昭和41(オ)610 約束手形金請求

裁判年月日・裁判所
昭和43年1月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 昭和39(ネ)86
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人野村均一、同大和田安春、同近藤昭二の上告理由第三点について。  民

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判決文本文1,816 文字)

主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人野村均一、同大和田安春、同近藤昭二の上告理由第三点について。  民法七一五条にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」とは、被用者の職務執行行為その ものに属しないものであつても、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の 職務の範囲内の行為に属すると認められるものをも包含するものと解すべきことは、 当裁判所の判例とするところである(当庁昭和三〇年(オ)第二九号、同三二年七 月一六日第三小法廷判決、民集一一巻七号一二五四頁、同年(オ)第二八一号、同 三六年六月九日第二小法廷判決、民集一五巻六号一五四六頁、同三九年(オ)第一 一一三号、同四〇年一一月三〇日第三小法廷判決、民集一九巻八号二〇四九頁)。  本訴は、もと上告会社の被用者で、そのD作業所主任を勤めていた訴外Eが、上 告会社(旧商号A株式会社)D作業所長E名義で、額面二二〇万円の約束手形を訴 外FことGあてに振り出した行為を捉えて、右はEが上告会社の「事業ノ執行ニ付 キ」なしたものであるとし、これにより被上告人の被つた損害の賠償を上告会社に 請求するものであるが、Eが右手形振出の権限を有せず、これが同人の職務執行行 為そのものに属しないことは、原判決の確定するところである。したがつて、Eの 右手形振出行為をその外形から観察して、あたかも同人の職務の範囲内の行為に属 するものと見うるか否かが、次の問題となるのであるが、この点につき、原判決の 引用する第一審判決の認定するところによれば、上告会社D作業所主任の職務権限 は、同作業所管内の請負工事の現場総監督として部下の職員・労務者を監督して、 工程表に基づき工事を進行させるとともに、現場長として施主である愛知県その他 労務や社会保険の監督官庁へ諸報告を 任の職務権限 は、同作業所管内の請負工事の現場総監督として部下の職員・労務者を監督して、 工程表に基づき工事を進行させるとともに、現場長として施主である愛知県その他 労務や社会保険の監督官庁へ諸報告をなす程度にとどまり、資材等の購入契約も小 - 1 - 口分を除いては直上の上告会社H支店においてなされており、資材代金その他の諸 払いも、月額二万円程度の小口払い分を除いては、すべて上告会社H支店より出張 のうえ支払われ、したがつて右作業所主任としてはI銀行J支店に普通預金口座を もつのみで、当座預金口座はいずれの金融機関にも開設されていなかつたのであり、 かかる事情は、同作業所に資材を納入していた前記Gらにおいても熟知していたも のである、というのである。これによると、一作業所の主任にすぎないEのした額 面二二〇万円にも及ぶ前記手形の振出行為は、他に特段の事情がないかぎり、とう てい、これをもつて同人の職務の範囲内の行為に属すると認められる外形を有する ものとはいいえない。  しかるに原判決が、本件手形は上告会社D作業所が業務上必要とする砂利等の納 入をしていた渡会の窮状を救い、引き続き砂利等の納入を継続させるべくEが振り 出したものであるとして、これを理由に、前記認定事実を無視して、たやすく上告 会社に民法七一五条の責任を肯定したのは、同条の解釈を誤り、かつ、この点につ いて審理を尽くさず、理由を備えない違法があるものというべく、論旨はこの点に おいて理由があり、原判決は破棄を免れない。  よつて、その余の点に関する判断を省略し、右の点についてさらに審理を尽くさ せるため、民訴法四〇七条一項に従い、原判決を破棄して本件を原審に差し戻すこ ととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   田  法四〇七条一項に従い、原判決を破棄して本件を原審に差し戻すこ ととし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    横   田   正   俊             裁判官    田   中   二   郎             裁判官    下   村   三   郎             裁判官    松   本   正   雄 - 2 -

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