【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人阪口亮人上告趣意及び被告人上告趣意第一点について。 所論は原審公判においてなされた被告人の精神鑑定申請は、必ず許
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人阪口亮人上告趣意及び被告人上告趣意第一点について。 所論は原審公判においてなされた被告人の精神鑑定申請は、必ず許容すべきものであつたにかかわらず、これを採用しなかつたのは不法であると主張するのである。 しかしながら、かかる鑑定申請を許可するか否かは、各事件の審理において鑑定を要するか否かの判断に基いてなさるべきものであつて、結局各事件の具体的態様と被告人の具体的精神状態を考察して、原審裁判所が適当な裁量によつて決すべき事柄である。本件原審における鑑定申請の理由その他記録に徴しても被告人の精神実状を疑うに足る特別事情は認められない。なお原審判決末尾において被告人には心神の障碍なきことを認定している。それ故、原審が鑑定申請を許さなかつたことをもつて違法だとする論旨は、採ることを得ない。 被告人上告趣意第二点について。 憲法第三一条には「何人も、法律の定める手続によらなければその生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定している。これを裏から言い換えると、何人も法律の定める手続によれば、その生命を奪う刑罰を科せられる場合があることを明らかに宣言しているのである。最高裁判所でもすでに数回に亘つて、死刑の宣告そのものは憲法に違反するものでないと繰り返し判決をしているところである。それ故に、被告人の論旨を採ることを得ない。 同第三点について。 死刑の確定判決のあつた事件についても、再審の理由がある場合には、再審の請求ができる。死刑執行後でも再審の請求はできる。それは他の刑の執行を終つた後でも同様である。所論のごとく、刑法死刑の規定が過去の遺物であるとは考えられ- 1 -ないし、新憲法は別段死刑そのものを禁止したものでないことは、前に述べた 求はできる。それは他の刑の執行を終つた後でも同様である。所論のごとく、刑法死刑の規定が過去の遺物であるとは考えられ- 1 -ないし、新憲法は別段死刑そのものを禁止したものでないことは、前に述べたとおりである。現代国家の進歩の段階において、わが日本国家の現状において、死刑が廃止ないし禁止されたと認むべき根拠はどこにも存在していない。公共の福祉を防衛するためには死刑という刑罰を存置することは已むを得ざることでありまた必要でもある。論旨は、それだから採用することを得ない。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官十蔵寺宗雄開与昭和二四年八月一八日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官真野毅裁判官沢田竹治郎裁判官斎藤悠輔裁判官岩松三郎- 2 -
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