-- 平成22年3月17日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成21年(行ケ)第10328号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成22年3月3日判決原告リサーチインモーションリミテッド同訴訟代理人弁理士大塩竹志砂金伸一被告a2network株式会社同訴訟代理人弁理士富樫竜一主文 特許庁が無効2008-890055号事件について平成21年6月17日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1請求主文1項と同旨第2事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,被告の本件商標に係る商標登録を無効にすることを求める原告の本件審判請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記2のとおり)には,下記3の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。 特許庁における手続の経緯(1)本件商標(甲1の1・2,甲127,甲137の1・2)商標登録番号:第5033584号商標の構成:「berrymobile」(標準文字)-- 指定役務:第38類「携帯電話による通信」(以下「本件指定役務」という。)商標登録出願日:平成18年6月17日(商願2006-56581号。以下,この商標登録出願を「本件出願」という。)登録査定日:平成19年2月19日(以下,この登録査定を「本件査定」という。)設定登録日:平成19年3月16日(2)審判手続及び本件審決審判請求日:平成20年6月23日(無効2008-890055号)審決日:平成21年6月17日審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」原告への審決謄本送達日:平成21年6月29日 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は, 効2008-890055号)審決日:平成21年6月17日審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」原告への審決謄本送達日:平成21年6月29日 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,①本件商標は別紙引用商標目録1ないし5記載の各商標(以下,順に「引用商標1」ないし「引用商標5」といい,併せて「引用各商標」という。甲4の1・2,甲7~10の各1・2,甲128~132,甲138~142の各1・2)と類似しないから,本件商標登録は商標法4条1項11号の規定に違反してされたものではなく,②本件商標を本件指定役務について使用しても,原告又は原告と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務との混同を生ずるおそれはないから,本件商標登録は同項15号の規定に違反してされたものではなく,③本件商標は原告が使用する別紙原告商標目録1及び2記載の各商標(以下,順に「原告商標1」及び「原告商標2」というほか,これらの商標と同目録3記載の商標とを併せて「原告各商標」という。)と類似しないから,本件商標登録は同項10号の規定に違反してされたものではなく,④本件商標は原告が使用する原告商標1及び2と類似せず,また,被告が不正の目的をもって本件商標を使用するものとは認められないから,本件商標登録は同項19号の規定に違反してされたものではなく,したがって,本件商標登録を無効にすることは-- できない,というものである。 取消事由(1)本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由1)(2)本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由2)(3)本件商標が商標法4条1項10号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由3)(4)本件 )本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由2)(3)本件商標が商標法4条1項10号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由3)(4)本件商標が商標法4条1項19号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り(取消事由4)第3当事者の主張 取消事由1(本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について〔原告の主張〕(1)本件商標から生じる称呼及び観念本件商標は,「berry」の部分及び「mobile」の部分のみから構成され,これらの各部分の間に1文字分のスペースがあることからすると,視覚上,本件商標から「berry」の部分を発見・認識することは極めて容易である。