平成19年10月19日判決言渡平成12年(行ウ)第14号新東京国際空港にかかる工事実施計画の変更認可処分取消等請求事件判決主文 本件訴えのうち,原告らの新東京国際空港の工事実施計画の変更認可処分の取消請求航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可処分の取,消請求並びに原告A及び同亡B訴訟承継人を除くその余の原告らの同空港についての延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定処分の取消請求に係る部分をいずれも却下する。 原告A及び同亡B訴訟承継人の前項の空港についての延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定処分の取消請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 被告が平成11年12月1日付けで新東京国際空港公団に対してした,同月17日付け運輸省告示第784号に係る新東京国際空港の工事実施計画の変更認可処分を取り消す。 被告が平成11年12月1日付けで新東京国際空港公団に対してした,運輸省空無第284号に係る航空保安無線施設(16L:ILS及び34R:ILS)の各工事実施計画変更認可処分を取り消す。 被告が平成11年12月1日付けで新東京国際空港公団に対してした,運輸省空保第1178号に係る航空灯火の工事実施計画変更認可処分を取り消す。 被告が平成11年12月1日付けで新東京国際空港公団に対してした,同月17日付け運輸省告示第784号に係る新東京国際空港についての延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,新東京国際空港(現成田国際空港。以下「本件空港」という。)の敷地又は周辺地に現に権利関係を有している原告らが,被告がした本件空港,その航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可並び 件は,新東京国際空港(現成田国際空港。以下「本件空港」という。)の敷地又は周辺地に現に権利関係を有している原告らが,被告がした本件空港,その航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可並びに延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面(以下「延長進入表面等」という。)の変更指定の各処分は違法であるとして,前記各処分の取消しを求めた事案である。 前提となる事実(1)当事者等ア原告ら(ア)原告Cは,平成11年12月17日付け運輸省告示第784号(以下「本件告示」という。)における本件空港の飛行場の範囲(本件告示第一図(別紙図面(以下,別紙図面を呼称するときは,単に「図面」という。)1)のうち,一点鎖線で囲まれる部分。以下「本件空港範囲」という。)内かつ本件告示で示された転移表面(以下「本件転移表面」という。)の投影面下の土地(図面2の①に所在する。なお,以下図面2中□又は○で囲まれた数字を示して,単に□又は○で囲まれた数字のみを表記したときは,図面2のうちその数字の位置に土地又は建物が所在することを意味する。)を所有し,同土地上に建物を所有して同建物に居住している。同土地及び同建物は,公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(以下「騒防法」という。)9条の第2種区域(以下「第2種区域」という。)内に所在する。 (イ)原告D,原告E,原告F,原告G,原告H及び原告Iは,本件告示で示された水平表面(以下「本件水平表面」という。)の投影面下の土地(原告Dにつき図面2の②,同Eにつき同図面の③,同Fにつき同図面の④,同Gにつき同図面の⑤,同Hにつき同図面の⑥,同Iにつき同図面の⑧)を所有し,同土地上の建物に居住している。そのうち,原 告Eの居住する建物は,第2種区域内に,原告D,同F,同G,同H及び の④,同Gにつき同図面の⑤,同Hにつき同図面の⑥,同Iにつき同図面の⑧)を所有し,同土地上の建物に居住している。そのうち,原 告Eの居住する建物は,第2種区域内に,原告D,同F,同G,同H及び同Iの居住する各建物は,騒防法8条の2の第1種区域(以下「第1種区域」という。)内に所在する。 原告Dは,本件空港範囲内かつ本件転移表面の投影面下の土地(図面2の4)並びに本件空港範囲内かつ本件転移表面及び本件水平表面の投影面下の土地(図面2の5)を所有して,同土地を畑として耕作している。 原告D及び同Eは,本件空港範囲内かつ本件告示で示された進入表面の投影面下の土地(図面2の6,神社)を総有している。 原告D,同F及び同Gは,本件空港範囲内かつ本件転移表面の投影面下の土地(原告Dにつき図面2の7(墓地),12,同F及び同Gにつき図面2の13,同Fにつき図面2の14の一部)を共有している。 原告D及び同Iは,本件空港範囲内かつ本件水平表面の投影面下の土地(原告Dにつき図面2の14の一部,15,同Iにつき図面2の16)を共有している。 (ウ)原告Jは,本件告示で示された円錐表面(以下「本件円錐表面」という。)の投影面下の建物(図面2の⑦)に居住し,原告Aは,本件円錐表面及び本件告示で示された延長進入表面(以下「本件延長進入表面」という。)の投影面下の建物(図面2の⑨)を所有してそこに居住し,亡Bは,本件円錐表面及び本件延長進入表面の投影面下の土地(図面2の⑩)を所有し,同土地上の建物に居住していた。原告J及び同Aが居住し,亡Bの居住していた前記各建物は,第1種区域内に所在する。 原告Jは,本件空港範囲内かつ本件転移表面の投影面下の土地(図面2の12)を共有している。 原告Aは,本件空港範囲内の本件水平表面の投影面下の土地(図面2の17)を共有し ,第1種区域内に所在する。 原告Jは,本件空港範囲内かつ本件転移表面の投影面下の土地(図面2の12)を共有している。 原告Aは,本件空港範囲内の本件水平表面の投影面下の土地(図面2の17)を共有している。 なお,亡Bは,本件訴えを提起したが,平成15年2月24日に死亡したことは当事者間に争いがないところ,原告らは,第15回準備的口頭弁論において,訴訟承継の手続をとるつもりはないと表明し,本件口頭弁論終結時までに訴訟承継の手続をとらないでいるところ,被告は,準備書面(15)(4頁)の中で,新東京国際空港公団(現成田国際空港株式会社。以下「公団」という。)が亡Bの相続人Kから,亡B所有土地持分を同人死亡後の平成15年3月13日に譲り受けたと主張し,これを窺わせる証拠が存在する。しかしながら,原告らは,準備書面(14)(2頁)の中でその譲渡の効力を争っており,当裁判所としては,亡Bの訴訟承継人が誰であるかを確定できない状況にある。もっとも,亡Bは,生前本件訴えについて訴訟代理人を選任しており,訴訟が中断しているわけではなく,訴訟承継人は客観的には確定しており,その手続のみが残るものにすぎない上に,本件訴えは平成12年以来長期にわたって当裁判所に係属しており,訴訟承継人の確定のため本件の進行をこれ以上遅延させることは相当ではないと考えられることから,本件においては,訴訟承継人は不明のまま原告亡B訴訟承継人と表示して判決することとした。 イ被告運輸大臣は,本件空港の工事実施計画変更認可(以下「本件空港変更認可」という。)当時,航空法(平成15年法律第124号による改正前のもの。以下「15年改正前法」という。)55条の3第1項に基づき,本件空港及びその航空保安施設(航空保安無線施設及び航空灯火)の工事実施計画の認可及び変更認可並びに1 年法律第124号による改正前のもの。以下「15年改正前法」という。)55条の3第1項に基づき,本件空港及びその航空保安施設(航空保安無線施設及び航空灯火)の工事実施計画の認可及び変更認可並びに15年改正前法56条の2第1項に基づき本件空港についての延長進入表面等の指定及びその変更を行う権限を有していた。なお,平成13年1月6日に中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)が施行されたことに伴い,運輸大臣が行った処 分は相当機関である被告がした処分とみなされることとなった(以下,運輸大臣が行い,被告がしたとみなされる処分の主体についても,「被告」と表記する。)。 ウ本件空港の設置,管理者公団は,新東京国際空港公団法(昭和40年法律第115号。平成15年法律第124号附則20条により廃止された。以下「公団法」という。)に基づいて設立され,本件空港変更認可当時,同法に基づいて本件空港の設置及び管理を行っていた法人であり,公団の一切の権利義務は,平成16年4月1日に成田国際空港株式会社法に基づいて設立された成田国際空港株式会社が承継し,同日から,同会社が本件空港の設置及び管理を行っている。なお,本件空港は,空港整備法2条1項1号(平成16年4月1日より前は,平成15年法律第124号による改正前のもの。以下同じ。)所定の第1種空港である。 (2)当初認可等公団は,昭和41年12月13日,被告に対して15年改正前法55条の3第1項に基づき,本件空港の工事実施計画認可申請をした。被告は,昭和42年1月23日,同項に基づき,同工事実施計画の認可(以下「当初認可」という。)をすると共に,15年改正前法56条の2第1項に基づき,延長進入表面等の指定(以下「当初指定」という。)をし,要旨次のとおり告示をした。 ア飛行場の位置及び標 画の認可(以下「当初認可」という。)をすると共に,15年改正前法56条の2第1項に基づき,延長進入表面等の指定(以下「当初指定」という。)をし,要旨次のとおり告示をした。 ア飛行場の位置及び標点の位置位置千葉県成田市標点の位置北緯35度45分50秒東経140度23分28秒標高41メートルイ飛行場の範囲図面3中一点鎖線によって囲まれる部分 着陸帯(特定の方向に向かって行う航空機の離陸又は着陸の用に供するために設けられる飛行場内の矩形部分)A図面3及び図面4中イ,ロ,ハ,ニ,イの各点を順次結んだ線によって囲まれる区域(長さ4120メートル,幅300メートル)。 着陸帯B図面3及び図面4中ホ,ヘ,ト,チ,ホの各点を順次結んだ線によって囲まれる区域(長さ2620メートル,幅300メートル)。 着陸帯C図面3及び図面4中イ’,ロ’,ハ’,ニ’,イ’の各点を順次結んだ線によって囲まれる区域(長さ3320メートル,幅300メートル)。 ウ進入表面,水平表面及び移転表面(以下「進入表面等」という。)(ア)着陸帯Bの進入表面図面4中着陸帯Bの短辺(ホ点とヘ点を直線で結んだ線及びト点とチ点を直線で結んだ線(以下,ホヘ線,トチ線の要領で略称する。))の各辺に接続しそれぞれ外側上方に水平面に対して50分の1の勾配を有する平面であって,その投影面が着陸帯Bの進入区域(ホ,ヘ,カ,ワ,ホ並びにト,チ,タ,ヨ,トの各点をそれぞれ順次に結んだ線によって囲まれる区域)と一致するもの(イ)着陸帯Bの転移表面図面4中進入表面の斜辺(ホワ線,ヘカ線,トヨ線及びチタ線)を含む平面及び着陸帯Bの長辺(ホチ線及びヘト線)を含む平面であって,着陸帯Bの中心線を含む鉛直面に直角な鉛直面との交線が水平面に対し進入表面又は着陸帯Bの外側上方に7分 ヘカ線,トヨ線及びチタ線)を含む平面及び着陸帯Bの長辺(ホチ線及びヘト線)を含む平面であって,着陸帯Bの中心線を含む鉛直面に直角な鉛直面との交線が水平面に対し進入表面又は着陸帯Bの外側上方に7分の1の勾配となるもののうち,進入表面の斜辺を含むものと当該斜辺に接する着陸帯Bの長辺を含むものとの交線(ホフ線,ヘオ線,トク線及びチケ線),これらの平面と水 平表面を含む平面との交線(ノオ線,オク線及びクヤ線並びにコフ線,フケ線及びケマ線)及び進入表面の斜辺(ホコ線,ヘノ線,トヤ線及びチマ線)又は着陸帯Bの長辺によって囲まれる部分(ウ)水平表面図面4中飛行場の標点の垂直上方45メートルの点を含む水平面のうち,この点を中心として半径4000メートルで描いた円周(エの線)によって囲まれた部分エ供用開始予定期日(ア)滑走路A(着陸帯Aに含まれる滑走路)及びこれに対応する諸施設昭和46年4月1日(イ)滑走路B(着陸帯Bに含まれる滑走路)及び滑走路C(着陸帯Cに含まれる滑走路)並びにこれらの対応する諸施設昭和49年4月1日オ延長進入表面等(ア)着陸帯Bに関する延長進入表面図面4における着陸帯Bの短辺(ホヘ線及びトチ線)に接続する進入表面を含む平面のうち,進入表面の外側底辺,進入表面の斜辺の外側上方への延長線及び当該底辺に平行な直線でその進入表面の内側底辺からの水平距離が1万5000メートルであるものによって囲まれる部分(イ)円錐表面水平表面の外縁に接続し,かつ,飛行場の標点を含む鉛直面との交線が水平面に対し外側上方へ50分の1の勾配を有する円錐面であって,その投影面が当該標点を中心として1万6500メートルの半径で水平に描いた円周(図面5テの線)によって囲まれる部分(ウ)外側水平表面 (イ)の円錐面の上縁を含む の勾配を有する円錐面であって,その投影面が当該標点を中心として1万6500メートルの半径で水平に描いた円周(図面5テの線)によって囲まれる部分(ウ)外側水平表面 (イ)の円錐面の上縁を含む水平面であって,その投影面が空港の標点を中心として2万4000メートルの半径で水平に描いた円周によって囲まれる部分(投影面が水平表面又は円錐表面の投影面と一致する部分を除く。)(3)変更認可申請公団は,平成11年9月3日,被告に対し,当初認可に係る滑走路Bに関する工事の完成予定期日を平成13年11月30日に変更するとともに,滑走路Bに関する工事を前記完成予定期日までに完成させることが困難な場合を想定して,暫定的に次の計画により2180メートルの平行滑走路に関する工事をすることを内容とする本件空港の工事実施計画変更認可申請(以下「本件空港変更認可申請」という。)をし,併せて,これに対応する形で航空保安無線施設(16L:ILS及び34R:ILS)工事実施計画変更認可申請及び航空灯火工事実施計画変更認可申請をした(以下,変更申請に係る2180メートルの平行滑走路を「滑走路B’」,滑走路B’を含む着陸帯を「着陸帯B’」,滑走路B’に付帯する誘導路を「誘導路B’」という。)。 ア飛行場の敷地面積現行の平行滑走路予定地北側に約19ヘクタール拡大イ着陸帯B’長さ2300メートル幅150メートルウ滑走路B’長さ2180メートル幅60メートルエ誘導路B’延長4151メートルオ滑走路B’の利用を予定する航空機の種類及び形式ボーイング767型旅客機等輸送機 カ工事の着手及び完成の予定期日工事の着手期日工事実施計画の変更が認可された日完成予定期日平成13年11月30日(4)変更認可等ア工事実施計画変更認可及び グ767型旅客機等輸送機 カ工事の着手及び完成の予定期日工事の着手期日工事実施計画の変更が認可された日完成予定期日平成13年11月30日(4)変更認可等ア工事実施計画変更認可及び延長進入表面等の変更の指定被告は,平成11年12月1日付けで,15年改正前法55条の3第1項に基づき,本件空港の工事実施計画変更認可(運輸省空新第222号。 本件空港変更認可)をし,これに併せて,15年改正前法56条の2第1項に基づき,本件空港につき,延長進入表面等の変更の指定(以下「本件指定」という。)をし,同月17日,15年改正前法55条の3第2項及び56条の3第2項で準用される航空法(以下「法」という。)40条に基づき,要旨次のとおり,それらの告示(本件告示)をした(甲1,8の1)。 (ア)変更事項昭和42年運輸省告示第30号に規定する着陸帯B及び滑走路Bに関する工事を平成13年11月30日までに完成させることが困難な場合を想定して,暫定的に実施する着陸帯B’及び滑走路B’に関する工事に係る変更する事項は,次に掲げるものとする。 a標点の位置北緯35度45分41秒東経140度23分22秒標高41メートルb飛行場の範囲図面1のうち,一点鎖線で囲まれる部分c着陸帯B’(a)等級B級(b)範囲図面1及び図面6のうち,イ,ロ,ハ,ニ及びイの各 点を順次に結んだ線で囲まれる区域(長さ2300メートル,幅150メートル)d進入表面等(a)進入表面図面6のうち,着陸帯の短辺(イロ線及びハニ線)に接続し,かつ,水平面に対し上方へ50分の1のこう配を有する平面であって,その投影面が進入区域(イ,ロ,ヘ,ホ及びイ並びにハ,ニ,チ,ト及びハの各点をそれぞれ順次に結んだ線で囲まれる台形の区域)と一致するもの 水平面に対し上方へ50分の1のこう配を有する平面であって,その投影面が進入区域(イ,ロ,ヘ,ホ及びイ並びにハ,ニ,チ,ト及びハの各点をそれぞれ順次に結んだ線で囲まれる台形の区域)と一致するもの(b)転移表面図面6のうち,進入表面の斜辺(イホ’線及びニチ’線並びにロヘ’線及びハト’線)を含む平面及び着陸帯の長辺(イニ線及びロハ線)を含む平面であって,着陸帯の中心線を含む鉛直面に直角な鉛直面との交線の水平面に対するこう配が進入表面又は着陸帯の外側上方へ7分の1であるもののうち,進入表面の斜辺を含むものと当該斜辺に接する着陸帯の長辺を含むものとの交線(イヨ線及びニカ線並びにロヌ線及びハル線),これらの平面と水平表面を含む平面との交線(タヨ線,ヨカ線及びカワ線並びにリヌ線,ヌル線及びルヲ線)及び進入表面の斜辺(イタ線及びニワ線並びにロリ線及びハヲ線)又は着陸帯の長辺により囲まれる部分(c)水平表面図面6のうち,飛行場の標点の垂直上方45メートルの点を含む水平面のうち,この点を中心として半径4000メートルで描いた円周(レの線)で囲まれる部分e延長進入表面等(a)延長進入表面 図面6における着陸帯B’の短辺イロ線及びハニ線に接続する進入表面を含む平面のうち,当該進入表面の外側底辺,進入表面の斜辺の外側上方への延長線及び当該底辺に平行な直線でその進入表面の内側底辺からの水平距離が1万5000メートルであるものにより囲まれる部分(b)円錐表面水平表面の外縁に接続し,かつ,空港の標点を含む鉛直面との交線が水平面に対し外側上方へ50分の1のこう配を有する円錐面であって,その投影面が当該標点を中心として1万6500メートルの半径で水平に描いた円周(図面7テの線)で囲まれる部分(c)外側水平表面(b)の円錐面の上縁を へ50分の1のこう配を有する円錐面であって,その投影面が当該標点を中心として1万6500メートルの半径で水平に描いた円周(図面7テの線)で囲まれる部分(c)外側水平表面(b)の円錐面の上縁を含む水平面であって,その投影面が空港の標点を中心として2万4000メートルの半径で水平に描いた円周で囲まれる部分(投影面が水平表面又は円錐表面と一致する部分を除く。)(イ)変更する事項に係る施設の供用開始の予定期日平成14年5月20日イ航空保安施設変更認可被告は,平成11年12月1日付けで,15年改正前法55条の3第1項に基づき,運輸省空無第284号に係る航空保安無線施設(16L:ILS及び34R:ILS)工事実施計画変更認可(以下「本件航空保安無線施設変更認可」という。)及び運輸省空保第1178号に係る航空灯火工事実施計画変更認可(以下「本件航空灯火変更認可」といい,本件航空保安無線施設変更認可と併せて「本件航空保安施設変更認可」という。)をした。 (5)滑走路B’の完成及び供用開始 本件空港変更認可及び本件航空保安施設変更認可に係る工事は,平成13年10月31日に完成し,平成14年4月から滑走路B’の供用が開始された。 争点 (1)本案前の争点ア本件航空保安施設変更認可の処分性の有無(争点1)イ原告適格の有無(争点2)(2)本案の争点ア本件空港変更認可の適法性(争点3)イ本件航空保安施設変更認可の適法性(争点4)ウ本件指定の適法性(争点5) 争点に関する当事者の主張(1)争点1(本件航空保安施設変更認可の処分性の有無)について(原告らの主張)以下の理由から,本件空港変更認可と同様,本件航空保安施設変更認可に処分性が認められる。 ア根拠法条15年改正前法55条の3第1項は,「新東京国際空 認可の処分性の有無)について(原告らの主張)以下の理由から,本件空港変更認可と同様,本件航空保安施設変更認可に処分性が認められる。 ア根拠法条15年改正前法55条の3第1項は,「新東京国際空港公団は,新東京国際空港若しくは公団法20条1項2号の航空保安施設を設置し,又は当該空港若しくは航空保安施設に運輸省令で定める重要な変更を加えようとするときは,(中略)基本計画に基づいて工事実施計画を作成し,運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。」と規定し,空港そのものの設置工事実施計画又はその変更と航空保安施設の設置又はその変更とを同列に扱っている。よって,空港の設置工事実施計画又はその変更の認可について処分性が肯定されるのであれば,航空保安施設の設置又はその変更の認可にも当然処分性が肯定される というべきである。 イ権能付与性公団が本件航空保安施設を設置したり,これに変更を加えることができるのは,まさに本件航空保安施設変更認可がなされたからであって,本件航空保安施設変更認可は,単に承認という性質を持つにとどまらず,公団に対して建設工事の実施権限を付与する性質を有する。 