- 1 -平成29年3月16日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成27年(ワ)第37329号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日平成28年11月1日判決 原告X1 原告X2上記両名訴訟代理人弁護士大熊裕司 島川知子 被告株式会社データトロン 同訴訟代理人弁護士草 場 理津子主文 1 被告は,原告X1に対し,60万円及びこれに対する平成28年1月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告X1と被告の間ではこれを10分し,その9を同原告の,その余を被告の各負担とし,原告X2と被告の間では同原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求- 2 - 1 被告は,原告X1(以下「原告会社」という。)に対し,330万円及びこれに対する平成28年1月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らと被告との間において,別紙債務目録記載の債務(以下「本件損害賠償債務」という。)は存在しないことを確認する。 第2 事案の概要本件は,原告会社が被告から継続的に購入して顧客に納入していたGPSシステム端末及びソフトウェアにつき,①原告会社が必要のない端末の入替え及びソフトウェアの著作権(複製権)侵害を行っている旨の虚偽の事実を被告が上記顧客に対して文書で告知した行為が不正競争防止法2条1項15号の不正競争に該当すると主張して,原告会社が,被告に対し,同法4条に基づき損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)であ で告知した行為が不正競争防止法2条1項15号の不正競争に該当すると主張して,原告会社が,被告に対し,同法4条に基づき損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成28年1月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②原告らの本件損害賠償債務(被告のソフトウェアについての著作権(複製権)侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権)の有無について被告が争っていると主張して,原告らが,被告に対し,本件損害賠償債務の不存在確認をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)⑴ 当事者ア原告会社は,情報通信システムの企画,販売,施工,管理等を目的とする株式会社であり,原告X2はその代表取締役である。(甲1)イ被告は,コンピュータ装置並びに電子制御機器及びその部品の製造販売,賃貸借及び修理等を目的とする株式会社である。被告の代表取締役は,Aが務めていたが,平成24年2月20日にYが就任し,Aはその後退任した。(甲2)- 3 -⑵ TMS-1の仕組み等リアルタイムGPS運行管理システムTMS-1(以下「TMS-1」という。)は,事務所等に設置されるコンピュータと車載端末とがFOMA通信網等を利用して相互通信を行うことにより,運送会社等において車両の位置及び運行状態をリアルタイムで把握して車両の運行等を管理することができるようにするものである。これを利用するためには同コンピュータに被告が著作権を有する基地局ソフトであるTMS-1ソフト(以下「本件基地局ソフト」という。)及び他社が著作権を有する地図ソフトMapDK(以下「本件地図ソフト」という。)をインストールすることが必要である。本件 を有する基地局ソフトであるTMS-1ソフト(以下「本件基地局ソフト」という。)及び他社が著作権を有する地図ソフトMapDK(以下「本件地図ソフト」という。)をインストールすることが必要である。本件基地局ソフトのバージョン1(以下,本件基地局ソフト及び本件地図ソフトの個別のバージョンのものを,その番号を末尾に付して「本件基地局ソフト1」などという。なお,本件基地局ソフト2にはバージョン2.0,同2. 1等があるが,これらを合わせて「本件基地局ソフト2」ということがある。 本件基地局ソフト1についても同様である。)