの業者10社のうち,P35株式会社(以下「P35」という。),P36株式会社(以下「P36」という。),被告P11,被告P3,旧P7及び株式会社P37(以下「P37」という。)は営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年3月9日以降,被告P3はP18株式会社(以下「P18」という。)とP3・P18建設共同企業体を結成した。 被告P3は,入札日である平成11年3月29日までに,指名を受けた各社に対して,自社が本件工事3の受注を希望している旨を伝え,また,相手方の入札価格を確認した。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P3を代表者とするP3・P18建設共同企業体が本件工事3の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP3・P18建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識し 同企業体が本件工事3の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP3・P18建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で,又は受注する可能性がないと思われる価格で入札に参加し,P3・P18建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるように協力した。 P3・P18建設共同企業体は,上記の合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事3につき,予定価格3億663 3万6000円の99.91%に当たる3億6600万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格3億6600万円から最低制限価格2億9307万円を差し引いた7293万円に消費税5%相当額364万6500円を加えた7657万6500円の損害を被った。 エ本件工事4について被告P4は,自社と特別な関係にある建設コンサルタントであるP38が,本件工事4に係る調査設計作業の入札参加者として指名されたことから,本件工事4の物件の受注を希望していた。 被告P4は,P28に対し,本件工事4に係る設計仕様書及び図面等を持参して,自社が本件工事4の受注を希望している旨を伝えた。また,被告P4は,公社が本件工事4の入札予定を公表した後,少なくともP39株式会社(以下「P39」という。)及びP40株式会社(以下「P40」という。)に対し,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けた各社は,被告P4が本件工事4の受注を希望していることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事4は,技術困難としてAランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者10社を指名した。指名された業者のうち,P41株式会社(以下「P41」という。),被告P4,P39,P42株式会社(以下「P42 ,技術困難としてAランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者10社を指名した。指名された業者のうち,P41株式会社(以下「P41」という。),被告P4,P39,P42株式会社(以下「P42」という。),P43株式会社(以下「P43」という。)及びP40は営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年3月23日以降,入札日である同年4月 5日までに,被告P4は,指名を受けた各社に対して,自社が本件工事4の受注を希望している旨を伝え,また,入札してもらう価格を連絡し,又は相手方の入札価格を確認した。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P4が本件工事4の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の入札価格が被告P4の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,被告P4が予定価格近似の金額で落札できるように協力した。 被告P4は,上記の合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事4につき,予定価格2億3518万6000円の97.79%に当たる2億3000万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億3000万円から最低制限価格1億8815万円を差し引いた4185万円に消費税5%相当額209万2500円を加えた4394万2500円の損害を被った。 オ本件工事5について被告P5は,20年くらい前に本件工事5の施工場所から数百メートルの場所で八王子市発注の下水道工事を施工した実績があったこと,他の仲間業者が受注を希望している様子がなかったこと,被告P5は平成2年ころから公社の土木物件を受注していなかったことなどから,本件工事5の受注を希望していた。 被告P5は,平成11年4月ころ,P28に対し,本件工事5の受注を希 様子がなかったこと,被告P5は平成2年ころから公社の土木物件を受注していなかったことなどから,本件工事5の受注を希望していた。 被告P5は,平成11年4月ころ,P28に対し,本件工事5の受注を希望している旨を伝えた。このようなことから,本件工事5について,被告P5は,基本合意により,仲間業者から受注予定者とされていた。 被告P5は,公社が本件工事5の入札予定を公表した後,少なくとも被告P8に対して,自社が本件工事5の受注を希望している旨を伝え,また,P39,株式会社P44(以下「P44」という。),P45株式会社(以下「P45」という。),株式会社P46(以下「P46」という。),P43,P47株式会社及びP40等に対して,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けた各社は,被告P5が本件工事5の受注を希望していることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事5は,その予定価格からAランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者10社を指名した。指名された業者のうち,P46,被告P5,被告P8,P39,P45,P44,P43及び株式会社P48(以下「P48」という。)は,営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年6月8日以降,入札日である同月21日までに,被告P5は,指名を受けた各社に対して,自社が本件工事5の受注を希望している旨を伝え,また,自社の入札価格若しくは入札してもらう価格を連絡し,又は相手方の入札価格を確認した。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P5が本件工事5の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の入札価格が被告P5の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,被告P5が予定価格近似の 告P5が本件工事5の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の入札価格が被告P5の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,被告P5が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 被告P5は,上記の合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社 の協力を得て,本件工事5につき,予定価格2億3804万6000円の99.77%に当たる2億3750万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億3750万円から最低制限価格1億9044万円を差し引いた4706万円に消費税5%相当額235万3000円を加えた4941万3000円の損害を被った。 カ本件工事6について被告P6は,自社と特別な関係にある建設コンサルタントであるP49が,本件工事6に係る調査設計作業の入札参加者として指名されたことから,本件工事6の受注を希望していた。被告P6は,基本合意に基づき,本件工事6の受注予定者とされていた。 被告P6は,公社が本件工事6の入札予定を公表した後,少なくとも株式会社P50(以下「P50」という。)に対して,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けたP50は,被告P6が,基本合意により本件工事6の受注予定者であることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事6は,その予定価格から「A・B」ランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者と事業者ランクBの業者からそれぞれ10社を指名した。事業者ランクAとして指名された業者のうち,少なくとも株式会社P51を除く9社は営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年6月8日以降,被告P6は,P19株式会社(以下「P19」という。)とP6・P19建設共同企業体を結成し た。 簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年6月8日以降,被告P6は,P19株式会社(以下「P19」という。)とP6・P19建設共同企業体を結成し た。 被告P6は,入札日である平成11年6月28日までに,指名を受けたP50や株式会社P52(以下「P52」という。)などに対して,入札してもらう価格を連絡し,又は相手方の入札価格を確認した。 指名を受けたすべての業者は,以上の過程で被告P6を代表者とするP6・P19建設共同企業体が本件工事6の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP6・P19建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,P6・P19建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 P6・P19建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事6につき,予定価格4億7352万5000円の99.89%に当たる4億7300万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格4億7300万円から最低制限価格3億7882万円を差し引いた9418万円に消費税5%相当額470万9000円を加えた9888万9000円の損害を被った。 キ本件工事7について旧P7は,本件工事7の施工場所の近隣において下水道築造工事を施工した実績があるため,本件工事7の受注を希望していた。 旧P7は,P28に対し,自社が本件工事7の受注を希望している旨を伝えた。旧P7は,基本合意により,本件工事7の受注予定者とされていた。 旧P7は,公社が本件工事7の入札予定を公表した後,少なくともP53株式会社(以下「P53」という。)に対し,公社に工事希望票を提出するよう依頼した り,本件工事7の受注予定者とされていた。 旧P7は,公社が本件工事7の入札予定を公表した後,少なくともP53株式会社(以下「P53」という。)に対し,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けたP53は,旧P7が,基本合意により本件工事7の受注予定者とされていることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事7は,その予定価格から「A・B」ランクの工事とされ,公社は事業者ランクAの業者と事業者ランクBの業者からそれぞれ10社を指名した。指名された事業者ランクAの業者のうち,少なくともP54株式会社,P55株式会社及びP56株式会社(以下「P56」という。)を除く7社は営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成11年7月27日以降,旧P7は,P20株式会社とP7・P20建設共同企業体を結成した。 旧P7は,入札日である平成11年8月16日までに,指名を受けた業者に対して,自社が本件工事7の受注を希望している旨を伝え,また,入札してもらう価格を連絡した。 指名を受けた業者は,以上の過程で旧P7を代表者とするP7・P20建設共同企業体が本件工事7の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP7・P20建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,P7・P20建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 P7・P20建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた業者の協力を得て,本件工事7につき,予定価格3億1270万8000円の99.77%に当たる3億1200万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格3億1200万円から最低制限価格 ,指名を受けた業者の協力を得て,本件工事7につき,予定価格3億1270万8000円の99.77%に当たる3億1200万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格3億1200万円から最低制限価格2億5017万円を差し引いた6183万円に消費税5%相当額309万1500円を加えた6492万1500円の損害を被った。 ク本件工事8について被告P8は,自社と特別な関係にある建設コンサルタントであるP57が本件工事8に係る調査設計作業の入札参加者として指名されたこと,及び平成9年にα13営業所を開設してから多摩地区における受注実績がなく受注実績を作りたかったことから,本件工事8の受注を希望していた。 被告P8は,P28に対し,P57から入手した調査設計作業の情報を持参して,自社が本件工事8の受注を希望している旨を伝え,基本合意により,本件工事8の受注予定者とされていた。 被告P8は,公社が本件工事8の入札予定を公表した後,少なくともP40及びP58株式会社(以下「P58」という。)に対し,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けた各社は,被告P8が本件工事8の受注を希望していることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事8は,その予定価格からAランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者10社を指名した。指名された業者のうち,少なくともP58と被告P8は,営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされ ているものである。 公社が指名を行った平成11年8月3日以降,入札日である同月16日までに,被告P8は,指名を受けたP58や他の業者に対して,自社が本件工事8の受注を希望している旨を伝えた。 指名を受けた業者は,以上の過程で被告P8が本件工事8の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札にお 受けたP58や他の業者に対して,自社が本件工事8の受注を希望している旨を伝えた。 指名を受けた業者は,以上の過程で被告P8が本件工事8の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の入札価格が被告P8の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,被告P8が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 被告P8は,上記の合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事8につき,予定価格2億0681万9000円の99.60%に当たる2億0600万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億0600万円から最低制限価格1億6575万円を差し引いた4025万円に消費税5%相当額201万2500円を加えた4226万2500円の損害を被った。 ケ本件工事10について被告P9は,本件工事10の施工場所の近隣において施工した実績があること,及び自社と特別な関係にある建設コンサルタントが本件工事10に係る調査設計作業の入札参加者として指名されたことから,本件工事10の受注を希望していた。被告P9は,基本合意により,本件工事10の受注予定者とされていた。 被告P9は,公社が本件工事10の入札予定を公表した後,少なくとも被告P4に対し,自社が本件工事10の受注を希望している旨を伝えた上 で,公社に工事希望票の提出をするよう依頼した。依頼を受けた被告P4は,被告P9が本件工事10の受注を希望していることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事10は,その予定価格から「A・B」ランクの工事とされ,公社は事業者ランクAの業者と事業者ランクBの業者からそれぞれ10社を指名した。指名された事業者ランクAの業者のうち,少なくとも建設共同企業体の代表者となったP41,株式会社P59 クの工事とされ,公社は事業者ランクAの業者と事業者ランクBの業者からそれぞれ10社を指名した。指名された事業者ランクAの業者のうち,少なくとも建設共同企業体の代表者となったP41,株式会社P59(以下「P59」という。),被告P9,P30,被告P4,株式会社P60(以下「P60」という。)及び株式会社P61(以下「P61」という。)は,営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成12年4月11日以降,被告P9はP22株式会社とP9・P22建設共同企業体を結成した。 被告P9は,入札日である平成12年5月1日までに,指名を受けた被告P4,P60,P59及びP41等に対して,自社が本件工事10の受注を希望している旨を伝え,また,入札してもらう価格を連絡し,若しくは相手方の入札価格を確認し,又はこれらの者から自社の入札価格の確認を受けた。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P9を代表者とするP9・P22建設共同企業体が本件工事10の物件の受注を希望していることを認識し,最終的には,入札において,自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP9・P22建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,P9・P22建設共同企業体が予定価格近似 の金額で落札できるよう協力した。 P9・P22建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事10につき,予定価格3億5180万5000円の98.07%に当たる3億4500万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格3億4500万円から最低制限価格2億8144万円を差し引いた6356万円に消費税5%相当額317万8000円を加えた6673万8000円の損害を被った。 コ本件工事12につい 八王子市は,落札価格3億4500万円から最低制限価格2億8144万円を差し引いた6356万円に消費税5%相当額317万8000円を加えた6673万8000円の損害を被った。 コ本件工事12について被告P10は,多摩地区において長い間受注実績がなかったため,本件工事12の受注を希望していた。 本件工事12は,公社において,その予定価格から「A・C」ランクの工事とされ,公社は,事業者ランクAの業者と事業者ランクCの業者からそれぞれ10社を指名した。指名された事業者ランクAの業者のうち,少なくとも被告P10,P58,P39及びP44は,営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 被告P10は,単独であれば本件工事12の受注予定者となる条件は有していなかったが,建設共同企業体の代表者として指名された仲間業者の中にはいずれも受注予定者になり得る条件を持っている業者がなかった。 被告P10は,公社が本件工事12の入札予定を公表したころ,P28に対し,自社が,本件工事12の受注を希望している旨を伝え,建設共同企業体の構成員の中では最も優れた地域性を有しているP25株式会社と建設共同企業体を結成する合意ができたことから,基本合意により本件工 事12の受注予定者とされることになった。 被告P10は,入札日である平成12年7月31日までに,指名を受けた広域総合建設業者各社に対して,相手方の入札価格を確認し,又は同各社から自社の入札価格の確認を受けるなどした。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P10を代表者とするP15・P25建設共同企業体が本件工事12の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP15・P25建設共同企業体の入札価格よりも高い価格になることを認識 企業体が本件工事12の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP15・P25建設共同企業体の入札価格よりも高い価格になることを認識した上で入札に参加し,P15・P25建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 P15・P25建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた広域総合建設業者各社の協力を得て,本件工事12につき,予定価格2億9080万9000円の99.03%に当たる2億8800万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格2億8800万円から最低制限価格2億3265万円を差し引いた5535万円に消費税5%相当額276万7500円を加えた5811万7500円の損害を被った。 サ本件工事13について被告P11は,本件工事13の施工場所の近隣において八王子市発注の下水道工事を施工した実績があるため,本件工事13の受注を希望していた。被告P11は,基本合意により,本件工事13の受注予定者とされていた。 被告P11は,公社が本件工事13の入札予定を公表した後,P62株式会社(以下「P62」という。),P63株式会社(以下「P63」という。),P37,被告P3,P21,P39,株式会社P64(以下「P64」という。),P65株式会社(以下「P65」という。),株式会社P66,株式会社P67(以下「P67」という。),P41,株式会社P68(以下「P68」という。),P69株式会社(以下「P69」という。),P70株式会社(以下「P70」という。),P71株式会社(以下「P71」という。)及びP72株式会社に対して,自社が本件工事13の受注を希望している旨を伝えた上で,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けた各社は 」という。),P71株式会社(以下「P71」という。)及びP72株式会社に対して,自社が本件工事13の受注を希望している旨を伝えた上で,公社に工事希望票を提出するよう依頼した。依頼を受けた各社は,被告P11が基本合意により本件工事13の受注予定者とされていることを認識した上で,公社に対し工事希望票を提出した。 本件工事13は,その予定価格から「A・A」ランクの工事とされ,公社は事業者ランクAの業者の中から20社を指名した。指名された業者のうち,少なくとも建設共同企業体の代表者となった者は,いずれも営業関係者名簿に掲載されており,仲間業者とされているものである。 公社が指名を行った平成12年8月1日以降,被告P11は,P18とP11・P18建設共同企業体を結成した。 被告P11は,入札日である平成12年8月23日までに,指名を受けた建設共同企業体の代表者各社に対して,自社が本件工事13の受注を希望している旨を伝え,また,自社の入札価格若しくは入札してもらう価格を連絡し,又は相手方の入札価格を確認した。 