平成27年12月8日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)25196号特許権侵害行為差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成27年9月4日判決 原告コンビ株式会社同訴訟代理人弁護士萩尾保繁同山口健司同石 神 恒太郎同関口尚久同伊藤隆大同訴訟代理人弁理士島田哲郎同伊 藤 健太郎同補佐人弁理士三橋真二 被告アップリカ・チルドレンズプロダクツ合同会社同訴訟代理人弁護士国谷史朗同重冨貴光同竹平征吾同吉村幸祐同長谷部 陽 平同訴訟代理人弁理士伊藤英彦同竹内直樹 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙被告製品目録記載1ないし5の各製品(以下,順次「被告製品1」ないし「被告製品5」といい,これらを併せて「各被告製品」という。)を輸入し,販売し,又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,各被告製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,1億4000万円及びこれに対する平成26年9月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「揺動機能付き椅子」とする特許権を有する原告が,被告において各被告製品を輸入し,販売し,販売の申出を行う行為が,原告の上記特許 の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,発明の名称を「揺動機能付き椅子」とする特許権を有する原告が,被告において各被告製品を輸入し,販売し,販売の申出を行う行為が,原告の上記特許権を侵害する旨主張して,被告に対し,特許法100条1項及び2項に基づき,各被告製品の輸入・販売等の差止め及び各被告製品の廃棄を求めるとともに,不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,1億4000万円及びこれに対する平成26年9月26日(不法行為後である本件訴え提起日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲げた事実以外は,当事者間に争いがない。)(1) 原告の特許権ア原告は,発明の名称を「揺動機能付き椅子」とする特許第3958413号(出願日・平成9年9月17日,登録日・平成19年5月18日。以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有している。 本件特許の特許出願の願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の記載は,本判決添付の本件特許に係る公開特許公報記載のとおりであったが,その後,平成19年3月30日付け手続補正(以下「本件補正」と いう。)を経て,同年5月18日,本判決添付の特許公報のとおり本件特許権の設定登録がされた。原告は,平成27年5月18日,本件特許に係る明細書の記載について訂正審判請求をし(以下「本件訂正審判請求」という。),特許庁は,同年7月30日,同訂正審判請求を認容する審決(以下「本件訂正審決」という。)をした。本件訂正審決の確定により,本件特許に係る明細書の特許請求の範囲の記載は,遡及的に本判決添付の訂正明細書(以下「本件明細書」という。)のとおりとなった(以下,本件明細書の請求項1に係る発明を「本件発 件訂正審決の確定により,本件特許に係る明細書の特許請求の範囲の記載は,遡及的に本判決添付の訂正明細書(以下「本件明細書」という。)のとおりとなった(以下,本件明細書の請求項1に係る発明を「本件発明」という。)。(甲1,2,8,27,28。枝番のあるものは枝番を含む。以下同様。)(2) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件A」のようにいう。なお,下線部は本件訂正審決に係る訂正部分である。)。 A ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,B 前記座席に支持された磁性材料の部材と,C 前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイドと,D 該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,E 前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動する揺動機能付き椅子において,F´ 前記ベースには,少なくとも2つのロッドが互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で支持され, G 前記磁性材料の部材は,所定の間隔で対向配置された2つの磁性材料の部材で構成され,H 前記ソレノイドは前記座席の揺動静止時における前記2つの磁性材料の部材間の中点位置近傍で前記ベースに固定され,I 前記ソレノイドは,巻線軸に沿った貫通穴を有し,前記巻線軸を前記座席の揺動方向に対して平行に前記ベースに固定され,J 前記2つの磁性材料の部材は, 材間の中点位置近傍で前記ベースに固定され,I 前記ソレノイドは,巻線軸に沿った貫通穴を有し,前記巻線軸を前記座席の揺動方向に対して平行に前記ベースに固定され,J 前記2つの磁性材料の部材は,前記座席に固定された直線形状のシャフトに固定され,K 前記シャフトは,前記貫通穴に挿入されていることを特徴とするL 揺動機能付き椅子。 (3) 被告の行為ア被告は,平成25年6月から被告製品1及び2を,同年10月から被告製品3を,平成26年11月から被告製品4及び5を,それぞれ中国から輸入し,ベビー用品を取り扱う大手小売業者や大手通販サイト業者らに販売している。また,被告は自社の公式ウェブサイト上で,各被告製品の販売の申出をしている。(甲3~6,19,20)イ各被告製品は,本件発明の構成要件A,I,K及びLを充足する。 他方,本件発明が,「前記ベースには,少なくとも2つのロッドが互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で支持され,」(構成要件F´)るものであるのに対して,各被告製品は,「前記座席の下部には,その揺動方向に対して離間された2つの異なる位置にそれぞれ二組(合計4個)のコロ(車輪)が回動可能に設けられ,前記ベースの上部には,2組(4つ)の湾曲状レールが,上記の各コロに対応する位置にそれぞれ設けられており,前記ベースの上部に設けられた各湾曲状レールが前記座席の下部に回動可能に設けられた各コロを受けることによ って,前記座席が前記ベースに対して揺動可能に支持され」るものである点で相違することから,各被告製品は,本件発明の構成要件F´を文言上は充足しない(以下,構成要件F´に係る同相違点を「本件相違点」という。)。 な 記ベースに対して揺動可能に支持され」るものである点で相違することから,各被告製品は,本件発明の構成要件F´を文言上は充足しない(以下,構成要件F´に係る同相違点を「本件相違点」という。)。 なお,各被告製品の構成が構成要件F´と均等か否かについては後述のとおり争いがあるが,均等の第3要件(置換容易性)を充たすことには争いがない。 