は本件地図ソフトⅣに,本件基地局ソフト2は本件地図ソフトⅤに各対応し,これらは相互に互換性がない。(甲3~5)⑶ 原告らと被告の間の取引原告X2は,平成18年11月頃から,TMS-1を被告から継続的に購入し,これを顧客に対して販売する事業を営んでいた。平成21年7月13日の原告会社の設立日以降は,原告会社が上記事業を行った。 上記⑵の各ソフト及び車載端末は,原告会社が発する注文書によって被告が原告会社に対して,原告会社が顧客に対して各販売し,顧客は原告会社に対しその代金を支払う。顧客は,これと併せて被告と通信サービスに関するサーバ契約を締結して,被告に対しサーバ利用料及び通信料を毎月支払うことを要する。 原告会社は,平成24年10月24日,同年5月31日付け発注に係るT- 4 -MS-1の売買契約を解除するとの意思表示をした。その後,被告はTMS-1の販売を,原告会社はこれと別のリアルタイムGPS運行管理システムの販売をそれぞれ行っており,両者は競争関係にある。 ⑷ 原告会社によるソフトウェアのインストール原告会社は,本件基地局ソフト2以降のものを,別紙顧客目録記載第1表の8社の顧客の端末にインストールし をそれぞれ行っており,両者は競争関係にある。 ⑷ 原告会社によるソフトウェアのインストール原告会社は,本件基地局ソフト2以降のものを,別紙顧客目録記載第1表の8社の顧客の端末にインストールして複製し(この複製につき被告の許諾があることは争いがない。),さらに,少なくとも同目録記載第2表の17社の顧客の端末にインストールして複製した(以下,上記8社に係るものを除く複製行為を「本件複製行為」という。)。 ⑸ 車載端末の交換等成田運輸株式会社(以下「成田運輸」という。)は,原告会社の顧客であり,車両20台分のTMS-1を利用していた。原告会社は,平成24年6月14日~16日頃,成田運輸から注文を受けたとして,TMS-1に必要な車載端末20式を新たに納入して従前の車載端末と交換し,併せて事務所用パソコン,本件基地局ソフト及び本件地図ソフトを更新した(以下,この交換及び更新を「本件端末交換等」という。)。(乙5の1,12の1)⑹ 被告による文書の発出被告は,原告会社がTMS-1を販売した運送会社等約70社に対し,次の文書を送付した。 ア TMS-1に関し,地図ソフトの新バージョンへの移行に際し,TMS-1の車載端末を入れ替える必要が全くないにもかかわらず,端末全ての入替えを原告会社の説明により実施された案件が判明したこと,被告は地図ソフト及び基地局ソフトのバージョンが変更になってもそのまま使えるように開発しており,端末の入替えの必要性が全くないこと,顧客において端末を入れ替える際には被告において必要性の有無等を確認することなどを記載した被告の(所在地は省略)事業所ASP事業部名義の平成25- 5 -年6月20日付け文書(甲11。以下「甲11文書」という。)イ元販売代理店であった原告会社が販売した被告の製品につき, 記載した被告の(所在地は省略)事業所ASP事業部名義の平成25- 5 -年6月20日付け文書(甲11。以下「甲11文書」という。)イ元販売代理店であった原告会社が販売した被告の製品につき,被告が著作権を持つ本件基地局ソフトを原告会社が違法にコピーし,十数社の顧客に提供又は販売していたことが現段階において判明したこと,被告が原告会社に対して刑事告訴,損害賠償請求等の法的手続をとる意向であることなどを記載した「違法コピーのご報告及び今後のご連絡」と題する被告代表取締役及び上記ASP事業部部長の連名の同年7月10日付け文書(甲12。以下「甲12文書」という。) 2 争点⑴ 本件端末交換等の必要性の有無(甲11文書により摘示された事実の虚偽性)⑵ 本件複製行為に対する被告の許諾の有無(甲12文書により摘示された事実の虚偽性,原告らによる著作権侵害の成否)⑶ 不正競争に関する被告の故意又は過失の有無⑷ 損害額 3 争点についての当事者の主張⑴ 争点⑴(本件端末交換等の必要性の有無)について(原告会社の主張)原告会社は,TMS-1の端末を入れ替える必要が全くないにもかかわらず,入替えを提案したことはない。また,Aから,クレームを訴える顧客によりサーバ契約を解約されないために,車載端末を交換して対処するよう指示されていた。 成田運輸に関しては,車載端末の通信エラーが多い,地図ソフトウェアが古い等のクレームがあったところ,端末の中には詰め物がされていたものや液体がこぼれた形跡のあるものがあった。