令和5(行ウ)32 議会決議取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年2月28日 大阪地方裁判所
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判決文本文24,341 文字)

主文 1 本件訴えのうち、大阪府議会が令和4年12月20日付けでした別紙記載の決議の取消しを求める部分を却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 大阪府議会が令和4年12月20日付けでした別紙記載の決議を取り消す。 2 被告は、原告に対し、350万円及びこれに対する令和5年2月24日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、原告が、①大阪府議会が令和4年12月20日付けでした別紙記載の決議(以下「本件決議」という。)が違法な処分であるとして、被告を相手に、本件決議の取消しを求める(処分の取消しの訴え。以下、本件訴えのうち本件決議の取消しを求める部分を「本件取消しの訴え」という。)とともに、②本件決議 により原告の大阪府議会に対する請願権等が侵害されたとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害金350万円(慰謝料300万円及び弁護士費用50万円の合計額)及びこれに対する不法行為の後の日で訴状送達の日である令和5年2月24日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める(以下、本件訴えのうち上記損害賠償を求める部分を「本件国賠 請求の訴え」といい、上記損害賠償請求を「本件国賠請求」という。)事案である。 1 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに後記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)原告 ア原告は、平和の礎としての健全な人格及び理想家庭を形成するとともに、 宗教・人種・国境の壁を超え、自然と調和した「OneFamilyunderGod」の実現を牽引する日本を建設することを目的とし 、平和の礎としての健全な人格及び理想家庭を形成するとともに、 宗教・人種・国境の壁を超え、自然と調和した「OneFamilyunderGod」の実現を牽引する日本を建設することを目的とし、そのために平和国連のモデル形成、日米韓を基軸としたアジア太平洋文明圏の形成への主導的貢献、「平和家庭理想」を基盤とした為に生きる「奉仕文化」の国家と社会への定着を目指すことを目的として、令和4年12月15日に成立した一般 社団法人である。 原告が一般社団法人となる前は、原告代表者らが「大阪府平和大使協議会」の名称で活動していたところ、同日に一般社団法人と成り、同協議会の事務局次長を務めていた原告代表者が、原告の理事長に就任した。原告代表者は、世界平和統一家庭連合(「旧統一教会」と呼称されることがあ る。以下「本件教団」という。)の信者である。 (甲26から28まで、弁論の全趣旨)イ原告は、UPF(UniversalPeaceFederation)の日本支部で東京都に本部を置くUPF-Japanの大阪支部である。 UPFは、本件教団の創設者により平成17年9月に創設され、アメリ カ合衆国ニューヨーク州に本部を置いている。UPFは、本件教団の関連団体である。 (甲18、26、弁論の全趣旨)(2)本件教団に係る報道等A元内閣総理大臣が令和4年7月8日に殺害された。マスコミ等は、その 殺人事件の被疑者が本件教団の信者の子であり、「宗教に対する恨み」が犯行動機であったと供述している旨を報道するとともに、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)を大きく取り上げるようになった。 C内閣総理大臣は、同年8月31日、自由民主党総裁として、自 いる旨を報道するとともに、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問題(いわゆる旧統一教会問題)を大きく取り上げるようになった。 C内閣総理大臣は、同年8月31日、自由民主党総裁として、自由民主党 所属議員と本件教団との関係を断つこと等の方針を表明した。 (弁論の全趣旨)(3)本件決議大阪府議会は、同年12月20日、同年9月定例会において、「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」と題する本件決議をした。 本件決議の内容は、別紙記載のとおりである。 (甲7、弁論の全趣旨)(4)本件訴えの提起原告は、令和5年2月14日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 2 争点(1)本件訴えの適法性の有無(法律上の争訟性の有無。本件訴えの本案前の争 点)(2)本件取消しの訴えの適法性の有無(本件決議の処分性の有無。本件取消しの訴えの本案前の争点)(3)本件決議を取り消すべき違法性の有無ア請願権の侵害(憲法16条違反)の有無 イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害(憲法19条及び20条1項前段違反)の有無ウ平等原則違反(憲法14条1項違反)の有無エ適正手続の保障違反(憲法31条違反)の有無オ宗教的ヘイトスピーチ及び名誉毀損に係る違法性の有無 (4)国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等ア請願権の侵害(憲法16条違反)の有無イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害(憲法19条及び20条1項前段違反)の有無ウ平等原則違反(憲法14条1項違反)の有無 エ適正手続の保障違反(憲法31条違反)の有無 オ宗教的ヘイトスピーチ及 法19条及び20条1項前段違反)の有無ウ平等原則違反(憲法14条1項違反)の有無 エ適正手続の保障違反(憲法31条違反)の有無 オ宗教的ヘイトスピーチ及び名誉毀損に係る違法性の有無カ職務上の義務違反の有無、故意又は過失の有無キ損害の発生の有無及びその額 3 争点に関する当事者の主張(1)争点(1)(本件訴えの適法性の有無(法律上の争訟性の有無。本件訴え の本案前の争点))について(原告の主張)本件決議は、憲法92条及び地方自治法(令和5年法律第19号による改正前のもの。以下、本条につき同じ。)89条の趣旨に基づく権力作用の行使であり、地方政治を担う議事機関による政治的宣言であって、事実上の効果 及びこれによる人権侵害の強制力を有するものである。 本件決議は、大阪府議会が、本件教団及び原告を含む関連団体を対象として「一線を画すること」を対外的に決意表明するものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまるものではない。 本件決議には法的効果に準じた効果があるといえる。そして、本件決議は、 大阪府議会議員による違法行為を惹起する蓋然性を有する上、信教の自由を抑制したり、宗教を理由とした不合理な差別を対外的に宣言するものであったり、原告の名誉を毀損したりするものであれば、直ちに国家賠償法1条1項に基づく賠償責任が生じるものである。 したがって、本件訴えは、法律上の争訟に当たる。 (被告の主張)本件決議は、法律及び条例上の根拠に基づくものではなく、何らの法的効果を有しないものであって、大阪府議会が「旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く の主張)本件決議は、法律及び条例上の根拠に基づくものではなく、何らの法的効果を有しないものであって、大阪府議会が「旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意する」という議会の意思を対外的に表明したものにすぎない。また、大阪府議会議員が、本件決議に 沿って活動するかどうかは、各議員の自由意思に委ねられており、本件決議 に反したとしても懲罰を科すことはできない。 本件決議は、事柄の性質上、自律的な法規範を有する団体の内部規律の問題として自治的措置に任せるのが適当であり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまるものとして、裁判所の司法審査の対象とはならないと解するのが相当である。 したがって、本件訴えは、法律上の争訟に当たらず、不適法である。 (2)争点(2)(本件取消しの訴えの適法性の有無(本件決議の処分性の有無。 本件取消しの訴えの本案前の争点))について(原告の主張)本件決議は、地方自治法89条により設置された議事機関である大阪府議 会による対外的な政治的決意の表明であり、憲法92条の地方自治の本旨に根拠を有する公権力の行使そのものである。 本件決議は、本件決議自体の事実上の効果によって、直接、本件教団及びその関連団体の人権侵害を惹起するものである。 本件決議は、本件教団及びその関連団体を対象として、大阪府議会及び大 阪府議会議員との交流、接触、働きかけを拒絶し、もって、地方政治のプロセスから排除し、差別的取扱いをする違法なものである。 その結果として、本件決議は、本件教団及びその関連団体による大阪府議会ないし大阪府議会議員に対する憲法上の請願の拒絶をもたらし、請願権の行使を著しく困 差別的取扱いをする違法なものである。 その結果として、本件決議は、本件教団及びその関連団体による大阪府議会ないし大阪府議会議員に対する憲法上の請願の拒絶をもたらし、請願権の行使を著しく困難にするものである。 本件決議は、宗教を理由とする差別的取扱いであり、差別と敵意をあおる宗教的増悪の唱道であり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「B規約」という。)20条2項が禁じる宗教ヘイトそのものであり、本件教団等の名誉感情を著しく侵害するものである。 本件決議は、本件教団等を悪質な行為を行う反社会的集団であると決めつ けており、本件教団及びその関連団体の人格権を侵害する名誉毀損を構成す るものである。 本件決議の対象とされた本件教団及びその関連団体が被っている深刻な人権侵害の実効的な救済のためには、本件決議を抗告訴訟の対象とする必要がある。 以上によれば、本件決議は、行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たる。 (被告の主張)本件決議は、法律上又は条例上の根拠に基づくものではなく、法的効果を伴わないものであり、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえない。 したがって、本件決議に処分性は認められないから、本件取消しの訴えは、 不適法である。 (3)争点(3)(本件決議を取り消すべき違法性の有無)について(原告の主張)ア請願権の侵害憲法16条は、請願権を保障している。請願権は、民意を国政ないし地 方行政に反映させる方法として参政権を補充する重要な政治的権利とされている。ただし、地方議会に請願するには、地方議会の議員の紹介により請願書を提出することが必要と 願権は、民意を国政ないし地 方行政に反映させる方法として参政権を補充する重要な政治的権利とされている。ただし、地方議会に請願するには、地方議会の議員の紹介により請願書を提出することが必要とされている(地方自治法124条)。 本件決議は、「旧統一教会等」すなわち本件教団及びその関連団体を、「悪質な活動」を行っている反社会的団体と決めつけ、「大阪府議会」が「旧統 一教会等」の全ての活動から「一線を画すること」を宣言するものである。 本件決議は、本件教団、原告を含む関連団体及び本件教団の信者らが大阪府議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることを著しく困難にするものであって、本件教団の関連団体である原告の請願権を侵害するものである。 イ思想良心の自由及び信教の自由の侵害 憲法19条及び20条1項前段は、思想良心の自由及び信教の自由を保障している。 本件決議は、本件教団及びその関連団体の宗教的活動や政治的活動を「悪質な活動」と決めつけており、本件教団の関連団体である原告の宗教的実践としての政治的活動を制約するものであり、憲法が保障する思想良心の 自由や信仰の自由を侵害するものである。 ウ平等原則違反本件決議のように、地方議会等の地方公共団体の機関が、特定の宗教団体及びその関連団体の活動と「一線を画する」として政治的プロセスから排除することを宣言することは、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又 は宗教的実践を理由として、その宗教団体(教団)、信者及び関連団体による信教の自由、宗教的実践、請願権について規制し、差別的取扱いをするものである。 UPFは、国際連合経済社会理事会において総合協議資格を有するNGOとして国際的に 、信者及び関連団体による信教の自由、宗教的実践、請願権について規制し、差別的取扱いをするものである。 UPFは、国際連合経済社会理事会において総合協議資格を有するNGOとして国際的に公認されており、その大阪支部である原告は、これまで も種々の平和活動を行ってきた。本件決議は、このような原告を、偏見を理由に大阪府議会における政治的プロセスから排除して差別するものである。 このような差別的取扱いは、憲法14条1項が保障する法の下の平等の原則に違反する。 エ適正手続の保障違反憲法31条は、適正手続を保障している。 本件決議は、印象操作に基づいて社会的に形成された不当ならく印に基づいて本件教団及びその関連団体である原告の活動を「悪質な活動」と決めつけ、原告等の請願権の制約等の具体的な不利益を強いて政治的プロセ スから排除する処分である。 ところが、大阪府議会は、上記処分をするに当たり、弁解の機会を付与すべきであったにもかかわらず、これを付与しなかった。また、本件決議は、マスコミ等の判断を前提とするものであり、判断者について公正中立性を欠くものである。 したがって、本件決議は、憲法31条の要請する適正手続の保障に違反 するものである。 オ宗教的ヘイトスピーチ及び名誉毀損(ア)宗教的ヘイトスピーチB規約20条2項は「差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的増悪の唱道は、法律で禁止する。」と規定し、宗教的増悪 の唱道を違法とする。 本件決議は、題名を「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」とし、「マインドコントロール」という定義不明の罵り言葉を用いて本件教団を非難 教的増悪 の唱道を違法とする。 本件決議は、題名を「旧統一教会等の悪質な活動とは一線を画する決議」とし、「マインドコントロール」という定義不明の罵り言葉を用いて本件教団を非難し、その宗教的実践であるボランティア活動としての歩道の清掃に係る協定の締結や、原告主催のセミナーへの講師派遣まで問 題視するものである。