主文 1 別紙処分目録記載の各処分をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主位的請求主文同旨 2 予備的請求被告は,原告に対し,7355万0253円並びにうち2961万5253円に対する平成27年10月31日から,うち1414万1100円に対する 平成28年9月3日から,うち1414万1100円に対する平成29年6月24日から及びうち1565万2800円に対する平成30年6月16日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,大阪市道築港深江線(以下「築港深江線」という。)及び大阪府道 高速大阪東大阪線(阪神高速道路。以下「本件高速道路」という。)の各高架の下に位置する船場センタービル(地下2階,地上2~4階建て鉄筋コンクリート造のビル10棟。以下「本件ビル」と総称する。)の区分所有者の団体の管理者である原告が,主位的に,被告が原告に対してした,本件ビルを占用物件とする大阪市中央区船場中央1~4先(本件高速道路高架下)の占用に係る, 平成26年度から平成30年度までの各占用料の納入告知(以下,それぞれ「平成26年度納入告知」等といい,これらを総称して「本件各納入告知」という。)が,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決,決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)」に該当する旨主張し,同条2項所定の処分の取消しの訴えとして, その取消しを求め,予備的に,不当利得返還請求権に基づき,原告が被告に支 払った平成26年度から平成30年度までの占用料,延滞金及び督促手数料の合計額に相当する7355万0253円及びこれに対する の取消しを求め,予備的に,不当利得返還請求権に基づき,原告が被告に支 払った平成26年度から平成30年度までの占用料,延滞金及び督促手数料の合計額に相当する7355万0253円及びこれに対する本件各納入告知の取消しを求める訴えを提起し,又は請求を追加する書面が被告に送達された日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 関係法令等の定め関係法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」記載のとおりである(同別紙中で定めた略称は,以下においても同様に用いる。)。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 当事者ア原告は,本件ビルにつき,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)に定める管理者である(甲1)。 イ被告は,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の定めるところにより設立された独立行政法人であり,同法及び日本道路公団等民営化 関係法施行法により,阪神高速道路公団(以下「公団」という。)が行っていた本件ビルに係る業務並びに公団の本件ビルに係る権利及び義務を承継した者である。 (2) 本件ビルの概要等本件ビルの屋上部には,築港深江線の高架道路が,更にその上方には,本 件高速道路の高架道路が,それぞれ築造されており(以下,築港深江線及び本件高速道路のうち本件ビルが設けられている部分を「本件道路」という。),これらの高架道路を支持する橋脚等は,本件ビルの主要構造物と一体となっている。(甲6,7,51,52,68の1から4まで,甲76)本件ビルの本件道路に対する占用面積は,4万1544.02㎡であり, その敷地(地積は同じ。)のうち,被告の所 物と一体となっている。(甲6,7,51,52,68の1から4まで,甲76)本件ビルの本件道路に対する占用面積は,4万1544.02㎡であり, その敷地(地積は同じ。)のうち,被告の所有に係るものの面積は1886. 81㎡(約4.54%)であり,その余は大阪市が所有している。(甲5,8,乙41)本件高速道路は,会社管理高速道路等である。(弁論の全趣旨)(3) 本件ビル建設に至る経緯ア築港深江線(総延長1万1900m)は,大阪市の中央部を東西に貫通 する幹線道路であり,戦前の都市計画事業と戦災復興事業によって築造されたが,そのうち本件ビル周辺の地域(船場地区。延長約1300m)は,昭和38年当時開通していなかった。この地域は,大阪の都心部で当時商業活動の盛んな地域を通っており,繊維を中心とする卸売店舗と業務施設が密集していて,これらの施設の大部分を船場地区内に存続させる必要が あることなどから,この地域に道路を開通するためには多額の事業費を要することが見込まれた。そこで,大阪市は,国と協議しながら事業費を節減する方法を検討した。(甲38,乙50,弁論の全趣旨)イ原告は,昭和39年6月25日に設立され,大阪市との委託契約等に基づいて用地買収業務を行うこと等を事業内容としていた。(甲39) ウ大阪市は,昭和40年5月,築港深江線建設に係る用地費及び補償費の節減を図るとともに,用地取得を円滑にすることを目的とし,高架工作物の下に建築物を設け,当該建築物に要移転店舗を収容する方法を採用することなどを内容とする築港深江線(船場地区)事業計画(以下「本件事業計画」といい,本件事業計画に係る事業を「本件事業」という。)を策定 した。(甲38,乙50)エ大阪市と原告は,昭和42年 などを内容とする築港深江線(船場地区)事業計画(以下「本件事業計画」といい,本件事業計画に係る事業を「本件事業」という。)を策定 した。(甲38,乙50)エ大阪市と原告は,昭和42年6月28日付けで,「築港深江線高架下建物の建設及び管理に関する基本協定」を締結した。 この協定において,原告が,本件ビルを大阪市の基本設計に基づき建設するとともに,本件ビルの完成後,区分所有法に定める管理者として本件 ビルの管理を行うことや,原告が,大阪市が行う高架道路用地の取得に要 する経費のうち,本件ビルの敷地に係る費用の一部を分担すること等が定められた。(甲43)オ築港深江線(船場地区)の総事業費(本件ビルの建築工事費及び高速道路工事費を除く。)は,約330億6400万円であったところ(甲38,乙50),原告は,本件ビルの建築工事費の全額を負担するとともに,本 件道路の用地取得に要する費用の一部である本件ビルの敷地に係る費用のうち47億5600万円を分担した(甲46,54,弁論の全趣旨)。 (4) 昭和45年度の占用料負担等大阪市長及び公団理事長は,昭和45年3月8日付けで,築港深江線の開通と共に,原告に対し,本件道路の占用の許可を与えた。この道路占用許可 の期間は同日から昭和47年3月31日までとされ,原告の納入すべき占用料は年額3589万7580円(うち大阪市の分が1826万1604円,公団の分が1763万5976円)とされた。本件ビルは,昭和45年3月,開業した。(甲38,44,乙50)原告は,昭和46年5月19日,昭和45年3月分として,占用料299 万1464円(うち大阪市に対し152万1800円,公団に対し146万9664円)を,昭和45年度(昭和45年4月から昭和46 告は,昭和46年5月19日,昭和45年3月分として,占用料299 万1464円(うち大阪市に対し152万1800円,公団に対し146万9664円)を,昭和45年度(昭和45年4月から昭和46年3月まで)分として,占用料3589万7580円(うち大阪市に対し1826万1604円,公団に対し1763万5976円)を支払った。(甲45,弁論の全趣旨) (5) 昭和46年度における固定資産税及び占用料の免除等ア公団は,昭和46年5月29日付けで,大阪市に対し,本件ビルの敷地に係る固定資産税の免除を要請し,原告は,同月31日付けで,大阪市に対し,本件道路の占用料の免除を要請した。(甲33)これを受けて,大阪市は,公団に対し,昭和46年5月31日付けで, 昭和46年度から本件ビルに係る占用料を免除する方針を通知するとと もに(甲33),昭和46年6月8日付けで,本件道路の敷地のうち公団所有に係るものの昭和46年度分以降の固定資産税について,事情の変更がない限り免除することとした旨を通知した(甲32)。 公団は,昭和46年6月17日付けで,建設省に対し,本件道路のうち大阪市道に係る占用料が免除されることとなるのに伴い,本件道路のうち 本件高速道路に係る占用料を徴収すると,本件ビルの入居者に対する公平を欠き,事務的な困難が生ずることから,公団においても,本件ビルに係る占用料を昭和46年度から免除する必要が生じた旨を申し入れ,建設省は,同月23日付けで,そのとおり措置することもやむを得ないと思料される旨回答した。(甲33) イ大阪市及び公団は,昭和46年10月19日付けで,原告に対し,本件ビルに係る占用料を同年4月1日から当分の間免除する旨通知した。(甲47)(6) 平成25年度の した。(甲33) イ大阪市及び公団は,昭和46年10月19日付けで,原告に対し,本件ビルに係る占用料を同年4月1日から当分の間免除する旨通知した。(甲47)(6) 平成25年度の納入告知ア大阪市長及び被告理事長は,平成23年3月31日付けで,原告に対し, 占用期間を同年4月1日から平成26年3月31日までとし,占用料を免除し,その他の条件を付して,本件道路の占用の許可を与えた。(甲8)イ大阪市は,被告に対し,被告の所有する固定資産について固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の減免措置を平成25年度分以降廃止する旨を平成25年2月6日付けで通知した上で,本件道路 の敷地のうち被告が所有する部分に係る平成25年度の固定資産税等1372万6300円を賦課した。(甲52,乙1)被告は,平成25年10月1日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成25年度の占用料として,686万3150円の納入告知をした。 前記の納入告知書には,「平成23年3月31日付け大阪市指令建第1 0069号及び関西管5166号により許可した大阪府道高速大阪東大阪 線に係る平成25年度占用料として」686万3150円の納付を求める旨及び納入期限(平成25年10月31日)が記載されていたほか,備考として,「納入期限内にご入金がないときは,許可を取り消すことがありますので,くれぐれもご注意ください。」などと記載されていたが,関係法令や前記金額の算出根拠等は記載されていなかった。また,「処分の取 消しの訴えは,この処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構を被告として(中略)提起することができます。」などと記載されて 「処分の取 消しの訴えは,この処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構を被告として(中略)提起することができます。」などと記載されていた。 (甲10)ウ原告は,平成26年法律第69号による改正前の道路整備特別措置法5 3条に基づき,平成25年11月19日付けで,国土交通大臣に対し,前記イの納入告知の取消しを求める旨の審査請求をした。(甲20)国土交通大臣は,平成27年4月10日付けで,前記納入告知は,行政手続法2条4号にいう不利益処分に該当し,同法14条に基づく理由の提示が必要であるところ,前記納入告知は,同条に違反する違法な処分であ るとして,前記納入告知を取り消す旨の裁決をした。(甲27)(7) 平成26年度における本件道路の占用更新許可等大阪市長及び被告理事長は,平成26年3月31日付けで,原告に対し,占用期間を同年4月1日から平成29年3月31日までとし,占用料を,大阪市につき免除,被告につき「別途発行する納入告知書の額」とし,その他 の条件を付して,本件道路の占用の許可を与えた。(甲9)大阪市(建設局長)は,平成26年3月31日付けで,原告に対し,本件ビルに係る大阪市道の占用料は事情変更のない限り従前どおり免除する旨を通知した。(甲17,18)(8) 平成26年度納入告知 ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係 る平成26年度の固定資産税等1379万7500円を賦課した。(甲11,弁論の全趣旨)イ被告は,平成26年4月16日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成26年度の占用料1379万7500円の納入告知をした。 79万7500円を賦課した。(甲11,弁論の全趣旨)イ被告は,平成26年4月16日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成26年度の占用料1379万7500円の納入告知をした。 前記の納入告知書には,「占用料は,大阪市中央区船場中央2丁目1番 5ほか22筆の土地について,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に課された固定資産税及び都市計画税に相当する額です。」,「(算定)昭和42年11月13日付建設省道政発第90号の3建設省道路局長通達記2(2)(ヘ)(b)(七)及び昭和54年2月20日付建設省道政発第15号建設省道路局路政課長通達による」などと記載されていた。また,平成 25年度の納入告知と同様に,処分の取消しの訴えを提起することができる旨も記載されていた。 (甲11)ウ原告は,平成26年6月13日付けで,国土交通大臣に対し,前記イの納入告知の取消しを求める旨の審査請求をした。(甲28) 国土交通大臣は,平成27年4月10日付けで,前記審査請求を棄却する旨の裁決をした。(甲31)(9) 平成27年度納入告知(甲12)ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る平成27年度の固定資産税等1414万1100円を賦課した。 イ被告は,平成27年4月15日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成27年度の占用料1414万1100円の納入告知をした。 前記の納入告知書には,「占用料は大阪市中央区船場中央2丁目1番5ほか22筆の土地について,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に課された平成27年度の固定資産税及び都市計画税に相当する額で す。」