【DRY-RUN】主 文 一 被告は、原告に対し、 1 金五万五、七七〇円およびこれに対する昭和四七年五月二六日から支払ずみま で年五分の割合による金員 2 金五万五、七七〇円 をそれぞれ支払え。 二 原告のその
主 文 一 被告は、原告に対し、 1 金五万五、七七〇円およびこれに対する昭和四七年五月二六日から支払ずみま で年五分の割合による金員 2 金五万五、七七〇円 をそれぞれ支払え。 二 原告のその余の請求を棄却する。 三 訴訟費用はこれを二分し、その一を原告、その余を被告の負担とする。 四 この判決は、第一項1に限り、仮に執行することができる。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 被告は、原告に対し、金二七万八、八五〇円および内金五万五、七七〇円に対 する昭和四七年五月二六日から、内金五万五、七七〇円に対する同年七月一四日か ら、内金一六万七、三一〇円に対する同年八月一九日から各支払ずみまで年五分の 割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は、被告の負担とする。 3 仮執行の宣言 二 請求の趣旨に対する答弁 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 第二 当事者の主張 一 請求原因 1 原告は、昭和四五年一一月一八日から被告会社の労働者として働いていた。 2 原告は、昭和四七年三月一三日付郵便で、被告から原告を解雇する旨の意思表 示を受けた。 3 原告の三〇日分の平均賃金額は、五万五、七七〇円である。 4 原告は、被告から病臥中に解雇された。いきなり解雇されてしまつたので、原 告がこれから再就職先を捜すことは、きわめて困難である。また、原告は、被告か ら予告手当金の支払を受けるために本訴の提起を余儀無くされ、多大の時間的労 苦、物質的損害を受けた。被告の原告に対する解雇は、著しく不当であつて不法行 為を構成する。 原告が受けた精神的苦痛は甚大である。 5 よつて、原告は、被告に対し、(一)労働基準法第二〇条に定める予告手当金 五万五、七七〇円、(二)これと同一額の附加金五万五、七七〇円、(三)慰藉料 一六万七、三 告が受けた精神的苦痛は甚大である。 5 よつて、原告は、被告に対し、(一)労働基準法第二〇条に定める予告手当金 五万五、七七〇円、(二)これと同一額の附加金五万五、七七〇円、(三)慰藉料 一六万七、三一〇円の合計二七万八、八五〇円および(一)の金員に対する昭和四 七年五月二六日(本件支払命令送達の翌日)から、(二)の金員に対する同年七月 一四日から、(三)の金員に対する同年八月一九日から各支払ずみまで年五分の割 合による遅延損害金の支払を求める。 二 請求原因に対する認否 1の事実を認める。2の事実を否認する。3の事実を認める。4の事実を否認す る。 原告は、被告会社において自動車の登録、保険等の書類作成などをしていたが、 仕事に習熟せず、応接態度にも時おり問題があつた。そのため、被告は、昭和四七 年三月上旬、原告に対して任意退職の勧告をしようとしていたところ、たまたま原 告が同月一〇日ごろから欠勤したので、同月一三日付郵便でその旨を伝えたのであ る。 三 抗弁 被告は、昭和四七年五月二六日付現金書留郵便で、予告手当金二万四、八二五円 を原告に送金した。 四 抗弁に対する認否 否認する。 第三 証拠(省略) 理 由 一 予告手当金および附加金の請求について 1 原告が昭和四五年一一月一八日から被告会社の労働者として働いていたこと は、当事者間に争いがない。 成立に争いのない甲第一号証の一ないし三は、被告が原告に当てて出した昭和四 七年三月一三日付郵便であるが、それには、「当社の経済上の事で種々協議の結 果、貴殿の仕事の分野は、整備の事務関係で処理する事と相成りましたので、貴殿 の仕事もなくりましたので、残念ながら退職していただき度く、又早急では御困り の様でしたら、今月一杯又は四月にかけてで結構ですから、新就職口を早急に見つ けられ度く申しそへま 事と相成りましたので、貴殿 の仕事もなくりましたので、残念ながら退職していただき度く、又早急では御困り の様でしたら、今月一杯又は四月にかけてで結構ですから、新就職口を早急に見つ けられ度く申しそへます。」との記載がある。 右文面は、その措辞が不明確であつて、これのみでは、それが被告の原告に対す る解雇の意思表示であるとも、任意退職の勧告にすぎないとも解され得る。 しかし、原告本人および被告代表者の各供述によれば、その後、原告および被告 代表者は昭和四七年四月六日に被告会社で会つたこと、その際、右両名は、原告が すでに解雇されていることを当然の前提として予告手当金の支払についてやり取り をしたことが認められる。 