平成19(ワ)29506 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成21年4月30日 東京地方裁判所 棄却
ファイル
hanrei-pdf-38041.txt

判決文本文15,714 文字)

平成21年4月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成19年(ワ)第29506号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成21年2月9日判決原告A原告B原告ら訴訟代理人弁護士森谷和馬同武谷元被告C同訴訟代理人弁護士平沼高明同平沼直人同加治一毅同馬渕俊介同柳澤聡同平沼大輔同金田健児同尾高健太郎主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求 被告は,原告Aに対し,977万9512円及びこれに対する平成9年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告は,原告Bに対し,110万円及びこれに対する平成9年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告の開設する産婦人科において被告の執刀で腹式の帝王切開手術によって第一子を出産した原告A及びその夫である原告Bが,上記帝王切開手術の際に子宮前壁の切開部の縫合に当たって子宮後壁まで縫い込んだ被告の過失により,原告Aの内子宮口が狭窄し,これにより,第二子の妊娠のための長期間にわたる不妊治療及び内子宮口の狭窄を解消するための開腹手術を余儀なくされたと主張して,被告に対して,不法行為に基づいて治療費,慰謝料等の損害賠償を求めている事案である。 前提事実(当事者間に争いがない事実は証拠を掲記しない)。 (1)当事者ア原告Aは,昭和43年4月24日生まれで,夫である原告Bとの間に,平成9年3月2日に第一子であるD(以下「第一子」という)を,平成。 19年1月10日に第二子を出産した(甲A1・1,41頁。 )イ被告は,平成9年当時,横浜市緑区にお ,夫である原告Bとの間に,平成9年3月2日に第一子であるD(以下「第一子」という)を,平成。 19年1月10日に第二子を出産した(甲A1・1,41頁。 )イ被告は,平成9年当時,横浜市緑区において「Eクリニック(現在,」の名称は「Fクリニック。以下「被告病院」という)の名称で産婦人」。 科を開設していた医師である。 (2)原告Aの診療経過ア被告病院における診療(ア)原告Aは,平成9年3月2日に被告病院で第一子を出産した際,被告の執刀により,腹式の帝王切開手術(以下「本件帝王切開術」という)を受けた。 。 (イ)原告Aは,平成11年3月から平成12年9月まで,被告病院において不妊治療等を受けたが,この間に妊娠することはなかった。 イGクリニックにおける診療原告Aは,平成13年11月から平成16年10月まで,Gクリニックに合計197回通院して不妊治療を受けたが,出産には至らなかった(甲 A7,甲C10。 )ウH病院における診療(ア)原告Aには,子宮頸部の血腫及び膿瘍がみられたため,平成16年10月19日,Gクリニックの紹介により,H病院を受診した(甲A1・4,36頁,甲A2・16,22頁。 )(イ)原告Aは,同月22日,悪寒,発熱及び腹痛がみられたため,H病院に入院したが,抗生剤の点滴及び排膿の処置により解熱したため,同月27日にH病院を退院した(甲A1・33,35,36,38頁,甲A2・1ないし3,6,16頁。 )(ウ)その後も子宮頸部に血腫がみられ,上記入院中のMRI検査において内子宮口の狭窄が認められたため,原告Aは,根治治療を目的とし,,て同年11月17日にH病院に再入院し同病院のI医師の執刀により同月19日に膿瘍を切開排膿し,瘢痕を切除し,内子宮口を形成する開腹手術(以下「本件開腹手術 ため,原告Aは,根治治療を目的とし,,て同年11月17日にH病院に再入院し同病院のI医師の執刀により同月19日に膿瘍を切開排膿し,瘢痕を切除し,内子宮口を形成する開腹手術(以下「本件開腹手術」という)を受けた。I医師は,本件開。 腹手術後,原告Aについて子宮頸部膿瘍及び内子宮口瘢痕狭窄との診断をした(甲A1・33,35ないし37頁,甲A3・26頁。 )エ第二子の出産原告Aはその後もGクリニックにおいて不妊治療を継続したところ,平成18年7月に妊娠が確認され,平成19年1月10日に第二子を出産した(甲A1・15,16,21,24,41頁,甲A7。 ) 争点 (1)本件帝王切開術の際に,被告が縫合操作を誤ったことにより,原告Aの内子宮口に狭窄を生じさせたか否か(原告らの主張)医師が帝王切開手術を施行するに際しては,切開後の縫合操作を適切かつ。 ,,,慎重に行うべき注意義務を負うしかし被告は本件帝王切開術において 第一子の娩出後に子宮前壁の切開部を縫合するに当たり,上記注意義務に違反して誤って子宮後壁まで縫合し,これにより,原告Aの内子宮口に狭窄を生じさせたものである。 このことは,以下の事情からも裏付けられる。 ア内子宮口の狭窄の原因が他に考えられないこと原告Aについては,平成11年3月から平成16年10月までの不妊治療によっては妊娠が成立しなかったにもかかわらず,本件開腹手術後の平成18年5月に第二子の妊娠が確認されたことからすれば,本件開腹手術の際に認められた子宮頸部膿瘍及び内子宮口瘢痕狭窄がそれまで妊娠が成立しなかった原因であると考えられるところ,内子宮口瘢痕狭窄が生じたのは,何らかの外科的処置によるものと考えるほかなく,その原因は,本件帝王切開術,平成11年3月15日の流産手術及び平成12年4月2 立しなかった原因であると考えられるところ,内子宮口瘢痕狭窄が生じたのは,何らかの外科的処置によるものと考えるほかなく,その原因は,本件帝王切開術,平成11年3月15日の流産手術及び平成12年4月24日の子宮卵管造影検査以外には考えられず,中でも本件帝王切開術によるものである可能性が最も高い。 イ本件帝王切開術後に原告Aには発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れたこと本件帝王切開術後,原告Aには発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れるようになったが,その原因は,本件帝王切開術の際に,被告の上記過失によって内子宮口の狭窄が生じ,そこに貯留した血液に細菌が感染することによって膿瘍が形成されたことによるものと考えられる。 ウダグラス窩の液体貯留被告病院の診療録によれば,平成11年3月15日の流産手術以降,原告Aのダグラス窩に血液ないし腹水と考えられる液体の貯留が認められるが,その原因は,本件帝王切開術の際に生じた内子宮口の狭窄や子宮頸部付近の血腫・膿瘍であると考えるのが合理的である。 (被告の主張) ア本件帝王切開術の施行の際に被告が子宮後壁まで縫合したとは考えられないこと被告は,気管内挿管による全身麻酔下で,時間的に十分余裕を持って本件帝王切開術を行ったものであり,基本的な手技を誤るような状況は全くなかった。また,本件帝王切開術の切開部は,内子宮口の2ないし3センチメートル上部であり,切開部において子宮前壁と子宮後壁は3ないし4センチメートル離れており,出血量も中等度で,しかも縫合の際には切開,。 部を挙上しているのであるから子宮後壁まで縫合したとは考えられない被告は,産婦人科医として30年以上の経験があり,本件帝王切開術の時点で1000例以上の帝王切開手術を経験していたが,子宮後壁まで縫合した症例は1件も経験していないし 壁まで縫合したとは考えられない被告は,産婦人科医として30年以上の経験があり,本件帝王切開術の時点で1000例以上の帝王切開手術を経験していたが,子宮後壁まで縫合した症例は1件も経験していないし,産婦人科医の間でも,このような事象は聞いたことがない。 イ本件帝王切開術の施行後に子宮口が狭窄した旨の主張は,同手術直後の診療経過と整合しないこと本件帝王切開術の際に子宮口が閉塞あるいは狭窄していれば,分娩後の悪露が子宮内にとどまるので,術後の経過は著しく不良になったはずである。しかし,実際には,本件帝王切開術後の原告Aの悪露の排出には問題がなく,術後の経過は順調であり,術後1か月後の平成9年4月2日の血液検査において白血球数が6600/μl,CRP値が0.2mg/dlと炎症性反応はみられなかった。このような経過は,子宮口の狭窄があったとすれば,考えられないところである。 ウダグラス窩の液体貯留について被告が平成11年3月15日に原告Aにダグラス窩穿刺を施行したのは,子宮外妊娠の有無を確認するためであり,それ以後のダグラス窩の貯留物は,正常な場合にも存在する程度のものであって,疾病の根拠とはなり得ない。 エ被告の治療行為により子宮頸部膿瘍,内子宮口瘢痕狭窄その他原告らの主張する損害が生じたとは考えられないこと(),(,ア平成11年3月13日原告Aの妊娠が確認されているただし。),,,同月15日に流産したが当時内子宮口の狭窄があったとすればそれを解消することなく妊娠することはあり得ない。 (イ)また,同月15日の原告Aの流産手術(子宮頸管拡張及び内容除去の手術)の際,子宮ゾンデ(消息子)が7センチメートル,へガール(子宮頸管部拡張器)が第7番(直径8ミリメートル)まで入っていること,平成12年4月 5日の原告Aの流産手術(子宮頸管拡張及び内容除去の手術)の際,子宮ゾンデ(消息子)が7センチメートル,へガール(子宮頸管部拡張器)が第7番(直径8ミリメートル)まで入っていること,平成12年4月24日の子宮卵管造影検査(ヒステロ)の際,子宮ゾンデが7センチメートル入り造影用カテーテル造影剤等がスムー,,ズに入っていることは,同日の時点において原告Aの内子宮口に狭窄がなかったことを示している。 (ウ)さらに,本件帝王切開術の縫合の際には,縫合糸としてバイクリルが用いられたが,バイクリルは3週間程度で吸収されるため,万一子宮後壁を縫い込んだ事実があったとしても,バイクリルを使用した縫合によって何年間にもわたって子宮口が狭くなるとは考えられない。 オ平成16年ころに生じていたとされる原告Aの内子宮口の狭窄の原因本件開腹手術の時点で原告Aに内子宮口瘢痕狭窄が生じていたとしても,原告Aは生来内子宮口が狭小であったと推測され,これに加えて本件帝王切開術による切開部の瘢痕化,度重なる流産,長期にわたる不妊治療等の子宮頸管部の処置,狭窄の進行に伴う慢性的な炎症等が内子宮口瘢痕狭窄の原因になったと推測される。 (被告の主張に対する原告らの反論)ア被告の主張イについて,,被告は原告Aの本件帝王切開術後の経過は順調であった旨主張するが術後にどのような経過をたどるかは,狭窄の部位や程度にも関係すること であり,術後直ちに明らかな異常が出現するとは限らない。 イ被告の主張エについて(ア)被告は,子宮口の狭窄を解消することなく妊娠することはあり得,,,ない旨主張するが狭窄の部位や程度によって一概にはいえずむしろ妊娠反応がみられたものの着床せず,その後流産したことに注目すべきである。 (イ)また,被告は,原告Aの流産手術及び子宮卵管 ,,,ない旨主張するが狭窄の部位や程度によって一概にはいえずむしろ妊娠反応がみられたものの着床せず,その後流産したことに注目すべきである。 (イ)また,被告は,原告Aの流産手術及び子宮卵管造影検査の際に子宮ゾンデ等が入ったことから内子宮口の狭窄はなかった旨主張するが,内子宮口が完全に閉塞していたのではなく,狭窄にとどまっていたことから,子宮ゾンデ等の通過は可能であったと考えられる。 (ウ)さらに,被告は,縫合糸として3週間程度で吸収されるバイクリルが用いられた旨主張するが,誤って縫合されれば,縫合糸が吸収されても瘢痕狭窄や癒着を起こし得る。 (2)原告らの被った損害(原告らの主張)被告の過失により,原告Aの内子宮口が狭窄し,そこに血液や膿が溜まりやすい状態となったため,妊娠の成立が妨げられ,原告Aは長期間の不妊治療を余儀なくされた。また,原告Aは,内子宮口の狭窄の治療のために本件開腹手術を受けざるを得なかった。これにより,原告らは,下記のアないしカの損害を被った。 ア原告Aの医療費J病院1万3560円K病院2640円H病院43万6909円Gクリニック336万6471円L薬局1万2010円 M薬局1170円イ原告Aの入院雑費原告Aは,第一子の出産から第二子の妊娠までの間,合計43日(被告病院に5日,H病院に38日)入院した。この間の入院雑費を1日当たり1500円として計算すると,6万4500円となる。 ウ原告Aの交通費原告Aは,通院等のための交通費として,合計15万8390円を支出した。 エ原告Aの逸失利益原告Aは,第一子の出産から第二子の妊娠までの間,合計304日(被告病院に45日,J病院に7日,K病院に1日,H病院に17日,Gクリニックに234日)通院した。 ,,,原告Aは上記 の逸失利益原告Aは,第一子の出産から第二子の妊娠までの間,合計304日(被告病院に45日,J病院に7日,K病院に1日,H病院に17日,Gクリニックに234日)通院した。 ,,,原告Aは上記入通院の際には主婦としての家事を行うことができずこれによる逸失利益を,平成17年賃金センサス女性労働者学歴計全年齢平均に基づいて,入院日は全日,通院日は半日家事労働ができなかったものとして計算すると,次の計算式のとおり,183万4816円となる。 (計算式)343万4400円÷365日×(43日+304日÷2)オ原告らの慰謝料原告らは,長期間にわたる不妊治療が全くの無駄であったこと及び本件開腹手術を受けなければならなかったことに強い憤りを感じており,これに対する慰謝料は,原告Aについて300万円,原告Bについて100万円が相当である。 カ原告らの弁護士費用原告らは原告ら代理人に委任をして本訴を提起せざるを得ず,被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,原告Aについて88万9046円,原告Bについて10万円が相当である。 