平成31年4月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第19266号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成31年3月8日判決原告株式会社タカギ 同訴訟代理人弁護士酒迎明洋同訴訟復代理人弁護士髙木美咲穂被告合同会社グレイスランド(以下「被告グレイスランド」という。)被告株式会社好友印刷(以下「被告好友印刷」という。)被告Y(以下「被告Y」という。)被告ら訴訟代理人弁護士中村正典林友梨内山智映子森貴志河村潔俊同訴訟復代理人弁護士綿貫敬典 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告グレイスランドは,別紙被告ウェブサイト目録記載の各被告ウェブサイトに,別紙被告表示目録記載の被告表示1及び被告表示2を表示してはならない。 2 被告グレイスランドは,別紙被告ウェブサイト目録記載の各被告ウェブサイトを表示するための電子ファイルから,別紙被告表示目録記載の被告表示1及び被告表示2を除去せよ。 3 被告グレイスランドは,別紙被告ウ レイスランドは,別紙被告ウェブサイト目録記載の各被告ウェブサイトを表示するための電子ファイルから,別紙被告表示目録記載の被告表示1及び被告表示2を除去せよ。 3 被告グレイスランドは,別紙被告ウェブサイト目録記載の被告ウェブサイ ト1に,別紙被告表示目録記載の被告表示3及び被告表示4を表示してはならない。 4 被告グレイスランドは,別紙被告ウェブサイト目録記載の被告ウェブサイト1を表示するための電子ファイルから,別紙被告表示目録記載の被告表示3及び被告表示4を除去せよ。 5 被告グレイスランドは,別紙被告表示目録記載の被告表示5の表示をした別紙被告商品目録記載の被告商品2,被告商品4及び被告商品6を譲渡し,又は引き渡してはならない。 6 被告グレイスランドは,別紙被告商品目録記載の被告商品2,被告商品4及び被告商品6の商品パッケージに,別紙被告表示目録記載の被告表示5を 表示してはならない。 7 被告グレイスランドは,別紙被告表示目録記載の被告表示5の付された別紙被告商品目録記載の被告商品2,被告商品4及び被告商品6の商品パッケージを廃棄せよ。 8 被告らは,原告に対し,連帯して249万2500円及びこれに対する平 成29年6月17日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 訴訟費用は,被告らの負担とする。 10 第8項につき仮執行宣言第2 事案の概要等 本件は,被告グレイスランドがインターネット上の店舗(以下「被告店舗」 という。)において販売している家庭用浄水器のろ過カートリッジに関し,同様にろ過カートリッジを販売している原告が,別紙被告ウェブサイト目録記載のウェブサイト(以下,同目録の符号に従い「被告ウェブサイト1」などという。)や別紙被告商 用浄水器のろ過カートリッジに関し,同様にろ過カートリッジを販売している原告が,別紙被告ウェブサイト目録記載のウェブサイト(以下,同目録の符号に従い「被告ウェブサイト1」などという。)や別紙被告商品目録記載の商品(以下,同目録の符号に従い「被告商品1」などという。)のパッケージに付された別紙被告表示目録1 ~5記載の表示(以下,同目録の符号に従い「被告表示1」などという。)は品質を誤認させるものであって,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項14号に当たると主張し,①被告グレイスランドに対し,(ⅰ)同法3条1項に基づく被告各ウェブサイトにおける被告表示1及び2の表示の差止め,並びに,同条2項に基づく同各表示の除去,(ⅱ)同条1項 に基づく被告ウェブサイト1における被告表示3及び4の表示の差止め,並びに,同条2項に基づく同各表示の除去,(ⅲ)同条1項に基づく被告表示5を付した被告商品2,4及び6の譲渡及び引渡しの差止め,(ⅳ)同条1項に基づく被告商品2,4及び6の商品パッケージにおける被告表示5の表示の差止め,並びに,同条2項に基づく同被告表示の付された被告商品2, 4及び6の商品パッケージの廃棄を求めるとともに,②被告らに対し,被告好友印刷及び被告Yは被告グレイスランドと共同して上記行為を行っているとして,不競法4条,民法709条,719条1項前段に基づき,被告Yについては選択的に会社法429条1項若しくは597条に基づき損害賠償金249万2500円及びこれに対する平成29年6月17日(訴状送達の日 の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実。なお,本判決を通じ から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記した証拠及び弁論の全趣旨により認定できる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。) (1) 当事者 ア原告は,水栓・浄水製品の製造及び販売,散水・給水製品の製造及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告グレイスランドは,浄水器の交換カートリッジの通信販売等を目的とする合同会社である。 ウ被告好友印刷は,印刷業等を目的とする株式会社である。 エ被告Yは,被告グレイスランドの代表社員であり,かつ,被告好友印刷の代表取締役である。 (2) 原告及び被告各商品原告は,蛇口一体型浄水器を販売し,交換用カートリッジ(以下「原告商品」という。甲8)を定期購入できるサービスを提供している。 被告各商品は,原告の販売する蛇口一体型の浄水器に使用できる交換用カートリッジである。 (3) 被告グレイスランドによる被告各商品の販売被告グレイスランドは,インターネットショッピングモール「楽天市場」に被告店舗を開設し,被告各商品を販売している。 ア被告店舗のウェブサイトは,被告ウェブサイト1及び2から構成されており,被告ウェブサイト1のURLについてインターネット検索すると,同ウェブサイト2のURLに切り替わり,同サイトが表示される。被告ウェブサイト2は,別紙被告ウェブページ目録記載の各ウェブページ(以下,同目録の符号に従って「被告ウェブページ1」などという。)から構成さ れており,遅くとも平成28年11月15日から現在に至るまで,被告ウェブページ1において被告商品1を,被告ウェブページ2において被告商 に従って「被告ウェブページ1」などという。)から構成さ れており,遅くとも平成28年11月15日から現在に至るまで,被告ウェブページ1において被告商品1を,被告ウェブページ2において被告商品2を,被告ウェブページ3において被告商品3を,被告ウェブページ4において被告商品4を,それぞれ販売しており,遅くとも平成29年4月24日から現在に至るまで,被告ウェブページ5において被告商品5を, 被告ウェブページ6において被告商品6を,それぞれ販売している。 