平成21(ワ)16484 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年8月12日 大阪地方裁判所
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判決文本文42,918 文字)

主文 1 原告は,被告に対し,1億2545万0150円及びこれに対する平成21年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告の請求及び被告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,第1事件及び第2事件を通じ,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件(1) 原告が,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,平成21年10月2日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月額62万2710円の割合による金員並びにこれらに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第2事件被告は,原告に対し,1億5680万9665円及びこれに対する平成21年11月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1事件は,認可保育所を設置経営する被告の理事長兼保育所園長であった原告が,被告に対し,業務上横領又は背任等を理由とする懲戒解雇は無効であると主張して,労働契約上の権利を有する地位の確認並びに懲戒解雇後の賃金及びこれに対する各支払期日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 第2事件は,被告が,原告に対し,業務上横領又は背任等を理由とする理事の委任契約・労働契約上の債務不履行若しくは不法行為に基づく損害賠償又は 不当利得返還として1億5680万9665円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年11月18日から支払済みまで民法 ・労働契約上の債務不履行若しくは不法行為に基づく損害賠償又は 不当利得返還として1億5680万9665円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年11月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実のほか,掲記の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア被告は,大阪府知事の認可を受けた社会福祉法人であり,A保育園(a市所在),B保育園(b市所在)及びC保育園(a市所在)を設置経営している(以下,併せて「本件各保育園」という。)。 イ原告は,被告設立時に被告の理事長兼A保育園園長に就任した。B保育園の園長には原告の妻Fが,C保育園の園長には原告の長男Gが各開園時に就任したが,両名とも,原告の指示に従ってそれぞれの保育園を運営していた。また,原告は,鹿児島県j市においてD保育園を設置経営する社会福祉法人E(以下「E」という。)の設立に関与し,Fが同福祉会の理事長を務めている。 ウ原告は,平成21年2月6日,任期満了により理事を退任した(甲1)。 エ大阪府は,同月9日,被告代表者ほか2名を被告の仮理事に選任し,同日,仮理事会において,被告代表者が仮理事長に選任された。被告代表者は,同年7月28日,被告の理事に選任され,同日,理事会において理事長に選任された。 (2) H書店との取引ア原告は,昭和52年頃から,Fを名目上の事業主とする「H書店」の屋号で書籍文具の小売店を経営していたが,平成8年に店舗を閉鎖し,以後,同店の会計帳簿を作成しなかった(原告本人)。 イ本件各保育園の事務員は,文具等の物品が必要となったときは,卸売業者である株式会社I(以下「I社」という。)に注文し,注文し を閉鎖し,以後,同店の会計帳簿を作成しなかった(原告本人)。 イ本件各保育園の事務員は,文具等の物品が必要となったときは,卸売業者である株式会社I(以下「I社」という。)に注文し,注文した物品は,各保育園に直接届けられた。ただし,原告は,I社に対し,上記注文に関 する請求書の宛先をH書店と記載させたうえ,これをA保育園に送付させた。原告は,①A保育園については,同保育園の事務員に対し,上記請求書記載の金額に相当額を上乗せした額を領収金額とする同保育園宛のH書店の領収証を作成させたうえ,同保育園施設会計の預金口座から同領収証記載の金額を出金させ,②B保育園については,Fに対し,上記と同様の領収証作成及び出金をさせ,③C保育園については,A保育園の事務員に対し,上記と同様の領収証作成させたうえ,GにC保育園施設会計の預金口座から同領収証記載の金額を出金させ,これらの金員を受領した。平成18年から同20年までのI社に対する支払額は,別紙2の1ないし7の「I社(支払毎の)請求書」欄記載の金額であり,本件各保育園の各施設会計の預金口座からの出金額は,同各別紙の「H書店名義領収証」欄記載の金額であった(甲30の2,丙4,丙6,丙7,丙9,丙10の1,丙12の1,2,丙25の1,2。ただし,いずれも枝番号省略)。 ウ原告は,本件各保育園にH書店の在庫商品や仕入商品を販売したとして,①A保育園については,同保育園の事務員に対し,原告が指示する金額を記載した同書店の領収証を作成させたうえ,同保育園施設会計の預金口座から同領収証記載の金額を出金させ,②B保育園については,Fに対し,上記と同様の領収証作成及び出金をさせ,③C保育園については,A保育園の事務員に対し,上記と同様の領収証作成させたうえ,GにC保育園施設会計の預 載の金額を出金させ,②B保育園については,Fに対し,上記と同様の領収証作成及び出金をさせ,③C保育園については,A保育園の事務員に対し,上記と同様の領収証作成させたうえ,GにC保育園施設会計の預金口座から同領収証記載の金額を出金させ,これらの金員を受領した。平成18年から同20年までの本件各保育園の各施設会計の預金口座からの上記出金額は,別紙3の1ないし6の「出金金額」欄記載の金額であった(丙5,丙8,丙10の2,3,丙11,丙12の3。ただし,各枝番号省略)。 エ原告は,平成20年4月22日,H書店の名義で,J株式会社(以下「J社」という。)から77万4900円(消費税込み)で食器類を購入したう え,同月23日,これを被告に対し134万1000円で転売し,被告名義のe銀行a支店普通預金口座(本部会計用)から引き出された134万1000円を受領した(甲25の1,2,丙47の1,2)。 (3) Kに関する会計処理ア Kは,a市内の印刷業者である。 イ C保育園で使用されている園長用の机と椅子は,平成20年8月1日頃,D保育園から送られてきたものである(丙109,原告本人)。 ウ原告は,K名義の白紙の領収証を入手したうえ,被告の事務員に対し,同領収証に宛名として「C保育園」,日付として「20年8月5日」,金額として「630,000」,ただし書として「デスク,チェアーの代金として」と記入させ(丙12の5の1),C保育園施設会計の預金を管理するGから,63万円を受領した。 (4) 有限会社L(以下「L社」という。)に関する会計処理ア L社は,平成19年5月頃,被告に対し,A保育園を宛名とする同月18日付け請求書及び同月25日付け領収証を発行した。同請求書の品目名は「RYP140L9パッケージエアコン 関する会計処理ア L社は,平成19年5月頃,被告に対し,A保育園を宛名とする同月18日付け請求書及び同月25日付け領収証を発行した。同請求書の品目名は「RYP140L9パッケージエアコン,パッケージ取付工事」と記載され,同請求書(以下「本件請求書①」という。)及び同領収証の金額は「76万5114円」と記載されていた(丙56の1,2)。 原告は,平成19年5月25日,被告名義のe銀行a支店当座預金口座から,76万5114円の小切手(以下「本件小切手①」という。)を振り出した(甲41,甲42)。この小切手は,L社のf銀行a支店の口座に入金された(調査嘱託の結果)。 イ L社は,平成19年6月頃,被告に対し,A保育園を宛名とする同月20日付け請求書(以下「本件請求書②」という。)及び日付の記載のない領収証を発行した。同請求書の品名は「パッケージエアコン(工事費込み)」と記載され,同請求書及び同領収証の金額は「217万円」と記載されて いた(丙57の2,3)。 原告は,平成19年6月25日,被告名義のe銀行a支店当座預金口座から,46万1561円と170万8439円の2通の小切手を振り出した(甲41,甲43,甲44)。このうち,46万1561円の小切手(以下「本件小切手②」という。)は,原告名義のe銀行a支店普通預金口座に入金され,170万8439円の小切手(以下「本件小切手③」という。)は,L社のf銀行a支店の口座に入金された(調査嘱託の結果)。 (5) B保育園の建替工事ア被告は,平成18年7月29日から同19年3月30日までの間,B保育園の建物の建替工事(以下「本件建替工事」という。)を行った(丙18の1,2)。 イ被告には,上記工事に関し,以下の内容の理事会議事録が存 年7月29日から同19年3月30日までの間,B保育園の建物の建替工事(以下「本件建替工事」という。)を行った(丙18の1,2)。 イ被告には,上記工事に関し,以下の内容の理事会議事録が存在する。 (ア) 平成17年12月22日付けで,上記工事の実施を決定し,その予算を2億2829万5000円とし,その財源を,①b市補助金1億2643万8000円,②法人自己資金1985万7000円,③原告の贈与金600万円,④原告からの借入金1200万円,⑤独立行政法人M機構(以下「M機構」という。)からの借入金6400万円とする旨の議事録(丙41の1)(イ) 平成18年7月15日付けで,本件建替工事の予算を2億4824万5000円に変更するとともに,財源のうち原告の贈与金を2595万円に変更する旨の議事録(丙41の2)(ウ) 同年12月22日付けで,本件建替工事の予算を2億6124万5000円余に変更するとともに,財源のうち,法人自己資金を3485万7000円,原告の贈与金を600万円に変更し,N協議会又はO株式会社(以下「O社」という。)から2000万円を借り入れる旨の議事録(丙41の3) (エ) 平成19年3月17日付けで,本件建替工事の予算を2億7463万6000円に変更するとともに,財源のうち法人自己資金を4619万8000円に変更し,O社から2000万円を借り入れる旨の議事録(丙41の4)。 (オ) 同年5月29日付けで,本件建替工事の予算を2億8510万5000円に,財源のうち,法人自己資金を4431万7000円,原告からの借入金を2435万円に変更するとともに,O社に対する返済については,当分の間,原告が支払う旨の議事録(丙41の5)ウ被告は,Fを に,財源のうち,法人自己資金を4431万7000円,原告からの借入金を2435万円に変更するとともに,O社に対する返済については,当分の間,原告が支払う旨の議事録(丙41の5)ウ被告は,Fを特別代理人として,原告との間で,平成17年12月22日,原告が被告に対し,B保育園の建設資金として,①1200万円を貸し付ける旨及び②600万円を贈与する旨契約し,さらに,同18年7月15日,上記②の贈与金額を2595万円に増額変更する旨の契約を締結した(丙15の1ないし3)。 エ被告は,平成18年4月3日,e銀行a支店に被告名義の本件建替工事専用の普通預金口座(以下「本件建設会計口座」という。)を開設し,工事代金清算終了後の平成19年9月10日に解約した。本件建設会計の入出金の状況は,別紙15「建設会計出納表」記載のとおりである(丙24)。 オ原告は,平成19年6月28日,被告の代表者として,M機構理事長に対し,本件建替工事に関する事業完成報告書(以下「本件事業完成報告書」という。)を提出した(丙18の2)。 同報告書の実施状況欄の中の資金計画欄には,①M機構借入金6400万円,②市区町村交付金1億2643万8千円,③贈与金2595万円,④借入金(借入先理事長)1200万円,⑤自己資金1985万7千円,⑥合計2億4824万5千円と記載され,収入支出の状況欄には,別紙15「建設会計出納表」の本件事業完成報告書欄のとおり記載されている(丙24)。 (6) O社との割賦販売契約原告は,被告の代表者として,O社との間で,以下のとおり,割賦販売契約を2回締結した。 