主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人大江洋一の上告受理申立て理由について 本件は、土地の買戻特約付売買において買戻権が行使されたことにより買主が取 得した買戻代金債権について、買主から右土地につき根抵当権の設定を受け、その 旨の登記を経由した被上告人が物上代位権の行使としてした差押えと買主の債権者 である上告人が右登記の後にした差押えとが競合し、供託された買戻代金の配当手 続において、被上告人による差押えが優先するとして配当表が作成されたため、上 告人が、被上告人に対し、買戻しにより右根抵当権が消滅したことを理由に買戻代 金債権に対する物上代位権の行使は許されないと主張して、右配当表の変更を求め ている事案であり、右物上代位権の行使の可否が争点となっている。 【要旨】買戻特約付売買の買主から目的不動産につき抵当権の設定を受けた者は、 抵当権に基づく物上代位権の行使として、買戻権の行使により買主が取得した買戻 代金債権を差し押さえることができると解するのが相当である。けだし、買戻特約 の登記に後れて目的不動産に設定された抵当権は、買戻しによる目的不動産の所有 権の買戻権者への復帰に伴って消滅するが、抵当権設定者である買主やその債権者 等との関係においては、買戻権行使時まで抵当権が有効に存在していたことによっ て生じた法的効果までが買戻しによって覆滅されることはないと解すべきであり、 また、買戻代金は、実質的には買戻権の行使による目的不動産の所有権の復帰につ いての対価と見ることができ、目的不動産の価値変形物として、民法三七二条によ り準用される三〇四条にいう目的物の売却又は滅失によって債務者が受けるべき金 銭に当たるといって差し支えないからである。 - 1 - 以上と同旨に でき、目的不動産の価値変形物として、民法三七二条によ り準用される三〇四条にいう目的物の売却又は滅失によって債務者が受けるべき金 銭に当たるといって差し支えないからである。 - 1 - 以上と同旨に帰する原審の判断は是認することができ、原判決に所論の違法はな い。論旨は採用することができない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 元原利文 裁判官 千種秀夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 奥田 昌道) - 2 -
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