,「(算定)昭和42年11月13日付建設省道政発第90号の 2筆の土地について,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に課された平成27年度の固定資産税及び都市計画税に相当する額で す。」,「(算定)昭和42年11月13日付建設省道政発第90号の3 建設省道路局長通達記2(2)(イ)別表1 28及び昭和54年2月20日付建設省道政発第15号建設省道路局路政課長通達による。」などと記載されるとともに,当該納入告知書の別紙には,占用料の金額を,昭和54年課長通達に定められた算定式により,下記のとおり算出した旨が記載されていた。また,前記の納入告知書には,平成25年度の納入告知等と同様 に,処分の取消しの訴えを提起することができる旨も記載されていた。 記A=(1-i)(B-C)+CA…徴収すべき占用料の額B…政令で定める額 C…固定資産税等i…減額率本件ビルについては,固定資産税等の免除措置が廃止された以外の状況の変化はないことから,i(減額率)を1とし,固定資産税等に相当する額のみを占用料の額とする。 被告が所有する道路敷地に平成27年度において課された固定資産税は1164万5600円,都市計画税は249万5500円,合計で1414万1100円であるので,同額を占用料の額とする。 (10) 平成26年度及び平成27年度の占用料支払(甲13,14)原告は,平成27年6月26日,被告に対し,本件ビルに係る平成26年 度の占用料1379万7500円,延滞金158万0758円及び督促手数料52円並びに平成27年度の占用料1414万1100円,延滞金9万5791円及び督促手数料52円の合計2961万5253円を支払った。 (11) 平成28年度納入告知等(甲56から58まで)ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷 100円,延滞金9万5791円及び督促手数料52円の合計2961万5253円を支払った。 (11) 平成28年度納入告知等(甲56から58まで)ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係 る平成28年度の固定資産税等1414万1100円を賦課した。 イ被告は,平成28年4月13日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成28年度の占用料1414万1100円の納入告知をした。 前記の納入告知書の別紙として添付された「占用料の額の算定について」と題する書面には,下記の旨が記載されていた。 記 占用料の額は,道路整備特別措置法33条の規定により読み替えて適用する道路法39条2項及び道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により読み替えて適用する道路法施行令19条1項の規定に基づき,占用面積1㎡につき,第一級地に係る同令別表7条9号に掲げる施設の建築物の項占用料の欄に定める金額に,占用の期間に相当する期間を1年で除して 得た数を乗じて得た額とする。 ただし,道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により読み替えて適用する道路法施行令19条3項並びに昭和42年局長通達記の2(2)(イ)及び別表1の28の項に基づき,本件ビルについては,同令で定める額の占用料を徴収することが不適当であると認める物件として,減額の措置を 講じた額とする。 占用料の額の減額については,昭和54年課長通達による。 今回,占用料の額の具体的な算定式については,以下のとおり。 占用料の額=(1-i)(B-C)+Ci 1(減額率) …昭和42年局長通達別表1の28の項占用料額の欄に掲げる減額率として1を適用。 B 道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により の額=(1-i)(B-C)+Ci 1(減額率) …昭和42年局長通達別表1の28の項占用料額の欄に掲げる減額率として1を適用。 B 道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により読み替えて適用する道路法施行令で定める額C 1414万1100円(固定資産税等) …平成28年度の固定資産税年税額は1164万5600円,都市計 画税年税額は249万5500円であり,年税額合計の1414万1100円を使用。 したがって,平成28年度に納入すべき金額は1414万1100円。 ウ原告は,平成28年4月28日,被告に対し,本件ビルに係る平成28年度の占用料1414万1100円を支払った。 (12) 平成29年度における本件道路の占用更新許可(甲91)大阪市長及び被告理事長は,平成29年3月31日付けで,原告に対し,占用期間を同年4月1日から平成32年3月31日までとし,占用料を,大阪市につき免除,被告につき「別途発行する納入告知書の額」とし,その他の条件を付して,本件道路の占用の許可を与えた(以下,前記(7)の占用更新 許可と併せて「本件各占用更新許可」という。)。 (13) 平成29年度納入告知等(甲63から65まで)ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る平成29年度の固定資産税等1414万1100円を賦課した。 イ被告は,平成29年4月7日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成 29年度の占用料1414万1100円の納入告知をした。 前記の納入告知書の別紙として添付された「占用料の額の算定について」と題する書面には,平成28年度納入告知と同旨が記載されていた。 ウ原告は,平 4万1100円の納入告知をした。 前記の納入告知書の別紙として添付された「占用料の額の算定について」と題する書面には,平成28年度納入告知と同旨が記載されていた。 ウ原告は,平成29年4月25日,被告に対し,本件ビルに係る平成29年度の占用料1414万1100円を支払った。 (14) 平成30年度納入告知等(甲85から87まで)ア大阪市は,被告に対し,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る平成30年度の固定資産税等1565万2800円を賦課した。 イ被告は,平成30年4月12日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成30年度の占用料1565万2800円の納入告知をした。 前記の納入告知書の別紙として添付された「占用料の額の算定について」 と題する書面には,平成28年度納入告知と同旨が記載されていた。 ウ原告は,平成30年4月27日,被告に対し,本件ビルに係る平成30年度の占用料1565万2800円を支払った。 (15) 本件訴訟の提起等(顕著な事実)原告は,平成27年9月30日,本件ビルに係る平成26年度及び平成2 7年度の各占用料の納入告知処分の取消しを求める訴えを提起した。 原告は,平成28年8月31日,本件ビルに係る平成28年度の占用料の納入告知処分の取消しを求める訴えの追加的変更をし,平成29年1月31日,予備的請求に係る訴えの追加的変更をした。 原告は,平成29年6月19日,本件ビルに係る平成29年度の占用料の 納入告知処分の取消しを求める訴えの追加的変更及び予備的請求に係る請求の拡張をし,平成30年6月11日,本件ビルに係る平成30年度の占用料の納入告知処分の取消しを求める訴えの追加的変更及び予備的請求に係る請求の拡 消しを求める訴えの追加的変更及び予備的請求に係る請求の拡張をし,平成30年6月11日,本件ビルに係る平成30年度の占用料の納入告知処分の取消しを求める訴えの追加的変更及び予備的請求に係る請求の拡張をした。 3 争点 (1) 主位的請求に係る本案前の争点本件各納入告知の処分性(争点1)(2) 主位的請求及び予備的請求に係る本案の争点ア本件ビルにつき道路法39条1項本文を適用することが違法か(争点2)イ本件各納入告知が平等原則(憲法14条)に違反するか(争点3) ウ本件各納入告知が租税法律主義(憲法84条)に違反するか(争点4)エ本件各納入告知が信義則に違反するか(争点5)オ本件各納入告知が被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるか(争点6)(3) 主位的請求に係る本案の争点 本件各納入告知が,行政手続法14条1項本文の規定する理由の提示を欠 くものであるか(争点7) 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点1(本件各納入告知の処分性)(原告の主張の要旨)道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により読み替えて適用する道 路法施行令19条の2は,占用料を,当該占用許可をした日から1月以内に,納付すべき金額,期限及び場所を記載した書面により一括して徴収する旨規定しているから,当該書面(納入告知書)による納入告知により,占用料の納付義務が発生すると解すべきである。 また,占用料の額は納入告知により初めて明らかになるのであるから,具 体的な金額に係る占用料の納付義務は,納入告知により生ずるというべきである。 以上によれば,本件各納入告知は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものであるから,行政事 係る占用料の納付義務は,納入告知により生ずるというべきである。 以上によれば,本件各納入告知は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものであるから,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たるというべきである。 (被告の主張の要旨)ア本件各占用更新許可において,被告に対する占用料につき「別途発行する納入告知書の額とする」旨定められたから,この時点で,道路法施行令19条1項及び同令別表で定める額の範囲内の占用料の納付義務が成立している。また,本件ビルについては,道路整備特別措置法施行令12条1 項の規定により読み替えて適用する道路法施行令19条3項に基づき占用料が減額されることとなったため,大阪市から被告に賦課される固定資産税等の額が確定した時に,昭和54年課長通達に従い,占用料の額が具体的に確定している。平成26年度以降にされた占用料の賦課は,占用許可処分の附款としてされたものである。したがって,本件各納入告知は,占 用料の納付義務の成立及び占用料の額の確定に影響を及ぼすものではな い。 道路整備特別措置法施行令12条1項の規定により読み替えて適用する道路法施行令19条の2は,占用料の納付義務が既に発生していることを前提に,占用料の徴収方法について規定したものであるから,同条は,納入告知により占用料の納付義務が発生すると解する根拠とはならない。 イ国の歳入の徴収については,納入の告知(会計法6条,予算決算及び会計令29条)は,原則として,既に成立した債権についてその履行を催告する行為,すなわち履行の請求としての性質を有するにとどまる。そして,占用料の納付期限については,道路法施行令19条2項で一定の期限が定められており,納入告知書においてはその範囲内で その履行を催告する行為,すなわち履行の請求としての性質を有するにとどまる。そして,占用料の納付期限については,道路法施行令19条2項で一定の期限が定められており,納入告知書においてはその範囲内で一定の期限が示されて いるにすぎず,督促状(道路法73条1項)によって初めて,処分性のある確定的な期限が示される。以上によれば,本件各納入告知は,既に発生している納付義務の履行を請求する催告にすぎない。 ウ本件各納入告知をした被告の分任収入職(関西業務部長)は,会計法上の歳入徴収官に準ずるものであり,占用料の額の決定等について何ら自身 の裁量を差し挟む余地はないのであり,納付義務の履行を催告するにすぎない。 エ以上によれば,本件各納入告知は,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものではないから,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないというべきである。 (2) 争点2(道路法39条1項本文を適用することの違法性)(原告の主張の要旨)以下のとおり,本件ビルにつき,道路法39条1項本文を適用することは違法である。 ア本件ビルは本件道路と一体となっており,道路一体建物(道路法47条 の8第1項)に該当するものというべきである。 仮に本件ビルが道路一体建物に該当しないとしても,道路法は,立体道路制度(47条の7)が創設される以前には,道路と一体的な構造となる建物による道路の占用及び当該建物に係る占用料の徴収を予定していなかったというべきである。また,立体道路制度は,用地費等の道路建設費の削減や合理的な土地利用の促進を目的に創設された制度であるところ,本 件ビルは,大阪市や公団が,本件道路の建設費を削減すること等を目的に建設されたものであり,立体道 度は,用地費等の道路建設費の削減や合理的な土地利用の促進を目的に創設された制度であるところ,本 件ビルは,大阪市や公団が,本件道路の建設費を削減すること等を目的に建設されたものであり,立体道路制度の趣旨は本件ビルにも妥当するものというべきである。被告は,大阪市との協議の際,本件ビルが道路一体建物と同一又は実質的に同一のものであることを前提に協議していたという経緯に照らしても,本件ビルは,道路一体建物として扱われるべきである。 したがって,本件ビルについては,道路一体建物のように,管理費及び修繕費等の負担は原告及び被告間の協議により決定されるべきであるから,被告が,本件ビルにつき,道路法39条1項本文を適用し,一方的に占用料を徴収することは違法である。 イ大阪市や公団は,本件道路を開通させるために本件ビルの建設を主導し, 私人である原告に対して本件ビルの管理を委ねたものであるから,本件ビルによる本件道路の占用につき,道路法39条1項ただし書が適用されるべきである。 仮に道路法39条1項ただし書が適用されないとしても,前記の本件ビル建設に係る経緯に加え,原告が本件ビルの用地取得費として47億円余 りを分担していること及び本件ビルは本件道路を支持している点で公共性を有することを踏まえれば,同項ただし書が類推適用されるべきである。 (被告の主張の要旨)以下のとおり,本件ビルにつき,道路法39条1項本文を適用することは適法である。 ア道路一体建物に該当するためには,道路の区域を立体的区域とした道路 と当該道路の区域外に新築される建物とが一体的な構造となることについて,協議が成立し,協定が締結されることが必要である。