また、本件決議で悪質な活動として取り上げられている活動は、例えば、原告の献金募集活動であるなど、宗教活動ないし宗教的表明そのものである。 本件決議は、端的にいえば、本件教団及びその関連団体を悪質な活動によって被害者を生み続けている反社会的集団と決めつけ、大阪府議会 及び大阪府議会議員が本件教団との関係を断絶するという府民に対する宣言ないし誓約であり、公権力を担う大阪府議会による本件教団に対する公然たる制裁である。 そもそも、本件教団は、平成21年(2009年)にコンプライアンス宣言をしており、それ以降、悪質な行為は確認されておらず、消費者 庁における相談案件も劇的に減少した。 以上によれば、本件決議は、本件教団及び原告を含む関連団体に対する差別と敵意を扇動する宗教的増悪の唱道であり、差別的取扱いを公的に宣するものであり、B規約20条2項が禁じる宗教的ヘイトスピーチそのものであって、違法である。 (イ)名誉毀損 本件決議は、本件教団及びその関連団体を併せて「旧統一教会等」とし、その活動の全てを「悪質な活動」と決めつけ、また、本件教団及びその関連団体が反社会的団体であるというレッテル貼りをする表現内容を用いている。一般人は、本件決議を聞いて又は読んで、本件教団及びその関連団体が、指定暴力団等の反社会的団体類似の犯罪集団であ 団及びその関連団体が反社会的団体であるというレッテル貼りをする表現内容を用いている。一般人は、本件決議を聞いて又は読んで、本件教団及びその関連団体が、指定暴力団等の反社会的団体類似の犯罪集団であると の印象を抱くことになる。 本件決議により、本件教団及びその関連団体である原告の社会的評価は著しく低下した。本件決議は、原告の名誉を毀損するものであり、違法である。 カまとめ 以上のとおり、本件決議には憲法違反等の違法がある。 (被告の主張)ア本件決議の内容は、「大阪府議会は旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意する」というものであるところ、本件決議は、本件教団等の活動の全てではなく本件教団等の活動の うち「悪質な活動」について、大阪府議会として関与しないことを「強く決意する」意思を表明したものにすぎない。したがって、本件決議は、特定の宗教団体及びその関連団体と大阪府議会議員の関わりの一切を断つものではない。 また、本件決議には何らの法的効果もない。請願の紹介を行う議員にな るか否かは、各議員の自由意思によるものである。 そして、大阪府議会議員が上記の内容の本件決議に沿って活動するかどうかは、各議員の自由意思に委ねられる。 したがって、本件決議は、原告の請願権を侵害するものではない。 イ本件決議は、前記アのとおり、特定の宗教団体及びその関連団体と大阪府議会議員の関わりの一切を断つものではなく、本件決議には何らの法的 効果もなく、請願の紹介を行う議員になるか否かは、各議員の自由意思によるものである。 したがって、本件決議は、原告の思想良心の自由及び信教の自由を侵害 なく、本件決議には何らの法的 効果もなく、請願の紹介を行う議員になるか否かは、各議員の自由意思によるものである。 したがって、本件決議は、原告の思想良心の自由及び信教の自由を侵害するものではない。 ウ本件決議は、前記アのとおり、特定の宗教団体及びその関連団体と大阪 府議会議員の関わりの一切を断つものではなく、また、本件決議には何らの法的効果もなく、請願の紹介を行う議員になるか否かは、各議員の自由意思によるものである。 したがって、本件決議は、憲法14条1項が保障する法の下の平等の原則に違反するものではない。 エ原告は、本件決議が憲法31条の要請する適正手続の保障に違反すると主張する。 しかし、上記の原告の主張は、本件決議が原告の請願権を侵害することを前提とするものであるところ、前記アのとおり、本件決議は、原告の請願権を侵害するものではないから、上記の原告の主張は、その前提を欠き、 理由がない。 オ原告は、本件決議が宗教的ヘイトスピーチである旨主張する。 しかし、本件決議は、本件教団等の活動の全てではなく本件教団等の活動のうち本件決議の第1段落(「世界平和統一家庭連合」から「深刻な事態を招いてきた。」まで)記載のような「悪質な活動」について、大阪府議会 として関与しない旨の決意を表明したものであるから、本件教団等につい て、宗教的な理由で差別的取扱いを行うものではない。本件決議が、本件教団等について、その教義等といった宗教的な理由に着目して一線を画する旨を決意したものではなく、「悪質な活動」を行ったという理由から「悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意」したものであることは、その文面上明らかである。 して一線を画する旨を決意したものではなく、「悪質な活動」を行ったという理由から「悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意」したものであることは、その文面上明らかである。 したがって、上記の原告の主張は理由がない。 カ原告は、本件決議が原告の名誉を毀損するものである旨主張する。 しかし、後記(4)(被告の主張)ウに照らせば、本件決議について、原告に対する名誉毀損に係る違法があるとはいえない。 キ以上によれば、本件決議に憲法違反等の違法はない。 (4)争点(4)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等)について(原告の主張)ア前記(3)(原告の主張)アのとおり、本件決議は、原告の請願権を侵害するものであり、違法である。 イ前記(3)(原告の主張)イのとおり、本件決議は、思想良心の自由や 信教の自由を侵害するものであり、違法である。 ウ前記(3)(原告の主張)ウのとおり、本件決議は、法の下の平等の原則に違反するものであり、違法である。 エ前記(3)(原告の主張)エのとおり、本件決議は、適正手続の保障に違反するものであり、違法である。 オ宗教的ヘイトスピーチ及び名誉毀損(ア)前記(3)(原告の主張)オ(ア)のとおり、本件決議は、宗教的ヘイトスピーチそのものであり、違法である。 (イ)名誉毀損a 本件決議は、本件教団の関連団体である原告の社会的評価ないし信 用を低下させるものであり、そうである以上、本件決議に賛同した議 員の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であることは明らかである。本件決議は、現在も、被告の公式ウェブサイトに掲載されており、このことも るものであり、そうである以上、本件決議に賛同した議 員の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であることは明らかである。本件決議は、現在も、被告の公式ウェブサイトに掲載されており、このことも原告の社会的評価を低下させるという名誉毀損の違法性を有しており、国家賠償法1条1項の適用上違法であるといえる。 被告が国家賠償法1条1項の損害賠償責任を免れるためには、一般 の名誉毀損の不法行為の場合と同じく、被告において、本件決議の事実摘示ないし意見論評に関する「真実性の証明」ないし「真実相当性の証明」の抗弁や、意見論評に関する「公正な論評」の抗弁を主張し、これを立証しなければならない。 本件決議は、議会の内部規律の問題にとどまるものではない。 b 本件決議の内容は、五つの段落から成っている。 第1段落の記載は、事実の摘示であり、それ自体で名誉毀損性を有するところ、全体を読むと、第1段落において摘示された事実を前提事実として、本件教団等すなわち本件教団及びその関連団体が「悪質な活動」を継続的に行う反社会的団体であるとの印象を付与するもの である。 