令和7年4月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第7976号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和6年12月12日判決原告パンテックコーポレーション 同訴訟代理人弁護士岩瀬吉和同後藤未来同出野智之同小松侑太同伊藤雄太 同訴訟代理人弁理士綾聡平被告 ASUSJAPAN株式会社同訴訟代理人弁護士服部誠同中村閑同岩間智女 同杉森康平同補佐人弁理士相田義明 主文 1 被告は、原告に対し、●(省略)●円及びこれに対する令和4年4月14日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを122分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 5 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 を122分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 5 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙物件目録記載の通信機器を輸入し、譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、又は譲渡若しくは貸渡しのための展示をしてはならない。 2 被告は、別紙物件目録記載の通信機器を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和4年4月14日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 原告は、別紙特許権目録記載1及び2の各特許(以下、「本件第1特許」及び「本件第2特許」といい、併せて「本件特許」という。また、本件特許に係 る特許権を「本件第1特許権」及び「本件第2特許権」といい、併せて「本件特許権」という。なお、本件第1特許及び本件第2特許の願書に各添付された明細書及び図面を「本件第1明細書等」及び「本件第2明細書等」といい、併せて「本件各明細書等」という。)を保有している。他方、被告は、別紙物件目録記載の製品型番の通信機器(以下「被告製品1」ないし「被告製品16」 といい、併せて「被告製品」という。)を輸入販売等している。 本件は、原告が、被告製品が本件特許に係る発明の技術的範囲に属すると主張して、被告に対し、上記輸入販売等が本件特許権の侵害及び本件第1特許権の間接侵害を構成するとして、特許法100条1項及び2項に基づき、被告製品の輸入、譲渡、貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出等の差止め及び被告製 品の廃棄を求めるとともに、民法709条及び特許法102条3項に基づく損害賠償金の一部請求として、1000万円及びこれに 品の輸入、譲渡、貸渡し又は譲渡若しくは貸渡しの申出等の差止め及び被告製 品の廃棄を求めるとともに、民法709条及び特許法102条3項に基づく損害賠償金の一部請求として、1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(令和4年4月14日)から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠等の記載のないものは当事者間に争いがない。なお、証拠を 摘示する場合には、特に記載のない限り、枝番を含むものとする。) ⑴ 当事者等ア原告は、韓国ソウル市に本社を置く、通信技術に関連する知的財産権を保有する会社であり、本件特許権を保有している。(弁論の全趣旨)イ被告は、日本においてグループ会社の製品であるスマートフォン等を輸入及び販売する会社であり、被告製品を輸入及び販売していた。 ウ ASUSTeKComputerInc.(以下「ASUS台湾」といい、被告と併せて「被告側」ということがある。)は、台湾に本社を置く、被告のグループ会社の中核となる会社である。 ⑵ 本件特許に係る特許請求の範囲ア本件第1発明 本件第1特許の特許請求の範囲の請求項16及び24(以下、請求項16に係る発明を「本件第1発明1」、請求項24に係る発明を「本件第1発明2」といい、併せて「本件第1発明」という。)の記載は、次のとおりである。 本件第1発明1 PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する方法であって、前記送信端からリソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信し、【数9】前記ACK/NACK信号は、REGインデックス𝑛𝑖(i=0,1,2)に対 応するリソースエレメントを介して受信され、前記REGイ エレメントを含むOFDMシンボルを受信し、【数9】前記ACK/NACK信号は、REGインデックス𝑛𝑖(i=0,1,2)に対 応するリソースエレメントを介して受信され、前記REGインデックス𝑛𝑖は、以下の式(1) (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利 用可能なREGの個数を表し、𝑛′0はインデックス0のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)または、式(2)【数10】 (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′1はインデックス1のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。) のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴とする、ACK/NACK信号の受信方法。 本件第1発明2PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する装置であって、 前記送信端から、リソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信する手段を有し、前記ACK/NACK信号は、REGインデックス(i=0,1,2)に対応するリソースエレメントを介して受信され、【数15】 前記REGインデックス𝑛𝑖は、以下の式(1) (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′0はインデックス0のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグル 𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′0はインデックス0のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。) または、式(2)【数16】 (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′1はインデックス1のOFDMシンボル内 の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴とする、ACK/NACK信号の受信装置。 イ本件第2発明 本件第2特許の特許請求の範囲の請求項1ないし5(以下、同各項に係る各発明を順に「本件第2発明1」ないし「本件第2発明5」といい、併せて「本件第2発明」という。)の記載は、次のとおりである。 なお、原告は、本件第2発明のうち、本件第2発明5に係る特許権の侵害を主張している(第2回口頭弁論調書参照)。 本件第2発明1 PHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル:APhysicalHybridAutomaticRepeatRequestIndicatorChannel)をOFDM(直交周波数分割多重:OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)シンボルにマッピングする方法であり、それぞれのOFDMシンボルは複数のリソースエレメントグループを含 み、それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、前記方法は、PHICHが下記の【数1】の数 OFDMシンボルは複数のリソースエレメントグループを含 み、それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、前記方法は、PHICHが下記の【数1】の数式に従って3つのOFDMシンボルにより 送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、前記PHICHの3つの反復を、決定されたインデックスに従ってOFDMシンボルにマッピングすることを含み、ここに、前記【数1】の数式は 【数1】 であり、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数とサブフレームの最初のOFDMシンボルにお ける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボ ルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、方法。 本件第2発明2前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、下記の【数2】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソー スエレメントグループのインデックスを決定することを含み、ここに前記【数2】の数式は、【数2】 であり、 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデッ クスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用 ICHの反復のインデッ クスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、請求項1に記載の方法。 本件第2発明3移動局に多重化された複数のACK/NACK信号を1フレーム内に送 信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局であり、前記基地局は、前記移動局への送信においてPHICH(物理ハイブリッド自動再送要求 指示チャネル:APhysicalHybridAutomaticRepeatRequestIndicatorChannel)をOFDM(直交周波数分割多重:OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)シンボルにマッピングするときに、それぞれのOFDMシンボルは複数のリソースエレメントグループを含み、 それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、PHICHが下記の【数3】の数式に従って3つのOFDMシンボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、 前記PHICHの3つの反復のそれぞれを、決定されたインデックスに従ってOFDMシンボルにマッピングし、ここに、前記【数3】の数式は【数3】 であり、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、 前記PHICHの3つの反復のそれぞれを、決定されたインデックスに従ってOFDMシンボルにマッピングし、ここに、前記【数3】の数式は【数3】 であり、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数とサブフレームの最初のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、基地局。 本件第2発明4前記基地局は、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、下記の【数4】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、 ここに前記【数4】の数式は、【数4】 であり、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソース エレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、請 求項3に記載の基地局。 本件第2発明5請求項3ま リソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、請 求項3に記載の基地局。 本件第2発明5請求項3または4の基地局から多重化された信号を受信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局であり、前記信号は、請求項1または2の方法を用いて生成されることを特徴とする移動局。 ⑶ 本件発明の構成要件本件第1発明及び本件第2発明(以下、併せて「本件発明」という。)を構成要件に分説すると、次のとおりである。 ア本件第1発明11-1A PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する方法であって、1-1B 前記送信端からリソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信し、 1-1C 【数9】前記ACK/NACK信号は、REGインデックス𝑛𝑖(i=0,1,2)に対応するリソースエレメントを介して受信され、1-1D 前記REGインデックス𝑛𝑖は、以下の式(1) (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の 利用可能なREGの個数を表し、𝑛′0はインデックス0のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)または、式(2)【数10】 (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′1はインデックス1のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴と インデックス1のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴とする、ACK/NAC K信号の受信方法。 イ本件第1発明21-2A PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する装置であって、1-2B 前記送信端から、リソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信する手段を有し、 1-2C 前記ACK/NACK信号は、REGインデックス(i=0,1,2)に対応するリソースエレメントを介して受信され、1-2D 【数15】前記REGインデックス𝑛𝑖は、以下の式(1) (𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′0はインデックス0のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す。)または、式(2) 【数16】(𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、𝑛′𝑙′𝑖はインデックス𝑙′𝑖のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、𝑛′1はインデックス1のOFDMシンボル内の利用可能なREGの個数を表し、m’は前記PHICHが含まれるPHICH グループに関連するインデックスを表す。) のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴とする、ACK/NACK信号の受信装置。 ウ本件第2発明12-1A PHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル:APhysicalHybridAutomaticRepeatRequestIndicatorCh ウ本件第2発明12-1A PHICH(物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル:APhysicalHybridAutomaticRepeatRequestIndicatorChannel)をOFDM(直 交周波数分割多重:OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)シンボルにマッピングする方法であり、2-1B それぞれのOFDMシンボルは複数のリソースエレメントグループを含み、2-1C それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエ レメントを含み、2-1D 前記方法は、PHICHが下記の【数1】の数式に従って3つのOFDMシンボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、2-1E 前記PHICHの3つの反復を、決定されたインデックスに従って OFDMシンボルにマッピングすることを含み、2-1F ここに、前記【数1】の数式は【数1】 であり、 2-1G 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数とサブフレームの最初のOFDMシンボル における利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、2-1H 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループ である、方法。 エ本件第2発明22-2A 前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される は、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループ である、方法。 エ本件第2発明22-2A 前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、下記の【数2】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定することを含み、 2-2B ここに前記【数2】の数式は、【数2】 であり、2-2C 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデック スを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、 2-2D 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、 2-2E 請求項1に記載の方法。 オ本件第2発明32-3A 移動局に多重化された複数のACK/NACK信号を1フレーム内に送信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局であり、2-3B 前記基地局は、前記移動局への送信においてPHICH(物理ハイ ブリッド自動再送要求指示チャネル:APhysicalHybridAutomaticRepeatRequestIndicatorChannel)をOFDM(直交周波数分割多重:OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)シンボルにマッピングするときに、2-3C それぞれのOFDM hannel)をOFDM(直交周波数分割多重:OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)シンボルにマッピングするときに、2-3C それぞれのOFDMシンボルは複数のリソースエレメントグルー プを含み、2-3D それぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み、2-3E PHICHが下記の【数3】の数式に従って3つのOFDMシンボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレ メントグループのインデックスを決定し、2-3F 前記PHICHの3つの反復のそれぞれを、決定されたインデックスに従ってOFDMシンボルにマッピングし、2-3G ここに、前記【数3】の数式は【数3】 であり、2-3H 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデック スを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数とサブフレームの最初のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、 2-3I 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、基地局。 カ本件第2発明42-4A 前記基地局は、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信 されるならば、さらに、下記の【数4】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、2-4B ここに前記【数4】の数式は、【数4】 であ れるならば、さらに、下記の【数4】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、2-4B ここに前記【数4】の数式は、【数4】 であり、2-4C 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表わし、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表わし、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との 比を表わし、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わし、2-4D 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDM シンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである、2-4E 請求項3に記載の基地局。 キ本件第2発明52-5A 請求項3または4の基地局から多重化された信号を受信する、 マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局であり、2-5B 前記信号は、請求項1または2の方法を用いて生成されることを特徴とする移動局。 ⑷ 被告製品の構成被告製品は、LTE通信が可能な通信端末であり、LTE通信は、国際標 準化団体3GPP(3rdGenerationPartnershipProject)が定めた標準規格に準拠している。そして、被告製品1ないし14は、当該規格の具体的内容が記載された規格書であるTS36.211 version15(甲6-2)に、被告製品15及び16は、同様の規格書であるTS36.211 version12(甲6-1。以下、両規格書を併せて「本件規格」という。)に、それぞれ準拠している。(甲6、弁論 の全趣旨〔第5回弁論 品15及び16は、同様の規格書であるTS36.211 version12(甲6-1。以下、両規格書を併せて「本件規格」という。)に、それぞれ準拠している。(甲6、弁論 の全趣旨〔第5回弁論準備手続調書参照〕)⑸ 原告によるFRAND宣言原告は、2013年2月7日、本件特許について、LTE規格を定める標準化団体であるETSI(EuropeanTelecommunicationsStandardsInstitute)のIPRポリシー(IntellectualPropertyRightsPolicy)6.1条の定める公正 かつ合理的で非差別的な(fair, reasonableandnon-discriminatory)条件で、取消不能なライセンスを許諾する用意がある旨の宣言(以下、上記条件を「FRAND条件」と、当該宣言を「FRAND宣言」と、それぞれいう。)をした。(乙6、7、弁論の全趣旨)⑹ 先行文献 本件特許の優先日より前の2008年(平成20年)2月15日、3GPPT SGRANWGI#52会合において、PHICHのマッピング方法に関する寄書(乙1。以下「乙1」といい、同寄書に記載された発明を「乙1発明」という。)が提案された。(乙1、弁論の全趣旨) 3 争点本件の争点は、次のとおりである。なお、損害額(下記⑸)に関し、算出の 根拠となる売上高が●(省略)●であることは、当事者間に争いがない(第4回弁論準備手続調書参照)。 ⑴ 被告製品の構成要件充足性(争点1)ア被告製品が「m’」(本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C)を充 足するか否か(争点1-1 件充足性(争点1)ア被告製品が「m’」(本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C)を充 足するか否か(争点1-1)イ被告製品が「𝑙′𝑖」(本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5B)を充足するか否か(争点1-2) ⑵ 権利濫用の成否(争点2) ⑶ 本件発明の無効理由の有無(争点3)ア乙1発明に基づく進歩性欠如の有無(争点3-1)イサポート要件違反の有無(争点3-2)ウ新規性欠如の有無(争点3-3) エ明確性要件違反の有無(争点3-4)オ優先権主張が認められないことに基づく進歩性欠如の有無(争点3-5)⑷ FRAND条件によるライセンスを受ける意思の有無等(争点4)⑸ 損害額(争点5)⑹ 侵害又は侵害のおそれの有無(争点6) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(被告製品が「m’」〔本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C〕を充足するか否か)について(原告の主張)⑴ 本件発明の「m’」の意義について 本件第1発明及び本件第2発明5の特許請求の範囲においては、「m’は前記PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す」と記載されている。そして、このような特許請求の範囲の記載に関して、本件各明細書等の詳細な説明においては、その実施例として、「式1において……m’は、PHICHグループのインデッ ンデックスを表す」と記載されている。そして、このような特許請求の範囲の記載に関して、本件各明細書等の詳細な説明においては、その実施例として、「式1において……m’は、PHICHグループのインデックスを表し」等と記載され、PHICHグループ のインデックスを表すm’について開示されている(本件各明細書等の段落【0013】、【0033】、【0034】等)。これらの実施例において、m’は、本件各明細書等の段落【0033】の式1等に関してPHICHグループを特定する機能を有している。 このような詳細な説明における実施例の開示を踏まえて、上記の本件第1 発明及び本件第2発明5の特許請求の範囲では、「PHICHグループに関連するインデックス」である「m’」を規定しているものであり、当該文言と異なる解釈を行うべき理由はない。 ⑵ 被告製品が、「m’」に係る上記各構成要件を充足することア被告製品が準拠する本件規格において、m’がPHICHマッピングユニット 番号を示すこと、また、当該PHICHマッピングユニット番号には、PHICHグループmがマッピングされることが規定されている。すなわち、本件規格において、m’は、PHICHグループmに対応付けられ、これを表すインデックスとして機能する。