イ被告商品1,3及び5は,本数が異なるもののいずれも「標準タイプ」と称されている商品(以下「被告各商品(標準タイプ)」という。)であり,被告商品2,4及び6は,本数が異なるもののいずれも「高除去タイプ」と称されている商品(以下「被告各商品(高除去タイプ)」という。)である。 (4) ウェブサイト等における被告各表示被告グレイスランドは,①被告ウェブサイト2及び被告各ウェブページにおいて,被告表示1及び2を表示し,②被告各商品(高除去タイプ)に被告表示3及び4を表示し,③被告各商品(高除去タイプ)の各パッケージに被告表示5を表示している。 (5) 品質表示に関する法令上の規制家庭用品品質表示法は,家庭用品の品質に関する表示事項につき内閣総理大臣がこれを定めることとし,同法施行令の別表(第一条関係)の「四雑貨工業品」の「(五)浄水器」により,浄水器(単体で販売される場合はカートリッジを含む。甲16)は,同法2条1項の「家庭用品」に該当するも のと定められている。 そして,具体的な表示事項については,雑貨工業品品質表示規程の別表第一(第一条関係)の「浄水器」及び別表第二(第二条関係)の「六浄水器」に定めがあり,①除去対象物質 のと定められている。 そして,具体的な表示事項については,雑貨工業品品質表示規程の別表第一(第一条関係)の「浄水器」及び別表第二(第二条関係)の「六浄水器」に定めがあり,①除去対象物質に対する除去性能及びろ過能力の試験方法が日本工業規格S3201(家庭用浄水器試験方法)(以下「JIS規格」と いう。)に規定されているものについては当該試験方法によること,②カビ臭については「二―メチルイソボルネオール」(以下「2-MIB」という。)を表示すること,③浄水能力は,除去対象物質の名称を示す用語ごとに表示することとし,その用語の次に括弧書きでその総ろ過水量,除去率80パーセントである旨及びJIS規格に基づき測定した試験結果である旨を 付記すること(この場合において,総ろ過水量はリットル単位で表示するこ ととし,その場合の誤差の許容範囲は,表示したろ過能力に対してマイナス10パーセント以内とすること),④総ろ過水量についてはJIS規格の6・5の規定に係るろ過能力試験において当該除去物質の除去率が80パーセントに低下するまでの総ろ過水量を表示することなどが定められている。 (6) 浄水器の性能試験は,一般社団法人浄水器協会の認定試験機関が行ってお り,このような認定試験機関としては,株式会社総合水研究所(以下「総合水研究所」という。),株式会社兵庫分析センター(以下「兵庫分析センター」という。),一般社団法人日本食品分析センター(以下「日本食品分析センター」という。)がある。(乙5)(7) 原告及び被告らが,本件訴えの提起の前後を通じ,それぞれ認定試験機関 に依頼して行った被告各商品(高除去タイプ)の性能試験の結果は,別紙「試験結果一覧(高除去タイプ)」(以下「別紙試験結果一覧表」という。)記載のとおり 提起の前後を通じ,それぞれ認定試験機関 に依頼して行った被告各商品(高除去タイプ)の性能試験の結果は,別紙「試験結果一覧(高除去タイプ)」(以下「別紙試験結果一覧表」という。)記載のとおりである。 2 争点(1) 品質誤認表示の有無(争点1) (2) 共同不法行為の成否(争点2)(3) 被告Yについての会社法に基づく責任の有無(争点3)(4) 損害の有無及び額(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(品質誤認表示の有無)について 〔原告の主張〕(1) 被告表示1についてア被告表示1の「タカギ社製」は「交換用カートリッジ」を修飾し,「タカギ社製交換用カートリッジをお探しの皆様へ」と読めるため,需要者が被告表示1を読めば,被告各商品が「タカギ社製」であり,原告の浄水カ ートリッジと同等の浄水性能を有するものと認識する。 原告が依頼した被告各商品の試験結果によれば,被告各商品(標準タイプ)は,遊離残留塩素について除去率80%を割り込み,2-MIB(カビ臭)及び溶解性鉛について除去率80%を大きく割り込んでいる(甲9)。また,被告各商品(高除去タイプ)は,12項目のうち8項目が除去率80%を割り込んでおり,うち7項目は除去率80%を大きく割り込 んでいる(甲10)。 したがって,被告表示1は,被告各商品が原告製でないという点において虚偽であり,原告製の浄水カートリッジと同等の浄水性能を有するものでもないので,被告各商品の品質を誤認させる表示である。 イ被告各ウェブページには,「タカギ社純正品ではございません」又は 「タカギ社製品と同一性能を示すものではございません」などの打消し表示がなされているが,被告表示1は被告各ウェブページの上部 イ被告各ウェブページには,「タカギ社純正品ではございません」又は 「タカギ社製品と同一性能を示すものではございません」などの打消し表示がなされているが,被告表示1は被告各ウェブページの上部に表示されているのに対し,被告各ウェブページにおける打消し表示は,被告各ウェブページをブラウザで表示させた場合に,画面をスクロールさせなければ表示させることができない箇所に表示されているものであり,被告表示1 と併せて読むことはないから,被告表示1に接した需要者の認識に影響を与えるものではない。 また,原告の純正カートリッジと被告各商品との外観上の差異は,外周側面の色合い及び素材感にしかなく,それ以外の外観(全体的な形状,先端部分の色合い等)は極めて類似している(乙16)。そして,原告製浄 水器では,浄水カートリッジは通常の使用時には外部に露出しないので(甲1,乙12),需要者は,初回設置時及び交換時にしかカートリッジの外観を認識する機会がない。そうすると,需要者が原告の純正カートリッジの形状を細部まで記憶し,わずかな相違に着目して被告各商品の写真を見て直ちに純正品ではないと認識することはあり得ず,また,仮に外観 上の差異を認識し得たとしても,被告各商品の製造者又は提供者が原告で はないと認識することはできない。 (2) 被告表示2について需要者は,「高性能・高品質」という被告表示2を読めば,少なくとも一般に市場に流通する製品と同等の性能や品質を有すると認識する。 一般に市場に流通する浄水カートリッジは,遊離残留塩素,2-MIB (カビ臭),CAT(農薬)及び溶解性鉛について除去率80%(JIS規格の試験結果として,ろ過水量1200Lの除去率をいう。)の性能を有し,更に多くの物質を除去できることを特 塩素,2-MIB (カビ臭),CAT(農薬)及び溶解性鉛について除去率80%(JIS規格の試験結果として,ろ過水量1200Lの除去率をいう。)の性能を有し,更に多くの物質を除去できることを特徴とする製品については,総トリハロメタン,クロロホルム,ブロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタン,ブロモホルム,テトラクロロエチレン,トリクロロエチレン及び1,1,1- トリクロロエタンについて除去率80%の除去性能を有すると表示している。 (甲8,11~15)被告各商品の除去性能をみると,被告各商品(標準タイプ)は,遊離残留塩素について除去率80%を割り込み,2-MIB(カビ臭)及び溶解性鉛について除去率80%を大きく割り込んでいる。また,被告各商品(高除去 タイプ)は,8項目(2-MIB(カビ臭),溶解性鉛,総トリハロメタン,クロロホルム,ブロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタン,ブロモホルム,1,1,1-トリクロロエタン)が除去率80%を割り込んでおり,うちブロモホルムを除く7項目は除去率80%を大きく割り込んでいる。 さらに,原告が平成30年1月16日に購入した標準タイプである被告商 品3のうち2本及び同月17日に購入した被告商品3のうち1本を使用して,兵庫分析センターに依頼し,浄水カートリッジのろ過対象物質である遊離残留塩素,2-MIB(カビ臭)及びCAT(農薬)のろ過能力の試験を実施したところ,その結果は,総ろ過水量10Lの通水時から80%を下回るものであり,これによれば,被告各商品(標準タイプ)が高性能・高品質であ るということはできない。 したがって,被告各商品は,一般に市場に流通する浄水カートリッジと同等の浄水性能を有するものではないから,被告表示2は,虚偽であり,同各商品の品 高品質であ るということはできない。 したがって,被告各商品は,一般に市場に流通する浄水カートリッジと同等の浄水性能を有するものではないから,被告表示2は,虚偽であり,同各商品の品質について誤認させるような表示である。 (3) 被告表示3についてア需要者が,被告表示3の「これらの有害物質(判決注:カビ臭・農薬な どの有害物質)がしっかり除去できているのかを確認する試験規格(JIS規格)がありますが,当社の高除去タイプカートリッジは,この試験を第三者機関で行い,しっかり除去されている事を確認済です。」という記載を読めば,同表示が付されたウェブページで販売されている被告各商品(高除去タイプ)は,カビ臭をしっかり除去する性能を有し,そのことが JIS規格に従った試験により確認されていると認識する。 浄水器におけるカビ臭の除去性能は,一般的に,2-MIBという化学物質を除去する能力として測定されるところ(甲16),市場で流通する浄水カートリッジは,2-MIBについて,JIS規格の試験結果として,ろ過水量1200L通水時で,80%の除去率を有するものと表示されて いる。 原告が,被告各商品(高除去タイプ)について,兵庫分析センターに,JIS規格に準拠した試験方法により2-MIB(カビ臭)の除去性能試験を依頼した結果は,総ろ過水量1200L通水時において除去率49. 0%であり,除去率80%を大きく下回るものであった(甲10の11)。 「しっかり除去」とは,少なくとも同種の製品が有する程度の除去性能を有することを意味するところ,上記試験結果によれば,被告各商品(高除去タイプ)はカビ臭(2-MIB)を「しっかり除去」する性能を有するものと評価することはできないから,被告表示3は虚偽であり,その を有することを意味するところ,上記試験結果によれば,被告各商品(高除去タイプ)はカビ臭(2-MIB)を「しっかり除去」する性能を有するものと評価することはできないから,被告表示3は虚偽であり,その品質について誤認させる表示である。 イまた,被告表示3に接した需要者は,被告各商品(高除去タイプ)は, その製造・販売開始に当たり,第三者機関で試験を行って品質が確認されている商品と認識すると考えられるが,被告は本訴において第三者機関の試験結果を証拠として提出しようとしない。第三者機関の試験が実施されていなかったとすれば,その点においても,被告表示3は,被告各商品(高除去タイプ)の品質を誤認させる表示であるということができる。 ウ被告グレイスランドは,標準タイプと高除去タイプの2種類のカートリッジを販売しているところ,被告各商品(標準タイプ)について「良質な活性炭を使用しています。」と表示しているのに対し,被告各商品(高除去タイプ) については,「良質な活性炭を吟味したうえで採用しています」(被告表示3)と表示している。 そこで,原告は,被告各商品(標準タイプ)及び被告各商品(高除去タイプ)の活性炭について,活性炭の吸着性能を評価する一般的な方法として最もよく行われているヨウ素吸着性能とメチレンブルー吸着性能(甲41)の試験を行ったところ,その結果(甲48)は,被告各商品(標準タイプ)の活性炭の方が,被告各商品(高除去タイプ)の活性炭より吸着性 能が高いというものであった。そうすると,少なくとも,被告各商品(高除去タイプ)に使用されている活性炭が,被告各商品(標準タイプ)に使用されている活性炭より吸着性能の高い品質の活性炭であるということはできない。 以上のとおり,活性炭に関し,被告各商品(高除去 高除去タイプ)に使用されている活性炭が,被告各商品(標準タイプ)に使用されている活性炭より吸着性能の高い品質の活性炭であるということはできない。 以上のとおり,活性炭に関し,被告各商品(高除去タイプ)が被告各商 品(標準タイプ)より品質が高いとの印象を需要者に与える被告表示3の上記記載は虚偽であり,需要者に品質について誤認を生ぜしめるものである。 (4) 被告表示4についてア被告表示4は「カビ臭(2-MIB) 総ろ過水量 800L(除去率 80% JIS規格試験結果)」というものであるところ,需要者が被告 表示4を読めば,同表示が付されたウェブページで販売されている被告各商品(高除去タイプ)は,総ろ過水量800Lにおいて2-MIB(カビ臭)を80%除去する性能を有し,JIS規格に従った試験で確認することができると認識する。 イ原告は,平成29年3月,被告各商品(高除去タイプ)について,兵庫 分析センターにJIS規格に基づく2-MIB(カビ臭)の除去性能試験(以下「原告試験1」という。)を依頼した。その結果は,別紙試験結果一覧表の符号2のとおりであり,被告各商品(高除去タイプ)は,総ろ過水量10Lの通水時で除去率が98%であるものの,総ろ過水量1200Lの通水時で除去率49%まで低下した。総ろ過水量の増加に伴い一定割 合で除去率が低下するとすれば,1L当たり0.041%(=49%÷1190L)ずつ除去率が低下することになるので,総ろ過水量800Lの通水時における2-MIB(カビ臭)の除去率は65.6%(=98%-0.041%×790L)となる。 ウ原告は,平成29年10月,総合水研究所に対し,ウェブサイトを通じ て購入した被告商品(高除去タイプ)について2-MIBの除去性能につ 6%(=98%-0.041%×790L)となる。 ウ原告は,平成29年10月,総合水研究所に対し,ウェブサイトを通じ て購入した被告商品(高除去タイプ)について2-MIBの除去性能についての試験(以下「原告試験2」という。)を依頼した。その結果は別紙試験結果一覧表の符号4のとおりであり,総ろ過水量800L通水時の除去率が77.2%であった。