ウ侵害利益法1条(平成11年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)が航空機の航行に起因する障害の防止を図るという目的を有し,これを個々人の個別的利益として保護するものである以上,ここにいう「障害」とは航空機騒音に限られず,住民の生命,身体,財産に対する侵襲をもたらす障害を広く含むと解すべきである。そして,航空保安無線施設は,空港システムを稼働させるのに不可欠な施設であり,滑走路,誘導路等とともに空港本体と不可分一体の施設である。また,航空灯火については,灯火施設周辺の広範な範囲を夜間においても強度の照明で照らし出 ,空港システムを稼働させるのに不可欠な施設であり,滑走路,誘導路等とともに空港本体と不可分一体の施設である。また,航空灯火については,灯火施設周辺の広範な範囲を夜間においても強度の照明で照らし出すため,原告らの生活を激変させ,鶏や農作物等に多大な被害を与える。 (被告の主張)本件航空保安施設変更認可は,いずれも行政処分性を有しないから,本件航空保安施設変更認可の取消請求(前記第1の2項及び3項の各請求)に係る訴えはいずれも不適法であり却下されるべきである。 すなわち,一般に,抗告訴訟の対象となる行政処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。 本件航空保安施設変更認可は,専ら公団に対しその施設を変更する権限を付与するものであり,本件空港変更認可と異なり,私権制限の範囲を変更するような法律効果を有しないところ,公団は,公団法における公団の目的,資 本金の出資者,役員等の人事,業務,財務及び会計,監督等に係る諸規定によると,形式的には国から独立した法人で,国の行政機関とは区別されるものの,実質的には国と同一体をなすものといえ,機能的には被告の下部組織を構成し,広い意味での国家行政組織の一環と解すべきである。このような公団と被告との関係に照らせば,本件航空保安施設変更認可は,いわば上級行政機関としての被告が下級行政機関としての公団に対してその作成した基本計画や本件空港の建設に関する被告の方針との適合性等を審査して行う監督手段としての承認の性質を有するものといえる。そうすると,本件航空保安施設変更認可は,いわば行政機関相互の行為と同視すべきものであり,行政行為として認可の名宛人以外の外部に対する効力を有するものではなく, しての承認の性質を有するものといえる。そうすると,本件航空保安施設変更認可は,いわば行政機関相互の行為と同視すべきものであり,行政行為として認可の名宛人以外の外部に対する効力を有するものではなく,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果を伴うものではないから,抗告訴訟の対象となる行政処分には該当しない。 (2)争点2(原告適格の有無)について(原告らの主張)当初認可と本件空港変更認可とは,要件を異にする別個独立の処分であるから,併存する各処分について,それぞれ別個独立に原告適格の有無が判断されるべきであり,新たに,あるいは従前以上に私権の制限を受ける者のみに原告適格が限定されるべきではない。 本件における処分根拠規定である法(15年改正前法を含む。以下条文を示さず単に「法」という場合も同じ。)は,「航空機の航行に起因する障害の防止を図る」ことを直接の目的の一つとしており(法1条),空港設置・変更の認可処分要件として「他人の利益を著しく害することとならないものであること」としている(15年改正前法55条の3第2項,法39条1項2号)。これは,単に空港周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず,空港周辺に居住する者が航空機の騒音等の航行に起因する著しい障害(住民の生命,身体,財産,環境権に対する侵害)を受け ないという利益をこれら個々人の個別的利益として保護すべき趣旨を含むものである。 前記1(1)アのとおり,原告らは本件空港及びその周辺に権利を有しており,原告らの居住地は,騒防法の第2種区域又は第1種区域内にある。特に,次の原告らについては,以下のような被害を受けている。 ア原告Cについて原告Cは,第2種区域内に居住し,騒音(大きいときは90ないし100デシベル),振動被害も 区域又は第1種区域内にある。特に,次の原告らについては,以下のような被害を受けている。 ア原告Cについて原告Cは,第2種区域内に居住し,騒音(大きいときは90ないし100デシベル),振動被害も甚大である。 原告Cは,本件空港範囲内の畑を農地法に基づき賃借して農業を営んでいるが,滑走路B’南側から離陸するジェット機による噴射,ジェットブラストによる直撃被害を受けている。 原告Cの自宅に近接した滑走路B’(誘導路)上で飛行機同士の接触事故があり,原告Cの生命,身体に著しい危害が及ぶおそれがある。 イ原告D原告Dは,第1種区域内に居住し,平均値75加重等価持続感覚騒音レベル(WeightedEquivalentContinuousPerceivedNoiseLevel=WECPNL。以下「W」と表記する。)の騒音被害による睡眠,会話,テレビ・ラジオ視聴の各妨害に加え,夜間の振動等日常生活に著しい障害がもたらされている。 原告Dは,前記1(1)ア(イ)のとおり,農業を営んでいるが,滑走路B’建設のため飛行場用地が高さ4ないし8メートルの鉄板フェンスで囲まれたことにより,通風,日照,気流が阻害され営農に悪影響が生じている。 さらに,近年,滑走路B’において3件の航空機事故が発生したが,これら航空機事故によって原告Dの生命身体に著しい危害が及ぶおそれがある。 ウ原告F原告Fは,第1種区域内に居住して衣料品店を経営しているが,早朝午前6時ころから夜午後11時ころまで著しい航空機騒音に悩まされている。 エ原告I原告Iは,第1種区域内に居住して農業を営んでいるが,A滑走路の供用開始以降,騒音や突風の被害が著しい。原告Iの前記居住,営農地は,滑走路B’を離着陸する航空機の航路の直下であるため,騒音により日常生活や農作業にも著しい 居住して農業を営んでいるが,A滑走路の供用開始以降,騒音や突風の被害が著しい。原告Iの前記居住,営農地は,滑走路B’を離着陸する航空機の航路の直下であるため,騒音により日常生活や農作業にも著しい悪影響が生じている。 (被告の主張)本件空港変更認可は,当初認可を前提として,滑走路Bの建設を撤回することなく,暫定的に滑走路B’工事を実施することに対する認可であって,本件指定は,滑走路B’を前提として設定した延長進入表面等を指定する処分である。したがって,当初認可及び当初指定の効力は,現在もそのまま維持されているのであり,原告らが,本件空港変更認可又は本件指定によって,新たに,あるいは従前以上に私権の制限を受ける場合に初めて,同認可又は同指定の取消しを求める原告適格を有することになる。 ア本件空港変更認可について本件空港変更認可は,公団に対してその施設を変更する権限を付与することを目的とするものであるが,被告は,変更の認可をしたときは,認可に係る空港の進入表面等について告示することとされ(15年改正前法55条の3第2項,法40条),この告示後は,何人も,同表面の上に出る高さの建造物,植物その他の物件を設置し,植栽し,又は留置してはならないものとされており(15年改正前法56条,法49条1項),本件空港変更認可によって,新たに,あるいは従前以上に進入表面等の投影面内における私権の制限を受けることとなる者は,同認可の取消しを求める原告適格を有する。これに対し,本件空港変更認可によって,新たに,ある いは従前以上に私権制限を受けない者は,本件空港変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 本件においては,本件空港変更認可によって,新たに,あるいは従前以上に私権制限を受ける原告はいないから,原告らは,本件空港変更認可の取消しを求める原 港変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 本件においては,本件空港変更認可によって,新たに,あるいは従前以上に私権制限を受ける原告はいないから,原告らは,本件空港変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 なお,15年改正前法55条の3第2項によって準用される15年改正前法39条1項2号にいう「他人の利益を著しく害することとならない」との規定は,進入表面等の投影面内における不動産につき私権の制限がされることから,この限度で私権制限を受ける不動産の権利者の個別的利益を保護する趣旨を含むものであるが,本件空港の周辺住民の個別的利益を保護する趣旨を含むとは解されないから,1騒防法に基づき本件空港につき第1種区域に指定された区域内に土地建物を所有し,又は居住する者, 本件空港に離着陸する航空機の事故による危険にさらされると主張する者及び3通風が悪化することなどによる生活破壊を受けると主張する者は,いずれも本件空港変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 イ本件指定について本件指定は,被告が本件空港につき,15年改正前法56条の2第1項,56条の3,法40条に基づき行ったものであり,同指定に係る告示後は,何人も,その告示された延長進入表面等の上に出る高さの建造物,植物その他の物件を設置し,植栽し,又は留置してはならないものとされている(15年改正前法56条の4第1項)。したがって,これによって新たに,あるいは従前以上に,同指定による私権制限を受けることとなる者は,同指定の取消しを求める原告適格を有する。これに対し,同指定による私権制限を,新たに,あるいは従前以上に受けることのない土地等について権利を有する者は,本件指定の取消しを求める原告適格を有しない。 本件において,本件指定によって,従前以上に,制限表面の投影面下に 制限を,新たに,あるいは従前以上に受けることのない土地等について権利を有する者は,本件指定の取消しを求める原告適格を有しない。 本件において,本件指定によって,従前以上に,制限表面の投影面下に おける私権の制限を受け,本件指定の取消しを求める原告適格を有するのは,原告A及び亡B訴訟承継人のみである。なお,原告Jについては,土地番号26の土地の登記名義人は同人ではなく,原告適格が認められないが,同人に何らかの私権を有することが明らかにされれば,同人の本件指定の取消しを求める原告適格を争わない。 ウ本件航空保安施設変更認可について本件航空保安施設変更認可は,申請者である公団以外の第三者の権利義務に何らの影響を及ぼすものではないから,公団以外の第三者である原告らは本件航空保安施設変更認可の取消しを求める原告適格を有しない。 (3)争点3(本件空港変更認可の適法性)について(被告の主張)ア手続的要件充足性手続的要件は,15年改正前法55条の3第1項(航空法施行規則(平成16年国土交通省令第19号附則3条による改正前のもの。以下「16年改正前規則」という。)86条の2により準用される航空法施行規則(以下「規則」という。)86条),同条2項,法38条3項,39条2項,40条に規定するとおりであるところ,本件空港変更認可に至る経緯及び本件空港変更認可の手続(認可申請書の提出,15年改正前法55条の3第2項で準用される法38条3項の告示,掲示,公聴会の開催,認可,15年改正前法55条の3第2項で準用される法40条の告示,掲示)等に照らせば,本件空港変更認可が手続的要件を充足していることは明らかである。 イ実体的要件充足性実体的要件は,15年改正前法55条の3第1項,同条2項において準用する39条1項1号(航空法施行規則(平成12年 件空港変更認可が手続的要件を充足していることは明らかである。 イ実体的要件充足性実体的要件は,15年改正前法55条の3第1項,同条2項において準用する39条1項1号(航空法施行規則(平成12年運輸省令第42号による改正前のもの。以下「12年改正前規則」という。)79条1項各 号),2号及び5号に規定するとおりである。 (ア)基本計画適合性(15年改正前法55条の3第1項)被告が,昭和41年12月12日付けで本件空港について定めた基本計画の内容は,滑走路の数,配置,長さ,幅及び強度並びに着陸帯の幅,空港敷地の面積,航空保安施設の種類等である。 本件空港変更認可は,基本計画に基づく当初の工事実施計画を維持しながら,完成予定期日までに完成させることが困難な場合を想定した暫定的な処分であり,基本計画の存在を前提として,基本計画の実現と関連することはもとより,基本計画と何ら矛盾するものではない。 したがって,被告は,本件空港変更認可申請が,基本計画に基づくものであると判断した。 (イ)法39条1項1号要件充足性法39条1項1号は,本件空港の構造等の設置の計画が運輸省令で定める基準に適合するものであることと定めており,運輸省令で定める基準のうち,本件空港のような陸上飛行場に適用されるのは,12年改正前規則79条1項1号ないし5号,5号の2及び9号である。被告は,以下のとおり,本件空港変更認可申請が,法39条1項1号要件(以下「1号要件」という。)を充足していると判断した。 a12年改正前規則79条1項1号適合性本件空港の周辺にある建造物,植物その他の物件であって,運輸大臣が航空機の離陸又は着陸に支障があると認めるものであって,かつ,工事完成予定期日までに確実に除去できると認められないものは存在しないことから,被告は,本件空港変更認 物その他の物件であって,運輸大臣が航空機の離陸又は着陸に支障があると認めるものであって,かつ,工事完成予定期日までに確実に除去できると認められないものは存在しないことから,被告は,本件空港変更認可申請が,12年改正前規則79条1項1号に適合していると判断した。 b12年改正前規則79条1項2号適合性滞空旋回圏は,着陸しようとする航空機が混雑の緩和や気象条件の 回復を待つために飛行場周辺の上空で待機旋回するために必要な空間を指すものであり,本件空港と周辺の各飛行場とは30キロメートル以上の距離があるので,本件空港変更認可によって設定される滞空旋回圏が他の飛行場に設定された滞空旋回圏と重なり合うことはないので,被告は,12年改正前規則79条1項2号に適合していると判断した。 c12年改正前規則79条1項3号適合性着陸帯B’の等級はBであるところ(規則75条2項),被告は,本件空港変更認可申請に係る滑走路B’,着陸帯B’及び誘導路が,以下のとおり,12年改正前規則79条1項3号規定の基準に適合していると判断した。 (a)滑走路工事設計書における滑走路B’の幅は60メートル,最大縦断こう配は,滑走路の末端から滑走路の長さの4分の1以下の距離にある部分が0.8パーセント以下,それ以外の部分が1パーセント以下,最大横断こう配は1.5パーセント以下であり,被告は,同号に適合していると判断した。 (b)着陸帯滑走路B’の縦方向の中心線から着陸帯の長辺までの距離(計器用)は,12年改正前規則79条1項3号の規格によると150メートル以上,すなわち着陸帯の幅は300メートル以上とされているところ,公団の申請内容は,わずかな未買収地が局所的にごく一部存在するため,75メートル,すなわち着陸帯の幅を150メートルとするものであった。 すなわち着陸帯の幅は300メートル以上とされているところ,公団の申請内容は,わずかな未買収地が局所的にごく一部存在するため,75メートル,すなわち着陸帯の幅を150メートルとするものであった。 被告は,1未買収地はごく僅かであり,300メートルの幅の着陸帯が実質的に確保されていたこと,2300メートルの幅の着 陸帯に対応した制限表面が実質的に確保されていたこと,3計器着陸のための電波性能上支障となる物件が存在しないこと,4滑走路視距離の値を通常より大きく設定することが予定されていたことから,着陸帯B’を計器用の着陸帯として運用する上での安全性が確保されており,12年改正前規則79条1項3号にいう「特別の理由があると認められる場合」に該当すると判断した。 (c)誘導路誘導路B’の幅については,30メートルであり,部分的にこれより少ない箇所があるが,最小の幅の部分でも規則(12年改正前規則及び16年改正前規則を含む。以下条文を示さず単に「規則」という場合同じ。)で定められた23メートル以上を充足していたので,被告は,同号に適合すると判断した。 (d)誘導路縁と固定障害物との間隔誘導路縁と固定障害物との間隔については,安全性が十分確保されると考えられたことから,被告は,12年改正前規則79条1項3号に該当すると判断した。 d12年改正前規則79条1項4号適合性B’滑走路の強度は,B滑走路と同じく,単車輪荷重25トンの強度を有するものとされており,現在使用されている旅客機等の輸送機の運航に十分耐え得る強度であると認められたので,被告は,12年改正前規則79条1項4号に適合すると判断した。 e12年改正前規則79条1項5号適合性(a)滑走路B’と誘導路B’の離間距離滑走路B’の中心線と誘導路の中心線の離間距離は,概ね20 は,12年改正前規則79条1項4号に適合すると判断した。 e12年改正前規則79条1項5号適合性(a)滑走路B’と誘導路B’の離間距離滑走路B’の中心線と誘導路の中心線の離間距離は,概ね200メートル,最短部分でも約107メートルである。 そして,仮に,最短の離間距離の部分で,中型の航空機が同時に 走行しても,航空保安上十分な翼端間距離が確保されており,実際の運用において,滑走路上に航空機がいるときには,最短部分の誘導路に入らないよう運用されることとなっていた。 したがって,被告は,12年改正前規則79条1項5号が定める「十分な距離」を有していると判断した。 (b)滑走路B’と誘導路B’の接続点における角度及び形状滑走路B’と誘導路B’の接続点における角度及び形状は,「空港土木施設設計基準」(乙21)に照らし,航空機の走行に支障がない適当なものであった。 したがって,被告は,12年改正前規則79条1項5号が定める「適当な角度及び形状」を有していると判断した。 f12年改正前規則79条1項5号の2適合性滑走路の両側に幅10メートル,誘導路の両側に幅7.5メートル,舗装厚65センチメートル等の適当な幅,強度等を有するショルダーが設置されることから,被告は,12年改正前規則79条1項5号の2に適合していると判断した。 g12年改正前規則79条1項9号適合性飛行場標識施設については,飛行場名標識,着陸帯標識及び滑走路標識のうち積雪離着陸区域標識を除く施設を配置することとしており,被告は,12年改正前規則79条1項9号に適合していると判断した。 (ウ)法39条1項2号要件充足性本件空港変更認可によって新たに進入表面等による私権制限を受け,又は変更前より厳しい私権制限を受ける地域は,本件空港に近接している地域であり,以前から本 断した。 (ウ)法39条1項2号要件充足性本件空港変更認可によって新たに進入表面等による私権制限を受け,又は変更前より厳しい私権制限を受ける地域は,本件空港に近接している地域であり,以前から本件空港の存在を前提とした土地利用がされている。そして,これらの土地は,主として農地として利用されており,市街化は余り進んでおらず,除去が困難と思われる進入表面等を超える 高さの建造物は存在しない。よって,本件空港変更認可に伴う進入表面等の指定により,その投影面内の区域の不動産の所有者などの権利に重大な私権制限が及ぶことはない。 法39条1項2号要件(以下「2号要件」という。)を充足するか否かの判断基準については,「設置される空港の公共性の程度とその設置によって侵害される他人の利益のその侵害の程度とを,その侵害に対する補償措置をどれだけとれるのかを考慮しつつ総合的に比較衡量し,前者が優越し,個人的利益の侵害がやむを得ず,その結果が他人の利益を著しく害するものとはいえないと判断される場合には,これが充足されるものと判断すべきである」。 本件空港変更認可に至る経緯に照らせば,本件空港変更認可当時,平行滑走路の建設を急ぐ高度の必要性があったということができ,本件空港変更認可に基づいて建設される滑走路B’によって得られる公共の利益は,それによって侵害される制限表面の投影面下の土地利用者の利益に優越し,また,公団,千葉県等によって,長年にわたって本件空港周辺住民に対する騒音等の環境対策が極めて手厚くきめ細やかに実施されてきており,今後もその対策が続けられていくことが確実であって,補償措置は十分に執られていると認められ,その内容にかんがみても,本件空港変更認可が本件空港周辺住民の利益を著しく害するとまでは認められない。なお,滑走路B’供用に伴う航空 いくことが確実であって,補償措置は十分に執られていると認められ,その内容にかんがみても,本件空港変更認可が本件空港周辺住民の利益を著しく害するとまでは認められない。なお,滑走路B’供用に伴う航空機騒音については,滑走路B’は滑走路Bより最大発着回数が少なく,騒音の程度が小さくなる上に,上昇性能のよいボーイング767型機等の中型機の運航が中心となるため,滑走路B供用による騒音に比べてその影響は小さくなるものと見込まれる。 したがって,被告は,2号要件を充足していると判断した。 (エ)法39条1項5号要件充足性 本件空港変更認可申請当時,公団が,本件空港変更認可によって新たに飛行場の敷地となる土地の使用権原(所有権)を取得済みであったので,被告は,法39条1項5号要件(以下「5号要件」という。)を充足すると判断した。 ウ原告らの主張に対する反論(ア)国際民間航空条約(以下「シカゴ条約」という。)違反の主張について原告らは,本件空港の着陸帯の幅,着陸帯の整地区域,滑走路誘導路最小離間距離等が,シカゴ条約の附属書として採択された国際標準及び勧告方式に違反しているから,本件空港変更認可は違法である旨主張するが,同認可は,法に基づいて行われるものであるから,その適法性は,法の要件に適合しているか否かのみに係るものである。また,原告らが主張する国際標準及び勧告方式は,シカゴ条約の附属書において採択されたものであるところ,附属書は条約自体ではなく,条約として公布されていないから,国内法としての効力を有せず,適合しない事項があったとしても,シカゴ条約違反に当たらない。 (イ)環境影響評価法違反の主張について原告らは,公団が環境影響評価法の諸手続を怠っているにもかかわらず,本件空港変更認可がされたのは違法である旨主張するが,同法は, カゴ条約違反に当たらない。 (イ)環境影響評価法違反の主張について原告らは,公団が環境影響評価法の諸手続を怠っているにもかかわらず,本件空港変更認可がされたのは違法である旨主張するが,同法は,対象事業を実施しようとする者(同法2条5項)に対して当該事業を実施する前に環境面の検討を義務付けるものである。 しかし,個別事業ごとに環境影響評価の要否を判定するものであり,同法の施行の際,既に事業実施に係る免許等の処分が済んでいるなど一定の段階にある対象事業については手続を要しないこととしており,本件空港変更認可は,一つの基本計画に基づいて本件空港を建設するという一つの事業に関し,既に当初認可を経ており,当初認可を維持したま まの暫定的な処分である本件空港変更認可に当たって,同法が同法に基づく環境影響評価を要求していると解することはできない。 また,滑走路B’供用に伴う航空機騒音については,滑走路B’が滑走路Bについて予定されていたより最大発着回数が少なく,騒音の程度が小さくなる上,滑走路距離が短く,上昇性能の良いボーイング767型機等の中型機の運航が中心となるので,その騒音の及ぶ範囲は,滑走路B’が滑走路B予定地より少し北側にずれたものの,その北側においても,滑走路B供用に伴って予測されていた航空機騒音に比べて,その範囲が小さくなるものと見込まれており,このことは滑走路B’供用後の騒音測定結果をみても明らかである。したがって,滑走路B’供用に伴う航空機騒音については,事業開始時に予定されていた滑走路Bについての予測と実質的にも同様に考えることができる。 そして,公団は,滑走路B’を整備した場合の工事中及び供用後における環境への影響と対策について分析を行い,地元に提示しており,実質的に同法に基づく環境影響評価とそん色ない環境調査を行って ができる。 そして,公団は,滑走路B’を整備した場合の工事中及び供用後における環境への影響と対策について分析を行い,地元に提示しており,実質的に同法に基づく環境影響評価とそん色ない環境調査を行っていた。 したがって,実質的にみて,環境への配慮は十分に行った上で建設がすすめられることとなっていた。 以上のことから,本件空港変更認可申請に係る工事実施計画に基づく滑走路B’の整備について,環境影響評価法に基づく環境影響評価が実施されなくとも,形式的にも実質的にも違法とはいえない。 (ウ)憲法9条違反の主張について本件空港変更認可は,15年改正前法55条の3の規定に基づくものであるところ,同条項はなんら憲法9条に違反するものではなく,さらに供用開始後における本件空港の使用形態は,本件空港変更認可の要件とはおよそ無関係である。したがって,自衛隊等が本件空港を使用していることなどをもって憲法9条に違反するという主張は,本件空港変更 認可の要件とは無関係であって主張自体失当である。 (エ)違法性の承継の主張について原告らは,本件空港変更認可は,当初認可の違法性を承継しているため取り消されるべきであると主張している。 しかし,当初認可と本件空港変更認可とは要件を異にする別個の処分であり,行政事件訴訟法14条の趣旨から,このような別個の処分の間での違法性の承継は認められない。 また,当初認可にかかる訴訟において,当初認可に違法性がない旨の判断が示され,同判断は確定しており,当初認可に係る一連の行政手続過程の違法性を承継しているとの原告らの主張は,その前提を欠き失当である。 (オ)滑走路B’の計画決定過程における違法の主張について原告らは,滑走路B’の計画決定過程が違法であるから,本件空港変更認可が違法である旨主張するが,本件空港変更認可に至る を欠き失当である。 (オ)滑走路B’の計画決定過程における違法の主張について原告らは,滑走路B’の計画決定過程が違法であるから,本件空港変更認可が違法である旨主張するが,本件空港変更認可に至る経緯及び本件空港変更認可が,基本計画に基づいて,法の手続に則って適法になされたものであることに照らせば,本件各処分に至る手続過程に違法はない。 (原告らの主張)アシカゴ条約違反(ア)シカゴ条約附属書の国際標準及び勧告方式は国内的効力を持つ憲法は,「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は,これを誠実に遵守することを必要とする。」(同法98条2項)と定め,条約は,国会の承認と公布を経ることにより,国内的効力を持つ。 日本国は国際民間航空に関する国際条約であるシカゴ条約に加入しており,国際標準,勧告方式を遵守する立場にある。 シカゴ条約は,37条で,締結国に対し,民間航空機の運航の安全の ため,国際標準及び勧告方式を採択し,その基準に従った統一を義務づけ,締結国は,その遵守義務を有している。シカゴ条約38条は,国際標準を遵守できない場合,自国方式との差異を理事会へ通知する義務を規定しているのは,締結国に対し,国際標準及び勧告方式の遵守義務を課していることを意味している。また勧告方式については,自国方式との差異に関する条約上の通告義務はないが,国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)理事会の決議によって自国方式との差異に関する通告が義務づけられている。これらの国際標準及び勧告方式は,条約上の附属書として公布される。 このように,国際標準及び勧告方式は,シカゴ条約が実現しようとしている内容そのものであり,条約と一体不可分のものであり,国内的効力を有するから,本件空港変更認可に係る工事実施計画の変更内容が国際標準及び勧告方式に違反 及び勧告方式は,シカゴ条約が実現しようとしている内容そのものであり,条約と一体不可分のものであり,国内的効力を有するから,本件空港変更認可に係る工事実施計画の変更内容が国際標準及び勧告方式に違反すると,シカゴ条約違反になる。 また,法1条は,「この法律は,国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準,方式及び手続に準拠して,航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め」と規定して,シカゴ条約の附属書として採択された国際標準及び勧告方式を遵守することを法目的としている。 したがって,被告は,シカゴ条約の第14附属書(以下「14附属書」という。)として採択された飛行場に関する国際標準及び勧告方式を遵守する義務を有している。 (イ)滑走路B’の国際標準違反,勧告方式違反の重大な内容a着陸帯の幅に関する国際標準違反前記1(3)及び(4)のとおり,着陸帯B’は,長さ2300メートル幅150メートル(滑走路の中心線精密進入用滑走路を含む滑走路帯は,実行可能な所では常に,横方向に少なくとも下記の距離ま で,当該滑走路の中心線及び中心線延長上の両側に横方向に75メートル)とされ,滑走路Bは,長さ2180メートル,幅60メートルとされている。 滑走路B’は,精密進入用滑走路であることが明らかであるところ,着陸帯B’は,国際民間航空機関の国際標準に著しく違背している。 すなわち,滑走路B’は,14附属書の第1章1.3.2で規定する飛行場基準コードによればコード番号4であるところ,同附属書第3章の3.3.3で,コード番号4の場合,精密進入用滑走路を含む滑走路帯は,実行可能な所では常に,横方向に少なくとも150メートルの距離まで,当該滑走路の中心線及び中心線延長上の両側に,滑走路帯の全長にわたって 3で,コード番号4の場合,精密進入用滑走路を含む滑走路帯は,実行可能な所では常に,横方向に少なくとも150メートルの距離まで,当該滑走路の中心線及び中心線延長上の両側に,滑走路帯の全長にわたって広がるべきであると国際標準を規定しているから,着陸帯B’は,着陸帯の幅において150メートルも国際標準に違反している。 b着陸帯の整地部分に関する勧告方式違反着陸帯の整地部分について,14附属書第3章の3.3.8で,最大幅210メートル,最小幅150メートルで整地されるべきものと勧告方式が定められており,14附属書上,「この滑走路帯は,滑走路を逸脱した航空機の情報を使用して作成されたものである」ことが明記されており,同勧告方式に適合する着陸帯が地上における航空機の航行の安全対策上必要不可欠であるところ,着陸帯B’は,整地部分の幅において,60メートルも勧告方式に違反している。 滑走路逸脱事故は度々発生するものであり,前記違反は,国際航空の安全,近隣住民の安全上,到底看過することのできない重大かつ著しいシカゴ条約違反というべきである。 c滑走路誘導路最小離間距離に関する勧告方式違反本件空港変更認可申請内容の概要によれば,公団は,滑走路B’に おいてボーイング767型機などの航空機の利用を予定している。同型機の全幅は47.6メートルとされているので,ICAOの飛行場基準コードによれば滑走路B’はコード番号4,コード文字Dである。 14附属書の勧告方式は,第3章3.8.7において,誘導路の中心線と滑走路の中心線の離間距離につき,前記コードに該当する計器用滑走路は176メートル以上とすべきであるとしているが,滑走路と誘導路との最小離間距離は,誘導路がへの字型に湾曲した箇所では約107メートルしかなく,前記勧告方式の176メートルを大きく割 計器用滑走路は176メートル以上とすべきであるとしているが,滑走路と誘導路との最小離間距離は,誘導路がへの字型に湾曲した箇所では約107メートルしかなく,前記勧告方式の176メートルを大きく割り込んでいる。 また,誘導路中心線と障害物間の離間距離につき,前記コードに該当する計器用滑走路は,40.5メートル以上とすべきであるとしているが,誘導路中心線と障害物間の離間距離は,三里塚芝山連合空港反対同盟所有の現地闘争本部の建造物と誘導路の箇所では,14附属書の40.5メートルを大きく割り込んでいる。 d進入用灯火システムの国際標準違反滑走路B’の進入用灯火システムは,滑走路端から北側に510メートル,南側に900メートル設置される計画である。滑走路B’は,カテゴリー1または2の精密進入用滑走路である。 14附属書は,第5章の5.3.4.10で,カテゴリー1の精密進入用灯火システムは,可能な限り滑走路進入端から900メートルの距離にわたる滑走路中心線延長上の灯列であって,滑走路進入端から300メートルの距離で長さ30メートルのクロスバーを形成する灯列を有する灯列で構成されなければならないと国際標準を規定し,また,カテゴリー2及び3の精密進入用灯火システムに関しては,14附属書第5章の5.3.4.21以下で,国際標準を規定している。 ところが,滑走路B’の進入用灯火の用地が確保されていないため, 北側は,滑走路北端より510メートル分の用地しか確保できず国際標準より390メートル短縮せざるを得ず,シカゴ条約違反というべきである。 e非常用アクセス道路の勧告方式違反1983年3月の14附属書改訂で,進入用灯火の用地を整備するにあたって,滑走路末端から1000メートルまでの進入区域には,12メートルないし13メートル幅の用地を確保し, クセス道路の勧告方式違反1983年3月の14附属書改訂で,進入用灯火の用地を整備するにあたって,滑走路末端から1000メートルまでの進入区域には,12メートルないし13メートル幅の用地を確保し,できる限り非常用アクセス道路(緊急保安道)を設置すべきことが,勧告された。 ところが,滑走路B’の進入用灯火の用地が確保されていないため,北側は,滑走路北端より510メートル分の用地しか確保できないし,南端側は,面として進入用灯火用地としては確保できないから,滑走路B’は,シカゴ条約違反というべきである。 f飛行場の位置に関する勧告方式違反14附属書の飛行場に関する国際標準及び勧告方式において,「添付物A」で「第14附属書第1巻への補足的指針資料」が標準及び勧告方式を補足する資料ないし,これらの適用についての指針として挿入され,この中で「1滑走路本数,位置選定及び方位設定」の中の「滑走路の位置選定と方位設定」において4つの主題の一つとして,「1.1.3飛行場位置,その進入路及び周辺の地形,特に下記諸事項」の中で,「b)現在及び将来の土地利用。方位設定と配置は,特に住宅・学校・病院地域など騒音に敏感な地区を,できる限り航空機騒音による不快から,防ぐように選定されるべきである。」と定めている。 滑走路B’は,敷地内で農業を営む住民(原告C,原告D,訴外Lの各家族)が空港建設に同意せず,土地の買収に応じない場合に,自宅や畑に隣接して滑走路,誘導路,航空保安施設を建設し,離着陸機 を上空40メートルの距離で航行させ,住民の生命,身体に危険を与え,かつ激甚な騒音被害を与えるから,滑走路B’は,シカゴ条約違反というべきである。 イ法の飛行場施設の適合性違反(ア)公団法22条及び15年改正前法55条の3第1項違反(基本計画への適合性違反 ,かつ激甚な騒音被害を与えるから,滑走路B’は,シカゴ条約違反というべきである。 イ法の飛行場施設の適合性違反(ア)公団法22条及び15年改正前法55条の3第1項違反(基本計画への適合性違反)公団法22条及び15年改正前法55条の3第1項によれば,公団作成の工事実施計画は被告指示の公団法21条の基本計画に合致しなければならないところ,滑走路B’は2180メートルを予定しているが,本来前記ア(イ)dのとおり滑走路進入端から900メートルの範囲で進入用灯火システムを設置すべきところ,北側の航空灯火用地が未買収のため,滑走路北端延長上には510メートルしか設置できず,滑走路の内側に390メートルに埋め込まれ設置されざるを得ない結果,滑走路B’は,物理的には2180メートルの長さで舗装され整備されても,北側からの進入着陸は1790メートルの長さの計器滑走路としてだけ機能する状態となっており,基本計画で指示された2180メートルの長さの計器滑走路としては機能していない。 (イ)1号要件違反15年改正前法55条の3で準用する法39条1項1号は,飛行場の設置の計画が「運輸省令で定める基準に適合する」ものであることを要件として定めているところ,滑走路B’は,次のとおり,12年改正前規則79条1項3号,同項5号,同項5号の2,117条,16年改正前規則99条に違反している。 a12年改正前規則79条1項3号,同項5号の2違反(着陸帯の幅,整地部分の不足)着陸帯B’の等級はB級である。12年改正前規則79条1項3号 は,B級の計器用着陸帯については,滑走路の縦方向の中心線から着陸帯の長辺までの距離は,150メートル以上,すなわち着陸帯の幅は300メートル以上と定めている。しかし,着陸帯B’の幅は,民有地の未買収から150メートルと, いては,滑走路の縦方向の中心線から着陸帯の長辺までの距離は,150メートル以上,すなわち着陸帯の幅は300メートル以上と定めている。しかし,着陸帯B’の幅は,民有地の未買収から150メートルと,同号の半分に計画されており,大幅に運輸省令に違反する。 また,12年改正前規則79条1項5号の2は,滑走路,誘導路の両側,エプロンの縁に適当な幅,強度,表面を有するショルダーを設けると定めている。これは,ICAOの勧告方式の最大幅210メートル,最小幅150メートルで整地部分の規定が準用されるが,前記ア(イ)bのとおり,整地部分は150メートルであり,60メートル違反するなど,明らかに運輸省令に違反する。 b12年改正前規則79条1項5号違反(滑走路誘導路最小離間距離の不足)12年改正前規則79条1項5号は,「陸上飛行場」にあっては「滑走路及び誘導路が,これらの上を航行する航空機の航行の安全のため,相互の間の十分な距離」「を有するものであること」を定めている。「十分な距離」とはICAOの勧告方式に準拠すべきであり,少なくとも182.5メートルなければならないが,滑走路B’と誘導路との最小離間距離は,前記「十分な距離」の要件に違背する。 (ウ)2号要件違反(他人の利益の著しい侵害)15年改正前法55条の3で準用する法39条1項2号は,飛行場又は航空保安施設の設置によって他人の利益を著しく害することとならないものであることを要するとしているが,次のとおり,滑走路B’はこの2号要件に違反するものである。 a航空機事故の危険状態の作出滑走路B’の建設・供用は,滑走路B’周辺で農業を営む住民の生 活と生存を無視し侵害して,住民の生活空間である地元住民の自宅や畑に隣接して,航空機事故の大半が発生する場所である空港(滑走路,誘導路,航空保安 設・供用は,滑走路B’周辺で農業を営む住民の生 活と生存を無視し侵害して,住民の生活空間である地元住民の自宅や畑に隣接して,航空機事故の大半が発生する場所である空港(滑走路,誘導路,航空保安施設)を建設・供用するものであり,住民を日常的に航空機事故の危険にさらすなど住民の生命,身体に著しい危険を及ぼすものである。 実際に,滑走路B’供用により,航空機事故が約2年間に連続して3回起きており,原告ら地元住民に恐怖感を与えている。 (a)滑走路B’の欠陥に起因するオーバーラン事故の発生と事故再発の危険性 オーバーラン事故の発生平成15年1月27日,ソウル発のエアージャパン908便(ボーイング767-300機,乗員乗客102名)が,滑走路B’北側から進入,同滑走路南端のオーバーランエリア(60メートル)を10メートル超え,誘導路灯や滑走路末端補助灯を一部壊して停止した(以下「本件オーバーラン」という。)。本件オーバーランは重大インシデントとして扱われ,航空・鉄道事故調査委員会により調査が行われ,「航空重大インシデント調査報告書」が提出されている。 本件オーバーランの原因本件オーバーランの原因は,パイロットの使用した最高ブレーキが効かなかったためであり,それは2180メートルの滑走路B’を,最大離陸重量250トン程度の機体が年間5万回に迫る離着陸に使用したため,滑走路にゴムが大量付着したことにより滑走路のハイドロプレーニング現象が生じた可能性が濃厚であると推認される。 オーバーラン事故による危険性 仮に,本件オーバーランでオーバーランした航空機が滑走路から左に寄っていた場合には,オーバーラン部分から左に60メートルの所は,東峰神社周辺が深さ2ないし3メートルの大きな窪地になっているため,そこへ機体が落ち込む危険性 オーバーランした航空機が滑走路から左に寄っていた場合には,オーバーラン部分から左に60メートルの所は,東峰神社周辺が深さ2ないし3メートルの大きな窪地になっているため,そこへ機体が落ち込む危険性があり,福岡空港事故のように航空機の胴体が破壊されるなどの危険があった。 福岡空港事故のようなオーバーラン事故がおこれば,神社や畑,民家に人がいた場合に人命を巻き込む危険性が高い。 このように,原告C及び原告Dは,日常的に航空機事故に巻き込まれる危険にさらされ,かつ,精神的苦痛を被っている。 滑走路付近の整地の不完全による事故の損害拡大の危険性滑走路B’には,滑走路南側(34R)の滑走路端から北側へ約130メートルの滑走路中心線よりおよそ80メートル東側に道路(民有地)があり,滑走路との標高差の関係では,約4メートル程度低い,覆いのない溝状の民有地が存在する。 前述の着陸帯の整地部分に関する勧告方式の国際基準では,実行不可能なことに合理性がない限り,着陸帯は滑走路中心線の両側に150メートル,すなわち着陸帯の幅は300メートルとし,「滑走路帯の全長にわたって広がるべきである」とされているにもかかわらず,滑走路B’の着陸帯は,幅150メートルしかない。実行不可能な理由に付き合理的理由を明示しなければならない。 前記のような窪地や溝は明らかに,航空機の車輪を折損する可能性が高く,事故発生時には脆弱な建物よりも人命を危険にさらす危険性が高い。 着陸帯内に在った窪地により引き起こされた事例として有名なのが,平成8年6月13日に福岡空港で発生した,ガルーダ・イ ンドネシア航空のDC-10型機事故である。この事故は,離陸中にエンジンに異常が発生し,離陸を中止したが滑走路上では停止しきれず,滑走路端から約620メートルオーバーランしてかく座炎上 ・イ ンドネシア航空のDC-10型機事故である。この事故は,離陸中にエンジンに異常が発生し,離陸を中止したが滑走路上では停止しきれず,滑走路端から約620メートルオーバーランしてかく座炎上したというものである。