主文 被告人を懲役1年6月に処する。 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 〔罪となるべき事実〕被告人は、Aと共謀の上、令和3年4月9日頃、大阪市a区bc丁目d番e公園において、B(昭和▲年▲月▲日生、令和▲年▲月▲日頃死亡。死亡時83歳)の死体をキャリーバッグ内に入れて隠匿し、その頃から令和6年1月9日までの間、前記キャリーバッグを大阪市f区gh丁目i番j号所在のkの居室及び滋賀県高島市l町mn番地所在の救護施設op号室クローゼット内等大阪市内及び滋賀県内又はその周辺に隠匿するなどし、もって死体を遺棄したものである。 〔証拠の標目〕省略〔法令の適用〕罰条刑法60条、190条未決勾留日数算入刑法21条刑の全部執行猶予刑法25条1項訴訟費用刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)〔量刑の理由〕被告人は、約2年9か月もの間、息子であるAと共謀して、妻の遺体を、葬祭等の適切な方法により弔わないまま隠匿し続けていたものであり、発覚までの状況や発覚時の遺体の状況からして、本件犯行が社会が死者に対して有する敬虔な感情や死者の尊厳を害する程度は大きい。被告人は、遺体隠匿用のキャリーバッグを購入し、息子と協力して、その中に密封した妻の遺体を入れ、被告人らが野宿していた公園、滞在したホテルや救護施設の居室等に持ち運んでおり、期間の長さに加えて、遺棄の 態様も相応に手が込んでいて悪質であり、その間に被告人及び息子がそれぞれ果たした役割に特に軽重はない。被告人は、ローン滞納により住居を失った後、妻及び息子と共に 期間の長さに加えて、遺棄の 態様も相応に手が込んでいて悪質であり、その間に被告人及び息子がそれぞれ果たした役割に特に軽重はない。被告人は、ローン滞納により住居を失った後、妻及び息子と共に、公園等での野宿や親族等から借りた金でホテルに宿泊するなどして生活していたが、体調が悪化した妻が治療等を受けることなく連泊先のホテルで死亡すると、被告人と息子は、妻の死亡の責任を問われて警察に捕まることを恐れ、妻が生きているかのように振る舞い、ホテルから退去を求められると、妻が死亡した事実を明らかにしないために本件犯行に及んだ。被告人、息子のいずれも殊更に妻の尊厳を傷つけようとしたり、何らかの利益を目論んだりしていたのではなく、生活に困窮し、孤立した生活を送る中で妻の異変や死に適切に対処できなかったところはあるとしても、思慮に欠けた短絡的な経緯及び動機に酌むべきところは乏しく、相応の非難を免れない。 以上のような本件の犯情からすると、被告人の刑事責任は軽くないが、死体遺棄に他の犯罪を伴う事案ではなく、前科はないことを踏まえると、直ちに実刑に処するべき事案とはいえない。その上で、被告人が本件犯行を認めて反省や悔悟の態度を示し、今後、救護施設再入所や生活保護受給等の公的な支援を受けて生活する意向であり、一定の援助体制は整えられていること、年齢や体調等の酌むべき事情も踏まえ、本件については、被告人を主文の懲役刑に処してその刑事責任を明らかにした上で、刑の執行を猶予し、社会内で妻の供養を果たしながら更生を図らせるのが相当であると判断した。 〔求刑懲役1年6月〕令和6年4月17日大津地方裁判所刑事部 裁判官谷口真紀 令和6年4月17日 大津地方裁判所刑事部 裁判官 谷口真紀
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