そこで,原告会社は,上記クレームに対応するため,車載端末20台等の入替えを提案し,成田運輸の了解を- 6 -得て本件端末交換等を行ったものであり,原告会社の虚偽の説明に基づくものでない。 したがって,端末を入れ クレームに対応するため,車載端末20台等の入替えを提案し,成田運輸の了解を- 6 -得て本件端末交換等を行ったものであり,原告会社の虚偽の説明に基づくものでない。 したがって,端末を入れ替える必要性がないにもかかわらず原告会社の説明により入替えを実施した旨の甲11文書の摘示する事実は虚偽である。 (被告の主張)被告は,TMS-1の端末を原告会社に対して売却したものであるから,原告会社から購入した顧客の端末を代替機と交換するように指示したことはない。原告会社が主張する成田運輸の端末の交換について,被告は,成田運輸から,機能が新しくなっているので全端末の交換を勧められたことから交換したとの説明を受け,成田運輸の端末を確認したところ中古品が使い回されていたことから,この説明を信用したものである。原告会社から上記のように勧められなければ成田運輸が本件端末交換等に応じることはないから,甲11文書の記載は虚偽でない。 ⑵ 争点⑵(本件複製行為に対する被告の許諾の有無)について(原告らの主張)被告は,平成22年頃からTMS-1のバージョンが古いなどといった顧客からのクレームに対応して本件基地局ソフトをバージョンアップしており,原告会社は,Aからの依頼により,地図が古いなどといった苦情を述べる顧客が被告との間で締結しているサーバ契約の解約を防ぐため,本件基地局ソフトのバージョンアップ版の顧客へのインストールを行った。また,Aは,原告会社が新規の顧客を勧誘する際や,既存の顧客につきDOPAからFOMAへの切替契約をする際に,新しい地図ソフトが出たときは無償でバージョンアップすると説明して営業するよう指示していた。加えて,本件基地局ソフト2をインストールした顧客についての原告会社からの報告に対して被告の担当者が特段の異議を述べ ソフトが出たときは無償でバージョンアップすると説明して営業するよう指示していた。加えて,本件基地局ソフト2をインストールした顧客についての原告会社からの報告に対して被告の担当者が特段の異議を述べていないこと,本件基地局ソフト1を使用する顧客を含め全顧客用のDLLファイルを原告会社に送信したことその他の- 7 -被告の対応に照らすと,被告が原告会社による本件基地局ソフト2の複製行為を包括的に許諾していたことは明らかである。 したがって,本件基地局ソフトを違法にコピーした旨の甲12文書の摘示する事実は虚偽である。また,原告らによる著作権侵害はないから,本件損害賠償債務は存在しない。 (被告の主張)被告は,本件複製行為を許諾していない。 本件基地局ソフト1は本件地図ソフトⅣに対応していたところ,本件地図ソフトにつきⅣと互換性のないⅤが開発されたことから,被告は,これに対応する本件基地局ソフト2を開発したものであり,本件基地局ソフト1から2への無償のバージョンアップは認めておらず,Aがバージョンアップないしインストールを指示したこともない。被告は,原告会社に対し,本件基地局ソフト2をテスト目的で別紙顧客目録記載第1表の8社にインストールすることは認めていたが,一般的に顧客に対して恒久的にインストールを許諾する趣旨をこれに含めていない。 したがって,甲12文書の記載は虚偽でなく,また,原告らには著作権侵害を理由とする本件損害賠償債務がある。 ⑶ 争点⑶(不正競争に関する被告の故意又は過失の有無)について(原告会社の主張)被告は,①甲11文書につき,TMS-1の顧客と直接対面しておらず,端末機を入れ替える必要性について判断できる立場にない上,成田運輸以外に原告会社による被害を訴えた顧客がいないことからすれば,被告が 被告は,①甲11文書につき,TMS-1の顧客と直接対面しておらず,端末機を入れ替える必要性について判断できる立場にない上,成田運輸以外に原告会社による被害を訴えた顧客がいないことからすれば,被告が成田運輸に対して虚偽の事実を告げたことが明らかであること,②甲12文書につき,一方で本件基地局ソフト2のインストールを自ら許諾しておきながら,他方で原告会社が違法コピーを行ったとする甲12文書を送付していること,以上のことからして,被告に故意があることが明らかであるし,仮にそうで- 8 -ないとしても過失があるというべきである。 (被告の主張)争う。甲11文書及び甲12文書記載の各事実は前記のとおり虚偽でない上,前者につき助成金の不正受給にもかかわりかねないこと,後者につき地図ソフトの著作権侵害に当たるとして著作権者から顧客に対して使用の差止め等の請求がされるおそれがあったことから上記各文書を送付したものであり,故意,過失はいずれもない。 ⑷ 争点⑷(損害額)について(原告会社の主張)甲11文書及び甲12文書の送付により,顧客に大きな不安を与えたこと,顧客からの多数のクレームに対応することを余儀なくされたこと,成田運輸から損害賠償請求を受けたことから,原告会社の信用は著しく害された。これにより,原告会社は,300万円相当の無形的損害及び30万円相当の弁護士費用相当額の損害を被った。 (被告の主張)争う。被告は,責任原因がない以上,損害賠償債務を負うものでない。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(本件端末交換等の必要性の有無)について⑴ 甲11文書は,前記前提事実⑹アのとおり,地図ソフトの新バージョンへの移行に際し,車載端末を入れ替える必要が全くないにもかかわらず,これがあるかのように原告会社が顧客に対して説明 無)について⑴ 甲11文書は,前記前提事実⑹アのとおり,地図ソフトの新バージョンへの移行に際し,車載端末を入れ替える必要が全くないにもかかわらず,これがあるかのように原告会社が顧客に対して説明し,この説明に基づいて端末全数が入れ替えられた事実を摘示するものである。この事実が虚偽であるか否かを判断するに,証拠(個別に摘示するもののほか,甲58,59,原告X2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア成田運輸は,原告会社に対し,平成21年頃から平成24年6月頃にかけて,原告会社から購入したTMS-1につき,多数回にわたり,車載端- 9 -末のGPSランプの点滅状態が続く,通信が不能ないし不安定である,位置情報が把握できないなどの不具合を訴えた。車載端末の中には,飲料をこぼした痕跡が見られるもの,内部に詰め物がされていたものがあったが,特段の異状がないものもあった。原告会社は,被告に相談するなどした上で無償で対応し,車載端末の一部については代替機を提供するなどしたが,不具合の訴えは続いた。(甲32~35)イ原告会社は,不具合を解消するために,20台の車両全てにつき車載端末及びモバイルアークを交換すること,従前のリース契約は原告会社が解約料を負担して解約し,成田運輸はトラック協会から助成金を受けた上で新たなリース契約を締結することを提案した。成田運輸は,これに応じて,平成24年6月11日,原告会社に対してその旨の注文を発した。原告会社は,新たな端末の外装に封印シール及びテープを貼り付けた上,同月14日から16日にかけて本件端末交換等を実施した。原告会社が納品した車載端末には中古品も含まれていたが,その後,成田運輸から不具合を指摘されることはなかった。(甲36,乙4の1及び2,5の1,12の1及び2)⑵ 上記 件端末交換等を実施した。原告会社が納品した車載端末には中古品も含まれていたが,その後,成田運輸から不具合を指摘されることはなかった。(甲36,乙4の1及び2,5の1,12の1及び2)⑵ 上記事実関係によれば,①原告会社は,成田運輸からの不具合の訴えに数度にわたって無償で対応してきたところ,なお不具合の訴えが続くことから,これに対応する必要があったこと,②不具合には車載端末の使用方法を原因とするものであって交換により不具合の解消及び予防をすることができるものと原因が不明のものとがあったことが明らかである。そうすると,成田運輸におけるTMS-1全体を最新のものとして不具合が生じる可能性を低減させる方法をとることに合理性があったとみることができるのであって,原告会社は,上記不具合を解消する目的で,成田運輸の了解を得た上で,本件端末交換等を実施したと解すべきものである。 以上によれば,本件端末交換等に関するこうした経緯と甲11文書が摘示- 10 -する前記事実が異なることが明らかであるから,同事実は虚偽であると認めるのが相当である。 そして,原告会社と被告は競争関係にあり(前記前提事実⑶),甲11文書の摘示する上記事実はその内容に鑑み原告会社の営業上の信用を害するものと解されるから,被告による甲11文書の送付は不正競争防止法2条1項15号の不正競争に該当すると認められる。 ⑶ これに対し,被告は,成田運輸が本件端末交換等に応じたのは原告会社から車載端末の機能が新しくなったので全端末の交換が必要であるとの説明を受けたためである旨主張する。 そこで判断するに,前記事実関係によれば,原告会社は自ら解約料を負担して成田運輸における不具合の解消に努めているのであり,あえて虚偽の説明をする動機は見当たらず,原告会社が成田運輸の主張す る。 そこで判断するに,前記事実関係によれば,原告会社は自ら解約料を負担して成田運輸における不具合の解消に努めているのであり,あえて虚偽の説明をする動機は見当たらず,原告会社が成田運輸の主張する説明をしたと認めるに足りる証拠はない。したがって,被告の主張は失当と解すべきである。 2 争点⑵(本件複製行為に対する被告の許諾の有無)について⑴ 原告らは,原告会社による本件基地局ソフト2の複製を被告が包括的に許諾していたとして,原告会社がこれを違法にコピーした旨の甲12文書の記載は虚偽であり,原告らは著作権侵害に基づく本件損害賠償債務を負わないと主張する。 ⑵ そこで判断するに,前記前提事実に加え,証拠(個別に摘示するもののほか,甲58,59,乙26,証人A,同B,原告X2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件基地局ソフト1が対応する本件地図ソフトⅣは平成19年頃から更新されておらず,平成22年頃以降,原告会社はTMS-1の既存の顧客から地図が古いとの苦情を度々受けており,また,地図が古いことが新規の顧客の勧誘の妨げとなっていた。その後,本件地図ソフトⅣが本件地図ソフトⅤに更新されたが,同ソフトは本件基地局ソフト1に対応していな- 11 -かったので,被告は本件基地局ソフト2を新たに開発した。 イ被告は,平成23年5月頃までに本件基地局ソフト2.0を作成し,その市場テストの実施を計画した。被告は,同月23日,同ソフトのCD-ROMを原告会社に送付して評価の協力を依頼し,原告会社はこれに応じた。(甲21,乙20,21)ウ原告会社は,同月頃以降に新規にTMS-1の顧客になった会社に対しては本件基地局ソフト2及び本件地図ソフトⅤを納入することとし,別紙顧客目録記載第1表の8社につき,同年6月頃から平成 ,21)ウ原告会社は,同月頃以降に新規にTMS-1の顧客になった会社に対しては本件基地局ソフト2及び本件地図ソフトⅤを納入することとし,別紙顧客目録記載第1表の8社につき,同年6月頃から平成24年2月頃までの間に順次,被告に注文書を交付した上で,上記各ソフトをインストールした。被告から原告会社への販売価格は1社当たり60万円(消費税別。 本件基地局ソフト2,本件地図ソフトⅤ,モバイルアーク,契約手数料等の合計額。なお,被告による本件地図ソフトⅤの仕入価格は15~18万円程度である。)であったが,被告は代金の支払を本件基地局ソフト2の完成後とすることを了解した。一方,原告会社は,本件基地局ソフト1及び本件地図ソフトⅣを使用中の既存の顧客約70社のうち同目録記載第2表の17社に対して,平成23年8月頃から平成24年7月頃までの間に順次本件基地局ソフト2及び本件地図ソフトⅤをインストールしたが(これが本件複製行為である。),インストール先の会社名を被告に伝えなかった。これら以外の既存の顧客は,本件基地局ソフト1の使用を継続した。 (甲22,23,乙16の1~8,被告代表者)エ原告会社は,平成23年8月頃以降,本件基地局ソフト2のインストール先から同ソフトに不具合があるとの指摘を受ける都度,その旨を被告に連絡した。被告は,これに応じて同ソフトの修正を続け,本件基地局ソフト2.1,同2.2等を原告会社に順次納入した。原告会社から被告への上記連絡においては,上記第2表中の会社名が記載されたものもあった。 被告は,同年9月頃の時点では,本件基地局ソフト2の完成は平成24年- 12 -3月頃になると見込んでいた。被告は,また,本件基地局ソフト1の不具合を発見したときは,これを修正した本件基地局ソフト1.50等を作成し,原告会社に納入した フト2の完成は平成24年- 12 -3月頃になると見込んでいた。被告は,また,本件基地局ソフト1の不具合を発見したときは,これを修正した本件基地局ソフト1.50等を作成し,原告会社に納入した。(甲22~24,30,38,39,44~47,乙24)オ被告は,同月30日付けで,原告会社に対し,前記第1表の8社分のTMS-1の販売代金480万円(消費税別)の支払を請求した。