この時,DC-10型機は,離陸時にエンジン異常が発生し,離陸を中止したが,滑走路を飛び出し,幅5メートルの用水溝を越える時にコンクリートの壁に激突しこれを損傷,さらにコンクリート製の高さ約70センチメートルの県道法面を越える時に車輪,エンジンや胴体に大きな損傷を受け,機体はそのショックで後部胴体が折れたため,その付近の席にいた3名の乗客の命が失われた。これは滑走路付近の整地が完全でないと,事故による損害が拡大する危険性があることを示している。 (b)滑走路B’の欠陥に起因する接触事故及び鉢合わせ事故の発生と誘導路B’における航空機同士の衝突事故の危険性 誘導路B’における航空機同士の接触事故等の危険性原告Cは,誘導路B’脇2ヶ所に,畑,作業所,居宅を有しているところ,誘導路B’には,2ヶ所の「へ」の字部分があるため,走行中に航空機同士の接触事故等がおこる危険性が高い。 また,この誘導路が一部「へ」の字型に曲がった部分は,滑走路との間隔が狭く(前記ア(イ)cのとおり,滑走路B’と誘導路B’とは,シカゴ条約の滑走路誘導路最小離間距離に関する勧告方式に違反している。),滑走路使用時には,この屈曲部分の手前で一時停止したり,減速したりしなければならないため,必然的にブレーキの使用が多くなる。気温が高い時期にブレーキを繰り返し使用すると,ブレーキの温度が上昇しその状態で離陸に移るが,万が一離陸を中断した場合,ブレーキの温度が上がりす ぎて効果が低下し,タイヤのバーストや車輪火災を引き起こす危険性がある。 このように 用すると,ブレーキの温度が上昇しその状態で離陸に移るが,万が一離陸を中断した場合,ブレーキの温度が上がりす ぎて効果が低下し,タイヤのバーストや車輪火災を引き起こす危険性がある。 このように,原告Cは,航空機事故の危険に日常的にさらされ,かつ,そのために精神的苦痛を被っている。 航空機同士の接触事故の発生平成14年12月1日午前11時半頃,滑走路B’南端において,航空機同士が接触した(以下「本件接触」という。)。本件接触は,滑走路B’南端の滑走路手前の停止線(B7地点)で離陸待機していたソウル行きの日本エアシステム253便(A300-600型機)の後方を,先に着陸し北端から誘導路を南下走行してきたドイツ・ミュンヘン発のルフトハンザ航空714便(大型のA340-300型機)が通過した際に,日本エアシステム機の右水平尾翼先端とルフトハンザ航空機の左主翼先端の垂直羽がすれ違い様に接触し,接触部分が破損したものである。 本件接触は,事故そのものとしては,A340型機の主翼端がA300型機の尾翼に接触し,80センチメートル程度の傷をつけたというものであるが,その傷ついた箇所が,飛行機の機首を上下させる舵の役割を果たす昇降舵であった。舵の部分は歪んだり少しでもひびが入ったりして,そのまま離陸すると操縦不能につながる危険性があり,本件接触は,重大事故につながる小事故(インシデント)である。 狭い誘導路B’においては,機体の翼端が誘導路からはみ出し,滑走路手前の停止線の手前で停止している機体の尾部と接触する危険性があり,翼幅60メートルのB-777型機は前記のように停止している機体の後方通過が認められていないのに,翼幅約58メートルあり,B-777型機と機体の中心から翼端までの 距離が1メートル程度しか異ならないA340型機は,後 77型機は前記のように停止している機体の後方通過が認められていないのに,翼幅約58メートルあり,B-777型機と機体の中心から翼端までの 距離が1メートル程度しか異ならないA340型機は,後方通過が認められていたこと,また,パイロットの席からは翼端は見えず,事故現場は管制官からも見えないという状況にあったことに,本件接触の原因がある。 被告は,本件接触後,本件接触地点(B7地点)における,滑走路手前の停止線の手前で停止している機体の後方通過を全面禁止にしたというが,本件接触直後の当面の措置であり,現在は,B7地点で,前記後方通過を全面禁止にしていないと解されるので,同様の事故の発生する可能性は極めて高い。 航空機同士の鉢合わせ事故の発生平成16年6月16日午前9時30分ころ,アムステルダムから到着したオランダ航空861便B-777型機が,滑走路B’に北向きで着陸し,北端から誘導路を南下していた一方,韓国・仁川行きのアシアナ航空機が,風向きが変わったため,南向きに離陸しようと滑走路北端に向かって走行していて,両機が誘導路400メートルの距離で鉢合わせになって停止した。 滑走路B’は,未買収地の影響で本来の計画より約800メートル北にずらして建設されたうえ,誘導路は,畑などが残り「へ」の字に歪曲しているため前記オランダ航空機及びアシアナ航空機はお互いに相手の機体が見えず,管制官も両機を目視できなかった。 原因はオランダ航空機が管制官の指示に従わなかったと報じられているが,通常の経路でない誘導路はパイロットにとっても,見逃しなど誤りやすい事情がある。また,オランダ航空機はB-777型機であり,狭い誘導路を直角に曲がりさらに切り返し,滑走路を南に向かうのはかなりゆとりの無い操作になることは想 像にかたくない。さらに,この やすい事情がある。また,オランダ航空機はB-777型機であり,狭い誘導路を直角に曲がりさらに切り返し,滑走路を南に向かうのはかなりゆとりの無い操作になることは想 像にかたくない。さらに,この付近は管制塔から視認出来ない,或いは視認しにくい範囲であり,管制塔からもアドバイスがし難い状況にあったと見られる。なお,誘導路B’は,その距離の半分以上の地点が,管制塔から直接視認できない状態になっている。 b航空機騒音の暴露次のとおり,健康影響調査結果及びその分析等から,滑走路B’の騒音地域において,航空機騒音による健康被害が生じていることが明らかになった。 (a)健康被害調査の概要M(京都大学大学院教授)は,平成15年11月より12月にかけて,独自に,滑走路B’北部地区を中心に航空機騒音の影響に関する調査(以下「本件調査」という)を行った。その回答結果の分析は,「成田空港暫定滑走路周辺地域における航空機騒音の影響に関する調査結果」にまとめられた。 調査項目本件調査の主な調査項目は,1航空機騒音のうるささ,2航空機騒音による生活妨害,3生活満足度(QOL)(総合,健康状態,人間関係,居住環境,経済状態),4精神健康調査票(GHQ28)(A身体的症状,B不安と不眠,C社会的活動障害,Dうつ傾向)である。 配布及び回収状況曝露群は,滑走路B’北側に位置する成田市の大室,小泉,土室,十余三,成毛,幡谷の各地区であり,同地区の106世帯,311名に調査票が配布された。対照群は,滑走路B’東側に位置し,航空機の騒音がほとんど聞こえない多古町の大門,次浦,出沼,西古内,檜木の各地区であり,同地区の101世帯,18 9名に調査票が配布された。 500名中281名から調査票が回収され,回収率は56.2パーセントであっ 聞こえない多古町の大門,次浦,出沼,西古内,檜木の各地区であり,同地区の101世帯,18 9名に調査票が配布された。 500名中281名から調査票が回収され,回収率は56.2パーセントであった。なお,対照群の回収率は58.7パーセント,曝露群の回収率は54.7パーセントであり,両群の回収率に顕著な差はみられなかった。回収された281票のうち,騒音曝露量が特定不可能であった回答25票については無効票として扱った。最終的に,本件調査の有効回答数は233票,回収数に占める有効回答率は82.9パーセントであった。 (b)本件調査の結果 うるささ反応1日を通してのうるささに関する質問に対する回答は,「5たえがたいほどうるさい」では,対照群では0パーセント,曝露群80W未満では17.6パーセント,80W以上では45.5パーセントになり,「4非常にうるさい」では,対照群では0パーセント,曝露群80W未満では44.5パーセント,80W以上では36.4パーセントになったように,明らかに騒音曝露量が増加するにつれて,うるささ反応率が高くなる傾向が認められた。 生活妨害生活妨害に関する8項目(睡眠妨害,会話妨害,電話聴取妨害,テレビ等の聴取妨害,作業妨害,思考妨害,休息妨害,イライラ感)の質問に対する回答結果(1うるさくない,2少しうるさい,3うるさい,4ときどきある,5いつもある)は,明らかに騒音曝露量が増加するにつれて,「5いつもある」「4ときどきある」といった統計的に有意な反応率の増加傾向が認められた。 生活満足度(QOL)本件調査において,生活満足度(QOL)及びそれに寄与すると考えられる健康状態,人間関係,居住環境,経済状態に関する満足度を尋ねた結果,航空機騒音曝露群において生活満足度(QOL 満足度(QOL)本件調査において,生活満足度(QOL)及びそれに寄与すると考えられる健康状態,人間関係,居住環境,経済状態に関する満足度を尋ねた結果,航空機騒音曝露群において生活満足度(QOL)が有意に低下しており,特に,居住環境の満足感の低下が顕著であるから,健康状態や人間関係の満足度も低下していると推測される。 精神健康調査票(GHQ)本件調査では,簡略版の一つであるGHQ28を用い,GHQ28の回答をGHQ法により採点し,総点及び(A)身体的症状,(B)不安と不眠,(C)社会的活動障害,(D)うつ傾向の4因子の得点を算出した。 GHQ28総点! しきい値を超える者の比率は,対照群で約30パーセント,80W未満の群で45パーセント,80W以上の群で70パーセントとなっており,騒音曝露量の増加に伴って比率が大幅に上昇している。 多重ロジスティック回帰分析の結果では,騒音曝露量の増加とともにオッズ比の高度に有意な増加傾向(有意確率0.5パーセント,両側)が認められた。また,80W未満の曝露群においても,対照群と比較して有意なオッズ比の上昇が検出された。 神経症者に対して実施したGHQ28の結果では,90パーセントが6点以上の得点を示し,同じく健常者の86パーセントが5点以下の得点になる,との報告がある。したがって,騒音曝露地区では神経症と診断される者が有意に増加している可 能性が高い。 (A)身体的症状"しきい値を超える者の比率は,対照群で約20パーセント,80W以上の群で40パーセントとなっており,騒音曝露量の増加とともに比率が高率となっている。しかし,多重ロジスティック回帰分析の結果では,量反応関係の有意性は必ずしも高くなかった(有意確率30.4パーセント,両側)。この点については,より騒音レベルが高い地 ともに比率が高率となっている。しかし,多重ロジスティック回帰分析の結果では,量反応関係の有意性は必ずしも高くなかった(有意確率30.4パーセント,両側)。この点については,より騒音レベルが高い地区を含めて調査を実施したなら,有意な増加傾向性が認められるとの推測は十分に成り立つし,また,今回の調査の回答者数が沖縄県調査に比べて格段に少ないことにかんがみると,航空機騒音曝露の増大に伴うGHQ28身体的症状の有意な増加傾向が認められなかったことは,既往の調査結果に矛盾するものではない。本件調査の80W以上の群で得られた2.752(有意確率16パーセント,両側)というオッズ比は,沖縄県調査の結果と整合するので,滑走路B周辺においては現段階では騒音激甚地区に居住する住民が少ないために騒音曝露に対する身体的症状の有意な増加傾向が認められないものの,80W以上の地区では2.752という高いオッズ比が得られており,騒音により身体的症状が生じていると解することができる。 (B)不安と不眠#しきい値を超える者の比率は,対照群で約17パーセント,80W以上の群で30パーセントとなっており,騒音曝露量の増加とともに比率が上昇している。 多重ロジスティック回帰分析の結果では,量反応関係の有意性は必ずしも高くなかった(有意確率29.7パーセント,両 側)。80W以上の群においては,統計的に有意ではないが,2.009(有意確率36.7パーセント,両側)という高いオッズ比が得られている。 この項目に関する七つの質問中,不眠に関する二つの質問,及びストレス・イライラ感に関する二つの質問においては,騒音曝露量と有意な関連が認められたが,残りの質問においては,騒音曝露量との関連は認められず,結果的に不安と不眠の合計得点に関して,騒音曝露量との量反応関係の ライラ感に関する二つの質問においては,騒音曝露量と有意な関連が認められたが,残りの質問においては,騒音曝露量との関連は認められず,結果的に不安と不眠の合計得点に関して,騒音曝露量との量反応関係の有意性が低くなったものと考えられる。 (C)社会的活動障害$しきい値を超える者の比率に関して顕著な量反応関係が認められる。多重ロジスティック回帰分析の結果においても,騒音曝露量の増加とともにオッズ比の有意な増加傾向が認められる(有意確率0.5パーセント,両側)。80W以上の群では,高度に有意なオッズの上昇(有意確率0.3パーセント,両側)が検出された。 この項目に関する質問は,「17いつもより日常生活を楽しく送ることが~」といった生活満足度に関連する質問をいくつか含んでおり,これらの質問の回答について騒音曝露量と有意な量反応関係が認められた。このことは,前記の生活満足度(QOL)に関する調査結果と整合する。 (D)うつ傾向%騒音曝露量との間に関連は認められず,すべての群において,1に近いオッズ比が得られた。 (c)本件調査結果の分析回答者数の小なること,騒音曝露レベル段階の少ないこと等,統 計的検定においては有意差検出に不利な条件のもとでの解析であるにもかかわらず,いくつかの健康関連項目で騒音の影響が検出されたこと,さらに,それらの結果が既往の航空機騒音調査結果に照らして矛盾しないことを考えると,当該地域において航空機騒音によって健康被害への影響が起きている可能性を強く示唆するといえる。 (d)本件調査結果,沖縄県調査結果からみた原告らの健康被害への影響原告C宅の84Wでは,本件調査結果,沖縄県調査結果等に照らすと,個人差があり,聴力損失が必ずしも起きるとはいえないが,それ以外の影響,例えば低出生体重児出生率,子供の情 原告らの健康被害への影響原告C宅の84Wでは,本件調査結果,沖縄県調査結果等に照らすと,個人差があり,聴力損失が必ずしも起きるとはいえないが,それ以外の影響,例えば低出生体重児出生率,子供の情緒,記憶力への影響,精神的生活妨害及び情緒妨害,うるささ,睡眠妨害等,航空機騒音による重大な影響を受けている。 また,原告I宅も滑走路B’南端約3キロに位置し,74Wの激しい騒音被害を受けている。約74Wの地域では,沖縄県調査結果に照らすと,低出生体重児出生率がわずかに上がり,生活妨害,情緒妨害及び睡眠妨害も十分起こってくる。原告A等他の原告らも滑走路B’の騒音被害を被っている。 ウ5号要件違反15年改正前法55条の3で準用する法39条1項5号は,飛行場にあっては「申請者が」「その敷地を」「確実に取得することができると認められること」を認可の要件としている(5号要件)。ところで,本件敷地は二期工事区域の一部であり,同区域については,公団が千葉県収用委員会に対し,平成5年6月に収用裁決申請を取り下げ,強制的用地取得は不可能な状態である。また,三里塚芝山連合空港反対同盟現地闘争本部の建物,原告ら所有地等について公団が用地取得できる見通しは全くない。そうすると,「確実に用地を取得できると認められる」との要件を充足しな いことは明らかである。 エ環境影響評価法違反滑走路B’建設工事は,昭和42年1月30日告示の本件空港にかかる工事実施計画認可処分に基づきこれを縮小した工事実施計画とされているが,単なる事業規模の縮小ではなく,最終的には滑走路を北側に約800メートル延長し,従前の滑走路B及びその南端部分で舗装済みの400メートルを滑走路として3700メートルの滑走路とすることを意図していたものである。そうすると,滑走路B’建設工事は,環境 に約800メートル延長し,従前の滑走路B及びその南端部分で舗装済みの400メートルを滑走路として3700メートルの滑走路とすることを意図していたものである。そうすると,滑走路B’建設工事は,環境影響評価法にいう第一種事業である。したがって,公団は,同法に定める方法書の作成,環境影響評価の項目の選定,環境影響評価の実施,準備書の作成,評価書の作成,評価書の公告及び縦覧を行わなければならず,かつ,公団は評価書の公告縦覧を行うまでは対象事業を実施してはならなかった。しかるに,公団は,同法に違反し,諸手続の履行を怠ったのであり,それにもかかわらずなされた本件空港変更認可は違法である。 オ憲法9条違反本件空港は,米軍が通関手続を経ることなく自由に使用し,各地の基地に要員,物資を輸送しているのみならず,自衛隊のPKO派兵における出撃基地となっている。さらに,周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律等に基づき,戦争の際には,本件空港は,自衛隊と共同作戦行動をとるべく50万人以上の米軍兵士や物資を受け入れる一大兵站基地とすることが可能になった。本件空港変更認可は,このような戦争準備態勢の一環というべきであり,憲法9条に違反する。 カ当初認可の違法を承継した違法本件空港変更認可は昭和42年1月の当初認可を前提とする。しかしながら,当初認可には以下の違法事由がある。 (ア)成田空港は,富里空港案が富里,八街住民の強力な反対運動の結 果挫折したことにかんがみ,N千葉県知事とO運輸事務次官との秘密会談に基づき,昭和41年6月22日のP首相とN知事との会談によって地元住民の反対運動の機先を制して急遽策定されたものである。地元住民の意向を全く無視したのみならず,これを敵視し,地元住民の反対運動を専制的に制圧するために, 22日のP首相とN知事との会談によって地元住民の反対運動の機先を制して急遽策定されたものである。地元住民の意向を全く無視したのみならず,これを敵視し,地元住民の反対運動を専制的に制圧するために,クーデター的に策定され,同年7月4日閣議決定,同月5日位置を定める政令の公布,施行がなされたのであり,地元住民を敵視した,反人民的手続により位置決定がなされたものである。 (イ)前記閣議決定,位置を定める政令の公布,施行は,新空港の位置を定めるために審査すべき法39条をはじめとする諸規定を履行しないまま決定するという重大な違法行為を犯したものであり,これを前提とする工事実施計画は前記重大な違法をそのまま承継したもので,取消しを免れない。 三里塚芝山連合空港反対同盟参加の農民をはじめとする多数の農民,住民が反対の意思を表明する中で工事実施計画の認可処分がされたのであり,用地買収に応じない多数の土地を所有,使用する農民,住民の存在下に確実な用地取得の要件がない中で,土地収用法によって強権的に用地を強奪することが可能であるとする憲法29条の財産権の保障規定を無視した態様で認可処分がなされたものである。 (ウ)当初認可は,北は利根川の北岸から南は九十九里浜の海岸近くまでの広大な地域の住民に激しい騒音公害をもたらすことが明らかであったにもかかわらず,敢えて認可した点において,「他人の利益を著しく害することとならないものであること」(15年改正前法55条の3第2項で準用する法39条1項2号)の要件に明白に違反するものである。 (エ)当初認可は,生存権的基本権にして,農民の生命ともいうべき農地を収奪することを容認する点において「他人の利益を著しく害するこ ととならないものであること」(15年改正前法55条の3第2項で準用する法39条1項2号)の 権にして,農民の生命ともいうべき農地を収奪することを容認する点において「他人の利益を著しく害するこ ととならないものであること」(15年改正前法55条の3第2項で準用する法39条1項2号)の要件に明白に違反する違法を犯し,また憲法29条に違反するものである。 (オ)当初認可は,表面的には,民間国際空港と称していながら,実質的には日米安全保障条約下に米軍の自由使用を許容する軍事空港として機能する空港の工事実施計画を認可した点において憲法9条に反する。 (4)争点4(本件航空保安施設変更認可の適法性)について(被告の主張)ア手続的要件充足性航空保安施設変更認可の手続的要件は,15年改正前法55条の3第1項(航空保安無線施設については,16年改正前規則103条の2で準用する規則103条,航空灯火については,16年改正前規則121条の2で準用する規則121条),同条2項に規定するとおりであるところ,本件航空保安施設変更認可が,手続的要件を充足していることは明らかである。 イ実体的要件充足性航空保安施設である航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画の変更認可の実体的要件は,15年改正前法55条の3第1項,同条2項本文で準用する39条1項1号(前者については,16年改正前規則99条,後者については12年改正前規則117条),同項2号であるところ,基本計画適合性については,前記(3)被告の主張イ(ア)で述べたとおりであり,その他の要件は以下に述べるとおりであって,本件航空保安施設変更認可は,実体的要件を充足している。 (ア)本件航空保安無線施設変更認可についてa1号要件充足性法39条1項1号は,航空保安施設の位置,構造等の設置の計画が 運輸省令で定める基準に適合するものであることと定めている。 本件航空保安無線施設変 保安無線施設変更認可についてa1号要件充足性法39条1項1号は,航空保安施設の位置,構造等の設置の計画が 運輸省令で定める基準に適合するものであることと定めている。 