平成19(行ウ)654 政務調査費返還命令取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年7月25日 東京地方裁判所 地方自治
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判決文本文10,738 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求目黒区長が原告に対し平成19年5月1日付け目議第89号をもって命じた平成17年度分政務調査費の返還命令を取り消す。 第2事案の概要本件は,目黒区議会の議員である原告が,目黒区長が平成19年5月1日付けでした平成17年度分政務調査費の一部(広報紙の印刷費用(ダイレクトメール(DM)用折加工の費用及び振込手数料を含む。以下同じ。)の合計101万7240円。以下「本件費用」という。)の返還命令(以下「本件返還命令」という。)につき,本件費用は適法かつ正当な支出であるとして,その取消しを求めている事案である。 前提事実(顕著な事実,争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)目黒区長は,原告に対し,平成17年4月1日,平成17年度(同日から平成18年3月31日まで)の政務調査費の交付決定(交付決定金額204万円)をし,同月8日,平成17年4月分から同年9月分までの政務調査費として102万円を,同年10月7日,同年10月分から平成18年3月分までの政務調査費として102万円を支払った。(乙3,5)(2)目黒区議会議長は,平成18年4月7日,原告から,政務調査費収支報告書の提出を受けた。これには,平成17年度分として,収入204万円,支出合計180万9942円(内訳は,調査研究費1万8932円,資料購入費1万7180円,広報費165万3830円,人件費12万円),残余23万0058円との記載があった。(乙6) (3)目黒区長は,平成18年5月18日,原告から,上記(2)の残余金23万0058円の返還を受けた。(乙7)(4)原告は,平成18年5月及び同年9月,目黒区住民に対し,「○○」 。(乙6) (3)目黒区長は,平成18年5月18日,原告から,上記(2)の残余金23万0058円の返還を受けた。(乙7)(4)原告は,平成18年5月及び同年9月,目黒区住民に対し,「○○」と題する広報紙(甲2,3)を配布した(以下,これらの広報紙を併せて「本件広報紙」という。なお,同年5月に配布された広報紙(甲2)を「第1紙」といい,同年9月に配布された広報紙(甲3)を「第2紙」ということがある。)。(甲13)(5)本件広報誌には,民主党代表につき「小沢代表」とし,同党衆議院議員であった永田寿康(以下「永田議員」という。)につき「前議員」で「辞職となりました」等とする記載がある。(甲2,3)民主党代表として同党衆議院議員の小沢一郎(以下「小沢議員」という。)が選任されたのは,同年4月7日であり,永田議員が衆議院議員を辞職したのは,同年4月4日であった。(乙9,21ないし23)(6)目黒区監査委員は,平成18年12月27日,a目黒区議会議員から,原告の平成17年度分政務調査費に係る住民監査請求を受けた。(乙8の1)(7)目黒区監査委員は,平成19年2月23日,上記(6)の監査請求のうち,原告の平成18年3月31日付け広報紙印刷費用合計101万7240円(本件費用)は,平成17年度分政務調査費の使途として認められないとして,目黒区長に対し,同金額(本件費用相当額)の返還を30日以内に原告に請求することを勧告し,その余の請求を棄却した。(乙13)(8)目黒区長は,平成19年5月1日付けで,原告に対し,本件費用相当額の101万7240円の返還命令を発した(以下,これを「本件返還命令」という。)。 (9)原告は,平成19年10月22日,本件返還命令の取消しを求めて本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 争点 (1) 240円の返還命令を発した(以下,これを「本件返還命令」という。)。 (9)原告は,平成19年10月22日,本件返還命令の取消しを求めて本件訴訟を提起した。