指名を受けた各社は,以上の過程で被告P11を代表者とするP11・P18建設共同企業体が本件工事13の受注を希望していることを認識し,それに異議を唱えず,入札において,自社の組織する建設共同企業体の入札価格がP11・P18建設共同企業体の入札価格よりも高い価格となることを認識した上で入札に参加し,P11・P18建設共同企業体が予定価格近似の金額で落札できるよう協力した。 P11・P18建設共同企業体は,上記合意に基づき受注予定者となり,指名を受けた各社の協力を得て,本件工事13につき,予定価格7億9201万2000円の99.75%に当たる7億9000万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格7億9000万円から最低制限価格6億3 受けた各社の協力を得て,本件工事13につき,予定価格7億9201万2000円の99.75%に当たる7億9000万円で受注した。 その結果,八王子市は,落札価格7億9000万円から最低制限価格6億3361万円を差し引いた1億5639万円に消費税5%相当額781万9500円を加えた1億6420万9500円の損害を被った。 (4)被告らの不法行為と八王子市の損害との関係(争点(3))について八王子市と公社との間で締結された業務委託契約によれば,委託費は,工事費,支障物件処理費及び公社の事務費から成っており,委託費のうち公社の事務費は,八王子市と公社の協議によって定めた「事務費率算定基準」により算定することとなっている。実際には,公社が作成した基準を八王子市が承認することで運用されており,いずれの自治体も同じ基準を適用している。 本件に適用される「下水道業務受託事務費算定基準」によれば,工事監督管理業務に関する事務費は,工事1件ごとの工事費(公社と工事請負人との間の契約額。ただし,契約変更があった場合は変更後の契約額。)に金額ご とに定められた事務費率を乗じて算出した金額(工事請負人と契約した後,契約変更によって金額が変動した場合は,実変動額に4.4%を乗じた額を加算する。)によって算出されることとなる。 以上述べたことから明らかなとおり,八王子市が公社に支払う委託料は,公社と各契約を締結した被告らとの間の契約金額に連動する仕組みとなっているので,被告らの不法行為によって直接の発注者たる公社が被った損害は,当然に委託主である八王子市に転嫁されることになる。 (5)違法な怠る事実の有無(争点(5))について談合行為については,民法709条に基づく損害賠償請求権と独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の2つの別個の請求権が考えられるが,これ とになる。 (5)違法な怠る事実の有無(争点(5))について談合行為については,民法709条に基づく損害賠償請求権と独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の2つの別個の請求権が考えられるが,これらの請求権は法律要件の異なる別個の金銭債権であり,別々に行使することが可能である以上,独占禁止法に基づく損害賠償請求権の行使を優先すべきであるとする根拠は存在しない。 また,地方自治法及び地方自治法施行令の規定からすれば,金銭債権は,それが存在する以上,行使するのが原則であり,行使しないことについての裁量権は認められないと解すべきである。民法709条に基づく損害賠償請求権については,独自に短期消滅時効が成立する可能性があるので,八王子市は,時効中断等についての配慮もしないまま債権を行使しないことは許されない。 (被告らの主張)以下は,被告を個別に特定しない限り,被告ら共通の主張である。 (1)基本合意の存否(争点(1))について 原告らの主張する基本合意は不明確であり,具体性を欠く。 本件が,独占禁止法25条に基づく訴訟ではなく,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であるという以上,原告らとしては,独占禁止法の不当な取引制限の必要最小限の成立要件である基本的な抽象的合意ではなく,不法行為の成立要件としての権利侵害及び違法性が認められるべき具体的事実を主張しなければならないはずである。 原告らが基本合意なるものに加わった企業(事業者)を80社と主張するのは,P27新聞社発行の営業関係者名簿によっているものと思われるが,同名簿は,基本合意なるものとは何ら関係のないP27新聞社が作成したものであり,その作成の目的も基本合意の当事者の範囲を特定するためのものではなかったのであるから,同名簿に記載してある事業者を基本合意の当事者として特定するのは牽 ら関係のないP27新聞社が作成したものであり,その作成の目的も基本合意の当事者の範囲を特定するためのものではなかったのであるから,同名簿に記載してある事業者を基本合意の当事者として特定するのは牽強付会の非難を免れない。 また,原告らは,「P28参り」の慣行の存在を主張する一方で,同慣行により被告P13の従業員が受注予定者の決定に関与したとの事実は本件工事12の1件を除いて主張立証しておらず,同慣行の根拠たる事実が全く主張立証されていないのであるから,「P28参り」の慣行など存在しなかったことは明白である。 これらの点をおくとしても,原告ら主張に係る基本合意は,現実には存在せず,また,仮に存在し得たとしても,それは何ら不法行為を構成するものではない。すなわち,公社発注の特定土木工事という一定の取引分野では,その入札に参加した広域総合建設業者80社のみならず,同じく入札に参加した地元業者162社をも加えた基本合意なるものを想定しなければ,その 取引分野における競争を実質的に制限することはできず,原告ら主張の基本合意が存在するとしても,受注調整をなし得る合意とならないはずである。 結局,八王子市に一定の損害を与える受注調整を内容とする基本合意なるものは認められず,被告らが各個別工事を落札したことは,原告ら主張の基本合意とは何らの因果関係もない。 (2)個別談合の存否(争点(2))について原告らは,仮に基本合意が認められなくとも,個別工事を落札した被告らが行った個別談合により,個別工事に関する競争が回避され,当該入札の予定価格に接近した価格で落札されていたため,八王子市に一定の損害を与えていたことになり,不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,そのように基本合意が認められない場合には,受注調整に関する基本的な認識基盤を欠いた事業者 札されていたため,八王子市に一定の損害を与えていたことになり,不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,そのように基本合意が認められない場合には,受注調整に関する基本的な認識基盤を欠いた事業者間で,指名から入札までの短期間に,受注予定者を決め,他の事業者はこれに協力する旨を何らの下地もないまま各事業者間で個別に,又は一同に会するなどして合意していかなくてはならず,その個別談合の態様,内容,条件などは,個別物件ごとに千差万別なものとなるはずである。 そのため,原告らは,本件で個別談合を基礎付ける行為及びその形成過程を各個別物件ごとに具体的に特定し,主張すべきであるにもかかわらず,基本合意の存在を前提としているかのごとく,一定の推測から同様の抽象的表現で各個別談合の状況を主張するにすぎないのであって,原告らの上記主張は,それ自体失当である。 特に,前記のとおり,被告らを始めとする80社の広域総合建設業者のほ かに,受注意欲及び受注能力ともにある162社の事業者が存在し,この162社との競争が成立する上,この162社と被告らは基本合意の存在すら想定できないほど,受注調整に関する共通の認識がないのであるから,原告らは,上記個別談合の主張を維持するのであれば,被告らによる指名及び入札段階における上記162社に属する事業者との間の各競争を制限する行為を個々具体的に明確にして特定すべきである。 なお,原告らの予備的請求は本件監査請求の対象となっていないため,予備的請求に係る訴えは,住民監査請求を前置していない不適法な訴えといえる。 ア本件工事1に関する被告P1の主張被告P1が本件工事1について個別談合を行ったことはない。 被告P1は平成8年に初めてα12営業所を開設したものであり,多摩地区における受注実績がなかった。しかも,被告P1は,同 関する被告P1の主張被告P1が本件工事1について個別談合を行ったことはない。 被告P1は平成8年に初めてα12営業所を開設したものであり,多摩地区における受注実績がなかった。しかも,被告P1は,同年までは公社発注の土木工事について事業者ランクがBであったものであり,被告P1の事業者ランクがAとなったのは同9年からである。それゆえ,被告P1にはいわゆる「条件」がなく,本件工事1を談合により落札できる可能性は極めて小さいものであった。また,被告P1は,事業者ランクがAになって間もない業者であるため,仮に談合の基本合意が存在したとしても,その理解が十分でなかったはずである。 被告P1が相指名業者に受注意欲を表明したのは,本件工事1の現場説明会においてのみであり,その場で相指名業者から異議が出なかったとしても,被告P1が受注予定者と決まることにはならない。 また,被告P1の現場担当者は,同被告積算部に対し,本件工事1につき,より低額の積算をするよう要請し,その結果,2億4550万円との入札価格が決定されたものの,さらに,同現場担当者は,同入札価格では落札できないとの不安を感じ,100万円を減額して入札しているのであって,上記事実からも,被告P1が談合していないことは明らかである。 イ本件工事2に関する被告P2の主張被告P2が本件工事2について個別談合を行ったことはない。 被告P2が本件工事2について受注を希望していることを他の広域総合建設業者6社の関係者に表明したことがあったとの被告P2の元従業員の供述が記載された供述調書は存在するが,同人は本件工事2の入札についての被告P2の営業責任者でもなく,同入札についての入札参加事業者の行動や対応についての同人の供述内容がすべて想像や伝聞にすぎないことは供述調書の記載自体から明らかであって,そ 件工事2の入札についての被告P2の営業責任者でもなく,同入札についての入札参加事業者の行動や対応についての同人の供述内容がすべて想像や伝聞にすぎないことは供述調書の記載自体から明らかであって,その信用性は著しく低い。また,仮にそのような受注希望の表明がされたとしても,そのことが上記入札の参加事業者全員による受注予定者の決定を意味するものでないことは明らかであり,また,実際の入札に当たって,他の入札参加事業者がいずれも受注予定者なる者が落札できるようにその者の入札価格より高い価格で入札したという証拠はない。 そればかりか,上記広域総合建設業者6社のうち2社は,公正取引委員会の審判手続における被審人にもなっておらず,入札に参加した建設共同企業体のうち2団体は,その代表者が広域総合建設業者ですらない。 このように,本件工事2では,その入札参加事業者の相当部分がいわゆ るアウトサイダーであったのであり,仮に本件について公正取引委員会の勧告に係る違反行為なるものを前提にしても,およそ被告P2が受注調整を行うことは不可能である。 ウ本件工事3に関する被告P3の主張被告P3が本件工事3について個別談合を行ったことはない。 被告P3が被告P11に対して協力依頼をした旨記載されている関係者の供述調書は,部下からの伝聞に基づく内容が記載されるなどしており,信用できず,その他の関係者の供述調書も,むしろ談合がなかったことを証明するものである。 エ本件工事4に関する被告P4の主張被告P4が本件工事4について個別談合を行ったことはない。 本件では基本合意の存在が認められないところ,本件工事4につき,原告らが主張する程度の協力依頼によって談合が成立する余地はない。原告らが個別談合による不法行為を主張するのであれば,その主張責任からしても,行為者,時期及 が認められないところ,本件工事4につき,原告らが主張する程度の協力依頼によって談合が成立する余地はない。原告らが個別談合による不法行為を主張するのであれば,その主張責任からしても,行為者,時期及び行為の内容等により具体的な事実関係を示すべきであり,そうでなければ,請求原因たる不法行為を特定したことにはならない。 本件工事4に関する被告P4の従業員その他の関係者の供述調書等は,抽象的かつあいまいな内容で,具体的かつ特徴的な事実を含まず,不自然な部分もあって,信用性に乏しいものである。 オ本件工事5に関する被告P5の主張被告P5が本件工事5について個別談合を行ったことはない。 本件工事5については,原告らが主張する基本合意の参加者以外の事業者が指名されて入札参加者となっており,原告らの主張を前提としても,入札の結果を左右する談合は成立し得ない。 そして,不法行為に基づく損害賠償請求を行うためには,個別談合行為の特定が必要であるところ,原告らの主張によっては,いまだ個別談合行為及びその個別談合の内容の形成経緯等が具体的に特定されていないのであるから,原告らの主張は失当である。 カ本件工事6に関する被告P6の主張被告P6が本件工事6について個別談合を行ったことはない。 被告P6が本件工事6を落札できたのは,受注調整によるものではない。 被告P6は,相当以前からの工事実績で,工事現場の土質を把握できていたことから,土質に対する不確定要素が他社より少なく,安全面に過度に傾かない低い価格設定ができたし,現場に隣接した地元業者であるP19と建設共同企業体を結成することで,価格低減に直結する種々のノウハウの提供が得られるなどの強みがあった。その結果,他社に勝てる入札価格を見積もることができ,落札したものである。 本件工事6等に関する被告P6α1 業体を結成することで,価格低減に直結する種々のノウハウの提供が得られるなどの強みがあった。その結果,他社に勝てる入札価格を見積もることができ,落札したものである。 本件工事6等に関する被告P6α14事務所長P73の供述調書は,その信用性及び趣旨について争う。同供述調書の記載からしても,被告P6の担当者が本件工事6の受注調整を認めていないことは明らかである。また,本件工事6の関係者の供述調書についても,その内容は具体性を欠き,その証明力及び信用性を争う。 キ本件工事7に関する引受参加人P7の主張 旧P7が本件工事7について個別談合を行ったことはない。 ク本件工事8に関する被告P8の主張被告P8が本件工事8について個別談合を行ったことはない。 被告P8がP40らに工事希望票の提出を依頼したことは認めるが,P58に同様の依頼をした事実は否認する。 また,被告P8が本件工事8の相指名業者に対し受注意欲を伝えた事実はない。 ケ本件工事10に関する被告P9の主張被告P9が本件工事10について個別談合を行ったことはない。 被告P9の従業員の供述調書は,何ら本件工事10で談合が行われたことを記載しておらず,その他の関係者の供述調書の内容については不知ないし否認する。 コ本件工事12に関する被告P10の主張被告P10が本件工事12について個別談合を行ったことはない。 関係者の供述調書によっても,被告P10の従業員が他社と連絡を取るなどして個別談合をした事実は認められない。 また,本件工事12の指名業者である建設共同企業体の代表者のうち,広域総合建設業者は被告P10を含めて4社にすぎず,6社は地元業者であるところ,原告らが本件工事12において個別談合が成立したと主張するのであれば,これら地元業者に対しても被告P10が受注予定者となることの承認を は被告P10を含めて4社にすぎず,6社は地元業者であるところ,原告らが本件工事12において個別談合が成立したと主張するのであれば,これら地元業者に対しても被告P10が受注予定者となることの承認を得るとともに,入札に際して入札価格を連絡したことなどについて具体的に主張立証すべきであるが,このような主張立証はない。 サ本件工事13に関する被告P11の主張被告P11が本件工事13について個別談合を行ったことはない。 (3)八王子市における損害の発生(争点(3))について原告らが主張する談合は,公社発注の特定土木工事についてされたというのであるから,公社に損害が生じることはあっても,八王子市には損害が生じない。 (4)損害の額(争点(4))について原告らは,八王子市の被った損害は,各物件の落札価格と公社の定めた最低制限価格の差額に消費税相当額を加えた金額であると主張する。原告らは,その根拠として,平成9年10月1日から同12年9月27日までに入札が行われた物件で,落札価格が予定価格の80%であるものが存在することを挙げている。 しかしながら,原告らが主張しているのは落札価格が予定価格の80%である物件が存在しているという事実のみであって,原告らの主張する基本合意が存在しない場合においては,必ず落札価格が予定価格の80%となる理由は述べていない。 この点,公正取引委員会による立入検査が行われた後の平成12年10月1日から同17年9月30日までに入札のあった公社発注の特定土木工事139物件のうち,落札率が80%である物件は50件だけであり,残り89物件は落札率は80%ではない。原告らの主張を前提とすれば,上記89物件についても談合がされていたことになるが,上記139物件は公正取引委員会によって違反行為が行われなくなったとされている同 り89物件は落札率は80%ではない。原告らの主張を前提とすれば,上記89物件についても談合がされていたことになるが,上記139物件は公正取引委員会によって違反行為が行われなくなったとされている同12年10月1日 以降に入札のあった物件であり,これらに関しては,公正取引委員会も談合が行われたとは全く主張していない。この点のみを見ても,原告らの主張に理由がないことは明らかである。 また,P74の調査によると,地方公共団体が発注者となる工事の落札率は,全国平均で94%(平成15年度及び同16年度)とされている。 (5)違法な怠る事実の有無(争点(5))について本件訴訟は,八王子市が被告らに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているにもかかわらず,その行為を怠っているとして,改正前法242条の2第1項4号に基づき,被告らを「財産の管理を怠る事実」に係る相手方として,八王子市に賠償金を支払うようその請求権を代位行使するというものである。 ところで,その代位請求のためには,単に当該地方公共団体の執行機関等の財務会計職員に財務会計上の怠る事実があるというだけでは足りず,その怠るという不作為が作為義務に違反する違法なものであること,すなわち,財務会計職員が請求等の権利行使をしなければならないことが法令の規定から明らかである場合,又は,同職員に裁量権がある場合には権利を行使しないことがその裁量権の範囲を超え,若しくはその濫用となる場合に,初めて許容されるものである。改正前法242条の2第1項4号は,地方公共団体の住民に対し,損害賠償請求権等の地方公共団体の有する債権の行使について行政権限を付与したものではなく,その不行使状態が作為義務に違反して違法となったときに,地方財務行政の適正性確保の見地から,住民が訴えをもってその是正等を求めること 共団体の有する債権の行使について行政権限を付与したものではなく,その不行使状態が作為義務に違反して違法となったときに,地方財務行政の適正性確保の見地から,住民が訴えをもってその是正等を求めることを認めたものであることに留意すべきである。 本件監査請求は,前記前提事実(6)イのとおり,談合行為の存否につき,現時点で八王子市が具体的に立証できるほど明白なものとなっておらず,公正取引委員会の審決が確定した上で損害賠償請求権の行使について検討することが妥当であり,八王子市長が民法709条に基づく損害賠償請求権を行使しないことは,違法又は不当に財産の管理を怠る事実に該当しないなどの理由で,棄却されており,八王子市監査委員は,損害賠償請求権の性質,内容及び額の確定等のほか,行使の時期についても八王子市に裁量権があることを前提に,公正取引委員会の審決の確定の時をめどにこれを検討するのが妥当としている。すなわち,現時点において直ちに損害賠償請求権の行使をしないことをもって違法状態にあるとはいえないことを前提としているものである。 民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求権は,不法行為の時に期限の定めのない債権として成立するが,この債権をいつ,どのように請求して行使するかは権利者の自由であり,成立した時に行使しなければならないというものではない。このことは,権利者が地方公共団体であっても同様であり,その請求権をいつ,どのように行使するかは地方公共団体の財務会計職員の裁量にゆだねられ,当該地方公共団体に不利益を及ぼす特段の事情が認められない限り,直ちに権利行使しないからといってこれを違法と評価することはできない。そして,本件において,仮に被告らに対する損害賠償請求権が認められるとしても,例えば,遅延損害金は不法行為の時から起算されるし,その消 権利行使しないからといってこれを違法と評価することはできない。そして,本件において,仮に被告らに対する損害賠償請求権が認められるとしても,例えば,遅延損害金は不法行為の時から起算されるし,その消滅時効の起算日は被害者が損害の発生を現実に知った時とされ,また,独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算日は公正 取引委員会の審決確定の日とされているため(独占禁止法26条),八王子市においては不当な取引制限に係る行為(談合)や損害を確認することができないため審決が確定した時点で検討するという本件において,消滅時効が進行し完成するおそれはなく,そのほかに損害賠償請求権を直ちに行使しなければ違法となるような特段の事情は存在しない。 特に,本件で問題となっている不当な取引制限に係る行為(談合)の存否等は極めて専門的な分野に属するものであるから,それが公正取引委員会の審査,審判手続等の対象となっているときは(平成14年1月28日の審判開始決定以降,現在も審判期日が重ねられている。),その認定についての権限を有する公正取引委員会の判断を待って検討するという対応は,不確実な事実関係を前提に直ちに権利行使するよりもむしろ妥当な対応ということができるのであって,何ら非難されるいわれはない。 以上のとおり,被告らは,原告らの主張する損害賠償請求権の存在を争うものであるが,仮に八王子市が被告らに対して損害賠償請求権を有するとしても,これを現時点で行使しないことが法令の規定に違反するといえるものでないことはもとより,その裁量権の範囲を超え,又はその濫用となるものでもないから,その不行使をとらえて違法と評価できるものではなく,違法な「財産の管理を怠る事実」は存在しない。 第3争点に対する判断 争点(1)(基本合意の存否)について(1)P2 なるものでもないから,その不行使をとらえて違法と評価できるものではなく,違法な「財産の管理を怠る事実」は存在しない。 第3争点に対する判断 争点(1)(基本合意の存否)について(1)P28は,昭和40年4月1日付けで被告P13に入社し,同58年9月に同被告α11営業所に異動となり,平成3年8月に同営業所の所長に就任 し,同12年2月29日付けで同被告を退職した後,同年6月1日付けでP63に入社した者である(甲サ98)ところ,P28の公正取引委員会事務総局審査局審査官(以下「審査官」という。)に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである(以下,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用する場合に,明らかな誤字,脱字その他不適切な表記等があるときは,これらを補正した上で引用する。)。 ア平成12年11月7日付け供述調書(甲サ98)(ア)「私は,昭和58年9月にP13株式会社のα11営業所に赴任した後,当時上司でありましたP75所長の下で土木工事に関する営業活動を行う中で,総合建設業者,いわゆるゼネコンの多摩地区に営業所等の出先を置くなどして,多摩地区において官公庁発注の物件について営業活動を行っている者の間で,本命業者,すなわち工事の受注を目指す業者,言い換えますと受注予定者をあらかじめ話合いなどによって決めるという調整行為を行っていることを知りました。 したがいまして,この多摩地区において施工される官公庁発注の土木工事についての受注調整行為は,昭和58年9月以前より行われてきており,また,P13株式会社としては,この受注調整行為につき昭和58年9月以前から参加してきておりました。 この受注調整のスタート時期とか経緯などについては存じません。 この受注調整行為に参加していました当時のゼネコン業者数は6 しては,この受注調整行為につき昭和58年9月以前から参加してきておりました。 この受注調整のスタート時期とか経緯などについては存じません。 この受注調整行為に参加していました当時のゼネコン業者数は60社くらいで,このうち数社ほどは多摩地区に営業所等の出先を置いていなかったと記憶しており,ほとんどの業者は多摩地区に出先を置いていた と思います。 ちなみに,当時は,多摩地区に営業所等の出先事務所を置くゼネコンの土木工事関係営業の担当責任者等が出席する親睦会,名称はP26でしたが,この会員業者が60社くらいでしたから,今申しました受注調整行為への参加業者も60社くらいと思うものです。