本件航空保安無線施設変更認可により変更しようとする事項は,ローカライザー,グライドスロープ,ILS-DME及びILS遠隔監視制御装置であり,それらの設置基準は,以下のとおりである。 (a)ILSの構成平成13年国土交通省令第133号による改正前の規則(以下「13年改正前規則」という。)99条1項8号イ(b)ローカライザー装置の性能,構造等16年改正前規則99条1項8号ロ(一)ないし(四)a,(六),(七)a,(八)ないし(十二),(十四)ないし(二十一),(二十三)ないし(二十八)(c)グライドスロープ装置の性能,構造等16年改正前規則99条1項8号ハ(一)ないし(四),(六)ないし(十二),(十四)ないし(十七)a,(十八)ないし(二十二)(d)ILS-DME装置の性能,構造等16年改正前規則99条1項9号イないしソ,ネないしヰ(e)ILS遠隔監視制御装置の性能16年改正前規則99条1項8号ロ(二十二)被告は,本件航空保安無線施設変更認可申請書の添付書類である工事設計図書及び仕様書の内容を審査し,本件航空保安無線施設変更認可申請の内容が,前記規則が定める各基準に適合していたことから,1号要件を充足すると判断した。 b2号要件充足性法39条1項2号は,航空保安施設の設置によって,他人の利益を著しく害することとならないものであることと定めている。 被告は,本件航空保安無線施設変更認可に係る航空保安無線施設が公団所有地に設置するものであることなどから,当該航空保安施設の設置によって新たに他人の利益を著しく害することとならないものであり, 被告は,本件航空保安無線施設変更認可に係る航空保安無線施設が公団所有地に設置するものであることなどから,当該航空保安施設の設置によって新たに他人の利益を著しく害することとならないものであり,2号要件を充足すると判断した。 (イ)本件航空灯火変更認可についてa1号要件充足性本件航空灯火変更認可により変更しようとする事項は,進入灯,進入角指示灯,滑走路灯,滑走路末端灯,滑走路末端補助灯,滑走路中心線灯,接地帯灯,過走帯灯,誘導路灯,誘導路中心線灯,誘導路交差点灯,誘導案内灯及び風向灯であり,それらの設置基準は以下のとおりである。 (a)進入灯12年改正前規則117条1項3号ハ(一)及び(二)(b)進入角指示灯12年改正前規則117条1項3号ニ(一)a及び(二)(c)滑走路灯12年改正前規則117条1項3号チ(一)及び(二)(d)滑走路末端灯12年改正前規則117条1項3号リ(一)及び(二)(e)滑走路末端補助灯12年改正前規則117条1項3号ヌ(一)ないし(五)(f)滑走路中心線灯12年改正前規則117条1項3号ヲ(一)ないし(九)(g)接地帯灯12年改正前規則117条1項3号ワ(一)ないし(九)(h)過走帯灯 12年改正前規則117条1項3号ヨ(一)ないし(六)(i)誘導路灯12年改正前規則117条1項3号ネ(一)ないし(五)(j)誘導路中心線灯12年改正前規則117条1項3号ナ(一)ないし(九)(k)誘導路交差点灯12年改正前規則117条1項3号ウ(一)ないし(三)(l)誘導案内灯12年改正前規則117条1項3号ヰ(一)ないし(八)(m)風向灯12年改正前規則117条1項3号マ被告は,本件航空灯火変更認可申請書の添付書類である工事設計図書及び工事仕様書の内容を審査し 12年改正前規則117条1項3号ヰ(一)ないし(八)(m)風向灯12年改正前規則117条1項3号マ被告は,本件航空灯火変更認可申請書の添付書類である工事設計図書及び工事仕様書の内容を審査し,本件航空灯火変更認可申請内容が前記規則が定める各基準に適合しており,1号要件を充足すると判断した。 b2号要件充足性被告は,本件航空灯火変更認可に係る航空保安施設が公団所有地に設置するものであることなどから,当該航空保安施設の設置によって新たに他人の利益を著しく害することとならないものであり,2号要件を充足していると判断した。 ウ原告らの主張に対する反論(ア)違法な処分を前提とする認可の違法について本件空港変更認可は適法であるから,原告らの主張は失当である。また,本件航空保安施設変更認可は,本件空港変更認可とは要件を異にする別個独立の処分であり,本件航空保安施設変更認可の違法事由は本件空港変更認可の違法事由とはならない。 (イ)5号要件違反の主張について法は,飛行場と航空保安施設とを区別して規定しているところ,法39条1号5号は,その文言から明らかなとおり,飛行場に関する規定であるから,航空保安施設に関しては適用の余地がない。なお,航空保安施設変更認可にかかる航空保安施設は,公団の所有地に設置するものである。 (ウ)本件航空保安無線施設変更認可にかかる1号要件違反の主張について滑走路B’の航空保安無線施設のうちミドルマーカーについては,その設置が困難な場合にはタカン又はDMEを設置すべきとされている(13年改正前規則99条1項8号イ(三)b)ことから,本件航空保安無線施設変更認可においては本件空港敷地内にDMEを設置することとしており,前記規則に適合するものである。 (エ)本件航空灯火変更認可にかかる1号要件違反の 項8号イ(三)b)ことから,本件航空保安無線施設変更認可においては本件空港敷地内にDMEを設置することとしており,前記規則に適合するものである。 (エ)本件航空灯火変更認可にかかる1号要件違反の主張について滑走路B’北側の進入灯は,滑走路B’の内側390メートルに埋め込まれて設置されるのではなく,滑走路B’北側から北側に向かって510メートルにわたって設置されることになる。この設置範囲は,12年改正前規則117条1項3号ハ(二)aで定めるA図に適合しており,滑走路B’は2180メートルであって,1号要件に違反しない。なお,滑走路B’は,カテゴリー1精密進入用滑走路であるため,法上サイドバレットは必要とされていない。 (原告らの主張)ア違法な処分を前提とする認可処分の違法前記(3)原告らの主張のとおり,本件空港変更認可は違法な処分であるから,そのような違法な処分を前提とした本件航空保安施設変更認可は当然に違法である。 イ本件航空保安無線施設変更認可の違法滑走路B’は,カテゴリー1方式による精密進入を行う計器着陸用滑走路であるところ,航空灯火と一体の施設としてILSをはじめとする航空保安無線施設の設置が不可欠である。そして,カテゴリー1精密進入においては,進入限界高度は60メートル以上であり(12年改正前規則117条1項2号),ミドルマーカーを滑走路B’北端からの延長900メートルないし1200メートル以下の地点に設置しなければならなかった。 しかるに,航空灯火施設を滑走路B’内に約390メートル入り込んで設置することとしたため,これと一体をなすILS施設も省令による設置基準に違反して滑走路B’北端に接近して設置することとなった。これは,認可された滑走路B’に基づく設置基準に明らかに違反するのみならず,公団がミドルマーカ これと一体をなすILS施設も省令による設置基準に違反して滑走路B’北端に接近して設置することとなった。これは,認可された滑走路B’に基づく設置基準に明らかに違反するのみならず,公団がミドルマーカー用地を取得できないことを認容の上で認可したものであり,1号要件のみならず5号要件にも明らかに違反する。 ウ本件航空灯火変更認可の違法飛行場灯火の設置基準については,12年改正前規則117条に基づく設置基準により,滑走路B’の北側末端から外側延長上に900メートルの長さにわたって進入灯,クロスバー,サイドバレット等の航空灯火を設置する用地が確保されなければならなかった。しかるに,滑走路B’については,北側510メートルを超える地域については空港用地外に灯火を設置せざるを得なくなった。その結果,アプローチセンターライン灯の北側末端は,一般廃棄物最終処分場の場内に設置せざるを得ない状態になる。 このような航空灯火の設置は,滑走路B’への北側からの着陸時にも2180メートル長として機能することを当然の前提としてなされた本件空港認可に違反するのみならず,公団が航空灯火用地を取得できないことを認容の上で認可したものであり,1号要件のみならず5号要件にも明らかに違反する。 (5)争点5(本件指定の適法性)(被告の主張)ア手続的要件充足性延長進入表面等の指定の手続的要件は,15年改正前法56条の3第2項,法38条3項,39条2項,40条に規定するとおりであり,本件空港変更認可に至る経緯及び本件指定の手続(申請告示,公聴会,指定告示)等に照らせば,本件指定が手続的要件を充足していることは明らかである。 イ実体的要件充足性延長進入表面等の指定の実体的要件について,15年改正前法56条の3第1項は,空港の付近の土地の所有者その他の利害関係を有 件指定が手続的要件を充足していることは明らかである。 イ実体的要件充足性延長進入表面等の指定の実体的要件について,15年改正前法56条の3第1項は,空港の付近の土地の所有者その他の利害関係を有する者の利益を著しく害することとならないように配慮しなければならないと定めている。 延長進入表面等は,極めて高い位置にあるところ,本件空港周辺は,比較的平坦で人口密度も低い農村であって,本件指定当時,延長進入表面等の上に出る高層建築物がなかっただけでなく,高層建築物の建設が必要となるような都市化の予定もなかったことから,延長進入表面等の指定によって,空港付近の土地の所有者その他の利害関係を有する者の利益を著しく害することはなく,本件指定が実体的要件を充足していることは明らかである。 ウ原告らの主張に対する反論(ア)違法な処分を前提とする認可の違法について本件空港変更認可は適法であるから,原告らの主張は失当である。 (イ)告示,指定にかかる進入表面,延長進入表面に違反する工事と知りつつ認可した違法の主張について前記(4)被告の主張ウ(エ)のとおり,滑走路B’は2180メー トルで運用されているのであるから,原告らの主張は失当である。 (原告らの主張)ア違法な処分を前提とする本件指定の違法前記(3)原告らの主張のとおり,本件空港変更認可は違法であるから,違法な処分を前提とした延長進入表面,円錐表面,外側水平表面の指定は当然に違法である。 イ告示,指定にかかる進入表面,延長進入表面に違反する工事と知りつつ認可した本件指定の違法滑走路B’に北側から進入する場合の着陸帯B’は,実質的には同滑走路長に60メートルを加えた1850メートルであるから,着陸帯B’北端を起点とした進入表面を含む安全表面の告示ないし指定処分は,北側から進入す に北側から進入する場合の着陸帯B’は,実質的には同滑走路長に60メートルを加えた1850メートルであるから,着陸帯B’北端を起点とした進入表面を含む安全表面の告示ないし指定処分は,北側から進入する航空機の安全表面としては,実態に反する違法な告示,指定処分である。 第3当裁判所の判断 争点1(本件航空保安施設変更認可の処分性の有無)について(1)15年改正前法55条の3第1項によれば,本件航空保安施設変更認可は,公団に対して航空保安無線施設及び航空灯火を変更する権限を付与するものであるが,その処分性を検討するに当たって,まず,公団と被告との関係について検討する。 公団は,本件空港の設置及び管理を効率的に行うこと等により,航空輸送の円滑化を図り,もって航空の総合的な発達に資すると共に,我が国の国際的地位の向上に寄与することを目的として設立された法人である(公団法1条,3条)。その資本金は,政府が全額出資し(同法5条1項),その総裁及び幹事は被告が任命し(同法11条1項),その副総裁及び理事は,被告の認可を受けて,総裁が任命する(同条2項)。そして,公団は,本件空港の設置及び管理を行うことを主たる業務とし(同法20条1項1号),同業 務を行う場合には,被告が定め,公団に指示した基本計画に従わなければならず(同法21条,22条),業務開始の際は,業務方法書を作成して被告の認可を受けることを要する(同法24条1項)。そして,事業年度ごとに,事業計画,予算及び資金計画を作成し,当該事業年度の開始前に,被告の認可を受け(同法26条)た上,財産目録,貸借対照表及び損益計算書を作成し,当該事業年度の終了後3か月以内に被告に提出してその承認を受けることを要し(同法27条1項),また,事業年度ごとの残余利益は,所定の積立金を控除し,なお残額 目録,貸借対照表及び損益計算書を作成し,当該事業年度の終了後3か月以内に被告に提出してその承認を受けることを要し(同法27条1項),また,事業年度ごとの残余利益は,所定の積立金を控除し,なお残額があるときは,国庫に納付し(同法28条1項,3項),金銭の借り入れをするには被告の認可を要し(同法29条1項),政府は,国会の議決を経た金額の範囲内において,公団の長期借入金又は債券に係る債務につき保証できる(同法30条)とされている。また,公団は,一定の重要な財産を譲渡し,交換し,又は担保に供しようとするときは,被告の認可を受けなければならず(同法33条),公団が役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給基準を定めようとするときは,被告の承認を受けることを要する(同法34条)。以上のほか,被告は公団を監督し(同法36条1項),公団に対してその業務に関して監督上必要な命令をすることができ(同条2項),また,公団に対して,その業務及び資産の状況に関して報告させたり,公団の事務所等に立ち入って業務の状況若しくは帳簿等の必要な物件の検査をすることもできる(同法37条1項)。さらに,不動産登記法等所定の法令については,公団を国の機関とみなして,これらの法令を準用するものとされている(同法40条,同法施行令8条)。 このように,公団法における公団の目的,資本金の出資者,役員等の人事,業務,財務及び会計,監督等に係る各規定によると,公団は,形式的には国から独立した法人であり,国の行政機関とは区別されるものの,実質的には国と同一体をなすものといえ,機能的には被告の下部組織を構成し,広い意味での国家行政組織の一環に位置付けられるものと解すべきである。 (2)以上を前提に本件航空保安施設変更認可の処分性について検討する。 前記(1)のような被告と公団の関 下部組織を構成し,広い意味での国家行政組織の一環に位置付けられるものと解すべきである。 (2)以上を前提に本件航空保安施設変更認可の処分性について検討する。 前記(1)のような被告と公団の関係,ことに,本件空港の設置及び管理を行うに当たって,公団は,被告が定め,公団に指示した基本計画に従わなければならないことに照らせば,本件航空保安施設変更認可は,本件空港の建設に関する被告の方針と,公団の工事実施計画との適合性その他本件空港建設に関する被告の方針との適合性を確保するため,監督庁としての被告が行う承認,すなわち,いわば下級行政機関に対する上級行政機関の監督手段として行われる承認の性質を有するものと解すべきである。 そうすると,本件航空保安施設変更認可は,進入表面等又は延長進入表面等の規制によって特定の範囲の第三者に対する直接的な財産権の制限を発生させる本件空港変更認可及び本件指定とは異なり,行政機関相互の内部的な行為と同視すべきものであり,行政行為として,これにより被告から独立した法主体である公団に対し認可に係る建設工事の実施権限を新たに付与する法的効果を発生させるというような原告ら主張の外部に対する効力を有するものではなく,また,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する効果を伴うものではないというべきである。 (3)よって,本件航空保安施設変更認可は,抗告訴訟の対象となる行政処分には該当せず,本件訴えのうち,本件航空保安施設変更認可の取消しを求める前記第1の2項及び3項の請求に係る部分は不適法である。 争点2(原告適格の有無)について(1)法律上の利益を有する者行政事件訴訟法9条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護され (原告適格の有無)について(1)法律上の利益を有する者行政事件訴訟法9条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益 としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)。 (2)ア制限表面による私権制限本件空港変更認可は,飛行場の設置者に対し,その施設を変更する権限を付与することを目的とする処分であるが,当初認可を前提として,本件空港に暫定的な滑走路を設置するため,当初認可の告示によっても私権に制限を及ぼすことのできない範囲について付加的にこれを及ぼすことを目的としてされたものである。 であるが,当初認可を前提として,本件空港に暫定的な滑走路を設置するため,当初認可の告示によっても私権に制限を及ぼすことのできない範囲について付加的にこれを及ぼすことを目的としてされたものである。また,当初指定は,高速で航行し,その旋回半径が一般の航空機よりも遙かに大きい大型ジェット航空機を離着陸させ,また,計器着陸誘導を行って航空機を安全に着陸させるため,当該航空機を遠距離から一定の低空で航行させ,航空保安無線施設による誘導を行うため,進入表面等による規制だけでなく,これに接続し,これより外側の広範囲の空間を航空機の航行のために確保する必要があるためになされるものであり,本件指定は,当初指定を前提とし,本件空港に暫定的な滑走路を設置するため,当初指定の告示によっても私権に制限を及ぼすことの できない範囲について付加的にこれを及ぼすことを目的としてされた処分である。 このように,飛行場の範囲あるいは制限表面に変更を生ずる施設変更を許可したときは,被告は,許可に係る制限表面等について告示することとされており(15年改正前法55条の3第2項,法40条),公共の用に供する飛行場にあっては,同告示後は,何人も,制限表面の上に出る高さの建造物,植物その他の物件を設置し,植栽し,又は留置してはならないものとされている(15年改正前法56条,法49条1項)。また,本件指定についても,同じく制限表面の上に出る高さの建造物,植物その他の物件を設置し,植栽し,又は留置してはならないとの効果を生じるものである(15年改正前法56条の2第1項,56条の4第1項,法40条,49条1項)。 したがって,制限表面等の範囲の変更を生じることとなる本件空港変更認可及び本件指定は,制限表面による私権制限の範囲を変更する法的効果をも有するものであり,これにより私権 ,法40条,49条1項)。 したがって,制限表面等の範囲の変更を生じることとなる本件空港変更認可及び本件指定は,制限表面による私権制限の範囲を変更する法的効果をも有するものであり,これにより私権制限を受ける不動産の権利者は,本件空港変更認可及び本件指定の各取消訴訟について原告適格を有することは明らかである。 もっとも,昭和42年に当初認可及びその告示がされており,その結果,進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者は既に私権の制限を受けていたのであるから,私権制限を理由として上記訴訟において原告適格を肯定される者は,本件空港変更認可及び本件指定によって,新たにあるいは従前以上に制限表面による私権制限を受けることとなる者に限られるというべきである。そうすると,このような者は,本件処分により自己の権利を侵害される者として,本件空港変更認可及び本件指定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するということができる。 イ騒音等による被害15年改正前法55条の3第2項が準用する法39条1項2号は,被告が本件空港変更認可を行うに当たって,当該変更によって他人の利益を著しく害することとならないものであることを掲げており,また,15年改正前法56条の3第1項は,被告が本件指定を行うに当たって,当該指定により空港の付近の土地の所有者その他の利害関係を有する者の利益を著しく害することとならないように配慮しなければならないとしているから,当該利益に個人の騒音,振動等による著しい被害を受けない利益が含まれているといえる場合には,その利益を著しく害されないことが法律上保護されているものということができ,本件空港変更認可又は本件指定の取消しを求める法律上の利益を肯定することができる。 騒防法は,公共用飛行場の周辺における航 ,その利益を著しく害されないことが法律上保護されているものということができ,本件空港変更認可又は本件指定の取消しを求める法律上の利益を肯定することができる。 