第3当裁判所の判断 原告Aの診療経過について前記前提事実に加え,後掲各証拠によれば,原告Aの診療経過について以下の各事実を認めることができる。 (1)被告病院における診療ア本件帝王切開術前の経過(ア)原告Aは,平成8年7月18日に被告病院を初めて受診し,妊娠8週3日で分娩予定日は平成9年2月26日と診断され,その後も被告病院において検診を受けたが,経過は順調であった(乙A1・1ないし4,6ないし10,37ないし43頁,乙A7,被告本人1頁。 )(イ)原告Aは,同年3月2日に妊娠40週4日となったため,午前9時ころからノンストレステスト(陣痛促進剤等を使わず,子宮に負荷をかけずに子宮収縮と胎児心 ないし43頁,乙A7,被告本人1頁。 )(イ)原告Aは,同年3月2日に妊娠40週4日となったため,午前9時ころからノンストレステスト(陣痛促進剤等を使わず,子宮に負荷をかけずに子宮収縮と胎児心拍数の状態を調べる検査)を受けたところ,陣痛は全くみられず,胎児心拍数に約3分間徐脈がみられたが,体位変換により徐脈が消失した。同日午後,再度ノンストレステストを受けたところ,胎児心拍数に約4分間徐脈が認められ,胎児切迫仮死と診断されたため,被告病院に入院し,腹式の帝王切開手術による胎児の娩出を(,,)。 行うことになった乙A1・18ないし36頁乙A2・9頁乙A7イ本件帝王切開術の施行(乙A2・1ないし9頁,乙A7,被告本人2ないし4,21,22頁)(ア)原告Aに対する本件帝王切開術は,同日午後5時過ぎころから,気管内挿管による全身麻酔下で被告の執刀により施行された。 (イ)被告が原告Aの腹部を縦切開すると,児頭は子宮口に固定せず高。 ,,位に浮遊していた被告は原告Aの膀胱子宮窩腹膜を切開剥離した上内子宮口の2ないし3センチメートル上部の子宮前壁の筋層を横切開した。 (ウ)被告は,上記切開部から右手を子宮腔内に挿入し,児頭を右手で持ち上げ,左手で原告Aの上腹部を圧迫し,午後5時35分に胎児を娩出させた。胎児の頸部には臍帯が1回巻き付いていたが,胎児は直ちに啼泣した。 (エ)胎児の娩出後,被告は,粘膜鉗子を用いて止血をした上で子宮前壁の切開部を挙上し,通常3週間程度で吸収消失する縫合糸バイクリルを用いて,縫合糸が子宮前壁の筋層を通っていることを確認しながら,子宮前壁の切開部を縫合した。切開部の縫合は,まず子宮前壁の切開部をZ字状に6ないし7か所縫合止血した後,再度その上から子宮前壁の切開部をZ字状に縫合し,出血がな 層を通っていることを確認しながら,子宮前壁の切開部を縫合した。切開部の縫合は,まず子宮前壁の切開部をZ字状に6ないし7か所縫合止血した後,再度その上から子宮前壁の切開部をZ字状に縫合し,出血がないことを確認した後に膀胱子宮窩腹膜の切開部を連続縫合する方法により行われた。 (オ)本件帝王切開術の手術時間は45分,麻酔時間は60分,出血量は中等量の615gであった。 ウ本件帝王切開術直後の経過(),ア本件帝王切開術後の原告Aの悪露の排出には特に問題がみられず同月11日には子宮の収縮が良好であると診断され,同月15日に被告病院を退院した(乙A2・9ないし14頁,乙A7,被告本人5頁。 )(イ)原告Aは,本件帝王切開術後1か月が経過した同年4月2日に被告病院を受診し,血液検査を受けたところ,白血球数が6600/μl(女性の正常値は3500ないし9100/μl,CRP値が0.2)mg/dl(正常値は0.5mg/dl以下)で,炎症性反応はみられなかった(乙A1・11,44頁,乙A7,被告本人5,6頁。 )(ウ)原告Aは,本件帝王切開術後,月経痛が以前より重くなり,毎月のように不正性器出血がみられるようになった(甲A2・16頁,甲A3・40頁,甲A7,原告A本人12,13,17頁。 )エ流産手術 (ア)原告Aは,平成11年3月13日に被告病院を受診し,尿の妊娠反応が陽性であったことから,妊娠6週2日と診断されたが,超音波検査において胎嚢は認められなかった(乙A3・1頁,被告本人6頁。 )イ原告Aには同月14日朝から下腹部痛及び性器出血があった乙(),(A3・3頁,乙A4・1頁,被告本人7頁。 )(ウ)原告Aは,同月15日に被告病院を受診した。この際,超音波検査において胎嚢が認められず,被告が直径2な 痛及び性器出血があった乙(),(A3・3頁,乙A4・1頁,被告本人7頁。 )(ウ)原告Aは,同月15日に被告病院を受診した。この際,超音波検査において胎嚢が認められず,被告が直径2ないし3ミリメートルの子宮ゾンデを7センチメートル原告Aの子宮腔内に挿入したところ,子宮頸管部から中等量の出血が認められたため,非常に初期の子宮内妊娠の流産と思われる旨判断され,同日被告病院に入院し,流産手術(子宮頸管拡張及び内容除去術。