ア 1回目の割賦販売契約(ア) 原告は,被告の代表者として,O社との間で,①平成18年7月26日,割賦販売物件を被告の設備一式(総合遊 下のとおり,割賦販売契約を2回締結した。 ア 1回目の割賦販売契約(ア) 原告は,被告の代表者として,O社との間で,①平成18年7月26日,割賦販売物件を被告の設備一式(総合遊具及びエアコン),買主兼物件納入会社を被告,売主をO社,割賦販売価格を1581万3000円(消費税込み),支払期間を平成18年9月から同23年8月まで(60回),分割払金を26万3550円(消費税込み)とする割賦販売契約(以下「本件割賦販売契約①」という。)を締結したうえ,②同18年8月1日,目的物件を上記割賦販売物件,買主をO社,売主を被告,代金額を1433万9777円(消費税込み)とする売買契約(以下「本件売買契約①」という。)を締結した(丙16)。 (イ) O社は,平成18年9月25日,本件売買契約①に基づき,「社会福祉法人YA保育園」名義のe銀行a支店の普通預金口座に1433万9777円を振込入金した(丙25の1)。原告は,同日,上記口座から1433万9777円を引き出したうえ,うち433万9777円を本件建設会計口座に入金し(丙24),うち1000万円を原告のPに対する同額の借入金の返済に充てた(原告本人)。 イ 2回目の割賦販売契約(ア) 原告は,平成19年3月26日,O社との間で,①被告の代表者として,割賦販売物件をB保育園什器・備品,買主を被告,売主をO社,物件納入会社をF(H書店),割賦販売価格を2557万8000円(消費税込み),支払期間を平成19年4月から同26年3月まで(84回),分割払金を30万4500円(消費税込み)とする割賦販売契約(以下「本件割賦販売契約②」という。)を締結したうえ,②H書店の実質的経 営者として,目的物件を上記割賦販売物件,買主をO社,売主をF( を30万4500円(消費税込み)とする割賦販売契約(以下「本件割賦販売契約②」という。)を締結したうえ,②H書店の実質的経 営者として,目的物件を上記割賦販売物件,買主をO社,売主をF(H書店),代金額を2124万8533円(消費税込み)とする売買契約(以下「本件売買契約②」という。)を締結した(丙17)。 (イ) O社は,本件売買契約②に基づき,H書店名義のc信用金庫d支店普通預金口座に2124万8533円を振込入金した。原告は,平成19年5月25日,同口座から引き出した金員のうち1474万5845円を本件建設会計口座に入金した(丙24)。 (7) 私的契約保育料A保育園は,認可保育所であり,原則としてa市が保育の必要性を認定した児童を保育することとされているが,定員に空きがある場合に,既に入所している児童の保育に支障が生じない範囲で,保護者と直接契約することにより児童を保育することが認められており,その児童を私的契約児という。 被告は,平成15年度から同20年度まで,A保育園において私的契約児の保育を行い,その保護者から私的契約保育料を受領していた。 (8) Qの賃金被告は,平成16年4月から同20年11月まで,別紙6「Qの賃金一覧表」記載のとおり,原告の姉の子であるQに対する給与及び賞与として,A保育園の施設会計から合計294万円を支出した(丙20の1ないし10,原告本人)。 (9) D保育園への出張原告は,平成13年4月から同20年3月まで,月1回(ただし,同16年8月及び同17年9月は月2回),Eへ出張し,被告から,別紙7「出張費一覧表」記載のとおり出張費を得ていた(丙22の1ないし55,原告本人)。 (10) 800万円の受領原告は,平成21年1月29日,被告名義のe銀行 回),Eへ出張し,被告から,別紙7「出張費一覧表」記載のとおり出張費を得ていた(丙22の1ないし55,原告本人)。 (10) 800万円の受領原告は,平成21年1月29日,被告名義のe銀行a支店普通預金口座から800万円(以下「本件800万円」という。)を引き出したうえ,これを 受領した(丙26)。 (11) 社宅用マンションの賃貸借契約原告は,平成11年5月26日,被告の代表者として,原告の子であるRとの間で,同人所有のマンションの居室(以下「本件居室」という。)を賃料1か月7万円,共益費1か月1万円で賃借する賃貸借契約を締結し(以下「本件賃貸借契約」という。),被告の職員用の社宅として利用した(丙68の1ないし8)。 (12) 生命保険料の支出ア原告は,平成10年12月1日,被告の代表者として,g生命保険相互会社との間で,被保険者原告,保険金受取人被告,保険期間21年間,満期保険金額1000万円,死亡保険金額1500万円とする生命保険契約を締結した(以下「本件生命保険契約」という。丙27の1)。 イ被告は,平成21年10月27日付けで,本件生命保険契約を解約し,同月28日,g生命保険相互会社から,解約返戻金として639万1330円を受領した(丙27の3)。なお,解約時点における払込保険料の合計額は,1096万5234円であった(丙27の2)。 (13) 大阪府の指導監査被告を所管する大阪府は,被告に対し,平成20年11月12日,同月25日及び同月27日,被告に対し,社会福祉法56条及び児童福祉法46条に基づく指導監査を実施し,平成21年2月5日付けで,理事会の議事録のねつ造のほか,以下のとおりその調査及び被告が受けた損害の回復を行い,同年3月5日までにそれらの報告を行う 条及び児童福祉法46条に基づく指導監査を実施し,平成21年2月5日付けで,理事会の議事録のねつ造のほか,以下のとおりその調査及び被告が受けた損害の回復を行い,同年3月5日までにそれらの報告を行うように指導する旨通知した(甲2)。 ア以下の事実について,過去10年分を調査するとともに,原告らに対し,被告が受けた損害を回復させること(ア) 理事長及び一部理事は,保育材料等を購入する際に,実在しないH書店を介し,卸売業から購入したものに利益を上乗せし,保育園に請求 し,生じた差益を私的な利益として得ていたこと(イ) H書店の廃業時に保管してあった文具用品等を,H書店名で保育園に納入し,その代金として正当とはいい難い額を請求することにより私的な利益を得ていたこと(ウ) 理事長自らが購入した物品等をH書店名で保育園に納入し,生じた差益を私的な利益として得ていたこと(エ) 理事長及び一部の理事が,保育所施設会計から,飲食費,タクシー料金,旅行費用,接待費,会議費,生命保険料,燃料費等私的に使用していたことイ O社からの借入金の根拠及び使途の調査ウ理事長のEの施設業務従事や理事会出席を出張扱いとしているが,これは,欠勤として取り扱うのが妥当であるから,給与・手当(賞与を含む)について,理事長に対しその欠勤分を返還させることエ施設長がEの施設業務に従事していた期間については,所長未設置単価が適用されるため,保育所運営費国庫負担金を精算し,a市へ差額を返還すること(14) 出勤停止等ア原告は,M機構理事長に対し,以下の内容の平成21年2月8日付け共済契約者間継続職員異動届を提出し,同月12日,これを受理された(丙32の2)。 (ア) 異動後の共済契約者 E ,M機構理事長に対し,以下の内容の平成21年2月8日付け共済契約者間継続職員異動届を提出し,同月12日,これを受理された(丙32の2)。 (ア) 異動後の共済契約者 E勤務する施設 D保育園職種副園長本俸月額 46万1900円(イ) 異動前の共済契約者被告勤務していた施設 A保育園 本俸月額 46万1900円退職日平成21年2月7日イ被告は,平成21年2月9日,原告に対し,業務命令としての出勤停止命令(以下「本件出勤停止命令」という。)を発した。 被告は,原告に対し,同年2月から同年8月まで毎月25日に,A保育園園長の給与(毎月末日締切)を別紙14「出勤停止期間中の賃金」記載のとおり支払った(甲8,甲14,丙28の1ないし8)。また,被告は,同年9月に原告の住民税9万7400円及び共済掛金(原告負担分)7240円を納付した(丙28の9)。 (15) 懲戒解雇被告は,平成21年10月2日,原告に対し,前記(13)の大阪府の指導監査結果及びその後に判明した原告の行為が,被告の就業規則22条以下の服務規律に違反し,また業務上横領罪ないし背任罪に該当する行為を含み,同規則54条1号,9号,20号の懲戒解雇事由に該当するとして,懲戒解雇の意思表示をした(以下「本件懲戒解雇」という。甲7)。 上記就業規則の規定は,以下のとおりである。 ①22条1項(服務の根本基準)従業員の職務の公共性と社会的使命の重要性を認識して,社会福祉のために民主的かつ能率的にその職務に専念しなければならない。 ②54条(懲戒解雇)従業員が次の ①22条1項(服務の根本基準)従業員の職務の公共性と社会的使命の重要性を認識して,社会福祉のために民主的かつ能率的にその職務に専念しなければならない。 ②54条(懲戒解雇)従業員が次のいずれかに該当するときは,本人に弁明の機会を与え,園長・主任保育士の議を経て懲戒解雇処分を行うものとする。 1号違反が再度に及ぶとき,又は情状重大と認められるとき9号利用者及び法人の金品を詐取流用し又は虚偽の伝票,書類を作成,発行して自己の利益をはかり,利用者及び法人に損害を与えたとき20号殺人,傷害,暴行,脅迫,強盗,窃盗,横領その他重大な刑事犯 罪を犯したとき(16) 大阪府による告発大阪府は,平成21年10月9日,大阪府警察本部に対し,以下の事実により,原告を業務上横領罪及び背任罪の疑いで告発した。 ア A保育園における保育料の横領原告は,平成20年4月11日頃から同21年2月6日頃までの間,前後11回にわたり現金約209万円を横領した。 イ A保育園において実態のない個人企業を使った背任行為原告は,平成19年4月24日頃から同20年9月26日頃までの間,大阪市内の商店に発注した文具等の消耗品の請求額に,上乗せした金額を記載した実態のない個人企業(H書店)の領収証を作成し,差額を領得し,被告に約39万円の損害を与えた。 (17) 民間施設給与等改善費の適用加算の停止ア民間施設給与等改善費とは,公・私施設間の職員給与格差の是正などを目的とした補助金である。被告は,平成20年度(同年4月から翌年3月まで)の民間施設給与等改善費の適用加算として,以下のとおり支給を受けた(丙21の1ないし4)。 (ア) a市からの支弁額A保育園 540万5480円 度(同年4月から翌年3月まで)の民間施設給与等改善費の適用加算として,以下のとおり支給を受けた(丙21の1ないし4)。 (ア) a市からの支弁額A保育園 540万5480円C保育園 792万4680円(イ) b市からの支弁額B保育園 683万4180円イ旧厚生省児童家庭局長が平成12年3月30日に発出した「保育所運営費の経理等について」と題する通達(児発第299号。以下「本件平成12年通達」という。)によれば,保育所の運営費が,同通達によって定められた使途範囲を超えて支出が行われた場合には,4月分から翌3月分まで の間の民間施設給与等改善費全額について加算を停止することとされている(丙14の1)。 ウ大阪府は,平成21年10月9日,前記(13)の指導監査の結果,①原告が実在しない個人商店を使い,架空の商取引をねつ造する等により,私的利益を得ていたこと,②施設会計から私的に流用が行われたこと,③私的契約児の利用料を原告が着服していたこと等の事実を確認したため,同年4月から同22年3月まで,被告のA保育園,C保育園,B保育園に対する民間施設給与等改善費の適用加算を停止することを決定した(以下,「本件民改費適用加算停止決定」という。丙97,丙98,丙108の1,2)。 (18) 所長未設置単価適用による運営費委託料の精算ア旧厚生省の「『児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について』通知の施行について」と題する通達(昭和51年4月16日・厚生省発児第59号の5)によれば,保育単価については,その保育所の長が各月の初日において欠員又は無給であるときは,その人件費を控除した未設置の保育単価が適用されるが,この設置又は未設置であるかどうかの認定は,次の基準によるこ ば,保育単価については,その保育所の長が各月の初日において欠員又は無給であるときは,その人件費を控除した未設置の保育単価が適用されるが,この設置又は未設置であるかどうかの認定は,次の基準によることとされている(丙23)。 (ア) その所長が,常時実際にその保育所の運営管理の業務に専従し,かつ有給のものである場合に限り,設置の単価を適用すること。 (イ) 私立保育所において,2以上の施設若しくは他の事業と兼務し,保育所長としての職務を行っていないものは欠員とみなして未設置の単価を適用すること。 イ原告は,平成20年4月から同年11月まで,D保育園の事務長に就任していたため,a市長は,平成21年10月30日,被告に対し,A保育園に関する同20年4月から同年11月分の保育所運営費保育単価を所長未設置単価適用としたことによる精算額として,484万3020円の返還を求めた(丙14の4,丙23)。 