この試験結果によっても,被告商品(高除去タイプ)のろ過水量800L通水時での2-MIB(カビ臭)の除去率は 80%を下回っているということができる。 したがって,被告各商品(高除去タイプ)は,総ろ過水量800Lにおいて2-MIB(カビ臭)を80%除去する性能を有すると評価することはできないので,被告表示4は虚偽であり,被告各商品(高除去タイプ)の品質を誤認させるものである。 エ被告らが行った別紙試験結果一覧表の符号3及び5の試験(以下,順に 「被告試験1」,「被告試験2」という。)に使用された検体については,本件訴訟に証拠として提出するために製造又は選別された検体を使用したものであり,被告各ウェブサイトを通じて当初より注文者に提供されていたものとの同一性を欠くので,被告らによる上記試験結果(乙10)は,信用性を欠く。 仮に,被告らによる試験結果(乙10)を前提とするとしても,原告による試験結果も参酌すれば,被告各商品(高除去タイプ)には,かなりの個体差が存在し,総ろ過水量800L通水時において2-MIB(カビ臭)の除去率が80%を上回るものもあれば,これを下回るものもあると考えるのが自然かつ合理的である。 被告らが,被告各商品(高除去タイプ)について,2-MIB(カビ臭)の総ろ過水量800L通水時の除去率80%との性能を表示するの ,これを下回るものもあると考えるのが自然かつ合理的である。 被告らが,被告各商品(高除去タイプ)について,2-MIB(カビ臭)の総ろ過水量800L通水時の除去率80%との性能を表示するのであれば,自らが販売する全ての商品について,総ろ過水量800L通水時の2-MIB(カビ臭)の除去率が80%という性能を満たさなければならないはずであるが,上記のような個体差があることを考慮すると,被告各商 品(高除去タイプ)の総ろ過水量800L通水時における2-MIB(カビ臭)の除去率が,総体として,80%を上回るということはできない。 オ被告らは,被告各商品の販売前に第三者検査機関において試験(別紙試験結果一覧表の符号1。以下「販売前試験」という。)を行ったと主張するが,第三者の秘密保持の必要性を理由として試験結果を開示しよう としない。被告らが販売前試験に関する証拠を提出できないとする理由は不合理かつ不自然であり,これは,被告グレイスランドが販売前試験を実施していないことを示すものである。 カ原告及び被告らが,それぞれ楽天市場で購入し,検査機関に送付した検体の試験(以下「本件追試」という。)の結果(甲56,乙52)は, 総ろ過水量800L通水時での2-MIB(カビ臭)の除去率が80% を上回るというものであったが,被告グレイスランドにおいて,本訴係属中に被告各商品(高除去タイプ)に充填されている活性炭量を徐々に増加するという仕様変更をした可能性は否定できない。また,被告各商品は製造時期や製造ライン毎に品質にばらつきがあるので,被告各商品全般について均質なろ過能力を有するということはできず,特に過去に 製造販売された被告各商品の高除去タイプのろ過能力が,上記試験の検体のろ過能力と同程度のものであることを があるので,被告各商品全般について均質なろ過能力を有するということはできず,特に過去に 製造販売された被告各商品の高除去タイプのろ過能力が,上記試験の検体のろ過能力と同程度のものであることを裏付けるものではない。 (5) 被告表示5について被告表示5は,「2-MIB(カビ臭) 総ろ過水量 800L(除去率80% JIS規格試験結果)」というものであるところ,需要者が被告 表示5を読めば,同表示が付された被告各商品(高除去タイプ)は,総ろ過水量800L通水時において2-MIB(カビ臭)を80%除去する性能を有し,それをJIS規格に従った試験で確認することができると認識する。 しかし,前記(4)のとおり,被告各商品(高除去タイプ)は,JIS規格に従った試験で測定して得られる結果から,総ろ過水量800L通水時におい てカビ臭(2-MIB)を80%除去する性能を有するものと評価することはできないから,被告表示5は虚偽であり,被告各商品(高除去タイプ)の品質について誤認させるものである。 (6) 以上のとおり,被告表示1~5は,いずれも,被告各商品の品質について誤認させるものである(不競法2条1項14号)。 〔被告の主張〕(1) 被告表示1についてア被告表示1は,「タカギ社製」,「浄水蛇口の交換用カートリッジを」,「お探しの皆様へ」という三つの部分から構成され,3行にわたり記載されている。しかし,上記記載は全体として一つの文章としての表示であり, 「タカギ社製」という言葉は,「交換用カートリッジ」ではなく,「浄水蛇 口」を修飾するものであり,「タカギ社製の浄水蛇口に合致する交換用カートリッジをお探しの皆様へ」という意味である。 したがって,被告表示1から,被告各商品が原告商品と同等の く,「浄水蛇 口」を修飾するものであり,「タカギ社製の浄水蛇口に合致する交換用カートリッジをお探しの皆様へ」という意味である。 したがって,被告表示1から,被告各商品が原告商品と同等の浄水性能を有するとの誤認は生じない。 イ被告各ウェブページにおいては,「ご購入の前にお読みいただき,ご了承 のうえお買い求めください」との四角囲いの欄があり,同欄内には「当社製品はタカギ社純正品ではございません」,「タカギ社製品と同一性能を示すものではございません」という打消し表示(以下「本件打消し表示」という。)が存在する。 本件打消し表示は,複数の画面をスクロールさせた後の位置に表示され ているものの,同表示の前には,「ご購入の前にお読みいただき,ご了承のうえお買い求めください」という記載が存在するので,需要者はこの記載に注目して,被告各商品が原告商品とは異なるものであり,原告商品と同一性能を有しない互換商品であると認識すると考えられる。 また,各被告ウェブサイトにおける被告表示1の表示の横には,被告店 舗で販売されている被告各商品の写真が掲載されているが(甲1~7),これらの写真をみれば,原告商品(甲8)と外見上全く異なるものであることが明らかである(乙16)。需要者が被告表示1に接すれば,その横に掲載された被告各商品の写真もすぐに目に入ることから,被告店舗で販売されている被告各商品が原告商品であると誤認することはなく,原告商品と 同等の浄水性能を有すると認識するということもない。 (2) 被告表示2についてア需要者が「高性能・高品質」という被告表示2を読めば,単に性能や品質が高いという程度の認識をするのが通常の合理的な理解であり,「一般に市場に流通する製品」の性能や品質を比較して「高性能・ てア需要者が「高性能・高品質」という被告表示2を読めば,単に性能や品質が高いという程度の認識をするのが通常の合理的な理解であり,「一般に市場に流通する製品」の性能や品質を比較して「高性能・高品質」 であると理解するものではない。 イ商品の広告をするに当たり,「高性能・高品質」という表示をすることは広告の方法としてよくあることである。例えば,食品を販売するに当たり,その食品が美味しいかどうかは購入者が判断するものであっても,広告として「美味しい」と表示することは珍しくない。