第2段落の記載は、事実の摘示であり、それ自体では本件教団等の社会的評価を低下させるものではない。しかし、第1段落における事実の摘示並びに第4段落及び第5段落における意見論評と併せて読めば、本件教団等が反社会的団体であることを前提事実とし、本件教団 等が行ってきた「選挙戦でのスタッフの提供」や「政策協定の締結などの事例」についても、違法で「悪質な活動」であり、以後、一線を画すべき活動であるという印象を与える意見論評としての性格も併有する。 第3段落の記載は、それ自体では名誉毀損性のない事実 の事例」についても、違法で「悪質な活動」であり、以後、一線を画すべき活動であるという印象を与える意見論評としての性格も併有する。 第3段落の記載は、それ自体では名誉毀損性のない事実の摘示であ るが、第1段落における事実の摘示並びに第4段落及び第5段落にお ける意見論評と併せて読めば、「旧統一教会関連団体主催の講演会への講師の派遣や、歩道の清掃作業における協定の締結など、様々な事業で」の関与もまた、違法で「悪質な活動」であり、本件教団等が反社会的団体であって「悪質な活動」を継続して行ってきたという悪印象を与える意見論評としての性格も併有する。 第4段落の記載は、前段部分は、大阪府議会の各会派が負うべき説明責任に対する言及であるところ、第2段落及び第3段落において摘示された事実に係る大阪府議会の行為が本件教団等の「悪質な活動」に関係するものであるという前提事実に基づく意見論評というべきであり、後段部分は、第1段落において摘示された事実に基づく被害が 「重大」なものであり、「迅速」な「救済」と「再発防止」の必要性を述べる意見論評である。 第5段落の記載は、大阪府議会の決意としての意見論評であるところ、第5段落の記載は、本件教団等が第1段落記載の「悪質な活動」を継続している反社会的団体であり、第2段落及び第3段落において 摘示された事実に関わる大阪府議会議員等の行為も「悪質な活動」に関わる違法な行為であることを前提事実とするものである。 以上によれば、本件決議は、本件教団の関連団体である原告が、第1段落において摘示された「悪質な活動」を継続的に行っている反社会的団体であるという事実を前提とする意見論評であり、原告の社会 的評価ないし信用を著 決議は、本件教団の関連団体である原告が、第1段落において摘示された「悪質な活動」を継続的に行っている反社会的団体であるという事実を前提とする意見論評であり、原告の社会 的評価ないし信用を著しく低下させるものである。 カ職務上の義務違反、故意又は過失本件決議は、大阪府議会による公権力の行使であり、また、大阪府議会は、本件決議が前記アからオまでの違法があることを知りながら、又は知り得たにもかかわらず漫然とこれを認識しないまま、その議決行為として 本件決議をした。 したがって、大阪府議会の上記行為には、職務上の義務違反や、故意又は過失が認められ、大阪府議会が所属する被告は、本件決議により原告が被った損害を賠償する責任を負う。 キ損害本件決議の結果、本件教団の関連団体である原告は、大阪府議会に対す る請願をすることが不可能ないし著しく困難となり、請願権を侵害されたほか、宗教と信条を理由とする不当な差別的取扱いを受けたことにより、主観的な権利を侵害された。また、原告は、宗教的ヘイトスピーチにより無形損害を被り、その宗教基盤組織(FBO)である国際連合NGOとしての尊厳を踏みにじられ、名誉を毀損された。 上記の主観的な権利の侵害より原告が被った精神的苦痛ないし無形の損害に対する慰謝料は300万円を下回らない。 また、弁護士費用は50万円を下らない。 ク結論以上によれば、被告は、原告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、3 50万円の損害を賠償する責任がある。 (被告の主張)ア否認ないし争う。 イ前記(3)(被告の主張)のとおり、本件決議は違法事由が認められないことは明らかであるから、大 50万円の損害を賠償する責任がある。 (被告の主張)ア否認ないし争う。 イ前記(3)(被告の主張)のとおり、本件決議は違法事由が認められないことは明らかであるから、大阪府議会の行為に違法な決議をしたという職 務上の義務違反は認められない。 本件決議は、本件教団等の活動の全てではなく本件教団等の活動のうち「悪質な活動」について、大阪府議会として関与しないことを「強く決意する」旨を、法的効果を伴わない事実上の行為である決議として行ったものにすぎないから、原告の権利又は法律上保護される利益が侵害されたと いう事実もないというべきである。 大阪府議会には故意又は過失が見当たらない。 原告には本件決議による損害がない。本件決議は、原告について言及していないから、本件決議により原告に無形の損害が発生したとはいえない。 以上のとおり、本件決議に関し、大阪府議会の行為について、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえず、故意又は過失が認められず、 原告には本件決議による損害はないというべきであるから、本件国賠請求は理由がない。 ウ原告の名誉毀損の主張について(ア)本件決議は、大阪府議会の自律権の範囲内で決定された事項であり、大阪府議会の自律的な権能が尊重されるべき場合であるから、司法審査 を差し控えるべきである。 (イ)地方議会議員の地方議会における発言等に係る名誉毀損の成否については、国会議員の国会における発言等に係る名誉毀損の成否(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3850頁参照)と同様、当該地方議会議員が、その職務とは関わりなく違法又は不当な目的 をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽である の成否(最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3850頁参照)と同様、当該地方議会議員が、その職務とは関わりなく違法又は不当な目的 をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、その付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある場合に限り、国家賠償法1条1項の適用上違法となると認めるのが相当である。 国家賠償請求訴訟においては、原告において、公務員が職務上の義務 に違反して違法に原告の名誉を毀損したこと、すなわち、真実性又は真実相当性がないことを含めて名誉毀損該当性を主張立証すべきである。 以上によれば、大阪府議会ないし大阪府議会議員による本件決議に係る名誉毀損の成否について国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける場合は、大阪府議会ないし大阪府議会議員が、その職務とは関わり なく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽である ことを知りながらあえてその事実を摘示し、殊更に社会的評価を低下させるなどの態様、方法によって当該公表を行ったなど、その付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある場合に限定されると解すべきである。そうでないとしても、原告において、真実性又は真実相当性がないことを含めて名誉毀損該当 性を主張立証すべきであると解すべきである。 (ウ)原告は、本件決議について、大阪府議会ないし大阪府議会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情や、真実性又は真実相当性がないことを、具体的に主張立証していないから、原告の名誉毀損の主張には理由がない。 