本件道路の区域は立体的区域とされておらず,また,本件ビルは「新築される建物」に と当該道路の区域外に新築される建物とが一体的な構造となることについて,協議が成立し,協定が締結されることが必要である。本件道路の区域は立体的区域とされておらず,また,本件ビルは「新築される建物」に該当しないから,本件ビルが道路一体建物に該当するということはできない。 本件道路の区域が立体的区域とされていないにもかかわらず,本件ビル を道路一体建物として扱うことは,道路法47条の8の解釈を超えるものであるし,同法上,建物と道路が一体であるときには同法39条1項本文の適用が除外される旨の規定はない。原告が,本件ビルに係る昭和45年3月分及び昭和45年度分の占用料を現に支払っていたことや,本件ビルにつき同法32条1項に基づく道路占用許可申請を継続して行っていたこ とに照らしても,道路法が,立体道路制度が創設される以前に,道路と一体的な構造となる建物による道路の占用及び当該建物に係る占用料の徴収を予定していなかったといえない。 被告は,大阪市との協議の際,本件ビルが道路一体建物と同一又は実質的に同一のものであることを前提に協議していない。 イ道路法39条1項ただし書は,道路の占用が国の行う事業及び地方公共団体の行う事業に係るものであることを要件としているところ,本件ビルにより本件道路を占用し事業を行っているのは,私人であるから,本件ビルによる本件道路の占用につき,同項ただし書が適用又は類推適用されるべきであるとはいえない。 (3) 争点3(平等原則違反の有無)(原告の主張の要旨)原告が,本件道路に係る補償費として47億円余りを分担していること,本件ビルは,本件道路と一体的な構造となっており,本件道路を支持しているにもかかわらず,被告は本件ビルの維持管理費を負担していないこと,原 告は, 補償費として47億円余りを分担していること,本件ビルは,本件道路と一体的な構造となっており,本件道路を支持しているにもかかわらず,被告は本件ビルの維持管理費を負担していないこと,原 告は,被告に対し,本件道路の振動等により本件ビルへの損害が発生した場 合でも損害賠償を請求できないことといった本件ビルに係る事情を考慮せずになされた本件各納入告知は,占用料の二重徴収に当たり,平等原則に違反し,違法である。 (被告の主張の要旨)本件ビルにつき,道路と一体的な構造となっていない建物と同様に,占用 料を徴収することが,不平等であると解する根拠はない。 本件道路の用地費を含む事業費の分担と,道路の占用料の負担とは別個の問題である。また,本件ビルに係る占用料の額は,原告の主張する種々の事情を考慮して,本件道路のうち被告が所有する部分に係る固定資産税等相当額まで減額されている。したがって,原告が用地費を分担したことを理由に, 本件各納入告知による占用料の徴収が,占用料の二重徴収に当たるということはできない。 以上によれば,本件各納入告知が平等原則に違反し,違法であるとはいえない。 (4) 争点4(租税法律主義違反の有無) (原告の主張の要旨)本件納入告知は法令による賦課金徴収であって,その強制の度合いにおいて租税に類似する性質を有するものであることから,憲法84条の趣旨が及ぶ。 しかるに,前記(2)(原告の主張の要旨)のとおり,道路法39条1項本文 は本件ビルにつき占用料を徴収する法律上の根拠とならないから,本件各納入告知は,法律上の根拠なくされたものであり,憲法84条に違反する。 (被告の主張の要旨)占用料は,道路の占用という受益に着目して徴収されるものであるから,租税とは法的性格を異にする ,本件各納入告知は,法律上の根拠なくされたものであり,憲法84条に違反する。 (被告の主張の要旨)占用料は,道路の占用という受益に着目して徴収されるものであるから,租税とは法的性格を異にする。 また,前記(2)(被告の主張の要旨)のとおり,道路法39条1項の規定に 基づく本件各納入告知は,適法である。 したがって,本件各納入告知は,憲法84条に違反しない。 (5) 争点5(信義則違反の有無)(原告の主張の要旨)①本件ビルは高架道路である本件道路と一体となってこれを支えているも のであって,その公共性は極めて高いこと,②本件ビルの建設は,本件道路の建設費用の削減のため,行政側である大阪市と公団とが一体として主導した公共事業であり,行政側がこのスキームを崩して固定資産税相当額を原告に転嫁すべきではないこと,③原告が本件道路に係る用地買収費用のうち47億円余り(昭和45年度の占用料の約132年分。昭和46年4月を比較 時点とし,この分担金と,本件ビルの耐用期間(70年)における占用料免除による経済的利益のそれぞれについて現在価値の総額を求めると,占用料総額の3倍以上の分担金を支払ったことになる。)を分担したこと,④本件ビルは,本件道路と一体となってこれを支えているために,車両通行による振動により大きく損傷するが,被告は高架道路の振動により本件ビルに支障 を及ぼしたとしても責任を負わないこととされ,本件ビルの管理費等も負担していないこと,⑤原告が昭和46年度の占用料を免除された時点で,原告と大阪市及び公団との間において,占用料を免除する旨の合意がされたというべきであることなどの事情に照らせば,本件各納入告知により,被告が原告から一方的に占用料を徴収することは,信義則に違反し,違法である。 との間において,占用料を免除する旨の合意がされたというべきであることなどの事情に照らせば,本件各納入告知により,被告が原告から一方的に占用料を徴収することは,信義則に違反し,違法である。 (被告の主張の要旨)ア被告又は公団が原告に対して昭和46年度分以降の本件ビルに係る占用料を免除してきたのは,被告が,大阪市から,本件ビルに係る占用料を免除すれば,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る固定資産税を免除するとの通知を受けていたこと等によるものである。昭和45年度に 占用料が徴収されたことからも,固定資産税の免除が占用料の免除につい て大きな意味を有していたことは明らかである。 しかし,大阪市が,政策判断を変更し,公益上の必要性を理由とする減免措置による財政支援を原則として廃止したことに伴い,大阪市は,被告に対し,平成25年度以降,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る固定資産税等を賦課するようになった。 被告は,前記固定資産税等が賦課されるようになったことを踏まえ,本件ビルに係る占用料の額を,前記固定資産税等相当額まで減額した上で,原告から本件ビルに係る占用料を徴収したものであるから,本件各納入告知による占用料の徴収は,信義則に違反するものではない。 イ用地買収に関する原告の分担金は,本件道路に関する工事によって著し く利益を受ける者に対して,その利益を受ける限度において,当該工事に要する費用の一部を負担させることとしたものであり,道路法61条所定の受益者負担金に当たる。これは,道路の排他的独占的使用者たる地位において課せられる占用料とは性格的に区別される。 また,約47億円という前記分担金の額は,建物が存続する限り存続す る地上権を設定するとした場合に要する費用には足りな 的独占的使用者たる地位において課せられる占用料とは性格的に区別される。 また,約47億円という前記分担金の額は,建物が存続する限り存続す る地上権を設定するとした場合に要する費用には足りないし,前記分担金を毎年取り崩して占用料に充て,残額を運用すると仮定すると,昭和62年度から平成7年度までには残額が枯渇するから,占用料の前払いであるとすれば既に延滞が発生していることとなる。 ウ大阪市及び公団は,占用物件の管理は占用者が行い,占用物件を大阪市 及び公団に無償で提供するとの条件で,原告に対して占用を許可したものであるから,被告が本件ビルの管理費等を負担すべき法的根拠はない。 エ原告と被告又は公団の間で,将来にわたり,本件ビルに係る占用料の免除する旨の合意や,原告が分担した費用をもって本件ビルに係る占用料を前払いする旨の合意をしたことはない。 (6) 争点6(裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無) (原告の主張の要旨)ア道路整理特別法施行令12条1項は,道路法施行令19条3項6号の「前二項に規定する額の占用料を徴収することが著しく不適当であると認められる占用物件で,国土交通大臣が定めるもの」との文言のうち,「国土交通大臣が」の部分を,「機構等が」と読み替えるものではない。 したがって,被告に,道路法施行令19条3項6号該当性の判断権限はない。被告は,本件各納入告知をするのであれば,国土交通省及び大阪市と協議を経なければならなかったにもかかわらず,その結果をみずに単独の判断で本件各納入告知をしたものであるから,本件各納入告知は,被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法である。 イ前記(5)(原告の主張の要旨)の事情等に照らすと,本件各納入告知は, 事実 たものであるから,本件各納入告知は,被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法である。 イ前記(5)(原告の主張の要旨)の事情等に照らすと,本件各納入告知は,事実の誤認に基づくほか,道路一体建物であるにもかかわらず占用料を徴収するということで道路法の趣旨・目的に反し,租税法律主義,平等原則,比例原則,信義則にも反している。また,被告は,考慮すべきことを考慮せず,あるいは考慮すべきでないことを考慮したり,またその考慮におい て認識や評価を誤り,合理性を有するものとして許容される限度を超えた考慮をしたものである。したがって,本件各納入告知は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法である。 ウ後記(被告の主張の要旨)エの主張について被告は,原告が本件事業に協力したことにより公団の負担が約25億円 増額した旨をいうが,本件事業のような大型プロジェクトの実施にあって,年月の推移の中で,事業計画の細部の変更,用地買収や営業補償における交渉の状況,物価変動等様々な流動的要素があるにもかかわらず,これらを全く検証・精査することなく,原告の本件事業への協力が負担増となった要因であるという主張は,極めて不合理である。 原告が本件事業に参画したことによって,大阪市内を東西に貫通する道 路敷設事業が,それまでの大幅な遅延を取り戻すべく本格的に進行したものであり,本来であれば,必要な経費の3分の1を公団が負担すべきところ,結果として,公団は用地取得費の26.8%を負担するにとどまるなど,被告は,総体的にメリットを享受したものである。仮に原告が本件事業に参画し用地補償費を負担しなければ,公団においてもより莫大な費用 を負担せざるを得なかったであろうし,事業計画そのものが頓 ど,被告は,総体的にメリットを享受したものである。仮に原告が本件事業に参画し用地補償費を負担しなければ,公団においてもより莫大な費用 を負担せざるを得なかったであろうし,事業計画そのものが頓挫し,公団の損失につながったことは明らかである。 (被告の主張の要旨)ア原告の主張するとおり,道路整備特別法施行令12条1項は,道路法施行令19条3項6号の「国土交通大臣が」との文言を,「機構等が」と読 み替えるものではない。 しかし,被告は,占用料の額の決定について,国土交通大臣から昭和42年局長通達により広範な裁量権を与えられているものである上,大阪市と協議をした上で本件各納入告知をしたものであって,本件各納入告知は,被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものではない。 イ前記(5)(原告の主張の要旨)の事情については,同(被告の主張の要旨)のとおりである。 ウ占用料を免除した経緯からして,公団が占用料を免除したのは,大阪市から固定資産税の免除を受けられたからにほかならない。 エ本件事業は,大阪市が行う街路整備(一般道路事業)と公団が行う高速 道路整備(有料道路事業)を同時に行うという,いわゆる合併施行方式によるものであって,2つの事業は明確に区分されており,一般道路事業のための用地取得と有料道路事業のための用地取得は,それぞれの事業の予算において実施されたものである(ただし,実際の用地取得業務は,公団が大阪市に委託し,委託料を支払うという形が採られた。)。そして,大 阪市は,本件事業計画において大阪市(街路側及びビル側)が負担するこ ととされていた費用(ただし,本件事業は,国による補助金の対象事業であったため,これを控除した分)に係る資金を調達することができなかったため,原告が, 大阪市(街路側及びビル側)が負担するこ ととされていた費用(ただし,本件事業は,国による補助金の対象事業であったため,これを控除した分)に係る資金を調達することができなかったため,原告が,本件事業計画においてビル側が負担することとされた費用の一部を負担するために本件事業に協力することとなった。このように,原告は,大阪市の内部事情により,大阪市の事業(一般道路事業)に参加 したにすぎず,原告の関与は公団の事業と何ら関係がない。本件事業の実行に当たり原告が負担した約47億円は,大阪市と原告との協定書に基づき,原告が飽くまで大阪市に対して負担した金員であり,公団は全く受け取っていないから,この金員は公団が賦課する占用料とは何の関係もない。 かえって,原告が負担する金員を用地取得費のうち用地費に充当すると 原告に土地の所有権を与えなければならなくなるが,これは道路事業の性質と相いれないため,原告が負担する金員は用地取得費のうち補償費にしか充当できないということになり,公団は用地費の不足分を追加で負担しなければならなくなり,公団の用地費負担額が計画時の約39億円から約67億円まで増加した(補償費は約3億円減少したが,これを控除しても 約25億円負担が増加したことになる。)。しかも,公団が用地費約67億円を負担したため,ビル敷の土地所有権を公団が全て取得する計画となり,合併施行の形が完全に崩れることとなってしまったため,公団と大阪市は,協議の結果,一部の土地を除く土地の所有権を大阪市の所有のままとすることとした。すなわち,大阪市は,原告に協力させたことによって, 用地取得費を拠出していないにもかかわらず,土地の所有権を取得したことになる。 以上のことからすれば,原告が本件事業に協力したことにより,公団は何らのメ は,原告に協力させたことによって, 用地取得費を拠出していないにもかかわらず,土地の所有権を取得したことになる。 