2 争点(1) 各被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか否かア本件相違点についての均等侵害の成否(争点1)イ本件相違点以外についての文言侵害の成否(ア) 各被告製品は,構成要件B,C,E,G及びJの「磁性材料」を充足するか(争点2-1)(イ) 各被告製品は,構成要件Cの「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」を充足するか(争点2-2)(ウ) 各被告製品は,構成要件Dの「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」を充足するか(争点2-3)(エ) 各被告製品は,構成要件G,H及びJの「2つの磁性材料の部材」を充足するか(争点2-4)(オ) 各被告製品は,構成要件Cの「磁性材料の部材位置とは異なる位置」及び構成要件Hの「中点位置近傍」を充足するか(争点2-5)(2) 本件発明に係る特許の無効理由の有無(争点3)(3) 原告の損害額(争点4) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件相違点についての均等侵害の成否)について [原告の主張]ア第1要件本件発明は,従来のソレノイドを動力源とする揺動装置が抱えていた問題点に鑑み,揺動時の静粛性を保ちつつ,使用者の重心位置が偏ったときでも安定した揺動運動が行える動力変換効率の高い揺動機能付き椅子を提供することを目的とする。したがって,本件発明の課題 抱えていた問題点に鑑み,揺動時の静粛性を保ちつつ,使用者の重心位置が偏ったときでも安定した揺動運動が行える動力変換効率の高い揺動機能付き椅子を提供することを目的とする。したがって,本件発明の課題解決原理ないし本質的部分は,①座席シートが,(従来例のように揺動方向に対して1点でベース側に支持されるのではなく),揺動方向に対して離間された2つの異なる位置でベース側に支持され,かつ,②(従来例のように1つの基点を中心とした1つの弧を描く揺動運動ではなく),当該ベース側に支持された座席シートの2支点において,それぞれに個別の弧状の揺動運動をするように,ベースに対して揺動可能に支持するとともに,③ソレノイドの巻線軸に沿った貫通穴に直線形状のシャフトを挿入する構成(構成要件I~K)を,同時に採用したという点にある。 各被告製品は,本件発明の上記課題解決原理(本質的部分)をそのまま採用しているのであって,ロッド方式(平行リンク機構)かコロ&レール方式(車輪機構)かの相違は,本件発明の課題解決原理(本質的部分)のうち上記①及び②を具体化する手段における相違にすぎず,本件訂正発明の本質的部分における相違ではない。 イ第2要件各被告製品は,座席の下部に設けられた各コロを,ベースに設けられたそれぞれに対応する各湾曲状のレールが受けることで支持しているのであって,①座席シートが,揺動方向に対して離間された2つの異なる位置でベース側に支持されていることから,「使用者の着座位置等によって変化する重心位置が偏った場合においても,座席シート2 が傾斜したり,後述する揺動振幅等の揺動機能に支障をきたすことを防止することができる。」 (段落【0019】)との作用効果を奏している。 また,各被告製品は,座席の下部の,揺動方向に対して離間された2つの する揺動振幅等の揺動機能に支障をきたすことを防止することができる。」 (段落【0019】)との作用効果を奏している。 また,各被告製品は,座席の下部の,揺動方向に対して離間された2つの異なる位置に,回動可能に設けられた2組のコロが,ベースの上部に設けられた,いずれも同一形状の湾曲状のレールの形状に沿った運動をするのであって,②ベース側に支持された座席シートの2支点において,それぞれが個別の弧状の揺動運動をするように,ベースに対して揺動可能に支持されているし,その結果,座席シートがベースに対して「若干の上下動を含みつつ往復動」するので,③直線形状のシャフトをソレノイドの貫通穴に挿入するという構成を採用しているといえる。 このように,各被告製品においても上記特徴②及び特徴③を同時に採用することにより,「揺動方向に対して直線上に磁性材料の部材とソレノイドを配列」(段落【0052】)した結果として,「簡単な構成で磁性材料の部材とソレノイドとの距離を短縮することができ,動力負荷効率がより高められる一方,磁性材料の部材とソレノイドとを離間した状態で座席を揺動駆動するため,騒音や振動の発生を極力低減することができ,静粛性や乗り心地がより一層向上すると共に,保守作業を大きく軽減することができる。」(段落【0052】)という作用効果,及び,ソレノイドの吸引力のみならず,重力を座席の揺動運動の推力として利用することができるという作用効果と同一の作用効果を奏していることは,明らかである。 よって,各被告製品は,均等論の第2要件(置換可能性)を充足する。 ウ第4要件各被告製品の構成は,本件発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではない。 被告は,車輪型の支持機構が公知技術として複数存在 。 ウ第4要件各被告製品の構成は,本件発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたものではない。 被告は,車輪型の支持機構が公知技術として複数存在していたと主張するが,車輪型の支持機構が公知だからといって,各被告製品の構成(動力源としてソレノイドを用いた揺動機能付椅子において,コロ&レール方 式を適用した構成)と同一又は容易推考といえない。被告が指摘する乙3及び乙4には動力源の記載がなく手動と解されるし,乙5の動力源も電動機であってソレノイドでないから,本件発明とは課題が異なるよって,各被告製品は,均等論の第4要件を充足する。 エ第5要件特許出願当時の公知技術等に照らし,当該対象製品に係る構成に容易に想到し得たにもかかわらず,そのような構成を特許請求の範囲に含めなかったというだけでは,当該対象製品に係る構成を特許請求の範囲から意識的に除外したということはできないから,仮に,本件特許の出願人(原告)が,出願時にコロ&レール方式に容易に想到し得たとしても,それを特許請求の範囲に含めなかったというだけでは,意識的に除外したということはできない。しかるに,本件特許の出願経過に照らしても,当該対象製品に係る構成を明確に認識し,これを特許請求の範囲から除外したと外形的に評価し得る行動がとられていると評価されるような原告の行動は見当たらない。また,本件特許の出願当初の明細書には,車輪機構を開示・示唆する記載は一切ないから,座席の揺動支持機構に限定のない本件特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項1(以下「旧請求項1」という。)に「ロッド」による揺動支持機構とする本件特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項2(以下「旧請求項2」という。)の構成を付加する補正により,客観的・外形的に見 請求項1(以下「旧請求項1」という。)に「ロッド」による揺動支持機構とする本件特許の出願当初の特許請求の範囲の請求項2(以下「旧請求項2」という。)の構成を付加する補正により,客観的・外形的に見て,「ロッド」による支持機構以外を意識的に除外したとはいえない。 