の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情や、真実性又は真実相当性がないことを、具体的に主張立証していないから、原告の名誉毀損の主張には理由がない。 この点を措くとしても、次の理由から、本件決議が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 すなわち、本件決議は、地方議会の決議であり、大阪府議会ないし大阪府議会議員の職務に関係して行われたことは明らかである。 また、政府は、本件教団によるとされた被害の対応として、関係省庁 連絡会議を設置し、相談を受け、具体的な施策を実施、検討するなどした。大阪府議会は、本件教団によるとされた被害の状況やこれに対する政府の対応状況、本件教団による霊感商法やマインドコントロールを利用した被害の防止や救済の可能性を高めるための政府の取組状況等を踏まえ、大阪府議会としての意思を表明するものとして、本件決議をした。 そして、本件決議は、本件教団等の活動の全てではなく、政府でも対応がされた「霊感商法やマインドコントロールを利用した高額な商品の売り付けや、多額の献金を強要する活動などを行い、その結果として信者自身の経済的な困窮や社会的な孤立を招き、家族の生活が破壊されるなどの深刻な事態を招いてきた」「悪質な活動」について、大阪府議会が関 与することがないよう一線を画することを強く決意するというものであ る。 以上によれば、本件決議が指摘した内容に真実性又は真実相当性がないといった事情は存在しない。また、本件決議を行うに当たって、大阪府議会ないし大阪府議会議員に違法又は不当な目的があったとは認められず、本件決議の内容が虚偽であることを知りながらあえてその事実を 摘示したなどとも認められない。そして 議を行うに当たって、大阪府議会ないし大阪府議会議員に違法又は不当な目的があったとは認められず、本件決議の内容が虚偽であることを知りながらあえてその事実を 摘示したなどとも認められない。そして、本件決議の公表の経緯等に殊更に社会的評価を低下させるなどの態様、方法によって公表を行ったなどの事情も見当たらない。そうすると、本件決議は、大阪府議会ないし大阪府議会議員に付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得る特別の事情があるとはいえない。 したがって、本件決議が国家賠償法1条1項の適用上違法となるとはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(2)(本件取消しの訴えの適法性の有無(本件決議の処分性の有無。本件取消しの訴えの本案前の争点))について 行政事件訴訟法3条2項の定める処分の取消しの訴えの対象となる行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為は、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁参照)。 本件決議の内容は、別紙記載のとおりであるところ、本件決議は、大阪府議会として「大阪府議会は旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意する」などという意思を事実上表明するものにすぎない。言い換えれば、本件決議は、大阪府議会が法令上の権限に基づいてした議決(地方自治法96条等参照)ではなく、事実上の意思決定としての決議 にすぎないといえる。したがって、本件決議は、政治的な意味を有する事実上 の効果を伴うものであるといえるとしても、法的効果を伴うも 法96条等参照)ではなく、事実上の意思決定としての決議 にすぎないといえる。したがって、本件決議は、政治的な意味を有する事実上 の効果を伴うものであるといえるとしても、法的効果を伴うものではない。 以上によれば、原告のその余の主張を踏まえても、本件決議は、上記の行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たらない。そうすると、本件取消しの訴えは、処分の取消しの訴えの対象とならない本件決議を対象として、処分の取消しの訴えを提起するものであるから、不適法である。 したがって、本件取消しの訴えは、その余の点(争点(1)(法律上の争訟性の有無。本件訴えの本案前の争点。ただし、本件取消しの訴えに係る部分)及び争点(3)(本件決議を取り消すべき違法性の有無))を判断するまでもなく、不適法であるから、却下を免れない。 2 争点(1)(本件訴えの適法性の有無(法律上の争訟性の有無。本件訴えの本 案前の争点。ただし、本件国賠請求の訴えに係る部分)について本件国賠請求の訴えは、原告が、大阪府議会による本件決議が、第三者である原告自らの請願権等の権利利益を違法に侵害するものであるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めるものである。 そうすると、本件国賠請求の訴えは、当事者間の具体的な権利義務又は法律 関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができるから、裁判所法3条1項にいう法律上の争訟に当たるというべきである。また、本件決議の内容が、別紙記載のとおり、大阪府議会と本件教団等という第三者との関係等に関するものであり、一般市民法秩序との関係が問題になり得るものであることや、上記の本件国賠請 求において主張さ 件決議の内容が、別紙記載のとおり、大阪府議会と本件教団等という第三者との関係等に関するものであり、一般市民法秩序との関係が問題になり得るものであることや、上記の本件国賠請 求において主張されている権利利益の内容・性質にも照らすと、本件決議は、大阪府議会の内部規律の問題にとどまるものとはいえないから、地方議会の自律性の観点を踏まえても、本件国賠請求の訴えは、司法審査の対象になるというべきである。 したがって、本件国賠請求の訴えは、適法である。 3 争点(4)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否等)について(1)原告は、普通地方公共団体の議会に請願するためには、議員の紹介が必要であるところ(地方自治法124条参照)、本件決議により、原告が大阪府議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難になっており、本件決議は、原告の請願権を侵害するものである旨主張する。 しかし、本件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。また、本件決議の内容は、別紙記載のとおりであり、原告の請願権を直接制限するようなものではない。仮に、原告が主張するとおり、本件決議により、原告が大阪府議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難となっているとしても、 当該請願に議員の紹介を必要とするのは、地方自治法124条の規定によるものであり、本件決議とは直接の関係がない上、当該請願の内容に賛意を表する紹介議員となるかどうかは、最終的には大阪府議会議員が自らの意思で判断する事柄であり、本件決議の直接の効果ではない。なお、原告において、大阪府議会議員の紹介を得ることができず、大阪府議会に請願書を提出する ことができないとしても、 府議会議員が自らの意思で判断する事柄であり、本件決議の直接の効果ではない。