騒防法は,公共用飛行場の周辺における航空機の騒音により生ずる障害の防止,航空機の離着陸のひん繁な実施により生ずる損失の補償その他必要な措置について定めることにより,関係住民の生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的として制定されたものであり(同法1条),本件空港は,同法に基づく補償等の措置を講ずる対象となる特定飛行場であり(同法2条,平成17年政令第15号による改正前の同法施行令1条),特定飛行場の設置者は,第1種区域(航空機の騒音により生ずる障害が著しいと認めて被告が指定する特定飛行場の周辺の区域)において,その指定の際現に所在する住宅について防音工事を行う場合には,その工事に関し助成の措置をとるものとし(同法8条の2),被告が第1種区域のうち航空機騒音により生ずる障害が特に著しいと認めて指定する第2種区域において,その指定の際現に所在する建物等の所有者が区域外に移転等する場合にはそれにより通常生ずべき損失を補償し,移転する者が第2種区域に所有している土地の買入れを申し出たときは予算の範囲内で買入れができ(同法9条1項,2項,同法施行令7条,8条),さらに,被告が第2 種区域のうち生活環境の改善に資する必要があると認めて指定する第3種区域において,特定飛行場の設置者が買い入れた土地については,緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう必要な措置をとること(同法9条の2),航空機の離陸又は着陸のひん繁な実施により,従来農業又は漁業を営んでいた者がその事業経営上損失を被ったときはその損失を補償することが定められている(同法10条,同法施行令9条,10条)。 特定空港周辺 空機の離陸又は着陸のひん繁な実施により,従来農業又は漁業を営んでいた者がその事業経営上損失を被ったときはその損失を補償することが定められている(同法10条,同法施行令9条,10条)。 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(以下「騒特法」という。)は,特定空港の周辺について,航空機騒音対策基本方針の策定,土地利用に関する規制その他の特別の措置を講ずることにより,航空機の騒音による障害を防止し,あわせて適正かつ合理的な土地利用を図ることを,目的として制定されたものであり(同法1条),同法2条1項は,空港整備法2条1項に規定する空港であって,おおむね10年後においてその周辺の広範囲な地域にわたり航空機の著しい騒音が及ぶこととなり,かつ,その地域において宅地化が進むと予想されるため,その周辺について航空機騒音により生ずる障害を防止し,あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められるものは,政令で「特定空港」として指定することとしている。そして,特定空港に指定された空港の設置者は,指定からおおむね10年後における空港の施設の概要,著しい騒音が及ぶことになる地域の騒音の程度等を示して,都道府県知事に対し航空機騒音対策基本方針を定めることを要請し(騒特法2条2項),その要請に対し,都道府県知事は,前記基本方針を定めるとされている(同法3条1項)。前記基本方針においては,航空機騒音障害防止地区(以下「防止地区」という。)及び航空機騒音障害防止特別地区(以下「防止特別地区」という。)の位置及び区域に関する基本的事項のほか,土地利用に関する基本的事項,航空機騒音障害防止施設,生活環境施設,産業基盤施設,その他の施設の整備に関する基本的事項を定めることとされている(同法3条2項,同法施行令 3条,4条)。そして,防止地区(防止特別地区を 項,航空機騒音障害防止施設,生活環境施設,産業基盤施設,その他の施設の整備に関する基本的事項を定めることとされている(同法3条2項,同法施行令 3条,4条)。そして,防止地区(防止特別地区を除く。)においては,住宅・学校・病院等の静穏な環境を必要とする建築物を新たに建築する場合には,防音上有効な構造としなければならず(同法5条1項,同法施行令5条,平成18年政令第320号による改正前の同法施行令6条),防止特別地区においては,都道府県知事の許可を受けた場合を除き,住宅・学校・病院等を新たに建築することができないこととされている(同法5条2項)。また,特定空港の設置者は,防止特別地区内における前記土地の用益制限により通常生ずべき損失を補償しなければならないこととし(同法7条),前記用益制限により土地の利用に著しい支障をきたす場合には,申出により土地を買い入れることとしているほか(同法8条),防止特別地区に関する都市計画決定の際,現に防止特別地区内に所在する住宅,学校,病院等の所有者が移転又は除却するに当たっては,通常生ずべき損失を補償できることとし,申出により土地についても買い入れることができるものとしている(同法9条,同法施行令8条)。そして,本件空港は,同法2条に基づく特定空港に指定されている。 騒防法及び騒特法の目的並びに騒防法及び騒特法によって定められている騒音による障害の防止,補償等の措置の内容等に照らすと,15年改正前法55条の3第2項が準用する法39条1項2号及び平成15年改正前法56条の3第1項は,騒防法の第1種区域に指定された区域又は騒特法の防止地区及び防止特別地区に居住する住民のうち,本件空港変更認可又は本件指定がされることにより,新たに又は従前以上に,騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に 定された区域又は騒特法の防止地区及び防止特別地区に居住する住民のうち,本件空港変更認可又は本件指定がされることにより,新たに又は従前以上に,騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者の利益を個別具体的な利益として保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。そうすると,これらの者は,本件空港変更認可又は本件指定の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 もっとも,被告は,本件空港変更認可申請に係る申請書の記載事項をみても,航空機の具体的な運行状況及びこれに伴う具体的な騒音障害について把握できるような事項は定められていないし,実体としても,運行の内容や主体すら定まってはいないから,飛行場の設置・変更段階においては,供用後の航空機の具体的な運用状況が確定されてはおらず,したがって,飛行機の航行による騒音障害を具体的に想定することができないとして,この点を15年改正前法55条の3第2項が準用する法39条1項2号や15年改正前法56条の3第1項が周辺住民の騒音障害を受けない利益を個別具体的な利益として保護する趣旨を含まない根拠の一つに掲げる。 しかしながら,飛行場の施設の概要や発着する航空機の種類及び型式,1年間に利用することが予想される航空機の種類,型式及び数並びにその算出の基礎については,当初認可に係る申請書及び添付書類とともに,本件変更認可申請に係る申請書の記載事項及び添付書類を検討すれば把握できる(16年改正前規則86条の2,86条,76条の2,76条1項及び2項)ことから,被告が主張する航空機の具体的な運用状況については認識し得ないとしても,それを推知する手がかりが全くないわけではない。 また,本件変更認可申請の時点における最 6条の2,76条1項及び2項)ことから,被告が主張する航空機の具体的な運用状況については認識し得ないとしても,それを推知する手がかりが全くないわけではない。 また,本件変更認可申請の時点における最新の事業計画を検討すれば,当該路線ごとの使用飛行場,使用航空機の型式,運行回数及び発着日時等の事業計画の内容を把握することも可能である(15年改正前法100条,16年改正前規則200条)。これらに加えて,原告ら主張のとおり,具体的な騒音障害については,被告が調査の上でこれを把握することも可能であることをも併せ考慮すれば,被告の上記主張は必ずしも十分な理由があるとはいえず,原告適格についての当裁判所の上記判断を左右するには足りないというべきである。 ウその他の利益原告らは,前記イの騒音等の被害のほか,本件空港に離着陸する航空機 の墜落等による危険によって,生命,身体,財産等を害されるおそれがあることを理由に,原告適格が基礎付けられると主張するので,そのような見地から原告適格を肯定し得るかどうかについて検討する。 法,規則及びその他の関係法令を検討しても,特に飛行場の周辺住民を対象に航空機の墜落による危険にさらされない利益を個別具体的に保護しているとみられる規定は見当たらない(なお,12年改正前規則79条1項1号は,当該飛行場における航空機の離着陸の安全を確保するためのものであるが,これは,離着陸時の事故の発生を防止し,人や物の安全を確保するという航空交通一般の安全のための規制を定めたものであって,この規定をもって,原告らが主張するように,特定地域(飛行場周辺)の住民の航空機の墜落による危険にさらされないという利益を個別具体的に保護している規定とまで解することは困難である。)。このことと,法が被告の設置する飛行場において,当該飛行場の敷 域(飛行場周辺)の住民の航空機の墜落による危険にさらされないという利益を個別具体的に保護している規定とまで解することは困難である。)。このことと,法が被告の設置する飛行場において,当該飛行場の敷地が,従前適法に航空機の離着陸の用に供されており,かつ,当該飛行場の進入表面等の上に出る高さの建造物等がないときは,公聴会を開かないとする規定(15年改正前法55条の2第2項ただし書)をおいている趣旨からすれば,法は,前記のような利害関係人等の利益について,主として,建造物の設置等が禁止されるという公用制限を受ける者の利益を意味し,関係法令をしんしゃくしても,騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者の利益の保護に止まるものであって,それ以上に原告らが主張するような飛行場周辺の個々の住民の安全,平穏な生活を営む利益を個別具体的に保護する趣旨を含んでいるものと解することはできない。 もっとも,飛行場施設の変更により,当該飛行場に離着陸する航空機により,墜落等事故の危険性が増大するなど,飛行場周辺地域の環境が明らかに激変することが見込まれる状況があるような場合には,その被害の拡大の程度やこれに対する対策という点をも考慮して,当該施設の変更等が 利害関係人等の利益を著しく害することとならないかどうかを判断する必要があると解するべきであり,その限度においては,前掲法39条1項2号は,このような状況の下において周辺住民が受ける著しい不利益をも公益に吸収されない個別具体的な利益として保護する趣旨を含んでいるものと解するのが相当である。 (3)ア証拠(乙24の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件空港変更認可によって,新たに,あるいは従前以上に制限表面等による私権制限を受ける原告は存在しないことが認められる。 また,証拠 当である。 (3)ア証拠(乙24の1)及び弁論の全趣旨によれば,本件空港変更認可によって,新たに,あるいは従前以上に制限表面等による私権制限を受ける原告は存在しないことが認められる。 また,証拠(乙86,104)及び弁論の全趣旨によれば,滑走路B’供用に伴う航空機騒音については,滑走路Bより最大発着回数が少なく,滑走路Bより滑走路の長さも短いためボーイング767等の中型機の運航が中心となり,当初認可当時よりも世界的に航空機の低騒音化が進んでいると認められ,滑走路B’供用による騒音の影響は当初認可当時に想定された滑走路B供用による騒音の影響に比べて小さくなるものと見込まれる(なお,後記の通年測定の結果によれば,昭和53年の本件空港開港当時から滑走路B’が供用開始された平成14年度までの間において,航空機の発着回数が大幅に増加しているにもかかわらず,航空機の低騒音化等により,うるささ指数(WECPNL)は,ほぼ横ばいで推移している。)から,騒防法の第1種区域に指定された区域又は騒特法の防止地区及び防止特別地区に居住する住民のうち,本件空港変更認可がされることにより,新たに又は従前以上に,騒音等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある原告は存在しないと認められる。 なお,本件空港変更認可により,本件空港周辺地域の環境が明らかに激変することが見込まれる状況があると認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件訴えのうち,本件空港変更認可の取消しを求める前記第1の1項の請求に係る部分については,原告らは原告適格を有せず,当 該部分は不適法な訴えである。 イ証拠(乙24の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件指定によって,新たに,あるいは従前以上に制限表面による私権制限を受ける原告は,原告A及び亡B訴訟承継人のみである 該部分は不適法な訴えである。 イ証拠(乙24の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件指定によって,新たに,あるいは従前以上に制限表面による私権制限を受ける原告は,原告A及び亡B訴訟承継人のみであることが認められる(なお,原告Jの居住している土地建物については,従前以上に制限表面による私権制限を受けることが認められるが,証拠(甲76)及び弁論の全趣旨によれば,同原告は同土地建物の所有権等の権利を有しないことが明らかである。)。 また,騒防法の第1種区域に指定された区域又は騒特法の防止地区及び防止特別地区に居住する住民のうち,本件指定がされることにより,新たに若しくは従前以上に,騒音等による健康若しくは生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがある又は本件指定により本件空港周辺地域の環境が明らかに激変すると見込まれる状況があると認めるに足りる証拠はない。 そうすると,本件訴えのうち,本件指定の取消しを求める前記第1の4項の請求に係る部分について原告適格を有するのは,原告A及び亡B訴訟承継人であり,その余の原告らの請求に係る部分は不適法な訴えというべきである。 争点3(本件空港変更認可の適法性)について前記2(3)アのとおり,原告らは本件空港変更認可の取消しを求める原告適格を有しないものであるが,念のため本案についても判断を加える。 (1)処分要件該当性ア手続的要件該当性証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これらによれば,本件空港変更認可は手続的要件を充足する。 (ア)申請書の提出公団は,平成11年9月3日,16年改正前規則86条の2の規定に より準用される規則86条の規定する事項を記載し,必要な添付書類が添付された本件空港変更認可の申請書を被告に提出した。 (イ)法38条3項の告示等被告は,平成1 改正前規則86条の2の規定に より準用される規則86条の規定する事項を記載し,必要な添付書類が添付された本件空港変更認可の申請書を被告に提出した。 (イ)法38条3項の告示等被告は,平成11年9月17日,進入表面等を告示すると共に,関係地方公共団体を通して当該告示を現地において掲示した(平成11年運輸省告示第628号)。 (ウ)法39条2項の公聴会の開催被告は,平成11年10月18日,本件空港の工事実施計画の変更に関し,成田国際文化会館において公聴会を開催し,本件空港の工事実施計画の変更に関して利害関係を有する者に意見を述べる機会を与えた。 (エ)法40条の告示等被告は,平成12年12月1日付けで,本件空港変更認可をし,同月17日,本件空港変更認可に係る進入表面等を告示し,関係地方公共団体を通して現地において掲示した。 イ実体的要件該当性(ア)15年改正前法55条の3第1項該当性15年改正前法55条の3第1項は,工事実施計画が公団法21条の基本計画に基づいて作成しなければならないと規定する。そして,証拠によれば,被告作成の昭和41年12月12日付け「基本計画の指示」と題する書面には,滑走路に関し,「滑走路の数は,3本とする。平行滑走路のうち1本の長さは概ね4000メートル,他の1本の長さは概ね2500メートルとする」と記載されていることが認められる。そして,本件空港においては,滑走路Aが4000メートルであり,滑走路B’が2180メートルであることから,滑走路B’が15年改正前法55条の3第1項に違反しないかが問題となるので,以下検討する。 15年改正前法55条の3第1項に規定する「基本計画」とは,公団 法21条に基づき,被告が本件空港の設置及び管理の業務及び本件空港における離着陸の安全を確保するために必要な航 で,以下検討する。 15年改正前法55条の3第1項に規定する「基本計画」とは,公団 法21条に基づき,被告が本件空港の設置及び管理の業務及び本件空港における離着陸の安全を確保するために必要な航空保安施設の設置及び管理の業務(同法20条1項1号及び2号)につき定めて公団に指示するものであって,大綱となる指針となるものである。そうすると,15年改正前法55条の3第1項において工事実施計画が基本計画に「基づき」作成されると規定している趣旨は,工事実施計画が基本計画にその根拠を置くもの,すなわち基本計画の実現に関連するものであって,かつ,これと矛盾しないものを指すものというべきである。 そして,前記第2の1(3)及び(4)記載のとおり,本件空港変更認可申請は,基本計画に基づく当初の工事実施計画を維持しながら,着陸帯B及び滑走路Bにかかる工事について,完成予定期日までに完成させることが困難な場合を想定して,完成までの暫定的な措置として,着陸帯B’及び滑走路B’を着陸帯B及び滑走路Bの北側に若干ずらした位置に建設することを内容とするものであり,着陸帯B及び滑走路Bが完成すれば,着陸帯B’及び滑走路B’はその役割を終えることが予定されているものである。 したがって,本件空港変更認可申請にかかる工事実施計画は,基本計画の存在を前提とし,位置的にも相当部分重なり合うものであって,基本計画の実現と関連することはもとより,何ら矛盾するものではない。 原告らは,滑走路B’北側の航空灯火用地が未買収のため,航空灯火が滑走路の内側に390メートル埋め込まれて設置されざるを得ないため,北側からの進入着陸は1790メートルの計器滑走路としてだけ機能する状態となっており,基本計画で指示された2180メートルの計器滑走路としては機能していないと主張する。しかしなが ざるを得ないため,北側からの進入着陸は1790メートルの計器滑走路としてだけ機能する状態となっており,基本計画で指示された2180メートルの計器滑走路としては機能していないと主張する。しかしながら,証拠及び弁論の全趣旨によれば,滑走路B’北側の進入灯は,滑走路B’の内側390メートルに埋め込まれて設置されるのではなく,滑走路B’北側 から北側に向かって510メートルにわたって設置されていることが認められ,滑走路B’が2180メートルの計器滑走路として機能していないということはできない。 以上のとおり,本件空港変更認可は15年改正前法55条の3第1項の要件を充足する。 (イ)1号要件該当性a12年改正前規則79条1項1号証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件空港の周辺にある物件であり,航空機の離陸又は着陸に支障が生ずると認められるものであって,かつ,工事完成の予定期日までに確実に除去できると認められないものは存在しないことが認められる。 よって,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項1号の要件を充足する。 b12年改正前規則79条1項2号証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件空港と周辺の各飛行場とは30キロメートル以上の距離があるため,本件空港変更認可によって設定される滞空旋回圏が他の飛行場に設定された滞空旋回圏と重なり合うことはないことが認められるから,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項2号の要件を充足する。 c12年改正前規則79条1項3号(a)着陸帯の「幅」について 12年改正前規則79条1項3号は,特別の理由があると認められる場合を除き,着陸帯B’のような等級Bの着陸帯については,滑走路の縦方向の中心線から着陸帯の長辺までの距離は150メートル以上,すなわち着陸帯の幅を300メートル以上と定め 理由があると認められる場合を除き,着陸帯B’のような等級Bの着陸帯については,滑走路の縦方向の中心線から着陸帯の長辺までの距離は150メートル以上,すなわち着陸帯の幅を300メートル以上と定めている。そして,着陸帯B’の幅は150メートルであるから, 同号所定の「特別の理由」があるかどうかについて以下検討する。 証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 <ア>着陸帯B’の幅を300メートルと仮定した場合,その範囲内には,未買収地が存するが,その範囲は着陸帯全体の0. 04パーセントであり,また,当該土地は,着陸帯南側の端に近い場所に位置する局所的に極一部に限定された土地である上に,幅約3.6メートルの行き止まりの通路であり,その地面は着陸帯より低い位置にある。 <イ>着陸帯B’の幅を300メートルと仮定した場合の制限表面により確保される空間と,本件空港変更認可にかかる滑走路B’制限表面及び当初認可に係る平行滑走路制限表面により確保される空間は,図面8のとおり,ほとんどが重なっている。 