また,「mobile」は携帯電話(機)を意味するものであるから,本件商標の「mobile」の部分は,本件指定役務との関係において識別力が極めて弱く,本件商標において自他役務の識別標識としての機能を果たすのは,「berry」の部分である。そうすると,本件商標からは,「berry」の部分に対応した「ベリー」の称呼及び「果物の一種であるベリー」の観念が生じる。 (2)引用各商標から生じる称呼及び観念引用商標1及び2の各文字部分(「BlackBerry」)についてみると,これらは,「Black」の先頭の文字及び「Berry」の先頭の文字がいずれ-- も大文字であり,その余の文字がすべて小文字であることから,「Black」の文字と「Berry」の文字とから構成されているものと容易に認識することができるものである。 また,引用商標3及び5並びに引用商標4の文字部分(「BLACKBERRY」)についてみても,「BLACK」の語及び「BERRY」の語は,ともに普通に使用されるものであるほか, できるものである。 また,引用商標3及び5並びに引用商標4の文字部分(「BLACKBERRY」)についてみても,「BLACK」の語及び「BERRY」の語は,ともに普通に使用されるものであるほか,「BLACK」の語が黒を意味することは明らかであるし,「BERRY」の語も日本人になじみのある英単語であるから,「ブラックベリー」と発音された場合に「ベリー」の音を聞き分けることは容易である。 加えて,後記2の〔原告の主張〕のとおり,原告各商標は,日本国内において周知・著名なものであり,モバイル情報端末において「Berry」又は「BERRY」といえば,原告の商品が連想されるところである。 そうすると,引用各商標からも,「Berry」又は「BERRY」の部分に対応した「ベリー」の称呼及び「果物の一種であるベリー」の観念が生じる。 (3)以上からすると,本件商標は,称呼及び観念において引用各商標と同一であるから,引用各商標と類似するものである。 そして,本件指定役務は,引用各商標の指定役務と類似するから,本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1)本件商標から生じる称呼及び観念本件商標は,「berrymobile」を標準文字で一連一体に書して成るものであり,原告主張のスペースの存在を考慮してもなお,外観上,全体が一体のものとして認識されるとみるのが自然であり,また,本件商標の全体に対応する「ベリーモバイル」の称呼も,一気一連に無理なく称呼し得るものであり,さらに,「berrymobile」の語は造語であるから,本件商標からは,その全体に対応した「ベリーモバイル」の称呼のみが生じ,特定の観念は生じないというべきである。 -- (2)引用各商標から生じる称呼及び観念引用商標 」の語は造語であるから,本件商標からは,その全体に対応した「ベリーモバイル」の称呼のみが生じ,特定の観念は生じないというべきである。 -- (2)引用各商標から生じる称呼及び観念引用商標1,2及び4の各文字部分並びに引用商標3及び5は,「Black」又は「BLACK」の語と「Berry」又は「BERRY」の語との組合せから成るものであるところ,これらは,同一書体及び同一大で外観上まとまりよく一体的に表されたものであり,全体に対応する「ブラックベリー」の称呼も,格別冗長なものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものであるし,さらに,「Berry」又は「BERRY」の部分のみが移動体電話による通信等の役務に使用されて日本国内において周知・著名なものとなっているわけではないから,引用各商標に接した取引者及び需要者にとって,同各商標の構成中の特定の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき格別の事情はないというべきである。 そうすると,取引者及び需要者においては,引用各商標中の「Berry」又は「BERRY」の文字部分のみに着目し,これらの文字部分に対応する「ベリー」の称呼のみをもって取引に当たるというよりは,むしろ,「BlackBerry」又は「BLACKBERRY」の全体を不可分一体のものと認識・把握し,取引に当たるとみるのが自然であるから,引用各商標からは,「BlackBerry」又は「BLACKBERRY」の全体に対応した「ブラックベリー」の称呼のみが生じ,「クロイチゴ」の観念のみが生じるというべきである。 (3)以上からすると,本件商標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても引用各商標と異なるものであり,これらの商標と類似しないものである。 