なお、原告において、大阪府議会議員の紹介を得ることができず、大阪府議会に請願書を提出する ことができないとしても、陳情書を提出することが妨げられるわけではなく、請願以外の方法で大阪府議会に自らの希望を開陳することが妨げられるわけではない。 以上によれば、本件決議が原告の請願権を侵害するものであるとは認められず、上記の原告の主張は採用することができない。 (2)原告は、本件決議は、本件教団の関連団体である原告の宗教的実践としての政治的活動を制約するものであり、憲法が保障する思想良心の自由や信仰の自由を侵害するものである旨主張する。 しかし、原告の主張をみても、本件決議が、いかなる理由から、原告の思想良心の自由や信教の自由を侵害することになるのかが判然としない。また、 本件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表明するもの にすぎず、法的効果を伴うものではない。そして、本件決議の内容は、別紙記載のとおりであり、原告ないしその社員の思想良心の自由や信仰の自由を含む信教の自由それ自体を制限するものではない。 したがって、本件決議が原告の思想良心の自由や信教の自由を侵害するものであるとは認められず、上記の原告の主張は採用することができない。 (3)原告は、本件決議は、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教的実践を理由として、その宗教団体、信者及び関連団体による信教の自由、宗教的実践、請願権について規制し、差別的取扱いをするものであり、法の下の平等原則に違反する旨主張する。 しかし、本件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表 明するものにすぎず、法的効果を伴う 規制し、差別的取扱いをするものであり、法の下の平等原則に違反する旨主張する。 しかし、本件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表 明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない上、前記(1)及び(2)のとおり、原告の請願権や思想良心の自由、信教の自由を侵害するものではない。 また、本件決議の内容をみるに、本件決議は、本件教団の霊感商法等の問題となる活動やその結果として深刻な事態を招いたことを指摘した上で、本 件教団と政治家との関係性が国民的な関心事となっていることや、大阪府においても本件教団等の事業への関与していたことを指摘し、その上で、「大阪府議会は旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画することを強く決意する」などとするものである。このような本件決議の内容に照らすと、本件決議は、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教的 実践そのものを理由としてされたものではなく、これらを理由に差別的取扱いをするものではない。 したがって、上記の原告の本件決議が法の下の平等の原則に違反する旨の主張は、その前提を異にしており、採用することができない。 (4)原告は、大阪府議会は、本件決議をするに当たり、弁解の機会を付与すべ きであったにもかかわらず、これを付与せず、また、本件決議は、マスコミ 等の判断を前提とするものであり、判断者について公正中立性を欠くことから、本件決議は、憲法31条の要請する適正手続の保障に違反するものである旨主張する。 しかし、本件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。このような本件決議に ついては、そもそも憲法31条の保障が及ぶと解すべきかについて疑問が 件決議は、前記1のとおり、大阪府議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない。このような本件決議に ついては、そもそも憲法31条の保障が及ぶと解すべきかについて疑問が存する上、憲法31条の保障が及ぶと解したとしても、大阪府議会が本件決議をするに当たり、原告等に弁解の機会の付与しなかったことをもって、憲法31条の法意に反するとはいえない。また、仮に、本件決議が、マスコミ等の判断を前提とするものであったとしても、大阪府議会がマスコミ等の判断 に拘束されていたとは認められず、この点に関する原告の主張は、その前提を異にしているというべきである。 したがって、上記の原告の主張は採用することができない。 (5)原告は、本件決議は、宗教的ヘイトスピーチそのものであり、違法である旨主張する。 しかし、前記(3)のとおり、本件決議は、特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教的実践そのものに着目してされたものではなく、本件決議が指摘する本件教団等の悪質な活動という、本件教団等の宗教の教義等とは直接の関係がない事情に着目してされたものである。このような本件決議の内容に照らすと、本件決議が、宗教的増悪の唱道であるとは認められず、宗 教的ヘイトスピーチであるとは認められない。 したがって、上記の原告の主張は採用することができない。 (6)原告は、本件決議は、本件教団の関連団体である原告の社会的評価ないし信用を低下させ、原告の名誉を毀損するものであり、そうである以上、本件決議に賛同した議員の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと 主張する。 アまず、名誉毀損の点に関して、普通地方公共団体の議会の決議がどのような場合に国家賠償法1条1項の適用上違 議員の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと 主張する。 アまず、名誉毀損の点に関して、普通地方公共団体の議会の決議がどのような場合に国家賠償法1条1項の適用上違法となるかについて検討する。 (ア)国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うこ とを規定するものであるから、公務員による公権力の行使に係る行為に同項にいう違法があるというためには、公務員が、当該行為によって損害を被ったと主張する者に対して負う職務上の法的義務に違反したと認められることが必要であると解される(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁平成元年11月2 4日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁、最高裁平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁、最高裁平成20年4月15日第三小法廷判決・民集62巻5号1005頁等参照)。 したがって、普通地方公共団体の議会の決議が同項の適用上違法となるかどうかは、その決議に関与した議員の職務上の法的義務に違背して 当該決議がされたかどうかによることとなる。 (イ)ところで、憲法92条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めると規定する。憲法93条1項は、地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置すると規定し、地方自治法89条は、普通地方 公共団体に議会を置くと規定しており、議会は、普通地方公共団体の必置機関であるといえる。