このように,性能・品質については,客観的基準があるわけではなく,性能が高いかど うかの判断は主観的なものである。 ウ被告らは,標準タイプの被告商品について,日本食品分析センターに対し,遊離残留塩素,2-MIB(カビ臭)及びCAT(農薬)の除去性能試験を依頼するとともに,比較のため,株式会社水環境電池の商品についても同様の試験を依頼した(乙32~35)。その結果は,対象と された標準タイプの被告商品は,除去対象3物質全てについて総ろ過水量1200L通水時においても50%の除去率を有するというものであり,その性能は株式会社水環境電池の商品よりも格段に優れていることが判明した(乙36~41,45~50)。 エ被告各商品の品質は,除去性能の観点のみから評価されるべきではな い。被告グレイスランドが高除去タイプとほぼ同価格で標準タイプの商品を販売しているのは,標準タイプは高除去タイプよりも除去性能では劣るものの,流量が多いという特性があるからである。このように,需要者は,浄水の流量など除去性能以外の性能や品質を考慮して標準タイプの被告商品を購入するかどうかを決めているのであるから,被告各商 品(標準タイプ)について 性があるからである。このように,需要者は,浄水の流量など除去性能以外の性能や品質を考慮して標準タイプの被告商品を購入するかどうかを決めているのであるから,被告各商 品(標準タイプ)について「高性能・高品質」と表示したとしても,需要者にその品質を誤認させるものではない。 オ被告各商品は,高除去タイプであっても,原告の純正品より安価であるため,「高性能・高品質」といった,広告宣伝として一般的に用いられる言葉を使ったところで,通常の判断能力を有する需要者であれば,価 格相応の性能・品質であろうと認識するのが自然であるから,被告表示 2が需要者の誤認を惹起するものではない。 カしたがって,被告各商品(標準タイプ)について「高性能・高品質」と表示したとしても,品質についての誤認を生ぜしめるものではない。 (3) 被告表示3についてア 「しっかり除去」とは,標準タイプの被告各商品に比べて「しっかり除 去」される性能を有することを意味するものであり,同種の製品が有する程度の除去性能を有するということまで意味するものではないので,被告各商品が,同種の製品が有する程度の除去性能を有していないことをもって,「しっかり除去」という被告表示が虚偽であるということはできない。 イ浄水カートリッジである被告商品の活性炭について,ヨウ素やメチレン ブルーの吸着性能を調査しても,互換カートリッジとしての吸着性能を適切に評価できるものではない。なぜなら,家庭用品品質表示法で定められている除去対象物質(JIS規格)に基づく13物質は,「①遊離残留塩素,②濁り,③総トリハロメタン,④クロロホルム,⑤ブロモジクロロメタン,⑥ジブロモロモクロロメタン,⑦ブロモホルム,⑧溶解性鉛,⑨農薬(C AT),⑩カビ臭(2-MIB),⑪ 「①遊離残留塩素,②濁り,③総トリハロメタン,④クロロホルム,⑤ブロモジクロロメタン,⑥ジブロモロモクロロメタン,⑦ブロモホルム,⑧溶解性鉛,⑨農薬(C AT),⑩カビ臭(2-MIB),⑪テトラクロロエチレン,⑫トリクロロエチレン,⑬1.1.1.トリクロロエチレン」であり,この中にヨウ素とメチレンブルーは含まれていないからである。 また,メチレンブルーについては,「活性炭の脱色性能を評価するときに行われる評価法である」(甲41,「2.5 メチレンブルー吸着性能」,2 03頁)。このため,「脱色」性能評価に用いるメチレンブルー吸着性能の数値をもって,除去対象物質の吸着性能を評価することは適切ではない。 被告表示3の「吟味したうえで採用」という記載は,原告が主張するように標準タイプに使用している活性炭より品質の高い活性炭を採用しているという意味ではなく,高除去タイプの浄水カートリッジに用いるのに相 応しいものを良質な活性炭の中から選んで採用しているとの意味である。 被告ウェブページ1,3及び5(標準タイプ)では,「良質な活性炭を採用しています」という記載に続いて,「性能・品質・安全性にこだわり,より吟味した活性炭を使用」との記載があり,被告各商品(高除去タイプ)と同様に「より吟味」という表示をしている。 被告グレイスランドが被告各商品に使用しているのは,浄水器用の高性 能な活性炭であり,上下水や排水処理用の活性炭や輸入品と比較してはるかに良質なものである。 したがって,被告表示3のうち「良質な活性炭を吟味したうえで採用しています」という表示は需要者に品質について誤認を生ぜしめるものではない。 (4) 被告表示4についてア被告グレイスランドは,平成29年8月,被告各商品(高除去タイプ)の で採用しています」という表示は需要者に品質について誤認を生ぜしめるものではない。 (4) 被告表示4についてア被告グレイスランドは,平成29年8月,被告各商品(高除去タイプ)の販売在庫の中から個体差を考慮し,重量及び製造工程の異なる6検体を選定し,日本食品分析センターに除去性能の試験(被告試験1)を依頼した。その結果は別紙試験結果一覧表の符号3記載のとおりであり,被告各 商品(高除去タイプ)のカビ臭(2-MIB)除去能力は,6検体のいずれについても,総ろ過水量800L通水時で除去率80%を大きく上回り,総ろ過水量1200L通水時においても除去率96%以上であった(乙9,10の1~6)。同試験結果のとおり,被告グレイスランドが,被告各商品(高除去タイプ)の製造工程において生じ得るばらつきを考慮し,量販し ている商品より除去能力が劣るものを意図的に製造した製品であっても,被告表示4及び5において表示する数値を上回っている。 イまた,被告グレイスランドは,平成29年9月,総合水研究所に対し,被告商品12点を検体として,2-MIBの除去性能の試験(被告試験2)を依頼した。この12検体のうち,6検体は,別紙試験結果一覧表の符号 3記載の試験に供し,1200L通水しているものであり,残りの6検体 は,同試験の際に予備品として送付したが利用されなかった新品である。 その結果は同一覧表の符号5記載のとおりであり,総ろ過水量800L通水時の2-MIB(カビ臭)の除去率が80%を下回ることがないことが判明した(乙18~29)。 ウ被告Yは,平成30年10月,被告グレイスランド楽天市場店において, 被告商品の高除去タイプ2本パックを購入し,2-MIB(カビ臭)の除去性能の試験のため,検体を包む袋を破るこ ~29)。 ウ被告Yは,平成30年10月,被告グレイスランド楽天市場店において, 被告商品の高除去タイプ2本パックを購入し,2-MIB(カビ臭)の除去性能の試験のため,検体を包む袋を破ることなく,総合水研究所に送付して試験を依頼した(本件追試)。同研究所は,二つの検体のうち一つを使用し,JIS規格の試験方法に基づき2-MIB(カビ臭)の除去性能を試験したところ,総ろ過水量800L通水時での2-MIB(カビ臭)の 除去率は97.9%であった(乙52)。