主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 控訴人・附帯被控訴人株式会社Aは,被控訴人・附帯控訴人に対し,227万5664円及びこれに対する平成12年4月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人・附帯控訴人の控訴人・附帯被控訴人株式会社Aに対するその余の請求及び控訴人・附帯被控訴人B株式会社に対する請求をいずれも棄却する。 2 控訴人・附帯被控訴人株式会社Aの控訴を棄却する。 3 訴訟費用は第1,2審を通じこれを4分し,その3を控訴人・附帯被控訴人株式会社Aの,その余を被控訴人の負担とする。 4 この判決は,第1項(1)に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴,附帯控訴の趣旨 1 控訴の趣旨(1) 原判決中,控訴人・附帯被控訴人ら(以下「控訴人ら」という。)敗訴部分を取り消す。 (2) 被控訴人・附帯控訴人(以下「被控訴人」という。)の請求を棄却する。 2 附帯控訴の趣旨(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 控訴人らは,被控訴人に対し,連帯して287万9268円及びこれに対する平成12年4月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人・附帯被控訴人株式会社A(以下「控訴人A」という。)から継続的に手形貸付けを受けていた被控訴人が,これまでに支払った利息を利息制限法所定の利率に引き直して計算し,過払金を元本に充当すると,原判決添付の「原告計算書」記載のとおり287万9268円の過払いになるとして,不当利得返還請求権に基づき,同過払金の返還を求めた事案である。なお,被控訴人は,控訴人Aと控訴人・附帯被控訴人B株式会社(以下「控訴人B」という 載のとおり287万9268円の過払いになるとして,不当利得返還請求権に基づき,同過払金の返還を求めた事案である。なお,被控訴人は,控訴人Aと控訴人・附帯被控訴人B株式会社(以下「控訴人B」という。)とが一体であるとして,両者に上記過払金の連帯支払いを請求している。本件の争点は,(1) 取引の個数,過払金の充当範囲方法,(2) 控訴人Bに支払った保証料等の取扱いである。 原審は,① 従前の貸付金元本の支払期日にその返済資金を貸し付けたと認められる新たな貸付けがなされている場合には,同一系統にある一連の貸付けと評価すべきである,② 控訴人Bが受領した保証料等は利息制限法3条の「債権者の受ける元本以外の金銭」にあたると解して,被控訴人の過払金額を算出した上,法人格否認の法理を類推して,控訴人らに連帯して,同過払金の支払いを命じた。 2 基本となる事実は,原判決「第2 事案の概要」の「1 基本となる事実」に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 争点に関する当事者の主張の要旨は,争点「(1) 取引の個数(過払金の充当の範囲)」について,以下のとおり,当審における主張を付加するほか,原判決「第2 事案の概要」の「2 争点」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 被控訴人ア取引の個数について控訴人Aの貸付事業においては,新規顧客獲得と継続とに顧客管理を分けていたこと,新規顧客では顧客ごと1件としていること,継続の顧客管理では切り返し率(顧客に約束手形を決済して,貸付金を返済期日に一旦返済して貰うとともに,同手形の決済期日に新たにほぼ同額の貸付けをし,実質的に手形貸付けを継続すること)の増加を目指してそれによる貸付けの連続を絶対としていたこと,最終的に顧客ごと1件とした貸出残高の維持増大を目的と ,同手形の決済期日に新たにほぼ同額の貸付けをし,実質的に手形貸付けを継続すること)の増加を目指してそれによる貸付けの連続を絶対としていたこと,最終的に顧客ごと1件とした貸出残高の維持増大を目的としていたことなどの事情がある。これらは,控訴人Aが取引を継続させ,顧客ごとの取引を1件,1連とみなしていたことを明らかにするものであると同時に,手形がそのための手段として用いられてきたという実態をも示すものである。 