(顕著な事実) 争点 (1)当該年度の政務調査費として返還を要しない広報費は,当該年度内に現に行われた広報活動に要したものに限られるか。 (被告の主張の要旨)地方自治法100条13項及び目黒区政務調査費の交付に関する条例(平成13年目黒区条例第5号。以下「目黒区政務調査費条例」という。)は,年度単位で,議員の調査研究の基盤の充実及びその使途の透明性の確保を図っているから,これに基づき交付される政務調査費も,当該年度の会派又は議員の調査研究に資する経費でなければならない。目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示。以下「目黒区政務調査費規程」という。)は,広報費を政務調査費の使途として認めているが,その趣旨は,議会活動及び県政に関する政策等を県民に知らせ,県政に対する県民の意思を的確に収集し把握するための前提であるから,当該年度の政務調査費として返還を要しない広報費は,政務調査費の交付を受けた年度内に現に行われた広報活動に要した経費でなければならず,このことからすると,当該広報費が当該年度の政務調査費として返還を要しないものと認められるためには,当該広報費に係る広報活動が広報紙の発行である場合には,少なくとも当該年度内において広報紙の印刷が終了し,現実に当該広報活動が行い得る状態となっていなければならない。 (原告の主張の要旨)目黒区では,政務調査費として認められる広報費は,広報紙の発行が当該年度内に終了したものでなければならないとの解釈は採られていない。むしろ,すべての政務調査費について,年度内に支出があれば,当該政務調査の活動が行われるのが翌年度 られる広報費は,広報紙の発行が当該年度内に終了したものでなければならないとの解釈は採られていない。むしろ,すべての政務調査費について,年度内に支出があれば,当該政務調査の活動が行われるのが翌年度以降であっても,過年度であっても,支出された年度の正当な政務調査費として認められるというのが,当時の目黒区議会における一致した見解であった。 (2)原告が交付を受けた平成17年度の政務調査費のうち,本件広報紙に係る 本件費用の支出額は,次年度の広報活動に係るものとして返還を要するか。 (被告の主張の要旨)ア本件広報紙の内容は,平成18年度以降でなければ書くことのできない内容であるから,本件広報紙の印刷が,平成17年度内に終了していたと認めることはできない。したがって,原告が交付を受けた同年度の政務調査費のうち,本件広報紙に係る本件費用の支出額は,次年度の広報活動に係るものとして,返還を要する。 イのみならず,原告は,本件広報紙の配布を平成18年5月及び6月に配布する予定で準備したが,区民からの反響が大きかったため,その一部の配布を同年9月に延ばした旨主張する。この主張によれば,本件広報紙は,そもそも原告の平成18年度における広報活動のために作成されたものであることが明らかであり,平成17年度の政務調査費を平成18年度における政務調査活動に転用しようとするものであるから,本件広報紙に係る本件費用の支出額は,次年度の広報活動に係るものとして,返還を要する。 (原告の主張の要旨)ア原告は,本件広報紙2部の原稿を,平成18年3月28日までの間に,でき上がったものから順次,印刷業者である株式会社b(以下「b」という。)あてに送付し,版下作成,製版,校正及び印刷を依頼した上,印刷を終えたbから同月29日付けの印刷代等の請求書を受領し,同月31日 き上がったものから順次,印刷業者である株式会社b(以下「b」という。)あてに送付し,版下作成,製版,校正及び印刷を依頼した上,印刷を終えたbから同月29日付けの印刷代等の請求書を受領し,同月31日にbに対しその印刷費用を銀行送金した。刷り上がった本件広報紙2部各10万枚は,その後原告の指示に従い,同年5月に1部を,同年9月に他の1部を,それぞれポスティング業者(ビラやチラシを配布先の郵便受け等に投函する業者をいう。以下同じ。)に送付し,同業者を通じて区民に配布した。 イ被告は,本件広報紙の記載内容に,平成18年3月中に確定できなかった事実がある旨主張するが,これらの事実は同年3月中にも実現間近とい える段階に至っており,原告は,それを見通して,同年3月末までに原稿の作成及び印刷を了したのである。 