したがって、本件規格のm’は、本件発明の構成要件1-1D等が規定する「PHICHグループに関連するインデックスを表 す」ことは明らかである。 イこれに対し、被告は、本件規格において、m’は「『PHICHマッピングユニット』のインデックスであって、PHICHグループのインデックスではない。」として、本件規格は構成要件1-1D、1-2D、2-1G、2-2C、2-3H及び2-4Cを充足しない旨主張する。 しかしながら、上記の デックスであって、PHICHグループのインデックスではない。」として、本件規格は構成要件1-1D、1-2D、2-1G、2-2C、2-3H及び2-4Cを充足しない旨主張する。 しかしながら、上記のとおり、本件規格において、PHICHマッピングユ ニット番号であるm’には、PHICHグループmがマッピングされるのであるから、このようなm’は、本件発明の上記各構成要件が規定する「PHICHグループに関連するインデックスを表す」ものであるし、また、PHICHグループのインデックスを表すものでもある。 ウしたがって、本件規格に準拠する被告製品は、本件発明のm’に係る各構 成要件を充足する。 (被告の主張)⑴ 本件第1発明についてア本件第1発明において、「式(1)」及び「式(2)」における「m’」は、「PHICHグループに関連するインデックス」を表すとされている(構 成要件1-1D及び1-2D)。 しかしながら、本件第1明細書等【0034】及び【0041】において、「m’」は「PHICHグループのインデックス」として記載されており、それ以外のものとすることは記載されていない。 したがって、構成要件1-1D及び1-2Dにおける「PHICHグループ に関連するインデックス」とは、PHICHグループのインデックスを意味すると解される。 イこれに対し、本件規格における「m’」は、以下の引用部分に記載されているとおり、「PHICHマッピングユニット」のインデックスであって、PHICHグループのインデックスではない。すなわち、PHICHグループのイ ンデックス「m」は、PHICHマッピングユニットのインデックス「m’」に、 所定の規則に従って対応付けられるが、両者は同一ではない。 したが すなわち、PHICHグループのイ ンデックス「m」は、PHICHマッピングユニットのインデックス「m’」に、 所定の規則に従って対応付けられるが、両者は同一ではない。 したがって、本件規格は構成要件1-1D及び1-2Dを充足しない。 ⑵ 本件第2発明について本件第2発明5において、【数1】及び【数2】の各数式における「m’」 【甲5】 (赤線部分の和訳)PHICHグループはPHICHマッピングユニットに対応付けされる。 通常サイクリックプレフィックスの場合、PHICHグループmからPHICHマッピングユニットm’への対応付けは、以下で定義される。 拡張サイクリックプレフィックスの場合、PHICHグループmとm+1からPHICHマッピングユニットm’への対応付けは、以下で定義される。 は、「前記PHICHを含むPHICHグループのインデックス」を表す(構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C)。 これに対し、本件規格における「m’」は、上記のとおり、「PHICHマッピングユニット」のインデックスであって、PHICHグループのインデックスではない。したがって、本件規格は構成要件2-1G、2-2C、2-3H及 び2-4Cを充足しない。 2 争点1-2(被告製品が「𝑙′𝑖」〔本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5B〕を充足するか否か)について (原告の主張)⑴ 被告が主張するクレーム解釈は、「本件発明が、移動局の発明として特徴的な構成を有していないため、無効である」ことを前提としているが、被告が主張する無効論はいず いて (原告の主張)⑴ 被告が主張するクレーム解釈は、「本件発明が、移動局の発明として特徴的な構成を有していないため、無効である」ことを前提としているが、被告が主張する無効論はいずれも理由がないから、被告のクレーム解釈は、その前提を欠き失当である。 ⑵ この点を措いても、被告が主張するクレーム解釈は、以下に述べるとおり明らかに誤りである。 ア本件第1発明の構成要件1-1D及び1-2Dについて「式(1)」と「式(2)」両方について、全ての可能性のある「𝑙′𝑖」について計算し、それら全てのインデックスに対応するリソースエレメント を介してACK/NACK信号を受信するという被告主張のクレーム解釈は、本件第1発明の特許請求の範囲の記載からは何ら読み取れないものであるし、被告自身が認めるとおり、本件第1明細書等の記載にも根拠がないものである。また、技術常識からしても、被告が主張するように「全ての可能性のある『𝑙′𝑖』について計算して、それら全てのインデックスに対応す るリソースエレメントを介してACK/NACK信号を受信する」などというこ とは、意味もなく通信効率を悪化させるだけであって、およそ考えられない。 したがって、本件第1発明の構成要件1-1D及び1-2Dについて被告が主張するクレーム解釈は、誤りである。 イ本件第2発明の構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、 2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bについて上記のとおり、被告が主張する上記のクレーム解釈は、本件第2発明の特許請求の範囲の記載からは何ら読み取れないものであり、また、本件第2明細書等の記載その他を踏まえても何ら根拠がなく、誤りである。 上記のとおり、被告が主張する上記のクレーム解釈は、本件第2発明の特許請求の範囲の記載からは何ら読み取れないものであり、また、本件第2明細書等の記載その他を踏まえても何ら根拠がなく、誤りである。 (被告の主張)⑴ 本件第1発明の非充足(2つの数式と「𝑙′𝑖」について)ア受信方法ないし受信装置に係る発明が開示されていないこと本件第1発明は、ACK/NACK信号が「REGインデックスn𝑖̅(i=0, 1, 2)に対応するリソースエレメントを介して受信され」、当該REGインデック スが「式(1)」又は「式(2)」のうちの「いずれかを用いて与えられることを特徴」とするACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置である(構成要件1-1D及び1-2D)。すなわち、ACK/NACK信号が、特定の数式で与えられるREGインデックスに対応するリソースエレメント(時間と周波数からなる無線資源)で送信されることを前提に、その信号を受 信する方法ないし受信装置である。 具体的には、ACK/NACK信号ないしPHICHがマッピングされるリソースエレメントグループ(REG)のインデックスが、ある数式で与えられることを特徴としている。そして、本件第1明細書等には、このマッピング方法により、送信されるPHICHの反復が隣接するセル間で干渉を起こすこと を防止できるという効果が得られ、発明の課題が解決されることが記載さ れている(【0008】及び【0018】)。 しかしながら、PHICHの上記マッピング方法は基地局により行われるものであり、そのようにマッピングされて伝送されたPHICHを移動局がどのような方法で受信するかについては、本件第1明細書等に一切記載がない。 そうすると、本件第1発明は、移動局の発明として われるものであり、そのようにマッピングされて伝送されたPHICHを移動局がどのような方法で受信するかについては、本件第1明細書等に一切記載がない。 そうすると、本件第1発明は、移動局の発明として特徴的な構成を有し ているとはいえず、移動局が備えるべき課題解決手段を提供していないから、本件第1発明に係る特許は、いずれも新規性ないし進歩性の要件、明確性の要件及びサポート要件に違反しており、無効とされるべきものである。 他方、仮に、本件第1発明が移動局の発明として特徴的な構成を有して いるとの解釈が成り立つとすれば、これらの発明は、特許請求の範囲で規定されているPHICHのマッピング方法が移動局に知らされていることを前提に、移動局が基地局と同じ方法によりPHICHがマッピングされているリソースエレメントグループのインデックスを求めることを定めていると解釈することがあり得る。このような解釈は、本件第1明細書等に裏付けの ないものではあるが、仮にこのような解釈が成り立ち得るとしても、以下のとおり、本件規格に準拠する移動局は、本件第1発明の技術的範囲に属するとはいえない。 イ構成要件1-1D及び1-2Dの解釈仮に、構成要件1-1D及び1-2Dが何らかの意味で受信方法又は受 信装置の構成を特定していると善解するとすれば、これらの構成要件は、受信装置が「式(1)」と「式(2)」を知った上で、これらの数式「のうちのいずれかを用いて与えられる」REGインデックスを特定し、当該REGインデックスに対応するリソースエレメントを介してACK/NACK信号を受信する受信方法ないし受信装置を意味すると解釈せざるを得ない。 しかしながら、仮にこのような解釈が成り立ち得るとしても、本件第1 発明は、いかなる場 介してACK/NACK信号を受信する受信方法ないし受信装置を意味すると解釈せざるを得ない。 しかしながら、仮にこのような解釈が成り立ち得るとしても、本件第1 発明は、いかなる場合に「式(1)」が用いられ、いかなる場合に「式(2)」が用いられるかを特定していない。また、「式(1)」と「式(2)」には、いずれも「𝑙′𝑖」なるパラメータが用いられているところ、本件第1発明は、「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかも特定していない。 ウ構成要件1-1D及び1-2Dの非充足 上記の解釈を前提とした場合、本件規格に従った移動局装置は、構成要件1-1D及び1-2Dを充足しない。すなわち、本件規格においては、リソースエレメントグループの時間領域のインデックス𝑙′𝑖(i=0, 1, 2)が特定の数式で与えられること、リソースエレメントグループの周波数領域のインデックスk’ が n𝑖̅ で与えられ、n𝑖̅ は、ある特定の条件が満たされ る場合は特定の数式により、そうでない場合は別の数式により与えられることが定められている(甲5)。これらの仕組みは、本件規格に定められることにより、移動局にも知られているため、移動局は、i =0, 1, 2についてインデックス𝑙′𝑖を特定することができ、また、当該𝑙′𝑖と特定の1個の数式を用いて n𝑖̅ を計算することができる。 したがって、本件規格に従った移動局は、2つの数式の両方を、全ての可能性のある「𝑙′𝑖」について計算し、それら全てのインデックスに対応するリソースエレメントを介してACK/NACK信号を受信する必要はなく、そのようなことを移動局が行っていることの立証もない。 したがって、本件規格に従った移動局は、構成要件1-1D及び1-2 Dを充足しない。 ⑵ 本件第 K/NACK信号を受信する必要はなく、そのようなことを移動局が行っていることの立証もない。 したがって、本件規格に従った移動局は、構成要件1-1D及び1-2 Dを充足しない。 ⑵ 本件第2発明5の非充足(2つの数式と「𝑙′𝑖」について)ア受信方法ないし受信装置に係る発明が開示されていないこと本件第2発明5は、「請求項3または4の基地局から多重化された信号を受信する」移動局で、当該信号が「請求項1または2の方法を用いて生 成されることを特徴とする」移動局の発明である(構成要件2-5A及び 2-5B)。しかしながら、請求項3及び請求項4は基地局の構成を定めるものであり、請求項1及び請求項2は基地局における信号の生成方法(PHICHをマッピングする方法)を定めるものであるから、いずれも移動局の構成を特定するものではない。そして、本件第2明細書等をみても、基地局によりマッピングされて伝送されたPHICHを移動局がどのような方 法で受信するかについては、一切記載がない。 したがって、上記で述べたところと同様に、本件第2発明5に係る特許は無効とされるべきものである。 イ構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bの解釈 仮に、請求項1ないし4が何らかの意味で移動局の構成を特定していると善解すれば、本件第2発明5の移動局は、請求項1ないし4の定める方法でPHICHがマッピングされることを知った上で、マッピングされたリソースエレメントグループを介してPHICHを受信する移動局を意味すると解するほかない。仮にこのような解釈が成り立ち得るとすると、本件第2発 明5は具体的には次のように理解されることになる。 すなわち、請求項1 ープを介してPHICHを受信する移動局を意味すると解するほかない。仮にこのような解釈が成り立ち得るとすると、本件第2発 明5は具体的には次のように理解されることになる。 すなわち、請求項1ないし4は、・「PHICHが下記の【数1】(【数3】と同じ)の数式に従って3つのOFDMシンボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し」(構成要件2-1D及 び2-3D)、・「PHICHが下記の【数2】(【数4】と同じ)の数式に従って2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、下記の【数2】の数式に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定することを含み」(構成要件2-2A及び2-4A) ・「前記PHICHの3つの反復を、決定されたインデックスに従ってOFDM シンボルにマッピング」することを含む(構成要件2-1E及び2-3F)以上の基地局ないしマッピング方法を定めている。 そして、【数1】ないし【数4】には、いずれも「𝑙′𝑖」なるパラメータが用いられているところ、本件第2発明1ないし4は、「𝑙′𝑖」がいかにし て与えられるかを特定していない。そうすると、本件第2発明5の移動局は、「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかが分からないことを前提に、【数1】ないし【数4】で与えられるインデックスに対応するリソースエレメントを介してPHICHを受信する移動局であると理解するほかない。具体的には、本件第2発明5の移動局は、全ての可能性のある「𝑙′𝑖」について【数1】 ないし【数4】を用いてインデックスを計算し、それら全てのインデックスに対応するリソースエレメントを介してPHICHを受信することを 5の移動局は、全ての可能性のある「𝑙′𝑖」について【数1】 ないし【数4】を用いてインデックスを計算し、それら全てのインデックスに対応するリソースエレメントを介してPHICHを受信することを規定するものである。 ウ構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bの非充足 上記の解釈を前提とした場合、本件規格に従った移動局装置は、構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bを充足しない。すなわち、前記のとおり、本件規格においては、リソースエレメントグループの時間領域のインデックス𝑙′𝑖(i=0, 1, 2)が特定の数式で与えられること、リ ソースエレメントグループの周波数領域のインデックスk’ がn𝑖̅ で与えられ、n𝑖̅は、ある特定の条件が満たされる場合は特定の数式により、そうでない場合は別の数式により与えられることが定められている。これらの仕組みは、本件規格に定められることにより、移動局にも知られているので、移動局は、i = 0, 1, 2についてインデックス𝑙′𝑖を特定することができ、 また、当該𝑙′𝑖と特定の1個の数式を用いてn𝑖̅を計算することができる。 したがって、本件規格に従った移動局は、2つの数式の両方を、全ての可能性のある「𝑙′𝑖」について計算し、それら全てのインデックスに対応するリソースエレメントを介してACK/NACK信号を受信する必要はなく、そのようなことを移動局が行っていることの立証もない。 したがって、本件規格に従った移動局は、構成要件2-1Dないし2- 1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B そのようなことを移動局が行っていることの立証もない。 したがって、本件規格に従った移動局は、構成要件2-1Dないし2- 1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bを充足しない。 ⑶ 小括以上のとおり、本件特許に無効理由がないとしても、本件規格に従った移動局は、本件発明の技術的範囲に属さない。 3 争点2(権利濫用の成否)について(被告の主張)上記のとおり、本件第1発明1、本件第1発明2及び本件第2発明5は、基地局によるPHICHのマッピング方法に特徴を有する発明であり、移動局の発明として特徴的な構成を何ら有していない。そして、上記各発明の特許請求の範 囲は、「当該発明に係る方法を実施している基地局から伝送された信号を受信する移動局」と述べているのみであって、そのために移動局が具体的にどのような構成を備える必要があるのか、全く規定されていない。また、本件各明細書等をみても、移動局の構成に特徴を有する発明は、何ら開示されていない。 そうすると、上記各発明の技術的価値は基地局が行う方法にあり、その実施 に対して対価を請求すべき相手は基地局の製造者ないし設置者であって、移動局の販売業者ではない。それにもかかわらず、被告のような移動局の販売業者に対して特許権を行使することは、権利の濫用に当たる。 (原告の主張)本件第1発明1、本件第1発明2及び本件第2発明5は、それぞれの特許請 求の範囲に規定されているとおり、受信装置が、所定の数式等に従ってACK/N ACK信号を受信する等の点に特徴を有するものである。このような特徴は、受信装置(移動局)のみならず、基地局側で行われる処理をも前提とするものであるとしても、受信装置(移動局 ACK/N ACK信号を受信する等の点に特徴を有するものである。このような特徴は、受信装置(移動局)のみならず、基地局側で行われる処理をも前提とするものであるとしても、受信装置(移動局)が、何らの特徴を有しないことにはならないし、発明の価値を享受していないことにもならない。また、上記各発明が解決しようとする課題は「PHICHが隣接セルID間で干渉を起こさないようにする」 点にあるから、このような課題が改善又は解決されることの恩恵は、基地局のみならず、受信装置(移動局)も享受することは明らかである。 そして、被告製品(移動局)においても、上記各発明の各構成要件を充足し、当該発明が規定する特徴を備える形でACK/NACK信号を受信する構成を備えている以上、当該発明の価値を享受していることは明らかである。 したがって、被告に対する特許権行使が権利の濫用などとする被告の主張は誤りである。 4 争点3-1(乙1発明に基づく進歩性欠如の有無)について(被告の主張)⑴ 乙1発明 ア乙1で引用されている文献(R1-080898, DraftCRto 36.211 v8.1.0(乙2。 以下「当初規格」という。)には、後記のとおり、複数のPHICHをPHICHグループとしてマッピングすることが記載されているところ、乙1は、上記引用部分に記載されているとおり、当初規格では、PHICHが隣接するセルの間で常に衝突するという課題があることを指摘している。そして、こ のような課題を解決するために、セルIDに基づいてPHICHのマッピングをシフトさせることにより、セル間でのPHICHのリソースの衝突をランダム化し、又は避けることを提案すると説明している。 イ乙1は基地局によるPHICHのマッピング方法を てPHICHのマッピングをシフトさせることにより、セル間でのPHICHのリソースの衝突をランダム化し、又は避けることを提案すると説明している。 イ乙1は基地局によるPHICHのマッピング方法を定める通信規格であるが、原告は、乙1と同様の通信規格(甲5)に準拠する移動局である被告 製品が、本件第1発明1の受信方法の使用に用いるものであり、また、本 件第1発明2及び本件第2発明5の受信装置ないし移動局に該当すると主張している。このような原告の主張を前提とすれば、乙1には、乙1に記載されている方法に従ってマッピングされたPHICHを受信する方法及び移動局も実質的に開示されているといえる。 そうすると、乙1には、以下の発明(乙1発明)が記載されているとい える。 <乙1発明>マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局から、多重化された複数のACK/NACK信号をPHICHを通じて1フレーム内で受信する方法ないし受信装置であって前記基地局から前記移動局への送信ではPHICHをOFDMシンボルにマッピングし前記のそれぞれのOFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含み前記のそれぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含み前記PHICHは3回反復して、それぞれ1個、2個又は3個のOFDMシンボルで送信され、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスn𝑖̅は以下の数式に従って決定される (ただし、「ni’」は「」の誤記である。)NcellIDはセルIDを表し、iは前記PHICHの反復のインデックスを表し、ni’ は、 OFDMシンボルiにおいてPCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループの数を表し、m’ lIDはセルIDを表し、iは前記PHICHの反復のインデックスを表し、ni’ は、 OFDMシンボルiにおいてPCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループの数を表し、m’は前記PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表すことを特徴とするACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置。 ⑵ 相違点ア本件発明が特許請求の範囲に記載のとおり認定され、かつ、被告製品が本件発明の技術的範囲に属するという原告の主張を前提とすれば、本件発明と乙1発明は、構成要件1-1Aないし1-1C、1-2Aないし1- 2C、2-1Aないし2-1C、2-1E、2-1G、2-1H、2-3Aないし2-3C、2-3E、2-3G及び2-3Hにおいて、いずれも一致する。 イそして、本件発明と乙1発明は、以下の点において相違する。 <本件第1発明と乙1発明の相違点> 本件第1発明においては、リソースエレメントグループのインデックスn𝑖̅が (以下「数式1」という。)又は (以下「数式2」という。)で与えられるのに対し、 乙1発明においては、リソースエレメントグループのインデックスn𝑖̅が (以下「数式A」という。)で与えられる点。 <本件第2発明5と乙1発明の相違点> 本件第2発明5においては、PHICHが数式1に従って3つのOFDMシンボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、数式2に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定するのに対し、 乙1発明は、数式Aに従って3回送 つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、数式2に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定するのに対し、 乙1発明は、数式Aに従って3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定する点。 ⑶ 容易想到性ア乙1は、セルIDに基づいてPHICHのマッピングをシフトさせることにより、セル間でのPHICHのリソースの衝突をランダム化し、又は避けること を提案するものであり、数式Aはこれを実現する手段として提案されている。具体的には、数式AにはNcellIDを含む項が設けられており、リソースエレメントグループ(REG)のインデックスn𝑖̅が、セルIDに基づいてシフトするため、これに従ってマッピングをすれば、隣接するセル間でPHICHがマッピングされる領域が重ならないようにすることができるかのように みえる。 イしかしながら、複数のOFDMシンボルにわたる場合は、OFDMシンボルによって、PHICHを割り当てることのできるREGの個数𝑛′𝑙′𝑖が異なり得るから、当業者が数式Aをみれば、PHICHが複数のOFDMシンボルにマッピ ングされる場合は、必ずしも上記のような結果が得られないことを認識する。すなわち、数式Aは、NcellID番目のREGを基準とする位置から開始して、周波数帯域幅の概ね3分の1ずつの位置にPHICHを割り当てることを基本としているところ、例えば第1シンボルと第2シンボルでPHICHを割り当てることのできるREG(PCFICHが割り当てられていないREG)の個数が 異なると、最初のシンボルにおけるNcellID番目のREGと、2番目のシンボルにおけるNcellID番目のREGでは、周波数帯域上の位置が異なってしまう り当てられていないREG)の個数が 異なると、最初のシンボルにおけるNcellID番目のREGと、2番目のシンボルにおけるNcellID番目のREGでは、周波数帯域上の位置が異なってしまう。 このような開始位置のずれに起因して、複数のシンボルにPHICHを割り当てる場合は、第1シンボルのみにPHICHを割り当てる場合の周波数の位置からずれが生じ、意図した結果を得ることができない。 ウそして、当初規格(乙2)に記載されているように、PCFICH(physicalcontrolformatindicatorchannel)は、サブフレームの中の最初のOFDMシンボルにおける4つのリソースエレメントグループにマッピングされるため、サブフレーム内の最初のOFDMシンボルとそれ以外では、「PCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループの数」が異なることは 明らかであるから、PHICHを割り当てることのできるREG(PCFICHが割り当てられていないREG)の個数𝑛′𝑙′𝑖がOFDMシンボルによって異なることは、当業者には自明である。 エこのような誤りは、利用可能なREGの個数がOFDMシンボルによって異なり、それを概ね3等分した場合の間隔もOFDMシンボルによって異なる にもかかわらず、REGの指定において開始位置の基準となるNcellIDが、全てのOFDMシンボルで同一になっていることによる。そこで、このような誤りを是正する最も単純な方法は、REGの指定において基準となるNcellIDを、①最初のPHICHの反復がマッピングされるOFDMシンボルにおいて利用可能なREGの個数と、②2番目・3番目のPHICHの反復がマッピングされる OFDMシンボルにおいて利用可能なRE を、①最初のPHICHの反復がマッピングされるOFDMシンボルにおいて利用可能なREGの個数と、②2番目・3番目のPHICHの反復がマッピングされる OFDMシンボルにおいて利用可能なREGの個数の比により調整することで ある。 そうすると、乙1に接した当業者は、数式Aの誤りを是正することに動機付けられ、相違点に係る構成に容易に想到し得るものといえる。 なお、当業者が乙1の誤りを認識し得ることは、乙1の起草者と思われる本件発明の発明者が、乙1が発表された僅か11日後に、乙1には「誤 り」があったとの指摘を受けたとして、乙1を訂正するメールを3GGPのグループメンバーに送信していることからも理解できる(乙3)。ここにおいて指摘されている「誤り」は、上記で説明したものと同じ、PHICHを複数のOFDMシンボルにマッピングした場合に生じる問題である。 ⑷ 以上によれば、本件発明は、乙1発明の技術的な誤りを自明な方法で修正 することにより得られた発明であるから、いずれも乙1に基づいて容易に想到し得たものであり、進歩性を欠く。 (原告の主張)⑴ 本件発明と乙1発明との相違点本件発明と乙1発明とを比較すると、少なくとも、被告も認める上記2点 において相違する。 ⑵ 容易想到とはいえないこと本件発明と乙1発明との上記各相違点について、被告は、乙1発明の数式Aは「誤り」であり、当業者であれば、数式Aの「誤り」を認識でき、これを「自明な方法で修正する」ことによって本件発明に容易に想到できた旨主 張する。しかしながら、以下のとおり、被告の主張は誤りである。 アそもそも被告は、本件発明と乙1発明との上記各相違点に係る構成を開示する先行技術文献や、当該各相違点が周知技術であることを 張する。しかしながら、以下のとおり、被告の主張は誤りである。 アそもそも被告は、本件発明と乙1発明との上記各相違点に係る構成を開示する先行技術文献や、当該各相違点が周知技術であることを示すような客観的な証拠を何ら示していない。単に被告は、本件発明を見た上で、乙1発明の数式Aには、本件発明と比べると問題があり、それを修正して本 件発明に想到することは容易であったはずであるという事後的な推測を 述べるにすぎない。 イ仮に、本件特許の優先日前に、乙1発明に接した当業者が、その数式Aの問題点を認識したとしても、「その問題点を修正して、本件発明のように数式1や数式2を用いる等の構成を容易に想到できた」とする客観的な根拠(本件発明の構成を開示する副引例や、技術常識等)は何ら示されて いない。 ウこれに対し、被告は、乙3を根拠に、当業者が乙1の誤りを認識し得たと主張するものの、乙3のメール送信日である2008年2月26日は、本件特許の優先日である同月19日よりも後であるから、乙3のメールの記載内容は、本件特許の優先日前の当業者の認識や技術常識等を示す根拠 とはなり得ない。 加えて、乙3のメールを送信したのは本件発明の発明者であり、乙1や本件発明の内容を熟知していたはずの者である。そのような発明者が、本件特許の優先日より後に、乙1の「error」の指摘を受けたとしてこれを修正する乙3のメールを送信していたからといって、本件特許の優先日前に 「乙1の数式Aには誤りがあると当業者が容易に認識できた」とはいえないし、ましてや、「乙1の数式Aを修正して本件発明の構成に想到することが当業者に容易であった」とは到底いえない。 5 争点3-2(サポート要件違反の有無)について(被告の主張) いえないし、ましてや、「乙1の数式Aを修正して本件発明の構成に想到することが当業者に容易であった」とは到底いえない。 5 争点3-2(サポート要件違反の有無)について(被告の主張) ⑴ 「m’」について本件第1発明において、「m’」は「PHICHグループに関連するインデックス」を表すと記載されているが(構成要件1-1D及び1-2D)、本件第1明細書等では、「m’」は一貫して「PHICHグループのインデックス」として記載されている。したがって、「m’」は「PHICHグループのインデックス」 を意味すると解釈されるべきである。 仮に、「m’」が「PHICHグループのインデックス」に限られず、「PHICHグループに関連するインデックス」を広く含むとすれば、「PHICHグループに関連するインデックス」には多種多様なものが含まれることになり、「m’」をそのようなインデックスとした場合に発明の課題が解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識することはできない。 したがって、本件第1発明の記載は、サポート要件を満たさない。 ⑵ 「𝑙′𝑖」についてア本件第1発明は、ACK/NACK信号が「REGインデックスn𝑖̅(i=0, 1, 2)に対応するリソースエレメントを介して受信され」、当該REGインデックスが「式(1)」又は「式(2)」のうちの「いずれかを用いて与えられ ることを特徴」とするACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置である(構成要件1-1D及び1-2D)。 しかしながら、本件第1発明は、いかなる場合に「式(1)」が用いられ、いかなる場合に「式(2)」が用いられるかを特定していない。また、「式(1)」と「式(2)」には、いずれも「𝑙′𝑖」なるパラメータが用 しながら、本件第1発明は、いかなる場合に「式(1)」が用いられ、いかなる場合に「式(2)」が用いられるかを特定していない。また、「式(1)」と「式(2)」には、いずれも「𝑙′𝑖」なるパラメータが用いら れているところ、本件第1発明は、「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかも特定していない。 他方、本件第1発明の詳細な説明においては、「𝑙′𝑖」が次のように定義されている(【0033】)。 そして、このような「𝑙′𝑖」の定義によれば、「1個または3個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合、最初の開始シンボルの位置は常 に最初のOFDMシンボルとなる」(【0039】)ので、「式(1)」に対応する数式を用い、「2個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には、最初のPHICHグループが2番目のOFDMシンボルから始まることになる」(【0039】)ので、「式(2)」に対応する数式を用いることになる。本件第1発明の課題は「PHICHの反復が隣接セルID間で干渉 を起こさないようなPHICHのマッピング方法」を提供することであるところ(【0008】)、上記のような条件を満たさない場合にまで「式(1)」や「式(2)」を用いて発明の課題が解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識することはできない。 したがって、本件第1発明の記載は、サポート要件を満たさない。 イ本件第2発明5は、【数1】ないし【数4】における「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかを特定していない。 他方、本件第2特許に係る発明の詳細な説明においては、本件第1特許と同様、「𝑙′𝑖」が具体的に定義されている(【0033】)。そして、「𝑙′𝑖」の定義によれば、「1個または3個のOFDMシンボルを通じてPHICHが 許に係る発明の詳細な説明においては、本件第1特許と同様、「𝑙′𝑖」が具体的に定義されている(【0033】)。そして、「𝑙′𝑖」の定義によれば、「1個または3個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝 送される場合、最初の開始シンボルの位置は常に最初のOFDMシンボルとなる」(【0039】)ので、【数1】及び【数3】に対応する数式を用い、「2個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には、最初のPHICHグループが2番目のOFDMシンボルから始まることになる」(【0039】)ので、【数2】及び【数4】に対応する数式を用いることにな る。本件第2発明5の課題は「PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起こさないようなPHICHのマッピング方法」を提供することであるところ(【0008】)、上記のような条件を満たさない場合、すなわち、単に「3つのOFDMシンボルにより送信される」か「2つのOFDMシンボルにより送信される」かによって【数1】ないし【数4】を使い分けることで発明の 課題が解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識することはで きない。 したがって、本件第2発明5の記載は、サポート要件を満たさない。 ⑶ 本件発明について本件各明細書等の記載によれば、PHICHのOFDMシンボルへのマッピングは送信装置(基地局)により行われ、これにより、送信されるPHICHの反復 が、隣接するセル間で干渉を起こすという課題を解決し、効果が得られるのであり、この送信装置(基地局)が行うマッピング方法に課題解決のための技術的手段があるのであって、送信装置(基地局)が当該信号を送信する段階で既に発明として完成している。 他方、受信方法や受信装置(移動局)は、発明の詳細な説明において、何 方法に課題解決のための技術的手段があるのであって、送信装置(基地局)が当該信号を送信する段階で既に発明として完成している。 他方、受信方法や受信装置(移動局)は、発明の詳細な説明において、何 ら発明として記載されていない。この点、単に、基地局から送信される信号を受信する「受信装置(移動局)」と特許請求の範囲に記載するだけでは、「受信装置(移動局)」という物の発明を開示したことにならない。 したがって、本件発明の記載は、サポート要件を満たさない。 (原告の主張) ⑴ 「m’」について被告が依拠する判断基準(多種多様なm’について発明の課題を解決できることを認識できなければならないとする判断基準)は、特許請求の範囲において化学物質の特性値が複数のパラメータで特定され、その解釈が争点となっていた等の特殊な事案において採用されたものであって、そのような特殊 な事情を有しない本件に直接妥当するものではない。 本件特許においては、特許請求の範囲に規定された「m’は……PHICHグループに関連するインデックスを表す」に対応する実施例として、発明の詳細な説明において「m’は、PHICHグループのインデックスを表(す)」ことが開示されているのであるから、サポート要件に違反することはない。 ⑵ 「𝑙′𝑖」について 被告が依拠する判断基準は、特許請求の範囲において物質の特性値を複数のパラメータで特定する等の特殊な事案で採用された基準であり、そのような特殊な事情を有しない本件に直接妥当するものではない。 本件特許請求の範囲の記載事項に関し、被告が問題視する「𝑙′𝑖」についてみると、これに対応する技術的事項は、発明の詳細な説明の段落【0033】 等に実施例として開示されており、その点で、 い。 本件特許請求の範囲の記載事項に関し、被告が問題視する「𝑙′𝑖」についてみると、これに対応する技術的事項は、発明の詳細な説明の段落【0033】 等に実施例として開示されており、その点で、「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものである」ことは明らかであり、サポート要件違反の問題が生じる余地はない。 ⑶ 本件発明について本件特許の特許請求の範囲に規定された受信装置や方法についてみると、 これに対応する実施例が発明の詳細な説明において開示されているから、サポート要件違反が問題となる余地はない。 仮に、被告が問題とするような「発明の課題解決手段やその効果」に着目したとしても、本件発明に係る特許請求の範囲には、所定の式等に従ってACK/NACK信号等を受信する方法ないし装置が規定されており、明細書の発 明の詳細な説明の開示内容等をも踏まえれば、当該特許請求の範囲に規定された構成によって、発明の課題を解決できることを当業者は理解することができる。 したがって、サポート要件違反に関する被告の主張には理由がない。 6 争点3-3(新規性欠如の有無)について (被告の主張)⑴ 本件第1発明は、ACK/NACK信号が「REGインデックスn𝑖̅(i=0, 1, 2)に対応するリソースエレメントを介して受信され」、当該REGインデックスが「式(1)」又は「式(2)」のうちの「いずれかを用いて与えられることを特徴」とするACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置である(構成要 件1-1D及び1-2D)。しかしながら、REGインデックスを「式(1)」 又は「式(2)」のうちの「いずれかを用いて与え」るのは、ACK/NACK信号を送信する基地局であって、受信装置ではない。 ま 1-2D)。しかしながら、REGインデックスを「式(1)」 又は「式(2)」のうちの「いずれかを用いて与え」るのは、ACK/NACK信号を送信する基地局であって、受信装置ではない。 また、本件第2発明5は、「請求項3又は4の基地局から多重化された信号を受信する」移動局で、当該信号が「請求項1又は2の方法を用いて生成されることを特徴とする」移動局の発明である。しかしながら、請求項3及 び4は基地局の構成を定めるものであり、請求項1及び2は基地局が送信する信号の生成方法を定めるものである。 したがって、本件発明は、2つ以上の装置を組み合わせてなる全体装置の発明に対し、組み合わされる各装置の発明(サブコンビネーション発明)であるか、それと実質的に同じである。 ⑵ サブコンビネーション発明においては、特許請求の範囲の請求項中に記載された「他の装置」に関する事項が、形状、構造、構成要素、組成、作用、機能、性質、特性、行為又は動作、用途等(以下「構造、機能等」という。)の観点から当該請求項に係る発明の特定にどのような意味を有するかを把握して当該発明の要旨を認定する必要があるところ、「他の装置」に関する 事項が当該「他の装置」のみを特定する事項であって、当該請求項に係る発明の構造、機能等を何ら特定してない場合は、「他の装置」に関する事項は、当該請求項に係る発明を特定するために意味を有しないことになるから、これを除外して当該請求項に係る発明の要旨を認定すべきである(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)第10056号同4年2月10日判決参照)。 ⑶ そこで、本件各明細書等の記載を参酌すると、本件発明は、「ダウンリンクで伝送される信号の周波数及びOFDMシンボル領域に対するマッピング方法」に関すること(【0001】 日判決参照)。 ⑶ そこで、本件各明細書等の記載を参酌すると、本件発明は、「ダウンリンクで伝送される信号の周波数及びOFDMシンボル領域に対するマッピング方法」に関すること(【0001】)、具体的には基地局が伝送するACK/NACK信号(【0004】)ないしACK/NACK信号を伝送する物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:PhysicalHybridARQIndicatorChannel)を 伝送するに当たり、隣接セル間において生じる干渉を減少させるため、各セ ルでPHICHの伝送位置を異ならせるようにすること(【0037】)、そのために、PHICHがマッピングされる直交周波数分割多重(OFDM)シンボルのリソースエレメントグループ(REG)のインデックスをある数式に従い算出すること(【0038】ないし【0043】)が記載されている。そして、これにより、送信されるPHICHの反復が、隣接するセル間で干渉を起こすこ とを防止できるという効果が得られ、発明の課題が解決されることが記載されている(【0008】及び【0018】)。他方、そのようにマッピングされて伝送されたPHICHを、移動局(ACK/NACK信号の受信装置)がどのような方法で受信するか、例えば受信された信号からどのようにしてPHICHを復号するかについては、一切記載がない。 そうすると、本件第1発明における「前記REGインデックスn𝑖̅は、……のうちのいずれかを用いて与えられることを特徴とする」の部分(構成要件1-1D及び1-2D)は、基地局のみを特定する事項であって、ACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置に係る発明の構造、機能等を何ら特定していないから、本件第1発明1に係る発明の要旨は、この部分を除外し 及び1-2D)は、基地局のみを特定する事項であって、ACK/NACK信号の受信方法ないし受信装置に係る発明の構造、機能等を何ら特定していないから、本件第1発明1に係る発明の要旨は、この部分を除外して認定す べきである。同様に、本件第2発明5における「請求項3または4の」との部分(構成要件2-5A)と「前記信号は、請求項1または2の方法を用いて生成されることを特徴とする」(構成要件2-5B)との部分も、移動局の構成、機能等を何ら特定していないから、本件第2発明5に係る発明の要旨は、この部分を除外して認定されるべきである。 ⑷ したがって、本件第1発明1、本件第1発明2及び本件第2発明5の要旨は、それぞれ次のように認定されるべきである。 ①「PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する方法であって、前記送信端からリソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信する、ACK/NACK信号の受信方法」 ②「PHICHを通じて、送信端からACK/NACK信号を受信する装置であって、 前記送信端からリソースエレメントを含むOFDMシンボルを受信する、ACK/NACK信号の受信装置」③「基地局から多重化された信号を受信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局」そうすると、これらは何ら新規な構成を含まず、例えば乙2により公知で あるから、本件第1発明1、本件第1発明2及び本件第2発明5は、新規性を欠く。 (原告の主張)⑴ 被告がその主張の根拠として援用する知財高裁判決は、情報処理装置の発明として規定された請求項の中に、明示的に他の装置であるサーバの処理内 容が規定され、特許請求の範囲の記載の技術的意義を一義的に明確に理解できないという特殊な事案に関するものである。 装置の発明として規定された請求項の中に、明示的に他の装置であるサーバの処理内 容が規定され、特許請求の範囲の記載の技術的意義を一義的に明確に理解できないという特殊な事案に関するものである。したがって、そもそも、当該知財高裁判決の判断枠組みを取り出して、他の事案にも妥当すべきものと理解することはできない。 ⑵ また、本件第1発明について、上記知財高裁判決が採用した発明の要旨認 定の基準を適用すべき根拠は全くない。そもそも、本件第1発明は、受信装置の構成(本件第1発明2)、又は受信方法の構成(本件第1発明1)を端的に規定する発明であり、上記知財高裁判決で問題となった請求項のように、ある装置(情報処理装置)の発明として規定された請求項の中に別の装置(サーバ)の処理内容までもが混在して規定されているものではない。 また、上記知財高裁判決で問題となった請求項では、情報処理装置の発明として規定された請求項の中に別のサーバの処理内容までもが混在して規定されているために、特許請求の範囲の記載の技術的意義を一義的に明確に理解することができない特段の事情があると認定されたのに対し、本件第1発明については、そのような特段の事情は何ら存しない。 以上によれば、上記知財高裁判決における特殊な請求項に対して適用され た発明の要旨認定の基準につき、これを本件第1発明に適用すべき理由がないことは明らかである。 ⑶ 本件第2発明5についても、上記知財高裁判決が採用した発明の要旨認定の基準を適用すべき根拠は全くない。そもそも、本件第2発明5は、飽くまで移動局の構成を規定する発明であり、上記知財高裁判決で問題となった請 求項のように、ある装置(情報処理装置)の発明として規定された請求項の中に別の装置(サーバ)の処理内容 第2発明5は、飽くまで移動局の構成を規定する発明であり、上記知財高裁判決で問題となった請 求項のように、ある装置(情報処理装置)の発明として規定された請求項の中に別の装置(サーバ)の処理内容までもが混在して規定されているものではない。 また、上記知財高裁判決で問題となった請求項では、情報処理装置の発明として規定された請求項の中に別のサーバの処理内容までもが混在して規 定されているために、特許請求の範囲の記載の技術的意義を一義的に明確に理解することができない特段の事情があると認定されたのに対し、本件第2発明5については、そのような特段の事情は何ら存しない。 以上によれば、本件第2発明5についても、上記知財高裁判決における特殊な請求項に対して適用された発明の要旨認定の基準につき、これを適用す べき理由がないことは明らかである。 7 争点3-4(明確性要件違反の有無)について(被告の主張)⑴ 本件各明細書等に記載された内容は、OFDMシンボルのリソースエレメントにPHICHをマッピングしてACK/NACK情報を送信する技術である。このマ ッピング方法は、基地局において行われ、PHICHがOFDMシンボルにマッピングされた信号は移動局に向けて送信される。そして、これにより、送信されるPHICHの反復が、隣接するセル間で干渉を起こすことを防止できるという効果が得られる(【0008】及び【0018】)。すなわち、本件各明細書等に発明として開示された内容は、基地局においてPHICHをOFDMシン ボル上にマッピングする方法であり、これにより発明の課題が解決されると いうものである。 ⑵ これに対し、本件第1発明1は「受信方法」の発明であり、本件第1発明2は「受信装置」の発明である。また、本件第 グする方法であり、これにより発明の課題が解決されると いうものである。 ⑵ これに対し、本件第1発明1は「受信方法」の発明であり、本件第1発明2は「受信装置」の発明である。また、本件第2発明5は、「請求項3または4の基地局から多重化された信号を受信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局であり、前記信号は、請求項1または2の方法を用い て生成されることを特徴とする移動局」とされており、発明の対象は、「移動局」(受信装置)となっている。 しかしながら、これらの本件発明の特許請求の範囲の記載は、基地局から送信される信号を受信する「受信装置(移動局)」と述べているだけであり、そのために移動局が具体的にどのような構成を備える必要があるのか、全く 規定していないし、本件各明細書等にもその開示がない。そのため、いかなる構成を有する移動局(受信装置)が発明の範囲に入るのかを、当業者は理解することができない。 したがって、本件発明の特許請求の範囲の記載は、明確性の要件を満たさない。 (原告の主張)本件発明のうち、まず本件第1発明1等の方法の発明についてみると、特許請求の範囲において、所定の式等に従ってACK/NACK信号等を受信する方法が明確に規定されており、明細書の発明の詳細な説明の開示内容等をも踏まえれば、どのような方法がその発明の範囲に入るのかを当業者は理解することがで き、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とは到底いえない。また、本件第1発明2等の受信装置の発明についても、当該装置の特徴として、所定の式等に従ってACK/NACK信号等を受信するものであることが明確に特定されており、どのような装置がその発明の範囲に入るのかを当業者は理解することができ、第三者に不測の不利益を及ぼ 徴として、所定の式等に従ってACK/NACK信号等を受信するものであることが明確に特定されており、どのような装置がその発明の範囲に入るのかを当業者は理解することができ、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とは到底いえない。 したがって、明確性要件違反に関する被告の主張には理由がない。 8 争点3-5(優先権主張が認められないことに基づく進歩性欠如の有無)について(被告の主張)⑴ 優先権基礎出願の内容本件特許の優先権基礎出願(乙4)の特許請求の範囲、明細書及び図面(以 下「基礎出願書類」という。)に一貫して記載されている内容は、OFDMシンボルのリソースエレメントにPHICHをマッピングしてACK/NACK情報を送信する技術である。 このマッピング方法は、基地局において行われ、PHICHがOFDMシンボルにマッピングされた信号は移動局に向けて送信される。そして、これにより、 送信されるPHICHの反復が、隣接するセル間で干渉を起こすことを防止できるという効果が得られる(乙4【0007】及び【0016】)。 優先権基礎出願の特許請求の範囲の記載によれば、PHICHをシンボルにマッピングする方法がその内容となっており、受信方法や受信装置(移動局)に向けられた請求項はない。 ⑵ 本件発明の内容これに対し、本件第1発明1は「受信方法」の発明であり、本件第1発明2は「受信装置」の発明である。また、本件第2発明5は、「請求項3または4の基地局から多重化された信号を受信する、マルチキャリアセルラ移動通信システムの移動局であり、前記信号は、請求項1または2の方法を用い て生成されることを特徴とする移動局」とされており、発明の対象は、「移動局」(受信装置)となっている。 し セルラ移動通信システムの移動局であり、前記信号は、請求項1または2の方法を用い て生成されることを特徴とする移動局」とされており、発明の対象は、「移動局」(受信装置)となっている。 しかしながら、基礎出願書類の記載内容は上記のとおりであり、PHICHのOFDMシンボルへのマッピングは基地局により行われ、これにより、送信されるPHICHの反復が、隣接するセル間で干渉を起こすことを防止できるとい う効果が得られるのであり、この段階で既に発明として完成している。そし て、受信方法や受信装置(移動局)は、特許請求の範囲及び図面を含め、優先権基礎資料には発明として記載されていない。 そうすると、本件発明については、基礎出願書類に基礎を有しないから、優先権主張の効果が認められず、本件発明の特許要件の判断の基準時は、現実の出願日である2009年2月13日となる。 ⑶ 乙5に基づく進歩性欠如乙5は、2008年2月28日に公開されたものであるところ、数式を含め、本件各明細書等に記載されたものと同様の物理ハイブリッドARQ指示チャネル(PHICH)のマッピング方法を開示している。 これに対し、本件発明は、基地局において当該マッピング方法により生成 された信号を受信装置(移動局)で受信する場面を特許請求の範囲として規定するものである。他方、乙5に開示されたマッピング方法は、ダウンリンクの信号、すなわち基地局から移動局に向けて送信される信号を、基地局でどのように生成処理するかを規定したものであって、受信装置(移動局)の側でこれをどのように受信するかを規定するものではない。 したがって、受信装置(移動局)側について規定するものではない点で、乙5に開示されたマッピング方法は、本件発明と相違する。 しかしな 側でこれをどのように受信するかを規定するものではない。 したがって、受信装置(移動局)側について規定するものではない点で、乙5に開示されたマッピング方法は、本件発明と相違する。 しかしながら、本件発明は、受信方法や受信装置(移動局)の具体的な構成を何ら規定しておらず、本件発明は、乙5に開示されたマッピング方法によりマッピングされた信号が受信装置(移動局)で受信されることを規定し たという以上の内容を有しないから、当業者が容易に想起し得るものといえる。 したがって、本件発明は、乙5の開示内容に照らし、進歩性を欠く。 (原告の主張)⑴ 本件発明の内容は、優先権主張の基礎出願書類(甲7、乙4)に開示され ているから、優先権が認められないことを前提とする被告の主張には理由が ない。 すなわち、本件発明においては、受信方法ないし受信装置の特徴として、所定の式等に従ってACK/NACK信号等を受信する構成が規定されている。そして、本件発明における受信方法ないし受信装置の特徴である、所定の式等に従ったACK/NACK信号等の受信に係る構成に対応して、本件各明細書等の 発明の詳細な説明の【0039】ないし【0043】の実施例として、当該所定の式等に従ってACK/NACK信号等を伝送する(受信機側から見れば受信することに相当する。)ことが開示されている。 この点につき、本件特許の優先権主張の基礎とされた米国仮出願(甲7)の開示内容についてみると、上記の本件特許の実施例に相当する内容が開示 されている。また、乙4においても、【0015】や【0036】ないし【0043】において、上記の本件特許の実施例に相当する内容が開示されている。 ⑵ したがって、本件発明において受信方法ないし受信装置の特徴と また、乙4においても、【0015】や【0036】ないし【0043】において、上記の本件特許の実施例に相当する内容が開示されている。 ⑵ したがって、本件発明において受信方法ないし受信装置の特徴として規定された、所定の式等に従ったACK/NACK信号等を受信する構成については、 これに対応する技術的事項が、優先権の基礎出願である甲7及び乙4のいずれにも開示されている。 したがって、本件発明についてその基礎出願に基づく優先権主張が認められないとする被告の主張は、誤りである。 9 争点4(FRAND条件によるライセンスを受ける意思の有無等)について (被告の主張)以下で述べるとおり、被告はFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有する者であるから、原告による本件特許権に基づく差止請求権の行使は、権利の濫用に当たり許されない。 ⑴ 交渉の経緯等 ASUS台湾及び被告は、原告の連絡に対して速やかに対応し、面談を重 ね、原告が提示したライセンス条件の不合理な点を迅速かつ具体的に指摘した上で、対案も速やかに提示し、かつ、それがFRAND条件であることの根拠も説明してきた。他方、原告は、ライセンス条件の計算根拠を提示することを2020年8月に約束したにもかかわらず、翌年5月になってようやくこれを開示したこと、米国訴訟を提起して世界全体の交渉の進行を止めて 米国特許についてのみ和解したこと、原告保有特許が5G規格もカバーすると主張してライセンス条件を提示したにもかかわらず、5G規格のクレームチャートを2022年4月まで提示しなかったことなどを踏まえると、原告において、積極的にASUS台湾との間でライセンス契約締結を促進するための対応を行ってきたとはいい難い。 また、原告がASUS台湾に 022年4月まで提示しなかったことなどを踏まえると、原告において、積極的にASUS台湾との間でライセンス契約締結を促進するための対応を行ってきたとはいい難い。 また、原告がASUS台湾に通知を行った2020年6月18日以降、原告とASUS台湾は、約6か月、原告が提示したクレームチャートについての技術論を行ったほか、原告が米国でASUS台湾を提訴したことにより約4か月、交渉が中断していた時期があった。そして、原告が、原告の提示するライセンス条件の算定根拠を初めて提示したのは2021年5月であり、 米国訴訟による交渉の中断がその後に生じたことからすれば、現時点までにライセンスの合意に至っていないことをもって、ASUS台湾及び被告がライセンスを受ける意思を有していないということはできない。 さらに、原告とASUS台湾の間には、妥当とするライセンス料率について大きな意見の隔絶が長期間にわたって存在したが、これは、ASUS台湾 の提示するライセンス条件がFRAND条件であるのに対し、原告がFRAND条件ではないライセンス条件に固執したからである。このような事情によれば、ASUS台湾及び被告が、原告が提示するライセンス条件を受け入れなかったことをもって、ASUS台湾及び被告がライセンスを受ける意思を有していないということはできない。 したがって、被告は、FRAND条件によるライセンスを受ける意思を有 する者である。 ⑵ 被告の対応は誠実な交渉とはいえないとの原告の主張についてア LTE規格のクレームチャートに対する回答時期について原告は、原告が提示したLTE規格のクレームチャートに対するASUS台湾の回答が不合理に遅かったと主張するものの、当該クレームチャー トについて、A チャートに対する回答時期について原告は、原告が提示したLTE規格のクレームチャートに対するASUS台湾の回答が不合理に遅かったと主張するものの、当該クレームチャー トについて、ASUS台湾が初めて原告から説明を受けた日に、ASUS台湾は、原告に対し、ベンダからの回答を待つ必要があることを説明しており、これに対して原告は何も異議を述べなかった。そして、ASUS台湾は、ベンダの確認に時間を要したもの以外は、速やかに回答している。 したがって、当該クレームチャートに関する事情は、ASUS台湾の対 応が不誠実であったことを基礎付ける事情とはいえない。 イ対案の提示時期及び内容について原告は、2020年8月28日の段階で、UnwiredPlanetv. Huawei 判決に基づいてライセンス条件を決定したと説明したのであるから、ASUS台湾において、同日以降は対案の検討が可能であったなどとして、ASU S台湾の対案の提示が不合理に遅いと主張する。 しかしながら、「UnwiredPlanetv. Huawei 判決に基づいてライセンス条件を決定した」という2020年8月28日時点の説明だけでは、同判決の算定方法に準拠したのか否か、あるいは、どのような数値を用いてライセンス条件を決定したのかが不明であり、原告の提示する条件がFRAN D条件であるか否かを判断することはできない。ASUS台湾は、原告に対し、同日、ライセンス条件の算定根拠を提示するよう要請したが、実際に原告が被告の要請を踏まえて算定根拠を提示したのは2021年5月13日になってからである。そして、同日以降、ASUS台湾及び原告は、原告が提示したライセンス条件の計算方法に関して議論を行い、最終的に 被告の要請を踏まえて算定根拠を提示したのは2021年5月13日になってからである。そして、同日以降、ASUS台湾及び原告は、原告が提示したライセンス条件の計算方法に関して議論を行い、最終的に 対案検討のための情報が揃ったのは同年6月23日であり、被告はその4 0日後である同年8月3日に対案を提示しているから、不合理に遅いなどとはいえない。 そして、当該対案の内容は、下記のとおりFRAND条件であったから、FRAND条件ではないとの原告の主張は、失当である。 ウ米国訴訟中の交渉態度について 原告は、訴訟係属中であっても、交渉を進めることは可能なはずであり、米国訴訟の継続は交渉遅延を正当化する理由には当たらないなどと主張する。 しかしながら、原告が米国で訴訟提起したことによって、ASUS台湾は、知財担当者のリソースを米国の訴訟対応に割かざるを得なくなったた め、事実上、全世界的なライセンス交渉の進行が妨げられることになった。 それでも、ASUS台湾は、米国訴訟係属中も原告との交渉を継続的に試みていたが、原告が、2021年8月3日のASUS台湾による対案に対して、一切歩み寄りを示さず、相変わらず●(省略)●という高額なライセンス条件を固持したことから、交渉は進展しなかった。 したがって、米国訴訟係属中に交渉が進展しなかったのは、このような原告の硬直的な交渉態度にもよるのであり、ASUS台湾の交渉態度が不誠実であると評価されるべき事情はない。 エ 5G規格のクレームチャートの提示要請について原告は、原告が提示したライセンス条件はLTE規格に係る特許に基づ いて算出されたものであるから、5G規格のクレームチャートを提示する必要はなかった旨主張する。 しかしな ついて原告は、原告が提示したライセンス条件はLTE規格に係る特許に基づ いて算出されたものであるから、5G規格のクレームチャートを提示する必要はなかった旨主張する。 しかしながら、UnwiredPlanetv. Huawei 判決によれば、全通信規格のライセンス料に占める特定の規格の割合を考慮してライセンス条件を定めることになるところ、原告が提示したライセンス条件は、全通信規格のラ イセンス料に占めるLTE規格の割合を乗じることなく算出するもので あったため、ASUS台湾がそのような計算は不当であると指摘したところ、原告は、原告ポートフォリオの特許の大部分は5G規格の標準必須特許でもあるから、規格間の配分割合を考慮する必要はないと主張するに至った。このような原告の提案は、UnwiredPlanetv. Huawei 判決の考え方によれば、LTE規格の標準必須特許のみならず、5G規格の標準必須特許 についてのライセンス料をも含むライセンス条件の提案でなければならないことになるため、そうであれば、原告は、LTE規格だけでなく、5G規格に準拠したクレームチャートを提示する必要がある。したがって、ASUS台湾において5G規格のクレームチャートの提示を要請することが単なる時間稼ぎであるとの原告の主張には、全く理由がない。 オ 5G規格のクレームチャートのベンダ確認について原告は、ASUS台湾が5G規格のクレームチャートのベンダ確認を理由に交渉を引き延ばした旨主張する。 しかしながら、上記のとおり、原告は、実質的に5G規格の標準必須特許についてのライセンス料を含むライセンス条件を提示しているから、5 G規格のクレームチャートの検討が必要となるのは当然である。したが ながら、上記のとおり、原告は、実質的に5G規格の標準必須特許についてのライセンス料を含むライセンス条件を提示しているから、5 G規格のクレームチャートの検討が必要となるのは当然である。したがって、ASUS台湾の交渉態度に何ら不誠実な点はない。 カ和解協議における対応について原告は、被告側が、グローバルライセンスによる和解に向けた話合いを拒んだことは不誠実であると主張する。しかしながら、別件の和解協議で は、係争特許に限っても当事者間の主張に大きな隔たりがあり、仮にグローバルライセンスによる和解に向けた話合いを行ったとしても、係争特許以外の日本の国内外の特許も含めて合意に至るのは、より一層困難であることが予想されたのであるから、原告の主張は失当である。 キ 2022年12月以降の被告の交渉態度について 原告は、被告が春節休暇を口実に不当に交渉を遅延させた旨主張する。 しかしながら、交渉の流れを全体としてみれば、交渉を遅延させたのは被告側ではない。例えば、原告は、返信期限である2023年1月6日になっても返信をしなかった上、ASUS台湾から、2月には春節の休暇があるのでその間は会社としての意思決定が難しくなる可能性があることを伝えられたにもかかわらず、原告は、同年1月14日のメールにおいて、 何ら具体的な対案を提示せず、従前の原告提示の料率に固執することを述べたのみであった。このような原告の提示に対し、被告及びASUS台湾が更なる譲歩案を提示することは極めて難しく、返答に時間を要するのは当然である。それにもかかわらず、被告及びASUS台湾は、交渉を進めようとして、同年3月24日、原告の提示する料率はSEP(標準必須特 許をいう。以下同じ。)と非SEPを抱き合わせたものであるが非 である。それにもかかわらず、被告及びASUS台湾は、交渉を進めようとして、同年3月24日、原告の提示する料率はSEP(標準必須特 許をいう。以下同じ。)と非SEPを抱き合わせたものであるが非SEPは不要である旨を回答している。したがって、被告が春節休暇を理由に交渉を遅延させたなどということは一切ない。 また、原告は、乙81や乙87のメールが不要であり交渉を遅延させるものであった旨主張するが、それらは変更点や詳細を確認するものであり、 必要なものであったから、交渉を遅延させるようなものではない。 ⑶ 原告の対応が終始誠実であったとの原告の主張について原告は、原告の対応は誠実であったと主張するが、仮に、原告の交渉態度が誠実であったとしても、そのことから直ちに被告の交渉態度が不誠実であったことにはならないし、被告の交渉態度が誠実であったことは上記のとお りであるから、原告の反論は的外れである。 ⑷ 原告が提示したライセンス条件はFRAND条件ではないことア累積ロイヤリティ料率 乙40について●(省略)●累積ロイヤリティ料率は、2008年の調査によれば2 3.6%、2011年の調査によれば30%であり、その平均が約27% であることが記載されている。しかしながら、当該記事には、この2つの調査が、どのような者によって、どのような目的で、どのような方法で行われたかなどは、一切記載されておらず、当該記事は、信憑性、信用性に乏しいといわざるを得ない。 これに対し、原告は、乙40について、多くの独立第三者機関の調査 によっても裏付けられている旨主張するものの、「多くの独立第三者機関」の一例として、ABIリサーチを挙げているにすぎない。また、乙40の筆者が、累積ロイヤリティ料率が25~30 三者機関の調査 によっても裏付けられている旨主張するものの、「多くの独立第三者機関」の一例として、ABIリサーチを挙げているにすぎない。また、乙40の筆者が、累積ロイヤリティ料率が25~30%を下回るとは考えにくいとする根拠は、「LTEロイヤリティ料率の予測を個別に発表した大手標準必須特許保有者(38社のうち)9社(一桁の累積ロイヤリ ティ料率を提唱するものが多かった。)に基づくだけでも、LTE累積ロイヤリティ料率は約15%に達している」ことにあるようである。しかしながら、標準必須特許保有者は、自らの保有する標準必須特許のロイヤリティ料率を高く見積もっておいた方が有利な立場にあるから、標準必須特許保有者が一方的に公表した自社のロイヤリティ料率をそのま ま積算することは妥当ではない。むしろ、「一桁の累積ロイヤリティ料率を提唱するものが多かった」と記載されているとおり、累積ロイヤリティ料率に関する標準必須特許保有者の認識は、乙41ないし43の裁判例(6~10%)と整合する内容となっている。 以上のとおり、乙40は、客観性を著しく欠いており、ライセンス交 渉において参照されるべき資料とはいえない。 乙41ないし43の裁判例について裁判例においては、LTE規格の累積ロイヤリティ料率は、UnwiredPlanetv. Huawei 判決(2017年)において8.8%(乙41)、TCLv.Ericsson 判決(2017年)において6~10%(乙42)、Huaweiv. Samsung 判決(2018年)において6~8%(乙43)が妥当である と認定されており、●(省略)●という数字は、裁判実務から逸脱している。 LTE通信が可能であることによる商品価 g 判決(2018年)において6~8%(乙43)が妥当である と認定されており、●(省略)●という数字は、裁判実務から逸脱している。 LTE通信が可能であることによる商品価値について原告は、ハードウェアに大きな違いのないiPodtouch 第7世代とiPhone11 を比較して、後者の方が高額なのは、後者は前者とは異なりLTE 通信が可能であるからであると主張し、LTE規格の累積ロイヤリティ料率を●(省略)●と評価することに合理性があると主張する。しかしながら、iPodtouch 第7世代とiPhone11 の価格差が、LTE通信が可能かどうかに起因することは何ら立証されていない上、これらにおいては、内蔵されているCPU(ハードウェア)の性能が全く異なるから、ハード ウェアに大きな違いはないとの原告の主張は、事実と異なる。 イ LTE規格の標準必須特許の個数と配分 LTE規格の標準必須特許の個数原告は、UnwiredPlanetv. Huawei 判決を根拠に、LTE規格の標準必須特許の個数は800個であると主張する。しかしながら、LTE規格 の標準必須特許の個数はLTE規格が更新されるにしたがって増加していくはずであり、原告が条件提示を行った時点においては800個よりも多いと考えられるから、この数字をそのまま用いるのは適切ではない。また、5G規格については、5G規格の標準必須特許の個数を分母として計算する必要がある。 配分UnwiredPlanetv. Huawei 判決では、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格に対応する製品について、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格のロイヤリティの割合を70:20:10とするこ edPlanetv. Huawei 判決では、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格に対応する製品について、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格のロイヤリティの割合を70:20:10とすることが一般的であると判示されている(乙41)。すなわち、LTE(4G)規格に対応 した製品において、その旧世代の3G規格、2G規格のロイヤリティは、 累積ロイヤリティ料率のうちそれぞれ20%、10%と低率となる。これによれば、5G規格に対応する製品について、累積ロイヤリティ料率に占める5G規格、LTE(4G)規格、3G規格のロイヤリティの割合は、上記と平仄を合わせ、70:20:10とすべきことになる。 そうすると、LTE(4G)規格に対応した製品におけるLTE(4 G)規格のロイヤリティ割合は70%であるのに対し、5G規格に対応した製品におけるLTE(4G)のロイヤリティ割合は20%であることになる。このように、LTE規格に対応した製品における各世代の累積ロイヤリティ料率に占める割合と、5G規格に対応した製品における各世代の累積ロイヤリティ料率に占める割合は異なり、かつ、標準必須 特許の個数も異なるから、それぞれの製品について計算が必要になる。 しかしながら、原告の計算は、原告保有特許のうち何個がLTE規格の標準必須特許であり、何個が5G規格の標準必須特許であるかすら明示しておらず、およそ合理的な計算とはいえない。 ウ小括 以上のとおり、原告の提案するライセンス条件はFRAND条件とはいえない。 ⑸ ASUS台湾が示した対案がFRAND条件であることア計算ASUS台湾が提示した対案は、実在するパテントプールであるVia Licensing(乙44の1ないし3)のLTE規格に関するロ 台湾が示した対案がFRAND条件であることア計算ASUS台湾が提示した対案は、実在するパテントプールであるVia Licensing(乙44の1ないし3)のLTE規格に関するロイヤリティ料率の計算方法を用いて、原告特許の特許ファミリー数を基にライセンス条件を計算したものである(乙32の2)。 具体的には、ASUS台湾の全世界の2021年のLTE規格に対応した携帯電話の販売台数は●(省略)●であり、これを前提とすると、ViaL icensing のロイヤリティ料率は、1台当たり●(省略)●である(乙32の 2・3頁)。●(省略)●上記のLTE規格に関するロイヤリティ料率●(省略)●は、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格に対応する携帯電話に関するものであるところ、複数の通信規格に対応する場合、累積ロイヤリティ料率を各通信規格の特許群ごとに配分するのが相当である。そして、UnwiredPlanetv. Huawei 判決では、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格に対応する製品について、LTE(4G)規格、3G規格、2G規格のロイヤリティの割合を70:20:10とすることが一般的であると判示されているところ、ASUS台湾が販売する携帯電話は、概ね5G規格、LTE(4G)規格、3G規格に対応するものへと移行しているところであるから、5G 規格、 LTE(4G)規格、3G規格のロイヤリティの割合は、上記と同様に70:20:10とするべきである。したがって、累積ロイヤリティ料率におけるLTE規格に関する配分は20%となる。 以上を踏まえると、ASUS台湾が原告に支払うべきロイヤリティ料率は、以下の式により、携帯電話1台当たり、●(省略)●と見積もられる。 ●(省略)●イ 規格に関する配分は20%となる。 以上を踏まえると、ASUS台湾が原告に支払うべきロイヤリティ料率は、以下の式により、携帯電話1台当たり、●(省略)●と見積もられる。 ●(省略)●イ ASUS台湾が原告に示した対案となるライセンス条件の評価ViaLicensing には、多くの標準必須特許保有者が参加しているから、被告の計算方法は、合理的、非差別的であり、FRAND条件に合致している。また、これを踏まえたASUS台湾が原告に支払うべきロイヤリティ 料率の算定も、客観的で合理性がある。 したがって、ASUS台湾の提案はFRAND条件であるといえる。 ウ原告の主張について原告は、ViaLicensing に参加している企業はNPE(NonPracticingEntity〔不実施主体〕。以下同じ。)ではないから参加企業にはライセンス料 率を低く抑えたいという動機が存在し、ViaLicensing のロイヤリティ料率 を本件にそのまま適用することは適切ではないと主張する。しかしながら、ViaLicensing に参加している企業の一つであるIPBridge はNPEである。 また、ViaLicensing のライセンス料率は、公開されている情報から逆算して計算すると、累積ロイヤリティ料率を約8.93%とするものであり、妥当な料率である。 また、原告は、ViaLicensing における特許ポイントを特許ファミリー数に比例するものとして見積もるのは不当であると主張するものの、ASUS台湾はViaLicensing に対して秘密保持義務を負っており、ViaLicensingにおける実際のライセンス料の詳細を開示することはできないし、ViaLicensing は、特許ポイン 台湾はViaLicensing に対して秘密保持義務を負っており、ViaLicensingにおける実際のライセンス料の詳細を開示することはできないし、ViaLicensing は、特許ポイントの算定方法を公表していないため、原告保有特 許が、Vialicensing における特許ファミリー1件の平均特許ポイントであると仮定して計算を行うほかない。 さらに、原告は、5G通信が可能な場所は限定的であるから、5G規格よりもLTE規格の方がロイヤリティの割合は高いなどと主張するものの、原告の主張は、上記UnwiredPlanetv. Huawei 判決とは相容れない考え 方であり、失当である。 ⑹ 2023年6月28日の被告提案(以下「被告提案③」という。)はFRAND条件であることア被告提案③の内容●(省略)●このように、被告提案③は、公平、合理的なものであって、FRAND条件である。 (原告の主張)以下で述べるとおり、被告はFRAND条件によるライセンスを受ける意思 を有する者とはいえない。 ⑴ 被告の対応は誠実な交渉とはいえないこと 被告は、ASUS台湾及び被告が原告とのライセンス交渉に際し速やかに対応してきた旨主張するものの、以下に述べるとおり、被告の主張は、本件での実際の交渉経緯に照らし、誤りである。 ア LTE規格のクレームチャートに対する回答時期原告は、2020年9月22日、ASUS台湾に対し、特許10件のク レームチャートを提示したが(甲8)、ASUS台湾は、ベンダへの確認に時間が掛かることを理由にして、回答を不合理に引き延ばし、下表に掲げる各特許について、下表の「回答日」になって初めて回答を行った。 特許回答日回答に要した SUS台湾は、ベンダへの確認に時間が掛かることを理由にして、回答を不合理に引き延ばし、下表に掲げる各特許について、下表の「回答日」になって初めて回答を行った。 特許回答日回答に要した日数●(省略)●2020年11月27日(乙18)66日●(省略)●2020年12月15日(乙19、甲9)84日●(省略)●2020年12月31日(乙21、甲10)100日●(省略)●2021年4月23日(乙28、甲11)213日 まず、●(省略)●は、ユーザインターフェイスの特許であって端末内部の機械的構成等が問題となるような特許ではないため、これらに関してベンダに確認しなければ回答できない事項は存在しない。また、それ以外の特許についても、原告はLTE規格を根拠に侵害立証をしているのであるから、対象製品がLTE規格に準拠している以上、端末内部の機械的構 成等を確認する必要はなく、やはりベンダに確認しなければ回答ができない事項は存在しない。したがって、ベンダへの確認に時間が掛かったとす るASUS台湾の主張は、不合理なものである。 イ対案の提示時期及び内容原告は、2020年8月28日にライセンス条件を提示するとともに、UnwiredPlanetv. Huawei判決に基づいてライセンス条件を決定した旨を伝え、更に2021年5月13日にライセンス条件の補足説明を加えた(乙 29の1、2)。したがって、ライセンス条件の計算根拠は、2020年8月28日時点で既にASUS台湾に提示されていたのであり、それ以降であれば、ASUS台湾は対案を検討、提示することが十分に可能であった。まして、原告による2021年5月13日のライセンス条件の補足説 28日時点で既にASUS台湾に提示されていたのであり、それ以降であれば、ASUS台湾は対案を検討、提示することが十分に可能であった。まして、原告による2021年5月13日のライセンス条件の補足説明以降は、ASUS台湾は、速やかにライセンス条件の対案を示すべきで あったといえる。 しかしながら、実際には、ASUS台湾がライセンス条件の対案を提示したのは、2021年8月3日であり、原告によるライセンス条件の提示から340日、ライセンス条件の補足説明を加えてから82日、それぞれ掛かっていることになるが、これだけの日数が掛かったことについて、被 告から合理的な説明は一切ない。したがって、被告側のライセンス条件の対案の提示は、不合理に遅いものであり、その交渉態度は誠実とはいえない。 加えて、その対案の内容であるライセンス条件は、下記⑷のとおり、明らかに不合理なものであり、その点からも、被告の交渉態度が誠実なもの といえないことは明らかである。特に、下記⑷の図が示すとおり、被告提案①及び②は極めて低廉であり、FRAND条件からは著しく乖離しているところ、被告は、約2年もの長期間にわたって、このような不合理な料率に固執してきたものであり、被告の交渉態度の不誠実性が如実に表れている。 ウ米国訴訟中の交渉態度 被告は、米国訴訟係属中にライセンス交渉が中断したことを、交渉の進行が遅くなった理由の1つとして挙げているが、訴訟係属中であっても、交渉を進めることは可能なはずであるから、米国訴訟の係属は交渉遅延を正当化する理由にはならない。 これに対し、被告は、原告が高額なライセンス条件を固持したことから、 米国訴訟の係属中に交渉が進展しなかったと主張するものの、交渉が進展しなかったのは、低額なライセ 当化する理由にはならない。 これに対し、被告は、原告が高額なライセンス条件を固持したことから、 米国訴訟の係属中に交渉が進展しなかったと主張するものの、交渉が進展しなかったのは、低額なライセンス条件を固持した被告側に責任がある。 エ 5G規格のクレームチャートの提示要請ASUS台湾は、2022年4月15日、原告に対し、ライセンス条件の検討のために必要であるとして、5G規格のクレームチャートの提示を 要請した(乙36)。しかしながら、そもそも原告が被告側に示したライセンス条件は、LTE規格に係る特許に基づいて算出されたものであるから(甲12・10頁)、原告がASUS台湾に対し5G規格のクレームチャートを提示する必要はない。 ●(省略)● オ 5G規格のクレームチャートのベンダ確認被告は、2022年4月27日、5G規格のクレームチャートをベンダに共有することを要請しているが、上記のとおり、そもそもLTE規格に係る特許に基づく原告のライセンス条件の提示に対し、5G規格のクレームチャートの検討を理由に交渉を遅延させること自体、不誠実な交渉態度 である。加えて、実際に被告から返答があったのは、同年7月29日であった(甲13)。 カ本件訴訟における和解交渉でもグローバルライセンスによる解決を拒否し続けたこと原告は、本件訴訟手続の中で、裁判所による心証開示を踏まえた和解勧 奨が行われた際、グローバルライセンスによる裁判所での和解を提案した。 これは、本件訴訟を含む一連の紛争の一回的解決のためには、グローバルライセンスによる解決が最も適切かつ合理的であるからである。しかしながら、被告は、本件及び別件の訴訟において、訴訟の対象である日本特 これは、本件訴訟を含む一連の紛争の一回的解決のためには、グローバルライセンスによる解決が最も適切かつ合理的であるからである。しかしながら、被告は、本件及び別件の訴訟において、訴訟の対象である日本特許に限定した和解に固執し、グローバルライセンスによる一回的解決に向けた交渉に応じることはなかった。訴訟提起された一国のみで、しかも訴訟 の対象とされた特許のみに限定してライセンス合意をするだけでは、一回的な解決に資さないことは明白である。 仮に被告が、真にFRAND条件でのライセンス合意に向けた解決の意思を有するのであれば、本件訴訟での上記和解交渉の中で、グローバルライセンスによる解決に向けた交渉を行うことはできたはずであるが、被告 は、合理的な理由なくこれを拒んだ。 キ 2022年12月以降の被告の交渉態度被告は、2023年1月から3月の間、原告からの連絡に対する協議結果の返信まで2か月以上を掛けるなど、春節休暇を口実に不当に交渉を遅延させた上、同年3月27日(乙81)及び同年4月11日(乙87)に は不必要な質問をしたりして、交渉を遅延させた。 ⑵ 原告の対応は終始誠実であったことアライセンス条件の計算根拠の提示時期について被告は、原告がライセンス条件の計算根拠を2021年5月になってようやく開示した旨主張する。しかしながら、そもそも原告は、被告に対し、 第1回交渉時である2020年8月28日に、ライセンス条件がUnwiredPlanetv. Huawei判決に基づくものである旨説明している(乙11)。したがって、原告が被告に対しライセンス条件の計算根拠を初めて開示したのが2021年5月であるかのような被告の主張は、事実に反する。 また、ライセンス条件について 旨説明している(乙11)。