要するに,当時においては,P26の会員業者であるゼネコン60社ほどが多摩地区で施工される官公庁発注の土木工事について,いわゆる受注調整行為を行っておりました。P26が受注調整の機能を果たしたものではありません。 ただ,P26の会長としての役割ではなかったものの,会長としての立場上から,会員業者間の受注調整において,すんなりと本命業者が決まらず,もめたりしたときに,当事者から相談を受ければ,このようにした方がよいのではないかとか,もっとよく話合いをした方がよいといった,助言などを行う習わしがありまして,私は,平成4年ころのP26の廃止まで2年間程会長を務めましたから,確か平成2年4月ころに会長になりました後,受注調整行為が円滑に運べるよう,この助言などを行う役割を務めました。 P26は,平成4年ころに廃止されましたが,同会はいわゆる談合組織ではありませんでしたから,廃止に伴って受注調整を中止するということはありませんでした。そして,私は,P26の廃止時の,すなわち最後の会長であったこともありまして,引き続き多摩地区において官公庁発注の土木工事に関しての受注調 止に伴って受注調整を中止するということはありませんでした。そして,私は,P26の廃止時の,すなわち最後の会長であったこともありまして,引き続き多摩地区において官公庁発注の土木工事に関しての受注調整行為に参加していましたゼネコン各社の営業担当者から,受注調整に際して色々相談をされたりしたとき には,円滑に運ぶよう助言などをしてまいりました。」(イ)「P12公社の発注物件についても以前から対象となっておりました。」イ平成12年11月8日付け供述調書(甲サ110)(ア)「私が長く行ってまいりましたゼネコン各社の土木工事担当者から受注希望に関する相談を受けたり,それに応じて助言したり,またピーアール紙の差し出しを受けたりした役割についてですが,私が今年2月末をもってP13を退職した後は,以前からの流れとして,私の部下でありましたP76が担っていると思います。」(イ)「ちなみに,P76は,平成9年4月にP13のα11営業所に課長として赴任した後,私の部下として土木工事に関する営業活動の業務を担当してきており,平成10年4月だったと思いますが,現職のα11営業所次長に就任しております。」(ウ)「昨日の供述について訂正いただきたい部分がありますので,お願いいたします。それは,P26の廃止に伴って受注調整を中止せず,引き続き行ってきた旨の部分です。私の記憶では,同会を廃止する事情でもありましたが,公取さんがP77の件を調査したとのことから,主なゼネコンでは疑われるような行動をしない旨通達を出した経緯がありまして,そのための自粛として,P26の廃止から1年間くらいの間は,受注調整行為を行っていなかった時期がありました。このことは,個別的にどうかは別にして,全体的には行われなかったとの趣旨です。」ウ平成13年6月29日付け供述調書(甲 廃止から1年間くらいの間は,受注調整行為を行っていなかった時期がありました。このことは,個別的にどうかは別にして,全体的には行われなかったとの趣旨です。」ウ平成13年6月29日付け供述調書(甲サ99) (ア)「ゼネコンの多摩地区の土木業界における工事物件の受注に関する慣行について申します。 ゼネコンの多摩地区土木業界においての工事物件の受注に関する協力関係につきましては多くのゼネコンらは受注活動の対象となる工事物件の発注情報を営業活動の中で得て,それについて自社としてある程度受注期待を持つ場合には,その工事物件に関して自社が有する関連性,例えば,以前に自社が施工した工事物件の延長,継続工事であることとか,当該工事の工事地近辺において以前に工事を施工していることとか,当該工事物件に係る調査,実施設計業務に自社が関係する設計者が協力したこと等を挙げて,ピーアール紙といった資料を作成するなどして,他に受注意欲を持って営業活動を行っているゼネコン等他のゼネコンに対してピーアールしたり,話合いをしてきていました。 また,他のゼネコンから特にピーアールを受けなくても,あるいは,他のゼネコンと話合いをしなくても,勉強している過程で,立地等の面で他社の方が勝ることを知り,自社の関連性に優位性がないと判断して,受注を目指すことをあきらめるということもあると思います。 また,ピーアールの過程の話合いにおいていずれが有する関連性が優位であるかなどについて当事者間では決着が難しいといった難航した場合などに適切なアドバイスを得られるようにするために,P13株式会社α11営業所で所長をしていました私の所へ,相談などで訪れた方がありました。私は,応じて,持っている関連情報を教えたり,私の考えを述べて助言しました。そして,受注意欲を持つゼネコン当事者が話合 会社α11営業所で所長をしていました私の所へ,相談などで訪れた方がありました。私は,応じて,持っている関連情報を教えたり,私の考えを述べて助言しました。そして,受注意欲を持つゼネコン当事者が話合 いなどし,これを通じて,優位な条件を持つとして他のゼネコンから認識されたゼネコンが最終的に当該物件の受注を目指す者,すなわち本命業者となり,その者は,競争入札に当たって他の入札参加者に対して入札価格について連絡する等の協力方を依頼し,競争入札において他の入札参加者から協力を得られて落札するとのパターンです。 このような土木工事物件についての受注に関する協力関係,慣行は,多摩地区で営業活動を行ってきているゼネコンが共通的に受注対象とするP12公社,すなわち財団法人P12公社の発注物件と多摩地区自治体の発注物件とで特に違いがあるものでなく,基本的に同じです。」(イ)「ゼネコンの多摩地区での土木物件に関する受注調整においてのいわゆる助言役について申します。 私は,平成4年ころ廃止された多摩地区で土木物件について営業活動をするゼネコンの親睦団体でしたP26の会長を最後に務めましたが,会長としての立場から,会員業者間の受注調整において,すんなりと本命業者が決まらず,もめたりしたときに,当事者から相談を受ければ,このようにした方がよいといった助言を行う習わしがありまして,受注調整行為が円滑に運ぶよう,この役割を担いました。P26は廃止になりまして1年程後,自然発生的にゼネコン営業担当者からいろいろ相談されたときには,助言などを行ってまいりました。 私のほか,P78株式会社α15営業所の前所長であるP79さんも,このような助言などを行う立場にありましたが,P26の廃止後,その立場にいつからなったかははっきりいたしません。私がP79さんに頼 ん か,P78株式会社α15営業所の前所長であるP79さんも,このような助言などを行う立場にありましたが,P26の廃止後,その立場にいつからなったかははっきりいたしません。私がP79さんに頼 んだものではなく,彼独特のパフォーマンスでその立場になったものです。 他のゼネコン営業担当者から相談を受けた場合,私は私の立場で応じ,また,P79さんはP79さんの立場で応じておられたと思います。」(2)被告P13α11営業所次長であるP76の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 ア平成13年6月22日付け供述調書(甲サ231)「いわゆるピーアールにつきましては,当社α11営業所の前所長であるP28が,長く各ゼネコン土木営業担当者からの相談等に当たってきており,その後,私も昨年3月初め頃より資料の受け取りに対応した経緯がありました。しかし,公取委さんの立入検査は非常に衝撃的なことでしたから,間もなく,皆さんに集まってもらったとのことはないですけれども先程申したように先方から資料について尋ねられた折のほか,以前どおり資料を持参した者に対しても私は,今後は資料の受け取り等には応じられない旨話しました。 そして,ある時期に一斉的に無くなったとのことでなく,その後も,ぽつぽつと資料を持参して私を訪ねて来る方もあり,私は,『もう応じられない』と断っておりまして,昨年4月一杯くらいのころには,私の所に資料を持参される方は無くなったと思います。」イ平成13年5月31日付け供述調書(甲サ323)「財団法人P12公社の希望型指名競争入札に関しての入札参加依頼について申します。 略して『P12公社』の希望型指名競争入札に参加し,落札したいと考える業者が,他のゼネコンである業者に対して,その入札に参加してもらいたいと依 争入札に関しての入札参加依頼について申します。 略して『P12公社』の希望型指名競争入札に参加し,落札したいと考える業者が,他のゼネコンである業者に対して,その入札に参加してもらいたいと依頼すること,すなわち工事希望票の提出方を依頼する趣旨につきましては,その入札に参加する業者の多くが自社の落札に協力していただけるなら落札の期待が高まるからとの考えで,落札に協力してほしいとの意思で行うものです。落札に協力してもらう具体的な方法は,落札したいと考える業者が最低制限価格の限度で最低価格で入札しなければ落札となりませんが,協力を依頼する業者には,落札したいと考える業者の入札価格より高めの価格で入札してもらうことです。入札価格をもって協力してもらうには価格に関し連絡が必要です。その方法は,落札したいと考える業者が相手方に対して入札より1日か2日か前に電話により行うのですが,P12公社の場合,最多で3回目まで入札が行われますから,多くて3回分の入札をしてもらいたい価格を伝える方法,1回目は具体的な価格で,2回目と3回目は前回入札の最低札の価格から引き下げる幅を伝える方法,あるいは,相手方に積算価格を聞いて,答えられた価格での入札を頼み,自社はその価格を下回る価格をもって入札するという仕方もあります。それから数的に少ないですが,『お宅での積算価格で入札してください。』とお願いすることもあります。この場合,相手方には通常の積算をしてもらえますから,依頼する側は,ある程度利益幅をおさえた積算をして入札価格を定めれば,落札できることになります。」(3)上記各供述調書のほか,後記の多数の供述調書(後記(4)①ないし<58>)等を総合すれば,①多摩地区において営業活動を行う広域総合建設業者間で は,いつころからかは明らかでないにせよ,昭和 3)上記各供述調書のほか,後記の多数の供述調書(後記(4)①ないし<58>)等を総合すれば,①多摩地区において営業活動を行う広域総合建設業者間で は,いつころからかは明らかでないにせよ,昭和58年9月ころよりも前から,受注価格の低落防止等を図るため,多摩地区の市町村及び公社の発注する土木工事について,その施工場所の地域性(工事物件と自社関連施設との距離関係等),関連性(発注予定の工事物件に関連した工事を以前に施工した実績があるとか,自社と提携しているなど特別な関係にある建築設計会社又はコンサルタント会社,すなわちいわゆるダミコンが発注予定の工事物件に係る調査設計作業にかかわったことがある等の事情),受注の頻度,受注意欲の強弱及び営業活動開始時期の先後等の諸条件を勘案し,これら諸条件において優れると思われる業者等がまず受注希望者となり(なお,これら諸条件は広域総合建設業者につき考慮されるが,建設共同企業体が施工する工事物件の場合には,広域総合建設業者においてこれら諸条件が優れる者が明白でないとき,いわゆる地元業者等の建設共同企業体の構成員につき考慮されることもあり得る。),②元々そのような受注希望者が1名であるか,あるいは地域性及び関連性等において劣ると思われる業者が自主的に受注をあきらめるなどした結果,受注希望者が1名であるときは,その者を受注予定者とし,受注予定者から公社に対し工事希望票の提出を依頼されればこれに応じ,入札においては,あらかじめ入札予定価格等を相互に連絡するなどして,受注予定者による落札を妨げないこと,③受注希望者が複数であるときは,広域総合建設業者間での情報交換等により,互いに受注希望者であることを認識した者らの間で,上記諸条件を比較し合い,話合いによって受注予定者1名を決定するか,P28に対し事前にピー 複数であるときは,広域総合建設業者間での情報交換等により,互いに受注希望者であることを認識した者らの間で,上記諸条件を比較し合い,話合いによって受注予定者1名を決定するか,P28に対し事前にピーアール紙やピーアール図等と称する過去の施工実績に関する資料やいわゆるダミコンから入手した資料 等を持参して自社が上記諸条件において優れることを説明し,P28の助言や勧告等により受注予定者1名を決定するかし,受注予定者が決定した後は,上記②のとおり,他の広域総合建設業者は,受注予定者の落札に協力すること,④建設共同企業体による工事物件の場合,上記①ないし③の受注調整は,建設共同企業体の代表者となる広域総合建設業者間において行うこと,⑤上記①ないし④の受注調整のルールが通用するのは,平成4年ころにP26が解散した後は,その数に増減はあるものの(甲サ2),おおむねP27新聞社が発行する営業関係者名簿に記載された広域総合建設業者であること(甲サ11ないし13,19ないし23,25,28,30,34ないし41,45,46,48によれば,平成10年5月現在の同名簿に記載された広域総合建設業者の数は,別紙業者一覧表のとおり,約80社である。)などの慣行(以下「本件慣行」という。)があったことを認めることができる。 なお,後掲の表のとおり,別紙「P12公社発注の特定土木工事一覧表」(甲サ190)によれば,平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件につき,①落札率95%以上の工事が52件(うち落札率99%以上の工事は41件),②落札率90%以上95%未満の工事が2件,③落札率85%以上90%未満の工事が2件,④落札率80%以上85%未満の工事が16件(うち落札率80%以上81%未満の工事は15件)となっており, 件),②落札率90%以上95%未満の工事が2件,③落札率85%以上90%未満の工事が2件,④落札率80%以上85%未満の工事が16件(うち落札率80%以上81%未満の工事は15件)となっており,その平均落札率(同一覧表記載の落札率の値を合計し,工事件数72で除した数値)は94.54%となるが,別紙「特定土木工事一覧表」(乙イ2)によれば,公正取引委員会による立入検査が行われた後である同年10月1日から同17年11月1日までの期 間における公社発注の特定土木工事139件については,①落札率95%以上の工事が57件(うち落札率99%以上の工事は6件),②落札率90%以上95%未満の工事が30件,③落札率85%以上90%未満の工事が1件,④落札率80%以上85%未満の工事が50件(ただし,落札率80%以上81%未満の工事が全件)となっており,その平均落札率は89.85%となるなど,後者において特に落札率99%以上の工事が著しく減少し,また,落札率80%以上81%未満の工事が増加するなど,有意的な変化がうかがえることも,本件慣行の存在を推認させる事情になり得る。 表甲サ190乙イ2平均落札率94.54%89.85%落札率分布(全72件中)(全139件中)99%以上41件6件95%以上99%未満11件51件90%以上95%未満2件30件85%以上90%未満2件1件81%以上85%未満1件0件80%以上81%未満15件50件(4)しかしながら,一方において,上記のとおり,本件慣行がいつころから存在したのかは明らかではなく,上記営業関係者名簿に記載された広域総合建設業者のすべてが本件慣行に従っていたのか,同名簿に記載されていない業者についてはどうであったのかという,いわば受注調整 ろから存在したのかは明らかではなく,上記営業関係者名簿に記載された広域総合建設業者のすべてが本件慣行に従っていたのか,同名簿に記載されていない業者についてはどうであったのかという,いわば受注調整のルールへの参加者 の内包及び外延のすべてを明らかにするに十分な証拠がないこと,また,本件慣行につき,関係者の審査官に対する各供述調書によれば,「一度,ゼネコン業界内で本命が決まってしまえば,その本命に協力するという不文律みたいな掟みたいなものがあり,その決まりを破った業者の営業マンは地方に飛ばされたという話も聞いていましたから,私はその決まりを破ったことはありませんでした。」(甲サ67),「談合という枠組みに入ってしまうと当社が単独で談合から抜けると会社の存続にも係わることになりかねない所があり,当社だけが抜けることはできませんでした。」(甲サ74),「私は,心の中では,P13の言いなりになるのは嫌だと思っていましたが,表立ってP13のP28さんに逆らうことはしなかったです。と言いますのは,P60が条件を持っている物件で,P28さんに嫌われたために,P28さんが『叩け』と相指名ゼネコン各社に指令を出したりしたら,多摩で仕事が取れなくなってしまうという考えがあったので,多摩地区ゼネコンの慣行には従うようにしていました。」(甲サ79),「当社が,このような受注調整になぜ加わっていたかと申しますと,以前から多摩地区の業界で慣行的に行われており,これに逆らうと仕事がもらえないという意識がありました。」(甲サ85),「ゼネコンの間で受注調整の対象となっている物件をもぐろうものならば,他の仕事でも嫌がらせを受けたりするのは必至です」(甲サ149)などといった記載が散見されるものの,本件慣行にどれほどの拘束性があったのか,本件慣行に反して工事を受 ている物件をもぐろうものならば,他の仕事でも嫌がらせを受けたりするのは必至です」(甲サ149)などといった記載が散見されるものの,本件慣行にどれほどの拘束性があったのか,本件慣行に反して工事を受注した場合に,どのような制裁的措置がされるのかなどの事情を具体的に明らかにする証拠はなく,結局のところ,本件慣行の内容が,多摩地区において営業活動をする広域総 合建設業者内の事実上の慣行であることを超えて,別紙業者一覧表記載の約80社により明確に合意されていたこと,あるいは原告らが主張する基本合意が具体的に成立していたことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,争点(1)に関する原告らの主張は,上記の限度で採用することができず,原告らの主位的請求には理由がない。ただし,争点(2)では,本件慣行が存在することを前提として検討する。 記①被告P11α16営業所長P80の審査官に対する平成13年9月18日付け供述調書(甲サ137)及び同被告α16営業所副所長P81の審査官に対する平成13年6月22日付け供述調書(甲サ233)②被告P2α17支店α18営業所副所長P82の審査官に対する平成12年11月17日付け供述調書(甲サ236),同13年6月8日付け供述調書(甲サ138),同月15日付け供述調書(甲サ350)及び同年8月30日付け供述調書(甲サ325)③被告P6α14事務所長P73の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ161)④被告P4α19営業所長P83の審査官に対する平成13年4月5日付け供述調書(甲サ237),同年5月29日付け供述調書(甲サ163)及び同年6月5日付け供述調書(甲サ164)⑤被告P5α20支店α21営業所長P84の審査官に対する平成13年3月7日付け供述調書(甲サ140),同月8日付け供 月29日付け供述調書(甲サ163)及び同年6月5日付け供述調書(甲サ164)⑤被告P5α20支店α21営業所長P84の審査官に対する平成13年3月7日付け供述調書(甲サ140),同月8日付け供述調書(甲サ141),同年8月23日付け供述調書(甲サ3)及び同月24日付け供述調 書(甲サ67)⑥旧P7α22支店α23営業所長P85の審査官に対する平成12年11月21日付け供述調書(甲サ4)及び同年12月14日付け供述調書(甲サ166)⑦被告P9α24支店α25営業所長P86の審査官に対する平成12年12月22日付け供述調書(甲サ115)⑧被告P1α12営業所の元所長であったP87の審査官に対する平成13年6月8日付け供述調書2通(甲サ68,167)及び同年8月10日付け供述調書(甲サ73)⑨被告P10α26営業所の元所長であったP88の審査官に対する平成13年3月16日付け供述調書(甲サ143)及び同年5月24日付け供述調書(甲サ69)並びに同被告α26営業所長P89の審査官に対する平成13年4月9日付け供述調書(甲サ168)及び同月10日付け供述調書(甲サ169)⑩被告P8α27支店土木営業部長(前α13営業所長)P90の審査官に対する平成13年5月23日付け供述調書(甲サ174)及び同月24日付け供述調書(甲サ144)⑪P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年4月12日付け供述調書(甲サ171),同年9月4日付け供述調書(甲サ5)及び同月18日付け供述調書(甲サ172)⑫P48α29支店次長P92の審査官に対する平成12年12月6日付け供述調書(甲サ192),同月7日付け供述調書(甲サ354)及び同 13年5月31日付け供述調書(甲サ6)⑬P36α30支店土木営業部担当部長P93 2の審査官に対する平成12年12月6日付け供述調書(甲サ192),同月7日付け供述調書(甲サ354)及び同 13年5月31日付け供述調書(甲サ6)⑬P36α30支店土木営業部担当部長P93の審査官に対する平成13年5月25日付け供述調書(甲サ7)及び同年6月12日付け供述調書(甲サ105)⑭P94株式会社α31支店α32営業支店の元営業部長であったP95の審査官に対する平成13年6月15日付け供述調書(甲サ8)及び同月18日付け供述調書(甲サ91)⑮P63α33営業所長P96の審査官に対する平成13年3月16日付け供述調書(甲サ146)及び同年8月17日付け供述調書(甲サ54)⑯P40α34営業所の元所長であったP97の審査官に対する平成13年5月17日付け供述調書(甲サ56)及び同年9月30日付け供述調書(甲サ151)並びに同社α34営業所長P98の審査官に対する平成13年5月10日付け供述調書(甲サ104)及び同月11日付け供述調書(甲サ70)⑰P99株式会社α35営業所の元所長であったP100の審査官に対する平成13年7月26日付け供述調書2通(甲サ58,152),同社α36支店α35営業所長P101の審査官に対する平成13年6月14日付け供述調書(甲サ186)及び同月15日付け供述調書(甲サ187)並びに同社α36支店第一営業部担当部長P102の審査官に対する平成13年6月20日付け供述調書(甲サ188)⑱P65α37営業所長代理P103の審査官に対する平成13年6月13日付け供述調書(甲サ155)及び同年8月30日付け供述調書(甲サ 59)⑲P50α38支店α39営業所長P104の審査官に対する平成12年11月14日付け供述調書(甲サ204)及び同13年10月3日付け供述調書(甲サ62) 月30日付け供述調書(甲サ 59)⑲P50α38支店α39営業所長P104の審査官に対する平成12年11月14日付け供述調書(甲サ204)及び同13年10月3日付け供述調書(甲サ62)⑳P59α40本店α41営業所長P105の審査官に対する平成13年7月5日付け供述調書(甲サ63)<21>P106株式会社α42営業所長P107の審査官に対する平成13年5月10日付け供述調書(甲サ139)及び同月11日付け供述調書(甲サ66)<22>P58α43営業所長P108の審査官に対する平成13年5月15日付け供述調書(甲サ71)<23>P44α44営業所の元所長であったP109の審査官に対する平成13年9月27日付け供述調書(甲サ72)及び同社α45支店第一営業部主任P110の審査官に対する平成13年6月1日付け供述調書(甲サ162)<24>P111株式会社(以下「P111」という。)α46営業所副所長P112の審査官に対する平成13年8月23日付け供述調書(甲サ74)<25>P70α47支社α48営業所長P113の審査官に対する平成13年8月28日付け供述調書(甲サ75)<26>P67α49支店α50営業所長P114の審査官に対する平成13年8月27日付け供述調書(甲サ76) <27>P115株式会社α51営業所長P116の審査官に対する平成13年4月13日付け供述調書(甲サ77)及び同月20日付け供述調書(甲サ158)<28>P62α52土木支店α53土木営業所長P117の審査官に対する平成13年6月14日付け供述調書(甲サ78)<29>P60α54営業所長P118の審査官に対する平成13年5月9日付け供述調書(甲サ113)及び同社α54営業所の元所長であったP118の審査官に対する平成13 4日付け供述調書(甲サ78)<29>P60α54営業所長P118の審査官に対する平成13年5月9日付け供述調書(甲サ113)及び同社α54営業所の元所長であったP118の審査官に対する平成13年10月10日付け供述調書(甲サ79)<30>P21α55営業所長P119の審査官に対する平成13年6月7日付け供述調書(甲サ170)及び同月12日付け供述調書(甲サ84)<31>株式会社P120(以下「P120」という。)