ウしたがって,原告が交付を受けた平成17年度の政務調査費のうち,本件広報紙に係る本件費用の支出額は,当該年度の広報活動に係るものとして,返還を要しない。 第3争点に対する判断 争点(1)について(1)地方自治法100条13項は,「普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。 この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。」と定めている。 そして,この地方自治法の委任を受けて,目黒区政務調査費条例は,以下の内容を定めている(乙1)。 ア政務調査費は,会派又は議員に対して交付する(2条)。 イ議員一人に対する政務調査費の額は,月額17万円とする(3条2項)。 ウ政務調査費の交付を受けようとする会派の代表者又は議員は,毎年度,区長に申請しなければならない( に対して交付する(2条)。 イ議員一人に対する政務調査費の額は,月額17万円とする(3条2項)。 ウ政務調査費の交付を受けようとする会派の代表者又は議員は,毎年度,区長に申請しなければならない(5条)。 エ政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員は,当該政務調査費を目黒区政務調査費規程別表に定める使途基準に従って使用しなければならず(10条),当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を,翌年度の4月末日までに議長に提出しなければならない(11条1項)。 オ区長は,年度ごとに,当該会派又は議員がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派又は議員がその年度においてした支出のうち政務調査費を充てたものの総額を控除して残余がある場合には,政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員に対し,当該残余の額に相 当する額の政務調査費の返還を命ずることができる(13条)。 (2)上記のとおり,目黒区政務調査費条例において,会派又は議員に交付される政務調査費は,月額で金額が定められており,毎年度行われる申請に基づき各年度ごとの必要性に応じて交付され,その支出の金額及び使途も各年度ごとに報告するものとされ,かつ,各年度ごとに,当該年度に交付を受けた政務調査費のうち当該年度中に使用しなかった分を返還すべきものとされており,地方自治法においても,普通地方公共団体の財政は適正な財政の確保の観点から会計年度独立の原則(単年度主義)が採られ(同法208条),被告における歳出も同原則の適用を受けることを併せ考えると,これらの関係法令の規定及びその趣旨によれば,会派又は議員が当該年度において交付を受けた政務調査費は,当該年度内に現に当該年度の政務調査活動に必要な費用として使用されるべきことが所与の前提とされており,当該年度内に当該年度の政 趣旨によれば,会派又は議員が当該年度において交付を受けた政務調査費は,当該年度内に現に当該年度の政務調査活動に必要な費用として使用されるべきことが所与の前提とされており,当該年度内に当該年度の政務調査活動の費用として使用されなかった分は,同条例13条に従い被告に返還すべきものと解するのが相当であり,それが次年度の政務調査活動の費用として使用された場合には,次年度の政務調査費の要返還額から控除されるにとどまり,当該年度の要返還額から控除されるものではないというべきである。 (3)この点に関し,原告は,目黒区議会では,年度内に政務調査費の支出があれば,その費用に該当する政務調査活動が行われるのが翌年度以降であっても,過年度であっても,支出された年度の正当な政務調査費として認められるというのが,当時の一致した見解であった旨主張する。 しかしながら,上記(2)のとおり,関係法令の規定及びその趣旨によれば,当該年度分として交付された政務調査費のうち,次年度の政務調査活動に要した費用に充てられた金員は,当該条例の規定に従って返還を要するものと解される以上,仮に,目黒区議会における各会派及び議員らが主観的にこれと異なる見解を採っていたとしても,そのことによって,当該費用の返還の 要否に関する当該関係法令の解釈が左右されるものではないから,上記主張は,上記(2)の判断を左右するものではない。 