したがって、原告が被告に対しライセンス条件の計算根拠を初めて開示したのが2021年5月であるかのような被告の主張は、事実に反する。 また、ライセンス条件についての議論が、2020年8月28日から2 021年5月まで行われなかったのは、ライセンス条件の議論に先行して、 技術的な議論(侵害論)を行わせることが双方の了解事項であったからである。 イ米国訴訟の提起と和解について被告は、原告が米国訴訟を提起して世界全体の交渉の進行を止めて米国特許についてのみ和解したと主張するが、誤りである。すなわち、まず、 そもそも米国訴訟の係属中であっても、交渉を継続することは可能であり、米国訴訟の提起により交渉の進行を止めたというのは誤りである。また、原告が米国訴訟を提起したのは、交渉の進行を阻害するためのものでは全くなく、被告による遅々とした不誠実な交渉態度を踏まえ、正当な権利を遅滞なく実現するためにやむを得ず提訴に至ったものである。 加えて、当該米国訴訟は、米国訴訟法上の和解によって終結したわけではなく、ASUS台湾からOfferofJudgment(和解提示)がされたことを受け、原告は、米国におけるASUS台湾の売上げが小さいことや訴訟費用等を勘案してOfferofJudgmentを受け入れたものである。したがって、対象特許全体についての交渉によるグローバルな解決をせずに、訴訟で問 題となった米国特許及び製品についてのみに限定した決着を主導したのは、ASUS台湾であって、原告ではない。さらに、OfferofJudgmentの内容は、特許1件について●(省略)●という条件を基準としたものであるが、原告が保有する標準必須特許の件数は少なくとも●(省略)●存在す 、原告ではない。さらに、OfferofJudgmentの内容は、特許1件について●(省略)●という条件を基準としたものであるが、原告が保有する標準必須特許の件数は少なくとも●(省略)●存在するため、原告の標準必須特許全体を対象にした場合に、当該OfferofJu dgmentを前提にすれば、●(省略)●となる。そして、この金額は、原告のライセンス条件の提案と大きく乖離するものではない。 ウ 5G規格のクレームチャートの提示時期について被告は、原告が5G規格のクレームチャートを2022年4月まで提示しなかった旨主張するが、そもそも上記のとおり、5G規格のクレームチ ャートの提示は必要なものではない。 エ小括以上のとおり、原告の交渉態度が不誠実であるとして被告が主張する点は、いずれも誤りであり、原告の交渉態度は、終始誠実なものであったといえる。 ⑶ 原告が提示したライセンス条件がFRAND条件であること ア原告提示の料率●(省略)●イトップダウンアプローチにより算定される料率トップダウンアプローチによれば、料率は以下の式によって算定される。 (LTEの累積ロイヤリティ料率)×(原告特許ポートフォリオのシェア)累積ロイヤリティ料率●(省略)● 乙41ないし43の裁判例について ●(省略)● LTE通信可能であるか否かは商品の価値を大きく左右すること一般論として、LTE通信が可能であるかということは、商品の価値を大きく左右する。例えば、iPodとiPhoneでは用いているハードウェアに大きな違いはなく、製造コストには僅かな差異しかないと思われるが、 両者の価格には大きな隔たり うことは、商品の価値を大きく左右する。例えば、iPodとiPhoneでは用いているハードウェアに大きな違いはなく、製造コストには僅かな差異しかないと思われるが、 両者の価格には大きな隔たりがある。この価格の差は、LTE通信が可能かどうかに起因するものであり、換言すればLTE標準必須特許の価値に他ならない。したがって、LTEの累積ロイヤリティ料率を●(省略)●と評価することには合理性がある。 LTEの標準必須特許のファミリー数 UnwiredPlanetv. Huawei判決に基づけば、LTEの標準必須特許のファミリー数は約800と見積もることができる。 これに対し、被告は、LTEの標準必須特許の個数はLTE規格が更新されるにしたがって増加していくから、原告が条件提示を行った時点においては、UnwiredPlanetv. Huawei判決における800個より多いと主張する。しかしながら、同判決において、800という数字は、Huaweiによる分析と、UnwiredPlanetによる分析を踏まえて、概算されたものに すぎない。そして、上記判決時点の2017年から、800という概算値を修正するほどLTEの標準必須特許の数が増加しているとも考えにくいから、800という概算値は妥当である。 原告が保有する特許ポートフォリオのシェア原告が保有する特許ポートフォリオにおいて、少なくとも●(省略) ●以上の特許ファミリーがLTEの標準必須特許であるから、原告のLTEの標準必須特許のシェアは、少なくとも●(省略)●である。 5Gとの配分について被告は、5G製品と5G未対応のLTE製品とでは、LTEの累積ロイヤリティ料率が異なる旨主張する。しかしながら、LTEの なくとも●(省略)●である。 5Gとの配分について被告は、5G製品と5G未対応のLTE製品とでは、LTEの累積ロイヤリティ料率が異なる旨主張する。しかしながら、LTEの持つ価値 自体は変わらないと考えられる以上、5G製品とLTE製品との間で、LTEの累積ロイヤリティ料率を変動させる合理的理由は存在しない。 また、被告は、UnwiredPlanetv. Huawei判決において、LTE規格、3G規格、2G規格に対応した製品についての各規格のロイヤリティの割合が、LTE規格:3G規格:2G規格=70:20:10とされたこ とから、5Gに対応した製品における各規格のロイヤリティの割合も、5G規格:LTE規格:3G規格=70:20:10とすべきである旨主張する。しかしながら、現在、5G通信ができる場所は限定的であるから(甲20)、被告の主張に理由はない。 そもそも、原告の算出方法においては全通信規格のライセンス料に占 めるLTE規格の割合を乗じる必要がない上、UnwiredPlanetv. Huawei 判決においては、クロスチェックとしてLTEの累積ロイヤリティが求められたにすぎない。 原告のLTEの標準必須特許ポートフォリオの料率●(省略)●⑷ ASUS台湾が提示したライセンス条件がFRAND条件でないこと ア被告提示の料率●(省略)●イ原告提示の条件に比べて著しく低いこと 被告提示の料率は、●(省略)●であり、原告が複数の他社と締結したグローバルなライセンス契約と比べ低廉であるし、関連する米国訴訟でのOfferofJudgementで合意された料率及び上記FRAND条件である原告提示の料率のいずれと 告が複数の他社と締結したグローバルなライセンス契約と比べ低廉であるし、関連する米国訴訟でのOfferofJudgementで合意された料率及び上記FRAND条件である原告提示の料率のいずれと比べても、少なくとも●(省略)●異なっており、合理的な料率からは著しく乖離したものである。したがって、被告提示のロ イヤリティ料率がFRAND条件でないことは明らかである。 ●(省略)●ウ ViaLicensingのロイヤリティ料率被告は、ViaLicensing のロイヤリティ料率を用いて計算しているが、ViaLicensingに参加している企業は、いずれもNPEではないため、参加企業 にはライセンス料を低く抑えたいという動機が存在する。したがって、ViaLicensingが提示するロイヤリティ料率も低く抑えられたものであるから、ViaLicensingのロイヤリティ料率をそのまま本件に適用することは適切ではない。 エファミリー数の算定 ViaLicensingが保有するLTE規格の標準必須特許のファミリー数は、ファミリー数が特許ポイントに比例するという前提に立って見積もられているようであるが、そのような保証は全くなく、上記見積りの信憑性は 低い。 したがって、被告によるファミリー数の算定は適切ではない。 オ配分被告は、5G規格に対応した製品における各規格のロイヤリティの割合は、5G規格:LTE規格:3G規格=70:20:10であると主張す るものの、上記のとおり、現在、5G通信ができる場所は限定的であるから(甲20)、5GよりもLTEの方がロイヤリティの割合は高いと考えられる。 また、被告は、ロイヤリティ額を算定するに当たり、「(5 ものの、上記のとおり、現在、5G通信ができる場所は限定的であるから(甲20)、5GよりもLTEの方がロイヤリティの割合は高いと考えられる。 また、被告は、ロイヤリティ額を算定するに当たり、「(5G製品においてLTEが占めるウェイト)/(4G製品においてLTEが占めるウェ イト)」というファクターをかけている。しかしながら、5Gの価値が高まることによって、5G製品におけるLTEの相対的な価値が減少することはあったとしても、LTE製品においても5G製品においても、LTE通信が可能であることの絶対的な価値は不変と考えられるため、上記ファクターをかけるべき合理的根拠が不明である。 争点5(損害額)について(原告の主張)⑴ 特許法102条3項及び4項に基づく損害賠償額被告は、FRAND条件によるライセンスを受ける意思を有するとはいえないから、損害賠償額は、FRAND条件によるライセンス料相当額に制限 されることはない。そこで、特許法102条3項及び4項に基づく損害賠償額について主張する。 ア特許法102条3項に基づく推定知的財産高等裁判所平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決(以下「令和元年大合議判決」という。)において、特許法1 02条3項によって算定する実施に対し受けるべき料率の認定において は、①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の 営業方針等訴訟に現れた諸事情を総 内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の 営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮することとされているので、以下では、上記も踏まえて、本件について検討する。 まず、①(当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場)については、『知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査 研究報告書』によれば、特許権のロイヤリティ料率の平均値は、本件特許のIPC分類が属する電機分野で2.9%、全分野の平均で3.7%となっている(甲32・4頁目等)。これらは、本件特許の実施料率の算定に当たって参照し得るものである。 次に、②(当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重 要性、他のものによる代替可能性)について、本件特許はLTE規格上必須とされており、LTE規格に準拠するためには必ず実装しなければならないものである。そのため、LTE規格に準拠する被告製品にとって、本件発明は必要不可欠かつ代替可能性もなく、極めて重要な価値を有するといえる。 また、③(当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様)については、上記のとおり本件特許はLTE規格上必須とされ、LTE規格に準拠するためには実装が必須である。すなわち、本件特許を被告製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献は、被告製品がLTE規格に準拠し、LTE通信が可能になるということで 得られる売上げ及び利益に相当し、極めて多大な貢献をしているといえ る。 さらに、④(特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸 が可能になるということで 得られる売上げ及び利益に相当し、極めて多大な貢献をしているといえ る。 さらに、④(特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情)については、特許権者である原告は、本件特許を含む特許ポートフォリオについて、FRAND条件によるライセンスを受ける意思がある実施者との間では誠実に交渉を行い、FRAND条件 でライセンスを行う方針である。実際にも、上記のとおり、既に複数の実施者との間で、グローバルでのライセンス契約を締結している。これに対して、被告側は、本件訴訟での裁判所による和解勧奨の中でもグローバルライセンスによる和解の話合いを拒むなど、その交渉態度は終始不誠実であり、真にFRAND条件によるライセンスを受ける意思があ るものとは到底いえない。 以上の事情を総合的に斟酌すれば、本件の損害賠償額の算定における実施料率(ただし、下記特許法102条4項に基づく考慮前の料率)は、少なくとも2%を下ることはない。 イ特許法102条4項に基づく考慮 特許法102条4項は、同法102条3項により推定される損害額の計算に当たっては、「当該特許権又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる」と定めており、いわゆる侵害プレミアムを加算する ことが認められている。 この点に関し、令和元年大合議判決は、特許法102条4項の施行前の事案であるが、「特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、実施に対し受けるべき料率は、むしろ、通常の実施料率に比べて自ずと高額になるであろう」と述べた上で、損害賠償額の算定における 行前の事案であるが、「特許権侵害をした者に対して事後的に定められるべき、実施に対し受けるべき料率は、むしろ、通常の実施料率に比べて自ずと高額になるであろう」と述べた上で、損害賠償額の算定における実施料率を 業界相場5.3%の約2倍である10%と認定した。 本件のような標準必須特許においても、ライセンス契約の締結に向けた交渉段階においては、交渉対象となる特許ポートフォリオについて、技術的範囲への属否や当該特許の有効性に関する不確定性等を考慮して、侵害かつ有効と認定された段階と比べて、割り引いた料率が用いられることが通例である。 そうすると、被告製品の販売等が本件特許権侵害に当たることが判明した本件においては、特許法102条4項に基づく考慮(侵害プレミアム)を行い、ライセンス交渉段階における料率よりも高い料率が採用されるべきである。 加えて、本件では、上記のとおり、侵害者である被告が、ライセンス交 渉開始以降、不誠実な交渉態度に終始し、既に3年にも及ぶ交渉期間が経過している。このような被告の不誠実な態度に鑑みれば、侵害プレミアムを加味しない通常の実施料率で算定されることは不合理である。 したがって、本件においては、特許法102条4項に基づき、算定した料率(2%)の少なくとも2倍の実施料率が認められるべきである。 ウ本件における損害額以上によれば、本件における損害額は、少なく見積もっても被告製品の売上高に4%(2%×2)を乗じた額となる。 (計算式)●(省略)●×4%=●(省略)● ⑵ FRAND条件に基づく損害賠償額仮に、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有すると仮定した場合の損害賠償額についても、念のため主張する。 アトップダウンアプローチ、比較可能 ⑵ FRAND条件に基づく損害賠償額仮に、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有すると仮定した場合の損害賠償額についても、念のため主張する。 アトップダウンアプローチ、比較可能なライセンスを踏まえた算定トップダウンアプローチによれば、FRAND条件によるロイヤリティ 相当額は、以下の計算式により算出される。 売上高× LTE規格全体の製品に対するロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数 上記計算式における「LTE規格全体の製品に対するロイヤリティ料率」は、上記で述べたとおり、●(省略)● また、上記計算式における「規格の標準必須特許の個数」については、LTE規格の標準必須特許数に関して入手可能なのはファミリー数のデータであることなどを踏まえて、LTE規格の標準必須特許のファミリー数を用いるのが合理的である。そして、UnwiredPlanetv. Huawei判決に基づけば、LTEの標準必須特許のファミリー数は約800と見積もることが できる。 したがって、本件特許2件の実施について、FRAND条件によるロイヤリティ相当額(ただし、特許法102条4項の考慮前の額)は、次のとおり計算される。 売上高× LTE規格全体の製品に対するロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数 =●(省略)● =●(省略)● なお、上記算定に用いた「LTE規格全体の製品に対するロイヤリティ 料率」及び「規格の標準必須特許の個数」の数値は、原告が他の複数の実施者との間で締結済みのライセンス契約の料率とも整合する。 イ特許法102条4項に基づく考慮を踏まえた損害賠償額 上記のとおり、特許権侵害に当たることが判明した本件においては、特許法10 との間で締結済みのライセンス契約の料率とも整合する。 イ特許法102条4項に基づく考慮を踏まえた損害賠償額 上記のとおり、特許権侵害に当たることが判明した本件においては、特許法102条4項に基づく考慮(侵害プレミアム)を行い、ライセンス交渉段階における料率よりも高い料率が採用されるべきである。この理は、FRAND条件による損害賠償額を算出する場合においても何ら変わるものではない。 そうすると、FRAND条件による損害賠償額は、上記通常(交渉段階)のFRAND料率に基づく金額よりも、少なくとも2倍とすべきである。 したがって、被告が支払うべき損害額は、以下のとおりとなる。 ●(省略)●×2=●(省略)●ウ被告が主張するFRAND条件による損害額の計算は誤っていること 被告は、本件特許権侵害に基づく損害賠償額について、知的財産高等裁判所平成25年(ネ)第10043号同26年5月16日特別部判決(以下「アップルサムソン大合議判決」という。)を参照し、FRAND条件によるロイヤリティ相当額を算出している。 しかしながら、以下のとおり、被告による損害額の計算は、明らかに誤 っている。 「累積ロイヤリティ料率」の適用に関する誤り被告が依拠する複数の裁判例(乙41ないし43)における「累積ロイヤリティ料率」は、アップルサムソン大合議判決における「累積ロイヤリティ料率」とは異なる概念であって、これに更に「規格に準拠して いることが売上げに寄与したと認められる割合」を乗じるという被告の計算は、明らかに誤っている。 アップルサムソン大合議判決にいう「累積ロイヤリティ料率」とは、製品の売上高のうち規格が売上げに寄与した部分に対する規格全体のロイヤリティ料率を意味している一方、被告が依拠する裁判例( っている。 アップルサムソン大合議判決にいう「累積ロイヤリティ料率」とは、製品の売上高のうち規格が売上げに寄与した部分に対する規格全体のロイヤリティ料率を意味している一方、被告が依拠する裁判例(乙41 ないし43)における「累積ロイヤリティ料率」とは、製品の売上高全 体に対する規格全体のロイヤリティ料率である。すなわち、被告が依拠する裁判例(乙41ないし43)における「累積ロイヤリティ料率」は、①「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」に、②アップルサムソン大合議判決における「累積ロイヤリティ料率」を乗じたものである。 「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」に関する被告の主張の誤り被告は、①通信機能、②通信機能以外の機能、③ブランド力やマーケティング活動(①、②以外の事情)に即して「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」を算定することが妥当であると 主張するが、以下のとおり、誤りである。 a 「通信機能」に関する被告主張の誤り被告は、LTE規格の標準必須特許である本件特許の売上げ及び利益に対する貢献度が限定的であるかのように述べる。 しかしながら、被告製品の販売が開始された2019年8月頃から 2022年2月22日までの間をみても、日本における携帯電話の通信方式としてはLTE規格が主流であったから、被告製品について、モバイル通信機能としての価値を主として創出しているのは、5G規格ではなくLTE規格であり、「携帯電話としての通信機能は主に5G規格が担い、LTE規格は予備的な位置付け」であるとする被告の 主張は、明らかに誤りである。 b 「通信機能以外の機能」に関する被告主張の誤り被告は、被告製品がiPhone 4の 主に5G規格が担い、LTE規格は予備的な位置付け」であるとする被告の 主張は、明らかに誤りである。 b 「通信機能以外の機能」に関する被告主張の誤り被告は、被告製品がiPhone 4の機能以上に多種多様な機能を備えているとして、当該機能が、被告製品の売上げ及び利益に貢献している旨主張する。 しかしながら、iPhone 4の発売時(2010年6月)と比較して機能 の種類が増えていくのは当然であって、被告製品の機能の種類がiPhone4より増えたとしても、そのこと自体が他社製品との差別化につながるわけではない。むしろ、被告製品の日本市場におけるシェアがアップル社のiPhoneと比較すれば微々たるものであることからすれば、被告製品の顧客吸引力は、iPhone 4が販売されていた当時にiPhone 4が 有した各種機能の顧客吸引力よりも低いことは明らかである。 加えて、そもそも通信機能以外の機能の存在にかかわらず、LTEの持つ価値自体が変わるものではないから、通信機能以外の機能の存在によって本件特許の価値や貢献度を低く評価すること自体、合理的とはいえない。 c ブランド力やマーケティング活動等に関する被告主張の誤り被告は、被告側のブランド力やマーケティング活動が、被告製品の売上げ及び利益に貢献した旨主張する。 しかしながら、被告側のブランド力やマーケティング活動はアップル社と比較すれば微々たるものにすぎないから、アップルサムソン大 合議判決におけるアップル社のブランド力やマーケティング活動の貢献度と比べるとはるかに低いものといえる。 d 小括以上を踏まえると、被告製品の「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」は、アップルサムソン大合議判決にお けるiPh 献度と比べるとはるかに低いものといえる。 d 小括以上を踏まえると、被告製品の「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」は、アップルサムソン大合議判決にお けるiPhone 4と同程度に低い(29%)とは到底考えられない。 規格の標準必須特許の個数に関する誤り被告は、UnifiedPatentsのウェブサイト(乙90)に基づき、LTEのSEPファミリー数は1817件である旨主張する。 しかしながら、UnifiedPatentsは、原告のようなNPEによる特許収益 化の抑止を掲げる団体であり、当該ウェブサイトの記載が中立的な分析 によるものであるかどうか疑わしい(甲41)。加えて、乙90の分析においては、1817件の有効性については検討がされていないため、有効性も踏まえた実際の数値が1817件より少なくなることは確実である。 一方、UnwiredPlanetv. Huawei判決は、LTEのSEPファミリー数に 関し、同事件における被告であるHuaweiが主張した「1812件」という数値は高すぎるとして、当該Huaweiの主張を排斥し、実際のファミリー数は800件程度であると認定している。UnwiredPlanetv. Huawei判決当時から、LTEのSEPファミリー数が多少増えるであろうことを考慮したとしても、被告が主張するLTEのSEPファミリー数(18 17件)は、不当に多く見積もられた数値であるといわざるを得ない。 したがって、規格の標準必須特許の個数に関する被告の主張は誤りである。 (被告の主張)⑴ 損害額の算定方法 原告は本件特許についてFRAND宣言をしており、かつ、被告は本件特許権も含めた原告の特許権についてライセンスを受ける意思 告の主張は誤りである。 (被告の主張)⑴ 損害額の算定方法 原告は本件特許についてFRAND宣言をしており、かつ、被告は本件特許権も含めた原告の特許権についてライセンスを受ける意思を有する者であるから、本件において被告が負うべき損害賠償の額は、アップルサムソン大合議判決が判示した、次の計算式に基づいて算定されるべきである。 売上高×規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合×累積ロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数 なお、特許法102条3項について判示した令和元年大合議判決は、特許法102条3項に基づく実施料相当額の認定において考慮されるべき要素を判示しているところ、次のとおり、アップルサムソン大合議判決の計算式に基づく金額は、令和元年大合議判決を踏まえて算定される実施料相当額となる。 すなわち、令和元年大合議判決が挙げる規範のうち、「①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等」は、標準必須特許に関してはFRAND条件でのライセンス料がこれに相当する。 また、「②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、 他のものによる代替可能性」については、非常に多くの特許発明の実施を伴うものとして1つの通信規格が成立していることからすると、本件発明の価値は極めて小さく、また、通信規格に用いられている他の標準必須特許の個々の技術的価値を踏まえて特許発明の価値を評価することは現実的ではないことからすれば、アップルサムソン大合議判決の計算式のように累積ロ イヤリティ料率を確定した上で、当該料率を標準必須特許の個数で割って実施料率を計算することが妥当である。 さらに 的ではないことからすれば、アップルサムソン大合議判決の計算式のように累積ロ イヤリティ料率を確定した上で、当該料率を標準必須特許の個数で割って実施料率を計算することが妥当である。 さらに、「③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様」は、アップルサムソン大合議判決の計算式において「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」が乗じられる ことで考慮されることになる。 そして、「④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情」については、特許権者がFRAND宣言、すなわち、公平、合理的、かつ、非差別的な条件でライセンスする旨の宣言をしており、特許権者が侵害者との競合関係を問わず合理的な条件でライセンスする方針で あり、かつ、侵害者はライセンスを受ける意思を有する者であるという事情 が考慮されるべきことになる。 以上のとおり、令和元年大合議判決が挙げる規範に即した特許法102条3項に基づいて算定される損害額は、アップルサムソン大合議判決の計算式によるFRAND条件でのライセンス料相当額に一致する。 ⑵ 本件における損害額の具体的計算 ア売上高被告製品のうち、LTE製品であるZS630KL シリーズ(被告製品15及び16。以下「被告LTE製品」という。)の合計売上高は、●(省略)●であり、5G製品であるその他(被告製品1ないし14。以下「被告5G製品」という。)の合計売上高は、●(省略)●である。 イ規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合アップルサムソン大合議判決において認定された、3G規格が売上げに寄与した割合は公開されていないものの、アップル社が開示している売上高と判決が認定した損害賠償額か 売上げに寄与したと認められる割合アップルサムソン大合議判決において認定された、3G規格が売上げに寄与した割合は公開されていないものの、アップル社が開示している売上高と判決が認定した損害賠償額から逆算すると、その割合は29%であったと推測されている(乙108)。 