の元α56営業所長であったP121の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ85)及び同年9月4日付け供述調書(甲サ173)<32>P122株式会社α57支店営業部長P123の審査官に対する平成13年6月25日付け供述調書(甲サ154)及び同月26日付け供述調書(甲サ89)<33>P64α58営業所長P124の審査官に対する平成13年5月24日付け供述調書(甲サ92)<34>P125株式会社α59支店α60営業所長P126の審査官に対する平成13年4月3日付け供述調書(甲サ106),同月4日付け供述調書(甲サ189)及び同月12日付け供述調書(甲サ93)<35>P35α61支店営業部課長P127の審査官に対する平成13年6 月11日付け供述調書2通(甲サ102,177),同月12日付け供述調書(甲サ193)及び同年8月6日付け供述調書(甲サ358)<36>P128株式会社α62営業所長P129の審査官に対する平成13年3月28日付け供述調書(甲サ103)<37>P130株式会社α63営業所長P131の審査官に対する平成13年3月21日付け供述調書(甲サ135)及び同月22日付け供述調書(甲サ136)<38>P45営業本部α64営業所長P132の審査官に対する平成12年12月21日 131の審査官に対する平成13年3月21日付け供述調書(甲サ135)及び同月22日付け供述調書(甲サ136)<38>P45営業本部α64営業所長P132の審査官に対する平成12年12月21日付け供述調書(甲サ176)及び同13年6月8日付け供述調書(甲サ145)<39>P133株式会社α65支店長P134の審査官に対する平成13年8月9日付け供述調書(甲サ178)及び同社α65支店副支店長P135の審査官に対する平成13年8月10日付け供述調書(甲サ149)<40>P136株式会社調査役(営業本部長)P137の審査官に対する平成12年12月1日付け供述調書(甲サ182)及び同月4日付け供述調書(甲サ150)<41>P42α66本店土木営業部土木営業担当部長兼α67営業所長P138の審査官に対する平成13年5月23日付け供述調書(甲サ153)<42>P41α68営業所長P139の審査官に対する平成13年3月30日付け供述調書(甲サ213)及び同年6月7日付け供述調書(甲サ156)<43>P140株式会社土木営業本部第二営業部次長(元α69営業所長) P141の審査官に対する平成13年5月15日付け供述調書2通(甲サ159,349)<44>P23α70支店α71営業所長P142の審査官に対する平成13年5月28日付け供述調書(甲サ165)<45>P37α72支店α73営業所長P143の審査官に対する平成13年4月6日付け供述調書(甲サ175)<46>P52α74支店α75営業所の元副所長であったP144の審査官に対する平成13年2月19日付け供述調書(甲サ205),同月20日付け供述調書(甲サ206),同年3月26日付け供述調書(甲サ179),同月27日付け供述調書(甲サ180)及び同年9月7日付け供述 に対する平成13年2月19日付け供述調書(甲サ205),同月20日付け供述調書(甲サ206),同年3月26日付け供述調書(甲サ179),同月27日付け供述調書(甲サ180)及び同年9月7日付け供述調書(甲サ181)<47>P29α76営業所長P145の審査官に対する平成13年8月24日付け供述調書(甲サ183)<48>株式会社P146α77営業所長P147の審査官に対する平成13年4月25日付け供述調書(甲サ184)<49>P43営業本部α78営業所長P148の審査官に対する平成13年4月11日付け供述調書(甲サ185)<50>株式会社P149営業本部主任P150の審査官に対する平成13年3月21日付け供述調書(甲サ239)及び同月22日付け供述調書(甲サ191)<51>P68α79支店α80営業所長P151の審査官に対する平成13年4月27日付け供述調書(甲サ194) <52>P78株式会社α81土木支店α15営業所副所長P152の審査官に対する平成13年6月15日付け供述調書(甲サ195)<53>株式会社P153(以下「P153」という。)α82支社建築支店営業第三部次長(前α83営業所長)P154の審査官に対する平成13年6月18日付け供述調書(甲サ202)<54>P71α84支店α85営業所長P155の審査官に対する平成13年3月14日付け供述調書(甲サ203)及び同月15日付け供述調書(甲サ241)<55>P156株式会社α86支店第一営業部マネージャーP157の審査官に対する平成13年3月27日付け供述調書(甲サ207)及び同月28日付け供述調書(甲サ244)<56>P30α87支店α88営業所長P158の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ208)及び同月23日付け供 け供述調書(甲サ207)及び同月28日付け供述調書(甲サ244)<56>P30α87支店α88営業所長P158の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ208)及び同月23日付け供述調書(甲サ209)<57>P159株式会社α89支店α90営業所長P160の審査官に対する平成13年3月9日付け供述調書(甲サ248)<58>P161株式会社α91営業所長P162の審査官に対する平成13年5月10日付け供述調書(甲サ295) 争点(2)(個別談合の存否)について(1)本件工事1についてア本件工事1につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P1α12営業所の元所長であったP87の審査官に対する平成13年6月8日付け供述調書(甲サ167)a「私は,昭和43年にゼネコンである株式会社P68に入社しまして,入社してから20年くらいは関東地区の工事現場での事務を担当しておりました。平成元年5月にα80営業所に異動になりまして,多摩地区の民間物件や多摩地区市町村,財団法人P12公社等の発注工事に対する営業活動を担当しておりました。 そして,その後の平成7年11月に株式会社P68を退職しました。」b「私が株式会社P68のα80営業所に勤務していたときに親しくしていた,P41株式会社α92営業所長のP163さんと株式会社P1の元重役が高校の同級生でしたので,そうしたご縁で,株式会社P1がα12営業所を設立する予定があるとの話を聞き,P163さんの紹介で平成8年4月1日にゼネコンである株式会社P1に入社しました。入社してすぐα12営業所長に就任しまして,多摩地区の民間物件や多摩地区市町村,財団法人P12公社等が発注する工事物件に対する営業活動の責任者という立 日にゼネコンである株式会社P1に入社しました。入社してすぐα12営業所長に就任しまして,多摩地区の民間物件や多摩地区市町村,財団法人P12公社等が発注する工事物件に対する営業活動の責任者という立場にありました。」c「私が株式会社P1α12営業所長時代に受注した物件について申します。 平成10年3月9日に入札が行われたP12公社発注,以下P12公社と略してますが『八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事』の1本を受注いたしました。P1は平成8年に初めて α12営業所を開設いたしましたので,多摩地区における受注実績はございませんでした。ですから,他のゼネコンに対し,自社が『本命』,つまり受注予定者になる術がありませんでした。しかしながら,受注実績がないからといって受注できないままでいるわけにもまいりませんので,どうにかして1本でも物件が欲しいと思っておりました。 P1は平成9年からP12公社の土木一式工事に係る競争入札参加資格の格付けがBランクからAランクに格上げされましたので,入札に参加できる物件数も増えました。受注した『八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事』は,本管から出る下水道の枝線を築造する工事であり,開削工事であり,川の底を一部,推進工事で20メートルほど行う物件でした。P1でも請け負える工種,規模であることが勉強して分かっておりました。α93支店はα1下水道築造工事の『条件』として,整備公団が発注した宅地造成の工事を私に言ってきましたが,『条件』にならない物件でした。発注される物件の近隣でない実績でしたので他社に条件として提示できるものではありませんでした。 『条件』と申しますのは,この業界でライバルとなるゼネコンに受注意欲をピーアールするための方法のひとつです。 具体的に申しますと1 実績でしたので他社に条件として提示できるものではありませんでした。 『条件』と申しますのは,この業界でライバルとなるゼネコンに受注意欲をピーアールするための方法のひとつです。 具体的に申しますと1番強い『条件』は,発注される物件の近くに自社の施工実績があること,2番目には,自社の施設があること,具体的に挙げますと,営業所,資材置場,現場事務所があること,また,近くに自社の従業員が住んでいることが含まれます。さらに共同企業 体,つまりJVを地元業者と結成する場合には,地元業者が発注される物件に対して強い条件を持っている場合にJVのスポンサー,つまり,ゼネコンが『親』となることもできます。 先程もお話ししたとおりP1は多摩地区における施工実績がありませんでしたし,当社のα93支店が提示してきた施工実績は,条件にはならないものでした。当初,受注したα1下水道工事は,2億6千万円以上の規模で発注される予定でした。2億6千万円以上の工事ですと,共同企業体,JVでの工事の発注となるのですが,予定が変更されて,単体での発注となりました。私は,JVでの発注であれば,八王子の地元の業者であるP164さんと組んで工事を受注したいと思い勉強しておりました。P164の社長さんとも一緒に仕事をしようではないかと話しておりました。P164さんは,地元八王子の業者ですし,発注工事近隣で水道工事を施工した実績があるという話も聞いておりました。 P164さんは,地元業者に対してα1下水道工事について強い条件を持っていることを地元業者にお話されていたようですので,地元業者の方もP164さんが『本命』つまり,受注予定者になることをご存知であったと考えられます。 ところが,工事規模が2億6千万円以下の工事として発注され,当初の予定が変更されて単体工事となりました。 者の方もP164さんが『本命』つまり,受注予定者になることをご存知であったと考えられます。 ところが,工事規模が2億6千万円以下の工事として発注され,当初の予定が変更されて単体工事となりました。 指名通知を受けたのは,確か平成10年の2月頃ですが,その頃に他のゼネコンから『P1さんは行かれてるんですか?』という電話を 受けまして私は『勉強はしてますけど。』と返答した記憶がございます。1,2月にはすでにP1が受注に向けて動いているといった情報が地元業者の間で話にのぼっていたので,ゼネコンが話を聞いて分かったのだなと思いました。 P12公社は,希望型指名競争入札の方法を採用しておりますので,まず,発注される工事を希望する業者が工事希望票をP12公社に提出することになっております。その際に『本命』となる業者が協力してもらえるゼネコンに希望票を提出してもらうよう依頼するといった方法がゼネコン間で行われておりました。 私は,多摩地区で営業を始めてからの無二の親友であるP30のP158所長に希望票を提出してもらうよう依頼しました。私が依頼したのは,たったの1社でした。しかし,P158所長は,多摩地区における勤務年数が長いこともあり,彼に依頼をすれば,業界のゼネコン間の調整連絡を行ってくれるのではないかという期待がありました。 ところが,開けてみるとP30は指名に外れ私の思惑どおりにはいきませんでした。私は,積算を厳しくしないとこのままでは受注できないと思いました。 α93支店の土木部はこの工事の見積りを2億7,8千万円で計上してきましたが,P1が受注するためには,2億5千万円以下でないと受注できないと見込んでおりましたので,土木部とけんかして提示してきた積算価格よりも下げてもらいました。 入札の札に関して申しますと,私は,相指名の業者に札の価 するためには,2億5千万円以下でないと受注できないと見込んでおりましたので,土木部とけんかして提示してきた積算価格よりも下げてもらいました。 入札の札に関して申しますと,私は,相指名の業者に札の価格の連 絡をしておりません。と申しますのは,既に現場説明会で指名メンバーが顔を合わせた時に私の受注意欲を表明した際に,他の相指名のゼネコンから自社も勉強しているといった話もありませんでしたので,当社が「本命」になれるのではないかとの感触がありました。 P77の事件以来,ゼネコンは自社で積算をするような体制を採っていますので,私は,相指名のゼネコンはそれぞれ積算はしてきているはずだと思っておりました。ですから,逐一ゼネコンに対し札の連絡をしなくてもP1の受注に響かない程度で札を入れてくれるといった強い認識がありました。 この受注した物件は,私はどうしても欲しいものでしたので,私の裁量で,α93支店土木部と話し合った結果出した積算価格よりも,100万円引いた価格で入札に臨みました。当日は,入札札の札の価格を書く欄を空白にして持って行っておりましたので入札の直前に書き込み,入札箱に札を入れました。 入札の結果当社が一番低い価格を札入れしましたので,おかげさまで,P1の受注を1件作ることができました。」(イ)被告P1α12営業所の元所長であったP87の審査官に対する平成13年8月10日付け供述調書(甲サ73)a「私がα12営業所長時代に財団法人P12公社から発注された物件で受注した工事は,平成10年3月9日に入札が執行された『八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事』1件だけです。 私は,P30株式会社のP158所長にだけ,工事希望票をP12 公社に提出していただけるよう依頼しましたが残念ながら指名に入りませんでしたし,相 地先外下水道築造43-公12工事』1件だけです。 私は,P30株式会社のP158所長にだけ,工事希望票をP12 公社に提出していただけるよう依頼しましたが残念ながら指名に入りませんでしたし,相指名で入られたゼネコンのα94営業所長さんにも依頼しておりません。ただし,相指名で入られたゼネコンの数社に対し自分が勉強していることを話した記憶があります。 私が入れた入れ札について申しますと,入札当日,『入札書』を封筒に入れて持参しましたが,封をせずにしたままの状態で,入札の直前に入札室で用意しておいた札の価格よりも100万円切った額を記載し,その価格で札を入れました。 会社の積算部は,2億6千万円の見積りをはじきだしたのですが,2億6千万円以上ではJVの発注物件の額なので,それ以下に設定しなければならないと思い,積算部と見積りを詰め直して,2億4550万円で札入れをするという結論には達しました。しかし,どうしても受注したかったのと,予定価格が詳細に把握しきれていなかったので,予定価格内で札入れできるかどうかの不安もあり,入札日当日に私の独断で100万円切った価格で入札に臨みました。」b「お示しの文書は,私が受注した入札の開札結果表であることに間違いはありません。私は,お話したとおり,記載されている2億4450万円で落札しました。ここに記載されている相指名の方々に具体的な価格を指示した覚えはありませんが,多摩地区で営業をしていた折に道端で会った際に『私がα1下水道を勉強していますから。』といった話はしていました。P29のP145所長とは,P1の営業所が近隣だったこともあり,飲んだり,麻雀をしたりしていましたので, そういった折に話した記憶はあります。 相指名になったゼネコンから『うちも勉強していますから。』という話は一切聞きませんで 業所が近隣だったこともあり,飲んだり,麻雀をしたりしていましたので, そういった折に話した記憶はあります。 相指名になったゼネコンから『うちも勉強していますから。』という話は一切聞きませんでしたので,私だけがこの物件を勉強していることは明らかでした。この開札結果表の各社の入れ札を見ますと,それぞれ概算で算出した価格を札入れしていることが分かり,結果的にP1の受注に協力してくれたことになります。つまり,ゼネコンが概算で入れ札をするということは,本命である受注予定者に協力するということになります。」(ウ)P44α45支店第一営業部主任P110の審査官に対する平成13年6月1日付け供述調書(甲サ162)「お示しの文書は,平成10年3月9日入札のP12公社発注の『八王子市α1××××番地先外下水道築造43-公12工事』であり,この物件はAランクの物件であり,いわゆるゼネコンが入札に参加していました。 当社からは私が入札に参加しています。この物件は株式会社P1が2億4450万円で落札しています。この物件について,P1さんから勉強している旨の連絡があったのかもしれませんが,よく覚えてはいません。この物件は当社が強く取りたいという物件ではありませんので,高めの概算価格で入札して結果的に協力しております。」(エ)P120α95支店営業部第一営業課長(元α56営業所長)P121の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ85。 なお,「20番の物件」とは本件工事1のことである。) 「2枚目の20番の物件はゼネコンが落札していますので当社が協力した物件だと思いますが,20番,26番は当社は八王子に事務所があることから申し込んだものであり,積極的に受注しようという意欲はなかったと思います。」イ本件工事1は,被告P1において 当社が協力した物件だと思いますが,20番,26番は当社は八王子に事務所があることから申し込んだものであり,積極的に受注しようという意欲はなかったと思います。」イ本件工事1は,被告P1において,予定価格の99.77%に当たる2億4450万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差が見られ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P1において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと(上記P87の各供述調書において積算の経過の一端は述べられているものの,その具体的内容は明らかでない。),上記各供述調書によれば,被告P1の従業員が,本件慣行の存在を前提として,相指名業者(すべて別紙業者一覧表記載の業者である。)に対し,被告P1が受注予定者であることを認めさせるなどし,相指名業者において,被告P1の落札を妨げないような価格で入札させたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事1については,被告P1の従業員により,相指名業者との間で,受注価格の低落防止等を図り,被告P1において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,被告P1が本件工事1の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P1は,同被告は平成8年にα12営業所を開設した ばかりで受注実績がなく,しかも同9年から事業者ランクがAになったものであるから,談合の慣行等について理解が十分でなかった旨主張するが,上記P87の各供述調書によれば,被告P1α12営業所の元所長であったP87は,P68において平成元年5月こ ランクがAになったものであるから,談合の慣行等について理解が十分でなかった旨主張するが,上記P87の各供述調書によれば,被告P1α12営業所の元所長であったP87は,P68において平成元年5月ころから多摩地区における公社発注工事に関する営業活動を担当した経験を有しており,本件慣行の存在及び内容について十分な知識があったものと認められるから,被告P1の上記主張は採用することができない。 また,被告P1は,同被告が相指名業者に受注意欲を表明したのは,本件工事1の現場説明会のみであり,その場で相指名業者から異議が出なかったとしても,談合が成立したことにはならない旨主張するが,本件慣行の存在が認められることは前記1(3)のとおりであり,現場説明会に至るまでのP87の営業活動等や,本件工事1は「立地上から現場での小回り作業が多く,作業効率が悪く,苦労が多いばかりで利益が出そうもないとの見通し」(乙ル1)であったことなどの諸事情とも相まって,本件慣行に従い,現場説明会において談合形成行為があったと認めることができるから,被告P1の上記主張は採用することができない。 さらに,被告P1は,P87は,同被告積算部が切り詰めて決定した入札価格を,さらに100万円切り下げて入札するなどしており,被告P1において最大限の利益を得る目的で入札をしていない旨主張するが,P87の陳述書(乙ル1)によれば,本件工事1につき,「受注実績のないP1及び私においては受注を最優先に考えました。」という状況において,相指名業者が被告P1の落札を妨げない程度の価格で入札するであろうこ とを認識しながら,更に落札を確実にするためにP87において100万円切り下げて入札することも格別不自然ではなく,実際,本件工事1は予定価格の99.77%に当たる価格で被告P1に落札されてい とを認識しながら,更に落札を確実にするためにP87において100万円切り下げて入札することも格別不自然ではなく,実際,本件工事1は予定価格の99.77%に当たる価格で被告P1に落札されているのであるから,被告P1の上記主張は採用することができない。 したがって,被告P1は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (2)本件工事2についてア本件工事2につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P2α17支店α18営業所副所長P82の審査官に対する平成13年8月30日付け供述調書(甲サ325)a「α2下水道工事について,私は営業活動を担当しましたし,P12公社のこの物件に関する現場説明会や入札会へ,当時,当社α18営業所長でしたP165と共に出席しております。 営業活動において当社では,α2下水道工事に関連する調査作業に係る設計書等の発注情報資料を提携関係にある(判読不能)から入手したとのことから,P165所長が,それら資料を持参してP13株式会社α11営業所の前所長であるP28さんを訪ねて,工事物件について当社として受注意欲があることなど相談をしたことがあったことを承知しておりました。 α2下水道工事についての現場説明会は,平成10年5月上旬のゴールデンウィーク明けころに開催されましたが,指名されたジョイン トベンチャーそれぞれの方達が出席されましたが,ジョイントベンチャーの親会社となったゼネコンは,当社以外では,提示の一覧表に記載のとおり,株式会社P6,P166株式会社,株式会社P52,P35株式会社,P167株式会社及び株式会社P153の6社でした。」b「このα2下水道工事に関する現場説明会においてP16 一覧表に記載のとおり,株式会社P6,P166株式会社,株式会社P52,P35株式会社,P167株式会社及び株式会社P153の6社でした。」b「このα2下水道工事に関する現場説明会においてP165所長と私は,他のジョイントベンチャーの出席者の方達に対しあいさつをしましたが,当社はジョイントベンチャーの子会社の中では工事現地から最も近くに所在する八王子市の地元業者であるP17と組めたとの地の利を持ちましたし,P165所長がP13のP28さんの所へ伺って相談などして何ら異存ないと返答をいただいていたようでしたから,P165所長は,それぞれゼネコンの出席者に対して,「P28さんから了解も得ていますし,よろしくお願いします」といった言葉で,当社らジョイントベンチャーの受注につき協力方を依頼したと記憶しております。この協力方依頼に対して,それぞれゼネコンの出席者から異論ある旨の言葉はなく,それぞれ当社らジョイントベンチャーの受注につき協力していただけることを了解したものと私は理解しました。 相指名ジョイントベンチャーの親会社である各ゼネコンに対しての入札価格に関する依頼につきましては,P165所長が行ったと思いますから,私はどんな仕方の依頼を行ったか存じませんが,行ったと思います。」 c「お示しの文書は,当社らジョイントベンチャーが落札しましたα2下水道工事に関する入札結果を記載したものとみられます。P35さんらのジョイントベンチャーは,事情は存じませんが,入札を辞退されました。 当社らジョイントベンチャーは,1回目の入札で2億8100万円で落札できております。他のゼネコンが親会社になりましたジョイントベンチャーの入札価格をみましたが,P165所長が具体的な価格をもって各社へ依頼したものかどうかにつきましては,ちょっと判断しかね で落札できております。他のゼネコンが親会社になりましたジョイントベンチャーの入札価格をみましたが,P165所長が具体的な価格をもって各社へ依頼したものかどうかにつきましては,ちょっと判断しかねます。それは,ゼネコンによっては自社積算価格に基づき1回目の入札を行うよう指示されている所もあるようですから,その者は具体的な価格をもって連絡されても,それをもって入札できない訳ですし,具体的な価格をもって依頼したなら,当社らの入札価格にもっと接近した価格をもって入札した者が何名かあってもよいなと感じられるからです。 ですが,入札結果からみて,相指名ジョイントベンチャーの親会社である各ゼネコンさんは,当社らジョイントベンチャーの落札につき協力していただけたと判断できる入札価格で入札したものであるとみられます。」