そうだとすれば、右文面は、被告の原告に対する解雇の意思を表示したものであ ると解するのが相当である。 原告において解雇の効力が即時に発生したことを容認して予告手当金の支払を求 めるからには、被告はその支払義務を免れ得ないものというべきであり、原告の三 〇日分の平均賃金額が五万五、七七〇円であることは、当事者間に争いがない。 2 成立に争いのない乙第二号証の一、二、第四号証、原告本人および被告代表者 の各供述によれば、被告は、昭和四七年五月二六日付現金書留郵便で二万四、八二 五円を原告に送金したこと、右金員は、同封した明細書によると同年三月一五日か ら四月一三日までのうち二五日間の休業補償費二万七、八八五円から交通費未経過 分として三、〇六〇円を差し引いたものであること、原告は、右現金書留郵便の内 容が不明であるとして開封しないままその受取を拒絶したことが認められる。 右事実によつては、被告が原告に対し予告手当金の一部を弁済したことについて はもちろん、その弁済の提供をしたことも認められない。 3 以上によれば、被告は、原告に対し、労働基準法第二〇条に定める る。 右事実によつては、被告が原告に対し予告手当金の一部を弁済したことについて はもちろん、その弁済の提供をしたことも認められない。 3 以上によれば、被告は、原告に対し、労働基準法第二〇条に定める予告手当金 五万五、七七〇円およびこれに対する昭和四七年五月二六日(本件支払命令送達の 翌日)から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務 があり、被告に対しては、同法第一一四条により右予告手当金と同一額の附加金五 万五、七七〇円の支払を命ずるのが相当である。しかし、附加金の支払義務は、そ の支払を命ずる判決の確定によつて初めて発生するものであるから、これに対する 遅延損害金は、判決確定前に発生する余地はなく、判決確定後に発生する遅延損害 金については、あらかじめその請求をする必要があるものとは認められない。 二 慰謝料の請求について 証人Aの証言、原告本人および被告代表者の各供述によれば、原告は、昭和四七 年三月一〇日風邪のため熱が出たので被告会社を休むこととし、みずから電話で被 告会社女子事務員にその旨を伝えたこと、被告代表者は、原告の仕事振りが思わし くないので原告に被告会社をやめてもらおうと思つていたところ、原告が右同日か ら欠勤したので、前記三月一三日付郵便でその旨を伝えたこと、しかし、被告代表 者の意図は、必ずしも即時解雇にあつたわけではなく、手紙の内容からもうかがわ れるように、原告の申出があれば退職の時期を若干遅らせるようなことは十分考え ていたこと、原告は、四月六日に被告会社で被告代表者と会つた際、退職の条件等 に関する申出は一切しないで予告手当金の支払を求めたことが認められる。 右事実よつては、被告がことさら原告の病臥中をねらつて解雇したものとは認め られないし、被告の原告に対する解雇が著しく不当であつて違法性も帯びるものと もい 予告手当金の支払を求めたことが認められる。 右事実よつては、被告がことさら原告の病臥中をねらつて解雇したものとは認め られないし、被告の原告に対する解雇が著しく不当であつて違法性も帯びるものと もいい難く、これが不法行為を構成すものとは解されない。 さらに、原告が被告から予告手当金の支払を受けるために本訴の提起を余儀無く されたものであるとしても、そのために原告が受けるかも知れない精神的苦痛は、 予告手当金およびこれに対する遅延損害金の支払を受けることによつて同時に慰謝 されるのが通常であつて、本件の全証拠によつても、これのみでは慰謝されないほ ど甚大な精神的苦痛を原告が受けたことを是認し得るような特殊な事情があつたこ とは認められない。原告がもし予告手当金の支払を受けるために本訴の提起を余儀 無くされたことと相当因果関係にある物質的損害を受けたのであれば、それは慰謝 料としてではなく、物質的損害そのものの損害賠償を請求すべきである。 したがって、原告の慰謝料の請求は理由がない。 三 以上の次第で、原告の請求は予告手当金およびこれに対する遅延損害金なら びに予告手当金と同一額の附加金の支払を求める限度で理由があるので認容し、そ の余は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八 九条、第九二条本文を、仮執行の宣言について同法第一九六条第一項(附加金の支 払については、相当でないと認めるので仮執行の宣言をしない。)を適用して、主 文のとおり判決する。
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