以上のことからすれば,原告が本件事業に協力したことにより,公団は何らのメリットも享受しておらず,原告が約47億円を負担したことは,公団とは何の関係もない。 オ本件事業の実行に当たり原告が負担した約47億円は,土地収用権を背 景とした土地の買収が行われるという本件事業の実行に協力することによって,必要なビル用地を非常に良い立地に確保して,自力では実現不可能であった事業を運営できる地位を得ることができるという利益と引換えに,原告が大阪市に対して拠出した金員であるというべきであるから,受益者負担金と解するのが相当である。 占用料の前払いという制度は法律上存在しないし,占用許可も5年以内の期間でしか設定することができないから,前記の約47億円が占用料の前払いであったなどとする主張はおよそ成り立ち得ない。 カ被告は,固定資産税等の減免措置廃止という事情変更を受けて占用料を徴収することとしたが,本件ビルが本件道路と一体として建設されたとい う特殊性,原告がかつて本件道路の建設に貢献したことに配慮して,必要な協議を行った上で,必要かつ十分な考慮をして合理的な判断をしたものであり,判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところはなく,重要な事実の基礎を欠いたものではないし,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとも認められない。 (7) 争点7(理由の提示の不備の有無)(原告の主張の要旨)ア本件各納入告知は,本件各占用更新許可において確定されていない,平成26年度以降の占用料の額等を確定させる効果を有するものであるから,行政手続法2条4号にいう不利益処分に当たる。 旨)ア本件各納入告知は,本件各占用更新許可において確定されていない,平成26年度以降の占用料の額等を確定させる効果を有するものであるから,行政手続法2条4号にいう不利益処分に当たる。 被告は,原告に対し,本件各占用更新許可の附款として占用料の納付義務を課している旨主張するが,占用許可と占用料の納入告知とは別個独立の処分であるから,被告の主張は失当である。 イ平成26年度納入告知及び平成27年度納入告知行政手続法14条1項に基づく理由の提示として,少なくとも,当該納 入告知の根拠法令が示される必要があるところ,平成26年度納入告知及 び平成27年度納入告知においては,その根拠として通達が示されているのみであり,当該納入告知の根拠法令が示されていないから,前記各納入告知は,同法14条1項本文の規定する理由の提示を欠き,違法である。 ウ平成28年度納入告知及び平成29年度納入告知平成28年度納入告知及び平成29年度納入告知は,昭和54年度課長 通達における減額率を1すなわち免除として計算したものを記載しているが,一旦免除された占用料に固定資産税等を加算して賦課するという算出方法は,法令や通達で定められていない。法令や通達に根拠のない算出方法を説明しても,実質的に法令等の根拠が示されたとはいえないから,前記各納入告知は,行政手続法14条1項本文の規定する理由の提示を欠き, 違法である。 (被告の主張の要旨)ア被告は,原告に対し,本件各占用更新許可の附款として占用料の納付義務を課しているものであって,本件各占用更新許可は不利益処分に当たらないし(行政手続法2条4号ただし書ロ),本件各納入告知も,履行の催 告(あるいは附款の中身の確認・説明)にすぎないから,同号にい 課しているものであって,本件各占用更新許可は不利益処分に当たらないし(行政手続法2条4号ただし書ロ),本件各納入告知も,履行の催 告(あるいは附款の中身の確認・説明)にすぎないから,同号にいう不利益処分に当たらないというべきである。したがって,本件各納入告知は,同法14条1項本文の規定する理由の提示を要するものではなく,適法である。 イ平成26年度納入告知及び平成27年度納入告知 仮に平成26年度納入告知及び平成27年度納入告知が行政手続法2条4号にいう不利益処分に当たるとしても,①処分の根拠法令である道路法39条等の規定内容が,道路占用者に対し,占用料を徴収することができる旨の単純な内容であること,②前記各納入告知に係る納入告知書には,「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令 の施行について」と題する通達等が記載されており,その記載から,処分 の根拠法令が道路法,道路法施行令,道路整備特別措置法及び道路整備特別措置法施行令の該当条文であることは明らかであること,③原告は,本件各納入告知から,本件各納入告知の根拠法令を理解し,不服申立てを行うことができていること等の事情を考慮すれば,前記各納入告知は,行政手続法14条1項本文の規定する理由の提示の要件を満たしており,適法 である。 また,被告は,平成25年10月1日付けで平成25年度の納入告知をするまでの間,原告に対し,大阪市から固定資産税等を賦課する旨の通知を受けたこと,固定資産税等を賦課された場合,占用料の納付を求めざるを得ないこと,昭和54年度課長通達の減額率を1としたいと考えている ことなどを口頭で説明していた。そして,原告から平成25年度の納入告知について占用料の額の算出根拠等について 納付を求めざるを得ないこと,昭和54年度課長通達の減額率を1としたいと考えている ことなどを口頭で説明していた。そして,原告から平成25年度の納入告知について占用料の額の算出根拠等について質問がされた際,書面で詳細に説明をした。さらに,被告は,平成26年度の占用更新許可(前記前提事実(7))の際,占用料の額が,被告が所有する道路敷地に平成26年度に課税される固定資産税等相当額となる旨を説明し,平成26年度納入告 知に係る納入告知書を交付する際も,占用料計算書を提示した上で同旨を口頭で説明した。以上のことからすれば,本件各納入告知の理由付記に不十分な点があったとしても,被告の対応は,全体として,行政手続法14条の趣旨を何ら損なうものではなく,処分を取り消さなければならないほどの違法性はないものというべきである。 ウ平成28年度納入告知及び平成29年度納入告知平成28年度納入告知及び平成29年度納入告知に際し,被告は,「占用料の額の算定について」と題する書面(甲56の2枚目)により,行政手続法14条1項の規定する理由の提示をしているから,前記各納入告知は適法である。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件各納入告知の処分性)について(1) 行政事件訴訟法3条2項にいう処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判 決・民集18巻8号1809頁参照)。 これを前提に検討すると,道路整備特別措置法33条の規定により読み替えて適用する道路法39条1項本文は,被告は,道路の占用につき占用 月29日第一小法廷判 決・民集18巻8号1809頁参照)。 これを前提に検討すると,道路整備特別措置法33条の規定により読み替えて適用する道路法39条1項本文は,被告は,道路の占用につき占用料を徴収することができる旨規定し,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項は,会社管理高速道路等に係 る占用料の額は,同令別表占用料の欄に定める金額に道路法32条1項の規定により許可をするなどした占用の期間に相当する期間を同表占用料の単位の欄に定める期間で除して得た数を乗じて得た額とする旨などを規定している。他方,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条3項6号は,被告は,会社管理高速道路等に係る占用料 で前記の額の占用料を徴収することが著しく不適当であると認められる占用物件で,国土交通大臣が定めるものについて,特に必要があると認めるときは,前記の額の範囲内において別に占用料の額を定め,又は占用料を徴収しないこと(占用料の減免)ができる旨規定している。そして,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条の2 第1項は,会社管理高速道路等に係る占用料は,納付すべき金額,期限及び場所を記載した書面により一括して徴収するものとする旨規定している。 これらの規定に照らすと,会社管理高速道路等に関する占用料を徴収するか否か及びこれを徴収する場合の額の決定は,被告の合理的な裁量に委ねられており,被告が占用の許可を受けた者に対して前記のとおりの納付すべき 金額,期限及び場所を記載した書面を送付又は交付する行為によって初めて, 具体的な占用料の納付義務が発生するものと解される。 そうすると,被告の前記行為は,道路整備特 おりの納付すべき 金額,期限及び場所を記載した書面を送付又は交付する行為によって初めて, 具体的な占用料の納付義務が発生するものと解される。 そうすると,被告の前記行為は,道路整備特別措置法により読み替えて適用する道路法及び道路整備特別措置法施行令により読み替えて適用する道路法施行令を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり,占用の許可を受けた者の占用料の納付義務の有無及びその額に直接影響 を及ぼす法的効果を有するものであるから,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たるものと解するのが相当である。 したがって,本件各納入告知は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たる。 (2) 被告の主張に対する判断 ア被告は,①本件各占用更新許可において,被告に対する占用料につき「別途発行する納入告知書の額とする」旨定められたから,この時点で占用料の納付義務が成立している上,②大阪市から被告に賦課される固定資産税等の額が確定した時に,昭和54年課長通達に従い,占用料の額が具体的に確定しているから,本件各納入告知は,占用料の納付義務の成立及び占 用料の額の確定に影響を及ぼすものではない(平成26年度以降にされた占用料の賦課は,占用許可処分の附款としてされたものである。)旨を主張する。 しかしながら,前記①の定めは額についての記載を欠き(零となる可能性もある。),額の確定を別個の行為である納入告知に委ねるものであっ て,具体的な占用料の納付義務の発生を根拠付けるものとはいえない。また,前記②の点については,昭和54年課長通達は,建設省(国土交通省)の課長によって発出された解釈基準にとどまる上,政令で定める占用料の額から固定資産税等の額を控除した額のうちどれだけの割合を占用料から減額す 点については,昭和54年課長通達は,建設省(国土交通省)の課長によって発出された解釈基準にとどまる上,政令で定める占用料の額から固定資産税等の額を控除した額のうちどれだけの割合を占用料から減額するかを示す減額率につき,経過措置はあるものの原則として任意の 割合としているのであって,固定資産税等の額が確定したからといって直 ちに占用料の額を確定させるようなものではない。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 イ被告は,国の歳入の徴収については,納入の告知は,原則として,既に成立した債権についてその履行を催告する行為,すなわち履行の請求としての性質を有するにとどまり,本件各納入告知は,既に発生している納付 義務の履行を請求する催告に過ぎない旨主張する。 しかしながら,国の歳入の徴収についても,納入の告知がこれによって金銭の納付義務を課する行政行為としての性質を有する場合があるのであり,被告の前記主張は前記(1)の判断を左右するものではない。 ウ被告は,本件各納入告知をした被告の分任収入職(関西業務部長)は, 会計法上の歳入徴収官に準ずるものであり,占用料の額の決定等について何ら自身の裁量を差し挟む余地はないのであり,納付義務の履行を催告するにすぎない旨主張する。 しかしながら,前記(1)のとおり,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条2第1項所定の書面を送付 又は交付する行為によって具体的な占用料の納付義務を発生させる行為の主体は,法人としての被告であると解されるから,本来,本件各納入告知は被告又はその代表者である理事長の名義でされるべきものであったといえる。しかるに,本件各納入告知に係る納入告知書には,「分任収入職関西業務部長」名義が記載され 解されるから,本来,本件各納入告知は被告又はその代表者である理事長の名義でされるべきものであったといえる。しかるに,本件各納入告知に係る納入告知書には,「分任収入職関西業務部長」名義が記載されているが,この記載は,法人としての被告に よる決定を通知する際に,名義の記載を形式的に誤ったものと解する余地があるのであり,この記載をもって本件各納入告知をしたのが被告ではなく被告の関西業務部長であると直ちに解することはできない(仮にそのように解するならば,本件各納入告知は権限がない者がした処分であり,重大な違法があるということになる。)。 2 争点7(理由の提示の不備の有無)について (1) 前記1(1)で説示した本件各納入告知の性質からすると,本件各納入告知は,行政庁である被告が,道路整備特別措置法により読み替えて適用する道路法及び道路整備特別措置法施行令により読み替えて適用する道路法施行令に基づき,原告を名宛人として,直接に,これに義務を課す処分であって,行政手続法2条4号にいう不利益処分に当たるものというべきである。 これに対して,被告は,本件各占用更新許可の附款として占用料の納付義務を課しているものであって,本件各占用更新許可は不利益処分に当たらないし(行政手続法2条4号ただし書ロ),本件各納入告知も,履行の催告(あるいは附款の中身の確認・説明)にすぎないから,同号にいう不利益処分に当たらないというべきである旨を主張する。 しかしながら,前記1(2)で説示したとおり,本件各占用更新許可が具体的な占用料の納付義務を課すものであるとはいえないから,被告の前記主張は採用することができない。 (2) 行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならな な占用料の納付義務を課すものであるとはいえないから,被告の前記主張は採用することができない。 (2) 行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課 し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,前記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基 準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁平成21年(行ヒ)第91号同23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁参照)。 この見地に立って道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて 適用する道路法施行令19条の2第1項による占用料の額を告知する処分 (占用料の納入告知処分)についてみると,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条3項の定める占用料の減免の要件は,「特に必要があるとき」(柱書き)という抽象的なものを含む上,占用料をどの程度減額するかについて法令上の基準はなく,占用料をどの程度減額するか又は免除するかは処分行政庁の裁量に委ねられている。 そして,占用料の減免については,昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達が定められているところ,まず,(ア)①昭和42年局長通達別表2の32のうち,慣行等から占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経 2年局長通達及び昭和54年課長通達が定められているところ,まず,(ア)①昭和42年局長通達別表2の32のうち,慣行等から占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたものにつき,占用料を免除するものとする部分及び②昭和42年局長通達別表1の26(改正後は別表1の2 8)のうち,慣行等から道路法施行令(道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項)で定める額の占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたものにつき,占用料を減額するものとする部分は,(イ)会社管理高速道路等に係る占用料で前記の額の占用料を徴収することが著しく不適 当であると認められる占用物件で,国土交通大臣が定めるもの(道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条3項6号)を規定するものと解され,根拠法令の規定内容として考慮すべきものである。また,(a)[1]同表のうち,前記(ア)②のものにつき,同額に被告が同局との事前協議を経て定める率を乗じて得た額を占用料額とするも のとする部分は,道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条3項6号が,被告が特に必要があると認めるときは,同条1項に規定する額の範囲内において別に占用料の額を定めることができる旨規定することに関し,[2]昭和54年課長通達は,占用物件につき固定資産税等が課されている場合において,占用料減額の対象とするときの 占用料の額に関し,道路法,同法施行令,道路整備特別措置法,同法施行令 等を所管する国土交通省の局長及び課長によって発出された解釈基準であって,被告自身によって定められた処分基準(不利益処分をする 料の額に関し,道路法,同法施行令,道路整備特別措置法,同法施行令 等を所管する国土交通省の局長及び課長によって発出された解釈基準であって,被告自身によって定められた処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。行政手続法2条8号ハ)ではないものの,(b)被告も事実上これらに従っていると考えられること,(c)被告によって作成 された本件各納入告知に係る納入告知書に,本件各納入告知に係る占用料の算定の根拠通達として示されていることに鑑みると,行政手続法14条1項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかを検討するに当たっては,処分基準と同様に考慮すべきものと解される。そこで,昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達の内容について更に検討すると,本件各納入告知当時, 昭和42年局長通達は,「慣行等から占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたもの」については占用料を徴収しない旨(免除),「慣行等から道路法施行令で定める額の占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたもの」については「同額に被告が同局との事前協議を経て定める 率を乗じて得た額」を占用料の額とする旨(減額)を抽象的に定めるものであり,占用料を減額する場合に関する昭和54年課長通達は,政令で定める占用料の額から固定資産税等の額を控除した額のうちどれだけの割合を占用料から減額するかを示す減額率を,経過措置はあるものの原則として任意の割合としている。そうすると,占用料の納入告知処分に際して同時に示さ れるべき理由としては,昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達が適用される場合,それらの根拠規定 るものの原則として任意の割合としている。そうすると,占用料の納入告知処分に際して同時に示さ れるべき理由としては,昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達が適用される場合,それらの根拠規定を示すだけでは足りず,その適用関係が示されなければ,処分の名宛人において,いかなる理由に基づいて占用料の額が定められたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。 (3)アこれを本件についてみると,平成26年度納入告知は,占用料137 9万7500円の納付義務を課すという重大な不利益処分であるところ, 平成26年度納入告知に係る納入告知書(甲11)には,その処分の理由として,「占用料は,大阪市中央区船場中央2丁目1番5ほか22筆の土地について,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に課された固定資産税及び都市計画税に相当する額です。」,「(算定)昭和42年11月13日付建設省道政発第90号の3建設省道路局長通達記2 (2)(ヘ)(b)(七)及び昭和54年2月20日付建設省道政発第15号建設省道路局路政課長通達による」との記載がされているにとどまり(なお,昭和42年局長通達が前記関係法令等の定め3(2)のとおり改正されていることから,昭和42年局長通達の「2(2)(ヘ)(b)(七)」を引用している部分は,昭和42年局長通達の「別表1の26」の誤記であると考えられる。), 原告について平成24年度まで占用料が免除されていたにもかかわらず,平成26年度において占用料が免除されないこととなった理由(平成25年度にも占用料の納入告知処分がされたが,この処分については行政手続法14条1項本文違反を理由に取り消す旨の裁決がされた。前記前提事実(6))や,昭和54年課長通達の算定式に係る減額率を決定した理由は記 料の納入告知処分がされたが,この処分については行政手続法14条1項本文違反を理由に取り消す旨の裁決がされた。前記前提事実(6))や,昭和54年課長通達の算定式に係る減額率を決定した理由は記 載されておらず,原告において,当該納入告知書の記載内容から,いかなる理由に基づいて昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達をどのように適用して占用料の額が決定されたのかを知ることはできないものといわざるを得ない。 したがって,平成26年度納入告知は,行政手続法14条1項本文の定 める理由の提示を欠いた違法な処分である。 これに対して,被告は,平成25年度の納入告知の前後や,平成26年度納入告知の前に,原告に対し,大阪市から固定資産税等を賦課する旨の通知を受けたこと,固定資産税等を賦課された場合,占用料の納付を求めざるを得ないこと,占用料の額の算出根拠等について口頭又は書面で説明 したほか,平成26年度納入告知に係る納入告知書を交付する際も,占用 料計算書を提示した上で同旨を口頭で説明したから,本件各納入告知の理由付記に不十分な点があったとしても,被告の対応は,全体として,行政手続法14条の趣旨を何ら損なうものではなく,処分を取り消さなければならないほどの違法性はない旨主張する。 しかしながら,行政手続法14条1項が,原則として,不利益処分と同 時に当該不利益処分の理由を示さなければならない旨を規定し,同条3項が,不利益処分を書面でするときは,その理由は,書面により示さなければならない旨を規定しているところに照らすと,被告が平成25年度の納入告知についてその理由を説明したからといって,別個の処分である平成26年度納入告知についての理由の提示の適否を左右するものとはいえ ないし,また,平成26 に照らすと,被告が平成25年度の納入告知についてその理由を説明したからといって,別個の処分である平成26年度納入告知についての理由の提示の適否を左右するものとはいえ ないし,また,平成26年度納入告知に係る納入告知書を交付するに先立つ平成26年度の占用更新許可処分(前記前提事実(7))の際に平成26年度の占用料の額の算定根拠について説明したからといって,不利益処分と「同時に」不利益処分の理由を示したことにはならず,当該告知書を交付する際に占用料の額の算定根拠について口頭で説明をしたとしても, 「書面により」示したことにはならない(なお,原告は,当該口頭での説明をする際に,占用料計算書を提示した旨主張するが,その具体的な内容は不明であり,その内容を裏付ける客観的かつ的確な証拠もないから,当該占用料計算書を提示した事実が仮に存するとしても,行政手続法14条1項本文の定める理由の提示を満たすと認めることはできない。)。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 イ平成27年度納入告知,平成28年度納入告知,平成29年度納入告知及び平成30年度納入告知は,占用料1414万1100円又は1565万2800円の納付義務を課すという重大な不利益処分であるが,その処分の理由として,昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達の根拠規定 に加え,占用料が免除されないこととなった理由(昭和42年局長通達の 適用規定の変更)及び昭和54年課長通達の算定式に係る減額率を1とした理由等を示しているから,原告において,いかなる理由に基づいて昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達をどのように適用して占用料の額が決定されたのかを知ることができるものというべきである。 したがって,平成27年度納入告知,平成2 かなる理由に基づいて昭和42年局長通達及び昭和54年課長通達をどのように適用して占用料の額が決定されたのかを知ることができるものというべきである。 したがって,平成27年度納入告知,平成28年度納入告知,平成29 年度納入告知及び平成30年度納入告知が,行政手続法14条1項本文の定める理由の提示を欠くものであるとはいえない。 3 争点6(裁量権の範囲の逸脱又は濫用の有無)について(1) 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,本件各納入告 知に至る経緯等について,次の事実が認められる。 ア本件ビル建設に至る経緯(ア) 築港深江線(総延長1万1900m)は,大阪市の中央部を東西に貫通する幹線道路であり,戦前の都市計画事業と戦災復興事業によって築造されたが,そのうち本件ビル周辺の地域(船場地区。延長約1300 m)は,昭和38年当時開通していなかった。この地域は,大阪の都心部で当時商業活動の盛んな地域を通っており,繊維を中心とする卸売店舗と業務施設が密集していて,これらの施設の大部分を船場地区内に存続させる必要があることなどから,この地域に道路を開通するためには多額の事業費を要することが見込まれた。そこで,大阪市は,国と協議 しながら事業費を節減する方法を検討した。 (イ) 大阪市は,最終的に,昭和40年5月,次のような内容を含む築港深江線(船場地区)事業計画(本件事業計画)を策定した。(甲38,乙50)a 前提 都市計画街路の中へ重複して都市高速道路が計画決定され,両者の 事業が同時に執行される場合,高速道路側(公団。以下同じ。)は,用地取得費の分担等の意味で街路事業費(一般的街路築造工事も含む。)の3分の1を分担する(当時の阪神高速道路公団法4 れ,両者の 事業が同時に執行される場合,高速道路側(公団。以下同じ。)は,用地取得費の分担等の意味で街路事業費(一般的街路築造工事も含む。)の3分の1を分担する(当時の阪神高速道路公団法40条,同法施行令2条)。このような事業を関連街路事業という。 本件事業計画においては,事業区間約1300mのうち,ビルが建 設される区間約930mを除いた区間で築港深江線と本件高速道路とが同時に事業を執行するので,この区間を関連街路とする。関連外街路とは,関連街路以外の街路であり,本件事業計画においては,ビルが建設される区間約930mがこれに当たる。 b 基本的構想 (a) 概要築港深江線の未完成区間は計画幅員80mであるが,現況は幅員8m,6mの2本の細街路があるのみで,しかも沿道には丼池問屋街,一般商店が連なり,ほとんど車両の運行には利用できないところである。このような区間を完成させ,その中央部に高架道路及び 阪神高速道路大阪2号線を築造するに当たって,全区間にわたり関連街路方式を採用して行うのでは,巨額の用地費及び補償費が必要となる。 したがって,この経費の節減を図るとともに,用地取得を円滑にする目的で,高架工作物の下に建築物を設け,これに要移転店舗を 収容する方法を採用する。 (b) 事業実施の要領道路区域内の用地は全て買収し,道路側(街路側(道路施行者としての大阪市。以下同じ。)及び高速道路側。以下同じ。)が所有権を取得する。建築物は高架街路及び高速道路の高架下占用によっ て建設する。 (c) 事業施行の区分建築物は南北の細街路で区切られた各街区に合わせて1棟ずつ計10棟を建設し,これをビル建設区間(関連外街路。延長約930m)とし,それ以外の区間を関連街路とする。 (c) 事業施行の区分建築物は南北の細街路で区切られた各街区に合わせて1棟ずつ計10棟を建設し,これをビル建設区間(関連外街路。延長約930m)とし,それ以外の区間を関連街路とする。また,関連外街路を①平面街路(ビル両側の平面街路と歩道),②ビル敷(道路の高 架下占用によって建設されるビルの敷地),③ビル間(ビルの幅をもって生ずるビルとビルとの間)に区分する。 (d) 費用配分の方法ⅰ 関連外街路(ビル建設区間)の用地費及び補償費は,各街区ごとに街路側,高速道路側,ビル側(道路施行者でなく占用者とし ての大阪市。以下同じ。)の費用負担額を算出し,それらを全街区にわたって集計する。そして,その集計された額の総合比率をもって各事業者間の費用分担率とする。 用地費の負担は,①平面街路においては街路側が負担し,②ビル敷においてはビル側がその半分を負担し,残りの半分をビル屋 上における街路と高速道路のビル敷への投影面積比によって道路側が負担し,③ビル間においては街路側と高速道路側とが同じく投影面積比によって負担する。 補償費の負担は,①平面街路においては街路側が負担し,②ビル敷においては屋上階を含めたビル各階層が均等に負担するもの とし,したがって道路側は屋上階分を負担し,街路側と高速道路側はビル敷への投影面積比によって負担し,残り全部をビル側が負担する。③ビル間においては用地費と同様とする。 ⅱ 関連街路区間の費用分担率は,街路側3分の2,高速道路側3分の1である(前記a参照)。 (ウ) 本件事業計画においては,当初,大阪市が本件ビルの管理主体となる ことが予定されていたが(ビル側),建築資金の調達に困難があったことなどから,原告が本件ビルの管理主体としてビル側の費用を一部負 本件事業計画においては,当初,大阪市が本件ビルの管理主体となる ことが予定されていたが(ビル側),建築資金の調達に困難があったことなどから,原告が本件ビルの管理主体としてビル側の費用を一部負担することとされた。そこで,大阪市と原告は,昭和42年6月28日付けで,原告が,本件ビルを大阪市の基本設計に基づき建設するとともに,本件ビルの完成後,区分所有法に定める管理者として本件ビルの管理を 行うことや,原告が,大阪市が行う高架道路用地の取得に要する経費のうち,本件ビルの敷地に係る費用の一部を分担すること等を定めた「築港深江線高架下建物の建設及び管理に関する基本協定」を締結した。(甲38,42,乙50)(エ) 本件事業計画は,その後,関連外街路の用地費の分担について,ビル 敷においても,用地を全て道路側に帰属させるために道路側が全額負担し,これを街路側と高速道路側とが投影面積比により分担するなどの変更を加えられて(前記(イ)b(d)ⅰ参照)実行された。その際,原告が関連外街路における用地費及び補償費の21.8%を分担することとされた。(甲38,46,乙50) 築港深江線(船場地区)の総事業費(本件ビルの建築工事費及び高速道路工事費を除く。)は,約330億6400万円であり,そのうち関連外街路(本件ビルの建設区間)の用地費及び補償費(御堂筋,三休橋筋,堺筋の街角及び補強費を除く。)は合計269億7058万8000円であった(甲38,乙50)。そこで,原告は,この金額の21. 8%に相当する約58億7900万円を分担するはずであったが,うち11億2300万円は街路側の用地買収遅延等によるものとして大阪市が分担することとなったため,原告は,本件ビルの建築工事費の全額を負担したほか,最終的に47億56 万円を分担するはずであったが,うち11億2300万円は街路側の用地買収遅延等によるものとして大阪市が分担することとなったため,原告は,本件ビルの建築工事費の全額を負担したほか,最終的に47億5600万円(昭和43年5月にうち15億2850万円,昭和44年5月にうち32億2750万円)を分担 した(甲46,54,78,弁論の全趣旨)。この金額は,ビル敷相当 部分の用地費及び補償費の約29.55%に相当する(甲53)。 原告は,日本開発銀行や大阪市等から事業資金の融資を受けて本件ビルを建設し,前記の用地費及び補償費を分担した。(甲39)これに対し,公団は,関連外街路における用地費及び補償費(前記の269億7058万8000円)の26.8%(約72億2812万円) を分担したほか,関連街路の用地費及び補償費合計29億1783万円の約3分の1に相当する9億7260万円を分担した。(甲38,乙50)(オ) 当時の大阪市総合計画局街路部長,同局築港深江線課長及び同局築港深江線主査は,雑誌「道路」昭和45年2月号に寄稿した「ビルと一体 をなす高架道路」と題する論考において,本件道路の占用関係について要旨次のとおり述べた。(甲26)ビルに与えられた占用権はビルが区分所有権の対象として処分されるため,将来複数の区分所有者がそれぞれ占用権者となる。区分所有法の建前ではビルに対する区分所有権は専有部分とそれに伴う共用部分の持 分で構成されるが,共用部分は区分所有者全員の共有となるため場所を特定することができない。したがって,占用を許可する場合も占用権の対象となる物件を特定することが不可能であり,占用の形態はビル全棟を1個の占用物件として,個々の占用ではなく区分所有者全員を対象としたグループ占用の きない。したがって,占用を許可する場合も占用権の対象となる物件を特定することが不可能であり,占用の形態はビル全棟を1個の占用物件として,個々の占用ではなく区分所有者全員を対象としたグループ占用の形態をとらざるを得ない。 前記のような占用形態のため,この物件に対する占用料は,ビル敷全部に係る占用料総額をビルの有効面積で除し,各棟,各階均等に負担させることとしている。 しかしながら,本来道路の占用は占用許可に際して権利の設定料的なものを課さないのが通常である。しかるに本件については当初の事業構 想に起因して,物件については占用の考え方をとりながら,一方では相 当額の分担金を課しており,その上通常の占用物件と同様に年々占用料を賦課することは他の物件に比較して不当な条件を課しているのではなかろうか。用地補償費分担金をもって永代占用料的な取り扱いができないものかどうか,目下検討しているものである。 イ昭和45年度の占用料負担等 (ア) 大阪市長及び公団理事長は,昭和45年3月8日付けで,築港深江線の開通と共に,原告に対し,本件道路の占用の許可を与えた。この道路占用許可の期間は同日から昭和47年3月31日までとされ,原告の納入すべき占用料は年額3589万7580円(うち大阪市の分が1826万1604円,公団の分が1763万5976円)とされた。また, 前記の占用許可には,要旨次の内容を含む条件が付された。(甲44)a 占用物件の構造及び設置占用物件は,その構造が高架道路を支持することができるように施工する。工事施工の際は,大阪市長及び公団理事長(以下「許可者」と総称する。)の指示に従うとともに,工事完了後は届け出て検査を 受ける。 b 占用物件の無償提供義務占用物件は,高架道路を支持す 。工事施工の際は,大阪市長及び公団理事長(以下「許可者」と総称する。)の指示に従うとともに,工事完了後は届け出て検査を 受ける。 b 占用物件の無償提供義務占用物件は,高架道路を支持するためその他道路管理上必要な範囲内において,当該高架道路の存続期間中は,これを無償で高架道路の使用に供さなければならない。 c 占用物件の管理占用物件は,①占用物件に損傷を発見したとき及び損傷のおそれがあるときは,占用者の責任において修理及び予防措置を講ずるものとし,また許可者の指示があるときはこれに従う,②占用物件及び占用区域内は,高架道路及び平面道路の構造又は交通に支障を及ぼすこと のないよう随時調査を行う等の方法により万全の管理を図るなど,善 良な管理者の注意をもって管理を行わなければならない。 d 許可者の免責事項許可者は,高架道路からの雨水の落下若しくは浸透又は高架道路の振動により占用物件に支障を及ぼしたときといえどもその責任を負わない。 (イ) 前記(ア)の占用料の年額は,次のようにして算出された。(甲33,53)当時改正された大阪市道路占用料条例によれば,1㎡当たりの占用料は近傍類似の土地の時価の1~2%とされ,これを基に占用料を計算すると,当初想定の占用料の3,4倍である1億0729万1808円と なってしまう。そこで,改正前の同条例を適用して,1㎡当たりの占用料を甲地域(堺筋より西)については1㎡当たり1080円,乙地域(堺筋以東)については1㎡当たり540円とすると,総額3712万1760円となる。ここから柱面積分を減額すると(詳細は不明),3589万7580円となる。 (ウ) 前記(ア)の占用料に係る大阪市の分と公団の分の比率は,次のようにして算出され 12万1760円となる。ここから柱面積分を減額すると(詳細は不明),3589万7580円となる。 (ウ) 前記(ア)の占用料に係る大阪市の分と公団の分の比率は,次のようにして算出された。(甲53)① 本件道路と交差する南北の道路下の部分(5000.02㎡)は大阪市に帰属するものとする。 ② ①を除いて,築港深江線と高速道路が重複する部分(3958.5 5㎡)は等分とする。 ③ ①,②を除く部分は,それぞれの道路の投影面積とする(大阪市の分が1万2114.67㎡,公団の分が1万6392.72㎡)。 ④ 以上によると,大阪市と公団のそれぞれに帰属する面積の比率は,大阪市0.5087対公団0.4913となる。 (エ) 原告は,前記(ア)の占用許可処分に従い,昭和45年3月分及び昭和4 5年度分の占用料(合計3888万9044円)を支払った。 ウ昭和46年度における固定資産税及び占用料の免除等(ア) 公団は,昭和46年5月29日付けで,大阪市に対し,本件ビルの敷地に係る固定資産税の免除を要請した。その際,公団は,本件ビルの敷地は,市街地における土地の高度利用及び都市再開発のため,築港深江 線及び本件高速道路の両路面下に道路と一体として建設された建物の敷地であるから,本件事業の特殊性に鑑み,本件ビルが建設された経緯及び本件ビルの道路に果たす効用等を勘案して前記土地に係る固定資産税を免除するよう要請した。また,公団は,占用料の免除について関係機関に手続中であることも指摘していた。(甲33) 原告は,昭和46年5月29日付けで,大阪市に対し,本件道路の占用料の免除を要請した。その際,原告は,次のような点などを主張した。 (甲33)a 本件事業を実施するに当たり,ビル(原告)は, 原告は,昭和46年5月29日付けで,大阪市に対し,本件道路の占用料の免除を要請した。その際,原告は,次のような点などを主張した。 (甲33)a 本件事業を実施するに当たり,ビル(原告)は,用地取得費の一部を分担し,道路の築造と都心再開発に大きく貢献しており,事業の性 格上当初から道路と一体構造として設計され,高架道路を無償で支持する義務を負わされているとともに公共的スペースを多く取り入れるなどその公益性も著しい。これらの点から,本件ビルは通常の占用物件とは本質的に異なる。 b 本件事業については,当初計画と異なり,借入金がピークで約85 億円,累積赤字がピークで約14億円にそれぞれ上ると推定されている。このように本件ビルの事業経営の窮状を招いた要因としては,①原告が分担した費用の一部は,処分価格に転嫁して回収することとしていたが,本件ビルが未処分の時点で借入金によりこれを支払ったため経営を圧迫したこと,②建物の性格上地域内交通に寄与するための 歩廊ビル内通路等公共的スペースを多く取り入れたことなどにより, 有効面積が大幅に減少したこと,③②により単位有効面積当たりのコストアップが処分価格の増嵩を来し(近傍類似ビルの約2倍),処分が困難となったことなどが挙げられる。原告は入居の促進について努力しているが,現在の入居目標を達成するのも容易でなく,事業経営も当分の間好転の見込みがない。 (イ) 大阪市は,昭和46年5月31日付けで,公団に対し,原告から本件道路の占用料の免除の申請があり,原告の経営状態,関連するビルの分譲入居状態,原告が分担した費用のビル事業に及ぼした影響,あるいは当該ビル事業が道路事業及び都市の再開発促進に果たした貢献度,更に今後公団への道路引継ぎに関連して起こり得る土地課税 関連するビルの分譲入居状態,原告が分担した費用のビル事業に及ぼした影響,あるいは当該ビル事業が道路事業及び都市の再開発促進に果たした貢献度,更に今後公団への道路引継ぎに関連して起こり得る土地課税の問題等諸般の 情勢を慎重に検討の結果,占用料の免除もやむを得ないものと認められるので,昭和46年度から占用料を免除する方針である旨を通知した。 (甲33)また,大阪市は,昭和46年6月8日付けで,本件道路の敷地のうち公団所有に係るものの昭和46年度分以降の固定資産税について,事情 の変更がない限り免除することとした旨を通知した。 公団は,昭和46年6月17日付けで,建設省に対し,次のような理由等を挙げて,本件ビルに係る占用料を昭和46年度から免除する必要が生じた旨を申し入れた。(甲33)a この度,大阪市長から,本件道路のうち大阪市道に係る占用料を昭 和46年度から免除する方針である旨の通知があった。本件ビルは,築港深江線及び本件高速道路の両路面下に道路と一体として建設された建物であり,物理的にも占用許可を分離して行うことができなかったため,大阪市及び公団の連名により許可したものであるが,大阪市道に係る占用料が免除されることに伴い,本件高速道路に係る占用料 を徴収することは,建物が両路面下に接して建設されているところか ら入居者に対する公平を欠くこととなり,また,両路面下にまたがり存する部分及び重複する部分(総面積4万1424.51㎡のうち7916.93㎡)に係る公団分のみの徴収は,事務的に困難な面が生ずる。 b 占用料と本件道路の敷地のうち公団が所有する部分に係る固定資産 税との関連比較について,現在公団が徴収すべき占用料は,前記aの道路面積比により年額1763万5976円であるが が生ずる。 b 占用料と本件道路の敷地のうち公団が所有する部分に係る固定資産 税との関連比較について,現在公団が徴収すべき占用料は,前記aの道路面積比により年額1763万5976円であるが,先に大阪市から,本件ビルの敷地については道路用地の目的外使用として固定資産税の課税対象物件である旨の連絡を受けており,その場合,本件道路の投影面積比による公団が所有する部分は2万0351.28㎡であ り,税額はおおむね5200万円と試算されている。 したがって,試算どおり固定資産税が課税されれば,占用料との比較において公団は多大の支出増を来すこととなるが,今回,本件高速道路に係る占用料が免除されれば固定資産税を免除する旨の通知を大阪市から受けたのに伴い,公団においても占用料を免除することが得 策であると考えられる。 