イ過払金の充当方法について(ア) 仮に,控訴人Aとの取引が個別の手形ごとの取引だとしても,法律解釈上,個別の取引で生じた過払金は,当然,別口の債務に充当される。一個一連の貸付けのときに民法491条による過払金の充当を認めるのであれば,別口の貸付けであっても過払金の即時充当を認めることが当然の論理的帰結である。 (イ) 利息制限法超過金利を徴収する債権者に対しては,期限前弁済をする場合も,期限前の元本充当をする場合も,債権者の期限の利益は,利息制限法によって実際の使用期間に制限されるから,即時充当を否定することはできない。 (2) 控訴人らア取引の個数について(ア) 原審が判断したようなグループ分けを認めるためには,新たに貸し付けられる資金が従前の貸付けの決済にそのまま充当されるような法的関係があることを必要とするところ,本件についてそのような関係は存在しない。 (イ) 貸付金が一旦顧客の当座預金口座に振り込まれてしまえば,その資金は顧客の一般財産に混同してしまうのであり,その資金がそのまま控訴人Aが取立に回した手形の決済資金に優先的に割り当てられるというものではない。現に,控訴人Aが従前の貸付けの支払期日に新規の貸付けを行うことになり,その新規貸付けの資金を振り込んだところ, まま控訴人Aが取立に回した手形の決済資金に優先的に割り当てられるというものではない。現に,控訴人Aが従前の貸付けの支払期日に新規の貸付けを行うことになり,その新規貸付けの資金を振り込んだところ,その資金が別の手形の決済に使われてしまったため,控訴人Aの貸付けの決済ができず,二重の不渡りが出ることも生じている。 (ウ) 顧客,保証人とも,個々の手形貸付けがそれぞれ個別であることを当然の前提とした上で保証期間・保証極度額を決めた保証契約を締結している。 イ過払金の充当方法について以下のとおり,個々の貸付けについて弁済の都度に発生する不当利得金は,そのまま累積されるのであり,それを過去に遡っては,相殺も法定充当もすることができない。 (ア) 被控訴人と控訴人Aとの間でなされた取引は手形貸付けであり,各貸付けの弁済は約束手形の当座上における決済という形でなされるから,弁済の対象となる債務がどれであるかは,当事者間において極めて明確に特定されているとともに,当事者間において決済によって生じた過払金を別の債務への弁済にあてる意思は存在しない。 過払金が順次元本に充当されていくことによりその元本が消滅した後の過払金は,不当利得として返還請求ができる。そして,このように不当利得返還請求権として存在する以上はその返還請求権の行使や処分については権利者の意思に任されるべきものである。仮に,他の債務があったとしても,過払金の返還請求権を行使することが認められるし,他方,過払金の返還請求権を他の債務との間で相殺するとか充当に関する合意を改めてすることも認められる。すなわち,権利者の意思によらずに,権利の処分がなされることはありえないのであって,その意思を無視して,当然に,他の別口の債務に充当することになるな か充当に関する合意を改めてすることも認められる。すなわち,権利者の意思によらずに,権利の処分がなされることはありえないのであって,その意思を無視して,当然に,他の別口の債務に充当することになるなどというのはおよそ論理的ではない。 (イ) 仮に,個々の貸付けごとに過払いによる不当利得が発生している場合,その不当利得金を別の貸付債権に法定充当することができると解した場合であっても,利息の約定がある消費貸借契約においては,貸主には利息を取得する利益があることから,別の貸付債権についての満期までの利息を付したものに対して充当していくと解するほかない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(取引の個数・過払金の充当範囲,方法)について(1) 前記基本となる事実並びに証拠(甲A27,67~71,88,B10(枝番含む。),乙B10(枝番含む。))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア被控訴人は,控訴人Aとの間で継続的金銭消費貸借契約を締結して控訴人Aから金銭を借り受けてきた建設業者である。