2 第2事件の争点及び争点に対する当事者の主張被告は,原告に対し,下記(1)ないし(16)の【被告の主張】欄記載の損害又は損失について,理事の委任契約・労働契約上の債務不履行若しくは不法行為に基づく損害賠償又は不当利得返還を求めるところ,原告が,①昭和52年1月8日から平成21年2月6日までの間,理事として被告と委任契約関係にあったこと,及び②昭和52年1月8日から平成21年10月2日までの間,A保育園園長として被告と労働契約関係にあったことは,当事者間に争いはなく,第2事件の争点は,以下のとおりである。 (1) H書店との取引【被告の主張】ア原告は,前記前提事実(2)イのとおり,保育材料等を購入する際,I社と被告との間に実在しないH書店を介したように偽装して,違法にその差額 (1) H書店との取引【被告の主張】ア原告は,前記前提事実(2)イのとおり,保育材料等を購入する際,I社と被告との間に実在しないH書店を介したように偽装して,違法にその差額(別紙2の1ないし7の「H書店名義領収証」欄記載の金額から「I社(支払毎の)請求書」欄記載の金額を差し引いた額)を不法に領得した。 イ原告は,前記前提事実(2)ウのとおり,物品購入をしていないにもかかわらず,H書店の領収証のみで本件各保育園の施設会計から出金し,別紙3の1ないし6の「出金金額」欄記載の金額を不法に領得した。 原告がH書店の在庫商品を被告に提供していたとしても,10年以上原告方の地下室に放置されていた商品であり,社会通念上無価値なものである。 ウ原告は,前記前提事実(2)エのとおり,食器類を転売して,その差額56万6100円を不法に領得した。 エ A保育園父母の会は,毎年,卒園児にコサージュを贈呈しており,平成13年度以降は,被告が平成14年3月20日頃にまとめて購入したコサージュを,同父母の会が1個350円で購入していたが,原告は,別紙4のとおり,同父母の会が平成14年度から同19年度までにコサージュ代 金として支払った合計3万5350円を不法に領得した。 【原告の主張】ア被告は,問屋であるI社から直接購入することができなかったことから,小売店であるH書店を通して定価で購入していた。被告がH書店から購入した額は,消費者が購入する場合の定価であり,原告は定価よりも安い購入価格の店から購入すべき義務はないから,被告にはH書店が得た差額について損害が生じたとはいえない。 イ I社は文具店であり,被告は,体育用品や保育用品をI社以外の業者やH書店から購入してい 入価格の店から購入すべき義務はないから,被告にはH書店が得た差額について損害が生じたとはいえない。 イ I社は文具店であり,被告は,体育用品や保育用品をI社以外の業者やH書店から購入していた。被告がH書店を通してI社以外の業者から購入した商品については,被告に納品書の綴りが保管されているはずであり,原告にその購入の事実の主張立証責任を負わせることは妥当ではない。 ウ A保育園が平成14年3月に購入したコサージュは,職員用のコサージュであり,卒園児に贈る用途のものではない。卒園児用のコサージュは,H書店がまとめて購入し在庫として保管していたものを,父母の会が,毎年卒園児数の分ずつ購入していたものである。 エ原告は,被告に対し,H書店が得た差額と私的契約保育料とを併せて,別紙16「返金額一覧表(原告主張)」記載のとおり3594万1387円を入金(返金)しており,損害を与えていない。 (2) 「K」に関する会計処理【被告の主張】C保育園で使用している園長用の机と椅子は,D保育園から送付された中古品であり,63万円で購入した事実はないから,原告がC保育園の施設会計から63万円を支出した行為は違法であり,これによって,被告は63万円の損害を受けた。 【原告の主張】C保育園で使用している園長用の机と椅子は,被告がH書店の在庫から購 入したものである。「K」の領収書を使用したのは,I社の商品と区別するためである。 (3) L社に関する会計処理【被告の主張】原告は,L社に対し,架空請求書である前記前提事実(4)記載の本件請求書①,②の作成を作成させて,被告名義のe銀行a支店当座預金口座から,同各請求書記載の金額の小切手を振り出し,本件小切手①(76万5 告は,L社に対し,架空請求書である前記前提事実(4)記載の本件請求書①,②の作成を作成させて,被告名義のe銀行a支店当座預金口座から,同各請求書記載の金額の小切手を振り出し,本件小切手①(76万5114円)及び本件小切手②(46万1561円)を不法に領得した。 なお,本件小切手③(170万8439円)は,被告が購入した液晶テレビ,掃除機及び洗濯機の代金169万7440円の支払に充てられた。 【原告の主張】本件請求書①及び②記載のパッケージエアコンは,実際に購入している。 なお,本件小切手①は,本件請求書②に係る代金217万円の減額分相当額であり,平成19年6月27日,原告名義のe銀行a支店普通預金口座で現金化された。原告は,同年7月3日,同口座から50万円を引き出したうえ,原告名義のf銀行a支店当座預金口座に入金し,これを同月9日のhへの48万5289円の支払(B保育園竣工式のために購入した園児への贈り物やビール・酒・焼酎の支払)に充てた。 (4) O社との取引【被告の主張】ア原告は,前記前提事実(5)イの原告の被告に対する贈与金及び貸付金を得る違法な目的で,O社との間で本件割賦販売契約①を締結した。原告は,平成18年9月25日,O社が入金した1433万9777円を本件建設会計口座に入金したが,これは,贈与金として入金されたにすぎないから,本件割賦販売契約①に関する被告の損害は,同契約に基づく返済額の全額である1581万3000円である。 イ原告は,前記前提事実(5)イの原告の被告に対する贈与金及び貸付金を得る違法な目的で,O社との間で本件割賦販売契約②を締結した。 原告は,平成19年5月25日,O社が入金した2124万8533円のうち1474万584 (5)イの原告の被告に対する贈与金及び貸付金を得る違法な目的で,O社との間で本件割賦販売契約②を締結した。 原告は,平成19年5月25日,O社が入金した2124万8533円のうち1474万5845円を本件建設会計口座に入金したが,これは,上記の贈与金又は貸付金として入金されたにすぎないから,本件割賦販売契約②に関する被告の損害は,同契約に基づく返済額の全額である2557万8000円である。 ウ O社の上記入金額2124万8533円のうち387万5819円が,別紙17の1「購入品一覧表①」記載の商品の購入代金に充てられたことを認め(なお,被告は,同一覧表記載の液晶テレビの代金については,第20準備書面において,本件小切手③により支払われたことを理由として,自白を撤回した。),別紙17の2「購入品一覧表②」記載の商品の購入代金に充てられたことは否認する。 【原告の主張】ア原告は,①O社からの1回目の入金について,本来,H書店に振り込まれるべき金員が誤って被告名義の預金口座に振り込まれたと認識していたことや,②被告に多額の貸付けをしていたことから,被告から返済手続を受ける手間を省き,1 回目の入金のうち1000万円をPの預金口座に振り込み,同人に1000万円を返済するとともに,残金433万9777円を本件建設会計口座に入金した。 また,原告は,O社からの1回目の入金前にこの1000万円の担保として被告の預金口座に1000万円の定期預金をしており,その満期後の平成19年3月19日にこれを解約し,解約金1001万1046円を本件建設会計口座に入金しているから,被告に損害はない。 イ原告は,平成18年10月2日に651万2545円を,同月6日に348万7455円を本件建設会計口座に振込入金したが,これは,i を本件建設会計口座に入金しているから,被告に損害はない。 イ原告は,平成18年10月2日に651万2545円を,同月6日に348万7455円を本件建設会計口座に振込入金したが,これは,i銀行 j支店から自己資金で行ったものであり,このうち600万円が原告から被告に対する贈与金である。そして,平成18年7月15日締結の原告被告間の2595万円の贈与契約は,平成18年12月22日開催の理事会において,贈与金額を600万円に減額変更する議決がなされている。したがって,原告が贈与契約の履行のために本件割賦販売契約①,②を締結したということはない。 ウ O社の振込額2124万8533円と本件建設会計口座への入金額1474万5845円との差額650万2688円については,原告は,別紙17の1「購入品一覧表①」及び同2「購入品一覧表②」のとおり,被告のためにこれを超える金額(合計1053万2534円)の物品を購入している。さらに,原告は,平成19年5月8日,本件建設会計口座に215万1387円を入金した。 (5) 私的契約保育料【被告の主張】被告が,A保育園において,平成15年度から同20年度までの間,保育した私的契約児及びその保育料は,別紙5の1「私的契約保育料一覧表(被告主張)」記載のとおりである。 原告は,A保育園の施設会計に計上されるべき私的契約保育料を不法に領得し,その領得額(被告の損害額)は,別紙5の1「私的契約保育料一覧表(被告主張)」の年金額欄記載のとおり,合計2394万9000円である。 【原告の主張】私的契約児の人数及び保育料の主張は否認する。kらは,一時保育児であり,私的契約児ではない。4歳児と5歳児の私的契約保育料は,月額2万5000円であった。 。 【原告の主張】私的契約児の人数及び保育料の主張は否認する。kらは,一時保育児であり,私的契約児ではない。4歳児と5歳児の私的契約保育料は,月額2万5000円であった。 原告は,保護者から現金で受領した私的契約保育料を,理事長室の机の引出しの中に,H書店の利益と一緒に保管し,被告に対し寄付という形で全額 納金していた。 (6) Qの賃金【被告の主張】原告は,A保育園の事務員に指示をして,前記前提事実(8)のとおり,同保育園において就労していないQに対する給与及び賞与として,平成16年4月から同20年11月まで,同保育園の施設会計から合計294万円を出金させて,原告に交付させ,これを不法に領得した。 【原告の主張】Qは,平成16年4月から,A保育園の防犯担当として,週4日(火曜・木曜・土曜・日曜),月額5万円の賃金で勤務していた。 (7) D保育園への出張に関する出張費【被告の主張】原告は,前記前提事実(9)のとおりEへ出張し,被告からその都度7万円の出張費を得ていたが,これは,Eの職員に対する賃金の支払やD保育園の業務を行うための出張であるから,正当な出張とはいえない。よって,その出張費の全額である602万円が損害である。 【原告の主張】本件各保育園とD保育園は,相互の幼児教育のため交流を持つようにしており,原告のD保育園への出張は,被告において許可された(甲32)正当な業務であり,出張費の受領は正当である。 (8) D保育園への出張期間に相当する賃金【被告の主張】原告は,平成11年4月以降,年間13回,各回1週間程度,D保育園へ出張して同保育園の業務を行い,この間,A保育園を欠 (8) D保育園への出張期間に相当する賃金【被告の主張】原告は,平成11年4月以降,年間13回,各回1週間程度,D保育園へ出張して同保育園の業務を行い,この間,A保育園を欠勤していたにもかかわらず,被告から賃金の全額を支給されていた。原告のこの欠勤に対応する賃金額は,平成18年度及び同19年度だけで,別紙8「D保育園の業務に 伴う欠勤表」記載のとおり,270万1365円であり,被告はこれと同額の損害を被った。 【原告の主張】原告のD保育園への出張は,被告の正当な業務であり,欠勤ではない。また,原告は,D保育園には土日祝日や夏期休暇など被告に出勤する必要のない日に行っていた。 (9) 本件800万円の受領【被告の主張】原告は,前記前提事実(10)のとおり,本件800万円を不法に領得した。 【原告の主張】本件800万円うち600万円は,平成14年10月1日付け消費貸借契約(借入額800万円)の弁済であり,うち200万円は,平成18年7月21日付け消費貸借契約(借入額570万5000円)の弁済である。 (10) 経費流用【被告の主張】ア原告は,平成15年度から同20年度まで,本部会計,本件各保育園の施設会計において,別紙9ないし11の各1及び別紙12「経費流用一覧表(被告主張)」記載のとおり,運営費の私的流用を行っていた。経費の名目は,携帯電話代,ガソリン代,タクシー代,飲食代,交通費等とされているが,いずれも私的に流用されたものである。それらの損害額の合計は1235万7015円である。 イ上記一覧表記載の携帯電話代は,原告及びFが使用していた被告名義で契約していた携帯電話の料金である。