本件追試により,被告各商品(高除去タイプ)は,総ろ過水量800L通水時で2-MIB(カビ臭)の除去率が80%を上回ることが再確認された。 エ原告試験1は,総ろ過水量10L及び1200L通水時の2-MIB(カビ臭)の除去率から800L時点の除去率を推定しているが,総ろ過 水量の増加に伴い一定割合で除去率が増加するという原告の前提は根拠がない。 原告試験2は,原告が平成29年9月8日に購入した被告商品4について,同年10月30日に除去性能試験を依頼したものである。すなわち,原告は,被告商品を購入後50日以上も経過してから試験の依頼をしてい ることになるが,50日以上の間,いずれの機関にも試験の依頼をしていなかったとは考え難い。原告が2-MIB(カビ臭)除去率80%を下回る同研究所の試験結果のみを提出していることからすると,除去率が80%以上であることを示す他の試験結果が存在した可能性が高い。 また,総合水研究所の試験結果である除去率77.2%という数値は, 「(1-ろ過水濃度/原水濃度)×100」という計算式(1-0.000 013mg/L÷0.000057mg/L)×100=77.2%)によるものである(甲30)。これは,0.000001mg 「(1-ろ過水濃度/原水濃度)×100」という計算式(1-0.000 013mg/L÷0.000057mg/L)×100=77.2%)によるものである(甲30)。これは,0.000001mg/L単位の微小な濃度の数値で除去率が変動し,ろ過水濃度につきわずかな誤差であっても除去率の数値は異なってくることを意味する。このような微小な濃度の差異だけで除去率の数値が変動することを考えると,77.2%と80% の差異は,試験の分析方法や試験条件によって生じ得る誤差の範囲内ということができる。 オ被告各商品の販売前試験結果は存在する。すなわち,被告グレイスランドは,被告各商品のパッケージ作成に着手した平成28年10月上旬以前,及び被告ウェブページを開設した同年11月1日以前に,被告各商品のカ ビ臭除去率につき他社における第三者検査機関にて実施された試験結果を受領している。それによれば,総ろ過水量800L通水時でカビ臭の除去率が80%を超えていたが,同結果については,他社における機密保持の必要上,証拠として提出できない。 カ以上のとおり,被告表示4は虚偽ではなく,品質について誤認させるも のではない。 (5) 被告表示5について被告表示5は虚偽でないため,品質について誤認させるものではない。 2 争点2(共同不法行為の成否)について〔原告の主張〕 (1) 被告グレイスランドは,平成28年9月12日に資本金50万円で設立されたが,その本店所在地は,同被告の商業登記簿に被告Yの住所として記載されている地である。同社は,被告各商品の販売者として設立された会社であるが,当該住所地に同社の実体は存在せず,被告各商品の販売に際しては,被告好友印刷が,その事業所において手配,保管,発送などの作業を行って ある。同社は,被告各商品の販売者として設立された会社であるが,当該住所地に同社の実体は存在せず,被告各商品の販売に際しては,被告好友印刷が,その事業所において手配,保管,発送などの作業を行って いる。 また,被告グレイスランドと被告好友印刷は代表者が共通しており,被告グレイスランドの連絡先電話番号として使用されている電話番号は,その契約者が被告好友印刷の前代表者(被告Yの父)であり,同電話の設置場所及び請求書送付先は被告好友印刷の本店所在地であるなど,両社は密接な関係にある。 さらに,被告各商品の販売については,被告グレイスランドが,楽天株式会社との間で楽天市場に関するシステムサービス利用契約を締結した上で,楽天市場を通じて顧客との間で個別の被告各商品の売買契約を締結し,問合せ窓口を担当している一方,被告好友印刷は,被告各商品の手配,保管,発送などの作業を行うという役割分担が形成されている。被告グレイスランド は,実態としては,被告好友印刷の商品のインターネット販売を担当する会社にすぎない。 このように,被告好友印刷と被告グレイスランドとは一体となって不正競争行為を行っているので,被告好友印刷も被告グレイスランドとともに共同不法行為責任を負う。 (2) また,被告グレイスランドの業務執行社員が被告Y一名である以上,同人が被告グレイスランドの業務全般を所掌し,また,同人が被告グレイスランドによる上記不正競争行為を自ら企画,実施したことは明らかである。 したがって,被告Yと被告グレイスランドとは,一体となって不正競争行為を行っているのであって,被告Yも被告グレイスランドとともに共同不法 行為責任を負う。 〔被告の主張〕被告好友印刷と被告Yは,被告各商品の販売には関わっているが となって不正競争行為を行っているのであって,被告Yも被告グレイスランドとともに共同不法 行為責任を負う。 〔被告の主張〕被告好友印刷と被告Yは,被告各商品の販売には関わっているが,楽天市場に出店しているのは,被告グレイスランドのみである。被告好友印刷は,パッケージの印刷及びホームページの制作に限って,被告グレイスランドに よるカートリッジ販売に関わっているにすぎない。(乙2) 被告グレインランドと被告好友印刷は全く別の法人であり,被告各商品の販売に直接関わっているのは,あくまで被告グレイスランドのみである。 3 争点3(被告Yについての会社法に基づく責任の有無)について〔原告の主張〕(1) 「業務を執行する社員は,法令…を遵守し,持分会社のため忠実にその職 務を行わなければならない。」(会社法593条2項)ところ,前記のとおり,被告Yは,被告グレイスランド業務執行社員として,上記不正競争行為を決定し,実施した。 また,「取締役は,法令…を遵守し…その職務を行わなければならない」(会社法355条)ところ,前記のとおり,被告Yは,被告好友印刷の代表 取締役として,上記不正競争行為を決定し,実施した。 したがって,被告Yによる不正競争行為にかかる業務執行は,法令遵守義務に違反する。 (2) 被告Yが,上記法令遵守義務違反を認識していながら上記不正競争行為を実施していることは明らかである。 仮にそうでないとしても,被告グレイスランド及び被告好友印刷の各行為が不正競争行為に該当することは,基本的な法令調査を行いさえすれば容易に判明するので,被告Yは業務の決定及び執行に際して当該業務が法令に違反するかどうかにつき法令調査を行うという取締役としての基本的な注意義務に に該当することは,基本的な法令調査を行いさえすれば容易に判明するので,被告Yは業務の決定及び執行に際して当該業務が法令に違反するかどうかにつき法令調査を行うという取締役としての基本的な注意義務に違反したものであり,重大な過失があるというべきである。 (3) したがって,被告Yは,会社法429条1項及び会社法597条に基づき,原告に対し損害賠償責任を負う。 〔被告の主張〕否認ないし争う。 4 争点4(損害の有無及び額)について 〔原告の主張〕 (1) 被告グレイスランドは,平成28年11月15日から平成29年4月14日までの間に,以下の数量の被告各商品を販売し,少なくとも売上合計454万5000円を得た。 (計算式)①標準タイプ1本パック2180円×100パック=21万8000円 ②標準タイプ3本パック5940円×200パック=118万8000円③高除去タイプ1本パック2180円×350パック=76万3000円④高除去タイプ3本パック5940円×400パック=237万6000円被告各商品の利益率は少なくとも50%を下らないので,被告グレイスランドは,平成28年11月15日から平成29年4月14日までの間に,被 告各商品の販売により合計227万2500円の利益を得た。被告グレイスランドが被告各商品の販売により得た利益額は,不正競争防止法5条2項により原告の損害額と推定される。 (2)原告は,本訴の遂行を原告訴訟代理人弁護士らに委任した。このうち,被告による不法行為と相当因果関係のある弁護士費用額は少なくとも22万 円である。 (3) したがって,被告らは,原告に対して,連帯して,不法行為に基づき,249万2500円の損害賠償義務を負う。 〔被告の主張〕否認 る弁護士費用額は少なくとも22万 円である。 (3) したがって,被告らは,原告に対して,連帯して,不法行為に基づき,249万2500円の損害賠償義務を負う。 〔被告の主張〕否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1) (品質誤認表示の有無)について(1) 被告表示1について被告表示1は,「タカギ社製」「浄水蛇口の交換用カートリッジを」「お探しの皆様へ」との記載を三行に分けて配置しているものであるが, 同各記載を全体として読めば,「タカギ社製」という文言は「浄水蛇口」 を修飾し,全体として,「タカギ社製の浄水蛇口に適合する交換用カートリッジを探している皆様へ」という趣旨であると理解するのが自然である。 また,本件各ウェブページの記載全体をみても,同ウェブページにおいて販売されている交換用カートリッジがタカギ社製又は同社製と同等の品質を有することをうかがわせる記載は存在せず,かえって,同ウェブペー ジを下方にスクロールすると,「ご購入の前にお読みいただき,ご了承のうえお買い求めください」との注意書きがあり,その枠内には「当社製品はタカギ社純正品ではございません。標準タイプ・高除去タイプという当社製品グレード名,互換との表現は,タカギ社製品と同一性能を示すものではございません。」との打消し表示が存在し,さらにその下にも「※当 製品はメーカー純正品ではございません。」などと記載されている(甲1~7)。同表示又は記載に接した需要者は,被告各ウェブページで販売されている被告各商品が原告の商品ではないことを認識し得たというべきである。 したがって,被告表示1についての原告の主張は理由がない。 (2) 被告表示2についてア被告表示2は「高性能・高 商品が原告の商品ではないことを認識し得たというべきである。 したがって,被告表示1についての原告の主張は理由がない。 (2) 被告表示2についてア被告表示2は「高性能・高品質」というものであり,被告各商品のうち,高除去タイプ及び標準タイプのいずれについても同表示をしているところ,原告は,同表示は虚偽で品質を誤認させるものであると主張する。 しかし,「高性能・高品質」との表示は一般的・抽象的であり,このような表示をすることについて客観的な基準が法令等で定められているものではない。また,商品の広告においては,自らが販売する商品の品質が高いと謳うことが一般的であり,需要者もそのことを認識し,また,商品の品質と価格の間には相関関係があると考えるのが通常であると考 えられる。そうすると,需要者が被告表示2の一般的・抽象的な表示か ら直ちに被告各商品の品質について誤認するとは考え難い。 イまた,高除去タイプの被告各商品における2-MIB(カビ臭)の除去率は,後記(4)のとおり,80%を上回ると認められるので,被告各商品(高除去タイプ)が「高性能・高品質」であるとの表示が虚偽であるということはできない。 この点について,原告は,被告各商品(高除去タイプ)における溶解性鉛,総トリハロメタン,クロロホルム,ブロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタン,1,1,1-トリクロロエタンの除去率が80%を大きく割り込んでいることから,被告表示2の内容は虚偽であると主張するが,これらの全ての物質の除去率が80%を超えなければ「高性能・高品質」 ではないということはできない。需要者は,商品の購入に当たり,種々の要素を考慮するのが通常であり,「高性能・高品質」と評価するかどうかは 物質の除去率が80%を超えなければ「高性能・高品質」 ではないということはできない。需要者は,商品の購入に当たり,種々の要素を考慮するのが通常であり,「高性能・高品質」と評価するかどうかは需要者の主観に委ねられていることに加え,後記(4)のとおり,被告各商品(高除去タイプ)の総ろ過水量800L通水時の2-MIB(カビ臭)の除去率が80%を上回ることに照らすと,同各商品が「高性能・ 高品質」であると表示したとしても,その表示が虚偽であるということはできない。 ウ原告は,標準タイプの被告商品についても,浄水カートリッジのろ過対象物質である遊離残留塩素,2-MIB(カビ臭)及びCAT(農薬)のろ過能力が十分ではないとして,被告表示2は虚偽であると主張する。 しかし,前記のとおり,被告表示2は一般的・抽象的であり,客観的な基準が法令等で定められているものではない上,需要者は,商品の購入に当たり,種々の要素を考慮するのが通常であり,「高性能・高品質」と評価するかどうかは需要者の主観に委ねられているというべきである。 被告各商品(標準タイプ)は,2-MIB(カビ臭),遊離残留塩素,C AT(農薬)の除去率はそれほど高くないとしても,1分当たりの浄水の 流量が被告各商品(高除去タイプ)より多いとの特徴を有しているものと認められ,こうした2-MIB(カビ臭)等の除去率以外の要素も考慮すると,被告各商品(標準タイプ)が他の同等の商品と比較して特に性能や品質において劣り,その品質について「高性能・高品質」であると表示することが虚偽であるということはできない。 エしたがって,被告表示2についての原告の主張は理由がない。 (3) 被告表示3についてア被告表示3のうち,カビ臭・農薬などの有害 することが虚偽であるということはできない。 エしたがって,被告表示2についての原告の主張は理由がない。 (3) 被告表示3についてア被告表示3のうち,カビ臭・農薬などの有害物質がしっかり除去されているという記載について,原告は虚偽であって,品質を誤認させる表示であると主張するが,後記(4)のとおり,被告各商品(高除去タイプ)の 総ろ過水量800L通水時における2-MIB(カビ臭)の除去率は80%を上回っているものと認められ,また,CAT(農薬)についても総ろ過水量1200L通水時の除去率が80%を上回っているのであるから(甲10の10),被告表示3の上記記載は虚偽ではないということができる。 