また本件特許の出願時において,当業者は,ロッド方式(平行リンク機構)とコロ&レール方式(車輪機構)とが同じ効果を奏すると認識し得なかった。出願人(原告)が,構成要件F´で「ロッド」と規定したのは,ソレノイドとコロ&レール方式の組合せの構成が出願時において存在しない構成(少なくとも出願人が想定していない構成)であり,出願当時にお いて,出願人が,本件発明の解決原理を具体化する手段として,ロッド方式しか想定できなかったからにすぎず,それ以外の具体化手段を排除する意思は毛頭ない。 よって,各被告製品は,均等論の第5要件を充足する。 [被告の主張]ア第1要件(ア) 本件発明の本質的部分本件明細書には,本件発明が,ロッド方式の従来技術(非平行リンク機構)が有する課題について,ロッド方式(平行リンク機構)を有する構成により解決した発明であることが明確に記載されている。すなわち,ロッド方式とコロ&レール方式の両方が技術として知られている状況下で,本件明細書には,ロッド方式の従来技術が有する課題とロッド方式による課題解決手段のみが記載されているのであるから,本件発明がロッド方式の技術を改良する発明であり,コロ&レール方式等のロッド方式以外の技術に関する発明でないことは明らかである。 本件特許出願時の周知(公知)技術の水準・状態及び本件特許の明細書の記載によれば,本件発明は,周知(公知)技術のうち,ロッド方式(平行リンク機構)の構成を課題解決手段として選択した発明であ ある。 本件特許出願時の周知(公知)技術の水準・状態及び本件特許の明細書の記載によれば,本件発明は,周知(公知)技術のうち,ロッド方式(平行リンク機構)の構成を課題解決手段として選択した発明であり,したがって,ロッド方式(平行リンク機構)の構成は,本件発明の本質的部分である。このことは,原告が本件補正及び本件訂正審判請求を行ったことからも裏付けられる。 (イ) 作用効果の相違平行リンク機構は,重心が偏ったときでも,平行リンク機構を構成するロッドの節構造により座席の浮き上がりが生じず,水平方向への移動のみが行われるから,重心が偏ったときでも安定した揺動運動を実現できる。これに対し,車輪機構においては,重心が偏ったとき,片方の車 輪が浮き上がり,座席の傾きによって,磁性材料の部材とソレノイド等,車輪と他の部材とが接触すること等から,揺動運動が阻害される。実際,車輪機構を有する各被告製品は,重心を偏らせた場合,揺動運動に支障が生じる。 また,平行リンク機構においては,例えば,①ロッドの長さを変更・調節できるようにした上で(なお,乙8にはロッドの長さを変更する構成が記載されている。),②ロッド支持部の高さを変更できるような構成にすることによって,ソレノイドとシャフトの位置関係を保ちつつ揺動周期を変更することができる。これに対し,車輪機構においては,上記平行リンク機構のような簡単な設計上の変更による揺動周期の変更を行うことはできない。 このように,平行リンク機構を有する本件発明の構成要件F´の構成と,車輪機構を有する各被告製品の構成とは,奏する作用効果が全く異なる。 (ウ) 以上より,座席支持機構の相違部分(平行リンク機構か車輪機構か)は,本件発明の本質的部分についての相違である。 (エ) なお,本件発明は揺動制御方 構成とは,奏する作用効果が全く異なる。 (ウ) 以上より,座席支持機構の相違部分(平行リンク機構か車輪機構か)は,本件発明の本質的部分についての相違である。 (エ) なお,本件発明は揺動制御方式として振子運動補助方式を前提にしているが,各被告製品は,これと異なり,リニア方式による揺動制御を行っている。振子運動補助方式とリニア方式では,構成及び揺動制御の特徴が著しく異なるのであって,全く異なる技術的思想に基づく揺動制御方式である。したがって,揺動制御を振子運動補助方式からリニア方式に置き換えることも,本件発明の本質的部分の置換に該当する。 イ第2要件上記ア(イ)のとおり,各被告製品における車輪機構では,重心位置の偏りにより座席の傾きや揺動機能に支障が生じることを防ぐ効果や,ロッド の長さの変更(簡単な設計上の変更)により揺動周期を変化させることができる効果といった,本件発明の作用効果を奏することができない。したがって,本件発明の構成要件である複数のロッドによる吊り下げ型の座席支持機構(平行リンク機構)と各被告製品の車輪機構には,置換可能性がない。 ウ第4要件車輪型の支持機構は,本件特許出願時前から,本件発明と同一分野(乳幼児等用の揺動機能付きのベッドの分野)において,公知技術として複数存在していた(乙3~5)。なお,公知技術の動力源は電動機等であるが,乙2によれば,モーターを利用した揺動機構であれば振動や騒音の問題が発生することを認識し,その問題を回避するために電磁力による揺動機構を採用することを教示されているから,動力源の相違は動機付けの阻害要因とはならない。 したがって,各被告製品が有する車輪機構及び電磁力利用揺動機構は,本件特許の出願時における公知技術と同一又は当業者が出願時に容易に推考できた から,動力源の相違は動機付けの阻害要因とはならない。 したがって,各被告製品が有する車輪機構及び電磁力利用揺動機構は,本件特許の出願時における公知技術と同一又は当業者が出願時に容易に推考できたものである。 エ第5要件本件特許の出願時には,ロッド方式及びコロ&レール方式が知られていたところ,旧請求項1の構成要件は,コロ&レール方式を包含するものであった。しかるに,原告は,「前記ベースには,少なくとも2つのロッドが揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が支持され…」というロッド方式(平行リンク機構)の構成要件を付加し,敢えてコロ&レール方式を除外する形でロッド方式(平行リンク機構)に限定する本件補正を行い,これにより,本件特許を受けたのである。なお,平行リンク機構と車輪機構が知られている中で,その相違が本質的なものでないというのであれば,出願人である原告として,「座席シートが,①揺動方向に対 して離間された2つの異なる位置でベース側に支持され,②当該ベース側に支持された座席シートの2点において,それぞれが個別の弧状の揺動運動をするように,ベースに対して揺動可能に支持し…」といった上位概念により請求項を記載することは容易であり,かかる記載をした形での補正を試みる機会があったはずである。にもかかわらず,原告は,敢えて,旧請求項1を削除して車輪機構を除外し,ロッドを必須とする構成に限定する本件補正を行ったのであるから,このような補正は,ロッド以外の座席支持機構を意識的に除外したものと解するほかない。 また,原告は,本件訂正審判請求により,本件発明の構成要件として,ロッドの設置位置及びロッドによる座席の支持位置を特定する構成要件を付加した。これによって,ロッド以外の座席支持機構が本件発明からより明確に除外された。 正審判請求により,本件発明の構成要件として,ロッドの設置位置及びロッドによる座席の支持位置を特定する構成要件を付加した。これによって,ロッド以外の座席支持機構が本件発明からより明確に除外された。 したがって,原告の本件補正及び本件訂正審判請求によってコロ&レール方式(車輪機構)が本件発明の技術的範囲から意識的に除外されたことは明らかである。 (2) 争点2-1(各被告製品は,構成要件B,C,E,G及びJの「磁性材料」を充足するか)について[原告の主張]ア文言の通常の意味からすれば,「磁性材料」には硬磁性材料ないし強磁性体である永久磁石が含まれる。 