原告及びFは,私用の たものである。それらの損害額の合計は1235万7015円である。 イ上記一覧表記載の携帯電話代は,原告及びFが使用していた被告名義で契約していた携帯電話の料金である。原告及びFは,私用の携帯電話を保有しておらず,携帯電話を業務に使用したか否か不明であるから,損害として計上した。 ウ原告は,平成20年5月頃まで原告名義のm車を,同月以降はn車を使 用し,Fは,同年4月頃まで被告名義のo車を,同月以降はp車を使用していたが,上記一覧表記載のガソリン代は,上記車両で使用されたものである(なお,Fが自宅で使用する灯油代もこれに含まれている。)。本件各保育園で乗用車を使用することはなく,両名とも通勤や私的に上記車両を使用していたものである。そして,両名とも,被告から通勤手当を支給されていたから,上記ガソリン代は,被告が負担すべき経費ではない。 エ本件各保育園でタクシーを利用することは滅多にない。上記別紙記載のタクシーチケット代は,いずれも利用目的が明らかでない。 オ上記一覧表記載の飲食代は,職員の歓送迎会及び忘年会の費用,会議で提供された軽食費,取引業者との会食費を除いたものであり,原告個人が利用した際に支出されたものであり,被告が負担すべき経費ではない。 カ被告が被告の理事,監事に対して中元や歳暮を贈ったり,謝礼金を払ったりする必要はなく,これらに要した費用は,被告が負担すべき経費ではない。 キ特定の政治家や政党の後援会費,a青年会議所会費,Sクラブ年会費,見舞金,T金一封は,被告の業務とは関係がなく,被告が負担すべき経費ではない。 ク平成17年12月16日に本部会計から出金された400万円は,原告に対する貸金の返還とされているが,これに対応する消費貸借契 は,被告の業務とは関係がなく,被告が負担すべき経費ではない。 ク平成17年12月16日に本部会計から出金された400万円は,原告に対する貸金の返還とされているが,これに対応する消費貸借契約の存在が明らかでない。 ケ平成19年7月25日にA保育園会計から出金された6万7500円は,原告名義の車両の自動車税であり,被告が負担すべき経費ではない。 コ C保育園にはレギュラーコーヒーを作る器具がなく,同保育園の会計から支出されたコーヒー豆代は,被告が負担すべき経費ではない。 【原告の主張】ア携帯電話代は,被告が契約した携帯電話の料金であり,被告の経費であ る。原告は,私的に携帯電話を使う用事はほぼなく,その大部分が業務のために使用した電話代である。 イガソリン代は,原告所有の車1台及び被告所有のo車に給油したものであり,ほぼ業務にしか使用しておらず,被告の経費である。原告は,ほぼ毎日,A保育園以外の保育園にも行っており,被告の用事で市役所や府庁へ行くにも車を使用していた。また,急病の園児を病院へ連れて行ったり,保育園の買い出しに行ったりする際も車を利用していた。 ウタクシー代は,職員の歓送迎会の帰宅や体調が悪い園児の病院への送迎に用いたほか,虐待親から園児を施設に隔離する際に用いたものである。 エ A保育園の平成19年11月2日,同月22日,同年12月21日の各交通費は,アルバイト職員の交通費である。 オコーヒー代及び飲食費は,他の理事との話し合い,業者との打ち合わせ,職員会議,発表会後の慰労会,研修旅行,バザーの際に支払ったものである。別紙12「経費流用一覧表(被告主張)」の平成20年10月14日のコーヒー豆代の支出は否認する。 カ交際費は 合わせ,職員会議,発表会後の慰労会,研修旅行,バザーの際に支払ったものである。別紙12「経費流用一覧表(被告主張)」の平成20年10月14日のコーヒー豆代の支出は否認する。 カ交際費は,理事・監事への中元・歳暮等の費用である。 キ政治関係の会費は,大阪府の監査において,小口であれば可とされていた。a青年会議所は,他の保育園関係者も多く参加しており,同会議所への参加は,円滑な保育園運営のために必要である。 ク平成17年12月16日に本部会計から出金された400万円は,原告が被告に貸し付けていた短期運営資金借入金の返済を受けた金額である。 ケ平成19年6月21日にB保育園の竣工式の際に贈呈した120万円は,勤続30年以上の理事4名への謝礼金であり,事前に大阪府の許可も得ている。 コ平成19年9月11日の見舞金は,理事が入院した際の見舞金である。 サ Sクラブ年会費は,職員の福利厚生のために入会したSクラブの年会費 である。被告は,職員の研修旅行の際にSクラブのホテルを利用していた。 (11) 本件賃貸借契約【被告の主張】本件賃貸借契約は,原告が被告の代表者として原告の子との間で締結したものであるから,利益相反取引である。よって,原告は,無権限で本件賃貸借契約を締結したものである。なお,本件居室に入居していた被告の従業員は,いずれも新卒職員ではなく,被告の就業規則上,被告が家賃補助を行う義務はなかった。 本件賃貸借契約による損害は,別紙13「賃料一覧表」記載のとおり,賃料及び管理費と職員が社宅費として被告に支払った額との差額であり,その合計額は,337万1800円である。 【原告の主張】使用者が就業規則を超える住宅手当を従 表」記載のとおり,賃料及び管理費と職員が社宅費として被告に支払った額との差額であり,その合計額は,337万1800円である。 【原告の主張】使用者が就業規則を超える住宅手当を従業員に支給したとしても,それが合理的な範囲内の支給である限り,違法ではない。 (12) 本件生命保険契約【被告の主張】前記前提事実(12)のとおり,原告は,本件生命保険契約を締結し,合計1096万5234円の保険料を被告に支出させたものであるが,これは,運営費として支出することが許されないものである。これによって被告が被った損害は,上記払込保険料と解約返戻金の差額である457万3904円である。 【原告の主張】原告は,N協議会から,「生命保険料は経費で支払うことができる」旨言われたため,本件生命保険契約を締結した。 (13) 本件民改費適用加算停止決定【被告の主張】 被告は,前提事実(17)ウのとおり,原告が本件平成12年通達によって定められた使途範囲を超えて支出を行ったために,大阪府から,平成21年4月から同22年3月まで,本件各保育園に対する民間施設給与等改善費の適用加算を停止する決定を受け,その結果,2016万4340円(本件各保育園が平成20年度に受けた適用加算額の合計額)の損害を被った。 【原告の主張】民改費は,恩恵的に与えられる補助金であり,市町村に対する請求権はないから,その加算停止を受けたからといって,原告に損害賠償請求することはできない。原告は,被告の運営費を私的に利得する行為を行っておらず,被告が本件民改費適用加算停止決定を受けるいわれはなかったから,原告に損害賠償義務はない。 (14) 所長未設置単価適用による運営費委 。原告は,被告の運営費を私的に利得する行為を行っておらず,被告が本件民改費適用加算停止決定を受けるいわれはなかったから,原告に損害賠償義務はない。 (14) 所長未設置単価適用による運営費委託料の精算【被告の主張】原告は,前記前提事実(18)イのとおり,平成20年4月から同年11月まで,D保育園の事務長に就任したことにより,被告に,a市に対する保育所運営費保育単価を所長未設置単価適用としたことによる精算金484万3020円の支払義務を負わせ,被告は,これと同額の損害を被った。 【原告の主張】原告は,Eに支給された平成20年4月分から同年10月分までの給料は返還しており(甲33),被告は,施設長設置単価金を返済する義務はなかったから,原告にこれを請求することはできない。 (15) 本件出勤停止期間中の賃金【被告の主張】原告は,平成21年2月からD保育園の園長代理に就任し,被告に労務を提供する意思を有しなかったものであるから,被告が原告のために同月以降に支払った賃金並びに納付した住民税及び共済掛金の合計446万4610 円は,詐欺による損害又は不当利得となる。 【原告の主張】原告の出勤停止は,被告によって命じられたものであり,使用者の責めに帰する休業にあたるから,賃金の返還義務はない。 (16) 弁護士費用【被告の主張】被告は,原告に対し,上記不法行為に基づく損害賠償請求に関する弁護士費用として,1400万円を請求する。 【原告の主張】争う。 3 第1事件の争点及び争点に対する当事者の主張原告と被告が,昭和52年1月8日から平成21年10月2日までの間,労働契約関係にあったことについ 【原告の主張】争う。 3 第1事件の争点及び争点に対する当事者の主張原告と被告が,昭和52年1月8日から平成21年10月2日までの間,労働契約関係にあったことについては,当事者間に争いはなく,第1事件の争点は,本件懲戒解雇の効力である。 【被告の主張】原告は,前記前提事実(16)の告発事実に加えて,前記2の(1)ないし(15)の【被告の主張】欄記載のとおり,被告から不正な利益を得て,被告に莫大な損害を与えており,これらの行為は,事業経営の透明性が求められる保育園の園長としての適性がないことを示しており,本件懲戒解雇は,社会通念上相当である。 【原告の主張】原告は,これまで何ら懲戒解雇に相当するようなことは行っていないから,本件懲戒解雇は,その権利を濫用したものとして無効である。原告の約30年にわたる園長業務について,何ら解雇理由はない。 第3 当裁判所の判断 1 第2事件について (1) H書店との取引ア I社の商品に関する取引(ア) 前記前提事実(2)イのとおり,原告は,被告の代表者として,本件各保育園の備品をI社からH書店を経由して継続的に購入していたが,このような取引は,自己が実質的に経営するH書店を介して利ざやを得ている点で,被告(法人)と原告(理事)との利益が相反するものといえる。社会福祉法人と理事との利益が相反する事項については,理事は代表権を有せず,この場合においては,所轄庁から特別代理人の選任を受ける方法(社会福祉法39条の4)又は理事会において選任する他の理事が理事長の職務を代行する方法(被告の定款10条2項。丙2)のいずれかによって行わなければならない。したがって,原告が,被告の代表者としてH書店と売買取引をし 4)又は理事会において選任する他の理事が理事長の職務を代行する方法(被告の定款10条2項。丙2)のいずれかによって行わなければならない。したがって,原告が,被告の代表者としてH書店と売買取引をした行為は,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたる。 そして,証拠(証人V)によれば,被告は,I社からH書店に対する販売価格と同額で商品を購入することができたことが認められるから,被告は,上記取引により,別紙2の1ないし7の「I社と『H書店』差額」欄記載の金額と同額の損害を被ったといえるのであり,その金額は,別紙1「損害額一覧表」の認容額(不法行為・債務不履行)欄記載のとおりである。 (イ) これに対し,原告は,被告がI社から卸価格で商品を購入することはできず,H書店を通して購入するほかなかった旨主張する。しかしながら,I社の代表者であるVは,証人尋問において,「一定規模の取引の注文があれば,名義に関係なく卸価格で販売しており,現に幼稚園に販売している実績もあり,被告に対しても卸価格で販売することができ た」旨証言していることから,原告の上記主張を採用することはできない。 イ H書店の在庫商品等に関する取引(ア) 原告は,H書店が被告に対し在庫商品やI社以外からの仕入商品を販売していたと主張するところ,前記ア(ア)のとおり,原告が被告とH書店間の売買取引をした行為は,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたる。 そして, 理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたる。 そして,①別紙3の2ないし6記載のH書店名義の領収証の摘要欄には,事務用品,体育用品,保育材料などと抽象的な品名しか記載されていないものが多く,被告の総勘定元帳にも,支出項目として抽象的な品名しか記載されていないこと,②H書店は,店舗を閉鎖した平成8年以降,在庫商品を管理する帳簿を作成していなかったことから,別紙3の1ないし6記載の各出金金額に見合った商品がH書店から本件各保育園へ引き渡されていたか否かについては,必ずしも明らかではない。他方,証拠(甲15,原告本人)によれば,原告の自宅の地下室には平成8年以降,H書店の在庫商品が相当数存在したことが認められるから,直ちに別紙3の1ないし6記載の取引に関しH書店から本件各保育園に対し交換価値のある商品が全く引き渡されたことがなかったとまではいえない。そうすると,別紙3の1ないし6の各出金金額欄記載の全額が不法行為に基づく損害であるとはいえない。 