これに対し,原告会社は,翌月上旬,不具合が修正されたか否かの確認が未了なこと,8社分の本件基地局ソフト等の納品がないことから,現時点では支払できないと答えたが,被告は,不足分は確認して連絡するとした上,速やかに支払うよう求めた。(甲42,43,乙11)カ被告は,同年5月頃,本件基地局ソフト1及び2につき,各顧客の使用するソフトウェアのシリアル番号を把握する方法によりコピープロテクトをかけることとし,顧客ごとに個別のDLLファイルを必要とする仕様に変更した本件基地局ソフト1.55及び2.5を開発した。被告は,同年7月31日,原告会社に対し,本件基地局ソフト2.5は最終確認ができ次第送付するが,同1.55については後日連絡する旨伝えた。そして,その翌日,本件基地局ソフト2.5と共に,本件基地局ソフト1及び2の全顧客のDLLファイルを送付し,更新先の顧客に合わせてこれを使用するよう依頼した。(甲48,49,50の1~4,乙22,27,被告代表者)⑶ 上記事実関係によれば,①被告は原告会社の協力を得て市場テストを実施する目的で本件基地局ソフト2.0を送付したものであり,本件基地局ソフト1を使用する既存の顧客の多くは同ソフトの使用を継続したこと(上記⑵イ及びウ),②被告は原告会社からの報告を受けて本件基地局ソフト2の改良を続けていたが,平成24年4月の時点で り,本件基地局ソフト1を使用する既存の顧客の多くは同ソフトの使用を継続したこと(上記⑵イ及びウ),②被告は原告会社からの報告を受けて本件基地局ソフト2の改良を続けていたが,平成24年4月の時点で不具合が解消し切れていなかったこと(同エ及びオ)が明らかである。また,被告は本件基地局ソフト2の- 13 -開発に多大な時間及び労力を費やしており(同イ~カ),同ソフトの完成後にこれを販売することで投下資本を回収することを見込んでいたと解される。 そうすると,本件基地局ソフト2の開発により直ちに既存の顧客全てにつき本件基地局ソフト1を同2に変更することは予定されていなかったのであって,上記テスト目的の場合を除き,原告会社が本件基地局ソフト1を使用中の顧客に対して本件基地局ソフト2をインストールすることを被告が許諾していたとは認められないと判断するのが相当である。 以上によれば,本件基地局ソフト2の複製につき包括的な許諾があったことを前提に,甲12文書の送付が不正競争に当たるとする原告会社の損害賠償請求及び著作権侵害による損害賠償債務を負わないとする原告らの債務不存在確認請求は,いずれも理由がない。 ⑷ これに対し,原告らは,①被告には地図ソフトが古いといった苦情を述べる顧客によるサーバ契約の解約を防ぐ目的があったこと,②新規顧客の勧誘に当たり新しい地図ソフトが出たときは無償でバージョンアップすると説明するよう指示していたこと,③通信方式の変更についても同様であったこと,④本件複製行為の対象となった顧客に係る不具合の報告に被告が対応していたこと,⑤本件基地局ソフト2.5について全顧客分のDLLファイルが送信されたことから,被告が本件基地局ソフト2の複製を包括的に許諾したことは明らかである旨主張する。 そこで判断するに,上記①につき, ,⑤本件基地局ソフト2.5について全顧客分のDLLファイルが送信されたことから,被告が本件基地局ソフト2の複製を包括的に許諾したことは明らかである旨主張する。 そこで判断するに,上記①につき,証拠(乙6の3,12の1,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告はTMS-1の顧客から車載端末1台当たり月額1000円の通信サーバ利用料及び同1200円~1800円程度の通信料を受領していること,前者は被告がTMS-1のために用いるサーバの管理費用等に充てられ,後者は通信会社に支払われていることが認められる。そうすると,サーバ契約により得られる被告会社の利益は本件基地局ソフト2の価格(前記⑵ウ参照)に比し低廉であり,同契約の維持は包括- 14 -的な許諾を行う動機として薄弱と解される。②につき,Aが原告ら主張のような指示をした事実があったとしても,原告会社がこれを理由に本件基地局ソフト2をインストールしたとするのは前記第2表の会社の一部であるにとどまり,それ以外の会社についての複製権侵害の成否の判断に影響するものでない。