以下「本件流産手術」という)を受けること。 になった。このとき,原告Aのダグラス窩には,少量の貯留物が認められた(乙A4・1頁,乙A7,乙B2,被告本人7頁。 )(エ)本件流産手術において,被告は,直径約7ミリメートルの第7番のへガールを用いて原告Aの子宮頸管を拡張し,中等量の子宮内容物を除去した。さらに,被告は,子宮外妊娠か否かを判断するため,原告Aにダグラス窩穿刺を行い,薄い血性腹水0.5mlが引けたため,子宮外妊娠ではないと思われる旨判断した(乙A4・2,11頁,乙A7,乙B2,被告本人8,9頁。 )(オ)その後も,同月16日,同月17日及び同月19日に,原告Aのダグラス窩に貯留物が認められた(乙A4・7ないし9頁。 )(カ)原告Aは,同日被告病院を退院した(乙A4・3,11頁。 )オ不妊治療の開始と子宮卵管造影検査(ア)原告Aは,同月30日から平成12年9月12日まで,被告病院において,基礎体温を測定しながら超音波検査で排卵を観察する等の不妊治療を受けた。この間,平成11年12月13日,平成12年9月1 2日に,原告Aのダグラス窩に貯留物が認められた(乙A3・7ないし21頁。 )(イ)平成11年3月15日,同年11月9日,平成12年1月7日,同年4月24日,同月27日及び同年7 年9月1 2日に,原告Aのダグラス窩に貯留物が認められた(乙A3・7ないし21頁。 )(イ)平成11年3月15日,同年11月9日,平成12年1月7日,同年4月24日,同月27日及び同年7月17日に行われた原告Aの血液検査の結果,白血球数及びCRP値は,正常値の範囲内ないしそれ未満を示していた(乙A3・26ないし30頁,乙A4・13頁,被告本人12頁。 )(ウ)被告は,同年4月24日に原告Aに子宮卵管造影検査(以下「本件造影検査」という)を実施した。この際,原告Aの外子宮口は小さ。 いと感じられたが,直径2ないし3ミリメートルの子宮ゾンデが7センチメートル子宮腔内に入った。また,直径約4ミリメートルの卵管造影カテーテルが原告Aの内子宮口から子宮腔内に入り,造影剤が比較的スムーズに左右の卵管に入った(乙A3・15頁,乙A5ないし7,乙B2,証人I15頁,被告本人10ないし12頁。 )(エ)原告Aには,同年9月21日,肝機能障害が認められたため,被告の紹介により,J病院に転院した(乙A3・46頁。 )(2)Gクリニックにおける診療アGクリニックにおける不妊治療(ア)原告Aは,平成13年11月から,Gクリニックにおいて不妊治療を開始したが,初診の際の超音波検査において,医師から「何か大,変な手術をされたんですか。子宮内にかなり傷が残っているので」と。 言われた(甲A7,甲C10,原告A本人1,16,17頁。 )(イ)原告Aは,その後,Gクリニックの医師から,月経のたびに子宮に血が溜まる旨の指摘を受けた(甲A7,原告A本人18頁。 )(ウ)原告Aは,Gクリニックにおいて子宮卵管造影検査を受けたが,この際に卵管造影カテーテルの子宮腔内への挿入に特に問題はみられな かった(原告A本人11,12頁。 )(エ) 人18頁。 )(ウ)原告Aは,Gクリニックにおいて子宮卵管造影検査を受けたが,この際に卵管造影カテーテルの子宮腔内への挿入に特に問題はみられな かった(原告A本人11,12頁。 )(エ)原告Aは,平成14年9月ころから体外受精及び胚移植の方法による不妊治療を開始した。原告Aにおいては,経膣カテーテルが子宮腔内に入らなかったため,通常の方法では胚を子宮に移植することができず,注射によって子宮筋層を貫く方法によって胚を子宮に移植するという方法が採られた(甲A7,10,証人I14頁,原告A本人2ないし5,12頁。 )イ不妊治療の結果等(),アGクリニックにおける不妊治療は平成16年10月まで続けられその間,原告Aには2回程度妊娠反応がみられたが,着床することはなく,自然流産した(甲A7,原告A本人17頁。 )(イ)原告Aには,平成16年4月ころから,原因不明の悪寒,発熱及び腹痛がみられるようになった(甲A2・16,22頁,甲A7,原告A本人12頁。 )(3)H病院における診療ア本件開腹手術前の経過(ア)原告Aには,子宮頸部の血腫及び膿瘍がみられたため,平成16年10月19日,Gクリニックの紹介により,H病院を受診した。紹介状には,Gクリニックの医師から,帝王切開による子宮頸部屈曲が認められ,毎月月経後子宮に出血が貯留し,今月は特に著明である旨の診療情報が添えられていた(甲A1・4,7,36頁,甲A2・16,22頁,証人I1,2頁。 )(イ)同日の超音波検査の結果,原告Aの子宮内の嚢胞の後方に瘻孔状のものが認められた。