しかし,原告は,上記取引当時,被告の理事長として委任契約上の報告義務(民法645条)を負っていたのであるから,自ら受任者として委任事務処理のために委任者の財産を処分したときは,その処分の正当性を主張立証しない限り,処分した財産の全額について損害賠償責任を 負うと解するのが相当である。したがって,原告は,別紙3の1ないし6記載の各出金金額に見合った商品がH書店から本件各保育園へ引き渡されたことを主張立証していないから,委任契約上の債務不履行に基づき,別紙3の1ないし6の各出金金額欄記載の全額について損害賠償責任を負わなければならないのであり, がH書店から本件各保育園へ引き渡されたことを主張立証していないから,委任契約上の債務不履行に基づき,別紙3の1ないし6の各出金金額欄記載の全額について損害賠償責任を負わなければならないのであり,その金額は,別紙1「損害額一覧表」の認容額(債務不履行)欄記載のとおりである。 (イ) これに対し,原告は,被告がH書店の取引先が交付した納品書類を所持しているにもかかわらず,H書店を通してI社以外の業者から購入した事実の主張立証責任を原告に負わせるのは妥当ではない旨主張する。 しかしながら,そもそも被告にはH書店の取引記録を管理する義務はなく,また,被告が,本件に提出されている書証以外にH書店の取引先の納品書類を所持していることを認めるに足りる証拠もない。よって,原告の上記主張を採用することはできない。 ウ食器類の転売前記前提事実(2)エのとおり,原告は,J社から購入した食器類をH書店を通して被告に転売して56万6100円(=134万1000円-77万4900円)の利ざやを得たものであるが,前記ア(ア)のとおり,原告が被告とH書店間の売買取引をした行為は,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたるといえ,上記利ざやが損害となる。 エコサージュ代証拠(丙36,丙37の1ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,①被告が,平成14年3月20日頃,A保育園の運営費で,11万8400円相当の園児・職員コサージュを購入したこと,②A保育園父母の会が,平成13年度以降の毎年3月,卒園児に贈呈するためにコサージュを1個3 50円で購入していたこと,③原告が,H書店の領収証を発行して,同父 ージュを購入したこと,②A保育園父母の会が,平成13年度以降の毎年3月,卒園児に贈呈するためにコサージュを1個3 50円で購入していたこと,③原告が,H書店の領収証を発行して,同父母の会から別紙4「コサージュ代一覧表」記載の合計金額欄記載の金額(合計3万5350円)を受領し,A保育園の会計に入金しなかったことが認められる。 ところで,原告は,被告が平成14年3月20日に購入したコサージュと平成13年度以降に卒園児に贈呈したコサージュとは異なる旨主張するところ,この両者が同一であることを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,上記①ないし③の事実から,直ちに原告が被告からコサージュを領得したとは認められないから,コサージュ代に関する被告の主張は採用することはできない。 オ原告が,被告に対し,H書店が得た差額と私的契約保育料とを併せて返還していると主張している点については,後記(5)エにおいて判断する。 (2) Kに関する会計処理ア前記前提事実(3)によれば,原告は,C保育園の園長用の机といすを「K」から購入した事実がないにもかかわらず,Kの作成名義を偽って,本件領収書を偽造したうえ,あたかも同店から上記机といすを63万円で購入したようにみせかけて,被告のC保育園の施設会計から63万円を領得したことが認められる。 よって,原告は,被告に対し,不法行為(業務上横領)又は理事の善管注意義務違反に基づき,損害賠償として63万円を支払う義務があるといわなければならない。 イこれに対し,原告は,上記机といすは,H書店から被告へ販売したものであると主張する。しかしながら,前記(1)ア(ア)のとおり,原告が被告とH書店間の売買取引をする行為は有効なものといえないから,原告の上記主張は,上記ア 記机といすは,H書店から被告へ販売したものであると主張する。しかしながら,前記(1)ア(ア)のとおり,原告が被告とH書店間の売買取引をする行為は有効なものといえないから,原告の上記主張は,上記アの判断を左右するものではない。 (3) L社に関する会計処理 ア証拠(丙88)によれば,原告は,本件建替工事を行っていた平成19年頃,L社の従業員であるWに対し,実際には購入しないパッケージエアコンの請求書及び領収証の作成を依頼して,前記前提事実(4)ア,イの請求書及び領収書の交付を受け,被告名義の当座預金口座から本件小切手①ないし③を振り出し,被告に対し同各小切手の振出金額と同額を支払わせたことが認められる。そうすると,原告は,内容虚偽の請求書及び領収証を用いて被告に支払をさせたものであるから,これは,不法行為(業務上横領又は背任)及び理事の善管注意義務違反にあたり,被告は,上記支払額と同額の損害を被ったといえる。ただし,被告は,L社から,本件小切手③の振出金額に相当する電化製品を受領しているとして,同小切手③による支払額を損害として主張していないから,本件小切手①(76万5114円)及び同②(46万1561円)による支払額(合計122万6675円)をもって損害として認める。 イこれに対し,原告は,本件請求書①及同②記載のパッケージエアコンを実際に購入している旨主張するものの,その存在は明らかではない。また,原告は,L社に対し,本件請求書②に係る217万円から本件小切手②に相当する額を減額させた旨主張するが,わざわざその減額分について,被告の当座預金から同額の小切手を振り出す理由は見出せないから,その主張自体不合理である。したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 (4) わざわざその減額分について,被告の当座預金から同額の小切手を振り出す理由は見出せないから,その主張自体不合理である。したがって,原告の上記各主張は,いずれも採用することができない。 (4) O社との取引ア本件割賦販売契約①(ア) O社が平成18年9月25日に「社会福祉法人YA保育園」名義の預金口座に振込入金した1433万9777円は,被告を売主とする本件売買契約①に基づくものであるから,被告の預金債権である。 しかし,前記前提事実(6)ア(イ)のとおり,原告は,振込入金された日 に直ちに上記口座から1433万9777円を引き出したうえ,うち433万9777円を本件建設会計口座に入金し,その余の1000万円を原告のPに対する同額の借入金の返済に充てた。そして,原告がM機構理事長に提出した本件事業完成報告書によれば,上記の433万9777円は,原告の被告に対する贈与金であると認められる。そうすると,原告は,O社から1回目の融資金を入金されるや否や,直ちにその全額を自己のために費消したものといえるから,当初から自己のために本件割賦販売契約①を締結し,被告に債務を負わせたものというほかない。 なお,原告は,上記の433万9777円は,贈与金ではなく貸付金であると主張するが,自己のために費消した点では変わりがないから,上記結論を左右するものではない。したがって,原告の上記契約を締結した行為は,不法行為(背任)及び理事の善管注意義務違反にあたる。 被告が原告の上記行為によって被った損害は,本件割賦販売契約①に基づき負担した代金債務の全額であり,その額は,1581万3000円である。 (イ) これに対し,原告は,①O社からの1回目の入金について,本来,H書店に振り込まれるべき は,本件割賦販売契約①に基づき負担した代金債務の全額であり,その額は,1581万3000円である。 (イ) これに対し,原告は,①O社からの1回目の入金について,本来,H書店に振り込まれるべき金員が誤って被告名義の預金口座に振り込まれたと認識していたと主張する一方,②被告に多額の貸付けをしていたことから,被告から返済手続を受ける手間を省き,1 回目の入金のうち1000万円を自己のPに対する債務の弁済に充てたと主張する。しかし,上記①は,O社からの1回目の入金が原告の預金であるという主張であるのに対し,上記②は,同入金が被告の預金であることを前提とする主張であり,相互に矛盾した主張である。 さらに,証拠(丙16)によれば,本件割賦販売契約①の契約書には,H書店に関する記載は一切ないことが認められるから,H書店を本件割賦販売契約①の契約主体と認識する余地はない(なお,仮に原告の主張 のとおりであるとしても,本件割賦販売契約②と同様に考えることになるから,後記イのとおり,原告は債務不履行責任や不法行為責任を免れるわけではない。)。 また,原告は,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,平成19年3月19日,本件建設会計口座に1001万1046円を入金しているが,これは,本件事業完成報告書(丙18の2)によれば,原告から被告に対する貸付金であると認められるから,これをもって損害の填補とみることもできない。 よって,本件割賦販売契約①に関する原告の主張は,いずれも採用することができない。 イ本件割賦販売契約②(ア) O社がH書店名義のc信用金庫d支店普通預金口座に振込入金した2124万8533円は,H書店(原告)を売主とする本件売買契約②に基づいて支払われたものであるから,H書店(原告)の預 (ア) O社がH書店名義のc信用金庫d支店普通預金口座に振込入金した2124万8533円は,H書店(原告)を売主とする本件売買契約②に基づいて支払われたものであるから,H書店(原告)の預金債権である。しかしながら,証拠(原告本人)によれば,本件売買契約②の締結は,融資の便法としてなされたにすぎず,売買の実質を有しなかったことが認められるうえ,上記振込入金は,被告が本件割賦販売契約②に基づく代金債務を負担したことによるものであるから,本件売買契約②と本件割賦販売契約②は不可分の関係にあり,両契約を全体としてみれば,原告が被告の代表者として本件割賦販売契約②を締結した行為は,原告と被告との利益相反取引にあたるといえる。そして,前記(1)ア(ア)のとおり,原告がこのような取引をした行為は,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたる。 被告が原告の上記行為によって被った損害は,本件割賦販売契約②に 基づき負担した代金債務の全額であり,その額は2557万8000円である。ただし,①前記前提事実(6)イ(イ)のとおり,原告は,H書店名義の上記預金口座から1474万5845円を引き出して,これを本件建設会計口座に入金し,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,本件建替工事に費消したものであり,また,②H書店名義の上記預金口座から387万5819円を引き出して,別紙17の1「購入品一覧表①」記載のとおり,本件各保育園の備品を購入したことは,当事者間に争いがないから,上記損害額のうち1474万5845円と387万5819円の合計額である1862万1664円が填補されたものといえる。 した 載のとおり,本件各保育園の備品を購入したことは,当事者間に争いがないから,上記損害額のうち1474万5845円と387万5819円の合計額である1862万1664円が填補されたものといえる。 したがって,これを損害額から控除するのが相当であるから,被告の損害額は,695万6336円となる。 なお,被告は,別紙17の1「購入品一覧表①」記載の商品のうち,液晶テレビ(151万2000円)の購入について自白を撤回したが,この自白内容が真実に反することを認めるに足りる証拠はないから,自白の撤回を認めることはできない。 (イ) 被告は,原告が前記前提事実(5)イの原告の被告に対する贈与金及び貸付金を得る違法な目的でO社との間で本件割賦販売契約②を締結した旨主張する。しかしながら,前記前提事実(5)エのとおり,本件事業完成報告書によれば,(a)本件建替工事に関する原告から被告への贈与額は2595万円とされていたところ,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,平成18年9月25日から同年10月6日までの間に原告から本件建設会計口座に4回に分けて2595万円が入金されており,また,(b)同工事に関する原告から被告への貸付額は1200万円とされていたところ,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,平成19年3月19日及び同年5月8日に原告から本件建設会計口座に2回に分けて1200万0046円が入金されている。