取消事由2(本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り 標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても引用各商標と異なるものであり,これらの商標と類似しないものである。 取消事由2(本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について〔原告の主張〕(1)原告各商標の周知・著名性原告各商標は,以下のとおり,本件出願時及び本件査定時において,既に日本国内で周知・著名なものであった。 ア原告は,原告各商標を付したモバイル情報端末を製造・販売し,日本におい-- ては,NTTドコモが当該商品を導入しているところ,本件出願時において,NTTドコモが当該商品を導入することを紹介する記事及び原告各商標を付したモバイル情報端末を紹介する記事がインターネット及び新聞に掲載(甲11~70)され,その後も継続して,原告各商標を付したモバイル情報端末を紹介する記事がインターネット,新聞等に掲載(甲71~121)されていた。 イ原告各商標の認知度及びブランド価値(甲122,125,126)は高く,インターネット上でも紹介(甲124)されていた。 ウ本件出願前から,海外において,原告各商標を付したモバイル情報端末が人気を博し,多くの需要者によって使用されていた(甲143~145,147)ところ,インターネットに掲載される情報は,日本国内においても容易に閲覧可能であるし,海外に旅行する日本人の数が多数に上ること(甲146)や,日本人はテレビ,新聞等のメディアによって海外事情を容易に知ることができることからすると,原告各商標を付した商品の海外における人気等は,日本国内における原告各商標の周知・著名性の判断においても斟酌されるべきである。 (2)出所の混同のおそれ上記(1)の原告各商標の周知・著名性に加え,原告各商標中の「Black」,「BLACK」又は「ブラック」の部分が色彩を示 知・著名性の判断においても斟酌されるべきである。 (2)出所の混同のおそれ上記(1)の原告各商標の周知・著名性に加え,原告各商標中の「Black」,「BLACK」又は「ブラック」の部分が色彩を示す形容詞であって識別力が弱い部分であり,また,色彩を示す部分とその他の部分とを常に一体に把握する必要はないから,原告各商標中,取引者及び需要者の注意をひく部分は,「Berry」,「BERRY」又は「ベリー」の部分であること,モバイル情報端末と果物とは何の関連もないため,取引者及び需要者にとって,原告各商標中,斬新で特徴的な「Berry」等の部分が注目され,記憶に残ること,原告各商標を付したモバイル情報端末が「Crackberry(麻薬ベリー)」との造語を生み出したこと(甲148)をも併せ考慮すると,モバイル情報端末に係る取引者及び需要者は,「Berry」,「BERRY」又は「ベリー」といえば,原告の商品を連想するということができる。 -- そして,前記1の〔原告の主張〕(1)のとおり,本件商標において強い識別力を有するのは,「berry」の部分であるから,本件商標を本件指定役務について使用すると,取引者及び需要者において,同役務が原告又は原告と何らかの関係を有する者の提供する役務であると混同するおそれがあるというべきである。 (3)以上からすると,本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕(1)原告各商標の周知・著名性本件出願時においては,原告各商標を付した商品が市中の携帯電話の申込カウンターにおいて展示されていた事実すらなく,現時点においても,市中のほとんどの申込カウンターにおいて,当該商品の展示すらされていない。また,原告の商品のユーザーは非常に限られた者(甲12,1 込カウンターにおいて展示されていた事実すらなく,現時点においても,市中のほとんどの申込カウンターにおいて,当該商品の展示すらされていない。また,原告の商品のユーザーは非常に限られた者(甲12,14,74)である。したがって,原告各商標は,本件出願時及び本件査定時において,取引者及び需要者一般に広く知られていたものではない。 (2)出所の混同のおそれア原告各商標に周知・著名性がないことは上記(1)のとおりであるところ,原告が挙げる証拠によっても,「Berry」,「BERRY」又は「ベリー」の語が単独で使用された例をみることはできず,原告各商標中の「Berry」等の部分が原告の業務に係る商品又は役務を示すものとして取引者及び需要者に広く知られているということはできないから,取引者及び需要者において,「Berry」,「BERRY」又は「ベリー」といえば原告の商品を連想するなどという事実はない。 イまた,本件商標が原告各商標と類似しないものであることは,前記1の〔被告の主張〕のとおりである。 