控訴人Aは,主に物的担保を徴求せず人的担保(保証人)のみにより事業資金の貸付けを行っている貸金業者である。控訴人Aの顧客の大部分は,銀行などの金融機関からは融資を受ける信用がない中小零細事業者である。 イ控訴人Aの行う手形貸付けの方法は,以下のとおりである。 控訴人Aは,新規に取引を行うに際して,一定期間内について一定限度額まで反復継続して貸し付けることを前提とする基本契約(「手形貸付取引約定書」)を顧客と締結した上で融資を実行する。 控訴人Aは,融資を実行する際には,その度ごとに,顧客との間で,利息,返済期間などについて合意した上,顧客から満期日を3か月ないし6か月程度先の日とする約束手 締結した上で融資を実行する。 控訴人Aは,融資を実行する際には,その度ごとに,顧客との間で,利息,返済期間などについて合意した上,顧客から満期日を3か月ないし6か月程度先の日とする約束手形の振出しを受け,振出しを受けた手形の額面額から調査料,取立料,利息(以下,調査料,取立料及び利息を併せて「利息等」という。)のほか控訴人Bが取得する保証料等を控除した金員を,顧客に交付するか,顧客の口座に振込送金して貸し付け,顧客は上記手形を決済することにより借入金を返済する。ただし,平成10年7月以降は,控訴人Aは顧客に対し,約束手形額面満額の金員を交付するとともに,同手形の満期までの中間の期日を満期とし,利息等及び保証料等の合計額を合計額面額とする約束手形1枚から3枚程度の振出しを受け,顧客は,上記各手形を決済することにより,利息等及び保証料等を支払い借入金を返済する。 ウ約束手形の支払期日が近づくと,控訴人Aの従業員は,顧客に対して継続融資を受けることを希望するか否かを問い合わせ,継続融資を希望した場合には,従前の約束手形の支払期日を振出日とする新たな約束手形を振り出させ,この額面額から利息等及び保証料等を控除した金員を顧客の口座に振込送金する等の方法で交付する。顧客は,控訴人Aから振込まれた金員のみでは,従前の約束手形の決済資金に足りないので,控除された金員相当額(従前の借入金と同額の融資を受ける場合)の自己資金を当座預金口座に入金して,従前の約束手形を決済する。 エ控訴人Aの顧客の大部分は,銀行などの金融機関からは融資を受ける信用がない中小零細事業者で自己資金も乏しいうえ,控訴人Aからの借入金の金利の実質年率は,利息制限法所定の金利を大幅に超える高金利であったこともあり,ひとたび,控訴人Aから借入をすると,各借入 ける信用がない中小零細事業者で自己資金も乏しいうえ,控訴人Aからの借入金の金利の実質年率は,利息制限法所定の金利を大幅に超える高金利であったこともあり,ひとたび,控訴人Aから借入をすると,各借入金の元利金全額を一度に返済することができず,かといって,約束手形を不渡りにすると倒産を免れないため,これを避けるために継続融資を希望せざるを得ない状況に陥る場合が多かった。 オ控訴人Aは,同社の営業方針として,営業社員に対して,手形の切り返し率(顧客に約束手形を決済して,貸付金を返済期日に一旦返済して貰うとともに,同手形の決済期日に新たにほぼ同額の貸付けをし,実質的に手形貸付けを継続すること)95パーセント以上を営業目標として要求し,原則として貸付金の一部返済や手形の書き換えによる返済期日の延期を認めず,また,キャンペーンと称して年数回,借増しを積極的に勧誘し,顧客に対し,貸付限度額一杯を借り入れさせ,これに対する利息制限法違反の高金利の支払いを継続させていた。 カ被控訴人と控訴人Aとは,手形貸付取引契約(以下「本件基本契約」という。)を締結したが,その内容は,①平成7年7月3日以降の元本極度額は1000万円とする,②契約期間は5年間とするが,契約期間満了時に被控訴人,連帯保証人,控訴人Aから特段の申出がないときには同一の条件で更に5年間継続されるものとする,③返済方式は手形面記載の満期日に手形面記載の支払場所において手形決済の方法により元金(手形金額)を一括返済するものとする,④手形貸付けを受ける場合の利率は,その都度控訴人Aとの合意によって決定し,控訴人Aからこれを記載した計算書の交付を受ける,⑤被控訴人が元利金の弁済を1回でも怠った場合には,一切の債務について当然に期限の利益を失う,⑥遅延損害金は年率37パーセントと 合意によって決定し,控訴人Aからこれを記載した計算書の交付を受ける,⑤被控訴人が元利金の弁済を1回でも怠った場合には,一切の債務について当然に期限の利益を失う,⑥遅延損害金は年率37パーセントとする,というものである。 