イ被告は,本件発明の「磁性材料」を「軟磁性材料」の意味に限定解釈すべきと主張し,その根拠として,本件発明の「磁性材料」に対応するソレノイドの部材に関し,本件明細書の記載やJIS 規格等に「可動鉄心」や「鉄等」といった「鉄」という文字を含む用語が使用されているという事実を指摘する。 しかしながら,「鉄心」や「可動鉄心」との用語が電磁石(ソレノイド) に用いられる場合,その材料は「鉄」に限定されないのであって,実際,電気機器の鉄心の材料としては,用途に応じて様々な鉄心材料が開発されている。また,本件特許の審査過程で示された引用文献2(甲10) には「電磁石により磁性材料の部材(マグネット)を揺動方向に吸引するソレノイド」の構成も開示されている。したがって,当業者にとって,揺動機能付椅子又は揺りかごの動力源としてソレノイドを利用するに当たり,電磁石が磁性材料を吸引する力を利用するか反発する力を利用するか,当該磁性材料として硬磁性材料(永久磁石)を用いるか軟磁性材料を用いるか等は,当業者が適宜選択可能な設計的事項にすぎない。 ウしたがって,各被告製品が使用する永 利用するか反発する力を利用するか,当該磁性材料として硬磁性材料(永久磁石)を用いるか軟磁性材料を用いるか等は,当業者が適宜選択可能な設計的事項にすぎない。 ウしたがって,各被告製品が使用する永久磁石は本件発明の「磁性材料」(構成要件B,C,E,G及びJ)に該当する。 [被告の主張]ア磁性材料には軟磁性材料と硬磁性材料があるが,本件発明の「磁性材料」は永久磁石のような「硬磁性材料」を含まないから,各被告製品の永久磁石は本件発明の「磁性材料」に該当しない。 日本工業規格のソレノイド通則(JISC4552)において,ソレノイドは,「交流又は直流の励磁コイルに通電し,可動鉄心を動かすことによって,電磁エネルギーを機械的運動に変換するプランジャ型の電磁石」と定義されている。また,本件明細書には,「磁性材料」につき,「鉄心部材の取付構造を電磁力による吸引効果を損なうことなく簡略化することができ…」(段落【0014】),「所定の間隔で固定した2 つの鉄等の磁性材料の部材」(段落【0021】)等の記載が存在する。なお甲10に記載された公知技術において,上記「電磁力により磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」の「磁性材料」に相当するのは,マグネットではなく,純鉄である。そうすると,本件発明の「磁性材料」が鉄等の軟磁性材料を意味することは明らかである。 イ原告は,るる反論するが,結局,ソレノイドの鉄心に永久磁石等の硬磁性材料が使用される旨の主張・立証を一切行っていない。 したがって,各被告製品が使用する永久磁石は本件発明の「磁性材料」(構成要件B,C,E,G及びJ)に該当しない。 (3) 争点2-2(各被告製品は,構成要件Cの「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」を充足するか)について[原告の主張] 性材料」(構成要件B,C,E,G及びJ)に該当しない。 (3) 争点2-2(各被告製品は,構成要件Cの「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」を充足するか)について[原告の主張]「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」は,「磁性材料の部材」を揺動方向に吸引するソレノイドであればよく,ソレノイドが磁性材料を「吸引する」力と共に「反発する」力を利用していても,磁性材料を「吸引するソレノイド」であることに変わりはない。 本件明細書には吸引力を用いた実施例が記載されているが,これにより本件発明の技術的範囲が実施例に限定されるものではない。また,甲10は,吸引力又は反発力を利用するものであるから,吸引力も利用している各被告製品の制御機構とは異なること,前提となる揺動機構の構成についても本件発明の構成とは異なることから,甲10の存在が,各被告製品が本件発明の技術的範囲に属しない根拠にはならない。なお,磁性材料は軟磁性材料に限られないことは,上記(2)[原告の主張]のとおりである。 したがって,各被告製品は,「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」(構成要件C)との要件を充足する。 [被告の主張]本件発明は,「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」(構成要件C)を構成要件とし,実施例では,重力により開始した振子運動をソレノイドにより磁性材料を揺動方向に吸引することによって補助することにより,揺動を制御している(段落【0024】ないし【0031】)。したがって,本件発明は,「磁性材料の部材を揺動方向に吸引する」ソレノイドを 構成要件とするもので,反発力を利用する揺動制御機構が本件発明の技術的範囲に属しないことは明らかである。これに対し,各被告製品は,電磁石(「ソレノイド」)と永久磁石の吸引力 ソレノイドを 構成要件とするもので,反発力を利用する揺動制御機構が本件発明の技術的範囲に属しないことは明らかである。これに対し,各被告製品は,電磁石(「ソレノイド」)と永久磁石の吸引力及び反発力によるリニア方式の揺動制御を行うものであり,「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」の構成を有していない。 本件発明は,磁性材料の吸引力のみを利用する振子運動補助方式の揺動制御を採用しており,振子運動補助方式以外の吸引力と反発力の双方を必要的に利用する揺動制御(リニア方式等)に使用されるソレノイド(吸引力と反発力の双方を生じるソレノイド)を何らその技術的範囲内に置くものではない。甲10の特許請求の範囲には,吸引力だけでなく反発力による揺動制御が明記されているのに対し,本件発明の特許請求の範囲には,吸引力による揺動制御のみが記載され,反発力による揺動制御はまったく記載されていないのであって,反発力を利用した揺動制御機構が本件発明の技術的範囲に属しないことは明らかである。 したがって,各被告製品は,「磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイド」(構成要件C)との要件を充足しない。 (4) 争点2-3(各被告製品は,構成要件Dの「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」を充足するかについて[原告の主張]ア 「所定」とは,「定まっていること。定めていること。」(広辞苑)という意味であるから,何らかの形で予め定めているタイミングでソレノイドを励磁する制御手段を有していれば(すなわち,何らかの制御プログラムに基づいてソレノイドの励磁を制御していれば),構成要件Dの「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」を充足する。 イ被 かの制御プログラムに基づいてソレノイドの励磁を制御していれば),構成要件Dの「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」を充足する。 