ウそうすると,本件商標を本件指定役務について使用しても,原告が主張するような役務の出所の混同を生ずるおそれはないというべきである。 -- 取消事由3(本件商標が商標法4条1項10号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について〔原告の主張〕原告各商標が日本国内において周知・著名であることは,前記2の〔原告の主張〕(1)のとおりであり,本件商標が原告各商標と類似するものであることは,前記1の〔原告の主張〕のとおりであるところ,本件指定役務は,原告の商品及びその提供する役務と類似する(甲13,14)から,本件商標が商標法4条1項10号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告各商標及びこれらの商標 ,原告の商品及びその提供する役務と類似する(甲13,14)から,本件商標が商標法4条1項10号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告各商標及びこれらの商標中の「Berry」等の部分に周知・著名性がないことは,前記2の〔被告の主張〕のとおりであり,本件商標が原告各商標と類似しないものであることは,前記1の〔被告の主張〕のとおりである。 取消事由4(本件商標が商標法4条1項19号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について〔原告の主張〕(1)原告各商標が日本国内において周知・著名であることは,前記2の〔原告の主張〕(1)のとおりであるところ,さらに,原告各商標は,世界各国において周知・著名なものとなっている(甲19~32,35,38~42,46~65,70,124,144)。また,本件商標が原告各商標と類似するものであることは,前記1の〔原告の主張〕のとおりである。 (2)不正の目的の有無原告は,被告の設立(平成17年11月9日。甲149)前から,原告各商標を用いて,世界中でモバイル情報端末の販売を行っていた(甲19~32,35,38~42,46~65,70,124,144)ところ,「berry」の部分が強い識別力を有する本件商標を本件指定役務について使用すると,取引者及び需要者において,同役務が原告又は原告と何らかの関係を有する者の提供する役務であ-- ると混同するおそれがある。また,本件指定役務と果物との間に何の関連もないことからすると,本件商標中に「berry」の部分を含ませることには,原告各商標の周知・著名性にあやかろうとする意図がうかがわれる。したがって,本件商標は,被告において,不正の目的をもって使用するものというべきである。 (3)以上からすると,本件商標が商標 とには,原告各商標の周知・著名性にあやかろうとする意図がうかがわれる。したがって,本件商標は,被告において,不正の目的をもって使用するものというべきである。 (3)以上からすると,本件商標が商標法4条1項19号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。 〔被告の主張〕原告各商標及びこれらの商標中の「Berry」等の部分に周知・著名性がないこと,本件商標を本件指定役務について使用しても原告が主張するような役務の出所の混同を生ずるおそれのないことは,前記2の〔被告の主張〕のとおりであり,本件商標が原告各商標と類似しないものであることは,前記1の〔被告の主張〕のとおりであるが,さらに,本件商標は,フランスのBerry公爵にちなんで考案されたもの(乙9,13,14)であることからすると,本件商標につき,被告がこれを不正の目的をもって使用するものということはできない。 第4当裁判所の判断 認定事実(1)証拠(甲3,5,11~70,72~82,87,94,111,112,123,124,133)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 ア原告は,昭和59年に設立され,モバイル情報端末の開発,製造,販売等を業とするカナダの法人である。 イ原告は,平成9年ころから,北米を中心に,その名称に「BlackBerry」の語を含むモバイル情報端末(以下「BlackBerry端末」という。)を販売するなどし,平成18年6月ころまでには,北米の企業,ビジネスマン等を中心に利用者が500万人以上に上るなどの人気を博すようになっていた。 ウ我が国においてBlackBerry端末の販売等がされるようになったのは,平成18年9月からであるが,北米を中心とした外国において原告の開発・販売に係る-- BlackBerry端末が広く 我が国においてBlackBerry端末の販売等がされるようになったのは,平成18年9月からであるが,北米を中心とした外国において原告の開発・販売に係る-- BlackBerry端末が広く普及していることなどについては,平成12年7月から平成18年5月にかけ,日経産業新聞,日本経済新聞等において断続的に報道されていた。 