令和6(わ)626 偽造通貨行使(変更後の訴因 通貨偽造・同行使)被告事件

裁判年月日・裁判所
令和7年12月3日 水戸地方裁判所
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判決文本文2,194 文字)

令和6年(わ)第626号主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 水戸地方検察庁で保管中の偽造通貨43枚(令和7年水戸地領第1157号符号1ないし10、14の1、15及び16)を没収する。 (罪となるべき事実) 1 被告人は、令和5年5月頃から7月頃までの間、2回にわたり、茨城県石岡市(住所省略)の被告人方において、行使の目的で、カラーコピー機能があるプリンターを使って、真正な金額1万円の日本銀行券の表面及び裏面を白紙の裏表に複写し、その余白部分を裁断するなどして、通用する金額1万円の日本銀行券43枚(令和7年水戸地領第1157号符号1ないし10、14の1、15及び16)を偽造した上で、次のとおり行使した。 2 被告人は、令和5年7月13日午後1時46分頃から午後3時50分頃までの間に、茨城県龍ケ崎市(住所省略)にあるホテル甲の一室で、別紙記載のAに対し、性行為の対価として、偽造1万円札10枚(令和7年水戸地領第1157号符号1ないし10)を真正なもののように装って、Aにこれを受け取らせて行使した。 3 被告人は、令和6年4月13日午後10時5分頃、茨城県小美玉市(住所省略)にある乙駅西口ロータリーで、別紙記載のBに対し、性行為の対価として、偽造1万円札4枚(令和7年水戸地領第1157号符号15及びl6)を真正なもののように装って、Bに手渡して行使した。 (別紙省略)(量刑の理由) 1 この事件は、被告人が、家庭用プリンターで2回にわたり1万円札合計43枚を偽造した上、ソーシャルネットワーキングサービス等で知り合った女性と性行為をして金銭を支払うという、いわゆる「パパ活」の相手2名に、性行為の対価として偽札合計14枚を渡したという通貨偽造及び偽造通 を偽造した上、ソーシャルネットワーキングサービス等で知り合った女性と性行為をして金銭を支払うという、いわゆる「パパ活」の相手2名に、性行為の対価として偽札合計14枚を渡したという通貨偽造及び偽造通貨行使の事件である。 そこで、前科のない者が単独で行った通貨偽造事件や偽造通貨行使事件の量刑傾向を踏まえて、まず犯情を検討してこの事件の重みを考え、一般情状も検討して刑を決める。 2 犯情のうち、犯行のいきさつや理由について見る。被告人は、偽札を作った理由として、パパ活の相手に嫌な思いをさせられたことがあり、仕返しのためであるなどと述べるが、当時の借金の状況や偽札の枚数の多さからすると、パパ活の費用を惜しむ意味もあったものと認められる。いずれにしても、他の同種事件と同様、犯行のいきさつや理由に同情すべき点はない。 次に、犯行のやり方について見る。被告人は、家庭用コピー機で1万円札をA4コピー用紙に複写し、余白を裁断して、一見しただけでは偽造とは分からないものの、よく見れば明らかに本物ではないと分かる偽札を2回にわたり偽造した。 偽造した枚数は43枚と多く、そのうち合計14枚を2名に渡しており、行使した枚数も少なくない。また、偽札を渡す相手としてはパパ活をしている女性だけを選んだ。このことは、警察等に偽札を受け取ったことを言い出しにくい人にだけ渡すという点で悪質であるが、一方では、店舗などその後の流通の危険が高い相手に渡す場合より悪質でないという評価もされる。その上、偽札の質や、渡した相手とのその後のやり取りを考えると、渡した相手からさらに偽札が流通していく危険性は高くはなかったものといえる。 これらの被告人の犯行のやり方は、特に偽造や行使の枚数の点で、同種事件の中でやや悪質であるといえる。 以上の犯情を総合すると、この事件は、同種事件の中で いく危険性は高くはなかったものといえる。 これらの被告人の犯行のやり方は、特に偽造や行使の枚数の点で、同種事件の中でやや悪質であるといえる。 以上の犯情を総合すると、この事件は、同種事件の中でも重い部類に属する。 3 一般情状について見ると、被告人には前科前歴がない。また、偽札を渡した相手2名との間では、渡した偽札に相当する額を支払って示談が成立した。被告人は、仕事によるストレスや家庭での疎外感を理由にするばかりで、自分が通貨を偽造するという考えに至ったことの問題点を十分に考えているかといえば疑問であり、真摯に反省しているとまではいい難いが、事実を認めるとともに、自分の犯行を後悔し、反省しようとする姿勢は見られる。さらに、被告人の妻が法廷で被告人を監督することを約束しており、被告人の更生へ向けた家族の支援が期待できる。 4 そこで検討すると、同種事件の量刑傾向は、犯情が特に重いものや、併せて他の罪を犯したものなどが実刑に処せられているが、大半は刑の執行が猶予されているというものである。上記のとおりこの事件の犯情は重いものであるが、特に重いとまではいえない。更に一般情状も考えると、被告人に対しては刑の執行を猶予し、社会内で更生する機会を与えるべきであるが、刑期と執行猶予期間は、執行猶予判決としては最も重いものとすべきである。 (求刑-懲役3年及び主文同旨の没収)令和7年12月3日水戸地方裁判所刑事第2部 裁判長裁判官山﨑 威 裁判官亀井健斗 裁判官植木佑記 裁判官植木佑記

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