なお,そもそも,原告の指摘に係る平成19年9月の目黒区議会決算特別委員会会議録(甲7)の記載によっても,原告主張の見解が平成17年度当時の同議会における一致した見解であったと認めるには足りず,また,以下のとおり,原告の指摘に係る甲8ないし10によっても,原告主張の同議会における一致した見解の存在を推認するには足りないというべきである。 ア甲8は,ある会派の であったと認めるには足りず,また,以下のとおり,原告の指摘に係る甲8ないし10によっても,原告主張の同議会における一致した見解の存在を推認するには足りないというべきである。 ア甲8は,ある会派の平成15年度分の政務調査費収支報告書及びその添付資料であるところ,その4枚目の駐車場使用料の領収証は平成16年9月16日付けであるが,同領収証には平成15年4月分から平成16年3月分までの駐車場使用料の支払に係るものであることが明記されており,当該報告書の作成日付が平成16年4月30日であることからすると,同領収証は,平成15年度の政務調査活動に要した費用に関するものであって,誤記等によりその記載上の日付と現実の支払日との間に齟齬が生じた可能性が高く,甲8をもって直ちに原告主張の一致した見解の存在を推認することはできない。 イ甲9は,他の会派の平成15年度分の政務調査費収支報告書及びその添付資料であるところ,同添付資料の3枚目には平成13年7月28日付けの領収証が含まれているが,同領収証の内訳には「航空券ツアー¥129600航空会社c15年8月20日」と記載されており,原告はこれをもって平成13年7月28日に同年8月20日の航空券を購入したものと主張するが,平成15年4月の改選を控えた(乙8の2,26)議員が研修費を支出し,改選後の任期まで2年間もこれに政務調査費を充てずに放置しておくことは考え難く,「平成15年」(同枚目の他の領収書の「2003年」又は「03年」に相当)の転記に際し「平成13年」との誤記が生じた蓋然性も併せ考えると,同領収証も,平成15年度の政務調 査活動に要した費用に関するものであって,誤記等によりその記載上の日付と現実の支払日との間に齟齬が生じた可能性が高く,甲9をもって原告主張の一致した見解の存在を推認す 証も,平成15年度の政務調 査活動に要した費用に関するものであって,誤記等によりその記載上の日付と現実の支払日との間に齟齬が生じた可能性が高く,甲9をもって原告主張の一致した見解の存在を推認することもできない(甲14中の原告の供述も,領収書の発行者の担当部署等につき不自然な点があり,上記の認定を左右するものとは認められない。)。 ウ甲10は,ある議員の平成18年度分の政務調査費収支報告書及びその添付資料であるところ,同報告書には,平成19年3月29日,電鉄会社のプリペイドカード(パスネット)1万円分及びバス会社のプリペイドカード(バス共通カード)2万円分が購入された旨の記載があり,その購入年月日からは,上記各プリペイドカードに係る運賃の一部が翌年度以降に使用された可能性は否定し難いが,一定額を前払する方式で発行される鉄道・バス運賃のプリペイドカードの特殊性等にかんがみると,上記甲10の記載から,直ちに,すべての政務調査費について,ある年度の政務調査費を過年度又は翌年度以降の政務調査活動の費用に充てることができるという認識が一般的に存在していたと推認することはできない。 エそして,他に,原告主張の一致した見解の存在を認めるに足りる証拠はない。 (4)以上によれば,当該年度の政務調査費として返還を要しない広報費は,当該年度内に行われた広報活動に要した費用に限られるというべきであり,この点に関する原告の上記主張は採用することができない。 