エ平成18年6月8日,NTTドコモ及び原告は,法人ユーザーの要望に応えるためNTTドコモがBlackBerry端末を導入することについて基本合意に達したこと,同年秋ころの導入に向けて検討を進めていくことなどを発表し,同年6月,このことを紹介する記事や,BlackBerry端末を紹介する記事が日経産業新聞及び日本経済新聞のほか,各種ウェブサイトに掲載された。 オNTTドコモは,同年9月19日,法人ユーザーに対するBlackBerry端末の販売及びこれに対応するサービスの提供を同月26日に開始することなどを発表し,そのころ,このことを紹介する記事や,BlackBerry端末を紹介する記事等が日経産業新聞及び日経流通新聞のほか,各種ウェブサイトに掲載され,また,「世界の“黒苺”日本上陸」と題するテレビニュースの放映もされた。ただし,この時点においては,販売されるBlackBerry端末は英語版(それだけでは日本語入力のできないもの)のみとされ,また,個人消費者向けの店頭販売は行わないこととされた。 カ原告は,同月25日,東京都内において,BlackBerry端末及びこれに対応するサービスについての説明会を開催するとともに,同端末の日本語版の販売及びこれに対応するサービスの提供を平成19年の第2四半期をめどに開始することを発表した。 キNTTドコモ及び原告は,本件査定日の約3か月半後である平成19年6月7日,法人ユ 端末の日本語版の販売及びこれに対応するサービスの提供を平成19年の第2四半期をめどに開始することを発表した。 キNTTドコモ及び原告は,本件査定日の約3か月半後である平成19年6月7日,法人ユーザーの要望に応えるためBlackBerry端末の日本語版を開発し,同年夏ころの導入に向けて準備を進めていくことなどを発表し,同年7月,同端末の日本語版の販売等が開始された。なお,法人向けの販売状況については,外資系企業を中心に約2万台が販売されたとの平成20年9月11日付けのウェブサイト上の記事が存在する。 クNTTドコモは,平成20年8月1日,BlackBerry端末の個人消費者向けの-- 販売等を開始した。 ケ同年秋ころの時点で,BlackBerry端末の利用者は,北米を中心に,世界百数十か国で千数百万人に上っている。 (2)上記事実によると,原告商標1及び2は,本件出願前から,北米を中心とする諸外国において,原告の業務に係る商品及び役務を示すものとして,モバイル情報端末に係る需要者の間に広く認識されていたものと認められ,そのことは,報道等を通じ,本件出願前から,我が国においても広く紹介されていたということができる。 そして,本件出願日が,NTTドコモによるBlackBerry端末の導入に係る発表がされたわずか9日後であることにも照らすと,本件商標については,商標法4条1項19号に掲げる商標に該当するとの原告の主張に耳を傾ける余地があるが,本件商標が同号に掲げる商標に該当するか否かは,本件商標と引用各商標との類否判断と密接に関連するので,先に整理した取消事由の順序に従い,取消事由1から判断することとする。 取消事由1(本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について(1)本件商標から生じ で,先に整理した取消事由の順序に従い,取消事由1から判断することとする。 取消事由1(本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした判断の誤り)について(1)本件商標から生じる称呼及び観念について本件商標は,「berry」の文字と「mobile」の文字との間に1文字分のスペースを空けた上,これらを標準文字で横書きして成るものであり,「berry」の文字と「mobile」の文字とをその構成部分とするものであることは,視覚上,容易に認識することができるものであるところ,「mobile」は,「携帯電話(機)」を意味する語(甲6)であって,本件指定役務を構成する本質的な要素を指すものであるから,本件商標中の「mobile」の部分のみから出所識別標識としての称呼及び観念が生じないことは明らかである。 そうすると,本件商標からは,その全体に対応した称呼及び観念のほか,「berry」の部分に対応した「ベリー」の称呼及び「果物のベリー」の観念も生じる-- というべきである。 (2)引用商標1及び2から生じる称呼及び観念について引用商標1及び2の各文字部分は,「BlackBerry」の文字を横書きして成るものであるが,「B」の2文字がいずれも大文字で表されていることにより,「Black」の部分と「Berry」の部分とが連続して記載されていても,別の部分として認識されるほか,我が国において,「black」は,「黒」,「黒い」などを意味するなじみの深い英単語であり,その直後に果物の1つの種類(漿果)を意味する「berry」のような名詞が続く場合,単に色を表す形容詞として認識されるのが通常であること,また,「ベリー」が果実の1つの種類を表す言葉として認識されていることからすると,当該各文字部分が「Black」の部分と「Berr が続く場合,単に色を表す形容詞として認識されるのが通常であること,また,「ベリー」が果実の1つの種類を表す言葉として認識されていることからすると,当該各文字部分が「Black」の部分と「Berry」の部分とに分離して観察されることは否定することができない。 