本件特許は、LTE(4G)規格の標準必須特許であり、被告製品はiPhone4 と同じスマートフォンであることから、アップルサムソン大合議判決が判示した①通信機能、②通信機能以外の機能,③当該①②以外の事情を検討するに、①通信機能については、5G規格に準拠している被告製品は5G規格の通信も可能であるし、5G規格に準拠していない被告製品 についても、5G以外の無線通信機能等を有していること、②通信機能以外の機能については、被告製品は、iPhone4 の機能以上に多種多様な機能を備えていること、③それ以外の事情については、ASUSのブランド力及びマーケティング活動が売上げに貢献していることなどが挙げられる。そして、これらの事情を考慮すれば、LTE規格に準拠していることが売上 げに寄与したと認められる割合は、被告5G製品については7.1%以下、 被告LTE製品については25%以下とするべきである。 ウ累積ロイヤリティ料率上記のとおり、累積ロイヤリティ料率は、FRAND条件の趣旨(公平、合理的、かつ、非差別的)に照らし、裁判例に従って認定されるべきであるところ、複数の裁判例(乙41ないし43)が示したLTE製品の累積 ロイヤリティ料率は、それぞれ、8.8%、6~10%、6~8%である。 そして、6~10%、6~8%につき中間の値である8%、7%を採用して平均をとると、(8.8+8+7)/3≒7.9%となる。 したがって、累積ロイヤリティ料率は .8%、6~10%、6~8%である。 そして、6~10%、6~8%につき中間の値である8%、7%を採用して平均をとると、(8.8+8+7)/3≒7.9%となる。 したがって、累積ロイヤリティ料率は7.9%とすべきである。 エ LTE規格の標準必須特許の個数 UnifiedPatents(乙91)のWeb サイト(乙90)によれば、ConcurIP の専門家が手作業で検討したところ、LTEに関して必須宣言された特許ファミリーについて、無作為抽出した16036件のうち、1817件がSEPファミリーであったから、LTEのSEPファミリーは1817件よりも多いはずである。すなわち、LTEのSEPファミリーは少なくとも 1817件存在するといえる。 オ特許の数本件特許は、同一ファミリーであり、かつ、同一のFRAND宣言に含まれる特許である(乙6)。したがって、本件特許2件を1件として計算するべきである。 カ本件における損害額の算定上記の数値を用いると、ZS630KL シリーズ(被告LTE製品)についての損害額は、次のとおりとなる。 売上高×規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合×累積ロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数=●(省略)●×25%×7.9%/1817=●(省略)●また、上記の数値を用いると、ZS630KL シリーズ以外(被告5G製品)についての損害額は、次のとおりとなる。 売上高×規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合×累積ロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数=●(省略)●×7.1%×7.9%/1817 =●(省略)●したがって、被告が損害賠償 とが売上げに寄与したと認められる割合×累積ロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数=●(省略)●×7.1%×7.9%/1817 =●(省略)●したがって、被告が損害賠償義務を負うべき合計金額が、●(省略)●を超えることはない。 ⑶ 原告の主張についてア損害額は●(省略)●を下らないとの主張について 原告は、被告がライセンスを受ける意思を有する者ではないことを前提に、本件特許権の実施料率は2%を下らず、また、本件においては、特許法102条4項に基づき、侵害プレミアムを加味して少なくともその2倍である4%の実施料率が認定されるべきであると主張する。 しかしながら、前記のとおり、被告はライセンスを受ける意思を有する 者であるから、原告の主張は前提が誤っている。 また、本件特許権の実施料率が2%であることはあり得ない。すなわち、LTE規格のSEPファミリーは少なくとも1817件存在するから、LTE規格のSEPファミリー1個の実施料率が2%であると仮定すれば、LTE規格の実施者は、2%×1817=3634%の実施料率を負担すべきことになる。仮に、原告の主張を前提としてLTE規格のSEPファ ミリーが800件であるとしても、LTE規格の実施者は、2%×800=1600%の実施料率を負担すべきことになる。したがって、SEPファミリー1件の実施料率が2%となることはあり得ない。 さらに、原告が侵害プレミアムとして2倍の実施料率が認められるべきとの主張の根拠とする令和元年大合議判決は、一般的に判決で認められる 実施料率を業界相場の2倍とすることが妥当であると判示したものではない。同判決は、当該事案における種々の事情を考慮した上で実施料率を認定しているから、本件においても、具体的 判決で認められる 実施料率を業界相場の2倍とすることが妥当であると判示したものではない。同判決は、当該事案における種々の事情を考慮した上で実施料率を認定しているから、本件においても、具体的な事実関係に基づいて実施料率を認定すべきであり、侵害プレミアムと称して機械的に実施料率を2倍にすることは、上記大合議判決の趣旨に反する。 イ FRAND条件に基づく損害額は●(省略)●を下らないとの主張についてアップルサムソン大合議判決は、3G製品であるiPhone4 の3G規格特許(すなわち、iPhone4 で採用されている最新規格)について、実施料率は、以下の計算式によるべきである旨判示した。 売上高×規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合×累積ロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数=売上高× 29%× 5%規格の標準必須特許の個数 =売上高規格の標準必須特許の個数× 1.45% これに対し、原告が主張する計算式は、 売上高× LTE規格全体の製品に対するロイヤリティ料率規格の標準必須特許の個数× 2=売上高× ●(省略)●規格の標準必須特許の個数× ●(省略)●=売上高規格の標準必須特許の個数× ●(省略)● である。そうすると、原告は、裁判所が3G製品における3G規格の実 施料率について知財高裁が認定した実施料率の●(省略)●倍(=●(省略)●)もの料率を、5G製品及びLTE製品におけるLTE規格の料率として主張することになる。すなわち、原告の主張は、アップルサムソン大合議判決が認定した料率を全く無視したものであって、妥当ではない。 品及びLTE製品におけるLTE規格の料率として主張することになる。すなわち、原告の主張は、アップルサムソン大合議判決が認定した料率を全く無視したものであって、妥当ではない。 また、原告は、侵害プレミアムと称してFRAND料率に基づく金額 を2倍にするべきであると主張する。 しかしながら、上記のとおり、実施料率を機械的に2倍にすることは令和元年大合議判決の趣旨に反する上、アップルサムソン大合議判決が判示した計算式は、原告のいう侵害プレミアムを考慮済みである。したがって、侵害プレミアムなるものを理由に更に増額することは許されな い。 さらに、原告は、アップルサムソン大合議判決の計算式に含まれている「規格に準拠していることが売上げに寄与したと認められる割合」を考慮しておらず、同判決に反する主張をしている。また、このことは、令和元年大合議判決が示した、特許法102条3項の料率を定めるに当 たって考慮すべき要素である「③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献」も全く考慮していないことを示すものである。 ●(省略)● 11 争点6(侵害又は侵害のおそれの有無)について (原告の主張)被告は、2022年2月22日以降は被告製品を販売していない旨主張する。 しかしながら、現時点において輸入販売をしていないとしても、被告において輸入販売が不可能になったわけではなく、被告が輸入販売を再開する可能性は十分に存在する。実際、いずれの被告製品についても、依然として被告のウェ ブサイトにおいて製品の紹介がされており、「購入する」等の記載も残されているのであるから、被告が輸入販売を再開する意思があることは明らかである(甲42)。加えて、当該ウェブ として被告のウェ ブサイトにおいて製品の紹介がされており、「購入する」等の記載も残されているのであるから、被告が輸入販売を再開する意思があることは明らかである(甲42)。加えて、当該ウェブサイトの表示は、被告製品の販売の申出(譲渡等の申出)にも該当するものである。 したがって、仮に被告の主張するとおり、現時点においては被告製品を輸入 販売していないとしても、被告が輸入販売を再開するおそれは十分に存在する のであるから、被告は特許権を「侵害するおそれがある者」に該当する(特許法100条1項)。また、上記のとおり、被告が被告製品をウェブサイトに表示する行為は販売の申出に該当するのであるから、被告は特許権を「侵害する者」にも該当する(特許法100条1項)。 (被告の主張) 被告は、既に被告製品の販売を終了しており、携帯電話は、機能及び性能が急速に向上していくから、一旦販売を終了した古い機種の販売が再開されることはないし、●(省略)●。そして、被告製品を紹介するウェブページ(甲42)が残っているのは、過去に被告製品を購入した者から、問合せを受けたりサポートを求められたりすることがあるからであり、それらのページに購入ボ タンが残っているのは、ウェブページのデザインを、コストを掛けてまで変更する必要がないからである。 また、上記各ウェブページの購入ボタンをクリックすると、小売業者のオンラインストアのページに移行するが、そのいずれにおいても、被告製品の販売は終了しており、これを購入することはできない(乙138)。そのため、これ らのウェブサイトの表示が譲渡等の申出に該当するともいえない。 したがって、被告は、被告製品を輸入販売していないし、それを再開する意思もないといえるから、特許法100条1項の「侵 ため、これ らのウェブサイトの表示が譲渡等の申出に該当するともいえない。 したがって、被告は、被告製品を輸入販売していないし、それを再開する意思もないといえるから、特許法100条1項の「侵害するおそれがある者」にも「侵害する者」にも該当しない。 第4 当裁判所の判断 本件における主な争点は、特許権侵害の成否(構成要件充足性、権利濫用の成否及び無効理由の有無。後記第5〔争点1ないし3〕)、FRAND条件によるライセンスを受ける意思の有無等(権利濫用の成否。後記第6〔争点4〕)、損害額の算定(FRAND条件によるライセンス料相当額。後記第7〔争点5〕)である。以下、その項目別に判断する。 第5 特許権侵害の成否 1 本件発明の内容本件各明細書等(甲3の1、2)には、次のとおりの記載があることが認められる。 ⑴ 技術分野【0001】 本発明は、セルラ直交周波数分割多重(OFDM)無線パケット通信システムにおけるダウンリンクで伝送される信号の周波数及びOFDMシンボル領域に対するマッピング方法に関する。 ⑵ 背景技術【0007】 従来の物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH:PhysicalHybridARQIndicatorChannel)のマッピング方法では、図1に示すように、隣接セル間のPHICHグループはコリジョン(collision)を避けることが困難であるという問題点があった。 ⑶ 発明が解決しようとする課題 【0008】上記問題点を解決するために考案された本発明の目的は、OFDMシンボルごとに異なる利用可能なリソースエレメントを考慮することによって、PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起 【0008】上記問題点を解決するために考案された本発明の目的は、OFDMシンボルごとに異なる利用可能なリソースエレメントを考慮することによって、PHICHの反復が隣接セルID間で干渉を起こさないようなPHICHのマッピング方法を提供することにある。 ⑷ 課題を解決するための手段【0013】【数2】好ましくは、前記リソースエレメントグループのインデックスは、下記の式で決定してもよい。 ここで、𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙はセルIDを表し、iは反復パターンのインデックスを表し、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0はOFDMシンボル𝑙′𝑖内の利用可能なリソースエレメントグループの個数と1番目のOFDMシンボル内の利用可能なリソースエレメントグループの個数との比率を表し、m’は、PHICHグループのインデックスを表す。 【0015】好ましくは、前記PHICHは、各々が4個のリソースエレメントからなる複数のPHICHグループ単位で伝送されてもよい。 【0016】好ましくは、前記PHICHは、各々が2個のリソースエレメントからなる複 数のPHICHグループ単位で伝送されてもよい。 ⑸ 発明の効果【0018】本発明の実施例によれば、PHICH伝送においてOFDMシンボルに応じて変化する使用可能なリソースエレメントを考慮することによって効率的なマ ッピングを行なうことにより、PHICHの反復が隣接セルID間に干渉を起こすのを防止し、性能が向上するという効果が得られる。 ⑹ 発明を実施するための形態【0033】【数5】 【0034】式1において、𝑙′𝑖は、PHICHグループのi番目の ⑹ 発明を実施するための形態【0033】【数5】 【0034】式1において、𝑙′𝑖は、PHICHグループのi番目の反復が伝送されるOFDMシンボルのインデックスを表し、m’は、PHICHグループのインデックスを表し、iは、PHICHの反復回数を表す。PHICHが3回反復される場合、iは0,1, 2の値を持つこととなる。 【0038】(略)セルIDによって1番目のREGの位置を指定し、1番目のREGのインデックスを基準に一定間隔で反復パターンを割り当てなければならない。ところが、各OFDMシンボルにおけるREGの個数によって、インデックスに応 じた周波数位置の解像度が異なるため、基準位置が変わるという問題がある。 【0039】したがって、PHICHが多数のOFDMシンボルを通して伝送される場合、最初の開始シンボルのREGの他のシンボルのREGに対する比を考慮して、セルIDによる開始位置を定めれば、上記の問題を解決できる。1個または3個の OFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合、最初の開始シンボルの位置は常に最初のOFDMシンボルとなる。しかし、2個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には、最初のPHICHグループが2番目のOFDMシンボルから始まることになる。したがって、REGの比を考慮する場合、基準となるシンボルを変えなければならない。 【0043】 【数8】PHICHが2番目のOFDMシンボルからマッピングされる場合、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0を𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1に変更すればよい。 2 被告製品の構成について前記前提事実によれば、被告製品は、本件規格 PHICHが2番目のOFDMシンボルからマッピングされる場合、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0を𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1に変更すればよい。 2 被告製品の構成について前記前提事実によれば、被告製品は、本件規格に準拠しているところ、本件 規格の規格書(甲6)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品又は被告製品が採用する通信方法は、以下のaないしiの構成を有していることが認められる。 なお、被告製品は、通常サイクリック・プリフィックスにて動作するものであることにつき当事者間に争いはない一方、弁論の全趣旨によれば、拡張サイクリック・プリフィックスにて動作するものではない。また、下記hの「m’は、 前記PHICHを含むPHICHグループに関連するインデックスを表す」という点について、被告は、「m’は、PHICHマッピングユニット番号を表す」とすべきである旨主張するが、この点の認定に係る説明は、後記3のとおりである。 a マルチキャリアセルラ移動通信システムの基地局から、多重化された複数のACK/NACK信号をPHICHを通じて1フレーム内に受信する、マルチ キャリアセルラ移動通信システムの移動局b 前記基地局から前記移動局への送信ではPHICHをOFDMシンボルにマッピングするc 前記のそれぞれのOFDMシンボルは、複数のリソースエレメントグループを含む d 前記のそれぞれのリソースエレメントグループは、4つのリソースエレメントを含むe-1 PHICHが1つ又は3つのOFDMシンボルにより送信される場合、前記PHICHが3回送信される、OFDMシンボル1’においてPCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループに、周波数領域のインデック スが最も低いリソースエレメントグループか 前記PHICHが3回送信される、OFDMシンボル1’においてPCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループに、周波数領域のインデック スが最も低いリソースエレメントグループから順に、0からn’l’i-1まで番 号を付した数は下記の構成g-1の数式に従って決定されるe-2 PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信される場合、前記PHICHが3回送信される、OFDMシンボル1’においてPCFICHに割り当てられていないリソースエレメントグループに、周波数領域のインデックスが最も低いリソースエレメントグループから順に、0からn’l’i-1まで番号を付し た数は下記の構成g-2の数式に従って決定されるf 前記PHICHの3つの反復を決定されたインデックスに従ってOFDMシンボルにマッピングすることを含むg-1 PHICHが1つ又は3つのOFDMシンボルで送信される場合の𝑛̅𝑖を算出する数式は、 であるg-2 PHICHが2つのOFDMシンボルで送信される場合の𝑛̅𝑖を算出する数式は、 であるh 𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、セルIDを表し、iは、前記PHICHの反復のインデックスを表し、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグル ープの個数とサブフレームの最初のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表し、𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1は、OFDMシンボル𝑙′𝑖における利用可能なリソースエレメントグループの個数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表し、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループに 関連するインデックスを表す 数と前記サブフレームの2番目のOFDMシンボルにおける利用可能なリソースエレメントグループの個数との比を表し、m’は、前記PHICHを含むPHICHグループに 関連するインデックスを表すi 利用可能なリソースエレメントグループは、それぞれのOFDMシンボルのPHICHの送信に使用できるリソースエレメントグループである。 3 争点1-1(被告製品が「m’」〔本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D並びに本件第2発明構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C〕 を充足するか否か)について⑴ 本件発明のm’は、本件特許の構成要件によれば、「PHICHが含まれるPHICHグループに関連するインデックスを表す」(構成要件1-1D及び1-2D)、「PHICHを含むPHICHグループのインデックスを表わす」(2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C)と規定されている。そして、本件各明細書等 には、本件発明のm’は、「PHICHグループのインデックスを表す。」(【0013】)、「PHICHグループのインデックスを表し」(【0015】)と定義されている。 上記構成要件及び本件各明細書等の各記載によれば、本件発明のm’は、「PHICHグループの又はこれに関連するインデックス」をいうものと解され る。 これを被告製品についてみると、前記2のとおり、被告製品が通常サイクリック・プリフィックスにて動作するものであることにつき、当事者間に争いはない。そして、被告製品が準拠している本件規格の規格書(甲6)によれば、通常サイクリック・プリフィックスにて動作する場合、被告製品にお いては、PHICHのマッピングユニット番号m’とPHICHグループ番号mが同一 であることが認められる。 そうすると、被告製品 ック・プリフィックスにて動作する場合、被告製品にお いては、PHICHのマッピングユニット番号m’とPHICHグループ番号mが同一 であることが認められる。 そうすると、被告製品の「m’」は、「PHICHグループ番号」を正に示すものであるから、「PHICHグループの又はこれに関連するインデックス」を表すものとして、本件発明のm’を充足するものと認めるのが相当である。 ⑵ これに対し、被告は、本件規格における「m’」は、「PHICHマッピングユ ニット」のインデックスであって、PHICHグループのインデックスではない旨主張する。しかしながら、被告製品が有する通常サイクリック・プリフィックスの場合、PHICHのマッピングユニット番号m’とPHICHグループ番号mが同一であることは、上記説示のとおりであるから、被告の主張は、前記判断を左右するものとはいえない。したがって、被告の主張は採用することが できない。 ⑶ したがって、被告製品は、「m’」(本件第1発明構成要件1-1D及び1-2D、本件第2発明構成要件2-1G、2-2C、2-3H及び2-4C)を充足するものといえる。 4 争点1-2(被告製品が「𝑙′𝑖」〔本件第1発明構成要件1-1D及び1-2 D並びに本件第2発明構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5B〕を充足するか否か)について⑴ 本件各明細書等(【0033】及び【0034】)の記載によれば、本件発明の「𝑙′𝑖」の算出方法は、PHICHを1つのシンボルで送信する場合はイン デックス0とすること、2つのシンボルで送信する場合は特定の式で算出されるインデックス0と1とすること、3つのシンボルで送信する 」の算出方法は、PHICHを1つのシンボルで送信する場合はイン デックス0とすること、2つのシンボルで送信する場合は特定の式で算出されるインデックス0と1とすること、3つのシンボルで送信する場合は反復回数iに応じたインデックス0,1,2とするものであることが認められる。 これを被告製品についてみると、前記2のとおり、被告製品は、g-1及びg-2の構成を有することからすると、被告製品の「𝑙′𝑖」は、本件発明の 「𝑙′𝑖」を充足するものと認められる。 ⑵アこれに対し、被告は、本件第1発明は、いかなる場合に「式(1)」が用いられ、いかなる場合に「式(2)」が用いられるかを特定していないし、「式(1)」と「式(2)」にはいずれも「𝑙′𝑖」なるパラメータが用いられているところ、本件第1発明は「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかも特定していないと主張する。 しかしながら、本件第1発明の構成要件によれば、同発明における「式(1)」及び「式(2)」のセルID𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙は、PHICHのマッピング位置を定めるために用いられるものである。そして、本件第1明細書等(【0038】、【0039】及び【0043】)の記載によれば、「式(1)」の𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙に𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′0を乗じることは、最初の開始シンボルであるシンボル0の REGの数𝑛′0の他のシンボルのREGの数𝑛′𝑙′𝑖に対する比を考慮してセルIDによる開始位置を定めるためのものであり、「式(2)」の𝑁𝐼𝐷𝑐𝑒𝑙𝑙に𝑛′𝑙′𝑖/𝑛′1を乗じることは、最初の開始シンボルであるシンボル1のREGの数𝑛′1の他のシンボルのREGの数𝑛′𝑙′𝑖に対する比を考慮してセルIDによる開始位置を定めるためのものであると認められ、また、1個又は3個のOFDMシン 初の開始シンボルであるシンボル1のREGの数𝑛′1の他のシンボルのREGの数𝑛′𝑙′𝑖に対する比を考慮してセルIDによる開始位置を定めるためのものであると認められ、また、1個又は3個のOFDMシンボ ルを通じてPHICHが伝送される場合には、OFDMシンボル0を開始シンボルとし、2個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には、OFDMシンボル1を開始シンボルとすることが認められる。 そうすると、本件第1発明においては、1個又は3個のOFDMシンボルを通じてPHICHが伝送される場合には「式(1)」を用い、2個のOFDM シンボルを通じてPHICHが伝送される場合には「式(2)」が用いられるものと認められる。したがって、「式(1)」及び「式(2)」の用いられ方及び「𝑙′𝑖」の与えられ方が不特定である旨の被告の主張は、前提を欠くものといえる。したがって、被告の主張は、採用することができない。 イまた、被告は、本件規格の定めにより、移動局は、i =0, 1, 2について インデックス𝑙′𝑖を特定することができ、当該𝑙′𝑖と特定の1個の数式を用い て n𝑖̅ を計算することができるから、本件規格に従った被告製品は、構成要件1-1D及び1-2Dを充足しない旨主張する。 しかしながら、本件規格の規格書(甲6)によれば、被告製品が準拠する本件規格は、PHICHを1つのシンボルで送信する場合はインデックス0のシンボルを用いること、2つのシンボルで送信する場合は特定の式で算 出される2つのシンボルを用いること、3つのシンボルで送信する場合は反復回数iに応じた3つのシンボルを用いる計算式を使用することが認められる。そうすると、被告が主張するとおり、特定の1個の数式を用いてn𝑖̅ つのシンボルを用いること、3つのシンボルで送信する場合は反復回数iに応じた3つのシンボルを用いる計算式を使用することが認められる。そうすると、被告が主張するとおり、特定の1個の数式を用いてn𝑖̅を計算することができたとしても、上記計算式を使用しているのであるから、構成要件1-1D及び1-2Dを充足することは動かない。したが って、被告の主張は、採用することができない。 ウその他に、被告は、上記イと同様の理由により、本件規格に従った被告製品は、構成要件2-1Dないし2-1F、2-2A、2-2B、2-3Eないし2-3G、2-4A、2-4B、2-5A及び2-5Bを充足しないと主張するものの、上記イの理は、当該主張にも同様に当てはまる。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 5 争点2(権利濫用の成否)について被告は、本件第1発明及び本件第2発明5は、基地局によるPHICHのマッピング方法に特徴を有する発明であり、移動局の発明として特徴的な構成を何ら有していないため、上記各発明の技術的価値は基地局が行う方法にあるから、 被告のような移動局の販売業者に対して特許権を行使することは、権利の濫用に当たる旨主張する。 