したがって,原告が同年5月2 5日に本件建設会計口座に入金した1474万5845円は,必ずしも本件建設工事に係る贈与や貸付のためになされたものとはいえず,他にこれを認めるに足りる証拠はないから,上記(ア)の認定のとおり,損害の填補と認めるのが相当である。 (ウ) 原告は,O社の振込額2124万8533 や貸付のためになされたものとはいえず,他にこれを認めるに足りる証拠はないから,上記(ア)の認定のとおり,損害の填補と認めるのが相当である。 (ウ) 原告は,O社の振込額2124万8533円のうち650万2688円については,被告のために別紙17の1「購入品一覧表①」及び同2「購入品一覧表②」の購入(総額1053万2534円)に充てた旨主張する。しかしながら,前記(2),(3)のとおり,原告が,内容虚偽の請求書や領収書を使用して不正な会計処理をしていたことに照らせば,別紙17の2「購入一覧表②」の物品購入の事実についても,同表の証拠番号欄記載の証拠(請求書,領収書,契約書)があるからといって,直ちにその取引の事実を認めることはできず,また,その代金の出所(特に650万2688円を超える部分の出所)についても明らかではないから,原告の上記主張を採用することはできない。 また,証拠(丙52)及び弁論の全趣旨によれば,別紙17の1「購入品一覧表①」のうち温湿度計は,原告がH書店の名義で株式会社多磨屋から55万円で購入したものであることが認められる。そして,前記(1)ア(ア)の判示のとおり,原告が行ったH書店と被告間の売買契約は有効なものとはいえないから,原告がH書店を通して被告に対し上記温湿度計を100万円で売却したとしても,これは有効とはいえない。したがって,上記温湿度計の納入をもって,55万円分を超える損害の填補とみることはできない。 (5) 私的契約保育料ア証拠(甲11の1,2,丙19の1,丙33の1ないし4,証人U,原告本人)によれば,①被告は,平成15年度から同20年度まで,A保育園において,別紙5の2「私的契約保育料(裁判所認定)」記載のとおり, 私的契約児の保育を行い,その保護者から私的契 告本人)によれば,①被告は,平成15年度から同20年度まで,A保育園において,別紙5の2「私的契約保育料(裁判所認定)」記載のとおり, 私的契約児の保育を行い,その保護者から私的契約保育料として総額2176万9000円を受領したこと,②原告は,A保育園の事務員から,上記私的契約保育料を受領したこと,③原告は,平成19年4月24日から同20年10月24日までの間に,被告名義のe銀行a支店普通預金口座(本部会計用)におおむね毎月30万円の割合で合計604万円を入金したことが認められる。 そして,私的契約児が受入れの要件を満たさない場合であったとしても,直ちに被告と保護者との間の契約が私法上無効となるものではないから,原告は,上記私的契約保育料の全額を被告の会計に入れなければならなかったといえる。しかるに,原告は,そのうち少なくとも1572万9000円(=2176万9000円-604万円)を着服したものといえるから,被告に対し,不法行為(業務上横領)又は債務不履行(受取物の引渡義務違反)に基づき,これと同額の損害賠償義務を負う。 イ原告は,kらについて,一時保育児であり,私的契約児ではないと主張するところ,この主張を否定するに足りる証拠はないから,これらの児童に係る損害の主張は認められない。 ウ被告は,上記アの原告が入金した604万円について,O社に対する返済原資として,原告から被告に対し贈与されたものであると主張する。しかしながら,前記前提事実(5)エのとおり,本件事業完成報告書によれば,本件建替工事に関する原告から被告への贈与は2595万円とされていたところ,原告は,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,平成18年9月25日から同年10月6日までの間に本件建設会計口座に4回に分けて2595万 する原告から被告への贈与は2595万円とされていたところ,原告は,別紙15「建設会計出納表」記載のとおり,平成18年9月25日から同年10月6日までの間に本件建設会計口座に4回に分けて2595万円を入金していることから,上記604万円をもって,原告から被告に対する贈与金と解することはできない。 エ原告は,被告に対し,H書店が得た差額と私的契約保育料とを併せて,別紙16「返金額一覧表(原告主張)」記載のとおり3594万1387円 を入金(返金)したと主張する。 しかしながら,別紙16「返金額一覧表(原告主張)」記載の入金のうち,平成15年4月25日の合計300万円の入金の中に,平成15年4月分の私的契約保育料(合計31万6000円)が含まれていることを認めるに足りる証拠はなく,同年2月27日以前の入金が,平成18年以降にH書店が得た差額や平成15年4月以降に得られた私的契約保育料の先払いであるとは考えられない。 そして,前記前提事実(5)エのとおり,本件事業完成報告書によれば,本件建設会計口座に平成18年10月2日に入金された651万2545円及び同月6日に入金された348万7445円は,いずれも原告から被告に対する贈与金であると認められる。この点について,原告は,平成18年7月15日締結の原告被告間の2595万円の贈与契約は,平成18年12月22日開催の理事会において,贈与金額を600万円に減額変更する議決がなされていると主張する。しかしながら,原告が平成19年6月28日にM機構理事長に提出した本件事業完成報告書には,原告の被告に対する贈与金は2595万円とされているうえ,原告被告間で贈与金額を600万円に減額変更する旨の契約書が存在することはうかがえないから,上記理事会の決議によって,原告被告 成報告書には,原告の被告に対する贈与金は2595万円とされているうえ,原告被告間で贈与金額を600万円に減額変更する旨の契約書が存在することはうかがえないから,上記理事会の決議によって,原告被告間の贈与契約が確定的に変更されたとはいえない。 また,本件事業完成報告書によれば,本件建設会計口座に平成19年5月8日に入金された215万1387円は,そのうち198万9000円が原告の被告に対する貸付金,16万2387円が被告の自己資金であると認められる。 よって,別紙16の「返金額一覧表(原告主張)」記載の各入金のうち,平成19年4月24日から同20年10月24日までの入金合計604万円を除くその余は,いずれも前記1のH書店との取引及び私的契約利用料 に関する損害の填補とみることはできない。なお,上記604万円は,その全額を私的契約利用料に関する損害の填補とみなして計算することとする。 (6) Qの賃金前記前提事実(8),証拠(証人U)及び弁論の全趣旨によれば,①A保育園の事務員は,平成16年4月から同20年11月まで,原告の指示に基づき,Qに対する給与の名目として毎月5万円を,賞与の名目として1回1万円から3万円をA保育園施設会計の預金口座から出金していたこと,②同事務員は,上記①の出金した現金を,原告の指示に従って,原告自身又は同保育園に保険料の集金に来た郵便局員に手渡していたことが認められる。 原告は,Qの就労の事実を立証するための証拠として,同人名義の平成21年3月31日付けの294万円の領収書を書証(甲31)として提出するところ,同領収書には,「平成16年4月~平成20年11月迄の間の警備報酬(給料)として月額5万円を毎月受け取りました。」,「私は平成16年4月1日より平成20年11月迄の間,YのA として提出するところ,同領収書には,「平成16年4月~平成20年11月迄の間の警備報酬(給料)として月額5万円を毎月受け取りました。」,「私は平成16年4月1日より平成20年11月迄の間,YのA保育園の警備員として,毎週,火,木,土,日,夜6時から10時迄の間にA保育園の回りを3回~4回,回る事に対する報酬でした。」と記載されている。しかしながら,上記就労の事実を裏付ける労働契約書,出勤簿,業務日誌等の証拠は提出されておらず,原告とQとが叔父と甥の関係にあることに加えて,A保育園の事務員であるUが,①Qの給与名目で出勤した現金を保険料の集金に来た郵便局員に手渡していた旨及び②QがA保育園で働いているところを見たことがない旨を証言していることに照らせば,上記領収書の内容は虚偽であり,QのA保育園における就労の事実はなかったと認めるのが相当である。 そうすると,原告は,Qの賃金名目で総額294万円を着服したものといえるから,被告に対し,不法行為(業務上横領)又は理事の善管注意義務違反に基づき,これと同額の損害賠償義務を負う。 (7) D保育園への出張に関する出張費ア前記前提事実(9)のとおり,原告は,平成13年4月から同20年3月まで,月1回(ただし,同16年8月及び同17年9月は月2回),Eへ出張し,被告からその都度7万円の出張費を得ていたものである。そして,証拠(原告本人)によれば,その出張の目的は,D保育園の職員に対する給与の支払であったことが認められる。したがって,このような出張は,被告の理事長の業務とはいえず,そのための出張費は,適正な支出とはいえない。 そうすると,原告による上記支出行為は,理事の善管注意義務違反にあたり,また,自己又は他人(E)の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に えず,そのための出張費は,適正な支出とはいえない。 そうすると,原告による上記支出行為は,理事の善管注意義務違反にあたり,また,自己又は他人(E)の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたるといえる。 イこれに対し,原告は,相互の幼児教育のため交流を持つようにしており,原告のD保育園への出張は,被告において許可された正当な業務であると主張して,これを許可する旨の平成11年3月1日付け許可証を書証(甲32)として提出する。しかしながら,同許可証は,原告及びFが作成者であり,利害関係者が作成したにすぎないものであるから,有効な許可証とはいえない。さらに,原告が毎月D保育園に出張することは,D保育園の運営に資するところはあるとしても,本件各保育園の運営に必要な行為であるとは認められないから,その出張費を被告が支出することは適当とはいえない。 ウよって,原告は,被告に対し,不法行為又は債務不履行に基づき,別紙7「出張費一覧表」記載の出張費合計602万円の損害賠償義務を負う。 (8) D保育園への出張期間中の賃金前記(7)アに判示したとおり,原告のD保育園への出張は,被告の正当な業務とは認められない。そこで,被告は,原告が,別紙8「出張中の賃金一覧表」の「出張日(欠勤日)」欄記載の日数について欠勤控除することができ ると主張する。しかしながら,原告が,本人尋問において,「D保育園へは月1回,土曜・日曜を挟んで3日ぐらい行った」旨述べていることや年次有給休暇もあることに照らせば,直ちに原告がD保育園へ出張していた日の全てがA保育園の勤務日(就労義務がある日)であるとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,D保育園への出張中の賃金の支 照らせば,直ちに原告がD保育園へ出張していた日の全てがA保育園の勤務日(就労義務がある日)であるとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,D保育園への出張中の賃金の支払に関する被告の不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求は,いずれも理由がないというべきである。 (9) 本件800万円の受領ア原告は,本件800万円うち600万円は,平成14年10月1日付け消費貸借契約(借入額800万円)の弁済であり,うち200万円は,平成18年7月21日付け消費貸借契約(借入額570万5000円)の弁済であると主張し,両契約の契約書を書証(甲16の1ないし甲17の3)として提出する。 しかしながら,被告の平成17年度(同年4月1日から翌年3月31日まで)決算報告書中の借入金明細表(丙40の3)には,原告からの借入金の期末残高が37万3627円と記載されていることが認められるから,平成14年10月1日付け消費貸借契約の残債務が本件800万円を受領した同21年1月29日時点で600万円も存在したとは認められない。 また,被告の平成18年度決算報告書中の借入金明細表(丙40の4)には,原告からの当期借入額として833万9777円のみが記載されていることが認められるところ,これについては,原告が,同年9月25日に本件建設会計口座に入金した433万9777円と同年10月6日に入金した1000万円の一部であると主張していることに照らせば,平成18年7月21日付け消費貸借契約の借入れは被告の決算書に記載されていないこととなるから,上記借入金明細表は,この借入れが実行されていな いことを推認させるものであり,他にこの借入れが実行されたことを認めるに足りる証拠もない。 