実際,被控訴人と控訴人Aは,本件基本契約締結後,前記基本となる事実記載のとおり,継続して手形貸付取引を行い,その取引態様は,前記イからオ記載のとおりであった。 以上のとおり認められ,上記認定を覆すに足りる証拠はない。 (2) 取引の個数以上のとおりであり,各貸付けごとに金利,返済期間などの貸付条件が個別に合意されていること,各貸付金(ただし,利息等及び保証料等の控除後の残金)は被控訴人に現実に交付されており,交付された貸付金については,控訴人Aとの間でその使途について何らの制限もされておらず,被控訴人が自由に使用することが可能であること,その結果,新たな手形貸付けを受けたにもかかわらず,従前の手形も決済されないいわゆるダブル不渡りの生じる危険性が常に存在すること,本件各貸付けのうち,従前の約束手形の決済と新たな約束手形の振出しが同一日に行われているものについてグループ分けをすると,原判決添付の「裁判所計算書」記載のとおりとなるが,1つのグループ内で貸付金額が増減しているものも少なくないこと,従前の約束手形の決済と新たな約束手形の振出しが同一日に行われた場合であっても,控訴人Aに対して振り出された手形の決済日に,被控訴人の当座預金に同手形の決済資金を上回る残高があり,これと控訴人Aから振込入金された新たな貸付金との合計額の中から,控訴人Aに対する手形以外の手形も決済されていて,控訴人Aからの借入金が同控訴人に対して振り出された手形の決済にあてられたと特定することができない場合もあったこと た新たな貸付金との合計額の中から,控訴人Aに対する手形以外の手形も決済されていて,控訴人Aからの借入金が同控訴人に対して振り出された手形の決済にあてられたと特定することができない場合もあったこと(甲B10)が認められる。 これらによれば,控訴人Aの被控訴人に対する各手形貸付けは,別個独立の金銭消費貸借契約であると解するほかないのであり,従前の約束手形の決済と新たな約束手形の振出しが同一日に行われた場合であっても,これを単なる支払期日の延期又は手形の書換えと同視し,これらを一体として一個の貸付けとみることは困難であるというべきである。 (3) 充当の方法ところで,債務者が利息制限法所定の制限を超える金銭消費貸借上の利息,損害金を任意に支払ったときは,同制限を超える部分は,残存元本に充当され,その結果,元本全部を完済しても,同じ当事者の間で別口の貸付債権が残っており,充当に関する特約がない場合は,上記制限超過部分の支払いは,他の口の残存債権の支払いに充当されることになる。 控訴人らは,(ア) 控訴人A及びその顧客には,過払金を別口の債務への弁済に充てる意思は存在しない,(イ) 仮に,別口の債務に充当されるとしても,控訴人Aには満期までの利息を取得する利益があるから,満期までの利息を付したものに対して充当していくほかない旨主張する。しかしながら,前記(1)認定事実によれば,控訴人Aは,期日前返済や手形の書き換え等による返済期日の延期を許さない一方,切り返しや貸付限度額一杯の借入を勧誘することを営業目標としており,顧客が,控訴人Aからの借入金を一度に返済する資力を有さず,かつ,約束手形を不渡りにすると倒産を免れないため各約束手形を決済せざるを得ない状況にあることを見越して,顧客に高額な元本を借り続けさせ,その間 ,控訴人Aからの借入金を一度に返済する資力を有さず,かつ,約束手形を不渡りにすると倒産を免れないため各約束手形を決済せざるを得ない状況にあることを見越して,顧客に高額な元本を借り続けさせ,その間に利息制限法違反の高利の利息を徴収し続けることを目的として,前記のような貸付方法を採用していることが認められる。そうすると,控訴人Aとの間の取引において,各顧客が各約束手形を決済し続けたからといって,顧客において,各約束手形の決済は当該貸付債務のみに対する弁済であって,過払金を別口の債務への弁済に充てる意思が存在しなかったとはいえない。