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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人三原道也の上告理由第一、二点について。論旨は、原判決は本件解約申入については正当事由を要しないとしているものであり、そうでなくても正当事由の判断を誤つている、という。しかし、所論原判示によれば、原審は本件賃貸借は締結から口頭弁論終結時までにすでに満四年近くを経過している事実をもつて本件解約申入の正当事由としている趣旨であつて、正当事由を要しないとしているものではないと解せられるからこの点の論旨はすでに前提を欠くものというべきである。さらに、原判決の確定した事実によれば、本件賃貸借契約は抵当権設定登記後に締結された期間の定めのないもので、被上告人は右抵当権が実行された結果本件建物を競落して所有権を取得した、というのであり、原判決、その引用する一審判決の事実摘示および記録に徴するも、上告人は被上告人の解約申入の正当事由に関し上告人側の事情について何ら主張立証していないのである。このような場合には被上告人の解約申入は原審確定の前記のような事実をもつて正当事由にあたるとした原審の判断は結局において正当として是認できる。この点の論旨は原判示にそわない事実を前提とするか、または独自の見解に立脚して原判決に所論の違法ありと主張するものである。以上により論旨はすべて採用できない。同第三点について。被上告人が原審第一回口頭弁論期日において陳述した準備書面によれば、本件家屋に対する上告人の賃借権が被上告人に対抗できるものとするも、被上告人は上告人に対し、本件訴状を以て解約の申入をなす旨の暗黙の意思表示(賃貸借契約の存- 1 -続と相容れない意思表示)をなしたのであり、右訴状は昭和三三年九月一一日上告人に送達されたか も、被上告人は上告人に対し、本件訴状を以て解約の申入をなす旨の暗黙の意思表示(賃貸借契約の存- 1 -続と相容れない意思表示)をなしたのであり、右訴状は昭和三三年九月一一日上告人に送達されたから法定期間の経過で本件賃貸借は終了し、従つて上告人は被上告人に対して本件家屋の明渡義務を負うという趣旨の主張がなされていることが明らかである(原判決事実摘示参照)。 は昭和三三年九月一一日上告人に送達されたか も、被上告人は上告人に対し、本件訴状を以て解約の申入をなす旨の暗黙の意思表示(賃貸借契約の存- 1 -続と相容れない意思表示)をなしたのであり、右訴状は昭和三三年九月一一日上告人に送達されたから法定期間の経過で本件賃貸借は終了し、従つて上告人は被上告人に対して本件家屋の明渡義務を負うという趣旨の主張がなされていることが明らかである(原判決事実摘示参照)。よつて被上告人の主張しない解約申入の事実を認定したとの所論は理由がない。同第四点について。第三点において述べたように原審で被上告人は解約申入をした旨主張したことは明らかであるから、当事者は正当事由をめぐつて自己の側の事情を主張、立証すべきものであり、この場合、裁判所が正当事由の有無につき当事者に所論のような釈明をしなければならない責務があるものとは解されない。論旨は採用できない。よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官奥野健一の補足意見ある外、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。裁判官奥野健一の補足意見は次のとおりである。期間の定めのない賃貸借は抵当権の登記後に登記したものであつても、一応これを以つて抵当権者ないし競落人に対抗することができるものと解すべきではあるが、既に民法六〇二条の期間を経過した場合においては、これを以つて競落人に対抗することができないものと解するのが相当である。けだし、若し期間の定めのない賃貸借が既に民法六〇二条の期間を経過した後でも、競落人に対抗ができるものと解することは、結果において民法六〇二条の期間を超える長期の賃貸借を抵当権者ないし競落人に対抗し得ることになり、民法三九五条の明文に反するからである。のみならず、競落人がかかる賃貸借の対抗を排除するためには、改めて賃貸借について解約申入の手続をしなければならないことになり いし競落人に対抗し得ることになり、民法三九五条の明文に反するからである。のみならず、競落人がかかる賃貸借の対抗を排除するためには、改めて賃貸借について解約申入の手続をしなければならないことになり、しかも、その解約申入については借家法一条ノ二により正当の事由のある場合でなければならない。そして単に競落人であるということだけで常に、直ちに競- 2 -落人の解約の申入につき正当の事由があるものと解し得るかは甚だ疑問であるのみならず、若し、仮に正当の事由を競落人のために有利に緩和すべきであるとの解釈が許されるものとしても、競落人は、少くとも借家法三条により六月間なお賃貸借の存続を甘受しなければならない不利益を科せられることになる。 法一条ノ二により正当の事由のある場合でなければならない。そして単に競落人であるということだけで常に、直ちに競- 2 -落人の解約の申入につき正当の事由があるものと解し得るかは甚だ疑問であるのみならず、若し、仮に正当の事由を競落人のために有利に緩和すべきであるとの解釈が許されるものとしても、競落人は、少くとも借家法三条により六月間なお賃貸借の存続を甘受しなければならない不利益を科せられることになる。かかる解釈は、民法三九五条が抵当権者ないし競落人に対し、民法六〇二条の期間を超える賃貸借の対抗を受けないものとした趣旨に反するものであること明らかであるから採るを得ない。本件上告を棄却する結論においては多数意見に同調するが、その理由において意見を異にする。最高裁判所第二小法廷裁判官池田克裁判官河村大助裁判官奥野健一裁判官山田作之助裁判長裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。裁判官池田克- 3 -
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