したがっ 記載されていないこととなるから,上記借入金明細表は,この借入れが実行されていな いことを推認させるものであり,他にこの借入れが実行されたことを認めるに足りる証拠もない。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 イこのように,原告が,理事の任期満了日(平成21年2月6日)の直前に正当な理由なく被告から本件800万円を受領した行為は,不法行為(業務上横領)又は理事の善管注意義務違反にあたるといえる。 よって,原告は,被告に対し,不法行為又は債務不履行に基づき,800万円の損害賠償義務を負う。 (10) 経費流用ア本件各保育園は,認可保育所であり,保育に要する費用は市町村から保育所運営費(人件費,事務費,事業費)として支給されるほか,国又は地方公共団体から補助金を受けて運営されている。このような認可保育所を設置経営する社会福祉法人は,当該事業を確実,効果的かつ適正に行うため,事業経営の透明性の確保を図らなければならないのであり(社会福祉法24条),特にその理事は,法人との委任契約上,経費の処理を厳正に行うべき善管注意義務を負うと解される。以下,本件について検討する。 イ証拠(甲30,丙25,26,58,59,60ないし65,67,70ないし74(ただし,各号枝番号省略))によれば,①本部会計から,別紙9の1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のとおり,携帯電話代,ガソリン代,タクシーチケット代,食事代,原告への返金400万円(平成17年12月16日)が支出されたこと,②A保育園施設会計から,別紙10の1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のとおり,携帯電話代,ガソリン代,タクシーチケット代,食事代,食材代(おかず),喫茶店のチケット代・コーヒー豆代,中元・歳暮代,接待交際費,Sク ら,別紙10の1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のとおり,携帯電話代,ガソリン代,タクシーチケット代,食事代,食材代(おかず),喫茶店のチケット代・コーヒー豆代,中元・歳暮代,接待交際費,Sクラブ年会費,a青年会議所への入会金・年会費,l党大阪府への会費・寄付,議員祝賀会・後援会費,理事30年御礼金120万円,自動車税,交通費が支出さ れたこと,③B保育園の施設会計から,別紙11の1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のとおり,携帯電話代,ガソリン代,食事代,中元代,Tへの金一封20万円,l党のパーティー代・集会費用が支出されたこと,④C保育園の施設会計から,別紙12「経費流用一覧表」記載のとおり,食事代,喫茶店のチケット代・コーヒー豆代,l党の集会費用が支出されたことが認められるが,以下に述べるとおり,携帯電話代を除き,いずれも保育所の運営に必要な経費であるとは認め難い。 (ア) 携帯電話代別紙9ないし11の各1「経費流用一覧表(被告主張)」記載の携帯電話代は,いずれも被告名義で契約し,原告又はFが使用していた携帯電話の使用料である(争いのない事実)。携帯電話を保育所の運営に用いることは,一般に不適当とはいえないし,原告及びFが私用の携帯電話を保有していなかったからといって,原告及びFが被告名義の携帯電話を私用で用いていたことを推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。よって,携帯電話代は,被告の経費として認めるのが相当である。 (イ) ガソリン代別紙9ないし11の各1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のガソリン代は,原告が使用していた原告名義の自家用車(m車,n車)及びFが使用していた被告名義の乗用車(o車,p車)に給油された際に支出された代金で し11の各1「経費流用一覧表(被告主張)」記載のガソリン代は,原告が使用していた原告名義の自家用車(m車,n車)及びFが使用していた被告名義の乗用車(o車,p車)に給油された際に支出された代金である(争いのない事実)。そして,証拠(丙65の1ないし59,丙72の1ないし35)によれば,上記ガソリン代に対応するガソリンの量は,別紙18「ガソリン使用料一覧表」記載のとおりであると認められる。 証拠(甲14,乙3の1)によれば,原告及びFは,被告から通勤手当を支給されていたことが認められるから,上記ガソリンが原告及びF の通勤に用いられていたとしても,被告がこれを負担すべき理由はない。 また,上記ガソリンが,原告のD保育園へ出張のために用いられたとしても,前記(7)の判示のとおり,原告のD保育園への出張は被告の正当な業務のためとは認められないから,被告がこれを負担すべき理由はない。 そして,原告は,本件各保育園の保育間の移動や市役所・府庁への移動にも自家用車を用いた旨主張するが,このような移動に原告の自家用車を使用する必要性も認め難いから,結局,原告の自家用車に使用したガソリン代について,被告が負担すべき理由は見出せない。他方,被告名義の乗用車について原告が主張する正当な用途は,病気の児童の搬送や買出しぐらいであり,このような用途のために,別紙18「ガソリン使用料一覧表」記載のとおりの大量のガソリンを要するとは考えられない。 そうすると,同一覧表記載のガソリンは,そのほとんどが目的外に使用されたものと推認される。 (ウ) タクシー代原告は,別紙9ないし11の各1の経費一覧表(被告主張)記載のタクシー代について,職員の歓送迎会の帰宅や体調が悪い園児の病院への送迎に用いたほか,虐待親から園児を施設に隔離する際 タクシー代原告は,別紙9ないし11の各1の経費一覧表(被告主張)記載のタクシー代について,職員の歓送迎会の帰宅や体調が悪い園児の病院への送迎に用いたほか,虐待親から園児を施設に隔離する際に用いたものであると主張する。しかしながら,職員の歓送迎会の帰宅のためのタクシー代は,被告が負担すべき経費とはいえないし,園児を送迎するためにタクシーを利用することも頻繁にあるとは考えられない。そして,同各一覧表記載のタクシー代は,その使途が明らかではなく,そのほとんどが目的外に使用されたものと推認される。 (エ) 交通費原告は,A保育園の平成19年11月2日(2万8000円),同月22日(2万4000円),同年12月21日(2万6000円)の各交通費は,アルバイト職員の交通費であると主張するが,総勘定元帳の該当 個所には,単に「交通費」とのみ記載されているにすぎず(丙62の32,33),その使途は明らかではない。 (オ) 食事代,食材代(おかず),喫茶店のチケット代・コーヒー豆代原告は,上記の代金について,他の理事との話し合い,業者との打ち合わせ,職員会議,発表会後の慰労会,研修旅行の際に支払ったものであると主張するが,これらの飲食に要した費用は,飲食をした各自が負担すべきものであって,保育所の運営に必要な経費とはいえない。また,バザーは,無償提供された物品を用いるのが通常であり,バザーの物品を被告が有償で用意することは考えられない。 なお,証拠(丙74の9の2)によれば,被告が主張する別紙12「経費流用一覧表」の平成20年10月14日のコーヒー豆代は,食事代の誤記であると認められる。 (カ) Sクラブ年会費原告は,上記年会費について,従業員の福利厚生のために支出した費用であると主張するが,これを認め 20年10月14日のコーヒー豆代は,食事代の誤記であると認められる。 (カ) Sクラブ年会費原告は,上記年会費について,従業員の福利厚生のために支出した費用であると主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 (キ) 中元・歳暮代,接待交際費,理事30年御礼金120万円,原告は,上記費用について,被告の理事及び監事に対するものであると主張するが,理事及び監事に対しては,被告の定款8条で定められた報酬及び費用(丙2)以外に金品を支給してはならないのであって,これらの費用は,被告が負担すべき経費であるとは認められない。 (ク) a青年会議所,l党及びq議員後援会への会費等青年会議所や政党・議員のための活動費は,保育所の運営に必要な経費とは認められない。 (ケ) Tへの金一封20万円上記金員は贈与と考えられるが,被告がこのような贈与を行うべき理由は見出せない。 (コ) 平成17年12月16日に本部会計から出金された原告への返金400万円上記返金に対応する消費貸借契約の存在が明らかでないことから,被告が負担すべき経費であるとは認められない。 (サ) 平成19年7月25日にA保育園会計から出金された自動車税上記自動車税は,原告名義の車両の自動車税であると認められるから(弁論の全趣旨),被告が負担すべき経費であるとは認められない。 ウ以上のとおり,上記アの(イ)ないし(サ)の支出は,いずれもその全額が正当なものとはいえないところ,原告は,理事長兼A保育園園長として,本部会計及びA保育園の施設会計について直接責任を負っていたほか,B保育園及びC保育園の各施設会計についても,理事長として監督責任を負っていたものであるから,これらの支出のうち,目的外の支出について指示又は容 A保育園の施設会計について直接責任を負っていたほか,B保育園及びC保育園の各施設会計についても,理事長として監督責任を負っていたものであるから,これらの支出のうち,目的外の支出について指示又は容認した行為(不作為を含む。)は,理事の善管注意義務に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己が管理する被告の財産を不法に領得した点又は自己若しくは他人の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,被告に財産上の損害を与えた点で不法行為(業務上横領又は背任)にあたるといえる。さらに,具体的な使途が明らかでない支出についても,原告は,理事として経費の処理を厳正に行うべき善管注意義務を負っているから,その具体的使途を明らかにできない以上,債務不履行責任を負うと解される。 エそうすると,原告は,債務不履行に基づき,上記アの(イ)ないし(サ)の支出の全額について損害賠償義務を負うといわなければならず,その額は,別紙9ないし11の各2「経費一覧表(裁判所認定)」及び別紙12「経費流用一覧表」記載のとおり1153万5979円となる。なお,原告の不法行為に基づく損害額は,そのうち具体的な使途が明らかでない部分(不法行為に基づく損害として立証できない部分)を除いた額となるが,この 点は,後に述べる弁護士費用についての考慮要素にすぎないから,その認定を省略する。 (11) 本件賃貸借契約本件賃貸借契約は,原告が被告の代表者として,原告の子であるRとの間で締結したものであるから,利益相反取引にあたる。したがって,原告が本件賃貸借契約を締結した行為は,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己又は他人(R)の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたるといえる。 ,理事の善管注意義務(忠実義務)に違反する点で債務不履行にあたり,また,自己又は他人(R)の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人に財産上の損害を与える点で不法行為(背任)にあたるといえる。原告は,この点について何ら反論していない。 被告が本件賃貸借契約の締結により被った損害は,被告がRに支払った賃料及び共益費から従業員が被告に支払った社宅利用料を差し引いた金額である。証拠(甲30の1ないし6,丙25の1,2,丙68の1ないし8)及び弁論の全趣旨によれば,平成15年度から同20年度までの損害額は,別紙13「賃料一覧表」記載のとおり,その総額は337万1800円であると認められる。 (12) 本件生命保険契約本件生命保険契約は,契約者及び保険金の受取人が被告であり,保険の利益は,専ら被告に帰属するから,原告が被告に同契約の保険料を負担させたことは,自己が管理する被告の財産を不法に領得したともいえないし,自己又は他人の利益を図る目的があったともいえないから,不法行為にあたるとはいえない。 