イ原告は,被告表示3のうち,活性炭の使用に関し,その性能は,被告各商品(標準タイプ)の方が被告各商品(高除去タイプ)より優れているにもかかわらず,高除去タイプの活性炭の方が標準タイプの活性炭より品質が高いとの印象を需要者に与える表示をしている点で,需要者に品質について誤認をさせるものであると主張する。 しかし,被告各商品(標準タイプ)の「良質な活性炭を採用しています。」「より吟味した活性炭を使用する事で」との表示と被告各商品(高除去タイプ)の「良質な活性炭を吟味したうえで採用しています。」との表示を比較すると,需要者は,いずれのタイプの活性炭についても良質な活性炭を使用していると認識するにとどまり,高除去タイプの活 性炭が標準タイプの活性炭よりも格段に品質の優れたものであると認識 するとは認め難い。そうすると,原告の主張するとおり,被告各商品(標準タイプ)の活性炭の方が被告各商品(高除去タイプ)の活性炭よりもその性能が優れているとしても,被告各商品(高除去タイプ)に関する するとは認め難い。そうすると,原告の主張するとおり,被告各商品(標準タイプ)の活性炭の方が被告各商品(高除去タイプ)の活性炭よりもその性能が優れているとしても,被告各商品(高除去タイプ)に関する上記表示が虚偽であり,需要者にその品質を誤認させるものであるということはできない。 ウなお,原告は,被告が被告各商品の販売に当たり第三者機関による性能試験(販売前試験)を実施していない可能性が高いと主張するが,同事実を認めるに足りる証拠はない。 エしたがって,被告表示3が虚偽で,被告各商品(高除去タイプ)の品質に誤認を生じさせるものであるということはできない。 (4) 被告表示4及び5についてア被告表示4及び5は,JIS規格に基づく試験を行ったところ,被告各商品(高除去タイプ)についての2-MIB(カビ臭)の除去率が総ろ過水量800L通水時で80%であったことを内容とするものである。 イ原告は,被告表示4及び5が虚偽であり,その品質について誤認をさ せるものであると主張するが,原告及び被告らがインターネット上で高除去タイプの被告商品を購入し,それぞれ総合水研究所にJIS規格に基づく2-MIB(カビ臭)の除去性能試験(本件追試)を依頼した結果によれば,総ろ過水量800L通水時でその除去率はいずれも95%を上回るものであったと認められる(甲56,乙52)。同試験は,弁 論準備手続において検体の取得方法等について協議した上,原告及び被告らがインターネット上で被告商品(高除去タイプ)を購入し,同一の第三者機関に試験を依頼したものであり,その結果の信用性は高いということができる。 原告は,同試験結果について,被告グレイスランドが本訴係属中に被 告各商品(高除去タイプ)に充填されてい 第三者機関に試験を依頼したものであり,その結果の信用性は高いということができる。 原告は,同試験結果について,被告グレイスランドが本訴係属中に被 告各商品(高除去タイプ)に充填されている活性炭の量に関する仕様を 変更した可能性がある等と主張するが,そのような事実を認めるに足りる証拠はない。 ウ原告は,兵庫分析センターに依頼した総ろ過水量1200L通水時で2-MIB(カビ臭)の除去率が49.0%との試験結果(原告試験1。 甲10の11)に基づき,総ろ過水量800Lでの除去率を65.6%と 推計するが,同試験においては総ろ過水量800L通水時での2-MIB(カビ臭)の除去率を測定しておらず,その除去率が必ずしも総ろ過量が増えるに従って反比例して下がるとは限らないことに照らすと,総ろ過水量1200L通水時での試験結果に基づき被告各商品(高除去タイプ)の2-MIB(カビ臭)の除去率が総ろ過水量800L通水時において80 %を下回るということはできない。 エまた,原告は,総ろ過水量800L通水時において2-MIB(カビ臭)の除去率が77.2%であったとの試験結果(原告試験2。甲30)をもって,被告各商品(高除去タイプ)は総ろ過水量800L通水時において2-MIB(カビ臭)の除去率が80%を下回っていると主張するが, 同試験結果は,原告が楽天市場から被告商品の購入をしてから50日程度後に総合水研究所に依頼したものであり(甲30,31),原告が同商品の購入をした直後に試験を依頼しなかった理由は明らかではなく,購入から依頼までの検査対象品の保管状況も明らかでない。そうすると,上記試験結果に基づき,被告各商品(高除去タイプ)の2-MIB(カビ臭)の 除去率が総ろ過水量800L通水時で80%を下回っていると ら依頼までの検査対象品の保管状況も明らかでない。そうすると,上記試験結果に基づき,被告各商品(高除去タイプ)の2-MIB(カビ臭)の除去率が総ろ過水量800L通水時で80%を下回っていると認めることはできない。したがって,被告表示4及び5についての原告の主張は理由がない。 (5) 以上によれば,被告表示1~5までの原告の主張はいずれも理由がないので,その余の争点について検討するまでもなく理由がない。 2 結論 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官遠山敦士は,転補のため,署名押印することができない。 裁判長裁判官 佐藤達文 別紙被告ウェブサイト目録 1 被告ウェブサイト1URL(URLは省略) 2 被告ウェブサイト2URL(URLは省略) 別紙被告ウェブページ目録 1 被告ウェブページ1URL(URLは省略) 2 被告ウェブページ2URL(URLは省略) 3 被告ウェブページ3URL(URLは省略) 4 被告ウェブページ4URL(URLは省略) 5 被告ウェブページ5URL(URLは省略) 6 被告ウェブページ6URL(URLは省略) 別紙 被告ウェブページ4URL(URLは省略) 5 被告ウェブページ5URL (URLは省略) 6 被告ウェブページ6URL (URLは省略) 別紙被告商品目録 1 交換用カートリッジ標準タイプ 2 交換用カートリッジ高除去タイプ 3 交換用カートリッジ標準タイプ3本パック 4 交換用カートリッジ高除去タイプ3本パック 5 交換用カートリッジ標準タイプ2本パック 6 交換用カートリッジ高除去タイプ2本パック 別紙被告表示目録 1 タカギ社製浄水蛇口の交換用カートリッジをお探しの皆様へ 2 高性能・高品質 3 当社製品が採用している活性炭は,『塩素・カルキ臭』の除去はもちろん,『カビ臭・農薬などの有害物質』さえも除去可能な,良質な活性炭を吟味したうえで採用しています。 これらの有害物質がしっかり除去できているのかを確認する試験規格(JIS規格)がありますが,当社の高除去タイプカートリッジは,この試験を第三者機関で行い,しっかり除去されている事を確認済です。 4 カビ臭(2-MIB) 総ろ過水量 800L(除去率80% JIS規格試験結果) 5 ●2-MIB(カビ臭)総ろ過水量 800L(除去率80% JIS規格試験結果)
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