そして、憲法93条2項は、地方公共団体の長、その議会 を設置すると規定し、地方自治法89条は、普通地方 公共団体に議会を置くと規定しており、議会は、普通地方公共団体の必置機関であるといえる。そして、憲法93条2項は、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙すると規定している。このように、憲法は、地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則として、その施策を住民の 意思に基づいて行うべきものとするいわゆる住民自治の原則を採用して おり、普通地方公共団体の議会は、憲法にその設置の根拠を有する議事機関として、住民の代表である議員により構成され、所定の重要事項について当該地方公共団体の意思を決定するなどの権能を有することからすれば、このような議会の権限に属する議決や決議に関する事項については、議会が上記のような議事機関であることの性質上、議会の自律的 な権能に関わるものとして、十分に尊重されるべきものといえる。 (ウ)また、前記(イ)のとおり、普通地方公共団体の議会は、所定の重要事項についての意思決定の権能を有する議事機関であるところ、地方自治法上、議決を始めとする多くの権限を有しており(同法96条から100条の2まで等参照)、とりわけ、同法96条の定める議決事件の内容 に照らすと、議会は、重要事項の中心部分である立法に関する意思決定(同条1項1号から3号まで参照)にとどまらず、重要な行政上の意思決定の権能も担っていること(同項4号以下参照)などからすれば、普通地方公共団体の議会は、広範な権限や権能を有するといえる。 (エ)そして、議会は、通常、議決(法令上の権限に基づく法的効果を伴う もの)又は決議(多くは法的効果を伴わない事実上のもの)により意思決定をするが、前記のとおり、議会が るといえる。 (エ)そして、議会は、通常、議決(法令上の権限に基づく法的効果を伴う もの)又は決議(多くは法的効果を伴わない事実上のもの)により意思決定をするが、前記のとおり、議会が、いわゆる住民自治の原則の下、前記(イ)及び(ウ)のような広範な権限や権能を有していることに照らすと、議会の決議については、法令上の明文の根拠規定のない、政治的意味を持つものであっても、少なくとも当該普通地方公共団体の事務 に関する事項に関するものや当該普通地方公共団体の公益に関するものである限り、議会の権限に属するものと解される。 本件決議は、上記の決議に当たるところ、その内容は、別紙記載のとおり、大阪府議会ないしその議員と本件教団等との関係等に関するものであり、本件決議当時、本件教団に係る霊感商法や高額献金といった問 題(いわゆる旧統一教会問題)がマスコミ等で大きく取り上げられるな どして社会問題となっていたこと(前記前提事実(2))からすると、少なくとも大阪府の公益に関するものであるといえるから、本件決議は、大阪府議会の権限に基づきされたものといえる。 (オ)本件決議が国家賠償法1条1項の適用上違法といえるか否かの判断に当たっては、本件決議の内容が、大阪府議会と本件教団等という第三者 との関係等に関するものであり、一般市民法秩序との関係が問題になり得るものであることや、本件国賠請求において主張されている権利利益の内容・性質にも照らすと、本件決議は、大阪府議会の内部規律の問題にとどまるものとはいえないから、普通地方公共団体の議会の自律性の観点を踏まえても、その判断を差し控えることなく、本件決議が国家賠 償法1条1項の適用上違法といえるか否かを検討する必要があるというべきである。 もっと ら、普通地方公共団体の議会の自律性の観点を踏まえても、その判断を差し控えることなく、本件決議が国家賠 償法1条1項の適用上違法といえるか否かを検討する必要があるというべきである。 もっとも、前記(イ)から(エ)までのとおり、普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の必置機関である上、議事機関として自律的な権能を有し、また、いわゆる住民自治の原則の下、広範な権限や権能 を有するものである。このような議会の法的地位・性質や広範な権限ないし権能等に照らせば、議会が、議事機関としての権限に基づいて決議をするに当たり、どのような事項をどのような内容で行うかについては、政治的なものを含め、議会の裁量的な政策判断に委ねられているというべきである。 そうすると、普通地方公共団体の議会の決議において、個人や法人の名誉ないし社会的評価を低下させる内容が含まれるとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の適用上違法ということはできず、議会が当該個人又は法人の社会的評価を低下させたりするためにあえて当該決議をしたなど、当該決議の内容が議会の議事機関としての権限を逸脱 又は濫用するものであると評価することができる場合であり、かつ、当 該決議に関与した議員が職務上の法的義務に違背して当該決議をしたといえる場合に限り、国家賠償法1条1項の適用上違法となるというべきである。 以上の観点を踏まえ、以下、本件決議が国家賠償法1条1項の適用上違法であるといえるかを検討する。 イ認定事実前記前提事実に加え、後記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (ア)令和4年7月8日から同年12月20日(本件決議がされた日)までのいわゆる旧統一教会問題に係る政府 前記前提事実に加え、後記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (ア)令和4年7月8日から同年12月20日(本件決議がされた日)までのいわゆる旧統一教会問題に係る政府の取組状況 aC内閣総理大臣は、令和4年8月、「法務大臣を始め関係大臣において、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に、連携して万全を尽くす」ように指示し、これを受け、「旧統一教会」について社会的に指摘されている問題(いわゆる旧統一教会問題)に関し、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済を目的として、関係省庁間 で情報を共有するとともに、被害者への救済機関等のあっせんなど関係省庁による連携した対応を検討するためとして、同月、法務大臣の主宰により、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議(以下、単に「関係省庁連絡会議」という。)が設置された。 関係省庁連絡会議は、同年9月5日から合同電話相談窓口を設置し て相談を受け付けたところ、同年10月31日時点での相談の累計は3650件であり、うち2367件が旧統一教会(本件教団)によるとされた被害に関する相談であり、うち68%が「金銭的トラブル」に関する相談で、うち21%が「親族間の問題」と「心の悩み」に関する相談であった。 上記「金銭的トラブル」に関する相談に関し、相談主体については、 50%が信者の親族とする者、24%が元信者であるとする者、7%が信者であるとする者からの相談であった。金銭支出の経緯については、約7割が不明であるが、判明した範囲では、霊感商法的言動によるとする相談が約3割であり、強要的な言動によるとする相談も若干あった。相談者又は金銭支出者の状況については、その大半が不明で あるが、生活保護費や あるが、判明した範囲では、霊感商法的言動によるとする相談が約3割であり、強要的な言動によるとする相談も若干あった。