また,公団は,空港周辺に新たに大規模建造物を建てようとする者から建築基準法6条(平成11年法律第87号による改正前のもの)所定の建築確認申請があった場合,公団と協議するよう関係地方公共団体に要請しており,本件空港変更認可に係る制限表面に抵触しない建物であっても,空港の周辺における建物については着陸帯B’の幅を300メートルとした場合を前提に,建築主に対して空港運用への影響について配慮するよう協力を求めることが予定されていた。 <ウ>ローカライザー,グライドスロープ等の計器着陸装置は,着陸する航空機に対して進入方向と進入角度を示す誘導電波等を発射し,安全な着陸を可能とする航空保安無線施設であるところ,これらの航空保安無線施設 ローカライザー,グライドスロープ等の計器着陸装置は,着陸する航空機に対して進入方向と進入角度を示す誘導電波等を発射し,安全な着陸を可能とする航空保安無線施設であるところ,これらの航空保安無線施設は,電波を発射する関係上,地形的影響ができるだけ少ない場所に,かつ,建造物,植物その他の物件によりその機能を損なわないように設置されなけれ ばならない(16年改正前規則99条1項2号)ところ,滑走路B’は,計器着陸のため電波性能上支障となる物件もなく,着陸帯B’の幅が150メートルとした場合も,計器着陸装置所用の機能が十分に発揮されることが確認されていた。 <エ>被告は,飛行場ごとに,気象条件を定めるものとされているところ(規則189条2項),滑走路B’においては,気象条件の設定に当たって着陸帯の幅が150メートルであることを考慮し,厳格なレベルに設定することが予定されていた。すなわち,滑走路B’のように,カテゴリー1精密進入方式(進入限界高度(着陸しようとする航空機から見て手前にある滑走路末端を含む水平面からの計器飛行により降下することができる最低の高度をいう。)が60メートル以上であり,かつ,滑走路視距離(滑走路中心線上にある航空機から,滑走路標識又は滑走路灯若しくは滑走路中心線灯を視認することができる最大距離をいう。)が550メートル以上であるか又は視程が800メートル以上である場合)で運用する場合,通常,着陸帯の幅が300メートルであれば滑走路視距離は550メートル以上とされている(12年改正前規則117条1項1号第2表備考2)。しかし,滑走路B’においては,着陸帯の幅が150メートルであることを考慮し,進入のために必要な最低気象条件として滑走路視距離の値をより大きく設定することが予定されていた。なお,滑走路視距離に関 。しかし,滑走路B’においては,着陸帯の幅が150メートルであることを考慮し,進入のために必要な最低気象条件として滑走路視距離の値をより大きく設定することが予定されていた。なお,滑走路視距離に関する現在の運用は,南向き進入の場合は800メートル以上,北向き進入の場合は1200メートル以上とされている。 以上を前提に本件について検討するに,飛行場において着陸帯が必要とされる趣旨は,離陸及び着陸を行う航空機の安全を確保 するため,障害物のない一定の空間を確保すると共に,仮に航空機が滑走路から逸脱した場合であっても,被害を最小限にとどめることができるようにするためであると解される。そして,前記事情によれば,公団は,本件空港変更認可にかかる着陸帯B’の幅につき,わずかな未買収地があるために300メートルの幅を確保できない箇所が局所的にごく一部あることから150メートルの幅としたものであるところ,150メートルの幅であっても,着陸帯B’は計器用の着陸帯として運用する上での安全性が確保されていたといえる。しかも,未買収地は法2条9項の転移表面の投影面下にあり,この転移表面に突出する障害物件を設置することは違法行為となる(法49条1項)のであるから,実質的には,航空機の安全を確保するための空間が300メートルの幅で確保されていたものと評価することができる。 したがって,着陸帯B’の幅については,12年改正前規則79条1項3号にいう「特別な理由があると認められる場合」に該当し,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項3号の要件を充足する。 (b)「誘導路縁と固定障害物との間隔」について12年改正前規則79条1項3号本文及び表によれば,本件空港の場合(同号の表「着陸帯の等級」B欄参照),誘導路と固定障害物との間隔の規格は,特別の (b)「誘導路縁と固定障害物との間隔」について12年改正前規則79条1項3号本文及び表によれば,本件空港の場合(同号の表「着陸帯の等級」B欄参照),誘導路と固定障害物との間隔の規格は,特別の理由があると認められる場合を除き,39メートル以上とされているところ,本件空港においては,エプロンへの取付道路の一部の区間において,誘導路近接箇所に未買収地が存在するため,最も近接するところで誘導路縁とフェンスの間隔が約33メートルの箇所(なお,この箇所の誘導路の幅は23メートルであるから,これが30メートルであることを前提として, 上記間隔が29.5メートルであるとする原告らの主張は理由がない。)が存在する。 しかしながら,被告は,滑走路B’を使用する航空機の種類等や航空会社に対する指導を考慮し,さらに現地確認の結果も踏まえて,特別安全性に問題がないことから,上記「特別の理由があると認められる場合」に該当すると判断した。すなわち,1滑走路B’は,その滑走路延長が短いので,大型の航空機(例えばジャンボジェット機)が離着陸することはなく,同滑走路を使用する航空機の全幅を考慮すれば,当該航空機の翼端から固定障害物までの間は十分といえるだけの間隔が保てること,2当該誘導路を走行する航空機の機材に応じ,速度規制を行う等の運用面における安全対策を実施することにより,その安全性を確保することが十分可能とみられる。 そうすると,誘導路縁と固定障害物との間隔についても,12年改正前規則79条1項3号の要件を充足している。 (c)その他の12年改正前規則79条1項3号の要件についてその他,滑走路及び誘導路については,前記第2の3(3)の被告の主張欄イ(イ)c(a)及び(c)記載の主張事実が認められるから,これらの点も12年改正前規則79条1項3号 9条1項3号の要件についてその他,滑走路及び誘導路については,前記第2の3(3)の被告の主張欄イ(イ)c(a)及び(c)記載の主張事実が認められるから,これらの点も12年改正前規則79条1項3号の要件を充足する。 d12年改正前規則79条1項4号証拠及び弁論の全趣旨によれば,滑走路B’の強度は,平行滑走路と同じく単車輪加重25tの強度を有するものとされており,ボーイング767型旅客機等輸送機の予想される回数の運航に十分耐えることができると認められるから,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項4号の要件を充足する。 e12年改正前規則79条1項5号 (a)滑走路B’と誘導路の離間距離について証拠及び弁論の全趣旨によれば,滑走路B’と誘導路の各中心線の離間距離は,最長で概ね200メートル,最短で107.1メートルであること,滑走路B’において,離間距離が最短の部分で誘導路上の航空機と滑走路上の航空機(いずれもボーイング767型旅客機)が,互いにそれぞれ誘導路と滑走路の端を同時に走行した場合,図面9のとおり,それぞれの縁からはみ出す主翼の一部は共に18.2メートルであり,両航空機の翼端間に25メートル以上の距離が確保されること,実際の運用としては,誘導路上の離間距離が最短になる部分の手前2箇所に,中間待機位置灯を設置すると共に,マーキングにて表示し,滑走路上に航空機がいるときは,誘導路と滑走路の距離が最短の部分の誘導路に航空機が入らないように運用されていることが認められる。 そうすると,航空機が滑走路上及び誘導路上を走行している限り,仮に離間距離が最短の箇所に同時にさしかかったとしても,接触事故等が生ずる可能性はないから,滑走路B’とその誘導路の離間距離は,同規定が定める「十分な距離」を有するものといえる。 (b) いる限り,仮に離間距離が最短の箇所に同時にさしかかったとしても,接触事故等が生ずる可能性はないから,滑走路B’とその誘導路の離間距離は,同規定が定める「十分な距離」を有するものといえる。 (b)滑走路B’及び誘導路の接続点における角度及び形状証拠によれば,滑走路B’及び誘導路の接続点における角度及び形状は,図面10のとおりであり,取付誘導路(航空機がエプロン側から滑走路に入るため,又は滑走路からエプロン側に脱出するために滑走路に取り付けられた誘導路)は滑走路に対して直角に取り付けられ,高速脱出誘導路(着陸した航空機が滑走路を占有する時間を短縮するため,航空機が取付誘導路より高速で滑走路から脱出できるように取り付けられた誘導路)は着陸した航空機が高速で滑走路から脱出できるように取り付けられていることが認められる。 そうすると,滑走路B’と誘導路の接続点における角度及び形状も,航空機の走行に支障がない適当なものとなっているというべきである。 (c)小括したがって,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項5号の要件を充足する。 f12年改正前規則79条1項5号の2証拠及び弁論の全趣旨によれば,滑走路B’には,その両側に幅10メートル,誘導路B’の両側に幅7.5メートル,いずれも舗装厚65センチメートル等の適当な幅,強度等を有するショルダーが設置されることとされていたことが認められ,これらの数値は,空港の設計等の参考となる「空港土木施設設計基準」及び「空港舗装構造設計要領」によれば,いずれも標準値を満たしていることから,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項5号の2の要件を充足する。 g12年改正前規則79条1項9号証拠及び弁論の全趣旨によれば,飛行場標識施設については,飛行場名標識,着陸帯標識及び滑走路標識の 変更認可は12年改正前規則79条1項5号の2の要件を充足する。 g12年改正前規則79条1項9号証拠及び弁論の全趣旨によれば,飛行場標識施設については,飛行場名標識,着陸帯標識及び滑走路標識のうち積雪離着陸区域標識を除く施設を設置することとされていることが認められるから,本件空港変更認可は12年改正前規則79条1項9号の要件を充足している。 (ウ)2号要件該当性2号要件の「他人の利益を著しく害することとならないものである」かどうかは,基本的には,設置される空港の公共性の程度とその設置によって侵害される他人の利益のその侵害の程度とを,その侵害に対する補償措置をどれだけとれるのかを考慮しつつ総合的に比較衡量し,前者が優越し,個人的利益の侵害がやむを得ず,その結果が他人の利益を著しく害するものとはいえないと判断される場合に,これが充足されるも のと判断すべきと解される。 a進入表面等による私権制限証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件空港変更認可によって新たに進入表面等による私権制限を受け,又は変更前より厳しい私権制限を受ける地域は,本件空港に近接している地域であるところ,これらの地域は,以前から本件空港の存在を前提とした土地利用がされていること,当該地域に存する土地は,主として農地として利用されており,臨空工業団地が立地しているものの市街化はさほど進んでおらず,除去が困難と思われる進入表面等を超える高さの建造物は存在しないことが認められる。 そうすると,本件空港変更認可に伴う進入表面等の指定により,その投影面内の区域の不動産の所有者などの権利に重大な私権制限が及ぶことになるとは認められないから,本件空港変更認可の申請内容が新たに他人の利益を著しく害することとはならず,本件空港の公共性と比較衡量するまでもなく,他人の利益を著し どの権利に重大な私権制限が及ぶことになるとは認められないから,本件空港変更認可の申請内容が新たに他人の利益を著しく害することとはならず,本件空港の公共性と比較衡量するまでもなく,他人の利益を著しく害することにはならないといえる。 b騒音等による被害(a)航空機による騒音騒防法は,航空機の騒音により生ずる障害が著しいと認めて国土交通大臣が指定する特定飛行場の周辺の区域を第1種区域とし(同法8条の2),第1種区域のうち航空機の騒音により生ずる障害が特に著しいと認めて国土交通大臣が指定する区域を第2種区域とし(同法9条1項),第2種区域のうち新たに航空機の騒音による障害が発生することを防止し,あわせてその周辺における生活環境の改善に資する必要があると認めて国土交通大臣が指定する区域を第3種区域としている(同法9条の2第1項)。そして,同法に基づ く騒音区域指定の基準値は,第1種区域が75W,第2種区域が90W,第3種区域が95Wとなっている(同法施行令6条,同法施行規則1条2項)。 証拠及び弁論の全趣旨によれば,公団(平成16年4月1日以降は成田国際空港株式会社。以下同じ。)は,次のとおり,航空機の離着陸に伴い発生する航空機騒音の現状を把握するため,昭和53年度から航空機騒音の測定(通年測定と短期測定)を実施してきたことが認められる。通年測定は,日常的な騒音レベルの監視を目的としているものであり,滑走路B’等の供用が開始された平成14年度からは,滑走路B’周辺を含む33局の常時測定局で,年間を通じて24時間体制で測定を実施している。また,短期測定は,騒防法に基づき指定された各騒音区域が指定の基準に適合しているか否かを確認することを目的として,第1種区域,第2種区域及び第3種区域の境界付近で測定することを原則として,夏と冬 。また,短期測定は,騒防法に基づき指定された各騒音区域が指定の基準に適合しているか否かを確認することを目的として,第1種区域,第2種区域及び第3種区域の境界付近で測定することを原則として,夏と冬に連続7日間測定するものであり,平成14年度からは滑走路B’周辺を含む58地点で測定している。平成10年度から平成16年度までの通年測定の結果は,第1種区域内かつ第2種区域外の測定局では,滑走路Aに関する二つの測定局で,第1種区域の基準値75W以上第2種区域の基準値90W未満であったことがある(ただし,その場合も基準値を上回る程度は比較的小さい。)以外は,第1種区域の基準値75W未満,第2種区域内で第3種区域外の測定局では第2種区域の基準値90W未満,第3種区域内の測定局では第3種区域の基準値95W未満であったこと,また,平成10年度から平成16年度までの短期測定の結果は,平成14年度を除いて,第1種区域の境界付近の地点では第1種区域の基準値75W未満,第2種,第3種区域の境界付近の地点では第2種区域の基準値である90W 未満であったこと,平成14年度においては,第1種区域の境界付近(第1種区域内)の滑走路Aに関する地点で第1種区域基準値75Wを超えた75.1Wの値が測定された以外は,それ以外の年度と同様であったことが認められる。 また,証拠及び弁論の全趣旨によれば,三里塚芝山連合空港反対同盟が平成14年4月中の6日間に測定した原告C宅の航空機騒音の測定値は,約84Wであったと認められる。 (b)航空機騒音による被害 滑走路B’の航空機騒音に関する調査証拠によれば,前記第2の3(3)原告らの主張イ(ウ)b(a)のとおり,Mによって,滑走路B’北部地区を中心に,滑走路B’周辺地域における航空機騒音の影響に関する調査(本件調査) 騒音に関する調査証拠によれば,前記第2の3(3)原告らの主張イ(ウ)b(a)のとおり,Mによって,滑走路B’北部地区を中心に,滑走路B’周辺地域における航空機騒音の影響に関する調査(本件調査)が行われ,その結果は同(b)のとおりであり,それに対するMによる調査結果の分析は同(c)のとおりであったと認められる。 被害の程度前記(a)のとおり,滑走路B’周辺では約65Wないし約85Wの騒音が測定されていること,とりわけ,原告C宅においては,約84Wの騒音が認められるとの測定結果があること,証拠及び弁論の全趣旨によれば,騒音は人体に種々の健康被害をもたらすものと認められ,Mの本件調査によれば,滑走路B’周辺においては,生活妨害,生活満足度の低下等が認められるというのである。そうすると,原告らのうち,滑走路B’等の周辺に居住する者は,航空機騒音によって,生活妨害,生活満足度の低下等により,これに伴う苛立ちや不快感等の精神的心理的被害を被っていることが認められる。 他方で,身体的影響は,原告ら個々人の身体的健康被害に関する立証がなされていないこと等からして,これを認めることはできない。 (c)本件空港(滑走路B’)の公共性本件空港は,昭和53年5月20日に開港し,平成11年当時は,33か国2地域87都市と結ばれ(平成11年11月現在),前年度実績で年間約2500万人の旅客が利用している状況にあり,また,我が国の経済的優位性と地理的好条件を背景にアジアのゲートウェイとしての地位を占め,さらに,我が国の全国の国際線乗入れ空港の中に占める本件空港のシェアは,着陸回数で約49%,乗降客数で約54%,貨物量で約66%と輸送実績で最大のシェアを占めており,名実ともにアジアの拠点空港,日本の空の表玄関として,重要な役割を担っていた。 める本件空港のシェアは,着陸回数で約49%,乗降客数で約54%,貨物量で約66%と輸送実績で最大のシェアを占めており,名実ともにアジアの拠点空港,日本の空の表玄関として,重要な役割を担っていた。しかしながら,A滑走路1本による運用では,その処理能力が限界に近づきつつあり,日本への新規乗り入れの希望や新たな増便要求に十分応えられない状況となっていたため,滑走路Bの完成は,国際社会に対する国の責務ともなっていたところ,滑走路B’は,B滑走路の早期着工,供用のための努力を続けつつ,それが当面困難な場合を想定して,暫定的措置として,建設,供用されたもので,国際航空需要に応えるものであり,これにより本件空港の発着回数も増加した。 (d)航空機騒音による被害に対する補償措置等 防音工事助成公団は,航空機騒音による障害の軽減を図るため,第1種区域内(当時の市町村数によれば,1市8町)の住宅に対し,騒防法8条の2の規定に基づき防音工事の助成を行ってきた。この住宅防音工事助成の実施状況は,平成11年10月末現在滑走路A関 係については,対象戸数3580戸のうち約94パーセントの3378戸,滑走路B及びC関係については,対象戸数1338戸のうち約56パーセントの760戸が,また,平成17年9月末現在で,滑走路A関係については対象戸数3580戸のうち3409戸,滑走路B及びC関係については,対象戸数1338戸のうち876戸がそれぞれ実施済みとなっている。 また,住宅ではないが,公団は,学校,共同利用施設等について一定の時間中に基準以上の航空機騒音が発生している場合,騒音の程度に応じた防音工事や空調機器の設置の助成を行っている。 移転補償公団は,騒防法9条に基づき,本件空港周辺で航空機騒音による障害が特に著しいと認められる区域(第2種区 発生している場合,騒音の程度に応じた防音工事や空調機器の設置の助成を行っている。 移転補償公団は,騒防法9条に基づき,本件空港周辺で航空機騒音による障害が特に著しいと認められる区域(第2種区域)内について,当該区域の指定の際,現に所在する建物等を区域外に移転する場合に,建物の補償及び建物の所在する土地等の買取りを実施してきた。実施状況は,平成11年10月末現在,対象戸数503戸のうち約97パーセントの489戸が,平成17年9月末現在同対象戸数のうち498戸がそれぞれ実施済みとなっている。 また,騒特法9条においては,航空機騒音障害防止特別地区内における住宅について,移転補償等を実施することとなっているが,同地区を定める都市計画の策定手続が中断されたため,公団は,都市計画決定に先行して,航空機騒音障害防止特別地区として予定される区域内について対策を講じることとし,平成2年度から移転補償を行ってきた。特に,従来の個々の住宅に対する移転補償方式は,集落分断又はコミュニティの崩壊を招くこととなるため,集落で同一移転先に移転できるよう取り組んできた。実施状況は,平成11年10月末現在,対象(予定)戸数394戸 のうち167戸,平成17年9月末現在,対象戸数460戸のうち323戸がそれぞれ実施済みとなっている。 (e)検討前記(a)のとおり,航空機騒音の程度は騒防法に基づく騒音区域指定の際に想定された騒音の程度をほぼ超えないものとなっており,前記(b)のとおり,騒音による被害としては苛立ちや不快感等の精神的心理的被害を被っていると認められるものの,身体的健康被害が生じているとまでは認められない。他方,本件空港の公共性については,前記(c)のとおりであり,本件空港が我が国の社会経済活動の拠点であることは疑いがなく,その公共性は高 れるものの,身体的健康被害が生じているとまでは認められない。他方,本件空港の公共性については,前記(c)のとおりであり,本件空港が我が国の社会経済活動の拠点であることは疑いがなく,その公共性は高度のものであり,滑走路B’の供用は,現代社会,特にその経済活動の分野における行動の迅速性へのますます増大する要求に照らし,公益上の必要性を有し,その程度も高度のものであるといえる。