しかしながら、本件各明細書等(【0008】)の記載によれば、本件発明は、PHICHのマッピング方法を提供するものであり、送受信の信号自体に特徴的な構成を有するものであるから、移動局の発明としても十分に特徴的な構成 を有しているというべきである。そうすると、本件発明が移動局の発明として 特徴的な構成を何ら有していないという被告の主張は、その前提を欠くものといえる。その他に、少なくとも本件において、原告による本件特許権の行使が権利の濫用に当たる事情を認めることはで して 特徴的な構成を何ら有していないという被告の主張は、その前提を欠くものといえる。その他に、少なくとも本件において、原告による本件特許権の行使が権利の濫用に当たる事情を認めることはできない。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 6 争点3-1(乙1発明に基づく進歩性欠如の有無)について ⑴ 一致点及び相違点の認定本件発明と乙1発明が、以下の点において相違し、その余の点において一致することにつき、当事者間に争いがない。 ア本件第1発明と乙1発明の相違点本件第1発明においては、リソースエレメントグループのインデックス n𝑖̅が 又は で与えられるのに対し、 乙1発明においては、リソースエレメントグループのインデックスn𝑖̅が で与えられる点。 イ本件第2発明5と乙1発明の相違点本件第2発明5においては、PHICHが数式1に従って3つのOFDMシン ボルにより送信されるならば、前記PHICHが3回送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定し、前記PHICHが2つのOFDMシンボルにより送信されるならば、さらに、数式2に従って前記PHICHが送信されるリソースエレメントグループのインデックスを決定するのに対し、乙1発明においては、数式Aに従って3回送信されるリソースエレメン トグループのインデックスを決定する点。 ⑵ 容易想到性の有無上記相違点は、複数のシンボルを利用してPHICHを3回反復してマッピングするREGのインデックスを決定する特定の式において、本件発明では、3回の反復を周波数方向に均等にマッピングするため、シンボルごとに利用可 能なREGの個数の違いを考慮した補正を積 マッピングするREGのインデックスを決定する特定の式において、本件発明では、3回の反復を周波数方向に均等にマッピングするため、シンボルごとに利用可 能なREGの個数の違いを考慮した補正を積算しているのに対し、乙1発明には、当該補正の積算がないという点である。 そこで検討するに、本件特許の優先日前において、上記相違点に係る構成を開示する文献、周知技術が存在したことを裏付ける客観的な証拠はないほか、上記構成が単なる設計事項であることを裏付ける客観的証拠もない。そ うすると、上記各相違点につき、当業者が容易に想到し得たものと認めることはできない。 これに対し、被告は、PHICHが複数のOFDMシンボルにマッピングされる場合は、隣接するセル間でPHICHがマッピングされる領域が重ならない結果を必ずしも得られるわけではなく、乙1に接した当業者であれば、本件特許 の優先日前において、乙1の数式Aの誤りを認識しこれを是正することができた旨主張する。しかしながら、証拠(乙3、45)及び弁論の全趣旨によれば、被告提出に係るメール(乙3)は、本件特許の優先日よりも後に送信されたものであり、被告提出に係る意見書(乙45)も、本件特許の優先日よりも十年以上後に作成されたものであるから、本件特許の優先日前の認識 を立証するに適切なものとはいえず、その他に、被告の主張を裏付ける客観 的かつ的確な証拠はない。これらの事情に加え、そもそも乙1発明によっても通信自体は可能であることに照らせば、被告主張に係る「誤り」は本件発明を背景として事後的にみたものというほかなく、被告の主張は、前記判断を左右するものとはいえない。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 7 争点3-2(サポート要件違反の有無)に 景として事後的にみたものというほかなく、被告の主張は、前記判断を左右するものとはいえない。 したがって、被告の主張は、採用することができない。 7 争点3-2(サポート要件違反の有無)について⑴ 「m’」について被告は、「m’」が「PHICHグループのインデックス」に限られず、「PHICHグループに関連するインデックス」を含む場合にも、発明の課題が解決できることは、発明の詳細な説明の記載から認識することはできない旨主張する。 しかしながら、本件第1明細書等には、2個又は4個のリソースエレメントからなる「複数のPHICHグループ単位で伝送されてもよい」(【0015】、【0016】)と記載されていることからすれば、本件発明の「m’」にいう「PHICHに関連するインデックス」は、「2個のリソースエレメントからなる複数のPHICHグループを表すインデックス」を含むものと解するのが相当 である。そうすると、「m’」を「PHICHグループに関連するインデックス」と解した場合であっても、「2個のリソースエレメントからなる複数のPHICHグループを表すインデックス」を含むものとして、本件発明の課題が解決できるものといえる。したがって、被告の主張は、採用することができない。 したがって、「m’」に係るサポート要件違反の主張は、採用することができない。 ⑵ 「𝑙′𝑖」について被告は、本件発明は、「𝑙′𝑖」がいかにして与えられるかを特定しておらず、条件を満たさない場合にまで発明の課題が解決できることは、発明の詳細な 説明の記載から認識することはできない旨主張する。 しかしながら、前記争点1-2において説示したとおり、本件各明細書等の記載(【003 題が解決できることは、発明の詳細な 説明の記載から認識することはできない旨主張する。 しかしながら、前記争点1-2において説示したとおり、本件各明細書等の記載(【0033】及び【0034】)によれば、本件発明の「𝑙′𝑖」の算出方法は、PHICHを1つのシンボルで送信する場合はインデックス0とすること、2つのシンボルで送信する場合は特定の式で算出されるインデックス0と1とすること、3つのシンボルで送信する場合は反復回数iに応じたインデ ックス0,1,2とするものであることが認められる。そうすると、「𝑙′𝑖」が不特定であるとする被告の主張は、その前提を欠くものであり、前記判断を左右するものではない。したがって、被告の主張は、採用することができない。 ⑶ 本件発明について 被告は、単に特許請求の範囲に、基地局から送信される信号を受信する「受信装置(移動局)」と記載するだけでは、「受信装置(移動局)」という物の発明を開示したことにならないから、本件発明の記載は、サポート要件を満たさない旨主張する。 しかしながら、本件発明においては、送受信の信号自体は十分特定されて いるのであるから、その受信装置としても十分に特定されているというべきであり、本件第2発明5についてみても、送受信の信号自体は十分特定されているのみならず、基地局と移動局との間の通信においては送信と受信は対になって行われるものであるから、基地局である送信方法ないし送信装置に関する構成が特定されることによって、移動局である受信方法ないし受信装 置の構成も、上記構成に対応して十分に特定されるものといえる。そうすると、「受信装置(移動局)」という物の発明を開示したことにならないという被告の主張は、その前提を欠くも 信方法ないし受信装 置の構成も、上記構成に対応して十分に特定されるものといえる。そうすると、「受信装置(移動局)」という物の発明を開示したことにならないという被告の主張は、その前提を欠くものといえる。したがって、被告の主張は、採用することができない。 8 争点3-3(新規性欠如の有無)について 被告は、本件発明が、受信方法ないし受信装置に係る発明の構造等を特定し ておらず、移動局の構成等も特定していないことを前提に、本件発明の要旨を認定した上、当該認定によれば本件発明に新規性はない旨主張する。 しかしながら、送受信の信号自体は十分特定されているのであるから、その受信装置としても十分に特定されているというべきであることは、上記説示のとおりである。そうすると、被告の主張は、上記7⑶と同様に、その前提を欠 く。したがって、被告の主張は、採用することができない。 9 争点3-4(明確性要件違反の有無)について被告は、本件発明の特許請求の範囲の記載は、基地局から送信される信号を受信する「受信装置」(移動局)と述べているだけであり、いかなる構成を有する受信装置(移動局)が本件発明の範囲に入るのかを、当業者は理解するこ とができないから、本件発明の特許請求の範囲の記載は、明確性の要件を満たさない旨主張する。 しかしながら、本件発明が受信装置(移動局)の構成を十分に特定していることは、上記において繰り返し説示したとおりであり、被告の主張は、上記と同様に、その前提を欠くものであるから、採用の限りではない。 10 争点3-5(優先権主張が認められないことに基づく進歩性欠如の有無)について被告は、本件特許の優先権基礎出願(乙4)の特許請求の範囲の記載には、移動局に向けられ はない。 10 争点3-5(優先権主張が認められないことに基づく進歩性欠如の有無)について被告は、本件特許の優先権基礎出願(乙4)の特許請求の範囲の記載には、移動局に向けられた請求項はないため、本件発明は、優先権基礎出願に開示されておらず、優先権主張が認められない旨主張する。 しかしながら、上記優先権基礎出願(乙4)に移動局に向けられた請求項がないとしても、基地局のACK/NACK信号に係る所定の式が上記優先権基礎出願において開示されることによって、これに対応する移動局の受信装置(移動局)の構成が十分に特定されることは、上記において繰り返し説示したとおりである。したがって、被告の主張は、上記と同様に、その前提を欠くものであるか ら、その余の点について判断をするまでもなく、採用することができない。 11 小括(侵害論について)以上によれば、被告製品は、本件発明の各構成要件をいずれも充足し、権利濫用及び本件発明の無効をいう被告の主張は、いずれも採用することができない。 第6 FRAND条件によるライセンスを受ける意思の有無等(権利濫用の成否 〔争点4〕) 1 差止請求⑴ 判断基準標準規格に準拠した製品の製造等に実施が必須となる特許(以下「標準必須特許」という。)を有する者が標準必須特許に対しFRAND宣言をした 場合(以下、当該者を「必須宣言特許権者」という。)、上記製品の製造等をする者(以下「必須特許実施者」という。)は、標準必須特許についてFRAND条件によるライセンスを受けられることを前提として、上記製造等をすることになる。それにもかかわらず、必須宣言特許権者が、上記ライセンスを受けられるものと信頼している必須特許実施者に対し、標準必 AND条件によるライセンスを受けられることを前提として、上記製造等をすることになる。それにもかかわらず、必須宣言特許権者が、上記ライセンスを受けられるものと信頼している必須特許実施者に対し、標準必須特許 に基づく差止めを請求することは、必須特許実施者の合理的な信頼を著しく損なうことになり、正義・公平の理念に反するものといえる。 他方、必須宣言特許権者は、上記ライセンスに係る実施料相当額を取得できることを前提として自らFRAND宣言をしたのであるから、上記実施料相当額を取得することができる場合には、必須特許実施者に対し差止請求を する必要性及び相当性を明らかに欠くものといえる。 そうすると、必須宣言特許権者が必須特許実施者に対し標準必須特許に基づく差止めを請求することは、必須特許実施者がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情がない限り、権利の濫用として許されないというべきである。 ⑵ 認定事実 これを本件についてみると、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。 ア原告は、2020年6月12日、ASUS台湾に対し、原告が保有するLTE等の特許について、ライセンスを受けるよう求める旨の通知書を送付した。当該通知書に添付された特許リストには、「原告特許の代表的な 一覧」と記載されており、本件特許の特許番号も記載されていた。(乙8)イ ASUS台湾は、2020年7月10日、原告に対し、ASUS台湾は他社の知的財産権を尊重しており、解決策について真摯に協議する意思がある旨を表明した。(乙9)ウ原告は、2020年7月20日、ASUS台湾に対し、秘密保持契約の 締結を要請し、同年8月7日、原告とASUS台湾との間で 策について真摯に協議する意思がある旨を表明した。(乙9)ウ原告は、2020年7月20日、ASUS台湾に対し、秘密保持契約の 締結を要請し、同年8月7日、原告とASUS台湾との間で秘密保持契約が締結された。(乙10、弁論の全趣旨)エ原告は、2020年8月28日、ASUS台湾に対し、ライセンス条件を提示して説明したものの(以下「第1回交渉」という。)、①代表的な特許のクレームチャート、②ライセンス対象となる全ての原告保有特許の特 許番号のリストが明らかではなかった。そのため、原告は、ASUS台湾に対し、上記①及び②の内容を提示することを約束した。なお、原告は、この日の提案において、過去の損害額や今後の実施料率を示すとともに、原告は少なくとも●(省略)●個の標準必須特許(以下、当事者の表記に合わせて「SEP」ともいう。)を保有しており、UnwiredPlanetv. Huawei 判決に照らして、料率を計算したと説明した。(乙11、弁論の全趣旨)オ原告は、2020年9月9日、上記約束に基づき、ASUS台湾に対し、ライセンス対象となる全ての原告保有特許の特許番号が記載されたリスト(上記②)を提示した。(乙12、弁論の全趣旨)カ原告は、2020年9月22日、上記約束に基づき、ASUS台湾に対 し、代表的な特許10件のクレームチャート(上記①)を提示し、クレー ムチャートについて説明をするための電話会議を、同年10月26日の週に設けることを提案した。(乙13、弁論の全趣旨)キ ASUS台湾は、2020年9月24日、原告に対し、ベンダからの説明が間に合わないことが予想されるため、同年10月26日の週の電話会議では原告の説明を聞くこととし、追って、ベンダからの キ ASUS台湾は、2020年9月24日、原告に対し、ベンダからの説明が間に合わないことが予想されるため、同年10月26日の週の電話会議では原告の説明を聞くこととし、追って、ベンダからの返事を踏まえて ASUS台湾の意見を伝えることでもよいかと尋ねた。(乙14)ク原告は、2020年10月27日、ASUS台湾に対し、同年9月22日に提示したクレームチャートの説明をした(以下「第2回交渉」という。)。 この際、原告は、原告が提示した特許番号のリストには、ASUS台湾の製品に関係の無い特許も含まれていることを認め、ASUS台湾に対し、 このような特許を特定するように要請した。また、ASUS台湾は、ベンダとの間で秘密保持契約を締結したことのほか、同年12月中旬までにベンダの意見を連絡することを伝えた。(乙15、弁論の全趣旨)ケ原告は、2020年11月18日、原告がASUS台湾に対して事前にクレームチャートを送付していたにもかかわらず、ASUS台湾は第2回 交渉に向けた準備が不足しており、同社のような大企業がベンダに確認しないと分からないというのは不誠実である旨通知した。(乙16)コ ASUS台湾は、2020年11月20日、原告に対し、第2回交渉時に12月中旬までにベンダの意見も併せて返事をすると約束したこと、標準必須特許ではない2件については来週には回答すること、標準必須特許 とされる8件については12月中旬までに回答すること、部品の機能等についてはベンダの技術的情報を頼る必要があること、●(省略)●件の特許ファミリーのうち約●(省略)●件は韓国のみをカバーしている特許であるため、韓国を市場としないASUS製品には関係がないこと、第2回交渉時に原告から要請を受けたASUS製品に無関 (省略)●件の特許ファミリーのうち約●(省略)●件は韓国のみをカバーしている特許であるため、韓国を市場としないASUS製品には関係がないこと、第2回交渉時に原告から要請を受けたASUS製品に無関係の特許の特定につ いては、技術的な議論が長期化することを避けるため、当該特定作業はせ ずに、焦点を10件のクレームチャートに絞りたいことなどを伝えた。(乙17、弁論の全趣旨)サ ASUS台湾は、2020年11月27日、原告に対し、クレームチャートに記載されていた特許2件について、非充足と無効を主張した。(乙18、弁論の全趣旨) シ ASUS台湾は、2020年12月15日、原告に対し、標準必須特許とされる6件(本件第2特許に対応する米国特許を含む。)について、非充足を主張した。(乙19、弁論の全趣旨)ス原告とASUS台湾は、2020年12月23日から2021年4月23日にかけて、上記非充足及び無効主張(ASUS台湾は、前記で無効を 主張した特許以外に対しても、無効主張を追加した。)について反論のやり取り等を行った。これと並行して、原告は、2021年4月21日、ASUS台湾に対し、原告のライセンス提案に対する対案を要請し、ASUS台湾は、同月23日、原告に対し、原告の当初提案の具体的な算定根拠の提示を受けていない旨指摘した。(乙20ないし28、弁論の全趣旨) セ原告は、2021年5月13日、ASUS台湾に対し、2020年8月28日の当初の提案について、ライセンス条件の計算根拠をより具体的に提示した。(乙29、弁論の全趣旨)ソ ASUS台湾は、2021年5月28日、原告に対し、原告が採用した累積ロイヤリティ料率は10年以上前の調査を基にしており、2019年 具体的に提示した。(乙29、弁論の全趣旨)ソ ASUS台湾は、2021年5月28日、原告に対し、原告が採用した累積ロイヤリティ料率は10年以上前の調査を基にしており、2019年 以降の5Gの商業化や、UnwiredPlanetv. Huawei判決で決定されたLTEの累積ロイヤリティ料率から大幅に逸脱していることなどからすれば、原告の上記ライセンス条件はFRAND条件とはいえないことを指摘した。 (乙30)タ原告は、2021年6月8日、ASUS台湾に対し、原告提示の条件は FRAND条件であることや、原告保有特許の大部分は5G規格もカバー していることを主張した。(乙31、弁論の全趣旨)チ ASUS台湾は、2021年8月3日、原告に対し、ライセンス条件の対案を提示した。なお、この時点において、ASUS台湾は、原告から原告保有特許の全てが5G規格をカバーしていることの具体的な説明を受けていなかったため、当該対案は、原告保有特許がLTEのみをカバーし ていることを前提に算出された。(乙32、弁論の全趣旨)ツ原告は、2021年8月28日、ASUS台湾に対し、米国で訴訟を提起した。(乙33、弁論の全趣旨)テ原告は、2021年12月22日、ASUSの日本法人である被告に対し、本件特許を含む10件のLTE規格等に準拠する特許について、ライ センス条件は既にASUS台湾に伝えているところ、ライセンスを受ける意思があれば回答されたい旨記載した通知書を送付した。(乙34)ト上記米国訴訟において、2021年12月27日、原告とASUS台湾との間で和解が成立した。(弁論の全趣旨)ナ ASUS台湾は、2022年2月16日、被告に代わり、原告に対し、 ト上記米国訴訟において、2021年12月27日、原告とASUS台湾との間で和解が成立した。(弁論の全趣旨)ナ ASUS台湾は、2022年2月16日、被告に代わり、原告に対し、 FRAND条件でライセンスを受ける意思がある旨伝えるとともに、本件特許を含む日本の特許のクレームチャートを提示するように要請した。 (乙35)ニ原告は、2022年3月31日、本件訴訟を提起し、被告は、同年4月13日、訴状を受領した。(当裁判所に顕著な事実) ヌ ASUS台湾は、2022年4月15日、原告に対し、原告の特許が5G規格をカバーすると主張するので、5G規格との対応関係を示すクレームチャートを提示するよう要求してきたが、その提示がない旨指摘した。 (乙36)ネ原告は、2022年4月22日、ASUS台湾に対し、5G規格の上記 クレームチャートを提供する義務はないと考えていると付言しつつも、5 G規格の代表的なクレームチャートを提示した。(乙37)ノ ASUS台湾は、2022年4月27日、原告に対し、5G規格のクレームチャートをベンダに共有することを要請し、ASUS台湾は、同年5月27日に原告の了解が得られた直後、当該クレームチャートをベンダに提供した。(乙38、弁論の全趣旨) ハ ASUS台湾は、2022年7月29日、原告に対し、5Gの特許4件について非充足と無効を主張し、原告とASUS台湾は、同年8月26日から11月21日にかけて、反論等のやり取りをした。(乙50ないし54、弁論の全趣旨)ヒ ASUS台湾は、2022年12月8日、原告に対し、日本での販売デ ータが用意できたことを伝え、電話会議を提案した。そして、ASUS台湾は、同月16日に いし54、弁論の全趣旨)ヒ ASUS台湾は、2022年12月8日、原告に対し、日本での販売デ ータが用意できたことを伝え、電話会議を提案した。そして、ASUS台湾は、同月16日に開かれた電話会議において、原告に対し、日本での販売データを開示するとともに、5G端末だけでなくLTE端末も原告のLTE特許のライセンス対象に含めるなどしたライセンス条件を提示した。 (乙73、75、弁論の全趣旨) フ ASUS台湾は、2023年1月6日、原告に対し、同月20日から29日にかけては春節の休暇となるから、協議を希望する場合は春節に近すぎない頃にしてほしい旨伝えた。(乙76)ヘ原告は、2023年1月14日、ASUS台湾に対し、原告のFRAND料率に沿った数字であれば、柔軟に対応する旨伝えたところ、ASUS 台湾は、同月19日、春節の休暇後に検討する旨返信した。(乙77、78)ホ ASUS台湾は、2023年3月24日、原告に対し、標準必須特許でない特許についてライセンスを受ける必要性はないところ、昨年12月の電話会議において示されたロイヤリティ料率は、標準必須特許でない特許 も含めた提案であるから、別の提案をするよう要請した。(乙79) マ原告は、2023年3月26日、ASUS台湾に対し、同社が意味のある対案を提示できていないことを指摘する一方で、標準必須特許のみのライセンスについて了承し、1特許当たり●(省略)●米ドルの条件を提示した。(乙80)ミ原告とASUS台湾は、2023年3月27日から同年4月20日にか けて、料率や具体的な金額、SEP件数の根拠等についてやり取りした。 (乙81、86ないし89)ム原告は、2023年5月5日、ASU 台湾は、2023年3月27日から同年4月20日にか けて、料率や具体的な金額、SEP件数の根拠等についてやり取りした。 (乙81、86ないし89)ム原告は、2023年5月5日、ASUS台湾に対し、電話会議の開催を要請し、同月25日に電話会議が開かれた。原告は、当該電話会議において、LTE規格のSEPファミリーを少なくとも●(省略)●件保有して いることのほか、その特許リストを追って開示することなどを伝えた。(乙94、97、弁論の全趣旨)メ原告は、2023年5月31日、ASUS台湾に対し、保有する特許リストを更新して、開示した。(乙98)モ ASUS台湾は、2023年6月28日、電話会議において、原告が更 新した上記特許リストを踏まえ、過去の販売台数に関し、トップダウンアプローチに基づく一括払いのライセンス料を提示した。(乙100、弁論の全趣旨)ヤ ASUS台湾は、2023年8月8日、同年6月28日に提示した案に対する回答を催促したところ、原告は、同年8月29日、原告としては日 本の裁判所の関与の下で、世界全体のライセンスに係る和解協議を行いたいと考えており、まずは同裁判所の指示に従って対応する予定である旨回答した。(乙101、102、弁論の全趣旨)⑶ 当てはめア上記認定事実によれば、ASUS台湾は、本件特許を含むLTE規格等 の特許について、原告からライセンスを受けるよう求められた際、速やか に、真摯に協議する意思があることを表明している上(認定事実イ)、改めて原告から、被告に対してライセンスを受ける意思の有無につき回答を求められた際も、FRAND条件でライセンスを受ける意思があることを表明していることからすると(同ナ)、被告及びASUS台 イ)、改めて原告から、被告に対してライセンスを受ける意思の有無につき回答を求められた際も、FRAND条件でライセンスを受ける意思があることを表明していることからすると(同ナ)、被告及びASUS台湾は、少なくとも、FRAND条件によるライセンスを受ける意思を明確に表明してい たことが認められる。 そして、上記認定に係る交渉経過をみても、ASUS台湾は、原告からの秘密保持契約の締結要請後、直ちに同契約締結に至り(認定事実ウ)、その後も直ぐに第1回交渉に応じてクレームチャート等の提示を求め(同エ)、クレームチャートの提示を受けてから約2か月後であって、同クレ ームチャートの説明を受けた第2回交渉時から約1か月後には、ベンダの意見も踏まえて充足論及び無効論の主張に至っていること(同カ、ク、サ、シ)、原告から具体的なライセンス条件の計算根拠を示された後、直ちに当該計算根拠に係る意見を述べ、約3か月後には対案を提示していること(同セ、ソ、チ)、原告に対して5G規格のクレームチャートを要求し、 同クレームチャートを取得してから約3か月後に、5Gの特許について非充足等の意見を述べていること(同ヌ、ネ、ハ)、その後も料率等の根拠等について交渉を続け、特許リストの開示等の交渉状況に応じて複数回ライセンス条件を提示していること(同ヒ、ミ、モ)、以上の事実が認められる。 上記認定事実によれば、ASUS台湾は、原告からライセンスを受けるよう求められた際、速やかに真摯に協議する意思があることを表明して以降、秘密保持契約の締結、被告側におけるベンダとの協議、ライセンス対象となる特許の特定、当該特許の充足性及び有効性の確認、5G規格との対応関係の確認、ライセンス条件の確認及び交渉、春節休暇による中断そ の他の事情によ 告側におけるベンダとの協議、ライセンス対象となる特許の特定、当該特許の充足性及び有効性の確認、5G規格との対応関係の確認、ライセンス条件の確認及び交渉、春節休暇による中断そ の他の事情により時間を要したものの、被告は、原告とのライセンス交渉 に対し、できる限りの対応をしていたものと認められる。 もっとも、上記認定に係る事前協議及び本件訴訟の和解協議にもかかわらず、原告と被告との間でFRAND料率に係る合意に至らなかったのは、後記(第7)において詳述するとおり、当事者双方提示に係るFRAND料率が余りにも大きくかけ離れていたためである。そして、前記に掲げる 当事者双方の主張及び弁論の全趣旨によれば、その原因は、世界の主要国においては、原告提示に係るUnwiredPlanetv. Huawei判決その他のFRAND料率の算定方法に関する裁判例が時代の変化に応じて国際的に展開する一方、日本においては、アップルサムソン大合議判決以降約10年間にわたり、国際的な上記展開を踏まえた裁判例がなく、本件に現れた諸事 情を踏まえても、FRAND料率の算定方法が必ずしも日本の実務に定着していないことに帰するものといえる。 これらの事情の下においては、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情があることを認めることはできない。 したがって、原告が被告に対し本件特許権に基づく差止めを請求することは、権利の濫用として許されない。 イこれに対し、原告は、①ベンダへの確認は不要であるにもかかわらずそれを理由に回答を引き延ばしたこと、②対案の提示が不合理に遅い上、FRAND条件から著しく乖離した料率に約2年も固執したこと、③5G規 格のクレームチャートは 確認は不要であるにもかかわらずそれを理由に回答を引き延ばしたこと、②対案の提示が不合理に遅い上、FRAND条件から著しく乖離した料率に約2年も固執したこと、③5G規 格のクレームチャートは不要であるにもかかわらず提示を要請したこと、④グローバルライセンスによる解決を拒否し続けたこと、⑤春節休暇を口実に交渉を遅延させたことなどのASUS台湾及び被告の交渉態度からすれば、被告側は誠実に交渉してきたとはいえず、被告はFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有する者とはいえない旨主張する。 