また,このような利息制限法違反の高利の獲得を目的とするシステムを容認することは,同法の趣旨に反するから,同法適用の場面においては,債権者である控訴人Aに期限の利益を付与して,返済期日まで利息(利息制限法違反に違反している)を取得させるべきではない。 したがって,本件においては,控訴人Aと被控訴人との間の取引において,利息制限法所定の制限を超える超過利息を元本に充当した結果過払金が生じたときは,他の別口の貸付債務に当然充当されるものと解するべきである。そして,① 利息は元本の使用の対価であるから,実際に利用可能な貸付元本の金額及び同元本の実際の利用期間を基礎として算出されるべきものであること,② 本件における控訴人らの主張に鑑みれば,控訴人Aが,各貸付けについて返済期日の延期,借換え,増額等の方法をとらずに,前記のような多数回にわたって,個別貸付けを反復する貸付方法をとっているのは,このような方法によれば,多少の取引上のリスクは増大するものの,各貸付けについて返済期日の延期,借換え,増額等を行うよりも,過払金の充当につき控訴人Aにとって有利な解釈を主張することができるからであるものと推認されるが,この の取引上のリスクは増大するものの,各貸付けについて返済期日の延期,借換え,増額等を行うよりも,過払金の充当につき控訴人Aにとって有利な解釈を主張することができるからであるものと推認されるが,このような利息制限法の潜脱的手段による高利の取得を債権者に許すべきではなく,充当にあたっては,個別貸付けの反復という方法をとったことによって控訴人Aが不当に利することのないような計算方法をとるべきであることからすると,過払金を利息等が天引きされた他の貸付に充当することにより,充当されるべき債務について既に天引きされている利息については,充当日以後の天引き分を割り戻すべきこととなる。 2 争点(2)(控訴人Bに支払った保証料等の取扱い)について当裁判所も,控訴人Bが受領した保証料等は利息制限法3条の「債権者の受ける元本以外の金銭」にあたると解する。その理由は,原判決12頁1行目「53,」の次に「55,」を加え,「乙A8,」を「乙A7(枝番を含む),8,」と改めるほか,原判決「第3 当裁判所の判断」の「2 争点(2)(控訴人Bに支払った保証料等の取扱い)について」の冒頭から原判決14頁16行目の「相当である。」までに記載のとおりであるから,これを引用する。 しかしながら,上記結論は,あくまでも,利息制限法の適用の場面において,控訴人Bが受領した保証料等が利息制限法3条の「債権者の受ける元本以外の金銭」にあたると解するにとどまるのであって,控訴人Aと控訴人Bは別法人であるから,被控訴人との間の消費貸借契約の当事者は控訴人Aであるというほかなく,本件において,いわゆる法人格否認の法理を類推して,両社の法人格を同一視するに足りる証拠はない。したがって,過払金返還債務については,控訴人Aのみが返還債務を負うものであり,被控訴人の控訴人Bに対す 件において,いわゆる法人格否認の法理を類推して,両社の法人格を同一視するに足りる証拠はない。したがって,過払金返還債務については,控訴人Aのみが返還債務を負うものであり,被控訴人の控訴人Bに対する請求は理由がない。 3 まとめしたがって,控訴人Bが受領した保証料等を,控訴人Aにおいて取得した利息とみなし,前記1(3)で判示したとおりの充当方法により,被控訴人と控訴人Aとの間の取引の過払額を計算すると,別紙「当審計算表」のとおり,控訴人Aは,被控訴人に対し,227万5664円の過払金返還義務を負っていることとなる。なお,別口の債権がすべて完済となった場合は,「債務者が1個または数個の債務に付き元本の外利息及び費用を払うべき場合」にあたらないから法定充当の規定は適用されず,その際の過払金は不当利得返還請求権として残存することになると解すべきであるところ,本件においては,平成4年11月17日に被控訴人の控訴人Aに対する債務は一旦完済されているから,その時点での過払金返還請求権は,再開後の貸付債務には充当しえない。また,過払金返還請求権は民法の不当利得の規定に基づく権利であるから,遅延損害金の率は民法所定の年5分であると解される。 