これに加えて,前記(d)のような補償措置等がとられていることを総合的に比較衡量すると,本件空港又は滑走路B’の公共性の高さが優越し,前記の程度の騒音被害はやむを得ない限度に止まるものであって,これによって原告らの利益を著しく害するものとはいえないから,本件空港変更認可による航空機騒音によって,他人の利益を著しく害することとならないといえる。 cその他の利益(航空機事故の危険状態の作出等)原告らは,滑走路B’において事故が発生したことにより,原告ら住民を日常的に航空機事故の危険にさらすなど住民の生命,身体に著しい危険を及ぼすものであると主張するので,原告らの主張する事故が発生したことから,本件空港変更認可により,本件空港周辺地域の環境が明らかに激変することが見込まれる状況にあるといえるかどうかについて検討する。 (a)事故等の発生後記掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 オーバーラン事故平成15年1月27日,ボーイング式767-300型機(エアージャパン908便,乗務員乗客合計102名搭乗)が着陸のため滑走路B’北側から進入し,同滑走路南端のオーバーランエリア(60メートル)を10メートル越え,誘導路灯や滑走路末端補助灯を一部壊して停止したというオーバーラン事故が発生した。 同事故について,航空・鉄道事故調査委員会の平成 滑走路南端のオーバーランエリア(60メートル)を10メートル越え,誘導路灯や滑走路末端補助灯を一部壊して停止したというオーバーラン事故が発生した。 同事故について,航空・鉄道事故調査委員会の平成15年9月26日付け航空重大インシデント調査報告書においては,同事故の原因は,前記事故機が滑走路B’北端(16L)に着陸する際に追い風が吹く中を,機長が意図したよりも速い速度で進入着陸し,接地位置が大幅に延びたため,滑走路内に停止することができず,オーバーランしたことによるものと推定されるとされ,着陸の進入の速度が速すぎたことについて,機長が早い時期に速度の修正を行わなかったこと,副操縦士等も速度が速いことについてコールアウトしなかったこと,機長らが接地位置について明確な目安を持って着陸に臨んでいなかったこと等が関与したものと推定されるとされた。 接触事案平成14年12月1日,滑走路B’南端の滑走路手前の誘導路上の停止位置標識の手前で離陸待機していた日本エアシステムのエアバスA300-600型機の後方をルフトハンザ航空のエアバスA340-300型機が通過した際,日本エアシステム機の 右水平尾翼先端とルフトハンザ航空機の左主翼先端の垂直翼がすれ違いざまに接触し,接触部分が破損するという接触事案が発生した。 誘導路への誤進入事例平成16年6月16日,滑走路B’の誘導路上で,北向きに着陸し誘導路を南下していたKLMオランダ航空機と南向きに離陸するため,誘導路を北上していたアシアナ航空機とが向かい合う形で停止するという事例が発生した。 このとき,管制官はKLMオランダ航空機に対し,誘導路から滑走路に入って南向きに走行するよう指示を発出し,他方,アシアナ航空機に対しては,引き続き誘導路を北向きに走行するよう指示を発出したが,KL このとき,管制官はKLMオランダ航空機に対し,誘導路から滑走路に入って南向きに走行するよう指示を発出し,他方,アシアナ航空機に対しては,引き続き誘導路を北向きに走行するよう指示を発出したが,KLMオランダ航空機は,前記管制官の指示に反して,誘導路をそのまま南下し,前記事例の発生となった。 (b)本件空港変更認可による滑走路B’の供用等と周辺環境の変化原告らは,前記(a)の事故等が発生したことにより,原告ら住民を日常的に航空機事故の危険にさらすなど住民の生命,身体に著しい危険を及ぼすものであると主張するが,前記(a)1の事故については,事故原因はパイロットの操縦ミスであることが認められ,このような事故が発生したというだけでは,本件空港変更認可により原告ら住民の生命,身体等に危険が生じるなどのおそれがあるとまではいえない。原告らは,前記オーバーラン事故の原因を,滑走路B’の長さが短いという構造的欠陥により,同滑走路へ航空機のタイヤのゴムが大量に付着したこと等によるハイドロプレーニング現象である可能性が濃厚である旨主張するが,原告ら主張の事実がオーバーラン事故の原因であると認めるに足りる証拠はない。また, 原告らは,仮に事故機がオーバーラン部分から左に60メートルのところにある窪地に落ち込んだ場合にはより大きな被害が発生する危険があった旨主張するが,そのような仮定に基づく発生の可能性が明らかでない危険をもって,原告ら住民に,より大きな被害が発生する事故の具体的な危険があるということはできない。 また,前記(a)2の事案及び3の事例は,滑走路上における航空機同士の接触,接近であり,そのような事案,事例が発生したことをもって,直ちに原告ら住民の生命,身体に具体的な危険を及ぼすおそれがあるとはいえないし,これらの事案,事例を原因とす 走路上における航空機同士の接触,接近であり,そのような事案,事例が発生したことをもって,直ちに原告ら住民の生命,身体に具体的な危険を及ぼすおそれがあるとはいえないし,これらの事案,事例を原因とするより大きな事故が発生する具体的な危険があるということもできない。 そうすると,前記(a)のような事故等の発生をもって,原告ら居住地を含む本件空港周辺地域を日常的に航空機事故の危険にさらすなど住民の生命,身体に著しい危険を及ぼすものとはいえず,他に,滑走路B’等が他の空港と比べて事故の発生しやすい欠陥があると認めるに足りる証拠もない。 また,他に,本件空港変更認可による滑走路B’の供用等により,本件空港周辺地域の環境が明らかに激変することが見込まれる状況にあると認めるに足りる証拠もない。 したがって,本件空港変更認可により,本件空港周辺地域の環境が明らかに激変することが見込まれるとはいえない。 d小括以上によれば,本件空港変更認可は2号要件を充足している。 (エ)5号要件該当性証拠によれば,公団は,本件空港変更認可によって新たに飛行場の敷地となる土地について,全て所有権を取得していることが認められ,そ うであれば,申請者たる公団が本件空港の飛行場の敷地を確実に取得することができると認められ,本件空港変更認可は5号要件を充足している。 (2)シカゴ条約違反の主張について原告らは,本件空港の着陸帯の幅,着陸帯の整地,滑走路誘導路最小離間距離等がシカゴ条約の14附属書として採択された国際標準及び勧告方式に違反しているから,本件空港変更認可は違法であると主張するので,以下検討する。 ア弁論の全趣旨によれば,シカゴ条約は,航空機の運航,飛行場等に関する規則,標準,手続等について国際的に統一し,国際民間航空の安全を図ることを目的として, 法であると主張するので,以下検討する。 ア弁論の全趣旨によれば,シカゴ条約は,航空機の運航,飛行場等に関する規則,標準,手続等について国際的に統一し,国際民間航空の安全を図ることを目的として,昭和19年12月7日に採択され,昭和22年4月4日に発効した条約であり,我が国は,昭和28年10月8日に同条約に加盟したことが認められる。 シカゴ条約は,以下のとおり定めている。 37条「各締約国は,航空機,航空従事者,航空路及び附属業務に関する規則,標準,手続及び組織の実行可能な最高度の統一を,その統一が航空を容易にし,かつ,改善するすべての事項について確保することに協力することを約束する。このため,国際民間航空機関は,次の事項に関する国際標準並びに勧告される方式及び手続を必要に応じて随時採択し,及び改正する。 a通信組織及び航空保安施設(地上標識を含む。)b空港及び着陸場の性質c航空規則及び航空交通管制方式(中略)並びに航空の安全,正確及び能率に関係のあるその他の事項で随時適当と認めるもの」38条「すべての点について国際の標準若しくは手続に従うこと若し くは国際の標準若しくは手続の改正後自国の規制若しくは方式をそれに完全に一致させることを不可能と認める国又は国際標準によって設定された規則若しくは方式と特定の点において異なる規制若しくは方式を採用することを必要と認める国は,自国の方式と国際標準によって設定された方式との相違を直ちに国際民間航空機関に通告しなければならない。国際標準の改正があった場合に自国の規制又は方式に適当な改正を加えない国は,国際標準の改正の採択の日から60日以内に理事会に通告し,又は自国が執ろうとする措置を明示しなければならない。 この場合には,理事会は,国際標準の1又は2以上の特異点とこれに対応す を加えない国は,国際標準の改正の採択の日から60日以内に理事会に通告し,又は自国が執ろうとする措置を明示しなければならない。 この場合には,理事会は,国際標準の1又は2以上の特異点とこれに対応するその国の国内方式との相違を直ちに他のすべての国に通告しなければならない。」54条「理事会は,次のことを行わなければならない。(中略)lこの条約の第6章の規定に従って国際標準及び勧告方式を採択し,便宜上,それらをこの条約の附属書とし,かつ,執った措置をすべての締約国に通告すること。 m附属書の改正についての航空委員会の勧告を審議し,かつ,第20章の規定に従って措置を執ること(後略)」イシカゴ条約38条及び14附属書によれば,シカゴ条約にいう標準とは,物理的特性,形状,器材,性能,要員又は方式に関する細則であって,国際航空の安全若しくは秩序に対して,その統一的な適用が必要として認められ,締約国が条約に従って遵守するもので,もし遵守することができないときは,国際民間航空機関理事会に通告することが義務付けられているものである。このように,国際標準は,その内容に従うことを絶対的に締約国に強制するものではなく,その内容によることができないときは,自国の方式と国際標準によって設定された方式との相違の通告のみが義務付 けられているに過ぎない。 また,同附属書によれば,勧告方式は,その統一的な適用が国際航空の安全,秩序及び効率性のために望ましいと認められる事項であるが,国際標準とは異なり,これに従うように努力することを求められているにとどまるものである。すなわち,自国の方式と勧告方式が相違したとしても,国際民間航空機関に通告することは義務付けられていないのであり,これに従うよう努力することを求められているものにすぎない。 以上のとおり,国際標 る。すなわち,自国の方式と勧告方式が相違したとしても,国際民間航空機関に通告することは義務付けられていないのであり,これに従うよう努力することを求められているものにすぎない。 以上のとおり,国際標準及び勧告方式にはいずれもその内容に従うことを締約国に対して強制するものではなく,したがって国内法的効力がないから,それらの内容に従わなくてもシカゴ条約違反の事態は生じない。 ウまた,本件空港変更認可は,法に基づいて行われるものであるところ,その適法性は,法の要件に適合しているか否かのみに係るものであり,法及び規則が国際標準及び勧告方式に従うことは要求されていないのであるから,仮に,本件空港変更認可に係る滑走路B’等において国際標準及び勧告方式に従わない扱いがあっても,直ちに法に違反するものではない。 そして,本件空港変更認可は前記(1)のとおり,法の定める要件を充足しており,適法性に欠ける点はない。 (3)環境影響評価法違反の主張について環境影響評価法は,平成11年6月12日に施行された法律であるところ,同法附則3条1項1号によれば,同法2条2項2号イ(平成11年法律第87号による改正前のもの)に該当する事業(法律の規定であって政令で定めるものにより,その実施に際し,免許,特許,許可若しくは承認又は届出(中略)が必要とされる事業(後略))であって,施行日前に免許等が与えられ,又は特定届出がなされたものについては,環境影響評価の対象となっていない。そして,前記第2の1(2)ないし(4)記載のとおり,本件空港変更認可は,同法施行前に既に認可を受けていた本件空港の設置という事 業のうち,滑走路Bについての暫定的措置のためのものであって,滑走路B’の整備は前記事業と同一事業というべきである。よって,同整備事業は同法の対象とはならない。 (4 た本件空港の設置という事 業のうち,滑走路Bについての暫定的措置のためのものであって,滑走路B’の整備は前記事業と同一事業というべきである。よって,同整備事業は同法の対象とはならない。 (4)憲法9条違反の主張について本件空港変更認可は,15年改正前法55条の3の規定に基づくものであるところ,同条項が憲法9条に違反すると解すべき事情はない。さらに,供用開始後における本件空港の使用形態は,本件空港変更認可の要件とは無関係であるから,自衛隊等が本件空港を使用していることなどをもって憲法9条に違反するという主張は,本件空港変更認可の要件とは無関係であって主張自体失当である。 (5)違法性の承継の主張について原告らは,当初認可の違法事由が本件空港変更認可に承継されるとして,当初認可の違法を主張するので,以下検討する。 先行する行政処分(先行行為)と後行する行政処分(後行行為)とが同一の目的を追求する手段と結果の関係をなし,これらが相結合して一つの効果を完成する一連の行為となっている場合には,一連の行為の目的ないし法的効果は最終の行政行為に留保されているというべきであるから,後行行為の違法性を判断するに際して先行行為の違法事由を主張することが許されるというべきである。しかしながら,本件空港変更認可は,15年改正前法55条の3第1項後段に基づいて行われた処分であるところ,この認可は,同項前段に基づいて行われた当初認可が存在することを前提とするものではあるが,当初認可と本件空港変更認可とは要件を異にする別個の処分であり,両処分が同一の目的を追求する手段と結果の関係になっているなどということもできない。そうすると,当初認可と本件空港変更認可の間で違法性が承継するということはできないから,この点に関する原告らの主張は失当である。 (6)そ する手段と結果の関係になっているなどということもできない。そうすると,当初認可と本件空港変更認可の間で違法性が承継するということはできないから,この点に関する原告らの主張は失当である。 (6)その他の原告らの主張について 原告らが主張するその他の事由を考慮したとしても,本件空港変更認可が適法であるとの当裁判所の判断を左右するには至らない。 (7)小括以上によれば,本件空港変更認可は適法である。 争点4(本件航空保安施設変更認可の適法性)について前記1記載のとおり,本件航空保安施設変更認可については処分性が認められないというべきであるが,念のため,本案についても以下判断する。 (1)処分要件該当性ア手続的要件該当性証拠によれば,公団は,平成11年9月3日付けで,航空保安無線施設については,16年改正前規則103条の2の規定により準用される規則103条,航空灯火については,同規則121条の2の規定により準用される規則121条にそれぞれ規定する事項を記載し,必要な添付書類が添付された申請書を被告に提出しており,本件航空保安施設変更認可は手続的要件を充足する。 イ実体的要件該当性(ア)1号要件該当性証拠によれば,本件空港の敷地内にはミドルマーカーの代わりにDMEが設置されていることが認められるが,滑走路B’の航空保安無線施設のうちミドルマーカーについては,その設置が困難な場合にはタカン又はDMEを設置することにより設置を省略することができるとされており(13年改正前規則99条1項8号イ(三)b),本件航空保安無線施設変更認可においては,前記規則に適合するものである。 また,前記3(1)イ(ア)記載のとおり,滑走路B’北側の進入灯は,滑走路B’の内側390メートルに埋め込まれて設置されるのではなく,滑走路B’北側から北 においては,前記規則に適合するものである。 また,前記3(1)イ(ア)記載のとおり,滑走路B’北側の進入灯は,滑走路B’の内側390メートルに埋め込まれて設置されるのではなく,滑走路B’北側から北側に向かって510メートルにわたって設 置されていることが認められるが,この設置範囲は,12年改正前規則117条1項3号ハ(二)aで定めるA図に適合しているから,1号要件に違反しない。なお,滑走路B’は,カテゴリー1精密進入用滑走路であるため,法上サイドバレットは必要とされていない。 その他の要件についても,証拠によれば,本件航空保安無線施設変更認可の申請内容は,16年改正前規則99条が定める基準に適合しており,また,本件航空灯火変更認可の申請内容は,12年改正前規則117条が定める基準に適合していることが認められ,いずれも1号要件を充足する。 (イ)2号要件該当性証拠によれば,本件航空保安施設変更認可に係る航空保安無線施設及び航空灯火は,いずれも公団の所有地内に設置するものであることが認められ,そうすると,これらの設置によって新たに他人の利益を著しく害することになるとはいえない。 (2)違法な処分を前提とする認可の違法について原告らは,本件空港変更認可が違法であり,本件航空保安施設変更認可はその違法を承継するから違法となると主張するが,前記3のとおり,本件空港変更認可は適法であるから,原告らの主張は失当である。 (3)5号要件違反の主張について法は,飛行場と航空保安施設とを区別して規定しているところ,法39条1号5号は,その文言から明らかなとおり,飛行場に関する規定であるから,航空保安施設に関しては適用の余地がない。よって,この点に関する原告らの主張は失当である。 (4)小括したがって,本件航空保安施設変更認可はいずれも適法 かなとおり,飛行場に関する規定であるから,航空保安施設に関しては適用の余地がない。よって,この点に関する原告らの主張は失当である。 (4)小括したがって,本件航空保安施設変更認可はいずれも適法である。 争点5(本件指定の適法性)について 前記2(3)イのとおり,原告A及び亡B訴訟承継人以外の原告らは本件指定の取消しを求める原告適格を有しないものであるが,すべての原告らについて,本案について判断する。 (1)処分要件該当性ア手続的要件該当性前記3(1)ア(ウ)及び(エ)記載のとおり,被告は,法38条2項所定の公聴会を開催し,また,法40条の告示を掲示しているから,手続的要件を充足する。 イ実体的要件該当性延長進入表面等の指定は,空港付近の土地の所有者その他の利害関係を有する者の利益を著しく害することとならないように配慮しなければならないとされている(15年改正前法56条の3第1項)。 そして,前記2(2)記載のとおり,延長進入表面等の指定は,高速で航行し,その旋回半径が一般の航空機よりも遙かに大きい大型ジェット航空機を離着陸させ,また,計器着陸誘導を行って航空機を安全に着陸させるため,当該航空機を遠距離から一定の低空で航行させ,航空保安無線施設による誘導を行うため,進入表面等による規制だけでなく,これに接続し,これより外側の広範囲の空間を航空機の航行のために確保する必要があるためになされるものであり,延長進入表面等による私権の制限は,地上から40メートル以上という高度の高い場所を対象とするものである。 そして,前記3(1)イ(ウ)記載のとおり,本件指定当時,本件空港周辺には延長進入表面等の上に出る建築物はなかったのであり,延長進入表面等の投影面内には近い将来高層建築物の建設が必要となるような人口密度が高く就労人口の (ウ)記載のとおり,本件指定当時,本件空港周辺には延長進入表面等の上に出る建築物はなかったのであり,延長進入表面等の投影面内には近い将来高層建築物の建設が必要となるような人口密度が高く就労人口の多い都市部はなかったと認められるから,延長進入表面等の規制による公用制限が空港周辺の土地所有者の利益を著しく害することはないというべきである。 よって,本件指定は実体的要件を充足する。 (2)違法な処分を前提とする認可の違法について原告らは,本件空港変更認可が違法であるから,それを前提とする本件指定も違法となると主張するが,前記3のとおり,本件空港変更認可は適法であるから,原告らの主張は失当である。 (3)告示,指定にかかる進入表面,延長進入表面に違反する工事と知りつつ認可した違法の主張について前記3(1)イ(ア)記載のとおり,滑走路B’は2180メートルで運用されているのであるから,滑走路B’が2180メートルで運用されていないことを前提とする原告らの主張は失当である。 (4)小括以上によれば,本件指定は適法である。 第4 結論 以上によれば,本件訴えのうち,原告らの本件空港変更認可の取消請求に係る部分及び本件航空保安施設変更認可の取消請求に係る部分並びに原告A及び亡B訴訟承継人を除くその余の原告らの本件指定の取消請求に係る部分は不適法であるからこれらを却下し,その余の原告A及び亡B訴訟承継人の本件指定の取消請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第3部裁判長裁判官堀内明裁判官阪本勝 裁判官佐々木清一は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官堀内明 別紙図面(省略) 裁判官阪本勝 裁判官佐々木清一は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官堀内明 別紙図面(省略)
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