(イ)P52α74支店α75営業所の元副所長であったP144の審査官に対する平成13年9月7日付け供述調書(甲サ181)a「私がP52α75営業所に在籍していたころには,多摩地区の各市町村や財団法人P12公社などが競争入札の方法により発注する土木 工事物件については,多摩地区に営業所を置くなどして営業展開しているゼネコン間で,入札前にあらかじめ『本命』が決まり,その本命が受注できるようにゼネコン間で協力するという紳士協定がありました。 本命になったスーパーゼネコンや準スーパーゼネコンといわれているゼネコン業者などからは,入札日の前日までにP52α75営業所に対して当該物件の見積価格,つまり,P52の応札価格の探りがありました。そのときの状況を思い出すため公正取引委員会に提出している入札結果が記録されている手帳を見せてください。」b「この手帳は,私がP52として入札に参加するため,P52の応札価格や入札結果などを記録するため きの状況を思い出すため公正取引委員会に提出している入札結果が記録されている手帳を見せてください。」b「この手帳は,私がP52として入札に参加するため,P52の応札価格や入札結果などを記録するために使用していたものです。この手帳のうち,財団法人P12公社発注分の物件について説明いたします。 工事件名『八王子市α2×××番地下水道築造44(公1工区)工事』と書き出しのページを見てください。 この物件は,平成10年5月26日に入札が執行されていますが,P52は,P168とJVを組んで入札に参加しました。この物件は,P17とJVを組んだP2が本命業者でした。この物件では,入札日の前日までにP2α18営業所の営業担当者からP52の応札価格の探りがありまして,P2の落札に協力した物件です。P52の応札価格を尋ねられたとき,私は「P52は292,000,000円くらいで見積もっていますよ。」と答えたのです。 すると,P2の方は,『今回は予定価格が探りきれていないので長 引くかもしれない。』,つまり,財団法人P12公社は,不調の場合,入札が3回まで繰り返されますので,予定価格の中に入れる自信がなくて入札が3回まで繰り返されるかもしれないということを言われましたので,私は『2回目は280,700,000円くらい,3回目は279,800,000円でいいですか。』と2回目以降のP52としての応札価格を示してP2の方と打ち合わせたのです。すると,P2の方は,『わかりました。』といって当社の応札価格を了承されましたので,私は提示したP52の応札価格を忘れないように,そのときこの手帳に書き入れたのです。 そして,この手帳を入札会場に持参して,2回目以降入札が繰り返されるのであれば,打合せをした価格で応札しようと思っていましたが,1回目で本命のP2が落札し に,そのときこの手帳に書き入れたのです。 そして,この手帳を入札会場に持参して,2回目以降入札が繰り返されるのであれば,打合せをした価格で応札しようと思っていましたが,1回目で本命のP2が落札しました。」(ウ)P153α82支社建築支店営業第三部次長(前α83営業所長)P154の審査官に対する平成13年10月1日付け供述調書(甲サ80)「多摩地区のゼネコン間では『本命』つまり受注予定者から相指名業者に対して,P12公社の物件は,工事希望票の提出依頼の協力と,入札において札入れする札の価格での協力依頼をお互いにする習慣がありましたので,一覧表の冒頭の21番,P2・P17JVが落札した「八王子市α2×××番地先外下水道築造44(公1工区)工事」についても,落札したP2からおそらくα83営業所に対して工事希望票の提出のお願いや札の連絡の打診があったものと判断できますがどなたからあった のかは思い出せません。 相指名業者として記載されている,JVのスポンサーである,P6,P166,P52,P35,P167も我々ゼネコンの談合仲間ですので,本命からなんらかの受注協力依頼を受けたことは考えられます。」(エ)P153α82支社建築支店営業第三部次長(前α83営業所長)P154の審査官に対する平成13年6月19日付け供述調書(甲サ196。なお,「一覧表中21番」の物件とは本件工事2のことである。)a「私がα83営業所長時代にP12公社発注の土木工事につき入札に参加した物件について申します。 私は建築を主体に営業活動していましたので,土木物件については長年,部下のP169に任せておりまして,入札にもめったに行っていませんでした。入札に行っていたのは,現在α83営業所長のP170と副所長のP169でした。 入札に出向いておりましたのは私 ついては長年,部下のP169に任せておりまして,入札にもめったに行っていませんでした。入札に行っていたのは,現在α83営業所長のP170と副所長のP169でした。 入札に出向いておりましたのは私ではございませんが,当社が入札時に入札する金額については所長である私が責任をもって指示していました。」b「当社が入札に参加した一覧表中21番,39番,49番,52番,56番の物件については,落札業者として記載されている業者から工事希望票を提出してほしいとの依頼を受けた物件もあると記憶しております。また,本命からの札の価格の連絡につきましても,当社に対し当社が入れる具体的な入札価格を連絡してきた業者もあったように 記憶しています。本命から具体的な札の価格連絡を受けた場合は,その価格を入れる場合もありますし,価格の連絡を受けた上で当社の簡易な積算価格で札を入れる時もありました。」イ本件工事2は,被告P2を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.21%に当たる2億8100万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P2において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記各供述調書によれば,被告P2の従業員が,本件慣行の存在を前提として,相指名業者のうち,別紙業者一覧表記載の被告P6,P166株式会社,P52,P35及びP167株式会社らの全部又は一部の者との間で,入札価格の打合せをするなどしたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事2については,被 の被告P6,P166株式会社,P52,P35及びP167株式会社らの全部又は一部の者との間で,入札価格の打合せをするなどしたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事2については,被告P2の従業員により,相指名業者との間で,受注価格の低落防止等を図り,被告P2を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事2の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P2は,上記P82の供述調書は信用性がない旨主張するが,その供述内容は,上記P144の供述調書の内容とも合致し,さらに,同供述調書はP144が当時作成したメモに基づくなど具体的かつ 詳細な内容を含むものであって信用性が高いことなどからして,被告P2の上記主張は採用することができない。 また,被告P2は,本件工事2の入札に参加した建設共同企業体の代表者のうちには,広域総合建設業者ですらない業者も含まれており,受注調整を行うことは不可能であったと主張するが,仮にこれらの業者が本件工事2の談合に加わっていなかったとしても,上記落札率等からすれば,被告P2の従業員が行った談合行為によって,事実上,本件工事2の入札に不当な影響を及ぼし,その公正を害したものと推認することが相当であるから,被告P2の上記主張によっても,上記認定は左右されない。 したがって,被告P2は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (3)本件工事3についてア本件工事3につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P11α16営業所長P80の審査官に対する平成13年9月18日付け供述調書(甲サ137 本件工事3につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P11α16営業所長P80の審査官に対する平成13年9月18日付け供述調書(甲サ137)a「当社の場合は,本命ゼネコンに協力する物件の入札においてもすべての物件について,自社で積算を行っておりますので,本命ゼネコンの落札に協力する場合には,迷惑のかからない積算金額を自社の見積り上がりの時期にもよりますが,遅くとも入札の前日までには,私から本命ゼネコンの営業担当者へお伝えしておりました。」b「次に,25番のP3・P18JVが落札した平成11年3月入札の 『八王子市α3×××番地先外下水道築造44(公14工区)工事』の物件につきましてですが,当社は,八王子市α3に,土地区画整理組合はまだ発足しておりませんが,土地区画整理工事の予定がありまして,この土地区画整理工事の勉強を熱心に行っておりましたことから,立地として25番の下水道工事を手掛ければ優位に勉強が続けられると考えておりましたことから,私の判断で工事希望票をP12公社に提出いたしました。ところが指名をいただいた後,P3α96土木営業所の方から私の部下であるP81に対して協力依頼がございました。P81にも確認しましたが,その方がどなたであったかまでは思い出せないとのことでありましたので,御説明できませんが,P3のα96土木営業所の方であったことに間違いはありません。 P81からP3からの協力依頼があった旨の報告を受けまして,α16営業所で協議しましたが,結果,渋々ではありましたがP3の協力依頼に応じることになりまして,私からP3α96土木営業所の方か,同営業所の方が不在であったことも考えられますので,その場合には同じフロアーに営業所をおいている同社α96建築総合営業所 がP3の協力依頼に応じることになりまして,私からP3α96土木営業所の方か,同営業所の方が不在であったことも考えられますので,その場合には同じフロアーに営業所をおいている同社α96建築総合営業所の方に,遅くとも入札の前日までには当社の見積り価格をお伝えして,結局,P3の落札に結果的に協力いたしました。」(イ)旧P7α22支店α23営業所の元所長であったP85の審査官に対する平成13年7月10日付け供述調書(甲サ82)「次に当社が入札に参加したP12公社の物件は,29番の平成11年3月29日入札執行の『八王子市α3×××番地先外下水道築造工事』 です。入札の結果は,P3さんらのジョイントベンチャーが落札しております。 P12公社への工事希望票の提出方を当社は他のゼネコンから依頼されたかどうかにつきましては,記憶がはっきりいたしません。私は,現場が八王子市内の物件ならば,できるだけ入札参加することにしようとの考えを持ち,P12公社の物件の場合も可能なものは積極的に工事希望票を提出するようにしてきましたから,依頼を受けたとしても,今となってはその記憶がほとんど残っていないのです。 この物件につきましては,P3さんが本命業者になれるどういった立地等を持っていたか覚えておりませんが,入札会までのゼネコン営業担当者同士での情報交換によって,P3さんが強い,すなわち本命業者であるとのことを知り,当社は勉強してきていたものではなかったですから,落札する考えを持たずに入札会に臨んだと記憶しております。P3さんらのジョイントベンチャーから入札価格に関する協力依頼があったとの記憶はないですが,当社とP171株式会社のジョイントベンチャーとして落札する考えはありませんでしたから,私は,本命業者の落札を妨げない程度の価格,つまり,落札できそうにな する協力依頼があったとの記憶はないですが,当社とP171株式会社のジョイントベンチャーとして落札する考えはありませんでしたから,私は,本命業者の落札を妨げない程度の価格,つまり,落札できそうにない価格を定めて,それをもって当社らジョイントベンチャーは入札したと思います。ですから,当社は,結果としてP3さんの落札に協力したことになります。」(ウ)P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年9月18日付け供述調書(甲サ172)a「営業活動における情報収集などについて話します。 私は,営業活動の中で年度始めなどにこれから発注される物件について,当社として立地条件があって受注が可能な物件があるかどうか又はゼネコン他社が狙っている物件についての情報収集をしていました。これから発注される物件については,実施設計の発注が分かれば,おのずと本体工事の発注時期や規模なども分かってきます。P12公社の場合は,実施設計の発注が10月ころから始まり,それに続いて本体工事は翌年度以降から発注されているのが現状です。そこで我々営業マンは,P12公社から実施設計が発注された情報を業界紙やダミコンなどから得て,翌年度以降発注されるであろう本体工事について整理し,その本体工事について当社の立地条件を検討したり,ゼネコン他社の立地条件を探ったりといった作業をするのです。多摩地区のゼネコン土木業界では,その立地条件などによって入札前に受注予定者,つまり,本命が決められ,相指名になったゼネコンは,本命が受注できるように協力するということが行われてきていましたので,このような情報収集や情報に基づいて条件を探り合ったりすることは,非常に重要な営業活動といえます。といいますのも,受注を希望するゼネコンが複数の場合は,工事が発注される前の段階から受注を希望 ので,このような情報収集や情報に基づいて条件を探り合ったりすることは,非常に重要な営業活動といえます。といいますのも,受注を希望するゼネコンが複数の場合は,工事が発注される前の段階から受注を希望するゼネコン同士,条件の強さや濃さを比較し合って,最終的にはゼネコンの中で本命が一本化されるからです。」b「この文書の内容を説明しますと,私が年度始めに当社のα28営業所長に平成9年度にP12公社から発注が予想される物件について,市町村ごと,物件ごとに工事のランクや受注を希望している業者など についてまとめて文書にしたものです。」また,ここに記載された物件は,平成9年度又は平成9年度以降に発注になっている物件です。」c「次の『α97シールド』の物件は,この文書を作成した時点,つまり,平成9年5月下旬から同年6月初旬ころではAクラスとAクラスのJV物件で発注が予想され,本命は『P3』に決まっていました。 10年度か11年度にこの工事が発注され,P3とP18のJVが落札していると思います。 これら受注予定者に関する情報は,当時はP13α11営業所にP28さんがいらっしゃいましたので,P28さんにピーアールに行ったりして情報を得ていました。」イ本件工事3は,被告P3を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.90%に当たる3億6600万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P3において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記P80の供述調書等によれば,被告 作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P3において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記P80の供述調書等によれば,被告P3の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,積極的に受注意欲を有していた被告P11に対し,被告P3を代表者とする建設共同企業体が本件工事3の受注予定者であることを認めさせ,入札価格の連絡をさせるなどしたことが認められること などの諸事情を総合すると,本件工事3については,被告P3の従業員により,相指名業者の全部又は一部との間で,受注価格の低落防止等を図り,被告P3を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事3の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P3は,上記P80の供述調書は,部下であるP81からの伝聞に基づく内容が記載されており,信用できない旨主張するが,P80は,被告P11α16営業所長として,当初,本件工事3について受注意欲を有していたものの,被告P3からの要請に基づいて,被告P11α16営業所において協議の結果,被告P3を受注予定者と認めることにした経緯を述べているものであって,その信用性を否定することはできないから,被告P3の上記主張は採用することができない。 したがって,被告P3は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (4)本件工事4についてア本件工事4につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P4α19営業所長P83の審査官に対する平成13年6月5日付け供述調書(甲サ164)a「P12公 につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P4α19営業所長P83の審査官に対する平成13年6月5日付け供述調書(甲サ164)a「P12公社発注の『八王子市α4××××番地先外下水道築造44(公16工区)工事』の受注経緯について申しますと,平成10年の秋ころに,この工事の調査設計が出て,当社のダミコンである(判読 不能)がP12公社から指名を受けております。この調査設計には,当社のダミコン以外に,P65,P64,それに会社名は忘れましたがゼネコン2,3社のダミコンも指名を受けていたと思います。 当社は,この調査設計に当社のダミコンが指名に入ったということで,調査設計後に出る工事を何とか受注したい,受注に結び付けたいという意欲,期待を持って,同じく平成10年の秋ころに,設計の仕様書,図面等を持って,P13α11営業所の当時の所長であったP28さんを訪ねました。このときのP28さんの反応は,聞いておくといった反応ではなかったかと思います。 この工事の指名通知日は平成11年3月23日で,P12公社の場合,指名通知日の2週間前の木曜日から翌週の月曜日にかけて工事の公表があります。そして,翌週の火曜日には指名委員会が開かれ,指名の連絡があり,翌日の水曜日に図渡しと現説が行われますが,この工事が公表されてから,私は,ゼネコンの中の2,3社に対して,入札参加してほしい,つまりP12公社へ工事希望票を出してほしいというお願いをし,工事希望票を出してもらっております。工事希望票を出してもらったゼネコンで覚えているのは,P40とP39で,他はちょっと覚えておりません。」b「そして,現説の翌日,相指名となった全社に対して,電話で,『勉強している』といった内容で,当社の受注意欲を伝えました。こ コンで覚えているのは,P40とP39で,他はちょっと覚えておりません。」b「そして,現説の翌日,相指名となった全社に対して,電話で,『勉強している』といった内容で,当社の受注意欲を伝えました。このときの反応は,いい感じ,つまり,当社の受注意欲を理解してくれたように受け取りました。 当社で積算しましたが,過去の同規模程度の工事の入札結果等をみますと,大体の予定価格は分かりますし,そんなに狂うことはありませんので,1回目で落ちるという金額を当社の入札価格としました。 この工事の入札は平成11年4月5日の月曜日に行われましたが,入札の前の週の金曜日くらいには,私は,相指名業者の所長や営業担当者に対して,電話で,当社の入札金額より高く入れてもらうために,各社の1回目の入札金額と仮に1回目で落ちなかった場合を考えて2回目は1回目の最低金額からいくらまで切る,といったものを伝えました。そして,この工事は,当社が伝えた価格で入札に臨んでもらい,他の相指名業者の協力を得て,当社が1回目で落札しました。 なお,当社の受注意欲を伝えたり,入札価格の連絡をした相手は,P41はα92営業所長のP139さんか営業担当者のP172さん,P39はα28営業所のP173さんかP91さん,P42とP43は名前は忘れましたがα67・α78の営業所長さん,P40はα34営業所長のP97さん,残りのP32,P174,P51,P175は,名前は忘れましたが,それぞれ営業担当者の方です。」(イ)P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ5)「『八王子市α4××××番地先外下水道築造44(公16工区)工事』は,落札したP4α19営業所のP83所長から工事希望票の提出依頼がありまして,当社も見積りはしていたのですが,入札前に入札価 5)「『八王子市α4××××番地先外下水道築造44(公16工区)工事』は,落札したP4α19営業所のP83所長から工事希望票の提出依頼がありまして,当社も見積りはしていたのですが,入札前に入札価格の連絡もありました。当社は,連絡のあった入札価格よりも高めの価 格で応札して,P4の受注に協力した物件です。」(ウ)P42α66本店土木営業部土木営業担当部長兼α67営業所長P138の審査官に対する平成13年5月23日付け供述調書(甲サ153)「入札日の3,4日前に,落札したP4α19営業の方から,『この工事は,うちが勉強しているのですけれども。』というような内容の電話がα67本店の私のところにありました。当社のα66本店に電話があったといっても,当社α67営業所の電話は,α67本店の私のデスクに転送されるようになっていますので,相手方としてはα67営業所に架けているのかも知れません。 そのときのP4α19営業所の方と私のやり取りですが,私が電話を受け『うちは,もう積算をしています。』と返事をすると,『どのくらいであがりましたか。』と質問されたのです。私は,『23より上であがってますよ。』と返事したところ,『分かりました。』といって電話でのやり取りは終わったと記憶しています。P4が本命として認めてもらうための電話を当社に架けてきたのですから,このとき当社の見積りがP4の考えていた見積りよりも低ければ,『何とかなりませんか。』といったようにもう少し違ったやり取りがあったものと思いますが,『分かりました。』と言って,すんなりやり取りが終わった記憶がありますので,結局,P4の考えていた見積りは,当社の見積った価格よりも低かったものと理解しました。」(エ)P40α34営業所の元所長であったP97の平成13年5月17 日付け供述 た記憶がありますので,結局,P4の考えていた見積りは,当社の見積った価格よりも低かったものと理解しました。」(エ)P40α34営業所の元所長であったP97の平成13年5月17 日付け供述調書(甲サ56。なお,「17番の物件」とは本件工事4のことである。)「17番の物件は,『P12希望表提出件名』の件で説明したとおり,P4α19営業所のP83所長から公表直後に希望票を提出するように依頼されました。また,入札価格についても入札日の前日までに具体的な1回目から3回目までの入札価格の電話連絡を受けて,私はその価格で札入れして本命のP4が落札できるように協力しています。」イ本件工事4は,被告P4において,予定価格の97.79%に当たる2億3000万円で落札されているところ,上記各供述調書によれば,被告P4の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事4の相指名業者のすべてに対し,入札価格を連絡して,受注価格の低落防止等を図り,被告P4において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,被告P4が本件工事4の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P4は,上記各供述調書はいずれも信用性がない旨主張するが,上記各供述調書はいずれもその内容を相互に補完し合うもので,入札価格の連絡方法やその担当者等についても具体的に述べられており,信用性が高いものであって,被告P4の上記主張は採用することができない。 したがって,被告P4は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (5)本件工事5について ア本件工事5につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P5α20支店α21 任を負うものと解すべきである。 (5)本件工事5について ア本件工事5につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P5α20支店α21営業所長P84の平成13年8月24日付け供述調書(甲サ67)a「平成11年6月21日入札が執行された『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』は確かに当社が落札して受注し,その営業は私が担当しました。 この物件については,受注調整グループのゼネコン内で強い立地条件と認められる程の立地条件と言えないかも知れませんが,20年くらい前に当社が施工場所から数百メートル離れた場所で八王子市発注の下水道工事を施工した実績がありました。 私は,この物件の発注情報をつかみ勉強していたところ,この物件は私道内の工事で工事がぶつ切れになりゼネコンにとってはあまり採算の合わない工事,つまり,ゼネコンが狙わない,本命に空きができそうな物件であることがわかりました。