c 道路と一体として建設された本件ビルは,市街地再開発の手法によって行われた極めて公益性の強いものであり,かつ,本件ビルの占用主体である原告は,道路の建設に当たり,その費用の一部として約47億円という高額の分担をして道路建設に著しく貢献しているなどの 事情もある。 d これらの事情を勘案して,公団においても,昭和42年局長通達の2(2)(ホ)(a)(十三)に該当する物件と認め,本件ビルに係る占用料を免除しようとするものである。 (ウ) 建設省は,昭和46年6月23日,前記(イ)のとおり措置することもや むを得ないと思料される旨回答した。(甲33) (エ) 大阪市及び公団は,昭和46年10月19日付けで,原告に対し,本件ビルに係る占用料を同年4月1日から当分の間免除する旨通知した。 エ平成25年度の納入告知に至る経緯等(ア) 大阪市は,平成25年2月6日付けで,被告に対し,被 19日付けで,原告に対し,本件ビルに係る占用料を同年4月1日から当分の間免除する旨通知した。 エ平成25年度の納入告知に至る経緯等(ア) 大阪市は,平成25年2月6日付けで,被告に対し,被告の所有する固定資産について固定資産税等の減免措置を平成25年度分以降廃止す る旨を通知した。これを受けて,被告は,大阪市に対し,本件ビルの再開発事業としての建設の経緯,道路と一体不可分な構造,昭和46年に大阪市から固定資産税の減免通知等を受けた経緯を踏まえて,固定資産税等の減免措置の継続を申し入れた。また,被告は,平成25年3月26日付けの大阪市に対する説明資料に,固定資産税等の課税が回避され ない場合,昭和46年当時の占用料免除の要因となった,本件高速道路に係る占用料が免除されれば固定資産税を免除する旨の通知を受けたのに伴い,公団において占用料を免除する旨の考え方が成立しないとともに,昭和54年課長通達の趣旨からも占用料の徴収が必要となる旨を記載した。(甲51) (イ) 被告と大阪市は,その後,本件ビルに係る占用料について協議を重ねた。この協議の際に大阪市が作成した資料には,次のような記載が含まれる。(甲53,54)a 昭和46年度に占用料を免除した理由① 原告のビル事業経営収支の悪化 ② 原告は,費用の一部として47億円を分担し,道路建設に著しく貢献している。 ③ 国税当局の分担金(原告の用地関連費の負担)に対する税法上の見解A 税法上,分担金は土地に関する権利(広義の借地権)とみなす のが原則。 B 占用料が免除されるのであれば,繰延資産扱い(占用料の前払い)として資産償却を検討できる余地がある。 Aの見解は,私権制限がかかることと矛盾し,道路法上は問題がある。 ④ ビ 則。 B 占用料が免除されるのであれば,繰延資産扱い(占用料の前払い)として資産償却を検討できる余地がある。 Aの見解は,私権制限がかかることと矛盾し,道路法上は問題がある。 ④ ビル自体が道路を支える道路一体建物となっている。 ⑤ 本件ビルは,高架部分に道路を建設することを推進するための事業として建設されたものであり,従来の道路占用と同様に取り扱うことは妥当性を欠く。 ⑥ 占用条件において,ビル側は高架道路を無償で支持する義務を負わされている。 b 道路占用料の試算道路占用料=近傍類似の土地の時価×占用面積(4万1425㎡)×占用料率(0.012)。 近傍類似の土地の時価は不動産鑑定評価により算出することとする。被告が近隣の占用物件において実施した不動産鑑定評価額を使用 した場合,61万5506円となるが,本件ビルの敷地の実際の評価額は,もう少し高くなると思われる。これによると,道路占用料は3億0596万8000円となる。 c 原告の分担金(54億円)の評価(a) 貨幣価値換算 現在の貨幣価値に換算した場合,200億円近くになる(消費者物価指数(近畿大都市圏・家賃)をみると,昭和45年27.9に対し平成24年99.5)。 (b) 分担金の位置付け用地取得関連費の一部として負担している。 税法上は,大阪国税局の見解により繰延資産(債権)と位置付け られ,原告の会計上も減価償却処理されている。 分担金の位置付けについては,国土交通省,国税局,大阪市,被告,原告で見解の統一が図られたものではないが,土地に関する権利金(物権)でない以上,占用料の一部として考慮するのが妥当である。 (c) 道路占用料額との比較① 昭和45年時点の条例に基づく占用料 解の統一が図られたものではないが,土地に関する権利金(物権)でない以上,占用料の一部として考慮するのが妥当である。 (c) 道路占用料額との比較① 昭和45年時点の条例に基づく占用料の額(1億0729万1808円。前記イ(イ))を採用すると,占用料総額は43年分で46.1億円,50年で53.6億円となる。 ② 昭和45年度に徴収した占用料の額(ただし,柱面積減額前の もの。3712万1760円。前記イ(イ))を採用すると,占用料総額は43年分で28.9億円,78年分で53.5億円となる。 ③ 昭和45年に割引後の地代を一括払いすると仮定した場合,年額地代を前記①の額とし,借地期間を70年とすると,一括払い の地代の額は,割引率を5%としたときで20.8億円,割引率を2%としたときで40.2億円,割引率を1%としたときで53.8億円となる。 (ウ) 大阪市は,本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に係る平成25年度の固定資産税等1372万6300円を賦課した。 (エ) 被告は,平成25年10月1日付けで,原告に対し,本件ビルに係る平成25年度の占用料として,686万3150円の納入告知をした。 しかし,この納入告知は,国土交通大臣の平成27年4月10日付け裁決により取り消された。 (2) 前記1(1)で判示したとおり,会社管理高速道路等に関する占用料を徴収 するか否か及びこれを徴収する場合の額の決定は,被告の合理的な裁量に委 ねられているところ,その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照 法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として 違法となるとすべきものと解するのが相当である。 (3) 以上の見地に立って本件を検討すると,以下の点を指摘することができる。 ア本件ビルは,原告等が本件道路を占用して利益を得るなどの目的で建設されたものではなく,大阪市の中央部を東西に貫通する幹線道路である築 港深江線の船場地区区間を完成させ,併せて本件高速道路を築造するに当たり巨額の用地費及び補償費を節減するために,大阪市が国と協議して作り上げたスキームの一環として建設されたものである。 また,本件ビルの屋上部には築港深江線及び本件高速道路の高架道路が築造されており,これらの高架道路を支持する橋脚等は,本件ビルの主要 構造物と一体となっている。 以上のとおり,本件ビルは本件道路と不可分一体のものとして建設されたものであり,建設の経緯においても構造上も通常の占用物件とは著しく異なる特殊性を有する。 イ(ア) 本件ビルを建設し分譲した原告は,本件ビルの建築工事費の全額を負 担するとともに,ビル敷相当部分の用地費及び補償費の約29.55%に相当する47億5600万円を分担した。この分担金の性質について,当時関係者間において共通の認識があったものと認めることはできないものの,本件各納入告知の時点において回顧的に評価するならば,本件ビルと本件道路との構造上の不可分一体性,本件ビルとその敷地との間 に約定利用権が設定されていないこと,この分担金が税法上原告の繰延 資産と位置付けら おいて回顧的に評価するならば,本件ビルと本件道路との構造上の不可分一体性,本件ビルとその敷地との間 に約定利用権が設定されていないこと,この分担金が税法上原告の繰延 資産と位置付けられ,原告の会計上も償却処理されていることなどの事情に照らし,前記分担金は占用料の前払い的な性格を有するものと認めるのが相当である。 そして,証拠(甲78)によれば,割引率として残存期間1年の国債金利を用いると,前記分担金の昭和46年4月時点の現在価値は約55 億3000万円となることが認められる。他方,本件ビルに係る占用料について,昭和45年度に原告が支払った占用料の額(大阪市の分と公団の分の合計)を基に公示価格の変動率に合わせて昭和46年度以降の占用料の額が変動した(ただし,平成30年度以降の変動率は0)と仮定した場合,割引率として残存期間1年の国債金利を用いると,本件ビ ルの建設から70年後に当たる令和21年(2039年)度までの占用料の昭和46年4月時点の現在価値は約16億8500万円となることが認められる。この占用料の現在価値は,昭和45年度の占用料を実際に支払われた額の2倍とした上で同様の計算をした場合でも34億円に満たないことからすると,前記分担金は少なくとも本件ビルの建設から 現在に至るまで約50年分の占用料を賄うに足りる額であるといえる(占用許可の期間は5年以内に限られているが(道路法施行令9条2号),本件ビルについては前記アの特殊性に照らして占用許可の更新が繰り返されることが当然に予定されていたといえる。)。 (イ) これに対して,被告は,前記分担金は,土地収用権を背景とした土地 の買収が行われるという本件事業の実行に協力することによって,必要なビル用地を非常に良い立地に確保して,自力では 。 (イ) これに対して,被告は,前記分担金は,土地収用権を背景とした土地 の買収が行われるという本件事業の実行に協力することによって,必要なビル用地を非常に良い立地に確保して,自力では実現不可能であった事業を運営できる地位を得ることができるという利益と引換えに,原告が大阪市に対して拠出した金員であるというべきであるから,道路法61条所定の受益者負担金に当たり,占用料とは性格的に区別される旨主 張する。 そこで検討すると,確かに,大阪市総合計画局街路部長ほかの論考(前記認定事実ア(オ))には,「この事業計画の最も特異な点は(中略)高架の路下に建設するビル床の売却代金を用地買収費に還元して公共投資の節減を図ったことである。」,「すなわち本来道路管理者の負担であるべき道路新設費用の一部をビル床の売却代に含めて占用者(ビル入居者) に負担せしめたことで,一種の新しい受益者負担と考えられる。」との記載がある(甲26)。しかし,同じ論考に「用地補償費分担金をもって永代占用料的な取り扱いができないものかどうか,目下検討しているものである。」との記載もあるのであり(前同),前記「受益者負担」というのが道路法61条所定の受益者負担金のことをいうものと断定す ることはできない。また,大阪市関係者が昭和46年頃に作成した文書には,「ビル分担金の道路法上の性格」について「道路法4条では私権の設定が禁止されており(所有権を除く)収納手続等において若干の疑問があるものの法第61条の受益者負担金と解さざるを得ない。」との記載がある(甲46)。しかし,この文書の作成者は不明であり,前記 記載が大阪市等関係者の当時の正式な見解であるものとは認め難い。この点について,平成25年度の納入告知の際に大阪市が作成した資料には, (甲46)。しかし,この文書の作成者は不明であり,前記 記載が大阪市等関係者の当時の正式な見解であるものとは認め難い。この点について,平成25年度の納入告知の際に大阪市が作成した資料には,分担金の位置付けについては,国土交通省,国税局,大阪市,被告,原告で見解の統一が図られたものではないが,土地に関する権利金(物権)でない以上,占用料の一部として考慮するのが妥当である旨の記載 があるところである(前記認定事実エ(イ)c(b))。 そもそも,道路法61条所定の受益者負担金は,特定の者が,道路に関する工事を施行するに当たって本来意図されていない,一般的な利益をはるかに超える特別な反射的利益を受けた場合に,衡平の理念から,この特別な受益に相当する負担金を賦課徴収するというものであるとこ ろ,前記アのような本件ビルの特殊性に鑑みると(原告が事業による収 益を上げることを企図して本件道路の建設という既存の事業計画に参入したものではなく,当該事業計画の存立そのものが本件ビルの建設を前提としている。),衡平の理念からして原告が受益者負担金を賦課徴収されなければならないとはいい難い。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 (ウ) また,被告は,①本件事業は,大阪市が行う街路整備(一般道路事業)と公団が行う高速道路整備(有料道路事業)を同時に行うという,いわゆる合併施行方式によるものであって,2つの事業は明確に区分されており,一般道路事業のための用地取得と有料道路事業のための用地取得は,それぞれの事業の予算において実施されたものである,②原告は, 本件事業計画で予定された資金を調達することができないという大阪市の内部事情により,大阪市の事業(一般道路事業)に参加したにすぎず,原告の関与は公団 において実施されたものである,②原告は, 本件事業計画で予定された資金を調達することができないという大阪市の内部事情により,大阪市の事業(一般道路事業)に参加したにすぎず,原告の関与は公団の事業と何ら関係がなく,前記分担金は,大阪市と原告との協定書に基づき,原告が飽くまで大阪市に対して負担した金員であり,公団は全く受け取っていないから,この金員は公団が賦課する占 用料とは何の関係もないなどと主張する。さらに,被告は,③かえって,原告が本件事業に参加したことによって公団の用地費負担額が増加したのであり,公団は何らのメリットも享受していない旨も主張する。 しかしながら,前記アで説示したところ等に照らして,原告が前記分担金を負担することがなければ本件事業そのものが成立しなかったとい うことができる。また,本件道路においては,築港深江線と高速道路が相当程度重複したりしていて,大阪市長と公団理事長が連名で一体的に占用の許可を与え(前記認定事実イ(ア)),占用料の額は,本件ビルの占用面積全体について算出され,これを大阪市と公団とが両者間で協議した比率に従って案分するものとされていた(同(イ),(ウ)。このような本 件における占用許可及び占用料の特殊性については,公団自身が,建設 省に対し,本件ビルに係る占用料を昭和46年度から免除する必要が生じた旨を申し入れた際に,指摘していたところでもある。前記認定事実ウ(イ)a)。そうすると,本件事業が法形式的に一般道路事業と有料道路事業とに区分され,それぞれの事業の予算において実施され,また前記分担金が前者の事業に係るものとして会計上処理されたからといって, 大阪市が受け取るべき占用料と公団(ひいては被告)が受け取るべき占用料とを区分して,前記分担金の負担が後者とは無 され,また前記分担金が前者の事業に係るものとして会計上処理されたからといって, 大阪市が受け取るべき占用料と公団(ひいては被告)が受け取るべき占用料とを区分して,前記分担金の負担が後者とは無関係であるとか,原告が本件事業に参加したことによって公団が何らのメリットも享受していないとかいうことはできないものというべきである。