争点(2)について(1)被告は,本件広報紙の第1紙及び第2紙のいずれも,平成17年度中には印刷が終了されていなかったとして,本件費用の支出額は返還を要する旨主張し,これに対し,原告は,本件広報紙の第1紙及び第2紙の印刷はいずれも平成17年度内である平成18年3月中に終了していた旨主張するとこ 終了されていなかったとして,本件費用の支出額は返還を要する旨主張し,これに対し,原告は,本件広報紙の第1紙及び第2紙の印刷はいずれも平成17年度内である平成18年3月中に終了していた旨主張するところ,上記1で検討したところを本件についてみるに,ある広報紙の印刷費用が, 社会通念上,当該年度内に行われた広報活動に要した費用に含まれると認められるためには,少なくとも,広報紙として印刷されるべき文面の内容が当該年度内に確定され,その確定された内容の文面での印刷を了している必要があるというべきであり,次年度に入ってから文面の内容を確定して印刷した広報紙を次年度に配布した場合には,当該広報紙の印刷費用は,仮に当該年度内に前払がされていたとしても,次年度の政務調査活動の費用として,次年度の政務調査費の要返還額から控除されるにとどまり,当該年度の要返還額から控除されるものではなく,当該年度の政務調査費をもって当該印刷費用に充てた場合には,当該費用の支出額は,目黒区政務調査費条例13条に従い,返還を要するものと解するのが相当である。 (2)本件においては,甲4の1ないし3及び同5によれば,bは,平成18年3月29日付けで,原告を名あて人とし,本件広報紙である「○○」の第1紙及び第2紙の印刷費用として合計101万6400円(消費税相当額を含む。)の支払を請求する旨の請求書を作成し,原告は,同月31日,bに対し,b名義の銀行口座への振込の方法により,同金額を送金したことが認められる。 (3)アしかしながら,前提事実(4)及び証拠(甲2,3,13)によれば,本件広報紙の第1紙及び第2紙は,いずれもその紙面上は平成18年3月付けとされているが,実際に配布されたのは,前者が同年5月であり,後者が同年9月であったことが認められる。 そして,本件広報紙(第 本件広報紙の第1紙及び第2紙は,いずれもその紙面上は平成18年3月付けとされているが,実際に配布されたのは,前者が同年5月であり,後者が同年9月であったことが認められる。 そして,本件広報紙(第1紙及び第2紙)には,小沢一郎(平成18年4月7日選出)が民主党代表であること,民主党の永田議員(同年4月4日辞職)が前衆議院議員であることなど,平成18年度に入ってから発生し,平成17年度中にはまだ実現していなかった事実が記載されていることが認められ(甲2,3),このことに照らすと,これらの本件広報紙の文面の内容は,平成17年度中に確定されていたと認めることはできず, 平成18年度に入ってから確定されたものと認めるのが相当である。 そして,①乙10の2,同12の2及び弁論の全趣旨によれば,本件広報紙のうち,第1紙は平成18年5月に配布され,ポスティング業者は,原告に対し,前金制とした上で同年5月19日付けで請求書を発行し,また,第2紙は平成18年9月に配布され,同ポスティング業者は,原告に対し,前金制とした上で同年9月22日付けで請求書を発行したこと,ポスティングの日時は支払日の4,5日前に提示されたこと,ポスティング業者に対する納品は配布日の前日又は前々日(第1紙については,同年5月22日又は23日,第2紙については,同年9月25日又は26日)であったことが認められ,②乙6によれば,原告が平成17年4月に広報紙を配布した際には,発行の打合せが同月1日に,印刷業者への支払及びポスティング業者への支払が同月8日に行われ,その時期が近接していたことが認められ,③乙8の3及び同19には,平成18年9月5日又は12日の時点では,本件広報紙のうち第2紙は印刷中であったとする記載があることを併せて考慮すると,本件広報紙については,平成18年度に入 とが認められ,③乙8の3及び同19には,平成18年9月5日又は12日の時点では,本件広報紙のうち第2紙は印刷中であったとする記載があることを併せて考慮すると,本件広報紙については,平成18年度に入って文面の内容が確定した後,同年4月以降の各配布時(同年5月又は9月)と近接した時期にそれぞれ印刷が行われたものと推認するのが相当である(その印刷費用が同年3月末に原告からbに対し前払されていたとしても,上記の認定が左右されるものではない。)。 イこの点に関し,原告は,本件広報紙の各原稿は,平成18年3月28日までの間に,でき上がったものから順次,原告からbあてに送付し,同年3月末までに印刷を了していたもので,小沢議員が民主党代表に就任すること及び永田議員が辞職することはいずれも同年3月中に実現間近の段階に至っており,それを見通して原稿を作成することができた旨主張し,原告の陳述書(甲13)中には上記主張に沿う供述部分がある。 