そして,平成2年ころから当社としてP12発注の土木物件を受注していなかったこともあって,どうしてもこの工事を受注しようと考えました。この物件が公表される前の平成11年4月ころだったと思いますが,私がP13α11営業所を訪問してP28所長さんに『当社は,平成2年ころからP12発注の物件を受注していません。この物件は是非当社で受注させてください。』とピーアールしたところ,P28さんは,『この物件は,A単物件だから,よその業者が入ってきて難しいぞ。』と言われまし た。P28さんが言う『よその業者が入ってきて難しいぞ。』とは,我々ゼネコンの受注調整グループ以外の業者,つまり,地元業者や専門業者といった業者が指名メンバーに入る可能性があるということで,それらの業者が指名メンバーに入ると調整がつかず受注 難しいぞ。』とは,我々ゼネコンの受注調整グループ以外の業者,つまり,地元業者や専門業者といった業者が指名メンバーに入る可能性があるということで,それらの業者が指名メンバーに入ると調整がつかず受注確度が低くなるという意味のことです。しかし,P28さんの言葉のニュアンスから,他のゼネコンは勉強しているところがないとわかりましたので,『勉強しますからよろしくお願いします。』といって,ゼネコンの本命になるべく手を上げたのです。 私は,P28さんから当社が受注してもかまわないという了解が取れたものと理解して,ゼネコン他社にこの物件は当社が勉強している,つまり,ゼネコン他社に当社が本命だということを理解してもらうために,私が親しくしているゼネコン仲間数人に対して,この物件は当社が勉強している,つまり,当社が本命だということを伝えました。 これは,業界仲間を通じて当社がこの物件の本命であることを認識してもらうためでして,自然とこの物件の本命は当社であることが広がることを期待してのことです。 そして,この工事が公表された日又はその翌日に当社の受注に協力してくれるゼネコン12社くらいに工事希望票を提出してもらうように依頼しました。」b「この指名メンバーを見るとP46,P39,P45,P44,P43の各α98営業所に私から工事希望を出してもらうように電話で依頼した記憶があります。ですから,この指名メンバーに入らなかった 業者の中にも私が依頼した業者はありますが,今となってははっきりとこの業者ということはできません。」c「相指名になったP176とP56以外のゼネコン7社は,現説のときにも条件を主張したりということがありませんでしたので,当然,当社が本命と認められたものと認識しました。そして,ゼネコン以外のP176とP56には,現説で営業担当者に 外のゼネコン7社は,現説のときにも条件を主張したりということがありませんでしたので,当然,当社が本命と認められたものと認識しました。そして,ゼネコン以外のP176とP56には,現説で営業担当者にあったときに『当社が勉強中ですから,よろしくお願いします。』と理解を求めましたところ,『考えておきます。』という返事でした。P176とP56が『考えておきます。』と返事し,『うちも勉強しています。』というように強気の発言ではなかったことから,私は,この2社とも当社が本命であることを認めてくれたものと理解しました。そして,入札日までに相指名業者の中から立地条件などを主張して当社と争うと主張した業者はなかったので,当社が受注できると強い自信を持ちました。 入札価格の連絡ですが,私は相指名業者の中の親しくしているゼネコン仲間に対して,この物件についてはP39だったと思いますが,『当社は,これで入札します。』と伝えておくのです。すると,本命として認めてくれた地元業者なども含めて相指名業者全員にそのことが伝わり,当社の入札価格より高い価格で入札してくれて,結果的に当社の受注に協力してくれるという方法をとりました。そして,この物件は歩切り分が読みきれなくて1回で落札できませんでしたので,当社は1回目の札から150万円切って2回目の札入れをしました。 業界内では本命に協力するという厳しい暗黙のルールがあり,2回目 以降は本命の価格,つまり,最低札から100万円以内に切った価格で札入れして,本命の落札を邪魔しない価格で札入れして,本命の受注に協力することになります。一度,業界内で本命が決まってしまえば,その本命に協力するという不文律の掟みたいなものがありますので,この物件の場合も相指名業者は,すべて当社の1回目の価格から100万円以内に切った価格で札 ます。一度,業界内で本命が決まってしまえば,その本命に協力するという不文律の掟みたいなものがありますので,この物件の場合も相指名業者は,すべて当社の1回目の価格から100万円以内に切った価格で札入れしてもらい,当社が受注できました。」(イ)被告P8α27支店土木営業部長(前α13営業所長)P90の審査官に対する平成13年5月24日付け供述調書(甲サ144)「平成11年6月21日入札の『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』は,当社は入札に参加し,ゼネコンのP5が落札しております。これも,P5から受注意欲をピーアールされたものと思いますが,このときは,当社が平成11年8月に受注した八王子市α7の下水道工事を受注すべく力を入れて営業しているときでありましたので,当社としては受注意欲のない工事であり,受注意欲がないということは分かったことと思います。そして,概算で積算し,入札に臨み,結果的にはP5が受注できるように協力したことになります。」(ウ)P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ5)「『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』は,P5α21営業所のP84所長から工事希望票の提出依頼を受け申し込んだ物件です。P5α21営業所のP84所長から見積りの探りがありまして,当 社は高めに見積もって入札に臨み,P5の落札に協力した物件です。」(エ)P45営業本部α64営業所長P132の審査官に対する平成12年12月21日付け供述調書(甲サ176)「お示しの電話帳の4段目に『14時00分』,『○○○○○P84』,『所長』,『P12公社の件でお世話になりました。』とありますが,この○○○○○のP84さんというのは,P5のP84さんということですが,私は,この方とは普段付き合 00分』,『○○○○○P84』,『所長』,『P12公社の件でお世話になりました。』とありますが,この○○○○○のP84さんというのは,P5のP84さんということですが,私は,この方とは普段付き合いはなく,私の記憶にない方です。 この電話連絡は,お示しの入札結果報告書に書いてある,P12公社発注の『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』に関する連絡のことだと思います。 この工事はP5が落札しておりますので,この電話連絡のメモは,入札の協力の話が当社にもあり,落札できたということでお礼の電話ということになります。」(オ)P44α44営業所の前所長であったP109の審査官に対する平成13年9月27日付け供述調書(甲サ72)「私が平成10年4月から平成12年7月まで,α44営業所長として赴任していた時代に本命の受注に協力した物件について挙げますと,(中略)『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』(中略)の以上4件です。すべてP44は『お付き合い』で入札に参加した,つまり,受注意欲のない,希望票の提出を依頼されたことにより依頼されるままに提出したら指名に入ったという無気力の物件であり,積算もしていないと思います。ですから,本命から連絡を受けた札で入札に参加 し落札に協力しました。」(カ)P48α29支店次長P92の審査官に対する平成13年5月31日付け供述調書(甲サ6)a「『八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』は,P5が落札しておりますが,この工事は,多分,P5のP84所長かどなたかから入札参加工事希望票を出してほしいと依頼を受け,当社は頼まれて申込みしたものです。つまり,この工事は,当社としては受注意欲を持っている物件ではありませんでした。この工事の現説が平成11年6月9日に行われており,この席で してほしいと依頼を受け,当社は頼まれて申込みしたものです。つまり,この工事は,当社としては受注意欲を持っている物件ではありませんでした。この工事の現説が平成11年6月9日に行われており,この席でP5α21営業所長のP84さんと次席のP177さんと挨拶をして名刺交換をしました。この現説が終わったときであったかその後日であったか定かでありませんが,P5のP84さんから『熱心に営業しており受注したい』とお願いされ,当社はP5のお願いを理解しました。そして,入札の前日までにP5のP84所長かP177さんかのいずれかから入札価格の連絡を受けました。」b「お示しのページの左側の真ん中あたりに,『P12公社現説6/ 10:15八王子市α5外私道内下水道築造45-公7工事』と書いてあり,少しとばして『入札6/21(月)』と書いてありますが,これは,ただ今説明しております工事の入札結果等を書いたものです。 お示しのページの左下に『253,000,-238,900,-236,500』と書いてありますが,これは入札の前日までにP5 のP84さんかP177さんのいずれかから連絡を受けた当社の1回目から3回目までの入札金額です。当社は,P5から連絡のあった1回目は253,000,000円,2回目は,238,900,000円で入札に応じ,P5が落札できるように協力しました。」(キ)P40α34営業所の元所長であったP97の審査官に対する平成13年5月17日付け供述調書(甲サ56。なお,「この表」とは「P12希望表提出件名」と題する書面を指す。)a「この表は,平成12年2月ころ,当時,営業所に残っている資料を基に部下のP178に作成させたもので,私も目を通して確認して内容も把握しております。」b「表の中に『依頼者』の欄がありますが,希望票 「この表は,平成12年2月ころ,当時,営業所に残っている資料を基に部下のP178に作成させたもので,私も目を通して確認して内容も把握しております。」b「表の中に『依頼者』の欄がありますが,希望票を提出するように依頼した人,つまり,本工事に何らかの立地条件があって本命となっていた業者からの希望票提出依頼を資料が残って分かる範囲で記載した者で,その横の『OK』と記載してあるのは指名されたということを表しています。」c「『P5』とは,P5α21営業所から依頼があったことを意味していますが,このときは,P5のP84α21営業所長から依頼があったことを思い出しました。」イ本件工事5は,被告P5において,予定価格の99.77%に当たる2億3750万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件 慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P5において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記各供述調書によれば,被告P5の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,相指名業者に対し,被告P5が受注予定者であることを伝達し,あらかじめ入札価格を連絡するなどしたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事5については,被告P5の従業員により,相指名業者との間で,受注価格の低落防止等を図り,被告P5において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,被告P5が本件工事5の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P5は,本件工事5の入札に参加した業者のうちには,原告 の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,被告P5が本件工事5の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P5は,本件工事5の入札に参加した業者のうちには,原告らが主張する基本合意の構成員たる別紙業者一覧表記載の業者以外の者が含まれており,個別談合は成立し得ない旨主張するが,上記P84の供述調書によれば,本件工事5の現場説明会において,広域総合建設業者以外のP176及びP56との間でも意を通じたと認めることができるし,また,本件工事5の入札は2回に及んでいるところ,2回目の入札に当たっては,P176及びP56とも,上記P84の供述調書において2回目以降の入札に当たっての「暗黙のルール」と説明される内容に従う入札結果となっていること(別紙工事目録5記載の開札結果参照)等に照らし,被告P5の上記主張は採用することができない。 したがって,被告P5は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (6)本件工事6についてア本件工事6につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P6α14事務所長P73の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ161)a「『八王子市α6×××番地先外下水道築造45(公1工区)工事』という物件は平成11年6月28日に入札が行われ,Aランク業者及びBランク業者の組合せで10JVが参加し,1回目の入札で当社とP19のJVが落札しました。 私は,この物件について,基本設計が出た頃から是非受注したいと考えていました。また,この物件の入札の1年くらい前に実施設計の入札があり,この時当社のいわゆるダミコンと呼ばれている(判読不能)が指名されていると思いますが,はっ 設計が出た頃から是非受注したいと考えていました。また,この物件の入札の1年くらい前に実施設計の入札があり,この時当社のいわゆるダミコンと呼ばれている(判読不能)が指名されていると思いますが,はっきり覚えておりませんので,公取さんに提出している資料のうち,『指名通知書』という題名の大学ノートを見せていただきたいと思います。」b「お示しのノートの平成10年9月17日付けの『八王子市α6実施設計作業』のところの入札参加者を見ると『(判読不能),P179,P180,P181,P182,P183,P184,P185,P186,P187』と書いてありますので,(判読不能)は指名を受けており,入札の結果,P186が落札しました。 私の記憶では,この工事は,当初ミニシールド工法で施工する計画であったものが,発注時には長距離泥水推進工法に変更になったもの です。私は,この物件を是非受注したいと考えていましたので,基本設計が公表された時にP12公社に行って,その旨が掲載された業界紙の記事を元に詳しい情報を聞いたりして勉強していました。また,いつころ誰に話したか思い出せないのですが,たまたま他のゼネコンの営業所長クラスの人2,3人と会った時に,この物件は当社が勉強しているというようなことを話した記憶があります。」(イ)P50α38支店α39営業所長P104の審査官に対する平成13年10月3日付け供述調書(甲サ62)「『八王子市α6×××番地先外下水道築造45(公1工区)工事』は,P6が本命でした。この物件でゼネコン同士で叩き合いになった記憶はありません。P6にどのような立地条件があったかまでは覚えていませんが,P6α99営業所のP73所長から工事希望票の提出依頼を受け申し込んだ物件です。当社は,P188とJVを組み,JVのスポンサーとして せん。P6にどのような立地条件があったかまでは覚えていませんが,P6α99営業所のP73所長から工事希望票の提出依頼を受け申し込んだ物件です。当社は,P188とJVを組み,JVのスポンサーとして入札に参加しています。 札の連絡もP6α99営業所からあったはずです。といいますのも,当社は,このように協力依頼を受けた物件については,積算をすることはありませんので,本命業者から札の連絡がないと応札価格が決められないのです。適当な札価格,つまり,予定価格から余りにもかけ離れた札価格で応札すると発注者からいい加減な業者と思われて,発注者から見た当社の信用が失われてしまうこともあることから,協力依頼を受けた物件については,本命業者から札の連絡があり,当社はその札価格で応札して本命の落札に協力しているのです。この物件の場合も特段の事 情はありませんでしたから,本命のP6α99営業所から札の連絡が来て,当社はその札価格で応札してP6とP19JVの落札に協力している物件と言えます。」(ウ)P153α82支社建築支店営業第三部次長(前α83営業所長)P154の審査官に対する平成13年10月1日付け供述調書(甲サ80)「P6・P19JVが落札した『八王子市α6×××番地先外下水道築造45(公1工区)工事』につきましては,私の記憶にございますのは,P6は八王子市α6付近で以前物件を手がけていたことがありました。 さらに,同業のゼネコンからP6のP73さんが熱心に営業している話は聞いておりました。P73さんが熱心に営業している話を聞き,P6が『本命』になることは入札前に判断ができました。当社は,この物件につき受注意欲も物件の近隣においては条件もありませんでしたし,雑ぱくな積算で入札に臨み,P6の受注に協力しました。なお,この物件の相指名に記載さ ることは入札前に判断ができました。当社は,この物件につき受注意欲も物件の近隣においては条件もありませんでしたし,雑ぱくな積算で入札に臨み,P6の受注に協力しました。なお,この物件の相指名に記載されているJVのスポンサーである,P189,P52,P65,P111,P41,P50,P37はどちらも我々ゼネコンの談合仲間ですから,本命から何らかの依頼をされたか,あるいは,私のように,ゼネコン仲間からP6の受注意欲を聞いて受注に協力したものと思われます。」(エ)P111α46営業所副所長P112の審査官に対する平成13年8月23日付け供述調書(甲サ74)「私は,平成10年度からP12の営業を担当しておりますが,何件か 指名に入っておりますが,残念ながら受注できた物件はありませんでした。指名を受けて入札に参加した物件は,本命から協力依頼があり,入れ札の連絡をもらって,本命が受注できるように協力しました。私は,当社が積算した金額が本命の受注に迷惑がかからなければ,当社が積算した金額で応札していました。」イ本件工事6は,被告P6を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.88%に当たる4億7300万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P6において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記各供述調書によれば,被告P6の従業員が,本件慣行の存在を前提として,相指名業者(建設共同企業体の代表者となる広域総合建設業者)に対し,被告P6が受注予定者であることを 証等を行っていないこと,上記各供述調書によれば,被告P6の従業員が,本件慣行の存在を前提として,相指名業者(建設共同企業体の代表者となる広域総合建設業者)に対し,被告P6が受注予定者であることを伝達し,あらかじめ入札価格を連絡するなどしたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事6については,被告P6の従業員により,相指名業者との間で,受注価格の低落防止等を図り,被告P6を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事6の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P6は,上記P73の供述調書につき,同供述調書作 成の経過等につき記載したP73作成の陳述書(乙ニ1)を提出するなどした上で,信用性がないなどと主張し,また,上記P104及びP154の各供述調書についても,本件工事6につき個別談合があったことの証拠とならない旨主張する。確かに,上記各供述調書においては,本件工事6に関する受注調整の方法について,いささか概括的に記載されている部分はあるものの,前記1(3)のとおり,本件慣行の存在が認められることに照らすと,上記各供述調書は,いずれもその内容を相互に補完し合い,被告P6の従業員において,おおむね本件慣行に従った受注調整行為があったとうかがわれる点において一致しているから,被告P6の上記各主張は採用することができない。 したがって,被告P6は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (7)本件工事7についてア本件工事7につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)旧P7α22支店α23営業所長であるP85 と解すべきである。 (7)本件工事7についてア本件工事7につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)旧P7α22支店α23営業所長であるP85の審査官に対する平成12年11月21日付け供述調書(甲サ4)a「私がα23営業所へ赴任後にP13へピーアール活動をしたケースは,昨年8月に八王子市の市内業者であるP20とのジョイントベンチャーで落札,受注できました,P12公社発注の『八王子市α5ほかの下水道築造工事』についてでして,同公社が年度内の発注予定物件を公表した4月の早い時期であったと記憶しております。」 b「その4月のα5等工事についてのピーアールのときに,私がα100での実績につき説明しますと,P28さんは,『そうですか』といった対応の仕方で,これといったコメント等はしなかったのですが,予備指名をいただいて間もなくのころでしたから,昨年7月中旬くらいに,私はP28さんに電話を架けて『α5の件は指名に入りましたから勉強させてもらってよいですか』といった言い方で,確認のために聞いております。これに対してP28さんは『まあ,頑張ってみたらどうです』といった言い方をされましたから,私は,この件については当社が受注を目指す業者,つまり本命業者になれると受け取ったわけです。そういう次第で,私は,相指名業者,とりわけメインとなる『スポンサー』のゼネコンさんらには協力方の挨拶をした方がよいと考えまして,本指名をいただきました後でしたから,8月初めころに,P53などゼネコン6社くらいと東京都23区内と多摩地区に本社を置くP56などゼネコンではないA級業者3社くらいに協力方の挨拶をしております。挨拶は,電話でもお話ししていますが,一通り出向いても行いました。 P20とのジョイント組みの 3区内と多摩地区に本社を置くP56などゼネコンではないA級業者3社くらいに協力方の挨拶をしております。挨拶は,電話でもお話ししていますが,一通り出向いても行いました。 P20とのジョイント組みの経緯につきましては,私はBグループとして指名に入りましたいずれかの業者の所へ電話を架け,地元としてはどの業者が『強い』のかを聞いておりまして,『P20が早くから勉強してきている』と教えていただけましたが,P20の方でも同様に情報収集をしていた様子でしたから,どちらから持ち掛けるといったこともなく,連絡が成りまして,すんなりとジョイント結成する ことが決まっております。 そして,入札価格についての協力依頼は,P12公社の場合は,月曜日か火曜日に入札執行というのが大体のパターンですから,そうであるならば,前週の金曜日くらいに,私から各スポンサー業者の担当者へ電話を架け,入札2回分の当社入札価格より高目の金額をそれぞれ伝えて,それをもって入札していただけるようお願いしました。」(イ)P153α82支社建築支店営業第三部次長(前α83営業所長)P154の審査官に対する平成13年10月1日付け供述調書(甲サ80)「P7・P20JVが落札した『八王子市α5××××番地先外下水道築造45(公4工区)工事』の物件は,当社は指名稼ぎのために入札に参加しましたので,『本命』のP7から受注のための協力依頼を受けて入札に臨みました。P7の営業所長のP85さんとは面識はありませんでしたが,面識はなくても受注の協力依頼はありますので,おそらくP85さんから入札の際に札入れする価格について私か部下であったP169に対して電話で連絡があり,当社の概算ではじいた積算がP7の受注に迷惑のかからない金額であることを確認して札入れしました。」(ウ)P133株式会社 に札入れする価格について私か部下であったP169に対して電話で連絡があり,当社の概算ではじいた積算がP7の受注に迷惑のかからない金額であることを確認して札入れしました。」(ウ)P133株式会社(旧P53)α65支店副支店長P135の審査官に対する平成13年8月10日付け供述調書(甲サ149)「お示しの文書を見ますと,平成11年8月16日に開札されたP12公社の八王子市の土木工事の入札物件で,当社もP190というBランク業者とジョイントベンチャーを組んで入札に参加していることがわか りますし,私の記憶でもこの物件の入札に当社が参加したことは間違いありません。 この時の経緯ですが,基本的には先ほど申しました受注調整の方法にのっとって,当社は本命であるP7のジョイントベンチャーが受注できるように協力しております。 