I医師は,原告Aにこのような症状が生じた原因について,本件帝王切開術の際に子宮前壁の切開部の縫合に当たって子宮後壁まで縫い込んだ可能性があると推測した(甲A1・7,8頁,証 人I 認められた。I医師は,原告Aにこのような症状が生じた原因について,本件帝王切開術の際に子宮前壁の切開部の縫合に当たって子宮後壁まで縫い込んだ可能性があると推測した(甲A1・7,8頁,証 人I2,3頁。 )(ウ)同月20日,原告Aの外子宮口が狭小であると認められ,子宮ゾンデを挿入すると膿様の分泌物が引けた(甲A1・8頁。 )(エ)H病院を受診した際,子宮腔内に子宮ゾンデを挿入することができないほど原告Aの内子宮口は狭窄していた(甲A9,証人I3,7,14,16頁。 )(オ)原告Aは,同月22日,悪寒,発熱及び腹痛がみられたため,H病院に入院し,子宮頸部膿瘍と診断された。 ,. 同月23日の原告Aの白血球数は14400/μlCRP値は128mg/dlで,炎症性反応がみられた。入院中,原告Aの子宮頸部膿瘍に対して抗生剤の点滴投与が行われ,初めは解熱しなかったものの,同月23日に経膣的に子宮頸管内に尿管カテーテルを挿入し,膿汁100mlを吸引したところ,解熱したため,同月27日にH病院を退院した。 その後も子宮頸部に血腫が残存し,上記入院中の同月26日に実施したMRI検査において内子宮口の狭窄が認められたため,根治治療を目的として同年11月17日にH病院に入院し,同月19日にI医師の執刀により,本件開腹手術を受けることになった(甲A1・33,35,,,,,,,, 38頁甲A2・1ないし36ないし9 35頁甲A3・3,22,32頁。 )イ本件開腹手術の施行(ア)硬膜外麻酔及び吸入麻酔による全身麻酔下で原告Aに対する本件開腹手術が行われた。 (イ)I医師は,原告Aの腹部を切開し,子宮が通常の大きさで,左側にブルーベリー斑が3,4個あるのを認め,子宮の一部の癒着を剥離した。I医師は,原告 酔下で原告Aに対する本件開腹手術が行われた。 (イ)I医師は,原告Aの腹部を切開し,子宮が通常の大きさで,左側にブルーベリー斑が3,4個あるのを認め,子宮の一部の癒着を剥離した。I医師は,原告Aの子宮頸部がくり大に腫大しているのを認め,膀 胱を剥離して子宮頸部の前面を解放した後,子宮頸部を縦切開したところ,膿の流出を認めたため,これを吸引した。その後,I医師は,子宮頸部から子宮ゾンデを用いて子宮腔内を探したが不明であったため,さらに子宮体部の子宮前壁を縦切開し,そこから内子宮口を確認した。すると,内子宮口周辺が瘢痕性に肥厚して内子宮口が狭窄していたため,電気メスで切開し,瘢痕性の肥厚を切除して内子宮口を拡げ,内子宮口部をバイクリルで縫合止血し,子宮腔内に子宮カテーテルを留置した。 I医師は,止血と癒着防止のために内子宮口部にサージカルテープを添付した後,子宮頸部及び子宮体部の切開部を縫合した上,閉腹した。 (ウ)I医師の本件開腹手術前の診断は子宮頸部膿瘍で,本件開腹手術後の診断は子宮頸部膿瘍及び内子宮口瘢痕狭窄であり,術式は膿瘍切開排膿,瘢痕切除及び内子宮口形成であった(甲A1・33,35ないし37頁,甲A3・22ないし26頁,証人I21頁。 )ウ本件開腹手術後の経過(ア)原告Aは,本件開腹手術後の同年12月3日にダグラス窩膿瘍を併発したものの,ダグラス窩穿刺による膿の吸引等により治癒し,同月18日にH病院を退院し,平成17年3月以降は子宮頸部の血腫様所見(,,,,,が消失した甲A1・3337頁甲A3・3 17ないし2038,39頁。 )(イ)原告Aは,平成18年7月4日にH病院において妊娠10週と診断され,以後H病院に通院して検診を受けたが,平成19年1月10日に再度の帝王切開手術により,第 17ないし2038,39頁。 )(イ)原告Aは,平成18年7月4日にH病院において妊娠10週と診断され,以後H病院に通院して検診を受けたが,平成19年1月10日に再度の帝王切開手術により,第二子を出産した(甲A1・15ないし21,24,29,30,41頁。 ) 争点(1(本件帝王切開術の際に,被告が縫合操作を誤ったことにより,)原告Aの内子宮口に狭窄を生じさせたか否か)について原告らは,被告において,本件帝王切開術の際に子宮後壁まで縫合した過失 があった旨主張するので,この点について判断する。 (1)本件帝王切開術の施行の際に被告が子宮後壁まで縫合した可能性ア前記認定事実1(1)イ記載のとおり,本件帝王切開術は,気管内挿管による全身麻酔下で施行されており,麻酔時間も手術時間に比して適切であって,原告Aが手術中に痛みを訴えたり,体を動かしたりしたこともうかがえないから,被告において落ち着いて手技が進められる状況にあったと考えられる。