イ被告は,各被告製品が,磁界の向きを適時に切り替えることで座席の揺動動作を制御していることを認めているところ,ソレノイドの磁界の向きの切り替えが,ソレノイドに流す電流の向きを逆方向にすることによってされることは技術常識である。したがって,各被告製品が,ソレノイドを,適時に(「所定のタイミングで」),直前までとは逆向きに「励磁」(コイルに電流を流して磁束を発生させること)することによって,座席の揺動動作を制御していることは明らかである。 また,各被告製品は,PWM(PulseWidthModulation:パルス幅変調)制御によって磁界の強さを制御しているので,ソレノイドに流れる電流を,「所定の」タイミングでONとOFFを切り替えて「励磁」することによって,座席の揺動動作を制御していることが明らかである。 ウしたがって,各被告製品は,「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」(構成要件D)の要件を充足する。 [被告の主張]構成要件Dの「所定のタイミングで励磁する」とは,ソレノイドが通電されていない状態からごくわずかな時間ソレノイドに通電することによりソレノイドを励磁することを意味する。本件発明は,ソレノイドによって磁性材料の部材を揺動方向に吸引し,振子運動を補助することにより,揺動制御を行うものであるところ,ソレノイドを常時励磁した場合には,ソレノイドにより磁性材料の部材が吸引・固定され,揺動を継続することができない。このことからも,本件発明が,極わずかな所定のタイミングでのみソレノイドを励 ところ,ソレノイドを常時励磁した場合には,ソレノイドにより磁性材料の部材が吸引・固定され,揺動を継続することができない。このことからも,本件発明が,極わずかな所定のタイミングでのみソレノイドを励磁することを構成要件としていることが明らかである。 これに対し,各被告製品は,ソレノイドを常時励磁し,ソレノイドの励磁により生じる磁界の向きを適時に切り換えることによる揺動制御手段の構成を有しており,本件発明の「所定のタイミングで励磁する…揺動制御手段」 を有していない。 なお,PWM方式では,一定電圧の入力からパルス列のONとOFFの一定周期(極早い周期(例えば,各被告製品では0.05秒周期))を作り,同周期中のONの時間幅を変化させることで,ONの時間幅に比例した出力電圧(平均電圧)を得ることができるのであって,PWM方式における電流のONとOFFは,出力電圧(平均電圧)を変化させるためのものであり,OFFのときに出力電圧(平均電圧)がゼロになるものではない。 したがって,各被告製品は,「ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで座席の揺動動作を制御する揺動制御手段」(構成要件D)の要件を充足しない。 (5) 争点2-4(各被告製品は,構成要件G,H及びJの「2つの磁性材料の部材」を充足するか)について[原告の主張]各被告製品の左右それぞれ4個の小さな永久磁石部分は,互いに強固に吸着して,4個からなる小さな永久磁石の群が一つの永久磁石として機能しており,右に配置された永久磁石(群)と左のそれとでは,互いに磁極が逆になっているので,機能的に,2つの永久磁石が存在しているといえ,また,これら2つの永久磁石は,一定の間隔を空けて,シャフトに固定されている。 したがって,各被告製品は,「2つの磁性材料の部材」(構成要件G, るので,機能的に,2つの永久磁石が存在しているといえ,また,これら2つの永久磁石は,一定の間隔を空けて,シャフトに固定されている。 したがって,各被告製品は,「2つの磁性材料の部材」(構成要件G,H及びJ)の要件を充足する。 [被告の主張]本件発明は「2つの磁性材料の部材」を構成要件とするところ,各被告製品は,本件発明の「磁性材料」に対応する永久磁石(硬磁性材料)を合計8個配置している。なお,本件発明において,「2つの磁性材料の部材」の「機能」は何ら問題とされていないから,機能的に2つの永久磁石が存在しているなどという原告の主張は失当である。 したがって,各被告製品は,「2つの磁性材料の部材」(構成要件G,H及びJ)の要件を充足しない。 (6) 争点2-5(各被告製品は,構成要件Cの「磁性材料の部材位置とは異なる位置」及び構成要件Hの「中点位置近傍」を充足するか)について[原告の主張]各被告製品の揺動静止時におけるソレノイドと永久磁石の位置関係は,ソレノイド(寸法70mm)の長手方向の両端部から,2つの永久磁石がそれぞれ10mm(=(90mm-70mm)/2)ほど外側にはみ出している状態である。 したがって,各被告製品は,「磁性材料の部材位置とは異なる位置」(構成要件C)及び「中点位置近傍」(構成要件H)の各要件を充足する。 [被告の主張]2つの磁性材料の部材を極めて隣接した距離で配置した場合には,揺動の振幅の設定の点で,単一の磁性材料の部材を設置した場合と全く異ならなくなるため,単一の磁性材料の部材を設置した構成のものよりも,揺動の振幅をより小さく設定することができるという,本件発明の作用効果を奏することができない。また,2つの磁性材料の部材を一定程度の距離を空けて配置したとしても,両磁性材料の部材 構成のものよりも,揺動の振幅をより小さく設定することができるという,本件発明の作用効果を奏することができない。また,2つの磁性材料の部材を一定程度の距離を空けて配置したとしても,両磁性材料の部材をいずれも内包する幅のソレノイドを設置した場合には,揺動時にもソレノイドの幅長内に両磁性材料の部材が同時に存在することになり,その結果,振子運動を加勢するのに必要な吸引力が発生せず,効率的・安定的な振子運動補助作用に支障が生じる。 したがって,本件発明の「磁性材料の部材位置とは異なる位置」及び2つの磁性材料の部材間の「中点位置近傍」には,2つの磁性材料の部材をいずれも内包するようなソレノイドの設置が含まれないことは明らかである。しかるに,各被告製品においては,揺動静止時に,ソレノイドが8個の永久磁石をほぼ全て内包するような状態で固定されている。 したがって,各被告製品は,「磁性材料の部材位置とは異なる位置」(構成要件C)及び「中点位置近傍」(構成要件H)の各要件を充足しない。 ⑺ 争点3(本件発明に係る特許の無効理由の有無)について[被告の主張]ア乙2(特開昭55-99219号公報。以下「乙2文献」という。)には,ゆりかご本体を電磁力等により自動的に揺動せしめ,乳児を寝かせるのに使用する電動式乳児ゆりかごに関し,特に揺動自由に吊設したゆりかご本体を電磁力等による揺動装置と揺動制御装置により,適宜の時間,所望の振幅で自動的に揺動運動をさせることができ,また,ゆりかごの揺動杆を電磁誘導装置内に挿通してゆりかごを安定的かつ的確に揺動せしめ,さらには揺動制御装置にマイク等の泣き声検知器を関連せしめ乳児の泣き声を受けて揺動運動を開始し得るようにした電動式ゆりかごが記載されている(以下,乙2文献に記載された発明を「乙2発明」と 動せしめ,さらには揺動制御装置にマイク等の泣き声検知器を関連せしめ乳児の泣き声を受けて揺動運動を開始し得るようにした電動式ゆりかごが記載されている(以下,乙2文献に記載された発明を「乙2発明」という。)。 本件発明と乙2発明とは次の各点で相違し,その余の点で一致する。 (ア) 本件発明のベースに揺動可能に設けられた少なくとも2つのロッドは,「互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で」揺動可能に設けられ,この2つのロッドに座席が「揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で」支持されるのに対し(構成要件F´),乙2発明のベース(支持体(2))に揺動可能に設けられた2つのロッド(吊杆(4))は,「座席の揺動方向に対して同じ位置で」揺動可能に設けられ,この2つのロッド(吊杆(4))に座席(ゆりかご本体(1))が「揺動方向に対して同じ位置で」支持される点(相違点1)(イ) 本件発明では,『シャフト』が『直線形状』であるところ,乙2発明では,『シャフト』が『円弧状』である点(相違点2)イ他方,乙6(特開平8-89377号公報。以下「乙6文献」という。)には幼児用自動揺動装置に係る発明が記載されているところ,乙6文献に おいては,「平行リンク機構」として限定した本件発明の構成要件Fを充足する構成として,2つ以上のロッド(吊り棒4)により,座席(揺動台5)の揺動方向に対して異なる位置に2個以上の基点を形成するよう座席(揺動台5)を吊り下げて支持し,かかる複数の基点を中心にして座席(揺動台5)が揺動運動を行う「平行リンク機構」の構成が開示されている。 ウそして,乙2発明と乙6文献に記載されている発明の課題は共通し,また,乙2発明におけるゆりかご本体(乳幼児収容体)の支持機構と,乙6文献に記載されている発明における揺動台(乳 示されている。 ウそして,乙2発明と乙6文献に記載されている発明の課題は共通し,また,乙2発明におけるゆりかご本体(乳幼児収容体)の支持機構と,乙6文献に記載されている発明における揺動台(乳幼児収容体)の支持機構が,いずれも複数のロッド(吊杆又は吊り棒)により乳幼児収容体(ゆりかご本体又は揺動台)を揺動可能に吊り下げて支持する点で共通していることからすれば,当業者において,乙2発明の課題(ゆりかご本体(乳幼児収容体)を安定的かつ的確に揺動せしめること)を解決するため,乙6文献に開示されている平行リンク機構を用いることは,容易に想到可能である。 また,乳幼児用椅子において,平行リンク機構を採用することは乙7,8,11に開示されているとおり,本件特許の出願時における周知技術であった。 したがって,本件発明は,乙2発明に乙6文献に記載されている発明を組み合わせることにより,また,本件特許出願当時の周知技術(乙7,8,11)に基づいて,当業者が容易に想到できたものであるから,進歩性を欠く。 [原告の主張]ア乙2発明は,本件発明によって解決されるべき課題をいまだに有している従来技術にすぎず,本件発明の課題は,乙2文献には開示も示唆もされていない。他方,乙6文献及び本件特許出願時の周知技術(乙7,8)は,いずれもソレノイドを動力源とするものでなく,ソレノイドを動力源とす る従来技術の課題である本件発明の課題がこれらの公知文献では全く認識されていない。このように,本件発明の課題は,乙2文献にも乙6文献及び本件特許出願時の周知技術(乙7,8)にも,開示も示唆もされておらず,当該課題を解決する手段についても,同様に開示も示唆もないのであるから,乙2発明に乙6文献や周知技術を組み合わせる動機づけが認められないことは明らかである 乙7,8)にも,開示も示唆もされておらず,当該課題を解決する手段についても,同様に開示も示唆もないのであるから,乙2発明に乙6文献や周知技術を組み合わせる動機づけが認められないことは明らかである。 よって,相違点1に係る本件発明の構成を,当業者が容易に想到し得なかったことは,明らかである。 イまた,ソレノイドの貫通穴に挿入するシャフトの形状を直線形状とする点については,乙2文献にも,乙6文献又は本件特許出願時の周知技術(乙7,8)においても,開示も示唆もされていない。したがって,乙2発明に乙6文献や周知技術をどのように組み合わせようとも,相違点2に係る本件発明の構成を,当業者は想到し得ない。 よって,相違点2に係る本件発明の構成を,当業者が容易に想到し得なかったことは,明らかである。 ウ本件発明は,相違点1及び2に係る構成を同時に採用したことによって発明の課題を解決したのみならず,騒音や振動の発生を極力低減して静粛性や乗り心地をより一層向上させるとともに,保守作業を大きく軽減させ,使用者の重心位置が座席上で偏った場合でも座席の揺動機能に支障をきたすことなく安定した揺動運動を実現して,より快適な使用感を得させるといった,当業者に予測し得ない顕著な効果を奏するものである。 さらに,本件発明によれば,揺動方向の2支点がそれぞれ弧を描く運動をすることから,上下動のほとんどないほぼ水平な座席の揺動を実現しつつも,ソレノイドの吸引力のみならず,重力を座席の揺動運動の推力として利用することができるという効果,及び静止時は必ず最下点位置に来るため静止時の位置の安定性に優れるという効果も奏する。 エ以上のとおり,乙2発明に乙6文献や周知技術(乙7,8)を組み合わせる動機づけがそもそも認められず,また,これらを組み合わせても, め静止時の位置の安定性に優れるという効果も奏する。 エ以上のとおり,乙2発明に乙6文献や周知技術(乙7,8)を組み合わせる動機づけがそもそも認められず,また,これらを組み合わせても,少なくとも相違点2に係る本件発明の構成を当業者が想到する余地はなく,さらに,本件発明は,当業者が,乙2発明,乙6文献又は周知技術(乙7,8)からは予測することができない顕著な効果を奏するものである。したがって,本件発明が進歩性を有することは明らかである。 ⑻ 争点4(原告の損害額)について[原告の主張]被告が,平成25年6月28日から平成26年9月26日までの間に各被告製品を販売したことによる売上高は,少なくとも2億8000万円を下らない。また,各被告製品の利益率は,50%を下らない。 したがって,被告が上記期間に各被告製品の販売によって得た利益は,1億4000万円を下らず,上記利益額は,原告が受けた損害額と推定される(特許法102条2項)。 [被告の主張]否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件相違点についての均等侵害の成否)について(1) 均等侵害の要件特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても,①上記部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②上記部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③上記のように置き換えることに,当業者が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出 願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が できたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから上記出 願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない(第5要件)ときは,上記対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。 (2) 本件明細書の記載そこで検討するに,本件明細書には,以下の記載がある。 【発明が解決しようとする課題】として,「使用者が,図15に示す座体122 の回転中心軸となる基点126 付近から座体122 の端部側に移動して,座体122 の重心位置127 が偏ることがある。 