まず,P7のP85さんから電話だったと思いますが,この工事物件について『当社が受注したいと考えているので,希望がなければP53さんも申し込んで当社に協力してほしい,これはBランクとのジョイントベンチャー物件だからP190と組んでくれないか』といったことを依頼されました。当社としては,特に取りにいこうと考えるような物件ではなかったものですから,P7さんに協力しようと考えて了解しております。ただ,やはり支店長,当時はP134ですが,P134にも報告しなければならないと思ったので,P134にこのことを報告したところ,『ウチでもぐってやれ』というような指示をしたのです。実は,これが初めてではなく,この入札物件の1か月前くらいのP12公社の物件で,P5さんが落札した物件の際にも同じようにもぐってしまえみたいなことをP134は言っておりましたが,その時は『勘弁してくださいよ』となだめた経緯がありました。そこにきて,P134はまた 社の物件で,P5さんが落札した物件の際にも同じようにもぐってしまえみたいなことをP134は言っておりましたが,その時は『勘弁してくださいよ』となだめた経緯がありました。そこにきて,P134はまた同じことを言い出したものですから,『冗談じゃないですよ』と,少々ケンカになったわけです。ゼネコンの間で受注調整の対象となっている物件をもぐろうものならば,他の仕事でも嫌がらせを受けたりするのは必至ですから,私は業界のルールを破るわけにはいかないと考え,このP 134支店長の指示をはねつけ,P134には渋々ながら了解させたということがあったのです。 結局,この物件に関しては,後にP7から当社が入れる入札価格の連絡があり,それが1回目と2回目についてだったか,1回目だけで後は何万円以内ということだったかははっきりしませんが,連絡を受けた価格で入札するよう,既に退社しておりますが,当時の営業担当のP191に入札に行くよう指示し,そのとおり入札してP7に協力しております。」イ本件工事7は,旧P7を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.77%に当たる3億1200万円で落札されているところ,上記各供述調書によれば,旧P7の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事7の相指名業者である建設共同企業体の代表者すべてに対し,入札価格を連絡して,受注価格の低落防止等を図り,旧P7を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事7の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,引受参加人P7は,上記各供述調書の趣旨,証明力及び信用性を争うが,上記各供述調書はいずれもその内容を相互に補完し合うもので,入札に至る経緯等についても具体的に と認めるのが相当である。 これに対し,引受参加人P7は,上記各供述調書の趣旨,証明力及び信用性を争うが,上記各供述調書はいずれもその内容を相互に補完し合うもので,入札に至る経緯等についても具体的に述べられており,信用性が高いものであって,引受参加人P7の上記主張は採用することができない。 したがって,旧P7からその債務を引き受けた引受参加人P7は,旧P7の従業員が行った談合行為につき,旧P7が負う民法715条に基づく 不法行為責任を承継したものと解すべきである。 (8)本件工事8についてア本件工事8につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P8α27支店土木営業部長(前α13営業所長)P90の審査官に対する平成13年5月24日付け供述調書(甲サ144)「当社が受注した,平成11年8月16日に入札が行われたP12公社発注の『八王子市α7××××番地先外下水道築造45(公14工区)工事』も,当社のダミコンであるP57が入札に参加し,そこから設計図書等を入手し,現地等を見て,受注意欲が沸き,また,このα7の施工場所近隣での当社の施工実績つまり立地条件はなかったと思いますが,α13営業所ができてから,多摩地区市町村やP12公社から受注した実績がなかったことから,是非受注したいという強い受注意欲を持ちました。そして,設計段階での情報をP13α11営業所に持参して,受注意欲をピーアールしております。 そして,公示されてからであったと思いますが,私は,P40さん,P58さんや他のゼネコンさんにも入札に参加してもらえるようお願いをしていると思います。入札参加を依頼したゼネコンさんは,当社が受注意欲をピーアールした際に,特にこの工事に受注意欲がなさそうだという感触が得られましたので,当 にも入札に参加してもらえるようお願いをしていると思います。入札参加を依頼したゼネコンさんは,当社が受注意欲をピーアールした際に,特にこの工事に受注意欲がなさそうだという感触が得られましたので,当社がスムーズに受注できるよう希望票の提出をお願いしました。 そして,申込みの後,P12公社の方から指名通知が電話で来まして, 指名したということ,現説は大体は連絡のあった翌日にありますが,その連絡が入ります。そして,現説に行きますと,最終的に指名された業者はどこであるかということが分かります。 そして,現説が終わった後ですが,相指名となった業者に対して,当社が早くからこの工事を受注できるよう営業努力をしていること,一生懸命積算しているといったお願いをし,受注できるよう協力のお願いと申しますかピーアールをしました。しかし,このα7の工事には,ゼネコン以外に,地元業者も入札に参加してきておりまして,この地元業者にまで当社の受注意欲をピーアールしたかどうかはちょっと覚えておりません。 P58さんは,協力のお話しをしましたところ,この工事への受注意欲がないというふうに受け取りましたので,高めの概算で積算をしてくれるであろうと考えました。概算で積算すれば,受注意欲を持って細かく積算するよりも,間違いなくと申しますか,私の経験でも,高い金額になります。 そして,この工事は,ピーアールの結果,少なくとも,P58さんは受注意欲をなくし,結果的には協力していただいた形で当社が受注したもの,つまり,多摩地区のゼネコンの間の慣習の中で受注したものです。」(イ)P58α43営業所長P108の審査官に対する平成13年5月15日付け供述調書(甲サ71)「お示しの文書の1枚目は,平成11年8月16日入札のP12公社発 注の『八王子市α7××××番地先外 P58α43営業所長P108の審査官に対する平成13年5月15日付け供述調書(甲サ71)「お示しの文書の1枚目は,平成11年8月16日入札のP12公社発 注の『八王子市α7××××番地先外下水道築造45(公14工区)工事』の開札結果表であり,この物件はAランクの物件で,地元のBランク業者が格上げとなって入札に参加しています。当社はこの物件の入札に参加しています。この物件はゼネコンのP8が2億600万円で落札しています。 この物件は当社に立地条件はなく取りたいという物件ではありませんので,甘い見積りを出して結果的に協力しています。」イ本件工事8は,被告P8において,予定価格の99.60%に当たる2億0600万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P8において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないことや,上記各供述調書によれば,被告P8の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事8の相指名業者の全部又は一部に対し,被告P8が受注予定者であることを認めさせるなどして,受注価格の低落防止等を図り,被告P8において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,被告P8が本件工事8の落札業者となったと認めるのが相当である。 したがって,被告P8は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (9)本件工事10について ア本件工事10につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記 は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (9)本件工事10について ア本件工事10につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P9α24支店α25営業所長P86の審査官に対する平成12年12月22日付け供述調書(甲サ115。なお,「この資料」とは,被告P13α11営業所から留置された「1.発注先(財)P12公社2.件名八王子市α4付近外調査作業」で始まる文書1枚並びに同文書添付の図面2枚及び工事設計書と題する文書2枚である。)a「この資料も,先ほど話したものと同様に私が用意してP13α11営業所に提出したものに間違いありません。」b「そして,この工事の延長工事が財団法人P12公社から平成12年3月29日,公募型指名競争入札として公表され,当社としては受注意欲がありましたので,これに公募して指名されましたので,入札に参加しました。 平成12年5月1日,八王子市内にあります財団法人P12公社で午前10時から入札会が行われ,私が入札会に行きまして,当社は八王子の地元業者であるP22とJVを組み,入札1回目,税抜きで3億4500万円で落札し,現在施工中です。」(イ)被告P4α19営業所長P83の審査官に対する平成13年6月5日付け供述調書(甲サ164)「平成12年5月1日入札の『八王子市α8×××番地先外下水道築造46(公2工区)工事』は,当社とP159とのJVで入札に参加し,P9とP22のJVが落札しております。この工事は,JVのスポンサ ーとなったP9α25営業所のP86所長からであったと思いますが,受注意欲があるということと工事希望票を出してほしいということをお願いされ,当社はそれを理解し,工 この工事は,JVのスポンサ ーとなったP9α25営業所のP86所長からであったと思いますが,受注意欲があるということと工事希望票を出してほしいということをお願いされ,当社はそれを理解し,工事希望票を出しました。そして,入札の前日までにはP9から入札価格の連絡を受け,その価格で入札に臨み,P9のJVが落札できるように協力しました。」(ウ)P41α68営業所長P139の審査官に対する平成13年6月7日付け供述調書(甲サ156)「当社が強く受注を希望していた物件は51番の八王子市α8の下水道工事でした。この物件の近隣で当社は東京都下水道局発注の下水道工事を施工したことがあり,そうした条件があったものですから強く受注を希望しました。この物件については,当社以外でP9さんも受注を希望していました。P9のP86所長と2,3回,喫茶店で話し合いました。 そのとき,私は近隣の施工実績を述べて,受注を希望するといいました。 P86さんは,近隣の施工実績に加え,この物件の実施設計は八王子市から発注となっておりますが,その実施設計の入札にP9のダミコンである(判読不能)が入っていることを理由に当社より条件的に強いと言っておりました。私としては,当社の近隣施工実績からみて,当社が本命になれると思っていましたが,近隣施工実績とダミコンの指名という2つの条件をP86さんが主張されたため,最終的には,P9に本命となることを譲りました。この連絡は電話で行いましたが,入札日直前でした。この入札は月曜日ですので,前の週の金曜日にP86さんに電話したと思います。このように直前まで,本命が決まらないという物件は あまりないのではないかと思います。 P86さんに当社が降りるという話をしたときにP86さんから特に入札金額は聞いておりません。当社も積算しており, うに直前まで,本命が決まらないという物件は あまりないのではないかと思います。 P86さんに当社が降りるという話をしたときにP86さんから特に入札金額は聞いておりません。当社も積算しており,大体の落札価格は予想できますので,P9の落札の邪魔にならない価格で入札に参加しております。」(エ)P60α54営業所長P118の審査官に対する平成13年5月9日付け供述調書(甲サ113)「お示しの文書の1枚目は,平成12年5月1日入札のP12公社発注の『八王子市α8×××番地先外下水道築造46(公2工区)工事』の物件であり,ABランクのJV物件です。当社はこの物件の入札に参加しています。この物件はP9とP22のJVが3億4500万円で落札しています。 JV物件の場合はスポンサーかサブのどちらかが施工実績などの立地条件を持っていますが,その組み合せは難しいものと思っています。この物件はJVのスポンサーの方から協力のお願いがあり,当社は取れる物件ではありませんので概算で見積りを出して落札に協力しています。」(オ)P59α40本店α41営業所長P105の審査官に対する平成13年7月5日付け供述調書(甲サ63)「番号31のα8の物件は,ABのJV物件で,P9・P22JVが落札した物件です。当社は,P192とのJVで入札に参加しています。 この物件については,当社の基準では『その他』の物件でしたが,特に 営業していた物件ではありませんでしたので,これも熱心に営業している会社から依頼があって工事希望票を出した物件だったと思います。当社に依頼してきた会社として考えられるのは,やはり,受注したP9です。この物件は,当社がスポンサーでしたから,当社で積算しておりますが,積算は概算で行っております。P9から入札価格の連絡があったかどうかはっき きた会社として考えられるのは,やはり,受注したP9です。この物件は,当社がスポンサーでしたから,当社で積算しておりますが,積算は概算で行っております。P9から入札価格の連絡があったかどうかはっきりした記憶はありませんが,P12公社発注の物件についてほとんど入札価格の連絡があった記憶がありますから,この物件についても入札価格の連絡があったと思います。誰から連絡があったかも思い出せませんが,P9ではP86所長が1人で営業を担当していると聞いていますので,連絡があったとすればP86さんということになります。」(カ)P30α87支店α88営業所長P158の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ208)「提示がありました書面は,当社,すなわちP30株式会社のα88営業所で作成し,P13株式会社のα11営業所に私が持参して,同社の多分,前営業所長であるP28さんに渡したものです。私は,この提示がありましたような書面のことを『ピーアール図面』と言っております。 この書面自体は,当社α88営業所で私の下で営業マンをしているP193に作成させております。 このケースは,財団法人P12公社,略して『P12公社』が発注予定の八王子市α8×××番地先他46下水道築造工事(公2工区),略して『α8下水道工事』についてですけれども,この工事物件について は,年度初めころ,すなわち平成11年4月ころに出件の情報を得られておりましたが,出件が近づいたとのことから,ピーアール図面を作成して,このピーアール図面に日付記載されています平成12年2月18日ころに,P13さんのα11営業所にピーアールに行ったと思います。 しかし,α8下水道工事は,確か委託元の八王子市の予算的都合か何かの事情のため平成11年度には発注されず,平成12年5月に発注され 日ころに,P13さんのα11営業所にピーアールに行ったと思います。 しかし,α8下水道工事は,確か委託元の八王子市の予算的都合か何かの事情のため平成11年度には発注されず,平成12年5月に発注されており,P9がスポンサーとなったジョイントベンチャーが受注し,当社は受注できませんでした。 α8下水道工事につきましては,このピーアール図面の左下部分に『P194公社発注』と書き出しで書いてありますような,周辺地域での各種工事の施工実績を当社は持っていましたから,私は是非受注したいと思い,P193にピーアール図面を作成させて,これをP13さんに持参して,前所長のP28さんに対し,『記載してあるような周辺地域での施工実績を当社では持っているので,このα8下水道工事については是非受注したいと考えています』と述べて,受注意欲をピーアールしております。それに対して,P28さんは,特に具体的なコメントなりサジェスチョンは行いませんで,確か『それでは,図面を預からせてください』と言われましたため,私は,このピーアール図面を差し上げて帰ってきたと記憶しております。 その後,P13のP28さんやP28さんの後任土木担当者であるP76さんからコメントなどは頂けなかったですけれど,営業活動の過程で他にゼネコンであるP9さんも強く受注意欲を持っておられることが 分かったものですから,具体的には覚えていませんが,時期は入札公示より前くらいの時,すなわち入札執行日より1か月は早い時期に,P9株式会社α25営業所の所長であるP86さんと,電話で双方の立地条件などを交換し合うといった受注意欲についてのやり取りを行ったことがあります。その立地条件等につきましては,当社の場合は,提示のピーアール図面に表しています周辺地域での施工実績くらいであり,P9さんの場合は,内 合うといった受注意欲についてのやり取りを行ったことがあります。その立地条件等につきましては,当社の場合は,提示のピーアール図面に表しています周辺地域での施工実績くらいであり,P9さんの場合は,内容は覚えていませんが,周辺での施工実績を持っておられたほか,ダミコンである(判読不能)が当該物件に関連する実施設計委託業務の入札に参加しているとの条件も持っていました。この時,譲ることの話にはなっていませんが,私は,P9さんはかなり強く受注意欲を持っているなと感じました。結局,私はP9さんが受注に向かうなら止むを得ないと考え,当社は一歩引く形にはなっています。しかし,P9さんと入札に当たって入札価格についてのやり取りは行っておりませんでした。と言いますのは,相指名業者としてゼネコン仲間ではないP51とかP195といった「よそ者業者」が入りましたから,私は,それら業者と叩き合いするなり何なりはP9さんの問題だとの考えであったのです。当社は,自社積算価格くらいの価格で1回目入札を行ったと記憶しております。」(キ)P61土木部官庁土木部門営業一部α101営業所長P196の審査官に対する平成13年5月22日付け供述調書(甲サ246。なお,「18番の物件」とは本件工事10のことである。)a「P12公社が発注した『八王子市α8×××番地先外下水道築造4 6(公2工区)工事』の物件について他社の落札に協力していたことについて申し上げます。」b「お示しの文書は当社が入札に参加した一覧表であることを理解しました。 このうちP12公社が発注した18番の物件については,当社の『条件』,つまり,関連する施工実績などはございませんでした。ですから,もともと,入札で他社と競争して落札しようとは考えておりませんでした。 受注意欲はもともとございませんでした については,当社の『条件』,つまり,関連する施工実績などはございませんでした。ですから,もともと,入札で他社と競争して落札しようとは考えておりませんでした。 受注意欲はもともとございませんでしたので,本社で簡易な積算をお願いしていました。簡易な積算と申しますのは,当社で言いますと『VEをかけない』つまり,『コストダウン』しなかったということになります。」c「この物件につきましては,『条件』を持っている熱心なゼネコン何社かが競合しているような話を,現場説明会に行った部下のP197から聞いていました。 入札の結果,P9・P22のJVが落札しておりますが,実際に札の連絡があったのは,本命であるJVの頭のP9さんからではなかったと記憶しています。ただ,入札に参加した業者の中のどなたかであったであろうという記憶はあります。落札結果を見て『P9さんから札の連絡を受けたわけではないので,意外だったな。』と感想を持ったことを鮮明に覚えています。 私は,どこのゼネコンから札の連絡があったのかは正直に申しまし て覚えていないのですが,その札の連絡と当社で簡易な積算をした価格を考慮して,当社の札を設定し,P197に指示して実際に札を入れさせました。」イ本件工事10は,被告P9を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の98.06%に当たる3億4500万円で落札されているところ,上記各供述調書によれば,被告P9の従業員が,本件慣行の存在を前提として,本件工事10につき積極的に受注意欲を有していたP41やP30に対し,被告P9を代表者とする建設共同企業体が本件工事10の受注予定者であることを認めさせるなどし,受注価格の低落防止等を図り,相指名業者の全部又は一部との間で,同建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の 企業体が本件工事10の受注予定者であることを認めさせるなどし,受注価格の低落防止等を図り,相指名業者の全部又は一部との間で,同建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事10の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P9は,上記P158の供述調書に「相指名業者としてゼネコン仲間ではないP51とかP195といった『よそ者業者』が入りましたから,私は,それら業者と叩き合いするなり何なりはP9さんの問題だとの考えであったのです。」との記載があるなど,本件工事10の入札に参加した業者(殊に建設共同企業体の代表者)のうちには,広域総合建設業者でない者も含まれており,受注調整を行うことは不可能であった旨主張するが,仮にこれらの業者が本件工事10の談合に加わっていなかったとしても,上記落札率(なお,被告P9は,本件において,積極的かつ具体的に落札価格の積算根拠等につき主張立証等を行っていない。)等からすれば,被告P9の従業員が行った談合行為によって,事実上,本 件工事10の入札に不当な影響を及ぼし,その公正を害したものと推認することが相当であるから,被告P9建設の上記主張によっても,上記認定は左右されない。 したがって,被告P9は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (10)本件工事12についてア本件工事12につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P10α26営業所長P89の審査官に対する平成13年4月10日付け供述調書(甲サ169)「この物件は,当社が単独であれば,この工事を受注できる関連性とか地域性といった条件はありません (ア)被告P10α26営業所長P89の審査官に対する平成13年4月10日付け供述調書(甲サ169)「この物件は,当社が単独であれば,この工事を受注できる関連性とか地域性といった条件はありませんでした。そして,JVの親会社の中で本命になり得る条件を持っている業者もなく,また,そのような条件を提示してくる業者もありませんでした。 一方,予備指名のメンバーの中でP25は,八王子市の地元業者であり,施工場所に最も近いという地域性を有しておりました。と言いますのも,P25は,この工事の施工場所から300メートルくらいしか社屋が離れておりませんでしたから,P25の家の前を工事するようなものといっても過言ではなく,JVの子供の中では最も優れた地域性を有しており,指名された地元業者の中では本命となり得る条件を兼ね備えた業者と言えました。 そこで,私は予備指名があった直後から,P25のP198常務に電 話をして,当社とJVを組んでもらいたいとお願いしたのです。こうしてP25とJVを組むことになり,私どものJVが一番強い本命としての条件を兼ね備えることができたのです。 そして,本指名の後,どの業者がどことJVを組んだかが分かります。 指名メンバーには,当然,当社がP25とJVを組んだことが分かり,その優位性が認識されます。当社がJVを組んだP25の地域性というのは,家の目の前を工事するというか,庭先を工事するようなもので,他社が工事の関連性だとか地域性などということをいって本命となり得る条件を提示した場合には,人の庭先をいじるようなものだといわれ,業界内では常識外れとみなされてしまうのです。このことから,当社はP25とJVを組むことにより最も強い優位性を有したわけです。結局,当社から相指名業者に対する価格連絡はしていませんが,この優位性が認め 内では常識外れとみなされてしまうのです。このことから,当社はP25とJVを組むことにより最も強い優位性を有したわけです。結局,当社から相指名業者に対する価格連絡はしていませんが,この優位性が認められたものと思います。」(イ)P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ5)「『八王子市α9××××番地先外下水道築造工事46(公3工区)工事』は,当社も立地条件がありまして狙っていた物件でした。しかし,この工事が公表になった直後だったと思いますが,P28さんの後を引き継いだP13α11営業所のP76さんから当社P173所長に電話がありまして『P15は数年間受注がない,P15に譲ってほしい,あなたのところは,市町村でとっているから今回は我慢してほしい。』という内容の電話があったのです。