4 結論よって,被控訴人の請求は,控訴人Aに対し,過払金合計227万5664円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成12年4月25日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから,被控訴人の附帯控訴に基づき,これと異なる原判決を変更して主文第1項のとおり判決し,控訴人Aの控訴を棄却し,控訴人Bの控訴に基づき,被控訴人の同控訴人に対する請求を棄却し,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官小林 控訴人Aの控訴を棄却し,控訴人Bの控訴に基づき,被控訴人の同控訴人に対する請求を棄却し,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官小林克已裁判官内藤正之裁判官白石史子別紙「当審計算表」及び計算方法の説明 1 利息計算については,365日の日割計算かつ初日不算入で行うことについて,当事者間に争いがない。 また,振込手数料は控訴人Aの取得する金銭ではないので,利息制限法3条の「債権者の受ける元本以外の金銭」にあたらないと解するのが相当であるから,天引利息額には算入しない。 2 別紙「当審計算表」は,被控訴人が,「額面額」欄記載の金額の手形を「貸付日」欄記載の日に振り出し,「弁済日」欄記載の日に決済したことを表している。「天引利息」は,利息等と保証料等の合計額であり,「額面額」から「天引利息」を差し引いた額が「交付額」である。 3 ある手形の決済により過払金が生じた場合は,併存する他の債務に法定充当されることになるので,「過払金」欄に過払額を,「充当先」欄に充当先の手形番号を記している。ある貸付について,他の手形の過払金が充当された場合は,その日を「充当日」欄に,充当額を「充当額(他手形分)」欄に記載している。本件において,過払金発生時に弁済期の到来している債務がないので,充当先は,まず,併存する債務の中で債務者にとって弁済の利益の多いもの,すなわち併存する債務のうち「法定利率」が最も高い債務に優先的に充当し,「法定利率」が同一の場合は弁済期の到来が最も早い債務に充当されることになる。 過払金が発生しても別口の債務が存在しない場合は,他に充当されずに不当利得 利率」が最も高い債務に優先的に充当し,「法定利率」が同一の場合は弁済期の到来が最も早い債務に充当されることになる。 過払金が発生しても別口の債務が存在しない場合は,他に充当されずに不当利得として残る。そのような場合については,「不当利得」欄にその金額を記入している。 4 利息等を天引きしている場合には,利息制限法2条に基づいて「元本充当額(天引分)」を計算している。利息等を天引きしている場合は,法定充当される過払金は常に元本に充当されることになるし,他の貸付けから過払金の充当を受けた場合,充当を受けた債務については弁済期前に弁済を受けたことになるから,貸付時に天引きされた利息のうち,充当された元本分に対する充当を受けたときから約定の弁済期までの利息は不当利得となる。利息制限法2条に基づいて控訴人Aが取得しうる法定利息は「交付額」を元に算出されるから,この不当利得金額は,他の手形より充当を受けた元本額に対して,充当日の翌日から弁済日までの間に発生する利息に,貸付時の「交付額」と「充当後残元本」の割合をかけたものと同じである。計算の便宜上,「日数」欄には充当日の翌日から弁済日までの日数を記し,「充当額基準割戻し利息計算」欄には,他の手形より充当を受けた元本額に対して,充当日の翌日から弁済日までの間に発生する利息額を記している。この利息が事後的に不当利得となった分については,その貸付残元本や他の貸付債務に充当する余地はない。 5 利息等の徴収が後取りの場合,過払金が発生した時点で他の債務の利息が存在しているときは,民法491条により,過払金はまず他の債務の利息に充当し,さらに充当すべき過払金が残っている場合に,同法489条に従い,利率の高いもの,弁済期の到来が早いものの順に元本に充当していく。 別紙当審計算表は省略 金はまず他の債務の利息に充当し,さらに充当すべき過払金が残っている場合に,同法489条に従い,利率の高いもの,弁済期の到来が早いものの順に元本に充当していく。 別紙当審計算表は省略
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