しかしながら、FRAND料率に係る合意に至らなかった根本的な原因 は、その算定方法が必ずしも日本の実務に定着していないことに帰することは、上記において説示したとおりである。そうすると、被告側提案に係るFRAND料率が原告提案に係るFRAND料率と乖離しており、その乖離が約2年続いたとしても、前記認定に係る事情を踏まえれば、前記特段の事情を認めるに足りるものとはいえず、原告が縷々主張するところは、 いずれも採用の限りではない。もっとも、原告の主張は、中核的争点に関連するものであるとも一応いえるため、原告の主張に対し、念のため、上記①ないし⑤の順に判断を簡潔に示すこととする。 ① ASUS台湾は、部品レベルの機能やチップセットの動作の詳細については、ベンダから技術的情報の提供を受けなければならないことなど、 ベンダへの確認が必要な理由を原告に繰り返し説明しており(認定事実キ、ク、コ、乙17)、充足論等の検討に当たりベンダへの確認自体は一応合理的なものであることを踏まえると、ベンダへの確認が不当な引き延ばしに当たるとまでいうことはできない。 ② 原告は、第1回交渉時において、少なくとも●(省略)●個の ンダへの確認自体は一応合理的なものであることを踏まえると、ベンダへの確認が不当な引き延ばしに当たるとまでいうことはできない。 ② 原告は、第1回交渉時において、少なくとも●(省略)●個のSEP を保有しており、UnwiredPlanetv. Huawei判決に照らし、その数に基づいて料率を計算したと述べたのみで、具体的な計算過程や料率の合理性等は2021年5月13日まで示さなかったことを踏まえると(認定事実エ、セ、乙11、29の2)、同年8月3日の対案の提示が不合理に遅いということはできない。 ③ 原告は、5G規格のクレームチャートは不要であった旨主張するものの、原告自身が料率算定の根拠にしたというUnwiredPlanetv. Huawei判決をみても、他の通信規格とLTE規格の割合を一応考慮しているのであるから、5G規格のクレームチャートは不要であったということはできない。 ④ FRAND料率は、本来的には必須宣言特許権者と必須特許実施者と の間で誠実交渉し可及的速やかにグローバルで合意されるべきものであることは、後記第7の1において説示するとおりである。しかしながら、FRAND料率の算定方法が必ずしも日本の実務に定着していないため、本件において当事者双方提示に係るFRAND料率が余りにも大きくかけ離れていたことは、前記認定のとおりである。これらの事情を 踏まえると、グローバルライセンスによる解決が現実的ではなく、まずは本件特許に限った合意を目指すべきとする立場をとることも、少なくとも本件に限っては必ずしも不合理なものとはいえない。そうすると、グローバルライセンスによる解決を拒否することは、標準必須特許のグローバルな性質に鑑みると、一般的には、FRAND とることも、少なくとも本件に限っては必ずしも不合理なものとはいえない。そうすると、グローバルライセンスによる解決を拒否することは、標準必須特許のグローバルな性質に鑑みると、一般的には、FRAND条件によるライセ ンスを受ける意思を有しないことを推認すべき事情となり得るものの、少なくとも本件に限っては、上記推認の基礎を欠くというべきである。 ⑤ 春節休暇についても、事前に休暇で対応ができなくなる可能性が高いことを伝えている上、休暇の終了から約2か月後に具体的な反論をしていることからすれば(認定事実フ、ホ、乙76、79)、不当に交渉を遅 延させたということはできない。 ⑥ その他に、米国訴訟中の交渉態度、不必要な質問その他の原告が縷々指摘する事情を踏まえても、被告の交渉態度に直ちに不誠実なところがあったということはできず、前記特段の事情があることを認めるに足りない。 ⑷ 結論以上によれば、本件請求のうち差止請求に関する部分は、理由がない。 2 損害賠償請求⑴ 判断基準標準必須特許を有する者がこれに対しFRAND宣言をした場合、必須特 許実施者は、標準必須特許についてFRAND条件によるライセンスを受け られることを前提として、当該標準規格に準拠した製品の製造等をすることになる。それにもかかわらず、必須宣言特許権者が、上記ライセンスを受けられるものと信頼している必須特許実施者に対し、上記ライセンスに係る実施料相当額を超える損害賠償を請求することは、必須特許実施者の合理的な信頼を著しく損なうことになり、正義・公平の理念に反するものといえる。 他方、必須宣言特許権者は、上記実施料相当額を取得できることを前提として自らFRAND宣言をしたのであるか 理的な信頼を著しく損なうことになり、正義・公平の理念に反するものといえる。 他方、必須宣言特許権者は、上記実施料相当額を取得できることを前提として自らFRAND宣言をしたのであるから、上記実施料相当額を取得することができる場合には、必須特許実施者に対し上記実施料相当額を超える損害請求をする必要性及び相当性を明らかに欠くものといえる。 そうすると、必須宣言特許権者が必須特許実施者に対し標準必須特許に基 づく上記実施料相当額を超える損害賠償を請求することは、必須特許実施者がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を有しないという特段の事情がない限り、権利の濫用として許されないというべきである。 ⑵ 当てはめ前記1によれば、被告がFRAND条件によるライセンスを受ける意思を 有しないという特段の事情があることを認めることはできない。 したがって、原告が被告に対し本件特許権に基づくFRAND条件によるライセンスに係る実施料相当額を超える損害賠償を請求することは、権利の濫用として許されない。 ⑶ 結論 以上によれば、本件請求のうち、上記実施料相当額を超える損害賠償に関する部分は、理由がない。 第7 損害額の算定(FRAND条件によるライセンス料相当額〔争点5〕)本件請求のうち、FRAND条件によるライセンスに係る実施料相当額の範囲内の損害賠償に関する部分は、被告は権利の濫用を主張するものではなく、 前記において説示したところによれば、理由がある。以下、算定基準を示した 上、上記実施料相当額を算定する。 1 算定基準特許法102条3項は、特許権侵害の際に特許権者が請求し得る最低限度の損害額を法定した規定であり、「特許権者又は専用実施権者は、故意又 上、上記実施料相当額を算定する。 1 算定基準特許法102条3項は、特許権侵害の際に特許権者が請求し得る最低限度の損害額を法定した規定であり、「特許権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に 対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。」と規定している。そうすると、同項による損害は、原則として、侵害品の売上高を基準とし、そこに、実施に対し受けるべき料率を乗じて算定すべきである。そして、実施に対し受けるべき料率は、①当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでな い場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、②当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、③当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、④特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮して、合理的な料率を定めるべきであり(知的財産高等裁判 所平成30年(ネ)第10063号令和元年6月7日特別部判決〔令和元年大合議判決〕)、上記の理は、FRAND条件による標準必須特許の実施に対し受けるべき料率(以下「FRAND料率」という。)についても異なるところはない。 そして、FRAND料率については、標準規格に準拠した製品の製造等に実 施される標準必須特許のグローバルな性質及び膨大な特許数に鑑みると、①当該標準必須特許の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料のグローバルな相場等も考慮に入れつつ、②膨大な特許数の個別価値をそれぞれ認定するのは実務上困難で 該標準必須特許の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料のグローバルな相場等も考慮に入れつつ、②膨大な特許数の個別価値をそれぞれ認定するのは実務上困難であるから、各標準必須特許の価値が全て同一であるものと推認し、全標準必須特許の価値を全標 準必須特許の数で割ることによって一標準必須特許の価値を算定する一方、当 該標準必須特許の実施料率を累積した実施料の合計額が合理的な範囲にとどまるようにすべきであり、③この場合において、全標準必須特許を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献を考慮するほか、④FRAND料率は、文字どおり公正かつ合理的で非差別的な条件をもって、本来的には必須宣言特許権者と必須特許実施者との間で誠実交渉し可及的速やかにグローバルで合 意されるべきものであるから、当該合意を後押しする観点から、当事者間の交渉経過、必須特許実施者におけるFRAND条件によるライセンスを受ける意思その他訴訟に現れた諸事情を総合考慮して、合理的な料率を定めるべきである。 2 本件への当てはめ ⑴ 基本的枠組み前記認定に係る交渉経過等及び弁論の全趣旨によれば、侵害品である被告製品の売上高を基準とし、そこに、FRAND条件による本件特許の実施に対し受けるべき料率(以下「本件FRAND料率」という。)を乗じて算定することとし、本件FRAND料率については、LTE規格に係る全標準必須 特許の実施料率(以下「LTE規格全実施料率」という。)をLTE規格に係る全標準必須特許の数(以下「LTE規格全特許数」という。)で割り、これに本件特許の数を乗ずることによって算定するのが相当である。 もっとも、LTE規格全実施料率について、原告は、●(省略)●を直接の根拠とし 特許の数(以下「LTE規格全特許数」という。)で割り、これに本件特許の数を乗ずることによって算定するのが相当である。 もっとも、LTE規格全実施料率について、原告は、●(省略)●を直接の根拠として27%であると主張するのに対し、被告は、LTE規格に準拠 していることが売上げに寄与したと認められる割合(以下「LTE規格寄与率」という。)を25%とした上、UnwiredPlanetv. Huawei判決、TCLv. Ericsson判決、Huaweiv. Samsung判決(乙41ないし43)が示したLTE規格の累積ロイヤリティ料率(以下、単に「累積ロイヤリティ料率」という。)の各中間値の平均値7.9%を、上記25%(LTE規格寄与率)に乗じた0.0 198%とすべきであるとし、当事者双方提示に係る本件FRAND料率が 余りにも大きくかけ離れていたため、当事者間において合意に至らなかったものである。 このような交渉経過等を踏まえ、本件においては、FRAND料率の算定方法、売上高、LTE規格全実施料率及びLTE規格全特許数の順で、以下検討する。 ⑵ FRAND料率の算定方法ア被告の算定方法の当否被告は、LTE規格寄与率25%に対し、UnwiredPlanetv. Huawei判決、TCLv. Ericsson判決、Huaweiv. Samsung判決で示された累積ロイヤリティ料率の各中間値の平均値7.9%を乗じた0.0198%とすべきであると 主張する。 そこで検討するに、UnwiredPlanetv. Huawei判決は、「累積ロイヤリティ料率」を8.9%としているところ、同判決は、4Gの売上高に対し、4Gの全標準必須特許に係る実施料率として「累積ロイヤリティ料 nwiredPlanetv. Huawei判決は、「累積ロイヤリティ料率」を8.9%としているところ、同判決は、4Gの売上高に対し、4Gの全標準必須特許に係る実施料率として「累積ロイヤリティ料率」を乗じていると解されることからすると、同判決にいう「累積ロイヤリティ料 率」とは、本件にいう「LTE規格全実施料率」と同義をいうものであり、この理は、被告指摘に係るTCLv. Ericsson判決、Huaweiv. Samsung判決についても異なるところはない。そうすると、被告の主張は、本判決にいう「LTE規格全実施料」に対し、更に「LTE規格寄与率」を重ねて乗ずるものであるから、極めて過小な実施料率を算定するものであり、実施料のグ ローバルな相場等に照らしても、合理的なものといえないことは明らかである。 これに対し、被告は、本判決にいう算定方法について、アップルサムソン大合議判決にいう「規格に準拠していることの貢献割合」を考慮していないため、同大合議判決に反する旨主張する。 しかしながら、本判決にいう「LTE規格全実施料率」は、いわゆるロ イヤリティ・スタッキングの防止という観点から、当該標準必須特許の実施料率を累積した実施料の合計額が合理的な範囲にとどまるように算定されるべきものであり、かつ、全標準必須特許を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献を考慮して算定されるべきものであることは、上記において説示したとおりである。そうすると、被告の主張は、アップル サムソン大合議判決でいえば、「規格に準拠していることの貢献割合」を実質的には2回重ねて乗ずることになるから、極めて過小な実施料率を算定するものである。 したがって、被告の主張は、アップルサムソン大合議判決にいう「累積ロイヤリティ 準拠していることの貢献割合」を実質的には2回重ねて乗ずることになるから、極めて過小な実施料率を算定するものである。 したがって、被告の主張は、アップルサムソン大合議判決にいう「累積ロイヤリティ」と、UnwiredPlanetv. Huawei判決にいう「累積ロイヤリティ」 について、その文言を形式的に捉えてこれらを同義の概念であると誤解するものであり、両判決の趣旨目的を正解するものとはいえない。 そもそも、損害額の算定は、当事者の主張立証の限度において裁判所の総合的かつ裁量的な判断で定められるべきところ、アップルサムソン大合議判決においては、当事者双方において「累積ロイヤリティ料率」を5% とすることを前提として主張がされていたのに対し、本件においては、アップルサムソン大合議判決にいう「累積ロイヤリティ料率」なる概念が具体的かつ正確に主張立証されていないのであるから、当該概念を前提とする算定方法は、少なくとも本件に適切なものとはいえず、また、当事者双方の主張立証及び標準規格の内容が異なる以上、アップルサムソン大合議 判決が示したFRAND料率と本件FRAND料率を比較するのも、当を得たものとはいえない。 のみならず、アップルサムソン大合議判決の後においては、令和元年大合議判決が、特許法102条3項の算定方式全般の重要な指針を改めて示しているのであるから、FRAND料率については、標準必須特許のグロ ーバルな性質に鑑みても、令和元年大合議判決が説示する判断枠組みに基 づき、裁判例の国際的な展開をも踏まえ、日本においてもグローバルな変化に対応し、FRAND料率を認定するのが相当である。 イ原告の算定方法の当否原告は、●(省略)●を直接の根拠として、27%とすべきであると主張する。 まえ、日本においてもグローバルな変化に対応し、FRAND料率を認定するのが相当である。 イ原告の算定方法の当否原告は、●(省略)●を直接の根拠として、27%とすべきであると主張する。 そこで検討するに、「LTE規格全実施料率」は、当該標準必須特許の実施料率を累積した実施料の合計額が合理的な範囲にとどまるようにすべきものであることは、前記において説示したとおりである。しかしながら、●(省略)●27%は、基本的には、各社算定に係るロイヤリティ料率を累積するなどしたものであり、その具体的な根拠も直ちに明らかではない ことからすると、原告の主張に係る「LTE規格全実施料率」は、累積した実施料の合計額が合理的な範囲にとどまるものとはいえない。 また、原告は、特許権侵害に当たることが判明した本件においては、いわゆる侵害プレミアムとして、特許法102条4項に基づく考慮をすべきであるから、ライセンス交渉段階における料率よりも、高いFRAND料 率が採用されるべきである旨主張する。しかしながら、FRAND料率は、文字どおり公正かつ合理的で非差別的な条件をもって合意されるべきものであることは、前記において説示したとおりである。そうすると、当事者双方においてFRAND条件の算定方法についての認識の相違はあったものの、被告は同条件によるライセンスを受ける意思を有していたとい えるから、原告主張に係る事情は、FRAND条件の性質に照らし、FRAND料率を増額する事情をいうに足りない。 ウ以上によれば、当事者双方の上記各主張は、上記の限度でいずれも採用することができない。 ⑶ 売上高 被告製品の売上高(被告LTE製品は●(省略)●円、被告5G製品は● (省略)●円)は、合計●(省略)● 、上記の限度でいずれも採用することができない。 ⑶ 売上高 被告製品の売上高(被告LTE製品は●(省略)●円、被告5G製品は● (省略)●円)は、合計●(省略)●である(弁論の全趣旨)。 ⑷ LTE規格全実施料率ア前記認定に係る交渉経過によれば、UnwiredPlanetv. Huawei判決が当事者間において交渉の念頭に置かれていたところ、証拠(乙41ないし43、140ないし142)によれば、LTE規格全実施料率について、Unwired Planetv. Huawei判決(2017年)は8.8%(乙41)、TCLv. Ericsson判決(2017年)は6~10%(乙42)、Huaweiv. Samsung判決(2018年)は6~8%(乙43)が相当であるとされ、その上限の平均値は、8.9%であることが認められる。そして、証拠(甲4の1ないし16)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品には、LTE通信のみならず5 G通信にも対応している製品(被告製品1ないし14〔被告5G製品〕)と、LTE通信には対応しているものの5G通信には対応していない製品(被告製品15及び16〔被告LTE製品〕)が認められるところ、いずれもWi-Fi及びBluetoothの無線通信機能を有していることが認められる。また、証拠(乙109、112、114、116、118、120ないし122、 124)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品は、カメラ、CPU、ディスプレイ、バッテリー、オーディオ機能を始め、製品によっては、端末冷却機能や背面のサブディスプレイ、指紋認証システム等を有するなど、通信機能以外にもその売上げに貢献している部分が認められるほか、被告及びASUS台湾によるマーケティング活動によって よっては、端末冷却機能や背面のサブディスプレイ、指紋認証システム等を有するなど、通信機能以外にもその売上げに貢献している部分が認められるほか、被告及びASUS台湾によるマーケティング活動によって、被告製品は低価格で 品質が良いというブランドイメージが形成され、これが一定程度売上げに貢献していることが認められる。 これらの事情のほか、本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、LTE規格全実施料率は、9%であると認めるのが相当である。もっとも、被告5G製品は、当事者双方の主張立証の限度で検討すれば、LTE規格全実施 料率を基準として、LTE通信の上位互換である5G通信の機能を更に総 合的に考慮するのが相当である。そして、上記認定事実のほか、LTE通信と5G通信は、2G通信及び3G通信とは大きく異なり、いずれもOFDMシンボルによる送受信を採用するなど共通性が高いこと、その他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、被告5G製品に限り、LTE規格全実施料率は、8%の限度で認めるのが相当である。 イこれに対し、原告は、FRAND条件によるライセンス料相当額を算定するに当たっては、比較アプローチによる算定結果を参酌すべきである旨主張する。そこで検討するに、比較可能なライセンス契約があればこれを考慮することができることは、前記説示に係る算定方法のとおりである。 しかしながら、原告が締結した他社とのライセンス契約(●(省略)●) をみても、●(省略)●ことが認められる。これらの事情を踏まえると、少なくとも上記ライセンス契約は、比較可能なライセンス契約というに足りず、原告にいう比較アプローチに適するものとはいえない。 また、原告は、5G通信可能な場所は限定的であるから、被告5G製品と被告LTE製品との間で、LTE規格全 比較可能なライセンス契約というに足りず、原告にいう比較アプローチに適するものとはいえない。 また、原告は、5G通信可能な場所は限定的であるから、被告5G製品と被告LTE製品との間で、LTE規格全実施料率を変える理由はない旨 主張する。しかしながら、5G通信可能な場所が限定的であったとしても、LTE通信の上位互換である5G通信が可能な場所が存在する以上、被告5G製品におけるLTE規格の貢献は、5G通信が不可能である被告LTE製品におけるものよりも、その分少なくなると認めるのが相当である。 この理は、原告自身において主張の根拠とするUnwiredPlanetv. Huawei判 決(乙41)が説示するところとも、整合するものといえる。 したがって、原告の主張は、いずれも採用することができない。 ⑸ LTE規格全特許数原告は、UnwiredPlanetv. Huawei判決を踏まえ、LTE規格の標準必須特許のファミリー数は約800件とすべきである旨主張するのに対し、被告は、 UnifiedPatentsの調査(乙90)によれば、LTE規格のFRAND宣言され た特許ファミリーは、無作為抽出した1万6036件のうち1817件であり、その無作為抽出した件数は全数ではないから、その特許ファミリーは、少なくとも1817件存在する旨主張する。 そこで検討するに、証拠(乙90、91)及び弁論の全趣旨によれば、UnifiedPatentsによる調査を踏まえると、LTEに関してFRAND宣言された 特許ファミリーについて、無作為に抽出した1万6036件のうち、1817件が当該特許ファミリーであったことが認められる。しかしながら、技術常識及び弁論の全趣旨を踏まえれば、当該特許の有効性等に鑑 特許ファミリーについて、無作為に抽出した1万6036件のうち、1817件が当該特許ファミリーであったことが認められる。しかしながら、技術常識及び弁論の全趣旨を踏まえれば、当該特許の有効性等に鑑みると、FRAND条件によるライセンスの対象となるべき特許数は、これよりも少ないものと推認するのが相当である。他方、UnwiredPlanetv. Huawei判決(甲1 9)によれば、LTE規格全特許数は、約800件とされているところ、当該判決が2017年のものであり、技術常識及び弁論の全趣旨によれば、その後にLTE規格に採用された標準必須特許は増加したことが十分にうかがわれることからすると、少なくとも現時点においては、上記の件数を直ちに採用するのは相当ではない。その他に、当事者双方の主張立証の内容その 他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、LTE規格全特許数は、1300件と認めるのが相当である。 なお、本件特許の数についてみると、本件特許は、上記にいう同一の特許ファミリーに属するものであるから(弁論の全趣旨)、当事者双方の主張立証の内容その他本件に現れた諸事情を総合考慮すれば、本件特許の数は、F RAND条件によるライセンス料相当額の算定に当たっては、上記1300件と単位を合わせるのが相当であるから、1件として計算すべきことになる。 3 結論以上によれば、FRAND条件によるライセンス料相当額は、被告製品の売上高(被告LTE製品●(省略)●円、被告5G製品●(省略)●円)に対し、 LTE規格全実施料率(被告LTE製品9%、被告5G製品8%)を乗じた上、 LTE規格全特許数(1300件)で割るのが相当であるから、以下の計算式のとおり、損害額は、合計●(省略)●円となる。 ⑴ 被告LTE製品 製品9%、被告5G製品8%)を乗じた上、 LTE規格全特許数(1300件)で割るのが相当であるから、以下の計算式のとおり、損害額は、合計●(省略)●円となる。 ⑴ 被告LTE製品●(省略)●円×9%÷1300=●(省略)●円⑵ 被告5G製品 ●(省略)●円×8%÷1300=●(省略)●円⑶ 合計額●(省略)●円+●(省略)●円=●(省略)●円第8 まとめ以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、本件請求のうち、 損害賠償請求に関する部分は●(省略)●円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がなく、差止請求及び廃棄請求に関する部分は、いずれも理由がない。 第9 結論よって、原告の請求は主文の限度で理由があるからその限度でこれを認容し、 その余は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 中島基至 裁判官 武富可南 裁判官 古賀千尋 (別紙)物件目録以下の製品型番の通信機器。 1. SmartphoneforSnapdragonInsiders 型番:ZS675KW-BL512R162. ROGPhone 5sPro型番:ZS676KS-BK512R183. ROGPhone 5s 512GB型番:ZS ders 型番:ZS675KW-BL512R162. ROGPhone 5sPro型番:ZS676KS-BK512R183. ROGPhone 5s 512GB型番:ZS676KS-BK512R16/ZS676KS-WH512R16 4. ROGPhone 5s 256GB型番:ZS676KS-BK256R12/ZS676KS-WH256R125. ROGPhone 5 Ultimate型番:ZS673KS-WH512R186. ROGPhone 3 12GB+512GB 型番:ZS661KS-BK512R127. ROGPhone 3 16GB+512GB型番:ZS661KS-BK512R168. Zenfone 8 16GB+256GB型番:ZS590KS-BK256S16/ZS590KS-WH256S16/ZS590KS-SL256S16 9. Zenfone 8 8GB+256GB型番:ZS590KS-BK256S8/ZS590KS-WH256S8/ZS590KS-SL256S810. Zenfone 8 8GB+128GB型番:ZS590KS-BK128S8/ZS590KS-WH128S8/ZS590KS-SL128S811. Zenfone 8 Flip 256GB 型番:ZS672KS-BK256S8/ZS672KS-SL256S8 12. Zenfone 8 Flip 128GB型番:ZS672KS-BK128S8/ZS672KS-SL128S813. ZenFone 7 Pro 8GB+256GB型番:ZS671KS-BK256S8/ZS671KS-WH256S814. ZenFone 7 8GB+1 S672KS-SL128S813. ZenFone 7 Pro 8GB+256GB型番:ZS671KS-BK256S8/ZS671KS-WH256S814. ZenFone 7 8GB+128GB 型番:ZS670KS-BK128S8/ZS670KS-WH128S815. ZenFone 6 8GB+256GB型番:ZS630KL-BK256S8/ ZS630KL-SL256S816. ZenFone 6 6GB+128GB型番:ZS630KL-BK128S6/ZS630KL-SL128S6 以上 (別紙)特許権目録 1 特許番号第4982653号発明の名称 ACK/NACK情報の送信方法及び送信装置並びにACK/N ACK信号の送受信方法及び受信装置出願日平成21年2月13日(特願2009-554464)登録日平成24年5月11日 2 特許番号第5694479号 発明の名称物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネルのマッピング方法出願日平成25年10月24日(特願2013-221358)登録日平成27年2月13日
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