また,手術時間も45分とこの種の手術としては十分というべきであって,被告において特に手技を急ぐべき状況にあった等の事情。 ,,,もうかがえないそして縫合の具体的手技をみても粘膜鉗子を用いて止血をした上で内子宮口の2ないし3センチメートル上部にある子宮前壁の切開部を挙上しながら縫合しており,出血量も帝王切開手術としては中等量の615gであったというのであるから,縫合時に挙上された子宮前壁と子宮後壁との間は数センチメートル程度は離れていたと考えられるし,縫合部が出血のために見えにくくなっていたとも考え難い。 イそして,一般的に帝王切開手術において誤って子宮後壁まで縫合する可能性については,被告本人が,このような事例は報告もなく,長く産婦人科医をしていても聞いたことがない旨陳述し( いたとも考え難い。 イそして,一般的に帝王切開手術において誤って子宮後壁まで縫合する可能性については,被告本人が,このような事例は報告もなく,長く産婦人科医をしていても聞いたことがない旨陳述し(乙A7,I医師も,非常)にまれであるが,人間のやることなので皆無ではない,自分自身経験がないし,周りの医師がこうした過誤を行ったのを見たことはないが,途中まで誤った縫合をしている手術の補助をしたことが1例だけある旨証言する(証人I4ないし6頁)にとどまるとおり,極めてまれな事態であると認められる。 ウそうすると,本件帝王切開術の内容に照らして,本件帝王切開術の際に被告が子宮後壁まで縫合した可能性は高くないものというべきである。 エところで,I医師は,原告Aに生じていた子宮頸部膿瘍,内子宮口瘢痕狭窄が本件帝王切開術の際の不適切な手術操作によって起きる可能性を全 く否定することはできない旨陳述し(甲A9,証人尋問においても,H)病院における超音波検査の原告Aの子宮の所見から,本件帝王切開術の際に被告が子宮後壁まで縫い込んだことも一つの可能性として考えられる旨証言するけれども(証人I2ないし7頁,I医師は,本件帝王切開術の)際に被告が子宮後壁まで縫い込んだことを裏付ける証拠や,本件帝王切開術の傷跡と内子宮口瘢痕狭窄との連続性を確認しておらず(甲A9,証人I4,11,20,21頁,I医師の上記の陳述や証言は,I医師の推)測の域を出るものではないから(証人I2,3頁,I医師の上記証言か)ら,本件帝王切開術の際に被告が子宮後壁まで縫合した事実を認めることはできない。 (2)本件帝王切開術後に原告Aに発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れたことについてア原告らは,本件帝王切開術後に原告Aに発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れたこ 認めることはできない。 (2)本件帝王切開術後に原告Aに発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れたことについてア原告らは,本件帝王切開術後に原告Aに発熱,腹痛,不正性器出血等の症状が現れたことを根拠に,被告の縫合操作に誤りがあった旨主張する。 イこの点,前記認定事実1(1)ウ(ウ)記載のとおり,原告Aは,本件帝王切開術後,月経痛が以前より重くなり,毎月のように不正性器出血がみられるようになったことが認められるが,月経痛が以前より重くなったことは分娩の影響であるとも考えられるし(被告本人23頁,不正性器出血)(,の原因には卵巣の機能障害等様々なものが考えられるから被告本人2324頁,本件帝王切開術後,原告Aに月経痛や不正性器出血等の症状が)現れたことから,直ちに本件帝王切開術の際に被告の縫合操作に誤りがあったことを推認することはできない。 ウまた,原告Aに発熱が出現するようになったのは,平成16年になってからであるというのであるから(原告A本人12頁,原告Aに現れた発)熱の症状が本件帝王切開術における被告の処置によって生じたと認めることは困難である。 (3)ダグラス窩の液体貯留についてア原告らは,本件流産手術以降,原告Aのダグラス窩に血液ないし腹水と,。 考えられる液体の貯留が認められたことを根拠に被告の過失を主張するイこの点,前記認定事実1(1)エ(ウ)及び(エ)記載のとおり,本件流産手術の際に原告Aのダグラス窩には貯留物が認められ,被告によってダグラス窩穿刺が行われているが,証拠(乙A4,乙A7,乙B1,被告本人8頁)によれば,これは子宮外妊娠の有無の診断のために行われたも。 ,()()()のであると認められるまた前記認定事実1 エオ及びオア記載のとおり,平成11年3月1 本人8頁)によれば,これは子宮外妊娠の有無の診断のために行われたも。 ,()()()のであると認められるまた前記認定事実1 エオ及びオア記載のとおり,平成11年3月16日,同月17日,同月19日,同年12月13日及び平成12年9月12日にも原告Aのダグラス窩に貯留物が認められているが,これらに近接した時期に行われた原告Aの血液検査の(()())結果はいずれも炎症性反応を示していない前記認定事実11オイし,上記のダグラス窩の貯留物が原告Aの何らかの病変を示していると認めるに足りる証拠はない。 ,,ウ以上によれば原告Aのダグラス窩に液体の貯留が認められたことから本件帝王切開術の際に被告の過失があったと認めることはできない。 (4)被告の治療行為と原告Aの子宮頸部膿瘍,内子宮口瘢痕狭窄等との関係(),,,ア前記認定事実1 記載のとおり原告AはGクリニックにおいて月経のたびに子宮に血が溜まる旨の指摘を受けるようになり,平成14年9月ころから開始された体外受精及び胚移植の方法による不妊治療の際に経膣カテーテルが子宮腔内に入らず,平成16年4月ころからは原因不明の悪寒,発熱及び腹痛がみられるようになった。そして,前記認定事実1(3)記載のとおり,原告Aは,H病院を受診した際,子宮ゾンデを挿入することができないほど内子宮口が狭窄しており,同年10月23日には炎症性反応がみられて子宮頸部膿瘍と診断され,同月26日に行われたMR I検査において内子宮口の狭窄が認められ,同年11月19日の本件開腹手術において子宮頸部膿瘍及び内子宮口瘢痕狭窄と診断された。このような経過に照らすと,原告Aには,平成14年9月ころには子宮腔内に器具も挿入できないほどの内子宮口の極端な狭窄及びこれによる 本件開腹手術において子宮頸部膿瘍及び内子宮口瘢痕狭窄と診断された。このような経過に照らすと,原告Aには,平成14年9月ころには子宮腔内に器具も挿入できないほどの内子宮口の極端な狭窄及びこれによる月経血の貯留が生じており,平成16年4月ころからは内子宮口周辺部ないし子宮頸部に細菌の感染ないし膿瘍が生じたものと認めることができる。 イしかしながら,原告Aは,平成9年3月2日の本件帝王切開術直後の悪露の排出等に特に問題はみられず(前記認定事実1(1)ウ(ア,平))成11年3月15日の本件流産手術の際には直径約7ミリメートルの第7(()()),番のへガールを用いて子宮頸管を拡張することができ同11エエ平成12年4月24日の本件造影検査の際には直径約4ミリメートルの卵管造影カテーテルが内子宮口から子宮腔内に入り(同1(1)オ(ウ,))(()()()),同年7月までは炎症性反応もみられず同1 ウイ及びオイ平成13年11月からGクリニックにおいて不妊治療を開始した当初は卵管造影カテーテルの子宮腔内への挿入に特に問題はみられなかった(同1(2)ア(ウ)というのであるから,上記アのとおり平成14年9月こ)ろに原告Aにみられた子宮腔内に器具も挿入できないほどの内子宮口の極端な狭窄は,本件帝王切開術後も平成13年11月ころまでは発生していなかったものと認めるのが相当である。 ウ平成14年9月ころに内子宮口の極端な狭窄が生じ,平成16年4月ころからは内子宮口周辺部ないし子宮頸部に細菌の感染ないし膿瘍が生じた原因について,I医師は,本件流産手術の際のへガールを用いた子宮頸管の拡張による筋層の断裂,本件造影検査の際の卵管造影カテーテルの挿入(,,及びGクリニックにおける不妊治療を挙げていること甲A9証人I8 て,I医師は,本件流産手術の際のへガールを用いた子宮頸管の拡張による筋層の断裂,本件造影検査の際の卵管造影カテーテルの挿入(,,及びGクリニックにおける不妊治療を挙げていること甲A9証人I89,16,17,21,22,24頁,仮に,原告らが主張するように)本件帝王切開術の際に被告が子宮後壁まで縫合した事実があったとすれ ば,原告Aの内子宮口の極端な狭窄は本件帝王切開術直後から生じるのが自然であり,本件帝王切開術から4年以上が経過した平成13年11月よりも後に発生するとは考え難いこと等からすれば,上記内子宮口の極端な狭窄や子宮頸部の膿瘍が,本件帝王切開術の際の被告の縫合操作の誤りによって生じたと認めることは困難である。 (5)小括そして,他に本件帝王切開術の際に被告が子宮後壁まで縫合した過失があることを認めるに足りる証拠はないから,この点の過失をいう原告らの主張は,理由がない。 結論 よって,争点(2(原告らの被った損害)について判断するまでもなく,)原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第14部孝橋宏裁判長裁判官山下浩之裁判官裁判官坂田大吾は,転補のため,署名押印することができない。 孝橋宏裁判長裁判官

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る