もとより,「blackberry」は,1つの英単語であるが,同時に,「black」及び「berry」の英単語もそれぞれ存在するのであるから,「blackberry」が1つの英単語であることは,引用商標1及び2の各文字部分が「Black」の部分と「Berry」の部分とに分離して観察され得るとの上記判断を左右するものではない。 そうすると,引用商標1及び2からは,その文字部分全体に対応した称呼及び当該文字部分全体と図形部分とに対応した観念が生じるだけでなく,「Berry」の文字部分に対応した「ベリー」の称呼及び当該文字部分とベリー類の果実を図案化したものと認められる図形部分とに対応した「果物のベリー」の観念も生じるといわざるを得ない。 (3)本件商標と引用商標1及び2との類否上記(1)及び(2)によると,本件商標と引用商標1及び2とは,称呼及び観念において共通するものであるから,本件商標と引用商標1及び2とがその外観を異にすることを考慮しても,本件商標と引用商標1及び2とが同一又は類似の役務に使用された場合には,当該役務の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであるから,本件商標は,引用商標1及び2と類似するものと認めるのが相当である。 -- (4)役務の同一性本件指定役務は,引用商標1及び2の指定役務である「移動体電話による通信」と同一のものである。 (5)小括したがって,本件商標と引用商標3ないし5との類否について判断するまでもなく,本件商標が商標法4条1項11 引用商標1及び2の指定役務である「移動体電話による通信」と同一のものである。 (5)小括したがって,本件商標と引用商標3ないし5との類否について判断するまでもなく,本件商標が商標法4条1項11号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りであり,取消事由1は理由がある。 結論 以上の次第であるから,その余の取消事由についてさらに進んで判断するまでもなく,本件審決は取り消されるべきものである。 知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官滝澤孝臣裁判官本多知成裁判官浅井憲-- (別紙)引用商標目録 商標登録番号:第4991053号商標権者:原告商標の構成:指定商品・指定役務:別紙審決書(写し)14頁下から7行~15頁10行に記載のとおり商標登録出願日:平成17年3月3日(商願2005-18621号)パリ条約による優先権主張:平成16年(2004年)9月3日,米国設定登録日:平成18年9月29日 商標登録番号:第4991054号商標権者:原告商標の構成:指定商品・指定役務:別紙審決書(写し)14頁下から7行~15頁10行に記載のとおり商標登録出願日:平成17年3月3日(商願2005-18622号)パリ条約による優先権主張:平成16年(2004年)9月3日,米国設定登録日:平成18年9月29日-- 商標登録番号:第4477643号商標権者:原告商標の構成:「BLACKBERRY」(標準文字)指定商品・指定役務:別紙審決書(写し)15頁12行~16頁9行に記載のとおり商標登録出願日:平成11年7月19日(商願平11-65103号)設定登録日:平成13年5月25日 商標登録番号:第4473860号商標権者:原告商標の構成:指定商品・指定役務:別紙審決書(写し 登録出願日:平成11年7月19日(商願平11-65103号)設定登録日:平成13年5月25日 商標登録番号:第4473860号商標権者:原告商標の構成:指定商品・指定役務:別紙審決書(写し)15頁12行~16頁9行に記載のとおり商標登録出願日:平成11年7月26日(商願平11-67271号)パリ条約による優先権主張:平成11年(1999年)1月25日,米国設定登録日:平成13年5月11日 商標登録番号:第4473861号商標権者:原告商標の構成:指定商品・指定役務:別紙審決書(写し)15頁12行~16頁9行に記載のとおり商標登録出願日:平成11年7月26日(商願平11-67272号)-- パリ条約による優先権主張:平成11年(1999年)1月25日,米国設定登録日:平成13年5月11日-- (別紙)原告商標目録 商標の構成:「BlackBerry」 商標の構成:「BLACKBERRY」 商標の構成:「ブラックベリー」
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