相談者又は金銭支出者の状況については、その大半が不明で あるが、生活保護費や年金を旧統一教会に対する金銭支出に充てている、自己破産後も献金を続けている、金銭支出により預金が消失したといった相談も寄せられた。 関係省庁連絡会議は、同年11月10日、上記の相談状況等を踏まえ、被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化のための方策 を取りまとめた。 (乙8、10)b 消費者庁の下、同年8月、有識者から構成される「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(以下、単に「対策検討会」という。)が設置された。 消費者庁は、同年9月30日、「旧統一教会に関する消費生活相談の状況について」を公表した。 対策検討会は、同年8月29日から同年10月13日までの間に7回の審議を行った上、同年10月17日付け報告書を作成し、その中で、①旧統一教会(本件教団)については、社会的に看過できない深 刻な問題が指摘されているところ、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法78条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある、②霊感商法等による消費者被害の救済の実効化を図るため、取消権の対象範囲を拡大するとともに、その行使期間を延長するための法制上の措置を講ずるべきである、③寄附に関する被害の救済を図る ため、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律17条(寄 附の募集に関する禁止行為)の規定を参考にしつつ、寄附の要求等に関する一般的な禁止規範及びその効果を定めるための法制化に向けた検討を行うべきであるなどの提言をした。なお、上記報告書 7条(寄 附の募集に関する禁止行為)の規定を参考にしつつ、寄附の要求等に関する一般的な禁止規範及びその効果を定めるための法制化に向けた検討を行うべきであるなどの提言をした。なお、上記報告書において、霊感商法等について、マインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となるとされ、また、寄附の要求等について、 正体隠しの伝道等の本人の自由な意思決定の前提を奪うような活動手法やマインドコントロール下にあって合理的な判断ができない状況が問題となるとされている。 (乙8、9、11)c 上記のような状況の中で、消費者契約法及び独立行政法人国民生活 センター法の一部を改正する法律案が同年11月18日に、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案が同年12月1日にそれぞれ国会に提出された(いずれも内閣提出の法律案)。 C内閣総理大臣は、同年12月6日の衆議院会議において、前者の法律案に関し、旧統一教会問題等のいわゆる霊感商法や契約に当たる 寄附について、取消権の対象範囲の拡大等の措置を講じ、被害防止及び救済の可能性を高める旨説明した。また、後者の法律案は、概要、法人等による不当な寄附の勧誘を禁止すること等により、消費者契約法とあいまって、法人等からの寄付の勧誘を受ける者の保護を図るものであるとされていた。 (乙8、12、弁論の全趣旨)(イ)大阪府議会における本件決議に至る経緯a 大阪府においては、本件教団の関連団体主催の講演会への講師の派遣や、本件教団との間の歩道の清掃作業における協定(アドプト・ロード協定)の締結などの本件教団及びその関連団体との関係が明らか になるなどした。 (甲7、8、15 講師の派遣や、本件教団との間の歩道の清掃作業における協定(アドプト・ロード協定)の締結などの本件教団及びその関連団体との関係が明らか になるなどした。 (甲7、8、15から17まで、弁論の全趣旨)b 大阪府議会において、前記(ア)の政府の取組状況及び前記aの大阪府の状況等を踏まえ、自由民主党大阪府議会議員団から、同年11月30日、大阪府議会としての意思を表明するものとして、本件決議の原案が提出され、同原案は、大阪府議会の政務調査委員会において 文案調整等がされた後、同年12月20日の本会議に上程され、同本会議において全会一致で可決された(本件決議)。 (甲7、弁論の全趣旨)ウ検討前記前提事実(2)及び(3)並びに前記認定事実によれば、本件決議 当時、①A元内閣総理大臣が殺害されたことを契機としていわゆる旧統一教会問題が社会問題となっていたこと、また、②本件教団(旧統一教会)と国会議員を含む政治家との関係が国民的な関心事となっていたこと、さらに、③政府において、いわゆる旧統一教会問題に対する取組を進めることとなっていたこと、しかも、④大阪府において、本件教団及びその関連 団体との関係が問題視され、府民に対する説明責任を果たすことが求められる状況に至っていたことが認められる。そして、大阪府議会は、このようないわゆる旧統一教会問題をめぐる社会的情勢や国民の関心、政府における取組、大阪府下における社会的・政治的な情勢等を踏まえ、大阪府議会が旧統一教会等の悪質な活動に関与することがないよう一線を画するこ とを強く決意するという大阪府議会としての意思を表明することを目的として、全会一致で本件決議をするに至ったものと認められ、このような大阪府議会の政 活動に関与することがないよう一線を画するこ とを強く決意するという大阪府議会としての意思を表明することを目的として、全会一致で本件決議をするに至ったものと認められ、このような大阪府議会の政治的な判断には相応の合理性があるといえる。 また、本件決議の内容をみるに、本件決議は、本件教団及びその関連団体が悪質な団体であることを指摘していると解する余地がある部分もある ものの、本件決議において、大阪府議会が「関与することがないよう一線 を画する」対象は、「旧統一教会等の悪質な活動」とされており、これは、本件教団及びその関連団体そのものやその教義等ではなく、本件教団等がした違法な行為として社会的に指摘されていた霊感商法等の活動を指すものと解され、文言上、その対象が社会的に問題視されていた本件教団等の活動に限定されているものである。 以上の事情からすれば、大阪府議会が原告の社会的評価を低下させたりするためにあえて本件決議をしたなど、本件決議の内容が大阪府議会の議事機関としての権限を逸脱又は濫用するものであるとは評価することができず、また、本件決議に関与した大阪府議会議員が職務上の法的義務に違背して本件決議をしたともいえない。 したがって、大阪府議会が本件決議をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。そうである以上、本件決議が現在も被告の公式ウェブサイトにそのまま掲載されているとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえない。 (7)まとめ 以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、本件国賠請求は理由がない。 第4 結論よって、本件取消しの訴えは不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求は理由がないからこれを棄却することと れば、その余の点を判断するまでもなく、本件国賠請求は理由がない。 第4 結論 よって、本件取消しの訴えは不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官横田典子 裁判官田辺暁志 裁判官立仙早矢 (別紙の掲載省略)

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