主文 被告人を懲役4年6月に処する。 未決勾留日数中80日をその刑に算入する。 被告人から金3億1040万円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,暴力団A組B組組長として,大阪市a区bc丁目d番e号において,組織的な常設賭博場である通称「C」を開設し,俗に「賽本引」と称する賭博を行うとともに,その客から寺銭名下の金銭を徴収し利益を図ることを共同の目的とする団体である,A組D組組長E及び上記B組組員ら約24名で構成された継続的結合体を指揮していたものであるが,上記Eらと共謀の上,上記団体の活動として,第1平成17年1月1日から同18年1月23日までの毎日の午後6時ころから翌日の午前6時ころまでの間及び同月24日午後6時ころから同月25日午前零時5分ころまでの間,前記賭博場において,Eら団体関係者が別紙記載の各役割を分担するなどし,その分担に従って,賭博場を開張し,さいころ及び張り札等を使用し,賭客のFらに,金銭を賭けさせて「賽本引」と称する賭博を行わせ,その際,同人らから寺銭名下に金銭を徴収し,もって,団体の活動として,賭博開張図利の罪に当たる行為を実行するための組織により,賭博場を開張して利益を図った第2前記日時場所において,Eら団体関係者が別紙記載の各役割を分担するなどし,その分担に従って,常習として,前記Fらを相手方としてさいころ及び張り札等を使用して金銭を賭け,もって,団体の活動として,常習賭博の罪に当たる行為を実行するための組織により,常習として「賽本引」と称する賭博をしたものである。 (証拠の標目) (以下の括弧内の甲を付した数字は証拠等関係カード記載の検察官請求番号を示す。)判示事実全部について被告人の公判供述Eの検察官調書謄本(甲17),警察官調書謄本(甲16)G(甲18),H(甲24),I の括弧内の甲を付した数字は証拠等関係カード記載の検察官請求番号を示す。)判示事実全部について被告人の公判供述Eの検察官調書謄本(甲17),警察官調書謄本(甲16)G(甲18),H(甲24),I(甲25),J(甲27),K(甲30),L(甲31),M(甲32),N(甲33),O(甲34),P(甲35),Q(甲36),R(甲37),S(甲38),T(甲48,49),U(甲52)の検察官調書謄本Vの検察官調書謄本(甲23),警察官調書謄本(甲19~22)Wの検察官調書謄本(甲29),警察官調書謄本(甲28)Xの検察官調書謄本(甲45),警察官調書謄本(甲39~44)Y1(甲6,7),Y2(甲8),Y3(甲9),Y4(甲10),Y5(甲11),Y6(甲12),Y7(甲13),F(甲14,15)の警察官調書謄本写真撮影報告書(甲1,2)捜査報告書謄本(甲4,5)(累犯前科)被告人は,平成9年2月5日大阪地方裁判所でモーターボート競走法違反の罪により懲役1年10月及び罰金50万円に処せられ(同10年3月10日確定,懲役刑の始期同年6月15日),同12年2月13日その懲役刑の執行を受け終わったものであり,この事実は前科調書(乙4)及び判決書謄本(乙6)によって認められる。 (法令の適用)罰条判示第1の各所為は包括して刑法60条,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律3条1項2号(刑法186条2項),判示第2の各所為は包括して刑法60条,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律3条1項1号(刑法186条1項)累犯加重いずれも刑法56条1項,57条(再犯)併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑 〔なお,賭博開張図利幇助と賭博の事案であるが,に法定の加重同じ日・場所での賭 重いずれも刑法56条1項,57条(再犯)併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑 〔なお,賭博開張図利幇助と賭博の事案であるが,に法定の加重同じ日・場所での賭博開張図利幇助の事実と賭博の事実が併合罪の関係にあることにつき,最二小決昭和45年7月10日・裁判集)〔刑事〕177号171頁参照〕未決勾留日数の算入刑法21条追徴組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律16条1項本文,13条1項1号なお,追徴につき付言するに,上記法律13条1項の没収は経費を控除する要がなく,追徴(刑事裁判資料第276号101頁)(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の解説)(刑法19条の2につき大コンメンタール刑法〔第二版〕についてもこれと同様であるところ,本件賭博場での1日分の平均収益については,毎日場に出ていたEを始第1巻451頁)めとする共犯者らが一致して約80万円であった旨供述しており,その根拠も,組長である被告人への上納分,共犯者らの日当のほか必要経費分を踏まえた具体的で説得性のあるものであること,また,多くの共犯者らの供述から,その程度の収益がノルマとされていたと認められ,捜査が入った当日中途の収益も115万1000円あったこと,その他,本件賭博は結局は胴側が儲ける仕組みになっていたこと,及び同賭博の規模等にも照らせば,上記収益についての共犯者らの供述は十分信用するに足るものであって,1日分の平均収益は少なくとも80万円であった旨の複数の共犯者の供述にも照らし,本件の追徴額については,1日分の平均収益を80万円と認めた上,その388日分の3億1040万円とした。 (量刑の理由)本件は,判示組織的な犯罪として,賭博開張図利(第1)及び常習賭博(第2)を首謀し,配下の者 ついては,1日分の平均収益を80万円と認めた上,その388日分の3億1040万円とした。 (量刑の理由)本件は,判示組織的な犯罪として,賭博開張図利(第1)及び常習賭博(第2)を首謀し,配下の者らに実行させた,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の事案であるが,被告人は,平成以降,モーターボート競走法違反(呑行為)の罪で2度判決を受けて,2回目では前記累犯前科のとおり実刑となり服役しながら,平成12年2月14日に満期出所した後,前裁判で解散を決意したはずのB組を再び立ち上げ,早 くも平成14年夏ころ本件賭博場の開張者となって以降,本件起訴分でも平成17年1月1日から実に389日間休みなく賭博場を組織的に開張して巨額の不法収益を得たものであり,それが場に出た組員や組関係者らの高額な日当のほか多くが組の収入源となったことに照らしても,本件は反社会性が誠に著しい悪質極まりない犯行であって,被告人の賭博についての規範意識の欠如と常習性も甚だ顕著である。同種前科で服役もしながらなおも暴力団組長として本件を主導した被告人の刑責は相当に重い。そこで,組の解散を改めて申述するなどして本件につき反省の態度を示していること,社会福祉法人等に相当額の寄附をしていること,健康状態が優れないこと,高齢の域に達しつつあることなど被告人のために酌むべき事情も併せ総合考慮の上,主文の量刑をした。 (求刑懲役6年)平成18年11月17日大阪地方裁判所第12刑事部裁判官西森英司 別紙氏名地位役割1EA組若頭補佐兼D組組長現場責任者,シケ張り2GA組B組舎弟頭補佐盆守,合力,胴師3V上記B組若頭補佐盆守,采配,合力,胴師4HA組D組関係者帳付け,胴師※5ZB組本部長合力,胴師6IB組若中合力,胴師 ケ張り2GA組B組舎弟頭補佐盆守,合力,胴師3V上記B組若頭補佐盆守,采配,合力,胴師4HA組D組関係者帳付け,胴師※5ZB組本部長合力,胴師6IB組若中合力,胴師7JB組若頭補佐合力,胴師8W上記D組関係者合力,胴師9KD組関係者合力,胴師LB組関係者胴師,走り 11 OA組若中合力,胴師,シケ張り 12 PB組若中シケ張り 13 MB組舎弟頭補佐下足番 14 NMの元妻賄いXB組若頭采配,胴師 16 TB組若頭補佐帳付け,胴師 17 UA組若中盆守,胴師 18 QB組組員胴師 19 RB組関係者合力,胴師SB組関係者走り※Hについては別件でその地位が争われており,本件でも上記認定に止めたものである。 役割内容采配胴師の交代を命じる者胴師賭客を相手にさいころ及び張り札等を使用して金銭を賭けるなどの役割をする者合力客に配当金を配ったり,張り金を回収したりする者,また,寺銭を徴収する者盆守客の不正行為の監視などをする者賭博場の外付近において,賭客を案内し,警察官の動向等を監視する者シケ張り帳付け胴師の勝敗及び胴前金の増減を記帳する者走り賭客らへの飲食物の提供及び接客などをする者賄い賭客や胴側の者のための料理を作る者下足番客の履物を整理する者
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