しかしながら,本件平成12年通達(丙14の1)には,「運営費の管理・運用については,銀行,郵便局等への預貯金等安全且つ確実でかつ換金性の高い方法により行う」旨定められていることから,保育所を設置経営する社会福祉法人の理事は,法人に対し,委任契約上,運営費の管理・運用を上記通達のとおり行う義務を負っていると解される。そうすると,社会福祉法人 が理事長を被保険者とする生命保険契約を締結する必要性があるとは認められないし,本件生命保険契約のように中途解約すると多額の損失を生じるような生命保険契約を締結することは,上記通達の趣旨に反するものというべきである。したがって,原告が,被告の代表者として本件生命保険契約を締結した行為は,理事 ように中途解約すると多額の損失を生じるような生命保険契約を締結することは,上記通達の趣旨に反するものというべきである。したがって,原告が,被告の代表者として本件生命保険契約を締結した行為は,理事の善管注意義務に違反する行為であるといえる。これに対し,原告は,N協議会から,「生命保険料を経費で支払うことができる」旨言われたため,本件生命保険契約を締結したと主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。 被告が原告の上記債務不履行によって被った損害は,前記前提事実(12)記載の解約時点における払込保険料の合計額である1096万5234円から解約返戻金639万1330円を控除した457万3904円であると認めるのが相当である。 (13) 本件民改費適用加算停止決定ア前記前提事実(17)ウによれば,本件民改費適用加算停止決定は,①原告が実在しない個人商店を使い,架空の商取引をねつ造する等により,私的利益を得ていたこと,②施設会計から私的に流用が行われたこと,③私的契約児の利用料を原告が着服していたことが原因でなされたものであるところ,①は前記(1)において,②は前記(10)において,③は前記(5)においてそれぞれ判示したとおり,いずれも原告に不法行為責任又は債務不履行責任があると認められ,原告の上記不法行為又は債務不履行と本件民改費適用加算停止決定との間には相当因果関係があるといえる。 そして,被告は,仮に本件民改費適用加算停止決定を受けなければ,平成21年度においても,同20年度と同様の民間施設給与等改善費の適用加算として,A保育園分540万5480円,C保育園分792万4680円及びB保育園分683万4180円の支給を受けていた蓋然性が高いと認められるから,本件民改費適用加算停止決定により,これと同額の損 A保育園分540万5480円,C保育園分792万4680円及びB保育園分683万4180円の支給を受けていた蓋然性が高いと認められるから,本件民改費適用加算停止決定により,これと同額の損 害を被ったといえる。 イこれに対し,原告は,民改費が恩恵的に与えられる補助金であり,市町村に対する請求権はないから,その加算停止を受けたからといって,原告に損害賠償請求することはできないと主張する。しかしながら,被告は,原告の不法行為又は債務不履行がなければ,平成21年度に民改費の適用加算決定を受けていた蓋然性が高かった以上,原告の不法行為又は債務不履行と本件民改費適用加算停止決定との間に相当因果関係があることを否定することはできないから,原告の上記主張は,結論を左右しないというべきである。 (14) 所長未設置単価適用による運営費委託料の精算ア前記前提事実(18)のとおり,a市長は,被告に対し,原告が平成20年4月から同年11月までD保育園の事務長に就任していたことを理由として,A保育園に関する同20年4月から同年11月分の保育所運営費保育単価を所長未設置単価適用としたことによる精算額として,484万3020円の返還を求めた。 被告の就業規則第26条7号が,「法人・園の許可なく在籍のまま他の事業に従事したり,又はその他の労務,公務に服すること」を禁止していることから(甲8),理事長である原告がD保育園の事務長に就任するためには,少なくともこれを許可する理事会決議を要したと解されるが,このような理事会決議がなされたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告がこのような理事会決議を経ないでD保育園の事務長に就任したことは,理事の善管注意義務違反にあたる。 したがって,原告は,被告に対し,債務不履 れたことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,原告がこのような理事会決議を経ないでD保育園の事務長に就任したことは,理事の善管注意義務違反にあたる。 したがって,原告は,被告に対し,債務不履行に基づき,上記精算額484万3020円の損害賠償責任を負わなければならない。 イ原告は,Eに支給された平成20年4月分から同年10月分までの給料は返還しており(甲33),被告は,施設長設置単価金を返済する義務はな かったと主張するが,前記前提事実(18)記載のとおり,所長設置又は未設置であるかどうかの認定は,「2以上の施設若しくは他の事業と兼務し」ているか否かが基準となるから,原告の上記主張は,所長未設置単価適用の結論を左右しないというべきである。 (15) 本件出勤停止期間中の賃金ア被告は,原告に対し,不当利得に基づき,平成21年2月分から同年8月分までの賃金435万9970円並びに同年9月に納付した住民税9万7400円及び共済掛金7240円の合計446万4610円の返還を求めるところ,住民税9万7400円及び共済掛金7240円については,原告が負担すべきものであるから,その不当利得返還が認められることは当然であるとして,賃金435万9970円の返還については,民法536条2項の解釈が問題となる。同項の解釈については,労働者は,使用者の責めに帰すべき事由によって労務を提供する債務の履行が不能になったときは,同項により賃金請求権を失わないが,使用者の責めに帰すべき事由によって労務を提供する債務の履行が不能になったことを主張する前提として,自らが客観的に就労する意思と能力とを有していることを主張しなければならないと解するのが相当である。 前記前提事実(14)及び証拠(原告本人)によれば,①原 ったことを主張する前提として,自らが客観的に就労する意思と能力とを有していることを主張しなければならないと解するのが相当である。 前記前提事実(14)及び証拠(原告本人)によれば,①原告は,平成21年2月5日頃からA保育園に出勤しなかったこと,②原告は,M機構理事長に対し,「A保育園を同月7日付けで退職し,D保育園の副園長として就労する」旨の同月8日付け共済契約者間継続職員異動届を提出し,同月12日,これを受理されたこと,③被告は,同月9日,被告に対し,本件出勤停止命令を発したことが認められる。これらの事実によれば,原告は,本件出勤停止命令を受けた時点で,既にA保育園で就労する意思を有しなかったことが認められ,この認定を覆すに足りる証拠はない。 そうすると,原告は,平成21年2月分以降の賃金を請求する権利を有 しなかったというべきであるから,同月分から同年8月分までの賃金435万9970円についても,不当利得となる。 よって,原告は,被告に対し,不当利得に基づき,446万4610円を返還する義務がある。 イ被告は,上記446万4610円が詐欺による損害であるとも主張する。 しかしながら,原告は,被告に対し,D保育園の副園長に就任する事実を述べなかったにすぎず,これをもって不作為による欺罔行為とまで評価することはできない。 よって,被告の不法行為に基づく請求は理由がない。 (16) 弁護士費用被告は,原告の不法行為を理由とする損害賠償請求するため訴えを提起することを余儀なくされ,訴訟追行を弁護士に委任したことは,顕著な事実であり,被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求のうち認容しうる額は,経費流用部分(最大で1153万5979円)を除いたとしても,別紙 なくされ,訴訟追行を弁護士に委任したことは,顕著な事実であり,被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求のうち認容しうる額は,経費流用部分(最大で1153万5979円)を除いたとしても,別紙1「損害額一覧表」の認容額(不法行為)欄記載のとおり8901万1190円となるから,原告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,本件事案の難易,請求額,認容された額その他諸般の事情を斟酌して,700万円をもって相当と認める。 (17) 小括以上によれば, 被告は,原告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償及び不当利得に基づく返還請求として,別紙1「損害額一覧表」の認容額(総額)欄記載のとおり合計1億2545万0150円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成21年11月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 2 第1事件について(1) 本件懲戒解雇の対象となる非違行為 使用者が労働者に対して行う懲戒は,労働者の企業秩序違反行為を理由として,一種の制裁罰を科するものであるから,使用者は,懲戒を行うべき労働者に対し,懲戒当時にその理由とする具体的な非違行為を表示しなければならない。したがって,使用者が懲戒当時に理由として表示しなかった非違行為は,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものと解するのが相当である。 これを本件についてみると,被告が主張する懲戒理由は,前記前提事実(16)の告発事実に加えて,前記2の(1)ないし(15)の【被告の主張】欄記載のとおり,被告から不正な利益を得て,被告に莫大な損害を与えたことである。しかしながら,前記前提事実(15)のとおり,被告は,本件懲戒解雇の意思表示をした際には,懲戒 (15)の【被告の主張】欄記載のとおり,被告から不正な利益を得て,被告に莫大な損害を与えたことである。しかしながら,前記前提事実(15)のとおり,被告は,本件懲戒解雇の意思表示をした際には,懲戒解雇の理由となる非違行為として,「大阪府の指導監査結果及びその後に判明した原告の行為」と示したにすぎず,そのうち「その後に判明した原告の行為」の内容は必ずしも明らかではないから,本件懲戒解雇の対象となる非違行為は,前記前提事実(13)の大阪府の指導監査結果判明した原告の行為に限定される。 (2) 本件懲戒解雇の有効性上記(1)によれば,本件懲戒解雇の対象となる非違行為は,前記前提事実(13)アの(ア)ないし(エ)の各行為であり,大別すると,①前記1(1)アないしウで認定したH書店を通した取引により利益を得た行為と②前記1(10)で認定した経費の流用行為である。 上記①の行為は,原告が被告の理事長として行った行為であるといえるが,自己の利益を図る目的で任務違背の行為を行い,本人の財産上の損害を与える不法行為(背任)にあたり,刑法に触れる行為であるから,当然に保育園園長としての適格性をも疑わせる行為である。また,上記②の行為のうち少なくともA保育園の施設会計に関する部分は,A保育園園長として行った行為であるといえるところ,これについても,自己の管理する財産を不法に領 得し(業務上横領)又は自己若しくは他人の利益を図る目的で任務違背の行為(背任)を行い,本人の財産上の損害を与える不法行為にあたる。 したがって,上記いずれの行為も,被告の就業規則54条1号,9号及び20号の懲戒解雇事由(前記前提事実(15)参照)に該当するといえる。 そして,本件懲戒解雇は,その非違行為の性質が刑法に触れる行為であり,その態様 ずれの行為も,被告の就業規則54条1号,9号及び20号の懲戒解雇事由(前記前提事実(15)参照)に該当するといえる。 そして,本件懲戒解雇は,その非違行為の性質が刑法に触れる行為であり,その態様も長期間にわたり多数回に及んでいることに加えて,被告に与えた損害も多額であることから,社会通念上相当であると認められる。 よって,本件懲戒解雇は,有効であるといえる。 (3) 小括以上によれば,原告の請求は,その余の点を検討するまでもなく,いずれも理由がないというべきである。 3 結論よって,原告の請求は,いずれも理由がないから棄却し,被告の請求は,主文第1項の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判官菊 井 一 夫

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