しかしながら,小沢議員は,平成18年4月7日の選挙で,党員投票の 結果,同議員119票,菅直人72票で選出されるに至ったこと(乙21)によれば,小沢議員が民主党代表に就任することが,同年3月中に明らかになっていたと認めることはできず,また,民主党内で永田議員に対し議員辞職を求める説得が同年3月31日午前まで続いたが奏功せず,同日午後に民主党の当時の代表が辞意を表明するなどの経緯を経て,同日夕刻に永田議員が辞意を表明し,同年4月4日に辞職に至ったこと(乙9,22,23)によれば,同議員が「辞職」により「前議員」となった事実が同年3月中に既に確定していたと認めることはできず,これらの事実を文面に反映させた上で同年3月中に印刷を了することが可能であったとは認め難いので,原告の上記供述は採用することができない。 なお,原 同年3月中に既に確定していたと認めることはできず,これらの事実を文面に反映させた上で同年3月中に印刷を了することが可能であったとは認め難いので,原告の上記供述は採用することができない。 なお,原告は,甲3(第2紙)に,「杉並区では4月から区議会議員の費用弁償(中略)を廃止する条例を提案する予定」との記載がある旨指摘するが,甲3の他の箇所には,「杉並区では交通費(費用弁償)は廃止されました」との記載があり,甲2(第1紙)にも,被告において「4月から区議会議員の費用弁償(中略)を廃止する条例を提案し可決した」との記載があることからすると,本件広報紙のうち,甲3(第2紙)の原稿は,杉並区における当該条例の提案・可決の前後を通じて作成され,その可決成立後に確定したことがうかがわれ,甲2(第1紙)の原稿も,被告における当該条例の可決成立後に確定したものと認められるところ,民主党の代表及び永田議員に関する上記各記載の内容等を併せ考えると,原告が指摘する上記甲3の記載によっても,本件広報紙の文面の内容が平成18年度に入ってから確定したとの上記の認定が左右されるものではない。 また,原告の陳述書(甲13)中には,原告は,平成18年と平成19年は区民の関心を政治に寄せる年であると認識して,従前は1年度に通例2回発行していた広報紙を,平成18年の5月及び6月並びに平成19年3月の区議会に合わせて3回発行することとし,その費用に平成17年度 の政務調査費を活用するため,平成18年3月末まで本件広報紙の作成を延ばしたとする部分があるが,上記のとおり,同年3月末までに本件広報紙の印刷を了していたとは認められず,同年4月以降にその文面の内容が確定されて印刷が行われたものと認められる以上,原告の上記供述に係る事情は,むしろ,本件広報紙が現に平成18年度の広 までに本件広報紙の印刷を了していたとは認められず,同年4月以降にその文面の内容が確定されて印刷が行われたものと認められる以上,原告の上記供述に係る事情は,むしろ,本件広報紙が現に平成18年度の広報活動のために作成されたものであることを推認させるものというべきである。 (4)以上によれば,本件広報紙については,平成18年度に入って文面の内容が確定した後,同年4月以降の各配布時(同年5月又は9月)と近接した時期にそれぞれ印刷が行われたものと認められる以上,平成18年度の広報活動のために作成されたものというべきである。 したがって,本件広報紙の印刷費用である本件費用は,平成17年度内に前払がされていたとしても,平成18年度の政務調査活動の費用として同年度の政務調査費の要返還額から控除されるにとどまり,平成17年度の政務調査費の要返還額から控除されるものではなく,同年度の政務調査費をもって本件費用に充てた金員の支出額は,目黒区政務調査費条例13条に従い,返還を要するものと解するのが相当である。 以上によれば,原告に交付された平成17年度の政務調査費のうち,本件広報紙の印刷費用である本件費用に充てられた金員の返還を命じた本件返還命令は,適法であるというべきである。 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃 裁判官本間健裕裁判官倉澤守春

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