当社としては,P15のα102営業 所を訪ね,P199所長と話合いを持ち,今回は当社が我慢することにしました。P15からは見積金額の探りがありまして,入札では,P15が落札できるように高めに見積りをして,P15の落札に協力しました。」(ウ)P58α43営業所長P108の審査官に対する平成13年5月15日付け供述調書(甲サ71)「この工事物件は,P15が勉強していた話が聞こえてきました。P58としては,無理にP25さんの近くまで行って受注したいとは思いませんので,甘い見積りをして結果的に協力しています。」イ本件工事12は,被告P10を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.03%に当たる2億8800万円で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の で落札されているところ,前記1(3)のとおり,公正取引委員会の立入検査の前後において,公社発注の特定土木工事の落札率等に有意な差がみられ,殊に落札率99%以上の工事については,ひとまず本件慣行の存在が作用した旨を推認することが可能な状況であるにもかかわらず,本件では,被告P10において落札価格の積算根拠等につき積極的かつ具体的な主張立証等を行っていないこと,上記各供述調書によれば,被告P10の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事12につき積極的に受注意欲を有していたP39と話合いの上,同社に対し,被告P10を代表者とする建設共同企業体が本件工事12の受注予定者であることを認めさせるなどしたことが認められることなどの諸事情を総合すると,本件工事12については,被告P10の従業員により,相指名業者の全部又は一部との間で,受注価 格の低落防止等を図り,被告P10を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事12の落札業者となったと認めるのが相当である。 これに対し,被告P10は,本件工事12の入札に参加した建設共同企業体の代表者のうち6社は地元業者であるところ,これら地元業者に対しても被告P10が受注予定者となることの承認を得た事実は立証されないから個別談合は成立しない旨主張するが,仮にこれらの業者が本件工事12の談合に加わっていなかったとしても,上記落札率等からすれば,被告P10の従業員が行った談合行為によって,事実上,本件工事12の入札に不当な影響を及ぼし,その公正を害したものと推認することが相当であるから,被告P10の上記主張によっても,上記認定は左右されない。 したがって,被告P10は,その従業員が行った談合行為につき の入札に不当な影響を及ぼし,その公正を害したものと推認することが相当であるから,被告P10の上記主張によっても,上記認定は左右されない。 したがって,被告P10は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (11)本件工事13についてア本件工事13につき,関係者の審査官に対する各供述調書の記載の一部を引用すると,次のとおりである。 (ア)被告P11α16営業所長P80の審査官に対する平成13年9月18日付け供述調書(甲サ137)a「このα10の物件は,大きな立地等はありませんでしたが,是非受注したいと早くから勉強を行っておりまして,同業ゼネコン他社の営業担当者も当社がこの物件を勉強していることは承知していたと思い ます。このようなことから本命を目指すような同業ゼネコンはおりませんで,入札に参加された同業ゼネコン他社の方は,当社の勉強度合いをお認めいただいて当社が落札できたものでありました。」b「具体的にその状況をご説明しますと,まず,この物件が公表になってから,二十数社の同業ゼネコンの方々に入札に参加していただけるようお願いしました。 この一覧表の3番のα10の相指名ゼネコンを見てお分かりのとおり,相指名業者は,P32さんだけがゼネコンではなく,それ以外は,すべて私が入札参加していただくようお願いした同業ゼネコンでございます。 入札参加をお願いしたのはすべて多摩地区の営業を担当されている方でございまして,P72さんを除いてはすべて多摩に出先をおいている営業担当者の方々に私とP81とで手分けしてそれぞれお願いしました。 順を追って説明致しますと,私の記憶では,P65はP200さんかP103さん,P63はP96さんかP201さん,P66はP202さん,P37はP143 P81とで手分けしてそれぞれお願いしました。 順を追って説明致しますと,私の記憶では,P65はP200さんかP103さん,P63はP96さんかP201さん,P66はP202さん,P37はP143さん,P67はP114さんかP203さん,P72はα103支店の多摩地区営業担当者,P41はP139さん,P71はP155さん,P68はP151さん,P21は記憶がはっきりしませんがα55の営業所の方,P69はP204さん,P8は記憶がはっきりしませんがα13の営業所の方,P70はP113さん,P64は記憶がはっきりしませんがα58の営業所の方, P62はP117さん,P39はP91さん,の方々にお願いしたと記憶しております。P3については,所長さんなどの土木の責任者の方が不在だったため,営業所におられた方に土木営業の責任者にお伝え下さいとお願いしたと記憶しております。」c「そして,入札価格の連絡につきましては,当社の見積り上がりから応札する予定の金額をJVの頭であるそれぞれのゼネコンの方々に私が各営業所等を回ってお伝えし,当社はこの金額で応札する予定であるから当社の受注に御協力をお願いしますと言ってお願いいたしております。 お願いした方々は,先ほど入札参加依頼をお願いした方々であると記憶しております。ただ,入札価格の協力依頼をお願いした中で,P3のα96の土木営業責任者の方がまたも不在であったことから,事務所の方にお伝え下さいと伝言したと記憶しております。このような経過がございまして,その結果,当社は落札することができました。」(イ)被告P11α16営業所副所長P81の審査官に対する平成13年6月29日付け供述調書(甲サ86)「この物件の公表後だったと思いますが,この工事に入札参加可能なランクのゼネコン業者に対し,工事希望 被告P11α16営業所副所長P81の審査官に対する平成13年6月29日付け供述調書(甲サ86)「この物件の公表後だったと思いますが,この工事に入札参加可能なランクのゼネコン業者に対し,工事希望票を提出してこの入札に参加して当社の受注に協力してほしい旨の依頼をしました。協力をお願いしたゼネコン業者数は,12,13社くらいであったと思います。そして,発注者からこの物件の指名がなされましたが,相指名業者中の各ゼネコン さんは,そのすべてが協力依頼したゼネコンであったと思います。 ゼネコンさんに協力依頼をしたのは,私か私の上司のP80でありましたが,協力をお願いした各ゼネコン担当者について説明致しますと,はっきりとは覚えていませんが,P65は同社α37営業所のP200さんかP103さん,P3は,同社α96土木営業所のP205さん,P66は同社α104営業所のP202さんかP206さん,P67は同社α50営業所のP114さんかP203さん,P41は同社α92営業所のP139さんかP172さん,P68は同社α80営業所のP151さん,P69は同社α105営業所のP204さんかP207さん,P70は同社α48営業所のP113さん,P62は同社α53土木営業所のP117さん,の方々に対して協力をお願いしたと思います。 なお,協力をお願いしたゼネコンさんは,当社と同じランクでJVの親となるようなゼネコンさんに対してお願いしており,子供の業者にはお願いは致しておりません。それは,通常,JVの親になるゼネコンが入札手続等の決定権を持つことになるからであります。その後,入札の前日か前々日に,私かP80のどちらかでありましたが,相指名ゼネコンの担当者に対して,相指名業者に入れてほしい入札価格そのものか見積り上がりを提示し合ったものか,そのどちらかで ます。その後,入札の前日か前々日に,私かP80のどちらかでありましたが,相指名ゼネコンの担当者に対して,相指名業者に入れてほしい入札価格そのものか見積り上がりを提示し合ったものか,そのどちらかでしたが,入札価格についても相指名ゼネコンの営業担当者に連絡いたしました。 結果,相指名ゼネコンの方々の協力を得まして,当社とP18のJVが落札することができました。 この物件の当社の過去の施工実績等の立地条件としましては,この工 事の近隣である平成11年に八王子市から発注されました同市α106の下水道工事を手掛けておりまして,また,当社はシールド工事等の難易度の高い下水道工事を得意としておりますことから,多摩地区ゼネコン他社さんに対して,当社の立地条件と当社の技術を説明し,当社の受注意欲をアピールしてきた物件でした。」(ウ)P64α58営業所長P124の審査官に対する平成13年5月24日付け供述調書(甲サ92)「この物件は,P11とP18のJVが落札致しておりますが,ゼネコンであるP11のP81さんから,私に対してこの物件の申込みと協力の依頼がございまして,私はその協力依頼に応じて,入札に参加した物件でありました。 この物件のJVのサブとして入札に参加したため,その後の折衝は行っておりません。」(エ)P39α28営業所課長P91の審査官に対する平成13年9月4日付け供述調書(甲サ5)「『八王子市α10×××番地先外下水道築造46(公1工区)工事』は,P11α16営業所のP80所長から当社のP173所長に工事希望票の提出依頼がありまして申し込んだ物件です。入札価格の決定はJVのスポンサー会社が行いますので,落札したP11からJVのスポンサー会社に対しては,何らかの形で入札価格の連絡が来ているはずですが,当社はこの物件でP62と 申し込んだ物件です。入札価格の決定はJVのスポンサー会社が行いますので,落札したP11からJVのスポンサー会社に対しては,何らかの形で入札価格の連絡が来ているはずですが,当社はこの物件でP62とJVを組みまして,JVの子供でしたから入札価格の連絡までは知る立場にありませんので具体的には話せませ ん。」(オ)P62α52土木支店α53土木営業所長P117の審査官に対する平成13年6月14日付け供述調書(甲サ78)「38番の工事は,ミニシールド工事であり,当社もできれば頭になって入札に参加したいと思った物件でした。この物件については,工事希望票を出してくださいとお願いされたかどうか記憶しておりません。この物件についても自社で積算しておりますが,P11のP80所長だったと思いますが,P80所長からP11の入札金額について連絡を受けており,それより自社の積算金額が高かったですから自社の積算金額で入札に参加し,P11が落札できるよう協力しております。」(カ)P69α105営業所長P204の審査官に対する平成13年9月3日付け供述調書(甲サ88)「α10下水道工事につきましては,私は,当社として是非受注したいとの,積極的に落札を目指す考えで入札に参加したものではなかったとの記憶があります。この件につきましても,落札したP11さんから入札までの間に,何らか受注について協力方の話があったとのことはあり得ます。しかし,具体的な記憶がありませんから,はっきりと申すことはできません。」イ本件工事13は,被告P11を代表者とする建設共同企業体において,予定価格の99.74%に当たる7億9000万円で落札されているところ,上記各供述調書によれば,被告P11の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事13の相指名業者である建設 おいて,予定価格の99.74%に当たる7億9000万円で落札されているところ,上記各供述調書によれば,被告P11の従業員が,本件慣行の存在を前提とするなどして,本件工事13の相指名業者である建設共同企業体の 代表者すべてに対し,入札価格を連絡して,受注価格の低落防止等を図り,被告P11を代表者とする建設共同企業体において予定価格近似の金額で落札できるよう協力する旨の談合が成立し,これにより,同建設共同企業体が本件工事13の落札業者となったと認めるのが相当である。 したがって,被告P11は,その従業員が行った談合行為につき,民法715条に基づく不法行為責任を負うものと解すべきである。 (12)なお,原告らの予備的請求に係る訴えは,談合が行われたとして本件監査請求の対象となった本件工事1ないし13の一部につき,本件監査請求において損害賠償義務を負うとされた34社の一部を被告とし,本件工事1ないし13の一部について個別の談合があったかどうかを問題とするものであるから,本件監査請求により住民監査請求は前置されており,上記訴えは適法である。 また,原告らの予備的請求に係る訴えは,原告ら主張の基本合意の存在が認められず,被告らのすべてについて共同不法行為による不真正連帯責任が認められない場合に備えて,主位的請求に係る被告らの一部につき,主位的請求に係る損害額の一部の賠償をするよう求めるものであるから,これが訴えの変更に当たるとしても,出訴期間の遵守において欠けるところはない。 争点(3)(八王子市における損害の発生)について前記前提事実(4)によれば,①八王子市は公社との間で本件各委託契約を締結し,公社に対し,工事費,すなわち公社と工事請負人との間の契約金額を含む委託費を支払うことになっていること,②本件工事1ないし8,10,12及 によれば,①八王子市は公社との間で本件各委託契約を締結し,公社に対し,工事費,すなわち公社と工事請負人との間の契約金額を含む委託費を支払うことになっていること,②本件工事1ないし8,10,12及び13は,本件各委託契約等に基づいて公社が発注したものであり,公社はこ れらの工事について,八王子市に対し,契約書の写し1部を添付した上,工事件名,契約金額,工期,契約年月日及び契約先を通知していたこと,③八王子市は,公社に対し,本件工事1ないし8,10,12及び13につき,工事完了ごとに公社からの請求に応じ,それぞれ本件各委託契約に基づく委託費を支払ったことなどが認められるところ,これらの事実関係によれば,被告らの個別談合行為によって本件工事1ないし8,10,12及び13の請負金額が不当につり上げられたものであり,談合がなく公正な競争が確保されていたならばその金額が低額になったものと認められる以上(その額等については後記4で検討する。),八王子市に損害が発生するものと認めるのが相当である。 争点(4)(損害の額)について(1)本件工事1ないし8,10,12及び13の各談合によって,これらの工事を落札した被告らは,公正な競争によって決定されるべき入札価格について,そのような競争をすることなく,予定価格近似の価格で入札をし,当該価格で工事を落札することができることとなって,自社の利益を最大限に確保したものである。そして,談合がなければ,入札参加者間での公正な競争により落札業者が決定され,競争が行われた場合に形成されたであろう落札価格に基づいて締結された請負契約に係る契約金額と,談合に基づいて現実に締結された請負契約に係る契約金額との差額分について,上記各工事を落札した被告らは,八王子市に対して損害を与えたものというべきである。 しか て締結された請負契約に係る契約金額と,談合に基づいて現実に締結された請負契約に係る契約金額との差額分について,上記各工事を落札した被告らは,八王子市に対して損害を与えたものというべきである。 しかしながら,公正な競争によって決定される落札価格は,談合の結果,実際には形成されなかったものであり,また,その落札価格は,当該具体的な工事の種類,規模,場所,内容,入札当時の経済情勢及び各社の財政状況, 当該工事以外の工事の数及び請負金額,当該工事に係る入札への参加者数並びに地域性等の多種多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものである。 そうすると,公正な競争によって決定される落札価格を証拠に基づき具体的に認定することは極めて困難であるものといわざるを得ない。 したがって,本件においては,八王子市において損害が生じたことは認められるものの,損害の性質上,その額を立証することが極めて困難であるから,民訴法248条に基づき,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定すべきものである。 (2)以上のような観点から,八王子市が被った損害額について判断するに,原告らは,談合がなければ,最低制限価格が落札価格となったはずであると主張するが,公正取引委員会による立入検査が行われた後の平成12年10月1日から同17年11月1日までの期間における公社発注の特定土木工事139件(別紙「特定土木工事一覧表」参照)を見ても,そのすべてが最低制限価格で落札されているわけではなく,また,関係者の審査官に対する各供述調書によれば,「入札でまともに競争していると低価格での受注で赤字になってしまう」(甲サ71,85,113,135,138,155,171),「受注調整が行われないと赤字になるケースが多くなる」(甲サ184)などといった記載が散見される ると低価格での受注で赤字になってしまう」(甲サ71,85,113,135,138,155,171),「受注調整が行われないと赤字になるケースが多くなる」(甲サ184)などといった記載が散見されるところであり,もちろん個別の工事の種類,規模等によるものの,公社発注の特定土木工事が常に最低制限価格で落札されるべきものとすれば,落札業者において適正な利益が確保できない可能性もあるのであって,これらの事情を考慮すると,原告らの上記主張を直ちに採用することはできない。 別紙「特定土木工事一覧表」を見ても明らかなとおり,落札率は個別の工事ごとに相当程度の差異がある上,損害額の算定が困難であるにもかかわらず,被告らに対し損害賠償義務を負わせる以上,当該賠償額の算定に当たってはある程度謙抑的に認定することもやむを得ないと考えられるところ,前記1(3)のとおり,平成9年10月1日から同12年9月27日までの期間における公社発注の特定土木工事72件における平均落札率が94.54%となっている一方で,同年10月1日から同17年11月1日までの期間における同工事139件における平均落札率が89.85%となっていることなどに照らすと,八王子市が本件工事1ないし8,10,12及び13の各談合によって被った損害は,少なくともこれら工事の請負契約における各契約金額の5%に相当する金額であると認めるのが相当である。 (3)したがって,別紙工事目録1ないし8,10,12及び13記載の各契約金額に0.05を乗じて,損害額を算定すると,次のとおりとなる。 ア本件工事11283万6250円イ本件工事21475万2500円ウ本件工事31921万5000円エ本件工事41207万5000円オ本件工事51246万8750円カ本件工事62483万 1283万6250円イ本件工事21475万2500円ウ本件工事31921万5000円エ本件工事41207万5000円オ本件工事51246万8750円カ本件工事62483万2500円キ本件工事71638万円ク本件工事81081万5000円ケ本件工事101811万2500円 コ本件工事121512万円サ本件工事134147万5000円(4)よって,①被告P1は八王子市に対し,1283万6250円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,②被告P2は八王子市に対し,1475万2500円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,③被告P3は八王子市に対し,1921万5000円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,④被告P4は八王子市に対し,1207万5000円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑤被告P5は八王子市に対し,1246万8750円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑥被告P6は八王子市に対し,2483万2500円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑦引受参加人P7は八王 子市に対し,2483万2500円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑦引受参加人P7は八王子市に対し,1638万円及びこれに対する不法行為後である旧P7に対する訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑧被告P8は八王子市に 対し,1081万5000円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑨被告P9は八王子市に対し,1811万2500円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑩被告P10は八王子市に対し,1512万円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月6日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,⑪被告P11は八王子市に対し,4147万5000円及びこれに対する不法行為後である訴状送達の日の翌日(平成14年6月7日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務が,それぞれあるというべきである。 争点(5)(違法な怠る事実の有無)について地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条,地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないところ(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58 く放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないところ(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照),八王子市長は,前記4(4)記載の各損害賠償請求権を行使していない。 この点,仮に被告らが主張するとおり,八王子市長が独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権が行使できるようになる時期が到来するのを待ち,その間, 不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことも裁量により許されるとすれば,客観的には不法行為に基づく損害賠償請求権発生要件に該当する具体的事実が存在することが証明される場合であっても,地方公共団体の長が独占禁止法25条に基づく損害賠償請求権の行使を選択した以上,公正取引委員会の審決の確定までは,違法に損害賠償請求権の行使を怠る事実は存在しないことになり,更には,地方公共団体の住民が地方自治法242条の2第1項に基づく訴えを提起することはできないこととならざるを得ない。 しかしながら,地方自治法その他の法令上,独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求権と不法行為に基づく損害賠償請求権とについて,地方公共団体の長に,専ら独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求権の行使を選択して審決の確定まで訴えの提起をしないことができることとする権限を付与する旨の規定は何ら存在しないのであり,平成14年法律第4号による改正の前後を問わず,地方自治法242条及び242条の2第1項が地方公共団体の長にそのような権限が付与されていることを前提にしているものとは解し難い。また,被告らの一部につき,不法行為に基づく損害賠償責任が客観的に存在することは前記のとおりであって,被告らの主張はその法的根拠を欠くものであるといわざるを得ない。 前記4 ているものとは解し難い。また,被告らの一部につき,不法行為に基づく損害賠償責任が客観的に存在することは前記のとおりであって,被告らの主張はその法的根拠を欠くものであるといわざるを得ない。 前記4(4)のとおり,被告らの一部は,談合によって八王子市に対して損害を与えており,これらの行為は民法上の不法行為を構成するにもかかわらず,八王子市長は損害賠償請求権を行使しておらず,その不行使は違法というべきであり,本件訴訟における原告らの損害賠償代位請求は前記4(4)の限度で理由があるというべきである。 結論 以上の次第で,原告らの本件各請求は,主文の限度で理由があるから一部認容し,その余の部分は理由がないからいずれも棄却することとして,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民訴法61条,64条本文,65条1項を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官市原義孝裁判官島村典男
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