③につき,通信方式の変更に当たっての被告宛の依頼書等(甲26,27)に本件基地局ソフトのバージョン等の記載はなく,通信方式の変更とソフトウェアの更新との関連性は明らかでない。④につき,被告が不具合に対応したことはテスト目的によるインストールを認めていたことと矛盾するものでない。⑤につき,DLLファイルの中には本件基地局ソフト1を用いる顧客に対応するものが含まれており,全ての顧客への本件基地局ソフト2のインストールを認めたものとみることはできない。 したがって,原告らの上記主張はいずれも失当である。 3 争点⑶(不正競争に関する被告の故意又は過失の有無)について⑴ 前記1のとおり甲11文書を顧客に対して送付した行 とみることはできない。 したがって,原告らの上記主張はいずれも失当である。 3 争点⑶(不正競争に関する被告の故意又は過失の有無)について⑴ 前記1のとおり甲11文書を顧客に対して送付した行為が不正競争防止法2条1項15号の不正競争に該当するところ,原告会社は,被告には上記不正競争につき故意又は過失があると主張する。 ⑵ そこで判断するに,証拠(乙15,27,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,本件端末交換等の経緯につき成田運輸から事情を聴取した上で,成田運輸に納入された端末の製造番号とトラック協会に申請した装着証明書記載の製造番号が異なり,同協会からの助成金の交付手続に関して不審な点がみられたことから,成田運輸の説明を真実と認めた一方で,原告会社に対して何らの照会も行っていないこと,上記助成金が成田運輸に交付されるものであって原告会社に交付されるものでないこと,以上の事実が認められる。他方,本件の証拠上,被告が成田運輸に対して積極的に虚偽の事実を告げたと認めることはできない。 ⑶ 上記事実関係によれば,甲11文書に記載された前記事実が虚偽であると- 15 -被告が認識していたと認めることはできず,被告に故意があると認めることは困難である。その一方で,上記の不審な点がみられたとしても,原告会社が直ちに利益を得るものでなく,虚偽の説明をする動機付けとならないことに照らすと,被告としては,顧客に対して甲11文書を送付する前に,原告会社に対して照会するなど成田運輸の説明の真偽について調査を行う注意義務があったというべきところ,何ら調査を行わなかったものである。したがって,甲11文書の送付行為につき,上記注意義務を怠った過失が被告にあると認められる。 4 争点⑷(損害額)について進んで上記不正競争による原告会社 ,何ら調査を行わなかったものである。したがって,甲11文書の送付行為につき,上記注意義務を怠った過失が被告にあると認められる。 4 争点⑷(損害額)について進んで上記不正競争による原告会社の損害について判断するに,甲11文書が原告会社による欺罔行為を指摘するものであって原告会社の信用が相当程度損なわれるものとみられること,同文書が原告会社の70余りの顧客に対して送付されたこと,その後,原告会社が,甲11文書の送付が理由であるかは定かでないものの,約30の顧客を失ったこと(原告X2)など本件に現れた事情に鑑みると,原告会社の営業上の信用が損なわれたことによる損害の額は50万円を相当と認める。 弁護士費用については,上記認定の損害額,本件訴訟の経過等の事情に照らし,10万円を相当と認める。 5 結論以上によれば,原告会社の不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求は60万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,原告らのその余の請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官長谷川 浩 二- 16 - 裁判官萩原孝基 裁判官林 雅子- 17 -(別紙)債務目録 原告らが平成18年12月頃から平成24年10月24日までの間に被告の許諾を受けずにリアルタイムGPS運行管理システムTMS-1のソフトウェアを複製(インストール)したことを前提とする原告らの被告に対する不法行為に基づく損害賠償債務- 18 -(別紙)顧客目録 第1表●省略●第2表●省略● 損害賠償債務 (別紙)顧客目録 第1表●省略 第2表●省略
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