このような場合,従来の揺動装置にみられる片腕揺動方式にあっては座体 122 が傾斜すると共に,基点126 からの距離Lの増加に伴い回転モーメントが増大し,駆動トルクを通常より大きくする必要性が生じる。その結果,揺動振幅を一定とすることができず不安定な揺動運動となってしまう。」(段落【0006】)「そこで本発明は,かかる従来の問題点に鑑み,揺動時の静粛性を保ちつつ,使用者の重心位置が偏ったときでも安定した揺動運動が行える動力変換効率の高い揺動機能付き椅子を供給することを目的としている。」(段落【0007】)【課題を解決するための手段】として,「請求項1記載の揺動機能付き椅子の発明は,ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置と 動機能付き椅子の発明は,ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソ レノイドと,該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動する揺動機能付き椅子において,前記ベースには,少なくとも2つのロッドが互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で支持され,前記磁性材料の部材は,所定の間隔で対向配置された2つの磁性材料の部材で構成され,前記ソレノイドは前記座席の揺動静止時における前記2つの磁性材料の部材間の中点位置近傍で前記ベースに固定され,前記ソレノイドは巻線軸に沿った貫通穴を有し,前記巻線軸を前記座席の揺動方向に対して平行に前記ベースに固定され,前記2つの磁性材料の部材は,前記座席に固定された直線形状のシャフトに固定され,前記シャフトは,前記貫通穴に挿入されていることを特徴としている。」(段落【0008】)【発明の効果】として,「請求項1に記載の発明によれば,平行リンク機構により座席を揺動させるため,揺動抵抗が大きく低減すると共に,使用者の重心位置が座席上で偏った場合でも座席の揺動機能に支障をきたすことなく安定した揺動運動を実現することができ,より快適な使用感を得ることができる。 また,磁性材料の部材を2分割した構成としているため,揺動の振幅を単一の磁性材料の部材の場合より短く設定するこ すことなく安定した揺動運動を実現することができ,より快適な使用感を得ることができる。 また,磁性材料の部材を2分割した構成としているため,揺動の振幅を単一の磁性材料の部材の場合より短く設定することが可能となり,揺動特性を細かに設定することができる。」(段落【0052】)(3) 本件特許の出願経過また,前記前提事実及び証拠(甲8の1~4)によれば,本件特許の出願経過は次のとおりである。 ア本件特許の出願当初の特許請求の範囲の記載は次のとおりであった。 ① 旧請求項1 「ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子において,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイドと,該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動することを特徴とする揺動機能付き椅子。」② 旧請求項2「前記ベースには,少なくとも2つのロッドが揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が支持され,前記磁性材料の部材は,所定の間隔で対向配置された2つの磁性材料の部材で構成され,前記ソレノイドは前記座席の揺動静止時における前記2つの磁性材料の部材間の中点位置近傍で前記ベースに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の揺動機能付き椅子。」③ 請求項3(以下「旧請求項3」という。)「前記座席と前記ベースとの間に,前記ベースに対して前記座席が水平往復動可能なスライド手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の揺動機能付き椅子。」 ③ 請求項3(以下「旧請求項3」という。)「前記座席と前記ベースとの間に,前記ベースに対して前記座席が水平往復動可能なスライド手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の揺動機能付き椅子。」イ特許庁審査官は,本件特許の出願(特願平9-252192)に対し,平成19年1月26日付け拒絶理由通知書において出願人たる原告に対し,同出願のうち旧請求項1については,特許法29条2項により拒絶すべきものである旨を通知した(以下「本件拒絶理由通知」という。)。 ウ出願人たる原告は,本件拒絶理由通知を受けて,本件補正をした。すなわち,原告は,平成19年3月30日,旧請求項1を削除して特許請求の 範囲を旧請求項2及び3に限定し,旧請求項2を請求項1と,旧請求項3を請求項2とする旨の手続補正書及び同趣旨の意見書を提出し,同意見書中で「拒絶理由および引用文献1を精査しましたところ,審査官のご認定の通りとの結論に達しましたので,同じ通知書において『拒絶の理由を発見しない』とされた旧請求項2および3に限定する下記のような補正をしました。」,「新請求項1には,拒絶の理由がなかった旧請求項2の構成がそのまま採用されただけであり,新規事項の追加の恐れはありません。」,「新請求項2には,拒絶の理由がなかった旧請求項3の構成がそのまま採用されただけであり,新規事項の追加の恐れはありません。」などと主張した。 本件補正を受けて,平成19年5月18日,本件特許権の設定登録がされた。 エ本件補正後の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 ① 請求項1「ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記 「ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイドと,該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動する揺動機能付き椅子において,前記ベースには,少なくとも2つのロッドが揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が支持され,前記磁性材料の部材は,所定の間隔で対向配置された2つの磁性材料の部材で構成され,前記ソレノイドは前記座席の揺動静止時における前記2つの磁性材料の部材間の中点 位置近傍で前記ベースに固定されていることを特徴とする揺動機能付き椅子。」② 請求項2「ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺動方向に吸引するソレノイドと,該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動する揺動機能付き椅子において,前記座席と前記ベースとの間に,前記ベースに対して前記座席が水平往復動可能なスライド手段を設けたことを特徴とする揺動機能付き椅子。」(4) 本件訂正審判請求の経緯さらに,前記前提事実及び証拠(甲27,28)によれば,本 ,前記ベースに対して前記座席が水平往復動可能なスライド手段を設けたことを特徴とする揺動機能付き椅子。」