更にいえば,原告が本件事業に参画せず,本件ビルを建築してその上に高架道路を建設 するという事業が成立しない場合,事業区間約1300m全部が関連街路となり,公団がその用地費及び補償費の3分の1を負担することが考えられるところ(前記認定事実ア(イ)a,b(c),(d)参照),公団は,延長約930mに及ぶ関連外街路における用地費及び補償費について約26.8%しか分担していないのであるから(同(エ)),原告が本件事業に 参画したことにより,公団が経済的にも利益を得たことは明らかであるといえる。そもそも,前記分担金の負担によって公団が具体的な利益を享受していないからといって,前記分担金が占用料の前払い的性格を有することが当然に否定されるものではないし,被告が本件ビルの占用料の額を定めるに当たって,このような前記分担金の性格を全く考慮しな いことが当然にできるともいえない。 したがって,被告の前記主張は,いずれも採用することができない。 (エ) さらに,被告は,前記分担金の額は,建物が存続する限り存続する地上権を設定するとした場合に要する費用には足りないし,前記分担金を毎年取り崩して占用料に充て,残額を運用すると仮定すると,昭和62 年度から平成7年度までには残額が枯渇するから,占用料の前払いであ るとすれば既に延滞が発生していることとなる旨主張する。 しかし,前記分担金の額が地上権の設 ると仮定すると,昭和62 年度から平成7年度までには残額が枯渇するから,占用料の前払いであ るとすれば既に延滞が発生していることとなる旨主張する。 しかし,前記分担金の額が地上権の設定費用に足りないとしても,それにより直ちに占用料の前払い的な性格が否定されるものではない。また,公団やその権利義務を承継した被告が合理的な裁量権の行使として占用料を免除すると決定する場合,そもそも具体的な占用料は発生しな いのであるから,前記分担金を毎年取り崩して占用料に充てるという被告の計算の前提は失当である。 したがって,被告の前記主張は採用することができない。 ウ公団及びその権利義務を承継した被告は,昭和46年当時原告のビル事業の収支が悪化していたことに加え,大阪市から占用料を免除すれば本件 ビルの敷地のうち被告が所有する部分の固定資産税を免除される旨の通知を受けたこと,本件道路と一体として建設された本件ビルの公共性,原告が約47億円という高額の分担をしたことなどを考慮して,昭和46年度以降40年以上にわたって占用料を免除してきたものである。しかるに,被告は,大阪市から固定資産税等を賦課されることとなったという事情の 変更のみを理由として,かつ,本件各納入告知においては固定資産税等の全額を占用料として原告に転嫁したものである。 この点について,被告は,占用料を免除した経緯からして,公団が占用料を免除したのは,大阪市から固定資産税の免除を受けられたからにほかならない旨主張する。確かに,昭和46年度に占用料が免除されるに至っ た経緯をみると,固定資産税の免除が一つの要素となっていたとはいえる。 しかし,前記ア,イの点も重要な要素であったといえるのであり,40年以上にわたって占用料が免除されてきた経緯も併せ考慮する た経緯をみると,固定資産税の免除が一つの要素となっていたとはいえる。 しかし,前記ア,イの点も重要な要素であったといえるのであり,40年以上にわたって占用料が免除されてきた経緯も併せ考慮すると,固定資産税等の賦課の事実を過度に重視することはできない。また,固定資産税等の全額を占用料として原告に転嫁することが相当かについて,被告におい て十分な検討がされた形跡もない。 (4) 前記(3)の諸点その他の前記認定事実を考慮すると,大阪市が本件道路の敷地のうち被告が所有する部分に固定資産税等を賦課するに至ったとの理由で平成26年度から平成30年度までの本件ビルに係る占用料を前記固定資産税等の額と同額と定めた被告の判断は,重視すべきでない考慮要素を重視するなど,考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており, 他方,当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず,その結果,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものということができ,本件各納入告知は,いずれも,裁量権の範囲を超え又はその濫用があったものとして違法となるものというべきである。 第4 結論 よって,原告の主位的請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官 三輪方大 裁判官 齋藤毅 裁判官 内藤陽子 (別紙)処分目録 被告が原告に対して 毅 裁判官 内藤陽子 (別紙)処分目録 被告が原告に対してした,大阪市中央区船場中央1~4先(大阪府道高速大阪東大阪線高架下)船場センタービルに係る下記の各処分 記 1 平成26年4月16日付けでした平成26年度占用料1379万7500円の納入告知処分 2 平成27年4月15日付けでした平成27年度占用料1414万1100円の納入告知処分 3 平成28年4月13日付けでした平成28年度占用料1414万1100円の納入告知処分 4 平成29年4月7日付けでした平成29年度占用料1414万1100円の納入告知処分 5 平成30年4月12日付けでした平成30年度占用料1565万2800円の 納入告知処分以上 (別紙)関係法令等の定め本件に係る関係法令等の概要は,下記のとおりである。 記 1 道路法及び道路整備特別措置法 (1) 道路の占用の許可道路整備特別措置法の規定により被告が行う道路の管理について,同法54条1項,同法施行令15条の規定により読み替えて適用する道路法32条1項7号は,道路に道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物,物件又は施設で政令で定めるものを設け,継続して道路を使用しようとする場合に おいては,被告の許可を受けなければならない旨規定する。 (2) 占用料の徴収道路整備特別措置法33条の規定により読み替えて適用する道路法39条1項は,被告又は地方道路公社(以下「機構等」という。道路整備特別措置法2条7項参照)は,道路の占用につき占用料を徴収することができるが(本文), 道路の占用が国の 替えて適用する道路法39条1項は,被告又は地方道路公社(以下「機構等」という。道路整備特別措置法2条7項参照)は,道路の占用につき占用料を徴収することができるが(本文), 道路の占用が国の行う事業及び地方公共団体の行う事業で地方財政法6条に規定する公営企業以外のものに係る場合においては,この限りでない(ただし書)旨規定する。 道路整備特別措置法33条により読み替えて適用する道路法39条2項は,同条1項の規定による占用料の額及び徴収方法は,政令で定める旨規定する。 (3) 占用料等の強制徴収道路整備特別措置法45条2項により読み替えて適用する道路法73条1項は,同法,同法に基づく命令若しくは条例又はこれらによってした処分により納付すべき占用料等を納付しない者がある場合においては,機構等は,督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない旨を,同条3項前 段は,同条1項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納 付すべき金額を納付しない場合においては,被告は,国税滞納処分の例により,前記占用料等を徴収することができる旨を,それぞれ規定する。 2 道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令(1) 道路法施行令7条9号は,道路法32条1項7号(前記1(1))の政令で定める工作物,物件又は施設として,トンネルの上又は高架の道路の路面下に設 ける事務所,店舗,倉庫,住宅,自動車駐車場,自転車駐車場,広場,公園,運動場その他これらに類する施設を定める。 (2)ア(ア) 道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項は,会社管理高速道路等(阪神高速道路株式会社等が道路整備特別措置法3条1項の許可を受けて新設し,若しくは改築し,又 は同法4条の 行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項は,会社管理高速道路等(阪神高速道路株式会社等が道路整備特別措置法3条1項の許可を受けて新設し,若しくは改築し,又 は同法4条の規定により維持,修理及び災害復旧を行う高速道路等。以下同じ。)に係る占用料の額は,同令別表占用料の欄に定める金額に道路法32条1項の規定(前記1(1))により許可をするなどした占用の期間に相当する期間を同表占用料の単位の欄に定める期間で除して得た数を乗じて得た額とする旨などを規定する。 (イ) 道路法施行令19条3項6号は,国土交通大臣は,指定区間内の国道に係る占用料で同条1項及び2項に規定する額の占用料を徴収することが著しく不適当であると認められる占用物件で,国土交通大臣が定めるものについて,特に必要があると認めるときは,前記各項の規定にかかわらず,前記各項に規定する額の範囲内において別に占用料の額を定め,又は占用 料を徴収しないことができる旨規定する。 道路整備特別措置法施行令12条1項は,道路法施行令19条3項中「指定区間内の国道」とあるのは「会社管理高速道路等」(阪神高速道路株式会社等が道路整備特別措置法3条1項の許可を受けて新設し,若しくは改築し,又は同法4条の規定により維持,修理及び災害復旧を行う高速 道路等)と,「国土交通大臣は」とあるのは「道路整備特別措置法2条7 項に規定する機構等は」と読み替える旨規定する。 イ道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条の2第1項は,会社管理高速道路等に係る占用料は,道路法32条1項の規定(前記1(1))により許可をするなどした日から1月以内に(ただし,当該占用の期間が翌年度以降にわたる場合においては,翌年度以降の 2第1項は,会社管理高速道路等に係る占用料は,道路法32条1項の規定(前記1(1))により許可をするなどした日から1月以内に(ただし,当該占用の期間が翌年度以降にわたる場合においては,翌年度以降の 占用料は,毎年度,当該年度分を4月30日までに),納付すべき金額,期限及び場所を記載した書面により一括して徴収するものとする旨規定する。 3 建設省道路局長発出の「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」(昭和42年11月13日付け道政発第90号の3。甲21,乙32,33,39,40,弁論の全趣旨。以下「昭和42年局長 通達」という。)(1) 昭和42年局長通達(昭和52年9月10日付け道政発第49号の3による改正前のもの)は,道路法施行令19条3項6号(平成元年政令第72号による改正前の同令19条の2第2項5号に相当)の運用に当たって,①占用料を徴収しない物件として,慣行等から占用料を徴収することが不適当であると阪 神高速道路公団等が認めた物件(2(2)(ホ)(a)(十三))を,②占用料を減額する物件及びその減額率として,慣行等から政令で定める額の占用料を徴収することが不適当であると同公団等が認めた物件について,同公団等が定める減額率により占用料を減額する旨(2(2)(ホ)(b)(六))をそれぞれ規定する。 (2) なお,昭和42年局長通達は,平成20年3月25日付け国道利第28号に より改正され,前記(1)の各規定はいずれも(ホ)から(ヘ)に繰り下げられた(甲21)。また,昭和42年局長通達は,平成25年11月29日付け国道利第14号-3(平成26年4月1日施行)により改正され,前記(1)①の規定(占用料を免除するもの)は,別表2の32(慣行等から占用料を徴収することが不適 局長通達は,平成25年11月29日付け国道利第14号-3(平成26年4月1日施行)により改正され,前記(1)①の規定(占用料を免除するもの)は,別表2の32(慣行等から占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたもの)に改 められ,前記(1)②の規定(占用料を減額するもの)は,別表1の26(慣行 等から道路法施行令(道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項)で定める額の占用料を徴収することが不適当であると被告が国土交通省道路局との事前協議を経て認めたものについて,同額に被告が同局との事前協議を経て定める率を乗じて得た額を占用料額とする。ただし,その後の改正で,別表1の28に改められた。)に改められた。 4 建設省道路局路政課長発出の「高架下の占用物件,道路サービス施設等の占用料の額について」(昭和54年2月20日付け道政発第15号。乙3。以下「昭和54年課長通達」という。)昭和54年課長通達は,有料で占用させていることにより固定資産税又は都市計画税を課されているものの占用料の額の算定について,昭和54年度から次の とおり取り扱う旨規定する。 (1) 対象占用の額が「近傍類似の土地の時価」を基礎として算定されるもので固定資産税又は都市計画税を課され,かつ,占用料減額の対象となっているもの。 (2) 算定の方法 占用料の額は,次式により算定するものとする。ただし,次式により算出された額が政令(道路整備特別措置法施行令12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項)で定める額を超える場合には政令で定める額を限度とする。 A=(1-i)(B-C)+C A…徴収すべき占用料の額B… 12条1項により読み替えて適用する道路法施行令19条1項)で定める額を超える場合には政令で定める額を限度とする。 A=(1-i)(B-C)+C A…徴収すべき占用料の額B…政令で定める額C…固定資産税又は都市計画税i…減額率(3) 経過措置 既存の占用物件の占用料の額については,前年度の占用料の額に1.5を 乗じて得た額(以下「調整占用料額」という。)を超える場合には,当該調整占用料額とする。 ただし,当該調整占用料額が固定資産税又は都市計画税の額に満たない場合は,当該固定資産税又は都市計画税の額とする。 以上
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