(4) 本件訂正審判請求の経緯さらに,前記前提事実及び証拠(甲27,28)によれば,本件訂正審判請求の経緯は次のとおりである。 原告は,平成27年5月18日,本件特許に係る明細書の記載について本件訂正審判請求をし,特許庁は,同年7月30日,同訂正審判請求を認容する本件訂正審決をした。同審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は,遡及的に以下のとおりとなった(下線部が訂正部分である。なお,請求項2の記載は従前どおりである。)。 「ベースと,該ベースに対して揺動可能に設けられた座席と,を備えた揺動機能付き椅子であって,前記座席に支持された磁性材料の部材と,前記座席の静止時における磁性材料の部材位置とは異なる位置に,前記磁性材料の部材に近接して前記ベースに固定され,電磁力により前記磁性材料の部材を揺 動方向に吸引するソレノイドと,該ソレノイドを所定のタイミングで励磁することで前記座席の揺動動作を制御する揺動制御手段と,を備え,前記磁性材料の部材とソレノイドとは離間した状態で揺動する揺動機能付き椅子において,前記ベースには,少なくとも2つのロッドが互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で揺動可能に設けられ,この2つのロッドに前記座席が揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で支持され,前記磁性材料の部材は,所定の間隔で対向配置された2つの磁性材料の部材で構成され,前記ソレノイドは前記座席の揺動静止時における前記2つの磁性材料の部材間の中点位置近傍で前記ベースに固定され,前記ソレノイドは,巻線軸に沿った貫通穴を有し,前記巻線軸を前記座席の揺動方向に対して平行に前記ベースに固定され,前記2つの おける前記2つの磁性材料の部材間の中点位置近傍で前記ベースに固定され,前記ソレノイドは,巻線軸に沿った貫通穴を有し,前記巻線軸を前記座席の揺動方向に対して平行に前記ベースに固定され,前記2つの磁性材料の部材は,前記座席に固定された直線形状のシャフトに固定され,前記シャフトは,前記貫通穴に挿入されていることを特徴とする揺動機能付き椅子。」(5) 検討以上の事実を踏まえて検討する。 ア上記(2)のとおり,本件明細書の記載によれば,本件発明は,ロッド方式(非平行リンク機構)が有する課題を解決するために,課題解決手段としてロッド方式(平行リンク機構)の構成を採用したものであり,それにより「平行リンク機構」における従前より優れた揺動運動を実現するという効果を奏するものである,とされている。 また,上記(3)の出願経過に照らせば,原告は,ロッドやスライド手段の構成に限定されない揺動機能全般を対象とした旧請求項1について拒絶理由があることを自認した上で,この拒絶理由を回避するために,本件特許に係る特許請求の範囲から,上記のような揺動機能全般を対象とする旧請求項1を外して,本件発明に係るロッド方式(平行リンク機構)の構成 (請求項1。本件発明)及び水平往復可能なスライド手段の構成(請求項2)による揺動機能を有するものに特許請求の範囲を限定したものと認められる。 さらに,上記(4)の訂正審判請求の経緯に照らせば,原告は,本件訂正審判請求において,本件発明が「少なくとも2つのロッド」の構成を有することを前提として,それが「互いに前記座席の揺動方向に離間した位置で」設けられ,「この2つのロッド」に,座席が「揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で」支持されているとの構成を本件発明に付加したものであるから,この訂正審判請求は 席の揺動方向に離間した位置で」設けられ,「この2つのロッド」に,座席が「揺動方向に対して離間された2つの異なる位置で」支持されているとの構成を本件発明に付加したものであるから,この訂正審判請求は,本件発明がロッド方式(平行リンク機構)の構成を有するものであることを改めて明らかにしたものというべきである。 イなお,原告は,車輪機構の構成が本件特許の出願時において存在せず,少なくとも出願人において想定していなかった構成であったため,出願当時において,出願人が,本件発明の解決原理を具体化する手段として,ロッド方式しか想定できなかったなどと主張する。しかしながら,車輪型の支持機構は,本件特許出願時の相当以前から,本件発明と同一分野である乳幼児等用の揺動装置の分野において,複数存在し周知であったことが認められる(乙3~4。これらは昭和41年時点で既に公知である。)。また,本件明細書においても,ロッド方式以外に,請求項2に係る発明の実施例(段落【0045】~【0050】及び図11~13)として,スライドレールとガイドレールの間にボールを配置したスライド手段を介した揺動機構が開示されている。したがって,出願人が本件発明の解決原理を具体化する手段としてロッド方式しか想定できなかった旨の原告の上記主張は到底採用できない。 ウ上記ア,イに説示した①本件明細書の記載,②本件補正の経過,③本件訂正審判請求の経緯,④本件発明の技術分野において本件特許出願当時に 車輪型の支持機構が周知であったこと等の事情を総合すれば,本件発明に係るロッド方式の構成(本件発明中,旧請求項2に係る部分及び本件訂正審判請求において付加された部分)は,本件発明に係る拒絶理由ないし無効理由を回避するために必要な部分であると評価すべきであり,特許請求の範囲に記 の構成(本件発明中,旧請求項2に係る部分及び本件訂正審判請求において付加された部分)は,本件発明に係る拒絶理由ないし無効理由を回避するために必要な部分であると評価すべきであり,特許請求の範囲に記載された構成と各被告製品との相違点(本件相違点)は,本件発明の本質的部分ということができる。 また,上記の事情を総合すれば,原告は,ロッドやスライド手段の構成に限定されない揺動機能全般を対象とした本件特許出願当初の特許請求の範囲の記載をあえて本件発明に係るロッド方式及びスライド手段の各構成に限定するなどしているのであるから,各被告製品の採用する車輪機構の構成を本件発明に係る特許請求の範囲から意識的に除外したものというべきである。 したがって,本件においては均等の第1要件(本質的部分ではないこと)及び第5要件(意識的に除外されたものでないこと)を充たさないから,各被告製品が本件発明と均等であるとは認められない。 2 結論以上によれば,その余の争点について検討するまでもなく,各被告製品の輸入及び販売等は,いずれも本件特許権を侵害しない。 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官矢口俊哉 裁判官廣瀬達人 (別紙)被告製品目録 以下の商品名で特定される,電動の揺動機能付き椅子。 1 商品名:ココ・チーノオートデラックス 2 商品名:ココ・チーノオート 3 商品名:ココ・チーノオート <ヘリアンタスモデル>(ベビーザらス限定モデル) 4 商品名:ユラリズムオート HIDX 5 商品 商品名:ココ・チーノオート 商品名:ココ・チーノオート<ヘリアンタスモデル>(ベビーザらス限定モデル) 商品名:ユラリズムオートHIDX 商品名:ユラリズムオートDX
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